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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】誘虫システム及び誘虫方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/04 20060101AFI20241011BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241011BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241011BHJP
   F21V 9/06 20180101ALI20241011BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241011BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241011BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20241011BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241011BHJP
   F21W 131/105 20060101ALN20241011BHJP
【FI】
A01M1/04
F21S2/00 623
F21V23/00 140
F21V9/06
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
F21W131:105
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020214539
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100518
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】青木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】葛原 一功
(72)【発明者】
【氏名】矢口 充雄
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507747(JP,A)
【文献】特開2019-135996(JP,A)
【文献】特開2019-092395(JP,A)
【文献】特開2017-143785(JP,A)
【文献】特開2005-046018(JP,A)
【文献】特開2019-092416(JP,A)
【文献】特開2009-218019(JP,A)
【文献】特開2006-149252(JP,A)
【文献】特開2008-136476(JP,A)
【文献】特開2012-055246(JP,A)
【文献】特開2020-141636(JP,A)
【文献】特表2018-520081(JP,A)
【文献】特開2011-036153(JP,A)
【文献】特開2014-096997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/04
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 9/06
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
F21W 131/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近紫外光を含む誘虫光を照射する誘虫光照射装置と、
屋外に設置され、照明光を照射する照明光照射装置と、を備え、
前記誘虫光照射装置は、前記照明光照射装置に前記誘虫光を照射する姿勢で配置され、
前記照明光照射装置は、前記照明光照射装置の筐体に、前記誘虫光が照射される第1照射領域を有し、
前記第1照射領域における前記誘虫光に基づく光のコントラスト比は、100以下であり、
前記照明光照射装置は、前記第1照射領域において、前記筐体から突出する構造体を有し、
前記筐体と前記構造体とは、一体で成形されている、
誘虫システム。
【請求項2】
前記筐体と前記構造体とは、同一の材料で構成されている、
請求項1に記載の誘虫システム。
【請求項3】
前記同一の材料は、アルミニウムである、
請求項2に記載の誘虫システム。
【請求項4】
前記誘虫光照射装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記照明光照射装置の消灯後に、前記誘虫光照射装置が前記誘虫光を照射するように制御する
請求項1に記載の誘虫システム。
【請求項5】
前記照明光照射装置は、ストライプ形状に延びるように配置される複数の前記構造体を有する
請求項1に記載の誘虫システム。
【請求項6】
前記照明光照射装置は、互いに離隔して配置されるドット形状の複数の前記構造体を有する
請求項1に記載の誘虫システム。
【請求項7】
前記照明光照射装置を支持する架台をさらに備え、
前記誘虫光照射装置は、さらに前記架台に前記誘虫光を照射する姿勢で配置される
請求項1~のいずれか1項に記載の誘虫システム。
【請求項8】
前記架台は、前記誘虫光が照射される第2照射領域を有し、
前記第2照射領域における前記誘虫光に基づく光のコントラスト比は、所定の値である
請求項に記載の誘虫システム。
【請求項9】
前記誘虫光照射装置は、前記誘虫光照射装置の筐体に、前記誘虫光が反射された光である誘虫反射光が照射される第3照射領域を有し、
前記第3照射領域における前記誘虫反射光に基づく光のコントラスト比は、所定の値である
請求項1~のいずれか1項に記載の誘虫システム。
【請求項10】
前記誘虫光照射装置は、所定方向を軸として回動可能であり、
前記照明光照射装置は、他の所定方向を軸として回動可能である
請求項1~のいずれか1項に記載の誘虫システム。
【請求項11】
誘虫システムによって行われる誘虫方法であって、
前記誘虫システムは、
近紫外光を含む誘虫光を照射する誘虫光照射装置と、
屋外に設置され、照明光を照射する照明光照射装置と、を備え、
前記誘虫光照射装置は、前記照明光照射装置に前記誘虫光を照射する姿勢で配置され、
前記誘虫方法は、
前記照明光照射装置の消灯後に、前記誘虫光照射装置が前記誘虫光を照射するように制御する制御ステップを含み、
前記照明光照射装置は、前記照明光照射装置の筐体に、前記誘虫光が照射される第1照射領域を有し、
前記第1照射領域における前記誘虫光に基づく光のコントラスト比は、100以下であり、
前記照明光照射装置は、前記第1照射領域において、前記筐体から突出する構造体を有し、
前記筐体と前記構造体とは、一体で成形されている、
誘虫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘虫システム及び誘虫方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、虫を誘引するための誘虫技術が知られている。
【0003】
誘虫技術の一具体例として、特許文献1には、虫を誘引する光(誘虫光)を放つ捕虫器が開示されている。この捕虫器は、本体と、本体の外部に誘虫光を照射する光源と、誘虫光により誘引された虫を捕獲する捕虫手段とを備えている。また、特許文献1では、捕虫器から水平方向に向けて誘虫光が照射されること、及び、捕虫手段として電撃式の手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-143785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば競技施設などを照明するための照明光を放つ照明光照射装置が知られている。この照明光は、意図せず、照明光照射装置に虫を誘引してしまうことがある。照明光照射装置の消灯後などに、この誘引された虫が競技施設外の家屋などに拡散することが問題となっている。
【0006】
