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特許7570031制御システム、管理システム、制御方法、プログラム及び移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】制御システム、管理システム、制御方法、プログラム及び移動体
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20241011BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021012424
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115700
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加茂 広之
(72)【発明者】
【氏名】米田 優也
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-155523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40
B62J 45/00
B62H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから電力が供給されて外部装置との間で通信を行う通信部と、
前記バッテリから電力が供給されて前記通信部による前記外部装置との通信頻度を設定する設定部と、を備え、
前記設定部は、
移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定し、
前記錠装置が施錠されている場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定し、
前記錠装置が開錠している状態で前記移動体が使用されていない場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する、
制御システム。
【請求項2】
前記設定部は、
前記錠装置が施錠されており、かつ前記移動体が保管場所に位置していない場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い第2頻度に設定し、
前記錠装置が施錠されており、かつ前記移動体が前記保管場所に位置している場合に、前記通信頻度を、前記第2頻度よりも低い第3頻度に設定する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記通信部は、前記外部装置との通信において前記移動体の位置情報を取得し、
前記設定部は、前記位置情報が所定時間変化していない場合に前記移動体が使用されていないと判断する、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記錠装置が開錠している場合に前記通信部が前記外部装置に送信する第1データと、前記錠装置が施錠されている場合に前記通信部が前記外部装置に送信する第2データとが異なる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第2データのデータ量は、前記第1データのデータ量よりも多い、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システムと、
前記外部装置と、を備える、
管理システム。
【請求項7】
バッテリから電力が供給されて外部装置との間で通信を行う通信ステップと、
前記バッテリから電力が供給されて前記通信ステップにおける前記外部装置との通信頻度を設定する設定ステップと、を有し、
前記設定ステップでは、
移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定し、
前記錠装置が施錠されている場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定し、
前記錠装置が開錠している状態で前記移動体が使用されていない場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する、
制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御システムと、
前記制御システムが取り付けられている移動体本体と、を備える、
移動体。
【請求項10】
バッテリから電力が供給されて、移動体から離れた場所に設置された外部装置との間で通信を行う通信部と、
前記バッテリから電力が供給されて前記通信部による前記外部装置との通信頻度を設定する設定部と、を備え、
前記設定部は、
前記移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定し、
前記錠装置が施錠されている場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定し、
前記通信部が前記外部装置に送信するデータには、前記移動体の貸し出しに関する情報が含まれている、
制御システム。
【請求項11】
バッテリから電力が供給されて外部装置との間で通信を行う通信部と、
前記バッテリから電力が供給されて前記通信部による前記外部装置との通信頻度を設定する設定部と、を備え、
前記設定部は、
移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定し、
前記錠装置が施錠されており、かつ前記移動体が保管場所に位置している場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する、
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に制御システム、管理システム、制御方法、プログラム及び移動体に関し、より詳細には、移動体のバッテリに関する制御を行う制御システム、管理システム、制御方法、プログラム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線通信機能を備えた電動補助自転車(移動体)が記載されている。特許文献1に記載の電動補助自転車は、電動モータ(モータ)と、バッテリと、無線通信部(通信部)と、を備えている。バッテリは、電動モータに駆動電力を供給し、無線通信部に動作電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-83529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような電動補助自転車では、バッテリの消費電力を低減することが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、移動体のバッテリの消費電力を低減することが可能な制御システム、管理システム、制御方法、プログラム及び移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る制御システムは、通信部と、設定部と、を備える。前記通信部は、バッテリから電力が供給されて外部装置との間で通信を行う。前記設定部は、前記バッテリから電力が供給されて前記通信部による前記外部装置との通信頻度を設定する。前記設定部は、移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定する。前記設定部は、前記錠装置が施錠されている場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する。前記設定部は、前記錠装置が開錠している状態で前記移動体が使用されていない場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する。
