(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/34 20200101AFI20241011BHJP
D06F 39/02 20060101ALI20241011BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20241011BHJP
D06F 33/36 20200101ALI20241011BHJP
D06F 33/54 20200101ALI20241011BHJP
D06F 33/56 20200101ALI20241011BHJP
D06F 33/57 20200101ALI20241011BHJP
D06F 33/37 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
D06F33/34
D06F39/02 Z
D06F39/08 341
D06F33/36
D06F33/54
D06F33/56
D06F33/57
D06F33/37
D06F39/08 321
D06F39/08 301Z
D06F39/08 301A
(21)【出願番号】P 2021157158
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
(72)【発明者】
【氏名】堀部 泰之
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-226397(JP,A)
【文献】特開2000-350894(JP,A)
【文献】特開2020-065742(JP,A)
【文献】特開2021-007636(JP,A)
【文献】特開2014-108304(JP,A)
【文献】特開平01-119292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/34
D06F 39/02
D06F 39/08
D06F 33/36
D06F 33/54
D06F 33/56
D06F 33/57
D06F 33/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンク内の液剤を吐出する自動液剤投入装置と、
前記自動液剤投入装置により吐出され、前記外槽に供給される液剤が流れる液剤吐出流路と、
前記液剤吐出流路
を通じて、前記外槽に給水する給水弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記給水弁による給水と、前記自動液剤投入装置による自動投入と、を並行して所定のタイミングで開始させる第1制御を有し、
前記第1制御に対して前記自動投入の開始を相対的に早める第2制御、および/または、前記第1制御に対して前記給水弁による給水の終了を相対的に遅らせる第3制御、を有
し、
投入量を補正する補正設定を受け付ける投入量補正設定部を備え、
少なくとも、前記補正設定に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御または前記第3制御と、の間で切り替える、洗濯機。
【請求項2】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンク内の液剤を吐出する自動液剤投入装置と、
前記自動液剤投入装置により吐出され、前記外槽に供給される液剤が流れる液剤吐出流路と、
前記液剤吐出流路を通じて、前記外槽に給水する給水弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記給水弁による給水と、前記自動液剤投入装置による自動投入と、を並行して所定のタイミングで開始させる第1制御を有し、
前記第1制御に対して前記自動投入の開始を相対的に早める第2制御を有し、
前記制御部は、前記第2制御において、前記第1制御における前記自動投入の開始よりも前記自動投入の開始を早める、洗濯機。
【請求項3】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンク内の液剤を吐出する自動液剤投入装置と、
前記自動液剤投入装置により吐出され、前記外槽に供給される液剤が流れる液剤吐出流路と、
前記液剤吐出流路を通じて、前記外槽に給水する給水弁と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記給水弁による給水と、前記自動液剤投入装置による自動投入と、を並行して所定のタイミングで開始させる第1制御を有し、
前記第1制御に対して前記自動投入の開始を相対的に早める第2制御、および/または、前記第1制御に対して前記給水弁による給水の終了を相対的に遅らせる第3制御、を有し、
前記外槽に貯められた水の水位を検知する水位検知部を備え、
今回または過去の洗濯運転における、前記給水弁を開放した時間と、前記水位検知部により検知された水位と、に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御または前記第3制御と、の間で切り替える、洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1制御、前記第2制御、または前記第3制御、のいずれかの制御を実行し、前記自動投入の終了よりも後に前記給水弁による給水を終了させる、請求項1
または3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記外槽に回転可能に内包される内槽と、
前記内槽に収容された衣類の量を検知する布量検知部と、を備え、
前記制御部は、前記布量検知部により検知された衣類の量に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御または前記第3制御と、の間で切り替える、請求項1