そのため、上記の捕虫器と照明光照射装置とが誘虫システムの一部として用いられる場合がある。この場合、一例として、誘虫システムは、捕虫器と、照明光照射装置と、捕虫器及び照明光照射装置が取り付けられる支柱とを備える。この誘虫システムにおいては、照明光照射装置は、地面に設けられた支柱の上方の高い位置(例えば、地面から十数mの高さ)に配置され、捕虫器は、地面と照明光照射装置との間に配置される。例えば、捕虫器によって駆除された虫の死骸が回収されるために、捕虫器は、地面付近(人の手の届く高さ)に設置される場合が多い。
【0007】
ここで、この誘虫システムの照明光照射装置の消灯後などに、照明光によって誘引された虫が、照明光照射装置から離れた場合について説明する。この場合、捕虫器は、誘虫光が照射される領域(つまりは、捕虫器の水平方向の領域)に到達した虫しか、誘引することができない。このため、上記誘虫システムでは、捕虫器が十分に虫を誘引することができず、照明光に誘引された虫が競技施設外に拡散することを抑制することが難しい。
【0008】
本発明は、虫が拡散することを抑制できる誘虫システムなどを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る誘虫システムは、近紫外光を含む誘虫光を照射する誘虫光照射装置と、屋外に設置され、照明光を照射する照明光照射装置と、を備え、前記誘虫光照射装置は、前記照明光照射装置に前記誘虫光を照射する姿勢で配置される。
【0010】
本発明の一態様に係る誘虫方法は、誘虫システムによって行われる誘虫方法であって、前記誘虫システムは、近紫外光を含む誘虫光を照射する誘虫光照射装置と、屋外に設置され、照明光を照射する照明光照射装置と、を備え、前記誘虫光照射装置は、前記照明光照射装置に前記誘虫光を照射する姿勢で配置され、前記照明光照射装置の消灯後に、前記誘虫光照射装置が前記誘虫光を照射するように制御する制御ステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の誘虫システムなどは、虫が拡散することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態1に係る誘虫システムの構成を示す側面図である。
図2図2は、実施の形態1に係る誘虫システムの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置の正面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る照明光照射装置の正面図である。
図5図5は、実施の形態1に係る誘虫システムの動作例のフローチャートである。
図6図6は、図4のVI-VI線における第2筐体の切断面を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態1の変形例に係る照明光照射装置の正面図である。
図8図8は、実施の形態2に係る照明光照射装置の正面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線における第2筐体の切断面を示す断面図である。
図10図10は、実施の形態2の変形例に係る照明光照射装置の正面図である。
図11図11は、図10のXI-XI線における第2筐体の切断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0015】
また、以下の実施の形態における「直後」などのタイミングを表す用語については、厳密な意味に解釈されるべきではない。
【0016】
また、本明細書及び図面において、ξ軸、η軸及びζ軸とx軸、y軸及びz軸とは、それぞれ三次元直交座標系の三軸を示している。各実施形態及び各変形例では、第1筐体本体部の前面とξη平面とは平行であり、ξη平面と垂直は方向をζ軸方向としている。また、第2筐体本体部の前面とxy平面とは平行であり、xy平面と垂直は方向をx軸方向としている。
【0017】
(実施の形態1)
[構成]
まず、実施の形態に係る誘虫システム1の構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る誘虫システム1の構成を示す側面図である。
【0019】
図2は、本実施の形態に係る誘虫システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図1及び図2が示すように、本実施の形態に係る誘虫システム1は、誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100と、照明光L2を照射する照明光照射装置200と、第1架台101と、第2架台201と、制御装置300と、支柱400とを備えるシステムである。
【0021】
誘虫システム1は、例えば、屋外の競技施設10などで利用されるシステムである。照明光照射装置200が放つ照明光L2によって、競技施設10のグラウンドGが照明される。このとき、照明光L2が意図せず虫Pを誘引してしまうため、虫Pが照明光照射装置200に取り付いてしまう。そこで、この誘虫システム1では、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射することによって、取り付いた虫Pを誘虫システム1の周囲に誘引し続け、つまりは、取り付いた虫Pを誘虫システム1に留めておくことができる。このような誘虫システム1によって、競技施設10外に虫Pが拡散することが抑制される。
【0022】
続いて、誘虫システム1の構成要素について説明する。
【0023】
[制御装置]
はじめに、制御装置300について説明する。
【0024】
制御装置300は、誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200の点灯及び消灯などを制御する処理装置である。つまり、制御装置300は、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射するように制御し、照明光照射装置200が照明光L2を照射するように制御する。また、制御装置300は、誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200の発光の強さの程度を制御する。つまり、制御装置300は、調光機能を有している。制御装置300は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0025】
[光照射装置]
ここでは、光照射装置である誘虫光照射装置100と照明光照射装置200とについて説明する。
【0026】
まず、誘虫光照射装置100について説明する。
【0027】
誘虫光照射装置100は、近紫外光を含む誘虫光L1を照射する光照射装置である。また、誘虫光照射装置100は、照明光照射装置200に誘虫光L1を照射する。なお、本実施の形態においては、誘虫光L1は、近紫外光と青色光とを含み、虫Pを誘虫システム1に誘引するための光である。つまり、誘虫光L1は、非白色光である。なお、近紫外光とは、主に300nm以上400nm以下の波長を有する光である。より具体的には、近紫外光とは、350nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。また、近紫外光のピーク波長は、360nm以上390nm以下であるとよりよく、365nm以上385nm以下であるとさらによい。また、近紫外光とは、300nm以上400nm以下の波長の光以外の光を含まないとよい。また、近紫外光とは、300nm以上400nm以下の波長の光以外の光の強度が、ピーク波長の強度の10分の1以下である光であってもよい。青色光とは、主に430nm以上490nm以下の波長を有する光である。より具体的には、青色光とは、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。また、青色光のピーク波長は、440nm以上460nm以下であるとよりよく、445nm以上455nm以下であるとさらによい。また、青色光とは、430nm以上490nm以下の波長の光以外の光を含まないとよい。また、青色光とは、430nm以上490nm以下の波長の光以外の光の強度が、ピーク波長の強度の10分の1以下である光であってもよい。
