(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
H04N5/74 D
(21)【出願番号】P 2020075754
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】516385310
【氏名又は名称】合同会社酒井総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】岸田 郁子
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-8676(JP,A)
【文献】特開2005-338114(JP,A)
【文献】特表2017-521704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0094140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投影する画像投影部と、
前記画像投影部を移動させる移動部と、
前記画像投影部による画像の投影に連関して前記移動部を制御する制御部と、
前記画像投影部が投影した画像を撮影する撮影部と、
前記画像投影部が投影する画像を視覚させる視覚者を検出する視覚者検出部と、
前記視覚者検出部によって検出された視覚者の周囲の状況を検出する状況検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記画像投影部が投影する画像と前記撮影部が撮影した画像とに基づいて前記移動部を制御して前記画像投影部を移動させ、前記視覚者検出部の検出結果に基づいて前記移動部を制御して前記画像投影部を移動させ、前記状況検出部によって検出された周囲の状況に基づいて、前記画像投影部が投影する画像を切り替えることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
前記視覚者検出部は、前記視覚者の移動方向を検出し、
前記状況検出部は、前記視覚者の移動方向前方の状況を検出し、
前記制御部は、前記状況検出部によって検出された前記視覚者の移動方向に基づいて、前記移動部を制御して前記画像投影部を移動させ、前記視覚者の移動方向前方の所定の位置に前記画像を投影し、前記状況検出部よって検出された前記視覚者の移動方向前方の状況に基づいて、前記画像投影部が投影する画像を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記状況検出部は、前記視覚者の周囲の音声を集音し、当該音声に基づいて、当該周囲の状況を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像を投影する画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駅や店舗での動画広告、スマートフォンでの動画鑑賞などのように、画像を視覚する機会の多様性が高まっている。関連する技術として、従来、具体的には、たとえば、自律走行が可能なロボットに投影部を搭載し、ロボットの周囲に存在する投影面の状態を検知しながら当該投影面に映像を投影することにより、不特定の人から見えやすい映像を表示することができるようにした映像表示システムに関する技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、ロボットの近くにいる視覚者であれば映像を視覚することができるが、ロボットとの間に複数の人がいる場合や、投影面との間にロボットが位置している場合などでは、映像の一部が欠けたりあるいはまったく視覚することができなくなってしまうという問題があった。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、環境に左右されることなく、容易かつ確実に、所望の場所に画像を投影することができる画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる画像投影装置は、画像を投影する画像投影部と、前記画像投影部を移動させる移動部と、前記画像投影部による画像の投影に連関して前記移動部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかる画像投影装置は、上記の発明において、前記画像投影部が投影した画像を撮影する撮影部を備え、前記制御部が、前記画像投影部が投影する画像と前記撮影部が撮影した画像とに基づいて前記移動部を制御し、前記画像投影部を移動させることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる画像投影装置は、上記の発明において、前記制御部が、前記撮影部が撮影した画像に基づいて、前記画像投影部が投影した画像の歪みの有無を検出し、検出結果に基づいて前記画像投影部が投影する画像の歪み補正をおこなうことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる画像投影装置は、上記の発明において、前記画像投影部が投影する画像を視覚させる視覚者を検出する視覚者検出部を備え、前記制御部が、前記視覚者検出部の検出結果に基づいて前記移動部を制御し、前記画像投影部を移動させることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる画像投影装置は、上記の発明において、前記視覚者の周囲の状況を検出する状況検出部を備え、前記制御部が、前記状況検出部の検出結果に基づいて、前記画像投影部が投影する画像を切り替えることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる画像投影装置は、上記の発明において、前記制御部が、前記視覚者検出部の検出結果に基づいて前記視覚者の移動を検出し、前記視覚者の移動方向前方に画像を投影するように前記移動部を制御し、前記画像投影部を移動させることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる画像投影装置は、上記の発明において、前記画像投影部が投影する画像を視覚させる視覚者の移動方向前方の状況を検出する状況検出部を備え、前記制御部が、前記状況検出部の検出結果に基づいて、前記画像投影部が投影する画像を切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明にかかる画像投影装置によれば、環境に左右されることなく、容易かつ確実に、所望の場所に画像を投影することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】画像投影装置の外観の一例を示す説明図である。
【
図2】画像投影装置のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図3】画像投影装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】画像投影装置の利用態様の一例を示す説明図(その1)である。
【
図5】画像投影装置の利用態様の一例を示す説明図(その2)である。
【
図6】画像投影装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】この発明にかかる別の実施の形態の画像投影装置および画像投影装置の移動環境の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像投影装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
<実施の形態>
(画像投影装置の外観の一例)
まず、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置の外観の一例について説明する。
図1は、画像投影装置の外観の一例を示す説明図である。
図1に示すように、画像投影装置100は、プロジェクター101と、ドローン102と、カメラ103と、人感センサー104と、を備えている。
【0017】
プロジェクター101は、プロジェクター光源、光学系、投影レンズなどを備えている(いずれも図示を省略する)。プロジェクター101は、プロジェクター光源から発した光を、光学系により所定経路に導き、投影レンズ101aを介してプロジェクター101の外部に照射することによって、光が照射された場所に画像を投影する。光学系は、プロジェクター光源から発した光の照度の均一性を高めるインテグレーターレンズ、非偏光光源から出射する光を所定の偏光方向に変換(偏光)する偏光変換素子、プロジェクター光からの光をR・G・Bの三原色に分離するダイクロイック・ミラー、R・G・Bの各色の光に応じた画像を表示する液晶パネル、各液晶パネルが表示した各色の画像を合成するダイクロイック・プリズムなどによって構成される(いずれも図示を省略する)。
【0018】
プロジェクター101としては、たとえば、プロジェクター光源にレーザーを採用したレーザー方式のプロジェクターを用いることができる。レーザー方式のプロジェクターを用いることにより、プロジェクター101の小型化を図ることができる。具体的に、レーザー方式のプロジェクターは、プロジェクター光源に水銀ランプを採用した水銀ランプ方式のプロジェクターよりも発熱を低く抑えることができるため、冷却ファンなどの機構を省くことによる小型化および軽量化を図ることができる。
【0019】
また、レーザー方式のプロジェクターを用いることにより、迅速に起動して画像の投影を開始することができる。また、レーザー方式のプロジェクターを用いることにより、水銀ランプ方式のプロジェクターよりも、消費電力を抑えつつ、投影される画像の高輝度化を図ることができる。
【0020】
水銀ランプ方式のプロジェクターは、投影(光軸)方向が水平方向になる状態で使用することが推奨されているため投影方向の自由度が制限される一方で、レーザー方式のプロジェクターは、光軸を水平方向に対して傾けた状態で使用することができる。このため、レーザー方式のプロジェクターは、投影方向の高い自由度を確保することができ、壁面のみならず地面・床面にも画像を投影することができる。
【0021】
ドローン102は、プロジェクター101を移動させる。無人航空機などと称されるドローン102によってプロジェクター101を移動させることにより、プロジェクター101による画像の投影場所を移動させることができる。ドローン102は、具体的には、たとえば、4つのプロペラ105を備えたクアッドコプターを採用することができる。ドローン102は、クアッドコプターに限るものではなく、6つのプロペラを備えたヘキサコプター、8つのプロペラを備えたオクトコプターなど、各種のマルチコプターを採用することができる。
