(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】口唇圧測定方法、舌圧測定方法、口腔機能測定センサおよび口腔機能測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20241011BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241011BHJP
A61B 5/22 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
A61B5/00 101M
A61B5/22 200
(21)【出願番号】P 2020138980
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-04-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年8月25日に第25回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会抄録集S211頁に掲載した。 令和元年9月6日に第25回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会にて発表した。
(73)【特許権者】
【識別番号】514274111
【氏名又は名称】石本 明生
(73)【特許権者】
【識別番号】514274122
【氏名又は名称】足立 和隆
(73)【特許権者】
【識別番号】515033164
【氏名又は名称】高木 伸子
(72)【発明者】
【氏名】高木 伸子
(72)【発明者】
【氏名】足立 和隆
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0078521(US,A1)
【文献】特開2016-133503(JP,A)
【文献】特許第4575510(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
請求項2の口腔機能測定センサと、前記口腔機能測定センサに圧力が加わった際に発生する電気抵抗の変化又は静電容量の変化を圧力信号に変換し前記圧力信号を無線又は有線で発信するトランスデユーサと、前記圧力信号を受信し、圧力信号として表示および記録する表示・記録装置とを有することを特徴とする口腔機能測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕食機能、咀嚼機能や嚥下機能の指標である口唇圧・舌圧を簡単に正確に測定することができる、口唇圧測定方法、舌圧測定方法とそれらに適用して好適な口腔機能測定センサおよび口腔機能測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
口唇圧や舌圧は、捕食から咀嚼、食塊を咽頭に移送するための嚥下圧形成などの摂食機能や口唇音をはじめ構音機能において非常に重要な役割を果たしている。そのため、口唇閉鎖機能や舌圧発生機能を維持向上させることは、高齢者や障害者の口腔機能向上の中でも大きな課題の1つである。従って、口唇閉鎖機能や舌圧発生機能を評価するうえで、口唇圧や舌圧の測定は重要である。
【0003】
しかし、従来の口唇圧や舌圧の測定方法は、摂食の実態を反映しているとは言い難い。例えば、口唇圧の評価には,ヒモのついたボタン状の測定子を被験者にくわえさせて口唇をできる限り強く閉鎖させ、検者がヒモを引っ張ることによって測定子を取り出すという方法がある。この時のヒモの最大張力をもって、口唇閉鎖力とする方法が知られている(特許文献1参照)。一方、舌圧の測定では、袋状の弾性測定部を舌と口蓋間に保持し、舌で弾性測定部を加圧し変形させ、その変形に伴う空気圧の変化による測定法が知られている(特許文献2参照)。これら従来の口唇圧測定方法や舌圧測定方法では、実際の摂食時において生じる実情に即した口唇圧や舌圧を測定するものではなかった。また、上記の方法は被験者にとって、口唇圧測定では唇を閉じて測定子を保持する技能が必要であり、また、舌圧測定では舌を袋状の弾性測定部を介して安定して口蓋に押しつけるのが難しいといった難点があった。