【0028】
虫Pは、光に反応して移動する走行性という習性を有する。ここで、虫Pは、光に向かって進む正の走行性を有する。また、近紫外光の波長範囲は、一般的な虫Pの比視感度が高い波長範囲である。そのため、誘虫光L1が近紫外光を含むことで、虫Pが誘虫光L1に向かって進む、つまりは、虫Pが誘虫光L1に誘引されやすくなる。また、青色光の波長範囲は、虫Pのうちカメムシ目などの比視感度が高い波長範囲となる。同様に、誘虫光L1が青色光を含むことで、カメムシ目なども誘虫光L1に誘引されやすくなる。
【0029】
図3は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100の正面図である。
【0030】
図3が示すように、誘虫光照射装置100は、複数の第1発光素子110と、複数の第2発光素子120と、第1筐体160と、2つの第1取付部180と、を有する。また、誘虫光照射装置100は、回路基板(不図示)を有する。なお、図3においては、識別のため、複数の第1発光素子110には薄いドットが、複数の第2発光素子120には濃いドットが付されている。
【0031】
複数の第1発光素子110のそれぞれは、上記回路基板に実装され、近紫外光を放つLED(Light Emitting Diode)によって構成されたLED素子である。図3が示すように、複数の第1発光素子110は、3×4の行列状に配置されているがこれに限られない。
【0032】
また、複数の第2発光素子120のそれぞれも、上記回路基板に実装され、青色光を放つLEDによって構成されたLED素子である。図3が示すように、複数の第2発光素子120は、行列状に配置されている複数の第1発光素子110を挟むように、配置されているがこれに限られない。
【0033】
複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120は、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子である。複数の第1発光素子110のそれぞれ及び複数の第2発光素子120のそれぞれは、樹脂製等の容器(パッケージ)と、容器内に配置されたLEDチップ(ベアチップ)と、LEDチップを封止する封止部材とを備える。
【0034】
具体的には、複数の第1発光素子110のそれぞれは、近紫外光を放つSMD型の近紫外LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると近紫外光を発する近紫外LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、近紫外光により劣化しにくいガラス材料又はフッ素系樹脂などを用いることができる。
【0035】
同様に、複数の第2発光素子120のそれぞれは、青色光を放つSMD型の青色LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると青色光を発する青色LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、シリコーン樹脂を用いることができる。
【0036】
なお、複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120そのものがLEDチップ(ベアチップ)であるLED素子であってもよい。この場合、回路基板と複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120とは、LEDチップ(複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120)が回路基板に直接実装されたCOB(Chip On Board)構造となる。
【0037】
また、複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120は、半導体レーザなどの半導体発光素子、又は、有機EL(Electro Luminescence)もしくは無機ELなどのEL素子などの他の種類の発光素子であってもよい。
【0038】
第1筐体160は、第1筐体本体部161と、第1カバー部162とを有する部材である。
【0039】
第1筐体本体部161は、金属製のケースである。具体的には、第1筐体本体部161は、アルミニウム、銀、金、鉄及び銅のうち1以上の金属によって構成されるとよく、ここでは、第1筐体本体部161は、アルミニウムによって構成される。なお、第1筐体本体部161は、樹脂製のケースであってもよい。
【0040】
第1筐体本体部161の内部空間は、少なくとも、複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120を収納する閉塞空間である。従って、複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120は、第1筐体本体部161によって保護されている。複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120から放たれる近紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、第1筐体本体部161から第1カバー部162に向かう。
【0041】
第1カバー部162は、第1筐体本体部161に取り付けられる平板形状の部材である。また、第1カバー部162の形状は、湾曲形状又はドーム型であってもよい。
【0042】
第1カバー部162は、光透過性を有する部材であり、より具体的には、少なくとも近紫外光及び青色光を透過する部材である。第1カバー部162の近紫外光及び青色光の波長範囲における透過率は、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。このため、第1カバー部162に到達した近紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、第1カバー部162を透過し、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。
【0043】
第1カバー部162は、近紫外光及び青色光を透過させる材料によって構成されており、ここでは、ホウケイ酸ガラスによって構成されている。なお、第1カバー部162は、近紫外光及び青色光を透過させる材料であれば上記に限られず、ソーダガラス又は石英ガラスなどによって構成されていてもよい。
【0044】
また、第1カバー部162は、近紫外光及び青色光を散乱(拡散)させることができるとよい。ここでは、第1カバー部162の内側面には、光散乱層が設けられている。なお、第1カバー部162の内側面とは、複数の第1発光素子110及び複数の第2発光素子120が配置される側の第1カバー部162の面であり、換言すると、ζ軸負側の面である。この光散乱層は、例えば、上記の第1カバー部162を構成するホウケイ酸ガラスがケミカルエッチング処理又はサンドブラスト処理されることで形成される微細凹凸構造である。
【0045】
なお、光散乱層はこれに限られない。例えば、この光散乱層は、例えば、近紫外光及び青色光を散乱させる微粒子(例えば、シリカ微粒子など)が母材に分散された拡散膜であってもよい。また、第1カバー部162そのものが、近紫外光及び青色光を散乱させる微粒子が分散されたホウケイ酸ガラスなどを用いて成形されてもよい。
【0046】
また、第1筐体160の形状(つまりは、第1筐体本体部161と第1カバー部162とが合わさった形状)は、直方体形状である。また、第1筐体160のうち、図3の正面図で図示されている面が第1筐体160の前面である。換言すると、第1筐体160の前面は、第1筐体160の形状である直方体形状の6面のうち、ζ軸正側の面であってξ軸及びη軸と平行な面である。
【0047】