、3、4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
投入基準量の設定を受け付ける投入基準量設定部を備え、
少なくとも、前記投入基準量に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御または前記第3制御と、の間で切り替える、請求項
1、3~5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記外槽に貯められた水の水位を検知する水位検知部を備え、
前記制御部は、前記水位検知部により検知された水位が所定の水位に到達した場合、前記第3制御として、前記給水弁に追加で給水を行わせる、請求項
1に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御部は、前記水位検知部により検知された水位が所定の水位に到達した場合、前記第3制御として、前記給水弁に追加で給水を行わせる、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記制御部は、前記第3制御において、前記給水弁による給水を間欠的に行わせる、請求項
1、3~8のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1制御または前記第2制御のいずれかの制御を実行し、前記自動投入の終了よりも後に前記給水弁による給水を終了させる、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記外槽に回転可能に内包される内槽と、
前記内槽に収容された衣類の量を検知する布量検知部と、を備え、
前記制御部は、前記布量検知部により検知された衣類の量に基づいて、前記第1制御と前記第2制御との間で切り替える、請求項2または10に記載の洗濯機。
【請求項12】
投入基準量の設定を受け付ける投入基準量設定部を備え、
少なくとも、前記投入基準量に基づいて、前記第1制御と前記第2制御との間で切り替える、請求項2、10~11のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、液剤の自動投入装置を搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、洗濯物を収容する外槽と、洗剤を収容する収容器と、洗剤を排出する排出手段と、水を外槽に向かって送り出すポンプとを備える。排出手段の下方に、通水路が形成されている。通水路は、外槽の内部に設けられた内槽に連通する。通水路には、排出手段から排出される洗剤と、ポンプにより送り出される水とが通る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、液剤が外槽よりも上流で残留して乾燥固着する可能性がある。液剤を貯蔵するタンクと外槽との間において、液剤の残留の抑制といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、液剤を貯蔵するタンクと外槽との間において、液剤の残留を抑制できる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容するタンクと、外槽とタンクとを接続する液剤吐出流路と、タンクに接続され、液剤吐出流路に液剤を吐出する自動液剤投入装置と、液剤吐出流路に接続され、外槽に給水する給水弁と、制御部と、を備え、制御部は、給水弁による給水と、自動液剤投入装置による自動投入と、を並行して所定のタイミングで開始させる第1制御を有し、第1制御に対して自動投入の開始を相対的に早める第2制御、および/または、第1制御に対して給水弁による給水の終了を相対的に遅らせる第3制御、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液剤を貯蔵するタンクと外槽との間において、液剤の残留を抑制する洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図8】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。
図2は、洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水弁10と、排水弁11と、制御部12と、記憶部13と、表示部14とを備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0014】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0015】
外槽3に投入された水の量を検出するため、外槽3には水位センサ90が設けられている。本実施形態において、水位センサ90は、外槽3における水位を検出する。
【0016】
また、後述において、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(
図1)として、中心軸V0を含む平面に直交する水平方向を幅方向K(
図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と底部36に向かう後側M2を有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と中心軸V0に向かう中心側K2を有する。
【0017】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4は、ドラムと称してもよい。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3に移動することを可能にする。内槽4はさらに、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0018】
