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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】機器制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20241011BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241011BHJP
   H05B 47/185 20200101ALI20241011BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20241011BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241011BHJP
   H04L 12/10 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H05B47/19
H04Q9/00 301C
H05B47/185
H05B47/105
H02J1/00 304C
H04L12/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021026821
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022128350
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉本 裕司
(72)【発明者】
【氏名】中城 明
(72)【発明者】
【氏名】和田 学
(72)【発明者】
【氏名】松田 勇介
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0174347(US,A1)
【文献】特表2014-531728(JP,A)
【文献】特開2006-222722(JP,A)
【文献】特開2011-078278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
H04Q 9/00
H02J 1/00
H04L 12/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続ポートを有する給電機器と、
前記給電機器からの電力供給を受けて動作する複数の第一受電機器であって、各々にアドレス情報が定められた複数の第一受電機器と、
前記複数の接続ポートの1つにケーブルを介して接続され、前記給電機器から前記ケーブルを介して電力供給を受けることによって動作する第二受電機器とを備え、
前記第二受電機器は、
前記複数の第一受電機器の一部の制御を指示する指示信号を無線通信により受信する無線モジュールと、
受信された指示信号に基づいて、前記アドレス情報を含む制御信号を出力することにより前記複数の第一受電機器の前記一部を制御する制御部とを備え
前記複数の第一受電機器には、前記第二受電機器に接続され、前記第二受電機器を介して前記給電機器からの電力供給を受けて動作する受電機器が含まれる
機器制御システム。
【請求項2】
前記複数の第一受電機器には、各々が前記複数の接続ポートの1つにケーブルを介して接続され、前記給電機器から前記ケーブルを介して電力供給を受けることによって動作する受電機器が含まれる
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
電力クラス分類処理において、前記給電機器は、前記接続ポートへ出力する電力を、前記第二受電機器の消費電力、及び、前記第二受電機器に接続される前記受電機器の消費電力の合計の消費電力以上に設定する
請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第二受電機器に接続される前記受電機器のアドレス情報を取得するときに当該受電機器の消費電力を示す消費電力情報を合わせて取得し、取得した前記消費電力情報に基づいて、前記合計の消費電力を前記給電機器に通知し、
前記給電機器は、前記通知に基づいて前記設定を行う
請求項に記載の機器制御システム。
【請求項5】
前記第二受電機器は、前記第二受電機器に接続される前記受電機器への電力供給をオン及びオフするスイッチ部を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項6】
前記複数の第一受電機器のそれぞれは、照明機器である
請求項1~のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項7】
前記第二受電機器は、照明機器である
請求項1~のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PoE(Power on Ethernet(登録商標))をベースとした機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
