(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】光源ユニット及び照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20241011BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241011BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241011BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20241011BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241011BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20241011BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241011BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21S2/00 230
F21V23/00 140
F21V23/04 500
F21V23/00 113
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020129618
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-04-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 健
(72)【発明者】
【氏名】清水 正博
(72)【発明者】
【氏名】堀 和宇
(72)【発明者】
【氏名】植田 桂介
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206492(JP,A)
【文献】特開2016-051651(JP,A)
【文献】特開2012-109058(JP,A)
【文献】特開2018-063908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
F21Y 115/10
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子及び前記複数の発光素子が実装される基板を有する光源モジュールと、
前記複数の発光素子に電流を供給して発光させる電源装置と、
表面に前記光源モジュールが取り付けられ、裏面に前記電源装置が取り付けられる取付板と、
無線信号を受信し、前記無線信号に含まれる制御情報を電線を介して前記電源装置に伝達する通信装置と、
を備え、
前記電源装置は、前記制御情報に応じて前記電流の供給を調整するように構成され、
前記取付板は、前記表面から前記裏面まで貫通し、前記無線信号を通過させる貫通孔を有し、
前記通信装置は、前記電源装置に
直接取り付けられる、
光源ユニット。
【請求項2】
前記電源装置は、前記電流を供給する電気回路と、前記電気回路を収容する電源ケースと、を有し、
前記通信装置は、前記無線信号を受信する受信部と、前記受信部で受信する前記無線信号から前記制御情報を取得する信号回路部と、前記受信部及び前記信号回路部を収容するケースと、を有し、
前記ケースは、前記電源ケースに取り付けられる、
請求項1記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記受信部は、赤外線を媒体とする前記無線信号を受信するように構成され、
前記ケースは、前記赤外線を通過させる開口部を有する、
請求項2記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記取付板は、前記取付板の前記表面から前記裏面まで貫通し、かつ、前記無線信号を通過させる貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記取付板の厚み方向から見て、前記光源モジュールと重ならない位置に設けられている、
請求項3記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記ケースは、前記取付板の厚み方向に沿って、前記開口部を前記貫通孔と対向させる位置に配置される、
請求項4記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記ケースは、筒状の周壁を有し、
前記周壁は、前記ケースの表面における前記開口部の周囲を囲うように前記ケースから突出している、
請求項3-5のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項7】
透光性を有し、前記光源モジュールを覆うように前記取付板に取り付けられるカバーを備える、
請求項1-6のいずれか1項に記載の光源ユニット。
