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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】テープフィーダおよび部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241011BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020188906
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077858
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 一憲
(72)【発明者】
【氏名】田中 聖史
(72)【発明者】
【氏名】河口 悟史
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157899(JP,A)
【文献】特開2002-314289(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002189(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納したキャリアテープを搬送して部品供給位置に部品を供給するテープフィーダであって、
前記キャリアテープの搬送路が形成されたフレームと、
前記フレームに設けられ、前記部品供給位置を通過するように前記搬送路内の前記キャリアテープを搬送するテープ搬送部と、
真空圧が供給されることによって上面に設けられた吸引口に吸引力を発生させ、前記テープ搬送部による前記キャリアテープの搬送によって前記部品供給位置に差し掛かる前記キャリアテープを下方に吸引する吸引ブロックと、
前記吸引ブロックに真空圧を供給する真空管路と、
前記フレーム内の前記搬送路の下方に前記搬送路に沿って延びて設けられた真空管路設置通路と、
を備え、
前記真空管路は、前記真空管路設置通路内に設置された、テープフィーダ。
【請求項2】
前記真空管路設置通路は、前記搬送路が仕切り部材によって仕切られた下半分の領域から成る、請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
前記キャリアテープは部品を収納するエンボス部を有しており、前記吸引ブロックは前記エンボス部の底部に形成された空気孔を通じて部品を下方に引き寄せる、請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のテープフィーダと、
前記テープフィーダが前記部品供給位置に供給する部品をノズルによりピックアップして基板に搭載する搭載ヘッドと、
を備えた部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収納したキャリアテープを搬送して部品供給位置に部品を供給するテープフィーダおよびこのテープフィーダが供給する部品を基板に搭載する部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーツフィーダが供給する部品を搭載ヘッドによってピックアップし、位置決めされた基板に装着する装置として部品搭載装置が知られている。部品搭載装置のパーツフィーダとして多用されているテープフィーダは、一列に並んで配置された複数のポケットのそれぞれに部品を収納したキャリアテープをフレームに形成された搬送路内で搬送して部品供給位置に部品を供給する構成となっている。
【0003】
このような構成のテープフィーダが部品供給位置に供給する部品を搭載ヘッドがノズルによって確実に取り出すことができるようにするためには、キャリアテープ内の部品が部品供給位置に到達した時点で正規の姿勢(水平姿勢)となっている必要がある。しかしながら、キャリアテープの搬送中、部品がポケット内で暴れると、部品供給位置に到達した時点で部品は正規の姿勢になっておらず、装着ヘッドによるピックアップミスが生じることがある。特にエンボスタイプのキャリアテープでは、このような部品の暴れによるピックアップミスが特に起き易い傾向にある。このため従来、上面に吸引口を備えた中空のブロック状の部材から成る吸引ブロックをフレームに設置し、吸引ブロックの内部空間に真空圧を供給して吸引口に吸引力を発生させることによって、キャリアテープの搬送によって部品供給位置に差し掛かるキャリアテープ内の部品を下方に引き寄せて部品の暴れを抑えるようにしたものが知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-35637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸引ブロックによる部品の吸引が行われるようにするためには吸引ブロックに真空圧を供給するための管路(真空管路)が必要であり、この真空管路はフレームの側面に沿って配置せざるを得なかった。