本開示の別の一態様に係る制御システムは、通信部と、設定部と、を備える。前記通信部は、バッテリから電力が供給されて、移動体から離れた場所に設置された外部装置との間で通信を行う。前記設定部は、前記バッテリから電力が供給されて前記通信部による前記外部装置との通信頻度を設定する。前記設定部は、前記移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定する。前記設定部は、前記錠装置が施錠されている場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する。前記通信部が前記外部装置に送信するデータには、前記移動体の貸し出しに関する情報が含まれている。
本開示の別の一態様に係る制御システムは、通信部と、設定部と、を備える。前記通信部は、バッテリから電力が供給されて外部装置との間で通信を行う。前記設定部は、前記バッテリから電力が供給されて前記通信部による前記外部装置との通信頻度を設定する。前記設定部は、移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定する。前記設定部は、前記錠装置が施錠されており、かつ前記移動体が保管場所に位置している場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する。
【0007】
本開示の一態様に係る管理システムは、前記制御システムと、前記外部装置と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る制御方法は、通信ステップと、設定ステップと、を有する。前記通信ステップは、バッテリから電力が供給されて外部装置との間で通信を行うステップである。前記設定ステップは、前記バッテリから電力が供給されて前記通信ステップにおける前記外部装置との通信頻度を設定するステップである。前記設定ステップでは、移動体に取り付けられている錠装置が開錠している場合に、前記通信頻度を第1頻度に設定する。前記設定ステップでは、前記錠装置が施錠されている場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する。前記設定ステップでは、前記錠装置が開錠している状態で前記移動体が使用されていない場合に、前記通信頻度を、前記第1頻度よりも低い頻度に設定する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0010】
本開示の一態様に係る移動体は、前記制御システムと、移動体本体と、を備える。前記移動体本体は、前記制御システムが取り付けられている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、移動体のバッテリの消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る制御システム、管理システム及び電動自転車の概要を示すブロック図である。
図2図2は、同上の電動自転車の側面図である。
図3図3は、同上の制御システムの設定部の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、同上の制御システムの通信部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る制御システム1、管理システム10、制御方法、プログラム及び移動体2について、図1図4を参照して説明する。
【0014】
(1)概要
まず、本実施形態に係る制御システム1、管理システム10及び移動体2の概要について、図1を参照して説明する。
【0015】
本実施形態では、移動体2は、自転車である。より具体的には、本実施形態では、移動体2は、電動自転車である。したがって、以下では、特に断りのない限り、「移動体2」を「電動自転車2」として説明する。
【0016】
本実施形態に係る制御システム1及び管理システム10は、例えば、利用者が電動自転車2をレンタルする際に用いられる。すなわち、本実施形態では、電動自転車2は、レンタルサービス事業者により管理されており、事業者との間で契約を結んだ利用者に対して一時的に貸し出される。電動自転車2は、不使用状態においては、原則として事業者が用意した駐輪場(駐輪ポート)に駐輪されている。
【0017】
管理システム10は、図1に示すように、制御システム1と、外部装置3と、を備えている。外部装置3は、電動自転車2に取り付けられておらず、電動自転車2から離れた場所に設けられている。外部装置3は、例えば、レンタルサービス事業者が運用するサーバである。
【0018】
本実施形態では、制御システム1は、電動自転車2に取り付けられている。より具体的には、制御システム1は、電動自転車2に取り付けられているサークル錠(錠装置)6に設けられている。制御システム1は、図1に示すように、設定部111と、通信部12と、を備えている。
【0019】
設定部111は、後述のバッテリ41から電力が供給されて通信部12による外部装置3との通信頻度を設定する。設定部111は、電動自転車2に取り付けられているサークル錠6が開錠している場合に、通信頻度を第1頻度に設定する。また、設定部111は、サークル錠6が施錠されている場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度(後述の第2頻度又は第3頻度)に設定する。
【0020】
通信部12は、バッテリ41から電力が供給されて外部装置3との間で通信を行う。通信部12は、例えば、インターネット等のネットワークN1を介して、電動自転車2から離れた場所にある外部装置3との間で双方向に通信を行う。
【0021】
本実施形態に係る制御システム1では、上述したように、設定部111は、サークル錠6が施錠されている場合に、通信部12による外部装置3との通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定している。これにより、サークル錠6が施錠されている状態での通信頻度を第1頻度とする場合に比べて、バッテリ41の消費電力を低減することが可能となる。
【0022】
(2)詳細
次に、本実施形態に係る制御システム1、管理システム10及び電動自転車2の詳細について、図1を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る電動自転車2は、制御システム1と、制御システム1と通信可能なモータユニット5と、を備えている。本実施形態に係る管理システム10は、電動自転車2に取り付けられている制御システム1と、電動自転車2とは別に設けられており、制御システム1と通信可能な外部装置3と、を備えている。
