(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
(21)【出願番号】P 2021550636
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035645
(87)【国際公開番号】W WO2021065587
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2019183830
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 順司
(72)【発明者】
【氏名】柳田 真明
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳壽子
(72)【発明者】
【氏名】高見 義則
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182709(JP,A)
【文献】特開2018-207100(JP,A)
【文献】特開2011-146516(JP,A)
【文献】特開2017-163614(JP,A)
【文献】特開2014-011253(JP,A)
【文献】特開2016-058633(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167551(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
画素電極と、対向電極と、前記半導体基板の上方に位置し、前記画素電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層と、を含む光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備え、
平面視において、前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さ
く、
前記半導体基板の表面において、
前記第1ソースと前記第1ドレインとを結ぶ第1ラインと、前記第1ソースと前記第1ドレインとを結ぶ第2ラインと、を含むPNジャンクションを有し、
前記第1ラインと前記第2ラインとの間の領域の面積は、前記第1ラインの両端を結ぶ第1直線と、前記第2ラインの両端を結ぶ第2直線との間の領域の面積よりも大きい、
撮像装置。
【請求項2】
前記増幅トランジスタは、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含み、
前記半導体基板の表面において、前記注入領域の平均幅は、前記第1ソースの幅と前記第1ドレインの幅との平均値よりも大きい、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
半導体基板と、
画素電極と、対向電極と、前記半導体基板の上方に位置し、前記画素電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層と、を含む光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備え、
平面視において、前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さく、
前記増幅トランジスタは、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含み、
前記半導体基板の表面において、前記注入領域の平均幅は、前記第1ソースの幅と前記第1ドレインの幅との平均値よりも大きい、
撮像装置。
【請求項4】
平面視において、前記第1ドレインから前記電荷蓄積部までの距離は、前記第1ソースから前記電荷蓄積部までの距離よりも大きい、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記増幅トランジスタの出力信号が前記電荷蓄積部に負帰還するように、前記増幅トランジスタ及び前記電荷蓄積部が配置されている、
請求項1
から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
第2ソース及び第2ドレインを含み、前記増幅トランジスタが出力信号を出力するタイミングを決定する選択トランジスタをさらに備え、
平面視において、前記第2ソース及び前記第2ドレインからなる群から選択される少なくとも1つの幅は、前記増幅トランジスタの前記第1ドレインの幅よりも小さい、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記増幅トランジスタは、デプレッション型であり、
前記増幅トランジスタは、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに含まれた不純物の導電型と同一の導電型の不純物を含む注入領域であって、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含む、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
半導体基板と、
前記半導体基板内に位置する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備え、
平面視において、前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さく、
前記第1ドレインから前記電荷蓄積部までの距離は、前記第1ソースから前記電荷蓄積部までの距離よりも大き
く、
前記半導体基板の表面において、
前記第1ソースと前記第1ドレインとを結ぶ第1ラインと、前記第1ソースと前記第1ドレインとを結ぶ第2ラインと、を含むPNジャンクションを有し、
前記第1ラインと前記第2ラインとの間の領域の面積は、前記第1ラインの両端を結ぶ第1直線と、前記第2ラインの両端を結ぶ第2直線との間の領域の面積よりも大きい、
撮像装置。
【請求項9】
前記増幅トランジスタは、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含み、
前記半導体基板の表面において、前記注入領域の平均幅は、前記第1ソースの幅と前記第1ドレインの幅との平均値よりも大きい、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
半導体基板と、
前記半導体基板内に位置する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備え、
平面視において、前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さく、
前記第1ドレインから前記電荷蓄積部までの距離は、前記第1ソースから前記電荷蓄積部までの距離よりも大きく、
前記増幅トランジスタは、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含み、
前記半導体基板の表面において、前記注入領域の平均幅は、前記第1ソースの幅と前記第1ドレインの幅との平均値よりも大きい、
撮像装置。
【請求項11】
前記増幅トランジスタの出力信号が前記電荷蓄積部に負帰還するように、前記増幅トランジスタ及び前記電荷蓄積部が配置されている、
請求項8
から10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
第2ソース及び第2ドレインを含み、前記増幅トランジスタが出力信号を出力するタイミングを決定する選択トランジスタをさらに備え、
平面視において、前記第2ソース及び前記第2ドレインからなる群から選択される少なくとも1つの幅は、前記増幅トランジスタの前記第1ドレインの幅よりも小さい、
請求項8
から11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記増幅トランジスタは、デプレッション型であり、
前記増幅トランジスタは、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに含まれた不純物の導電型と同一の導電型の不純物を含む注入領域であって、前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含む、
請求項8から
12のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記増幅トランジスタのソースおよびドレインは入れ替わらない、
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記増幅トランジスタの第1ドレインには、直流電位が供給される、
請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記増幅トランジスタのソースおよびドレインは入れ替わらない、
請求項8から13のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記増幅トランジスタの第1ドレインには、直流電位が供給される、
請求項16に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等に、イメージセンサが用いられている。イメージセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等が挙げられる。
【0003】
一例に係るイメージセンサでは、半導体基板にフォトダイオードが設けられている。
【0004】
別例に係るイメージセンサでは、半導体基板の上方に光電変換層が設けられている。このような構造を有する撮像装置は、積層型の撮像装置と呼ばれることがある。
【0005】
一具体例に係る積層型の撮像装置では、光電変換によって、信号電荷が発生する。発生した電荷は、電荷蓄積ノードに蓄積される。電荷蓄積ノードに蓄積された電荷量に応じた信号が、半導体基板に形成されたCCD回路またはCMOS回路を介して読み出される。
【0006】
特許文献1では、撮像装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高速かつ低ノイズの撮像装置が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る撮像装置は、
画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層と、を含む光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備える。
平面視において、前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る技術は、高速かつ低ノイズの撮像装置を実現するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、撮像装置の回路構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、画素の回路構成を示す回路図である。
【
図3】
図3は、読み出し回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、増幅トランジスタの構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、増幅トランジスタの構造を示す平面図である。
【
図6】
図6は、シミュレーションで得られた、増幅トランジスタの相互コンダクタンスgmと、増幅トランジスタのゲート・ドレイン間容量Cgdと、の関係を表すグラフである。
【
図7】
図7は、分割構造を有する増幅トランジスタの説明図である。
【
図8】
図8は、分割構造を有する増幅トランジスタの説明図である。
【
図9】
図9は、各トランジスタの配置を示す平面図である。
【
図11A】
図11Aは、シミュレーションで模擬した増幅トランジスタの説明図である。
【
図11B】
図11Bは、シミュレーションで模擬した増幅トランジスタの説明図である。
【
図11C】
図11Cは、シミュレーションで模擬した増幅トランジスタの説明図である。
【
図12A】
図12Aは、シミュレーションで模擬した増幅トランジスタの説明図である。
【
図12B】
図12Bは、シミュレーションで模擬した増幅トランジスタの説明図である。
【
図13】
図13は、シミュレーションで得られた、増幅トランジスタの閾値電圧VTopと、増幅トランジスタのゲート・ドレイン間容量Cgdと、の関係を表すグラフである。
【
図14】
図14は、シミュレーションで得られた、増幅トランジスタの閾値電圧VTopと、増幅トランジスタの相互コンダクタンスgmと、の関係を表すグラフである。
【
図18】
図18は、各トランジスタの配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る撮像装置は、
画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層と、を含む光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備える。
平面視において、前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さい。
【0013】
第1態様は、高速かつ低ノイズの撮像装置を実現するのに適している。
【0014】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る撮像装置では、
平面視において、前記増幅トランジスタの前記第1ドレインから前記電荷蓄積部までの距離は、前記増幅トランジスタの前記第1ソースから前記電荷蓄積部までの距離よりも大きくてもよい。
【0015】
第2態様は、低ノイズの撮像装置を実現するのに適している。
【0016】
