(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20241011BHJP
A47L 9/04 20060101ALI20241011BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
A47L9/10 Z
A47L9/04 Z
A47L9/28 A
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2021056225
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中西 邦行
(72)【発明者】
【氏名】本田 廉治
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231838(JP,A)
【文献】特開2011-015880(JP,A)
【文献】実公平05-025559(JP,Y2)
【文献】特開平05-025559(JP,A)
【文献】特開2004-057449(JP,A)
【文献】特開2020-078533(JP,A)
【文献】特開2013-169225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0230446(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L9/00-9/19
A47L9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸引する吸引口と、吸引した塵埃を収容する第一集塵室と、前記吸引口から前記第一集塵室に至る吸引経路を形成する吸引経路部材と、を備える掃除機であって、
前記第一集塵室の近傍において前記吸引経路部材に設けられる第一開口と、
塵埃を吸引していない非吸引状態において前記第一開口、および前記吸引経路を通過して前記第一集塵室に作用性微粒子を供給する第一供給装置と、を備え
、
前記第一供給装置は、
作用性微粒子を発生させる第一発生装置と、
前記第一発生装置を収容し、作用性微粒子の第一供給経路を形成する第一筐体と、を備え、
前記第一筐体は、
内部空間に外気を導入する常時開放状態の第一吸入口と、
前記第一開口と連通する第一吐出口と、を備える
掃除機。
【請求項2】
前記第一吸入口は、
前記第一発生装置の作用性微粒子が吐出される部分の反対側に設けられる
請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記吸引口に配置される回転ブラシと、
前記回転ブラシを収容するブラシ収容部材と、
前記ブラシ収容部材に設けられる第二開口と、
前記回転ブラシの外側に配置され前記第二開口を介して前記ブラシ収容部材に作用性微粒子を供給する第二供給装置と、
を備える請求項
1または2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記ブラシ収容部材と連通し、前記回転ブラシが掻き上げた比較的重い塵埃である重量塵埃を収容する第二集塵室を備え、
前記第二開口は、
前記第二集塵室の近傍に配置される
請求項
3に記載の掃除機。
【請求項5】
前記掃除機が吸引している吸引状態、吸引していない非吸引状態を検出する吸引状態検出部と、
前記吸引状態検出部の検出結果に応じて前記第一供給装置を動作させる供給制御部と、を有する供給制御装置を備える
請求項1から
4のいずれか一項に記載の掃除機。
【請求項6】
前記供給制御部は、前記第一供給装置を動作させた所定時間後に前記第一供給装置を停止させる
請求項
5に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を吸引して収容する掃除機に関する
【背景技術】
【0002】
床面上にあるホコリ、チリ、ゴミなどの塵埃を吸引して掃除する掃除機の排気経路にイオン発生装置を設置し、掃除機からイオンを放出して居住空間にイオンを供給する掃除機が考案されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の掃除機では、排気経路の一部が吸引経路の吸引口の近傍に連通しており、イオン発生装置からのイオンが吸引口に設けられたブラシから集塵室に至るまで還流する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来技術によると、イオンは、掃除のために高速で大量に流れる空気流に乗ってブラシを通過後に長時間をかけて集塵室に届くため、作用対象に対しイオンが作用する効果は限定的である。また、イオンを吸引口の近傍に供給する構成を採用しているため、吸引掃除を行っていない時には、ブラシが邪魔になりイオンを集塵室に届かせることは困難である。