(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】スチーム噴出器およびスチームアイロン
(51)【国際特許分類】
D06F 75/18 20060101AFI20241011BHJP
D06F 75/14 20060101ALI20241011BHJP
D06F 75/24 20060101ALI20241011BHJP
D06F 87/00 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
D06F75/18
D06F75/14 Z
D06F75/24
D06F87/00
(21)【出願番号】P 2019033930
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-11-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松坂 建志
(72)【発明者】
【氏名】筏井 和康
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
【審判官】米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-286500(JP,A)
【文献】特開2018-99420(JP,A)
【文献】実開昭52-135695(JP,U)
【文献】特開平8-173700(JP,A)
【文献】特開2011-62540(JP,A)
【文献】実開平7-17352(JP,U)
【文献】特開平5-23497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F75/18
D06F75/14
D06F75/24
D06F87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が供給される気化室、および、前記気化室内の液体からスチームが生成されるように前記気化室を加熱するヒータを含む気化体と、
液体を貯留するタンクから前記気化室に液体を供給するポンプと、
前記タンクと前記ポンプとを接続する給水チューブと、
前記タンクを支持可能なタンク支持部と、
を備えるスチーム噴出器であって、
前記気化体は前記スチーム噴出器の高さ方向に関して前記タンクに対して下方向に設けられ、
前記給水チューブは前記タンクに対して前記気化体寄りに設けられ、前記タンクに接続される第1端部、および、前記ポンプに接続される第2端部を含み、
前記第2端部は前記スチーム噴出器の高さ方向に関して前記第1端部に対して上方向に設けられ、
前記タンク支持部は前記タンクを支持するタンク支持面、および、前記給水チューブが配置される配置部を含み、
前記配置部は前記タンク支持面に対して凹むように構成される
スチーム噴出器。
【請求項2】
前記第1端部は前記タンクの底部に接続され、
前記第2端部は前記ポンプの側部に接続される
請求項1に記載のスチーム噴出器。
【請求項3】
前記気化体で生成されたスチームを噴出する噴出口を含むベースをさらに備え、
前記給水チューブは前記ベースと前記タンクとの間に配置される
請求項1または2に記載のスチーム噴出器。
【請求項4】
前記給水チューブは前記気化体と前記タンクとの間に配置される
請求項1~3のいずれか一項に記載のスチーム噴出器。
【請求項5】
前記ポンプはポンプ本体と、前記給水チューブが接続される給水口と、前記ポンプ本体と前記気化室とを接続する送水チューブが接続される送水口とを含み、
前記給水口および前記送水口は前記タンクを臨むように前記ポンプ本体に設けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載のスチーム噴出器。
【請求項6】
前記ポンプは前記ポンプの長手方向が前記スチーム噴出器の長手方向に交差するように配置される
請求項1~5のいずれか一項に記載のスチーム噴出器。
【請求項7】
前記給水チューブは可撓性を有するチューブ本体と、前記チューブ本体の端部に設けられる錘とを含み、
前記チューブ本体は前記第1端部および前記第2端部
、ならびに、前記第1端部につながり、前記タンク内に配置される第1端部を含み、
前記タンク内に配置される第1端部は、前記タンク内の液体を吸水する吸水口を含み、
前記錘は錐体形状を有し、
前記タンク内に配置される第1端部の前記吸水口に設けられる