PoEは、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した標準ケーブルを通じて、給電機器が受電機器に対してデータの送受信と電力供給とを並行して行うことができる技術である。PoEを利用すれば、電源の確保が困難な場所へも受電機器を設置することができ、また、電源配線に関するコストの削減が可能である。近年PoEにおいて供給可能な電力が増強されており、受電機器として使用できる機器の幅は拡大している。特許文献1には、PoEに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-186089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、受電機器を個別に制御することができる機器制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る機器制御システムは、複数の接続ポートを有する給電機器と、前記給電機器からの電力供給を受けて動作する複数の第一受電機器であって、各々にアドレス情報が定められた複数の第一受電機器と、前記複数の接続ポートの1つにケーブルを介して接続され、前記給電機器から前記ケーブルを介して電力供給を受けることによって動作する第二受電機器とを備え、前記第二受電機器は、前記複数の第一受電機器の一部の制御を指示する指示信号を無線通信により受信する無線モジュールと、受信された指示信号に基づいて、前記アドレス情報を含む制御信号を出力することにより前記複数の第一受電機器の前記一部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の機器制御システムは、受電機器を個別に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態に係る機器制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、複数の照明機器の登録動作のフローチャートである。
図3図3は、複数の照明機器が個別に制御される動作のフローチャートである。
図4図4は、最大消費電力の通知動作のフローチャートである。
図5図5は、消費電力の抑制動作のフローチャートである。
図6図6は、消費電力の計測値の表示動作のフローチャートである。
図7図7は、消費電力の計測値の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ
、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る機器制御システムの概要について説明する。図1は、実施の形態に係る機器制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0011】
実施の形態1に係る機器制御システム10は、PoEの仕組みを利用して対象の機器を制御するPoEシステム(PoEをベースとしたシステム)である。機器制御システム10は、給電機器20(PSE:Power Sourcing Equipment)と、1つ以上の受電機器(PD:Powered Device)と、情報端末60とを備える。受電機器は、PDインターフェースを有する機器であり、図1では、照明機器30、無線機器40、及び、照明機器50のそれぞれが受電機器に相当する。なお、照明機器50は、PDインターフェースを有していない場合もある。なお、受電機器(後述の第一受電機器)は、空調機器、カメラ、音響機器(スピーカ)、映像機器、防災機器、センサ、または、ユーザインターフェース機器などであってもよい。
【0012】
なお、以下の実施の形態では、照明機器30及び照明機器50は、第一受電機器とも表現され、無線機器40は、第二受電機器とも表現される。
【0013】
給電機器20は、複数の接続ポート21と、給電制御部22と、記憶部23とを備える。複数の接続ポート21は、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した標準ケーブル70が接続される接続構造(コネクタ)である。標準ケーブル70は、具体的には、いわゆるLAN(Local Area Network)ケーブルなどである。接続ポート21には、標準ケーブル70を介して受電機器が電気的に接続される。受電機器(照明機器30、無線機器40、及び、照明機器50)は、標準ケーブル70を介して給電機器20から電力の供給を受けるとともに、標準ケーブル70を介して給電機器20と通信を行うことができる。
【0014】
給電制御部22は、接続ポート21に接続された受電機器への電力供給を行う。また、給電制御部22は、接続ポート21に接続された受電機器へ標準ケーブル70を介して制御信号を送信することにより、当該受電機器を制御する。給電制御部22は、具体的には、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。給電制御部22の機能は、例えば、給電制御部22を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサが記憶部23に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0015】
記憶部23は、上記コンピュータプログラム、及び、受電機器へ電力供給を行うために必要な各種情報などが記憶される記憶装置である。記憶部23は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0016】
照明機器30は、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けることによって動作する。照明機器30は、例えば、室内空間を照明する照明機器であり、より具体的には、ベースライト、システム天井用照明、ダウンライト、または、スポットライトなどである。照明機