内槽4に収容された洗濯物15の量を検出するため、内槽4には布量センサ91が設けられている。本実施形態において、布量センサ91は、洗濯物15の重量を検出する。より具体的には、布量センサ91は駆動部5のモータの負荷トルク(トルク電流値)を測定している布量検知手段である。
【0019】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を中心軸V0周りで回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させるモータを有する。
【0020】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、制御部12が決めた所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するユニットである。自動投入ユニット6は、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、外槽3に液剤を供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0021】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水電磁弁66を備える。
【0022】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。自動投入ユニット6は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。自動投入ユニット6は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。
【0023】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3に液剤を供給するための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0024】
<給水弁>
図1に戻ると、給水弁10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水弁10は、筐体2の上部に設けられる。
【0025】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は、筐体2の下部に設けられる。
【0026】
<制御部>
制御部12は、洗濯機1の運転を制御する部材である。プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。制御部12は、記憶部13に格納されたプログラムを呼び出して実行することにより、機能を実現する。制御部12は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0027】
制御部12は、投入基準量の設定を受け付ける投入基準量設定部12Aと、液剤投入量の補正設定を受け付ける投入量補正設定部12Bとを含む。投入基準量は、単位水量あたりの液剤投入量の基準値である。投入基準量は、単位水量あたりの投入量であってもよく、投入量に積算する係数(例えば、濃縮洗剤・通常洗剤)であってもよい。補正設定は、液剤投入量の補正設定である。補正設定は、今までの洗濯履歴に基づく学習による補正設定であってもよく、補正設定は、お客様の好み(多い・普通・少ない)の入力であってもよい。投入基準量設定及び補正設定は、洗濯機1でも使用者のスマートフォンにおけるアプリケーションでも入力可能である。投入基準量設定は、使用者によって入力された液剤の銘柄によって設定されてもよい。補正設定は、アプリケーションまたは洗濯機1によって自動で制御されてもよい。
【0028】
<記憶部>
記憶部13は、種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部13は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部13には、制御部12が実行するプログラム、及びセンサ90、91に検出された種々の情報等が格納される。
【0029】
<表示部>
表示部14は、画像、テキストのような種々の情報を表示する表示装置である。表示部14は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部14は、筐体2に設けられ、洗濯機1の使用者が視認できる位置にある。表示部14は、例えば、手動投入液剤量を表示する。また、表示部14の代わりに、使用者のスマートフォン等の端末によって実行されるアプリケーションを用いてもよい。
【0030】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、
図3から
図6を参照しながら説明する。
図3及び
図4は、自動投入ユニット6の斜視図である。
図5は、自動投入ユニット6の上面図である。
図6は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。
【0031】
<ケース>
図3に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65とを収容する部材である。
【0032】
ここで、ケース61の前側M1の面を前面56(
図3)として、ケース61の後側M2の面を背面57(
図4)とする。
図4に示すように、ケース61の背面57には、液剤投入装置63A、63B(
図6)、63C(
図6)と、液剤吐出流路64と、給水電磁弁66と、接続流路8とが接続される。
【0033】
図5に示すように、ケース61の上部には、供給流路67が形成される。供給流路67は、ケース61の外周に沿って、複数の独立した経路を形成する。それぞれの経路は、水を給水電磁弁66からケース61の内部に供給する。
【0034】
<給水電磁弁>
図4及び
