特許 7570019 情報提供方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-10-10

(45)【発行日】2024-10-21

(54)【発明の名称】情報提供方法

(51)【国際特許分類】

   G06Q 50/02 20240101AFI20241011BHJP

【ＦＩ】

G06Q50/02

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2023203704

(22)【出願日】2023-12-01

(62)【分割の表示】P 2021504858の分割

【原出願日】2020-02-18

(65)【公開番号】P2024019269

(43)【公開日】2024-02-08

【審査請求日】2023-12-15

(31)【優先権主張番号】P 2019045648

(32)【優先日】2019-03-13

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

(73)【特許権者】

【識別番号】314012076

【氏名又は名称】パナソニックＩＰマネジメント株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100115381

【弁理士】

【氏名又は名称】小谷 昌崇

(74)【代理人】

【識別番号】100118049

【弁理士】

【氏名又は名称】西谷 浩治

(72)【発明者】

【氏名】村岡 純子

(72)【発明者】

【氏名】山下 志希保

(72)【発明者】

【氏名】中島 剛助

(72)【発明者】

【氏名】村岡 仁

【審査官】石川 亮

(56)【参考文献】

【文献】特表２００５－５２７２０６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－０９２６８９（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１８／０２８４０９３（ＵＳ，Ａ１）

【文献】米国特許出願公開第２０１６／０３１４５１２（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｇ０６Ｑ １０／００－９９／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

コンピュータにより実行される情報提供方法であって、
香料物質を植物に付与するステップと、
前記香料物質である第１物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを含む商品情報を記憶するステップと、
対象の植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方である第２物質を検出するステップと、
前記第２物質を示す検出物質情報が示す前記第２物質が、前記商品情報に含まれる付加物質情報が示す第１物質と同じまたは前記第１物質の代謝物と同じである場合、前記商品情報に含まれる前記生産情報を提示するステップと、
を含む情報提供方法。

【請求項2】

前記植物は、青果物又は生花である、
請求項１記載の情報提供方法。

【請求項3】

前記香料物質は前記植物が含有していない香料物質である、
請求項１又は２記載の情報提供方法。

【請求項4】

コンピュータにより実行される情報提供方法であって、
植物に付与された香料物質である第１物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを含む商品情報を記憶し、
第２物質は、対象の植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方であり、検出された前記第２物質が、前記商品情報に含まれる前記第１物質と同じまたは前記第１物質の代謝物と同じである場合、前記商品情報に含まれる前記生産情報を提示する、
情報提供方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、植物に関する情報を提供する情報提供方法、植物に関する情報を提供する情報提供システム、植物に香料物質を付与する香料付与装置、植物から放出される物質を検出する香料検出装置、及び植物に関する情報を管理する情報管理装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

近年、消費者に安全な生鮮食品を提供するために、生産者及び収穫日などの生産情報を生鮮食品に付すことが求められている。

【0003】

例えば、特許文献１には、生鮮食品の生産情報を二次元バーコードに変換し、当該二次元バーコードを付した生鮮食品を、流通経路を介して店頭に配置し、店頭にある生鮮食品の二次元バーコードを購入希望者がデジタルカメラで撮影し、撮影された二次元バーコードをデコードすることにより得られた生鮮食品の生産情報を表示する生産情報伝達方法が開示されている。

【0004】

また、例えば、特許文献２には、医薬品の同一性及び／又は供給源を証明する香りを有する医薬製品などを示している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】特開２００８－１６５５０４号公報

【文献】特表２００６－５０４４９１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかしながら、上記従来の技術では、植物に関する生産情報を当該植物自体に提示させることは困難であり、更なる改善が必要とされていた。

【0007】

本開示は、植物に関する生産情報を当該植物自体に提示することができる技術を開示する。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本開示の一態様に係る情報提供方法は、香料付与装置と、香料検出装置と、情報管理装置とを備える情報提供システムにおける情報提供方法であって、前記香料付与装置は、香料物質を植物に付与し、前記香料付与装置は、前記香料物質である第１物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを含む商品情報を前記情報管理装置へ送信し、前記情報管理装置は、前記商品情報を受信し、前記情報管理装置は、前記商品情報を生産情報記憶部に記憶し、前記香料検出装置は、対象の植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方である第２物質を検出し、前記香料検出装置は、前記第２物質を示す検出物質情報を前記情報管理装置へ送信し、前記情報管理装置は、前記検出物質情報を受信し、前記情報管理装置は、前記受信した前記検出物質情報が示す前記第２物質が、前記生産情報記憶部に記憶されている前記商品情報に含まれる付加物質情報が示す第１物質と同じまたは前記第１物質の代謝物と同じである場合、前記生産情報記憶部に記憶されている前記商品情報に含まれる前記生産情報を前記香料検出装置へ送信し、前記香料検出装置は、前記情報管理装置から前記生産情報を受信し、前記香料検出装置は、受信した前記生産情報を提示する。

【0009】

尚、この包括的又は具体的な態様は、装置、システム、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばＣＤ－ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ－Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等の不揮発性の記録媒体を含む。

【発明の効果】

【0010】

本開示によれば、植物に関する生産情報を当該植物自体に提示させることができる。

【0011】

本開示によれば、植物に関する生産情報を当該植物自体に提示させることができる。

【0012】

本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および／または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、１つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】本実施の形態における情報提供システムの全体構成を示す図

【図2】本実施の形態における香料付与装置の構成を示すブロック図

【図3】本実施の形態における香料検出装置の構成を示すブロック図

【図4】本実施の形態におけるサーバ装置の構成を示すブロック図

【図5】本実施の形態において商品情報記憶部が記憶する商品情報の一例を示す図

【図6】本実施の形態において、香料付与装置がサーバ装置へ付与物質情報及び生産情報を送信する処理について説明するためのフローチャート

【図7】本実施の形態における商品情報入力画面の一例を示す図

【図8】本実施の形態において、香料検出装置及びサーバ装置により生産情報を提示する処理を説明するためのフローチャート

【図9】本実施の形態において、生産情報を含む提示情報の一例を示す図

【図10】本実施の形態において、トレーサビリティ情報入力画面の一例を示す図

【図11】本実施の形態において、生産情報及び検出結果情報を含む提示情報の一例を示す図

【図12】Ｄ－リモネンを付与した青果物とＤ－リモネンを付与しなかった青果物とから放出されるＤ－リモネンの検出量を示す図

【図13】トランス－２－ヘキセナールを付与した青果物とトランス－２－ヘキセナールを付与しなかった青果物とから放出される代謝物の検出量を示す図

【発明を実施するための形態】

【0014】

（本開示の基礎となった知見）
特許文献１では、生鮮食品の生産情報が二次元バーコード化され、二次元バーコードが貼り付け可能なラベルに印刷され、当該ラベルが生鮮食品に貼り付けられる。この場合、生鮮食品自体に二次元バーコードが印刷されないため、ラベルを偽造し、真正なラベルに代えて、偽造したラベルを当該生鮮食品に貼り付けることが可能である。このため、特許文献１に開示された技術では、生鮮食品の安全性を確保することは困難である。