請求項1~6のいずれか一項に記載のスチーム噴出器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のスチーム噴出器と、
衣類に熱を与える掛面とを備える
スチームアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチーム噴出器およびスチームアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
スチームを噴出可能なスチーム噴出器が知られている。従来のスチーム噴出器はスチームを噴出する噴出口を含むベースと、噴出口からスチームが噴出されるようにスチームを生成する気化体と、液体を貯留するタンクから気化体に液体を供給するポンプとを備える。気化体はポンプから液体が供給される気化室、および、気化室内の液体からスチームが生成されるように気化室を加熱するヒータを含む。このスチーム噴出器では、ポンプの駆動に伴ってタンク内の液体が気化室に供給され、気化室内の液体がヒータで加熱されることによりスチームが生成され、そのスチームが噴出口を介して外部に噴出される。特許文献1は従来のスチーム噴出器の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスチーム噴出器では、ポンプが連続して駆動され、タンク内の液体が気化室に供給され続けると、液体との熱交換により気化室内の温度が低下する。このため、スチームが安定して噴出されないことがある。
【0005】
本発明の目的はスチームを安定して噴出できるスチーム噴出器およびスチームアイロンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に関するスチーム噴出器の一形態は、液体が供給される気化室、および、前記気化室内の液体からスチームが生成されるように前記気化室を加熱するヒータを含む気化体と、液体を貯留するタンクから前記気化室に液体を供給するポンプと、前記タンクと前記ポンプとを接続する給水チューブとを備え、前記給水チューブは前記気化体から熱を受けるように前記タンクに対して前記気化体寄りに配置される。
【0007】
本発明に関するスチームアイロンの一形態は、前記スチーム噴出器と、衣類に熱を与える掛面とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンによれば、スチームを安定して噴出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】
図1のスチームアイロンの内部構造を示す側面図。
【
図6】
図1のスチームアイロンの内部構造を示す斜視図。
【
図7】
図1のスチームアイロンの内部構造を示す平面図。
【
図9】
図1のスチームアイロンの使用状態の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(スチーム噴出器およびスチームアイロンが取り得る形態の一例)
本発明に関するスチーム噴出器の一形態は、液体が供給される気化室、および、前記気化室内の液体からスチームが生成されるように前記気化室を加熱するヒータを含む気化体と、液体を貯留するタンクから前記気化室に液体を供給するポンプと、前記タンクと前記ポンプとを接続する給水チューブとを備え、前記給水チューブは前記気化体から熱を受けるように前記タンクに対して前記気化体寄りに配置される。
上記スチーム噴出器によれば、給水チューブが気化体から熱を受けるようにタンクに対して気化体寄りに配置されるため、給水チューブを流れる液体がヒータの熱の影響を受けやすい。具体的には、ポンプの駆動に伴ってタンクから気化室に供給される液体が給水チューブ内で加熱されるため、ポンプが連続して駆動される場合においても気化室内の温度が低下しにくい。このため、スチームを安定して噴出できる。
【0011】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記気化体で生成されたスチームを噴出する噴出口を含むベースをさらに備え、前記給水チューブは前記ベースと前記タンクとの間に配置される。
上記スチーム噴出器によれば、給水チューブを流れる液体がヒータの熱の影響を受けやすい。このため、スチームを安定して噴出できる。
【0012】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記給水チューブは前記気化体と前記タンクとの間に配置される。