本開示の第3態様において、例えば、第1または第2態様に係る撮像装置では、
前記増幅トランジスタの出力信号が前記電荷蓄積部に負帰還するように、前記増幅トランジスタ及び前記電荷蓄積部が配置されていてもよい。
【0017】
第3態様によれば、第1態様の寸法の大小関係と相俟って、高効率のノイズキャンセリングを実現できる。
【0018】
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る撮像装置は、第2ソース及び第2ドレインを含み、前記増幅トランジスタが出力信号を出力するタイミングを決定する選択トランジスタをさらに備えていてもよく、
平面視において、
前記第2ソース及び前記第2ドレインからなる群から選択される少なくとも1つの幅は、前記増幅トランジスタの前記第1ドレインの幅よりも小さくてもよい。
【0019】
第4態様は、選択トランジスタにおける容量カップリングを抑制する観点から優れている。
【0020】
本開示の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る撮像装置は、半導体基板をさらに備えていてもよく、
前記半導体基板の表面において、
前記増幅トランジスタの前記第1ソースの輪郭線の一部および前記増幅トランジスタの前記第1ドレインの輪郭線の一部を通る、ジャンクションが延びていてもよく、
前記ジャンクションは、前記増幅トランジスタの前記第1ソースと前記増幅トランジスタの前記第1ドレインとを結ぶ第1ラインと、前記増幅トランジスタの前記第1ソースと前記増幅トランジスタの前記第1ドレインとを結ぶ第2ラインと、を含んでいてもよく、
前記第1ラインの両端を結ぶ線分を第1線分と定義し、前記第2ラインの両端を結ぶ線分を第2線分と定義したとき、前記第1ラインと前記第2ラインとの間の領域の面積は、前記第1線分と前記第2線分との間の領域の面積よりも大きくてもよい。
【0021】
第5態様は、広い電流パスを確保するのに適している。
【0022】
本開示の第6態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る撮像装置では、
前記増幅トランジスタは、デプレッション型であってもよく、
前記増幅トランジスタは、前記増幅トランジスタの前記第1ソースおよび前記第1ドレインに含まれた不純物の導電型と同一の導電型の不純物を含む注入領域であって、前記増幅トランジスタの前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含んでいてもよい。
【0023】
第6態様は、増幅トランジスタの動作効率を高める観点から有利である。
【0024】
本開示の第7態様において、例えば、第6態様に係る撮像装置は、半導体基板をさらに備えていてもよく、
前記半導体基板の表面において、前記注入領域の平均幅は、前記増幅トランジスタの前記第1ソースの幅と前記第1ドレインの幅との平均値よりも大きくてもよい。
【0025】
第7態様は、広い電流パスを確保するのに適している。
【0026】
本開示の第8態様に係る撮像装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板内に位置する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
第1ソースと、第1ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備える。
平面視において、
前記第1ドレインの幅は、前記第1ソースの幅よりも小さく、
前記第1ドレインから前記電荷蓄積部までの距離は、前記第1ソースから前記電荷蓄積部までの距離よりも大きい。
【0027】
第8態様は、高速かつ低ノイズの撮像装置を実現するのに適している。
【0028】
本開示の第9態様において、例えば、第8態様に係る撮像装置では、
前記増幅トランジスタの出力信号が前記電荷蓄積部に負帰還するように、前記増幅トランジスタ及び前記電荷蓄積部が配置されていてもよい。
【0029】
第9態様によれば、第8態様の寸法の大小関係と相俟って、高効率のノイズキャンセリングを実現できる。
【0030】
本開示の第10態様において、例えば、第8または第9態様に係る撮像装置は、第2ソース及び第2ドレインを含み、前記増幅トランジスタが出力信号を出力するタイミングを決定する選択トランジスタをさらに備えていてもよく、
平面視において、
前記第2ソース及び前記第2ドレインからなる群から選択される少なくとも1つの幅は、前記増幅トランジスタの前記第1ドレインの幅よりも小さくてもよい。
【0031】
第10態様は、選択トランジスタにおける容量カップリングを抑制する観点から優れている。
【0032】
本開示の第11態様において、例えば、第8から第10態様のいずれか1つに係る撮像装置では、
前記半導体基板の表面において、
前記増幅トランジスタの前記第1ソースの輪郭線の一部および前記増幅トランジスタの前記第1ドレインの輪郭線の一部を通る、ジャンクションが延びていてもよく、
前記ジャンクションは、前記増幅トランジスタの前記第1ソースと前記増幅トランジスタの前記第1ドレインとを結ぶ第1ラインと、前記増幅トランジスタの前記第1ソースと前記増幅トランジスタの前記第1ドレインとを結ぶ第2ラインと、を含んでいてもよく、
前記第1ラインの両端を結ぶ線分を第1線分と定義し、前記第2ラインの両端を結ぶ線分を第2線分と定義したとき、前記第1ラインと前記第2ラインとの間の領域の面積は、前記第1線分と前記第2線分との間の領域の面積よりも大きくてもよい。
【0033】
第11態様は、広い電流パスを確保するのに適している。
【0034】
本開示の第12態様において、例えば、第8から第11態様のいずれか1つに係る撮像装置では、
前記増幅トランジスタは、デプレッション型であってもよく、
前記増幅トランジスタは、前記増幅トランジスタの前記第1ソースおよび前記第1ドレインに含まれた不純物の導電型と同一の導電型の不純物を含む注入領域であって、前記増幅トランジスタの前記第1ソースおよび前記第1ドレインに接続された注入領域を含んでいてもよい。
【0035】
第12態様は、増幅トランジスタの動作効率を高める観点から有利である。
【0036】
本開示の第13態様において、例えば、第12態様に係る撮像装置では、
前記半導体基板の表面において、前記注入領域の平均幅は、前記増幅トランジスタの前記第1ソースの幅と前記第1ドレインの幅との平均値よりも大きくてもよい。
【0037】
第13態様は、広い電流パスを確保するのに適している。
【0038】
本開示の第14態様に係る撮像装置は、
光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積する、拡散領域である電荷蓄積部と、
ソースと、ドレインと、前記電荷蓄積部に電気的に接続されたゲート電極と、を含む増幅トランジスタと、を備え、
平面視において、前記増幅トランジスタの前記ドレインの幅は、前記増幅トランジスタの前記ソースの幅よりも小さい。
【0039】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
【0040】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムまたは方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムおよび方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0041】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【0042】
本明細書では、第1、第2、第3・・・という序数詞を用いることがある。ある要素に序数詞が付されている場合に、より若番の同種類の要素が存在することは必須ではない。必要に応じて序数詞の番号を変更することができる。
【0043】
以下の実施形態のトランジスタの極性、拡散領域の導電型は、一例である。矛盾のない限り、トランジスタの極性および拡散領域の導電型を反転させてもよい。
【0044】
<撮像装置100の構造>
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の構造を示す。
図1を参照しながら、撮像装置100の構造を説明する。
【0045】
撮像装置100は、複数の画素101と、周辺回路と、を備える。
【0046】
複数の画素101により、画素領域が構成されている。本実施形態では、複数の画素101は、二次元状に配置されている。
【0047】
具体的には、
図1の例では、複数の画素101は、行方向および列方向に配列されている。行方向は、行が延びる方向である。列方向は、列が延びる方向である。
図1において、垂直方向が、列方向である。水平方向が、行方向である。
【0048】
ただし、複数の画素101は、一次元に配列されていてもよい。その場合、撮像装置100は、ラインセンサであり得る。
【0049】
撮像装置100は、信号線CON1と、信号線CON2と、信号線CON3と、電源線CON4と、電源線CON5と、電源線CON6と、信号線111と、信号線114と、電源線112と、を備える。
【0050】
信号線CON1、信号線CON2および信号線CON3は、行毎に配置されている。
【0051】
信号線111は、列毎に配置されている。各列の信号線111は、その列の画素101に接続されている。各列の信号線111に対して、定電流源105Bが接続され得る。各列の信号線111に対して、電圧VSFHが印加され得る。各列の信号線111に対して、電圧VSFLが印加され得る。電圧VSFHは、電圧VSFLに比べて高い。
【0052】
信号線114は、各画素101に接続されている。信号線114は、定電流源105Aに接続されている。また、信号線114に対して、電圧AVDDPが印加され得る。
【0053】
電圧VSFHは、例えば、電源電圧である。電圧VSFLは、例えば、グランド電圧である。電圧AVDDPは、例えば、電源電圧である。
【0054】
図1の例では、画素101と定電流源105Aとは、常時電気的に接続されている。ただし、画素101と定電流源105Aとがスイッチを介して接続されていてもよい。
【0055】
電源線112には、基準電圧Vpが印加される。電源線112は、全ての画素101に基準電圧Vpを供給する。
【0056】
周辺回路は、垂直走査回路102と、カラム信号処理回路103と、水平信号読み出し回路104と、定電流源105Aと、定電流源105Bとを含む。
【0057】
カラム信号処理回路103および定電流源105Bは、例えば、二次元に配列された画素101の列毎に配置される。
【0058】
垂直走査回路102は、信号線CON1と、信号線CON2と、信号線CON3とに接続されている。
【0059】
垂直走査回路102は、信号線CON1に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の画素101を行単位で選択する。これにより、選択された画素101の信号電圧の読み出しと、画素電極121bのリセットとが実行される。
【0060】
各列に配置された画素101は、自身が属する列の信号線111を介してカラム信号処理回路103に電気的に接続されている。カラム信号処理回路103は、雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)等を行う。雑音抑圧信号処理は、例えば、相関二重サンプリングである。
【0061】
複数の列に対応して設けられた複数のカラム信号処理回路103には、水平信号読み出し回路104が電気的に接続されている。水平信号読み出し回路104は、複数のカラム信号処理回路103から出力された信号を水平信号共通線113に順次読み出す。
【0062】
垂直走査回路102は、行走査回路とも呼ばれる。カラム信号処理回路103は、行信号蓄積回路とも呼ばれる。水平信号読み出し回路104は、列走査回路とも呼ばれる。
【0063】
電圧AVDDPは、図示しない電源により生成され、電源線CON4に印加される。電源線CON4は、第1スイッチsw1を介して信号線114に接続されている。また、電源線CON4は、定電流源105Bにおける信号線114とは反対側の端部に接続されている。
【0064】
電圧VSFHは、図示しない電源により生成され、電源線CON5に印加される。電源線CON5は、第2スイッチsw2を介して信号線111に接続されている。
【0065】
電圧VSFLは、図示しない電源により生成され、電源線CON6に印加される。電源線CON6は、第3スイッチsw3を介して信号線111に接続されている。
【0066】
電圧AVDDPを生成する電源は、撮像装置100の内部に設けられていてもよく、撮像装置100の外部に設けられていてもよい。この点については、電圧VSFHを生成する電源および電圧VSFLを生成する電源についても同様である。
【0067】
定電流源105Bは、第4スイッチsw4を介して信号線111に接続されている。定電流源105Bにおける信号線111とは反対側の端部には、グランド電位AGNDが印加されている。
【0068】
図2は、本実施形態に係る撮像装置100内の画素101の例示的な構成を示す回路図である。画素101は、光電変換部121と、読み出し回路122とを含む。
【0069】
光電変換部121は、光検出器である。光電変換部121は、光信号である入射光を電気信号である信号電荷に変換する。以下、信号電荷を、単に電荷と称することがある。
【0070】
読み出し回路122は、光電変換部121により検出された電気信号を読み出す。読み出し回路122は、帯域制御部123と、選択トランジスタ125と、増幅トランジスタ126とを含む。また、読み出し回路122は、電荷蓄積ノード128を含む。ここで、電荷蓄積ノード128は、増幅トランジスタ126の出力に寄与する信号電荷が蓄積される構成を指す。電荷蓄積ノード128には、光電変換部121によって検出された信号電荷が蓄積される。