【請求項8】
請求項1-7のいずれかの光源ユニットと、
前記光源ユニットを支持する器具本体と、
を備える、
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源ユニット及び照明器具に関し、より詳細には、無線信号を受信し、当該無線信号に応じて動作する光源ユニット、及び当該光源ユニットを有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の発光ユニット(光源ユニット)及び照明装置(照明器具)を例示する。特許文献1記載の発光ユニット(以下、従来例という。)は、半導体発光素子が実装される長尺状の発光素子基板と、電源部と、発光に関する制御を行う制御部とを備える。従来例は、長尺状の支持部材と、支持部材に取り付けられる長尺状の透光性カバーと、透光性カバーと支持部材との長手方向における両端の開口を覆う、一対の端部カバーとを更に備える。制御部は、信号を受信するアンテナと、アンテナで受信した信号に応じて電源部から供給される電力を制御する無線制御部とを有する。無線制御部は、少なくとも一方の端部カバーと支持部材の端部との間に設けられる。電源部は、支持部材の長手方向における中央付近に取り付けられる。電源部と制御部は、電線によって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例では、電源部と制御部が離れて配置されているため、電源部と制御部を接続している電線が長くなり、制御部から電源部に電線を介して送信される信号の信号対雑音比が低下するおそれが高い。
【0005】
本開示の目的は、無線信号における耐雑音性の向上を図ることができる光源ユニット及び照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光源ユニットは、複数の発光素子及び前記複数の発光素子が実装される基板を有する光源モジュールと、前記複数の発光素子に電流を供給して発光させる電源装置とを備える。前記光源ユニットは、表面に前記光源モジュールが取り付けられ、裏面に前記電源装置が取り付けられる取付板と、無線信号を受信し、前記無線信号に含まれる制御情報を電線を介して前記電源装置に伝達する通信装置とを備える。前記電源装置は、前記制御情報に応じて前記電流の供給を調整するように構成されている。前記取付板は、前記表面から前記裏面まで貫通し、前記無線信号を通過させる貫通孔を有している。前記通信装置は、前記電源装置に直接取り付けられる。
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、光源ユニットと、前記光源ユニットを支持する器具本体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の光源ユニット及び照明器具は、無線信号における耐雑音性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る照明器具の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の照明器具及び本開示の実施形態1に係る光源ユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の光源ユニットの回路ブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の光源ユニットにおける通信装置の斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の光源ユニットにおける部分断面図である。
【
図6】
図6は、同上の光源ユニットの一部省略した断面図である。
【
図7】
図7は、同上の光源ユニットの要部の正面図である。
【
図8】
図8は、同上の照明器具の設置状態を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態2に係る光源ユニットの一部省略した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る光源ユニット及び照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)実施形態1
(1-1)照明器具
本開示の実施形態1に係る照明器具A1(以下、照明器具A1と略す。)は、
図1及び
図2に示すように、本開示の実施形態1に係る光源ユニットB1(以下、光源ユニットB1と略す。)と、器具本体6とを備える。光源ユニットB1は、天井に直付けされる器具本体6に着脱可能に取り付けられる。ただし、器具本体6は、天井に埋め込まれてもよいし、あるいは、壁に直付けされてもよいし、壁に埋め込まれてもよい。
【0012】
器具本体6は、下面が開放された矩形箱状の収容部60と、収容部60の長手方向に沿った両側の開口端縁より斜め上向きに突出する一対の反射板61と、収容部60及び一対の反射板61の長手方向の両端に設けられた一対のエンド板62とを備える(