また、第1筐体160の前面とは、第1筐体本体部161の前面と、第1カバー部162の前面とによって構成されている。なお、第1筐体本体部161の前面とは、第1筐体本体部161のζ軸正側の面であってξ軸及びη軸と平行な面である。第1カバー部162の前面とは、第1カバー部162の形状である平板形状のうち、ζ軸正側の面であってξ軸及びη軸と平行な面である。
【0048】
2つの第1取付部180は、第1筐体本体部161と第1架台101とを接続するための部材である。なお、2つの第1取付部180は、一対の部材であり、第1筐体本体部161を挟むように配置されている。2つの第1取付部180のそれぞれは、金属製又は樹脂製の、平板形状を有する部材である。
【0049】
また、第1筐体本体部161は、2つの第1取付部180と回動可能に接続されている。例えば、図1には第1筐体本体部161の回転方向R1が矢印で示されており、図3におけるξ軸と平行な回動軸を中心に、第1筐体本体部161は、回動される。なお、2つの第1取付部180と第1架台101とは、固定されているとよい。
【0050】
続いて照明光照射装置200について説明する。
【0051】
照明光照射装置200は、屋外に設置され、照明光L2を放つ光照射装置である。照明光L2は、例えば、競技施設10に用いられるのに適した光である。照明光L2は、例えば、可視光の波長範囲の光であり、ここでは、白色光である。照明光L2の相関色温度は、5000K以上6000K以下であり、かつ平均演色評価数Raが80以上である。
【0052】
また、照明光L2は白色光であるため、青色光を含む。また、本実施の形態においては、照明光L2は白色光であるが、近紫外光も含む。このため、照明光L2がグラウンドGを照明する際には、照明光L2が含む青色光及び近紫外光のため、意図せず虫Pを誘引してしまう。なお、照明光L2は、積極的に虫を誘引するための光ではない。
【0053】
さらに、誘虫光照射装置100が放つ誘虫光L1は、照明光照射装置200が放つ照明光L2と比べ、放射束が低い光である。例えば、誘虫光L1の放射束は、照明光L2の放射束の0.01倍以上0.5倍以下である。また例えば、誘虫光L1の放射束は、照明光L2の放射束の0.03倍以上0.3倍以下であってもよく、0.05倍以上0.1倍以下であってもよい。
【0054】
図4は、本実施の形態に係る照明光照射装置200の正面図である。
【0055】
図4が示すように、照明光照射装置200は、発光部210と、第2筐体260と、2つの第2取付部280と、を有する。また、照明光照射装置200は、回路基板(不図示)を有する。
【0056】
発光部210は、上記回路基板に実装され、白色光である照明光L2を放つLEDによって構成されたLED素子である。
【0057】
発光部210は、SMD型のLED素子である。発光部210は、複数の樹脂製等の容器(パッケージ)と、複数の容器内のそれぞれに配置されたLEDチップ(ベアチップ)と、複数のLEDチップのぞれぞれを封止する封止部材とを備える。
【0058】
具体的には、発光部210は、白色光を放出するSMD型の白色LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると青色光を発する青色LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、黄色蛍光体が含有されたシリコーン樹脂(蛍光体含有樹脂)を用いることができる。
【0059】
なお、発光部210が複数のLEDチップ(ベアチップ)であるLED素子であってもよい。この場合、回路基板と発光部210とは、COB構造となる。
【0060】
また、発光部210は、半導体レーザなどの半導体発光素子、又は、有機ELもしくは無機ELなどのEL素子などの他の種類の発光素子であってもよい。
【0061】
第2筐体260は、第2筐体本体部261と、第2カバー部262とを有する部材である。
【0062】
第2筐体本体部261は、誘虫光L1(つまりは、近紫外光及び青色光)を反射する材料によって構成されているケースである。具体的には、第2筐体本体部261は、金属製のケースである。より具体的には、第2筐体本体部261は、アルミニウム、銀、金、鉄及び銅のうち1以上の金属によって構成されるとよく、ここでは、第2筐体本体部261は、誘虫光L1の波長範囲における反射率が高いアルミニウムによって構成される。なお、第2筐体本体部261は、樹脂製のケースであってもよい。
【0063】
第2筐体本体部261の内部空間は、少なくとも、発光部210を収納する閉塞空間である。従って、発光部210は、第2筐体本体部261によって保護されている。発光部210から放たれる白色光である照明光L2は、第2筐体本体部261から第2カバー部262に向かう。
【0064】
第2カバー部262は、第2筐体本体部261に取り付けられる平板形状の部材である。また、第2カバー部262の形状は、湾曲形状又はドーム型であってもよい。
【0065】
第2カバー部262は、光透過性を有する部材であり、より具体的には、少なくとも可視光を透過する部材である。第2カバー部262の可視光の波長範囲における透過率は、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。このため、第2カバー部262に到達した白色光である照明光L2は、第2カバー部262を透過し、照明光照射装置200の外部の空間へと放たれる。
【0066】
第2カバー部262は、可視光を透過させる材料によって構成されており、ここでは、透明樹脂であるアクリル樹脂によって構成されている。なお、第2カバー部262は、可視光を透過させる材料であれば上記に限られず、透明樹脂であるポリカーボネート樹脂などによって構成されていてもよい。
【0067】
また、第2カバー部262は、可視光を散乱(拡散)させることができるとよい。ここでは、第2カバー部262の内側面には、光散乱層が設けられている。なお、第2カバー部262の内側面とは、発光部210が配置される側の第2カバー部262の面であり、換言すると、z軸負側の面である。この光散乱層は、例えば、上記の第2カバー部262を構成するアクリル樹脂がケミカルエッチング処理又はサンドブラスト処理されることで形成される微細凹凸構造である。
【0068】
なお、光散乱層はこれに限られない。例えば、この光散乱層は、例えば、可視光を散乱させる微粒子(例えば、シリカ微粒子など)が母材に分散された拡散膜であってもよい。また、第2カバー部262そのものが、可視光を散乱させる微粒子が分散されたアクリル樹脂などを用いて成形されてもよい。
【0069】
また、第2筐体260の形状(つまりは、第2筐体本体部261と第2カバー部262とが合わさった形状)は、直方体形状である。また、第2筐体260のうち、図4の正面図で図示されている面が第2筐体260の前面である。換言すると、第2筐体260の前面は、第2筐体260の形状である直方体形状の6面のうち、z軸正側の面であってx軸及びy軸と平行な面である。
【0070】
また、第2筐体260の前面とは、第2筐体本体部261の前面261aと、第2カバー部262の前面とによって構成されている。なお、第2筐体本体部261の前面261aとは、第2筐体本体部261のz軸正側の面であってx軸及びy軸と平行な面である。第2カバー部262の前面とは、第2カバー部262の形状である平板形状のうち、z軸正側の面であってx軸及びy軸と平行な面である。また、上記の通り、照明光L2は、第2カバー部262を透過し、照明光照射装置200の外部の空間へと放たれる。つまり、第2カバー部262の前面とは、照明光L2を放つ発光面である。
【0071】
2つの第2取付部280は、第2筐体本体部261と第2架台201とを接続するための部材である。なお、2つの第2取付部280は、一対の部材であり、第2筐体本体部261を挟むように配置されている。2つの第2取付部280のそれぞれは、金属製又は樹脂製の、平板形状を有する部材である。
【0072】
また、第2筐体本体部261は、2つの第2取付部280と回動可能に接続されている。例えば、図1には第2筐体本体部261の回転方向R2が矢印で示されており、図4におけるx軸と平行な回動軸を中心に、第2筐体本体部261は、回動される。なお、2つの第2取付部280と第2架台201とは、固定されているとよい。
