(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】作業分析方法、作業分析装置及び作業分析システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241011BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022543894
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 JP2021029512
(87)【国際公開番号】W WO2022039066
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2020140036
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】天野 博史
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康史
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-133483(JP,A)
【文献】特開2006-285349(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157528(WO,A1)
【文献】特開2003-140728(JP,A)
【文献】特許第6608778(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止した製造設備の復旧作業を作業者が開始した復旧開始時刻を推定し、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶するステップと、
前記製造設備の動作開始時刻を取得し、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶するステップと、
前記動作開始時刻から前記復旧開始時刻を減算した差分を前記復旧作業の作業時間として算出するステップと、を含む、
作業分析方法。
【請求項2】
さらに、
前記製造設備の停止要因を特定し、特定した停止要因と前記作業時間とを対応付けて記憶部に記憶するステップを含む、
請求項1に記載の作業分析方法。
【請求項3】
さらに、
前記製造設備が停止した停止時刻を取得し、取得した停止時刻を記憶部に記憶するステップと、
前記復旧開始時刻から前記停止時刻を減算した差分を前記製造設備の放置時間として算出するステップと、を含む、
請求項1に記載の作業分析方法。
【請求項4】
さらに、
前記製造設備の停止要因を特定し、特定した停止要因と前記作業時間及び前記放置時間とを対応付けて記憶するステップを含む、
請求項3に記載の作業分析方法。
【請求項5】
さらに、
前記停止要因毎に、前記作業時間の統計量である統計作業時間を算出するステップと、
前記停止要因毎に、前記放置時間の統計量である統計放置時間を算出するステップと、
前記停止要因毎の前記統計作業時間と前記統計放置時間とを比較するステップと、を含む、
請求項4に記載の作業分析方法。
【請求項6】
前記比較するステップでは、前記停止要因毎の前記統計作業時間と前記停止要因毎の前記統計放置時間との相関係数を算出し、算出した相関係数が閾値以下の場合に異常と判定する、
請求項5に記載の作業分析方法。
【請求項7】
前記復旧開始時刻を推定するステップでは、
前記製造設備に前記作業者が近接したか否かの判定を行い、
前記判定の結果に基づいて、前記製造設備に前記作業者が近接した近接時刻を前記復旧開始時刻として決定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の作業分析方法。
【請求項8】
前記判定では、前記製造設備の周辺の所定範囲に前記作業者が進入し、かつ、前記所定範囲内に所定時間滞在した場合に、前記製造設備に前記作業者が近接したと判定する、
請求項7に記載の作業分析方法。
【請求項9】
前記近接時刻は、前記所定範囲に前記作業者が進入した時刻以降、前記所定時間経過した時刻以前の時刻である、
請求項8に記載の作業分析方法。
【請求項10】
前記判定は、前記作業者を検知する人感センサを用いて行われる、
請求項7~9のいずれか1項に記載の作業分析方法。
【請求項11】
前記判定は、前記製造設備から前記作業者までの距離を測定する測距センサを用いて行われる、
請求項7~9のいずれか1項に記載の作業分析方法。
【請求項12】
前記判定は、前記製造設備を含む空間内の前記作業者の位置を測定する測位部を用いて行われる、
請求項7~9のいずれか1項に記載の作業分析方法。
【請求項13】
前記判定では、前記製造設備に対する前記作業者の操作を検出した場合に、前記製造設備に前記作業者が近接したと判定する、
請求項7に記載の作業分析方法。
【請求項14】
停止した場合に作業者による復旧作業が行われる製造設備の動作開始時刻を取得し、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶する取得部と、
前記復旧作業を開始した復旧開始時刻を推定し、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶する推定部と、
前記動作開始時刻から前記復旧開始時刻を減算した差分を前記復旧作業の作業時間として算出する算出部と、を備える、
作業分析装置。
【請求項15】
請求項14に記載の作業分析装置と、
前記製造設備と、を備える、
作業分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業分析方法、作業分析装置及び作業分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場において生産性を向上させる手段の1つに、作業者による作業の効率化がある。作業の効率化を図るためには、作業者の作業をまずは精度良く分析する必要がある。
【0003】
特許文献1には、複数の装置で行われた作業内容と作業時間とを自動で記録するための作業調査分析システムが開示されている。特許文献1に開示されたシステムでは、装置で発生したイベントの内容とオペレータが装置の近傍に滞在した時間帯とを関連付けて作業分析情報を生成する。
【0004】
特許文献2には、作業手順が予め定めた標準作業手順と異なる場合に異常を検知し、復旧指示を行う動作指示装置が開示されている。特許文献2に開示されたシステムでは、予め記憶した標準作業手順と、人をセンシングした情報から何の作業を実施しているかを判定した作業手順とを比較する。そして、当該システムでは、予め記憶した標準作業手順と、センシングした情報から判定した作業手順とに相違がある場合に異常を検知し、復旧のための作業指示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-140728号公報
【文献】特許第6608778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の従来技術では、正確に作業分析が行われない場合がある。
【0007】
そこで、本開示は、より正確な作業分析を行うことができる作業分析方法、作業分析装置及び作業分析システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る作業分析方法は、停止した製造設備の復旧作業を作業者が開始した復旧開始時刻を推定し、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶するステップと、前記製造設備の動作開始時刻を取得し、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶するステップと、前記動作開始時刻から前記復旧開始時刻を減算した差分を前記復旧作業の作業時間として算出するステップと、を含む。
【0009】
本開示の一態様に係る作業分析装置は、停止した場合に作業者による復旧作業が行われる製造設備の動作開始時刻を取得し、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶する取得部と、前記復旧作業を開始した復旧開始時刻を推定し、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶する推定部と、前記動作開始時刻から前記復旧開始時刻を減算した差分を前記復旧作業の作業時間として算出する算出部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る作業分析システムは、上記一態様に係る作業分析装置と、前記製造設備と、を備える。
【0011】
また、本開示の一態様は、上記作業分析方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、本開示の一態様は、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、より正確な作業分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る作業分析システムが適用される工場の構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る作業分析システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る作業分析システムの各装置及び作業者間の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、1日分の複数の製造設備の停止データと作業者の動線データとの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示される1台の製造設備の1回の停止に関わる停止データと作業者の動線データとを示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る作業分析システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る作業分析システムの動作の変形例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る復旧開始時刻推定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、製造設備の周辺の所定範囲と作業者の動線とを示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る製造設備の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る分析装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る復旧開始時刻推定装置の構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る近接検知部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る近接検知部の構成の別の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施の形態に係る近接検知部の構成の別の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施の形態に係る製造設備の動作を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施の形態に係る分析装置の動作を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、実施の形態に係る分析装置の記憶部に記憶された作業分析情報の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施の形態に係る分析装置による統計作業時間を算出する処理を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、2人の作業者についての停止要因毎の平均作業時間を表すパレート図である。
