IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7570046生産計画作成方法および生産計画作成装置
<>
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図1
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図2
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図3
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図4
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図5
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図6
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図7
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図8
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図9
  • 特許-生産計画作成方法および生産計画作成装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】生産計画作成方法および生産計画作成装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241011BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023121259
(22)【出願日】2023-07-26
(62)【分割の表示】P 2018210984の分割
【原出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2023153886
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕起
(72)【発明者】
【氏名】相良 博喜
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/019500(WO,A1)
【文献】特開平05-138467(JP,A)
【文献】特開平11-232339(JP,A)
【文献】特開2002-108434(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146772(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生産設備を備えた複数の生産ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を作成する生産計画作成方法であって、
前記複数の生産ラインのうち一の生産ラインで前記複数の品種の実装基板のうち一の品種の実装基板を生産するサイクルタイムである概算サイクルタイムを算出し
記概算サイクルタイムに基づいて、前記複数の品種の実装基板それぞれに対して、前記複数の生産ラインのうちのいずれかの生産ラインを割り当て、
前記複数の生産ラインについて、その生産ラインに割り当てられた複数の品種の実装基板をグルーピングし、
グルーピングされた複数の品種の実装基板を生産する前記生産設備を含む前記複数の生産設備の構成を決定し、
前記複数の生産設備の構成に基づいて、前記複数の生産ラインでその生産ラインに割り当てられた品種の実装基板を生産するのに要するサイクルタイムを算出し、算出されたサイクルタイムに基づいて生産計画を作成する、生産計画作成方法。
【請求項2】
前記複数の生産ラインは複数の種類の前記生産設備を備え、
前記複数の生産ラインそれぞれの前記概算サイクルタイムは、前記生産設備の種類別の生産作業に要する時間に関する情報に基づいて算出される、請求項1に記載の生産計画作成方法。
【請求項3】
前記生産ラインが備える複数の生産設備のうちサイクルタイムが最も長い前記生産設備のサイクルタイムに基づいて、生産計画を作成する、請求項1または2に記載の生産計画作成方法。
【請求項4】
作成された前記生産計画において、納期遅延となる実装基板の品種がある場合は、
納期遅延となる実装基板の品種の割り当てを他の生産ラインに変更し、生産計画を再作成する、請求項1に記載の生産計画作成方法。
【請求項5】
前記複数の生産ラインについて、その生産ラインで実装基板を生産するときの前記概算サイクルタイムを実装基板の品種毎に算出する、請求項1に記載の生産計画作成方法。
【請求項6】
複数の生産設備を備えた複数の生産ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を作成する生産計画作成装置であって、
前記複数の生産ラインのうち一の生産ラインで前記複数の品種の実装基板のうち一の品種の実装基板を生産するサイクルタイムである概算サイクルタイムを算出する概算サイクルタイム算出部と
記概算サイクルタイムに基づいて、前記複数の品種の実装基板それぞれに対して、前記複数の生産ラインのうちのいずれかの生産ラインを割り当てる生産ライン割り当て部と、
前記複数の生産ラインについて、その生産ラインに割り当てられた複数の品種の実装基板をグルーピングし、
グルーピングされた複数の品種の実装基板を生産する前記生産設備を含む前記複数の生産設備の構成を決定し、
前記複数の生産設備の構成に基づいて、割り当てられた実装基板の品種を生産するのに要するサイクルタイムを算出するサイクルタイム算出部と、