図5に示すように、給水電磁弁66は、給水弁10(
図1)からの水を、制御部12によって選択された供給流路67(
図5)の経路に振り分ける機構である。
【0035】
<タンク>
図5に示すように、ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んだ状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。タンク62A、62B、62Cは、ケース61に対して取り外し可能である。
【0036】
<手動投入部>
手動投入部65は、使用者が1回分の洗濯処理剤としての液剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される液剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(
図1)を介して外槽3(
図1)に流入する。手動投入される液剤は、液体または粉末状であってもよい。手動投入部65は、ケース61に対して取り外し可能である。
【0037】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57に形成された開口(図示せず)を介して、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。
【0038】
<液剤吐出流路>
液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3(
図1)に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に形成された開口(図示せず)を通じてケース61に接続される。液剤吐出流路64は、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに下方から接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。言い換えれば、液剤吐出流路64は、上流から下流に向かって、水平面に対して下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体(例えば、水W0)は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。
【0039】
ここで、タンク62をタンク62A、62B、62Cの総称とする。同様に、液剤投入装置63を液剤投入装置63A、63B、63Cの総称とし、接続部76を接続部76A、76B、76Cの総称とする。
【0040】
続いて、ケース61及びタンク62について、
図7を参照しながらより詳細に説明する。
図7は、自動投入ユニット6の斜視断面図である。
【0041】
図7に示すように、ケース61は、内底面B1、B2、B3を有する。内底面B1、B2、B3は外側K1に沿って順番に並ぶ。内底面B1は、タンク62Aの直下に位置する面であり、内底面B2は、タンク62Bの直下に位置する面であり、内底面B3は、タンク62Cの直下に位置する面である。内底面B1、B2、B3は順に深くなり、内底面B1、B2、B3の上方に位置するタンク62A、62B、62Cの深さL1、L2、L3は順に増加する。
【0042】
タンク62Cと内底面B3との間には、他のタンク62A、62Bよりも大きい隙間が形成され、水及び液剤が流れる投入流路82が形成される。投入流路82には、手動投入される液剤が手動投入部65(
図5)から直接流入し、自動投入される液剤が液剤吐出流路64(
図6)を介して流入する。投入流路82は、内底面B3に沿って、液剤出口81(
図6)を通じて、水及び液剤を外槽3(
図1)に向かって流す。
【0043】
図8は、タンク62、液剤投入装置63及び液剤吐出流路64の斜視図である。
図8に示すように、タンク62は液剤投入装置63に接続され、液剤投入装置63は液剤吐出流路64に接続される。
【0044】
液剤投入装置63の下端には、所定量の液剤を下方Z1に向かって吐出するための吐出口70が形成される。液剤投入装置63の下端は上下方向Zに沿って液剤吐出流路64に挿入され、吐出口70から吐出される液剤は液剤吐出流路64に流入する。
【0045】
液剤吐出流路64において、吐出口70から吐出される液剤は、ケース61(
図6)から液剤吐出流路64に流入する水を合流する。また、液剤吐出流路64が下方Z1に向かって傾斜されるため、本流路95を流れる水及び液剤は、重力に従って流れて、併せてケース61を介して外槽3に投入される。
【0046】
図9は、液剤投入装置63の分解図である。
図9に示すように、液剤投入装置63は、モータ72と、ポンプ機構73とを備える。モータ72は、回転する出力軸V2を備える電子部品である。モータ72の出力軸V2は、ポンプ機構73に接続される。ポンプ機構73は、タンク62からの液剤(例えば、洗剤P1)を吸い上げて吐出する容積型ポンプである。
【0047】
ポンプ機構73は、ピストン83と、シリンダ84とを有する。ピストン83は、モータ72の出力軸V2に接続され、出力軸V2の回転に伴って上下方向Zに往復運動する部材である。シリンダ84は、ピストン83を収容し、洗剤P1が吸い上げられる空間を形成する部材である。ピストン83が下死点から上昇すると、タンク62からの洗剤P1がシリンダ84内に流入する。その後、ピストン83が上死点から下降すると、シリンダ84から洗剤P1が押し出されて液剤吐出流路64に落下する。
【0048】
[動作]
以上のような構成において、洗い工程における洗濯機1の動作の一例について、
図10Aから
図10Cを参照しながら説明する。
図10Aから
図10Cは、液剤吐出流路64の模式図である。
【0049】
洗い工程において、洗剤及び水が並行して外槽3に供給される。液剤投入装置63から吐出される洗剤と、給水弁10から供給される水とは、液剤吐出流路64を通じて外槽3に到達する。