器30の具体的態様は特に限定されない。照明機器30の光源には、例えば、LED(Light Emitting Diode)または有機EL(Electro Luminescence)などの発光素子が用いられる。
【0017】
無線機器40は、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けることによって動作する。また、無線機器40は、給電機器20から供給される電力の一部を、スイッチ部44を介して複数の照明機器50へ供給することができる。無線機器40は、無線通信に特化した機器であるが、照明機器としての機能を有していてもよい。つまり、無線機器40は、照明機器であってもよい。無線機器40は、無線モジュール41と、制御部42と、記憶部43と、スイッチ部44とを備える。
【0018】
無線モジュール41は、無線通信回路である。無線モジュール41は、情報端末60と無線通信を行い、照明機器30または照明機器50を点灯することを指示する点灯指示信号、照明機器30または照明機器50を消灯することを指示する消灯指示信号、並びに、照明機器30または照明機器50の調光(明るさの調整)を指示するための調光指示信号などを受信する。なお、無線モジュール41が行う無線通信の通信規格については特に限定されない。
【0019】
制御部42は、無線モジュール41によって受信された指示信号に基づいて、照明機器30または照明機器50へ制御信号を送信することにより、照明機器30または照明機器50を制御する。また、制御部42は、スイッチ部44のオン及びオフを制御することにより、照明機器50への電力供給をオン及びオフする制御を行う。また、制御部42は、具体的には、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現され、無線機器40に内蔵される。制御部42の機能は、例えば、制御部42を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサが記憶部43に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0020】
記憶部43は、上記コンピュータプログラム、及び、受電機器を制御するために必要な各種情報などが記憶される記憶装置である。記憶部43は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0021】
スイッチ部44は、給電機器20から複数の照明機器50への電力供給を一括してオン及びオフするためのスイッチ装置である。スイッチ部44は、リレー素子またはパワー半導体素子などによって実現される。スイッチ部44によれば、複数の照明機器50を消灯するときに電力供給をオフすることで待機電力を低減することができる。また、スイッチ部44によれば、複数の照明機器50を点灯するときに複数の照明機器50に一括して電力供給を行うことができるので、複数の照明機器50に順次電力供給が行われる場合よりも早く複数の照明機器50を点灯させることができる。なお、スイッチ部44は、複数の照明機器50への電力供給を個別にオン及びオフできる構成であってもよい。
【0022】
なお、無線機器40は、スイッチ部44を備えていなくてもよい。この場合、給電機器20から無線機器40へ電力供給が行われると自ずと複数の照明機器50へも電力供給が行われ、給電機器20から無線機器40への電力供給が停止されると自ずと複数の照明機器50への電力供給も停止される。
【0023】
照明機器50は、無線機器40に接続され、無線機器40を介して給電機器20から電力の供給を受けて動作する。照明機器50は、例えば、PDインターフェースを有し、無線機器40と標準ケーブル70によって接続される。照明機器50への電力供給、及び、照明機器50と無線機器40との通信は、この標準ケーブル70を介して行われる。上述
のように、照明機器50への電力供給のオン及びオフは、スイッチ部44によって制御される。
【0024】
照明機器50は、PDインターフェースを有していなくてもよく、照明機器50と無線機器40とは標準ケーブル70以外のケーブルによって接続されてもよい。この場合、無線機器40から照明機器50へ送信される制御信号は、DALI(登録商標)(Degital Addressable Lighting Interface)などの通信規格に基づく信号であってもよい。
【0025】
照明機器50は、例えば、室内空間を照明する照明機器であり、より具体的には、ベースライト、システム天井用照明、ダウンライト、または、スポットライトなどである。照明機器50の具体的態様は特に限定されない。照明機器50の光源には、例えば、LEDまたは有機ELなどの発光素子が用いられる。
【0026】
情報端末60は、無線機器40と無線通信を行う機能を有する情報端末であり、機器制御システム10においてユーザインターフェース機器として機能する。情報端末60は、例えば、ユーザの操作に応じて無線機器40へ点灯指示信号、消灯指示信号、または調光指示信号(つまり、照明機器30または照明機器50を動作または停止させるための指示信号)などを送信する。情報端末60は、具体的には、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。また、情報端末60は、機器制御システム10の専用リモートコントローラであってもよい。
【0027】
[登録動作]