算出されたサイクルタイムに基づいて生産計画を作成する生産計画更新部と、を備える、生産計画作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の生産ラインにより複数の品種の製品を生産する生産計画を作成する生産計画作成方法および生産計画作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備を備える複数の生産ラインにより基板に部品を実装した実装基板などの製品を生産する際は、複数の品種が所定の生産納期に所定の生産量を生産できるように各生産ラインへの品種の割り当てと生産順序を含む生産計画が作成される。また、各生産ラインでは、生産する品種に合わせた生産設備の構成と生産作業順序などを含む生産データが作成される。生産データを作成する際は、品種の変更で生産設備の構成を変更する段取り替えが少なくなるように生産設備の構成などが作成される。
【0003】
ところで、生産ラインでは、生産計画が作成されて生産する品種が決まらないと生産データを作成することができないが、反対に生産データが決まらないと品種の生産に要する正確な時間を算出することができずに精度の高い生産計画を作成することができない。すなわち、生産計画と生産データは循環参照の関係にあり、予測精度と生産効率が高い生産計画と生産データを同時に作成するには、スキルの高い熟練作成者が長い作成時間をかけて作成する必要がある。特許文献1には、生産計画と生産データ(加工工程計画)を同時に作成するにあたり、作業者の作成作業を支援するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/137159号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムを含む従来技術では、作成される生産計画と生産データの質は作業者のスキルに依存し、また、生産する品種の数が増加すると作成作業に要する時間が指数関数的に増加するという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、予測精度と生産効率が高い生産計画を自動で作成することができる生産計画作成方法および生産計画作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生産計画作成方法は、複数の生産設備を備えた複数の生産ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を作成する生産計画作成方法であって、前記複数の生産ラインのうち一の生産ラインで前記複数の品種の実装基板のうち一の品種の実装基板を生産するサイクルタイムである概算サイクルタイムを算出し、前記概算サイクルタイムに基づいて、前記複数の品種の実装基板それぞれに対して、前記複数の生産ラインのうちのいずれかの生産ラインを割り当て、前記複数の生産ラインについて、その生産ラインに割り当てられた複数の品種の実装基板をグルーピングし、グルーピングされた複数の品種の実装基板を生産する前記生産設備を含む前記複数の生産設備の構成を決定し、前記複数の生産設備の構成に基づいて、前記複数の生産ラインでその生産ラインに割り当てられた品種の実装基板を生産するのに要するサイクルタイムを算出し、算出されたサイクルタイムに基づいて生産計画を作成する。
【0008】
本発明の生産計画作成装置は、複数の生産設備を備えた複数の生産ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を作成する生産計画作成装置であって、前記複数の生産ラインのうち一の生産ラインで前記複数の品種の実装基板のうち一の品種の実装基板を生産するサイクルタイムである概算サイクルタイムを算出する概算サイクルタイム算出部と、前記概算サイクルタイムに基づいて、前記複数の品種の実装基板それぞれに対して、前記複数の生産ラインのうちのいずれかの生産ラインを割り当てる生産ライン割り当て部と、前記複数の生産ラインについて、その生産ラインに割り当てられた複数の品種の実装基板をグルーピングし、グルーピングされた複数の品種の実装基板を生産する前記生産設備を含む前記複数の生産設備の構成を決定し、前記複数の生産設備の構成に基づいて、割り当てられた実装基板の品種を生産するのに要するサイクルタイムを算出するサイクルタイム算出部と、算出されたサイクルタイムに基づいて生産計画を作成する生産計画更新部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予測精度と生産効率が高い生産計画を自動で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装ラインの構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装装置の平面図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装装置の部分断面図
図5】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画作成装置)の構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画作成装置)で使用される生産計画情報の一例の説明図
図7】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画作成装置)において算出されたサイクルタイム情報の一例の説明図
図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画作成装置)において算出された製品共通度の一例の説明図