【
図24A】
図24Aは、1人の作業者についての停止要因毎の作業時間を表すボックスプロットである。
【
図24B】
図24Bは、別の1人の作業者についての停止要因毎の作業時間を表すボックスプロットである。
【
図25】
図25は、2人の作業者についての停止要因毎の集計作業時間を表すパレート図である。
【
図26】
図26は、実施の形態に係る分析装置による統計放置時間を算出する処理を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は、停止要因毎の平均作業時間と平均放置時間との各々の順位を示す図である。
【
図29】
図29は、実施の形態に係る分析装置による作業順序の改善点の有無を判定する処理を示すフローチャートである。
【
図30】
図30は、停止要因毎の平均作業時間と平均放置時間との各々の順位を示す折れ線グラフである。
【
図31】
図31は、実施の形態の変形例に係る製造設備の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、上記従来技術に関して、以下の問題が生じることを見出した。
【0015】
まず、上記特許文献1に記載の技術では、正確に作業分析が行われない場合がある。例えば、作業の内容によっては、作業者が装置の近傍で作業を行わない場合がある。一例を挙げると、材料切れが原因で装置が停止している場合、装置を復旧するためには、装置の近傍を離れ材料を倉庫に取りに行く必要がある。この場合、上記従来技術では、作業者が装置から離れている時間を作業時間に計上することができなくなり、実際にかかった作業時間を正確に計測することができない。また、作業者の振る舞いにより生産性を低下させている原因を知るためには、実際に装置の復旧にかかった作業時間だけではなく、装置が停止してから放置されていた時間を計測することが有効である。しかし、上記特許文献1に記載の従来技術では、放置されていた時間を計測する技術に関する開示はされていない。
【0016】
また、上記特許文献2に記載の技術では、予め標準作業手順が定められた作業の作業手順の異常を検知することはできる。しかしながら、予め作業手順が定められておらず、作業員が作業順序を判断する必要がある場合には異常を検知することができない。例えば、作業員が複数の装置の復旧を担当しており、同時に複数の装置が停止しており、どの装置から復旧すればよいのかを作業員が判断しなければならない場合、上記従来技術では、予め作業手順を登録することができず異常を検知できない。また、上記特許文献2に記載の従来技術では、人をセンシングした情報だけから、そのときに人が何の作業を行っているかを判定するためは、人をセンシングした情報と、そのときに人が何の作業を行っているかの膨大な紐づけの情報とが必要であり、その情報を用意するには大きなコストがかかる。
【0017】
本開示は、このような課題を鑑みてなされたものであり、より正確な作業分析を行うことができる作業分析方法、作業分析装置及び作業分析システムを提供する。
【0018】
本開示の一態様に係る作業分析方法は、停止した製造設備の復旧作業を作業者が開始した復旧開始時刻を推定し、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶するステップと、前記製造設備の動作開始時刻を取得し、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶するステップと、前記動作開始時刻から前記復旧開始時刻を減算した差分を前記復旧作業の作業時間として算出するステップと、を含む。
【0019】
このように、動作開始時刻から復旧開始時刻を減算した差分を復旧作業の作業時間として算出するので、確度の高い作業時間を取得することができる。したがって、本態様に係る作業分析方法によれば、より正確な作業分析を行うことができる。
【0020】
また、例えば、本開示の一態様に係る作業分析方法は、さらに、前記製造設備の停止要因を特定し、特定した停止要因と前記作業時間とを対応付けて記憶部に記憶するステップを含んでもよい。
【0021】
これにより、製造設備の停止要因毎に、確度の高い作業時間を取得することができる。したがって、本態様に係る作業分析方法によれば、より正確かつ詳細な作業分析を行うことができる。
【0022】
また、例えば、本開示の一態様に係る作業分析方法は、さらに、前記製造設備が停止した停止時刻を取得し、取得した停止時刻を記憶部に記憶するステップと、前記復旧開始時刻から前記停止時刻を減算した差分を前記製造設備の放置時間として算出するステップと、を含んでもよい。
【0023】
このように、復旧開始時刻から停止時刻を減算した差分を製造設備の放置時間として算出するので、確度の高い放置時間を取得することができる。したがって、本態様に係る作業分析方法によれば、より正確かつ詳細な作業分析を行うことができる。
【0024】
また、例えば、本開示の一態様に係る作業分析方法は、さらに、前記製造設備の停止要因を特定し、特定した停止要因と前記作業時間及び前記放置時間とを対応付けて記憶するステップを含んでもよい。
【0025】
これにより、製造設備の停止要因毎に、確度の高い作業時間及び放置時間を取得することができる。したがって、本態様に係る作業分析方法によれば、より正確かつ詳細な作業分析を行うことができる。
【0026】
また、例えば、本開示の一態様に係る作業分析方法は、さらに、前記停止要因毎に、前記作業時間の統計量である統計作業時間を算出するステップと、前記停止要因毎に、前記放置時間の統計量である統計放置時間を算出するステップと、前記停止要因毎の前記統計作業時間と前記統計放置時間とを比較するステップと、を含んでもよい。
【0027】
これにより、作業時間と放置時間とのバランスを把握することができる。例えば、作業時間が短く簡単に復旧できる製造設備が停止したまま長時間放置されていないか否かを判断することが可能になる。このように、本態様に係る作業分析方法によれば、より詳細な作業分析を行うことができる。
【0028】
また、例えば、前記比較するステップでは、前記停止要因毎の前記統計作業時間と前記停止要因毎の前記統計放置時間との相関係数を算出し、算出した相関係数が閾値以下の場合に異常と判定してもよい。
【0029】
これにより、作業者の作業順序の効率の良し悪しを判定することができるので、作業効率の向上、及び、生産性の向上に貢献することができる。
【0030】
また、例えば、前記復旧開始時刻を推定するステップでは、前記製造設備に前記作業者が近接したか否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて、前記製造設備に前記作業者が近接した近接時刻を前記復旧開始時刻として決定してもよい。
【0031】
これにより、復旧開始時刻を簡単に取得することができる。また、停止した製造設備(以下、停止設備と記載)に作業者が最初に近接した後に停止設備から離れたとしても、停止設備が復旧されない限り、停止設備から離れている時間を作業時間に計上することができる。例えば、停止設備の復旧作業において、復旧作業に必要な工具及び材料などを取りに行くため、又は、復旧作業に他の設備の操作が必要な場合に当該他の設備へ行くため、などの目的で停止設備から作業者が離れることがある。この場合であっても、停止設備の復旧作業に要した作業時間をより正確に計上することができる。
【0032】
また、例えば、前記判定では、前記製造設備の周辺の所定範囲に前記作業者が進入し、かつ、前記所定範囲内に所定時間滞在した場合に、前記製造設備に前記作業者が近接したと判定してもよい。
【0033】
これにより、作業者が目的の停止設備まで移動する途中に他の製造設備の近くを短時間で通過しただけでは、当該他の製造設備には近接したとは判定されない。このため、他の製造設備の復旧作業が開始されたと誤って判定される可能性を低くすることができ、より正確な作業分析を行うことができる。
【0034】
また、例えば、前記近接時刻は、前記所定範囲に前記作業者が進入した時刻以降、前記所定時間経過した時刻以前の時刻であってもよい。
【0035】
これにより、製造設備に近接した近接時刻を実際の復旧開始時刻としてより正確に取得することができる。
【0036】
また、例えば、前記判定は、前記作業者を検知する人感センサを用いて行われてもよい。
【0037】
これにより、例えば、人感センサの検知範囲を製造設備の所定範囲に一致させておくことで、製造設備に対する作業者の近接を容易に検出することができる。
【0038】
また、例えば、前記判定は、前記製造設備から前記作業者までの距離を測定する測距センサを用いて行われてもよい。
【0039】
これにより、簡易な構成で作業者の近接を容易に検出することができる。
【0040】
また、例えば、前記判定は、前記製造設備を含む空間内の前記作業者の位置を測定する測位部を用いて行われてもよい。
【0041】
これにより、1つの測位部によって複数の製造設備の各々に対する作業者の近接を検出することができる。作業者の近接を検出するための構成を簡素化することができるので、作業分析システムの導入及び保守管理を容易にすることができる。
【0042】
また、例えば、前記判定では、前記製造設備に対する前記作業者の操作を検出した場合に、前記製造設備に前記作業者が近接したと判定してもよい。
【0043】
これにより、製造設備を利用して作業者の近接を検出することができる。作業者の近接を検出するための専用の装置を必要としないので、作業分析システムの導入及び保守管理を容易にすることができる。
【0044】