図2参照)。器具本体6は、収容部60の底面に設けられている複数の取付孔63のうちの少なくともいずれか2つの取付孔63につりボルト(不図示)がそれぞれ挿通され、それらのつりボルトにナット(不図示)が締め付けられることで天井に設置される。また、収容部60の底面に設けられている複数の電源孔64のうちのいずれか一つの電源孔64に電源線が挿通される。電源孔64に挿通された電源線は、収容部60の内底面に取り付けられている端子台65に電気的に接続される。端子台65からは3本の電線66が引き出されている。これら3本の電線66の先端が1つのオス型の電源コネクタ67と電気的に接続されている。
【0013】
(1-2)光源ユニット
光源ユニットB1は、
図2に示すように、光源モジュール1と、電源装置2と、取付板3と、通信装置4と、カバー5とを備える。
【0014】
(1-2-1)光源モジュール
光源モジュール1は、多数のLED(Light Emitting Diode)10と基板11を有している。発光素子であるLED10は、例えば、パッケージ型の照明用白色LEDである。ただし、発光素子はLEDに限定されず、有機エレクトロルミネッセンス素子又は半導体レーザ素子などであっても構わない。
【0015】
基板11は、長尺の長方形状に形成されている。ただし、基板11は、複数枚の基板が長手方向に連結されて構成されてもよい。多数のLED10は、基板11の表面(下面)における短手方向の中央に、基板11の長手方向に沿って等間隔かつ1列に並べて実装されている(
図2参照)。なお、多数のLED10は、基板11の表面に形成されているプリント配線によって電気的に直列又は直並列に接続されている。
【0016】
(1-2-2)取付板
取付板3は、金属板によって長尺の角とい状に形成されている。取付板3は、長尺の長方形状の底板30と、底板30の長手方向に沿った両端から上向きに立ち上がる一対の側板31とを有している。光源モジュール1は、底板30から切り起こされている複数の爪(不図示)によって底板30の表面(下面)に取り付けられている。なお、底板30の短手方向の幅は、基板11の短手方向の幅よりも大きい(
図2参照)。
【0017】
また、底板30には円形の貫通孔32が設けられている(
図2参照)。この貫通孔32は、底板30における光源モジュール1の外側の部位に設けられている。言い換えると、貫通孔32は、底板30の厚み方向から見て、光源モジュール1と重ならない位置に設けられている。
【0018】
(1-2-3)カバー
カバー5は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって半円筒形状に形成されている。また、カバー5は、長手方向に沿って上向きに突出する一対の突壁50を有している。カバー5は、一対の突壁50の間に取付板3を収容し、取付板3の一対の側板31の先端(上端)に、一対の突壁50の先端(上端)に形成されている引掛部が引っ掛けられることで取付板3に取り付けられる。
【0019】
(1-2-4)電源装置
電源装置2は、
図2に示すように、点灯回路20と、点灯回路20を収容する電源ケース21とを有している。点灯回路20は、長方形状のプリント回路板22に集積回路を含む種々の電子部品及びメス型の電源コネクタ23が実装されたプリント回路で構成されている。電源コネクタ23は、電源コネクタ67と電気的かつ機械的に接続される。
【0020】
電源ケース21は、金属板により、一面(下面)が開口した長尺の矩形箱状に形成されている。電源ケース21は、点灯回路20を収容し、開口面を底板30の裏面(上面)に向けるようにして取付板3に固定される。なお、電源ケース21は、取付板3に固定された状態において、取付板3と電気的に接続されている。さらに、取付板3は、光源ユニットB1が器具本体6に取り付けられた状態において器具本体6と電気的に接続されている。したがって、電源装置2の電源ケース21は、取付板3を通して器具本体6と電気的に接続される。
【0021】
点灯回路20は、
図3に示すように、商用の電力系統9から電源コネクタ23を通して交流電力が供給される。点灯回路20は、電力変換回路200と、定電流回路201と、制御回路202と、制御電源回路203と、一対の出力端子204、205と、信号端子206と、制御電源端子207と、グランド端子208とを有している。一方の出力端子204は、光源モジュール1の正極と電気的に接続され、他方の出力端子205は、光源モジュール1の負極と電気的に接続されている。
【0022】
電力変換回路200は、電力系統9から供給される交流電力を直流電力に変換するように構成されている。電力変換回路200は、例えば、全波整流回路、力率改善回路(昇圧チョッパ回路)、バックコンバータ(降圧チョッパ回路)などを有することが好ましい。あるいは、電力変換回路200は、全波整流回路及びコンバータ回路で構成されてもよい。コンバータ回路は、電圧変換と力率改善を並行して行うことが可能なシングル・ステージ・コンバータ(ワン・コンバータとも呼ばれる。)を有している。具体的には、コンバータ回路は、SEPIC(Single Ended Primary Inductance Converter)タイプのDC/DCコンバータ回路を有することが好ましい。