【0015】

また、特許文献２では、医薬製品に香りを与えており、医薬製品では製造段階において香り物質を染み込ませることができるが、生鮮食品、例えば、イチゴ、を育成する過程で、生鮮食品に香りを加えることは困難である。

【0016】

特許文献１と特許文献２の技術を組み合わせも、簡単な方法で生鮮食品の安全を確保する技術を創出することは困難である。

【0017】

本開示の一態様に係る情報提供方法は、香料付与装置と、香料検出装置と、情報管理装置とを備える情報提供システムにおける情報提供方法であって、前記香料付与装置は、香料物質を植物に付与し、前記香料付与装置は、前記香料物質である第１物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを含む商品情報を前記情報管理装置へ送信し、前記情報管理装置は、前記商品情報を受信し、前記情報管理装置は、前記商品情報を生産情報記憶部に記憶し、前記香料検出装置は、対象の植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方である第２物質を検出し、前記香料検出装置は、前記第２物質を示す検出物質情報を前記情報管理装置へ送信し、前記情報管理装置は、前記検出物質情報を受信し、前記情報管理装置は、前記受信した前記検出物質情報が示す前記第２物質が、前記生産情報記憶部に記憶されている前記商品情報に含まれる付加物質情報が示す第１物質と同じまたは前記第１物質の代謝物と同じである場合、前記生産情報記憶部に記憶されている前記商品情報に含まれる前記生産情報を前記香料検出装置へ送信し、前記香料検出装置は、前記情報管理装置から前記生産情報を受信し、前記香料検出装置は、受信した前記生産情報を提示する。

【0018】

この構成によれば、植物に付与された香料物質を示す付与物質情報と植物に関する生産情報とを含む商品情報が記憶され、香料物質が付与された植物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方が検出され、記憶されている商品情報と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づき、検出対象の植物の生産情報が特定される。

【0019】

したがって、植物に香料物質が付与され、植物に付与された香料物質と、当該植物の生産情報とが対応付けられているので、付与された香料物質と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方とが比較されることによって、植物の生産情報を容易に特定することができ、容易に植物に関する生産情報を提示することができる。

【0020】

また、上記の情報提供方法において、さらに、前記香料付与装置は、前記植物に関する前記生産情報の入力を受け付けてもよい。

【0021】

この構成によれば、香料物質を付与した植物に関する生産情報の入力が受け付けられるので、例えば、植物の生産者が入力した生産情報を提示することができる。

【0022】

また、上記の情報提供方法において、前記植物は、青果物又は生花であってもよい。

【0023】

この構成によれば、青果物又は生花の生産情報を容易に提示することができる。

【0024】

また、上記の情報提供方法において、前記香料物質は、前記植物が含有していない香料物質であってもよい。

【0025】

この構成によれば、植物が含有していない香料物質が付与されるので、植物に付与された香料物質に対応付けられた生産情報を確実に特定することができる。

【0026】

本開示の他の態様に係る情報提供システムは、植物に香料物質を付与する香料付与装置と、前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する香料検出装置と、情報管理装置とを備える情報提供システムであって、前記香料付与装置は、前記香料物質を前記植物に付与する付与部と、前記植物に付与された前記香料物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを前記情報管理装置へ送信する送信部と、を備え、前記香料検出装置は、前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の前記代謝物の少なくとも一方を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記香料物質及び前記代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報を前記情報管理装置へ送信する送信部と、前記情報管理装置から前記生産情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記生産情報を提示する提示部と、を備え、前記情報管理装置は、前記香料付与装置の前記送信部によって送信された前記付与物質情報及び前記生産情報を受信する第１受信部と、前記第１受信部によって受信された前記付与物質情報と前記生産情報とを対応付けて記憶する生産情報記憶部と、前記香料検出装置の前記送信部によって送信された前記検出物質情報を受信する第２受信部と、前記生産情報記憶部に記憶されている前記付与物質情報及び前記生産情報と、前記第２受信部によって受信された前記検出物質情報とに基づき、検出対象の前記植物の前記生産情報を特定する特定部と、前記特定部によって特定された前記生産情報を前記香料検出装置へ送信する送信部と、を備える。

【0027】

この構成によれば、植物に付与された香料物質を示す付与物質情報と植物に関する生産情報とが対応付けて記憶され、香料物質が付与された植物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方が検出され、記憶されている付与物質情報及び生産情報と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づき、検出対象の植物の生産情報が特定される。

【0028】

したがって、植物に香料物質が直接付与され、植物に付与された香料物質と、当該植物の生産情報とが対応付けられているので、付与された香料物質と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方とを比較することによって、植物の生産情報を容易に特定することができ、容易に植物に関する生産情報を提示することができる。

【0029】

本開示の他の態様に係る香料付与装置は、植物に香料物質を付与する香料付与装置であって、前記香料物質を前記植物に付与する付与部と、前記植物に付与された前記香料物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを、前記付与物質情報及び前記生産情報と、香料検出装置によって検出された前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づいて検出対象の前記植物の前記生産情報を特定する情報管理装置へ送信する送信部と、を備える。

【0030】

この構成によれば、香料物質が植物に付与され、植物に付与された香料物質を示す付与物質情報と植物に関する生産情報と、植物から検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づき、検出対象の植物の生産情報が特定される。

【0031】

したがって、植物に香料物質が付与され、植物に付与された香料物質と、当該植物の生産情報とが対応付けられ、付与された香料物質と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方とが比較されることによって、植物の生産情報を容易に特定することができ、容易に植物に関する生産情報を提示することができる。