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、集塵室にイオンなどの作用性微粒子を効果的に供給することができる掃除機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つである掃除機は、塵埃を吸引する吸引口と、吸引した塵埃を収容する第一集塵室と、前記吸引口から前記第一集塵室に至る吸引経路を形成する吸引経路部材と、を備える掃除機であって、前記第一集塵室の近傍において前記吸引経路部材に設けられる第一開口と、塵埃を吸引していない非吸引状態において前記第一開口、および前記吸引経路を通過して前記第一集塵室に作用性微粒子を供給する第一供給装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作用性微粒子を集塵室に効果的に供給することができ、集塵室内の作用対象に作用性微粒子を効果的に作用させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】掃除機内部の構造を下方から示す斜視図である。
【
図4】吸引経路部材の第一接続部材と第一供給装置とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る掃除機の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0011】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。
【0012】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0013】
図1は、掃除機を上方から示す斜視図である。
図2は、掃除機を下方から示す斜視図である。
図3は、掃除機内部の構造を下方から示す斜視図である。
【0014】
掃除機100は、空気と共に塵埃を吸引し、吸引した塵埃を初手の箇所に収容する吸引式の掃除機であって、吸引口101と、第一集塵室111と、吸引経路部材120と、第一供給装置130と、を備えている。本実施の形態の場合、掃除機100は、回転ブラシ102と、ブラシ収容部材103と、第二集塵室112と、第二供給装置170と、を備えている。また、掃除機100は、所定の掃除エリアを自律的に走行し、掃除エリアの床面などに存在する塵埃を吸引する自律走行ロボット型の掃除機であり、本体筐体108と、本体筐体108を移動させる駆動ユニット140と、塵埃を吸引する吸引装置150と、供給制御装置160(
図1、
図2、
図3において不図示)と、各種センサ(不図示)を備えている。
【0015】
吸引口101は、塵埃を吸引する開口であり、第一集塵室111から延びる吸引経路の先端部に配置されている。本実施の形態の場合、吸引口101は、本体筐体108の下面に設けられた矩形の開口である。
【0016】
第一集塵室111は、吸引口101から吸引し吸引経路を通過した塵埃を収容する部分であり、吸引装置150が取り付けられている。吸引装置150は、第一集塵室111を負圧にすることで吸引口101から空気と共に塵埃を吸引し、塵埃から分離された空気を排出する装置であり、空気を吸引するファン(不図示)、ファンを駆動する電動モータ(不図示)とを備えている。本実施の形態の場合、第一集塵室111には空気を通過させて塵埃を捕集する紙パックが取り付けられている。
【0017】
吸引経路部材120は、吸引口101から第一集塵室111に至る吸引経路を形成する管状の部分である。本実施の形態の場合、吸引口101にはブラシ収容部材103が取り付けられ、ブラシ収容部材103に連通して取り付けられる第二集塵室112と共に吸引経路を形成しており、第一集塵室111に接続される第一接続部材121と、ブラシ収容部材103、および第二集塵室112に接続される第二接続部材122と、第一接続部材121、および第二接続部材122を連結する連結ホース123と、を備えている。
【0018】
回転ブラシ102は、吸引口101の延在方向に沿った回転軸周りに回転し、径方向の先端部が吸引口101よりも外側に突出するように配置されたブラシである。回転ブラシ102は、吸引口101に対向する面に付着する塵埃を掻き上げることができるものであれば、種類は限定されない。例えば回転ブラシ102は、長い毛が径方向に配置されたものや、樹脂製のへらが径方向に配置されたもの、円筒状の部材の表面にフエルト状の部材が配置されたものやこれらを複合したものなどでもかまわない。
【0019】
本実施の形態の場合、回転ブラシ102は、放射方向に配置された長い毛が掃除機100の幅方向(図中Y軸方向)に並んで設けられており、回転ブラシ102が回転した際の毛の先端部分の軌跡は円筒を形成している。回転ブラシ102は、ブラシ駆動用モータ(不図示)に接続されており、バッテリーなどの蓄電装置190からの電力に基づき自発的に回転することができるものとなっている。なお本実施の形態の場合、本体筐体108の外部に取り付けられている縦回転ブラシ104は、回転ブラシ102と連動して回転する。
【0020】
ブラシ収容部材103は、回転ブラシ102を回転可能に収容する筐体である。ブラシ収容部材103の形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合、ブラシ収容部材103は、回転ブラシ102の延在方向に延在し回転状態の回転ブラシ102の一部を除いて収容しうる円筒形状である。ブラシ収容部材103には、吸引口101に連通する吸引口101と同形状の第一孔と、吸引経路部材120に連通する円形の第二孔105と、第二集塵室112に連通する回転ブラシ102の延在方向(図中Y軸方向)に延在し回転ブラシ102と同程度の長さの第三孔106と、を備えている。また、ブラシ収容部材103は、作用性微粒子を導入するための第二開口(後述)を備えている。