このためテープフィーダの全体としてのサイズが大型化し、テープフィーダを横方向に並べて装備する場合には装備可能数が少なくなり、その分生産性が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、吸引ブロックを備えつつもサイズがコンパクトな構成のテープフィーダおよびこのテープフィーダを備えた部品搭載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテープフィーダは、部品を収納したキャリアテープを搬送して部品供給位置に部品を供給するテープフィーダであって、前記キャリアテープの搬送路が形成されたフレームと、前記フレームに設けられ、前記部品供給位置を通過するように前記搬送路内の前記キャリアテープを搬送するテープ搬送部と、真空圧が供給されることによって上面に設けられた吸引口に吸引力を発生させ、前記テープ搬送部による前記キャリアテープの搬送によって前記部品供給位置に差し掛かる前記キャリアテープを下方に吸引する吸引ブロックと、前記吸引ブロックに真空圧を供給する真空管路と、前記フレーム内の前記搬送路の下方に前記搬送路に沿って延びて設けられた真空管路設置通路と、を備え、前記真空管路は、前記真空管路設置通路内に設置された。
【0008】
本発明の部品搭載装置は、上記本発明のテープフィーダと、前記テープフィーダが前記部品供給位置に供給する部品をノズルによりピックアップして基板に搭載する搭載ヘッドと、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸引ブロックを備えつつも全体のサイズがコンパクトな構成のテープフィーダおよびこのテープフィーダを備えた部品搭載装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態における部品搭載装置の要部側面図
図2】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備えるテープフィーダの(a)側面図(b)部分拡大断面図
図3】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが搬送するキャリアテープの一部を搭載ヘッドのノズルとともに示す斜視図
図4】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープの断面図
図5】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の斜視図
図6】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの断面図
図7】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側断面図
図8】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の斜視図
図9】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の分解斜視図
図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の断面図
図11】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダによって搬送されるキャリアテープのエンボス深さとこれに対応して用いられるスペーサの組み合わせの一例を示す図
図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態1における部品搭載装置1を示している。部品搭載装置1は、基板KBに部品BHを搭載する部品搭載作業を実行する装置であり、基台11、基板搬送部12、台車13、テープフィーダ14、搭載ヘッド15、ヘッド移動機構16、部品認識カメラ17および制御装置18を備えている。
【0012】
図1において、基板搬送部12は基台11上に設けられており、水平方向に延びた一対のコンベア12aによって、基板KBを下方から支持して搬送する。本実施の形態では、説明の便宜上、基板搬送部12による基板KBの搬送方向をX方向(左右方向)とし、上下方向をZ方向とする。また、X方向とZ方向の双方に直交する方向をY方向(前後方向)とする。
【0013】
図1において、台車13は基台11のY方向の端部に連結されている。台車13の上部にはフィーダベース13Fが設けられている。テープフィーダ14は、フィーダベース13Fの横方向(X方向)に複数並んで設けられている。フィーダベース13Fの下方には、部品BHを収納したキャリアテープCTが巻き付けられたリールRLが保持されている。各テープフィーダ14はキャリアテープCTをリールRLから引き出しながら基板搬送部12に向かうY方向に沿った方向(前方とする)に搬送する。テープフィーダ14がキャリアテープCTを前方に搬送することによって、キャリアテープCTに収納された部品BHが順次、所定の部品供給位置14K(図1および図2(a))に供給される。