機器制御システム10において、無線機器40は、複数の照明機器30及び複数の照明機器50を個別に制御することができる。複数の照明機器30及び複数の照明機器50の登録動作について説明する。図2は、複数の照明機器30及び複数の照明機器50の登録動作のフローチャートである。
【0028】
複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれには、あらかじめアドレス情報が定められている。アドレス情報は、複数の照明機器30及び複数の照明機器50を個別に識別できるユニークな情報である。例えば、複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれは、記憶部(図示せず)を有し、当該記憶部にアドレス情報があらかじめ記憶されている。
【0029】
なお、アドレス情報があらかじめ定められていることは必須ではない。例えば、複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれは、無線機器40からの要求に応じて、乱数を使用してアドレス情報を生成してもよい。アドレス情報の生成は、具体的には、複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれが有するマイクロコンピュータによって行われる。
【0030】
まず、制御部42は、複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれから、当該照明機器のアドレス情報を取得する(S11)。なお、複数の照明機器30からアドレス情報を取得する場合、アドレス情報は、給電制御部22を介して制御部42へ送信される。
アドレス情報の取得タイミングは特に限定されず、照明機器30または照明機器50の起動前であってもよいし、照明機器30または照明機器50の動作中であってもよいし、照明機器30または照明機器50の動作停止中(スタンバイモード中)であってもよい。
【0031】
次に、制御部42は、ステップS11において取得したアドレス情報を登録情報として
記憶部43に記憶する(S12)。次に、制御部42は、無線モジュール41を用いて情報端末60と無線通信を行い、登録情報を情報端末60へ送信する(S13)。この結果、情報端末60が備える記憶部(図示せず)にも登録情報が記憶され、登録情報が無線機器40と情報端末60との間で登録情報が共有される。
【0032】
なお、登録動作において、制御部42は、複数の照明機器50のそれぞれから、当該照明機器50の消費電力情報を取得し、記憶部43に記憶してもよい。消費電力情報は、照明機器50の最大消費電力を示す情報である。消費電力情報は、例えば、あらかじめ照明機器50が有する記憶部に記憶されている。このような消費電力情報は、電力クラス分類処理の際に制御部42が給電機器20に最大消費電力を通知するために用いられる。このような通知動作の詳細については後述する。
【0033】
[個別制御動作]
次に、機器制御システム10において照明機器30または照明機器50が個別に制御されるときの動作について説明する。図3は、照明機器30または照明機器50が個別に制御されるときの動作のフローチャートである。
【0034】
例えば、ユーザは、情報端末60に対して、特定の照明機器を点灯させるための操作を行うと、情報端末60は、特定の照明機器のアドレス情報を含む点灯指示信号を無線機器40に送信する。無線機器40の無線モジュール41は、点灯指示信号を受信する(S21)。なお、特定の照明機器は2台以上であってもよく、ステップS21において受信される点灯指示信号は、複数の照明機器30及び複数の照明機器50の一部の点灯を指示する信号であればよい。
【0035】
制御部42は、受信された点灯指示信号に基づいて特定の照明機器を点灯させる(S22)。制御部42は、具体的には、点灯指示信号に含まれるアドレス情報と同一のアドレス情報を含む制御信号を生成し、生成した制御信号を複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれへ送信(出力)する。なお、制御信号は、複数の照明機器30へは給電機器20を介して送信される。複数の照明機器30及び複数の照明機器50のそれぞれは制御信号を受信し、受信した制御信号に自身のアドレス情報が含まれる場合に点灯する。なお、照明機器30または照明機器50が個別に消灯される場合、及び、照明機器30または照明機器50が個別に調光される場合も同様の動作となる。
【0036】
以上説明したように、機器制御システム10は、照明機器30または照明機器50を個別に制御することができる。なお、機器制御システム10は、照明機器30及び照明機器50を両方備える必要はなく、照明機器30だけを複数備えてもよいし、照明機器50だけを複数備えてもよい。
【0037】
[最大消費電力の通知動作]
ところで、給電機器20の給電制御部22は、接続ポート21に接続された受電機器への電力の供給を開始するときに、電力クラス分類処理を行う。電力クラス分類処理は、給電制御部22が受電機器の最大消費電力を取得し、接続ポート21へ出力する電力を設定する処理である。受電機器の最大消費電力は、例えば、受電機器のPDインターフェースに含まれる抵抗を用いて検出される。しかしながら、機器制御システム10においては、無線機器40が接続されている接続ポート21には、無線機器40だけでなく無線機器40を介して複数の照明機器50が接続されているため、当該接続ポート21へ出力する電力の決定する方法には検討の余地がある。
【0038】
そこで、機器制御システム10においては、電力クラス分類処理の際に、無線機器40が複数の照明機器50のそれぞれの最大消費電力と無線機器40自身の最大消費電力との
