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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】フォトセンサ及び距離測定システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241011BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 F
H01L31/10 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021572728
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2021001525
(87)【国際公開番号】W WO2021149650
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2020007247
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】井上 暁登
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/174090(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/071483(WO,A1)
【文献】特開2018-201005(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043068(WO,A1)
【文献】特開2009-014460(JP,A)
【文献】特開2018-157156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
APD(アバランシェフォトダイオード)を有するAPD領域であって第1の半導体基板に形成された複数の前記APD領域と、
前記第1の半導体基板内にて、互いに隣り合う前記APD領域の間に形成された分離領域と、
を備え、
前記第1の半導体基板は、前記第1の半導体基板の両主面のうちの1つである第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、を有し、
前記APDは、前記第1主面に接する第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層に対して前記第2主面側に配置され前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の第2半導体層と、によって構成され、
前記分離領域は、前記第1主面側に設けられた前記第1導電型又は前記第2導電型の第3半導体層と、前記第3半導体層よりも前記第2主面側に設けられたトレンチと、を有し、
前記トレンチの一方端は前記第2主面に接しており、前記トレンチの他方端は前記第1主面に接しておらず、
前記トレンチの他方端と前記第1主面との間は、少なくとも一部が空乏化している
フォトセンサ。
【請求項2】
前記トレンチの他方端は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との界面よりも前記第2主面側に位置している
請求項1に記載のフォトセンサ。
【請求項3】
前記トレンチの他方端及び側面を覆う不活性層をさらに備え、
前記不活性層は、前記第2半導体層よりも前記第2主面側に位置している
請求項2に記載のフォトセンサ。
【請求項4】
前記第2半導体層の不純物濃度は、前記第1主面側よりも前記第2主面側のほうが高い
請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトセンサ。
【請求項5】
前記第2半導体層は、前記第2主面に近づくにしたがって不純物濃度が徐々に増加している
請求項4に記載のフォトセンサ。
【請求項6】
前記第2半導体層は、さらに、前記第1の半導体基板の全面に形成される
請求項5に記載のフォトセンサ。
【請求項7】
前記第1半導体層に接続された第1コンタクトと、前記不活性層に電圧を印加する第2コンタクトと、をさらに備え、
前記第1主面のうち前記分離領域が占める分離領域面には、前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記トレンチのいずれもが接していない
請求項3に記載のフォトセンサ。
【請求項8】
隣接する2つの前記APDから伸びる2つの異なる空乏層が、前記第3半導体層の少なくとも一部で接する
請求項7に記載のフォトセンサ。
【請求項9】
前記第1の半導体基板に形成された画素回路をさらに備え、
前記画素回路は、前記第1コンタクトを介して前記APDに電気的に接続されている
請求項7又は8に記載のフォトセンサ。
【請求項10】
前記画素回路は、前記第2導電型のトランジスタを含み、Nウェル+N-電界緩和領域を有する
請求項9に記載のフォトセンサ。
【請求項11】
前記画素回路は、前記第1導電型のトランジスタを含み、トリプルウェル構造を有している
請求項9に記載のフォトセンサ。
【請求項12】
前記分離領域は、互いに隣り合う前記APD領域の間に複数形成され、
前記第1の半導体基板内における複数の前記分離領域の間には、前記画素回路を有する回路領域が形成されている
請求項9~11のいずれか1項に記載のフォトセンサ。
【請求項13】
前記第1の半導体基板とは異なる半導体基板である第2の半導体基板をさらに備え、
前記第2の半導体基板は、前記第1コンタクトを介して前記APDに電気的に接続される画素回路を有している
請求項7又は8に記載のフォトセンサ。
【請求項14】
前記フォトセンサに光が照射される側の面は、前記第2主面である
請求項1~13のいずれか1項に記載のフォトセンサ。
【請求項15】
前記フォトセンサは裏面照射型である
請求項1~14のいずれか1項に記載のフォトセンサ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のフォトセンサを有する受光部と、
測定対象物に向けて発光する発光部と、
前記受光部及び前記発光部を制御する制御部と、
前記測定対象物で反射した反射光に対応する信号を前記受光部から受け、前記測定対象物までの距離を算出する演算部と、
を備える距離測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォトセンサ及び距離測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信、車載用途、監視、化学、バイオ、医療及び放射線検出等の分野において、高感度なフォトセンサ(光検出器)が利用されている。高感度化の手段の一つとして、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode:以下、APDとも呼ぶ。)が用いられる。APDは、光電変換層に入射された光が光電変換されて発生した信号電荷を、アバランシェ降伏を用いて増倍することにより、入射光の検出感度を高めるフォトダイオードである。APDを用いることにより、わずかなフォトン(光子)の数でも検出感度を高めることができる。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、アレイ状に配置された複数のAPDと、互いに隣り合うAPDの間に配置されたトレンチと、を備えるフォトセンサが開示されている。このフォトセンサのように、APD間をトレンチで分離することで、APD間の混色を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/174090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにAPD間をトレンチで分離する場合、トレンチ表面での欠陥の不活性化のために、トレンチ表面及びトレンチ側面を非空乏化するための保護層(例えば不活性層)を設けることが必要であり、かつ、保護層での電界集中を防ぐため、電界緩和層を設けることが必要となる。この場合、トレンチ、保護層、電界緩和層は光感度がないため、フォトセンサの開口率が低下し、フォトセンサを高感度化することが困難になる。
