(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】圧着工具
(51)【国際特許分類】
B25B 25/00 20060101AFI20241011BHJP
B25B 7/02 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
B25B25/00 D
B25B7/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019070350
(22)【出願日】2019-04-02
【審査請求日】2022-01-05
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523076368
【氏名又は名称】ウェザーク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】トマス グロックセイセン
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ジンサー
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-155979(JP,U)
【文献】米国特許第06612206(US,B1)
【文献】米国特許第04048877(US,A)
【文献】米国特許第05280716(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105522534(CN,A)
【文献】特開2016-078235(JP,A)
【文献】特開昭53-077400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 25/00
B25B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの挟みジョー(6、9)が配置された挟み頭部(82)と2つのハンドレバー(8、24)とを備える圧縮または圧着工具(1)であって、前記2つの挟みジョーは、手作業で引き起こされる前記2つのハンドレバー(8、24)の相対運動を介して、前記挟みジョー(6、9)の開放位置(57)から前記挟みジョー(6、9)の閉鎖位置(53)への作業行程(81)を引き起こすことが可能であるように前記ハンドレバー(8、24)と力が伝わるように接続されている、圧縮または圧着工具において、
弾性装置(35)が設けられており、該弾性装置は前記挟みジョー(6、9)に、
a)前記挟みジョー(6、9)の前記開放位置(57)と前記閉鎖位置(53)との間に配置された平衡位置(48)において前記弾性装置(35)は力を前記挟みジョー(6、9)に及ぼさず、
b)前記開放位置(57)と前記平衡位置(48)との間に配置された第1の部分作業行程(79)において、前記弾性装置(35)は、付勢された状態にあり、前記弾性装置(35)は、前記開放位置(57)でも前記第1の部分作業行程(79)でも復元力としての閉鎖力を前記挟みジョー(6、9)に及ぼし、
c)前記平衡位置(48)と前記閉鎖位置(53)との間に配置された第2の部分作業行程(80)において、前記弾性装置(35)は、付勢された状態にあり、前記弾性装置(35)は、前記閉鎖位置(53)でも前記第2の部分作業行程(80)でも復元力としての開放力を前記挟みジョー(6、9)に及ぼす、
ように作用することを特徴とする圧縮または圧着工具。
【請求項2】
前記弾性装置(35)は、
a)前記第1の部分作業行程(79)において閉鎖力を形成する閉鎖バネ(71)と、
b)前記第2の部分作業行程(80)において開放力を形成する開放バネ(70)と、
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項3】
前記弾性装置(35)はバネ(34)を有し、該バネは、
a)前記第1の部分作業行程(79)において閉鎖力を形成し、
b)かつ前記第2の部分作業行程(80)において開放力を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項4】
前記弾性装置(35)の最小の撓みを規定する少なくとも1つのストッパ(50;49)が設けられており、該ストッパ(50;49)は、前記挟み頭部(82)に固定されているか、または前記挟み頭部(82)により支持されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項5】
a)
第1および第2の前記ストッパ(50;49)が設けられていて、前記
第1および第2のストッパ(
50;49)は、一方の前記挟みジョー(6)に設けられていて、
b
)他方の前記挟みジョー(9)に
は第1および第2の連行器(54;55)が設けられてい
て、前記平衡位置(48)では、前記第1および第2のストッパ(50;49)並びに前記第1および第2の前記連行器(54;55)が前記弾性装置(35)に当接し、前記第1の部分作業行程(79)に際しては、前記第2の連行器(55)および前記第1のストッパ(50)が前記弾性装置(35)に当接し、前記2つのハンドレバー(8、24)の相対運動によって、前記第2の連行器(55)および前記第1のストッパ(50)を介して力が前記弾性装置(35)に伝わり前記弾性装置(35)を付勢された状態にし、前記第2の部分作業行程(80)に際しては、前記第1の連行器(54)および前記第2のストッパ(49)が前記弾性装置(35)に当接し、前記2つのハンドレバー(8、24)の相対運動によって、前記第1の連行器(54)および前記第2のストッパ(49)を介して力が前記弾性装置(35)に伝わり前記弾性装置(35)を付勢された状態にすることを特徴とする請求項4に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項6】
前記弾性装置(35)のバネ(34)は、U字形の湾曲バネまたは板バネ(36)として構成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項7】
前記U字形の湾曲バネまたは板バネ(36)のバネアーム(51、52)は、前記挟み頭部(82)の長手軸の方向または閉鎖された前記ハンドレバー(8、24)の方向に伸長している、ことを特徴とする請求項6に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項8】
強制ロック部(37)が設けられており、該強制ロック部は、一度達成された前記挟みジョー(6、9)の部分閉鎖位置を開放に対して確保し、前記挟みジョー(6、9)の開放を、作業行程(81)を完全に経過することにより初めて可能にし、前記作業行程(81)を完全に経過することにより、前記弾性装置(35)は前記挟みジョー(6、9)を前記平衡位置(48)に移動させる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項9】
前記開放位置(57)は、弾性装置により形成される閉鎖力よりも大きい係止力を生じさせる係止を引き起こす係止装置(58)または解除に手動の操作を必要とするロック装置により確保可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項10】
前記弾性装置(35)のバネ(34)は、
a)開放力および/または閉鎖力を形成し、かつ
b)前記係止装置(58)の係止力または前記ロック装置のロック力を形成する、
ように多機能に作用することを特徴とする請求項9に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項11】
a)前記U字形の湾曲バネまたは板バネ(36)のバネアーム(52)は、前記係止装置(58)の係止バネアーム(62)を支持し、
b)前記係止バネアーム(62)は、係止要素(60)を弾性に形成し、または支持し、前記係止要素は、作業行程にわたり前記係止要素(60)に対して相対的に移動される相手方係止要素(61)と係止的に交互作用する、
ことを特徴とする請求項10に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項12】
a)固定の挟み部材(2)が、固定の挟みジョー(6)と固定のハンドレバー(8)を形成し、
b)可動の挟み部材(3)が、可動の挟みジョー(9)を形成し、かつ旋回支承部(13)を介して前記固定の挟み部材(2)に旋回可能に連結されており、
c)可動のハンドレバー(24)が、旋回支承部(26)を介して前記固定の挟み部材(2)に旋回可能に連結されており、