上記スチーム噴出器によれば、給水チューブを流れる液体がヒータの熱の影響を受けやすい。このため、スチームを安定して噴出できる。
【0013】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記タンクを支持可能なタンク支持部をさらに備え、前記タンク支持部は前記給水チューブを配置可能な配置部を含む。
上記スチーム噴出器によれば、給水チューブを配置可能な配置部がタンク支持部に設けられるため、省スペースに構成できる。
【0014】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記ポンプはポンプ本体と、前記給水チューブが接続される給水口と、前記ポンプ本体と前記気化室とを接続する送水チューブが接続される送水口とを含み、前記給水口および前記送水口は前記タンクを臨むように前記ポンプ本体に設けられる。
上記スチーム噴出器によれば、給水チューブ(送水チューブ)を給水口(送水口)に接続するために必要な空間がタンクとポンプとの間に設けられる。タンクおよびポンプはスチーム噴出器を構成する各種の要素において相対的に重い。このため、好適な重量バランスを実現できる。
【0015】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記ポンプは前記ポンプの長手方向が前記スチーム噴出器の長手方向に交差するように配置される。
上記スチーム噴出器によれば、スチーム噴出器の長手方向において小型に構成できる。
【0016】
前記スチーム噴出器の一例によれば、前記給水チューブは可撓性を有するチューブ本体と、前記チューブ本体の端部に設けられる錘とを含み、前記チューブ本体は前記タンクに接続される第1端部と、前記ポンプに接続される第2端部とを含み、前記錘は錐体形状を有し、前記第1端部に設けられる。
上記スチーム噴出器によれば、錐体形状の錘が給水チューブの第1端部に設けられるため、第1端部がタンクの内面と接触しやすく、重力が作用する方向に第1端部が移動しやすい。このため、第1端部がタンク内の液体に浸漬されやすくなり、ポンプの駆動に伴ってタンク内の液体を十分に吸水できる。
【0017】
本発明に関するスチームアイロンの一形態は、前記スチーム噴出器と、衣類に熱を与える掛面とを備える。
上記スチームアイロンによれば、給水チューブが気化体から熱を受けるようにタンクに対して気化体寄りに配置されるため、給水チューブを流れる液体がヒータの熱の影響を受けやすい。具体的には、ポンプの駆動に伴ってタンクから気化室に供給される液体が給水チューブ内で加熱されるため、ポンプが連続して駆動される場合においても気化室内の温度が低下しにくい。このため、スチームを安定して噴出できる。
【0018】
(実施の形態)
図1~
図3を参照して、スチームアイロン1の外観構成について説明する。
スチームアイロン1は衣類C(
図9参照)のしわを伸ばすために利用される。スチームアイロン1は例えばアイロン機能およびスチーム機能を有する。アイロン機能は熱および圧力を衣類Cに与えることにより衣類Cのしわを伸ばす機能である。スチーム機能はスチームを衣類Cに与えることにより衣類Cのしわを伸ばす機能である。図示される例では、スチームアイロン1はスチーム機能に特化した衣類スチーマ(ハンディスチームアイロン)である。スチームアイロン1の基本的な構成は特開2018-99420号公報に開示されるスチームアイロンと実質的に同じである。スチームアイロン1はアイロン機能に特化した一般的なスチームアイロンであってもよい。
【0019】
図1に示されるように、スチームアイロン1はスチーム噴出器10と、衣類Cに熱を与える掛面21A(
図2参照)とを備える。スチーム噴出器10はスチーム機能を有する。掛面21Aはアイロン機能を有する。スチーム噴出器10はハウジング11、電源操作部13、ポンプ操作部14(
図3参照)、報知部15、電源コード16、および、ベース20を備える。
【0020】