【0006】
本開示は、フォトセンサの開口率を低下させずにトレンチを形成することで、フォトセンサ等の高感度化と混色防止とを両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のフォトセンサは、APD(アバランシェフォトダイオード)を有するAPD領域であって第1の半導体基板に形成された複数の前記APD領域と、前記第1の半導体基板内にて、互いに隣り合う前記APD領域の間に形成された分離領域と、を備え、前記第1の半導体基板は、前記第1の半導体基板の両主面のうちの1つである第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、を有し、前記APDは、前記第1主面に接する第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層に対して前記第2主面側に配置され前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の第2半導体層と、によって構成され、前記分離領域は、前記第1主面側に設けられた前記第1導電型又は前記第2導電型の第3半導体層と、前記第3半導体層よりも前記第2主面側に設けられたトレンチと、を有し、前記トレンチの一方端は前記第2主面に接しており、前記トレンチの他方端は前記第1主面に接しておらず、前記トレンチの他方端と前記第1主面との間は、少なくとも一部が空乏化している。
【0008】
本開示の距離測定システムは、上記フォトセンサを有する受光部と、測定対象物に向けて発光する発光部と、前記受光部及び前記発光部を制御する制御部と、前記測定対象物で反射した反射光に対応する信号を前記受光部から受け、前記測定対象物までの距離を算出する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、フォトセンサ等の高感度化と混色防止とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係るフォトセンサの部分的なレイアウト構成を示す平面図である。
図2A図2Aは、実施の形態1に係るフォトセンサを図1に示すIIA-IIA線から見た場合の断面図である。
図2B図2Bは、実施の形態1に係るフォトセンサの他の例を示す断面図である。
図3図3は、実施の形態1の変形例1に係るフォトセンサの断面図である。
図4図4は、実施の形態1の変形例2に係るフォトセンサの断面図である。
図5図5は、フォトセンサに発生する電界ベクトルを示す模式図である。
図6図6は、実施の形態1の変形例3に係るフォトセンサのレイアウト構成を示す平面図である。
図7図7は、実施の形態2に係るフォトセンサの画素回路を示すブロック構成図である。
図8図8は、図7に示す画素回路の動作を示すタイミングチャートである。
図9図9は、実施の形態2に係るフォトセンサの画素回路の他の例を示すブロック構成図である。
図10図10は、実施の形態2に係るフォトセンサのレイアウト構成を示す平面図である。
図11図11は、実施の形態2に係るフォトセンサを図10に示すXI-XI線から見た場合の断面図である。
図12図12は、実施の形態2に係るフォトセンサの他の例を示す断面図である。
図13図13は、実施の形態2の変形例1に係るフォトセンサのレイアウト構成を示す平面図である。
図14図14は、実施の形態2の変形例1に係るフォトセンサを図13に示すXIV-XIV線から見た場合の断面図である。
図15図15は、実施の形態2の変形例1に係るフォトセンサを図13に示すXV-XV線から見た場合の断面図である。
図16図16は、実施の形態2の変形例に係るフォトセンサの断面図である。
図17図17は、実施の形態2の変形例に係るフォトセンサのレイアウト構成を示す平面図である。
図18図18は、実施の形態2の変形例に係るフォトセンサを図17に示すXVIII-XVIII線から見た場合の断面図である。
図19図19は、実施の形態2の変形例3に係るフォトセンサを示す断面図である。
図20図20は、実施の形態3に係るフォトセンサのレイアウト構成を示す平面図である。
図21図21は、実施の形態3に係るフォトセンサを図20に示すXXI-XXI線から見た場合の断面図である。
図22図22は、フォトセンサを備える距離測定システムを示すブロック構成である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
なお、以下の実施の形態では、半導体基板を基準として第1主面が設けられた側を「下方」あるいは「表面」とし、第2主面が設けられた側を「上方」あるいは「裏面」とする。また、「水平方向」は第1主面及び第2主面に平行な方向を指し、「深さ方向」は第1主面及び第2主面に垂直な方向を指す。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が介在する場合だけでなく、2つの構成要素が互いに接する場合にも用いている。
【0014】
また、以下の実施の形態において、「平面視」とは、光電変換層の受光面の法線方向の上方から見ることをいう。
【0015】
また、以下の実施の形態において、「不純物濃度」とは、実効的な不純物濃度を指し、同じ領域に異なる導電型の不純物の両者が存在する場合には、その差分を指す。
【0016】
(実施の形態1)
[1-1.フォトセンサの構成]
実施の形態1に係るフォトセンサについて、図1図2Bを参照しながら説明する。
【0017】
図1は、実施の形態1に係るフォトセンサ100の部分的なレイアウト構成を示す平面図である。図2Aは、フォトセンサ100を図1に示すIIA-IIA線から見た場合の断面図である。なお、図1は、フォトセンサ100を図2Aに示すI-I線から見た場合の平面図である。
【0018】
フォトセンサ100は、複数のAPD(アバランシェフォトダイオード)1が行列状に配置されたフォトダイオードアレイを有している。フォトセンサ100は、APD1を有するAPD領域10を複数備え、各APD領域10は、格子状の分離領域20によって電気的又は物理的に分離されている。分離領域20は、APD領域10とオーバーラップする部分があっても構わない。このようにフォトセンサ100は、行列状に形成された複数のAPD領域10と、互いに隣り合うAPD領域10の間に形成された分離領域20と、を備えている。本明細書では明示しないが、APD領域10は千鳥状、ハニカム状でもよく、APD1の形状も四角形のみではなく三角形などの多角形や円形でも良い。
【0019】
図2Aに示すように、フォトセンサ100は、第1の半導体基板101と、第1の半導体基板101の上方に設けられた光学層102と、第1の半導体基板101の下方に設けられた配線層103とを有している。APD領域10及び分離領域20のそれぞれは、第1の半導体基板101に形成されている。
【0020】
ここで、第1の半導体基板101の両主面のうち、配線層103側の主面を第1主面S1とし、第1主面S1と対向する主面、すなわち第1主面S1と反対側の主面を第2主面S2とする。
【0021】
第1の半導体基板101には、第1導電型を有する第1半導体層201と、第1半導体層201の上に設けられ第1導電型と異なる極性(反対の導電型)の第2導電型を有する第2半導体層202と、第2導電型の第4半導体層204と、が設けられている。第1半導体層201は、第1主面S1に接しており、第2半導体層202は、第1半導体層201に対して第2主面S2側に配置されている。APD1は、上記の第1半導体層201と上記の第2半導体層202とによって構成されている。第4半導体層204は、第1の半導体基板101の全面に形成され、APD領域10においては、第2半導体層202と接し、第2半導体層202より第2主面S2側に位置している。
【0022】
例えば、第1導電型はN型、第2導電型はP型であるが、上記の逆でもよく、すなわち、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型としてもよい。
【0023】
第1半導体層201及び第2半導体層202の界面の近傍には、光電変換で発生した電荷をアバランシェ増倍により増倍する増倍領域301が形成される。
