(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H04W 16/32 20090101AFI20241011BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20241011BHJP
H04W 84/04 20090101ALI20241011BHJP
H04B 7/15 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H04W16/32
H04W84/00 110
H04W84/04
H04B7/15
(21)【出願番号】P 2023566978
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2022139914
(87)【国際公開番号】W WO2023185112
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】202210347577.4
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520204995
【氏名又は名称】上海海事大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】徐 艶麗
(72)【発明者】
【氏名】兪 倩蓮
(72)【発明者】
【氏名】姜 勝明
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0159970(US,A1)
【文献】特開2018-166318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/15
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャであって、
衛星、マクロ基地局、空中設備、海上プラットフォームを備え、
前記衛星は、時間間隔を有する狭帯域信号カバレッジを海域全体に提供し、
前記マクロ基地局は、陸上に配備される陸上マクロ基地局又は海上に配備される海上マクロ基地局を含み、設定された範囲内の海域をカバーし、カバーされる範囲内の機器に無線通信サービスを提供し、
前記陸上マクロ基地局は、近海海域内でカバーされる機器に通信サービスを提供し、
前記海上マクロ基地局は、海上でカバーされる範囲内の機器に通信サービスを提供し、
前記マクロ基地局は前記衛星、前記空中設備及び前記海上プラットフォームと通信し、前記空中設備及び前記海上プラットフォームに情報返送サービスを提供し、マイクロ基地局を管理およびスケジューリングし、
前記空中設備は、マイクロ基地局を配備するためであり、所定の軌道に沿って飛行し、前記海上プラットフォームとD2D通信リンクを確立し、海上サービスの需要が大きい地域に対して配備をタイムリーに増加し、
前記海上プラットフォームは、マイクロ基地局を配備するためであり、マイクロ基地局の間の、又は空中設備とのD2D通信リンクを確立してカバレッジを強化し、
前記マイクロ基地局は前記衛星又は前記マクロ基地局に管理されて、設定された面積のユーザ機器をカバーし、カバーされる機器に情報伝送サービスを提供し、前記マイクロ基地局の間のD2D通信は、近傍のネイバーの検出と、空中設備と協調してターゲットを動的に追跡するためのネットワーキングと、無線リソースの割り当て及び管理とを含み、
前記マイクロ基地局の間のD2D通信は、近傍のネイバーを検出するスッテプは、
前記マイクロ基地局はネイバー探索信号を周期的に送信/受信し、信号にはマイクロ基地局のアイデンティティ情報が含まれるステップS21と、
信号を受信したマイクロ基地局は、受信信号強度RSSIによって送信距離を推定するステップS22と、
信号を受信したマイクロ基地局は、距離の閾値によって、この
マイクロ基地局のネイバーに属するか否かを判別するステップS23と、
圏外モードにおいて、信号を受信したマイクロ基地局が前のステップにおいて信号を送信する送信基地局のネイバーであると判断した場合、指示情報を前記送信基地局にフィードバックし、そうでなければ、フィードバックせず、圏内モードにおいて、信号を受信したマイクロ基地局が前のステップにおいて信号を送信する基地局のネイバーであると判断した場合、指示情報をマクロ基地局にフィードバックし、フィードバック情報は、このマイクロ基地局のアイデンティティ標識を含み、無人航空機又は船舶であるか否かを含むステップS24と、