【0071】
本実施形態では、光電変換部121は、対向電極121aと、画素電極121bと、光電変換層121cと、を有する。
【0072】
対向電極121aには、基準電圧Vpが印加される。画素電極121bは、電荷蓄積ノード128に含まれている。光電変換層121cは、対向電極121aと画素電極121bとの間に配置されている。
【0073】
典型的には、光電変換層121cは、膜形状を有する。光電変換層121cは、例えば、有機材料により形成されている。
【0074】
光電変換部121で生成された信号電荷は、電荷蓄積ノード128に蓄積される。具体的には、光電変換層121cで生成された信号電荷は、画素電極121bで収集される。こうして、電荷蓄積ノード128に信号電荷が蓄積される。
【0075】
より具体的には、光電変換層121cに光が入射すると、光電変換により、電子-正孔対が発生する。対向電極121aと画素電極121bとの間に電位差がある場合、発生した電子あるいは正孔の一方が、画素電極121bに移動する。本実施形態では、対向電極121aに印加される基準電圧Vpが、画素電極121bの電圧よりも高い。この場合、正孔が、画素電極121bに移動する。こうして、電荷蓄積ノード128に正孔が蓄積される。
【0076】
本実施形態では、正孔が信号電荷として用いられる。ただし、電子が信号電荷として用いられてもよい。
【0077】
本実施形態では、撮像装置100では、光電変換部121が、半導体基板150の一方の表面上に積層されている。撮像装置100は、積層型の撮像装置であると言える。
【0078】
光電変換部として、光電変換機能を有する他の素子を用いてもよい。例えば、光電変換部としてフォトダイオードを用いることも可能である。光電変換部としてフォトダイオードが用いられる例については、
図17および
図18を参照して後述する。
【0079】
電荷蓄積ノード128は、増幅トランジスタ126のゲートを含んでいる。電荷蓄積ノード128に蓄積された信号電荷は、増幅トランジスタ126から出力される。具体的には、増幅トランジスタ126は、電荷蓄積ノード128に蓄積された信号電荷の量に対応した信号を帯域制御部123および選択トランジスタ125に出力する。
【0080】
帯域制御部123は、リセットトランジスタ131と、フィードバックトランジスタ132と、容量素子133と、容量素子134とを含んでいる。リセットトランジスタ131は、電荷蓄積ノード128をリセットする。
【0081】
上述のように、電荷蓄積ノード128に蓄積された信号電荷は、増幅トランジスタ126から出力される。フィードバックトランジスタ132は、増幅トランジスタ126から出力され電荷蓄積ノード128に帰還される帰還信号の帯域を制限する。
【0082】
「容量素子」は、電極の間に絶縁膜等の誘電体が挟まれた構造を意味する。また、「電極」は、金属から形成された電極に限定されず、ポリシリコン層等を広く含むように解釈される。本明細書における「電極」は、半導体基板の一部分であってもよい。
【0083】
後述する「ノイズ抑制期間」において、電荷蓄積ノード128から読み出された信号電荷は、増幅トランジスタ126によって増幅され、フィードバックトランジスタ132によって帯域制限をかけられた後に電荷蓄積ノード128に帰還される。つまり、読み出し回路122は、増幅トランジスタ126から出力された、信号電荷の量に応じた信号を、電荷蓄積ノード128に負帰還する帰還経路を有する。この帰還経路は、増幅トランジスタ126と、フィードバックトランジスタ132と、容量素子134とを含む。
【0084】
選択トランジスタ125は、増幅トランジスタ126が出力信号を出力するタイミングを決定する。選択トランジスタ125は、少なくとも2つの画素101で共有される信号線111に接続されている。本実施形態では、信号線111を共有する画素101は、同じ列に属している。信号線111は、全ての列に配置されていなくてもよい。例えば、複数の列に対して一本の信号線111が配置されており、複数の列で一本の信号線111を共有していてもよい。あるいは、1つの列に複数の信号線111が配置されていてもよい。
【0085】
後述する「読み出し期間」および「リセット読み出し期間」において、増幅トランジスタ126によって増幅された信号は、選択トランジスタ125を介して信号線111に出力される。この期間において、帰還経路は形成されない。
【0086】
本実施形態では、選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、リセットトランジスタ131およびフィードバックトランジスタ132は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。この点は、
図17および
図18を参照して後述する転送トランジスタ137についても同様である。
【0087】
図示の例では、選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、リセットトランジスタ131、フィードバックトランジスタ132および転送トランジスタ137は、同じ導電型のMOSFETである。具体的には、選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、リセットトランジスタ131、フィードバックトランジスタ132および転送トランジスタ137は、N型のMOSFETである。ただし、選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、リセットトランジスタ131、フィードバックトランジスタ132および転送トランジスタ137は、P型のMOSFETであってもよい。
【0088】
選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、リセットトランジスタ131、及びフィードバックトランジスタ132の各々は、ドレインおよびソースを有する。各トランジスタのソースおよびドレインは、それぞれ拡散領域である。転送トランジスタ137についても同様である。
【0089】
本実施形態では、増幅トランジスタ126の2つの拡散領域のうちどちらがソースでありどちらがドレインであるかは、固定されている。つまり、増幅トランジスタ126では、ソースおよびドレインは入れ替わらない。この点は、選択トランジスタ125についても同様である。
【0090】
一方、リセットトランジスタ131の2つの拡散領域のうちどちらがソースに該当しどちらがドレインに該当するかは、リセットトランジスタ131の極性およびその時点での電位の高低によって決定される。そのため、どちらがソースに該当しどちらがドレインに該当するかは、リセットトランジスタ131の作動状態によって変動し得る。つまり、リセットトランジスタ131では、ソースおよびドレインは入れ替わり得る。この点は、フィードバックトランジスタ132についても同様である。また、この点は、転送トランジスタ137についても同様である。
【0091】
ソースおよびドレインが入れ替わらないトランジスタにおいて、ソースおよび/またはドレインの電位は、固定されていてもよく、変動し得るものであってもよい。ソースおよびドレインが入れ替わり得るトランジスタにおいて、ソースおよび/またはドレインの電位は、固定されていてもよく、変動し得るものであってもよい。
【0092】
図2において、増幅トランジスタ126における上側の拡散領域がドレインであり、下側の拡散領域がソースである。選択トランジスタ125における上側の拡散領域がドレインであり、下側の拡散領域がソースである。
【0093】
図2において、便宜上、リセットトランジスタ131における下側の拡散領域をドレインおよびソースの一方と称し、上側の拡散領域をドレインおよびソースの他方と称する。フィードバックトランジスタ132における下側の拡散領域をドレインおよびソースの一方と称し、上側の拡散領域をドレインおよびソースの他方と称する。後述の
図17において、便宜上、転送トランジスタ137における下側の拡散領域をドレインおよびソースの一方と称し、上側の拡散領域をドレインおよびソースの他方と称する。
【0094】
<読み出し回路122の動作>
以下、
図2の例の読み出し回路122の動作について説明する。
【0095】
増幅トランジスタ126のゲートは、リセットトランジスタ131のドレインおよびソースの一方に電気的に接続されている。増幅トランジスタ126のドレインは、フィードバックトランジスタ132のドレインおよびソースの他方に接続されている。増幅トランジスタ126のソースは、選択トランジスタ125のドレインに接続されている。
【0096】
増幅トランジスタ126のドレインに、定電流源105Aが接続されている。増幅トランジスタ126のドレインに、電源線CON4が接続され得る。
【0097】
図2の例では、増幅トランジスタ126のドレインと定電流源105Aとは、常時電気的に接続されている。ただし、増幅トランジスタ126のドレインと定電流源105Aとがスイッチを介して接続されていてもよい。
【0098】
選択トランジスタ125のソースは、定電流源105Bに接続され得る。選択トランジスタ125のソースは、電源線CON5に接続され得る。選択トランジスタ125のソースは、電源線CON6に接続され得る。
【0099】
フィードバックトランジスタ132のドレインおよびソースの一方は、容量素子133の一端に電気的に接続されている。容量素子133の他端には、基準電圧VR1が印加される。フィードバックトランジスタ132と容量素子133とによってRCフィルタ回路が形成される。
【0100】
フィードバックトランジスタ132のドレインおよびソースの一方は、容量素子134の一端と電気的に接続されている。容量素子134の他端は、リセットトランジスタ131のドレインおよびソースの一方に電気的に接続されている。
【0101】
本実施形態では、容量素子133の容量Csは、容量素子134の容量Ccよりも大きい。
【0102】
フィードバックトランジスタ132のゲートには、信号線CON2が接続されている。信号線CON2の電圧により、フィードバックトランジスタ132の状態が決定される。
【0103】
例えば、信号線CON2の電圧がハイレベルのとき、フィードバックトランジスタ132はオンになる。その結果、増幅トランジスタ126と、フィードバックトランジスタ132と、容量素子134とをこの順に含む帰還経路が形成される。これにより、電荷蓄積ノード128から電荷蓄積ノード128への信号の帰還が実現される。
【0104】
信号線CON2の電圧が低くなると、フィードバックトランジスタ132の抵抗成分が大きくなる。そのため、該抵抗成分と帰還経路における容量成分とによって定まるカットオフ周波数が低くなり、帰還する信号の周波数領域は狭くなる。
【0105】
帰還経路が形成されているとき、フィードバックトランジスタ132が出力する信号は、容量素子134および電荷蓄積ノード128の寄生容量に基づく減衰回路で減衰され、減衰された信号が電荷蓄積ノード128に帰還される。
【0106】
信号線CON2の電圧がさらに低くなり、ローレベルになると、フィードバックトランジスタ132はオフになる。この場合、帰還経路は形成されない。
【0107】
リセットトランジスタ131のドレインおよびソースの他方は、接続ノード129に接続されている。ここで、接続ノードは、電気回路における複数の要素間の電気的な接続部を意味し、該要素間の電気的な接続を担う配線等を含む概念である。
【0108】
リセットトランジスタ131のゲートには、信号線CON3が接続されている。信号線CON3の電圧により、リセットトランジスタ131の状態が決定される。例えば、信号線CON3の電圧がハイレベルのとき、リセットトランジスタ131はオンになる。これにより、電荷蓄積ノード128は接続ノード129の電圧にリセットされる。
【0109】
選択トランジスタ125のゲートは信号線CON1に接続されている。信号線CON1の電圧により選択トランジスタ125の状態が決定される。例えば、信号線CON1の電圧がハイレベルのとき、選択トランジスタ125はオンになる。信号線CON1の電圧がローレベルのとき、選択トランジスタ125はオフになる。
【0110】
次に、
図3に示すタイミングチャートを参照して、読み出し回路122の動作の一例を説明する。各グラフにおいて、横軸は時刻を示している。縦軸は、上から、信号線CON1の電圧レベル、信号線CON2の電圧レベルおよび信号線CON3の電圧レベルを、それぞれ示す。
【0111】
(露光期間)
時刻t0から時刻t1までが、露光期間に対応する。
【0112】
時刻t0から時刻t1までの期間では、信号線CON1の電圧がローレベルであるため、選択トランジスタ125はオフになっている。また、この期間において、入射光に応じて生成された信号電荷が電荷蓄積ノード128に蓄積される。
【0113】
(読み出し期間)
時刻t1から時刻t2までが、読み出し期間に対応する。
【0114】
時刻t1において信号線CON1の電圧がハイレベルになることで、選択トランジスタ125がオンになる。また、読み出し期間においては、増幅トランジスタ126に電源線CON4が電気的に接続され、選択トランジスタ125に定電流源105Bが電気的に接続されている。この状態においては、増幅トランジスタ126と定電流源105Bとがソースフォロア回路を形成する。これにより、電荷蓄積ノード128に蓄積された信号電荷に応じた信号が信号線111に出力される。このとき、ソースフォロア回路の増幅率は、例えば1倍程度である。
【0115】
(リセット期間)
時刻t2から時刻t3までが、リセット期間に対応する。
【0116】
時刻t2において信号線CON2の電圧がハイレベルになることで、フィードバックトランジスタ132がオンになる。また、リセット期間においては、選択トランジスタ125に電源線CON6が接続され、増幅トランジスタ126のソースに電圧VSFLが印加される。さらに、時刻t2において、信号線CON3の電圧がハイレベルになることでリセットトランジスタ131がオンになる。これにより、電荷蓄積ノード128の電圧は、電圧VSFLにリセットされる。