【0022】
プロジェクター101は、ドローン102に固定されており、ドローン102の移動(飛行)にともなって移動する。プロジェクター101は、ドローン102に対して、姿勢調整が可能な状態で連結されていてもよい。具体的には、たとえば、プロジェクター101は、ドローン102の底面部にボールジョイントなどの自在継手を介して連結することができる。プロジェクター101を、ボールジョイントなどの自在継手を介してドローン102に連結することにより、プロジェクター101の姿勢の調整にかかる高い自由度を確保することができる。
【0023】
この場合、画像投影装置100は、ドローン102に対するプロジェクター101の姿勢を人手を介さずに調整するために、ドローン102に対するプロジェクター101の姿勢を変化させる駆動機構を備えていてもよい。駆動機構は、たとえば、モーターやギア列などによって構成することができる。ドローン102に対するプロジェクター101の姿勢を調整可能とすることにより、画像を投影する場所に応じた最適な角度で画像を投影することができる。
【0024】
カメラ103は、プロジェクター101が投影した画像を撮影する。カメラ103は、具体的には、たとえば、汎用的なデジタルカメラによって実現することができる。カメラ103は、たとえば、プロジェクター101による画像の投影方向と同じ方向にレンズ103aを向けた状態で、ドローン102に固定される。
【0025】
カメラ103は、プロジェクター101による画像の投影方向に対する、レンズを向ける方向を調整可能な状態でドローン102に連結されていてもよい。
図1においては、カメラ103をドローン102に連結する軸部分を中心として、カメラ103を回動させることができる。カメラ103は、ドローン102の底面部にボールジョイントなどの自在継手を介して連結してもよい。カメラ103を、ボールジョイントなどの自在継手を介してドローン102に連結することにより、カメラ103の姿勢の調整にかかる高い自由度を確保することができる。
【0026】
この場合、画像投影装置100は、レンズ103aを向ける方向を人手を介さずに調整するために、ドローン102に対するカメラ103の姿勢を変化させる駆動機構を備えていてもよい。駆動機構は、たとえば、モーターやギア列などによって構成することができる。プロジェクター101による画像の投影方向に対する、レンズ103aを向ける方向を調整可能とすることにより、1台のカメラ103を用いて、プロジェクター101が投影した画像を撮影したり、画像投影装置100の周囲の画像を撮影したりすることができる。
【0027】
画像投影装置100において、ドローン102に対するプロジェクター101の姿勢を調整する駆動機構と、ドローン102に対するカメラ103の姿勢を調整する駆動機構とは、それぞれ独立して動作するものであってもよい。これにより、プロジェクター101により画像を投影しながら、投影した画像をカメラ103により撮影したり、当該カメラ103の姿勢を調整して画像の投影方向とは異なる方向を撮影したりすることができる。
【0028】
カメラ103は、汎用的なデジタルカメラに限るものではなく、たとえば、光に対して感度を増幅させることによって暗い場所を撮影する暗視カメラや、赤外線に感度を有する赤外線カメラによって実現してもよい。このようなカメラ103を搭載することにより、夜間であっても、撮像補助用の光源を用いることなく、プロジェクター101が投影した画像を鮮明に撮影することができる。これによって、画像投影装置100の重量や消費電力の増大を抑制することができる。
【0029】
人感センサー104は、画像投影装置100から所定範囲内に存在する視覚者を検出する。視覚者は、画像投影装置100が投影する画像を視覚させる対象となる。人感センサー104は、具体的には、たとえば、赤外線センサーによって実現することができる。赤外線センサーは、画像投影装置100が投影する画像の視覚者などの被検知体が放射する赤外線を、受光素子が吸収することによる温度上昇(温度変化)を温度センサーで検出し、所定の電気信号を出力する。赤外線センサーを用いることにより、視覚者の有無および当該視覚者の移動を検出することができる。
【0030】
赤外線センサーによって実現される人感センサー104による視覚者の検出範囲は、たとえば、赤外線センサーの感度、センサー素子(画素)の数や配置形状、センサー素子(画素)が感知した電流の増幅率などを調整することにより、調整することができる。人感センサー104は、赤外線センサーによって実現されるものに限らず、たとえば、超音波や可視光などを用いて視覚者を検出するものであってもよく、赤外線と超音波とを組み合わせた方式により視覚者を検出するものであってもよい。
【0031】
(画像投影装置100のハードウエア構成)
つぎに、画像投影装置100のハードウエア構成について説明する。
図2は、画像投影装置100のハードウエア構成を示す説明図である。
図2に示すように、画像投影装置100のハードウエアは、バッテリー201、制御回路202、通信I/F203、GPS受信機204、モーター205、プロジェクター101、カメラ103、人感センサー104、マイク206、スピーカー207などによって構成される。画像投影装置100が備える各部101、103、104、201~207は、バス200によって接続されている。
【0032】
バッテリー201は、画像投影装置100が備える各部の動作に要する電源を供給する。バッテリー201は、たとえば、リチウム電池などの二次電池(充電式電池、蓄電池)によって実現することができる。二次電池によって実現されるバッテリー201は、ドローン102に対して着脱可能であってもよい。
【0033】
また、画像投影装置100は、バッテリー201の充電のための充電用接点を備えていてもよい。充電用接点は、たとえば、端子が露出した形状であってもよく、コネクタ形状であってもよい。あるいは、画像投影装置100は、バッテリー201の充電のための充電用接点に代えて、あるいは、加えて、ワイヤレス電力伝送(Wireless Power Transfer、Contactless Power Transmission)における受電コイルを備えていてもよい。
【0034】
ワイヤレス給電は、バッテリー201に対して、充電用接点を介することなく電力を受電する技術であって、非接触給電あるいは無線給電などとも称される。受電コイルは、ドローン102の外装面よりも内側に設けられている。これにより、雨露などの水滴による画像投影装置100の劣化や故障を回避することができる。なおバッテリー201は、直流電力の放電のみをおこなう一次電池によって実現してもよい。
【0035】
制御回路202は、CPUやメモリなどによって構成され、画像投影装置100が備える各部を駆動制御する。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、画像投影装置100の装置全体の制御をつかさどる。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する。また、メモリは、たとえば、投影する画像に関する画像情報を含む各種情報を記憶する。
【0036】
メモリは、具体的には、たとえば、ICメモリやSSD(Solid State Drive)などによって実現することができる。また、メモリは、画像投影装置100に対して、画像投影装置100に設けられたカードスロットを介して着脱可能なメモリカードであってもよい。メモリカードは、たとえば、SD(Secure Digital)メモリカードなどのICカードによってその機能を実現することができる。メモリは、外付けのハードディスクやUSBメモリなどによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0037】
制御回路202は、具体的には、たとえば、フライトコントローラやESC(Electronic Speed Controller)などを備えている。制御回路202は、さらに、BEC(Battery Elimination Circuit)やUBEC(Universal BEC)を備えていてもよい。また、バッテリー201を二次電池によって実現する場合、制御回路202は、バッテリー201への充電(蓄電)をおこなう充電回路を含んでいてもよい。
【0038】
フライトコントローラは、モーター205の回転制御にかかる演算をおこない、制御信号を出力する。ESCは、フライトコントローラから出力された制御信号に基づきモーター205を回転制御する。フライトコントローラは、画像投影装置100の飛行中、画像投影装置100の傾きなどを検知して演算を繰り返しおこない、モーター205に対する制御信号を再帰的に出力する。
【0039】
フライトコントローラは、ESCに対して、プロペラ(プロペラのモーター205)の回転方向や回転数を制御する制御信号を出力する。具体的には、たとえば、隣り合うプロペラどうしを逆回転させるように制御する制御信号を出力することによって画像投影装置100の回転を防止する。また、たとえば、進行方向前方のプロペラを進行方向後方のプロペラよりも遅く回転させるように制御することによって画像投影装置100を前進させる。また、たとえば、進行方向右側のプロペラを進行方向左側のプロペラよりも遅く回転させるように制御することによって画像投影装置100を右方向に旋回させる。
【0040】
また、制御回路202は、具体的には、たとえば、プロジェクター101が投影する画像にかかる画像処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)を含んでいる。GPUを備えることにより、動きの速い動画などを高画質で投影することができる。
【0041】
通信I/F203は、通信回線を通じて画像投影装置100とネットワークNとを接続するインタフェースであって、ネットワークNと画像投影装置100の内部とのインタフェースをつかさどり、ネットワークNを介して接続されている外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。ネットワークNは、たとえば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などによって実現される。
【0042】