マイクロ基地局が圏外モードにある場合、マイクロ基地局はネイバーのフィードバックに基づいてネイバーセットを構築し、マイクロ基地局が圏内モードにある場合、そのネイバーセットをマクロ基地局に記憶するステップS25とを含み、
前記空中設備は無人航空機である、
ことを特徴とする海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【請求項2】
前記マイクロ基地局の間のD2D通信は無人航空機と協調してターゲットを動的に追跡するためにネットワーキングするステップは、
前記マイクロ基地局は、その通信範囲内のネイバーノードの情報を取得し且つ通信リンクを確立するステップS31と、
前記マイクロ基地局の間の通信リンクを確立し、ネットワーク時変グラフを取得するステップS32と、
無人航空機のパラメータに基づいて、無人航空機の位置座標を算出し、位置情報に基づいて無人航空機を分類するステップS33と、
最短経路アルゴリズムを用いて時変グラフにおけるノードからノードまでの最短経路を算出するステップS34であって、
具体的には、1つの無人航空機ノードuを初期アクセスノードとして選択し、セットU={u}を初期化し、セットSを海上ユーザノードとして初期化し、セットSから初期アクセスノードとの距離が最も近いノードを選択してセットUに追加し、無人航空機と海上ユーザノードとの間の通信リンクを確立するとともに、最短経路に基づいて海上ノードリンクを確立するステップS34と、
他の無人航空機ノードを新しい初期アクセスノードとして選択し、セットSにおける無人航空機ノードとの距離を更新し、セットSにおけるノードの全てがUに含まれ、現在時刻の通信リンク接続モードを得るまでS34を繰り返すステップS35と、
マイクロ基地局が圏外モードにある場合、マイクロ基地局の間の通信リンクを確立し、マイクロ基地局が圏内モードにある場合、マクロ基地局によってマイクロ基地局の地理位置情報を読み取って記憶し、マイクロ基地局の間の最短経路を算出し、マイクロ基地局が他のノードと通信リンクを確立するように制御するステップS36と、
無人航空機と船舶はいずれも一定の軌道を有し、リンクを切り替える場合、現在時刻における無人航空機、船舶の位置及び速度に基づいて、後続時刻のネットワークにおける該ノードの位置、ネイバーの変化を予測し、ステップS33~S36を実行し次の時刻のリンク接続モードを得るステップS37とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【請求項3】
前記無線リソースの合理的な割り当て及び管理を行うステップは、
マイクロ基地局はリソーススケジューラにリソーススケジューリング許諾要求を送信するステップS41と、
マイクロ基地局が圏内モードにおいて、マクロ基地局によって無線リソースの管理、割り当てを行い、マクロ基地局がスケジューリング許可応答を送信した後、マイクロ基地局の伝送対象のデータをキャッシュし、圏外モードにある場合、ネットワークはD2D通信に1つのリソースプールを割り当て、フレーム構造及びリソースプールの構成を考慮して分散リソース割り当てを行い、ユーザはリソースプールにおいてデータメッセージを宣言するためのリソース占有
の制御メッセージを送信し、制御メッセージによって指定されるデータリソース位置で業務データメッセージを送信するステップS42と、
圏内モードにおいて、マクロ基地局のリソーススケジューラはスケジューリング要求、キャッシュデータの状況に基づいて、ユーザにリソースを割り当て、圏外モードにおいて、ユーザはデータリソースを自ら選択して割り当てるステップS43と、
パワーの需要、ユーザ業務の優先度及びユーザサービスの品質条件に基づいてリソーススケジューリングモデルを確立し、最適化されたリソース割り当てポリシーを得るステップS44と、
圏内モードにおいて、マクロ基地局は対応するリソース割り当てポリシーを記憶し且つスケジューリング指示を行い、そうでなければ、圏外モードにおいて、ユーザはリソース割り当てポリシーに従って自らスケジューリングし、リソース割り当てを行うステップS45とを含む、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【請求項4】