【0117】
(ノイズ抑制期間)
時刻t3から時刻t4までが、ノイズ抑制期間に対応する。
【0118】
時刻t3において、信号線CON3の電圧がローレベルになることでリセットトランジスタ131がオフになる。このとき、読み出し回路122は、増幅トランジスタ126の状態に基づく増幅率で帰還経路を形成している。これにより、リセットトランジスタ131をオフにしたときの電荷蓄積ノード128のkTCノイズは、抑制される。
【0119】
時刻t2から時刻t3までの期間においては、信号線CON2の電圧は、ハイレベルの電圧に設定される。これに対し、時刻t3から時刻t4の期間においては、信号線CON2の電圧は、ハイレベルとローレベルとの間のミドルレベルの電圧に設定される。このため、時刻t2から時刻t3までの期間に比べ、時刻t3から時刻t4の期間においては、フィードバックトランジスタ132の動作帯域が狭い。
【0120】
フィードバックトランジスタ132の動作帯域を狭くすることにより、ノイズ抑制効果は大きくなる。一方、そのようにすると、ノイズ抑制に必要な時間は長くなり、従って時刻t3から時刻t4までの時間として長い時間が必要となる。時刻t3から時刻t4までの時間として許容できる時間に応じて、設計者は、フィードバックトランジスタ132の動作帯域を任意に調整できる。以下、ノイズ抑制期間におけるフィードバックトランジスタ132の動作帯域を、増幅トランジスタ126の動作帯域よりも十分に低いものとして扱う。なお、ノイズ抑制期間におけるフィードバックトランジスタ132の動作帯域が増幅トランジスタ126の動作帯域より低い場合のみならず、高い場合も、ノイズ抑制効果は得られる。
【0121】
(リセット読み出し期間)
時刻t4から時刻t5までが、リセット読み出し期間に対応する。
【0122】
時刻t4において、再び、増幅トランジスタ126に電源線CON4が接続され、選択トランジスタ125に定電流源105Bが接続される。この状態においては、増幅トランジスタ126と定電流源105Bとがソースフォロア回路を形成する。これにより、リセット電圧に応じた信号が信号線111に出力される。
【0123】
本実施形態では、後段の回路において、このリセット読み出し期間に読み出された信号と、読み出し期間に読み出された信号との差分が算出される相関二重サンプリング処理が行われる。そして、得られた差分が画素信号として撮像装置100の外部に出力される。
【0124】
kTCノイズは、ランダムノイズに含まれる。ここで、ランダムノイズは、光電変換部121で変換される電気信号が0である時の出力の揺らぎを意味する。kTCノイズはノイズ抑制期間に抑制される。その結果、ランダムノイズが抑制された良好な画像データを取得することができる。
【0125】
<増幅トランジスタ126の構造>
図4は、増幅トランジスタ126の構造を示す斜視図ある。
図5は、増幅トランジスタ126の構造を示す平面図ある。
【0126】
図4は、増幅トランジスタ126のソース126s、増幅トランジスタ126のドレイン126d、増幅トランジスタ126のゲート電極126g、及び注入領域155を示す。注入領域155については、後述する。また、点線は、不純物濃度があるレベルにある部分を模式的に示すコンター線である。
【0127】
図5に示すように、本実施形態では、平面視において、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdは、増幅トランジスタ126のソース126sの幅Wsよりも小さい。このことは、高速かつ低ノイズの撮像装置100を実現するのに適している。
【0128】
具体的には、ドレイン126dの幅Wdが小さいことは、増幅トランジスタ126のゲート・ドレイン間容量Cgdを小さくし、ノイズを低減する観点から有利である。ソース126sの幅Wsが大きいことは、ソース126sの寄生抵抗を小さくし、増幅トランジスタ126の相互コンダクタンスgmを大きくし、増幅トランジスタ126の速度を高める観点から有利である。
【0129】
なお、ソース126sの寄生抵抗を小さくすると、ゲート・ソース間電圧Vgsが大きくなり、かつ、基板バイアス効果が抑えられることにより閾値電圧VTopが小さくなる。これらの作用が相俟って、ゲートドライブ電圧Vdriveが大きくなる。このことは、増幅トランジスタ126のドレイン電流Idを確保する観点から有利である。相互コンダクタンスgmを大きくすることも、ドレイン電流Idを確保することも、増幅トランジスタ126の駆動能力の向上に寄与し得る。文脈から理解され得るが、念のために断っておくと、この説明において、ゲート・ソース間電圧Vgsは、ソース126sの寄生抵抗による影響等を考慮したものである。典型例では、寄生抵抗等により、電圧Vgsは、ゲート電圧と、周辺回路からソース126sに向かって出力される電圧と、の差よりも小さくなる。具体的な典型例では、寄生抵抗等により、電圧Vgsは、周辺回路からソース126sへの出力電圧として設定される制御値から見込まれる値よりも小さくなる。ゲートドライブ電圧Vdriveは、ゲート・ソース間電圧Vgsと閾値電圧VTopの差であり、Vdrive=Vgs-VTopで与えられる。基板バイアス効果は、バックバイアス効果とも呼ばれ、半導体基板150のバックバイアス電圧Vbに基づくものである。
【0130】
ここで、「平面視」は、半導体基板150の表面に垂直な方向に観察することをいう。「平面視」は、半導体基板150の厚さ方向に観察することをいうとも言える。
図5は、平面視した増幅トランジスタ126を表す。
【0131】
ソース、ドレイン等の拡散領域の外縁は、N型の不純物の濃度とP型の不純物の濃度が等しい部分であるジャンクションによって規定される。ジャンクションは、PNジャンクションとも称され得る。
【0132】
増幅トランジスタ126のソース126sの幅Wsおよびドレイン126dの幅Wdについて、詳細に説明する。
【0133】
増幅トランジスタ126のゲート電極126gに電圧を印加して増幅トランジスタ126をオン状態にすると、ソース126sとドレイン126dとの間に、チャネルが形成される。チャネルは、電流の通り道である。平面視において、チャネルでは、電流が流れる方向に直交する方向の寸法であるチャネル幅が規定される。
【0134】
第1の定義では、平面視において、ソース126sの幅Wsは、増幅トランジスタ126がオン状態にあるときに、ソース126sのうちチャネルに隣接する部分の幅である。平面視において、ドレイン126dの幅Wdは、増幅トランジスタ126がオン状態にあるときに、ドレイン126dのうちチャネルに隣接する部分の幅である。
【0135】
また、第1の定義では、平面視においてソース126sの幅Wsを規定する方向は、増幅トランジスタ126がオン状態にあるときに、平面視においてソース126sと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。平面視においてドレイン126dの幅Wdを規定する方向は、増幅トランジスタ126がオン状態にあるときに、平面視においてドレイン126dと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。
【0136】
第2の定義では、平面視において、増幅トランジスタ126のソース126sの幅Wsは、増幅トランジスタ126のソース126sのうちゲート電極126gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。平面視において、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdは、増幅トランジスタ126のドレイン126dのうちゲート電極126gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。
【0137】
本実施形態では、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅Wsおよび/または幅Wdに関する説明が成立する場合、その説明は成立すると扱うこととする。例えば、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅Wd<幅Wsであると言える場合、幅Wd<幅Wsであると扱うこととする。
【0138】
図6は、幅Wd<幅Wsによる効果を表すシミュレーション結果を示す。
図6において、横軸は、増幅トランジスタの相互コンダクタンスgm(単位:μS)である。縦軸は、増幅トランジスタのゲート・ドレイン間容量Cgd(単位:fF)である。シミュレーションでは、増幅トランジスタのドレイン電流Idを6μAに設定した。
【0139】
シミュレーションでは、増幅トランジスタを含むSD対称モデルと、増幅トランジスタを含むSD非対称モデルと、を用いた。SD対称モデルの増幅トランジスタでは、幅Wd=幅Wsである。SD非対称モデルの増幅トランジスタでは、幅Wd<幅Wsである。SD非対称モデルの増幅トランジスタは、本実施形態の増幅トランジスタ126に対応する。
【0140】
図6において、点線DLは、SD対称モデルを用いた場合のgmとCgdとの関係を示す。実線SLは、SD非対称モデルを用いた場合のgmとCgdとの関係を示す。点線DLと実線SLとの比較により、SD対称モデルに比べ、SD非対称モデルは、gmを大きくしつつCgdを小さくするのに有利であることが分かる。定量的には、このシミュレーション結果は、SD非対称モデルによれば、SD対称モデルと比較して、gmを同じとしたときのCgdを約20%削減できることを示している。
【0141】
増幅トランジスタ126のソース126sの幅Wsに対する増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdの比率Wd/Wsは、例えば、0.9以下である。比率Wd/Wsは、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。比率Wd/Wsは、例えば、0.1以上である。比率Wd/Wsは、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0142】
図4および
図5の例では、増幅トランジスタ126のソース126sは、1つのひとつながりの拡散領域によって構成されている。つまり、増幅トランジスタ126のソース126sは、非分割構造を有する。また、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、1つのひとつながりの拡散領域によって構成されている。つまり、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、非分割構造を有する。
【0143】
図7および
図8の例も採用可能である。
図7および
図8の例では、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、複数の拡散領域によって構成されている。つまり、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、複数に分割された分割構造を有する。平面視において、分割構造を有するドレイン126dの幅Wdは、ドレイン126dを構成する複数の拡散領域の幅の合計値で与えられる。
【0144】
具体的には、
図7の例では、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、2つの拡散領域である第1拡散領域126d1および第2拡散領域126d2によって構成されている。つまり、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、2つに分割された分割構造を有する。平面視において、ドレイン126dの幅Wdは、第1拡散領域126d1の幅Wd1と、第2拡散領域126d2の幅Wd2と、の合計である。つまり、Wd=Wd1+Wd2である。
【0145】
図8の例では、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、4つの拡散領域である第1拡散領域126d1、第2拡散領域126d2、第3拡散領域126d3および第4拡散領域126d4によって構成されている。つまり、増幅トランジスタ126のドレイン126dは、4つに分割された分割構造を有する。平面視において、ドレイン126dの幅Wdは、第1拡散領域126d1の幅Wd1と、第2拡散領域126d2の幅Wd2と、第3拡散領域126d3の幅Wd3と、第4拡散領域126d4の幅Wd4と、の合計である。つまり、Wd=Wd1+Wd2+Wd3+Wd4である。
【0146】
分割構造を有するドレイン126dにおいて、その分割数は特に限定されない。つまり、ドレイン126dを構成する拡散領域の数は特に限定されない。
図7および
図8の例では、分割数は、偶数である。ただし、分割数は、奇数であってもよい。
【0147】
増幅トランジスタ126と同様、選択トランジスタ125、リセットトランジスタ131およびフィードバックトランジスタ132(および後述の転送トランジスタ137)についても、ソースおよび/またはドレインの分割構造が採用され得る。これらの分割構造に関する説明には、矛盾のない限り、増幅トランジスタ126のドレイン126dの分割構造に関する説明が援用され得る。
【0148】
上述の説明から理解されるように、本実施形態では、増幅トランジスタ126の出力信号が電荷蓄積ノード128に負帰還する。このような負帰還が行われる場合において、幅Wd<幅Wsという大小関係は、高効率のノイズキャンセリングを実現し得る。具体的には、本実施形態では、増幅トランジスタ126の出力信号が、フィードバックトランジスタ132を介して電荷蓄積ノード128に負帰還する。
【0149】