【0023】
定電流回路201は、電力変換回路200から一対の出力端子204、205を介して光源モジュール1に供給される直流電流を目標値に一致させるように構成されている。
【0024】
制御回路202は、マイクロコントローラを主構成要素として備える。制御回路202は、通信装置4から受け取る制御情報に応じて、電力変換回路200及び定電流回路201の動作と停止を切り替え、かつ、定電流回路201における直流電流(負荷電流)の目標値を変更するように構成されている。
【0025】
制御回路202は、信号端子206とグランド端子208を通して通信装置4からPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を受け取る。PWM信号は、一定周期の矩形波信号のデューティ比を変化させることで制御情報を伝送する。例えば、デューティ比が95%から100%のときに負荷電流の目標値をゼロとする制御情報が伝送される。また、デューティ比が5%以下のときに負荷電流の目標値を光源モジュール1の電流定格値とする制御情報が伝送される。さらに、デューティ比が95%から5%の範囲の任意の値のときに、負荷電流の目標値を光源モジュール1の定格電流値の5%から100%の範囲の対応した値とする制御情報が伝送される。
【0026】
制御電源回路203は、電力変換回路200の直流出力から制御電源電圧を生成するように構成されている。制御電源回路203は、電力変換回路200の出力電圧から制御電源電圧(例えば、5V~3.3V程度の直流電圧)を作成するように構成される。制御電源回路203は、作成した制御電源電圧を、制御電源端子207とグランド端子208に印加し、2本の電線46を介して通信装置4に供給する。
【0027】
(1-2-5)通信装置
(1-2-5-1)通信装置の回路構成
通信装置4は、受信部40と、信号回路部41とを有し、リモートコントローラ7(
図2参照)から送信される無線信号(赤外線信号)を受信して制御情報を取得するように構成されている。なお、リモートコントローラ7から送信される赤外線信号は、例えば、一般財団法人家電製品協会によって規定された規格、いわゆる、家電協フォーマットに準拠している。家電協フォーマットでは、波長のピーク値が900~950nmの赤外線であり、デューティ比が50%、周波数が33kHz以上、40kHz以下の方形波からなる搬送波がパルス位置変調(Pulse Position Modulation)される。
【0028】
受信部40は、赤外線(赤外光)を受光するための2つの受光素子(例えば、フォトダイオード又はフォトトランジスタ)を有している。受信部40は、各受光素子の出力信号を波形整形し、かつ、増幅して出力するように構成されている。すなわち、受信部40は、無線信号(赤外線信号)を電気信号に変換して出力する機能を有している。なお、以下の説明においては、受信部40から出力される電気信号を受信信号と呼ぶ。
【0029】
信号回路部41は、受信部40が出力する受信信号を復調して制御情報を取得する。制御情報は、光源ユニットB1を点灯させる点灯司令、光源ユニットB1を消灯させる消灯指令、及び光源ユニットB1の調光比を指示する調光指令の各指令を含む情報である。
【0030】
さらに、信号回路部41は、取得した制御情報(点灯指令、消灯指令及び調光指令)をPWM信号に変換する。例えば、信号回路部41は、点灯指令を取得した場合はデューティ比を3%としたPWM信号に変換し、消灯指令を取得した場合はデューティ比を100%としたPWM信号に変換する。また、信号回路部41は、調光指令を取得した場合は調光指令で指示された調光比に対応するデューティ比のPWM信号に変換する。信号回路部41は、変換したPWM信号を、点灯回路20の信号端子206とグランド端子208に出力する。なお、受信部40及び信号回路部41は、点灯回路20の制御電源回路203から供給される制御電源電圧で動作する。
【0031】
(1-2-5-2)通信装置の構造
通信装置4は、
図4に示すように、回路基板42とケース43を有する。回路基板42は、長方形状に形成されている。そして、回路基板42の表面に、受信部40、信号回路部41、信号コネクタ47などが実装されている。ただし、
図4においては、信号回路部41の図示を省略している。
【0032】
受信部40は、直方体状のパッケージ400の1つの側面に、2つの受光レンズ401が設けられている(
図4及び