前記マイクロ基地局の間の通信リンクを確立するネットワーク時変グラフモデルはG=(V,E)として表され、Vは、グラフGの頂点、即ちネットワークにおけるノードを表し、マイクロ基地局を配備する無人航空機、船舶及びフロートを含み、Eは、グラフGにおける2つのノードを結ぶ辺を表し、ノード間の接続関係を表す、ことを特徴とする請求項2に記載の海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術分野に関し、特に海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋活動がますます頻繁になり、海洋経済が急速に発展するにつれて、海域におけるシームレスなブロードバンドのカバレッジに対する需要がますます高まっている。スマート海洋、海上輸送、一帯一路(The Belt and Road Initiative)の建設などは情報の伝送が不可欠であり、従って、信頼性が高く、効率的な海上通信は海洋経済の発展を促進し延いては海洋強国を実現するために極めて重要である。従来の海洋通信システムは、主に海上無線通信システム、海洋衛星通信システム、セルラー移動通信システム及び上記3種類のネットワークの利点を統合する集積海洋通信システムを含む。海上無線通信システムは中長距離のカバレッジを提供することができるが、データ伝送のレートが低く且つ通信距離が制限され、セルラー移動通信システムは地上セルラーネットワークの拡張として、データ伝送のレートが相対的に向上するがカバーする海域範囲は制限され、海洋衛星通信システムは海域の全カバレッジを実現することができるが、コストが非常に高い。海洋通信環境の悪さ及び通信インフラストラクチャの不足に加えて、上述通信方式は海洋モノのインタネットなどの新型アプリケーションの通信に対する需要を満たすことができず、海洋経済の更なる発展を拘束してしまう。
【0003】
海上カバレッジの範囲を拡大し、海上ユーザに高レート、低コストの情報サービスを提供するために、無線アドホックワーキング技術はその柔軟性及び拡張性により海上通信に広く応用され、Yauなどは各種の船舶、フロート及びビーコンなどを接続して海上無線マルチホップネットワークを確立し、無線ブロードバンドサービスを提供するが、通信リンクが中断しやすく、情報の伝送が不安定である。通信リンクの信頼性を保証し、海上通信のカバレッジを強化するために、Guanなどは基地局を移動プラットフォームに配備し、タワー搭載基地局を利用してマルチホップ視線リンクを構築し、海上ネットワークと地上ネットワークを接続し、海上ユーザに広域のシームレスなネットワーク情報カバレッジをさらに提供することを提案する。Wangなどは配備することが可能な基地局を利用し、陸上基地局又は船舶ベースがカバーできない地域において、無人航空機を利用して動的なカバレッジを行い、それにより、海上通信のカバレッジ及び通信品質を向上させる。現在提案された海上通信を拡大するシステムアーキテクチャの殆どは、宇宙・空・地上・海洋の混合ネットワークを利用して海上カバレッジを強化し、これも将来の発展の必然的な傾向である。しかし、海上通信環境が複雑であるため、現在の研究には、依然としてネットワークのトポロジ構造の高動的性、一部のカバレッジの弱さ及び効率的で統合されル管理メカニズムの欠如などの問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ネイバーノードの発見方法及び合理的なノードネットワーキングアルゴリズムによって、ユーザ分布の不均一性及び高い移動性に対応し、対応するリソース管理方案を設計してリソースの利用率を向上させる海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャを提供することである。該アーキテクチャは従来の海洋通信システムアーキテクチャに基づいて、異なるシーンに応じて、ユーザのために適切な通信方式を選択し、ユーザ機器間の効率的な情報交換を実現し、ネットワークシステム全体のスループットをさらに向上させ、海洋通信のカバレッジ面積及び帯域幅を拡大し、海洋ユーザのサービス品質を改善させる。
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャであって、
