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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/14 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021156956
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047824
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】草野 晋作
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-514134(JP,A)
【文献】特開2005-143794(JP,A)
【文献】特開2010-094261(JP,A)
【文献】特開2003-047798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に内包された収容槽と、前記筐体の正面側に形成され、前記収容槽に洗濯物を投入可能に設けられた投入口と、前記投入口を開閉自在に覆う扉体と、前記扉体と前記筐体とを回動自在に支持するヒンジユニットとを備え、
前記ヒンジユニットは、
回転軸と、
上下にそれぞれ形成されかつ前記回転軸を回転自在に保持するアーム部と、上下の前記アーム部と一体的に形成されかつ上下の前記アーム部を接続する一体部と、を有する扉体ヒンジ部材と、
前記筐体に固定され、前記回転軸を保持する軸保持部と、
を含み、
前記一体部は、
前記アーム部から延設し、上下の前記アーム部を接続する第1の部分と、
前記第1の部分から延設している第2の部分と、を含み、
前記一体部は、前記第2の部分において前記扉体に固定され、前記扉体ヒンジ部材と前記扉体とを固定する
洗濯機。
【請求項2】
前記一体部には、前記第1の部分には、前記アーム部を接続する平面から屈曲する屈曲部が上下方向に形成されている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
筐体と、前記筐体に内包された収容槽と、前記筐体の正面側に形成され、前記収容槽に洗濯物を投入可能に設けられた投入口と、前記投入口を開閉自在に覆う扉体と、前記扉体と前記筐体とを回動自在に支持するヒンジユニットとを備え、
前記ヒンジユニットは、
回転軸と、
上下にそれぞれ形成され、前記回転軸を回転自在に保持するアーム部と、前記アーム部と一体的に形成され、上下の前記アーム部を接続する一体部と、を有する扉体ヒンジ部材と、
前記筐体に固定され、前記回転軸を保持する軸保持部と、を含み、
前記一体部は、前記扉体に取り付けられ、
前記一体部には、前記アーム部を接続する平面から屈曲する屈曲部が上下方向に形成されているとともに、
前記扉体は、少なくとも前面側において略円形状に形成されており、
前記一体部は、
前記屈曲部を有し、上下方向に形成された第1の部分と、
前記第1の部分から延設して略円弧状に形成された第2の部分と、を含み、
前記一体部は、前記第2の部分において前記扉体に固定される
濯機。
【請求項4】
前記第2の部分には、係合部が形成されており、前記扉体には、前記係合部と係合する被係合部が形成されている、
請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記軸保持部は、固定手段により前記筐体に取り付けられる固定部位を有し、
前記アーム部は、前記扉体が開いた状態において、前記固定部位の前方を覆わないように形成されている、
請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記筐体は、前記筐体の正面側に設けられ、前記投入口が形成された前面板の背部に位置する筐体前面部材を含み、
前記軸保持部は、前記投入口に沿って略円弧状に形成された軸保持部円弧部を有し、
前記軸保持部は、前記軸保持部円弧部において前記筐体前面部材に取り付けられる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来の洗濯機の1つであるドラム式洗濯機において、洗濯物を出し入れする扉体の開閉を制御するヒンジユニットについて開示している。
【0003】