d)前記可動のハンドレバー(24)は、駆動接続部を介して前記可動の挟み部材(3)と接続されている、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項13】
前記駆動接続部はトグル駆動部(47)を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項14】
前記可動のハンドレバー(24)は、前記相手方係止要素(61)を形成する、ことを特徴とする請求項11を引用する請求項12または13に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【請求項15】
前記可動の挟み部材(3)を旋回可能に前記固定の挟み部材(2)に連結する前記旋回支承部(13)は、前記固定の挟み部材(2)の長手伸長部の、前記挟み頭部(82)とは反対側の半部分に配置されている、ことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の圧縮または圧着工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮または圧着工具に関する。圧縮または圧着工具により、ハンドレバーの手動操作によって加工物を圧縮または圧着することができる。
【背景技術】
【0002】
ここで圧着工具は、とりわけ持続的な機械的接続と電気的接触接続を形成するために用いられる。このことは好ましくは、任意の構造形式のケーブルまたは電気導体を備えるコネクタを圧着することにより行われる。使用されるダイのプロフィールに応じて、種々の圧着過程を圧着工具により実行することができる。例えばこれは閉鎖された圧着でも良く、この閉鎖された圧着では導体がコネクタの閉鎖された圧着ゾーンに、または閉鎖されたスリーブに導入され、圧着ゾーンまたはスリーブの可塑変形によって圧着される。しかし、開放した圧着を形成することも可能であり、この開放した圧着ではコネクタが開放した圧着ゾーンを有し、この圧着ゾーンに導体を上方から装填することができる。本発明を限定しない単なるいくつかの例を挙げるために、当該の圧着工具により、
-DIN4623によるケーブルシュー、
-DIN46329によるアルミニウム接続器、
-DIN48201によるアルミニウム圧縮ケーブルシュー
-DIN46234による圧潰ケーブルシュー、
-DIN46230によるピンケーブルシュー、または
-WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,”Werkzeuge fur die professionelle Anwendung”,(独),Veroffentlichungs-Nr. 10/11に記載されたような接続器、コネクタまたはケーブルシュー、
を圧着することができる。形成された圧着は、例えば閉鎖された圧着に対しては、六角またはヘキサゴンクリンプ、四角クリンプ、B字型クリンプ、台形クリンプ、修正された台形クリンプ、楕円クリンプ、針クリンプまたは2針クリンプとすることができる。開放した圧着は、例えばV字型クリンプまたはB型クリンプとして、ロールクリンプまたはダブルロールクリンプとして構成することができる。
【0003】
ケーブルまたは導体とコネクタとの間に電気接続を形成することに加えて、いわゆる絶縁クリンプにより機械的接続も形成することができる。ここでは、閉鎖された絶縁クリンプまたは開放した絶縁クリンプ(とりわけV字型クリンプまたはB字型クリンプ、O字型クリンプまたはOV字型クリンプ)を使用することができる。
-上位概念による圧着工具の構成、
-上位概念による圧着工具の可能な使用領域、および/または
-上位概念の圧着工具によって形成することのできるクリンプ接続の種々の可能な形式、
についてのさらなる情報に関しては、著作物、WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,” Bibliothek der Technik 342,Crimptechnik,Herstellung prozesssicherer Verbindungen von elektrischen Leitern und Steckern”,(独),Moderne Industrie,2011を参照されたい。
【0004】
これに対して、上位概念による圧縮工具は、流体技術において好ましくは機械的な液密接続に使用され、例えばパイプを互いに、または流体密の接続コネクタに接続するために使用される。ここでは圧縮工具によって、接続すべきパイプまたは機械的接続および流体密の密閉を保証するいわゆるフィッティングの可塑変形が行われる。上位概念による圧縮工具の例示的実施形態が、独国特許出願公開第19709639号明細書、独国特許発明第19834859号明細書、独国特許発明第19924086号明細書、独国特許発明第19924087号明細書、独国特許発明第19963097号明細書、独国特許発明第10346241号明細書、独国特許発明第102007001235号明細書、独国特許発明第102008005472号明細書、欧州特許出願公開第3208044号明細書、欧州特許出願公開第2995424号明細書から得ることができる。
【0005】
米国特許第5280716号明細書は、固定の挟み部材が固定のハンドレバーおよび固
定の挟みジョーを形成する圧着工具を開示する。挟み頭部の領域では旋回支承部を介して、固定の挟み部材に可動の挟みジョーが支承されている。旋回支承部から離れる側では、可動の挟みジョーに可動のハンドレバーが連結されている。可動のハンドレバーは、さらに圧縮レバーを介して固定のハンドレバーに支持されている。第1のバネの一方のバネ基点が、旋回支承部と圧縮レバーの連結部との間で可動のハンドレバーに連結されており、他方のバネ基点は、固定のハンドレバーに連結されている。第1のバネは、可動のハンドレバーを開放方向に付勢する。脚付き捩じりバネとして構成された第2のバネは、圧縮レバーを開放方向に付勢する。2つのバネの作用の結果、圧着工具は、ハンドレバーをユーザの手により付勢しなくても開放位置を取り、一方、ハンドレバーの少なくとも部分的な閉鎖は、ユーザによるハンドレバーへの閉鎖力の適用を必要とする。圧縮レバーを可動のハンドレバーに連結するボルトが長穴内で案内され、これによりこのボルトは、第1の位置と第2の位置を取ることができる。開放位置から部分的閉鎖位置までボルトは第1の位置を取り、この第1の位置ではトグル駆動部として構成された駆動接続部が比較的に大きな変速比を有しており、これにより挟みジョーの領域に小さな力が形成されると、挟みジョーに大きな閉鎖角を引き起こすことができる。挟みジョーに保持されるダイが工具の外套面にちょうど当接する部分閉鎖位置に達すると、長穴の配向の結果、ボルトが自動的に第2の位置に移行され、これにより駆動接続部が比較的に小さな変速比に切り替えられる。そしてこの変速比により、比較的に大きな力を挟みジョーにおいて引き起こすことができる。中間閉鎖位置は、強制ロック部により確保することができる。
【0006】
さらに基本的に対応する圧着工具の構成において、米国特許第4048877号明細書によれば、可動のハンドレバーの支持は固定のハンドレバーにある圧縮レバーを介して行われない。そうではなく可動のハンドレバーがローラを支持し、このローラは圧着行程にわたって固定のハンドレバーのカムプロフィールにおいて転動し、その際にカムプロフィールの輪郭に応じてドラム運動により駆動機構の変速比が変化される。この圧着工具では、ハンドレバー(複数)の間に直接的に作用する第1のバネが、ローラが常にカムプロフィールに当接することを保証する。第2のバネは、2つの挟みジョーを開放方向に付勢する。カムプロフィールが少なくとも1つの谷を有する場合、可動のハンドレバーに支承されたローラが谷に進入することにより、安定した中間位置を保証することができる。この中間位置では圧着工具のさらなる開放が第2のバネによって行われない。なぜならそのためにはロータが、谷を画定する勾配領域を、第1のバネの作用に抗して乗り越えなければならないことになるからである。この圧着工具も強制ロック部を有する。
【0007】
さらなる圧着工具が国際公開第93/19897号から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第19709639号明細書
【文献】独国特許発明第19834859号明細書
【文献】独国特許発明第19924086号明細書
【文献】独国特許発明第19924087号明細書
【文献】独国特許発明第19963097号明細書