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画作成装置)において作成された生産計画の一例の説明図
図10】本発明の一実施の形態の生産計画作成方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装ライン、部品実装装置などの仕様に応じ、適宜変更が可能である。
【0012】
以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図3、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図3における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図3における上下方向)が示される。図4では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図4における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
【0013】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、フロアFに配置された3本の部品実装ラインL1~L3を通信ネットワーク2によって接続し、管理コンピュータ3によって管理する構成となっている。部品実装ラインL1~L3は、フロアFに設けられた生産エリアApに配置されている。各部品実装ラインL1~L3は、後述するようにスクリーン印刷装置、部品実装装置を含む複数の生産設備を連結して構成され、基板に部品を実装した実装基板(製品)を生産する機能を有している。なお、部品実装システム1が備える部品実装ラインL1~L3は3本である必要はなく、2本及び4本以上でも良い。
【0014】
フロアFに設けられた生産エリアApとは異なる準備エリアAsには、配置作業支援装置4が配置されている。配置作業支援装置4は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。配置作業支援装置4には、後述する配置作業の対象となる交換用の台車5が接続される。準備エリアAsには、配置作業の実行前、実行中、または実行後など、多様な状態の複数の台車5が保管されている。また、準備エリアAsには、フロアFに配置された生産設備で共用される複数のスクリーンマスク、テープフィーダ9、実装ヘッド12、吸着ノズル12b、リール17(図4参照)などの着脱可能な要素が保管されている。
【0015】
図1において、配置作業支援装置4に接続された台車5には、これから部品実装ラインL1~L3において生産する実装基板の品種に対応する作業指示に従った配置作業が行われる。作業者は配置作業として、指示された部品を供給する複数のテープフィーダ9やリール17などを台車5から外す作業、台車5の指示された位置に取り付ける作業などを実行する。配置作業支援装置4に接続された台車5を含む準備エリアAsにある台車5には、部品実装ラインL1~L3における実装基板の生産と並行して配置作業を実行することができる。以下、台車5に対する配置作業を含む、部品実装ラインL1~L3外での品種変更のための準備作業を外段取り作業と称する。
【0016】
部品実装ラインL1~L3において生産する実装基板の品種を変更する際、作業者は準備エリアAsにおいて配置作業が終了した台車5を部品実装ラインL1~L3まで移動させ、部品実装装置に装着されている台車5と交換する品種切替作業を実行する。また品種切替作業では、作業者は準備エリアAsに保管されている交換用のスクリーンマスク、テープフィーダ9、実装ヘッド12、吸着ノズル12b、リール17などを部品実装ラインL1~L3まで移動させて交換する。以下、台車5を交換する品種切替作業を含む、部品実装ラインL1~L3内での品種変更のための準備作業を内段取り作業と称する。
【0017】
次に図2を参照して、部品実装ラインL1~L3の詳細な構成を説明する。部品実装ラインL1~L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL1について説明する。部品実装ラインL1は、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、部品実装装置M3~M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8などの生産設備を直列に連結して構成されている。なお、部品実装ラインL1は通信ネットワーク2を介して接続される生産設備群であって、物理的に生産設備同士が連結されていなくてもよい。
【0018】
基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、部品実装装置M3~M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。基板供給装置M1は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、収納部から取り出した基板を下流側の装置に供給する基板供給作業を実行する。スクリーン印刷装置M2は、印刷作業部に装着されたスクリーンマスクを介して上流側から搬入された基板に半田を印刷する半田印刷作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、スクリーン印刷装置M2と並設して、もしくはスクリーン印刷装置M2の代わりにディスペンサを用いて半田を基板に塗布する半田塗布装置を備えてもよい。スクリーン印刷装置M2および半田塗布装置は、基板に半田を堆積させる印刷装置である。
【0019】