図5参照)。各受光レンズ401は、パッケージ400に収容されているフォトダイオード又はフォトトランジスタなどの受光素子に赤外線信号(赤外光)を集光するように構成されている。受信部40は、回路基板42の表面における1つの角付近に、受光レンズ401が設けられているパッケージ400の側面を回路基板42の表面と直交させるように実装されている。ただし、受信部40が有する受光レンズ401の個数は2つに限定されず、3つ以上又は1つだけでも構わない。また、回路基板42の表面がケース43の下壁430と対向する向きで回路基板42がケース43に収容される場合、受信部40は、受光レンズ401が設けられているパッケージ400の側面を回路基板42の表面と平行させるように実装される。
【0033】
信号コネクタ47は、回路基板42の表面において受信部40と対角の位置に実装されている。信号コネクタ47には、制御信号用の電線、制御電源用の電線及びグランド用の電線の3本の電線46のそれぞれの先端が電気的に接続されている(
図4参照)。
【0034】
(1-2-5-3)ケース
図4において矢印で示す上下、左右、前後のそれぞれの方向を、通信装置4の上下、左右、前後のそれぞれの方向と定義する。
【0035】
ケース43は、
図4に示すように、下壁430、前壁431、後壁432、側壁433及び上壁434を有し、左側面が開放された箱形に形成されている。ただし、ケース43の前壁431の上部は、上方に向かって後壁432に近付く向きに傾斜している(
図4参照)。また、ケース43は、回路基板42の長手方向に沿った両端部を後壁432との間で挟み込んで支持する一対の支持片435を有している。一対の支持片435は、下壁430及び上壁434のそれぞれから1つずつ突出するように下壁430及び上壁434のそれぞれと一体に形成されている。なお、ケース43は、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料からなる合成樹脂成形体として構成されることが好ましい。
【0036】
下壁430の右端の後端に円形の開口部44が形成されている。開口部44は、下壁430を上下方向に貫通しており、回路基板42に実装された受信部40の2つの受光レンズ401と上下方向に沿って対向している(
図4及び
図5参照)。また、下壁430の下面における右端の後端に周壁45が形成されている。周壁45は、開口部44の周囲を囲うように円筒形状に形成されている。つまり、受信部40の2つの受光レンズ401は、下壁430の開口部44及び周壁45の内部を通して、ケース43の外に臨んでいる。ゆえに、受信部40は、ケース43の外から到来する赤外線信号を、周壁45の内部と開口部44を通して、2つの受光レンズ401で受信することができる。
【0037】
ここで、ケース43の開口部44は、取付板3の底板30に設けられている貫通孔32と上下方向に沿って対向する(
図5参照)。したがって、開口部44と貫通孔32の各々の大きさを最適な大きさに設計することにより、通信装置4に必要な通信距離を確保しつつ、他の光源ユニットB1に送信される無線信号を受信する可能性を低減することができる。
【0038】
また、下壁430の左端に通線溝4300が形成されている。さらに、下壁430の下面における通線溝4300の近傍にL字状の保持爪4301が形成されている(
図4参照)。保持爪4301は、通線溝4300からケース43の外に引き出される3本の電線46を保持する。なお、これら3本の電線46の先端にはプラグコネクタが接続されている。
【0039】
ケース43は、一対の結合オス部436を有する。一対の結合オス部436はそれぞれ、E字状に形成されている。これら一対の結合オス部436は、電源ケース21に設けられる一対の結合メス部と機械的に結合される(
図2参照)。一対の結合メス部は、電源ケース21の長手方向の一方の側面に設けられている。
【0040】
しかして、ケース43は、一対の結合オス部436を一対の結合メス部に結合することにより、電源ケース21の長手方向に沿って電源ケース21と隣接する位置に配置される(
図6参照)。なお、通信装置4の3本の電線46は、電源装置2のプリント回路板22に実装されたレセプタクルコネクタにプラグコネクタが接続されることにより、点灯回路20の信号端子206、制御電源端子207及びグランド端子208と電気的に接続される(
図3参照)。
【0041】
(1-3)光源ユニットの特徴
光源ユニットB1の1つの特徴は、通信装置4が電源装置2と隣接する位置に配置されていることである。
【0042】
電源装置2の点灯回路20から電源ケース21を介して取付板3に流れるコモンモードノイズの周波数と、無線信号(赤外線信号)の搬送波の周波数(33kHz~40kHz)との差が小さいほど、コモンモードノイズが無線信号(受信信号)と干渉する可能性が高くなる。そして、コモンモードノイズが無線信号(受信信号)と干渉した場合、電源装置2が誤動作したり、不動作となる可能性が高まる。
【0043】
しかして、光源ユニットB1では、通信装置4が電源装置2と隣接する位置に配置されているので、通信装置4と電源装置2を電気的に接続する電線46を短くすることができる。つまり、光源ユニットB1は、通信装置4と電源装置2を電気的に接続する電線46を短くすることによって、受信信号がコモンモードノイズと干渉する可能性を下げることができる。その結果、光源ユニットB1は、無線信号における耐雑音性(S/N比)の向上を図ることができる。