通信I/F203は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)による無線インタフェースである。また、通信I/F203は、携帯電話回線(たとえばLTE(Long Term Evolution)、PHS(Personal Handy-phone System)などの無線通信のインタフェースであってもよい。
【0043】
制御回路202は、通信I/F203を介して外部装置と通信をおこなうことにより、たとえば、投影対象とする画像に関する画像情報を含む各種情報を、当該外部装置から取得することができる。また、制御回路202は、外部装置から各種情報を取得するごとに、取得した情報をメモリに記憶したり、取得した情報に基づいてメモリの記憶内容を更新したりしてもよい。
【0044】
GPS受信機204は、画像投影装置100の現在位置を特定する。GPS受信機204は、具体的には、たとえば、GPSアンテナ、RF(Radio Frequency)部、ベースバンド部などを備えている。GPSアンテナは、GPS衛星が放送する電波を受信する。RF部は、GPSアンテナが受信した変調前の信号をベースバンド信号に復調する。ベースバンド部は、RF部が復調したベースバンド信号に基づいて画像投影装置100の現在位置を算出する。GPS受信機204は、さらに、不要成分を除去するフィルタや、LNA(Low Noise Amplifier)やパワーアンプPA(Power Amplifier)などの増幅器を備えていてもよい。
【0045】
画像投影装置100の現在位置は、複数のGPS衛星から送信される電波に基づく測位によって特定することができる。ベースバンド部は、4機のGPS衛星との距離をそれぞれ算出し、それぞれの距離が一つに交わる位置を算出することによって測位をおこなう。GPS衛星から受信した電波に基づいて、GPS衛星と画像投影装置100との幾何学的位置を求めるGPSに代えて、みちびき、グローナス(GLONASS)、ガリレオ(Galileo)などの衛星測位システムを用いて画像投影装置100の現在位置を特定してもよい。
【0046】
モーター205は、制御回路202によって制御され、回転することによってプロペラ105を回転させる。モーター205は、具体的には、たとえば、回転子が永久磁石であって、固定子がコイルによって構成されるブラシレスモータを使用することができる。モーター205は、プロペラ105の数と同数設けることができる。これにより、各プロペラ105をそれぞれ独立して回転させ、画像投影装置100を前進させたり、後進させたり左右方向に旋回させたりすることができる。
【0047】
プロジェクター101やカメラ103の姿勢を調整する駆動機構を備えている場合、制御回路202は、これらの駆動機構がそれぞれ備えるモーター205の動作も制御する。これにより、画像投影装置100は移動しながら、プロジェクター101やカメラ103の姿勢をそれぞれ独立(個別)に調整することができる。
【0048】
上記のように、プロジェクター101は、プロジェクター光源から発した光を、光学系により所定経路に導き、投影レンズ101aを介してプロジェクター101の外部に照射することによって、光が照射された場所に画像を投影する。プロジェクター101は、画像を投影する位置からの距離に応じて、プロジェクター光源から発する光の強度を調整することにより、投影される画像の画質を調整するようにしてもよい。プロジェクター101と、画像を投影する位置との間の距離は、たとえば、距離センサーを用いて特定することができる。距離センサーは、たとえば、レーザ距離センサー、超音波センサー、赤外線センサーなど公知の各種のセンサーを用いることができる。
【0049】
カメラ103は、撮像素子を備え、撮像素子が撮影レンズを通して受光した光を電気信号に変換することによって、画像情報(撮影データ)を生成する。生成した画像情報は、制御回路202に出力される。カメラ103は、静止画を撮影するものであってもよく、動画を撮影するものであってもよい。動画は、所定時間間隔で撮影された静止画を連続して再生するものを含む。画像情報は、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
【0050】
人感センサー104は、受光素子が赤外線を吸収することによる温度変化に応じた電気信号を、制御回路202に対して出力する。具体的に、人感センサー104は、たとえば、温度変化に応じた電流信号を電圧信号に変換して増幅し、増幅した電圧信号が所定の閾値を超えた場合に、制御回路202に対して所定の電気信号を出力する。制御回路202は、人感センサー104から出力された所定の電気信号の入力を受け付けた場合に、視覚者を検出する。
【0051】
マイク206は、画像投影装置100の周囲の音声を集音する。マイク206は、アナログデータとして入力された音声を電気信号に変換する。具体的に、マイク206は、アナログデータとして入力されたアナログの音声信号を、アナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成する。
【0052】
スピーカー207は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。また、スピーカー207は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカーを接続して、音を発生させるようにしてもよい。
【0053】
画像投影装置100は、その他、図示は省略するが、画像投影装置100の状態を案内するLEDランプや、画像投影装置100に対する入力指示をおこなうキーまたはボタンなどの入出力デバイスなどを備えていてもよい。入出力デバイスは、他の情報処理装置を接続可能な接続端子などによって実現されるものであってもよい。
【0054】
また、画像投影装置100は、カードスロットを介して画像投影装置100と接続されるインタフェースであるメモリカードI/Fを備えていてもよい。メモリカードI/Fは、メモリカードと内部のインタフェースをつかさどり、メモリカードからのデータの入力およびメモリカードへのデータの出力を制御する。これにより、画像投影装置100が投影する画像をメモリカードに記憶しておき、メモリカードを交換するだけで画像投影装置100が投影する画像を切り替えることができる。
【0055】
(画像投影装置100の機能的構成の一例)
つぎに、画像投影装置100の機能的構成の一例について説明する。
図3は、画像投影装置100の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100の機能は、制御部301と、記憶部302と、画像投影部303と、撮影部304と、視覚者検出部305と、状況検出部306と、移動部307と、によって実現される。
【0056】
制御部301は、画像投影装置100の全体を制御する。制御部301は、具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路202によって、その機能を実現することができる。制御部301は、より具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路202におけるCPUによって、メモリなどに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
【0057】
記憶部302は、制御部301による制御にかかる各種プログラムや、プログラムの実行に用いる閾値などを含む各種情報を記憶する。また、記憶部302は、画像投影部303により投影する画像に関する画像情報や、画像投影装置100の移動(飛行)範囲に関する情報、バッテリーの充電スポットに関する情報などを記憶してもよい。記憶部302は、具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路202におけるメモリなどによって、その機能を実現することができる。
【0058】
記憶部302は、画像投影装置100の管理者によってあらかじめ入力された情報を記憶してもよく、通信I/F203を介した通信によって取得した情報を記憶してもよい。通信I/F203を介した通信は、所定の時刻、所定時間ごとなど定期的におこなってもよく、通信回線の状況などに応じて任意のタイミングでおこなってもよい。
【0059】
画像投影部303は、制御部301によって制御され、所定の画像を投影する。画像投影部303は、たとえば、メモリに記憶された画像情報に基づいて、画像を投影する。この場合、画像投影部303は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示したプロジェクター101や
図2に示した制御回路202におけるメモリなどによって、その機能を実現することができる。
【0060】
また、画像投影部303は、たとえば、通信I/F203を介して外部装置から取得した画像情報に基づいて、画像を投影してもよい。この場合、画像投影部303は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示したプロジェクター101や
図2に示した通信I/F203などによって、その機能を実現することができる。
【0061】
通信I/F203を介して外部装置から取得した画像情報に基づく画像を表示することにより、鮮度の高い画像を表示することができる。すなわち、画像を投影する直前に、通信I/F203を介して所定のサーバーなどの外部装置から取得した画像情報に基づいて、画像を投影することにより、サーバーに記憶されている最新の画像情報に基づく鮮度の高い画像を投影することができる。
【0062】
画像投影部303は、具体的には、たとえば、視覚者に対する広告の画像を投影する。広告の画像は、静止画であっても動画であってもよい。画像投影部303が投影する画像は、広告に限るものではなく、地図などの静止画や、ドラマや映画などの娯楽作品の動画などの画像ファイルによって実現してもよい。メモリに記憶された画像情報は、HTMLファイルであってもよく、画像ファイルおよびHTMLファイルによって構成されるものであってもよい。
【0063】
広告の画像にかかる画像情報には、音声情報が関連付けられていてもよい。これにより、画像投影装置100がスピーカー207を備える場合、画像の投影とあわせて、視覚者に対して音声を出力することができる。音声を出力することにより、広告などの、画像投影装置100が投影する画像に対して視覚者の関心を向けさせやすくすることができ、視覚者に対して画像を確実に視覚させることができる。
【0064】