【0021】
第二集塵室112は、吸引経路と分岐するようにブラシ収容部材103と連通し、回転ブラシ102が掻き上げた比較的重い塵埃である重量塵埃を重力によって収容する部分である。本実施の形態の場合、ブラシ収容部材103に設けられた第三孔106と連通する孔を備えている。本体筐体108に着脱可能に取り付けられており、第二集塵室112を取り外すことで回転ブラシ102が掻き上げて第二集塵室112に落下した重量塵埃を捨てることができる。
【0022】
図4は、吸引経路部材の第一接続部材と第一供給装置とを示す断面図である。第一供給装置130は、掃除機100の吸引装置150が駆動せず塵埃を吸引していない非吸引状態において第一集塵室111に作用性微粒子を供給する装置である。本実施の形態の場合、第一供給装置130は、作用性微粒子を発生させる第一発生装置131と、第一発生装置131を収容し、作用性微粒子の第一供給経路132を形成する第一筐体133と、作用性微粒子を吸引経路124に吐出する第一吐出口134と、を備え、吸引経路部材120の第一接続部材121の上側に取り付けられている。また、第一接続部材121の上部に設けられた第一開口125と第一吐出口134が連通するように第一供給装置130は、吸引経路部材120に取り付けられている。第一開口125、および第一吐出口134は、第一集塵室111の近傍に配置されている。近傍とは、第一開口125から吐出される作用性微粒子の量が吸引口101より第一集塵室111の方が多くなる位置である。例えば、近傍とは吸引経路124の中央よりも第一集塵室111寄りの位置であり、望ましくは第一集塵室111から吸引経路124の4分の1の距離の範囲内である。
【0023】
作用性微粒子とは、第一集塵室111に収容されるカビ、花粉、アレル物質(ダニのフン・死がいなど)、ニオイ原因物質、PM2.5、菌・ウイルスなどのいずれかに作用することができる微粒子である。微粒子の大きさは特に限定されるものではないが、例えば原子や分子、これらのイオンも微粒子に含まれ、原子や分子の集合体であるナノオーダーやミクロンオーダーの粒子も微粒子に含まれる。具体的に作用性微粒子とは、OHラジカルが含まれるナノオーダーの水滴、帯電したクラスター状の水滴、オゾン、次亜塩素酸水のミストなどを例示することができる。
【0024】
第一発生装置131は、作用性微粒子を発生させることができるものであれば限定されるものではない。本実施の形態の場合、細い電極の先端に空気中の水分を付着させ、所定の距離にある他の電極との間に電圧を印加することでOHラジカルが含まれるナノオーダーの水滴を作用性微粒子として噴霧することができる静電霧化装置が第一発生装置131として採用されている。
【0025】
第一筐体133は、第一発生装置131を収容し、作用性微粒子を吸引経路124に供給する第一供給経路132を形成する部材である。第一筐体133が保持する第一発生装置131の姿勢は限定されるものではないが、本実施の形態の場合、作用性微粒子を下向きに吐出するように第一発生装置131を保持している。これにより塵埃が作用性微粒子の吐出部分に堆積し悪影響を及ぼすことを抑制している。
【0026】
第一筐体133が形成する第一供給経路132は、第一発生装置131の作用性微粒子を吐出する部分から作用性微粒子を吐出する第一吐出口134に至る間の少なくとも1箇所で屈曲している。これにより、吸引経路124から第一吐出口134を経て進入してきた塵埃が第一発生装置131の作用性微粒子を吐出する部分に到達することを抑制している。
【0027】
第一筐体133は、内部空間に外気を導入する第一吸入口135を付着抑制手段として備えている。第一吸入口135は、吸引経路124を塵埃を含んだ空気が流れている際に発生するベルヌーイ効果により第一筐体133外部の空気を吸入し、第一吸入口135から第一吐出口134に向かう空気流を発生させることができる。これにより、吸引経路124から第一筐体133内に塵埃が進入することを抑制し、塵埃が第一発生装置131に付着することを抑制している。本実施の形態の場合、第一吸入口135は、第一発生装置131の作用性微粒子が吐出される部分の反対側に設けられている。
【0028】
図5は、第二供給装置の近傍を示す斜視図である。第二供給装置170は、掃除機100の吸引装置150が駆動せず塵埃を吸引していない非吸引状態においてブラシ収容部材103に設けられる第二開口107を介してブラシ収容部材103に収容される回転ブラシ102に作用性微粒子を供給する装置である。本実施の形態の場合、第二供給装置170は、作用性微粒子を発生させる第二発生装置171と、第二発生装置171を収容し、作用性微粒子の第二供給経路172を形成する第二筐体173と、作用性微粒子をブラシ収容部材103の内側に吐出する第二筐体173と、を備え、ブラシ収容部材103の上側に取り付けられている。また、ブラシ収容部材103に設けられた第二開口107に第二筐体173の第二吐出口174側端部が挿入されるように取り付けられている。第二開口107、および第二吐出口174は、第二集塵室112の近傍であってブラシ収容部材103と第二集塵室112とが連通する部分に配置されている。これにより作用性微粒子を第二集塵室112にも供給できるものとなっている。