【0032】

本開示の他の態様に係る香料検出装置は、植物から放出される香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する香料検出装置であって、前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の前記代謝物の少なくとも一方を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記香料物質及び前記代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報を送信する送信部と、前記植物に付与された前記香料物質を示す付与物質情報と、前記付与物質情報に対応付けられた前記植物に関する生産情報と、前記検出物質情報とに基づいて検出対象の前記植物の前記生産情報を特定する情報管理装置から前記生産情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記生産情報を提示する提示部と、を備える。

【0033】

この構成によれば、香料物質が付与された植物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方が検出され、植物に付与された香料物質を示す付与物質情報と植物に関する生産情報と、植物から検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づき、検出対象の植物の生産情報が特定される。

【0034】

したがって、植物に付与された香料物質と、当該植物の生産情報とが対応付けられ、香料物質が付与された植物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方が検出され、付与された香料物質と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方とが比較されることによって、植物の生産情報を容易に特定することができ、容易に植物に関する生産情報を提示することができる。

【0035】

本開示の他の態様に係る情報管理装置は、植物に香料物質を付与する香料付与装置によって送信された前記植物に付与された前記香料物質を示す付与物質情報及び前記植物に関する生産情報を受信する第１受信部と、前記第１受信部によって受信された前記付与物質情報と前記生産情報とを対応付けて記憶する生産情報記憶部と、前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する香料検出装置によって送信された、検出された前記香料物質及び前記代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報を受信する第２受信部と、前記生産情報記憶部に記憶されている前記付与物質情報及び前記生産情報と、前記第２受信部によって受信された前記検出物質情報とに基づき、検出対象の前記植物の前記生産情報を特定する特定部と、前記特定部によって特定された前記生産情報を前記香料検出装置へ送信する送信部と、を備える。

【0036】

この構成によれば、植物に付与された香料物質を示す付与物質情報と植物に関する生産情報とが対応付けて記憶され、記憶されている付与物質情報及び生産情報と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づき、検出対象の植物の生産情報が特定される。

【0037】

したがって、植物に香料物質が付与され、植物に付与された香料物質と、当該植物の生産情報とが対応付けられているので、付与された香料物質と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方とが比較されることによって、植物の生産情報を容易に特定することができ、容易に植物に関する生産情報を提示することができる。

【0038】

以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。

【0039】

（実施の形態）
図１は、本実施の形態における情報提供システムの全体構成を示す図である。

【0040】

図１に示す情報提供システムは、香料付与装置１、サーバ装置２及び香料検出装置３，４を備える。サーバ装置２は、香料付与装置１及び香料検出装置３，４のそれぞれとネットワーク５を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク５は、例えば、インターネットである。

【0041】

香料付与装置１は、青果物の生産者又は生産者の代理機関によって使用され、青果物に香料物質を付与する。青果物は、植物の一例であり、生産者から消費者へ流通するものである。香料付与装置１が香料物質を付与する対象物は生花であってもよい。香料付与装置１が香料物質を付与する対象物は、植物に限られず、例えば、生鮮食品であってもよい。また、香料物質は、例えば、食品衛生法に基づいて使用が認められている食品添加物である。

【0042】

香料検出装置３は、青果物を生産者から小売業者へ運ぶ流通業者によって使用され、青果物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する。青果物は呼吸をしている。そのため、青果物は、内部に取り込んだ香料物質をそのまま放出することもあれば、内部に取り込んだ香料物質を酵素などによる化学反応により別の化合物に変換し、変換した化合物を代謝物として放出することもある。なお、青果物の流通過程において複数の流通業者が存在する場合、情報提供システムは、複数の流通業者毎に複数の香料検出装置３を備えてもよい。

【0043】

香料検出装置４は、青果物を販売する小売業者又は青果物を購入する消費者によって使用され、青果物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する。なお、香料検出装置３及び香料検出装置４は、同じ構成である。

【0044】

図２は、本実施の形態における香料付与装置の構成を示すブロック図である。

【0045】

図２に示す香料付与装置１は、プロセッサ１１、香料格納部１２、香料付与部１３、香料検出部１４、表示部１５、入力部１６及び通信部１７を備える。

【0046】

プロセッサ１１は、香料付与制御部１１１、香料検出制御部１１２及び商品情報生成部１１３を備える。

【0047】

入力部１６は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス又はスイッチであり、生産者による入力操作を受け付ける。

【0048】

香料付与制御部１１１は、入力部１６からの入力操作に基づき、香料格納部１２及び香料付与部１３の動作を制御する。例えば、生産者は、密閉された空間内に青果物を載置し、青果物への香料物質の付与を開始するための付与開始指示を入力部１６に入力する。生産者は、青果物へ付与する香料物質の種類を入力部１６から入力してもよい。香料付与制御部１１１は、入力部１６により付与開始指示が入力されると、青果物に入力指示された香料物質を付与するように、香料格納部１２及び香料付与部１３の動作を制御する。

【0049】

香料格納部１２は、異なる複数の香料物質を格納する。香料格納部１２は、香料付与制御部１１１によって指定された香料物質を香料付与部１３へ供給する。香料付与制御部１１１は入力指示された香料物質の種類を商品情報生成部１１３に通知してもよい。

【0050】

香料付与部１３は、青果物に香料物質を付与する。香料付与部１３は、青果物が載置された密閉された空間内に、香料格納部１２から供給される所定量の香料物質を注入する。香料物質が満たされかつ密閉された空間内に、青果物を所定時間放置することにより、青果物に香料物質が吸収され、青果物に香料物質が付与される。香料付与制御部１１１は、当該所定時間経過した日時を、香料付与部１３が青果物へ香料物質を付与した日時、すなわち、香料付与日時、として、商品情報生成部１１３に通知してもよい。なお、香料付与部１３は、青果物が含有していない香料物質を付与してもよい。香料付与部１３は、青果物毎に異なる香料物質を付与してもよい。また、香料付与部１３は、異なる複数の香料物質を青果物に付与してもよい。

【0051】

例えば、医薬製剤などの加工品に香料物質を付与する場合、加工品の表面を香料物質でコーティングする必要があり、容易に香料物質を付与することができない。一方、本実施の形態では、青果物などの植物は呼吸をしているため、香料物質が注入された密閉された空間内に青果物を載置することにより、容易に青果物に香料物質を付与することができる。また、青果物に直接付与された香料物質を偽造することは困難であり、青果物の安全性を確保することができる。