【0044】
また、電源装置2の電源ケース21に通信装置4のケース43が取り付けられているので、光源ユニットB1は、通信装置4と電源装置2を電気的に接続する電線46を更に短くすることができる。その結果、光源ユニットB1は、無線信号における耐雑音性の更なる向上を図ることができる。
【0045】
ここで、取付板3の一方の側板31と電源装置2の間には、送り配線用の電源ケーブル8が配置されることがある(
図6参照)。そして、光源ユニットB1では、電源ケーブル8から遠い方の壁(ケース43の後壁432)に沿うように回路基板42をケース43内に収容している。つまり、光源ユニットB1は、通信装置4の回路基板42を電源ケーブル8から離すことにより、無線信号における耐雑音性の向上を図ることができる。
【0046】
光源ユニットB1のもう1つの特徴は、通信装置4のケース43に開口部44を設け、開口部44を通して受信部40に無線信号(赤外線信号)を受信させることである。例えば、受信部40の受光レンズ401をケース43の外に配置した場合、無線信号の受信範囲が広くなり過ぎるため、別の光源ユニットに向けて送信された無線信号を受信してしまうおそれがある。
【0047】
これに対して、光源ユニットB1は、ケース43の開口部44を通して受信部40に無線信号(赤外線信号)を受信させることにより、受信部40が無線信号(赤外線信号)を受信可能な範囲を絞ることができる。その結果、光源ユニットB1は、他の光源ユニットに向けて送信される無線信号(赤外線信号)を誤って受信する可能性を低くすることができる。
【0048】
また、ケース43の開口部44は、底板30の厚み方向に沿って取付板3の貫通孔32と重なっている(
図5-
図7参照)。ゆえに、リモートコントローラ7から放射される無線信号(赤外線信号)は、取付板3の貫通孔32からケース43の開口部44を通って受信部40に受信される。例えば、受信部40の受光レンズ401を取付板3(底板30)の表面(下面)に配置した場合、無線信号の受信範囲が広くなり過ぎるため、別の光源ユニットに向けて送信された無線信号を受信してしまうおそれがある。
【0049】
これに対して、光源ユニットB1は、取付板3の貫通孔32からケース43の開口部44を通して受信部40に無線信号(赤外線信号)を受信させることにより、受信部40が無線信号(赤外線信号)を受信可能な範囲を絞ることができる。その結果、光源ユニットB1は、他の光源ユニットに向けて送信される無線信号(赤外線信号)を誤って受信する可能性を低くすることができる。
【0050】
ところで、貫通孔32は、底板30の厚み方向から見て、光源モジュール1と重ならない位置に設けられている(
図7参照)。例えば、貫通孔が光源モジュール1と重なる位置に設けられた場合、基板11において貫通孔と重なる位置に孔が設けられるため、孔の近傍においてLED10のピッチが部分的に大きくなってしまう。その結果、光源モジュールの配光特性の均斉度が低下するおそれがある。
【0051】
これに対して、光源ユニットB1は、他の光源ユニットに向けて送信される無線信号(赤外線信号)を誤って受信する可能性を低くしつつ、光源モジュール1の配光特性の均斉化を図ることができる。
【0052】
さらに、光源ユニットB1において、ケース43は、筒状の周壁45を有している。周壁45は、ケース43の表面における開口部44の周囲を囲うようにケース43から突出している(
図4及び
図5参照)。なお、周壁45の先端(下端)は、底板30の裏面(上面)に接触するか、あるいは接触しない程度まで接近することが好ましい(
図5参照)。周壁45が設けられない場合、底板30の貫通孔32を通過した無線信号(赤外線信号)がケース43の開口部44に到達して受信部40で受信される可能性が低下する。
【0053】
これに対して、光源ユニットB1では、ケース43に設けられた周壁45により、底板30の貫通孔32を通過した無線信号が周壁45の内周面で反射しながらケース43の開口部44に到達して受信部40で受信される可能性が高くなる。
【0054】
さらに、周壁45の内周面は、周壁45の先端(下端)から開口部44に向かって内径を小さくした円すい台状に形成されている(
図5参照)。光源ユニットB1は、周壁45の内周面が円すい台状に形成されているため、貫通孔32を通って周壁45の内部に進入する無線信号(赤外線信号)の大部分を開口部44に到達させて受信部40に受信させることができる。すなわち、光源ユニットB1は、不要な無線信号の受信を防ぎつつ、必要な無線信号の受信感度を高めることができる。
【0055】
ここで、多数の照明器具A1が等間隔で天井に設置された照明空間E1を想定する(
図8参照)。この照明空間E1は、例えば、オフィスビルの1つのフロアであり、複数の照明器具A1(光源ユニットB1)が縦横に等間隔に並ぶように設置されている。なお、複数の照明器具A1の縦方向(光源ユニットB1の長手方向)の間隔をP1、横方向(光源ユニットB1の短手方向)の間隔をP2と表記する。