部品実装装置M3~M6は、半田が堆積された基板に部品を実装ヘッド12で実装する部品実装作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されることなく、部品実装装置M3~M6が1~3台であっても5台以上であってもよい。リフロー装置M7は、装置内に搬入された基板を基板加熱部によって加熱して、基板上の半田を硬化させ、基板の電極部と部品とを接合する基板加熱作業を実行する。基板回収装置M8は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、上流側の装置が搬出する基板を受け取って収納部に回収する基板回収作業を実行する。
【0020】
次に図3図4を参照して、部品実装装置M3~M6の構成を説明する。部品実装装置M3~M6は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M3について説明する。部品実装装置M3は、部品Dを基板Bに実装する機能を有している。図3において、基台6の中央には、基板搬送機構7がX方向に設置されている。基板搬送機構7は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッド12による実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構7は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。基板搬送機構7の両側方には、部品供給部8が設置されている。
【0021】
部品供給部8には、それぞれ複数のテープフィーダ9がX方向に並列に装着された台車5が取り付けられている。テープフィーダ9は、部品Dを格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部8の外側から基板搬送機構7に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッド12が部品Dをピックアップする部品取出し位置に部品Dを供給する。すなわち、テープフィーダ9は、部品Dを供給する部品供給装置である。なお、部品供給装置はテープフィーダ9の他、トレイに載置した部品Dを供給するトレイフィーダ、中空のスティックに整列保持した部品Dを供給するスティックフィーダなどを使用してもよい。
【0022】
図3において、基台6の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル10が配置されている。Y軸テーブル10には、同様にリニア機構を備えたビーム11がY方向に移動自在に結合されている。ビーム11には、実装ヘッド12がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド12は、複数(ここでは8つ)のノズルユニット12aを備えている。実装ヘッド12は、ノズルユニット12aの数などが異なる複数の種類が準備されている。
【0023】
図4において、各ノズルユニット12aの下端部には、部品Dを真空吸着して保持する吸着ノズル12bが装着されている。吸着ノズル12bは、吸着する部品Dのサイズや形状などに対応して、ノズルの形状などが異なる複数の種類が準備されている。
【0024】
図3において、Y軸テーブル10およびビーム11は、実装ヘッド12を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構13を構成する。実装ヘッド移動機構13および実装ヘッド12は、部品供給部8に装着されているテープフィーダ9の部品取出し位置から部品Dを吸着ノズル12bによって吸着してピックアップする。そして、実装ヘッド移動機構13は、基板搬送機構7に保持された基板Bの実装位置に実装ヘッド12を移送して実装する部品実装作業を実行する。実装ヘッド12がテープフィーダ9から部品Dを取り出して基板Bに実装するまでの時間は、台車5におけるテープフィーダ9の位置(生産設備の構成)に依存する。例えば、基板Bに実装される実装点数が多い部品Dを供給するテープフィーダ9を台車5の中心付近に配置することで、実装ヘッド12の移動距離を縮小して実装時間を短縮することができる。
【0025】
図3図4において、ビーム11には、ビーム11の下面側に位置して実装ヘッド12とともに一体的に移動するヘッドカメラ14が装着されている。実装ヘッド12が移動することにより、ヘッドカメラ14は基板搬送機構7の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。
【0026】
部品供給部8と基板搬送機構7との間には、部品認識カメラ15が設置されている。部品認識カメラ15は、部品供給部8から部品Dを取り出した実装ヘッド12が上方を移動する際に、吸着ノズル12bに保持された部品Dを撮像して保持位置などを認識する。実装ヘッド12による部品Dの基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ14による基板Bの認識結果と部品認識カメラ15による部品Dの認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0027】
図4において、台車5の前側には、部品Dを収納するキャリアテープ16が巻回されたリール17が保持されている。テープフィーダ9は、リール17に収納されているキャリアテープ16をテープ送り方向に搬送して実装ヘッド12による部品取り出し位置に部品Dを供給する。テープフィーダ9は、搬送するキャリアテープ16の幅に対応して幅などが異なる複数の種類が準備されている。
【0028】