合計を給電機器20に通知する。図4は、最大消費電力の通知動作のフローチャートである。
【0039】
まず、無線機器40の制御部42は、照明機器50の最大消費電力を示す消費電力情報を取得する(S31)。制御部42は、複数の照明機器50のそれぞれから、当該照明機器50の消費電力情報を取得する。上記登録動作において消費電力情報が既に記憶部43に記憶されている場合には、制御部42は、記憶部43から消費電力情報を取得することができる。
【0040】
次に、制御部42は、取得した消費電力情報によって定まる、複数の照明機器50のそれぞれの最大消費電力と無線機器40自身の最大消費電力との合計を算出し(S32)、算出した最大消費電力の合計を給電機器20の給電制御部22に通知する(S33)。この通知は、例えば、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)などの通信プロトコルにしたがって行われる。なお、無線機器40の最大消費電力はあらかじめ記憶部43に記憶されている。
【0041】
このような通知を受けた給電制御部22は、無線機器40の最大消費電力と、複数の照明機器50の最大消費電力との合計以上の電力を、無線機器40が接続された接続ポート21へ出力する電力として決定することができる。つまり、無線機器40への電力の供給不足が発生することが抑制される。
【0042】
なお、制御部42は、消費電力情報に代えて、複数の照明機器50の機器情報、及び、無線機器40自身の機器情報を取得し、これらの機器情報を給電制御部22に通知してもよい。機器情報は、機器の製品番号を示す情報であり、あらかじめ各機器の記憶部に記憶される。この場合、給電制御部22は、機器情報(製品番号)と最大消費電力との対応関係を管理しているサーバ装置(クラウドサーバ)にアクセスすることで、無線機器40が接続された接続ポート21に接続されている機器の最大消費電力の合計を特定することができる。
【0043】
[消費電力の抑制動作]
無線機器40の制御部42は、ステップS32で算出した最大消費電力の合計を記憶部43に記憶しておき、無線機器40の消費電力と複数の照明機器50それぞれの消費電力との合計が最大消費電力の合計に近づいたときに、複数の照明機器50の消費電力を抑制する動作を行ってもよい。図5は、消費電力の抑制動作のフローチャートである。
【0044】
制御部42は、無線機器40の消費電力と、複数の照明機器50それぞれの消費電力とを計測し(S41)、計測した消費電力の合計が閾値以上になったか否かを判定する(S42)。この場合、無線機器40は、無線機器40の消費電力と、複数の照明機器50それぞれの消費電力とを計測する計測回路(図示せず)を備える。閾値は、例えば、ステップS32で算出した最大消費電力の合計の90%などに設定される。計測した消費電力の合計が閾値未満である場合には(S42でNo)、動作は終了となる。
【0045】
制御部42は、計測した消費電力の合計が閾値以上であると判定すると(S42でYes)、消費電力を抑制するための処理を行う(S43)。ステップS33において、制御部42は、例えば、複数の照明機器50の全部の明るさを一律に低減するが、特定の照明機器50のみ選択的に暗くしてもよいし、特定の照明機器50のみ選択的に消灯してもよい。上述のように、制御部42は、アドレス情報を含む制御信号を送信することにより、特定の照明機器50のみ選択的に暗くする、または、特定の照明機器50のみ選択的に消灯することができる。
【0046】
このように、機器制御システム10は、電力クラス分類処理によって決定された最大消費電力を超えないように、複数の照明機器50の消費電力の抑制を図ることができる。
【0047】
なお、上記登録動作の際などに、どの照明機器50を優先的に暗くするまたは消灯するかをユーザが設定してもよい。つまり、記憶部43においては、アドレス情報に優先順位が対応付けられていてもよい。この設定は、例えば、情報端末60へのユーザの操作に基づいて行われる。
【0048】
[消費電力の計測値の表示動作]
情報端末60には、複数の照明機器50の消費電力の計測値が表示されてもよい。図6は、消費電力の計測値の表示動作のフローチャートである。
【0049】
制御部42は、複数の照明機器50それぞれの消費電力を計測し(S51)、計測した消費電力(計測値)を含む表示情報を、無線モジュール41を用いて情報端末60へ送信する(S52)。表示情報において、計測値はアドレス情報に対応付けられている。
【0050】
情報端末60は、表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて計測値を表示する。図7は、消費電力の計測値の表示画面の一例を示す図である。
【0051】
このように、機器制御システム10は、アドレス情報によって複数の照明機器50を区別し、複数の照明機器50それぞれの消費電力の計測値を表示することができる。なお、情報端末60の表示画面には、消費電力の計測値だけでなく、複数の照明機器50の異常の有無などが表示されてもよい。
【0052】
また、制御部42は、給電機器20から複数の照明機器30の消費電力の計測値を取得することで、照明機器30の消費電力の計測値を含む表示情報を情報端末60へ送信することもできる。つまり、情報端末60は、複数の照明機器30それぞれの消費電力の計測値を表示することもできる。
【0053】
[効果等]