このような背景から、口唇圧測定を唇を閉じた状態で行うことのできる口唇圧の測定方法が、本発明者らによって提案されている(特許文献3参照)。この技術では、圧力センサを備えた板片からなる圧力センサを唇で咥え、所定の速度で引き抜くという方法がとられており、実用性能が確認されているが、圧力センサを引き抜く時に力の入れ具合に十分に注意しないと必ずしも正確な口唇圧が測定できなかった。また、口唇圧を測定する際に使用される口唇圧センサには、細管による空気抜き手段が設けられているが、細管の外径が厚さに加算されるため、より、厚さの薄い口唇圧センサが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-188564号公報
【文献】特開2018-68875号公報
【文献】特開2016-133503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の口唇圧及び舌圧の測定方法では、測定子が口から飛び出さないように口唇で保持したり、舌が変位する際の圧力を測定するものであり、口唇を閉じた状態で口唇圧を測定したり、舌の位置を固定した状態で舌圧を測定するものではなかった。また、唇を閉じる際の力や舌を口蓋に押しつける力の入れ具合を安定させるのが難しいものであった。さらに、測定に熟練を要するものであった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有していた問題を解決するものであり、被験者が唇を閉じた状態での口唇圧、舌圧を正確に測定することができる口唇圧測定方法、舌圧測定方法、口腔機能測定センサおよび口腔機能測定装置を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、両面に圧力センサを備えた板状の口腔機能測定センサを用いた口唇圧測定方法であって、測定者による板片保持の力を除くため、作用反作用の法則に基づき、前記口腔機能測定センサを上下唇間に挟んで口唇圧を測定した2つの圧力センサの大小の測定値のうち小さい値を口唇圧とするものである。
【0008】
また、口腔機能測定センサを用いて舌圧を計測する場合は、舌が接する側の圧力センサを用いるのが効果的である。
【0009】
また、第3の解決手段は、板片の少なくとも片面に圧力センサが密着して設けられた口腔機能測定センサであって、前記圧力センサは絶縁性の防水材に内包されたフレキシブル導電素材が圧力により変形し、間隙のある位置に設置されている導電シートに接触する面積が変化することにより圧力を検出するものであり、間隙部(離間層)の空気が密閉されないようにするため、前記圧力センサの前記板片に接する部分に小孔が設けられており、その小孔には開放部を閉鎖して管状とする溝が前記板片に設けられて連なっており、前記圧力センサの中の空気が板片範囲では防水機能をもって外気に開放されている構成としたものである。
【0010】
また、第4の解決手段は、前記第3の解決手段の口腔機能測定センサに圧力が加わった際に発生する電気抵抗の変化又は静電容量の変化を圧力信号に変換し前記圧力信号を無線又は有線で発信するトランスデユーサと、前記圧力信号を受信し、圧力信号として表示および記録する表示・記録装置とを有する構成としたものである。
【0011】
上記第1の解決手段による作用は次の通りである。つまり、口腔機能測定センサを上下唇間に挟んで口唇圧を測定した2つの圧力センサの大小の測定値のうち小さい値を口唇圧とする。これは作用・反作用の原理に基づき、口腔機能測定センサに測定者が板片を介して唇に対して上又は下に力を加えても、測定値の小さい方には純粋に口唇圧の力のみが加わっているため、正しい口唇圧を測定することができるので、容易に正しい測定値が得られる。
【0012】
また、板状の口腔機能測定センサを用い、舌に接する側の圧力センサを使用して測定すれば、舌圧を安定した状態で測定することができる。
【0013】
また、第3の解決手段による作用は、空気抜きとして溝が板片に設けられており、圧力センサの中の空気が外気に開放されているので、口腔機能測定センサを薄く構成することができる。
【0014】