以下、負帰還によるノイズキャンセリングについて、電荷蓄積ノード128について説明しつつ、さらに説明する。
【0150】
上述のとおり、電荷蓄積ノード128は、増幅トランジスタ126の出力に寄与する信号電荷が蓄積される構成を指す。本実施形態では、光電変換部121の画素電極121bは、電荷蓄積ノード128の一部である。電荷蓄積部124は、電荷蓄積ノード128の一部である。画素電極121bおよび電荷蓄積部124を接続する配線は、電荷蓄積ノード128の一部である。増幅トランジスタ126のゲート電極126gは、電荷蓄積ノード128の一部である。なお、電荷蓄積部124は、拡散領域である。電荷蓄積部124については、後に詳細に説明する。
【0151】
リセットトランジスタ131により、電荷蓄積ノード128に蓄積された信号電荷は、基準レベルにリセットされる。このリセットの直後において、信号電荷にリセットノイズが紛れ込む。紛れ込んだノイズは、上記の負帰還により、キャンセルされ得る。信号電荷は、増幅トランジスタ126によって読み出される。
【0152】
電荷蓄積ノード128の寄生容量は、負帰還に悪影響を与え、リセットノイズのノイズキャンセリング効果を劣化させ得る。電荷蓄積ノード128の寄生容量は、増幅トランジスタ126のゲート・ドレイン間容量Cgdを含む。つまり、ゲート・ドレイン間容量Cgdは、電荷蓄積ノード128の寄生容量として働く。
【0153】
しかし、上述のように、ドレイン126dの幅Wdを小さくすると、容量Cgdを小さくし易い。これにより、電荷蓄積ノード128の寄生容量を小さくし、負帰還によるノイズキャンセリング効果を向上させ得る。ノイズキャンセリング効果の向上により、暗電流を抑制できる。
【0154】
なお、電荷蓄積ノード128の容量を小さくすることには、増幅トランジスタ126により信号電荷を電圧に変換する変換ゲインを向上させ得るという利点もある。
【0155】
本実施形態では、ゲート電極126gの電位の変化に対するドレイン126dの電位の変化の比率Rdが、ゲート電極126gの電位の変化に対するソース126sの電位の変化の比率Rsに比べて小さくなるように、撮像装置100が構成されている。このため、増幅トランジスタ126の「見かけの」ゲート・ドレイン間容量は、増幅トランジスタ126の「見かけの」ゲート・ソース間容量に比べ、大きい。この場合、ドレイン126dの幅Wdを小さくすることが、ノイズキャンセリング効果向上に効果的である。
【0156】
比率Rdは、例えば、0%以上30%以下である。比率Rdは、0%以上20%以下であってもよい。比率Rsは、例えば、70%以上100%以下である。比率Rsは、80%以上100%以下であってもよい。
【0157】
具体的には、本実施形態の増幅トランジスタ126では、ソース126sのフローティングの度合いは、ドレイン126dのフローティングの度合いに比べ、大きい。このため、ソース126sの電位は、ドレイン126dの電位に比べ、ゲート電極126gの電位の変化の影響を受け易い。比率Rs>比率Rdであるのはそのためである。
【0158】
一具体例では、増幅トランジスタ126のドレイン126dの電位は直流電位である。ここで、直流電位は、常時固定された電位であってもよく、ある期間において第1レベルであり別の期間において第2レベルである電位であってもよい。第1レベルと第2レベルは互いに異なるレベルである。一方、増幅トランジスタ126のソース126sの電位は浮いており(つまりフローティング電位であり)、増幅トランジスタ126のゲート電極126gの電位が変化すると、その変化に対して非ゼロの比率で変化する。
【0159】
なお、撮像装置100は、増幅トランジスタ126のドレイン126dのフローティングの度合いが相対的に小さいモードと、ドレイン126dのフローティングの度合いが相対的に大きいモードと、を有していてもよい。後者のモードにおいて、ドレイン126dのフローティングの度合いは、ソース126sのフローティングの度合いと同程度であってもよい。
【0160】
本実施形態では、光電変換部121の画素電極121bは、金属でできている。この場合、光電変換部としてフォトダイオードを用いた撮像装置で実現され得るような、光電変換部から電荷蓄積部への完全転送は難しい。このため、本実施形態に転送トランジスタを組み合わせたとしても、リセットノイズを良好に抑えるのは容易でない。このため、画素電極121bが金属でできている場合は、幅Wd<幅Wsという大小関係により負帰還に基づくノイズキャンセリングを高効率に行い得ることは、特に有益である。
【0161】
なお、画素電極121bは、半導体材料等の非金属でできていてもよい。また、本実施形態では、画素101は転送トランジスタを有さないが、転送トランジスタを有していてもよい。
【0162】
以下、電荷蓄積部124について説明しつつ、本実施形態についてさらに説明する。
【0163】
電荷蓄積部124には、光電変換部121によって検出された信号電荷が蓄積される。電荷蓄積部124は、拡散領域である。具体的には、電荷蓄積部124は、半導体基板150に設けられている。
【0164】
画素電極121bは、電荷蓄積部124に電気的に接続されている。
【0165】
光電変換部121で生成された信号電荷は、電荷蓄積部124に蓄積される。具体的には、光電変換層121cで生成された信号電荷は、画素電極121bで収集され、その後、電荷蓄積部124に蓄積される。
【0166】
本実施形態では、対向電極121aに印加される基準電圧Vpが、画素電極121bの電圧よりも高い。このため、正孔が、画素電極121bに移動し、その後、配線を介して電荷蓄積部124に移動する。
【0167】
電荷蓄積部124は、増幅トランジスタ126のゲートに電気的に接続されている。増幅トランジスタ126は、電荷蓄積部124に蓄積された信号電荷の量に対応した信号を帯域制御部123および選択トランジスタ125に出力する。
【0168】
リセットトランジスタ131は、電荷蓄積部124をリセットする。フィードバックトランジスタ132は、電荷蓄積部124から増幅トランジスタ126を通って帰還される帰還信号の帯域を制限する。
【0169】
上述の「ノイズ抑制期間」において、電荷蓄積部124から読み出された信号電荷は、増幅トランジスタ126によって増幅され、フィードバックトランジスタ132によって帯域制限をかけられた後に電荷蓄積部124に帰還される。つまり、読み出し回路122は、増幅トランジスタ126から出力された、信号電荷の量に応じた信号を、電荷蓄積部124に負帰還する帰還経路を有する。この帰還経路は、電荷蓄積部124と、増幅トランジスタ126と、フィードバックトランジスタ132と、容量素子134とを含む。
【0170】
例えば、信号線CON2の電圧がハイレベルのとき、フィードバックトランジスタ132はオンになる。その結果、電荷蓄積部124と、増幅トランジスタ126と、フィードバックトランジスタ132と、容量素子134とをこの順に含む帰還経路が形成される。
【0171】
本実施形態では、リセットトランジスタ131のドレインおよびソースの一方は、電荷蓄積部124である。ただし、電荷蓄積部124は、リセットトランジスタ131のドレインおよびソースの一方に電気的に接続された他の拡散領域であってもよい。
【0172】
本実施形態では、信号線CON3の電圧がハイレベルのとき、リセットトランジスタ131はオンになる。これにより、電荷蓄積部124は接続ノード129の電圧にリセットされる。
【0173】
<各トランジスタの配置例>
図9は、選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、リセットトランジスタ131およびフィードバックトランジスタ132の配置を示す平面図である。
【0174】
図9から理解されるように、本実施形態では、平面視において、増幅トランジスタ126のドレイン126dから電荷蓄積部124までの距離Ddは、増幅トランジスタ126のソース126sから電荷蓄積部124までの距離Dsよりも大きい。このことは、低ノイズの撮像装置100を実現するのに適している。
【0175】
具体的には、電荷蓄積ノード128と、増幅トランジスタ126のドレイン126dに接続された配線と、の間では、容量カップリングが生じ得る。しかし、増幅トランジスタ126のドレイン126dから電荷蓄積部124までの距離Ddを大きくすることにより、容量カップリングを抑制できる。このことは、低ノイズの撮像装置100を実現する観点から有利である。
【0176】
一例では、距離Ddは、平面視における、増幅トランジスタ126のドレイン126dと、電荷蓄積部124と、の間の最小間隔である。距離Dsは、平面視における、増幅トランジスタ126のソース126sと、電荷蓄積部124と、の間の最小間隔である。
図9では、この例に基づく距離Ddおよび距離Dsが矢印により示されている。
【0177】
距離Dsに対する距離Ddの比率Dd/Dsは、例えば、1.1以上である。比率Dd/Dsは、1.5以上であってもよく、2以上であってもよい。比率Dd/Dsは、例えば、10以下である。比率Dd/Dsは、8以下であってもよく、5以下であってもよい。
【0178】
本実施形態では、フィードバックトランジスタ132は、ソースおよびドレインの一方として動作する第1拡散領域140bと、ソースおよびドレインの他方として動作する第2拡散領域140cと、を有する。平面視において、フィードバックトランジスタ132の第1拡散領域140bの幅W3は、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdよりも小さい。平面視において、フィードバックトランジスタ132の第2拡散領域140cの幅W4は、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdよりも小さい。本実施形態では、これらの大小関係の両方が成立しているが、一方のみが成立していてもよい。
【0179】
フィードバックトランジスタ132の第1拡散領域140bの幅W3および第2拡散領域140cの幅W4について、詳細に説明する。
【0180】
フィードバックトランジスタ132のゲート電極132gに電圧を印加してフィードバックトランジスタ132をオン状態にすると、第1拡散領域140bと第2拡散領域140cとの間に、チャネルが形成される。チャネルは、電流の通り道である。平面視において、チャネルでは、電流が流れる方向に直交する方向の寸法であるチャネル幅が規定される。
【0181】
第1の定義では、平面視において、フィードバックトランジスタ132の第1拡散領域140bの幅W3は、フィードバックトランジスタ132がオン状態にあるときに、第1拡散領域140bのうちチャネルに隣接する部分の幅である。平面視において、フィードバックトランジスタ132の第2拡散領域140cの幅W4は、フィードバックトランジスタ132がオン状態にあるときに、第2拡散領域140cのうちチャネルに隣接する部分の幅である。
【0182】
また、第1の定義では、平面視において第1拡散領域140bの幅W3を規定する方向は、フィードバックトランジスタ132がオン状態にあるときに、平面視において第1拡散領域140bと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。平面視において第2拡散領域140cの幅W4を規定する方向は、フィードバックトランジスタ132がオン状態にあるときに、平面視において第2拡散領域140cと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。
【0183】
第2の定義では、平面視において、フィードバックトランジスタ132の第1拡散領域140bの幅W3は、フィードバックトランジスタ132の第1拡散領域140bのうちゲート電極132gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。平面視において、フィードバックトランジスタ132の第2拡散領域140cの幅W4は、フィードバックトランジスタ132の第2拡散領域140cのうちゲート電極132gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。
【0184】
本実施形態では、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W3および/または幅W4に関する説明が成立する場合、その説明は成立すると扱うこととする。例えば、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W3<幅Wdであると言える場合、幅W3<幅Wdであると扱うこととする。また、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W4<幅Wdであると言える場合、幅W4<幅Wdであると扱うこととする。
【0185】
増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdに対するフィードバックトランジスタ132の第1拡散領域140bの幅W3の比率W3/Wdは、例えば、0.9以下である。この比率は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。この比率は、例えば、0.1以上である。この比率は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0186】
増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdに対するフィードバックトランジスタ132の第2拡散領域140cの幅W4の比率W4/Wdは、例えば、0.9以下である。この比率は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。この比率は、例えば、0.1以上である。この比率は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0187】