【0073】
なお、本実施の形態においては、誘虫システム1は、1つの照明光照射装置200を備えているがこれに限られない。例えば、誘虫システム1は、複数の照明光照射装置200を備えてもよい。照明光L2によって照明されるグラウンドGの大きさによって、誘虫システム1が備える照明光照射装置200の数が定められるとよい。
【0074】
[支柱]
次に、支柱400について説明する。
【0075】
支柱400は、第1架台101及び第2架台201を介して、誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200を支持する長尺形状の部材である。例えば、支柱400は、長尺形状の一方が地面に設置される、十数mの長さの部材である。なお、本実施の形態においては、誘虫システム1は、1つの支柱400を備えたが、これに限られない。例えば、誘虫システム1が2つの支柱400を備え、一方の支柱400が誘虫光照射装置100を支持し、他方の支柱400が照明光照射装置200を支持してもよい。
【0076】
[架台]
さらに、第1架台101及び第2架台201について説明する。
【0077】
第1架台101は、支柱400に取り付けられ、支柱400と誘虫光照射装置100とを接続する部材である。例えば、第1架台101は金属製の平板部材を有し、平板部材の一面に誘虫光照射装置100の2つの第1取付部180が取り付けられる。
【0078】
第2架台201は、支柱400に取り付けられ、支柱400と照明光照射装置200とを接続する部材である。例えば、第2架台201は金属製の平板部材を有し、平板部材の一面に照明光照射装置200の2つの第2取付部280が取り付けられる。
【0079】
照明光照射装置200の照明光L2が、効率よくグラウンドGを照明するためには、第2架台201は、支柱400の最も高い位置に取り付けられるとよい。
【0080】
また、第1架台101と接続される誘虫光照射装置100は照明光照射装置200に誘虫光L1を照射するため、ここでは、第1架台101は、第2架台201よりも支柱400の低い位置に取り付けられる。つまり、第1架台101は、支柱400が設置される地面と第2架台201との間に取り付けられる。第1架台101は、誘虫システム1の周囲に居る人の背の高さよりも高い位置に取り付けれているとよく、例えば、3m以上の高さに取り付けられているとよい。
【0081】
[誘虫光照射装置と照明光照射装置との関係]
また、ここで、誘虫光照射装置100と照明光照射装置200との関係について説明する。
【0082】
図1が示すように、誘虫光照射装置100は、照明光照射装置200に誘虫光L1を照射する姿勢で配置されている。具体的には、誘虫光照射装置100は、第2筐体260の前面に誘虫光L1を照射する姿勢で配置されている。つまり、誘虫光L1は、照明光L2を放つ発光面である第2カバー部262の前面、及び、第2筐体本体部261の前面261aに到達する。また、誘虫光照射装置100の第1カバー部162と照明光照射装置200の第2カバー部262とが向かい合うように、誘虫光照射装置100が配置されている、とも言える。
【0083】
さらに具体的には、本実施の形態においては、誘虫光L1の光軸上に照明光照射装置200が位置するように、誘虫光照射装置100が配置されている。なお、光軸とは、誘虫光照射装置100が放つ誘虫光L1のうち、放射強度が最も高い角度に向けて進む光の方向とする。ここでは、光軸は、ζ軸と平行である。なお、これに限られず、誘虫光L1の放射角が30°以内の範囲に照明光照射装置200が位置するように、誘虫光照射装置100が配置されていてもよい。ここで、誘虫光L1の放射角とは、光軸と出射された誘虫光L1とがなす角度である。
【0084】
本実施の形態においては、制御装置300は、照明光照射装置200の点灯及び消灯を制御する。ここでは、制御装置300は、照明光照射装置200が照明光L2を照射するように制御する。
【0085】
照明光照射装置200が照明光L2を照射することで、虫Pが照明光L2に誘引される。例えばこのとき、誘引された虫Pは、第2筐体260の前面に取り付く、つまりは、第2筐体260の前面(例えば、第2筐体本体部261の前面261a)にとまる。
【0086】
さらに、制御装置300は、照明光照射装置200を消灯させる。この直後に、制御装置300は、誘虫光照射装置100を点灯させる。つまり、制御装置300は、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射するように制御する。これにより、誘虫光L1が、第2筐体260の前面(より具体的には、第2筐体本体部261の前面261a)に照射される。
【0087】
上述のように、第2筐体本体部261は、誘虫光L1を反射するアルミニウムによって構成されている。よって、誘虫光L1は、前面261aで反射される。このため、前面261aに取り付いた虫Pは、虫P自身の周囲である前面261aから、誘虫光L1が放たれているように視認する。つまり、虫Pは、虫Pの周囲が発光しているように視認する。上述の通り、虫Pは、誘虫光L1に誘引される習性を有するため、誘虫光L1を放つ前面261aに取り付いたままとなる。つまり、この虫Pは、虫P自身が取り付いている前面261aから、離れにくくなる。
【0088】
また、一度、前面261aに取り付いた虫Pが、前面261aから離れる場合(例えば虫Pが飛び立つ場合)もある。このように、前面261aから虫Pが離れた場合には、虫Pは、前面261aから誘虫光L1が放たれているように視認するため、この誘虫光L1に誘引され、再度前面261aに取り付くことがある。同様に、前面261aから虫Pが離れた場合には、虫Pは、誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1に誘引され、例えば、誘虫光照射装置100、特に第1カバー部162の前面に取り付くことがある。
【0089】
以上のように、虫Pは前面261aに取り付いたままとなったり、虫Pが前面261aから離れても再度前面261aなどに取り付いたりする。換言すると、誘虫光L1によって、取り付いた虫Pを誘虫システム1の周囲に誘引し続け、つまりは、取り付いた虫Pを誘虫システム1に留めておくことができる。このような誘虫システム1は、競技施設10外に虫Pが拡散することを抑制できる。
【0090】
なお、照明光照射装置200が照明光L2を照射し続けた場合でも、虫が拡散することを抑制できる。ただし、照明光L2が白色光の強い光であるため、例えば、競技施設10で競技が終了した後の夜間などに、照明光照射装置200が照明光L2を照射し続けていると、光害などの問題が発生する。
【0091】
また、照明光L2は、誘虫光L1に比べ強い光であり、このため、誘虫光L1に比べ照明光L2の消費電力は大きい。よって、虫Pが拡散することを抑制するために、照明光L2ではなく誘虫光L1が用いられることで、消費電力を抑制することができる。
【0092】
また、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100と接続される第1架台101は、照明光照射装置200と接続される第2架台201よりも支柱400の低い位置に取り付けられる。このため、誘虫光照射装置100は、支柱400の上方に誘虫光L1を照射する。つまり、誘虫光照射装置100は、支柱400の下方に誘虫光L1を照射しない。
【0093】
これにより、誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1が、誘虫システム1の周囲に居る人に、到達し難い。よって、誘虫光L1が含む近紫外光による人体への影響を抑制することができる。
【0094】
[動作例]
以下、誘虫システム1の動作例について説明する。
【0095】
図5は、本実施の形態に係る誘虫システム1の動作例のフローチャートである。
【0096】