【0050】
図10Aに示すように、洗剤P0の粘度が高いため、吐出後に液剤吐出流路64の内面に付着して残留する可能性がある。
【0051】
図10Bに示すように、洗剤の自動投入後においても、給水が継続している場合には、洗剤P0は水X1によって洗い流されて外槽3に投入される。したがって、外槽3の上流において、洗剤P0が液剤吐出流路64に固着することを抑制できる。
【0052】
また、液剤投入装置63が容積型ポンプを含むため、流水中に洗剤を吸引することができる。一方で、アスピレーターでは、洗剤を原液の状態で引っ張らなければならないので、流水中に剤を吸引することが難しく、本開示を適用することは困難である。
【0053】
一方で、給水が自動投入の前に終了すると、
図10Cに示すように、残留洗剤P0は液剤吐出流路64において乾燥して液剤吐出流路64の内面に固着する。
【0054】
図10Cに示す固着を回避するため、本実施形態においては、洗剤P0の自動投入後に液剤吐出流路64を水洗いするため、給水の終了(予想)が自動投入の終了の後になるように制御を行う。
【0055】
一方で、給水にかかる時間は、洗濯機1の設置環境等に依存するため、給水の終了を予め決定することが困難である。そこで、本実施形態においては、給水の終了時を予想した上で、予想される給水の終了が自動投入の終了の後になるように、それぞれの開始をずらす時間的制御を行う。また、実際の給水終了が予想給水終了より早い場合、液剤吐出流路64を洗うために追加的に給水を行う。
【0056】
図11Aから
図11Cは、洗濯機1の制御の動作を示すグラフである。後述の説明において、洗剤を自動投入するためにかかる時間を自動投入時間T1とする。また、給水開始から目標水位に到達するまでにかかると予想される時間を予想給水時間T2とし、給水開始から目標水位に到達するまでに実際かかった時間を実給水時間T6とする。
【0057】
また、布量に応じて給水量と液剤投入量を決めているが、布量によっては自動投入時間T1が予想給水時間T2より短い場合もある。
【0058】
図11Aには、自動投入時間T1が予想給水時間T2より充分に短い場合を示し、例えば、濃縮洗剤を使用した場合である。濃縮洗剤を使用しているため、単位水量当たりの基準投入量が少ない。この場合、自動投入と給水とを同時に開始した場合においても、自動投入終了後に所定時間T5の給水を確保できる。そのため、液剤吐出流路64において、残留洗剤P0を充分に洗い流すことができる(
図10B)。
【0059】
一方で、
図11Bには、自動投入時間T1が長い場合を示し、例えば、非濃縮洗剤を使用し、洗剤の投入量が多い場合である。この場合、自動投入終了後に所定時間T5の給水を確保できるように、自動投入開始を早める制御を行う。
【0060】
また、前述のように、給水は洗濯機1の設置環境に依存し、予想給水時間T2と実給水時間T6との間で差が生じることがある。例えば、外槽3に予め水が入っていると、実給水時間T6が予想給水時間T2より短くなる。また、水を供給する蛇口にかかる水圧が大きく、給水流量が大きいと、実給水時間T6が予想給水時間T2より短くなりやすい。逆に、水を供給する蛇口にかかる水圧が小さく、給水流量が小さいと、実給水時間T6が予想給水時間T2より長くなりやすい。また、洗濯物15が多いと、洗濯物15が水を吸うため、水位の上昇が抑制され、実給水時間T6が予想給水時間T2より長くなりやすい。
【0061】
図11Cには、実給水時間T6が予想給水時間T2より短く、実給水が早く終了した場合を示す。例えば、外槽3に予め水が入っている場合や、洗濯物15が予め水分を多量に含んでいる場合である。例えば、洗濯物15を手洗いで予洗いした場合である。この場合、自動投入終了後に所定時間T5の給水を確保できるように、自動投入終了後において追加給水が行われる。追加給水は、間欠でも連続であってもよい。ただし間欠にすると水の投入量を抑えつつ、給水時間を引き延ばすことができる。したがって、自動投入終了と実給水終了の時間的な前後関係によらず、洗剤が流れる液剤吐出流路64を洗浄するための水を充分に確保できる。
【0062】
図11Aから
図11Cに示すように、自動投入時間T1または洗濯機1の設置環境によらず、自動投入後に液剤吐出流路64を水洗いすることで、洗剤P0の固着を抑制し、液剤吐出流路64の閉塞及び洗い性能の低下を抑制できる。さらに、洗濯機1においては、洗剤と柔軟剤とが共通の液剤吐出流路64を流れるため、洗剤P0の残留を抑制することによって、洗剤と柔軟剤の混合による固形物の発生を抑制できる。
【0063】
ここで、洗い工程における制御についてより詳細に説明する。
図12A及び
図12Bは、洗濯機1の動作のフロー図である。
図13は、水及び洗剤の流れを示すケース61の斜視図である。
【0064】
図12Aに示すように、使用者が内槽4に洗濯物15を投入した状態で、洗濯機1の動作が開始する(START)。使用者は、希望する洗い工程のコースを選択する(S10)。
【0065】
制御部12は、投入基準量を投入基準量設定部12Aから取得する。さらに、制御部12は、補正設定を投入量補正設定部12Bから取得する。
【0066】
より具体的には、洗い工程のコースに応じて、投入基準量に対して掛ける係数及び補正設定を決定する。補正設定は、例えば、液剤投入量に係数を積算することで実施される。
【0067】
続いて、制御部12は洗濯物15の重量を決定する(S11)。具体的には、制御部12は、布量センサ91が検出する内槽4に収容された洗濯物15の重量を取得する。具体的には、布量センサ91は駆動部5のモータの負荷トルク(トルク電流値)を測定し、比較して洗濯物15の重量を取得している。布量センサ91は、モータにおける動かし始めの電流値と、所定回転数に達してからの電流値と、を測定し、比較して布量判定している。また、
図11Aから
図11Cに示すように、布量判定を行った時刻を時刻taとする。