本実施形態では、拡散領域140cは、増幅トランジスタ126のドレイン126dでもある。別の言い方をすると、この拡散領域は、増幅トランジスタ126およびフィードバックトランジスタ132によって共有されている。
【0188】
本実施形態では、平面視において、選択トランジスタ125のソース125sの幅W1は、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdよりも小さい。平面視において、選択トランジスタ125のドレイン125dの幅W2は、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdよりも小さい。本実施形態では、これらの大小関係の両方が成立しているが、一方のみが成立していてもよい。
【0189】
選択トランジスタ125のゲート電極125gには、ゲート電圧が印加される。このゲート電圧をハイレベルとローレベルとの間で切り替えることにより、選択トランジスタ125のオンとオフとを切り替えることができる。ゲート電圧の切替時には、選択トランジスタ125のゲート・ソース間の容量により、ゲート・ソース間で容量カップリングが生じる。また、ゲート電圧の切替時には、選択トランジスタ125のゲート・ドレイン間の容量により、ゲート・ドレイン間で容量カップリングが生じる。
【0190】
しかし、選択トランジスタ125のソース125sの幅W1を小さくすることにより、ゲート・ソース間の容量カップリングを抑制できる。また、選択トランジスタ125のドレイン125dの幅W2を小さくすることにより、ゲート・ドレイン間の容量カップリングを抑制できる。
【0191】
なお、選択トランジスタ125は、スイッチとして利用される。このため、選択トランジスタ125のソース125sの幅W1および/またはドレイン125dの幅W2を小さくして相互コンダクタンスが小さくなっても、不具合は小さい。
【0192】
選択トランジスタ125のソース125sの幅W1およびドレイン125dの幅W2について、詳細に説明する。
【0193】
選択トランジスタ125のゲート電極125gに電圧を印加して選択トランジスタ125をオン状態にすると、ソース125sとドレイン125dとの間に、チャネルが形成される。チャネルは、電流の通り道である。平面視において、チャネルでは、電流が流れる方向に直交する方向の寸法であるチャネル幅が規定される。
【0194】
第1の定義では、平面視において、ソース125sの幅W1は、選択トランジスタ125がオン状態にあるときに、ソース125sのうちチャネルに隣接する部分の幅である。平面視において、ドレイン125dの幅W2は、選択トランジスタ125がオン状態にあるときに、ドレイン125dのうちチャネルに隣接する部分の幅である。
【0195】
また、第1の定義では、平面視においてソース125sの幅W1を規定する方向は、選択トランジスタ125がオン状態にあるときに、平面視においてソース125sと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。平面視においてドレイン125dの幅W2を規定する方向は、選択トランジスタ125がオン状態にあるときに、平面視においてドレイン125dと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。
【0196】
第2の定義では、平面視において、選択トランジスタ125のソース125sの幅W1は、選択トランジスタ125のソース125sのうちゲート電極125gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。平面視において、選択トランジスタ125のドレイン125dの幅W2は、選択トランジスタ125のドレイン125dのうちゲート電極125gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。
【0197】
本実施形態では、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W1および/または幅W2に関する説明が成立する場合、その説明は成立すると扱うこととする。例えば、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W1<幅Wdであると言える場合、幅W1<幅Wdであると扱うこととする。また、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W2<幅Wdであると言える場合、幅W2<幅Wdであると扱うこととする。
【0198】
増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdに対する選択トランジスタ125のソース125sの幅W1の比率W1/Wdは、例えば、0.9以下である。この比率は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。この比率は、例えば、0.1以上である。この比率は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0199】
増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdに対する選択トランジスタ125のドレイン125dの幅W2の比率W2/Wdは、例えば、0.9以下である。この比率は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。この比率は、例えば、0.1以上である。この比率は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0200】
本実施形態では、選択トランジスタ125のドレイン125dを構成する拡散領域は、増幅トランジスタ126のソース126sを構成する拡散領域と同じである。別の言い方をすると、この拡散領域は、選択トランジスタ125および増幅トランジスタ126によって共有されている。
【0201】
本実施形態では、リセットトランジスタ131は、ソースおよびドレインの一方として動作する第1拡散領域140aと、ソースおよびドレインの他方として動作する第2拡散領域140bと、を有する。平面視において、リセットトランジスタ131の第1拡散領域140aの幅W5は、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdよりも小さい。平面視において、リセットトランジスタ131の第2拡散領域140bの幅W6は、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdよりも小さい。本実施形態では、これらの大小関係の両方が成立しているが、一方のみが成立していてもよい。この文脈において、リセットトランジスタ131のソースは、電荷蓄積部124であり得る。リセットトランジスタ131のドレインは、電荷蓄積部124であり得る。また、リセットトランジスタ131のソースおよびドレインではない他の拡散領域が電荷蓄積部124であることもあり得る。
【0202】
リセットトランジスタ131の第1拡散領域140aの幅W5および第2拡散領域140bの幅W6について、詳細に説明する。
【0203】
リセットトランジスタ131のゲート電極131gに電圧を印加してリセットトランジスタ131をオン状態にすると、第1拡散領域140aと第2拡散領域140bとの間に、チャネルが形成される。チャネルは、電流の通り道である。平面視において、チャネルでは、電流が流れる方向に直交する方向の寸法であるチャネル幅が規定される。
【0204】
第1の定義では、平面視において、リセットトランジスタ131の第1拡散領域140aの幅W5は、リセットトランジスタ131がオン状態にあるときに、第1拡散領域140aのうちチャネルに隣接する部分の幅である。平面視において、リセットトランジスタ131の第2拡散領域140bの幅W6は、リセットトランジスタ131がオン状態にあるときに、第2拡散領域140bのうちチャネルに隣接する部分の幅である。
【0205】
また、第1の定義では、平面視において第1拡散領域140aの幅W5を規定する方向は、リセットトランジスタ131がオン状態にあるときに、平面視において第1拡散領域140aと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。平面視において第2拡散領域140bの幅W6を規定する方向は、リセットトランジスタ131がオン状態にあるときに、平面視において第2拡散領域140bと隣接する位置でチャネルがチャネル幅を規定する方向である。
【0206】
第2の定義では、平面視において、リセットトランジスタ131の第1拡散領域140aの幅W5は、リセットトランジスタ131の第1拡散領域140aのうちゲート電極131gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。平面視において、リセットトランジスタ131の第2拡散領域140bの幅W6は、リセットトランジスタ131の第2拡散領域140bのうちゲート電極131gの輪郭線に隣接する部分の寸法である。
【0207】
本実施形態では、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W5および/または幅W6に関する説明が成立する場合、その説明は成立すると扱うこととする。例えば、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W5<幅Wdであると言える場合、幅W5<幅Wdであると扱うこととする。また、第1の定義および第2の定義の少なくとも一方に基づいて幅W6<幅Wdであると言える場合、幅W6<幅Wdであると扱うこととする。
【0208】
増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdに対するリセットトランジスタ131の第1拡散領域140aの幅W5の比率W5/Wdは、例えば、0.9以下である。この比率は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。この比率は、例えば、0.1以上である。この比率は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0209】
増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdに対するリセットトランジスタ131の第2拡散領域140bの幅W6の比率W6/Wdは、例えば、0.9以下である。この比率は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。この比率は、例えば、0.1以上である。この比率は、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
【0210】
図9から理解されるように、本実施形態では、拡散領域140bは、リセットトランジスタ131およびフィードバックトランジスタ132によって共有されている。
【0211】
図9の例では、平面視において、リセットトランジスタ131のゲート131gは、拡散領域140aと(つまり電荷蓄積部124と)部分的に重複している。平面視において、ゲート131gは、拡散領域140bと部分的に重複している。また、平面視において、フィードバックトランジスタ132のゲート132gは、拡散領域140bと部分的に重複している。
【0212】
一方、平面視において、フィードバックトランジスタ132のゲート132gは、拡散領域140cとは重複していない。平面視において、増幅トランジスタ126のゲート126gは、ドレイン126gとは(つまり拡散領域140cとは)重複していない。平面視において、増幅トランジスタ126のゲート126gは、ドレイン126dとは重複していない。ゲート126gは、ソース126sとは重複していない。平面視において、選択トランジスタ125のゲート125gは、ドレイン125dとは(つまりソース126sとは)重複していない。平面視において、ゲート125gは、ソース125sとは重複していない。
【0213】
ただし、リセットトランジスタ131では、ゲート131gは、2つの拡散領域140aおよび140bのそれぞれと部分的に重複していてもよく、これらそれぞれと重複していなくてもよい。この点は、選択トランジスタ125、増幅トランジスタ126、フィードバックトランジスタ132、転送トランジスタ137についても同様である。
【0214】
図10Aに、本実施形態の増幅トランジスタ126の断面図を示す。
図10Aから理解されるように、増幅トランジスタ126は、デプレッション型である。具体的には、増幅トランジスタ126は、デプレッション型のMOSFETである。この点は、選択トランジスタ125についても同様である。トランジスタをデプレッション型とすることは、トランジスタの閾値電圧を下げ、動作効率を高める観点から有利である。
【0215】
図10Bに、本実施形態のリセットトランジスタ131の断面図を示す。
図10Bから理解されるように、リセットトランジスタ131は、エンハンスメント型である。具体的には、リセットトランジスタ131は、エンハンスメント型のMOSFETである。この点は、フィードバックトランジスタ132および転送トランジスタ137についても同様である。
【0216】
ただし、増幅トランジスタ126は、デプレッション型(具体的にはデプレッション型のMOSFET)であってもよく、エンハンスメント型(具体的にはエンハンスメント型のMOSFET)であってもよい。この点は、選択トランジスタ125、リセットトランジスタ131、フィードバックトランジスタ132および転送トランジスタ137についても同様である。
【0217】
<増幅トランジスタ126の具体的構成例>
以下、
図11Aから