また、本開示の一態様に係る作業分析装置は、停止した場合に作業者による復旧作業が行われる製造設備の動作開始時刻を取得し、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶する取得部と、前記復旧作業を開始した復旧開始時刻を推定し、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶する推定部と、前記動作開始時刻から前記復旧開始時刻を減算した差分を前記復旧作業の作業時間として算出する算出部と、を備える。
【0045】
これにより、上記作業分析方法と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本開示の一態様に係る作業分析システムは、上記一態様に係る作業分析装置と、前記製造設備と、を備える。
【0047】
これにより、上記作業分析方法と同様の効果を得ることができる。
【0048】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0049】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0050】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0051】
また、本明細書において、「時間」は、特に断りのない限り、所定の長さの期間を意味する。「時刻」及び「時点」はそれぞれ、特に断りのない限り、所定の瞬間的なタイミングを意味する。
【0052】
(実施の形態)
[1.作業分析システムが適用される工場の一例]
まず、実施の形態に係る作業分析システムが適用される工場の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る作業分析システムが適用される工場の構成を示す平面図である。
【0053】
図1に示されるように、工場1では、複数の製造設備100が配置されている。複数の製造設備100の各々は、製品の製造の少なくとも1つの工程を実行する。各製造設備100が行う工程は、互いに同じであるが、互いに異なっていてもよい。製造設備100は、例えば、部品実装機又は部品の組立装置などであるが、特に限定されない。なお、製造設備100は、製品の製造に関わる設備であればよく、製品の検査を行う検査装置であってもよい。
【0054】
工場1内では、複数の作業者2A~2Dが従事している。
図1に示される例では、工場1内は4つのブロックA~Dに区分けされており、ブロック毎に作業者が割り当てられている。例えば、作業者2Aは、ブロックAに配置された10台の製造設備100に対する作業を行う。以下では、作業者2Aに関する説明を行うが、作業者2B~2Dについても同様である。
【0055】
作業者2Aが行う作業は、主に、製造設備100の復旧作業である。つまり、作業者2Aは、製造設備100が停止した場合に、停止した製造設備100の復旧作業を行う。このとき、
図1に示されるように、複数の製造設備100a~100cが同時に停止していることが起こりうる。例えば、製造設備100aが停止した場合、作業者2Aは製造設備100aの復旧作業を行うが、製造設備100aの復旧作業が完了する前に、製造設備100b及び100cが停止することが起こりうる。複数の製造設備100が停止した場合に、適切な順序で停止設備を復旧させることにより、工場1全体としての生産性を向上させることができる。
【0056】
本実施の形態に係る作業分析システムは、工場1内の作業者2A~2Dの各々の作業分析を行うことにより、最適な作業順序の決定を支援し、生産性の向上に貢献することができる。以下では、本実施の形態に係る作業分析システムについて説明する。
【0057】
[2.作業分析システム]
図2は、本実施の形態に係る作業分析システムの構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、作業分析システム10は、複数の製造設備100と、分析装置200と、復旧開始時刻推定装置300と、を備える。分析装置200と復旧開始時刻推定装置300とが、作業分析装置400を構成する。複数の製造設備100と、分析装置200と、復旧開始時刻推定装置300とは、ネットワーク500を介して互いに通信可能に接続されている。各装置の通信は、有線通信であってもよく、無線通信であってもよい。各装置の具体的な構成例については、後で説明する。
【0058】
図3は、本実施の形態に係る作業分析システムの各装置及び作業者間の処理の流れを示すシーケンス図である。説明を簡単にするため、
図3では複数の製造設備100のうちの1つのみを図示している。
【0059】
まず、製造設備100が何らかの停止要因で製造を停止する(S1)。停止要因には、設備の故障及び製品の不具合などの異常な要因と、品種の切り替えなどの正常な要因と、が含まれる。製造設備100が停止した場合には、製造設備100から、その停止が作業者2Aに通知される。通知は、例えば製造設備100又はその近傍に設置された警報装置の動作(例えば、パトランプの点灯又はアラーム音の発出)によって行われるが、特に限定されない。さらに、製造設備100から停止時刻及び停止要因を示す情報が分析装置200に送信される。なお、停止時刻及び/又は停止要因を示す情報は、送信されなくてもよい。
【0060】
作業者2Aは、製造設備100からの通知によって設備の停止を把握することができるので、停止した製造設備100へ移動し(S2)、復旧作業を行う(S3)。このとき、復旧開始時刻推定装置300は、作業者2Aの製造設備100への近接を検知することで、復旧開始時刻を推定する(S4)。推定した復旧開始時刻を示す情報は、分析装置200に送信される。分析装置200は、復旧開始時刻から停止時刻を減算した差分を放置時間として算出する(S5)。なお、放置時間の算出は行われなくてもよい。
【0061】
作業者2Aが復旧作業を完了すると、製造設備100は製造を開始する(S6)。製造を開始した場合、製造設備100から、動作開始時刻を示す情報が分析装置200に送信される。分析装置200は、動作開始時刻から復旧開始時刻を減算した差分を作業時間として算出する(S7)。分析装置200が算出した放置時間及び作業時間はそれぞれ、記憶部(図示せず)に記憶される。
【0062】
本実施の形態に係る作業分析システム10では、複数の製造設備100の各々に対して、製造設備が停止する度に作業者2Aが順次、復旧作業を行う。これにより、製造設備毎に、かつ、作業者毎に作業時間及び放置時間を算出することができる。
【0063】
[3.作業時間及び放置時間]
続いて、作業時間及び放置時間の定義及び算出方法について、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0064】
図4は、1日分の複数の製造設備の停止データと作業者の動線データとの一例を示す図である。
図4において、横軸は時刻を表し、縦軸は設備の識別番号を表している。「F0001」~「F0008」は、工場1内の複数の製造設備100の各々に割り当てられた固有の識別番号(以下、設備番号)である。
【0065】
図4に示されるように、製造設備毎に、停止データと動線データとが対応付けられている。停止データは、斜線の網掛けが付された横棒グラフで示されている。動線データは、斜め格子の網掛けが付された横棒グラフで示されている(
図5を参照)。
【0066】
停止データは、製造設備100が停止している停止時間を示すデータである。
図4に示されるように、通常、各製造設備は1日の中で何度も停止する。停止した製造設備100は、作業者2Aによる復旧作業を受けて再び動作(製造)を開始する(復旧する)ことができる。なお、停止要因によっては、作業者2Aが復旧作業をしなくても製造設備100の動作が開始する場合もある。
【0067】
動線データは、作業者2Aが、対応する製造設備100に近接している近接時間を示すデータである。動線データは、作業者2Aが、対応する製造設備100の復旧作業を行っている作業時間を含んでいる。
【0068】
図4に示される停止データと動線データとに基づいて、工場1内の製造設備100の稼働率及び作業者2Aの作業スキルを判別することができる。例えば、24時間中の製造設備100毎の停止データの合計時間が製造設備100毎の稼働率である。また、20:00頃及び07:00頃には、8台の製造設備100の全てが停止していることが分かる。この時間の動線データを分析することにより、作業者2Aが停止した製造設備100に対して、どの順序で復旧作業を行おうとしたかが把握できる。つまり、複数の製造設備100が停止している場合に、作業者2Aが適切な順序で復旧作業を行うスキルを有しているか否かを判断することが可能になる。
【0069】
以下では、停止データと動線データとの典型的な関係について、
図5を用いて説明する。
図5は、
図4に示される1台の製造設備の1回の停止に関わる停止データと作業者の動線データとを示す図である。
【0070】
図5に示される例では、設備番号「F0001」の製造設備100(以下、設備F0001と記載)が時刻t0で停止する。
図3に示したように、設備F0001の停止が作業者2Aに通知されるので、作業者2Aは、設備F0001の停止を把握し、設備F0001を復旧させるため設備F0001に向かって移動し、時刻t1で設備F0001に到着する。つまり、典型的な例では、停止した設備F0001の復旧作業が直ちに開始される訳ではなく、復旧作業が開始されるまでの放置時間が生じる。放置時間は、作業者到着時刻t1から停止時刻t0を減算した差分(t1-t0)である。ここで、作業者到着時刻t1は、動線データの開始時刻、すなわち、作業者2Aが設備F0001に近接した近接時刻である。本実施の形態では、近接時刻が復旧開始時刻である。
【0071】
作業者2Aが設備F0001の復旧作業を行うことにより、時刻t2で復旧が完了する。時刻t2は、復旧完了時刻であり、再び製造を開始する動作開始時刻である。つまり、作業者2Aによる実際の作業時刻は、動作開始時刻t2から復旧開始時刻t1を減算した差分(t2-t1)である。
【0072】
復旧作業が完了した後、時刻t3で作業者2Aは製造設備100から離れる。その後、作業者2Aは、他の製造設備100の復旧又はその他の作業を行う。
【0073】
図5に示されるように、設備F0001が停止していた時間である停止時間は、動作開始時刻t2から停止時刻t0を減算した差分(t2-t0)である。このように、停止時間は、停止データのみから算出することができる。
【0074】
一方で、放置時間及び作業時間は、特殊な場合を除いて復旧開始時刻t1が不明であるので、停止データのみから算出することができない。本実施の形態に係る作業分析システム10では、停止データだけではなく、動線データを利用することにより、放置時間と作業時間とをより正確に推定することができる。具体的には、作業分析システム10は、設備F0001の停止データに基づいて、停止時刻t0と動作開始時刻t2とを特定し、かつ、作業者2Aの動線データに基づいて、復旧開始時刻t1を特定する。これにより、放置時間と作業時間とをより正確に推定することができる。