また、画像投影部303は、たとえば、視覚者に注意喚起を促す画像を投影してもよい。具体的には、画像投影部303は、たとえば、視覚者の周囲に車両が接近していることを知らせる画像や、視覚者の移動方向前方の路面状況に関する注意を促す画像、あるいは、地震・発雷・突然の豪雨の可能性などを知らせる画像を投影してもよい。
【0065】
撮影部304は、制御部301によって制御され、プロジェクター101が投影した画像を撮影する。また、撮影部304は、画像投影装置100の周囲の状況を撮影してもよい。撮影部304は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示したカメラ103などによって、その機能を実現することができる。
【0066】
視覚者検出部305は、制御部301によって制御され、プロジェクター101が投影する画像を視覚させる視覚者を検出する。また、視覚者検出部305は、視覚者の移動を検出してもよい。具体的には、たとえば、GPS受信機204によって特定される画像投影装置100の現在位置や、視覚者検出部305によって検出される視覚者の位置に基づいて、視覚者が移動していることや、視覚者の移動方向を検出することができる。
【0067】
視覚者検出部305は、たとえば、人感センサー104の検出結果に基づいて、画像投影装置100から所定範囲内に存在する視覚者を検出する。この場合、視覚者検出部305は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示した人感センサー104などによって、その機能を実現することができる。
【0068】
視覚者検出部305は、たとえば、カメラ103が撮影した画像に基づいて、視覚者を検出してもよい。具体的には、カメラ103が撮影した画像を解析し、画像に撮影されている人物の有無を判断することによって、視覚者を検出することができる。この場合、視覚者検出部305は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示したカメラ103などによって、その機能を実現することができる。
【0069】
カメラ103を用いて視覚者検出部305を実現する場合、画像投影装置100自体を移動させ、カメラ103の撮影範囲を変えることによって視覚者を検出してもよい。この場合、視覚者検出部305は、さらに、
図2に示した制御回路202におけるフライトコントローラ、ESC、BEC、UBEC、モーター205、および、
図1に示したプロペラ105などによって、その機能を実現することができる。
【0070】
視覚者検出部305を実現するカメラ103が、プロジェクター101による画像の投影方向に対する、レンズを向ける方向を調整可能な状態でドローン102に連結されている場合、ドローン102に対するカメラ103の姿勢を調整することによって視覚者を検出してもよい。この場合、視覚者検出部305は、さらに、プロジェクター101による画像の投影方向に対する、カメラ103のレンズを向ける方向を調整する機構部によって、その機能を実現することができる。
【0071】
カメラ103を用いて視覚者検出部305を実現する場合、視覚者検出部305は、さらに、視覚者の属性を検出(判断)してもよい。具体的には、たとえば、検出した視覚者の性別、年齢などを検出する。あるいは、検出した視覚者の服装から、当該視覚者の衣服や持ち物に関する嗜好を検出してもよい。画像に基づく画像中の人物(視覚者)の属性の検出は、公知の各種の技術を用いて容易に実現することができる。
【0072】
状況検出部306は、視覚者の周囲の状況を検出する。状況検出部306は、たとえば、マイク206によって集音した音声に基づいて、視覚者の周囲の状況を検出する。この場合、状況検出部306は、具体的には、たとえば、
図2に示したマイク206などによって、その機能を実現することができる。
【0073】
また、状況検出部306は、たとえば、人感センサー104の検出結果に基づいて、視覚者の周囲の状況を検出してもよい。この場合、状況検出部306は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示した人感センサー104などによって、その機能を実現することができる。人感センサー104を用いて状況検出部306を実現する場合、たとえば、視覚者以外の人間、動物、自動車などを検出することができる。
【0074】
また、状況検出部306は、たとえば、カメラ103が撮影した画像に基づいて、視覚者の周囲の状況を検出してもよい。この場合、状況検出部306は、具体的には、たとえば、
図1や
図2に示したカメラ103などによって、その機能を実現することができる。
【0075】
カメラ103を用いて状況検出部306を実現する場合、画像投影装置100自体を移動させ、カメラ103の撮影範囲を変えることによって視覚者の周囲の状況を検出する範囲を広く確保してもよい。この場合、状況検出部306は、さらに、
図2に示した制御回路202におけるフライトコントローラ、ESC、BEC、UBEC、モーター205、および、
図1に示したプロペラ105などによって、その機能を実現することができる。
【0076】
状況検出部306を実現するカメラ103が、プロジェクター101による画像の投影方向に対する、レンズを向ける方向を調整可能な状態でドローン102に連結されている場合、ドローン102に対するカメラ103の姿勢を調整することによって視覚者の周囲の状況を検出してもよい。この場合、状況検出部306は、さらに、プロジェクター101による画像の投影方向に対する、カメラ103のレンズを向ける方向を調整する機構部によって、その機能を実現することができる。
【0077】
カメラ103を用いて状況検出部306を実現する場合、たとえば、視覚者以外の人間、動物、自動車などの他、歩行の障害になり得る路面の凹凸や赤外線を発しない障害物なども検出することができる。たとえば、汎用的なデジタルカメラによって状況検出部306を実現することにより、特に、周囲が明るい場合において、確実に視覚者の周囲の状況を検出することができる。
【0078】
状況検出部306は、通信I/F203を介してインターネットなどのネットワークNから取得した情報に基づいて、視覚者の周囲の状況を検出してもよい。この場合、状況検出部306は、具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路202や通信I/F203などによって、その機能を実現することができる。
【0079】
通信I/F203を用いて実現される状況検出部306は、たとえば、視覚者の現在位置を含む地域における地震の発生、発雷の可能性、ゲリラ豪雨などと称される突然の豪雨の可能性などを、視覚者の周囲の状況として検出することができる。視覚者の現在位置は、GPS受信機204によって特定される、画像投影装置100の現在位置と同等とみなすことができる。このため、通信I/F203を用いて実現される状況検出部306は、さらに、GPS受信機204によって、その機能を実現することができる。
【0080】
状況検出部306は、視覚者の移動方向前方の状況を検出するものであってもよい。この場合、状況検出部306は、たとえば、視覚者検出部305の検出結果に基づいて、視覚者の移動を検出した場合に、当該視覚者の移動方向前方であって、当該視覚者から所定範囲における状況を検出する。これにより、視覚者の周囲全体(たとえば、視覚者を中心とする所定半径の円内全体)の状況を検出する場合と比較して、より迅速に状況を検出することができる。
【0081】
移動部307は、制御部301によって制御され、画像投影装置100の移動をつかさどる。移動部307により画像投影装置100を移動させることにより、プロジェクター101を移動させることができる。移動部307は、具体的には、たとえば、
図1に示したドローン102や
図2に示した制御回路202などによって、その機能を実現することができる。移動部307は、より具体的には、たとえば、
図2に示した制御回路202におけるフライトコントローラ、ESC、BEC、UBECなどにより、
図2に示したモーター205を回転させ、
図1に示したプロペラ105を回転させることによって、その機能を実現することができる。
【0082】
制御部301は、たとえば、画像投影部303が投影する画像と、撮影部304が撮影した画像とに基づいて移動部307を制御し、画像投影部303を移動させる。具体的には、制御部301は、たとえば、画像投影部303が投影した画像と、撮影部304が撮影した画像とを比較し、画像の外枠の形状や、撮影された画像における物体・色・コントラストなどが、所定の閾値以上異なっている場合に、不適な場所に画像を投影したため、あるいは、画像を投影する場所と画像投影装置100との距離が不適切であるために、明瞭な画像が表示されていない、と判断して、画像投影部303が投影した画像に対する、撮影部304が撮影した画像の画質が許容範囲内に収まる位置まで画像投影部303を移動させるように、移動部307を制御する。
【0083】
この場合、制御部301は、たとえば、画像を投影する位置を一定にした状態で画像投影部303を移動させるように移動部307を制御する。これにより、画像を投影した場所と画像投影部303との間に画像を遮る障害物がある場合などに、視覚者の視線や視覚者の立ち位置を移動させることなく、視覚者に本来の画像を視覚させることができる。
【0084】
あるいは、この場合、制御部301は、たとえば、投影する画像の画質が許容範囲内となる位置まで画像を投影する位置が変化するように移動部307を制御してもよい。これにより、先に画像を投影した場所に起伏などがあり再現性の良好な画像が投影されていない場合などに、画像を投影する位置を変化させて、視覚者に本来の画像を視覚させることができる。
【0085】
また、制御部301は、撮影部304が撮影した画像に基づいて、画像投影部303が投影した画像の歪みの有無を検出し、検出結果に基づいて画像投影部303が投影する画像の歪み補正をおこなってもよい。この場合、具体的には、制御部301は、たとえば、外縁形状が長方形状となる画像を画像投影部303が投影したにもかかわらず、撮影部304が撮影した画像の外縁形状が長方形状ではない場合、画像を投影した場所とプロジェクター101との間に画像を遮る障害物がある、あるいは、画像を投影した場所に起伏があり再現性の良好な画像が投影されていない、と判断して、投影した画像の外縁形状が長方形状となる位置まで、画像投影部303を移動させる。
【0086】