【0014】
図1において、搭載ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを備えている。搭載ヘッド15は各ノズル15Nを個別に昇降させ、Z軸まわりに回転させる。搭載ヘッド15はノズル15N内に真空圧を供給することで、ノズル15Nの下端に吸着力を発生させることができる。ヘッド移動機構16は例えばXYテーブル機構から構成されており、搭載ヘッド15を水平面内(XY面内)で移動させる。これにより搭載ヘッド15は、テープフィーダ14の上方でテープフィーダ14が部品供給位置14Kに供給する部品BHをノズル15Nによってピックアップした後、部品認識カメラ17の上方を通過して基板KBの上方に移動し、ピックアップした部品BHを基板KB上に搭載する。
【0015】
図1において、部品認識カメラ17は撮像光軸を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品認識カメラ17は部品BHをピックアップした搭載ヘッド15が上方を通過する際、その部品BHを下方から撮像する。
【0016】
部品搭載装置1の制御装置18(図1)は、予め記憶した部品搭載プログラムに基づいて部品搭載装置1の各部の動作を制御し、基板KBに部品BHを搭載させる部品搭載作業を実行させる。部品搭載作業では、先ず、部品搭載装置1の上流から送られてきた基板KBを基板搬送部12が受け取って搬送し、作業位置に位置決めする。基板搬送部12が基板KBを作業位置に位置決めしたら、ヘッド移動機構16が搭載ヘッド15にテープフィーダ14と基板KBとの間で往復移動させて、テープフィーダ14が供給する部品BHを基板KB上に搭載させる搭載ターンを繰り返し実行させる。
【0017】
搭載ヘッド15による1回の搭載ターンは、テープフィーダ14が部品供給位置14Kに供給する部品BHをノズル15Nによってピックアップする動作と、ピックアップした部品BHを保持したまま部品認識カメラ17の上方を通過して部品認識カメラ17に部品BHを撮像させる動作と、部品認識カメラ17に撮像させた部品BHを基板KB上の目標搭載座標に搭載する動作から成る。部品BHが目標搭載座標に搭載される際には、部品認識カメラ17による部品BHの撮像によって得られた部品BHの認識情報に基づいて、搭載ヘッド15(ノズル15N)の位置補正がなされる。
【0018】
上記の搭載ヘッド15による搭載ターンが繰り返し実行されることによって、基板KBに搭載されるべき部品BHが全て搭載されたら、基板搬送部12が作動して基板KBを部品搭載装置1から搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品搭載作業が終了する。
【0019】
このような構成の部品搭載装置1において、本実施の形態ではテープフィーダ14について特徴があり、以下にその説明を行う。先ず、キャリアテープCTの構成から説明する。
【0020】
図3および図4図4図3におけるV1-V1断面図)において、キャリアテープCTは、ベーステープBTの上面にトップテープTTが貼り付けられた構成を有する。ベーステープBTには下方に窪んだ形状の複数のポケット(エンボス部EB)が長手方向に一列に並んで設けられており、エンボス部EBの列と平行に、複数の送り孔SHが一列に並んで設けられている。
【0021】
図4に示すように、各エンボス部EB内には部品BHが収納されている。各エンボス部EB内の部品BHは、ベーステープBTにトップテープTTが貼り付けられることによって、そのエンボス部EB内に封入された状態となっている。各エンボス部EBの底部には、微小寸法の内径を有する空気孔EHが設けられている(図3も参照)。
【0022】
図2(a)において、テープフィーダ14は、フレーム21、カバー部材22、テープ搬送部23およびトップテープ回収部24を備えている。フレーム21は全体としてYZ面内に広がった薄厚の箱形状を有している。フレーム21の下面には下方に突出したスライダ21Tが形成されており、スライダ21Tがフィーダベース13Fの上面に設けられたスロット(図示せず)にスライドされることで、テープフィーダ14がフィーダベース13Fに取り付けられる。
【0023】
図2(a)および図2(b)(図2(b)は図2(a)における領域R1における拡大断面図)において、フレーム21には、キャリアテープCTの搬送を案内する搬送路21Lが形成されている。搬送路21Lはフレーム21の後端部から前端部にかけて延びており、フレーム21の後端下部と前端上部のそれぞれに開口している。搬送路21Lの後側下部の開口はキャリアテープCTが挿入される入口開口21Aとなっており、搬送路21Lの前側上部の開口はキャリアテープCTが排出される出口開口21Bとなっている。