【0024】
分離領域20は、第1半導体層201及び第2半導体層202とは異なる第3半導体層203と、第3半導体層203よりも第2主面S2側に設けられたトレンチ207と、を有している。
【0025】
トレンチ207は、平面視において格子状の形状をしている。また、トレンチ207は、図2Aに示す断面図において壁板状の形状をしており、上下方向に延びるように形成されている。上下方向に延びるトレンチ207の一方端207aは、第2主面S2に接しており、トレンチ207の他方端207bは、第1主面S1に接していない。具体的には、トレンチ207は、分離領域20を上下方向に貫通しておらず、トレンチ207の他方端207bは、第2半導体層202と第1半導体層201との界面よりも第2主面S2側に位置している。トレンチ207の他方端207bと第1主面S1との間は、少なくとも一部が空乏化している。
【0026】
トレンチ207は、入射光を反射する材料であることが望ましい。この場合、入射光が、光入射した画素以外の画素で光電変換されることを抑制することができ、隣り合うAPD1間の混色を低減することができる。これにより、フォトセンサ100の感度を向上することができる。
【0027】
第1の半導体基板101における分離領域20の第1主面S1側には、第3半導体層203が設けられている。第3半導体層203は、第1導電型であってもよいし、第2導電型であってもよい。第3半導体層203は、第1主面S1において、少なくとも一部が空乏化しており、隣接するAPD1間は空乏層により、電気的に分離される。第3半導体層203の配される第1主面S1側には、トレンチを形成せず、第1主面S1上にはコンタクトも形成しない。したがって、第1主面S1のうち、分離領域20が占める分離領域面21は、トレンチ及びコンタクトと接していない。
【0028】
第1の半導体基板101における分離領域20の第2主面S2側には、トレンチ207と、トレンチ207を囲むように形成された第1保護層211と、第2主面S2に接するように形成された第2保護層212とが設けられている。
【0029】
第1保護層211は、トレンチ207の側面207c及び他方端207bを覆うように形成されている。第2保護層212は、第2半導体層202の上方に設けられた第4半導体層204上に配置され、第1保護層211と接続されている。第1保護層211及び第2保護層212は、第2半導体層202よりも第2主面S2側に位置している。第2保護層212は、第2半導体層202に対して平行に形成されている。第4半導体層204の不純物濃度は、第2半導体層202の不純物濃度よりも低い。
【0030】
配線層103には、表面側の電極である第1コンタクト401が設けられている。このフォトセンサ100では、第1電源(図示せず)から第1コンタクト401を介して第1半導体層201に電圧が印加され、第2電源(図示せず)から第2コンタクト402を介して、第1保護層211、第2保護層212に電圧が印加され、さらに第4半導体層204を介して、第2半導体層202に電圧が印加される。ここで、「電圧が印可される」とは、電極の電圧と、半導体層との電圧が一致していることを指すわけではなく、例えば、第4半導体層204が空乏化する場合には、第2半導体層202の電圧は、第4半導体層204内の電圧降下分を差し引いたものになる。
【0031】
第2コンタクト402の一例としては、第2主面S2に接するように、電気伝導度の高い材料を用い、配線及びコンタクトを形成する。この場合には、APD1への入射光が遮られないよう、配線は分離領域20内に形成することが好ましい。また、第2コンタクト402の別の一例として、後述する第3保護層501を電気伝導度が高く、かつ、光透過率の高い材料としてもよい。また、第2コンタクトを第1の半導体基板外には設けず、第1保護層211及び第2保護層212を第2コンタクト402として利用しても良い。この場合には、第2電源による電圧を印加するための引出電極を第1の半導体基板101の第1主面S1側のフォトセンサ100を配していない領域(例えば後述の周辺回路、すなわち垂直走査回路61、水平走査回路62、読み出し回路63、が配置される領域など)に形成し、第1の半導体基板101を介して第2主面S2側に電圧を加えてもよい。
【0032】
光学層102には、第3保護層501及びレンズ502が設けられている。第3保護層501の少なくとも一部及びレンズ502は、光透過率が高い材料であることが望ましい。第3保護層501は、第1の半導体基板101の第2主面S2からの暗電流が低減できるように、第1の半導体基板101と仕事関数の異なる材料によって形成されてもよい。また、第3保護層501は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明電極を用いて、裏面電圧を印加するように構成されてもよい。また、第3保護層501は、複数の層を含んでいてもよい。また、第3保護層501には、光導波路などが形成されてもよい。また、光学層102における分離領域20に光透過率の低い材料を格子状に配置してもよい。この場合、光透過率の低い材料によって、斜め入射光が隣接画素に入射することを抑制できる。これにより、隣り合うAPD1間の混色を低減できる。
【0033】
なお、上記のフォトセンサ100は、裏面照射型であり、光学層102が第1の半導体基板101の第2主面S2側に設けられ、第2主面S2側に光が照射される構成となっている。ただしその構成に限られず、フォトセンサ100は、光学層が配線層103の下方に設けられ、第1主面S1側に光が照射される構成であってもよい。
【0034】
第3半導体層203の第1主面S1側の少なくとも一部は空乏化し、隣接するAPD1間はこの空乏層のポテンシャルによって電気的に分離される。言い換えると、隣接する2つのAPD1について、APD1から第3半導体層203にむけて伸びる、2つの空乏層が、互いに接する。この空乏層のポテンシャルにより、隣接したAPD1間は電気的に分離される。第1主面S1上を空乏化するので、表面の欠陥を低減することが望ましく、トレンチを形成せず、コンタクトを形成しないことが望ましい。この場合、隣り合うAPD領域10の間の分離領域20を縮小でき、増倍領域301を拡大することができる。これにより、フォトセンサ100の開口率を向上することができる。
【0035】
一方、第1保護層211、第2保護層212は、非空乏化することが望ましい。一般的に半導体基板の表面はダングリングボンドや金属汚染などのために、欠陥が多いため、トレンチ207の表面、及び、第2主面を、第1保護層211、第2保護層212、で覆い、非空乏化することで、欠陥に起因する暗電流の発生量を低減することができる。
【0036】
また、トレンチ207、第1保護層211、第2保護層212は、第1半導体層201から、第2半導体層202、第4半導体層204に向けて伸びる空乏層と接しないことが望ましい。言い換えると、増倍領域(アバランシェ領域)301に係る空乏層はトレンチ207、第1保護層211、第2保護層212と接しないことが望ましい。前述のとおり、第1保護層211、第2保護層212は非空乏化させることが望ましいため、第1半導体層201から、第2半導体層202、第4半導体層204に向けて伸びる空乏層が第1保護層211、第2保護層212と接すると、第1保護層211、第2保護層212と接した領域において電界が強くなり、電界分布が不均一になるからである。第2半導体層202の不純物濃度が高濃度の場合には、空乏層の上端は、第1半導体層201と第2半導体層202との接合界面と略一致するので、トレンチ207及び第1保護層211の下端は、第1半導体層201と第2半導体層202との接合界面よりも第2主面S2側に位置することが望ましい。
【0037】
また、APD1は、第1半導体層201と第2半導体層202とのPN接合に起因する空乏層によって、第2半導体層202を完全に空乏化し、第4半導体層204に空乏層を伸ばす、いわゆるリーチスルー型の構成であってもよい。この構成により、第1の半導体基板101中で発生した電荷を増倍領域301まで電界によってドリフトさせることができ、光感度を高めることができる。
【0038】