制御部301は、形状に基づく画像の歪みの補正に際しては、投影した画像の外縁形状と撮影部304が撮影した画像の外縁形状とを完全に一致させるものに限らない。制御部301は、形状に基づく画像の歪みの補正に際し、たとえば、投影した画像の外縁形状に対する、撮影部304が撮影した画像の外縁形状のずれが所定範囲内となる位置まで、画像投影部303を移動させるものであってもよい。画像の外縁形状のずれは、たとえば、各画像の縦横比に基づいて判断することができる。
【0087】
制御部301による画像の歪み補正は、公知の各種の画像歪み補正技術を用いることによって実現することができる。具体的には、たとえば、SSIM(Structural Similarity)、MSE(Mean Square Error:平均二乗誤差)、PSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio:ピーク信号対雑音比)などの技術や、画質(たとえば、色や階調の再現性、鮮鋭性、粒状性など)を判定する技術を用いて、画像の歪み補正をおこなうことができる。
【0088】
画像の歪みを補正する場合も、制御部301は、たとえば、画像を投影する位置を一定にした状態で画像投影部303を移動させるように移動部307を制御してもよく、投影する画像の画質が許容範囲内となる位置まで画像を投影する位置が変化するように移動部307を制御してもよい。これにより、視覚者に本来の画像を視覚させることができる。
【0089】
また、制御部301は、視覚者検出部305の検出結果に基づいて移動部307を制御し、画像投影部303を移動させてもよい。具体的には、制御部301は、たとえば、視覚者検出部305が視覚者を検出すると、当該視覚者に接近して視覚者の周辺に画像を投影するように移動部307を制御して、画像投影部303を移動させる。これにより、視覚者の有無にかかわらず画像を投影する場合と比較して、画像投影装置100の消費電力の低減を図るとともに、投影した画像が視覚者に視覚される確実性を増やすことができる。そして、これによって、たとえば、広告の画像を投影する場合に、広告主は高い広告効果を期待することができる。
【0090】
さらに、制御部301は、視覚者検出部305の検出結果に基づいて、視覚者の移動方向前方に画像を投影するように移動部307を制御して、画像投影部303を移動させてもよい。具体的には、制御部301は、たとえば、視覚者検出部305が視覚者の移動を検出すると、当該視覚者に接近して視覚者の移動方向前方側において画像を投影するように移動部307を制御して、画像投影部303を移動させる。これにより、視覚者の有無にかかわらず画像を投影する場合と比較して、画像投影装置100の消費電力の低減を図るとともに、投影した画像が視覚者に視覚される確実性をより一層増やすことができる。そして、これによって、たとえば、広告の画像を投影する場合に、広告主は高い広告効果を期待することができる。
【0091】
また、制御部301は、状況検出部306の検出結果に基づいて、プロジェクター101が投影する画像を切り替える。制御部301は、たとえば、プロジェクター101が広告の画像を投影している際に、状況検出部306が視覚者から所定範囲内に車両が侵入したことを検出した場合、検出前までに投影していた画像に替えて、車両の接近や車両の接近による事故への注意を促す画像を投影する。
【0092】
制御部301は、たとえば、プロジェクター101が広告の画像を投影している際に、状況検出部306が地震・発雷・突然の豪雨の可能性を検出した場合、検出前までに投影していた画像に替えて、地震・発雷・突然の豪雨の可能性や避難経路や避難の方法などを案内する画像を投影してもよい。これにより、外出先など不案内な場所にいる視覚者に対して、近々に発生しうる事象に対して適切な対応をとらせることができる。
【0093】
(画像投影装置100の利用態様の一例)
つぎに、画像投影装置100の利用態様の一例について説明する。
図4および
図5は、画像投影装置100の利用態様の一例を示す説明図である。
【0094】
図4に示すように、画像投影装置100は、たとえば、大型ショッピングモールなどの駐車場400に配備して利用することができる。画像投影装置100は、駐車場400の広さ、駐車可能台数、駐車場400の形状などに応じて1台から任意の複数台を配備することができる。具体的には、たとえば、広い駐車場400においては狭い駐車場400より多くの台数を配備する。また、たとえば、ショッピングモールにおける店舗から遠い駐車場400においては、近い駐車場400より多く配備する。
【0095】
また、たとえば、駐車可能台数が多い駐車場400においては、少ない駐車場400より多くの台数を配備する。駐車可能台数と同数の画像投影装置100を配備してもよい。あるいは、車両1台あたり、平均して2名が乗車していると想定して、駐車可能台数の2倍以上の画像投影装置100を配備してもよい。
【0096】
駐車場400には、待機中の画像投影装置100の充電(バッテリー201への給電)をおこなう充電スポット401を設置してもよい。画像投影装置100と充電スポット401とによって、画像投影システムを構成することができる。充電スポット401は、たとえば、ワイヤレス電力伝送により、バッテリー201に給電をおこなう。
【0097】
具体的に、ワイヤレス給電による給電をおこなう充電スポット401は、ワイヤレス給電における伝送コイル(図示を省略する)を備えている。伝送コイルは、外部に露出していない状態で設けられている。これにより、充電スポット401を屋外に設置した場合にも雨露などの水滴による劣化や故障を回避することができる。充電用接点を備えた画像投影装置100に対応する充電スポット401は、画像投影装置100が充電スポット401に位置する状態において、充電用接点と接触する端子を備える。
【0098】
充電スポット401は、充電スポット401ごとに1台の画像投影装置100への給電をおこなってもよく、1台の充電スポット401において同時に複数台の画像投影装置100への給電をおこなってもよい。充電スポット401は、駐車場400に配備された画像投影装置100の台数や、駐車場400の広さや形状などに応じた位置に設置する。具体的には、たとえば、
図4に示すように、ほぼ均等に分散させて設置することができる。
【0099】
駐車場400に配備された画像投影装置100の移動範囲は、たとえば、駐車場400内(駐車場400の上空:
図4において一点鎖線で示す範囲内)とすることができる。画像投影装置100の移動範囲は、具体的には、たとえば、標準地域メッシュによって特定することができる。
【0100】
より具体的には、画像投影装置100の移動範囲は、たとえば、第1次メッシュ、第2次メッシュ、第3次メッシュなどによって特定することができる。また、画像投影装置100の移動範囲は、たとえば、第3次メッシュをさらに細分化した、2分の1地域メッシュ、4分の1地域メッシュ、8分の1地域メッシュなどの分割地域メッシュなどによって特定してもよい。
【0101】
画像投影装置100の移動範囲を標準地域メッシュによって特定することにより、GPS受信機204を用いた位置情報に基づき、画像投影装置100の移動範囲を精密に制限することができる。そして、画像投影装置100の移動範囲を、通行する対象の大きさや位置が予測できる駐車場400内に限定することにより、たとえば、画像投影装置100が不測の障害物に衝突して事故などが生じることを確実に回避し、安全を確保することができる。
【0102】
原則として、駐車場400内を移動するのは、乗用車や人に限定されるため、画像投影装置100の移動高度も、精密に制限することができる。移動部307をドローン102によって実現する場合、画像投影装置100の移動高度は、設定された移動範囲に応じて適宜設定することができる。
【0103】
画像投影装置100の移動範囲は、駐車場400に限るものではなく、画像投影装置100の移動範囲は任意に設定することができる。画像投影装置100の移動範囲は、たとえば、イベント会場、公園内、観光施設、観光地、住宅地などであってもよい。この場合も、画像投影装置100の移動範囲を標準地域メッシュによって特定することができる。
【0104】
画像投影装置100は、たとえば、常時、駐車場400内を移動し、視覚者の有無を検出する。そして、視覚者を検出すると、当該視覚者に接近し、画像の投影を開始する。画像投影装置100は、たとえば、充電スポット401に待機させ、視覚者を検出した場合に、当該視覚者に接近し、画像の投影を開始するものであってもよい。
【0105】
複数台の画像投影装置100が配備されている駐車場400においては、画像投影装置100が、自装置から所定範囲内における別の画像投影装置100の有無を検出する。別の画像投影装置100は、たとえば、人感センサー104(赤外線センサーなど)の検出結果や、カメラ103が撮影した画像などに基づいて検出することができる。あるいは、画像投影装置100どうしで通信をおこない、自装置の現在位置を相互に伝達することによって、自装置から所定範囲内における別の画像投影装置100の有無を検出してもよい。自装置から所定範囲内における別の画像投影装置100の有無を検出することによって、画像投影装置100どうしの衝突を回避することができる。
【0106】
画像投影装置100は、たとえば、
図5に示すように、視覚者501の後方から当該視覚者501の前方位置に画像502を投影する。これにより、視覚者501の移動を妨げることなく、画像502を投影することができる。また、画像投影装置100は、視覚者501より高い位置から画像502を投影する。これにより、視覚者501が急な動きをした場合にも、画像502を欠けさせることなく投影することができる。
【0107】
画像投影装置100は、たとえば、水平方向に対して所定の角度で画像502を投影する。画像502を投影する位置が地面である場合、水平方向に対して所定の角度で画像502を投影すると投影された画像502が台形に歪むため、画像投影装置100は、投影した位置において歪みがないように補正した画像502を投影する。
【0108】
また、画像投影装置100は、画像502の投影に際して、たとえば、ドローン102の姿勢を水平に保った状態で、ドローン102に対するプロジェクター101の姿勢を調整してもよい。具体的には、たとえば、視覚者501の移動方向前方であって当該視覚者501より高い位置から、ドローン102の姿勢を水平に保ち、鉛直方向下方に向けて画像502を投影してもよい。
【0109】
(画像投影装置100の処理手順の一例)
つぎに、画像投影装置100の処理手順の一例について説明する。
図6は、画像投影装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートにおいて、まず、視覚者501を検出したか否かを判断する(ステップS601)。