【文献】独国特許発明第10346241号明細書
【文献】独国特許発明第102007001235号明細書
【文献】独国特許発明第102008005472号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3208044号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2995424号明細書
【文献】米国特許第5280716号明細書
【文献】米国特許第4048877号明細書
【文献】国際公開第93/19897号
【0009】
【文献】WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,”Werkzeuge fur die professionelle Anwendung”,(独),Veroffentlichungs-Nr. 10/11
【文献】WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,” Bibliothek der Technik 342,Crimptechnik,Herstellung prozesssicherer Verbindungen von elektrischen Leitern und Steckern”,(独),Moderne Industrie,2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の基礎とする課題は、力関係、操作快適性および操作確実性の観点で改善された、手動操作される圧縮または圧着工具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、本発明により独立請求項の特徴によって解決される。さらなる好ましい本発明の構成は、従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明は、圧縮または圧着工具の構成においては、目標矛盾が生じ得るという知識に基づく:
a)一方では、圧縮または圧着工具において挟みジョー(複数)の間でバネが作用することは望ましいことであり得る。このバネは、挟みジョーを閉鎖方向に付勢する。この場合、圧縮または圧着工具のダイによって形成された挟み口の開放は、駆動接続されたハンドレバーによって、バネの作用に抗して挟みジョーを開放することによって行われる。そして加工物が挟み口に装填されると、ハンドレバーを緩める際にバネは、挟みジョーを互いに閉じるように付勢する。これにより、力をハンドレバーに手で適用しなくても、バネにより加工物がダイの間で緊張される。このようにして加工物を挟み口内に、その位置に関して、および意図しない落下に対して確保することができる。
【0013】
b)他方では、圧縮または圧着工具が作業行程の経過後に自動的に開放すると有利であり得ることが示された。したがって公知の圧縮または圧着工具にも、挟みジョーを開放方向に付勢するバネが使用される。
【0014】
従来技術から公知の圧縮または圧着工具に対しては目標矛盾が解消可能でない。したがって、前記の対立する目標の意味の評価に応じて、圧縮または圧着工具の製造業者は、開放方向または閉鎖方向に作用するバネに関して決定しなければならない。
【0015】
本発明によれば、2つの(ダイを支持するまたは形成する)挟みジョーを有する圧縮または圧着工具が提案される。挟みジョーは、適切な駆動機構を介して2つのハンドレバーと駆動接続されている。ここではハンドレバーの相対運動によって、挟みジョーの開放位置から挟みジョーの閉鎖位置への挟みジョーの作業行程を引き起こすことができる。ここでこの作業行程は、まずダイが加工物に当接する「アイドリング行程」と、加工物がダイの間で圧縮または圧着される圧縮または圧着行程を有する。本発明の圧縮または圧着工具では、少なくとも1つの弾性装置が使用される。
【0016】
少なくとも1つの弾性装置は、本発明の枠内において特別のやり方で構成されており、力の流れに組み込まれている。少なくとも1つの弾性装置は、まず平衡位置を保証する。この平衡位置では弾性装置は挟みジョーに力を及ぼさない。したがってただ1つの弾性装
置が使用される場合、この弾性装置は平衡位置では緊張されない(または僅かな程度しか緊張されず、圧縮または圧着工具に存在する摩擦またはその他の抵抗に打ち克つことはできない)。複数の弾性装置が使用される場合については、これらは全体として緊張されないか、または緊張された弾性装置の作用は互いに相殺することができる。挟みジョーの前記平衡位置は、ここでは挟みジョーの開放位置と閉鎖位置との間に配置されている(例えば作業行程の20%から80%または30%から60%の間)。
【0017】
平衡位置は作業行程を第1の部分作業行程と第2の部分作業行程に分割する。第1の部分作業行程は、挟みジョーの開放位置と平衡位置との間に配置されており、第2の部分作業行程は、平衡位置と閉鎖位置との間に配置されている。第1の部分作業行程では、少なくとも1つの弾性装置は閉鎖力を挟みジョーに及ぼす。これに対して弾性装置は、第2の部分作用行程において開放力を挟みジョーに及ぼす。
【0018】
本発明のこの構成により、とりわけ圧縮または圧着工具の以下の有利な使用が可能になる:
・圧縮または圧着過程の開始時に圧縮または圧着工具は平衡位置に存在する。平衡位置は安定している。なぜなら弾性装置が、開放方向への撓みが小さい場合は閉鎖力を引き起こし、閉鎖方向への撓みが小さい場合、開放力を引き起こすからである。このようにして平衡位置への復帰を自動的に行うことができる。
【0019】
・加工物を(圧縮または圧着工具のダイにより形成される)挟み口に装填すべき場合、ユーザは開放力をハンドレバーにもたらすことにより、挟みジョーを開放位置の方向に開くことができる。
【0020】
・加工物が挟み口に装填され、加工物の寸法が挟み口の大きさと比較して、加工物を圧縮または圧着せずに挟みジョーをダイと共に平衡位置まで戻すことができないような寸法になると、挟みジョーはダイと共に弾性装置によって、加工物に対する閉鎖力で圧縮される。これにより、ユーザが閉鎖力をハンドレバーにもたらさなくても、挟み口における加工物の位置および/または状態の確保が保証される。
【0021】
・次に、ユーザが閉鎖力をハンドレバーにもたらし、挟みジョーの閉鎖位置を引き起こすことにより、圧縮または圧着行程が実行され、圧縮または圧着行程の終了後に弾性装置は、第2の部分作業行程において開放力を挟みジョーに及ぼすことができる。これにより挟み口は、ユーザによりハンドレバーに適用された閉鎖力が除去されると自動的に“ぱっと”開く。
【0022】
好ましくは弾性装置は、バネ力の非線形特性を形成する。バネ力の非線形特性は、とりわけ平衡位置において、または2つの部分作業行程の間に屈曲および/または跳躍を有する。
【0023】
弾性装置は1つまたは複数のバネを有することができる。ここで少なくとも1つのバネは任意の材料(例えば金属、プラスチック、エレアストマ材料)から作製することができ、複合材料から作製することもできる。これは圧縮バネ、テンションスプリング、回転角バネ、トーションバネ、またはその他の任意の構造形式のバネとすることができる。複数のバネを使用する場合には、これらを機械的直列回路にまたは並列回路に配置することができ、および/または種々の箇所で力の流れに組み込むことができる。1つのバネを開放方向に作用させ、別の1つのバネを閉鎖方向に作用させることも可能である。好ましくは弾性装置は、とりわけ平衡位置において、または2つの部分作業行程の間に屈曲および/または跳躍を有する非線形特性を形成する。
【0024】
本発明の一構成では弾性装置は、閉鎖バネと開放バネを有する。この場合、第1の部分作業行程において閉鎖バネが閉鎖力を形成し、一方、第2の部分作業行程において開放バネが開放力を形成する。ここでは、第1の部分作業行程において開放バネが駆動接続から分離されており、一方、第2の部分作業行程において閉鎖バネが駆動接続から分離されていることが可能である。
【0025】
本発明の別の一変形例では、弾性装置は、(好ましくはもっぱら)1つのバネを有する。そしてこのバネは、第1の部分作業行程において閉鎖力を形成し、第2の部分作業行程においては開放力を形成することにより多機能に使用される。
【0026】