ここで、各半導体層及び各保護層の不純物濃度は、例えば下記に示すとおりである。
第1半導体層201:1016cm-3以上1019cm-3以下、
第2半導体層202:1016cm-3以上1018cm-3以下、
第3半導体層203:1016cm-3以上1018cm-3以下、
第4半導体層204:1014cm-3以上1017cm-3以下。
第1保護層211:1018cm-3以上1020cm-3以下、
第2保護層212:1018cm-3以上1020cm-3以下。
【0039】
また、分離領域20における各部位の寸法は、例えば下記に示すとおりである。
トレンチ207の幅:0.1μm以上1μm以下、
第1保護層211の厚み:0.1μm以上1μm以下、
第3半導体層203の幅:0.1μm以上2μm以下。
【0040】
これらの場合、増倍領域301の電界の大きさは2×10V/cm以上6×10V/cm以下であり、ブレークダウン電圧は5V以上200V以下である。
【0041】
また、本実施の形態において、アバランシェ増倍は、リニア増倍及びガイガー増倍の両方を含む。ブレークダウン電圧は、リニア増倍モードとガイガー増倍モードを分ける電圧であり、APD1にかかる電圧がブレークダウン電圧以下の場合にはリニア増倍モードであり、ブレークダウン電圧以上の場合にはガイガー増倍モードになる。特にガイガー増倍モードの場合は、ガイガー増倍を止めるためのクエンチング素子を設けてもよい。この場合のクエンチング素子として、抵抗、容量又はトランジスタ等を用いることができる。図2Aに示すフォトセンサ100の場合には、例えば、第1コンタクト401を介してクエンチング素子を設ければよい。ただし、本実施の形態におけるリニア増倍モードとは、「APDに印加される逆バイアスはブレークダウン電圧以下であるが、インパクトイオン化によって電荷増倍が起こるAPDの動作モード」を指す。また、ガイガー増倍モードとは、「少なくとも一時的に、APDにブレークダウン電圧以上の逆バイアスを印加して動作させるAPDの動作モード」を指し、当該技術分野での一般的な用語と同じ意味である。
【0042】
特に、本開示に係る構成は、イメージセンサ、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)、又はSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等の素子に利用することができる。
【0043】
さらに、実施の形態1に係るフォトセンサ100の他の例について説明する。図2Bは、実施の形態1に係るフォトセンサ100の他の例を示す断面図である。
【0044】
図2Bに示すフォトセンサ100も、行列状に形成された複数のAPD領域10と、互いに隣り合うAPD領域10の間に形成された分離領域20と、を備えている。分離領域20は、第1主面S1側に設けられた第3半導体層203と、第3半導体層203よりも第2主面S2側に設けられたトレンチ207と、を有している。
【0045】
トレンチ207の一方端207aは第2主面S2に接しており、トレンチ207の他方端207bは第1主面S1に接していない。具体的には、トレンチ207は、トレンチ207の他方端207bが、第1半導体層201と第2半導体層202との接合界面に位置するように形成されている。トレンチ207の側面207c及び他方端207bには、第1保護層211が形成されているが、第1保護層211の側面に電界緩和層が形成されていない。したがって、図2Bに示す例でも、フォトセンサ100の開口率を高くし、光感度を向上させることが可能である。
【0046】
ここで、第4半導体層204の不純物濃度は第1主面S1から第2主面S2に向けて、徐々に増加しても良い。この場合、不純物濃度の勾配によって生じる電界により、電荷が増倍領域301にドリフトされ、光感度の向上と混色の低減ができる。ここで、「徐々に増加する」とは、不純物濃度の増加率が一定の場合や、階段関数の場合も含む。
【0047】
[1-2.実施の形態1の変形例1]
次に、実施の形態1の変形例1に係るフォトセンサ100Aについて、図3を参照しながら説明する。
【0048】
図3は、実施の形態1の変形例1に係るフォトセンサ100Aの断面図である。
【0049】
変形例1に係るフォトセンサ100Aは、光散乱層503が設けられている点で実施の形態1のフォトセンサ100と異なっている。
【0050】
この光散乱層503は、第1の半導体基板101の第2主面S2に設けられている。光散乱層503は、第1の半導体基板101内に設けられていてもよいし、光学層102内に設けられていてもよい。変形例1のフォトセンサ100Aでは、光散乱層503と第1の半導体基板101との界面が光入射方向に対して傾いているため、第2主面S2に対して略垂直な方向から入射した光が、光散乱層503と第1の半導体基板101の界面で屈折し、第1の半導体基板101内では、第1の半導体基板101の第2主面S2に対して傾いた向きで進行するため、光路長が長くなる。これにより、光電変換確率が向上し、光感度が向上する。
【0051】
なお、光散乱層503の材料は、第3保護層501の材料と同じであることが望ましい。光散乱層503及び第3保護層501を同じ材料にすることで、光散乱層503と第3保護層501との界面での反射を低減し、フォトセンサ100Aを高感度化できる。また、第2保護層212は、光散乱層503の下端よりも第1主面S1側まで形成されることが望ましい。これにより、光散乱層503の表面の結晶欠陥によって発生する暗電流を低減できる。
【0052】
[1-3.実施の形態1の変形例2]
実施の形態1の変形例2に係るフォトセンサ100Bについて、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0053】
図4は、実施の形態1の変形例2に係るフォトセンサ100Bの断面図である。
【0054】
実施の形態1のフォトセンサ100では、第2半導体層202がAPD領域10に対して1対1で設けられているが、変形例2のフォトセンサ100Bでは、第2半導体層202が複数のAPD領域10で共通化されている。具体的には、フォトセンサ100Bの第2半導体層202は、第1半導体層201の上方に位置する第2半導体層202から第2保護層212の下方に位置する第2半導体層202を経由して隣の第1半導体層201の上方に位置する第2半導体層202まで繋がっている。第2半導体層202は、平面視した場合に、フォトセンサ100Bの全面に形成されている。この場合、実施の形態の第4半導体層204は形成されなくて良い。
【0055】
第2半導体層202の不純物濃度は、第1主面S1側よりも第2主面S2側のほうが高い方が好ましい。具体的には、第2半導体層202は、深さ方向において、第1主面S1側から第2主面S2側に近づくにしたがって不純物濃度が徐々に増加していると好ましい。これにより、第1の半導体基板101内で発生した電荷を、熱拡散だけでなく、ビルトインポテンシャルの勾配によるドリフトによって増倍領域301により短い時間で到達させることができ、フォトセンサ100Bの光感度を向上することができる。例えば、第2半導体層202の第1主面S1側の濃度は1016以上1018以下であり、第2半導体層202の第2主面S2側の不純物濃度との濃度比は1倍以上100倍以下である。
【0056】
図5は、フォトセンサに発生する電界ベクトルを示す模式図である。図5の(a)には、リーチスルー型のAPD1を用いた場合のフォトセンサ100Aにて発生する第1電界ベクトル601が示されている。第1電界ベクトル601は、第1半導体層201と第2半導体層202とのPN接合に起因する電界ベクトルであり、第4半導体層204へ伸びている。リーチスルー型のAPD1を用いる場合、光電変換で発生した電荷を第1電界ベクトル601によって増倍領域301までドリフトするため、第4半導体層204へ電気力線を伸ばす。すると、APD1の端部では、第1電界ベクトル601が、第1保護層211に向いてしまうことで、第1電界ベクトル601の長さが短くなり、半導体基板に対して斜め方向の強い電界が発生する。一方、APD1の中央部では、第1電界ベクトル601が第2保護層212まで伸びるため、第1電界ベクトル601の長さが長く、電界が低い。そのため、増倍領域301の端部と中央部における電界の向きと大きさが異なり、増倍領域301内にて増倍率のばらつきが発生する。