【0052】

香料物質の種類は、香料物質が何であるかを特定する情報、例えば、香料物質の名称を意味してもよい。

【0053】

代謝物の種類は、代謝物が何であるかを特定する情報、例えば、代謝物の名称を意味してもよい。

【0054】

香料検出制御部１１２は、入力部１６からの入力操作に基づき、香料検出部１４の動作を制御する。例えば、生産者は、密閉された空間内に青果物を載置し、青果物から放出される香料物質の種類の検出を開始するための検出開始指示を入力部１６に入力する。

【0055】

香料検出部１４は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計であり、青果物に付与された香料物質の種類を検出する。香料物質が付与された直後に、青果物の香料物質の種類を検出することにより、青果物に付与された香料物質の種類を検出することができる。香料検出部１４は、検出した香料物質の種類を香料検出制御部１１２へ出力する。香料検出制御部１１２は、香料検出部１４によって検出された香料物質の種類を、青果物に付与された香料物質を示す付与物質情報として商品情報生成部１１３へ出力する。

【0056】

商品情報生成部１１３は、青果物に付与された香料物質を示す付与物質情報と、青果物に関する生産情報とを含む商品情報を生成する。商品情報生成部１１３は、表示部１５に青果物に関する生産情報、付与物質情報の生産者による入力を受け付けるための商品情報入力画面を表示する。図７に商品情報入力画面の例を示す。生産者は、入力部１６を介して生産情報を入力する。生産情報は、例えば、商品ロット、収穫日付、品名（すなわち、青果物の種類）、生産者の名前を示す生産者情報、出荷日時、出荷先及び輸送業者を含む。生産者は、商品情報入力画面が表示された際に、入力部１６を介して付与物質情報を入力する。付与物質情報は、青果物に付与された香料物質の種類、青果物の代謝により付与された香料物質から生成される代謝物の種類、香料物質が付与された日時、付与された香料物質が検出されたか否かを示す香料検出結果、及び香料検出者を含む。

【0057】

生産者が香料物質の種類、香料物質が付与された日時を入力するのではなく、商品情報生成部１１３は、香料付与制御部１１１から通知された香料物質の種類、香料付与日時を商品情報入力画面に書き込んでもよい。

【0058】

生産者が香料物質の種類を入力するのではなく、商品情報生成部１１３は香料検出制御部１１２から通知された香料物質の種類を商品情報入力画面に書き込んでもよい。

【0059】

生産者が代謝物の種類を入力するのではなく、商品情報生成部１１３は、下記に示す方法で取得した代謝物の種類を商品情報入力画面に書き込んでもよい。

【0060】

香料付与装置１は、青果物の種類と、香料物質の種類と、当該青果物に当該香料物質が付与されることにより当該青果物によって生成される代謝物の種類とを対応付けたテーブルを予め記憶するメモリを備えてもよい。この場合、商品情報生成部１１３は、青果物の種類と、付与された香料物質の種類とに対応付けられた代謝物の種類をメモリから読み出すことで、代謝物の種類を取得する。

【0061】

表示部１５は、例えば、液晶表示装置であり、生産者から青果物の生産情報、付与物質情報の入力を受け付けるため、青果物の商品情報入力画面を表示する。

【0062】

通信部１７は、商品情報送信部１７１を備える。商品情報送信部１７１は、青果物に付与された香料物質を示す付与物質情報と、香料物質が付与された青果物に関する生産情報とを含む商品情報をサーバ装置２へ送信する。香料付与装置１は、商品のロット毎に上記した商品情報を生成し、商品のロット毎に生成した商品情報をサーバ装置２へ送信してもよい。

【0063】

なお、本実施の形態において、香料付与装置１は、香料検出制御部１１２及び香料検出部１４を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、商品情報生成部１１３は、香料付与部１３によって付与された香料物質の種類を香料付与制御部１１１から取得してもよい。この場合、香料検出制御部１１２及び香料検出部１４が不要となる。

【0064】

図３は、本実施の形態における香料検出装置の構成を示すブロック図である。

【0065】

図３に示す香料検出装置３は、入力部３１、プロセッサ３２、香料検出部３３、表示部３４及び通信部３５を備える。なお、香料検出装置４の構成は、香料検出装置３の構成と同じである。

【0066】

入力部３１は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス又はスイッチであり、流通業者又は小売業者による入力操作を受け付ける。

【0067】

プロセッサ３２は、香料検出制御部３２１及び表示制御部３２２を備える。通信部３５は、検出情報送信部３５１及び提示情報受信部３５２を備える。

【0068】

香料検出制御部３２１は、入力部３１からの入力操作に基づき、香料検出部３３の動作を制御する。例えば、流通業者又は小売業者は、密閉された空間内に青果物を載置し、青果物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方の種類の検出を開始するための検出開始指示を入力部３１に入力する。

【0069】

香料検出部３３は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計であり、青果物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方の種類を検出する。

【0070】

青果物などの植物は、呼吸をしており、付与された香料物質を放出したり、付与された香料物質を別の化合物に変換し、変換した化合物を代謝物として放出したりする。そのため、香料検出部３３は、青果物から放出される香料物質の種類を検出したり、青果物から放出される代謝物の種類を検出したり、青果物から放出される香料物質及び代謝物の両方の種類を検出したりする。なお、１種類の香料物質が付与された青果物からは、１種類の代謝物が放出されるとは限らず、複数種類の代謝物が放出されることもある。

【0071】

香料検出部３３は、検出した香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類を香料検出制御部３２１へ出力する。香料検出制御部３２１は、香料検出部３３によって検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類を、青果物から検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報として検出情報送信部３５１へ出力する。

【0072】

検出情報送信部３５１は、香料検出部３３によって検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類を示す検出物質情報をサーバ装置２へ送信する。

【0073】

提示情報受信部３５２は、サーバ装置２から青果物に関する生産情報を含む提示情報を受信する。

【0074】

表示制御部３２２は、表示部３４の動作を制御し、提示情報受信部３５２によって受信された生産情報を含む提示情報を表示部３４へ出力し、表示部３４に提示情報を表示させる。

【0075】

表示部３４は、提示情報受信部３５２によって受信された生産情報を含む提示情報を提示する。

【0076】

図４は、本実施の形態におけるサーバ装置の構成を示すブロック図である。

【0077】

サーバ装置２は、情報管理装置の一例である。図４に示すサーバ装置２は、通信部２１、プロセッサ２２及びメモリ２３を備える。

【0078】

通信部２１は、商品情報受信部２１１、検出情報受信部２１２及び提示情報送信部２１３を備える。プロセッサ２２は、生産情報特定部２２２及び提示情報生成部２２３を備える。メモリ２３は、商品情報記憶部２３１を備える。

