(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/06 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
D06F37/06
(21)【出願番号】P 2021138099
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】又吉 均哉
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0029693(KR,A)
【文献】特開2016-187450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/06
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒形状を有する回転ドラムを備え、
前記回転ドラムは、拡径胴体部およびベース胴体部によって円筒形状をなす胴体を有し、
前記胴体の周面には少なくとも一つの孔が形成され、
前記胴体の内周面には、バッフルが設けられ、
前記バッフルは、前記孔に挿入されて前記胴体の前記周面に係合するフック部を有し、
前記孔は、前記胴体の回転軸方向に延在する一対の第一縁部と、前記回転軸方向と交差する周方向に延在する一対の第二縁部とによって画定され、
前記第二縁部において、前記周方向の中央部での曲率半径が、前記第一縁部と交差する端部での曲率半径よりも大き
く、
前記フック部は、前記フック部が前記周面に係合している状態で前記中央部と当接する当接部を含む、洗濯機。
【請求項2】
前記当接部は、前記フック部の周方向の中央に設けられ、前記回転ドラムの回転軸方向 に延在し、柱形状を有する支持リブである、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記バッフルは、前記拡径胴体部の周面に形成される前記孔を介して取り付けら
れ、前記フック部は前記中央部においてのみ前記孔と当接する、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第一縁部は、前記回転軸方向に直線状に延在し、
前記バッフルは、前記フック部よりも基部側に位置する支持部を有し、
前記支持部は、前記直線状に延在する前記第一縁部によって規制される規制部を有する、請求項2または3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記フック部の前記周方向の幅は、前記支持部の前記周方向の幅よりも小さい、請求項4に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、回転ドラムを有する洗濯機を開示する。
【0003】
回転ドラムは、例えば、金属製の平板に対して所定形状の孔を形成する孔形成加工と、平板を円筒形状の胴体に加工する胴体加工と、円筒形状の胴体の径を大きくする拡径加工とによって作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者等は、回転ドラムのサイズおよび容量をアップさせた洗濯機を開発するにあたり、拡径加工における胴体の拡径率を顕著に大きくした結果、孔の形状によっては回転ドラムの胴体にクラックが入るおそれがあるという新たな課題を発見した。
【0006】
本開示は、拡径加工の際に、回転ドラムの胴体に形成された孔にクラックが入ることを抑制する洗濯機を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、
有底円筒形状を有する回転ドラムを備え、
前記回転ドラムは、拡径胴体部およびベース胴体部によって円筒形状をなす胴体を有し、
前記胴体の周面には少なくとも一つの孔が形成され、
前記孔は、前記胴体の回転軸方向に延在する一対の第一縁部と、前記回転軸方向と交差する周方向に延在する一対の第二縁部とによって画定され、
前記第二縁部において、前記周方向の中央部での曲率半径が、前記第一縁部と交差する端部での曲率半径よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、拡径加工の際に、回転ドラムの胴体に形成された孔にクラックが入ることを抑制する洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る実施の形態1における洗濯機の縦断面図
【
図2】
図1に示した洗濯機の回転ドラムを構成する胴体を正面側から見た斜視図
【
図5】