【0057】
図5の(b)には、変形例2のフォトセンサ100Bにて発生する第1電界ベクトル601及び第2電界ベクトル602が示されている。第2電界ベクトル602は、ビルトインポテンシャルに起因する電界ベクトルである。変形例2のフォトセンサ100Bの場合、光電変換で発生した電荷を第2電界ベクトル602によって増倍領域301までドリフトすることができるので、第1電界ベクトル601は、第1半導体層201と第2半導体層202の界面の、短い領域にのみ発生させればよく、第1保護層211と接することを防ぐことができる。そのため、増倍領域301内の電界が均一化され、増倍領域301における増倍率のばらつきが発生しにくくなる。これにより、フォトセンサ100Bの実効的な開口率を高くすることが可能となる。なお、ガイガー増倍モードでは、アバランシェ確率が向上することに相当し、光感度を向上できる。
【0058】
特に、変形例2は、第1半導体層201、第2半導体層202の界面付近にのみ空乏層を形成すればよいので、半導体基板を厚膜化した際にも、ブレークダウン電圧が一定である。例えば、半導体基板がシリコンの場合には、赤外光の吸収係数が低いため、赤外光感度を高めるには、半導体基板の厚膜化が必要であるが、変形例2の構成を用いることで、容易に高感度のAPDを作製できる。
【0059】
[1-4.実施の形態1の変形例3]
実施の形態1の変形例3に係るフォトセンサ100Cについて、図6を参照しながら説明する。
【0060】
図6は、実施の形態1の変形例3に係るフォトセンサ100Cのレイアウト構成を示す平面図である。
【0061】
変形例3に係るフォトセンサ100Cでは、同図の縦方向に延びる分離領域20と横方向に延びる分離領域20とが交差する領域において、トレンチ207が存在せず、トレンチ207の代わりに第1保護層211、又は、第2保護層212が埋め込まれている。この構成によれば、隣り合うAPD領域10同士が第1保護層211、又は、第保護層21で導通しやすくなり、第1の半導体基板101の第2主面S2の電圧を固定しやすくなる。これにより、フォトセンサ100Cの感度のばらつきを低減することができる。
【0062】
(実施の形態2)
[2-1.フォトセンサの構成]
次に、実施の形態2のフォトセンサ100Dについて、図7図12を参照しながら説明する。実施の形態2では、フォトセンサ100Dが画素回路31を備えている例について説明する。
【0063】
図7は、実施の形態2に係るフォトセンサ100Dの画素回路31を示すブロック構成図である。
【0064】
図7に示すように、フォトセンサ100Dは、画素110と、垂直走査回路61と、水平走査回路62と、読み出し回路63と、バッファアンプ64とを有している。
【0065】
画素110は、APD1と、APD1のカソードに蓄積された電荷を転送する転送トランジスタ51と、浮遊拡散容量(フローティングディフージョン)52と、浮遊拡散容量52の電荷をリセットするリセットトランジスタ53と、浮遊拡散容量52に蓄積された電荷を増幅するソースフォロワトランジスタ54と、垂直信号線55と、選択した列の信号を垂直信号線55に転送する選択トランジスタ56と、を含む。
【0066】
転送トランジスタ51は、APD1から出力された電荷を浮遊拡散容量52に転送し、浮遊拡散容量52は、その電荷を蓄積する。リセットトランジスタ53は、浮遊拡散容量52の電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタ53のドレインは、第1電源(図示せず)と接続されている。ソースフォロワトランジスタ54のゲートは、浮遊拡散容量52に蓄積された電荷量に応じた電位が入力されて、ソースフォロワトランジスタ54のソースから、増幅された信号が出力される。ソースフォロワトランジスタ54のドレインは第1電源又は第1電源とは異なる電源(図示せず)に接続される。選択トランジスタ56は、ソースフォロワトランジスタ54のソースから出力された増幅信号を、垂直信号線55を介して読み出し回路63に転送する。
【0067】
なお、図7では、各トランジスタは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)としたが、バイポーラトランジスタやJFET(Junction Field Effect Transistor)等であってよく、トランジスタの種類は限定されない。
【0068】
図8は、図7に示す画素回路31の動作を示すタイミングチャートである。図8における上段のチャートはリセットトランジスタ53のゲートに入力される信号を示し、中段のチャートは転送トランジスタ51のゲートに入力される信号を示し、下段のチャートは選択トランジスタ56のゲートに入力される信号を示す。各チャートについて、上方がON、下方がOFFを意味し、図7のようなN型のトランジスタでは高電圧、図9のようなP型のトランジスタでは低電圧に対応する。
【0069】
このタイミングチャートは、以下の5つの期間(1)~(5)に分かれている。
【0070】
(1)リセット期間:垂直走査回路61から水平信号線57を通してリセットトランジスタ53のゲートに信号(図7では高電圧)が入力されて、リセットトランジスタ53がオン状態となり、浮遊拡散容量52をリセットする。これと同時に、垂直走査回路61から水平信号線57を通して転送トランジスタ51のゲートに信号(図7では高電圧)が入力されて、APD1をリセットする。リセットトランジスタ53のドレインは、第1電源と接続されており、リセットトランジスタ53がオン状態になると、浮遊拡散容量52の電位は、リセットトランジスタ53のドレイン電位、すなわち、第1電源の電位にリセットされる。また、浮遊拡散容量52と接続された転送トランジスタ51もオン状態であるため、APD1のカソード電位もリセットトランジスタ53のドレイン電位、すなわち、第1電源の電位にリセットされる。
【0071】
(2)クランプ期間:リセットトランジスタ53と転送トランジスタ51とをそれぞれオフ状態にすると共に、垂直走査回路61から水平信号線57を通して選択トランジスタ56のゲートに信号を入力して、該選択トランジスタ56をオン状態にする。リセット直後の浮遊拡散領域の電位は、ソースフォロワトランジスタ54と選択トランジスタ56と垂直信号線55とを介して、読み出し回路63に転送され、第1信号として、図示しない容量やメモリ等に保存される。メモリ等は、読み出し回路63に設けられてもよい。
【0072】
(3)露光期間:リセット期間が終了した後に、APD1に光が入射されると、光電変換により発生した電荷がアバランシェ増倍される。発生した電荷(図7では電子)は、APD1のカソードに接続された容量、具体的には、第1半導体層201と第2半導体層202のPN接合容量、第1半導体層201と第3半導体層203のPN接合容量、第1コンタクト401の寄生容量、並びに第1コンタクト401を介して接続された配線及び転送トランジスタ51の寄生容量等に蓄積される。
【0073】
(4)転送期間:露光期間が終了した後、再度、転送トランジスタ51をオン状態とし、APD1に蓄積された電子を浮遊拡散容量52に転送する。露光時間Δtは、クランプ期間と露光期間と転送期間の和に相当し、この期間内に入射した光量に応じて。画素110は信号を出力する。
【0074】
(5)読出し期間:転送トランジスタ51をオフ状態にすると共に、選択トランジスタ56をオン状態にし、電子が蓄積された状態の浮遊拡散領域の電位を、ソースフォロワトランジスタ54と選択トランジスタ56と垂直信号線55とを介して、第2信号として読み出し回路63に転送する。第2信号とクランプ期間中に取得された第1信号との差分を取って、信号が生成される。
【0075】
なお、読み出し回路63で生成された信号は、水平走査回路62によってバッファアンプ64に送られ、さらに、外部に出力される。また、第1信号と第2信号との差分を取る(相関二重サンプリング)ことにより、画素信号からkTCノイズ等のノイズ成分を除去できるので、高品質の信号を得ることができる。ただし、ガイガーモード動作などの高出力の信号が得られる場合には、クランプ期間を省略し、第1信号のみを取得し、基準電圧からの差分を取る駆動としても良い。