【0110】
ステップS601においては、たとえば、人感センサー104やカメラ103を用いて、画像投影装置100の周辺の視覚者501の有無を判断する。ステップS601においては、視覚者501の有無を検出するとともに、視覚者501を検出した場合には当該視覚者501の移動の有無を検出してもよい。
【0111】
ステップS601において、視覚者501を検出した場合(ステップS601:Yes)、検出した視覚者501の周辺へ移動して(ステップS602)、当該視覚者501の周囲に画像502を投影する(ステップS603)。ステップS603においては、たとえば、視覚者501の足元(地面、床など)に画像502を投影する。また、ステップS603においては、たとえば、視覚者501の移動を検出した場合、視覚者501の移動方向前方に画像502を投影する。また、ステップS603においては、たとえば、視覚者501の移動を検出した場合、視覚者501の移動方向前方に位置する壁などに画像502を投影してもよい。画像は、視覚者501の周囲に輪を描くように投影してもよい。
【0112】
さらに、ステップS603においては、画像502を投影するとともに、スピーカー207から音声を出力してもよい。音声を出力することにより、視覚者501の注意を惹き付け、投影した画像を視覚者501により確実に視覚させることができる。
【0113】
つぎに、ステップS603において投影した画像状態が良好か否かを判断する(ステップS604)。ステップS604においては、たとえば、画像投影部303が投影した画像と、撮影部304が撮影した画像とを比較し、相互の画像における外枠の形状や、撮影された画像における物体・色・コントラストなどのずれが、所定の閾値内に収まっているか否かに基づいて、投影した画像状態が良好か否かを判断する。
【0114】
ステップS604において、画像状態が良好である場合(ステップS604:Yes)、ステップS606へ移行する。一方、ステップS604において、画像状態が良好ではない場合(ステップS604:No)、画像状態を調整する(ステップS605)。ステップS604およびステップS605の処理は、画像502を投影している間繰り返しておこなう。
【0115】
ステップS605においては、たとえば、画像投影部303が投影する画像と撮影部304が撮影した画像とに基づき、地面・床や壁などにおける画像が投影される位置を一定にした状態で、画像投影部303が投影した画像に対する、撮影部304が撮影した画像の画質が許容範囲内に収まる位置まで移動することによって、画像状態を調整する。
【0116】
また、ステップS605においては、たとえば、画像投影部303が投影する画像と撮影部304が撮影した画像とに基づき、投影する画像の画質が許容範囲内となるまで、地面・床や壁などにおける画像が投影される位置を変化させるように移動することによって、画像状態を調整してもよい。
【0117】
いずれの方法で画像状態を調整する場合においても、常時あるいは一定間隔で、視覚者501の位置の検出をおこない、視覚者501が視覚できる範囲に画像502を投影する。そして、良好な画像状態の維持と、視覚者501が移動するなどして変化する地面・床や壁などにおける画像の投影位置の調整と、の両立が困難な場合には、たとえば、画像状態の維持よりも、視覚者501の移動に応じた画像の投影位置の調整を優先させる。あるいは、両立が困難な場合には、たとえば、視覚者501の移動に応じた画像の投影位置の調整よりも、良好な画像状態の維持を優先し、視覚者501からやや離れた位置に画像502を投影してもよい。
【0118】
また、画像502を投影している間は、ステップS601:Yesにおいて検出した視覚者501の周辺の状況を検出する(ステップS606)。ステップS606においては、たとえば、人感センサー104(赤外線センサー)やカメラ103を用いて、視覚者501の周辺の状況を検出する。そして、ステップS606において検出した視覚者501の周辺の状況に基づいて、当該視覚者501の周囲に障害物等があるか否かを判断する(ステップS607)。ステップS607においては、たとえば、対象とする視覚者501を中心とする所定範囲内に、車両・看板・コーン・柵などの障害物、視覚者501とは別の人物、移動中の車両などの有無を判断する。ステップS607において、視覚者501の周囲に障害物等がない場合(ステップS607:No)、ステップS606へ移行して、視覚者501の周辺の状況の検出を継続する。
【0119】
ステップS607において、視覚者501の周囲に障害物等がある場合(ステップS607:Yes)、注意喚起の必要があるか否かを判断する(ステップS608)。ステップS608においては、たとえば、検出した障害物が視覚者501の移動方向前方に存在するか、別の人物や移動中の車両が視覚者501に接近しているかなどに基づいて、注意喚起の必要があるか否かを判断する。ステップS608において、注意喚起の必要がない場合(ステップS608:No)、ステップS606へ移行して、視覚者501の周辺の状況の検出を継続する。
【0120】
ステップS608において、注意喚起の必要がある場合(ステップS608:Yes)、注意喚起の画像502を投影する(ステップS609)。ステップS609においては、たとえば、投影中の画像の一部に注意喚起画像を重ねて投影してもよく、投影中の画像を縮小し残余の領域に注意喚起の画像502を投影してもよい。これにより、広告主に対する、広告の表示実績の信頼性を確保することができる。
【0121】
あるいは、ステップS609においては、たとえば、投影中の画像に切り替えて注意喚起の画像502を投影してもよい。これにより、視覚者501に対して当該視覚者501の周囲に状況変化があることを確実に伝達し、視覚者501の注意を画像から当該視覚者501の周辺の状況に向けることができ、視覚者501の安全性を確保することができる。
【0122】
ステップS609においては、注意喚起の画像502を投影するとともに、スピーカー207から注意を喚起する音声、あるいは、ブザー音やアラーム音などの警報音声を出力してもよい。このような音声を出力することにより、視覚者501の注意を惹き付け、現時点以降の所定時間内に災害が発生する可能性があることを視覚者501により確実に認識させることができる。
【0123】
そして、注意喚起が不要になったか否かを判断する(ステップS610)。ステップS610においては、たとえば、対象とする視覚者501を中心とする所定範囲内から、車両・看板・コーン・柵などの障害物、視覚者501とは別の人物、移動中の車両などが存在しなくなったか否かに基づいて、注意喚起が不要になったか否かを判断する。
【0124】
ステップS610において、注意喚起が不要になっていない、すなわち、未だ注意喚起の必要がある場合(ステップS610:No)、引き続き注意喚起の画像502を投影する(ステップS609)。一方、ステップS610において、注意喚起が不要になった場合(ステップS610:Yes)注意喚起画像の投影を停止して、画像502を投影する(ステップS611)。
【0125】
ステップS611においては、たとえば、メモリに記憶されている画像情報に基づいて、任意の画像502を投影する。あるいは、ステップS611においては、たとえば、ステップS609において投影を中断した画像がある場合には、中断した画像の投影を再開してもよい。これにより、広告のすべてを投影することができ、広告主に対する、広告の表示実績の信頼性を確保することができる。
【0126】
そして、画像投影装置100に設定された移動範囲の境界を越えたか否かを判断し(ステップS612)、移動範囲の境界を越えていない場合(ステップS612:No)、ステップS611に移行して、画像の投影を継続する。一方、ステップS612において、画像投影装置100に設定された移動範囲の境界を越えた場合(ステップS612:Yes)、移動範囲内へ移動し(ステップS613)、移動範囲内において画像502を投影する。
【0127】
移動範囲内へ移動した場合は、当該移動範囲の境界を越えるまでにおこなっていた画像502の投影を中断してもよく、当該画像502の投影を継続してもよい。また、ステップS612:Yesにおいて移動範囲の境界を越えた場合、充電スポット401へ移動してもよい。この場合、充電スポット401へ移動の途中で、移動範囲内において別の視覚者501を検出すると、当該別の視覚者501に対する画像502の投影をおこなってもよい。
【0128】
ステップS601において、視覚者501を検出していない場合(ステップS601:No)、災害等に関する状況の発生を検出したか否かを判断する(ステップS614)。ステップS614においては、たとえば、通信I/F203を介して外部装置から取得した情報に基づいて、地震・発雷・突然の豪雨などの災害等が、現時点以降の所定時間内に発生するか否かを判断する。
【0129】
ステップS614において、災害等に関する状況の発生を検出していない場合(ステップS614:No)、ステップS601へ移行して、視覚者501を検出したか否かを判断する。一方、ステップS614において、災害等に関する状況の発生を検出した場合(ステップS614:Yes)、視覚者501を検出していない場合であっても、駐車場400内を移動して(ステップS615)、ステップS609へ移行し、注意喚起の画像502を投影する。
【0130】
この場合、ステップS609においては、現時点以降の所定時間内に災害が発生する可能性があることを報知する注意喚起の画像502を投影する。また、この場合、注意喚起の画像502の投影は、あらかじめ決められた駐車場400内の所定のルートを移動しながらおこなってもよく、災害等に関する状況の発生の検出に応じて移動を開始してから最初に検出した視覚者501の周囲に、注意喚起の画像502を投影してもよい。
【0131】
また、画像投影装置100は、移動(飛行中)において、常時あるいは所定間隔ごとに、自装置のバッテリー201の残量と、自装置の現在位置の確認をおこない、空きのある充電スポット401あるいはあらかじめ定められた充電スポット401まで到達できるバッテリー201の残量を確保した状態で画像502を投影する。これにより、画像502の投影中にバッテリー201が切れて落下することによる故障を回避し、視覚者501の安全を確保することができる。
【0132】
充電スポット401は、Wi-Fiなどの無線通信をおこなう無線ルーターを備えていてもよい。これにより、個々の画像投影装置100は、付近の無線ルーターを介して通信をおこなうことができる。また、複数台の充電スポット401がそれぞれ無線ルーターを備えることにより、良好な通信環境を確保することができる。