図16Cを参照して、増幅トランジスタ126の具体的構成例を、その構成を作製する方法に言及しつつ説明する。
図11Aから
図16Cは、増幅トランジスタ126等を半導体基板150の表面に垂直な方向に観察した図面である。よって、以下の説明に、「平面視において」という用語を適宜補うことができる。
【0218】
以下の説明では、第1導電型および第2導電型という用語を用いる。第1導電型および第2導電型は、互いに異なる導電型である。具体的に、以下の例では、第1導電型はN型であり、第2導電型はP型である。ただし、第1導電型がP型であり、第2導電型がN型であってもよい。
【0219】
以下の説明では、第1導電型の不純物は、ヒ素(As)である。第2導電型の不純物は、ボロンである。ただし、第1導電型の不純物および第2導電型の不純物として、その他の不純物を利用してもよい。第1導電型の不純物の別例は、リン(P)である。
【0220】
【0221】
図11Aから
図12Bにおいて、実線GAの内部領域は、増幅トランジスタ126のゲート電極126gが拡がる領域である。
【0222】
図11Aから
図11Cにおいて、一点鎖線TWの外部領域は、第2導電型の不純物が注入される領域である。具体的に、半導体基板150における一点鎖線TWの外部領域に、ゲート電極126gが配置される前に、第2導電型の不純物が注入される。以下、この注入を、第1の注入と称する。
【0223】
第1の注入により、半導体基板150において、増幅トランジスタ126を素子分離する注入分離領域が形成される。なお、ある素子が素子分離されているとは、その素子と他の素子との間に、それらの素子間の電気的な相互作用を抑制する構造が設けられていることを意味する。一例では、ある素子が素子分離されているとは、平面視において、その素子が上記構造により取り囲まれ、他の素子がその構造の外側に配置されていることを意味する。
【0224】
図12Aおよび
図12Bにおいて、二点鎖線SFの内部領域は、第1導電型の不純物が注入される領域である。具体的に、半導体基板150における二点鎖線SFの内部領域に、ゲート電極126gが配置される前に、第1導電型の不純物が注入される。以下、この注入を、第2の注入と称する。
【0225】
図11Aから
図12Bにおいて、点線NLの内部領域は、第1導電型の不純物が注入される領域である。具体的に、ゲート電極126gが配置された後に、半導体基板150における点線NLの内部領域に向かって、第1導電型の不純物が注入される。つまり、ゲート電極126gをマスクとした状態で、半導体基板150における点線NLの内部領域に向かって、第1導電型の不純物が注入される。以下、この注入を、第3の注入と称する。
【0226】
第3の注入による半導体基板150への単位面積当たりの不純物の注入量は、第2の注入による半導体基板150への単位面積当たりの不純物の注入量に比べ、十分に大きい。このため、半導体基板150のうち、第3の注入により不純物が導入された領域における不純物の濃度は、第3の注入による不純物の導入がなく第2の注入により不純物が導入された領域における不純物の濃度に比べて、十分に大きい。半導体基板150のうち、第3の注入および第2の注入の両方により不純物が導入された領域では、不純物の濃度は、第3の注入によって実質的に定まると言える。
【0227】
半導体基板150におけるゲート電極126gから見て一方側の領域への第3の注入により、増幅トランジスタ126のソース126sが形成される。半導体基板150におけるゲート電極126gから見て他方側の領域への第3の注入により、増幅トランジスタ126のドレイン126dが形成される。
【0228】
第3の注入による不純物の導入がなく第2の注入により不純物が導入された領域には、注入領域155が形成される。注入領域155の不純物濃度は、ソース126sおよびドレイン126dの不純物濃度に比べて小さい。注入領域155は、ソース126sおよびドレイン126dの間で延びている。注入領域155を形成することにより、増幅トランジスタ126の閾値電圧VTopが調整される。ここで、閾値電圧VTopは、増幅トランジスタ126にドレイン電流が流れ始めるときの増幅トランジスタ126のゲート・ソース間電圧を指す。
【0229】
この例では、ソース126sおよびドレイン126dが有する不純物の導電型と、注入領域155が有する不純物の導電型とは、第1導電型で同じである。この例では、第2の注入は、いわゆるカウンター注入である。これにより、デプレッション型の増幅トランジスタ126が形成される。ただし、ソース126sおよびドレイン126dが有する不純物の導電型と、注入領域155が有する不純物の導電型とは、異なっていてもよい。
【0230】
第1の注入、第2の注入および第3の注入を含む複数の工程により、増幅トランジスタ126が作製される。第1の注入は、
図11A、
図11Bおよび
図11Cのいずれに従っても行われ得る。第2の注入は、
図12Aおよび
図12Bのいずれに従っても行われ得る。
【0231】
【0232】
具体的には、
図11Aの例では、一点鎖線TWから理解されるように、第1の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側において、ゲート電極126gの輪郭線上を延びる部分を含む。つまり、第1の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側において、ゲート電極126gの輪郭線と部分的に重なっている(すなわち、オンセットされている)。以下、
図11Aの例に従って注入分離領域を形成した場合を、「TW:0n」と表記することがある。
【0233】
図11Bの例では、一点鎖線TWから理解されるように、第1の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線からゲート電極126gの内側に50nmオフセットされた部分を含む。以下、
図11Bの例に従って注入分離領域を形成した場合を、「TW:-50n」と表記することがある。
【0234】
図11Cの例では、一点鎖線TWから理解されるように、第1の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線からゲート電極126gの外側に50nmオフセットされた部分を含む。以下、
図11Cの例に従って注入分離領域を形成した場合を、「TW:+50n」と表記することがある。
【0235】
【0236】
具体的には、
図12Aの例では、二点鎖線SFから理解されるように、第2の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側において、ゲート電極126gの輪郭線上を延びる部分を含む。つまり、第2の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側において、ゲート電極126gの輪郭線と部分的にオンセットされている。以下、
図12Aの例に従って注入領域155を形成した場合を、「SF:0n」と表記することがある。
【0237】
図12Bの例では、二点鎖線SFから理解されるように、第2の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線からゲート電極126gの内側に50nmオフセットされた部分を含む。以下、
図12Aの例に従って注入領域155を形成した場合を、「SF:-50n」と表記することがある。
【0238】
図13および
図14に、「TW:0n」かつ「SF:0n」の場合、「TW:0n」かつ「SF:-50n」の場合、「TW:-50n」かつ「SF:0n」の場合、「TW:-50n」かつ「SF:-50n」の場合、「TW:+50n」かつ「SF:0n」の場合、および、「TW:+50n」かつ「SF:-50n」の場合の、増幅トランジスタ126の特性を示す。
図13および
図14は、これらの6つの場合についてのシミュレーションを通じて得たデータである。このシミュレーションでは、増幅トランジスタ126のドレイン電流Idを6μAに設定した。
【0239】
図13において、横軸は、増幅トランジスタ126の閾値電圧VTop(単位:V)である。縦軸は、増幅トランジスタ126のゲート・ドレイン間容量Cgd(単位:fF)である。
図13から、上記6つの場合において、ゲート・ドレイン間容量Cgdが同等であることが把握される。
【0240】
詳細には、
図13では、上から順に、「TW:+50n」かつ「SF:0n」のグラフ、「TW:+50n」かつ「SF:-50n」のグラフ、「TW:0n」かつ「SF:0n」のグラフ、「TW:0n」かつ「SF:-50n」のグラフ、「TW:-50n」かつ「SF:0n」のグラフ、および、「TW:-50n」かつ「SF:-50n」のグラフが、この順に並んでいる。しかし、これらのグラフが表すゲート・ドレイン間容量Cgdは、同等である。
【0241】
図14において、横軸は、増幅トランジスタ126の閾値電圧VTop(単位:V)である。縦軸は、増幅トランジスタ126の相互コンダクタンスgm(単位:μS)である。
図14から、「TW:+50n」の場合において、大きい相互コンダクタンスgmが得られていることが把握される。また、「SF:0n」の場合において、大きい相互コンダクタンスgmが得られていることが把握される。
【0242】
詳細には、
図14では、上から順に、「TW:+50n」かつ「SF:0n」のグラフ、「TW:+50n」かつ「SF:-50n」のグラフ、「TW:0n」かつ「SF:0n」のグラフ、「TW:0n」かつ「SF:-50n」のグラフ、「TW:-50n」かつ「SF:0n」のグラフ、および、「TW:-50n」かつ「SF:-50n」のグラフが、この順に並んでいる。これらのグラフが表す相互コンダクタンスgmは、互いに差がある。
【0243】
図14から、第1の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線からゲート電極126gの外側にオフセットされた部分を含む場合に、大きいgmを得易いことが推察される。詳細には、この場合に、同一の閾値電圧VTopに対して大きいgmを得易いことが推察される。
【0244】
図14から、第2の注入を行う領域の輪郭線が、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線に部分的にオンセットされている場合に、大きいgmを得易いことが推察される。詳細には、この場合に、同一の閾値電圧VTopに対して大きいgmを得易いことが推察される。
【0245】
【0246】
図15Aは、「TW:-50n」かつ「SF:0n」の場合における、半導体基板150の表面付近における不純物濃度を示す。
図16Aは、「TW:+50n」かつ「SF:0n」の場合における、半導体基板150の表面付近における不純物濃度を示す。なお、
図15Aおよび
図16Aは、不純物の実効濃度の絶対値(Net Profile」を示している。ここで、不純物の実効濃度は、電気的活性な不純物の濃度を指す。
【0247】
図15Aおよび
図16Aにおいて、一点鎖線JNは、ジャンクション、すなわち、第1導電型の不純物の濃度と第2導電型の不純物の濃度が等しい部分を示す。ジャンクションJNは、線状に延びている。
【0248】
図15Aおよび
図16Aにおいて、ジャンクションJNで囲まれた領域については、コンターバーの「Doping Concentration」は、第1導電型の不純物の濃度を示す。ジャンクションJNで囲まれた領域の外側については、コンターバーの「Doping Concentration」は、第2導電型の不純物の濃度を示す。なお、コンターバーの数値の単位は、atoms/cm
3である。
【0249】
図15Aと
図16Aとを比較することにより、第1の注入を行う領域が、ジャンクションJNの位置に影響を与えていることが分かる。これは、第1の注入により注入された第2導電型の不純物の熱拡散が、シミュレーションに反映されているためである。
【0250】
「TW:-50n」かつ「SF:0n」の場合を示す
図15Aに、説明の便宜上、点線DL1を付している。この場合、点線DL1で囲った領域において示されているように、ジャンクションJNは、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線よりもゲート電極126gの内側において、該輪郭線に沿って延びている部分を含む。
【0251】
「TW:+50n」かつ「SF:0n」の場合を示す
図16Aに、説明の便宜上、点線DL2を付している。この場合、点線DL2で囲った領域において示されているように、ジャンクションJNは、ドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線にオンセットされた部分を含む。
【0252】
図15Bは、「TW:-50n」かつ「SF:0n」の場合における、半導体基板150の表面付近における電流密度分布(単位:A/cm
2)を示す。つまり、
図15Bは、
図15Aの場合の電流密度分布を示す。
図15Bにおいて、
図15Aと同じジャンクションJNが示されている。
【0253】
図16Bは、「TW:+50n」かつ「SF:0n」の場合における、半導体基板150の表面付近における電流密度分布(単位:A/cm
2)を示す。つまり、
図16Bは、
図16Aの場合の電流密度分布を示す。
図16Bにおいて、
図16Aと同じジャンクションJNが示されている。
【0254】
図15Bおよび
図16Bに示す電流密度分布は、シミュレーションにおいて増幅トランジスタ126の各種電圧を以下のように設定することにより得られたものである。
ゲート電圧Vg:1V
ドレイン電圧Vd:2.6V
ソース電圧Vs:0V
バックバイアス電圧Vb:-0.7V
【0255】
「TW:-50n」かつ「SF:0n」の場合の電流密度分布を示す
図15Bに、説明の便宜上、点線DL3を付している。「TW:+50n」かつ「SF:0n」の場合の電流密度分布を示す