特許文献1に記載されたドラム式洗濯機の扉体開閉のヒンジユニットは、図10及び図11に示すように、筐体102の開口部101を閉塞する閉塞位置と、開口部101を開放する開放位置との間で回動自在に筐体102に取り付けられる扉体145に備える。ヒンジユニットは、扉体145の回転軸部を保持する二股形状の軸保持部材を備え、回転軸部と連結部材110と軸保持部材とで構成される。筐体102の開口部101の周囲は、筐体内方に向けて凹設された凹領域が形成される。閉塞位置に回動された扉体145は、凹領域内に収容される。扉体145が閉塞位置に存するときに開口部101及び開口部101を取り巻く凹面に対向する扉体145の内面は、扉体中心方向に向かうにつれて隆起した形状をなす。筐体102の凹領域及び扉体145の内面の隆起形状により、扉体145の内面は、筐体内部に配設された水密シール部材141に圧接される。かくして、扉体145と洗濯槽142との間の水密シール構造が構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-143794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示における洗濯機は、洗濯機の扉体開閉構造におけるヒンジユニットで、扉体に外力を加えたときに扉体の捻じれを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる洗濯機は、上記目的を達成するために、筐体と、前記筐体に内包された収容槽と、前記筐体の正面側に形成され、前記収容槽に洗濯物を投入可能に設けられた投入口と、前記投入口を開閉自在に覆う扉体と、前記扉体と前記筐体とを回動自在に支持するヒンジユニットとを備え、
前記ヒンジユニットは、
回転軸と、
上下に分割して形成されかつ前記回転軸を回転自在に保持するアーム部と、上下の前記アーム部と一体的に形成されかつ上下の前記アーム部を接続する一体部と、を有する扉体ヒンジ部材と、
前記筐体に固定され、前記回転軸を保持する軸保持部と、
を含み、
前記一体部は、
前記アーム部から延設し、上下の前記アーム部を接続する第1の部分と、
前記第1の部分から延設している第2の部分と、を含み、
前記一体部は、前記第2の部分において前記扉体に固定され、前記扉体ヒンジ部材と前記扉体とを固定する
【発明の効果】
【0007】
本開示の洗濯機では、扉体ヒンジ部材は、上下のアーム部を接続する一体部において扉体に固定されているため、扉体に外力が加わった際に上下で捻じれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態における衣類処理装置の扉体を開放した状態を示す斜視図
図2】同衣類処理装置の断面図
図3A】同衣類処理装置の扉体が開放状態の斜視図
図3B】同衣類処理装置の扉体の分解斜視図
図3C】同衣類処理装置の扉体が閉じ状態のとき、ヒンジユニットの軸保持部の洗濯機本体の前方連結板への取り付け状態を示す横断面図
図3D】同衣類処理装置の扉体のヒンジユニットの分解斜視図
図4】同衣類処理装置のヒンジユニットの構成図
図5】同衣類処理装置のヒンジユニットの取り付け状態を示す構成図
図6】同衣類処理装置の扉体が開放状態の断面図
図7】同衣類処理装置の扉体が閉じた状態の断面図
図8A図4において、付勢バネの付勢力に抗して軸保持部に対して扉体ヒンジ部材を扉体側に回転させた状態でのヒンジユニットの構成図
図8B図8Aの矢印B方向から見た矢視図
図8C図8Aの矢印C方向から見た矢視図
図9A】扉体の内面にヒンジユニットを取り付けた状態の斜視図
図9B図9Aにおいて扉体の内面側の取付リングを取り除いた状態の背面図
図10】従来のドラム式洗濯機の斜視図
図11】従来のドラム式洗濯機の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態)
以下、図1図9Bを用いて、実施の形態を説明する。
【0012】
[1-1.構成]
本開示にかかる洗濯機は、少なくとも、筐体の一例としての洗濯機本体1と、洗濯機本体1に内包された収容槽の一例としての回転ドラム3と、洗濯機本体1の正面側に形成され、回転ドラム3に洗濯物を投入可能に設けられた投入口8と、投入口8を開閉自在に覆う扉体9と、扉体9と洗濯機本体1とを回動自在に支持するヒンジユニット10とを備えている。
【0013】
より具体的には、洗濯機は、洗濯機本体1と、第1の開口部17aを有し洗濯機本体1