図2に示した胴体からバッフルを省略した状態を背面側から見た斜視図
【
図10】胴体に形成される孔に対するバッフル係合構造を説明する図
【
図12】
図3に示した胴体をXII-XII線で切断した要部断面図
【
図13】
図12に示したバッフル係合構造を拡大した要部拡大断面図
【
図16】拡径加工前の胴体に形成される拡径加工前の孔を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。図においては、説明を容易にするため、要素を適宜に誇張して示す場合がある。なお、図中でのR方向およびW方向は、それぞれ、回転ドラム4の回転軸方向および周方向を示す。
【0011】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施の形態1における洗濯機100の縦断面図である。
【0012】
図1に示すように、洗濯機100は、筐体1と、外槽3と、回転ドラム4と、モータ7、蓋体9と、給水弁10と、排水弁21と、制御部(図示せず)とを備える。洗濯機100は、例えばドラム式洗濯機である。筐体1の内部には、サスペンション構造2によって支持される外槽3と、外槽3内に回転自在に支持される回転ドラム4とが配設される。外槽3は、有底円筒形状を有する。外槽3および回転ドラム4は、筐体1に対して正面側から背面側に斜め下向きに延在するように配置される。
【0013】
筐体1の正面側には、蓋体9が開閉自在に設けられる。蓋体9を開くことにより、外槽3の正面開口部3aおよび回転ドラム4の正面開口部4aを通じて、回転ドラム4に対する洗濯物の出し入れが可能になる。
【0014】
筐体1の内部上空間には、給水バルブを含む給水弁10が配設される。給水弁10から供給される水は、洗剤ケース12の底部に接続される注水管14を通じて、外槽3の上方に設けられる注水口14aから外槽3の中に供給される。外槽3に貯留される水は、回転ドラム4に形成される多数の通水孔15を通じて、回転ドラム4の中に流入する。
【0015】
筐体1の内部上空間には、給水バルブを含む給水弁10が配設される。給水弁10から供給される水は、洗剤ケース12の底部に接続される注水管14を通じて、外槽3の上方に設けられる注水口14aから外槽3の中に供給される。外槽3に貯留される水は、回転ドラム4に形成される多数の通水孔15を通じて、回転ドラム4の中に流入する。
【0016】
外槽3の底部には、回転軸16を軸支する軸受け19、20を保持する軸受けケース17が固着されるとともに、軸受けケース17において回転軸16が貫通する貫通部には、水封止用のオイルシール18が配設される。これにより、軸受け19、20などを通じて水が外槽3の外に漏れ出ることを防止できる。
【0017】
外槽3の底部には、排水口3bが設けられる。排水口3bに接続される排水弁21が開放されると、外槽3内の水は、排水管22を通じて洗濯機100の外に排出される。
【0018】
外槽3の外底側に配設されるモータ7の回転駆動力は、モータ7の回転軸16に固着される駆動プーリ23と、回転軸16の端部に固設される従動プーリ6との間に張架されるベルト8によって回転軸16に伝達される。これにより、回転ドラム4が正転方向または逆転方向に回転する。回転ドラム4を第1の回転数N1(例えば45r/min)で回転させることにより、洗濯物の洗濯やすすぎが行われる。第2の回転数N2(例えば1000r/min)で回転させることにより、洗濯物の遠心脱水が行われる。
【0019】
<回転ドラム>
回転ドラム4は、有底円筒形状を有し、外槽3の中で回転自在に配設される。回転ドラム4は、円筒形状をなす胴体4bと、底部5とを有する。
図3および
図6に示すように、胴体4bは、回転軸方向Rの中央部において径が大きな拡径胴体部4b1と、回転軸方向Rの正面側および背面側の両端部において拡径胴体部4b1よりも径が小さなベース胴体部4b2とを有する。拡径胴体部4b1は、拡径加工によって作成される。胴体4bの周面の全体にわたって、多数の通水孔15が形成される。通水孔15は、胴体4bの厚み部分を貫通して、水および気体の流通を可能にする。なお、
図2などにおいては、多数の通水孔15のうちの一部だけを図示している。
【0020】
図1に示すように、回転軸16が、回転ドラム4の底部5の回転中心に固着されて配設される。回転軸16の一端が底部5に固定され、回転軸16の他端が従動プーリ6に固定される。
【0021】
回転軸16の回転軸方向Rは、回転ドラム4の正面側から背面側に向けて斜め下向きに延在する。
【0022】
図5は、