ハウジング11はスチーム噴出器10の外郭を構成する。ハウジング11は例えば底面が開口した釣鐘形状を有する。ハウジング11を構成する材料の一例は樹脂である。ハウジング11を構成する樹脂の一例はポリカーボネートである。ハウジング11は例えば複数の部品が結合されることにより構成される。一例では、ハウジング11は一対の第1部分11Aおよび一対の第2部分11Bを含む。一対の第1部分11Aはスチーム噴出器10を把持するための把持部12として機能する。具体的には、一対の第1部分11Aが互いに結合されることにより把持部12が構成される。一対の第2部分11Bはスチーム噴出器10を構成する各種の要素を収容する。具体的には、一対の第2部分11Bが互いに結合されることにより、スチーム噴出器10を構成する各種の要素が収容される。一対の第1部分11Aと一対の第2部分11Bとが互いに結合されることによりハウジング11が構成される。
【0021】
電源操作部13はスチームアイロン1の電源のオンオフを切り替え可能に構成される。電源操作部13は例えばスライド式のスイッチを含む。電源操作部13はハウジング11に設けられる。一例では、電源操作部13は一方の第2部分11Bに設けられる。スチームアイロン1の電源がオフからオンに切り替えられるように電源操作部13が操作されると、後述するヒータ32(
図4参照)が動作し始める。スチームアイロン1の電源がオンからオフに切り替えられるように電源操作部13が操作されると、ヒータ32の動作が停止する。
【0022】
ポンプ操作部14は後述するポンプ50(
図4参照)を駆動可能に構成される。ポンプ操作部14は例えばボタン式のスイッチを含む。ポンプ操作部14はハウジング11に設けられる。一例では、ポンプ操作部14は一対の第1部分11Aにおいて、把持部12の底面に設けられる。一例では、ポンプ操作部14の操作に応じてポンプ50が駆動され、スチームアイロン1からスチームが噴出される。ポンプ操作部14の操作が終了するとポンプ50の駆動が停止し、スチームアイロン1からスチームが噴出されなくなる。
【0023】
報知部15はスチームアイロン1に関する情報を報知する。一例では、報知部15は1つまたは複数のLED(Light Emitting Diode)ランプを含む。報知部15は例えばハウジング11に設けられる。一例では、報知部15は一対の第1部分11Aにおいて、把持部12の上面に設けられる。
【0024】
電源コード16は例えば外部電源から供給される電力を、スチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素に供給する。外部電源の一例は商用電源である。電源コード16はスチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素と電気的に接続される。電源コード16は例えばスチームアイロン1の前後方向において、ハウジング11の後方から延びる。一例では、電源コード16が外部電源に接続されると、スチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素に外部電源の電力が供給される。
【0025】
図2に示されるように、ベース20は長手方向および短手方向を規定可能な形状を有する。ベース20の長手方向はスチームアイロン1の前後方向を規定する。スチームアイロン1の一般的な進行方向がスチームアイロン1の前方である。ベース20は衣類Cに熱を与える掛面21Aを含むベース本体21と、スチームを噴出する噴出口22とを含む。ベース本体21は例えば略楕円柱形状を有する。ベース本体21を構成する材料は高い熱伝導率を有する。ベース本体21を構成する材料の一例はアルミニウムである。ベース本体21は例えばハウジング11の開口11Cから突出するように設けられる(
図4参照)。掛面21Aは例えばヒータ32から熱が伝達される。掛面21Aの形状は開口11Cの形状と相似形を有する。一例では、掛面21Aは略楕円形状を有する。掛面21Aには、放射状に延びる複数の溝21Bが設けられる。噴出口22はベース本体21を貫通する貫通孔である。一例では、噴出口22は後述する気化室31(
図4参照)と外部とを連通する。噴出口22の数の一例は6つである。複数の噴出口22は例えば掛面21A上において、互いに異なる溝21Bに設けられる。噴出口22の数は5つ以下または7つ以上であってもよい。
【0026】