時間間隔を有する狭帯域信号カバレッジを海域全体に提供するための衛星と、
【0006】
陸上に配備される陸上マクロ基地局又は海上に配備される海上マクロ基地局を含み、設定された範囲内の海域をカバーし、カバーされる範囲内の機器に無線通信サービスを提供するマクロ基地局であって、
【0007】
陸上マクロ基地局は、近海海域内でカバーされる機器に通信サービスを提供し、海上マクロ基地局は、海上でカバーされる範囲内の機器に通信サービスを提供し、前記マクロ基地局は衛星、空中機器及び海上プラットフォームと通信し、空中機器及び海上プラットフォームに情報返送サービスを提供し、マイクロ基地局を管理、スケジューリングするマクロ基地局と、
【0008】
マイクロ基地局を配備し、所定の軌道に沿って飛行し、海上プラットフォームとD2D通信リンクを確立し、海上サービスの需要が大きい地域に対して配備をタイムリーに増やすための空中機器と、
【0009】
マイクロ基地局を配備し、マイクロ基地局間の、又は空中機器とのD2D通信リンクを確立してカバレッジを強化するための海上プラットフォームであって、
【0010】
前記マイクロ基地局は前記衛星又はマクロ基地局に管理されて、設定された面積のユーザ機器をカバーし、カバーされる機器に情報伝送サービスを提供し、マイクロ基地局間のD2D通信は、近傍のネイバーの検出と、空中機器と協調してターゲットを動的に追跡するためのネットワーキングと、無線リソースの割り当て及び管理とを含む海上プラットフォームとを含む、ことを特徴とする海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【0011】
好ましくは、マイクロ基地局間のD2D通信は、近傍のネイバーの検出のステップを含み、このステップは、
マイクロ基地局はネイバー探索信号を周期的に送信/受信し、信号にはマイクロ基地局のアイデンティティ情報が含まれるステップS21と、
【0012】
信号を受信したマイクロ基地局は、受信信号強度RSSIによって送信距離を推定するステップS22と、
【0013】
信号を受信したマイクロ基地局は、距離の閾値によって、この基地局のネイバーに属するか否かを判別するステップS23と、
【0014】
圏外モードにおいて、信号を受信したマイクロ基地局が前のステップにおいて信号を送信する基地局のネイバーであると判断した場合、指示情報を該送信基地局にフィードバックし、そうでなければ、フィードバックせず、圏内モードにおいて、信号を受信したマイクロ基地局が前のステップにおいて信号を送信する基地局のネイバーであると判断した場合、指示情報をマクロ基地局にフィードバックし、フィードバック情報は、このマイクロ基地局のアイデンティティ標識を含み、無人航空機又は船舶であるか否かを含むステップS24と、
【0015】
マイクロ基地局が圏外モードにある場合、マイクロ基地局はネイバーのフィードバックに基づいてネイバーセットを構築し、マイクロ基地局が圏内モードにある場合、そのネイバーセットをマクロ基地局に記憶するステップS25とを含み、
【0016】
空中機器は無人航空機である、ことを特徴とする海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【0017】
好ましくは、前記マイクロ基地局間のD2D通信は無人航空機と協調してターゲットを動的に追跡するためのネットワーキングのステップは、
マイクロ基地局は、その通信範囲内のネイバーノードの情報を取得し且つ通信リンクを確立するステップS31と、
【0018】
マイクロ基地局間の通信リンクを確立し、ネットワーク時変グラフを取得するステップS32と、
【0019】
無人航空機のパラメータに基づいて、無人航空機の位置座標を算出し、位置情報に基づいて無人航空機を分類するステップS33と、
【0020】
最短経路アルゴリズムを用いて時変グラフにおけるノードからノードまでの最短経路を算出するステップS34であって、
【0021】
具体的には、1つの無人航空機ノードuを初期アクセスノードとして選択し、セットU={u}を初期化し、セットSを海上ユーザノードとして初期化し、セットSから初期アクセスノードとの距離が最も近いノードを選択してセットUに追加し、無人航空機と海上ユーザノードとの間の通信リンクを確立するとともに、最短経路に基づいて海上ノードリンクを確立するステップS34と、