【0024】
本実施形態では、利用者は、端末8を用いて外部装置3にアクセスすることにより、外部装置3で管理している電動自転車2をレンタルすることが可能である。端末8は、利用者が携帯する機器であって、例えば、スマートフォン又はタブレット型のコンピュータである。端末8は、無線通信モジュールにより、例えば、赤外線若しくは可視光等の光を媒体とする光無線通信、又は電波を媒体とする無線通信にて、インターネット等のネットワークN1を介して外部装置3の通信部32と通信する。無線通信は、一例として、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話の通信規格を用いてもよい。
【0025】
電動自転車2は、図1に示すように、操作装置23と、バッテリユニット4と、モータユニット5と、サークル錠(錠装置)6と、を備えている。モータユニット5については、後述の「(3)電動自転車」にて詳細に説明する。
【0026】
サークル錠6は、後述のフレーム7(図2参照)に取り付けられており、施錠状態又は開錠状態となり得る。施錠状態は、後述の後輪89(図2参照)の回転を規制することにより電動自転車2の走行を禁止する状態である。開錠状態は、後輪89の回転を規制せずに電動自転車2の走行を許容する状態である。本実施形態では、電動自転車2の不使用状態においては、サークル錠6は、原則として施錠状態にある。本実施形態では、制御システム1は、サークル錠6に設けられている。なお、サークル錠6は、例えば、フレーム7のうちのシートステー74に取り付けられている。
【0027】
制御システム1は、図1に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。本実施形態では、サークル錠6(つまり、制御システム1)とモータユニット5とは、例えば、ワイヤハーネスにより接続されており、このワイヤハーネスを介して互いに通信可能である。また、本実施形態では、制御システム1は、バッテリ41からの電力供給を受けることにより、バッテリ41の残量が十分であれば、原則、常時動作する。
【0028】
制御部11は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部11(後述の設定部111を含む)としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0029】
制御部11は、図1に示すように、設定部111を有している。
【0030】
設定部111は、後述の設定ステップS4~S7(図3参照)として、通信部12による外部装置3との通信頻度を設定する処理を実行する。設定部111は、サークル錠6が開錠されている場合に、上記通信頻度を第1頻度に設定する。また、設定部111は、サークル錠6が施錠されている場合に、上記通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定する。より詳細には、設定部111は、サークル錠6が施錠されており、かつ電動自転車2が保管場所に位置していない場合に、上記通信頻度を、第1頻度よりも低い第2頻度に設定する。また、設定部111は、サークル錠6が施錠されており、かつ電動自転車2が保管場所に位置している場合に、上記通信頻度を、第2頻度よりも低い第3頻度に設定する。本実施形態では、保管場所は、レンタルサービス事業者が用意した駐輪場(駐輪ポート)である。さらに、設定部111は、サークル錠6が開錠している状態であっても電動自転車2が使用されていなければ、上記通信頻度を、第1頻度よりも低い第4頻度に設定する。第4頻度は、第1頻度よりも低ければよく、第2頻度よりも大きくてもよいし、同じであってもよいし、小さくてもよい。また、第4頻度は、第3頻度よりも大きくてもよいし、同じであってもよいし、小さくてもよい。設定部111は、通信部12が外部装置3との通信において取得した電動自転車2の位置情報が所定時間変化していない場合に、電動自転車2が使用されていないと判断する。なお、設定部111の動作については、後述の「(4.1)設定部の動作」にて詳細に説明する。
【0031】
通信部12は、外部装置3との間で通信を行うための通信インタフェースである。通信部12は、無線通信モジュールを有している。通信部12は、無線通信モジュールにより、例えば、赤外線若しくは可視光等の光を媒体とする光無線通信、又は電波を媒体とする無線通信にて、インターネット等のネットワークN1を介して外部装置3の通信部32(後述する)と通信する。無線通信は、一例として、LTE等の携帯電話の通信規格を用いてもよい。
【0032】
通信部12は、後述の通信ステップS12,S13(図4参照)として、第1データ又は第2データを外部装置3へ送信する処理を実行する。第1データは、サークル錠6が開錠状態にある場合に外部装置3へ送信するデータである。第2データは、サークル錠6が施錠状態にある場合に外部装置3へ送信するデータである。また、通信部12は、外部装置3との通信において、電動自転車2の位置情報を定期的に受信(取得)する。さらに、通信部12は、後述の操作装置23の操作部230が押操作された際に制御部11にて生成される問い合わせ信号を外部装置3へ送信する。問い合わせ信号は、サークル錠6の開錠を問い合わせるための信号である。
【0033】
第1データは、例えば、サークル錠6の固有番号、制御部11にて計時した現在時刻、電動自転車2のレンタル開始時刻、電動自転車2のレンタル終了時刻、後述のモータユニット5の通信状態及びバッテリ41の残量を含む。また、第1データは、バッテリ41の固有番号、電動自転車2の積算走行距離、モータユニット5のエラー情報、サークル錠6のエラー情報及びサークル錠6の状態(開錠状態、施錠状態、又は使用不可)を含む。また、第1データは、GPS(Global Positioning System)による電動自転車2の位置情報、駐輪場に設置されているビーコンの番号、GPSによる電動自転車2の速度情報、電動自転車2に取り付けられているスピードセンサによる電動自転車2の速度情報及びケイデンス情報を含む。また、第1データは、モータ51の電流情報、各種センサによる衝撃検知結果、モータ51のバージョン情報、サークル錠6のバージョン情報及び電動自転車2のアシスト情報を含む。
【0034】
第2データは、上述の第1データに加えて、バッテリ41の詳細情報及びビーコンの電池残量を含む。バッテリ41の詳細情報は、例えば、セル電圧、実容量、放電回数、最大温度、最低温度、充電回数、エラー情報、残量、バッテリ温度及びバッテリ生産日を含む。すなわち、本実施形態では、第2データのデータ量は第1データのデータ量よりも多い。また、本実施形態では、上述したように、サークル錠6が開錠している場合に通信部12が外部装置3に送信する第1データと、サークル錠6が施錠されている場合に通信部12が外部装置3に送信する第2データとが異なっている。なお、通信部12の動作については、後述の「(4.2)通信部の動作」にて詳細に説明する。
【0035】
記憶部13は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを備えている。記憶部13は、例えば、第1データと第2データとの少なくとも一方に含まれている上述の各情報を記憶している。また、記憶部13は、例えば、電動自転車2の識別子及び識別情報(例えば、アドレス)を記憶している。