図3に示されるように、スチームアイロン1の前後方向に沿うハウジング11の長さ(以下「第1長さL1」)は、スチームアイロン1の高さ方向に沿うハウジング11の長さ(以下「第2長さL2」)よりも長い。具体的には、スチームアイロン1の前後方向において最も短い第1長さL1は、スチームアイロン1の高さ方向において最も長い第2長さL2よりも長い。スチームアイロン1の前後方向に沿うベース20の長さ(以下「第3長さL3」)は、第1長さL1よりも短く、第2長さL2よりも長い。具体的には、スチームアイロン1の前後方向において最も長い第3長さL3は、スチームアイロン1の前後方向において最も短い第1長さL1よりも短く、スチームアイロン1の高さ方向において最も長い第2長さL2よりも長い。第3長さL3は、スチームアイロン1の高さ方向に沿うスチーム噴出器10の長さ(以下「第4長さL4」)よりも長い。具体的には、スチームアイロン1の前後方向において最も長い第3長さL3は、スチームアイロン1の高さ方向において最も長い第4長さL4よりも長い。
【0027】
図4~
図8を参照して、スチームアイロン1の内部構成について説明する。
図5~
図7はスチームアイロン1を構成する一部の要素を省略している。
図4に示されるように、スチーム噴出器10は気化体30、タンク40、ポンプ50、給水チューブ60、送水チューブ70(
図5参照)、支持体80、および、制御部90をさらに備える。気化体30は噴出口22からスチームが噴出されるようにスチームを生成する。タンク40はスチーム生成用の液体を貯留可能に構成される。スチーム生成用の液体の一例は水である。ポンプ50はタンク40内の液体を気化体30に供給する。給水チューブ60はタンク40内の液体がポンプ50に供給されるように、タンク40とポンプ50とを接続する。送水チューブ70はポンプ50から送水される液体が気化体30に供給されるように、ポンプ50と気化体30とを接続する。支持体80は気化体30上に設けられ、タンク40およびポンプ50を支持する。
【0028】
制御部90は例えば制御回路を含むプリント基板に実装される。制御部90は電源コード16から供給される電力により動作する。制御部90は電源操作部13の操作に応じてヒータ32を制御する。制御部90はスチームアイロン1の電源が投入されると、温度センサ91の検出結果に応じてヒータ32を制御する。温度センサ91は気化体30の温度を検出するように構成される。制御部90は例えば気化体30の温度が所定温度以上になると、スチームアイロン1の使用を促す情報が報知されるように報知部15を制御する。所定温度はスチームの生成に適した温度に基づいて設定される。制御部90はポンプ操作部14の操作に応じてポンプ50を制御する。気化体30、タンク40、ポンプ50、給水チューブ60、送水チューブ70、支持体80、および、制御部90はハウジング11内に設けられる。一例では、気化体30、タンク40、ポンプ50、給水チューブ60、送水チューブ70、および、支持体80が互いに結合された一対の第2部分11Bに収容され、制御部90が互いに結合された一対の第1部分11Aに収容される。
【0029】
気化体30は、ポンプ50から液体が供給される気化室31、および、気化室31内の液体からスチームが生成されるように気化室31を加熱するヒータ32を含む。気化室31およびヒータ32はスチームアイロン1の高さ方向において、ベース20と支持体80との間に設けられる。気化室31は例えばスチーム通路33を介して噴出口22と連通する。スチーム通路33はスチームアイロン1の高さ方向において、ベース20と気化室31との間に設けられる。ヒータ32はベース20および気化室31を加熱するように構成される。ヒータ32は例えば気化室31の周囲を取り囲むU字状の棒である。一例では、ヒータ32はシーズヒータである。
【0030】
図5に示されるように、タンク40は液体を貯留するタンク本体41と、液体をタンク本体41に注水可能な注水口42と、注水口42を開閉可能な蓋43とを含む。タンク本体41は例えば支持体80上に設けられる。タンク本体41を構成する材料の一例は透明な樹脂である。タンク本体41に貯留された液体の水量に応じてタンク本体41の重量が変化する。タンク本体41に貯留された液体の水量は、例えばタンク本体41に設けられた表示窓41A(
図1参照)から視認できる。
図1に示される例では、表示窓41Aはハウジング11の一方の第2部分11Bから露出する。注水口42は例えば蓋43が開放された状態において外部に露出する。蓋43は例えば注水口42を閉鎖する状態において、ハウジング11の形状に沿うように構成される(
図1参照)。
【0031】