【0075】
なお、
図5に示される例は典型例であって、停止データと動線データとが常に
図5に示される関係を満たす訳ではない。例えば、設備F0001が停止する前から、作業者2Aが設備F0001に近接している場合も起こりうる。この場合は、停止データのみで作業時間を算出できる特殊な場合に相当し、復旧開始時刻t1は、停止時刻t0とみなすことができる。つまり、動線データの開始時刻が停止時刻t0より前で、かつ、動線データが継続中である場合には、復旧開始時刻t1として停止時刻t0を利用すればよい。
【0076】
また、作業者2Aが設備F0001の復旧作業の途中(すなわち、動作開始時刻t2より前)に、必要に応じて設備F0001から離れる場合も起こりうる。この場合、作業者2Aが再び設備F0001に到着することがあるが、復旧開始時刻t1としては、停止時刻t0以降の最初の到着時刻を用いる。また、復旧作業の完了時刻では作業者2Aが設備F0001から離れていてもよい場合がある。このように、作業者離脱時刻t3は、復旧完了時刻t2以前になることもある。
【0077】
[4.動作(作業分析方法)]
続いて、作業分析システム10の動作(作業分析方法)について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る作業分析システム10の動作を示すフローチャートである。
図6は、主に、作業分析装置400(すなわち、分析装置200及び復旧開始時刻推定装置300)が実行する処理を示している。
【0078】
図6に示されるように、作業分析装置400は、製造設備100が停止するまで待機する(S10でNo)。製造設備100が停止した場合(S10でYes)、分析装置200は、製造設備100が停止した停止時刻を取得し(S11)、取得した停止時刻を記憶部に記憶する(S12)。
【0079】
次に、復旧開始時刻推定装置300は、作業者2Aが復旧作業を開始した復旧開始時刻を推定し(S13)、推定した復旧開始時刻を記憶部に記憶する(S14)。復旧開始時刻の推定の具体例については、後で説明する。
【0080】
次に、作業分析装置400は、製造設備100が復旧されて動作を開始するまで待機する(S15でNo)。製造設備100が動作を開始した場合(S15でYes)、分析装置200は、製造設備100の動作開始時刻を取得し(S16)、取得した動作開始時刻を記憶部に記憶する(S17)。
【0081】
次に、分析装置200は、復旧開始時刻から停止時刻を減算した差分を製造設備100の放置時間として算出する(S18)。次に、分析装置200は、動作開始時刻から復旧開始時刻を減算した差分を製造設備100に対する作業者の作業時間として算出する(S19)。
【0082】
上述した処理が、工場1内の複数の製造設備100のうちの1つが停止する度に、停止した製造設備100に対して実行される。なお、
図6に示される動作は一例に過ぎず、これに限定されない。例えば、放置時間の算出(S18)は、復旧開始時刻の記憶(S14)の後に行われればよいので、製造設備100の動作の開始の待機中(S15でNo)に行われてもよい。
【0083】
あるいは、放置時間の算出(S18)が行われなくてもよい。
図7は、本実施の形態に係る作業分析システム10の動作の変形例を示すフローチャートである。
図7に示される作業分析システム10の動作では、
図6に示される動作と比較して、停止時間の取得(S11)、停止時間の記憶(S12)及び放置時間の算出(S18)が省略されている。停止時間は作業時間の算出に使用されないので、放置時間の算出を行わない場合、停止時間の取得及び記憶はそれぞれ行われなくてもよい。
【0084】
[5.復旧開始時刻(近接時刻)の推定]
次に、復旧開始時刻の推定(S13)の具体例について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0085】
図8は、本実施の形態に係る復旧開始時刻推定装置300の動作を示すフローチャートである。
図9は、製造設備の周辺の所定範囲と作業者2Aの動線3Aとを示す平面図である。
【0086】
図9に示される製造設備101~104はそれぞれ、
図1に示される製造設備100である。製造設備104が停止設備であり、作業者2Aによる復旧作業の対象である作業対象設備である。ここでは、製造設備101~103は停止しておらず、作業対象設備ではない。
【0087】
復旧開始時刻の推定(S13)では、製造設備104に作業者2Aが近接したか否かの判定を行い、当該判定の結果に基づいて、製造設備104に作業者2Aが近接した近接時刻を復旧開始時刻として決定する。具体的には、
図8に示されるように、復旧開始時刻推定装置300は、製造設備104の近接範囲104aに作業者2Aが進入したか否かを判定する(S20)。近接範囲104aは、製造設備104の周辺の所定範囲の一例であり、例えば
図9に示されるように、製造設備104を含む所定の大きさの範囲内である。近接範囲104aは、製造設備104の復旧作業を行う際に作業者2Aが滞在する範囲である。例えば、近接範囲104aは、ほぼ中心に製造設備104が位置する、平面視形状が矩形の範囲である。近接範囲104aの形状は特に限定されず、製造設備104を中心とする円形の範囲であってもよい。
【0088】
図8に示されるように、作業者2Aが近接範囲104aに進入した場合(S20でYes)、復旧開始時刻推定装置300は、近接範囲104aに進入した状態で所定時間が経過したか否かを判定する(S21)。所定時間は、例えば、数秒以上、十数秒以下の期間である。
【0089】
作業者2Aが近接範囲104a内に所定時間滞在した場合(S21でYes)、復旧開始時刻推定装置300は、製造設備104に作業者2Aが近接したと判定し、近接時刻を復旧開始時刻として決定する(S22)。
【0090】
製造設備104に対する近接時刻は、近接範囲104aに作業者2Aが最初に進入した進入時刻である。つまり、所定時間経過することで近接したと判定した後に、復旧開始時刻推定装置300は、近接時刻を、経過時刻より遡った過去の進入時刻として決定する。あるいは、近接時刻は、所定時間経過した経過時刻であってもよい。あるいは、近接時刻は、進入時刻と経過時刻との中央値(平均値)であってもよい。
【0091】
このように、本実施の形態に係る復旧開始時刻推定装置300は、作業者2Aが製造設備104の近接範囲104aに進入し、かつ、進入してから所定時間経過した時点で、作業者2Aが製造設備104に近接したと判定する。これにより、近接の誤判定の発生を抑制することができる。
【0092】
図9に示されるように、製造設備101~104の各々に対して、近接範囲101a~104aが設定される。製造設備101~104が十分な間隔を空けて配置されていない場合、近接範囲101a~104aには、作業者2Aが意図せず進入することがある。例えば、
図9の動線3Aに示される例では、作業者2Aが製造設備104に向けて移動する場合に、製造設備103の近接範囲103aに進入している。
【0093】
近接範囲103aに進入した時点では製造設備103に近接したと判定しないので、所定時間の長さを適切に設定しておくことで、作業者2Aは、製造設備103に対して近接したと判定されなくすることができる。例えば、所定時間は、作業者2Aの歩行速度と近接範囲103aの大きさとに基づいて、作業者2Aが近接範囲103aを通過する時間より長い時間に設定されていてもよい。
【0094】
なお、近接範囲間のスペースが十分確保されている場合、あるいは、作業者2Aが作業対象設備以外の製造設備の近接範囲に進入する恐れが低い場合には、復旧開始時刻推定装置300は、近接範囲に進入したことをもって、作業者2Aが作業対象設備に近接したと判定してもよい。つまり、復旧開始時刻推定装置300は、作業者2Aの滞在時間を計測しなくてもよい。
【0095】
[6.具体的な構成]
以下では、本実施の形態に係る作業分析システム10を構成する各装置の具体的な構成について説明する。
【0096】
[6-1.製造設備]
まず、製造設備100の構成について、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施の形態に係る製造設備100の構成を示すブロック図である。
【0097】
図10に示されるように、製造設備100は、記憶部111と、処理部112と、通信部113と、入力部114と、表示部115と、材料投入部121と、搬送部122と、製造部123と、製品出力部124と、動作開始時刻特定部131と、停止時刻特定部132と、停止要因特定部141と、を備える。製造設備100の各構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0098】
記憶部111は、製造設備100に関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部111には、製造設備100の識別番号及び製造のログ情報などが記憶される。記憶部111は、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0099】
処理部112は、製造設備100の全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部112は、例えばプロセッサで実現される。処理部112は、製造設備100の各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。また、処理部112は、各構成要素で行われる処理の内容及び実行時刻などのログ情報を生成して記憶部111に記憶する。
【0100】
通信部113は、製造設備100が他の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部113は、例えば、分析装置200と通信することで、停止時刻、停止要因及び動作開始時刻を分析装置200に送信する。
【0101】
入力部114は、製造設備100に対する作業者からの操作入力を受け付ける。入力部114は、例えば、物理的な操作ボタンで実現されるが、タッチパネルディスプレイ及び/又は音声入力装置などであってもよい。
【0102】
表示部115は、製造設備100の動作状態などを表示するディスプレイである。表示部115は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)表示装置などで実現される。
【0103】
材料投入部121は、製品の製造に使用する材料を投入する装置である。材料は、例えば、成形前の樹脂若しくは金属材料、成形後の樹脂部品若しくは金属部品、又は、基板、回路部品など、特に限定されない。材料は、気体、液体、固体、粉体、粒状体などである。
【0104】