また、第4の解決手段による作用は、口腔機能測定センサと、口腔機能測定センサに圧力が加わった際に発生する電気抵抗の変化を圧力信号に変換し圧力信号を無線又は有線で発信するトランスデユーサと、圧力信号を受信し、圧力信号として表示および記録する表示・記録装置とを有するため、測定する場所と表示・記録する場所を離して置くことができ、測定の利便性を高めることができる。特に圧力信号を無線で発信するようにしておけば、利便性の高い口腔機能測定装置とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
上述したように本発明の口唇圧測定方法、舌圧測定方法、口腔機能測定センサおよび口腔機能測定装置によれば、熟練した験者でなくとも、口唇圧と舌圧とを一つの計測器で簡単に正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の口腔機能測定センサの板片の実施の形態を示す模式図
【
図2】本発明の口腔機能測定センサの圧力センサの実施の形態を示す模式図
【
図3】本発明の口腔機能測定センサの実施の形態を示す正面図
【
図4】本発明の口腔機能測定センサの感圧部の実施の形態を示す断面図
【
図5】本発明の口腔機能測定装置の実施の形態を示す説明図
【
図6】本発明の口唇圧測定方法の実施の形態を示す模式図
【
図7】本発明の舌圧測定方法の実施の形態を示す模式図
【
図8】本発明の口腔機能測定装置で口唇圧を測定した結果の表示の例
【
図9】本発明の口腔機能測定装置で舌圧を測定した結果の表示の例
【
図10】本発明の口腔機能測定装置で測定した舌圧の数値である
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の口唇機能測定センサの実施の形態を
図1~
図4に基づいて説明する。
【0017】
図1において、板片11は圧力センサ載置部13と把持部14を有しており、圧力センサ載置部13から把持部14の端部に渡って板片11の片面に溝12が設けられている。また、溝12の圧力センサ載置部13端において、板片11を貫通する空気抜き孔15が設けられている。溝12の把持部14はその開放面が不図示の防水シート等で覆われ、管状構造となる。
圧力センサ載置部13の形状は、特には限定されないが、円形や楕円形、または角を円弧状に加工された四角形に形成されており、口に咥え易い形状になされている。把持部14は検者が操作しやすい幅や長さとされている。
図2の圧力センサ21は面状であり、その感圧部23は3層構造をしている。第1層(表層)は絶縁性の防水材(絶縁シート)の内側面にフレキシブル導電素材の櫛形電極25が櫛型に配置・印刷されており、この層が圧力により変形し、第2層である離間層26の間隙を隔てて相対する第3層の導電シート層27に接触する。このとき接触面積は圧力に応じて変化し、それによって櫛型電極間の電気抵抗が変化するので、この電気抵抗の変化をもって圧力値を検出するものである。第2層の離間層26を設けるため、この層の周囲にはリング状のスペーサ(
図4の28)を有する。第1層の櫛型電極のそれぞれの端子は、円形面状の感圧部23からリード線取り出し部24に絶縁して導かれ、ここからリード線によってトランスデューサ31に導出される。圧力センサの感圧部23の第3層である導電シート層27には、リード線取り出し部24近傍において離間層26の空気を逃がすための小孔22が開けられている。
図3は板片11の載置部13に圧力センサ21を接着固定した様子であり、裏面も同様の外観となる。この際、圧力センサ21の感圧部23の導電シート層27に開けられた小孔22が、板片11の空気抜き孔15と一致するようにする。
図4は板片の載置部13の両面に圧力センサ21の感圧部23を接着した状況の断面図である。防水材(絶縁シート)の内側面に印刷されたフレキシブル櫛形電極25がスペーサ28により設けられた離間層26を介して導電シート層27と相対して配置されており、導電シート層27は板片11側に接着されている。また、導電シート層27には、離間層26の空気を大気に逃がすための小孔22が設けられている。この小孔22は、板片11に開けられた空気抜き用孔15の位置に一致させてある。
離間層26に存在する空気は、空気抜き孔15及び小孔22を経由し、それに連なる小管(溝12とその蓋によって構成される)を通って外気に開放される。これにより、板片11先端から柄後端までが防水化される。