ポンプ50は例えばプランジャ機構を含む電動ポンプである。ポンプ50は長手方向および短手方向を規定可能な形状を有する。ポンプ50はポンプ本体51と、給水チューブ60が接続される給水口52と、ポンプ本体51と気化室31とを接続する送水チューブ70が接続される送水口53とを含む。ポンプ本体51は例えば支持体80上に設けられる。給水口52および送水口53はポンプ本体51に設けられる。一例では、給水口52および送水口53はポンプ本体51の一方の端部51Aに設けられる。ポンプ50が駆動されると、プランジャ機構の往復動作によりタンク40内の液体が給水チューブ60を介して給水され、給水された液体が送水チューブ70を介して気化室31に送水される。ポンプ50は電源コード16から供給される商用電圧を変換するトランス(図示略)をさらに含む。トランスはポンプ本体51内に設けられる。一例では、トランスはポンプ本体51の他方の端部51B(
図6参照)に設けられる。トランスはスチーム噴出器10を構成する各種の要素において相対的に重い。
【0032】
給水チューブ60は気化体30から熱を受けるようにタンク40に対して気化体30寄りに配置される。給水チューブ60はベース20とタンク40との間に配置される。一例では、給水チューブ60は気化体30とタンク40との間に配置される。具体的には、給水チューブ60はスチームアイロン1の高さ方向において、気化体30とタンク40との間に配置される。この場合、給水チューブ60を流れる液体がヒータ32の熱の影響を受けやすい。一例では、ポンプ50の駆動に伴ってタンク40から気化室31に供給される液体が給水チューブ60内で加熱されるため、ポンプ50が連続して駆動される場合においても気化室31内の温度が低下しにくい。このため、スチームを安定して噴出できる。
【0033】
給水チューブ60は可撓性を有するチューブ本体61を含む。チューブ本体61を構成する材料の一例はシリコーンゴムである。チューブ本体61はタンク本体41の底部41Bに接続される第1端部61Aと、ポンプ50の給水口52に接続される第2端部61B(
図6参照)とを含む。一例では、チューブ本体61はスチームアイロン1の高さ方向において、気化体30とタンク40との間を通過するように、タンク本体41の底部41Bとポンプ50の給水口52とを接続する。第1端部61Aはタンク40内の液体を吸水可能にタンク40内に配置される吸水口62(
図4参照)を含む。吸水口62は例えば第1端部61Aの先端である。一例では、吸水口62がタンク本体41内に配置されるように、第1端部61Aがタンク本体41の底部41Bに接続される。第1端部61Aは例えばタンク本体41の底部41Bの中央に接続される。
【0034】
送水チューブ70は可撓性を有するチューブ本体71を含む。チューブ本体71を構成する材料の一例はシリコーンゴムである。チューブ本体71は気化室31に接続される第1端部71A(
図6参照)と、ポンプ50の送水口53に接続される第2端部71Bとを含む。一例では、第1端部71Aは支持体80を貫通して気化室31に接続される。
【0035】
支持体80は例えばスチームアイロン1の高さ方向において、タンク40およびポンプ50と気化体30とを隔てるように設けられる。支持体80を構成する材料は高い断熱性を有する。支持体80を構成する材料の一例はポリブチレンテレフタレートである。一例では、支持体80は断熱材として機能する。このため、ヒータ32の熱がタンク40およびポンプ50に伝達されにくい。一方、ヒータ32の熱は支持体80により完全に遮断されずに漏洩する。この漏洩した熱により給水チューブ60が加熱される。
【0036】
図6に示されるように、支持体80はタンク40を支持可能なタンク支持部81と、ポンプ50を支持可能なポンプ支持部82とを含む。タンク支持部81はタンク40を支持するタンク支持面81Aと、給水チューブ60を配置可能な配置部81Bとを含む。配置部81Bは給水チューブ60を配置できるように凹んでいる。一例では、配置部81Bは給水チューブ60がタンク支持面81Aに埋め込まれるようにタンク支持面81Aに対して凹んでいる。配置部81Bは例えば給水チューブ60の第1端部61Aがタンク本体41の底部41Bの中央に接続されるように湾曲している。給水チューブ60が配置部81Bに配置された状態でタンク40がタンク支持面81Aに支持されるため、省スペースに構成できる。また、給水チューブ60が配置部81Bに配置されると、給水チューブ60とヒータ32との距離が近づけられるため、給水チューブ60を流れる液体がヒータ32の熱の影響を受けやすい。支持体80はヒータ32の熱が十分に給水チューブ60に伝達されるように、配置部81Bのみ熱伝導率の高い材料で構成されてもよい。