【0022】
他の無人航空機ノードを新しい初期アクセスノードとして選択し、セットSにおける無人航空機ノードとの距離を更新し、セットSにおけるノードの全てがUに含まれ、現在時刻の通信リンク接続モードを得るまでS34を繰り返すステップS35と、
【0023】
マイクロ基地局が圏外モードにある場合、マイクロ基地局間の通信リンクを確立し、マイクロ基地局が圏内モードにある場合、マクロ基地局によってマイクロ基地局の地理位置情報を読み取って記憶し、マイクロ基地局間の最短経路を算出し、マイクロ基地局が他のノードと通信リンクを確立するように制御するステップS36と、
【0024】
無人航空機と船舶はいずれも一定の軌道を有し、リンクを切り替える場合、現在時刻における無人航空機、船舶の位置及び速度に基づいて、後続時刻のネットワークにおける該ノードの位置、ネイバーの変化を予測し、ステップS33~S36を実行し次の時刻のリンク接続モードを得るステップS37とを含み、
【0025】
空中機器は無人航空機である、ことを特徴とするに記載の海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【0026】
好ましくは、前記無線リソースの合理的な割り当て及び管理を行うステップは、
マイクロ基地局はリソーススケジューラにリソーススケジューリング許諾要求を送信するステップS41と、
【0027】
マイクロ基地局が圏内モードにおいて、マクロ基地局によって無線リソースの管理、割り当てを行い、マクロ基地局がスケジューリング許可応答を送信した後、マイクロ基地局の伝送対象のデータをキャッシュし、圏外モードにある場合、ネットワークはD2D通信に1つのリソースプールを割り当て、フレーム構造及びリソースプールの構成を考慮して分散リソース割り当てを行い、ユーザはリソースプールにおいてデータメッセージを宣言するためのリソース占有などの制御メッセージを送信し、制御メッセージによって指定されるデータリソース位置で業務データメッセージを送信するステップS42と、
【0028】
圏内モードにおいて、マクロ基地局のリソーススケジューラはスケジューリング要求、キャッシュデータの状況に基づいて、ユーザにリソースを割り当て、圏外モードにおいて、ユーザはデータリソースを自ら選択して割り当てるステップS43と、
【0029】
パワーの需要、ユーザ業務の優先度及びユーザサービスの品質条件に基づいてリソーススケジューリングモデルを確立し、最適化されたリソース割り当てポリシーを得るステップS44と、
【0030】
圏内モードにおいて、マクロ基地局は対応するリソース割り当てポリシーを記憶し且つスケジューリング指示を行い、そうでなければ、圏外モードにおいて、ユーザはリソース割り当てポリシーに従って自らスケジューリングし、リソース割り当てを行うステップS45とを含み、
空中機器は無人航空機である記載の海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【0031】
好ましくは、前記マイクロ基地局間の通信リンクを確立するネットワーク時変グラフモデルはG=(V,E)として表され、Vは、グラフGの頂点、即ちネットワークにおけるノードを表し、マイクロ基地局を配備する無人航空機、船舶及びフロートを含み、Eは、グラフGにおける2つのノードを結ぶ辺を表し、ノード間の接続関係を表す、ことを特徴とする前記記載の海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャ。
【発明の効果】
【0032】
本発明の実施例において、改善された海上通信範囲を拡大するD2D通信に基づくネットワークアーキテクチャによって、少なくとも以下の有益な効果を取得する。
【0033】
上記海上通信に存在する問題を解決するために、宇宙・空・地上・海洋一体化のネットワークに基づき、海洋情報の伝送アーキテクチャを提供して海上カバレッジを拡大し、ネイバーノードの発見方法及び合理的なノードネットワーキングアルゴリズムを設計し、ユーザ分布の不均一性及び高い移動性に対応し、対応するリソース管理方案を設計してリソースの利用率を向上させる。該アーキテクチャは従来の海洋通信システムアーキテクチャに基づいて、異なるシーンに応じて、ユーザのために適切な通信方式を選択し、ユーザ機器間の効率的な情報交換を実現し、ネットワークシステム全体のスループットをさらに向上させ、海洋通信のカバレッジ面積及び帯域幅を拡大し、海洋ユーザのサービス品質を改善させる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるマイクロ基地局間でD2D通信を採用する宇宙・空・地上・海洋一体化の情報伝送アーキテクチャである。