【0029】
第二発生装置171は、作用性微粒子を発生させることができるものであれば限定されるものではない。本実施の形態の場合、第一発生装置131と同様の静電霧化装置が第二発生装置171として採用されている。
【0030】
第二筐体173は、第二発生装置171を収容し、作用性微粒子を回転ブラシ102、および第二集塵室112に供給する第二供給経路172を形成する部材である。第二筐体173が保持する第二発生装置171の姿勢は限定されるものではないが、本実施の形態の場合、作用性微粒子を下向きに吐出するように第二発生装置171を保持している。
【0031】
第二筐体173が形成する第二供給経路172は、第二発生装置171の作用性微粒子を吐出する部分から作用性微粒子を吐出する第二吐出口174に至る間の2箇所で屈曲している。また、第二供給経路172は、第一供給経路132よりも長く設定されている。これにより、塵埃が第二発生装置171の作用性微粒子を吐出する部分に到達することを抑制し、特に回転ブラシ102により巻き上げられた重量塵埃が到達することを第二供給経路172の長さにより抑制している。また、第二筐体173は、内部空間に外気を導入する第二吸入口175を付着抑制手段として備えている。
【0032】
駆動ユニット140は、掃除制御装置180(
図6参照)からの指示に基づき掃除機100を自律的に走行させるためのユニットである。本実施の形態1においては、駆動ユニット140は、本体筐体108の平面視における幅方向の中心に対して左側および右側にそれぞれ1つずつ配置された車輪141と、車輪141を独立して駆動させる走行モーター(不図示)とを備えている。走行モーターは、蓄電装置190の電力に基づき回転する。駆動ユニット140は、キャスター142を補助輪として備えた対向二輪型であり、2つの車輪141の回転を独立して掃除制御部が制御することで、直進、後退、左回転、右回転など掃除機100を自在に走行させることができる。
【0033】
掃除機100は、自律走行しながら掃除を実行するための各種センサ(不図示)を備えており、これらは掃除制御部に接続される。各種センサとしては、超音波センサなどの障害物センサ、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、TOF(Time Of Flight)カメラなどの測距センサ、バンパスイッチなどの衝突センサ、カメラ、赤外線センサなどの床面センサ、駆動ユニット140の走行モーターに取り付けられるエンコーダ、加速度センサなどを例示することができる。なお掃除機100は、これら全てのセンサを備えなくてもかまわない。また、上記とは異なるセンサを掃除機100が備えてもかまわない。
【0034】
図6は、掃除機の機能部を示すブロック図である。供給制御装置160は、掃除機100の吸引状態を監視し、監視結果に基づき第一供給装置130を制御する装置であり、プロセッサーにプログラムを実行させることにより実現される処理部として掃除状態監視部161と、吸引状態検出部162と、供給制御部163とを備えている。本実施の形態の場合、供給制御装置160は、計時部164を備えている。また、供給制御装置160は、第二供給装置170も制御している。
【0035】
掃除状態監視部161は、掃除機100の掃除状態を監視する処理部である。例えば掃除状態監視部161は、吸引装置150が動作しているか否か、駆動ユニット140が動作しているか否かなどの情報を取得する。
【0036】
吸引状態検出部162は、掃除機100が塵埃を吸引する吸引動作が終了したことを検出する処理部である。本実施の形態の場合、吸引状態検出部162は、掃除状態監視部161からの情報に基づき、稼働している吸引装置150が停止したことを示す情報に基づき非吸引状態であることを検出する。
【0037】
供給制御部163は、吸引状態検出部162の検出状態に応じて第一供給装置130を制御する。供給制御部163の制御態様は限定されるものではないが、本実施の形態の場合、供給制御部163は、吸引状態を検出すると第一供給装置130を動作させ作用性微粒子の吐出を開始させる。供給制御部163は、第一供給装置130の動作を開始させた後に非吸引状態を検出すると、計時部164に基づき所定時間経過後に第一供給装置130を停止させる。第一供給装置130は、第一集塵室111の近傍に配置されているため、吸引状態においても多くの作用性微粒子を第一集塵室111内に供給させることができる。これにより、第一集塵室111に集塵される塵埃と共に作用性微粒子が第一集塵室111に供給されるため、多くの塵埃に作用性微粒子を接触させ作用させることができる。また、非吸引状態においても第一集塵室111に一定の期間作用性微粒子を供給することで第一集塵室111内における作用性微粒子の濃度を上昇させ作用性微粒子が塵埃に作用する効果を高めることができる。