【0037】
ポンプ支持部82はポンプ50を支持するポンプ支持面82Aと、ポンプ50を保護するポンプ保護部82Bとを含む。ポンプ保護部82Bは例えばポンプ50の周囲を取り囲むようにポンプ支持面82Aに設けられる。一例では、ポンプ50がポンプ支持面82A上においてポンプ保護部82Bの内側に配置され、固定板54がポンプ50の上方を覆うようにポンプ保護部82Bに固定されることにより、ポンプ50がポンプ支持面82Aに固定される。固定板54は長手方向および短手方向を規定可能な形状を有する。一例では、固定板54の長手方向はポンプ50の長手方向と直交する。
【0038】
図7に示されるように、給水口52および送水口53はタンク40を臨むようにポンプ本体51に設けられる。一例では、ポンプ50は給水口52および送水口53がタンク40を臨むようにポンプ支持面82Aに固定される。ポンプ50は給水チューブ60(送水チューブ70)を給水口52(送水口53)に接続するために必要な空間がタンク40との間に設けられるようにポンプ支持面82Aに固定される。タンク40およびポンプ50はスチーム噴出器10を構成する各種の要素において相対的に重い。このため、スチームアイロン1が把持された状態において好適な重量バランスを実現できる。
【0039】
ポンプ50とベース20の長手方向における中心線CLとが重畳しない。一例では、ポンプ50は中心線CLに重畳しないようにポンプ支持面82Aに固定される。固定板54と中心線CLとが重畳しない。一例では、固定板54は中心線CLに重畳しないようにポンプ保護部82Bに固定される。このような構成では、ベース20の長手方向においてタンク40とポンプ50とが離れる。このため、スチームアイロン1が把持された状態において好適な重量バランスを実現できる。
【0040】
ポンプ50はポンプ50の長手方向がスチーム噴出器10の長手方向に交差するように配置される。スチーム噴出器10の長手方向はベース20の長手方向と一致する。すなわち、ベース20の長手方向とポンプ50の長手方向とが交差する。一例では、ポンプ50はポンプ50の長手方向がベース20の長手方向に交差するようにポンプ支持面82Aに固定される。ベース20の長手方向と固定板54の長手方向とが交差する。一例では、固定板54は固定板54の長手方向がベース20の長手方向に交差するようにポンプ保護部82Bに固定される。このような構成では、ベース20の長手方向において、スチーム噴出器10を小型に構成できる。
【0041】
タンク40と中心線CLとが重畳する。一例では、タンク40はベース20の長手方向において、中心線CLを跨ぐようにタンク支持部81に設けられる。このため、平面視におけるタンク40の面積を拡大でき、タンク40の容量を増大できる。一方、タンク40の容量を増大すると、スチーム噴出器10が大型に構成される。本実施形態では、上述のとおりベース20の長手方向とポンプ50の長手方向とが交差するようにポンプ50が配置されるため、スチーム噴出器10を大型に構成しなくてもタンク40の容量を増大できる。このように、デッドスペースを有効に活用できる。
【0042】
図8に示されるように、給水チューブ60はチューブ本体61の第1端部61Aに設けられる錘63をさらに含む。錘63は錐体形状を有する。一例では、錘63は円錐形状を有する。錘63は吸水口62に設けられる。一例では、錘63はその先端と吸水口62とが面一となるように吸水口62に設けられる。錘63は例えばタンク本体41に貯留される液体に対して沈むように構成される。錘63を構成する材料の一例はステンレスである。
図8に示される実線の錘63はスチームアイロン1の前方が後方に対して持ち上げられた状態の一例を示す。
図8に示される二点鎖線の錘63はスチームアイロン1の後方が前方に対して持ち上げられた状態の一例を示す。錐体形状の錘63が吸水口62に設けられるため、吸水口62がタンク本体41の内面41Cと接触しやすく、重力が作用する方向に吸水口62が移動しやすい。このため、吸水口62がタンク40内の液体に浸漬されやすくなり、ポンプ50の駆動に伴ってタンク40内の液体を十分に吸水できる。
【0043】
図9を参照して、スチームアイロン1の使用方法の一例について説明する。