【0036】
操作装置23は、後述のハンドル83(図2参照)に取り付けられている。操作装置23は、操作部230を有している。操作部230は、例えば、利用者に押操作される電源スイッチである。操作装置23は、操作部230が押操作されると、起動信号をモータユニット5の制御部52へ送信する。また、操作装置23は、モータ51による利用者の踏む力(踏力)を補助する度合いを変更するための入力を受け付けるスイッチ、及びバッテリ41の残量等のパラメータを表示するディスプレイを更に有している。
【0037】
バッテリユニット4は、図1に示すように、バッテリ41と、バッテリ制御部42と、を備えている。
【0038】
バッテリ41は、モータユニット5のモータ51及び制御部52、並びに制御システム1に電力を供給する。また、バッテリ41は、モータ51に加えて、例えば、ヘッドライト及び操作装置23に電力を供給する。バッテリ41は、後述のシートチューブ73(図2参照)に対して取外し可能に取り付けられている。すなわち、電動自転車2は、電動自転車2の制御用電源として用いられるバッテリ41を有している。
【0039】
バッテリ制御部42は、電動自転車2が使用されるごとに、電動自転車2の走行時(使用時)にバッテリ41で消費された電力量(バッテリ消費電力量)を求める。バッテリ消費電力量を表す消費電力量情報は、バッテリ制御部42からモータユニット5の制御部52に出力される。また、バッテリ制御部42は、バッテリ41の残量を管理する。より詳細には、バッテリ制御部42は、使用前のバッテリ41の残量とバッテリ消費電力量との差分を新たなバッテリ41の残量として求める。バッテリ41の残量を表す残量情報は、バッテリ制御部42からモータユニット5の制御部52に出力される。
【0040】
なお、バッテリ41の残量は、バッテリ41の劣化を考慮して補正される。バッテリ41の劣化は、バッテリ41の充放電を表す充放電履歴により求めることができる。充放電履歴は、バッテリ41のID(Identification)と共に保存される。充放電履歴は、例えば、制御システム1の通信部12を介して、外部装置3に保存されてもよい。
【0041】
外部装置3は、上述したように、電動自転車2から離れた場所に設置されているサーバである。外部装置3は、図1に示すように、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、を備えている。
【0042】
制御部31は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部31としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0043】
制御部31は、認証処理と、特定処理と、開錠処理と、を実行する機能を有している。
【0044】
認証処理は、通信部32にて端末8から送信される認証情報を取得した場合に、記憶部33に記憶されている第1データベースに認証情報が含まれているか否か、つまり、認証情報に基づく利用者が登録されているか否かを判定する処理である。
【0045】
特定処理は、通信部32にて端末8から送信される識別子を取得した場合に、記憶部33に記憶されている第2データベースを参照して、識別子に対応する電動自転車2を特定する処理である。識別子は、例えば、電動自転車2に貼り付けられたシール931(図2参照)に記されている。利用者は、端末8に内蔵されている撮像装置(読取装置)を用いて、シール931に記された識別子を読み取ることで、電動自転車2の識別子を取得することが可能である。
【0046】
開錠処理は、特定処理にて特定された電動自転車2と外部装置3の間で通信することにより、この電動自転車2のサークル錠6を遠隔制御することで、電動自転車2を施錠状態から開錠状態へと移行させる処理である。制御部31は、開錠処理において、電動自転車2(制御システム1)からの問い合わせ信号に基づいて開錠許可信号を生成し、生成した開錠許可信号を通信部32から電動自転車2へ送信させる。
【0047】
通信部32は、電動自転車2(制御システム1)又は端末8との間で通信を行うための通信インタフェースである。通信部32は、無線通信モジュールを有している。通信部32は、無線通信モジュールにより、例えば、赤外線若しくは可視光等の光を媒体とする光無線通信、又は電波を媒体とする無線通信にて、インターネット等のネットワークN1を介して制御システム1の通信部12又は端末8と通信する。無線通信は、一例として、LTE等の携帯電話の通信規格を用いてもよい。
【0048】
通信部32は、制御システム1からの第1データ又は第2データを受信する。また、通信部32は、制御システム1からの問い合わせ信号を受信する。さらに、通信部32は、問い合わせ信号に基づいて制御部31にて生成される開錠許可信号を制御システム1へ送信する。また、通信部32は、端末8からの認証情報及び識別子を受信する。
【0049】
記憶部33は、例えば、EEPROM等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM等の揮発性メモリを備えている。記憶部33は、電動自転車2のレンタルサービス事業者と契約している1以上の利用者の各々の認証情報を含む第1データベースを記憶している。また、記憶部33は、電動自転車2のレンタルサービス事業者により管理されている1以上の電動自転車2の識別子を含む第2データベースを記憶している。さらに、記憶部33は、上述の第1データと第2データとの少なくとも一方に含まれている各種の情報を記憶している。
【0050】
(3)電動自転車
次に、電動自転車2の構造について、図2を参照して説明する。本実施形態等において参照する図2は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法を反映しているとは限らない。
【0051】
また、以下では、特に断りのない限り、走行面100は水平面であるとして説明する。ただし、実際は、走行面100は水平面である必要はなく、水平面に対して傾斜していてもよいし、凹凸のある面であってもよい。
【0052】
さらに、以下では、電動自転車2が進む方向を「前方向」とし、前方向の反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向を併せて「前後方向」として定義する。また、前後方向に直交し、かつ水平面に沿う互いに反対向きの2方向を「左右方向」として定義する。さらに、前後方向及び左右方向の両方に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、電動自転車2の使用態様を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているにすぎず、実体を伴わない。
【0053】
電動自転車2は、電気的な動力によって、走行面100を走行可能な自転車である。本実施形態では、電動自転車2は、電動自転車2の利用者の踏む力(踏力)をモータ51(図1参照)によって補助する電動アシスト自転車である。
【0054】