搬送部122は、材料投入部121によって投入された材料を製造部123に搬送する。また、搬送部122は、製造部123で製造された製品を製品出力部124に搬送する。搬送部122は、例えば、コンベア、アクチュエータ及び/又はモーターなどで実現されるが、特に限定されない。
【0105】
製造部123は、投入された材料を用いて製品の製造を行う。製造部123は、例えば、部品の組み立て、接着、溶着などの製造に関わる少なくとも1つの工程を行う装置である。
【0106】
製品出力部124は、製造部123によって製造された製品を出力する装置である。
【0107】
なお、材料投入部121、搬送部122、製造部123及び製品出力部124はそれぞれ、各部の処理の異常を検知するための1以上のセンサを備えている。センサの出力結果は、処理部112、動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び/又は停止要因特定部141に出力される。
【0108】
動作開始時刻特定部131は、製造設備100の動作開始時刻を特定する。具体的には、動作開始時刻特定部131は、各センサの出力結果に基づいて製品の製造が開始された時刻を動作開始時刻として特定する。動作開始時刻特定部131は、製品の製造が開始、及び、停止後に再開される度に動作開始時刻を特定する。
【0109】
停止時刻特定部132は、製造設備100の停止時刻を特定する。具体的には、停止時刻特定部132は、各センサの出力結果に基づいて製品の製造が停止した時刻を停止時刻として特定する。停止時刻特定部132は、製造設備100が停止する度に停止時刻を特定する。
【0110】
停止要因特定部141は、製造設備100の停止要因を特定する。具体的には、停止要因特定部141は、各センサの出力結果に基づいて製造設備100が停止した要因を停止要因として特定する。停止要因特定部141は、製造設備100が停止する度に停止要因を特定する。
【0111】
なお、動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び停止要因特定部141はそれぞれ、専用の集積回路などで実現されるが、これに限定されない。動作開始時刻特定部131、停止時刻特定部132及び停止要因特定部141の各々が行う処理は、処理部112が所定のプログラムを実行することによって行われてもよい。
【0112】
また、製造設備100の構成は、
図10に示される例に限定されない。例えば、製造設備100は、停止要因特定部141を備えなくてもよい。
【0113】
[6-2.分析装置]
次に、分析装置200の構成について、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る分析装置200の構成を示すブロック図である。
【0114】
図11に示されるように、分析装置200は、記憶部211と、処理部212と、通信部213と、入力部214と、表示部215と、作業時間推定部221と、放置時間推定部222と、作業時間統計部231と、放置時間統計部232と、比較部241と、を備える。分析装置200の各構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0115】
記憶部211は、分析装置200に関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部211には、複数の製造設備100の各々から送信される停止時刻、停止要因及び動作開始時刻、並びに、復旧開始時刻推定装置300から送信される復旧開始時刻などを含むログ情報が記憶される。また、記憶部211には、分析装置200による作業分析の結果、具体的には、作業時間及び放置時間などが記憶される。記憶部211は、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0116】
処理部212は、分析装置200の全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部212は、例えばプロセッサで実現される。処理部212は、分析装置200の各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。
【0117】
通信部213は、分析装置200が他の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部213は、例えば、複数の製造設備100の各々及び復旧開始時刻推定装置300と通信することで、停止時刻、停止要因及び動作開始時刻、並びに、復旧開始時刻を受信する。
【0118】
入力部214は、分析装置200に対する作業者又は管理者などからの操作入力を受け付ける。入力部214は、例えば、物理的な操作ボタンで実現されるが、タッチパネルディスプレイ及び/又は音声入力装置などであってもよい。
【0119】
表示部215は、分析装置200の作業分析の結果などを表示するディスプレイである。表示部215は、液晶ディスプレイ又は有機EL表示装置などで実現される。
【0120】
作業時間推定部221は、製造設備100から送信された動作開始時刻から、復旧開始時刻推定装置300から送信された復旧開始時刻を減算することで、その差分を作業時間として算出する。
【0121】
放置時間推定部222は、復旧開始時刻推定装置300から送信された復旧開始時刻から、製造設備100から送信された停止時刻を減算することで、その差分を放置時間として算出する。放置時間は、製造設備100が停止してから復旧作業が開始されるまでの待機時間に相当する。
【0122】
作業時間統計部231は、停止要因毎に、作業時間の統計量である統計作業時間を算出する。統計作業時間には、集計作業時間及び平均作業時間などが含まれる。集計作業時間は、停止要因毎の作業時間を合計した時間である。平均作業時間は、作業時間の平均値であり、集計作業時間をその停止要因による停止回数で除算した値である。統計作業時間には、作業時間の分散及び/又は標準偏差などが含まれてもよい。統計作業時間の算出は、例えば、作業者毎に、かつ、停止要因毎に行われるが、作業者の区別なく停止要因毎に行われてもよい。
【0123】
放置時間統計部232は、停止要因毎に、放置時間の統計量である統計放置時間を算出する。統計放置時間には、集計放置時間及び平均放置時間などが含まれる。集計放置時間は、停止要因毎の放置時間を合計した時間である。平均放置時間は、放置時間の平均値であり、集計放置時間をその停止要因による停止回数で除算した値である。統計放置時間には、放置時間の分散及び/又は標準偏差などが含まれてもよい。統計放置時間の算出は、例えば、作業者毎に、かつ、停止要因毎に行われるが、作業者の区別なく停止要因毎に行われてもよい。
【0124】
比較部241は、停止要因毎に統計作業時間と統計放置時間とを比較する。具体的には、比較部241は、停止要因毎の統計作業時間と停止要因毎の統計放置時間との相関係数を算出する。比較部241は、算出した相関係数が閾値以下の場合に異常と判定する。比較部241による具体的な処理については、後で説明する。
【0125】
なお、作業時間推定部221、放置時間推定部222、作業時間統計部231及び放置時間統計部232はそれぞれ、専用の集積回路などで実現されるが、これに限定されない。作業時間推定部221、放置時間推定部222、作業時間統計部231、放置時間統計部232及び比較部241の各々が行う処理は、処理部212が所定のプログラムを実行することによって行われてもよい。
【0126】
また、分析装置200の構成は、
図11に示される例に限定されない。例えば、分析装置200は、放置時間推定部222、放置時間統計部232及び比較部241を備えなくてもよい。また、分析装置200は、作業時間統計部231を備えなくてもよい。
【0127】
[6-3.復旧開始時刻推定装置]
次に、復旧開始時刻推定装置300の構成について、
図12を用いて説明する。
図12は、本実施の形態に係る復旧開始時刻推定装置300の構成を示すブロック図である。
【0128】
図12に示されるように、復旧開始時刻推定装置300は、記憶部311と、処理部312と、通信部313と、近接検知部320と、近接時刻決定部330と、を備える。復旧開始時刻推定装置300の各構成要素は、互いに通信可能に接続されている。
【0129】
記憶部311は、復旧開始時刻推定装置300に関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部311には、作業者2Aの近接の判定結果を示す作業者情報が記憶される。作業者情報は、近接した作業者2Aを特定する情報(例えば、作業者2Aに固有の識別情報)及び近接時刻を含む。記憶部311は、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0130】
処理部312は、復旧開始時刻推定装置300の全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部312は、例えばプロセッサで実現される。処理部312は、復旧開始時刻推定装置300の各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。
【0131】
通信部313は、復旧開始時刻推定装置300が他の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部313は、例えば、分析装置200と通信することで、復旧開始時刻を送信する。
【0132】
近接検知部320は、製造設備100に作業者2Aが近接したか否かの判定を行う。近接検知部320は、例えば、人感センサ、カメラ(イメージセンサ)、ToF(Time Of Flight)センサ、近接センサ、熱センサ又は無線測位センサなどを含む。近接検知部320は、製造設備100に対する作業者2Aの近接が検出できれば、特に限定されない。近接検知部320の具体的な構成については、後で説明する。
【0133】
近接時刻決定部330は、近接検知部320による判定の結果に基づいて、製造設備100に作業者2Aが近接した近接時刻を復旧開始時刻として決定する。近接時刻決定部330は、専用の集積回路などで実現されるが、これに限定されない。近接時刻決定部330が行う処理は、処理部312が所定のプログラムを実行することによって行われてもよい。
【0134】
なお、復旧開始時刻推定装置300は、製造設備100毎に設けられていてもよく、工場1内に1台又は複数台のみ設けられていてもよい。近接検知部320の具体的な構成に応じて、必要な台数の復旧開始時刻推定装置300が設けられていればよい。以下では、近接検知部320の具体的な構成の複数の例について説明する。
【0135】
[6-3-1.人感センサ]
まず、近接検知部320が人感センサを備える例について、
図13を用いて説明する。
図13は、本実施の形態に係る近接検知部の構成の一例を示すブロック図である。
【0136】