次に図5を参照して、管理コンピュータ3の構成について説明する。管理コンピュータ3は、処理部20、記憶装置である生産計画記憶部23、生産データ記憶部24、ライン情報記憶部25の他、入力部26、表示部27を備えている。処理部20はCPUなどのデータ処理装置であり、内部処理部として生産計画作成部21、生産データ作成部22を備えている。なお、管理コンピュータ3は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置の全てもしくは一部をサーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0029】
入力部26は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部27は液晶パネルなどの表示装置であり、各記憶部が記憶する各種データを表示する他、入力部26による操作のための操作画面、生産計画表示画面、報知画面などの各種情報を表示する。
【0030】
図5において、生産計画記憶部23には、生産計画情報23a、品種情報23b、サイクルタイム情報23c、切り替え時間情報23d、評価指標値情報23eなどが記憶されている。生産計画情報23aには、生産される実装基板のロットを特定するロット番号毎に、生産する品種を特定する情報、生産枚数、生産に着手可能な着手可能日時と生産納期、実装基板を生産する部品実装ラインL1~L3を特定する情報、着手予定日時と終了予定日時、作業者の勤務計画などを含む生産計画が記憶されている。
【0031】
ここで図6を参照して、生産計画情報23aの例について説明する。生産計画情報23aには、ロット番号31、品種番号32、生産枚数33、着手可能日時34、生産納期35が含まれている。ロット番号31は、部品実装ラインL1~L3において生産される実装基板のロットを特定する情報である。品種番号32は、実装基板の品種を特定する情報である。生産枚数33は、ロットにおける実装基板の生産枚数である。着手可能日時34は、フロアFに部品Dなどが揃って生産が着手可能となる日時である。生産納期35は、実装基板の生産を完了しなければならない日時である。以下、ロット番号31が「A」のロットを単に「ロットA」と、品種番号32が「X1」の品種を単に「品種X1」などと称する。
【0032】
図5において、品種情報23bには、生産される実装基板の品種を特定する品種番号32毎に、基板Bに実装される部品Dの部品種、実装位置など部品実装作業に必要な情報が記憶されている。サイクルタイム情報23cには、部品実装ラインL1~L3が備える生産設備に基板Bが搬入されてから生産作業が実行されて搬出されるまでの生産設備毎のサイクルタイムの最大値が、実装基板の品種毎に記憶されている。
【0033】
切り替え時間情報23dには、生産する品種を切り替える外段取り作業時間、内段取り作業時間が、切り替え前後の品種の組合せ毎に記憶されている。評価指標値情報23eには、基板Bに実装する1時間当たりの部品数(実装点数)などの生産効率に関する指標、生産に必要な作業者の人数(工数)などの人的資産に関する指標などの評価指標値が、実装基板の品種毎に記憶されている。なお、1時間当たりの実装点数は多いほど、作業者の人数は少ないほど、評価が高いと評価される。
【0034】
図5において、生産データ記憶部24には、生産データ情報24aなどが記憶されている。生産データ情報24aには、部品実装ラインL1~L3に割り当てられた品種(ロット)毎に、テープフィーダ9およびリール17の台車5における配置位置、部品実装装置M3~M6に装着される実装ヘッド12、吸着ノズル12bの位置と種類などの生産設備の構成に関する情報が記憶されている。また生産データ情報24aには、部品実装ラインL1~L3に割り当てられた品種(ロット)がグルーピングされている場合は、同じグループに属する品種(ロット)の情報、台車5に共通配置されるテープフィーダ9およびリール17の配置位置などの情報も含まれている。
【0035】
ライン情報記憶部25には、ライン構成情報25a、生産設備情報25bなどが記憶されている。ライン構成情報25aには、各部品実装ラインL1~L3を構成する生産設備の種類、連結された順番などの生産ラインの構成に関する情報が記憶されている。生産設備情報25bには、部品実装ラインL1~L3を構成する生産設備の種類別に、生産作業における作業毎の所要時間など生産に要する時間に関する情報が記憶されている。例えば、生産設備情報25bには、各生産設備における基板Bの搬入時間、搬出時間、スクリーン印刷装置M2における基板1枚あたりの印刷時間、部品実装装置M3~M6における部品1個あたりの実装時間などが記憶されている。
【0036】
図5において、生産計画作成部21は、内部処理部として概算サイクルタイム算出部21a、生産ライン割り当て部21b、生産順序作成部21c、サイクルタイム算出部21d、生産計画更新部21e、切り替え時間算出部21f、評価指標値算出部21g、割り当て変更部21h、遅延判定部21iを備えている。生産データ作成部22は、内部処理部としてグループ作成部22a、設備構成決定部22bを備えている。
【0037】
概算サイクルタイム算出部21aは、生産量(生産枚数33)、生産納期35を含む生産する品種(ロット)の情報(生産計画情報23a)と複数の生産ライン(部品実装ラインL1~L3)が備えた生産設備の情報(ライン構成情報25a、生産設備情報25b)とから、生産設備の構成を最適化した条件で品種を生産するのに要する概算サイクルタイムを生産ライン毎、品種毎に算出してサイクルタイム情報23cに記憶させる。
【0038】
ここで図7を参照して、図6に示す生産計画情報23aに基づいて算出された概算サイクルタイムを含むサイクルタイム情報23cの例について説明する。サイクルタイム情報23cには、品種番号32毎に部品実装ラインL1で生産した場合の概算サイクルタイム36a、部品実装ラインL2で生産した場合の概算サイクルタイム36b、部品実装ラインL3で生産した場合の概算サイクルタイム36cが記憶されている。