【0018】
ここで、口腔機能測定センサ1において、舌圧を測定する場合には、圧力センサ21は、
図4に示した板片11の両面に設けたもの
を使用して舌が接する側の圧力センサーの値を採用する。
【0019】
本実施の形態では、フレキシブル素材として導電性材料を使い、圧力で互いに隔てられている電極との接触面積を変えることにより電気抵抗の変化を検出するタイプのものを用いた場合を説明したが、圧力センサ21としては、2枚の導電性シートの間の静電容量の変化を検出タイプのものを使用することもできる。これらの圧力センサ21は、防水材で覆われており、空気を内包しないものもあり、この場合には空気抜きのための処置は必要ない。
【0020】
板片11は強度を考慮して金属や合成樹脂で形成することができるが、耐久性、耐蝕性を考慮するとステンレススチールが適している。板片11とその両面に載置された圧力センサ21、21との合計厚さは5mm以下とするのが好ましく、3mm以下とすることがさらに好ましい。
【0021】
本発明の口腔機能測定装置3の実施の形態を
図5に基づいて説明する。本発明の口腔機能測定装置3は、口腔機能測定センサ1と、口腔機能測定センサ1に圧力が加わった際に発生する電気抵抗の変化又は静電容量の変化を圧力信号に変換し、その圧力信号を無線または有線で発信するトランスデューサ31と、圧力信号を受信し、圧力の表示および記録する表示記録装置32とを有する。
【0022】
トランスデューサ31は口腔機能測定センサ1の圧力センサ21のリード線引き出し部24から引き出されたリード線と接続されている。表示記録装置32としては、汎用のパソコンを使用することができる。
【0023】
本発明の口唇圧測定方法を
図6に基づいて説明する。
図6において、口腔機能測定センサ1の先端部を上唇41、下唇42で挟むことにより口唇圧を測定する。その際、口腔機能測定センサ1の圧力センサ2の感圧部23部分の両表面に粘着性の高い人体に害のない物質を塗布し、圧力センサ21の感圧部23の全体を被験者の口中に含ませた後、唇41,42を閉じ口腔機能測定センサ1を所定の速度で引っ張り出す。その際、この物質をこそぎ取るように被験者は唇を強く閉じる。
口腔機能測定センサ1を引っ張る方向は、口唇からカンペル平面に沿って引くことが好ましい。カンペル平面とは、歯科における診療上、研究上の基準平面のひとつであり、鼻下点から耳珠点を結んだ線により構成される平面であり、咬合平面とほぼ平行になるとされている。このように口腔機能測定センサ1を引きぬくことにより、口唇圧を正確に再現性良く測定することができる。粘着性の高い物質としては、食品から選ぶのが好ましい。たとえば特に、蜂蜜や水飴などが無害性、粘着性や味の点で好ましい。
このように測定をしても口唇圧は上唇側と下唇側とでは異なることが多いが、測定値のうち小さい値を口唇圧とすれば、口腔機能測定センサ1に測定者が上又は下に力を加えても、測定値の小さい方には力が加わってないため、正しい口唇圧を測定することができる。
【0024】
本発明の舌圧測定方法を
図7に基づいて説明する。
舌圧とは、舌が口蓋を押し上げる力であり、舌自体の筋力を反映している。したがって、舌圧を測定することにより、舌の筋力を十分に発揮させることによって実現される舌の機能評価を行う事ができる。舌の運動的機能としては、咀嚼の際に食物を攪拌し、歯列上に送り出す機能、発声機能、嚥下機能がある。
舌圧測定方法は、口腔機能測センサ1の先端部(感圧部23)から約4cmの位置(成人の場合)が切歯の位置となるように被験者の口腔内へ差し入れ、その先端部を口腔内上面の口蓋44に接触させる。そして被験者は、口腔機能測定センサ1下面の感圧部23を舌43をもって上方に押し上げる。この場合は、口腔機能測定センサ1の下面に貼付されている感圧部23における圧力のみの検出を行う。
【実施例】
【0025】
圧力センサ21として、キャノン化成製CKS18L-Fを用いた。感圧部23の直径は18mmであり、厚さは0.7mmである。この圧力センサは圧力が加わると電気抵抗が小さくなるタイプであり、圧力と電気抵抗の関係は事前に測定しておいた。このことにより、測定中に加わった圧力を直接読み取れるように調整した。