図13に示される近接検知部320aは、記憶部321aと、処理部322aと、通信部323aと、人感センサ部324aと、を備える。近接検知部320aは、例えば製造設備100と一対一で対応して設けられている。例えば、近接検知部320aは、対応する製造設備100に取り付けられていてもよく、製造設備100の直上の天井面などに取り付けられていてもよい。
【0137】
記憶部321aは、近接検知部320aに関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部321aには、人感センサ部324aによる検知結果が記憶される。記憶部321aは、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0138】
処理部322aは、近接検知部320aの全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部322aは、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラで実現される。処理部322aは、近接検知部320aの各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。また、処理部322aは、人感センサ部324aから出力される検知信号を処理する。
【0139】
通信部323aは、近接検知部320aが復旧開始時刻推定装置300の他の構成要素と通信するための通信インタフェースである。通信部323aは、例えば、復旧開始時刻推定装置300の近接時刻決定部330及び処理部312などに送信する。
【0140】
人感センサ部324aは、検知範囲内に進入した人を検知し、人を検知したことを示す検知信号を出力する。検知信号は、例えば、検知範囲内に人が滞在する期間中、出力され続ける。あるいは、検知信号は、検知範囲内への人の進入及び離脱の各々のタイミングで出力されてもよい。処理部322aが検知信号を処理することにより、人の検知範囲への進入時刻、離脱時刻及び滞在時間を特定することができる。人感センサ部324aの検知範囲は、近接検知部320に対応する製造設備100の近接範囲に一致する。これにより、人感センサ部324aは、対応する製造設備100の近接範囲に進入した人(作業者2A)を検知し、進入時刻及び滞在時間を得ることができる。
【0141】
[6-3-2.測距センサ]
次に、近接検知部320が測距センサを備える例について、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施の形態に係る近接検知部の構成の別の一例を示すブロック図である。
【0142】
図14に示される近接検知部320bは、記憶部321bと、処理部322bと、通信部323bと、測距センサ部324bと、を備える。近接検知部320bは、例えば製造設備100と一対一で対応して設けられている。例えば、近接検知部320bは、対応する製造設備100に取り付けられていてもよく、製造設備100の直上の天井面などに取り付けられていてもよい。
【0143】
記憶部321bは、近接検知部320bに関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部321bには、測距センサ部324bによる測距結果が記憶される。また、記憶部321bには、対応する製造設備100の近接範囲を規定するための閾値が記憶されている。閾値は、測距センサ部324bから近接範囲の端までの距離である。記憶部321bは、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0144】
処理部322bは、近接検知部320bの全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部322bは、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラで実現される。処理部322bは、近接検知部320bの各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。また、処理部322bは、測距センサ部324bから出力される測距結果を処理する。
【0145】
通信部323bは、近接検知部320bが復旧開始時刻推定装置300の他の構成要素と通信するための通信インタフェースである。通信部323bは、例えば、復旧開始時刻推定装置300の近接時刻決定部330及び処理部312などに送信する。
【0146】
測距センサ部324bは、作業者2Aまでの距離を測定する。測距の方式は、ToF方式でもよく、ステレオ方式でもよく、特に限定されない。測距センサ部324bは、測定した距離を測距結果として処理部322bに出力する。
【0147】
処理部322bは、測定された距離と、記憶部321bに記憶された閾値とを比較する。処理部322bは、測定された距離が閾値以内である場合に、人(作業者2A)が製造設備100の近接範囲に進入したと判定する。これにより、作業者2Aの近接範囲への進入時刻及び滞在時刻を得ることができる。
【0148】
[6-3-3.測位部]
次に、近接検知部320が測位部を備える例について、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係る近接検知部の構成の別の一例を示すブロック図である。
【0149】
図15に示される近接検知部320cは、記憶部321cと、処理部322bと、通信部323cと、測位部324cと、を備える。近接検知部320cは、例えば複数の製造設備100に対して1つ、又は、工場1内に1つ設けられている。例えば、近接検知部320cは、工場1内の天井面などに取り付けられている。
【0150】
記憶部321cは、近接検知部320cに関わる情報、データ及びプログラムなどを記憶するためのメモリである。例えば、記憶部321cには、測位部324cによる測位結果が記憶される。また、記憶部321cには、工場1内の複数の製造設備100の位置を示す位置情報が記憶されている。位置情報は、製造設備100の近接範囲を示していてもよい。製造設備100の位置は、例えば、工場1の平面図内の二次元座標で表される。記憶部321cは、HDD又は半導体メモリなどの不揮発性記憶装置で実現される。
【0151】
処理部322cは、近接検知部320cの全体的な動作を制御するための処理を行う。処理部322cは、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラで実現される。処理部322cは、近接検知部320cの各構成要素を制御するための命令を生成し、各構成要素に出力する。また、処理部322cは、測位部324cから出力される測距結果を処理する。
【0152】
通信部323cは、近接検知部320cが復旧開始時刻推定装置300の他の構成要素と通信するための通信インタフェースである。通信部323cは、例えば、復旧開始時刻推定装置300の近接時刻決定部330及び処理部312などに送信する。
【0153】
測位部324cは、工場1内の作業者2Aの位置を測定する。例えば、測位部324cは、工場1内の広範囲を撮影可能な広角カメラ、又は、特定の作業者2Aを追尾して撮影する動線カメラなどであるが、これに限らない。測位部324cは、作業者2Aが所持する操作端末と無線通信を行う通信インタフェースであってもよい。測位部324cは、屋内GPS(Global Positioning System)を利用して作業者2Aの位置を測定してもよい。測位部324cは、測定した位置を測距結果として処理部322cに出力する。
【0154】
処理部322cは、測定された作業者2Aの位置と、記憶部321cに記憶された複数の製造設備100の各々の位置とを比較する。処理部322cは、作業者2Aの位置に基づいて、作業者2Aが製造設備100の近接範囲に進入したか否かを判定することができる。これにより、作業者2Aの近接範囲への進入時刻及び滞在時刻を得ることができる。
【0155】
[7.各装置の具体的な動作]
続いて、上述した各装置の具体的な動作について説明する。
【0156】
[7-1.製造設備の動作]
まず、製造設備100の動作について、
図10を適宜参照しながら
図16を用いて説明する。
図16は、本実施の形態に係る製造設備100の動作を示すフローチャートである。
【0157】
図16に示されるように、製造設備100は、製造を開始する場合(S30でYes)、動作開始時刻特定部131は、動作開始時刻を特定し(S31)、特定した動作開始時刻を記憶部111に記憶する(S32)。次に、製造設備100は、製品の製造を行う(S33)。製造設備100が停止するまで(S34でNo)、製品の製造が繰り返される。
【0158】
製造設備100が停止した場合(S34でYes)、停止時刻特定部132は、停止時刻を特定する(S35)。次に、停止要因特定部141は、停止要因を特定する(S36)。次に、処理部112は、特定された停止時刻と、特定された停止要因とを対応付けて記憶部111に記憶する(S37)。
【0159】
以降、ステップS30に戻り、製造設備100は、製造が開始されるまで(S30でNo)、待機する。作業者2Aによる復旧作業などによって製造が開始できるようになった場合(S30でYes)、製造設備100は、ステップS31以降の処理を繰り返す。
【0160】
図16に示される処理は、複数の製造設備100の各々において実行される。このため、製造設備100毎に、動作開始時刻及び停止時刻で示される停止データ(
図4及び
図5を参照)と停止毎の停止要因とが得られる。
【0161】
[7-2.分析装置の動作]
次に、分析装置200の動作について、
図11を適宜参照しながら
図17を用いて説明する。
図17は、本実施の形態に係る分析装置200の動作を示すフローチャートである。
【0162】
図17に示されるように、分析装置200は、通信部213を介して、製造設備100の記憶部111から停止要因と停止時刻と動作開始時刻とを取得する(S41)。次に、分析装置200は、通信部213を介して、復旧開始時刻推定装置300の記憶部311から復旧開始時刻を取得する(S42)。
【0163】
次に、作業時間推定部221は、動作開始時刻から復旧開始時刻を減算した差分を作業時間として算出し(S43)、算出した作業時間を停止要因と対応付けて記憶部211に記憶する(S44)。次に、放置時間推定部222は、復旧開始時刻から停止時刻を減算した差分を放置時間として算出し(S45)、算出した放置時間を停止要因と対応付けて記憶部211に記憶する(S46)。
【0164】
図17に示される処理は、製造設備100が複数回停止した場合、又は、複数の製造設備100が停止した場合、複数回の停止の各々に対して行われる。つまり、停止毎に、停止要因と作業時間と放置時間とが対応付けられて作業分析情報として記憶部211に記憶される。作業分析情報の一例については
図21に示される。なお、
図17に示される処理は、停止が発生する度に都度行われてもよく、1日分などの所定期間中の複数の停止に対してまとめて行われてもよい。