図2に示した胴体4bからバッフル24を省略した状態を背面側から見た斜視図である。
図6は、
図5に示した胴体4bの側面図である。
図5および
図6に示すように、胴体4bの拡径胴体部4b1の周面には、少なくとも一つの孔4cが形成される。孔4cは、通水孔15よりも大きな孔である。複数個(例えば、2つ)の孔4cは、回転軸方向Rに並んで離間して配設される。回転軸方向Rに離間する複数の孔4cが、周方向Wに離間して(例えば、周方向Wに120度の角度で均等に離間して)配設される。孔4cは、胴体4bの厚み部分を貫通する。
【0023】
図7は、胴体4bに形成される孔4cを説明する図である。
図7に示すように、孔4cは、例えば、トラック形状を有する。孔4cは、対向する一対の第一縁部4c1と、対向する一対の第二縁部4c2とによって画定される。一対の第一縁部4c1は、例えば、互いに回転軸方向Rに平行に延在する直線状部分である。一対の第二縁部4c2は、一対の第一縁部4c1の端部同士を接続する。一対の第二縁部4c2は、周方向Wに曲線状に延在するとともに、回転軸方向Rの外向きに(回転軸方向Rの正面側または背面側に向けて)湾曲して突出する部分である。
【0024】
第二縁部4c2は、中央部Aと、中間部Bと、端部Cとを有する。中央部Aは、周方向Wの中央領域に位置する湾曲部である。端部Cは、周方向Wの端領域に位置するとともに第一縁部4c1の端部に接続される湾曲部である。中間部Bは、中央部Aおよび端部Cの間に位置する湾曲部である。例えば、中央部Aの長さと、中間部Bの長さと、端部Cの長さとが同じである態様にしたり、中央部Aは、第二縁部4c2における約50%の長さを有し、中間部Bは、第二縁部4c2における約30%の長さを有し、端部Cは、第二縁部4c2における約20%の長さを有する態様にしたりできる。
【0025】
第二縁部4c2において、周方向Wの中央部Aでの曲率半径が、第一縁部4c1と交差する端部Cでの曲率半径よりも大きいように寸法構成される。この開示を限定しない数値として、例えば、中央部Aでの曲率半径が、10mmであり、端部Cでの曲率半径が2mmから8mmである。そして、例えば、中間部Bでの曲率半径が13mmである。
【0026】
図6に示すように、胴体4bでは、回転軸方向Rの拡径胴体部4b1の径が、回転軸方向Rのベース胴体部4b2の径よりも大きいように寸法構成される。
【0027】
図6に示す胴体4bは、
図14から
図16に示す拡径加工前の胴体104bに基づいて作成される。
図14は、拡径加工前の胴体104bの斜視図である。
図15は、
図14に示した拡径加工前の胴体104bの側面図である。
図16は、拡径加工前の胴体104bに形成される拡径加工前の孔104cを説明する図である。
【0028】
拡径加工前の孔104cおよび拡径加工前の通水孔115が形成された金属製の平板を準備し、この平板が円筒形状に曲げられる。周方向Wの両端の合わせ部が、溶接で固定される。これにより、
図14および
図15に示す、円筒形状を有する拡径加工前の胴体104bが作成される。
【0029】
図16に示すように、拡径加工前の孔104cは、例えば、トラック形状を有する。拡径加工前の孔104cは、対向する一対の拡径加工前の第一縁部104c1と、対向する一対の拡径加工前の第二縁部104c2と有する。拡径加工前の第一縁部104c1は、回転軸方向Rに直線状に延在する形状を有する。拡径加工前の第二縁部104c2は、周方向Wに曲線状に延在するとともに、回転軸方向Rの正面側または背面側に向けて突出し且つ湾曲する形状を有する。
【0030】
拡径加工前の第二縁部104c2は、拡径加工前の中央部A1と、拡径加工前の中間部B1と、拡径加工前の端部C1とを有する。拡径加工前の中央部A1は、拡径加工前の第二縁部104c2の周方向Wにおける中央領域に位置する。拡径加工前の端部C1は、拡径加工前の第二縁部104c2の端領域に位置するとともに拡径加工前の第一縁部104c1と交差する側に位置する。拡径加工前の中間部B1は、拡径加工前の中央部A1および拡径加工前の端部C1の間に位置する。
【0031】
後述するように、拡径加工前の胴体104bは、例えば絞り加工による拡径加工で作成される場合があるので、拡径加工前の孔104cは、拡径加工後において、
図7に示す孔4cの形状になるように寸法構成される。すなわち、拡径加工前の第二縁部104c2において、拡径加工前の中央部A1での曲率半径が、拡径加工前の端部C1での曲率半径よりも大きいように寸法構成される。例えば、拡径加工前の第二縁部104c2は、
図7に示す拡径加工後の第二縁部4c2と相似形状または類似形状をなすように寸法構成される。