まず、制御装置300は、照明光照射装置200を点灯させる(S10)。つまり、照明光照射装置200は、競技施設10のグラウンドGを照明するために、照明光L2を照射する。より具体的には、制御装置300は、照明光照射装置200が照明光L2を照射するように制御する。
【0097】
さらに、制御装置300は、照明光照射装置200を消灯させる(S20)。より具体的には、制御装置300は、照明光照射装置200が照明光L2を照射することを停止するように制御する。ステップS20は、例えば、競技施設10での競技が終了した後に行われる。
【0098】
続いて、ステップS20の終了後、つまりは、照明光照射装置200の消灯後に、制御装置300は、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射するように制御する(S30)。ステップS30が制御ステップである。上述のように、誘虫光照射装置100は、照明光照射装置200に誘虫光L1を照射する。
【0099】
なお、ステップS10で照射された照明光L2によって、虫Pが第2筐体260の前面に集まっている。そのため、ステップS20での照明光照射装置200の消灯後の直後に、ステップS30が行われることで、誘引された虫Pが拡散することが抑制される。
【0100】
また、ステップS20とステップS30との順番が入れ替わってもよい。つまり、照明光照射装置200の消灯前に、制御装置300は誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射するように制御してもよい。この場合、照明光照射装置200の消灯後も、制御装置300は誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射し続けるように制御するとよい。
【0101】
以上のように、本実施の形態においては、少なくとも、照明光照射装置200の消灯後には、制御装置300は誘虫光照射装置100に誘虫光L1を照射するように制御する。これにより、競技施設10外に虫Pが拡散することが抑制される。
【0102】
[第1照射領域]
ここで、第1照射領域B1について説明する。
【0103】
図4が示すように、照明光照射装置200は、第2筐体260に、誘虫光L1が照射される第1照射領域B1を有する。より具体的には、照明光照射装置200は、第2筐体本体部261の前面261aに、第1照射領域B1を有する。ここでは、第1照射領域B1は、図4が示す正面視で破線の矩形内の領域に相当する。なお、第1照射領域B1の形状は、これに限られない。
【0104】
さらに、第1照射領域B1における詳細構造について、図6を用いて説明する。
【0105】
図6は、図4のVI-VI線における第2筐体260の切断面を示す断面図である。より具体的には、図6には、照明光照射装置200が有する第1照射領域B1における断面図が示されている。また、図6には、第2筐体本体部261の断面の一部を拡大した断面図が、二点鎖線の矩形で囲まれた矩形範囲内に図示されている。
【0106】
図4及び図6が示すように、照明光照射装置200は、第1照射領域B1において、第2筐体260から突出する構造体290を有する。より具体的には、照明光照射装置200は、第2筐体本体部261の前面261aからz軸正方向に突出する構造体290を有する。ここでは、照明光照射装置200は、複数(4つ)の構造体290を有する。
【0107】
複数の構造体290は、ストライプ形状に延びるように第1照射領域B1に配置される。すなわち、複数の構造体290は、幅方向(y軸方向)に並んで設けられている。ストライプ形状とは、互いに平行に延びる複数の構造体290が所定の間隔で幅方向に並んだ形状である。
【0108】
なお、ストライプ形状は、ラインとスペースとが交互に並んで設けられ、かつ、同一方向に沿って延びたラインアンドスペース形状ともいう。構造体290がラインに相当し、隣り合う2つの構造体290間の凹部がスペースに相当する。複数の構造体290は、互いに交差していない。
【0109】
複数の構造体290の形状は、互いに同じであるが、互いに異なっていてもよい。また、構造体290の並び間隔は等間隔であるが、異なっていてもよい。
【0110】
図6が示すように、構造体290の幅方向に平行な断面において、構造体290の形状は、矩形であるが、これに限らない。例えば、構造体290の断面形状は、台形、V字状、U字状、正方形、長方形、又は、半円形などでもよい。複数の構造体290には、断面形状が異なる複数の構造体290が含まれてもよい。本実施の形態においては、複数の構造体290のそれぞれのz軸正側の面を上面291とする。
【0111】
本実施の形態では、複数の構造体290のそれぞれの高さH(z軸方向の長さ)及び幅D1(y軸方向の長さ)、並びに、複数の構造体290のピッチD2は、ミリメートルオーダである。例えば、高さH及び幅D1は、1mm以上30mm以下であるとよく、3mm以上25mm以下であるとよりよく、5mm以上20mm以下であるとさらによい。また例えば、ピッチD2は、2mm以上60mm以下であるとよく、6mm以上50mm以下であるとよりよく、10mm以上40mm以下であるとさらによい。
【0112】
なお、本実施の形態においては、複数の構造体290は、第2筐体本体部261と同じ材料によって構成されているとよく、ここでは、アルミニウムによって構成される。
【0113】
例えば、誘虫光L1が入射角θで第1照射領域B1に到達した場合を説明する。ここでは、上面291に到達する誘虫光L1と、隣り合う2つの構造体290の間(つまりは凹部)に到達する誘虫光L1と、について説明する。
【0114】
まず、上面291に到達する誘虫光L1について説明する。構造体290が誘虫光L1を反射する材料によって構成されるため、この誘虫光L1は、上面291によって反射される。より具体的には、本実施の形態においては、構造体290が誘虫光L1の波長範囲における反射率が高いアルミニウムによって構成されているため、上面291から放たれる誘虫光L1の反射光は、より強い光となる。
【0115】
次に、隣り合う2つの構造体290の間にも到達する。入射角θで誘虫光L1が第1照射領域B1に到達するため、前面261aには、複数の構造体290によって誘虫光L1が遮られる領域である影領域261bがある。つまり、影領域261bとは、誘虫光L1が到達し難い領域である。図6には、誘虫光L1と平行な仮想線ILが示されている。ここでは、影領域261bとは、前面261aのうち、仮想線ILと前面261aとが接する箇所よりもy軸負側の領域である。このような影領域261bにおいては、誘虫光L1が到達し難いため、影領域261bから放たれる誘虫光L1の反射光は、上面291から放たれる誘虫光L1の反射光よりも弱い光である。
【0116】
よって、例えば、第2筐体260の前面に取り付いた後に第2筐体260の前面から離れた虫Pが、第1照射領域B1を見た場合に、上面291が明るく、影領域261bが暗く見える。
【0117】
ここで、上面291における誘虫光L1の反射光の放射束と、影領域261bにおける誘虫光L1の反射光の放射束と、の比をコントラスト比とする。より具体的には、コントラスト比は、上面291における誘虫光L1の反射光の放射束を影領域261bにおける誘虫光L1の反射光の放射束で割った値とする。しかし、これに限られず、コントラスト比は、上面291における誘虫光L1の反射光の光束を影領域261bにおける誘虫光L1の反射光の光束で割った値であってもよい。なお、この場合の光束とは、虫Pの比視感度を勘案した数値である。
【0118】
このように構成された誘虫システム1においては、第1照射領域B1における誘虫光L1に基づく光(つまりここでは誘虫光L1が反射された光)のコントラスト比は、所定の値となる。一例として、所定の値とは、2以上100以下であるとよく、5以上80以下であるとよりよく、10以上50以下であるとよりよいが、これに限られない。
【0119】
本実施の形態においては、虫Pは、所定の値のコントラスト比を示す第1照射領域B1を視認する。虫Pは、上面291のような明るい箇所と影領域261bのような暗い箇所とが隣接しているように見える(従ってコントラスト比が大きい箇所を見ると)と、より誘引されやすくなる習性をもつ。