【0076】
なお、本実施の形態に係る画素回路31は、図7に示すブロック構成に限定されず、特に、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)に用いられる回路構成は、全ての実施の形態に係る構成と組み合わせることが可能である。
【0077】
図9は、実施の形態2に係るフォトセンサ100Dの画素回路31の他の例を示すブロック構成図である。
【0078】
図9に示すように、転送トランジスタ51、リセットトランジスタ53、ソースフォロワトランジスタ54、選択トランジスタ56の極性はP型でもよく、APD1及び転送トランジスタ51、リセットトランジスタ53、ソースフォロワトランジスタ54、選択トランジスタ56の極性は限定されない。
【0079】
次に、図10~12を用いて、実施の形態2に係るフォトセンサ100Dのレイアウト構成及び断面構造について説明する。
【0080】
図10は、フォトセンサ100Dのレイアウト構成を示す平面図である。なお、図10の平面図では、後述の回路領域30、APD1及び分離領域20の位置関係をわかりやすく示すため、回路領域30が前面に表示されている。以降の平面図において同様である。
【0081】
図10では、図9に示す回路図に対応し、APD1のカソードにP型のトランジスタを接続した構成が示されている。ただしAPD1の極性は反対でもよく、すなわち、APD1のアノードにN型のトランジスタが接続された構成でもよい。ここでは、図2Aと同様に、第1導電、第2導電型という表現を用いる。
【0082】
実施の形態2に係るフォトセンサ100Dは、実施の形態1の変形例2のフォトセンサ100Bの構成に加え、さらに回路領域30を備えている。回路領域30は、APD領域10及び分離領域20と部分的にオーバーラップしてもよい。
【0083】
図10に示すように、回路領域30は、第1ウェル221、転送トランジスタ251、リセットトランジスタ253、ソースフォロワトランジスタ254、選択トランジスタ256、及び、ウェルコンタクト230を備えている。転送トランジスタ251は、第1コンタクト401を介してAPD1に電気的に接続される。
【0084】
図11は、フォトセンサ100Dを図10に示すXI-XI線から見た場合の断面図である。図12は、フォトセンサ100Dを図10に示すXII-XII線から見た場合の断面図である。
【0085】
図11に示すように、フォトセンサ100Dは、第1導電型の第1ウェル221と、第1ウェル221の上に形成され第1ウェル221よりも不純物濃度の低い第2ウェル222(導電型は指定しない)と、第2導電型であって第2半導体層202よりも不純物濃度の高い第3ウェル223と、第2導電型の転送トランジスタ251と、を備えている。
【0086】
第1半導体層201と転送トランジスタ251とは、第1コンタクト401で接続される。APD領域10において、第1半導体層201と第1ウェル221との間は、第5半導体層205によって分離され、第5半導体層205の少なくとも一部は、空乏化している。不純物濃度の低い第2ウェル222は、上記の各ウェルと第2半導体層202との間に高電界が発生することを抑制し、第3ウェル223は、光電変換で発生した電荷が第1ウェル221に入ることを抑制する。これにより、フォトセンサ100Dの感度を向上することができる。
【0087】
なお、図10に示すように、回路領域30(あるいは第1ウェル221)は、複数のAPD領域10にわたって共通化されることが望ましい。これにより、回路領域30の面積を縮小し、増倍領域301の面積を拡大し、フォトセンサ100Dの感度を向上することができる。この時、回路領域30とトレンチ207、保護層211、保護層212はオーバーラップしている。
【0088】
また、フォトセンサ100Dでは、図12に示すように、各ウェルの上方にトレンチ207及び第1保護層211が配置されている。これにより、隣り合うAPD領域10の混色を低減できる。また、トレンチ207及び第1保護層211を配置した領域から、第3ウェル223が除かれていてもよい。これにより、第1ウェル221の電界をより低減できる。
【0089】
[2-2.実施の形態2の変形例1]
次に、実施の形態2の変形例1に係るフォトセンサ100Eについて、図13図15を参照しながら説明する。
【0090】
図13は、実施の形態2の変形例1に係るフォトセンサ100Eのレイアウト構成を示す平面図である。図14は、フォトセンサ100Eを図13に示すXIV-XIV線から見た場合の断面図である。図15は、フォトセンサ100Eを図13に示すXV-XV線から見た場合の断面図である。
【0091】
図14に示すようにフォトセンサ100Eでは、分離領域20が、互いに隣り合うAPD領域10の間に複数形成されている。具体的には、隣り合うAPD領域10の間に、2つの分離領域20が形成されている。2つの分離領域20の間には、回路領域30が形成されている。トレンチ207及び第1保護層211は、増倍領域301と回路領域30との間に配置されている。フォトセンサ100Dでは、回路領域30とAPD領域10との間にトレンチ207が形成されていないため、光電変換によって発生した電荷が熱拡散によって第1ウェル221から排出され、光感度が低減することがあるが、フォトセンサ100Eでは、回路領域30とAPD領域10の間にトレンチ207が配されているため、光電変換によって発生した電荷が熱拡散によって第1ウェル221から排出される確率が低減し、光感度が向上する。
【0092】
また、図14のフォトセンサ100Eでは、レンズ502の光学中心が増倍領域301の中心と一致するように、レンズ502及び増倍領域301が配置した場合の例を示している。これにより、集光効率をより高めることができ、フォトセンサ100Eの感度を向上することができる。また、このフォトセンサ100Eでは、図15に示すように回路領域30の上方にトレンチ207を設けなくても、APD領域10の周囲がトレンチ207で囲まれているので、回路領域30の上方にトレンチ207を設ける必要がない。
【0093】
[2-3.実施の形態2の変形例2]
次に、実施の形態2の変形例2に係るフォトセンサ100Fについて、図16を参照しながら説明する。
【0094】
図16は、実施の形態2の変形例2に係るフォトセンサ100Fの断面図である。
【0095】
変形例2のフォトセンサ100Fは、N型の転送トランジスタ251、N型のリセットトランジスタ253、N型のソースフォロワトランジスタ254、N型の選択トランジスタ256、及び、N型の第1ウェル221に囲まれたP型の第2導電型の第4ウェル224を備えている。このフォトセンサ100Fは、第4ウェル224内に転送トランジスタ251、リセットトランジスタ253、ソースフォロワトランジスタ254及び選択トランジスタ256を配置する。例えば、シリコンの場合、正孔移動度より電子移動度が高いので、トランジスタをN型のトランジスタとすることで電流量が大きくなり、画素回路31の時定数を短くすることができる。
【0096】
[2-4.実施の形態2の変形例3]
次に、実施の形態2の変形例3に係るフォトセンサ100Gについて図17図19を参照しながら説明する。
【0097】
図17は、実施の形態2の変形例3に係るフォトセンサ100Gのレイアウト構成を示す平面図である。
【0098】
上記の例では、横方向に並ぶ一行の画素110が一連の回路領域30内に配置されていた、すなわち第1ウェル221を共有していたが、変形例3に係るフォトセンサ100Gは、同図において縦方向2行分の画素110で回路領域30の第1ウェル221を共有化したレイアウト構成を有している。
【0099】
図18は、フォトセンサ100Gを図17に示すXVIII-XVIII線から見た場合の断面図である。
【0100】
例えば、前述した図10に示すように一行の画素110に対して一行の回路領域30が配される場合、分離領域20は(平面図の縦方向で)一画素当たり2か所、すなわち、2画素当たり4か所必要となる。それに対し、変形例3のフォトセンサ100Gでは、図18に示すように回路領域30を共有したことで、分離領域20の数が二画素当たり3か所になる。そのため、分離領域20の数を3/4倍に減らすことができ、増倍領域301の面積を拡大して、フォトセンサ100Gを高感度化することができる。