【0068】
続いて、制御部12は洗剤の液剤量を決定する(S12)。制御部12は、選択されたコース、洗濯物15の重量、投入基準量、または補正設定に基づいて、対応する液剤量を算出する。
【0069】
制御部12は、自動投入液剤量に基づいて、自動投入時間T1を決定する(S13)。本実施形態において、ポンプ機構73が容積型ポンプであり、モータ72の一回転当たりに吐出される液剤量が一定である。また、モータ72の回転速度も一定である。したがって、液剤投入装置63による単位時間当たりの投入液剤量Ptは一定である。制御部12は、自動投入液剤量を単位時間当たりの投入液剤量Ptで割ることで、自動投入時間T1を算出することができる。
【0070】
続いて、制御部12は外槽3に供給される給水の目標水位を決定する(S14)。具体的には、制御部12は、選択されたコースと洗濯物15の重量とに基づいて、対応する目標水位を算出する。目標水位は、コース毎に定められた、洗濯物15の重量範囲に対応する水位ランクによって規定されてもよい。
【0071】
続いて、制御部12は予想給水時間T2を決定する(S15)。具体的には、制御部12は、決定された目標水位に基づいて、対応する予想給水時間T2を算出する。予想給水時間T2は給水時間の目安値であり、例えば、洗濯機1の製造時にメーカーによって予め記憶部13に格納された代表値であってもよい。また、予想給水時間T2は、今回または過去の洗濯運転の値、即ち現在の測定値または学習値であってもよい。より具体的には、予想給水時間T2は、給水弁10の開放時間と、水位センサ90によって検出された水位の変化とから導き出される時間当たりの水位変化量(水位の上昇速度)に基づく推測値であってもよい。また、水位変化量の推測値を記憶し、制御部12に学習された学習値であってもよい。予想給水時間T2に基づいて、後述の第1制御または第2制御を切り替える。
【0072】
続いて、制御部12は待機時間Twを開始する(S16)。待機時間Twは、布量判定終了から給水開始までの時間である。待機時間Twは、例えば、洗い及びすすぎを含む全てのコースで一定である。待機時間Twを一定にすることで、洗濯機1の使用者が違和感を覚えないようにしている。給水の開始が運転の度に前後すると、ユーザはいつもと同じ洗濯であるにもかかわらず、給水の開始時間が変動すると、不具合ではないかと違和感を覚える。待機時間Twを変更せずに、自動投入の開始を早めることで、ユーザに違和感を与えずに給水の終了を相対的に遅くできる。なお、ユーザは、待機時間Twにおいて、手動投入部65に剤を投入することもできる。剤は、例えば、粉洗剤、漂白剤を含む追加の剤、自動投入を行わない場合の液剤、などを含む。
【0073】
続いて、
図12Bに示すように、制御部12は、予想給水時間T2から自動投入時間T1を引いた時間差が所定時間T5より大きいか否か判定する(S17)。所定時間T5は、予め記憶部13に記憶された閾値であり、液剤吐出流路64を洗浄するために必要な水を流すためにかかる時間である。所定時間T5は、液剤吐出流路64の長さや断面積等の自動投入ユニット6の設計事項に応じて設定される。
【0074】
T2-T1≧T5の場合(S17でYes)、制御部12は第1制御を実行する(S18~S19)。
【0075】
第1制御では、制御部12は、時刻tが給水を開始する時刻tb以降であるか否かを判定する(S18)。給水開始tbは、布量判定時刻taから、使用者が液剤を手動で投入するために設けられた待機時間Twが経過した時刻である。
【0076】
時刻tが給水開始tbより後である場合(S18でYes)、
図11Aに示すように、制御部12は、洗剤の自動投入と給水とを開始する(S19)。本実施形態では、洗剤の自動投入と給水とを同時に開始する。より具体的には、制御部12は、液剤投入装置63のモータ72を回転させるとともに、給水電磁弁66を開放することで、洗剤の自動投入と給水とを同時に開始する。
【0077】
時刻tが給水開始tbより後でない場合(S18でNo)、ステップ18に戻る。
【0078】
一方で、T2-T1<T5の場合(S17でNo)、制御部12は第2制御を実行する(S118~S122)。
【0079】
図11Bに示すように、第2制御では、制御部12は、自動投入の開始の時刻tcを決定する(S118)。自動投入開始tcは、第1制御に対して早めた時刻である。具体的には、自動投入開始tcは、自動投入後における所定時間T5の給水を確保するために、給水開始tbに対して早めた時刻である。制御部12は、自動投入時間T1、予想給水時間T2及び所定時間T5に基づいて、自動投入開始tcを決定する。具体的には、制御部12は、給水開始tbから時間ΔT引いて自動投入開始tcを決定する。時間ΔTは、自動投入時間T1と所定時間T5との合計から予想給水時間T2を引いた値である。
【0080】
続いて、制御部12は、時刻tが自動投入開始tc以降であるか否かを判定する(S119)。
【0081】
時刻tが自動投入開始tcより後である場合(S119でYes)、
図11Bに示すように、制御部12は、洗剤の自動投入を開始する(S120)。より具体的には、制御部12は、液剤投入装置63のモータ72を回転させることで、洗剤の自動投入を開始する。
【0082】
時刻tが自動投入開始tcより後でない場合(S119でNo)、ステップ118に戻る。
【0083】
続いて、制御部12は、時刻tが給水開始tbより後であるか否かを判定する(S121)。
【0084】
時刻tが給水開始tbより後である場合(S121でYes)、制御部12は、給水を開始する(S122)。より具体的には、制御部12は、給水電磁弁66を開放することで、給水を開始する。
【0085】
時刻tが給水開始tbより後でない場合(S121でNo)、ステップ121に戻る。
【0086】