電動自転車2は、図2に示すように、モータユニット5と、フレーム7と、を備えている。また、電動自転車2は、複数(図2では2つ)の車輪81と、フロントフォーク82と、ハンドル83と、サドル84と、一対(図2では片方のみ図示)のクランクアーム85と、一対(図2では片方のみ図示)のペダル86と、動力伝達体87と、バッテリ41と、を備えている。さらに、電動自転車2は、サークル錠6と、バスケット91と、フロントフェンダー92と、リアフェンダー93と、を備えている。本実施形態では、フレーム7により移動体本体(以下、「移動体本体7」ともいう)が構成されている。すなわち、移動体(電動自転車)2は、上述の制御システム1と、制御システム1が取り付けられている移動体本体7と、を備えている。
【0055】
(3.1)車輪
複数の車輪81は、フレーム7を走行面100の上に支える部材である。本実施形態では、電動自転車2は、複数の車輪81として、前輪88と、後輪89と、を備えている。前輪88は、中心にハブ881を有し、後輪89は、中心にハブ891を有している。複数の車輪81は、フレーム7に取り付けられており、電動自転車2の利用者の踏力及びモータ51(図1参照)から出力された動力により回転する。
【0056】
前輪88は、前後方向に並ぶ2つの車輪81のうちの前側の車輪である。前輪88は、一対(図2では片方のみ図示)のレッグ821によって、左右方向に沿った軸回りに回転し得るように支持されている。本実施形態では、前輪88は、モータユニット5から動力の伝達を受けない車輪である。
【0057】
前輪88の上方には、前輪88の周方向に沿って湾曲したフロントフェンダー92が設けられている。フロントフェンダー92は、電動自転車2の走行中において、前輪88により跳ね上げられた水飛沫又は泥等が、電動自転車2の利用者に向かって飛散するのを防ぐ泥除けとして機能する。
【0058】
後輪89は、前後方向に並ぶ2つの車輪81のうちの後側の車輪である。後輪89は、2つのチェーンステー75によって、左右方向に沿った軸回りに回転可能に支持されている。後輪89は、ハブ891と同心状で、かつハブ891に対して一体的に取り付けられたリアスプロケット892を備えている。リアスプロケット892は、モータユニット5の駆動スプロケット(後述する)に対し、動力伝達体87を介して連結されている。これにより、モータユニット5から出力された動力は、後輪89に伝達される。
【0059】
後輪89の上方には、後輪89の周方向に沿って湾曲したリアフェンダー93が設けられている。リアフェンダー93は、電動自転車2の走行中において、後輪89により跳ね上げられた水飛沫又は泥等が、電動自転車2の利用者に向かって飛散するのを防ぐ泥除けとして機能する。本実施形態では、リアフェンダー93には、図2に示すように、電動自転車2の識別子としての二次元コードが記されたシール931が貼付されている。また、後輪89には、サークル錠6が取り付けられている。
【0060】
(3.2)フロントフォーク
フロントフォーク82は、前輪88を支える部材である。フロントフォーク82は、一対(図2では片方のみ図示)のレッグ821と、クラウン822と、ステアリングコラム823と、を備えている。クラウン822は、一対のレッグ821の上端をつないでいる。ステアリングコラム823は、クラウン822から突出している。一対のレッグ821には、ハブ881に通されたシャフトを介して、前輪88が回転可能に取り付けられている。前輪88の回転軸は、走行面100に対して平行である。ステアリングコラム823の突出方向(長手方向)は、クラウン822から、上方向に行くに従って後方向に行くように延びており、走行面100に対して傾いている。
【0061】
(3.3)ハンドル
ハンドル83は、ステアリングコラム823の上端に取り付けられており、フロントフォーク82に対して固定されている。ステアリングコラム823は、後述のフレーム7のヘッドチューブ71に通されており、フレーム7に回転可能に取り付けられている。ステアリングコラム823の回転軸は、ステアリングコラム823の長手方向に略平行である。したがって、ハンドル83は、ステアリングコラム823の長手方向に沿う軸を回転軸として、前輪88を回転させることができる。
【0062】
ハンドル83とステアリングコラム823との接続部分の上方には、電動自転車2の利用者の所持物等を収容するバスケット91が取り付けられている。また、ハンドル83には、操作装置23が取り付けられている。
【0063】
(3.4)フレーム
フレーム7は、複数の車輪81、フロントフォーク82、ハンドル83、サドル84、バッテリ41及びモータユニット5が取り付けられる骨組みである。本実施形態では、上述したように、フレーム7が移動体本体7を構成している。フレーム7の材料は、例えば、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金である。ただし、フレーム7の材料は、アルミニウム合金に限らず、例えば、鉄、クロムモリブデン鋼、ハイテンスチール、チタン、又はマグネシウムであってもよい。また、フレーム7の材料は、金属に限らず、例えば、カーボン、木材、竹、又は繊維強化合成樹脂(例えば、CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)であってもよい。
【0064】
本実施形態では、フレーム7は、複数のパイプとして、ヘッドチューブ71と、ダウンチューブ72と、シートチューブ73と、一対(図2では片方のみ図示)のシートステー74と、一対(図2では片方のみ図示)のチェーンステー75と、を備えている。また、フレーム7は、ブラケット76を更に備えている。本開示でいう「パイプ」とは、細長くて中空な部材を意味する。パイプの断面形状は、例えば、円形状(正円、長円及び楕円を含む)、長方形状(正方形を含む)、六角形状、又は八角形状であってもよい。フレーム7には、モータ51(図1参照)及びバッテリ41が取り付けられている。
【0065】
(3.4.1)ヘッドチューブ
ヘッドチューブ71は、フロントフォーク82を支えるパイプである。ヘッドチューブ71の中心軸は、上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面100に対して傾いている。ヘッドチューブ71には、ヘッドチューブ71の中心軸とステアリングコラム823の中心軸とが沿うように、ステアリングコラム823が通されている。これによって、ヘッドチューブ71は、ステアリングコラム823を回転可能に支えている。本実施形態では、ステアリングコラム823の回転軸は、ヘッドチューブ71の中心軸と同じである。
【0066】
(3.4.2)ダウンチューブ
ダウンチューブ72は、ヘッドチューブ71とシートチューブ73とをつなぐパイプである。ダウンチューブ72の長手方向の前端は、ヘッドチューブ71に接続されている。ダウンチューブ72の長手方向の後端は、ブラケット76に接続されている。本実施形態では、ダウンチューブ72の長手方向は、後方向に行くに従って下方向に行くように、走行面100に対して傾いている。
【0067】
(3.4.3)シートチューブ
シートチューブ73は、サドル84を保持するパイプである。シートチューブ73の長手方向の下端は、ブラケット76に接続されている。シートチューブ73の長手方向の上端には、サドル84が移動可能に取り付けられている。シートチューブ73の中心軸は、下端から上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面100に対して傾いている。シートチューブ73の下端には、ブラケット76を介してダウンチューブ72の長手方向の後端が接続されている。本実施形態では、シートチューブ73には、バッテリ41が取外し可能に取り付けられている。