【0165】
なお、作業時間の算出及び記憶(S43、S44)より前に、又は、同時並行的に、放置時間の算出(S45、S46)が行われてもよい。また、製造設備100からの取得(S41)より前に、又は、同時並行的に、復旧開始時刻推定装置300からの取得(S42)が行われてもよい。
【0166】
[7-3.復旧開始時刻推定装置の動作]
次に、復旧開始時刻推定装置300の動作について説明する。復旧開始時刻推定装置300の主な動作は、
図8を用いて既に説明した通りである。以下では、近接検知部320の構成毎に、近接範囲への作業者2Aの進入の判定(
図8のステップS20)の具体的な動作について説明する。
【0167】
[7-3-1.人感センサ]
まず、人感センサ部324aを備える近接検知部320aの動作について、
図13を適宜参照しながら
図18を用いて説明する。
図18は、本実施の形態に係る近接検知部320aの動作を示すフローチャートである。
【0168】
図18に示されるように、近接検知部320aは、人感センサ部324aが人(作業者2A)を検知するまで待機する(S50でNo)。人感センサ部324aが人を検知した場合(S50でYes)、処理部322aは、作業者2Aが近接範囲に進入したと判定する(S51)。
【0169】
以降、ステップS50に戻り、
図18に示される各処理が繰り返される。各処理の繰り返しにおいて、人の検知(S50でYes)が継続することによって、作業者2Aが近接範囲に進入している滞在時間を得ることができる。滞在時間に基づいて、
図8に示されるステップS21の判定を行うことができ、作業者2Aの近接を検出することができる。
【0170】
[7-3-2.測距センサ]
次に、測距センサ部324bを備える近接検知部320bの動作について、
図14を適宜参照しながら
図19を用いて説明する。
図19は、本実施の形態に係る近接検知部320bの動作を示すフローチャートである。
【0171】
図19に示されるように、近接検知部320bでは、測距センサ部324bが作業者2Aまでの距離を計測し(S60)、計測した距離が閾値以下であるか否かを判定する(S61)。計測した距離が閾値より大きい場合(S61でNo)、ステップS60に戻り、近接検知部320bは、作業者2Aまでの距離の計測を繰り返す。計測した距離が閾値以下である場合(S61でYes)、処理部322bは、作業者2Aが近接範囲に進入したと判定する(S62)。
【0172】
以降、ステップS60に戻り、
図19に示される各処理が繰り返される。各処理の繰り返しにおいて、距離が閾値以下であること(S61でYes)が継続することによって、作業者2Aが近接範囲に進入している滞在時間を得ることができる。滞在時間に基づいて、
図8に示されるステップS21の判定を行うことができ、作業者2Aの近接を検出することができる。
【0173】
[7-3-3.測位部]
次に、測位部324cを備える近接検知部320cの動作について、
図15を適宜参照しながら
図20を用いて説明する。
図20は、本実施の形態に係る近接検知部320cの動作を示すフローチャートである。
【0174】
図20に示されるように、近接検知部320cでは、処理部322cが記憶部321aから製造設備100の座標を読み出す(S70)。次に、測位部324cが作業者2Aの位置を検出する(S71)。処理部322cは、作業者2Aの位置と製造設備100の座標とに基づいて作業者2Aと製造設備100との距離を算出する(S72)。処理部322cは、算出した距離が閾値以下であるか否かを判定する(S73)。
【0175】
算出した距離が閾値より大きい場合(S73でNo)、ステップS71に戻り、近接検知部320cは、作業者2Aの位置の測位と距離の算出とを繰り返す。算出した距離が閾値以下である場合(S73でYes)、処理部322cは、作業者2Aが近接範囲に進入したと判定する(S74)。
【0176】
以降、ステップS71に戻り、
図20に示される各処理が繰り返される。各処理の繰り返しにおいて、距離が閾値以下であること(S73でYes)が継続することによって、作業者2Aが近接範囲に進入している滞在時間を得ることができる。滞在時間に基づいて、
図8に示されるステップS21の判定を行うことができ、作業者2Aの近接を検出することができる。
【0177】
[8.統計処理と結果の表示例]
上述したように、分析装置200が作業分析を行った結果、例えば、
図21に示される作業分析情報を得ることができる。
図21は、本実施の形態に係る分析装置200の記憶部211に記憶された作業分析情報の一例を示す図である。
【0178】
図21に示されるように、作業分析情報は、1回の停止毎に、当該停止に関わる情報を含んでいる。具体的には、停止に関わる情報は、製造設備、停止時刻、動作開始時刻、停止時間、停止要因、作業者到着時刻(復旧開始時刻)、放置時間及び作業時間である。なお、複数の作業者が復旧作業を行った場合には、作業者毎に、作業分析情報が生成されて記憶部211に記憶されてもよい。
【0179】
本実施の形態に係る作業分析システム10は、
図21に示される作業分析情報に示される作業時間及び放置時間を統計処理することで、作業者2Aのより詳細な作業分析を行うことができる。統計処理に基づく作業分析の結果は、例えば、作業スキルの向上の支援、及び、生産性の向上の支援に利用することができる。以下では、分析装置200が行う統計処理とその結果の表示例とについて、
図11を適宜参照しながら
図22~
図30を用いて説明する。
【0180】
[8-1.統計作業時間]
まず、統計作業時間の算出方法について、
図22を用いて説明する。
図22は、本実施の形態に係る分析装置200による統計作業時間を算出する処理を示すフローチャートである。
【0181】
図22に示されるように、作業時間統計部231は、記憶部211から停止要因毎の作業時間を取得し(S81)、取得した作業時間を統計処理する(S82)。具体的には、作業時間統計部231は、停止要因毎に作業時間を集計することで、停止要因毎の集計作業時間を算出する。また、作業時間統計部231は、停止要因毎に作業時間の平均を算出することで、停止要因毎の平均作業時間を算出する。
【0182】
次に、表示部215は、統計処理の結果を表示する(S83)。表示の態様は、表及びグラフなどを用いて行われる。例えば、表示部215は、
図23に示されるような平均作業時間のパレート図を表示する。
【0183】
[8-1-1.平均作業時間のパレート図]
図23は、2人の作業者についての停止要因毎の平均作業時間を示すパレート図である。
図23の(a)及び(b)の各々のグラフにおいて、縦軸は平均作業時間を表し、横軸は停止要因を表している。なお、停止要因は、予め定められた固有の識別コードで表している。
【0184】
平均作業時間のパレート図によって、作業時間の要する停止要因を把握することができる。また、作業者間を比較することにより、作業者の作業スキルの良し悪し、及び、向上可能な作業スキルなどを判断することができる。
【0185】
例えば、
図23に示される例では、停止要因毎の平均作業時間の平均値は、作業者Aの方が作業者Bよりも短いので、作業者Aの作業スキルが作業者Bの作業スキルよりも高いと判断できる。また、停止要因「021」について着目すれば、作業者Aの平均作業時間が作業者Bの平均作業時間の半分以下である。したがって、停止要因「021」については、作業者の作業スキルを向上させることにより、作業時間を短縮できることが分かる。一方で、停止要因「029」について着目すると、作業者Aと作業者Bとで平均作業時間がほぼ同じである。したがって、停止要因「029」については、作業スキルを向上させたとしても作業時間の短縮には効果的でないと判断できる。このため、停止要因「029」については製造設備側の改善を行うことで作業時間の短縮が可能になると判断できる。
【0186】
[8-1-2.平均作業時間のボックスプロット]
また、表示部215は、
図24A及び
図24Bに示されるようなボックスプロットを表示してもよい。
【0187】
図24A及び
図24Bはそれぞれ、作業者についての停止要因毎の作業時間を表すボックスプロットである。
図24A及び
図24Bの各々において、縦軸は作業時間を表し、横軸は停止要因を表している。
【0188】
ボックスプロットによって、同じ停止要因に対する作業時間のばらつきを把握することができる。
図24Aに示される作業者Aについては、外れ値が少なく、かつ、ボックスの大きさも小さいので、作業時間のばらつきが少ない。つまり、作業者Aは、同じ停止要因に対して、安定して復旧作業を行うことができ、作業スキルが高いことが分かる。一方で、
図24Bに示される作業者Bについては、外れ値が多く、かつ、その値も大きいので、作業時間のばらつきが多い。つまり、作業者Bは、同じ停止要因に対する復旧作業を行う場合であっても、復旧作業に要する作業時間が安定しておらず、作業スキルが低いことが分かる。また、作業者Aと作業者Bとを比較することにより、作業スキルが向上した場合には安定した復旧作業を行うことができると判断できるので、作業者Bに対する訓練を施すことにより、作業時間の短縮化及び生産性の向上に貢献できることが分かる。
【0189】
[8-1-3.集計作業時間のパレート図]
また、表示部215は、平均作業時間ではなく、集計作業時間を可視化して表示してもよい。例えば、表示部215は、
図25に示されるような集計作業時間のパレート図を表示してもよい。
【0190】
図25は、2人の作業者についての停止要因毎の集計作業時間を表すパレート図である。
図25の(a)及び(b)の各々のグラフにおいて、縦軸は集計作業時間を表し、横軸は停止要因を表している。なお、集計作業時間は、停止要因毎の作業時間の総和(合計)である。つまり、集計作業時間は、平均作業時間と停止の回数との積に相当する。
【0191】
集計作業時間のパレート図によって、工場1の稼働中に最も復旧作業に要した作業時間の合計を把握することができる。つまり、工場1の生産性を向上させるために対策を行うべき停止要因を把握することができる。
【0192】
例えば、
図25に示される例では、停止要因「022」については、作業者A及びBのいずれにおいても集計作業時間が長い。したがって、停止要因「022」については、優先的に対策を行うべきであると判断できる。また、停止要因「021」については、作業者Bの集計作業時間が長い一方で、作業者Aの集計作業時間が短い。つまり、停止要因「021」に対する作業者Bの作業スキルを向上させることにより、集計作業時間を短くすることができ、工場1の生産性を向上させることができることが分かる。
【0193】
[8-2.統計放置時間]
次に、統計放置時間の算出方法について、
図26を用いて説明する。
図26は、本実施の形態に係る分析装置200による統計放置時間を算出する処理を示すフローチャートである。
【0194】