【0056】
例えば、操作者H1がリモートコントローラ7を操作して直上の1台の照明器具A1のみを点灯させる場合、リモートコントローラ7から送信される無線信号が隣の照明器具A1で受信される可能性を低くすることが望ましい。つまり、各光源ユニットB1の受信部40が無線信号を受信可能な範囲は、光源ユニットB1の長手方向の長さと縦方向の間隔P1の2倍の和よりも狭く、かつ、光源ユニットB1の短手方向の長さと横方向の間隔P2の2倍の和よりも狭いことが好ましい。ただし、リモートコントローラ7から送信される無線信号の到達範囲は、例えば、リモートコントローラ7の先端から20度の角度、かつリモートコントローラ7の先端から5m~6mの距離までの範囲である。
【0057】
しかして、光源ユニットB1は、開口部44の大きさ、貫通孔32の大きさ、周壁45の大きさ(軸方向の長さ及び内径)のそれぞれが適切な値に設定されることにより、不要な無線信号の受信を防ぎつつ、必要な無線信号の受信感度を高めることができる。
【0058】
(2)実施形態2
(2-1)光源ユニット
本開示の実施形態2に係る光源ユニットB2(以下、光源ユニットB2と略す。)は、通信装置4が電波を媒体とした無線信号を受信するように構成されている。ただし、光源ユニットB2の構成要素のうち、光源ユニットB1と共通している構成要素については、同一の符号を付して図示及び説明を適宜省略する。
【0059】
光源ユニットB2における通信装置4は、
図9に示すように、無線通信回路48と、無線通信回路48を収容するケース43とを備える。
【0060】
無線通信回路48は、長方形状の回路基板480と、回路基板480の表面に実装された無線通信モジュール481と、導体(銅はく)によって回路基板480の表面に形成されたアンテナ482とを有している。
【0061】
無線通信モジュール481は、アンテナ482で受信する無線信号、例えば、920MHz帯の電波を媒体とする無線信号を受信し、当該無線信号から制御情報を取得し、当該制御情報をPWM信号に変換し、変換したPWM信号を電線46を介して点灯回路20に伝送する。
【0062】
ケース43は、開口部44及び周壁45を有しない点を除いて、実施形態1に係る光源ユニットB1のケース43とほぼ共通の構成を有している。つまり、ケース43は、電波を透過する材料(合成樹脂)で形成されているので、赤外線信号と異なり、開口部44及び周壁45が設けられる必要はない。
【0063】
一方、通信装置4と対向する取付板3は金属製であるので、電波を媒体とする無線信号を通過させるための貫通孔33が必要である。貫通孔33は、長方形状に形成されている。また、貫通孔33は、底板30の厚み方向に沿ってアンテナ482と対向する位置であり、かつ、光源モジュール1と重ならない位置に配置されている。ただし、貫通孔33は、底板30の厚み方向に沿ってアンテナ482と対向しない位置であり、かつ、光源モジュール1と重ならない位置に配置されても構わない。
【0064】
しかして、光源ユニットB2においても、通信装置4が電源装置2と隣接する位置に配置されているので、通信装置4と電源装置2を電気的に接続する電線46を短くすることによって、受信信号がコモンモードノイズと干渉する可能性を下げることができる。その結果、光源ユニットB2は、無線信号における耐雑音性(S/N比)の向上を図ることができる。
【0065】
(3)まとめ
本開示の第1の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、光源モジュール(1)と、電源装置(2)と、取付板(3)と、通信装置(4)とを備える。光源モジュール(1)は、複数の発光素子(LED10)及び複数の発光素子が実装される基板(11)を有する。電源装置(2)は、複数の発光素子に電流を供給して発光させる。取付板(3)は、表面に光源モジュール(1)が取り付けられ、裏面に電源装置(2)が取り付けられる。通信装置(4)は、無線信号を受信し、無線信号に含まれる制御情報を電線(46)を介して電源装置(2)に伝達する。電源装置(2)は、制御情報に応じて電流の供給を調整するように構成されている。取付板(3)は、表面から裏面まで貫通し、無線信号を通過させる貫通孔(32;33)を有している。通信装置(4)は、電源装置(2)と隣接する位置に配置されている。
【0066】
第1の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、通信装置(4)から電源装置(2)に制御情報を伝達するための電線(46)を短くすることができる。その結果、第1の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、無線信号における耐雑音性の向上を図ることができる。
【0067】