【0068】
(3.4.4)チェーンステー
一対のチェーンステー75は、後輪89のシャフトを支えるパイプである。各チェーンステー75の長手方向の前端は、ブラケット76に接続されている。各チェーンステー75の長手方向の後端は、シートステー74の後端に接続されている。一対のチェーンステー75は、左右方向に離れており、一対のチェーンステー75の後端部には、ハブ891に通されたシャフトを介して、後輪89が回転可能に取り付けられている。後輪89の回転軸は、走行面100に対して略平行であり、後輪89を支えるシャフトの中心軸と同じである。
【0069】
(3.4.5)シートステー
一対のシートステー74は、一対のチェーンステー75とシートチューブ73とをつなぐパイプである。本実施形態では、各シートステー74の長手方向の後端は、各チェーンステー75の長手方向の後端に接続されている。各シートステー74の長手方向の前端は、シートチューブ73に接続されている。
【0070】
(3.4.6)ブラケット
ブラケット76は、モータユニット5が取り付けられている部分である。ブラケット76には、ダウンチューブ72の長手方向の後端、シートチューブ73の長手方向の下端及びチェーンステー75の長手方向の前端が接続されている。これによって、ダウンチューブ72の長手方向の後端、シートチューブ73の長手方向の下端及びチェーンステー75の長手方向の前端は、互いに固定されている。
【0071】
(3.5)サドル
サドル84は、シートピラー841を有している。シートピラー841は、シートチューブ73の中心軸に沿うようにして、シートチューブ73に通されている。シートピラー841は、サドル84においてユーザが座る部分から下側に突出している。本実施形態では、シートピラー841は、下方向に行くに従って前方向に行くように、走行面100に対して傾斜している。シートピラー841は、シートチューブ73に対し、シートチューブ73の中心軸に沿って移動可能に取り付けられている。
【0072】
(3.6)ペダル
各ペダル86は、各クランクアーム85の長手方向の端部のうち、クランク軸(後述する)側とは反対側の端部に取り付けられている。ペダル86は、クランクアーム85に対して、回転可能に取り付けられている。ペダル86の回転軸は、クランク軸の回転軸に対して略平行である。
【0073】
(3.7)動力伝達体
動力伝達体87は、モータユニット5から出力された動力を、複数の車輪81のうちの少なくとも1つに伝達する。実施形態1では、動力伝達体87は、モータユニット5の駆動スプロケットと後輪89のリアスプロケット892との間で動力伝達可能に架けられるチェーンである。動力伝達体87は、例えば、ベルト、シャフト、ワイヤ、又はギヤであってもよい。
【0074】
(3.8)モータユニット
モータユニット5は、図1に示すように、モータ51と、制御部52と、記憶部53と、クランク軸と、駆動スプロケットと、を備えている。クランク軸及び駆動スプロケットについては、図示を省略している。モータユニット5は、駆動補助出力を出力可能な装置である。本実施形態では、モータユニット5は、人力駆動力である踏力に駆動補助出力を加えて、動力伝達体87を介して後輪89に伝達する。
【0075】
制御部52は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部52としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0076】
制御部52は、モータ51を制御する処理を実行する。より詳細には、制御部52は、所定の回転速度でモータ51が回転するように、モータ51に駆動制御信号を出力して、モータ51を制御する。例えば、制御部52は、所定の速度で利用者の踏力を補助するようにモータ51を制御する。
【0077】
記憶部53は、例えば、EEPROM等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM等の揮発性メモリを備えている。記憶部53は、ユニット情報を記憶している。ユニット情報は、一例として、バッテリ41の残量を表す残量情報、又は電動自転車2の走行時(使用時)にバッテリ41で消費されたバッテリ消費電力量を表す消費電力量情報を含み得る。また、ユニット情報は、一例として、バッテリユニット4に接続されている機器(例えば、操作装置23又はヘッドライト)の状態を表す機器状態情報を含み得る。また、ユニット情報は、モータユニット5の異常に関する異常情報を含み得る。
【0078】
モータユニット5のクランク軸には、図2に示すように、一対のクランクアーム85が取り付けられている。クランクアーム85の長手方向は、クランク軸の回転軸に対して交差する(ここでは、直交する)。一対のクランクアーム85は、クランク軸の回転軸方向に見て一直線上に並ぶ。
【0079】
駆動スプロケットは、例えば、複数のスプロケットで構成されており、リアスプロケット892と共に変速機を構成する。この変速機の変速位置を変えることにより、電動自転車2の変速が可能となる。
【0080】
モータ51は、電動自転車2の車輪81に回転動力を与えるように構成されている。モータ51は、電動自転車2のクランク軸の近傍に設けられており、バッテリ41からの電力によって駆動し、クランク軸に動力を伝達する。
【0081】
(4)動作
次に、実施形態1に係る制御システム1の動作について、図3及び図4を参照して説明する。
【0082】
(4.1)設定部の動作
まず、設定部111が通信部12による外部装置3との通信頻度を設定する動作について、図3を参照して説明する。
【0083】
制御システム1の制御部11の設定部111は、サークル錠6が施錠状態であるか否かを判断する(ステップS1)。設定部111は、サークル錠6が施錠状態である場合(ステップS1;Yes)、電動自転車2が保管場所(例えば、駐輪場)にあるか否かを判断する(ステップS2)。設定部111は、電動自転車2が保管場所にある場合(ステップS2;Yes)、通信頻度を第3頻度に設定する(ステップS4)。設定部111は、電動自転車2が保管場所にない場合(ステップS2;No)、通信頻度を第2頻度に設定する(ステップS5)。
【0084】
設定部111は、サークル錠6が開錠状態である場合(ステップS1;No)、電動自転車2が使用中であるか否かを判断する(ステップS3)。設定部111は、電動自転車2が使用中である場合(ステップS3;Yes)、通信頻度を第1頻度に設定する(ステップS6)。設定部111は、電動自転車2が使用中でない場合(ステップS3;No)、通信頻度を第4頻度に設定する(ステップS7)。本実施形態では、上述のステップS4~S7が設定ステップである。
【0085】
本実施形態に係る制御システム1では、上述したように、サークル錠6が施錠されている場合に通信部12による外部装置3との通信頻度を下げている。これにより、通信頻度を下げない場合に比べてバッテリ41の消費電力を低減することが可能となる。また、本実施形態に係る制御システム1では、サークル錠6が開錠している状態であっても電動自転車2が使用されていない場合には、通信部12による外部装置3との通信頻度を下げている。これにより、通信頻度を下げない場合に比べてバッテリ41の消費電力を低減することが可能となる。