図13に示すように、制御部12が洗剤を吐出する液剤投入装置63Cを駆動すると、洗剤P1がタンク62Cから液剤吐出流路64(図示せず)に排出される。洗剤P1は、重力に沿って液剤吐出流路64を流れ、ケース61の投入流路82に流入する。
【0087】
また、制御部12が給水電磁弁66を開放すると、水は供給流路67において矢印X1及びX2で示す経路に流れる。水X1は、タンク62の上方に形成される開口94からケース61に流入する。流入した水X1は、ケース61から液剤吐出流路64を流れ、ケース61の投入流路82に流入する。水X2は、手動投入部65を通じてケース61に流入する。流入した水X2は、傾斜されたケース61の内底面B4に沿って投入流路82に流入する。
【0088】
洗剤P1及び水X1、X2は、投入流路82の傾斜によって液剤出口81に導かれ、接続流路8を介して外槽3(
図1)に流入する。
【0089】
液剤の自動投入は、自動投入開始から自動投入時間T1が経過すると終了し、終了する時刻を時刻tdとする(
図11Aから
図11C)。一方で、予想給水時間T2と実給水時間T6が異なることがあるため、給水の終了は時間の経過ではなく、目標水位に到達したか否かによって判断する。そこで、自動投入後における所定時間T5の給水を確保するために、
図12Bに示す動作を行う。
【0090】
制御部12は自動投入が終了したか否かを判断する。具体的には、制御部12は、時刻tが自動投入終了tdより後か否かを判断する(S20)。
【0091】
自動投入が終了した場合(S20でYes)、制御部12は自動投入終了より実給水終了が早かったか否かを判定する。具体的には、制御部12は、自動投入終了tdにおいて、水位センサ90が検出する水位が目標水位に到達によって、実給水が終了して給水弁10を閉弁しているか否かを判定する(S21)。
【0092】
自動投入が終了した場合(S20でNo)、ステップ20に戻る。
【0093】
まず、水位センサ90で検出する水位が目標水位に到達している場合(S21でYes)、即ち、自動投入より実際の給水の方が早く終わった場合について説明する。この場合、制御部12は第3制御を実行する。第3制御では、自動投入の終了に対して給水の終了を相対的に遅らせる。具体的には、
図11Cに示すように、自動投入終了tdより後において、制御部12は給水電磁弁66を開放して追加給水を行う(S22)。給水時間を延長するように、追加給水は間欠的に行われてもよい。また、給水時間を延長するように、追加給水は、絞り弁によって給水の流量を絞った状態で行われてもよい。
【0094】
次に、水位センサ90が検出する水位が目標水位に到達していない場合、(S21でNo)、即ち、自動投入終了時において実給水時間T6が継続している場合について説明する。
図11A及び
図11Bに示すように、制御部12は、自動投入終了から実給水終了までの時間T4をカウントする(S23)。
【0095】
制御部12は、カウント時間T4が所定時間T5より大きいか否か判定する(S24)。
【0096】
図11A及び
図11Bに示すように、カウント時間T4が所定時間T5より大きいと(S24でYes)、動作は終了する(END)。
【0097】
一方で、カウント時間T4が所定時間T5より小さいと(S24でNo)、実際給水終了後において、充分な給水を確保するように、制御部12は給水電磁弁66を開放して追加給水を行ってもよい(S22)。
【0098】
ステップ22が終了すると、動作は終了する(END)。
【0099】
[効果]
実施の形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0100】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、タンク62と、液剤吐出流路64と、自動液剤投入装置(液剤投入装置63)と、給水弁10と、制御部12と、を備える。外槽3は筐体2内に弾性支持される。タンク62は、外槽3に供給される液剤を収容する。液剤吐出流路64は、外槽3とタンク62とを接続する。液剤投入装置63は、タンク62に接続され、液剤吐出流路64に液剤(洗剤)を吐出する。制御部12は、洗い工程において、給水弁10による給水と液剤投入装置63による自動投入とを併せて行う。制御部12は、給水弁10による給水と、液剤投入装置63による自動投入と、を並行して所定のタイミングで開始させる第1制御を有する。また、制御部12は、第1制御に対して自動投入の開始を相対的に早める第2制御、および/または、第1制御に対して給水弁による給水の終了を相対的に遅らせる第3制御、を有する。
【0101】
このような構造によって、第1制御、第2制御および/または第3制御を実行し、自動投入の終了のタイミングと給水の終了のタイミングとを制御することができる。そのため、給水を自動投入より後に終了させることができるので、液剤が液剤吐出流路64に残留することを抑制し、液剤吐出流路64の閉塞及び洗い性能の低下を抑制できる。
【0102】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、第1制御、第2制御、または第3制御、のいずれかの制御を実行し、自動投入の終了よりも後に給水弁10による給水を終了させる。
【0103】
このような構造によって、第1制御、第2制御および/または第3制御を切り替えることで、自動投入の終了よりも後に給水が終了するように制御することができる。
【0104】
また、本実施形態の洗濯機1は、外槽3に回転可能に内包される内槽4と、内槽4に収容された衣類の量を検知する布量検知部(布量センサ91、具体的にはモータの負荷トルクを測定している布量検知手段)と、を備える。制御部12は、布量センサ91により検知された衣類の量に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替える。
【0105】
このような構造によって、布量センサ91により検知された洗濯物15の量に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替えることができる。