【
図2】本発明のマイクロ基地局間の3種類の通信モードの概略図である。
【
図3】本発明のマイクロ基地局間のD2D通信のネイバー発見方法のフローチャートである。
【
図4】本発明のマイクロ基地局間のD2D通信ネットワーキングとカバレッジ方法のフローチャートである。
【
図5】本発明のマイクロ基地局間のD2D通信リソースの管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、特定の具体的な実施例によって本発明の実施の形態を説明し、当業者は本明細書に開示される内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明は、さらに別の異なる実施の形態によって実施又は応用されてもよく、本明細書における各詳細記述は、異なる考え方又は応用に基づいて、本発明の精神を逸脱しない範囲で様々な修飾及び変更することもできる。
【0036】
図1は、本発明の実施例におけるマイクロ基地局間のD2D通信に基づく宇宙・空・地上・海洋の一体化情報伝送ネットワークである。衛星通信は海域全体に信号カバレッジを提供し、空中機器は、マイクロ基地局を空中の必要に応じるアクセスポイントとして配備し、所定の軌道に沿って飛行し、マクロ基地局は、カバレッジ範囲内の海域の高品質のサービスを保証するように、一部の海域をカバーし、海上でマイクロ基地局を利用可能な移動プラットフォーム又は固定プラットフォーム、例えば、船舶、フロート、ビーコン、灯台などに配備し、これらのマイクロ基地局はマクロ基地局又は衛星に管理されて、一定の面積のユーザ機器をカバーし、情報伝送サービスを提供する。マイクロ基地局間は、D2D通信を利用してデータの返送、情報の交換などのタスクを行い、遠く離れるユーザ機器に情報交換の機会を提供し且つ海上通信の性能を向上させることができ、
図1に示すように、D2D端末は情報アクセスのノードとしてもよく、カバレッジ範囲外のノードは中継によってカバレッジ範囲内のノードと情報伝達を行い、海洋通信のカバレッジ面積を間接に拡大する。陸上マクロ基地局及び海上マクロ基地局はマクロ基地局と総称され、海上で、実際の条件の制限によって、マクロ基地局のカバレッジ範囲は制限されるため、海上プラットフォームはマクロ基地局にカバーされないか、マクロ基地局にカバーされ、即ち、陸上マクロ基地局にカバーされ、又は海上マクロ基地局にカバーされ、又は陸上或いは海上マクロ基地局に同時にカバーされるが、この場合、両者間の無線カバレッジがより強いマクロ基地局は支配的であるため、実際の状況に応じて、以下に記載されるマクロ基地局は、いずれもマイクロ基地局に信号カバレッジを提供することができるマクロ基地局又は両者間の信号カバレッジがより強いマクロ基地局を指す。
【0037】
具体的には、
図2に示すように、マイクロ基地局の通信モードは3種類に分けられる。1つ目は、センターノード(マクロ基地局又は衛星)圏内モードであり、即ちマイクロ基地局はセンターノードにカバーされ、この場合、マイクロ基地局は情報アクセスのノードとしてもよく、それにカバーされる機器情報をセンターノードに転送する。2つ目は、部分的な圏内モードであり、マイクロ基地局はセンターノードにカバーされるマイクロ基地局と通信することができ、それによって、センターノードとの間の情報伝達は、センターノードにカバーされるマイクロ基地局によって中継することができる。3つ目は、圏外モードであり、マイクロ基地局はそのネイバーノードと情報を交換するしかできない。
【0038】
さらに、ユーザノードが情報を伝送する場合、センターノードのカバレッジ範囲内のユーザは、センターノードによって通信サービスを直接に提供することができ、センターノードが部分的にカバーし又はカバーしない場合、