スチームアイロン1は例えばユーザにより次の手順で使用される。第1手順では、タンク40の蓋43が開放され、注水口42からタンク本体41内に液体が注水される。十分な量の液体がタンク本体41内に貯留されている場合、第1手順を省略してもよい。第2手順では、スチームアイロン1の電源がオフからオンに切り替えられるように電源操作部13が操作される。スチームアイロン1の電源がオンに設定されると、ヒータ32が動作し始める。スチームアイロン1の使用を促す情報が報知部15により報知されると、第3手順に移行する。第3手順では、スチームアイロン1の把持部12が把持される。
【0044】
第4手順では、スチームアイロン1の掛面21Aを衣類Cに押し当てた状態、または、スチームアイロン1の掛面21Aを衣類Cから離した状態において、スチームが衣類Cに噴出されるようにポンプ操作部14が操作される。一例では、ポンプ操作部14の操作に応じてポンプ50が駆動され、ポンプ50の駆動に伴ってタンク40内の液体が気化室31に供給され、気化室31内の液体がヒータ32で加熱されることによりスチームが生成される。そして、生成されたスチームがスチーム通路33を通過し、噴出口22を介して外部に噴出される。スチームアイロン1から噴出されたスチームが衣類Cに与えられると、衣類Cのしわが伸ばされる。衣類Cのアイロン掛けが終了するまで第4手順が繰り返される。第4手順では、スチームアイロン1のアイロン機能で衣類Cのしわを伸ばしながらポンプ操作部14が操作されてもよい。衣類Cのアイロン掛けが終了すると第5手順に移行する。
【0045】
第5手順では、スチームアイロン1の電源がオンからオフに切り替えられるように電源操作部13が操作される。スチームアイロン1の電源がオフに設定されると、ヒータ32の動作が停止する。第6手順では、スチームアイロン1がスタンド(図示略)に載置される。以上の手順を経て、スチームアイロン1の使用が終了する。
【0046】
(変形例)
上記実施の形態に関する説明は本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンは例えば以下に示される上記実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0047】
・錘63の形状は任意に変更可能である。第1例では、錘63は角錐形状を有する。第2例では、錘63は柱体形状を有する。
・ポンプ50の構成は任意に変更可能である。第1例では、ポンプ50はポンプ操作部14の操作に応じて機械的に動作する手動ポンプである。第2例では、給水口52および送水口53はタンク40とは反対側を向くようにポンプ本体51に設けられる。
【0048】
・スチーム噴出器10の内部構造は任意に変更可能である。第1例では、ベース20の長手方向とポンプ50の長手方向とが平行する。第2例では、ベース20の長手方向と固定板54の長手方向とが平行する。第3例では、ポンプ50と中心線CLとが重畳する。第4例では、固定板54と中心線CLとが重畳する。第5例では、タンク40と中心線CLとが重畳しない。
【0049】
・スチーム噴出器10の構成は任意に変更可能である。第1例では、スチーム噴出器10はバッテリ(図示略)を内蔵する。この場合、スチーム噴出器10は電源コード16を省略して構成されてもよい。一例では、スチーム噴出器10を構成する各種の電気的な要素にバッテリの電力が供給される。第2例では、ベース20は積極的に衣類Cに熱を与えない掛面を含むベース本体21と、スチームを噴出する噴出口22とを含む。ヒータ32は気化室31のみを加熱するように構成される。この場合、スチーム噴出器10はスチームアイロン1を構成しない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に関するスチーム噴出器およびスチームアイロンは、家庭用および業務用をはじめとする各種のスチームアイロンに利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 :スチームアイロン
10 :スチーム噴出器
20 :ベース
21A :掛面
22 :噴出口
30 :気化体
31 :気化室
32 :ヒータ
40 :タンク
50 :ポンプ
51 :ポンプ本体
52 :給水口
53 :送水口
60 :給水チューブ
61 :チューブ本体
61A :第1端部
61B :第2端部
63 :錘
70 :送水チューブ
81 :タンク支持部
81B :配置部
C :衣類