【0106】
また、本実施形態の洗濯機1は、投入基準量の設定を受け付ける投入基準量設定部12Aを備える。洗濯機1は、少なくとも、投入基準量に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替える。
【0107】
このような構造によって、投入基準量に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替えることができる。
【0108】
また、本実施形態の洗濯機1は、投入量を補正する補正設定を受け付ける投入量補正設定部を備える。洗濯機1は、少なくとも、補正設定に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替える。
【0109】
このような構造によって、補正設定に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替えることができる。
【0110】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、第2制御において、第1制御における自動投入の開始よりも自動投入の開始を早める。
【0111】
このような構造によって、給水の開始に対して自動投入時間T1の終了を早めることができる。そのため、第1制御と第2制御とで給水の開始時刻を変えることなく、給水時間を自動投入時間T1よりも後に終了させることができる。
【0112】
また、本実施形態の洗濯機1は、外槽3に貯められた水の水位を検知する水位検知部(水位センサ90)を備える。制御部12は、水位センサ90により検知された水位が所定の水位に到達した場合、第3制御として、給水弁10に追加で給水(追加給水)を行わせる。
【0113】
このような構造によって、水位センサ90により検知された水位が所定の水位に到達した場合、追加給水(S21)によって、給水弁10による給水の終了を相対的に遅らせることができる。そのため、予想される給水時間(T2)の終了時刻よりも早く給水が終わってしまった場合であっても、給水時間を自動投入時間T1よりも後に終了させることができる。
【0114】
また、本実施形態の洗濯機1において、制御部12は、第3制御において、給水弁10による給水を間欠的に行わせる。
【0115】
このような給水方式によって、連続的に給水を行う場合と比較して、少量ずつ給水を行うため、給水時間を長引かせることができる。そのため、通常の給水(S19、S122)または追加給水(S21)において、外槽3への給水量を抑制しつつ、給水時間の終了を遅らせることができる。したがって、長期間にわたる経路洗浄の効果が得られる。
【0116】
また、本実施形態の洗濯機1は、外槽3に貯められた水の水位を検知する水位検知部(水位センサ90)を備える。今回または過去の洗濯運転における、給水弁10を開放した時間と、水位センサ90により検知された水位と、に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替える。
【0117】
このような構造によって、給水弁10を開放した時間と、水位センサ90により検知された水位との測定値または学習値に基づいて、第1制御と、第2制御または第3制御と、の間で切り替えることができる。
【0118】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0119】
なお、通常の給水(S19、S122)、追加給水(S21)をそれぞれ第1給水、第2給水と称してもよい。
【0120】
なお、実施形態において、通常の給水(S19、S122)が連続的に行われる例について説明したが、これに限定されない。例えば、通常の給水(S19、S122)は間欠的に行われてもよい。
【0121】
なお、実施形態において、制御部12が、給水の開始に対して自動投入の開始を早める例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部12は、自動投入の開始に対して給水の開始を遅らせてもよい。
【0122】
なお、実施形態において、第1制御(S18~S19)では、給水と自動投入とが同時に開始される例について説明したが、これに限定されない。第1制御において、自動投入と給水とは一部において時間的に重複していれば、給水と自動投入との開始を時間的にずらしてもよい。このような場合でも、予想給水終了が自動投入終了より後になるように、
図12Bに示す各処理を実行すればよい。
【0123】
なお、実施形態において、第2制御(S118~S122)では、自動投入の開始を早める例について説明したが、これに限定されない。第2制御において、給水の開始を自動投入の開始に対して遅らせてもよい。
【0124】
なお、実施形態において、洗い工程における制御部12の動作について説明したが、これに限定されない。例えば、すすぎ工程において柔軟剤を投入する場合においても、制御部12は、給水の開始に対する柔軟剤の自動投入の開始を制御してもよい。一方で、本実施形態による制御は、粘性が高い液剤でより好適に利用される。粘性が高い柔軟剤を使用する場合は、柔軟剤投入においても、本実施形態による制御を行ってもよい。
【0125】
なお、実施形態において、液剤吐出流路64が傾斜されると説明したが、これに限定されない。液剤吐出流路64は水平方向に配置されてもよい。
【0126】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 内槽
5 駆動部
6 自動投入ユニット
8 接続流路
10 給水弁
11 排水弁
12 制御部
13 記憶部
14 表示部
61 ケース
62 タンク
63 液剤投入装置
64 液剤吐出流路
65 手動投入部
66 給水電磁弁
90 水位センサ
91 布量センサ
K 幅方向
M 前後方向