【0024】
図2(a)において、搬送路21Lは、フレーム21の後端の入口開口21Aから下流に向けてほぼ水平に延びた後、フレーム21の中間部において上り坂となり、この上り坂が終わるところからほぼ水平に延びて出口開口21Bに至る形状を有している。搬送路21Lのうちフレーム21の出口開口21Bの直前の一定の領域は、フレーム21の上方に開放された状態となっている。
【0025】
図2(a)において、カバー部材22はフレーム21の前端上部に設けられており、上方に開放された搬送路21Lの少なくとも一部を上方から覆っている。カバー部材22は図5および図6図5におけるV2-V2断面図)に示すように、水平な上壁部22aと上壁部22aの左右の両端から下方に延びた左右の側壁部22bを備えており、フレーム21の前後方向(Y方向)に延びて下方に開口したチャンネル型の形状を有している。
【0026】
図5および図6において、カバー部材22がフレーム21の上部の一部を覆っている状態では、カバー部材22の上壁部22aはフレーム21の上方に位置し、左右の側壁部22bはフレーム21の左右の側面の外側に位置する。カバー部材22の上壁部22aには、部品取出口22Gが上壁部22aを厚さ方向に貫通して設けられている(図5および図6)。部品取出口22Gは、部品供給位置14Kに位置したキャリアテープCTのエンボス部EB内から搭載ヘッド15がノズル15Nによって部品BHを取り出すことができるようにするための開口である。
【0027】
図2(a)において、テープ搬送部23は、フレーム21に設けられたスプロケット31と、スプロケット31を回転駆動する駆動モータ32を備えている。スプロケット31はフレーム21の前端部の上部領域に、X方向と平行な軸まわりに回転自在に設けられている。スプロケット31はその外周縁に一定間隔で係合ピン31Pを有している(図3)。これら係合ピン31Pのうち、スプロケット31の回転中心の直上に位置するもの(「最上部係合ピン31G」と称する)は、搬送路21Lのうちスプロケット31の上方領域内に位置するキャリアテープCTの送り孔SHに下方から係合する(図3)。
【0028】
駆動モータ32を作動させてスプロケット31を回転させると、スプロケット31の最上部係合ピン31Gは前方へ移動する。これによりキャリアテープCTはその全体が前方へ牽引され、搬送路21L内を前方に搬送される。
【0029】
図5および図6において、カバー部材22のうち、スプロケット31の回転中心の直上に位置する部分には、フレーム21の前後方向(Y方向)に延びた逃げ開口22Mが設けられている。スプロケット31の最上部係合ピン31Gは逃げ開口22M内で移動するため、スプロケット31はカバー部材22と干渉することなく回転することができる。
【0030】
図2(a)において、トップテープ回収部24はフレーム21の前後方向の中間部の上側に設けられている。トップテープ回収部24は、一対の送りローラ24aと、テンション付与部24bを備えている。
【0031】
キャリアテープCTのトップテープTTは、図5および図7図7図2(a)における領域R2の拡大断面図)に示すように、部品供給位置14K(部品取出口22G)よりもフレーム21の後方位置に設けられたトップテープ引出部22T(あるいは部品取出口22Gの後縁)を剥離位置22HとしてベーステープBTから剥離され、後方へ折り返される。そして、一対の送りローラ24aに挟み込まれ、テンション付与部24bによって適度なテンションが与えられた状態となっている。
【0032】
スプロケット31が回転してキャリアテープCTが前方へ搬送されると、一対の送りローラ24aはスプロケット31の回転と同調して回転する。これによりトップテープTTは一対の送りローラ24aによって後方に引っ張られ(図2(a)および図5中に示す矢印P)、フレーム21の後部に形成されたトップテープ収容空間21K(図2(a))内に送り込まれて回収される。トップテープ収容空間21Kに収容されたトップテープTTは、フレーム21の後端に設けられたトップテープ取出扉21D(図2(a))を開けることで、フレーム21の外部に取り出すことができる。
【0033】
上記のように、キャリアテープCTのトップテープTTは、部品供給位置14Kに到達する前にベーステープBTから剥離されるため、各エンボス部EBは部品供給位置14Kに到達した時点で上方に開放された状態となる。このため搭載ヘッド15は、部品供給位置14Kに位置した部品BHを、ノズル15Nによって部品取出口22Gから取り出す(ピックアップする)ことができる(図3および図7)。カバー部材22の下方領域を通過したキャリアテープCT(ベーステープBT)は、出口開口21Bからフレーム21の外部に排出される(図2(a))。
【0034】