図1に示すように、マイクロ基地局の間はユーザのQoSに基づいて通信モードを選択することができる。送信電力が制限されるため、通信範囲内にない機器は、マルチホップルーティングを用いて他のノードを介して中継し、エネルギーの消費を省くことができる。以上のように、センターノードのカバレッジ状況、ユーザのQoS及び通信の需要に基づいて通信モードを自律的に選択し且つ切り替える。
【0039】
図1の実施例におけるマイクロ基地局は、以上の3種類の通信モードにおいて、様々な態様に係る通信サービスを提供する必要があり、本実施例は、マイクロ基地局の間のネイバーの発見方法を提供し、そのフローの概略図は
図3に示されており、次のステップを含む。
【0040】
S11:マイクロ基地局はネイバー探索信号を周期的に送信/受信し、信号にはマイクロ基地局のアイデンティティ情報が含まれる。
【0041】
S12:信号を受信したマイクロ基地局は、受信信号強度(Receive Signal Strange Indicator、 RSSI)によって送信距離を推定する。算出方法は様々であり、例えば、成熟した大規模フェージングの算出方式を採用する。
式1
PR(dBm)=A-10・nlg(d) (1)
【0042】
ここで、PRは信号の受信電力であり、Aは、送信信号が1m程度送信される時に受信信号の電力であり、nは、信号伝搬因子であり、その数値の大きさは無線信号の伝搬環境に決められ、dは、2つのマイクロ基地局の間の距離である。定数A及びnは、受信信号の強度と信号伝送の距離との間の関係を決める。
【0043】
S13:信号を受信したマイクロ基地局は、距離の閾値によって、この基地局のネイバーに属するか否かを判別し、例えば、閾値があるTよりも大きい場合、該基地局のネイバーであると考えられ、そうでなければ、該基地局のネイバーではない。Tの値は、経験値、ネットワークの性能、ユーザの需要など、例えば、マクロ基地局、衛星、又は該基地局自体によって決められてもよい。
【0044】
S14:圏外モードにおいて、信号を受信したマイクロ基地局が前のステップにおいて信号を送信する基地局のネイバーであると判断した場合、指示情報を該送信基地局にフィードバックし、そうでなければ、フィードバックせず、マイクロ基地局が圏内モードにおいて、信号を受信したマイクロ基地局が前のステップにおいて信号を送信する基地局のネイバーであると判断した場合、指示情報をマクロ基地局にフィードバックする。フィードバック情報は、このマイクロ基地局のアイデンティティ標識を含み、無人航空機又は船舶であるか否かを含む。
【0045】
S15:マイクロ基地局が圏外モードにある場合、マイクロ基地局はネイバーのフィードバックに基づいてネイバーセットを構築し、マイクロ基地局が圏内モードにある場合、そのネイバーセットをマクロ基地局に記憶する。
【0046】
本実施例は、マイクロ基地局の間でネットワーキングを行う方法を提供し、そのフローの概略図は
図4に示されており、次のステップを含む。
【0047】
S21:マイクロ基地局は、その通信範囲内のネイバーノードの情報を取得し且つ通信リンクを確立する。
【0048】
S22:マイクロ基地局間の通信リンクを確立し、そのネットワーク時変グラフモデルはG=(V,E)として表されてもよく、Vは、グラフGの頂点、即ちネットワークにおけるノードを表し、マイクロ基地局を配備する無人航空機、船舶及びフロートなどを含み、Eは、グラフGにおける2つのノードを結ぶ辺を表し、ノード間の接続関係を表す。
S23:無人航空機のパラメータに基づいて、無人航空機の位置座標を算出し、位置情報に基づいて無人航空機を分類する。
【0049】
S24:マイクロ基地局の間で動的なネットワーキングを行う場合、ネットワークトポロジはある時刻に一定であり、最短経路アルゴリズムを用いて時変グラフG(V、E)におけるノードからノードまでの最短経路を算出することができる。
【0050】
具体的には、1つの無人航空機ノードuを初期アクセスノードとして選択し、セットU={u}を初期化し、セットSを海上ユーザノードとして初期化する。セットSから初期アクセスノードとの距離が最も近いノードを選択してセットUに追加し、無人航空機と海上ユーザノードとの間の通信リンクを確立するとともに、最短経路に基づいて海上ノードリンクを確立する。
【0051】
S25:他の無人航空機ノードを新しい初期アクセスノードとして選択し、セットSにおける無人航空機ノードとの距離を更新する。セットSにおけるノードの全てがUに含まれ、現在時刻の通信リンク接続モードを得るまでS24を繰り返す。