図16Bに、説明の便宜上、点線DL4を付している。点線DL3で囲った領域と点線DL4で囲った領域とを比較することにより、「TW:-50n」かつ「SF:0n」の場合に比べ、「TW:+50n」かつ「SF:0n」の場合は、電流パスが広いことが把握される。ジャンクションJNがドレイン126d側におけるゲート電極126gの輪郭線にオンセットされた部分を含むことが、広い電流パスの確保に寄与していることが分かる。
【0256】
なお、
図15Aおよび
図16Aでは、半導体基板150の表面付近における不純物濃度を示したが、半導体基板150の表面においても不純物濃度はほぼ同様と考えられる。また、
図15Bおよび
図16Bでは、半導体基板150の表面付近における電流密度分布を示したが、半導体基板150の表面においても電流密度分布はほぼ同様と考えられる。
【0257】
図15Cは、
図15Aおよび
図15Bから導かれる、実施形態に係る、半導体基板150の表面のジャンクションJNの位置を説明するための図である。
図16Cは、
図16Aおよび
図16Bから導かれる、実施形態に係る、半導体基板150の表面のジャンクションJNの位置を説明するための図である。
【0258】
図15Cおよび
図16Cの例では、半導体基板150の表面において、増幅トランジスタ126のソース126sの輪郭線の一部および増幅トランジスタ126のドレイン126dの輪郭線の一部を通る、ジャンクションJNが延びている。半導体基板150の表面において、ジャンクションJNは、増幅トランジスタ126のソース126sと増幅トランジスタ126のドレイン126dとを結ぶ第1ラインJN1と、増幅トランジスタ126のソース126sと増幅トランジスタ126のドレイン126dとを結ぶ第2ラインJN2と、を含む。
【0259】
ここで、半導体基板150の表面において、第1ラインJN1の両端を結ぶ線分を、第1線分VL1と定義する。半導体基板150の表面において、第2ラインJN2の両端を結ぶ線分を、第2線分VL2と定義する。このとき、半導体基板150の表面において、第1ラインJN1と第2ラインJN2との間の領域の面積は、第1線分VL1と第2線分VL2との間の領域の面積よりも大きい。この構成は、広い電流パスを確保する観点から有利である。図示の例では、半導体基板150の表面において、第1ラインJN1および第2ラインJN2が屈曲することによって、広い電流パスが確保されている。
【0260】
上記構成について、厳密に説明する。半導体基板150の表面において、第1ラインJN1の一端および他端を、それぞれ、第1端M1および第2端M2と定義する。半導体基板150の表面において、第2ラインJN2の一端および他端を、それぞれ、第3端M3および第4端M4と定義する。半導体基板150の表面において、第1ラインJN1と、第2ラインJN2と、第1端M1および第3端M3を結ぶ線分と、第2端M2および第4端M4を結ぶ線分と、によって囲まれる領域の面積を第1面積と定義する。半導体基板150の表面において、第1線分VL1と、第2線分VL2と、第1端M1および第3端M3を結ぶ線分と、第2端M2および第4端M4を結ぶ線分と、によって囲まれる領域の面積を第2面積と定義する。このとき、第1面積は、第2面積よりも大きい。
【0261】
図16Cの例では、平面視において、半導体基板150の表面におけるジャンクションJNは、ソース126sよりもドレイン126dに近い位置において、ゲート電極126gの輪郭線にオンセットされた部分を含む。この構成は、広い電流パスを確保する観点から有利である。具体的には、平面視において、半導体基板150の表面におけるジャンクションJNは、ドレイン126dに隣接する位置において、ゲート電極126gの輪郭線にオンセットされた部分を含む。
【0262】
上述の説明から理解されるように、デプレッション型の増幅トランジスタ126は、注入領域155を有し得る。上記の例では、注入領域155は、ソース126sおよびドレイン126dが含む不純物の導電型と同一の導電型の不純物を含む。注入領域155は、ソース126sおよびドレイン126dに接続されている。典型例では、注入領域155における不純物の濃度は、ソース126sにおける不純物の濃度よりも低く、ドレイン126dにおける不純物の濃度よりも低い。
図15Cおよび
図16Cの例では、第1ラインJN1および第2ラインJN2は、半導体基板150の表面における注入領域155の輪郭線に対応する。
【0263】
図15Cおよび
図16Cの例では、半導体基板150の表面において、注入領域155の平均幅は、ソース126sの幅Wsとドレイン126dの幅Wdの平均値よりも大きい。この構成は、広い電流パスを確保する観点から有利である。ここで、ソース126sの幅Wsとドレイン126dの幅Wdの平均値は、ソース126sの幅Wsとドレイン126dの幅Wdの合計を2で割った値である。ソース126sの幅Wsおよびドレイン126dの幅Wdの定義は、上述の通りである。注入領域155の平均幅は、注入領域155の面積を、ソース126sとドレイン126dの間の最小間隔で割った値である。
【0264】
注入領域155の平均幅に代えて、第1ラインJN1および第2ラインJN2の間の平均間隔を用いて特徴を説明することもできる。
図15Cおよび
図16Cの例では、半導体基板150の表面において、ラインJN1およびJN2の間の平均間隔は、ソース126sの幅Wsとドレイン126dの幅Wdの平均値よりも大きい。ラインJN1およびJN2の間の平均間隔は、ラインJN1およびJN2の間の面積を、ソース126sとドレイン126dの間の最小間隔で割った値である。
【0265】
図15Cおよび
図16Cでは、離間方向ADと、直交方向BDと、を矢印により示している。離間方向ADは、半導体基板150の表面において、ソース126sとドレイン126dの間の最小間隔を規定する方向である。直交方向BDは、半導体基板150の表面において、離間方向ADに直交する方向である。
図15Cおよび
図16Cの例では、半導体基板150の表面において、注入領域155の幅は、注入領域155の直交方向BDに沿った寸法である。
【0266】
半導体基板150の表面において、注入領域155上を離間方向ADに沿ってソース126sからドレイン126dに向かって進行する距離を、進行距離ΔLと定義し、進行距離ΔLに対する注入領域155の幅の減少量ΔWの比率を、幅減少率ΔW/ΔLと定義する。このとき、
図15Cおよび
図16Cの例では、半導体基板150の表面において、幅減少率ΔW/ΔLが最大となる離間方向ADに関する位置は、第1端M1の離間方向ADに関する位置よりも第2端M2の離間方向ADに関する位置に近い。また、半導体基板150の表面において、幅減少率ΔW/ΔLが最大となる離間方向ADに関する位置は、第3端M3の離間方向ADに関する位置よりも第4端M4の離間方向ADに関する位置に近い。
図15Cおよび
図16Cの例では、幅減少率ΔW/ΔLが最大となる位置に関するこれら両方の特徴が成立しているが、一方のみが成立していてもよい。
【0267】
幅減少率ΔW/ΔLの算出には、微分の考え方を用いることができる。従って、減少量ΔWおよび進行距離ΔLとして、微小値を用いることができる。
【0268】
幅減少率ΔW/ΔLに代えて、第1ラインJN1および第2ラインJN2の曲率を用いて特徴を説明することもできる。
図15Cおよび
図16Cの例では、半導体基板150の表面において、第1ラインJN1の曲率が最大になる離間方向ADに関する位置は、第1端M1の離間方向ADに関する位置よりも第2端M2の離間方向ADに関する位置に近い。また、半導体基板150の表面において、第2ラインJN2の曲率の曲率が最大になる離間方向ADに関する位置は、第3端M3の離間方向ADに関する位置よりも第4端M4の離間方向ADに関する位置に近い。
図15Cおよび
図16Cの例では、ラインJN1およびJN2の曲率が最大となる位置に関するこれら両方の特徴が成立しているが、一方のみが成立していてもよい。
【0269】
<別の光電変換部を用いた例>
以下、光電変換部121とは別の光電変換部127を用いる例について、
図17および
図18を参照しつつ説明する。なお、矛盾のない限り、この例に、上述の説明内容を組み合わせることが可能である。
【0270】
この例では、光電変換部127は、半導体基板150内に位置する。具体的には、この例では、光電変換部127として、フォトダイオードが用いられている。
【0271】
また、この例では、画素201は、転送トランジスタ137を有する。転送トランジスタ137は、読み出し回路222に含まれている。
【0272】
フォトダイオードである光電変換部127は、第1導電型の不純物領域185と、ピニング層とを有する。この例では、第1導電型は、N型である。
【0273】
ピニング層は、不純物領域185の上方に位置する。ピニング層は、第2導電型の不純物領域である。第2導電型は、第1導電型とは異なる導電型である。この例では、第2導電型は、N型である。
図17および
図18において、ピニング層の図示は省略されている。
【0274】
フォトダイオードである光電変換部127は、露光時間において受光した光を光電変換して電荷を生成する。所定の露光時間終了後に、転送信号が、信号線CON7を介して転送トランジスタ137のゲートに印加される。これにより、転送トランジスタ137がオン状態となり、フォトダイオードである光電変換部127が生成した電荷が電荷蓄積部124に転送される。典型例では、この転送は、全てのまたは実質的に全ての電荷が転送される完全転送である。
【0275】
増幅トランジスタ126は、電荷蓄積部124に転送された電荷に対応する信号を、選択トランジスタ125を介して信号線111へ出力する。出力された信号は、AD変換等の信号処理に供され得る。
【0276】
転送トランジスタ137は、電荷蓄積部124を、ソースおよびドレインの他方として含む。転送トランジスタ137は、不純物領域185を、ソースおよびドレインの一方として含む。また、転送トランジスタ137は、ゲート電極137gを含む。転送トランジスタ137は、電荷蓄積部124をリセットトランジスタ131との間で共有している。
【0277】
(変形実施形態)
変形実施形態において、増幅トランジスタ126では、ソースおよびドレインは入れ替わり得る。この変形実施形態の一具体例では、撮像装置100は、第1動作モードと、第2動作モードと、を有する。第1動作モードにおいて、増幅トランジスタ126では、ソースおよびドレインは入れ替わらない。第2動作モードにおいて、増幅トランジスタ126では、ソースおよびドレインは入れ替わり得る。選択トランジスタ125についても同様である。例えば、第1動作モードは低ノイズへの要求が相対的に高いモードであり、第2動作モードは低ノイズへの要求が相対的に低いモードである。
【0278】
変形実施形態にも、矛盾のない限り、先に説明した実施形態における説明が適用され得る。例えば、変形実施形態でも、「平面視において、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdは、増幅トランジスタ126のソース126sの幅Wsよりも小さい」という説明が成立すると言える。
【0279】
先の実施形態および変形実施形態の内容および表現から理解されるように、本明細書において、「平面視において、増幅トランジスタ126のドレイン126dの幅Wdは、増幅トランジスタ126のソース126sの幅Wsよりも小さい」という説明は、その説明が成立する動作モードを撮像装置100が有していることを意味すると解釈されるべきである。他の説明についても、その説明が成立する動作モードを撮像装置100が有していることを意味すると解釈されるべきである。ここで、撮像装置100が有する動作モードの数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0280】
リセットトランジスタ131のソースおよびドレインが入れ替わらない構成も採用され得る。フィードバックトランジスタ132のソースおよびドレインが入れ替わらない構成も採用され得る。転送トランジスタ137のソースおよびドレインが入れ替わらない構成も採用され得る。
【0281】
本開示に、種々の改変を適用できる。例えば、負帰還を行うことは必須でない。この場合、
図2、
図9、
図17および
図18のフィードバックトランジスタ132、容量素子133、容量素子134等は省略され得る。
【産業上の利用可能性】
【0282】
本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサ、デジタルカメラ等に有用である。本開示の撮像装置は、医療用カメラ、ロボット用カメラ、セキュリティカメラ、車両に搭載されて使用されるカメラ等に用いることができる。
【符号の説明】
【0283】
100 撮像装置
101,201 画素
102 垂直走査回路
103 カラム信号処理回路
104 水平信号読み出し回路
105A,105B 定電流源
111,114,CON1,CON2,CON3,CON7 信号線
112,CON4,CON5,CON6 電源線
113 水平信号共通線
121,127 光電変換部
121a 対向電極
121b 画素電極
121c 光電変換層
122,222 読み出し回路
123 帯域制御部
124 電荷蓄積部
125 選択トランジスタ
125d,126d ドレイン
125g,126g,131g,132g,137g ゲート電極
125s,126s ソース
126 増幅トランジスタ
126d1,126d2,126d3,126d4,140a,140b,140c 拡散領域
128 電荷蓄積ノード
129 接続ノード
131 リセットトランジスタ
132 フィードバックトランジスタ
133,134 容量素子
137 転送トランジスタ
150 半導体基板
155 注入領域
185 不純物領域
AGND グランド電位
AVDDP,VSFH,VSFL,VR1,Vp 電圧
JN,JN1,JN2 ジャンクション
M1,M2,M3,M4 端
sw1,sw2,sw3,sw4 スイッチ
VL1,VL2 線分