【0079】

商品情報受信部２１１は、香料付与装置１によって送信された付与物質情報及び生産情報を含む商品情報を受信する。商品情報受信部２１１は、香料付与装置１によって送信された商品のロット毎の商品情報を受信してもよい。商品情報受信部２１１は、受信した付与物質情報と生産情報とを対応付けて商品情報受信部２１１に記憶する。なお、本実施の形態では、商品情報受信部２１１は、付与物質情報と生産情報とを対応付けた商品情報を商品情報記憶部２３１に記憶する。

【0080】

商品情報記憶部２３１は、商品情報受信部２１１によって受信された商品情報を記憶している。商品情報記憶部２３１は、商品情報受信部２１１によって受信された付与物質情報と生産情報とを対応付けた商品情報を記憶する。

【0081】

商品情報記憶部２３１は、商品情報受信部２１１によって受信された商品のロット毎の商品情報を記憶してもよい。

【0082】

図５は、本実施の形態において商品情報記憶部が記憶する商品情報の一例を示す図である。

【0083】

図５に示すように、各商品情報は、例えば、商品ロット、収穫日付、品名、生産者の名前を示す生産者情報、青果物に付与された香料物質の種類、代謝物の種類、香料物質が付与された日時、付与された香料物質が検出されたか否かを示す香料検出結果、香料検出者、出荷日時、出荷先及び輸送業者を含む。商品情報のうち、商品ロット、収穫日付、品名、生産者の名前を示す生産者情報、出荷日時、出荷先及び輸送業者などが生産情報である。商品情報のうち、香料物質の種類、代謝物の種類、香料物質が付与された日時、付与された香料物質が検出されたか否かを示す香料検出結果及び香料検出者などが付与物質情報である。商品情報記憶部２３１は、商品のロット毎に商品情報を記憶している。

【0084】

例えば、青果物の商品情報は、「Ｓ００００１」という商品ロット、「４月１日」という収穫日付、「イチゴ」という品名（青果物の種類）、「ＡＡ」という生産者情報（生産者の名前）、「Ｘ」という香料物質の種類、「Ｘ１」という代謝物の種類、「４月１日１０時」という香料物質の付与日時、香料物質が検出されたことを示す香料検出結果、「ＣＣ」という香料物質の検出者、「４月１日１５時」という出荷日時、「ＥＥ」という出荷先、及び「ＧＧ」という輸送業者を含む。

【0085】

なお、付与物質情報としては、香料物質の種類及び代謝物の種類のみであってもよい。また、代謝物が生成されない場合、付与物質情報としては、香料物質の種類のみであってもよい。また、生産情報は、上記に限定されない。

【0086】

検出情報受信部２１２は、香料検出装置３によって送信された検出物質情報を受信する。検出情報受信部２１２は、受信した検出物質情報を生産情報特定部２２２へ出力する。

【0087】

生産情報特定部２２２は、商品情報記憶部２３１に記憶されている付与物質情報及び生産情報と、香料検出装置３から受信した検出物質情報とに基づき、検出対象の青果物の生産情報を特定する。生産情報特定部２２２は、検出物質情報から特定される付与物質情報に対応付けられている生産情報を商品情報記憶部２３１から読み出すことにより、検出対象の青果物の生産情報を特定する。生産情報特定部２２２は、検出情報受信部２１２によって受信された検出物質情報に含まれる香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類に一致する付与物質情報が商品情報記憶部２３１にあるか否かを判定する。生産情報特定部２２２は、検出物質情報に含まれる香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類に一致する付与物質情報が商品情報記憶部２３１にあると判定した場合、検出物質情報に対応付けられている生産情報を商品情報記憶部２３１から読み出す。

【0088】

生産情報特定部２２２は、香料検出装置３から受信した検出物質情報に含まれる青果物から検出された物質（すなわち、香料物質または代謝物）の種類と一致する香料物質の種類または代謝物の種類を含む商品情報記憶部２３１に記憶されている付与物質情報に対応する生産情報を特定してもよい。当該付与物質情報と、当該生産情報は同一の商品情報に含まれている。生産情報特定部２２２は、特定した生産情報を商品情報記憶部２３１から読み出してもよい。

【0089】

生産情報特定部２２２は、香料検出装置３から受信した検出物質情報に含まれる青果物から検出された物質（すなわち、香料物質または代謝物）の種類と一致する香料物質の種類または代謝物の種類を含む商品情報記憶部２３１に記憶されている付与物質情報が含まれる商品情報を特定し、生産情報特定部２２２は、特定した商品情報に含まれる生産情報を商品情報記憶部２３１から読み出してもよい。

【0090】

青果物から放出される香料物質又は代謝物は、付与された時点から時間の経過とともに減少する。しかしながら、青果物が生産者から小売業者に届くまでの期間であれば、検出可能な充分な量の香料物質が青果物に残留する。そのため、香料物質を青果物のタグとして利用することができる。

【0091】

提示情報生成部２２３は、生産情報特定部２２２によって読み出された生産情報を含む提示情報を生成する。

【0092】

提示情報送信部２１３は、生産情報特定部２２２によって特定された生産情報を含む提示情報を香料検出装置３へ送信する。

【0093】

図６は、本実施の形態において、香料付与装置がサーバ装置へ付与物質情報及び生産情報を送信する処理について説明するためのフローチャートである。

【0094】

まず、ステップＳ１において、香料付与装置１の香料付与部１３は、香料付与制御部１１１からの制御に基づき、青果物に香料物質を付与する。

【0095】

次に、ステップＳ２において、香料検出部１４は、香料検出制御部１１２からの制御に基づき、青果物に付与された香料物質を検出する。

【0096】

次に、ステップＳ３において、商品情報生成部１１３は、生産者による商品情報、すなわち、生産情報、付与物質情報の入力を受け付けるための商品情報入力画面を表示部１５に表示する。