【0039】
概算サイクルタイム36は、部品実装ラインL1~L3の生産設備の構成などに起因して部品実装ラインL1~L3毎に異なっている。例えば品種X1は、部品実装ラインL1での概算サイクルタイム36aは「240秒」、部品実装ラインL3での概算サイクルタイム36cは「260秒」である。また、概算サイクルタイム36に「-」が記憶されている部品実装ラインL1~L3では、その品種の生産ができないことを示している。例えば品種X1は、部品実装ラインL2では生産できない。
【0040】
すなわち、概算サイクルタイム36cは、既存の部品実装ラインL1~L3の構成でテープフィーダ9やノズルユニット12aの配置、複数の品種(ロット)間の製品共通化等の最適化をしていない状態で、その品種の生産した場合に掛かるサイクルタイムである。なお、その品種を生産するのに必須の着脱可能な要素がある場合は、必須の要素があると仮定して概算サイクルタイムが算出される。また、その品種を生産するのに必須の生産設備がある場合は、その生産設備を備える部品実装ラインのみで概算サイクルタイムが算出される。
【0041】
図5において、生産ライン割り当て部21bは、概算サイクルタイム36と生産枚数33など生産するロット(品種)の情報(生産計画情報23a)とに基づいて、生産ライン(部品実装ラインL1~L3)に生産するロット(品種)を割り当てて、生産計画情報23aに記憶させる。例えば、生産ライン割り当て部21bは、概算サイクルタイム36と生産枚数33に基づいて求まるロット(品種)の生産時間に偏りが生じないように、各ロットを部品実装ラインL1~L3に割り当てる。その際、生産ライン割り当て部21bは、概算サイクルタイム36に「-」が記憶されている生産が不可能な部品実装ラインL1~L3には当該ロット(品種)を割り当てない。
【0042】
グループ作成部22aは、生産計画情報23aに含まれる品種の割り当てに基づいて、生産ライン(部品実装ラインL1~L3)毎に、割り当てられた複数の品種(ロット)間の製品共通度を算出し、算出した製品共通度に基づいて複数の品種を台車5にテープフィーダ9、リール17を共通配置するグループとしてグルーピングする。グループ作成部22aは、グループに関する情報を生産計画情報23aに記憶させる。
【0043】
ここで図8を参照して、グループ作成部22aによる図6に示す生産計画情報23aのロットA~H(品種X1~X8)をグルーピングする例について説明する。ここでは、生産ライン割り当て部21bによって、部品実装ラインL1にロットA,B(品種X1,X2)、部品実装ラインL2にロットC,D,E(品種X3,X4,X5)、部品実装ラインL3にロットF,G,H(品種X6,X7,X8)が割り当てられているとする。グループ作成部22aは、部品実装ラインL1~L3毎に、品種間の部品共通度37を算出する。
【0044】
図8(a)において、部品実装ラインL1に割り当てられたロットA,Bの品種X1,X2間の部品共通度37は「22%」と低く、グループ作成部22aは品種X1,X2をグループ化しないと判断する。図8(b)において、部品実装ラインL2に割り当てられたロットC,D,Eのうち品種X3,X4間の部品共通度37は「92%」、品種X3,X5間の部品共通度37は「80%」、品種X4,X5間の部品共通度37は「88%」といずれも高く、グループ作成部22aは品種X3,X4,X5をグループ化すると判断する。
【0045】
図8(c)において、部品実装ラインL3に割り当てられたロットF,G,Hのうち品種X6,X7間の部品共通度37は「85%」と高いが、品種X6,X8間の部品共通度37は「40%」、品種X7,X8間の部品共通度37は「36%」と低く、グループ作成部22aは品種X6,X7のみグループ化すると判断する。なお、上述では、部品共通度37が「80%」以上のロット同士をグループ化したが、これは一例であり、作業者によって設定された部品共通度37の数値によってグループ化するかしないかの判断がなされる。また、数値による判断以外に部品共通度37が上位から高い順に設定数だけをグループ化させる方式でもよい。
【0046】
図5において、生産順序作成部21cは、生産計画情報23aに含まれる割り当てられた生産ライン、グループに関する情報に基づいて、部品実装ラインL1~L3毎にロットとグループの生産順序、グループに属するロットの生産順序を作成して生産計画情報23aに記憶させる。すなわち、生産順序作成部21cは、生産ラインのそれぞれについて、割り当てられた複数のロット(品種)の生産順序を作成する。
【0047】
設備構成決定部22bは、生産計画情報23aに含まれる割り当てられた生産ライン、グループ、生産順序に関する情報、品種情報23b、ライン構成情報25a、生産設備情報25bに基づいて、ロット毎に各生産設備の構成を決定し、生産データ情報24aに記憶させる。設備構成決定部22bは、ロットがグルーピングされている場合は、台車5の交換を要することなくグループに属するロットが生産可能なように、台車5にテープフィーダ9とリール17が共通配置されるように生産設備の構成を決定する。
【0048】
図5において、サイクルタイム算出部21dは、生産計画情報23a、生産データ情報24aに含まれる生産設備の構成に基づいて、決定された生産設備の構成においてグルーピングされた複数のロットを含む品種を生産するのに要するサイクルタイムを品種毎に算出し、サイクルタイム情報23cに記憶させる。切り替え時間算出部21fは、生産計画情報23a、生産データ情報24aに基づいて、各部品実装ラインL1~L3(生産ライン)における生産設備の構成を次の品種用に変更する切り替え時間である内段取り作業時間を算出して切り替え時間情報23dに記憶させる。