の左右側板を連結する前方連結板17と、第1の開口部17aの対応位置に第2の開口部17bを有し前方連結板17を覆うように洗濯機本体1の前方に設けた前面板7と、第1及び第2の開口部17a、17bを開閉自在に覆う扉体9と、洗濯機本体内に設けられた扉体9の回転軸20と、回転軸20と扉体9を連結する連結部12a,12bと、回転軸20を保持する軸保持部21を備えている。回転軸20と連結部12a,12bと軸保持部21とをヒンジユニット10として構成する。軸保持部21は、前方連結板17に固定される。このようにドラム式洗濯機を構成する。
【0014】
扉体9は、少なくとも前面側において略円形状に形成されている。
【0015】
扉体9は、図3Bに示すように、外から内に向かうに従い、窓カバー9aと、蓋9bと、窓ガラス9cと、蓋裏板50と備えている。
【0016】
窓カバー9aは、扉体9の最も外側に配置されかつ例えば透明樹脂の円板で構成されている。窓カバー9aは、使用者が窓ガラス9cに触れて火傷しないようにするため、窓ガラス9cを覆うように配置されている。
【0017】
蓋9bは、窓カバー9aの内側に配置されかつ例えば着色した樹脂の円形リングで構成され、洗濯機の顔となる飾りの意匠であり、窓ガラス9cを蓋裏板50とで挟み、保持している。
【0018】
窓ガラス9cは、蓋9bの内側に配置されかつ例えば透明ガラスの円形ドーム形状で構成され、水漏れ及び乾燥時の空気漏れ、並びに、衣類が洗濯機内からはみ出るのを防いでいる。
【0019】
蓋裏板50は、窓ガラス9cの内側に配置されかつ例えば着色樹脂の円形リングで構成され、窓ガラス9cを蓋9bとで挟み、保持するとともに、扉体9の裏側の意匠面としても機能している。
【0020】
蓋裏板50には、ヒンジユニット10が取り付けられている。ヒンジユニット10は、例えば金属で構成されて、ヒンジユニット10の扉体ヒンジ部材12が扉体9の蓋裏板50に取り付けられ、軸保持部21が洗濯機本体1に取り付けられて、扉体9と洗濯機本体1とを繋げて、扉体9が洗濯機本体1に対して回転できるようにしている。
【0021】
また、蓋裏板50には、円形の扉体9の中心に対してヒンジユニット10とは例えば180度程度だけ位相の異なる位置に、ハンドル53とラッチ54とを備えている。
【0022】
ハンドル53は、例えば着色樹脂で構成され、洗濯機本体1に対して扉体9の開閉操作を行うために機能する。
【0023】
ラッチ54は、例えば樹脂で構成され、洗濯機本体1に対して扉体9を閉めた時に閉めた状態を保持する。また、ラッチ54は、扉体9を閉じた状態でロックしていない時、扉体9に一定の力が加わると扉体9が開くようにしている。
【0024】
図1から図3Bにおいて、洗濯機本体1は、表面が前面をなだらかな上方後退曲面としている。洗濯機本体1の内部には、回転ドラム3及びこの回転ドラム3を内包した外槽4が配置してある。
【0025】
回転ドラム3は、周壁に多数の孔3aを有するとともに、複数のバッフル2を内周より突出させている。回転ドラム3は、衣類を洗濯、脱水及び/又は衣類を乾燥するために衣類を収容する。
【0026】
回転ドラム3の回転軸心は前方が高位となる傾斜状に設定してあり、そのため、前記回転ドラム3の前方部が洗濯機本体1のなだらかな前部曲面上方に開放されるようにしてある。加えて、回転ドラム3の開放部は垂直に対して斜めに傾斜しており、これら要素によって回転ドラム3に対する衣類などの洗濯物の出入を容易としている。
【0027】
回転ドラム3のドラム開口部6は、洗濯機本体1で成形された曲面状の前面板7に設けた後述するカバー11に形成した衣類投入口(第2の開口部)8と連通している。また、この衣類投入口8は扉体9で開閉されるようにしてある。
【0028】
扉体9が、ヒンジユニット10により、開閉自在に洗濯機本体1に支持されている。衣類投入口8にはリング形状をしたカバー11が取り付けられており、図3Aに示すように、ヒンジユニット10を構成する連結部12a、12bが通過するスリット13a、13bが設けられている。
【0029】
洗濯機本体1は、例えば、分割された板金製の左右側板14、着脱可能な背面板15、前記左右側板14を互いに連結する複数の板金製の連結板と合成樹脂とからなる天板16及び前記前面板7で構成されている。
【0030】
複数の連結板のうち前面板7の背部に位置する筐体前面部材の一例としての前方連結板17には、回転ドラム3のドラム開口部6と対応して円形の前方連結板開口部(第1の開口部)17aが形成してある。
【0031】
前面板7の上方には、各種スイッチ操作部及び表示部などを配置した操作パネル18が取り付けられている。
【0032】