以上説明したように、機器制御システム10は、複数の接続ポート21を有する給電機器20と、給電機器20からの電力供給を受けて動作する複数の第一受電機器であって、各々にアドレス情報が定められた複数の第一受電機器と、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けることによって動作する第二受電機器とを備える。第二受電機器は、複数の第一受電機器の少なくとも一部の制御を指示する指示信号を無線通信により受信する無線モジュール41と、受信された指示信号に基づいて、アドレス情報を含む制御信号を出力することにより複数の第一受電機器の少なくとも一部を制御する制御部42とを備える。照明機器30または照明機器50は、第一受電機器の一例であり、無線機器40は、第二受電機器の一例である。
【0054】
このような機器制御システム10は、複数の第一受電機器を個別に制御することができる。
【0055】
また、複数の第一受電機器には、各々が複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けることによって動作する受電機器が含まれる。照明機器30は、このような受電機器の一例である。
【0056】
このような機器制御システム10は、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力
供給を受けることによって動作する受電機器を個別に制御することができる。
【0057】
また、例えば、複数の第一受電機器には、第二受電機器に接続され、第二受電機器を介して給電機器20からの電力供給を受けて動作する受電機器が含まれる。照明機器50は、このような受電機器の一例である。
【0058】
このような機器制御システム10は、第二受電機器に接続され、第二受電機器を介して給電機器20からの電力供給を受けて動作する受電機器を個別に制御することができる。
【0059】
また、例えば、電力クラス分類処理において、給電機器20は、接続ポート21へ出力する電力を、第二受電機器の消費電力、及び、第二受電機器に接続される受電機器の消費電力の合計の消費電力以上に設定する。
【0060】
このような機器制御システム10は、第二受電機器への電力の供給不足を抑制することができる。
【0061】
また、例えば、制御部42は、第二受電機器に接続される受電機器のアドレス情報を取得するときに当該受電機器の消費電力を示す消費電力情報を合わせて取得し、取得した消費電力情報に基づいて、合計の消費電力を給電機器20に通知する。給電機器20は、通知に基づいて設定を行う。
【0062】
このような機器制御システム10は、第二受電機器への電力の供給不足を抑制することができる。
【0063】
また、例えば、第二受電機器は、第二受電機器に接続される受電機器への電力供給をオン及びオフするスイッチ部44を有する。
【0064】
このような機器制御システム10は、第二受電機器に接続される受電機器の動作を停止するときに電力供給をオフすることで当該受電機器の待機電力を低減することができる。
【0065】
また、例えば、複数の第一受電機器のそれぞれは、照明機器(照明機器30または照明機器50)である。
【0066】
このような機器制御システム10は、複数の照明機器(照明機器30または照明機器50)を個別に制御することができる。
【0067】
また、例えば、第二受電機器は、照明機器である。
【0068】
このような機器制御システム10は、無線モジュール41を内蔵する照明機器を用いて、複数の第一受電機器を個別に制御することができる。
【0069】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0070】
例えば、上記実施の形態では、機器制御システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、機器制御システムは、給電機器に相当する単一の装置として実現されてもよいし、受電機器(無線機器または照明機器など)に相当する単一の装置として実現されてもよい。機器制御システムが複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された機器制御システムが備える構成要素は、複数の
装置にどのように振り分けられてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0073】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0074】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0075】
例えば、本発明は、上記実施の形態の給電機器、または、受電機器として実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態の機器制御システムの制御方法として実現されてもよい。本発明は、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0076】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
10 機器制御システム
20 給電機器
21 接続ポート
22 給電制御部
23、43 記憶部
30、50 照明機器
40 無線機器
41 無線モジュール
42 制御部
44 スイッチ部
60 情報端末
70 標準ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7