本発明の枠内では、弾性装置のバネが作業行程全体にわたり、挟みジョーの運動と連結されていることが完全に可能である。この場合、作業行程全体にわたってもバネの付勢は変化する。本発明の特別の提案では、圧縮または圧着工具は、少なくとも1つのストッパを有する。このストッパは、弾性装置のバネ基点の極値的な撓みを規定し、これは好ましくは最小の撓みである。さらに圧縮または圧着工具のこの構成では連行器が設けられている。この連行器は、部分作業行程において弾性装置のバネ基点を連行し、これをストッパから離れるように移動させる。これによりバネの付勢が変化する。好ましくは別の部分作業行程においては、弾性装置のバネ基点はストッパに留まる。したがってこの別の部分作業行程に対しては、バネの付勢は変化しない。
【0027】
バネが圧縮バネの場合、ストッパは、圧縮バネの最小の圧縮付勢を規定する。連行器が圧縮バネのバネ基点を連行し、ストッパから離れるように移動させる部分作業行程では、圧縮バネの圧縮力が高まる。そして圧縮バネの高められた圧縮力は、閉鎖力または開放力を形成するために使用することができる。対応することが引張バネを使用する場合に対して当てはまる。ここではストッパが引張バネの最小の引張力を規定する一方、連行器による引張バネのさらなる付勢によって撓みおよび引張力がさらに大きくなる。
【0028】
本発明の特別の一提案では、2つのストッパと所属の連行器が設けられている。2つのストッパには平衡位置において、ただ1つのバネを捕獲しておくことができる。この場合、第1の部分作業行程時に連行器によりバネのバネ基点が連行される。別の部分作業行程では他方のバネ基点が他方の連行器によって連行される。これに対して2つのバネが使用される場合、平衡位置において各バネはそれぞれ所属のストッパに支持することができる。この場合、一方の部分作業行程時に一方の連行器が一方のバネのバネ基点を所属のストッパから引き離し、他方のバネ基点は他方の所属のストッパに留まったままである。そして別の部分作業行程では、他方の連行器が他方のバネのバネ基点を所属のストッパから引き離し、この場合、最初に述べたバネのバネ基点はストッパに支持されたままである。
【0029】
少なくとも1つのストッパと少なくとも1つの連行器は、作業行程中に、ストッパおよび連行器が配置された構成要素が相対運動する限り、圧縮または圧着工具の任意の構成要素に配置することができる。したがって例えば、連行器がハンドレバーに支持されており、一方、所属のストッパは(好ましくは移動された)挟みジョーに固定されていることが可能である。圧縮または圧着工具の本発明の一構成では、ストッパが挟み頭部に固定されているか、またはこれにより支持されており、一方、連行器は、挟み頭部に対して作業行程にわたって移行される挟みジョーに固定されているか、またはこれにより支持されている。2つのストッパと連行器が存在する場合、このことは2つのストッパと連行器に対しても当てはまる。
【0030】
基本的に弾性装置の少なくとも1つのバネは、任意に構成することができる。弾性装置の特別の構成では、U字形の湾曲バネまたは板バネとして構成されたただ1つのバネが使用される。この種の湾曲バネまたは板バネは、長い寿命を備える構造的に簡単なバネであ
り、湾曲バネまたは板バネの断面および場合により断面経過を介して、湾曲バネまたは板バネの長手軸の経過、使用される材料、および湾曲バネまたは板バネの有効長、剛性および剛性特性のある種の非線形性を構造的に設定することができる。湾曲バネまたは板バネがU字形に構成されていることにより、Uの字の異なるバネアームを剛性の構成に使用することができる。
【0031】
U字形の湾曲バネまたは板バネを圧縮または圧着工具に特に良好に組み込むことは、U字形の湾曲バネまたは板バネのバネアームが挟み頭部の長手軸の方向に、または閉鎖されたハンドレバーの方向に伸長している場合に、本発明の構成に対して得ることができる。
【0032】
さらなる提案では、圧縮または圧着工具には強制ロック部が装備されている。この種の強制ロック部は、挟みジョーの一度達成された部分閉鎖位置を、開放しないように確保する。これにより、ハンドレバーに作用する手の力が一時的に除去されても、達成された部分閉鎖位置が維持される。この種の強制ロック部により挟みジョーの開放は、作業行程が完全に経過した場合に初めて可能になる。この措置により、プロセス確実性を高めることができる。本発明の構成の結果、作業行程が完全に経過することにより(すなわち強制ロック部の開錠により)、弾性装置は挟みジョーを、自動的に平衡位置に戻るよう移動させる。好ましくは本発明の枠内で強制ロック部は、これがもっぱら第2の部分作業行程でだけ(または強制ロック部の端部側の部分でだけ)作用するように構成されており、これにより強制ロック部は第1の部分作業行程では、弾性装置の目標とする作用を阻止しない。
【0033】
本発明の枠内で、(加工品を挟み口に装填することのできる)開放位置を、弾性装置の作用の観点から、弾性装置による挟みジョーの付勢に対抗作用する開放力をユーザがハンドレバーまたは挟みジョーにもたらす場合だけ維持することが完全に可能である。本発明のさらなる一提案では、圧縮または圧着工具を手作業で開放位置に維持する必要性を回避することができる。この提案のために、係止装置またはロック装置が設けられている。係止装置またはロック装置は開放位置を確保する。したがって開放位置で作用する弾性装置の閉鎖力があっても、開放位置を自動的に維持することができる。
【0034】
ここで係止装置とは、とりわけ、弾性装置により形成される閉鎖力よりも大きい係止力を生じさせる係止を引き起こす装置であると理解される。手作業で閉鎖力をもたらすことにより(例えばハンドレバーを介して、または挟みジョーに閉鎖力を直接もたらすことにより)係止を過圧することができ、これにより開放位置を去る。係止がこのように過圧される場合、係止力は少なくとも部分的に消失する。この消失の結果、弾性装置により形成された閉鎖力が支配的になる。これにより平衡位置への復帰(または弾性装置による加工物へのダイの当接)が可能である。
【0035】
これに対してロック装置とは、閉鎖力をもたらすことにより(例えばハンドレバーを介して、または挟みジョーに閉鎖力を直接もたらすことにより)簡単には開放位置を去ることができないように開放位置がロックされる装置であると理解される。それどころかロックを解除するようなロック要素の手動の操作が必要であり、これにより弾性装置は、挟みジョーの平衡位置への復帰を引き起こすことができ、または加工物へのダイの当接を引き起こすことができる。
【0036】
係止装置またはロック装置では、別個に構成された係止バネまたはロックバネを使用することが完全に可能である。本発明の圧縮または圧着工具の一構成では、バネが一方で開放力および/または閉鎖力を形成することにより弾性装置のバネは多機能である。
【0037】
さらにこのバネは、係止装置の係止力またはロック装置のロック力を形成する。この種の多機能バネの構造的構成では多種多様な可能性が存在する。
【0038】
本発明の一提案では、U字形の板バネまたは湾曲バネのバネアームが係止装置の係止バネアームを支持する。係止バネアームは、この場合、係止要素を形成するか、またはこれを支持する。係止要素は、相手方係止要素との交互作用で係止する。ここでは作業行程にわたり、およびとりわけ開放位置の周囲領域において、係止要素に対する相手方係止要素の相対運動が行われる。
【0039】
本発明の圧縮または圧着工具のさらなる一構成は、圧縮または圧着工具の特別の構造および対象物に対する特別の駆動動力学を有する。この実施形態では、固定の挟み部材(これは一部材または多部材に構成することができる)が、固定の挟みジョーおよび固定のハンドレバーを形成する。そして可動の挟み部材(これも同様に一部材または他部材に構成することができる)が、可動の挟みジョーを形成する。可動の挟み部材は、旋回支承部を介して固定の挟み部材に旋回可能に連結されている。固定の挟み部材には旋回支承部を介して可動のハンドレバーも旋回可能に連結されている。そして可動のハンドレバーは、駆動接続部(とりわけ圧縮レバー駆動部またはトグル駆動部)を介して可動の挟み部材と接続されている。
【0040】
本発明の一提案では、この場合、可動のハンドレバーは相手方係止要素を形成する。
【0041】
圧縮または圧着工具の構造的構成では、この場合、可動の挟み部材を旋回可能に固定の挟み部材に連結する旋回支承部は、固定の挟み部材の長手伸長部の、挟み頭部とは反対側の半部分に配置されている(この場合、旋回支承部は、長手頭部の前方終端部から間隔を置いて配置することができ、この間隔は、固定の挟み部材の長手伸長部の55%超、60%超、65%超、70%超、またはそれどころか75%超である)。旋回支承部が挟み頭部から離れるように移動することにより、ダイの旋回半径も拡大することができる。このようにして、ダイの所定の行程のためにダイの旋回角を、作業行程にわたって縮小することができる。ダイの過度に大きな相互の旋回は、圧縮または圧着工具に対して不利であることが判明した。