【0032】
拡径胴体部4b1に対しては、拡径加工前の胴体104bを金型で径方向内側から径方向外側に押し広げる絞り加工によって周方向Wに引き伸ばして径を大きくする拡径加工が施される。これにより、
図5および
図6に示す拡径加工後の胴体4bが作成される。そして、拡径加工後の胴体4bの拡径胴体部4b1には、
図7に示す形状を有する孔4cが形成される。
【0033】
上述したように、拡径加工前の第二縁部104c2において、拡径加工前の中央部A1での曲率半径が、拡径加工前の端部C1での曲率半径よりも大きいように寸法構成されている。すなわち、応力集中が発生する拡径加工前の中央部A1での曲率半径が、拡径加工前の端部C1での曲率半径よりも大きい。これにより、回転ドラム4の胴体4bに対して拡径加工が施されても、孔4cの周方向Wの中央部Aにおいて応力集中が発生してクラックが発生することが抑制される。そして、拡径加工における胴体4bの拡径率を大きくできるので、回転ドラム4の大容量化が容易になる。
【0034】
上述した孔4cは、バッフル24を回転ドラム4の胴体4bに取り付けるための取付孔として使用される。
【0035】
図2は、
図1に示した洗濯機100の回転ドラム4を構成する胴体4bを正面側から見た斜視図である。
図2および
図4に示すように、胴体4bの拡径胴体部4b1の内周面には、複数の(例えば、
図4に示すように3個の)バッフル24が、周方向Wに均等な間隔で配設される。バッフル24は、胴体4bの拡径胴体部4b1の内周面より内向きに突出するとともに回転軸方向Rに延在する突起物である。
【0036】
バッフル24は、回転ドラム4の回転によって洗濯物を持ち上げたあと洗濯物を落下させる。バッフル24は、回転ドラム4に貯留された水面に洗濯物を落下させるたたき洗いの機能や、風を吹き付けた状態で洗濯物を落下させる乾燥機能を有する。バッフル24は、拡径胴体部4b1の周面に形成される孔4cを介して取り付けられる。これにより、バッフル24が、その機能を発揮できる位置に配設される。
【0037】
図8および
図9に示すように、バッフル24は、大略三角柱形状を有し、回転軸方向Rに延在する。バッフル24は、バッフル本体24aと、支持部24bと、フック部24cとを有する。バッフル本体24aの側面部には、複数の通水孔24fが回転軸方向Rに離間して形成される。バッフル本体24aの中央部に位置する2つの本体リブには、支持部24bがそれぞれ配設される。支持部24bの先端側には、フック部24cが配設される。フック部24cは、支持部24bに対して、回転軸方向Rの背面側に屈曲している。フック部24cおよび支持部24bによってL字形状をなす。
【0038】
図10、
図12および
図13に示すように、フック部24cは、孔4cに挿入可能に寸法構成される。フック部24cの周方向Wの幅は、支持部24bの周方向Wの幅よりも小さい。これにより、フック部24cを孔4cに挿入することが容易になる。そして、フック部24cは、バッフル24を回転軸方向Rに(例えば、回転軸方向Rの背面側に)動かすことにより孔4cの周囲に位置する胴体4bの周面に係合して引っ掛かるように構成される。以下、簡単のために、フック部24cと孔4cとの間での係合構造を、バッフル係合構造Pと呼び、
図12において点線で囲まれる領域として図示する。このバッフル係合構造Pにより、周方向Wに回転する回転ドラム4からバッフル24が外れることを防止できる。
【0039】
【0040】
実施の形態2では、
図12および
図13に示すバッフル係合構造Pは、
図10に示すように、中央部Aに対するフック部24cの位置決めが容易になるとともにバッフル24の周方向Wのガタつきを防止するように構成される。
【0041】
図10において、フック部24cによって隠れている第二縁部4c2および支持リブ24hを破線で図示している。
図10に示すように、支持部24bの周方向Wの中央であり且つフック部24cの周方向Wの中央には、支持リブ24hが配設される。支持リブ24hは、支持部24bに沿って延在する柱形状を有し、支持部24bの背面側およびフック部24cの内面側にそれぞれ接続される。
図10および
図13に示すバッフル係合状態では、フック部24cが孔4cの周囲に位置する胴体4bの周面に係合する。そして、支持リブ24hの背面側の側部は、回転軸方向Rの背面側に向けて突出し且つ湾曲する中央部Aに当接する。これにより、フック部24cを中央部Aに対して位置決めすることが容易になる。
【0042】
図9および