【0038】
供給制御部163は、非吸引状態において作用性微粒子を吐出させている際は表示装置169にその旨を表示させる。表示装置169の種類は特に限定されるものではなく、液晶ディスプレイなどの画像表示装置などを例示できる。本実施の形態の場合、表示装置169は、本体筐体108の上面に突出状に設けられた表示灯であり、非吸引状態において作用性微粒子を吐出させている際において供給制御部163は、表示灯を所定の色で発光させ、発光色を変化させる、発光強度を変化させるなどにより作用性微粒子を吐出している旨を表示する。
【0039】
また、供給制御部163は、吸引状態を検出後に非吸引状態を検出すると第二供給装置170を動作させる。その後吸引状態を検出すると第二供給装置170の動作を停止させる。これにより、非吸引状態において回転が停止する回転ブラシ102に作用性微粒子を効果的に供給することができ、回転ブラシ102に付着した塵埃に作用性微粒子を作用させることができる。また、第二集塵室112にも多くの作用性微粒子を供給することができ、集塵された重量塵埃に対しても作用性微粒子を効果的に作用させることができる。
【0040】
以上、実施の形態として説明した掃除機100によれば、第一供給装置130を第一集塵室111の近傍に配置し作用性微粒子を吸引経路124に吐出しているため、回転ブラシ102などの障害物に邪魔されずに吸引状態、非吸引状態でも変わらず第一集塵室111に多くの作用性微粒子を供給することができる。
【0041】
吸引状態においては、第一吐出口134から塵埃が第一筐体133内に侵入し、第一発生装置131を汚染することが懸念されるが、第一筐体133に付着抑制手段として第一吸入口135を設けることによりベルヌーイ効果による清浄な空気流を発生させて塵埃の第一筐体133内への進入を抑制することができる。
【0042】
また、非吸引状態においてブラシ収容部材103内に気流がないため、第二供給装置170から吐出された作用性微粒子の濃度を高く維持することができる。従って回転ブラシ102に作用性微粒子を効果的に作用させることができる。
【0043】
また、OHラジカルが含まれるナノオーダーの水滴を作用性微粒子として吐出し、第一集塵室111、第二集塵室112、ブラシ収容部材103内に高い濃度で維持することにより、人体に悪影響を及ぼすことなく第一集塵室111内の菌の少なくとも一部を殺菌し、ウイルスの少なくとも一部を不活化し、アレル原の少なくとも一部をアレルギーの対象とならない物質に変化させることができる。従って、第一集塵室111、第二集塵室112内の塵埃を捨てる際や、回転ブラシ102を取り替える際における人体に対する影響を抑制することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0045】
例えば、第一供給装置130は、
図7に示すように、付着抑制手段として、第一吐出口134を開閉する第一扉136を備えてもかまわない。第一扉136は、非吸引状態においては、ばねなどの付勢部材137により開放状態で維持され、吸引状態においては、吸引経路124に流れる空気流によるベルヌーイ効果による圧力差により第一吐出口134を閉鎖する。これにより効果的に第一筐体133内への塵埃の進入を抑制できる。また、第二供給装置170に第二扉を設けてもよい。
【0046】
また、第一集塵室111内に紙パックを配置する場合を説明したが、第一集塵室111は、渦状気流などにより空気と塵埃とを分離するものであってもかまわない。
【0047】
また、掃除機100として自律走行型の掃除機を例示したが、蓄電装置190を備えた掃除機であれば、人力で移動させるスティックタイプやハンディタイプの掃除機でもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、家庭内、工場内、大規模施設内などにおいて、自律的に走行し掃除を行う、いわゆるロボット掃除機、持ち運びが容易なバッテリーで動作する掃除などに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 掃除機
101 吸引口
102 回転ブラシ
103 ブラシ収容部材
104 縦回転ブラシ
105 第二孔
106 第三孔
107 第二開口
108 本体筐体
111 第一集塵室
112 第二集塵室
120 吸引経路部材
121 第一接続部材
122 第二接続部材
123 連結ホース
124 吸引経路
125 第一開口
130 第一供給装置
131 第一発生装置
132 第一供給経路
133 第一筐体
134 第一吐出口
135 第一吸入口
136 第一扉
137 付勢部材
140 駆動ユニット
141 車輪
142 キャスター
150 吸引装置
160 供給制御装置
161 掃除状態監視部
162 吸引状態検出部
163 供給制御部
164 計時部
169 表示装置
170 第二供給装置
171 第二発生装置
172 第二供給経路
173 第二筐体
174 第二吐出口
175 第二吸入口
180 掃除制御装置
190 蓄電装置