回転ドラム3を内包する外槽4の外槽開口部4aも前記衣類投入口8の内側で、しかも前方連結板17の前方連結板開口部17aと対向する位置にあるもので、これら外槽4の外槽開口部4aと前方連結板17の前方連結板開口部17aとの間の間隔は、ゴムなどの弾性材から作られた環状筒状のパッキング部材19でシールされて、同間隔からの洗濯機本体内への水の侵入を防止するようになっている。
【0033】
図4は、前記ヒンジユニット10の構成を示すもので、ヒンジユニット10は、回転軸20と、扉体ヒンジ部材12と、洗濯機本体1に固定されて回転軸20を回転自在に保持する軸保持部21とを備えている。
【0034】
回転軸20は、上端と下端が、板状に張り出した軸保持部21の上端軸連結部21aと下端軸連結部21bとに回転可能に取り付けられている。
【0035】
扉体ヒンジ部材12は、図4図5、及び図8A図8Cに示すように、上下にそれぞれ形成されかつ回転軸20を回転自在に保持するアーム部である連結部12a,12bと、連結部12a,12bの洗濯機本体側の端縁と一体的に形成されて上下のアーム部12a,12bを接続する一体部12cとを有している。
【0036】
連結部12a、12bは、上から見た平面形状が円弧状の形態をとなっており、軸保持部21の上端軸連結部21aと下端軸連結部21bとの間で回転軸20に取り付けられている。回転軸20には、付勢バネ22を軸保持部21と連結部12aとの間に設け、付勢バネ22により連結部12a、12bを扉体9が常に開く方向に付勢している。
【0037】
一体部12cは、屈曲部23を有して上下方向に細長い板状に形成された第1の部分12c-1と、第1の部分12c-1の上端と下端とから上下にそれぞれ扉体9の略円形状に沿って延設して略円弧状に形成された第2の部分12c-2とを有している。各第2の部分12c-2は扉体9に固定する。このため、各第2の部分12c-2には、扉体9の内面に位置調節しつつ固定しやすくするため、扉体9の被係合部の一例としての仮支持用ボス51に係合して仮支持可能な係合部の一例としてのボス係合溝12dを有している。
【0038】
よって、扉体ヒンジ部材12を扉体9の蓋裏板50に取り付けるとき、図9Bに示すように、まず、扉体9の上下2つの仮支持用ボス51に位置調節を行いつつ扉体ヒンジ部材12のボス係合溝12dを係合して、扉体ヒンジ部材12を扉体9に仮支持させる。その後、扉体ヒンジ部材12の一体部12cにおいて、一例として、その上下中間の3か所(例えば上側の第2の部分12c-2と下側の第2の部分12c-2と第1の部分12c-1と)で、扉体固定ネジ用穴12eに挿入される扉体固定ネジ52で、扉体ヒンジ部材12を扉体9に取り付けて固定する。その後、図9Aに示すように、扉体9の内面に蓋裏板50を取り付ける。
【0039】
図3C図5から図7とはヒンジユニット10の軸保持部21を前方連結板17に接続した様子を示すものである。
【0040】
軸保持部21は、図3Dにも示すように、回転ドラム3のドラム開口部6に対応する円形の前方連結板開口部17aの開口縁に沿って略円弧状の板形状に形成された軸保持部円弧部21cを有している。軸保持部円弧部21cの上下両端にはそれぞれ張り出した前記上端軸連結部21aと下端軸連結部21bとを有するとともに、軸保持部円弧部21cの上部と下部とはそれぞれ固定部位21dとし、軸保持部21は、軸保持部円弧部21cの上下の固定部位21dで軸保持部円弧部21cにおいて前方連結板17に取り付けられる。
【0041】
具体的には、前方連結板17には、図3Cに示すように、前方連結板開口部17aの側方に軸保持部挿入開口部(第3の開口部)17bを設け、軸保持部21の固定部位21dの折り曲げ係止部21xは、軸保持部挿入開口部17bより挿入されることにより、軸保持部21が前方連結板17の前面に位置し、軸保持部21の前方から固定手段の一例としてのネジ45で前方連結板17に軸保持部21の上下の固定部位21aが固定されている。このとき、回転軸20は、前方連結板17の前面より前方に位置する。上下の連結部12a,12bには、それぞれの上端側と下端側に切り欠き部12fが形成されて、扉体9が開いた状態において、上下の固定部位21aのそれぞれの少なくとも1つのネジ45の前方を覆わないように構成している。
【0042】
図7のように扉体9が閉じた状態では、扉体9がパッキング部材19に当ってこれら両者間のシールを行なうようにしており、扉体9の外周から水及び蒸気が漏れ出ることがないようにしてある。
【0043】
[1-2.動作]
本実施形態のドラム式洗濯機の動作について、以下に簡単に説明する。
【0044】