【0133】
また、充電スポット401は、人感センサー104を備えていてもよい。これにより、視覚者501を検出した場合にのみ、画像投影装置100を充電スポット401から移動させ、画像502を投影することができ、視覚者501に画像502を投影することができる。
【0134】
複数台の画像投影装置100が配備された駐車場400のように、移動範囲が重複する複数台の画像投影装置100が存在する環境においては、画像502を投影している途中の画像投影装置100のバッテリー201の残量が不足して充電スポット401へ帰還する必要が生じた場合、別の画像投影装置100や充電スポット401の少なくともいずれかと通信をおこなうことによって、別の画像投影装置100を呼び出し、投影している途中の画像を別の画像投影装置100が引き継いで投影するようにしてもよい。
【0135】
これにより、視覚者501は、すべてを視覚するまでに或る一定の時間を要する画像(一連の動画など)を、中断されることなく視覚することができる。また、すべてを視覚するまでに或る一定の時間を要する画像(一連の動画など)を中断することなく視覚させることができるので、広告主に対する、広告の表示実績の信頼性を確保することができる。
【0136】
また、移動範囲が重複する複数台の画像投影装置100が存在する環境においては、それぞれが異なる画像を表示する複数台の画像投影装置100を用いて画像502を投影してもよい。具体的には、たとえば、複数台の画像投影装置100が、それぞれ、単一の画像における異なる領域の画像(たとえば、4分割した右上、右下、左上、左下のそれぞれの画像)を投影することにより、全体として1つの画像502を投影することができる。これにより、同一サイズの画像を単一の画像投影装置100によって投影する場合と比較して、色・コントラストなどを低下させることなくサイズの大きな画像502を投影することができる。
【0137】
また、具体的には、たとえば、複数台の画像投影装置100がそれぞれ投影する画像における各画素が、別の画像投影装置100が投影する画像における画素の間を補完するような画像502を投影してもよい。これにより、画像投影装置100の重量を増やしたり画像投影装置100を大型化したりすることなく、また、プロジェクター101の液晶パネルにおける受光面積を低下させることなく、投影された画像502における画素を増やすことができ、高精細な画像502を投影することができる。
【0138】
また、具体的には、たとえば、複数台の画像投影装置100が、同じ場所に同じ画像502を投影してもよい。これにより、画像投影装置100の重量を増やしたり画像投影装置100を大型化したりすることなく、昼間であっても色・コントラストの明瞭な、見やすい画像502を投影することができる。
【0139】
画像投影装置100は、カメラ103によって撮影した画像に基づいて、プロジェクター101が投影した画像502の視覚者501の動作を検出し、当該視覚者501が所定のジェスチャーをおこなった場合に、画像502の投影態様を切り替えるようにしてもよい。
【0140】
具体的には、たとえば、視覚者501がピンチアウトの動作をおこなった場合に、画像502を拡大して投影する。画像502の拡大は、画像502が投影される位置からプロジェクター101までの距離を長くすることによっておこなってもよく、上記のように、複数の画像投影装置100がそれぞれ単一の画像における異なる領域の画像を表示することによっておこなってもよい。
【0141】
このように、画像502を拡大して投影することにより、たとえば、店名、営業時間、特典などを報知する文字を含む広告の画像502や、衣服やアクセサリーなどの商品の画像502を投影している際に、当該画像502に対して関心をもった視覚者501が、画像502の細部を確認することができる。これにより、視覚者501は、たとえば、画像502に含まれる商品の細部を確認することができるので、当該商品にさらなる関心を持たせ、高い広告効果を期待することができる。
【0142】
画像502を拡大する場合、拡大前の画像502には含まれなかった情報を追加した画像502を投影してもよい。具体的には、たとえば、衣服やアクセサリーなどの商品の画像502を投影している際に、該当する視覚者501がピンチアウトの動作をおこなった場合、拡大された商品と当該商品の価格や在庫状況などを案内する画像502を投影してもよい。
【0143】
また、たとえば、画像投影装置100の現在位置から視覚者501が所望する店舗までの地図の画像502を投影している際に、該当する視覚者501がピンチアウトの動作をおこなった場合、拡大された地図と当該地図に含まれる施設の名称などを含む画像502を投影してもよい。これにより、視覚者501を所望する店舗に確実に案内することができる。
【0144】
また、具体的には、たとえば、視覚者501がピンチインの動作をおこなった場合に、画像502を縮小して投影する。画像502の縮小は、画像502が投影される位置からプロジェクター101までの距離を短くすることによっておこなってもよく、投影する画像502のサイズを小さくすることによっておこなってもよい。
【0145】
あるいは、たとえば、視覚者501がピンチインの動作をおこなった場合、引きの画像を投影してもよい。具体的には、たとえば、画像投影装置100の現在位置から視覚者501が所望する店舗までの地図の画像502を投影している際に、視覚者501がピンチインの動作をおこなった場合、より広範囲の地図の画像502を投影する。これにより、視覚者501は、施設全体における自身の現在位置を把握することができる。
【0146】
また、具体的には、たとえば、視覚者501が所定のジェスチャーをおこなった場合に、投影中の画像502を別の画像502に切り替えてもよい。これにより、視覚者501は、ザッピングのように任意のタイミングで画像(動画)502を切り替えて、好みの画像502を視覚することができる。
【0147】
上述した実施の形態においては、画像投影装置100の移動範囲を駐車場内に制限した例について説明したが、これに限るものではない。適宜任意の移動範囲を設定してもよく、移動範囲を設定しなくてもよい。画像投影装置100は、プロジェクター101とカメラ103とを一体に備えているため、任意の場所において視覚者501の意図に応じた画像502を投影することができる。
【0148】
具体的には、たとえば、キャンプ場などのような野外において、テントに画像502を投影することができる。これにより、プロジェクター101を固定するための安定した支持台や、画像を投影するスクリーンや壁などがない野外においても、視覚者501の場所や意図に応じた画像502を投影することができる。
【0149】
上述した実施の形態においては、プロジェクター101を搭載したドローン102によって当該プロジェクター101を移動させる例について説明したが、プロジェクター101はドローン102によって移動させるものに限らない。たとえば、屋内駐車場などのように、天井や壁が存在する環境においては、当該天井や壁に沿って移動する移動体にプロジェクター101を搭載し、当該移動体の移動によってプロジェクター101を移動させるようにしてもよい(
図7を参照)。
【0150】
<別の実施の形態>
図7は、この発明にかかる別の実施の形態の画像投影装置および画像投影装置の移動環境の一例を示す説明図である。
図7においては、上述した実施の形態と同一部分については同一符号で示している。
図7に示すように、画像投影装置700は、移動体701を備えている。移動体701は、本体部702、転動体703、磁石704、スライドシュー705を備えている。
【0151】
本体部702は、略箱形状をなし、内側に制御回路202、アンテナ、モーター、バッテリーなどを収容する。制御回路202は、CPUやメモリなどによって構成され、画像投影装置700が備える各部を駆動制御する。具体的には、たとえば、転動体703に連結されたモーター205を駆動制御して、転動体703を回転させ、画像投影装置700を移動させる。
【0152】
転動体703は、本体部702に対して回動(転動)可能に連結されている。転動体703は、本体部702の端面よりも、天井706や壁707側に突出している。転動体703は、3つ以上設けられていることが好ましい。これにより、画像投影装置700を安定して円滑に移動させることができる。
【0153】
転動体703は、具体的には、たとえば、ローラやボールあるいはコロによって実現することができる。ボールやコロによって転動体703を実現することにより、移動体701の回転半径を小さくすることができるので、小回りが効き、移動にかかる高い自由度を確保することができる。ローラによって転動体703を実現する場合、トー角やキャスター角を適宜調整する。
【0154】
磁石704は、本体部702に対して、転動体703と同じ側に設けられている。磁石704は、磁力により画像投影装置100を天井706や壁707に吸着させる。スライドシュー705は、シート形状または平板形状をなす。スライドシュー705は、画像投影装置700を天井706や壁707に吸着させる磁石704の磁力を損なわずかつ、画像投影装置100の移動に際して抵抗とならない材料によって形成されている。スライドシュー705は、具体的には、たとえば、硬質シリコンゴムなどを用いて形成することができる。
【0155】
スライドシュー705は、本体とは反対側の端面が、転動体703の先端(転動体703における天井706や壁707との接触位置)の位置と同一位置あるいは若干本体側の位置に位置するように設けられている。これにより、転動体703を天井706や壁707に確実に接触させることができ、画像投影装置100を良好に移動させることができる。
【0156】
スライドシュー705は、磁石704あるいは本体部702に対して、接離可能に設けられていてもよい。具体的には、たとえば、スライドシュー705は、磁石704あるいは本体部702に対して、バネなどの弾性部材を介して連結されていてもよい。これにより、転動体703を天井706や壁707に確実に接触させることができ、画像投影装置100を良好に移動させることができる。
【0157】
このような画像投影装置700は、上記のようにGPS受信機204を用いて現在位置を特定してもよいが、これに限るものではない。画像投影装置700は、たとえば、PHS(Personal Handy-phone System)などに用いられる三角測量の原理を用いて現在位置を特定してもよい。具体的には、たとえば、天井706や壁707にPHSの基地局(図示を省略する)を複数設け、これらの基地局から出力される電波をアンテナを介して受信することにより自装置の位置を特定する。