【0049】
内段取り作業時間には、グループ内の品種に切り替える場合は部品実装装置M3~M6に装着されている台車5のテープフィーダ9、リール17の交換作業が含まれ、グループ外の品種に切り替える場合は外段取り作業で準備された台車5を部品実装装置M3~M6に装着されている台車5と交換する作業の作業時間がさらに含まれる。また、切り替え時間算出部21fは、準備エリアAsにおいて実行される外段取り作業に要する外段取り作業時間を算出して切り替え時間情報23dに記憶させる。
【0050】
図5において、生産計画更新部21eは、サイクルタイム情報23cに含まれるサイクルタイム、切り替え時間情報23dに含まれる内段取り作業時間(切り替え時間)、生産計画情報23aに基づいて、生産計画を更新する。すなわち、生産計画更新部21eは、割り当てられた生産ライン、生産順序、グループは変更せずに、実際の生産に即した生産設備の構成と切り替え作業時間に基づく生産計画を作成して生産計画情報23aに記憶させる。
【0051】
図9(a)は、更新された生産計画(生産計画情報23a)を時系列で示している。部品実装ラインL1では、ロットAとロットBがこの生産順序で生産され、ロットAとロットBの生産開始前の切り替え作業では台車5の交換が行われる。部品実装ラインL2では、グルーピングされたロットC,D,Eがこの生産順序で生産され、ロットCの生産開始前にはロットC,D,E用に共通配置された台車5を装着する切り替え作業が行われる。
【0052】
また、ロットDとロットEの生産開始前には、部品実装装置M3~M6に装着されている台車5に装着されている一部のテープフィーダ9、リール17、部品実装装置M3~M6に備えられる吸着ノズル12b、スクリーン印刷装置M2に備えられるスクリーンマスク、半田ペースト等の着脱可能な要素の少なくともひとつを交換する切り替え作業のみが行われる。なお、ロットDとロットEの生産開始前の切り替え作業が省略可能な場合もある。
【0053】
部品実装ラインL3では、グルーピングされたロットF,Gがこの生産順序で生産した後、ロットHが生産される。ロットFの生産開始前にはロットF,G用に共通配置された台車5を装着する切り替え作業が行われ、ロットGの生産開始前には部品実装装置M3~M6に装着されている台車5に装着されている一部のテープフィーダ9、リール17を交換する切り替え作業のみが行われる。また、ロットHの生産開始前の切り替え作業では台車5の交換が行われる。
【0054】
図5において、評価指標値算出部21gは、生産計画情報23aに含まれる更新された生産計画に対する評価指標値を算出して評価指標値情報23eに記憶させる。例えば、評価指標値算出部21gは、更新された生産計画における品種毎の1時間当たりの実装点数、時間毎の作業者の必要数を評価指標値として算出する。評価指標値算出部21gは、作業者の必要数の算出では、切り替え時間情報23dに含まれる外段取り作業時間に基づいて、準備エリアAsにおける外段取り作業に必要な人数も算出する。
【0055】
割り当て変更部21hは、評価指標値情報23eに含まれる評価指標値が所定値より大きいか否かを判断する。割り当て変更部21hは、評価指標値が所定値より小さい場合は、評価指標値が所定値を上回るように、品種(ロット)の割り当てを他の生産ラインに変更し、生産計画情報23aを更新する。
【0056】
図5において、遅延判定部21iは、生産計画情報23aに基づいて、生産終了予想時刻が生産納期35より遅くなる品種(ロット)があるか否かを判定する。すなわち、遅延判定部21iは、生産計画における納期遅延となる品種の有無を判定する。割り当て変更部21hは、納期遅延となる品種(ロット)がある場合は、納期遅延となる品種の割り当てを他の生産ラインに変更し、生産計画情報23aを更新する。
【0057】
図9(b)は、図9(a)に示す生産計画でロットBが納期遅延と判定されたため、ロットBの生産ラインを部品実装ラインL3に変更し、部品実装ラインL3に割り振られていたロットHを部品実装ラインL1に割り当てる変更がなされた後の生産計画(生産計画情報23a)を時系列で示している。図9(b)に示す生産計画は、品種の割り当てが変更された後に、生産順序作成部21c、生産計画更新部21eによる最適化がなされている。
【0058】
すなわち、部品実装ラインL3における生産順序は、ロットB、グルーピングされたロットF,Gの順に変更されている。さらに、部品実装ラインL1~L3の台車5の交換を伴う品種の切り替え作業が重ならないよう、部品実装ラインL1のロットAの生産開始時間、部品実装ラインL2のロットCの生産開始時間が変更されている。これによって、フロアFにおける作業者の必要人数を削減して評価指標値を向上することができる。
【0059】
次に図10のフローに沿って、管理コンピュータ3(生産計画作成装置)によって、生産設備を備えた複数の生産ライン(部品実装ラインL1~L3)により複数の品種の製品(実装基板)を生産する生産計画を作成する生産計画作成方法について説明する。まず、概算サイクルタイム算出部21aは、生産計画情報23a、ライン構成情報25a、生産設備情報25bに基づいて、最適条件で複数の生産ラインのそれぞれで複数の品種(ロット)のそれぞれを生産するのに要する概算サイクルタイム36を算出する(ST1:概算サイクルタイム算出工程)。
【0060】
次いで生産ライン割り当て部21bは、算出された概算サイクルタイム36と生産計画情報23aに基づいて、各生産ラインに生産する品種(ロット)を割り当てる(ST2:品種割り当て工程)。次いでグループ作成部22aは、生産ラインのそれぞれについて、割り当てられた複数の品種の製品共通度に基づいて複数の品種をグルーピングする(ST3:グループ作成工程)。次いで設備構成決定部22bは、グルーピングされた生産設備の構成(共通配置)を含む品種(ロット)を生産するための生産設備の構成を決定する(ST4:設備構成決定工程)。決定された生産設備の構成は、生産データ情報24aとして記憶される。