【0042】
本発明の有利な発展形態は、特許請求の範囲、明細書および図面から得られる。明細書に述べた特徴および複数の特徴の組み合わせの利点は単なる例であり、択一的にまたは累積的に作用することができ、これらの利点は本発明の実施形態により必然的に達成する必要はない。これにより添付した特許請求の範囲の対象を変更することなく、当初の出願書類および特許の開示内容に関して、以下が当てはまる:さらなる特徴は、図面、とりわけ図示の幾何形状および複数の構成部材の互いの相対的寸法並びにそれらの相対的配置と作用接続から理解される。本発明の種々の実施形態の特徴の組み合わせ、または種々の特許請求項の特徴の組み合わせは、特許請求項の選択された引用関係から異なっても同様に可能であり、ここにおいて提案される。このことは、別個の図面に示される特徴、または図面の説明において述べられる特徴にも該当する。これらの特徴は、異なる特許請求項の特徴と組み合わせることもできる。同様に特許請求の範囲に挙げられた特徴は、本発明のさらなる実施形態に対しても当てはまる。
【0043】
特許請求の範囲および明細書に述べられた特徴は、それらの数に関して、副詞「少なくとも」を明示的に使用する必要なしに、ちょうどその数または述べた数よりも大きい数が存在していると理解すべきである。したがって例えばバネについて述べる場合、これはちょうど1つのバネ、2つのバネまたは複数のバネが存在することであると理解すべきである。これらの特徴は、別の特徴により補完することができ、またはそれぞれの製品を構成するただ1つの特徴であってもよい。
【0044】
特許請求の範囲に含まれる参照符号は、特許請求の範囲により保護される対象の範囲を
制限するものではない。参照符号は、特許請求の範囲を容易に理解する目的のためにだけ用いられる。
【0045】
以下、本発明を、図面に示された好ましい実施例に基づき更に説明し記述する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図3】駆動動力学を説明するための、
図1と
図2の圧着工具の構成要素の側面図である。
【
図4】
図1~3の圧着工具を種々の動作位置において示す側面図である。
【
図5】
図4、6、8、10の圧着工具のV、VII、IX、XIの詳細図である。
【
図6】
図1~3の圧着工具を種々の動作位置において示す側面図である。
【
図7】
図4、6、8、10の圧着工具のV、VII、IX、XIの詳細図である。
【
図8】
図1~3の圧着工具を種々の動作位置において示す側面図である。
【
図9】
図4、6、8、10の圧着工具のV、VII、IX、XIの詳細図である。
【
図10】
図1~3の圧着工具を種々の動作位置において示す側面図である。
【
図11】
図4、6、8、10の圧着工具のV、VII、IX、XIの詳細図である。
【
図12】圧着工具の択一的な一実施形態の側面図である。
【
図14】圧縮または圧着工具の弾性装置の種々のバネ特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1から11は、圧着工具1の平面構造を示す。圧着工具1は、固定の挟み部材2と可動の挟み部材3を有する。固定の挟み部材2は、2つの固定の挟み部材板4a、4bを有する。可動の挟み部材3は、2つの可動の挟み部材板5a、5bを有する。固定の挟み部材2は、固定の挟みジョー6、接続領域7および固定のハンドレバー8を有する。図示の実施例では、固定の挟み部材板4aが、固定の挟みジョー6、接続領域7および固定のハンドレバー8を形成する。これに対して固定の挟み部材板4bは、固定の挟みジョー6および接続領域7だけを形成する。可動の挟み部材3は、可動の挟みジョー9を有する。可動の挟みジョー9は、旋回支持体10に保持されている。ここで可動の挟み部材板5a、5bは、挟みジョー板11a、11bおよび旋回支持板12a、12bにより2分割式に構成されている。
【0048】
可動の挟み部材3は、旋回支承部13を介して固定の挟み部材2に、旋回軸14を中心に旋回可能に連結されている。これは、図示の実施例では旋回ボルト15によって行われる。旋回ボルト15は、可動の挟み部材板5a、5bおよび固定の挟み部材板4a、4bの、旋回を可能にする貫通孔部16a、16bを通って伸長する。ここでは2つの可動の挟み部材板5a、5bは、固定の挟み部材板4a、4bの間に収容されている。挟みジョー板11a、11bは、これら挟みジョー板11a、11bが固定の挟み部材板4a、4bにより規定される平行平面内で伸長し、旋回の間にこれら平面内で運動するように旋回支持板12a、12bに当接され、これらに保持されている。
【0049】
旋回支持板12のほぼ中央で可動の挟み部材3には旋回支承部17を介して、圧縮レバー18(これは、ここでは2つの圧縮レバー板19a、19bにより形成されている)の端部領域が連結されている。図示の実施例では、旋回支承部17は旋回ボルト20により形成されている。旋回ボルト20は、圧縮レバー板19b、旋回支持板12b、旋回支持板12aおよび圧縮レバー板19aの貫通孔部21a、21b、21c、21d内に収容されている。このようにして旋回支承部17の旋回軸22が規定される。図示の実施例では、2つの圧縮レバー板19が固定の挟み部材板4a、4bの間ではなく、それらの外部に配置されている。この理由から、旋回ボルト29は、固定の挟み部材板4a、4bの長穴23a、23bを通って伸長する。長穴23a、23bは、固定の挟み部材板4a、4bが、可動の挟み部材3の旋回による旋回ボルト20の運動を妨げないように成形され、配置されている。
【0050】
可動のハンドレバー24(これは、ここでは2つの可動のハンドレバー板25a、25bを有する)は、旋回支承部26を介して旋回軸27により旋回可能に、固定の挟み部材2に支承されている。この目的のために、固定の挟み部材板4b、ハンドレバー板25b、ハンドレバー板25aおよび固定の挟み部材板4aは、貫通孔部28a、28b、28c、28dを有する。貫通孔部28a、28b、28c、28dを通って旋回ボルト29が伸長している。旋回ボルト29により、可動のハンドレバー24は、固定の挟み部材2に対して相対的な旋回運動をすることができる。
【0051】
圧縮レバー18は、旋回支承部30を介してハンドレバー24と旋回可能に接続されている。この目的のために、圧縮レバー板19a、19bは貫通孔部31a、31bを有する。ハンドレバー板25a、25bは、貫通孔部28b、28cに隣接して貫通孔部31b、31cを有する。貫通孔部31b、31cを通って旋回ボルト32が伸長し、これは旋回運動を可能にする。そのために旋回ボルト32は固定の挟み部材板4a、4bを貫通しなければならないから、固定の挟み部材板4a、4bは長穴33a、33bを有する。長穴33a、33bは、旋回ボルト32の運動自由度が妨げられないことを保証する。
【0052】
構成要素または板の前記対は、中央の挟み板平面の両側に対称に伸長している。この中央の挟み板平面には、弾性装置35の一部であるバネ34が配置されている。図示の実施例では、バネ34はU字形の板バネまたは湾曲バネ36として構成されている。
【0053】
圧着工具1には強制ロック部37が使用される。強制ロック部37はロック爪38を有する。ロック爪は、ここではロック爪軸39により支持されている。ロック爪軸39は、回転可能に圧縮レバー板19a、19bに支承されている。ロック爪軸39は、運動自由度を制限することなく、固定の挟み部材板4a、4bの貫通切欠部40a、40bを貫通して伸長する。ロック爪38との交互作用で、ハンドレバー24はその周面領域にロック歯部41を形成する。ハンドレバー24の閉鎖運動の間、ロック爪38は、バネ42による付勢の結果、ロック歯部41に沿ってラッチのように滑動する。ロック爪28およびロック歯部41の幾何形状は、ロック爪38がロック歯部41に係合する際に、反対方向の運動が排除されるように選択されている。これに対して圧着工具1の閉鎖位置に達すると、ロック爪38はロック歯部41を通過する。これによりロック爪38は、バネ42により形成された引張力の結果、“折り返す”ことができる。そして折り返した後、ロック爪38は開放運動の際にロック歯部41に沿って滑動することができる。
【0054】
図2には、挟みジョー6、9が、それぞれ交換可能なダイ43、44を支持することが示されている。そのために好ましくは挟みジョー6、9とダイ43、44との接続が使用され、この接続は独国特許発明第19802287号明細書に記載されている。