【0097】

図７は、本実施の形態における商品情報入力画面の一例を示す図である。

【0098】

図７に示す商品情報入力画面１５１には、商品情報、すなわち、生産情報、付与物質情報の生産者による入力を受け付けるための入力欄が表示される。商品生産情報入力画面１５１には、生産者情報、収穫日付、品名、出荷日時、出荷先、輸送業者、代謝物の種類、香料検出者及び商品ロットの生産者による入力を受け付けるための入力欄が表示される。なお、香料物質の種類は、香料付与部１３によって付与された香料物質の種類が自動的に表示されてもよい。また、香料付与日時は、香料付与部１３によって香料物質が付与された日時が自動的に表示されてもよい。また、代謝物の種類は、生産者によって入力されてもよいし、品名（青果物の種類）が入力されることにより、青果物の種類と付与された香料物質の種類とに対応する代謝物の種類が自動的に表示されてもよい。

【0099】

次に、ステップＳ４において、入力部１６は、生産情報、付与物質情報の生産者による入力を受け付ける。生産者は、表示部１５に表示された商品情報入力画面１５１の入力欄にそれぞれ情報を入力する。図７に示すように、商品情報入力画面１５１には、送信ボタン１５２と、終了ボタン１５３とが表示される。送信ボタン１５２が押下されると、付与物質情報と生産情報とを含む商品情報が生成されるとともに送信される。終了ボタン１５３が押下されると、生産情報が生成されることなく、処理が終了することになる。

【0100】

次に、ステップＳ５において、商品情報生成部１１３は、青果物に付与された香料物質を示す付与物質情報と、青果物に関する生産情報とを含む商品情報を生成する。

【0101】

次に、ステップＳ６において、商品情報送信部１７１は、商品情報をサーバ装置２へ送信する。商品情報送信部１７１は、商品のロット毎に生成されたた商品情報をサーバ装置２へ送信してもよい。

【0102】

次に、ステップＳ７において、サーバ装置２の商品情報受信部２１１は、香料付与装置１によって送信された商品情報を受信する。商品情報受信部２１１は、香料付与装置１によって送信された商品のロット毎の商品情報を受信してもよい。

【0103】

次に、ステップＳ８において、商品情報受信部２１１は、受信した商品情報を商品情報記憶部２３１に記憶する。

【0104】

図８は、本実施の形態において、香料検出装置及びサーバ装置により生産情報を提示する処理を説明するためのフローチャートである。

【0105】

まず、ステップＳ１１において、香料検出装置３の香料検出部３３は、香料検出制御部３２１からの制御に基づき、青果物から放出される香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類を検出する。

【0106】

次に、ステップＳ１２において、検出情報送信部３５１は、香料検出部３３によって検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類を示す検出物質情報をサーバ装置２へ送信する。

【0107】

次に、ステップＳ１３において、サーバ装置２の検出情報受信部２１２は、香料検出装置３によって送信された検出物質情報を受信する。

【0108】

次に、ステップＳ１４において、生産情報特定部２２２は、検出情報受信部２１２によって受信された検出物質情報に含まれる香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類に一致する付与物質情報が商品情報記憶部２３１にあるか否かを判定する。

【0109】

ステップＳ１４において、生産情報特定部２２２は、香料検出装置３から受信した検出物質情報に含まれる青果物から検出された物質（すなわち、香料物質または代謝物）の種類と一致する香料物質の種類または代謝物の種類を含む付与物質情報が、商品情報記憶部２３１に記憶されているか否かを判定してもよい。

【0110】

ここで、検出物質情報に含まれる香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類に一致する付与物質情報が商品情報記憶部２３１にあると判定された場合（ステップＳ１４でＹＥＳ）、ステップＳ１５において、生産情報特定部２２２は、検出物質情報に対応付けられている生産情報を商品情報記憶部２３１から読み出すことにより、検出対象の青果物の生産情報を特定する。

【0111】

香料検出装置３から受信した検出物質情報に含まれる青果物から検出された物質（すなわち、香料物質または代謝物）の種類と一致する香料物質の種類または代謝物の種類を含む付与物質情報が、商品情報記憶部２３１に記憶されている場合、ステップＳ１５において、生産情報特定部２２２は、特定した商品情報に含まれる生産情報を商品情報記憶部２３１から読み出すことにより、検出対象の青果物の生産情報を特定してもよい。

【0112】

次に、ステップＳ１６において、提示情報生成部２２３は、生産情報特定部２２２によって特定された生産情報を含む提示情報を生成する。

【0113】

一方、検出物質情報に含まれる香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類に一致する付与物質情報が商品情報記憶部２３１にないと判定された場合（ステップＳ１４でＮＯ）、ステップＳ１６において、提示情報生成部２２３は、検出対象の青果物に対応する生産情報が記憶されていないことを提示するための提示情報を生成する。

【0114】

香料検出装置３から受信した検出物質情報に含まれる青果物から検出された物質（すなわち、香料物質または代謝物）の種類と一致する香料物質の種類または代謝物の種類を含む付与物質情報が、商品情報記憶部２３１に記憶されていない場合、ステップＳ１６において、提示情報生成部２２３は、検出対象の青果物に対応する生産情報が記憶されていないことを提示するための提示情報を生成してもよい。

【0115】

次に、ステップＳ１７において、提示情報送信部２１３は、提示情報生成部２２３によって生成された提示情報を香料検出装置３へ送信する。

【0116】

次に、ステップＳ１８において、香料検出装置３の提示情報受信部３５２は、サーバ装置２によって送信された提示情報を受信する。

【0117】

次に、ステップＳ１９において、表示制御部３２２は、提示情報受信部３５２によって受信された提示情報を表示部３４に表示する。ここで、提示情報が生産情報を含む場合、表示部３４は、生産情報を含む提示情報を表示する。一方、提示情報が検出対象の青果物に対応する生産情報が記憶されていないことを示す場合、表示部３４は、検出対象の青果物に対応する生産情報が記憶されていないことを示す提示情報を表示する。

【0118】

図９は、本実施の形態において、生産情報を含む提示情報の一例を示す図である。提示情報３４１は、生産情報を含む。生産情報は、商品ロット、生産者情報、収穫日付、品名、出荷日時、出荷先及び輸送業者を含む。また、提示情報３４１には、終了ボタン３４３が表示される。終了ボタン３４３が押下されると、処理が終了することになる。

【0119】

このように、青果物に付与された香料物質を示す付与物質情報と青果物に関する生産情報とが対応付けて記憶され、香料物質が付与された青果物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方が検出され、記憶されている付与物質情報及び生産情報と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報とに基づき、検出対象の青果物の生産情報が特定される。したがって、青果物に香料物質が直接付与され、青果物に付与された香料物質と、当該青果物の生産情報とが対応付けられているので、付与された香料物質と、検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方とを比較することによって、青果物の生産情報を容易に特定することができ、容易に青果物の生産情報を提示することができる。