【0101】
次に、変形例3に係るフォトセンサ100Gの他の例について説明する。
【0102】
図19は、実施の形態2の変形例3に係るフォトセンサ100Gの他の例を示す図である。
【0103】
変形例3の他の例に係るフォトセンサ100Gでは、回路領域30上に配置されたトレンチ207の幅が、図18に示したトレンチ207の幅に比べて広くなっている。そのため、第1ウェル221への電荷の漏れ出しをさらに抑制することができ、フォトセンサ100Gをより高感度化することができる。なお、フォトセンサ100Gは、第3ウェル223を有していなくてもよい。
【0104】
なお、実施の形態2及び各変形例では、実施の形態2の変形例2で示したように、第2半導体層202が平面視して全面に形成され、第1主面S1から第2主面S2に向けて徐々に不純物濃度が増大する構成とされているが、この構成に限定するものではない。すなわち、実施の形態1の図2で示したように、第2半導体層202は平面視して全面に形成せず、第4半導体層204は第1主面S1から第2主面S2に向けて不純物濃度が変化しない構成であってもよい。
【0105】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るフォトセンサ100Hについて、図20及び図21を参照しながら説明する。
【0106】
図20は、実施の形態3に係るフォトセンサ100Hのレイアウト構成を示す平面図である。図21は、フォトセンサ100Hを図20に示すXXI-XXI線から見た場合の断面図である。
【0107】
フォトセンサ100Hの第1の半導体基板101は、実施の形態1に係るフォトセンサの第1の半導体基板101と同様の構成であるが、実施の形態3のフォトセンサ100Hは、さらに、第2の半導体基板104を備え、第2の半導体基板104に画素回路31が形成されている。
【0108】
フォトセンサ100Hでは、配線層103を介して、第1の半導体基板101と第2の半導体基板104とが接続され、第2の半導体基板104に各種トランジスタが配置される。この場合、第2の半導体基板104の導電型、及び、第2の半導体基板104内に形成されるウェル、トランジスタの導電型は第1導電型でも第2導電型のいずれでもよく、両方を含んでいても良い。これにより、増倍領域301の面積をさらに拡大し、感度をより高めることができる。
【0109】
また、配線層103に反射板701を設け、この反射板701によって入射光を反射し、より光感度を高める構成としてもよい。
【0110】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る距離測定システムについて説明する。実施の形態4に係る距離測定システムは、いわゆる、TOF(Time Of Flight)方式の距離測定システムである。
【0111】
図22は、フォトセンサを備える距離測定システム800を示すブロック構成である。距離測定システム800が備えるフォトセンサは、上記フォトセンサ100~100Hのいずれであってもよい。
【0112】
実施の形態4の距離測定システム800は、パルス光を発光する発光部810と、反射したパルス光を受光する受光部820と、発光部810及び受光部820を制御する制御部830と、測定対象物900までの距離を算出する演算部840と、を備えている。
【0113】
発光部810は、発光ダイオード等の発光デバイスで構成され、制御部830からの制御信号によってパルス光を発生し、測定対象物900に向けて照射する。
【0114】
受光部820は、フォトセンサ100~100Hのいずれかを含み、測定対象物900により反射されたパルス光を受光する。
【0115】
制御部830は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、発光部810と受光部820とが同期して動作するように両者を制御する。
【0116】
演算部840は、受光部820からの出力信号に基づいて、パルス光が測定対象物900から反射して、受光部820に戻るまでの時間を測定することにより、測定対象物900までの距離を算出する。なお、制御部830及び演算部840は一つのチップであってもよく、別個の複数のチップで構成されてもよい。
【0117】
出力部850は、演算部840において算出された測定対象物900までの距離を数値データ形式又は画像形式で出力する。出力部850は、CPU等の制御装置や、ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の表示装置によって構成される。また、出力部850は、距離測定システム800に組み込まれていてもよい。
【0118】
上記フォトセンサは、例えば、転送トランジスタ51によって、露光のタイミングを任意に設定することが可能である。このため、上記フォトセンサ100~100Hのうちのいずれかを距離測定システム800のフォトセンサとして用いることにより、バックグラウンド光による距離の誤検知を防止し、物体までの距離を高い精度で求めることができる。
【0119】
(まとめ)
本実施の形態のフォトセンサ100は、APD1を有するAPD領域10であって第1の半導体基板101に形成された複数のAPD領域10と、第1の半導体基板101内にて、互いに隣り合うAPD領域10の間に形成された分離領域20と、を備える。第1の半導体基板101は、第1の半導体基板101の両主面のうちの1つである第1主面S1と、第1主面S1と反対側の第2主面S2と、を有する。APD1は、第1主面S1に接する第1導電型の第1半導体層201と、第1半導体層201に対して第2主面S2側に配置され第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の第2半導体層202と、によって構成されている。分離領域20は、第1主面S1側に設けられた第1導電型又は第2導電型の第3半導体層203と、第3半導体層203よりも第2主面S2側に設けられたトレンチ207と、を有している。トレンチ207の一方端207aは第2主面S2に接しており、トレンチ207の他方端207bは第1主面S1に接しておらず、トレンチ207の他方端207bと第1主面S1との間は、少なくとも一部が空乏化している。
【0120】
これによれば、隣り合うAPD領域10をトレンチ207で分離することができるので、隣り合うAPD1の混色を適度に抑制することができる。また、トレンチ207の他方端207bを第1主面S1に接しない構造とすることで、例えばトレンチ207の側面に電界緩和層を設ける必要がなくなり、フォトセンサ100の開口率を高めることができる。これによりフォトセンサ100の高感度化と混色防止とを両立することができる。
【0121】
また、トレンチ207の他方端207bは、第1半導体層201と第2半導体層202との界面よりも第2主面S2側に位置していてもよい。
【0122】
これによれば、隣り合うAPD領域10をトレンチ207で分離することができるので、隣り合うAPD1の混色を適度に抑制することができる。また、トレンチ207の他方端207bを第1半導体層201と第2半導体層202との界面よりも第2主面S2側にすることで、例えばトレンチ207の側面に電界緩和層を設ける必要がなくなり、フォトセンサ100の開口率を高めることができる。これによりフォトセンサ100の高感度化と混色防止とを両立することができる。
【0123】
また、フォトセンサ100は、トレンチ207の他方端207b及び側面207cを覆う保護層(例えば第1保護層211及び第2保護層212)をさらに備え、保護層は、第2半導体層202よりも第2主面S2側に位置していてもよい。
【0124】
例えば、第1半導体層201及び第2半導体層202の周辺の空乏層が第1保護層211と接すると、第1保護層211と接した領域において電界が強くなり、電界分布が不均一になる。そのため、上記のように第1保護層211を、第2半導体層202よりも第2主面S2側に配置することで、第1半導体層201及び第2半導体層202の界面近傍に形成される増倍領域301において電界分布が不均一となることを抑制できる。これにより、フォトセンサ100の開口率を高めることができ、フォトセンサ100を高感度化することができる。