洗濯動作時には、外槽4の下部に水を溜めておき、回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3内に収納された洗濯物例えば衣類などはバッフル2で上方へ持ち上げられ、所定位置でこのバッフル2から解放されて外槽4に溜められた水面に落下するもので、いわゆる”たたき洗い”がなされるものである。
【0045】
洗濯工程が完了すると、すすぎ工程を経て脱水工程に入る。この脱水工程において、外槽4の水は排水され、外槽4に対して回転ドラム3が高速で回転される。したがって、衣類の水分は遠心力で周囲に飛散され、その後、回転ドラム3の孔3aから外槽4に流出し、排水経路5から廃棄されるようにしてある。
【0046】
乾燥機能を併せ持つ洗濯機では、脱水工程の後、回転ドラム3を低速回転させつつ温風を回転ドラム3の中に供給する。循環方式を採用した洗濯機では、乾燥に供された後の高湿の空気が回転ドラム3の孔3aから出て行き、次いで冷却されて除湿がなされる。除湿空気はヒータで加熱されて温風となり、再度回転ドラム3の背後よりその内部に還流することとなる。
【0047】
次いで、ヒンジユニット10の動作、作用について説明する。
【0048】
回転軸20を保持する軸保持部21を前方連結板17に固定しているので、扉体9を開いた状態のとき、扉体9の荷重は、前面板7ではなく軸保持部21を介して前方連結板17で支えることとなる。これによって、軸保持部21と前方連結板17との強度を向上することにより、ヒンジユニット10全体の強度を向上することができ、前面板7は薄い樹脂部材で形成できるので、種々の形状に形成でき、デザイン性の向上を実現でき、さらに、面積の狭い前方連結板17の強度アップだけでよく、面積の大きい前面板7の強度アップの必要がないため、コストアップを抑えることができる。
【0049】
さらに、連結部12a、12bを回転軸20に取り付けることにより、扉体9に外力が加わった場合の強度も強化することが可能となる。
【0050】
また、図6に示すように、ヒンジユニット10の軸保持部21を、前方連結板17の軸保持部挿入開口部17bより挿入し、前方連結板17の後面に位置させ、前方からネジ45で前方連結板17に固定することにより、扉体9を開いた状態のとき、特に扉体9に開方向の負荷(すなわち、図6の矢印A方向の負荷)がかかったとき、軸保持部21及び前方連結板17には図6の矢印B方向の力がかかり、ネジ45には圧縮方向の力となるため、ネジ45が緩んでしまったり、破損してしまったりすることはない。
【0051】
また、図5に示すように、前面からネジ45で留めることが出来る様にヒンジを切り欠くことにより、組み立て作業性を向上させることができる。
【0052】
さらに、パッキング部材19は、前方連結板17に取り付けられているため、ヒンジユニット10を交換する場合でも、扉体9を連結部12から外し、その後、カバー11と前面板7を外すだけで、パッキング部材19は外さずに交換できるため、ヒンジユニット10の取り付け、取り外しの作業性を向上させることができる。
【0053】
また、ヒンジユニット10の一体部12cには、アーム部12a,12bを接続する平面から屈曲する屈曲部の一例として板金折り目23を作ることで、ヒンジユニット10自体の強度も強化することができる。
【0054】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、ヒンジユニット10は、回転軸20と、扉体ヒンジ部材12と、軸保持部21とを備えている。扉体ヒンジ部材12は、上下にそれぞれ形成され、回転軸20を回転自在に保持するアーム部12a,12bと、アーム部12a,12bと一体的に形成され、上下のアーム部12a,12bを接続する一体部12cと、を有している。軸保持部21は、筐体9に固定され、回転軸20を保持している。一体部12cは、扉体9に取り付けられる。
【0055】
これにより、扉体9に外力が加わった際に上下で捻じれることを抑制できる。また、回転軸20回りの強度が向上し、扉体9の位置ずれが生じにくく、扉体9を閉めた際に確実に水封することができる。このため、使用者の利便性を向上することができ、また更に、洗濯機本体内への取り付けが容易となり、組み立て及び交換などの作業性を向上することができる。
【0056】
これに対して、特許文献1に記載されたヒンジユニットは、扉体側では二股形状になっており、両端がそれぞれ自由に動くため、扉体145へ外力を加えたとき、扉体145の傾きを抑制することが難しく、扉体145が捻じれてしまう構造となっていた。この扉体の捻じれは、扉体の開閉力へ悪影響を及ぼしており、お客様の扉体開閉時の操作性を低下させる原因となっていた。