【0120】

なお、本実施の形態において、青果物に香料物質が付与されるとともに、青果物から放出される香料物質が検出されることにより、生産情報が特定されるだけでなく、流通過程における流通履歴を記憶することが可能となる。すなわち、香料検出装置３の表示部３４は、流通業者又は小売業者により流通履歴を記憶するためのトレーサビリティ情報入力画面を表示してもよい。

【0121】

図１０は、本実施の形態において、トレーサビリティ情報入力画面の一例を示す図である。

【0122】

図１０に示すトレーサビリティ情報入力画面３４４には、商品ロット、品名及び香料検出者の流通業者又は小売業者による入力を受け付けるための入力欄が表示される。なお、香料検出日時は、香料検出部３３によって香料物質及び代謝物の少なくとも一方が検出された日時が自動的に表示される。また、香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類は、香料検出部３３によって検出された香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類が自動的に表示される。

【0123】

表示部３４は、香料検出部３３によって香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類が検出された後（図８のステップＳ１１の処理の後）、トレーサビリティ情報入力画面３４４を表示する。流通業者又は小売業者は、表示部３４に表示されたトレーサビリティ情報入力画面３４４の入力欄にそれぞれ情報を入力する。図１０に示すように、トレーサビリティ情報入力画面３４４には、送信ボタン３４５と、終了ボタン３４６とが表示される。送信ボタン３４５が押下されると、トレーサビリティ情報が生成されるとともに送信される。終了ボタン３４６が押下されると、トレーサビリティ情報が生成されることなく、処理が終了することになる。

【0124】

トレーサビリティ情報は、例えば、商品ロット、品名、香料検出者、香料物質及び代謝物の少なくとも一方が検出された香料検出日時、及び香料物質及び代謝物の少なくとも一方の種類を含む。

【0125】

通信部３５は、トレーサビリティ情報をサーバ装置２へ送信する。サーバ装置２の通信部２１は、香料検出装置３によって送信されたトレーサビリティ情報を受信する。通信部２１は、受信したトレーサビリティ情報をメモリ２３に記憶する。その後、図８のステップＳ１４及びステップＳ１５の処理と同じ処理が行われ、提示情報生成部２２３は、生産情報特定部２２２によって特定された生産情報と、流通過程における香料物質の検出結果を示す検出結果情報とを含む提示情報を生成する。

【0126】

図１１は、本実施の形態において、生産情報及び検出結果情報を含む提示情報の一例を示す図である。

【0127】

表示部３４は、提示情報３４７をトレーサビリティ結果画面に表示する。提示情報３４７は、生産情報及び検出結果情報を含む。生産情報は、商品ロット、生産者情報、収穫日付、品名、出荷日時、出荷先及び輸送業者を含む。検出結果情報は、流通過程における香料物質の検出結果を示す。１次香料検出は、香料物質を青果物に付与した際に香料物質が検出されたか否かを示し、２次香料検出は、流通業者が青果物を集荷した際に香料物質または代謝物が検出されたか否かを示し、３次香料検出は、小売業者が青果物を受け取った際に香料物質または代謝物が検出されたか否かを示す。また、提示情報３４７には、終了ボタン３４９が表示される。終了ボタン３４９が押下されると、処理が終了することになる。

【0128】

小売業者は、トレーサビリティ結果画面に表示される検出結果情報を確認することにより、流通過程において香料物質が検出されたか否かを知ることができる。

【0129】

なお、検出結果情報は、香料物質を青果物に付与した際に香料物質が検出された日時と、流通業者が青果物を集荷した際に香料物質が検出された日時と、小売業者が青果物を受け取った際に香料物質が検出された日時とを含んでもよい。

【0130】

続いて、青果物に香料物質を付与し、青果物から放出される香料物質及び代謝物の少なくとも一方を所定時間後に測定した実験結果について説明する。

【0131】

実験では、青果物としてイチゴを使用し、香料物質としてＤ－リモネン（Ｄ－ｌｉｍｏｎｅｎｅ）を使用した。まず、発明者らは、イチゴとＤ－リモネンを含ませた濾紙とをプラスチックカップに入れて封をすることで、イチゴに香料物質を付与した。また、発明者らは、イチゴとＤ－リモネンを含まない濾紙とをプラスチックカップに入れて封をすることで、比較対象となるイチゴを作成した。

【0132】

続いて、発明者らは、香料物質が付与されたイチゴをサンプルバッグに入れ、封をした後、室温で２時間放置した。次に、発明者らは、このサンプルバッグにＴｅｎａｘ ＴＡ（６０／８０）を吸着剤として入れ、サンプルバッグから２００ｍｌのガスを吸引した。続いて、発明者らは、ガスが吸着したＴｅｎａｘ ＴＡ（６０／８０）から熱脱着によりガスを回収し、ガスクロマトグラフ質量分析計（ＧＣ－ＭＳ）によりガス成分を分析した。

【0133】

図１２は、Ｄ－リモネンを付与した青果物とＤ－リモネンを付与しなかった青果物とから放出されるＤ－リモネンの検出量を示す図である。検出量は、ガス成分のスペクトルのピーク面積で表される。

【0134】

図１２に示すように、Ｄ－リモネンを付与したイチゴからは、Ｄ－リモネンが検出され、Ｄ－リモネンを付与しなかったイチゴからは、Ｄ－リモネンは検出されなかった。発明者らは、ガスクロマトグラフ質量分析計で得たＤ－リモネンのスペクトルのピーク面積を比較した。

【0135】

これにより、香料物質であるＤ－リモネンは青果物のタグとして利用可能であることが確認された。すなわち、青果物に付与する香料物質と当該青果物の生産情報とを予め対応付けておき、検出対象の青果物から放出される香料物質を検出することにより、検出対象の青果物の生産情報を容易に得ることができる。

【0136】

また、発明者らは、上記とは異なる香料物質を利用して別の実験を行った。別の実験では、青果物としてイチゴを使用し、香料物質としてトランス－２－ヘキセナール（Ｔｒａｎｓ－２－ｈｅｘｅｎａｌ）を使用した。まず、発明者らは、イチゴとトランス－２－ヘキセナールを含ませた濾紙とをプラスチックカップに入れて封をすることで、イチゴに香料物質を付与した。また、発明者らは、イチゴとトランス－２－ヘキセナールを含まない濾紙とをプラスチックカップに入れて封をすることで、比較対象となるイチゴを作成した。