【0158】
これにより、天井706や壁707の存在によりGPS衛星からの電波を受信しにくい環境においても、画像投影装置700の位置を高精度に特定し、制御することができる。そして、これにより、建物内における任意の位置に画像502を投影することができる。画像投影装置700は、天井706や壁707に沿って移動するため、視覚者501が衝突することを確実に抑制し、視覚者501の安全を確保することができる。
【0159】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100は、画像502を投影するプロジェクター101と、プロジェクター101を移動させるドローン102と、プロジェクター101による画像502の投影に連関してドローン102を制御する制御回路202と、を備えたことを特徴としている。
【0160】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置700は、画像502を投影するプロジェクター101と、プロジェクター101を移動させる移動体701と、プロジェクター101による画像502の投影に連関して移動体701を制御する制御回路202と、を備えたことを特徴としている。
【0161】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、プロジェクター101による画像502の投影に連関して当該プロジェクター101を移動させることにより、環境に左右されることなく、容易かつ確実に、所望の場所に画像を投影することができる。また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、環境に左右されることなく、容易かつ確実に、所望の場所にサイズの大きい画像を投影することができる。これにより、視覚者501は、任意の場所において、サイズの大きい画像を視覚し、楽しむことができる。
【0162】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700は、プロジェクター101が投影した画像を撮影するカメラ103を備え、制御回路202によって、プロジェクター101が投影する画像とカメラ103が撮影した画像とに基づいてドローン102や移動体701を制御し、プロジェクター101を移動させることを特徴としている。
【0163】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、画像502の投影中に、画像502を投影する場所とプロジェクター101との間に人などの障害物が入り込むなどして投影した画像502の一部または全部が欠けた場合、当該障害物に遮られて画像が欠けることのない場所までプロジェクター101を移動させることにより、人や物の移動などの環境の変化に左右されることなく同じ場所に確実に画像502を投影することができる。
【0164】
このような画像投影装置100、700は、たとえば、広告主による広告料の負担をともなう広告の画像502の投影に適している。画像投影装置100を用いて広告の画像502を投影することにより、視覚者501に対して広告の画像502を高確率で視認させることができるため、広告の画像502の露出実績の信頼性の向上を図り、広告主は高い広告効果を期待することができる。
【0165】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700は、制御回路202が、カメラ103が撮影した画像に基づいて、プロジェクター101が投影した画像502の歪みの有無を検出し、検出結果に基づいてプロジェクター101が投影する画像の歪み補正をおこなうことを特徴としている。
【0166】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、プロジェクター101が投影した画像502の歪みを補正することにより、画像502を投影する場所にかかわらず、視覚者501に歪みのない画像502を視覚させ、視覚者501が違和感や不快感を覚えることを回避できる。
【0167】
このような画像投影装置100、700は、特に、文字、数字、地図などを含む画像を任意の場所に投影する際に有用であり、たとえば、凹凸のある地面や壁面に文字などを投影する場合にも、投影した画像502が案内する内容を視覚者501に確実に伝達することができる。
【0168】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700は、プロジェクター101が投影する画像を視覚させる視覚者501を検出する人感センサー104やカメラ103などの視覚者検出部305を備え、制御回路202が、視覚者検出部305の検出結果に基づいてドローン102や移動体701を制御し、プロジェクター101を移動させることを特徴としている。
【0169】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、視覚者検出部305の検出結果に基づいてプロジェクター101を移動させることにより、画像502を投影する場所を変えることができるので、プロジェクター101が投影する画像502を確実に視覚者501に視覚させることができる。
【0170】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700は、視覚者501の周囲の状況を検出する人感センサー104やカメラ103などの状況検出部306を備え、制御回路202が、状況検出部306の検出結果に基づいて、プロジェクター101が投影する画像を切り替えることを特徴としている。
【0171】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、視覚者501の周囲の状況に応じてプロジェクター101が投影する画像502を切り替えることにより、視覚者501に適した画像502を視覚させることができる。
【0172】
具体的には、たとえば、視覚者501から所定範囲内に車両が侵入したことを検出した場合、検出前までに投影していた画像502に替えて、車両の接近や車両の接近による事故への注意を促す画像502を投影することにより、視覚者501が画像502に集中して周囲への注意が散漫になることによる事故の発生を防止することができる。
【0173】
また、具体的には、たとえば、視覚者501がいる場所の天候の急変や地震の発生を検出した場合、検出前までに投影していた画像502に替えて、天候の急変の可能性や安全な場所への避難を促す画像502を投影することにより、視覚者501に対して、不測の事態の発生に備えさせることができる。
【0174】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700は、制御回路202が、視覚者検出部305の検出結果に基づいて視覚者501の移動を検出し、視覚者501の移動方向前方に画像502を投影するようにドローン102や移動体701を制御し、プロジェクター101を移動させることを特徴としている。
【0175】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、移動する視覚者501の移動方向前方に画像502を投影するようにプロジェクター101を移動させることにより、視覚者501の移動に応じて画像502を投影する場所を変えることができるので、視覚者501の移動を妨げることなく、プロジェクター101が投影する画像502を確実に視覚者501に視覚させることができる。
【0176】
このような画像投影装置100、700は、たとえば、テーマパークなどのレジャーランド、ショッピングモール、あるいは、これらの施設に併設された大型の駐車場400などにおいて、施設の利用者である視覚者501の移動に応じて、移動方向前方にあるアトラクションや店などの広告や特典を案内する画像、当該アトラクションや店舗などの場所あるいは当該アトラクションや店舗までのルートを案内する画像などの投影に適している。
【0177】
あるいは、このような画像投影装置100、700は、たとえば、視覚者501の移動方向とは異なる方向(たとえば後方)にあるアトラクションや店舗などの広告や特典を案内する画像、当該アトラクションや店舗などの場所あるいは当該アトラクションや店舗までのルートを案内する画像502を投影してもよい。
【0178】
画像投影装置100、700を用いてこれらの画像502を投影することにより、視覚者501の移動を妨げることなくアトラクションや店舗などに関する情報を伝達することができ、視覚者501の利便性の向上を図ることができる。また、定位置に設けられる広告などと比較して、アトラクションや店舗などに関する情報を、長時間にわたって視覚者501に視覚させることができるので、広告主は高い広告効果を期待することができる。
【0179】
また、この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700は、視覚者501の移動方向前方の状況を検出する人感センサー104やカメラ103などの状況検出部306を備え、制御部301が、状況検出部306の検出結果に基づいて、前記画像投影部が投影する画像を切り替えることを特徴としている。
【0180】
この発明にかかる実施の形態の画像投影装置100、700によれば、視覚者501の前方の状況に応じてプロジェクター101が投影する画像502を切り替えることにより、視覚者501の移動に即した有用な情報を提供することができる。
【0181】
具体的には、たとえば、視覚者501の前方に人や車両などの移動の障害になる物が存在する場合、視覚者501が画像502に集中した状態で漫然と移動し続けることによる事故の発生を防止することができる。
【0182】
なお、この実施の形態で説明した画像投影方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ、SSDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
以上のように、この発明にかかる画像投影装置は、画像を投影する画像投影装置に有用であり、特に、移動して画像を投影する画像投影装置に適している。
【符号の説明】
【0184】
100 画像投影装置
101 プロジェクター
102 ドローン
103 カメラ
104 人感センサー
400 駐車場
401 充電スポット
501 視覚者
502 画像