このように本実施の形態におけるテープフィーダ14は、テープ搬送部23により、搬送路21L内のキャリアテープCTが部品供給位置14Kを通過するようにキャリアテープCTを搬送するようになっている。
【0035】
図8および図9において、フレーム21のカバー部材22によって覆われる領域には、Y軸方向に延びたブラケット41が設けられている。ブラケット41は水平な取付け面41Hを有しており、この取付け面41Hには、ベース体42とスペーサ43を介して吸引ブロック44が取り付けられている。ベース体42は螺子S1によってブラケット41に取り付けられており、吸引ブロック44は螺子S2によって、スペーサ43とともにベース体42に取り付けられている(図9)。
【0036】
図9において、ベース体42はそれぞれY方向に細長く延びた形状を有している。ベース体42は平らな下面と上面を有するブロック状の部材であり、その上面42aで吸引ブロック44を支える台座となっている。スペーサ43は平らな上面と下面を有する板状の部材である。スペーサ43は吸引ブロック44の上面44aの上下方向位置を調整するものであり、キャリアテープCTの厚さ(エンボス部EBの深さ)に応じた必要枚数(0枚を含む)がベース体42と吸引ブロック44との間に挟まれた状態で設置される。
【0037】
図6および図7に示すように、吸引ブロック44はY方向に細長く延び、内部空間44Vを有した中空のブロック状の部材から成る。吸引ブロック44は平らな上面44aと平らな下面44bを有する。この上面44aと下面44bは平行である。吸引ブロック44の上面44aには、上方に開口してY方向に延びたスリット状の吸引口44Sが設けられている。吸引口44Sの幅方向(X方向)の寸法であるスリット幅HH(図6)は、エンボス部EBの底部に設けられた空気孔EHの内径よりも若干大きい寸法を有し、空気孔EHの直下に位置するようになっている。
【0038】
吸引ブロック44には真空管路45が接続されている。真空管路45はチューブ状の部材から成り、吸引ブロック44の側面から内部空間44Vと接続している。このように、真空管路45を吸引ブロック44の下面44bではなく側面に接続することで真空管路45に邪魔されることなくスペーサ43を下面44bとベース体42の上面42aで挟み込むことができる。図2(a)に示すように、搬送路21Lの下方には、搬送路21Lに沿って延びる真空管路設置通路51が設けられており、真空管路45は真空管路設置通路51内に設置されている。
【0039】
真空管路設置通路51は、本実施の形態では、図2(a),(b)および図10(a)(図10(a)は図2(b)におけるV3-V3断面図)に示すように、搬送路21Lが仕切り部材52によって仕切られて形成される上下の領域のうちの下半分の領域から成っている。本実施の形態では、このように搬送路21Lが仕切り部材52によって仕切られているため、キャリアテープCTのエンボス部EBは搬送路21Lの本来の底面21Mではなく、仕切り部材52の上面をガイド面52Mとして(エンボス部EBの底面をガイド面52Mに接触させて)搬送路21L内を進行する。
【0040】
図10(b)および図10(c)は、真空管路設置通路51の設け方の別例を示している。図10(b)は、搬送路21Lが仕切り部材52によって仕切られて形成される上下の領域のうちの下半分の領域から成る点は図10(a)の場合と同様であるが、真空管路設置通路51の幅方向(X方向)寸法が、搬送路21Lの幅方向の寸法よりも小さくなっている。このため真空管路45は真空管路設置通路51内で移動し得る領域が図10(a)の場合よりも制限され、真空管路設置通路51内における真空管路45の位置を安定させることができる。
【0041】
図10(c)は、搬送路21Lを仕切り部材52によって仕切ることなく真空管路設置通路51を形成した例であり、搬送路21Lの高さを図10(a),(b)の場合よりも低くしたうえで、搬送路21Lの下方に、真空管路45を設置するための専用の通路としての真空管路設置通路51を形成したものである。図10(c)では、搬送路21Lと真空管路設置通路51とが連通路53によって上下に連通しているが、この連通路53の幅方向(X方向)の寸法をエンボス部EBの幅方向の寸法よりも小さくすることで、エンボス部EBが連通路53から真空管路設置通路51内に落ち込まないようにすることができる。なお、連通路53は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0042】
図2(a)において、真空管路設置通路51内に設置された真空管路45の後端部はフレーム21の後端部から後方に(フレーム21の外部)に延びており、その端部は、フレーム21の後部から下方に延びて形成された延出部21Eに接続されている(図2(a))。真空管路45はフレーム21の後部からフレーム21の外部に延びることになるが、フレーム21に形成された入口開口21Aの下方からフレーム21の外部に延びるので、キャリアテープCTと干渉せず、キャリアテープCTの搬送に影響を与えない。