【0052】
S26:マイクロ基地局が圏外モードにある場合、マイクロ基地局の間の通信リンクを確立し、マイクロ基地局が圏内モードにある場合、マクロ基地局によってマイクロ基地局の地理位置情報を読み取って記憶し、マイクロ基地局の間の最短経路を算出し、マイクロ基地局が他のノードと通信リンクを確立するように制御する。
【0053】
S27:無人航空機と船舶はいずれも一定の軌道を有し、リンクを切り替える場合、現在時刻における無人航空機、船舶の位置及び速度に基づいて、後続時刻のネットワークにおける該ノードの位置、ネイバーの変化を予測し、ステップS23~S26を実行し次の時刻のリンクの接続モードを得る。
【0054】
本実施例は、マイクロ基地局の間のリソースの管理方法を提供し、そのフローの概略図は
図5に示されており、次のステップを含む。
【0055】
S31:マイクロ基地局はリソーススケジューラにリソーススケジューリング許諾要求を送信する。
【0056】
S32:圏内モードにおいて、マクロ基地局によって無線リソースの管理、割り当てを行うことができる。マクロ基地局がスケジューリング許可応答を送信し、且つマイクロ基地局の伝送対象のデータをキャッシュする。圏外モードにおいて、物理レイヤのフィードバックが存在しないため、関連するチャネルの状態の情報が少なく、D2D端末が無線リソースを割り当てることができるよう請求し、ネットワークはD2D通信に1つのリソースプールを割り当ててもよく、フレーム構造及びリソースプールの構成を考慮して分散リソース割り当てを行い、ユーザはリソースプールにおいてデータメッセージを宣言するためのリソース占有などの制御メッセージを送信し、そして、制御メッセージによって指定されるデータリソース位置で業務データメッセージを送信する。
【0057】
S33:圏内モードにおいて、マクロ基地局のリソーススケジューラはスケジューリング要求、キャッシュデータなどの状況に基づいて、ユーザにリソースを割り当て、圏外モードにおいて、ユーザはデータリソースを自ら選択して割り当てる。
【0058】
S34:マクロ基地局が比較に強いデータの処理能力を備えることに対し、マイクロ基地局の算出能力は比較的に低く、消費電力により敏感である。電力の需要、ユーザ業務の優先度及びユーザのサービス品質などの条件に基づいてリソースのスケジューリングモデルを確立し、最適化されたリソース割り当てポリシーを得る。
【0059】
S35:圏内モードにおいて、マクロ基地局は対応するリソース割り当てポリシーを記憶し且つスケジューリング指示を行う。そうでなければ、圏外モードにおいて、ユーザはリソース割り当てポリシーに従って自らスケジューリングし、リソースの割り当てを行う。
【0060】
提案されたマイクロ基地局間のD2D通信の情報伝送アーキテクチャは、背景技術に係る問題をさらに解決することができ、マイクロ基地局を配備し且つD2D通信技術を用いて情報伝送を行い、海洋カバレッジ面積及び帯域幅を拡大することができる。提案されたネイバーノードの発見方法及びネットワーキングアルゴリズムは、海上ノードの移動性にさらに対応することができ、通信リンクの安定性を向上させることができ、提案されたマイクロ基地局間のリソース管理方案は、無線リソースの利用率を向上させ、海洋ユーザのサービス品質を改善させることができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施例について説明した。本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、詳細に説明されていない装置および構造は、当該分野における一般的な方法で実施されるものと理解されるべきであることを理解する必要がある。当業者であれば、本発明の技術的解決手段の範囲から逸脱することなく、上記開示された方法及び技術内容を利用して本発明の技術的解決手段に対して多くの可能な変化及び修飾を行うことができ、又は同等変化の等価実施例に修正することができ、これは本発明の本質的な内容に影響を与えない。したがって、本発明の技術的解決手段の内容から逸脱せず、本発明の技術的実質に基づいて以上の実施例に対して行われたいかなる簡単な修正、同等変化及び修飾は、いずれも依然として本発明の技術的解決手段の保護範囲内に属する。