図11に示すように、支持部24bは、基部側の周方向Wの両側面において、一対の規制部24d,24dを有する。バッフル係合状態において、一対の規制部24d,24dが、孔4cの一対の第一縁部4c1,4c1によって規制される。これにより、バッフル24が周方向Wにガタつくことを防止できる。
【0043】
[効果]
本実施の形態の洗濯機100によれば、以下の効果を奏することができる。
【0044】
洗濯機100は、有底円筒形状を有する回転ドラム4を備える。回転ドラム4は、拡径胴体部4b1およびベース胴体部4b2によって円筒形状をなす胴体4bを有する。胴体4bの周面には少なくとも一つの孔4cが形成される。孔4cは、胴体4bの回転軸方向Rに延在する一対の第一縁部4c1と、回転軸方向Rと交差する周方向Wに延在する一対の第二縁部4c2とによって画定される。第二縁部4c2において、周方向Wの中央部Aでの曲率半径が、第一縁部4c1と交差する端部Cでの曲率半径よりも大きい。
【0045】
このような構成により、拡径加工の際に、回転ドラム4の胴体4bに形成される孔4cにクラックが入ることを抑制できる。そして、拡径加工における胴体4bの拡径率を大きくできるので、回転ドラム4の大容量化が容易になる。
【0046】
本実施の形態の洗濯機100において、胴体4bの内周面には、バッフル24が設けられる。バッフル24は、孔4cに挿入されて胴体4bの周面に係合するフック部24cを有する。
【0047】
このような構成により、周方向Wに回転する回転ドラム4からバッフル24が外れることを防止できる。
【0048】
本実施の形態の洗濯機100において、バッフル24は、拡径胴体部4b1の周面に形成される孔4cを介して取り付けられる。
【0049】
このような構成により、バッフル24が、その機能を発揮できる位置に配設される。
【0050】
本実施の形態の洗濯機100において、第一縁部4c1は、回転軸方向Rに直線状に延在する。バッフル24は、フック部24cよりも基部側に位置する支持部24bを有する。支持部24bは、直線状に延在する第一縁部4c1によって規制される規制部24dを有する。
【0051】
このような構成により、バッフル24が周方向Wにガタつくことを防止できる。
【0052】
本実施の形態の洗濯機100において、フック部24cの周方向Wの幅は、支持部24bの周方向Wの幅よりも小さい。
【0053】
このような構成により、フック部24cを孔4cに挿入することが容易になる。
【0054】
なお、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0055】
上記の実施の形態において、洗濯機100の一例としてドラム式洗濯機を説明した。洗濯機100は、液剤を用いて洗濯物を洗濯できるものであればよい。したがって、洗濯機100は、ドラム式洗濯機に限定されず、縦型洗濯機や二槽式洗濯機であってもよい。
【0056】
孔4cは、回転軸方向Rに平行に延在する直線状の一対の第一縁部4c1と、周方向Wに平行に延在する直線状の中央部Aおよび第一縁部4c1の端部に接続され且つ外方に突出する湾曲形状の端部Cを有する一対の第二縁部4c2とによって画定されてもよい。
【0057】
上述した孔4cは、バッフル24の取付孔以外にも用いることができる。
【0058】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示は、回転ドラムを備える洗濯機に適用可能である。具体的には、ドラム式洗濯機、縦型洗濯機および二槽式洗濯機などに有用である。
【符号の説明】
【0060】
1…筐体
2…サスペンション構造
3…外槽
3a…正面開口部
3b…排水口
4…回転ドラム
4a…正面開口部
4b…胴体
4b1…拡径胴体部
4b2…ベース胴体部
4c…孔
4c1…第一縁部
4c2…第二縁部
5…底部
6…従動プーリ
7…モータ
8…ベルト
9…蓋体
10…給水弁
12…洗剤ケース
14…注水管
14a…注水口
15…通水孔
16…回転軸
17…軸受けケース
18…オイルシール
19…軸受け
20…軸受け
21…排水弁
22…排水管
23…駆動プーリ
24…バッフル
24a…バッフル本体
24b…支持部
24c…フック部
24d…規制部
24f…通水孔
24h…支持リブ
100…洗濯機
104b…拡径加工前の胴体
104c…拡径加工前の孔
104c1…拡径加工前の第一縁部
104c2…拡径加工前の第二縁部
115…拡径加工前の通水孔
A…中央部
B…中間部
C…端部
A1…拡径加工前の中央部
B1…拡径加工前の中間部
C1…拡径加工前の端部
P…バッフル係合構造
R…回転軸方向
W…周方向