【0043】
図2(a)において、延出部21E内にはディフューザ・スピコンユニット21Sが設けられており、真空管路45はそのディフューザ・スピコンユニット21Sに接続されている。ディフューザ・スピコンユニット21Sは、テープフィーダ14の外部から管路VTを通じて供給される正圧を負圧に変換する機構である。
【0044】
ディフューザ・スピコンユニット21Sおよび真空管路45を通じて吸引ブロック44の内部空間44Vに真空圧を供給すると、吸引ブロック44の吸引口44Sを通じて吸引ブロック44の上方領域に吸引力が発生する。ディフューザ・スピコンユニット21Sにはコントロールつまみ21Cが設けられており(図2(a))、作業者はコントロールつまみ21Cを操作して負圧の大きさを切り替えることで、吸引口44Sの上方領域に発生する吸引力を変更することができる。
【0045】
吸引口44Sの上方領域に吸引力が発生すると、吸引口44Sの上方を通過するエンボス部EB内の部品BHが、その部品BHが収納されているエンボス部EBの底部に設けられた空気孔EHを通じて下方に引き寄せられる。このため、エンボス部EB内の部品BHはエンボス部EBの上面に密着し、エンボス部EB内での部品BHの暴れが抑制される。
【0046】
本実施の形態では、吸引口44Sは、部品供給位置14Kと部品供給位置14Kの上流側の一定領域を含む領域をY方向に延びており、カバー部材22によって覆われた領域内を進行するキャリアテープCT内の部品BHのうち、部品供給位置14Kに差し掛かる数個分の部品BHが下方に引き寄せられるようになっている(図7)。このため、キャリアテープCT内の部品BHは、部品供給位置14Kに到達した時点で、エンボス部EB内での暴れが抑えられた安定した姿勢となる。
【0047】
このように本実施の形態におけるテープフィーダ14は、内部空間44Vに真空圧が供給されることによって上面44aに設けられた吸引口44Sに吸引力を発生させる吸引ブロック44を備えており、この吸引ブロック44によって、テープ搬送部23によるキャリアテープCTの搬送によって部品供給位置14Kに差し掛かるキャリアテープCT内の部品BHを下方に吸引する(引き寄せる)ようになっている。これによりエンボス部EB内の部品BHは部品供給位置14Kに到達した時点で暴れが抑制されるので、搭載ヘッド15はノズル15Nにより部品供給位置14Kに位置した部品BHを確実に吸着することが可能である。
【0048】
また、本実施の形態におけるテープフィーダ14は、吸引ブロック44に真空圧を供給する真空管路45が、フレーム21内の搬送路21Lの下方に搬送路21Lに沿って延びて設けられた真空管路設置通路51内に設置された構成となっている。このためテープフィーダ14の横方向寸法は、吸引ブロック44を備えていない(すなわち真空管路45を備えていない)ものと同等となり、吸引ブロック44(および真空管路44)を備えながらもコンパクト(スリム)なものとなっている。
【0049】
次に、吸引ブロック44の高さ調整について説明する。本実施の形態では、前述のスペーサ43は予め複数枚が用意されており、これら複数枚のスペーサ43の中から、キャリアテープCTの厚さに応じて一または複数枚のスペーサ43が選択されて、吸引ブロック44の下方に設置されるようになっている。複数枚のスペーサ43の中には厚さの異なるものが含まれており、例えば、厚さが0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmおよび、1.0mmの5枚のスペーサ43が用意される。
【0050】
図11は、テープフィーダ14によって搬送されるキャリアテープCTのエンボス部EBの深さ(エンボス深さと称する)と、これに対応して用いられるスペーサ43の組み合わせの一例を示している。この例では、厚さの互いに異なる複数枚のスペーサ43(上記の厚さが0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmおよび、1.0mmの5枚のスペーサ43)を組み合わせて上下に重ねることで、スペーサ43の総厚み(スペーサ厚みと称する)を最適な厚みに設定することができる。ここで「最適な厚み」とは、吸引ブロック44の吸引面である上面44aとキャリアテープCTのエンボス部EBの底面までの距離を近づけることで、空気孔EHにおいて部品BHを吸引可能な吸引力を確保するための厚み(スペーサ厚み)である。なお、「最適な厚み」には、スペーサ厚みを上面44aがキャリアテープCTのエンボス部EBの底面にちょうど接触する高さに設定することも含むが、本実施の形態のように上面44aとエンボス部EBの底面の間にわずかな隙間を確保してキャリアテープCTの搬送時の抵抗を小さくした方が好ましい。
【0051】