【0086】
(4.2)通信部の動作
次に、通信部12の動作について、図4を参照して説明する。
【0087】
制御システム1の制御部11の設定部111は、サークル錠6が施錠状態であるか否かを判断する(ステップS11)。通信部12は、サークル錠6が施錠状態であると設定部111が判断した場合(ステップS11;Yes)、外部装置3に向けて第2データを送信する(ステップS12)。通信部12は、サークル錠6が開錠状態であると設定部111が判断した場合(ステップS1;No)、外部装置3に向けて第1データを送信する(ステップS13)。本実施形態では、上述のステップS12,S13が通信ステップである。
【0088】
本実施形態に係る制御システム1では、上述したように、サークル錠6の状態に応じて外部装置3へ送信するデータのデータ量を異ならせている。これにより、システム全体としての通信量を低減することが可能となり、その結果、通信コストを抑えることが可能となる。
【0089】
(5)効果
本実施形態に係る制御システム1は、上述したように、通信部12と、設定部111と、を備える。通信部12は、バッテリ41から電力が供給されて外部装置3との間で通信を行う。設定部111は、バッテリ41から電力が供給されて通信部12による外部装置3との通信頻度を設定する。設定部111は、電動自転車(移動体)2に取り付けられているサークル錠(錠装置)6が開錠している場合に、通信頻度を第1頻度に設定する。設定部111は、サークル錠6が施錠されている場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定する。
【0090】
また、本実施形態に係る管理システム10は、上述の制御システム1と、外部装置3と、を備える。
【0091】
本実施形態に係る制御システム1及び管理システム10では、上述したように、サークル錠6が施錠されている場合に通信頻度を第1頻度よりも低くしている。これにより、サークル錠6が施錠されている状態で通信頻度を第1頻度としている場合に比べて、バッテリ41の消費電力を低減することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態に係る制御システム及び管理システム10では、サークル錠6が開錠している状態であっても電動自転車2が使用されていない場合には、通信頻度を、第1頻度よりも低い第4頻度に設定している。これにより、電動自転車2が使用されていない状態で通信頻度を第1頻度としている場合に比べて、バッテリ41の消費電力を低減することが可能となる。
【0093】
(6)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、制御システム1と同様の機能は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0094】
一態様に係る制御方法は、通信ステップS12,S13と、設定ステップS4~S6と、を有する。通信ステップS12,S13は、バッテリ41から電力が供給されて外部装置3との間で通信を行うステップである。設定ステップS4~S6は、バッテリ41から電力が供給されて通信ステップS12,S13における外部装置3との通信頻度を設定するステップである。設定ステップS6では、電動自転車(移動体)2に取り付けられているサークル錠(錠装置)6が開錠している場合に、通信頻度を第1頻度に設定する。設定ステップS4,S5では、サークル錠6が施錠されている場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定する。また、一態様に係るプログラムは、上述の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるプログラムである。
【0095】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0096】
本開示における制御システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0097】
また、制御システム1における複数の機能が、1つの筐体に集約されていることは制御システム1に必須の構成ではない。制御システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、制御システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上述の実施形態のように、制御システム1の全ての機能が、1つの筐体に集約されていてもよい。
【0098】
上述の実施形態では、制御システム1の全てがサークル錠6に設けられているが、例えば、制御システム1の少なくとも一部の機能(例えば、設定部111)はモータユニット5に設けられていてもよい。さらに、制御システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、バッテリユニット4に設けられていてもよいし、操作装置23に設けられていてもよい。要するに、制御システム1の少なくとも一部の機能がサークル錠6以外の部品に設けられていてもよい。
【0099】
上述の実施形態では、設定部111は、外部装置3から取得した電動自転車2の位置情報が所定時間変化していない場合に、電動自転車2が使用されていないと判断しているが、これに限らない。設定部111は、例えば、上述のケイデンス情報(クランク回転数)、又はスピードセンサによる電動自転車2の車速情報に基づいて、電動自転車2が使用されていないと判断してもよい。すなわち、電動自転車2が使用されていない状態ではクランク回転数及び電動自転車2の車速は共にゼロであるため、設定部111は、クランク回転数又は電動自転車2の車速がゼロであることをもって電動自転車2が使用されていないと判断する。
【0100】
上述の実施形態では、制御システム1の通信部12は、インターネットを介して外部装置3に第1データ又は第2データを送信しているが、これに限らない。例えば、通信部12は、LAN(Local Area Network)を介して、LANが構築されているエリア内にある外部装置に向けて第1データ又は第2データを送信してもよい。
【0101】
上述の実施形態において、錠装置6は、サークル錠6に限らない。つまり、錠装置6は、電動自転車2を施錠可能な装置であればよい。
【0102】
上述の実施形態では、モータユニット5は、二軸式のモータユニットであるが、一軸式のモータユニットであってもよい。また、実施形態1では、モータユニット5はセンタユニット方式のモータユニットであるが、これに限らない。例えば、モータユニット5は、前輪88のハブ881にモータが取り付けられたフロントハブユニット方式のモータユニットであってもよい。また、例えば、モータユニット5は、後輪89のハブ891にモータが取り付けられたリアハブユニット方式のモータユニットであってもよい。
【0103】