【0055】
駆動動力学を、
図3に基づいて説明する:旋回支持体10および挟みジョー板11を備える可動の挟み部材3が、旋回支承部13を介して固定の挟み部材2に支承されているので、挟みジョー6、9の相対運動を行うことができる。挟みジョー6、9のこの相対運動は、ハンドレバー24が固定の挟み部材2に対して旋回支承部26を中心に旋回することによって引き起こされる。ハンドレバー24は、旋回支承部26、30の間に第1の
トグルレバー45を形成する。第2の
トグルレバー46は、旋回支承部17、30の間に圧縮レバー18によって形成されている。ここで旋回支承部30は、
トグルレバー45、46により形成された
トグル駆動部47の
トグルジョイントを形成する。
トグル駆動部47は、ハンドレバー24の旋回運動を、固定の挟み部材2に対する可動の挟み部材3の旋回運動に変換する。
【0056】
以下、弾性装置45を詳細に説明する。
【0057】
図4によれば、圧着工具1は平衡位置48にある。平衡位置48では、ハンドレバーの開放角が、例えば40゜から50°、とりわけ45°から48°の範囲にある。固定の挟み部材2は、2つのストッパ49、50を支持する。ここでストッパ49、50は、固定の挟み部材板4a、4bの貫通孔部内に支持されたボルトとして構成されている。平衡位置48では、U字形の板バネまたは湾曲バネ36のバネアーム(U字に構成されたほぼ平行な側脚部)51、52が、外側でそれぞれ所属のストッパ49、50に当接している。ここでは、板バネまたは湾曲バネ36は、平衡位置48にあるバネアーム51、52を予付勢しなくてもよい。しかし、板バネまたは湾曲バネ36を予付勢し、このバネがストッパ49、50の間で緊張されるようにすることも可能である。
【0058】
板バネまたは湾曲バネ36の互いに反対を向く側では(および好ましくはバネアーム51、52の自由端部領域において)、可動の挟み部材3が連行器54、55を支持する。図示の実施例では、連行器54、55が連行ボルトとして構成されており、可動の挟み部材板5a、5bの孔部内に保持されている。ここで連行器54を形成する連行ボルトは多機能に構成されている。なぜなら、この連行ボルトは、旋回支持体10における挟みジョー板11の固定にも用いられるからである。
図4と5に示した平衡位置では、連行器54、55がちょうど板バネまたは湾曲バネ36に当接しているが、ここでは有意な押圧力を形成しない。
【0059】
図6と7は、閉鎖位置53にある圧着工具1を示す。閉鎖位置では、ハンドレバー8、24の角度は、例えば0゜から10゜の範囲(好ましくは0°から5°の範囲)にある。
【0060】
可動の挟み部材3の、
図4と5による平衡位置から
図6と7による閉鎖位置への旋回(およびこれに伴う、固定の挟み部材2に対する連行器54、55の相対運動)は、連行器55がバネアーム51から離れるように移動することを引き起こす。しかし連行器
54は、この運動の間、ますますバネアーム52に押圧される。これにより板バネまたは湾曲バネ36は付加的に付勢される。これにより引き起こされる板バネまたは湾曲バネ36の復元力は、開放方向への開放力として作用する。連行器54に起因する板バネまたは湾曲バネ36の付勢の間、板バネまたは湾曲バネ36はストッパ50から解離される。板バネまたは湾曲バネ36は、閉鎖位置53に達するまで、ますますストッパ50から離れる。
図6、7による閉鎖位置に達し、強制ロック部37がハンドレバー8、24の開放運動を許可すると、圧着工具1は手の力を除去することにより自動的に“バネ開放する”。圧着工具1は、弾性装置35の作用の結果、自動的に閉鎖位置53から平衡位置48に戻る。
【0061】
これに対して圧着工具1が、
図4と5の平衡位置48から
図8と9の部分開放位置56に、または
図10と11の(最大)開放位置57に移行すると(ここで例えば部分開放位置56ではハンドレバー8、24の開放角は、60゜から70°の範囲、好ましくは65゜から68゜の範囲にすることができ、ハンドレバー8、24の開放角は、開放位置57では80゜から100°の範囲、好ましくは85゜から95゜の範囲にすることができる)、固定の挟み部材2に対する可動の挟み部材3の相対運動によって、連行器54がバネアーム52から離れ、一方、バネアーム52は相変わらずストッパ50に支持されているようになる。しかし同時に、連行器55から開放運動を高める力がバネアーム51に及ぼされる。高められた力は板バネまたは湾曲バネ36をますます変形し、ストッパ49から離れるバネアーム51の運動を引き起こす。板バネまたは湾曲バネ36の付勢が増大する
ことにより、板バネまたは湾曲バネ36は閉鎖力を挟み部材2、3に、ひいては挟みジョー6、9に及ぼすようになる。閉鎖力は、平衡位置48が再び確立されるように調整されている。
【0062】
図示の実施例では、任意選択の構成として圧着工具1が係止装置58を有する。係止装置58を介して開放位置57を、弾性装置35の閉鎖力が作用しても開放位置57が維持されるように係止することができる。係止された開放位置57を手作業で過圧することにより初めて(この過圧は、係止力の低減、または係止装置58の係止力の完全な除去を引き起こす)、弾性装置35が、板バネまたは湾曲バネ36により提供された閉鎖力によって自動的に平衡位置48を再確立することが可能になる。係止装置58では、係止バネ59を介して係止要素60(これはとりわけ突起[または凹部]を形成する)が、相手方係止要素61(これはとりわけ凹部[または突起]を形成する)に対して押圧され、(少なくとも開放位置57の周辺領域では)ハンドレバー8、24または挟みジョー6、9の相互の相対運動が、係止要素および相手方係止要素61の相対運動を引き起こす。
【0063】
図示の実施例では、係止装置58の係止バネ59は、板バネまたは湾曲バネ36の係止バネアーム62(ここではバネアーム52から横方向にハンドレバー24の方向に伸長する長手部分)により形成されている。ハンドレバー24と作用接続する係止バネアーム62の自由端部領域では、係止バネアーム62が、係止要素60を形成するピン63を支持する。相手方係止要素61は、この場合、ハンドレバー24の係止輪郭65の凹部64により形成されている。開放位置57に接近すると、ピン63は、係止バネアーム62による柔軟な押圧力によって係止輪郭65に沿って滑動する。開放位置57に達すると、係止バネアーム62の柔軟な付勢により、ピン63は凹部64に係止する。ここで係止要素60の相手方係止要素61(すなわち係止バネアーム62の凹部)への押圧力および係止輪郭65の幾何形状(とりわけ凹部64の深さおよび凹部64の領域における係止輪郭65の傾斜)は、弾性装置35の閉鎖力が係止装置58の係止に打ち克つことができないように選択されている。むしろそのためには、ユーザはハンドレバー24を、係止要素60を相手方係止要素61から解離できるように(すなわちピン63を凹部64から引き出すことができるように)閉鎖方向に動かさなければならない。
【0064】
板バネまたは湾曲バネ36が、旋回ボルト66を介して旋回可能に可動の挟み部材3に支承されていることが可能である。
【0065】
図12と13は、本発明に含まれる弾性装置35のさらなる一構成を例示的に示す。この場合、ハンドレバー24の連結アーム67が可動の挟み部材3の領域に伸長している。連結アーム67の自由端部領域は、この場合、
図12と13に図示の平衡位置48に、2つの圧縮バネ68、69の間で捕獲されている。圧縮バネ68は開放バネ70を形成し、圧縮バネ69は閉鎖バネ71を形成する。
【0066】
圧縮バネ68、69の作用に関しては種々の可能性がある。
【0067】
a)圧縮バネを、
図12と13に示した平衡位置48では予付勢しないことが可能である。この場合、ハンドレバー8、24の開放は、連結アーム67が開放バネ70から離れるように移動することを引き起こす。同時に連結アーム67により閉鎖バネ71が圧縮され、したがって閉鎖バネは目的とする閉鎖力を形成することができる。反対に、平衡位置48からのハンドレバー8、24の開放は、連結アーム67が開放バネ71から離れるように移動することを引き起こす。開放バネ70はますます付勢され、これにより目的とする開放力を形成することができる。
【0068】
b)平衡位置48において圧縮バネ68、69が力を連結アーム67に及ぼさないが、
圧縮バネ68、69は(同じ予付勢力で、または異なる予付勢力で)予付勢されていることも可能である。この種の実施例が、