このように、本実施の形態におけるテープフィーダ14は、予め用意された複数枚のスペーサ43の中から選択した一または複数枚のスペーサ43を吸引ブロック44の下方に設置することで、キャリアテープCTの厚さ(エンボス部EBの深さ)に応じた吸引ブロック44の高さ調整を行うことができるようになっている。このため、用意する吸引ブロック44は1種で足り、スペーサ43のみを複数用意しておけばよいので、キャリアテープCTの厚さに応じた吸引ブロック44の高さ調整を安価な構成で行うことができる。また、吸引ブロック44の高さ調整はスペーサ43の交換という簡単な作業で行うことができるので、作業性が良い。
【0052】
本実施の形態におけるテープフィーダ14では、予め用意された複数枚のスペーサ43のうち、吸引ブロック44の下方に設置されるスペーサ43以外のスペーサ43は、図12(a),(b)に示すように、フレーム21の後部に形成されたスペーサ保持部としてのスペーサ保持孔61に保持螺子62を用いて取り付けることができる。このため、使用していないスペーサ43はフレーム21と一体にした状態で保持することができ、スペーサ43の紛失を防ぐことができる。また、使用の必要が生じたスペーサ43は迅速に取り出すことができるので、吸引ブロック44の高さ調整作業を短時間で行うことができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態における部品搭載装置1が備えるテープフィーダ14は、吸引ブロック44に真空圧を供給する真空管路45が、フレーム21内の搬送路21Lの下方に搬送路21Lに沿って延びて設けられた真空管路設置通路51内に設置された構成となっている。このためテープフィーダ14の横方向寸法は、吸引ブロック44を備えていない(すなわち真空管路45を備えていない)ものと同等となり、吸引ブロック44(および真空管路45)を備えながらもコンパクト(スリム)なものとすることができる。
【0054】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態で示した吸引ブロック44の形状は一例であり、内部空間44Vに真空圧が供給されることによって上面44aに設けられた吸引口44Sに吸引力を発生させ、テープ搬送部23によるキャリアテープCTの搬送によって部品供給位置14Kに差し掛かるキャリアテープCT内の部品BHを下方に吸引することができるのであれば、その形状等は特に限定されない。また、吸引ブロック44は、ブラケット41、ベース体42およびスペーサ43とともにユニット(吸引ブロックユニット)を構成し、そのユニット単位でフレーム21に対して着脱されるようになっていてもよい。
【0055】
また、上述の実施の形態では、スペーサ43の保持は保持螺子62を用いてスペーサ保持孔61に取り付けて行うようになっていたが、これは一例であり、フレーム21に収納スペースを形成し、その収納スペースに使用していないスペーサ43を収納するようにしてもよい。
【0056】
また、上述の実施の形態では、フレーム21のカバー部材22によって覆われる領域にブラケット41を設けられ、そのブラケット41にベース体42およびスペーサ43を介して吸引ブロック44が取り付けられるようになっていたが、吸引ブロック44はテープ搬送部23によるキャリアテープCTの搬送によって部品供給位置14Kに差し掛かるキャリアテープCT内の部品BHを下方に吸引できればよく、必ずしもブラケット41やベース体42を必要とするわけではない。例えば、フレーム21の一部を搬送路21Lの下方に突出させ、その突出した上面にスペーサ43を介して吸引ブロック44を取り付ける構成でもよい。すなわちフレーム21の一部を、吸引ブロック44を装着するための台座として利用してもよい。また、上述の実施の形態で示したスペーサ43の種類(厚さ)は一例であり、他の厚さを有するスペーサ43を用いても構わない。更に、図11において示したスペーサ43の組み合わせは一例に過ぎず、図11とは異なる方式でスペーサ43を組わせても構わない。
【0057】
なお、上述の実施の形態では、キャリアテープCTがエンボスタイプのものであるとして説明したが、本発明はエンボスタイプでないキャリアテープCTについても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
吸引ブロックを備えつつもサイズがコンパクトな構成のテープフィーダおよびこのテープフィーダを備えた部品搭載装置を提供する。
【符号の説明】
【0059】
1 部品搭載装置
14 テープフィーダ
14K 部品供給位置
15 搭載ヘッド
15N ノズル
21 フレーム
21L 搬送路
23 テープ搬送部
44 吸引ブロック
44a 上面
44S 吸引口
45 真空管路
51 真空管路設置通路
52 仕切り部材
CT キャリアテープ
BH 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12