【0125】
また、第2半導体層202の不純物濃度は、第1主面S1側よりも第2主面S2側のほうが高くてもよい。
【0126】
これによれば、光電変換で発生した電荷を第2電界ベクトル602によって増倍領域301までドリフトすることができるので、第1電界ベクトル601を第2保護層212に対してダイレクトに向けることができる。そのため、増倍領域301内の電界が均一化され、増倍領域301における増倍率のばらつきが発生しにくくなる。これにより、フォトセンサ100Bの開口率を高くすることができ、フォトセンサ100Bを高感度化することができる。
【0127】
また、第2半導体層202は、第2主面S2に近づくにしたがって不純物濃度が徐々に増加していてもよい。
【0128】
これによれば、光電変換で発生した電荷を第2電界ベクトル602によって増倍領域301までドリフトすることができるので、第1電界ベクトル601を第2保護層212に対してダイレクトに向けることができる。そのため、増倍領域301内の電界が均一化され、増倍領域301における増倍率のばらつきが発生しにくくなる。これにより、フォトセンサ100Bの開口率を高くすることができ、フォトセンサ100Bを高感度化することができる。
【0129】
また、第2半導体層202は、さらに、第1の半導体基板101の全面に形成されてもよい。
【0130】
これによれば、光電変換で発生した電荷を、より効果的に第2電界ベクトル602によって増倍領域301までドリフトすることができるので、第1電界ベクトル601を第2保護層212に対してダイレクトに向けることができる。そのため、増倍領域301内の電界が均一化され、増倍領域301における増倍率のばらつきが発生しにくくなる。これにより、フォトセンサ100Bの開口率を高くすることができ、フォトセンサ100Bを高感度化することができる。
【0131】
また、フォトセンサ100は、第1半導体層201に接続された第1コンタクト401と、保護層(例えば第1保護層211及び第2保護層212)に電圧を印加する第2コンタクト402と、をさらに備える。第1主面S1のうち分離領域20が占める分離領域面21には、第1コンタクト401、第2コンタクト402及びトレンチ07のいずれもが接していなくてもよい。
【0132】
これによれば、第1コンタクト401、第2コンタクト402及びトレンチ07が、分離領域面21に設けられていない構造とすることができ、分離領域20の幅を狭くすることができる。これにより、フォトセンサ100の開口率を高めることができ、フォトセンサ100を高感度化することができる。
【0133】
また、隣接する2つのAPD1から伸びる2つの異なる空乏層が、第3半導体層の少なくとも一部で接していてもよい。
【0134】
この2つの異なる空乏層によって、ポテンシャル壁を形成することができるので、隣り合うAPD1の混色を抑制しつつ、フォトセンサ100の開口率を高めることができる。これによりフォトセンサ100を高感度化することができる。
【0135】
また、フォトセンサ100Dは、第1の半導体基板101に形成された画素回路31をさらに備えている。画素回路31は、第1コンタクト401を介してAPD1に電気的に接続されていてもよい。
【0136】
これによれば、フォトセンサ100Dを高集積化することが可能となり、フォトセンサ100の開口率を高めることが可能となる。
【0137】
また、画素回路31は、第2導電型のトランジスタを含み、Nウェル+N-電界緩和領域を有していてもよい。
【0138】
これによれば、画素回路31の時定数を短くすることができる。
【0139】
また、画素回路31は、第1導電型のトランジスタを含み、トリプルウェル構造を有していてもよい。
【0140】
これによれば、画素回路31の時定数を短くすることができる。
【0141】
また、分離領域20は、互いに隣り合うAPD領域10の間に複数形成され、第1の半導体基板101内における複数の分離領域20の間には、画素回路31を有する回路領域30が形成されていてもよい。
【0142】
これによれば、分離領域20を用いて回路領域30とAPD領域とを確実に分離することができる。そのため、例えば、APD領域10において、レンズ502の光学中心が増倍領域301の中心と一致するように、レンズ502及び増倍領域301を配置することが可能となる。これにより、光電変換によって発生した電荷が、より増倍領域301に入りやすくなり、フォトセンサ100Eの感度を向上することができる。
【0143】
また、フォトセンサ100Hは、第1の半導体基板101とは異なる半導体基板である第2の半導体基板104をさらに備える。第2の半導体基板104は、第1コンタクト401を介してAPD1に電気的に接続される画素回路31を有していてもよい。
【0144】
これによれば、フォトセンサ100Hを高集積化することが可能となり、フォトセンサ100の開口率を高めることが可能となる。
【0145】
また、フォトセンサ100に光が照射される側の面は、第2主面S2であってもよい。
【0146】
これによれば、第1の半導体基板101上に簡易に画素回路31を形成することが可能となり、フォトセンサ100の開口率を高めることが可能となる。
【0147】
また、フォトセンサ100は裏面照射型であってもよい。
【0148】
これによれば、第1の半導体基板101上に簡易に画素回路31を形成することが可能となり、フォトセンサ100の開口率を高めることが可能となる。
【0149】
本実施の形態の距離測定システム800は、上記フォトセンサを有する受光部820と、測定対象物900に向けて発光する発光部810と、受光部820及び発光部810を制御する制御部830と、測定対象物900で反射した反射光に対応する信号を受光部820から受け、測定対象物900までの距離を算出する演算部840と、を備える。
【0150】
距離測定システム800が、高感度化された上記フォトセンサを備えることで、距離の誤検知を防止し、測定対象物900までの距離を高い精度で求めることができる。
【0151】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本開示は、アバランシェフォトダイオードを有するフォトセンサ、イメージセンサ又は距離測定システムとして有用である。
【符号の説明】
【0153】
1 APD(アバランシェフォトダイオード)
10 APD領域
20 分離領域
21 分離領域面
30 回路領域
31 画素回路
51 転送トランジスタ
52 浮遊拡散容量
53 リセットトランジスタ
54 ソースフォロワトランジスタ
55 垂直信号線
56 選択トランジスタ
57 水平信号線
61 垂直走査回路
62 水平走査回路
63 読み出し回路
64 バッファアンプ
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H フォトセンサ
101 第1の半導体基板
102 光学層
103 配線層
104 第2の半導体基板
110 画素
201 第1半導体層
202 第2半導体層
203 第3半導体層
204 第4半導体層
205 第5半導体層
207 トレンチ
207a 一方端
207b 他方端
207c 側面
211 第1保護層
212 第2保護層
221 第1ウェル
222 第2ウェル
223 第3ウェル
224 第4ウェル
230 ウェルコンタクト
251 転送トランジスタ
253 リセットトランジスタ
254 ソースフォロワトランジスタ
256 選択トランジスタ
301 増倍領域
401 第1コンタクト
402 第2コンタクト
501 第3保護層
502 レンズ
503 光散乱層
601 第1電界ベクトル
602 第2電界ベクトル
701 反射板
800 距離測定システム
810 発光部
820 受光部
830 制御部
840 演算部
850 出力部
900 測定対象物
S1 第1主面
S2 第2主面
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22