図12と13に示されている。この場合、圧縮バネ68、69の膨張および平衡位置48における同じ連結アーム67への押圧力の形成は、圧縮バネ68、69の運動がバネロッドの運動と結合されていることによって阻止される。バネロッドは、リングステップ72、73を支持する。平衡位置48においてリングステップ72、73は、ストッパ49、50(ここでは圧縮バネ68、69またはバネロッドの案内部によって形成されている)に当接する。平衡位置48からのハンドレバー8、24の旋回は、運動方向にそれぞれ配置された圧縮バネ68、69の予付勢力に打ち克つことを必要とする。この種の運動には、運動方向に配置されていない圧縮バネ68、69は追従することができにない。なぜならこれらのバネは、リングステップ72、73がストッパ49、50に当接することにより弛緩が阻止されているからである。したがってストッパ49、50は、圧縮バネ68、69の極値的な撓みを保証する。この実施例では、連結アーム67が連行器54、55を形成する。
【0069】
任意選択の変形例として、
図12と13の実施例で係止装置58は、固定の挟み部材2により支持される係止要素60(ここではピン63)を有する。係止要素60は、ハンドレバー24の柔軟な係止バネアーム62により支持された係止輪郭65と交互作用する。この係止輪郭は、相手方係止要素61、ここでは凹部64を形成する。
【0070】
図14は、弾性装置35のバネ力77に関する種々の特性74、75、76を、ハンドレバー8、24の開放角78に依存して示す。これらの特性74、75、76は、基本的なバネ力経過を概略的に表す。これらの特性は、弾性装置35および圧縮または圧着工具1の任意の構成に対してもたらすことができる。特性74、75、76は、閉鎖位置53の横軸の原点に相当する。ここでは平衡位置48もプロットされている。特性74、75、76のプロットされた最大値は、開放位置57と相関する。縦軸において正の値は開放力を表す。縦軸の負の値は、弾性装置35の閉鎖力を表す。
【0071】
実線により示された特性74に関して、跳躍のない滑らかな弾性装置35のバネ力の経過が得られる。ここでは使用されるバネのバネ特性に応じて曲線状の経過も可能である。この種の特性74は、次のようなただ1つのバネによってでももたらすことができる。すなわち、このバネの緊張しない平衡状態が平衡位置48に相当し、このバネは、平衡位置48からの運動の際に運動方向に応じて、開放力または閉鎖力を形成する。
【0072】
図1から11の実施例では、板バネまたは湾曲バネ36が平衡位置38で予付勢されない場合、基本的に特性74による特性をもたらすことができる。しかし場合によっては、連行器54、55の種々の梃子比により、平衡位置48の領域に折曲点も有することがあることに注意すべきである。このことは、部分作業行程において特性74の種々の勾配が所望される場合に、所期のように構造的に使用することができる。
図12と13の実施例では、平衡位置48において開放バネ70および閉鎖バネ71が予付勢されておらず、開放バネ70と閉鎖バネ71が同じバネ剛性を有する場合、特性74が使用される。
【0073】
破線で示した特性75は、平衡位置において跳躍を有する。このことは、同じ部分作業行程および/または両方の部分作業行程において、特に安定した平衡位置48を比較的に大きな
復元力によって保証すべきであり、特性75が、力レベルが高い場合には比較的小さな勾配を有するべき場合に望ましいことであり得る。この種の特性75は、
図1から11の実施例では、平衡位置48において板バネまたは湾曲バネ36がストッパ49、50の間で予付勢されている場合にもたらすことができる。予付勢の程度は、特性75における跳躍の高さを規定する。これに対して、2つの部分作業行程における特性75の勾配は、板バネまたは湾曲バネ36の撓み剛性によって規定される。
図12と13の実施例では、特性75は、開放バネ70と閉鎖バネ71が平衡位置48において予付勢されていることによってもたらすことができ、これらのバネは、(リングステップ72、73の間でのストッパ49、50との交互作用の結果)力を連行器54、55に及ぼすことがない。
【0074】
最後の
図14は、特性76を一点鎖線で示す。この特性では厳密な平衡位置48が安定していない。そうではなく弾性装置は、平衡位置48を中心にする周辺領域ではバネ力を形成しない。これによりこの周辺領域は多安定である。この周辺領域を去って初めて、図示の特性76は、さらに上昇する開放力ないし閉鎖力を伴う跳躍を有する。この特性76は、
図1から11の実施例に対して、平衡位置では、図示のように2つの連行器54、55が板バネまたは湾曲バネ36にまだ当接しておらず、これら連行器がこのバネからまだ離間して配置されていることによりもたらすことができる。したがって連行器54、55の板バネまたは湾曲バネ36からの間隔は、平衡位置48を中心にする周辺領域を規定し、この周辺領域に対しては開放力および閉鎖力が形成されない。そして、ここから得られる特性に関して、周辺領域を去ると同じ高さの跳躍に至り、これには部分作業行程79、80において同じ勾配の特性が続いている。
【0075】
図12と13に図示の実施例では、ここでも平衡位置48にある連行器54、55がストッパ49、50に当接する圧縮バネ68、69から離間して配置されていることにより、図示の特性76のような特性をもたらすことができる。圧縮バネ68、69の予付勢を異なって選択することにより、(図示の特性76に対応して)平衡位置48の周辺領域を去る際に跳躍が異なる高さを有することが可能である。この場合、異なる剛性を備える圧縮バネ68、69を使用することもまったく可能であり、これにより2つの部分作業行程において特性76は異なる勾配を有する。
【0076】
例えば作業行程の間に、相対的に移動する圧着工具1の任意の構成要素の間で引張バネを作用させることも可能であり、これにより本発明の範囲を逸脱することはない。平衡位置48(または弾性装置35が力を形成しない、説明した周辺領域)の外側では、第1の部分作業行程79が、開放位置57と平衡位置48との間の圧着工具1の動作位置を表し、一方、第2の部分作業行程80は、平衡位置48と閉鎖位置53との間の圧着工具1の動作位置を表す。開放位置57と閉鎖位置53との間の全行程が作業行程と称される。
【0077】
圧着工具1において、一方ではハンドレバー8、24を有する軸部分と、他方では挟み頭部82とが機能的に区別される。挟み頭部82の領域には、ダイ43、44を備える挟みジョー6、9、トグル駆動部47を備える駆動機構、弾性装置35、および強制ロック部37が配置されている。
【0078】
本明細書において、ここまで本発明を圧着工具1と関連して説明した。相応の構成が圧縮工具に対しても可能であり、本発明の特徴および構成は、例えば冒頭に述べた従来技術の圧縮工具に組み込むことができる。
【0079】
ここで圧着工具1の構成を、板構造ごとに説明した。ここで構成要素は、平行な一対の板から部分的に構成される。実際には、板の対が存在するのではなく、ただ1つのこの種の構成部材だけが存在する場合も、圧着工具1の同じ基本原理を実現することができる。
【0080】
本明細書の枠内で、機能および/または形態に関して対応するまたは類似の構成要素は、同じ参照符号であるが、補充的に異なる文字a,b,...により示されている。そしてこれらは、部分的にも補充的な文字を使用せずに参照される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
2つの挟みジョー(6、9)を備える圧縮または圧着工具(1)であって、前記2つの挟みジョーは、手作業で引き起こされるハンドレバー(8、24)の相対運動を介して、前記挟みジョー(6、9)の開放位置(57)から前記挟みジョー(6、9)の閉鎖位置(53)への作業行程(81)を引き起こすことが可能であるように前記ハンドレバー(8、24)と駆動接続されている、圧縮または圧着工具において、
弾性装置(35)が設けられており、該弾性装置は前記挟みジョー(6、9)に、a)前記挟みジョー(6、9)の前記開放位置(57)と前記閉鎖位置(53)との間に配置された平衡位置(48)において前記弾性装置(35)は力を前記挟みジョー(6、9)に及ぼさず、
b)前記開放位置(57)と前記平衡位置(48)との間に配置された第1の部分作業行程(79)において前記弾性装置(35)は閉鎖力を前記挟みジョー(6、9)に及ぼし、
c)前記平衡位置(48)と前記閉鎖位置(53)との間に配置された第2の部分作業行程(80)において前記弾性装置(35)は開放力を前記挟みジョー(6、9)に及ぼす、
ように作用することを特徴とする圧縮または圧着工具。
2.