【0120】
つまりは、コントラスト比が上記範囲内にあることで、虫Pは、誘虫光L1(より具体的には、誘虫光L1の反射光)により誘虫されやすくなる。換言すると、誘虫システム1において、第1照射領域B1における誘虫光L1に基づく光である誘虫光L1が反射された光のコントラスト比が所定の値となることで、虫Pがより誘虫されやすくなる。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制できる誘虫システム1が実現される。
【0121】
また、本実施の形態においては、照明光照射装置200は、第1照射領域B1において、第2筐体260から突出する構造体290を有する。
【0122】
これにより、上記のコントラスト比が上記範囲内となるため、虫Pがより誘虫されやすくなる。
【0123】
また、このような構造体290によって、虫Pは第2筐体260の前面に取り付きやすくなる。つまり、構造体290は、虫Pにとっての所謂足場となる。このため、取り付いた虫Pを誘虫システム1に留めておくことがより容易になる。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制できる誘虫システム1が実現される。
【0124】
また、本実施の形態においては、照明光照射装置200は、ストライプ形状に延びるように複数の構造体290を有する。これにより、上記のコントラスト比が所定の値となるため、虫Pがより誘虫されやすくなる。
【0125】
なお、第2筐体本体部261と複数の構造体290とは、一体で成形されるとよい。これにより、照明光照射装置200の製造が容易になる。また、金属製の複数の構造体290が設けられることで、発光部210で発生した熱を容易に放熱できるようになる。このため、発光効率の高い照明光照射装置200が実現される。
【0126】
また、誘虫光照射装置100は、上記の照明光照射装置200に加え、さらに第2架台201に誘虫光L1を照射する姿勢で配置されるとよい。この場合、例えば、なお、誘虫光L1の放射角が30°以内の範囲に照明光照射装置200と第2架台201とが位置するように、誘虫光照射装置100が配置されるとよい。さらに、第2架台201は、誘虫光L1を反射する材料(例えば、アルミニウム)によって構成されているとよい。このとき、誘虫光L1は、第2架台201で反射される。
【0127】
照明光L2によって、照明光照射装置200の近傍に位置する第2架台201に虫Pが取り付く場合もある。
【0128】
この場合でも、第2架台201が誘虫光L1を反射することで、第2架台201に取り付いた虫Pは、虫P自身の周囲である第2架台201から、誘虫光L1が放たれているように視認する。虫Pは、誘虫光L1を放つ第2架台201に取り付いたままとなる。つまりは、取り付いた虫Pを誘虫システム1に留めておくことができる。このような誘虫システム1は、競技施設10外に虫Pが拡散することを抑制できる。
【0129】
さらに、第2架台201は、誘虫光L1が照射される第2照射領域を有し、第2照射領域における誘虫光L1に基づく光のコントラスト比は、上記の所定の値であるとよい。照明光照射装置200が有する第1照射領域B1と同様に、第2照射領域における誘虫光L1に基づく光のコントラスト比が所定の値であることで、虫Pがより第2架台201に誘引されやすくなる。
【0130】
さらに、第2架台201は、照明光照射装置200と同じく、第2照射領域に第2架台201の表面から突出する複数の構造体を有してもよい。これにより、照明光照射装置200が構造体290を有した場合と同様の効果が期待される。
【0131】
さらに、誘虫光照射装置100には、照明光照射装置200及び第2架台201などによって誘虫光L1が反射された光である誘虫反射光が照射されてもよい。この場合、誘虫光照射装置100は、第1筐体160(より具体的には第1筐体本体部161)に、誘虫反射光が照射される第3照射領域B3(図3参照)を有する。この第3照射領域B3における誘虫反射光に基づく光のコントラスト比は、上記の所定の値であるとよい。照明光照射装置200が有する第1照射領域B1と同様に、第3照射領域B3における誘虫反射光に基づく光のコントラスト比が所定の値であることで、虫Pがより第1筐体本体部161の前面に誘引されやすくなる。
【0132】
さらに、誘虫光照射装置100は、照明光照射装置200と同じく、第3照射領域B3に第1筐体本体部161の前面から突出する複数の構造体を有してもよい。これにより、照明光照射装置200が構造体290を有した場合と同様の効果が期待される。
【0133】
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例に係る誘虫システムについて、図7を用いて説明する。
【0134】
図7は、本変形例に係る照明光照射装置200aの正面図である。
【0135】
本変形例に係る誘虫システムは、照明光照射装置200ではなく、照明光照射装置200aを備える点が実施の形態1に係る誘虫システム1とは異なる。
【0136】
また、照明光照射装置200aが、複数の構造体290ではなく、ドット形状の複数の構造体290aを有する点が、実施の形態1に係る照明光照射装置200とは異なる。
【0137】
本変形例に係る複数の構造体290aのそれぞれは、図7が示す正面視で、ドット形状を有する。より具体的には、複数の構造体290aのそれぞれの形状は、円柱形状であるが、これに限られず、円錐形状又は円錐台形状であってもよい。また、複数の構造体290aのそれぞれは、第1照射領域B1において、互いに離隔して配置される。
【0138】
照明光照射装置200がこのような複数の構造体290aを有する場合でも、上記のコントラスト比が所定の値となるため、虫Pがより誘虫されやすくなる。よって、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制できる誘虫システムが実現される。
【0139】
なお、複数の構造体290aのそれぞれの形状は、ドット形状でなくてもよい。例えば、複数の構造体290aのそれぞれの形状は、直方体形状、角柱形状又は角錐形状などであってもよい。このような場合でも、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制できる誘虫システムが実現される。
【0140】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る誘虫システムについて、図8及び図9を用いて説明する。
【0141】
図8は、本実施の形態に係る照明光照射装置200bの正面図である。
【0142】
図9は、図8のIX-IX線における第2筐体260の切断面を示す断面図である。
【0143】
本実施の形態に係る誘虫システムは、照明光照射装置200ではなく、照明光照射装置200bを備える点が実施の形態1に係る誘虫システム1とは異なる。
【0144】
また、照明光照射装置200bが、複数の構造体290ではなく、第1領域291b及び第2領域292bを有する点が、実施の形態1に係る照明光照射装置200とは異なる。
【0145】
第1領域291bは、第2筐体260の一部によって構成されている。より具体的には、第1領域291bは、第1照射領域B1における面であって、第2筐体本体部261の前面261aの一部である。より具体的には、図8が示す正面視で、第1照射領域B1内の前面261aが第1領域291bである。
【0146】
本実施の形態においては、照明光照射装置200bは、ストライプ形状に延びるように前面261aに配置される複数の第2領域292bを有する。複数の第2領域292bのそれぞれの形状は、図8が示す正面視で、長尺形状の矩形である。図8及び図9が示すように、第1照射領域B1において、第1領域291bと複数の第2領域292bとは、隣接している。
【0147】
また、複数の第2領域292bのそれぞれは、第1照射領域B1において、虫Pの比視感度が所定の値以上の波長範囲における反射率が、第1領域291bより低い領域である。具体的には、複数の第2領域292bのそれぞれは、光吸収層である。なお、ここで、所定の値は、0.3以上0.9以下であるとよく、0.4以上0.8以下であるとよりよく、0.5以上0.7以下であるとさらによい。