【0061】
図10において、次いで生産順序作成部21cは、生産ラインのそれぞれについて、割り当てられた複数の品種(ロット)の生産順序を作成する(ST5:生産順序作成部)。次いでサイクルタイム算出部21dは、設備構成決定工程(ST4)において決定された生産設備の構成において、グルーピングした複数の品種(ロット)を含むそれぞれの品種を生産するのに要するサイクルタイムを算出する(ST6:サイクルタイム算出工程)。
【0062】
次いで切り替え時間算出部21fは、生産ラインにおいて生産設備の構成を次の品種(ロット)用に変更する切り替え時間(外段取り時間、内段取り時間)を算出する(ST7:切り替え時間算出工程)。次いで生産計画更新部21eは、算出されたサイクルタイムと切り替え時間に基づいて、生産計画情報23aに含まれる生産計画を更新する(ST8:生産計画更新工程)(図9(a)参照)。
【0063】
図10において、次いで遅延判定部21iは、更新された生産計画において納期遅延となる品種(ロット)があるか否を判定する(ST9:納期遅延判定工程)。納期遅延がない場合(ST9においてNo)、評価指標値算出部21gは、生産計画に対する評価指標値を算出する(ST10:評価指標値算出工程)。次いで割り当て変更部21hは、評価指標値が所定値より大きいか否かを判断する(ST11:評価指標値判断工程)。評価指標値が所定値を上回る場合(ST11においてYes)、生産計画情報23aに記憶されている生産計画が生産計画に決定される。
【0064】
評価指標値が所定値より小さい場合(ST11においてNo)、割り当て変更部21hは、評価指標値が所定値を上回るように、品種(ロット)の割り当てを他の生産ラインに変更する(ST12:割り当て変更工程)。また、納期遅延判定工程(ST9)において納期遅延となる品種(ロット)がある場合は(Yes)、割り当て変更工程(ST12)を実行して、納期遅延となる品種の割り当てを他の生産ラインに変更する。
【0065】
割り当て変更工程(ST12)において品種の割り当てが変更されると、グループ作成工程(ST3)に戻って生産計画更新工程(ST8)までの工程が再度実行されて、生産計画が更新される。その後、納期遅延の発生判定(ST9)と評価指標値の判定が実行される(ST10、11)。すなわち、納期遅延が発生せず、かつ、評価指標値が所定値を上回るように生産計画が最適化される。なお、最適化ループを所定回数繰り返しても納期遅延が発生し、または、評価指標値が所定値を上回れない場合は最適化を終了して、管理コンピュータ3の表示部27にその旨を報知するようにしてもよい。
【0066】
上記のように、本実施の形態の生産計画作成方法では、予測精度と生産効率が高い生産計画を自動で作成することができる。また、生産計画を最適化する過程において、生産設備の構成を含む生産データ情報24aも自動で作成される(ST4)。すなわち、本実施の形態の生産計画作成方法では、予測精度と生産効率の高い生産計画(生産計画情報23a)と生産データ情報24aを自動で作成することができる。これによって、生産納期を守りつつ、評価指標値が高くて品種の切り替え作業(外段取り作業、内段取り作業)が少ない生産計画を作成できる。
【0067】
また、本実施の形態の生産設備を備えた複数の生産ラインにより複数の品種(ロット)の製品を生産する生産方法では、概算サイクルタイムを算出し(ST1)、生産ラインに生産する品種を割り当てて(ST2)、生産ライン毎に割り当てられた品種の生産順序を作成し(ST5)、作成した生産順序に基づいて、複数の品種の製品を生産する。これによって、予測精度と生産効率が高い生産計画に基づいて製品を生産することができる。
【0068】
上記説明したように、本実施の形態の管理コンピュータ3は、生産ライン(部品実装ラインL1~L3)毎に複数の品種(ロット)を生産するのに要する概算サイクルタイム36を算出する概算サイクルタイム算出部21aと、概算サイクルタイム36と生産する品種の情報とに基づいて生産ラインに生産する品種を割り当てる生産ライン割り当て部21bと、生産ライン毎に割り当てられた複数の品種の生産順序を作成する生産順序作成部21cとを備え、生産設備を備えた複数の生産ラインにより複数の品種の製品(実装基板)を生産する生産計画を作成する生産計画作成装置である。この生産計画作成装置により、予測精度と生産効率が高い生産計画を自動で作成することができる。
【0069】
以上、本発明の一実施の形態を基に説明した。この実施の形態は、生産ラインで生産される製品の種類、組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば生産ラインは、生産物である電子機器を組み立てる組立ラインであっても、生産物である食品加工製品を製造する食品加工ラインであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の生産計画作成方法および生産計画作成装置は、予測精度と生産効率が高い生産計画を自動で作成することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0071】
3 管理コンピュータ(生産計画作成装置)
12 実装ヘッド
B 基板
L1~L3 部品実装ライン(生産ライン)
M2 スクリーン印刷装置(印刷装置、生産設備)
M3~M6 部品実装装置(生産設備)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10