【0137】

続いて、発明者らは、香料物質が付与されたイチゴから放出されるガス成分をガスクロマトグラフ質量分析計（ＧＣ－ＭＳ）で分析した。このとき、発明者らは、香料物質が付与されたイチゴをサンプルバッグに入れ、封をした後、室温で２時間放置した。次に、発明者らは、このサンプルバッグにＴｅｎａｘ ＴＡ（６０／８０）を吸着剤として入れ、サンプルバッグから２００ｍｌのガスを吸引した。続いて、発明者らは、ガスが吸着したＴｅｎａｘ ＴＡ（６０／８０）から熱脱着によりガスを回収し、ガスクロマトグラフ質量分析計によりガス成分を分析した。

【0138】

図１３は、トランス－２－ヘキセナールを付与した青果物とトランス－２－ヘキセナールを付与しなかった青果物とから放出される代謝物の検出量を示す図である。検出量は、ガス成分のスペクトルのピーク面積で表される。

【0139】

図１３に示すように、トランス－２－ヘキセナールを付与したイチゴからは、トランス－２－ヘキセナールの代謝物と考えられるトランス－２－ヘキセニルアセテート（Ｔｒａｎｓ－２－ｈｅｘｅｎｙｌ ａｃｅｔａｔｅ）が検出され、トランス－２－ヘキセナールを付与しなかったイチゴからは、トランス－２－ヘキセニルアセテートはほとんど検出されなかった。発明者らは、ガスクロマトグラフ質量分析計で得たトランス－２－ヘキセニルアセテートのスペクトルのピーク面積を比較した。

【0140】

これにより、香料物質であるトランス－２－ヘキセナールは青果物のタグとして利用可能であることが確認された。すなわち、青果物に付与する香料物質の代謝物と当該青果物の生産情報とを予め対応付けておき、検出対象の青果物から放出される香料物質の代謝物を検出することにより、検出対象の青果物の生産情報を容易に得ることができる。

【0141】

本開示は、上記した実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。

【0142】

なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、ＣＰＵまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。

【0143】

本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるＬＳＩ（Ｌａｒｇｅ Ｓｃａｌｅ Ｉｎｔｅｇｒａｔｉｏｎ）として実現される。これらは個別に１チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように１チップ化されてもよい。また、集積回路化はＬＳＩに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。ＬＳＩ製造後にプログラムすることが可能なＦＰＧＡ（Ｆｉｅｌｄ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｇａｔｅ Ａｒｒａｙ）、又はＬＳＩ内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。

【0144】

本開示において、ユニット、デバイスの全部又は一部、又は図２～図４に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路（ＩＣ）、又はＬＳＩ（large scale integration）を含む一つ又は一つ以上の電子回路によって実行されてもよい。

【0145】

また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、ＣＰＵ等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。

【0146】

本開示における香料付与装置を実現するソフトウエアは、図６に示すフローチャートに含まれる各ステップをコンピュータに実行させてもよい。

【0147】

本開示におけるサーバ装置を実現するソフトウエアは、図６、８に示すフローチャートに含まれる各ステップをコンピュータに実行させてもよい。

【0148】

本開示における香料検出装置を実現するソフトウエアは、図８に示すフローチャートに含まれる各ステップをコンピュータに実行させてもよい。

【0149】

また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。

【0150】

また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時（並列）に実行されてもよい。

【0151】

また、本開示には下記の情報提供方法が含まれる。

【0152】

植物に香料物質を付与する香料付与装置と、前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する香料検出装置と、情報管理装置とを備える情報提供システムにおける情報提供方法であって、
前記香料付与装置は、前記香料物質を前記植物に付与し、
前記香料付与装置は、前記植物に付与された前記香料物質を示す付与物質情報と、前記植物に関する生産情報とを前記情報管理装置へ送信し、
前記情報管理装置は、前記香料付与装置によって送信された前記付与物質情報及び前記生産情報を受信し、
前記情報管理装置は、受信した前記付与物質情報と前記生産情報とを対応付けて生産情報記憶部に記憶し、
前記香料検出装置は、前記植物から放出される前記香料物質及び前記香料物質の前記代謝物の少なくとも一方を検出し、
前記香料検出装置は、検出した前記香料物質及び前記代謝物の少なくとも一方を示す検出物質情報を前記情報管理装置へ送信し、
前記情報管理装置は、前記香料検出装置によって送信された前記検出物質情報を受信し、
前記情報管理装置は、前記生産情報記憶部に記憶されている前記付与物質情報及び前記生産情報と、前記香料検出装置から受信した前記検出物質情報とに基づき、検出対象の前記植物の前記生産情報を特定し、
前記情報管理装置は、特定した前記生産情報を前記香料検出装置へ送信し、
前記香料検出装置は、前記情報管理装置から前記生産情報を受信し、
前記香料検出装置は、受信した前記生産情報を提示する、
情報提供方法。

【産業上の利用可能性】

【0153】

本開示に係る情報提供方法、情報提供システム、香料付与装置、香料検出装置及び情報管理装置は、容易に植物に関する生産情報を提示することができるので、植物に関する情報を提供する情報提供方法、植物に関する情報を提供する情報提供システム、植物に香料物質を付与する香料付与装置、植物から放出される香料物質及び香料物質の代謝物の少なくとも一方を検出する香料検出装置、及び植物に関する情報を管理する情報管理装置として有用である。

【符号の説明】

【0154】

１ 香料付与装置
２ サーバ装置
３，４ 香料検出装置
５ ネットワーク
１１ プロセッサ
１２ 香料格納部
１３ 香料付与部
１４ 香料検出部
１５ 表示部
１６ 入力部
１７ 通信部
２１ 通信部
２２ プロセッサ
２３ メモリ
３１ 入力部
３２ プロセッサ
３３ 香料検出部
３４ 表示部
３５ 通信部
１１１ 香料付与制御部
１１２ 香料検出制御部
１１３ 商品情報生成部
１７１ 商品情報送信部
２１１ 商品情報受信部
２１２ 検出情報受信部
２１３ 提示情報送信部
２２２ 生産情報特定部
２２３ 提示情報生成部
２３１ 商品情報記憶部
３２１ 香料検出制御部
３２２ 表示制御部
３５１ 検出情報送信部
３５２ 提示情報受信部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】