上述の実施形態では、電動自転車2は、利用者の踏力をモータ51によって補助する電動アシスト自転車であるが、これに限らない。例えば、電動自転車2は、踏力により車輪81に動力を与える駆動系(人力駆動系)と、モータ51により車輪81に動力を与える駆動系(モータ駆動系)とが独立している自転車(モータ51から出力された動力のみで走行可能な自転車)であってもよい。要するに、電動自転車2は、電動アシスト自転車であってもよいし、モータ51から出力された動力のみで走行可能な自転車であってもよい。
【0104】
上述の実施形態では、電動自転車2は、1つの前輪88及び1つの後輪89を備える二輪自転車であるが、これに限らない。例えば、電動自転車2は、1つの前輪88及び2つの後輪89を備える三輪自転車であってもよい。または、電動自転車2は、2つの前輪88及び1つの後輪89を備える三輪自転車であってもよい。また、電動自転車2は、2つの前輪88及び2つの後輪89を備える四輪自転車であってもよい。
【0105】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0106】
第1の態様に係る制御システム(1)は、通信部(12)と、設定部(111)と、を備える。通信部(12)は、バッテリ(41)から電力が供給されて外部装置(3)との間で通信を行う。設定部(111)は、バッテリ(41)から電力が供給されて通信部(12)による外部装置(3)との通信頻度を設定する。設定部(111)は、移動体(2)に取り付けられている錠装置(6)が開錠している場合に、通信頻度を第1頻度に設定する。設定部(111)は、錠装置(6)が施錠されている場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定する。
【0107】
この態様によれば、錠装置(6)が施錠されている場合には通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0108】
第2の態様に係る制御システム(1)では、第1の態様において、設定部(111)は、錠装置(6)が施錠されており、かつ移動体(2)が保管場所(例えば、駐輪場)に位置していない場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い第2頻度に設定する。設定部(111)は、錠装置(6)が施錠されており、かつ移動体(2)が保管場所に位置している場合に、通信頻度を、第2頻度よりも低い第3頻度に設定する。
【0109】
この態様によれば、錠装置(6)が施錠されており、かつ移動体(2)が保管場所に位置している場合には通信頻度を更に下げているので、移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を更に低減することが可能となる。
【0110】
第3の態様に係る制御システム(1)では、第1又は第2の態様において、設定部(111)は、錠装置(6)が開錠している状態で移動体(2)が使用されていない場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定する。
【0111】
この態様によれば、錠装置(6)が開錠している状態であっても移動体(2)が使用されていなければ通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0112】
第4の態様に係る制御システム(1)では、第3の態様において、通信部(12)は、外部装置(3)との通信において移動体(2)の位置情報を取得する。設定部(111)は、位置情報が所定時間変化していない場合に移動体(2)が使用されていないと判断する。
【0113】
この態様によれば、錠装置(6)が開錠している状態であっても移動体(2)が使用されていなければ通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0114】
第5の態様に係る制御システム(1)では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、錠装置(6)が開錠している場合に通信部(12)が外部装置(3)に送信する第1データと、錠装置(6)が施錠されている場合に通信部(12)が外部装置(3)に送信する第2データとが異なる。
【0115】
この態様によれば、第1データと第2データとが同じである場合に比べて通信量を低減することが可能となり、その結果、通信コストを抑えることが可能となる。
【0116】
第6の態様に係る制御システム(1)では、第5の態様において、第2データのデータ量は、第1データのデータ量よりも多い。
【0117】
この態様によれば、第1データのデータ量が第2データのデータ量と同じである場合に比べて通信量を低減することが可能となり、その結果、通信コストを抑えることが可能となる。
【0118】
第7の態様に係る管理システム(10)は、第1~第6の態様のいずれか1つに係る制御システム(1)と、外部装置(3)と、を備える。
【0119】
この態様によれば、錠装置(6)が施錠されている場合には通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0120】
第8の態様に係る制御方法は、通信ステップ(S12,S13)と、設定ステップ(S4~S6)と、を有する。通信ステップ(S12,S13)は、バッテリ(41)から電力が供給されて外部装置(3)との間で通信を行うステップである。設定ステップ(S4~S6)は、バッテリ(41)から電力が供給されて通信ステップ(S12,S13)における外部装置(3)との通信頻度を設定するステップである。設定ステップ(S6)では、移動体(2)に取り付けられている錠装置(6)が開錠している場合に、通信頻度を第1頻度に設定する。設定ステップ(S4,S5)では、錠装置(6)が施錠されている場合に、通信頻度を、第1頻度よりも低い頻度に設定する。
【0121】
この態様によれば、錠装置(6)が施錠されている場合には通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0122】
第9の態様に係るプログラムは、第8の態様に係る制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0123】
この態様によれば、錠装置(6)が施錠されている場合には通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0124】
第10の態様に係る移動体(2)は、第1~第6の態様のいずれか1つに係る制御システム(1)と、移動体本体(7)と、を備える。移動体本体(7)は、制御システム(1)が取り付けられている。
【0125】
この態様によれば、錠装置(6)が施錠されている場合には通信頻度を下げているので、通信頻度を下げない場合に比べて移動体(2)のバッテリ(41)の消費電力を低減することが可能となる。
【0126】
第2~第6の態様に係る構成については、制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 制御システム
2 移動体
3 外部装置
6 サークル錠(錠装置)
7 フレーム(移動体本体)
10 管理システム
12 通信部
41 バッテリ
111 設定部
S4~S6 設定ステップ
S12,S13 通信ステップ
図1
図2
図3
図4