本開示の第2の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る光源ユニット(B1;B2)において、電源装置(2)は、電流を供給する電気回路(点灯回路20)と、電気回路を収容する電源ケース(21)とを有することが好ましい。通信装置(4)は、無線信号を受信する受信部(40)と、受信部(40)で受信する無線信号から制御情報を取得する信号回路部(41)と、受信部(40)及び信号回路部(41)を収容するケース(43)とを有することが好ましい。ケース(43)は、電源ケース(21)に取り付けられることが好ましい。
【0068】
第2の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、電線(46)を更に短くすることにより、無線信号における耐雑音性の更なる向上を図ることができる。
【0069】
本開示の第3の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る光源ユニット(B1;B2)において、受信部(40)は、赤外線を媒体とする無線信号を受信するように構成されることが好ましい。ケース(43)は、赤外線を通過させる開口部(44)を有することが好ましい。
【0070】
第3の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、受信部(40)が無線信号(赤外線)を受信可能な範囲を絞ることにより、他の光源ユニットに向けて送信される無線信号(赤外線)を誤って受信する可能性を低くすることができる。
【0071】
本開示の第4の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る光源ユニット(B1;B2)において、取付板(3)は、取付板(3)の表面から裏面まで貫通し、かつ、無線信号を通過させる貫通孔(32;33)を有することが好ましい。貫通孔(32;33)は、取付板(3)の厚み方向から見て、光源モジュール(1)と重ならない位置に設けられていることが好ましい。
【0072】
第4の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、光源モジュール(1)の配光特性の均斉化を図ることができる。
【0073】
本開示の第5の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る光源ユニット(B1;B2)において、ケース(43)は、取付板(3)の厚み方向に沿って、開口部(44)を貫通孔(32;33)と対向させる位置に配置されることが好ましい。
【0074】
第5の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、受信部(40)が無線信号(赤外線信号)を受信可能な範囲を絞ることにより、他の光源ユニットに向けて送信される無線信号(赤外線信号)を誤って受信する可能性を更に低くすることができる。
【0075】
本開示の第6の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、第3-第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る光源ユニット(B1;B2)において、ケース(43)は、筒状の周壁(45)を有することが好ましい。周壁(45)は、ケース(43)の表面における開口部(44)の周囲を囲うようにケース(43)から突出していることが好ましい。
【0076】
第6の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、不要な無線信号の受信を防ぎつつ、必要な無線信号の受信感度を高めることができる。
【0077】
本開示の第7の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、第1-第6のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、透光性を有し、光源モジュール(1)を覆うように取付板(3)に取り付けられるカバー(5)を備えることが好ましい。
【0078】
第7の態様に係る光源ユニット(B1;B2)は、光源モジュール(1)から放射される光をカバー(5)を通して照明空間に照射し、かつ、カバー(5)を通して無線信号を受信部(40)で受信することができる。
【0079】
本開示の第8の態様に係る照明器具(A1)は、第1-第7のいずれかの態様に係る光源ユニット(B1;B2)と、光源ユニット(B1;B2)を支持する器具本体(6)とを備える。
【0080】
第8の態様に係る照明器具(A1)は、無線信号における耐雑音性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0081】
A1 照明器具
B1、B2 光源ユニット
1 光源モジュール
2 電源装置
3 取付板
4 通信装置
10 LED(発光素子)
11 基板
32 貫通孔
33 貫通孔
46 電線