【0148】
つまり、虫Pの比視感度が所定の値以上の波長範囲とは、虫Pの比視感度が高い波長範囲である。さらに、具体的には、ここでは、虫Pの比視感度が所定の値以上の波長範囲とは、誘虫光L1が含む近紫外光の波長範囲であり、一般的な虫Pの比視感度が高い波長範囲である。
【0149】
また、光吸収層である複数の第2領域292bは、例えば、樹脂と紫外線吸収剤とによって構成されている層である。樹脂としては、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの樹脂を用いることができる。また、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系などの材料を用いることができる。
【0150】
本実施の形態においては、光吸収層である複数の第2領域292bは、前面261a上に、直接形成されている。しかし、例えば、複数の第2領域292bが樹脂フィルム上に形成され、当該樹脂フィルムが前面261a上に、配置されていてもよい。
【0151】
このような構成により、複数の第2領域292bは、上記波長範囲における反射率が、第1領域291bより低くなる。また、上記の通り、第2筐体本体部261が誘虫光L1(近紫外光及び青色光)の波長範囲における反射率が高いアルミニウムによって構成されている。よって、第2筐体本体部261の前面261aの一部である第1領域291bは、上記波長範囲における反射率が、複数の第2領域292bより高くなる。
【0152】
このため、第1領域291bから放たれる誘虫光L1の反射光は強い光となり、複数の第2領域292bから放たれる誘虫光L1の反射光は弱い光となる。より具体的には、誘虫光L1の反射光は、複数の第2領域292bからはほとんど放たれない。
【0153】
よって、一般的な虫Pは、第1領域291bのような明るい箇所と複数の第2領域292bのような暗い箇所とが隣接しているように見える。このため、一般的な虫Pは、誘虫光L1の反射光に、より誘引されやすくなる。
【0154】
ところで、人は、上記波長範囲である近紫外光の比視感度が低いため、近紫外光を視認することは難しい。そのため、人は、第1領域291bが明るく、かつ、複数の第2領域292bが暗く見えることはほとんどない。よって、人は、照明光照射装置200bに違和感を覚えにくい。
【0155】
以上まとめると、本実施の形態においては、照明光照射装置200bは、第1領域291bと、虫Pの比視感度が所定の値以上の波長範囲における反射率が第1領域291bより低い第2領域292bとを有する。虫Pの比視感度が所定の値以上の波長範囲とは、虫Pの比視感度が高い波長範囲である。
【0156】
これにより、虫Pは、第1領域291bのような明るい箇所と第2領域292bのような暗い箇所とが隣接しているように見えるため、より誘引されやすくなる。さらに、人は、第1領域291bが明るく、かつ、第2領域292bが暗く見えることはほとんどない。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制でき、かつ、人が違和感を覚えにくい誘虫システムが実現される。
【0157】
また、本実施の形態においては、所定の値以上の波長範囲とは、誘虫光L1が含む近紫外光の波長範囲である。この所定の値以上の波長範囲は、一般的な虫Pの比視感度がより高い波長範囲であり、かつ、人の比視感度が低い波長範囲である。これにより、一般的な虫Pは、さらに誘引されやすくなり、かつ、人が違和感をさらに覚えにくくなる。
【0158】
また、本実施の形態においては、複数の第2領域292bのそれぞれは、近紫外光を吸収する光吸収層によって構成されている。また、第2筐体260(より具体的には第2筐体本体部261)は、近紫外光を反射する金属材料を有し、第1領域291bは、第2筐体本体部261の前面261aの一部によって構成されている。これにより、容易に複数の第2領域292b及び第1領域291bを形成することができる。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制でき、かつ、人が違和感を覚えにくい誘虫システムを容易に製造することができる。
【0159】
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例に係る誘虫システムについて、図10を用いて説明する。
【0160】
図10は、本変形例に係る照明光照射装置200cの正面図である。
【0161】
図11は、図10のXI-XI線における第2筐体260の切断面を示す断面図である。
【0162】
本変形例に係る誘虫システムは、照明光照射装置200bではなく、照明光照射装置200cを備える点が実施の形態2に係る誘虫システムとは異なる。
【0163】
また、照明光照射装置200cが、第1領域291bではなく、近紫外光を反射する光反射層である第1領域291cを有する点が、実施の形態2に係る照明光照射装置200bとは異なる。また、ここでは、照明光照射装置200cは、複数の第1領域291cを有している。
【0164】
第1領域291cは、近紫外光を反射する光反射層によって構成されている。第1領域291cは、例えば、誘電体多層膜などで構成されている。誘電体多層膜は、SiO、TiO、Al、ZnO、Nb及びMgFなどから選ばれる1以上の無機化合物を含む。第1領域291cを構成する誘電体多層膜の、誘電体の材料及び/又は多層膜の構成を制御することで、第1領域291cを近紫外光を反射する光反射層とすることができる。
【0165】
このように構成されることで、複数の第2領域292bのそれぞれは、実施の形態2と同じく、上記波長範囲における反射率が、第1領域291cより低くなる。つまり、実施の形態2と同じく、第1領域291cは、上記波長範囲における反射率が、複数の第2領域292bより高い。
【0166】
図10及び図11が示すように、照明光照射装置200cは、複数の第1領域291cを有する。複数の第1領域291cのそれぞれの形状は、図10が示す正面視で、長尺形状の矩形である。また、複数の第1領域291cのそれぞれは、2つの第2領域292bの間に配置されている。図10が示すように、複数の第1領域291cと、複数の第2領域292bとは、交互に並んで配置され、かつ、同一方向に沿って延びて配置されている。
【0167】
本変形例においては、複数の第1領域291cのそれぞれは、近紫外光を反射する光反射層によって構成されている。これにより、容易に複数の第1領域291cを形成することができる。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することをより抑制でき、かつ、人が違和感を覚えにくい誘虫システムを容易に製造することができる。
【0168】
(その他の実施の形態)
以上、各実施の形態及び各変形例について説明したが、本発明は、上記各実施の形態及び各変形例に限定されるものではない。
【0169】
例えば、上記各実施の形態及び各変形例では、誘虫システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。より具体的には、誘虫光照射装置と照明光照射装置とは一体の装置であってもよい。
【0170】
その他、各実施の形態及び各変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態及び各変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0171】
1 誘虫システム
100 誘虫光照射装置
200、200a、200b、200c 照明光照射装置
290、290a 構造体
291b、291c 第1領域
292b 第2領域
300 制御装置
G グラウンド
P 虫
B1 第1照射領域
B3 第3照射領域
L1 誘虫光
L2 照明光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11