【0057】
このような不具合を前記実施の形態では解消することができる。
【0058】
本実施の形態のように、一体部12cには、アーム部12a,12bを接続する平面から屈曲する屈曲部23が上下方向に形成されている。
【0059】
これにより、上下のアーム部12a,12bに外力が加わった際に一体部12cが捻じれることを抑制できる。また、屈曲部23を設けて上下方向の強度を担保しつつ、二つの連結部12a,12bを離間させて強度を確保することができる。
【0060】
また、本実施の形態において、扉体9は、少なくとも前面側において略円形状に形成されている。一体部12cは、屈曲部23を有し、上下方向に形成された第1の部分12c-1と、第1の部分12c-1から延設して略円弧状に形成された第2の部分12c-2と、を含でいる。一体部12cは、第2の部分12c-2において扉体9に固定されていている。
【0061】
第2の部分12c-2には、係合部の一例としてのボス係合溝12dが形成されており、扉体9には、係合部と係合する被係合部の一例としての仮支持用ボス51が形成されている。
【0062】
これにより、上下の第2の部分12c-2において扉体9と係合して仮支持状態とすることで、上下で捻じれることなく、一体部12cと扉体9とを固定することができる。
【0063】
また、本実施の形態において、軸保持部21は、固定手段の一例としてのネジ45により筐体9に取り付けられる固定部位21aを有している。アーム部12a,12bは、扉体9が開いた状態において、固定部位21aの前方を覆わないように形成されている。このため、例えば、上下の連結部12a,12bには、それぞれの上端側と下端側に切り欠き部12fが形成されている。
【0064】
これにより、ヒンジユニット10の軸保持部21を前方連結板17に固定する際、前方連結板17の前面からヒンジユニット10の連結部12a,12bの切り欠き部12fを通してネジ45で円滑に固定することができる。すなわち、固定部位21dの前方に空間が形成されるため、ヒンジユニット10を前方から取り付けることができて、取り付けやすくなる。
【0065】
また、本実施の形態において、筐体9は、筐体の一例としての洗濯機本体1の正面側に設けられ、投入口8が形成された前面板7の背部に位置する筐体前面部材の一例としての前方連結板17を含んでいる。軸保持部21は、投入口8に沿って略円弧状に形成された軸保持部円弧部21cを有している。軸保持部21は、軸保持部円弧部21cにおいて前方連結板17に取り付けられている。
【0066】
これにより、前方連結板17の形状に沿った上で、軸保持部21と洗濯機本体1との固定箇所を上下に離間させて強度を確保することができる。
【0067】
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本開示にかかる洗濯機は、回転軸の強度を向上し、扉体の位置ずれを生じにくくすることが可能なので、冷蔵庫や乾燥機等の扉体を有する一般家電製品にも適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1 洗濯機本体(筐体の一例)
2 バッフル
3 回転ドラム(収容槽の一例)
3a 孔
4 外槽
4a 外槽開口部
5 排水経路
6 ドラム開口部
7 前面板
8 衣類投入口(第2の開口部)
9 扉体
10 ヒンジユニット
11 カバー
12 扉体ヒンジ部材
12a、12b 連結部
12c 一体部
12c-1 第1の部分
12c-2 第2の部分
12d ボス係合溝(係合部の一例)
12e 扉体固定ネジ用穴
12f 切り欠き部
13a、13b スリット
16 天板
17 前方連結板(筐体前面部材の一例)
17a 前方連結板開口部(第1の開口部)
17b 前方連結板開口部(第3の開口部)
18 操作パネル
19 パッキング部材
20 回転軸
21 軸保持部
21a 上端軸連結部
21b 下端軸連結部
21c 軸保持部円弧部
21d 固定部位
21x 折り曲げ係止部
22 付勢バネ
23 板金折り目(屈曲部の一例)
45 ネジ(固定手段の一例)
50 蓋裏板
51 仮支持用ボス(被係合部の一例)
52 扉体固定ネジ
53 ハンドル
54 ラッチ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11