【0026】
板片11は厚さ1.5mmのステンレス製で、先端部には直径24mmの圧力センサ載置部13を形成した。把持部14は幅7mm、長さ140mmとした。
圧力センサ載置部13の両面に圧力センサ21を張り付けた。圧力センサ21は防水処理を施した。それによって圧力センサ21内の空気の逃げ場が無くなるため、面状感圧センサ21の導電シート27に小孔22を設け、それに通じる空気抜きのための溝12が空気抜き孔15を介して板片11の把持部14の端まで片面に設けられている。
圧力センサ21からのリード線取り出し部24には1mのケーブルを接続し、トランスデューサ31に接続できるようにした。
口唇機能測定センサ1は以上のように製作した。
【0027】
トランスデューサ31は両面の圧力センサ21,21のそれぞれの電気抵抗を
トパソコンに無線でデータを送る構成とした。
【0028】
表示記録装置32であるタブレットパソコンには、以下の機能を搭載した。1.トランスデューサ31から送られてきた数値を圧力値(荷重値)に換算し、折れ線グラフでリアルタイムで表示する。
2.計測した圧力値の経時的変化データおよび被験者の一覧を装置内のメモリにファイルとして記録する。
3.圧力値の最大値をホールドして表示する。
4.口唇圧測定、舌圧測定の切り替えが可能。
【0029】
口唇圧の測定をする場合、検者が口腔機能測定センサ1の把持部14を保持し、被験者が口腔機能測定センサ1の圧力センサ21の載置されている先端部を口唇41,42に挟んで力を作用させる。このとき、把持部14を支える手の力が面状感圧センサ21の感圧部23に作用するが、上下面の圧力値の小さい方の値が作用・反作用の法則により、真の口唇圧を示していることになる。
そこで、表示記録装置32には、口唇圧として小さい方の値が数値として表示されるようにした。
また、測定に際しては、衛生面に配慮して口腔機能測定センサ1全体を不図示のポリプロピレン製の小袋で覆った。粘着性の高い物質はこのポリプロピレン製の小袋上に塗布した。
【0030】
口唇圧の測定を行い、
図8のような結果を得た。横軸の時間の単位は秒であり、縦軸に測定された口唇圧が経時的に示されている。測定値は太線で示されたものと縦を施した細線とが示されている。真の口唇圧は細線で示されたものとなる。
【0031】
図9に舌圧の測定結果を示した。横軸の時間の単位は秒であり、縦軸に測定された舌圧が経時的に示されている。ここで、舌圧としては最も大きい値を採用する。
【0032】
本発明の口腔機能測定装置で測定した舌圧値と、市販のバルーン型測定装置の測定値とを比べた表を
図10に示す。
本発明の口腔機能測定装置の測定値は、実績のあるバルーン型測定装置とほぼ同様の結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
口唇の閉鎖は、自然な嚥下に必要な条件である。したがって、口唇閉鎖に障害があると、食物が口から外にでてしまうというだけでなく、嚥下もうまくいかないことになる。そのため、障害者あるいは高齢者において口唇をうまく閉じられない、あるいは必要な口唇閉鎖力(口唇圧)を発揮できない場合には、訓練によってこれを高める必要がある。その際には、客観的な口唇圧の測定が必要であり、その測定も実際の摂食行動に沿った自然な方法が好ましい。本発明においては、平坦なスプーンに似せた形状の口腔機能測定センサを使用するので、実際の摂食行動とあまり違和感を感じさせずに口唇圧の測定が行える。消耗品も口腔機能測定センサ1全体を覆うポリプロピレン製の小袋だけで衛生面に配慮することができるので、経済性にも優れている。
舌圧の測定も、市販品と大差のない数値を得ることができる。
つまり、一つの装置で口唇圧、舌圧が測定でき、利便性の高い装置とすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 口腔機能測定センサ
11 板片
12 溝
13 圧力センサ載置部
14 把持部
15 空気抜き孔
21 圧力センサ
22 小孔
23 感圧部
24 リード線取り出し部
25 櫛形電極
26 離間層
27 導電シート層
28 スペーサ
3 口腔機能測定装置
31 トランスデユーサ
32 表示記録装置
41 上唇
42 下唇
43 舌
44 口蓋