図26に示されるように、放置時間統計部232は、記憶部211から停止要因毎の放置時間を取得し(S91)、取得した放置時間を統計処理する(S92)。具体的には、放置時間統計部232は、停止要因毎に放置時間を集計することで、停止要因毎の放置作業時間を算出する。また、放置時間統計部232は、停止要因毎に放置時間の平均を算出することで、停止要因毎の平均放置時間を算出する。
【0195】
次に、表示部215は、統計処理の結果を表示する(S93)。表示の態様は、表及びグラフなどを用いて行われる。例えば、表示部215は、平均作業時間の場合と同様に、平均放置時間及び/又は集計作業時間のパレート図又はボックスプロットなどを表示する。
【0196】
[8-3.作業順序の改善点]
次に、統計作業時間と統計放置時間とを用いて作業者の作業順序の改善点の有無を判断する方法について、
図11を適宜参照しながら
図27A~
図30を用いて説明する。
【0197】
工場1の生産性を向上させるためには、停止した製造設備100に対して直ちに復旧作業を行うことが望ましい。しかしながら、1人の作業者が複数の製造設備100を担当する場合において、同時に複数の製造設備100が停止したとき、作業者は、停止した複数の製造設備100の復旧作業を同時に行うことが通常できないので、順番に復旧作業を行う必要がある。このとき、復旧作業を行う順序を最適化することにより、工場1全体としても生産性を向上させることができる。具体的には、作業者は、復旧作業に要する作業時間が短い停止要因で停止した製造設備を優先して復旧作業を行うことが望ましい。つまり、平均作業時間が短い要因で停止した製造設備の平均放置時間が短いことが望ましい。
【0198】
図27Aは、停止要因毎の平均作業時間を表すパレート図である。
図27Bは、停止要因毎の平均放置時間を表すパレート図である。
図27A及び
図27Bにおいて、縦軸は平均作業時間又は平均放置時間を表し、横軸は停止要因を表している。
【0199】
図27Aと
図27Bとを比較すると、平均作業時間が短い停止要因「084」、「087」及び「089」で停止した製造設備の平均放置時間が比較的長いことが分かる。また逆に、平均作業時間が長い停止要因「02A」、「035」及び「009」で停止した製造設備の平均放置時間が比較的短いことが分かる。つまり、作業者は、平均作業時間が短くてすぐに復旧できるはずの製造設備の復旧作業よりも、平均作業時間が長くて復旧に時間がかかる製造設備の復旧作業を優先して行っている。このため、停止したまま放置される製造設備が多くなり、結果として工場1の生産性が低下する。
【0200】
理想的には、平均作業時間及び平均放置時間の各々を降順(又は昇順)で並べたときに順位が一致することが望ましい。
図28は、停止要因毎の平均作業時間と平均放置時間との各々の順位を示す図である。
図28に示される平均作業時間の順位と平均放置時間の順位とのずれが小さい程、作業者の作業順序が望ましいと言える。
【0201】
本実施の形態に係る分析装置200は、作業者の作業順序の改善点の有無を判定する。以下では、作業順序の改善点の有無の判定処理について、
図29を用いて説明する。
図29は、本実施の形態に係る分析装置200による作業順序の改善点の有無を判定する処理を示すフローチャートである。
【0202】
図29に示されるように、作業時間統計部231及び放置時間統計部232はそれぞれ、記憶部211から停止要因毎の放置時間及び作業時間を取得し(S101)、取得した放置時間及び作業時間を統計処理する(S102)。次に、比較部241は、停止要因毎の統計作業時間と停止要因毎の統計放置時間との順位相関係数を算出する(S103)。ここでは、比較部241は、平均作業時間と平均放置時間との順位相関係数r
sを算出する。例えば、順位相関係数r
sは、スピアマン(Spearman)の順位相関係数であり、以下の式(1)で表される。
【0203】
【0204】
nは、値のペアの数であり、停止要因の数に相当する。d
iは、対応する停止要因の順位の差である。例えば、
図28に示される例では、停止要因「02A」についてのd
iは、22-1=21になる。順位相関係数r
sが1であれば、平均作業時間の順位と平均放置時間の順位とが一致している。順位相関係数r
sが1に近い程、作業者の作業順序が望ましい。
【0205】
次に、比較部241は、算出した順位相関係数rsと閾値とを比較する(S104)。閾値は、例えば0.6であるが、特に限定されない。順位相関係数rsが閾値以下である場合(S104でYes)、比較部241は、作業順序が異常であると判定する(S105)。つまり、比較部241は、作業者の作業順序は望ましい状態ではなく、改善点があると判定する。表示部215は、作業順序が異常であることを示す表示を行う(S106)。
【0206】
例えば、表示部215は、
図30に示されるグラフを表示する。
図30は、停止要因毎の平均作業時間と平均放置時間との各々の順位を示す折れ線グラフである。
図30では、縦軸は順位を表し、横軸は停止要因を表している。
【0207】
図30では、平均作業時間が降順になるように、停止要因を並べている。このため、平均作業時間の折れ線グラフは、右肩下がりの直線で表される。一方で、平均放置時間の折れ線グラフは、順位の変動が大きい。つまり、平均作業時間と平均放置時間との順位が一致していないことが視覚的に容易に判断可能である。平均作業時間が短い順序で復旧作業を作業者に行わせるように指示又は訓練を行うことで、生産性の向上に貢献することができる。
【0208】
順位相関係数rsが閾値より大きい場合(S104でNo)、比較部241は、作業順序が正常であると判定し(S107)、処理を終了する。
【0209】
なお、比較部241は、スピアマンの順位相関係数rsの代わりに、ピアソンの相関係数又はケンドールの相関係数を算出してもよい。
【0210】
[9.変形例]
続いて、上述した実施の形態の変形例について説明する。本変形例に係る作業分析システムでは、停止した製造設備に対する操作を作業者の近接の判定に利用する。以下では、本変形例に係る製造設備の動作について、
図10を適宜参照しながら
図31を用いて説明する。
【0211】
図31は、本変形例に係る製造設備100の動作を示すフローチャートである。
図31に示される本変形例の動作では、
図16に示される動作と比較して、製造を開始してから、停止設備と停止要因とを対応付けて記憶するまでの処理(S30~S37)は同じである。本変形例に係る製造設備100では、入力部114が作業者2Aからの操作を受けるまで待機する(S38でNo)。入力部114が作業者2Aからの操作を受けた場合(S38でYes)、処理部112は、操作を受け付けた時刻を、作業者2Aが近接した近接時刻、すなわち、復旧開始時刻として取得し(S39)、取得した復旧開始時刻を記憶部111に記憶する(S40)。
【0212】
このように、製造設備100が動作開始時刻、停止時刻及び復旧開始時刻を全て取得することができる。つまり、本変形例に係る作業分析システムは、復旧開始時刻推定装置300を備えなくてよいので、作業分析システムの構成を簡素化することができる。
【0213】
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る作業分析方法、作業分析装置及び作業分析システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0214】
例えば、上記の実施の形態では、停止要因と作業時間及び/又は放置時間とを対応付けて記憶したが、これに限らない。設備の識別情報と作業時間及び/又は放置時間とを対応付けて記憶してもよい。あるいは、作業者毎に、停止要因及び設備の識別情報のいずれの区別をせずに、作業時間及び/又は放置時間が記憶されていてもよい。
【0215】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で無線通信が行われる場合、無線通信の方式(通信規格)は、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信である。あるいは、無線通信の方式(通信規格)は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信でもよい。また、装置間においては、無線通信に代えて、有線通信が行われてもよい。有線通信は、具体的には、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)又は有線LANを用いた通信などである。
【0216】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、作業分析システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。
【0217】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0218】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0219】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0220】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0221】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0222】
また、上記の各実施の形態は、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本開示は、より正確な作業分析を行うことができる作業分析方法などとして利用でき、例えば、工場の作業分析システム、管理システム、製造システム、作業者のスキル向上の支援システムなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0224】
1 工場
2A、2B、2C、2D 作業者
3A 動線
10 作業分析システム
100、100a、100b、100c、101、102、103、104 製造設備
101a、102a、103a、104a 近接範囲
111、211、311、321a、321b、321c 記憶部
112、212、312、322a、322b、322c 処理部
113、213、313、323a、323b、323c 通信部
114、214 入力部
115、215 表示部
121 材料投入部
122 搬送部
123 製造部
124 製品出力部
131 動作開始時刻特定部
132 停止時刻特定部
141 停止要因特定部
200 分析装置
221 作業時間推定部
222 放置時間推定部
231 作業時間統計部
232 放置時間統計部
241 比較部
300 復旧開始時刻推定装置
320、320a、320b、320c 近接検知部
324a 人感センサ部
324b 測距センサ部
324c 測位部
330 近接時刻決定部
400 作業分析装置
500 ネットワーク