前記弾性装置(35)は、
a)前記第1の部分作業行程(79)において閉鎖力を形成する閉鎖バネ(71)と、
b)前記第2の部分作業行程(80)において開放力を形成する開放バネ(70)と、
を有する、ことを特徴とする上記1の圧縮または圧着工具(1)。
3.
前記弾性装置(35)はバネ(34)を有し、該バネは、
a)前記第1の部分作業行程(79)において閉鎖力を形成し、
b)かつ前記第2の部分作業行程(80)において開放力を形成する、
ことを特徴とする上記1の圧縮または圧着工具(1)。
4.
a)少なくとも1つのストッパ(50;49)が設けられており、該ストッパは、弾性装置(35)のバネ基点の極値的な撓みを規定し、
b)すくなくとも1つの連行器(54;55)が設けられており、
c)部分作業行程において前記連行器(54;55)は、弾性装置(35)のバネ基点を前記ストッパ(50;49)から離れるように移動させる、
ことを特徴とする上記1から3のいずれか一つの圧縮または圧着工具(1)。
5.
a)前記ストッパ(49:50)は、挟み頭部(82)に固定されているか、または前記挟み頭部(82)により支持されており、
b)前記連行器(54:55)は、前記挟み頭部(82)に対して作業行程にわたり移動される前記挟みジョー(9)に固定されているか、または前記挟みジョー(9)により構成されている、
ことを特徴とする上記4の圧縮または圧着工具(1)。
6.
前記バネ(34)は、U字形の湾曲バネまたは板バネ36として構成されていることを特徴とする上記3から5のいずれか一つの圧縮または圧着工具(1)。
7.
前記U字形の湾曲バネまたは板バネ(36)は、前記挟み頭部(82)の長手軸の方向または閉鎖された前記ハンドレバー(8、24)の方向に伸長している、ことを特徴とする上記6の圧縮または圧着工具(1)。
8.
強制ロック部(37)が設けられており、該強制ロック部は、一度達成された前記挟みジョー(6、9)の部分閉鎖位置を開放に対して確保し、前記挟みジョー(6、9)の開放を、作業行程(81)を完全に経過することにより初めて可能にし、前記作業行程(81)を完全に経過することにより、前記弾性装置(35)は前記挟みジョー(6、9)を前記平衡位置(48)に移動させる、ことを特徴とする上記1から7のいずれか一つの圧縮または圧着工具(1)。
9.
前記開放位置(57)は、係止装置(58)またはロック装置により確保可能であることを特徴とする上記1から8のいずれか一つの圧縮または圧着工具(1)。
10.
前記バネ(34)は多機能であり、該バネは、
a)開放力および/または閉鎖力を形成し、かつ
b)前記係止装置(58)の係止力または前記ロック装置のロック力を形成する、
ことを特徴とする上記9の圧縮または圧着工具(1)。
11.
a)前記U字形の湾曲バネまたは板バネ(36)のバネアーム(52)は、前記係止装置(58)の係止バネアーム(62)を支持し、
b)前記係止バネアーム(62)は、係止要素(60)を弾性に形成し、または支持し、前記係止要素は、作業行程にわたり前記係止要素(60)に対して相対的に移動される相手方係止要素(61)と係止的に交互作用する、
ことを特徴とする上記10の圧縮または圧着工具(1)。
12.
a)固定の挟み部材(2)が、固定の挟みジョー(6)と固定のハンドレバー(8)を形成し、
b)可動の挟み部材(3)が、可動の挟みジョー(9)を形成し、かつ旋回支承部(13)を介して前記固定の挟み部材(2)に旋回可能に連結されており、
c)可動のハンドレバー(24)が、旋回支承部(26)を介して前記固定の挟み部材(2)に旋回可能に連結されており、
d)前記可動のハンドレバー(24)は、駆動接続部を介して前記可動の挟み部材(3)と接続されている、
ことを特徴とする上記1から11のいずれか一つの圧縮または圧着工具(1)。
13.
前記駆動接続部はトグル駆動部(47)を有する、ことを特徴とする上記12の圧縮または圧着工具(1)。
14.
前記可動のハンドレバー(24)は、前記相手方係止要素(61)を形成する、ことを特徴とする上記11を引用する上記12または13の圧縮または圧着工具(1
)。
15.
前記可動の挟み部材(3)を旋回可能に前記固定の挟み部材(2)に連結する前記旋回支承部(13)は、前記固定の挟み部材(2)の長手伸長部の、前記挟み頭部(82)とは反対側の半部分に配置されている、ことを特徴とする上記12から14のいずれか一つの圧縮または圧着工具(1)。
【符号の説明】
【0081】
1 圧着工具
2 固定の挟み部材
3 可動の挟み部材
4 固定の挟み部材板
5 可動の挟み部材板
6 固定の挟みジョー
7 接続領域
8 固定のハンドレバー
9 可動の挟みジョー
10 旋回支持体
11 挟みジョー板
12 旋回支持体板
13 旋回支承部
14 旋回軸
15 旋回ボルト
16 貫通孔部
17 旋回支承部
18 圧縮レバー
19 圧縮レバー板
20 旋回ボルト
21 貫通孔部
22 旋回軸
23 長穴
24 可動のハンドレバー
25 可動のハンドレバー板
26 旋回支承部
27 旋回軸
28 貫通孔部
29 旋回ボルト
30 旋回支承部
31 貫通孔部
32 旋回ボルト
33 長穴
34 バネ
35 弾性装置
36 板バネまたは湾曲バネ
37 強制ロック部
38 ロック爪
39 ロック爪軸
40 貫通切欠部
41 ロック歯部
42 バネ
43 ダイ
44 ダイ
45 トグルレバー
46 トグルレバー
47 トグル駆動部
48 平衡位置
49 ストッパ
50 ストッパ
51 バネアーム
52 バネアーム
53 閉鎖位置
54 連行器
55 連行器
56 部分開放位置
57 開放位置
58 係止装置
59 係止バネ
60 係止要素
61 相手方係止要素
62 係止バネアーム
63 ピン
64 凹部
65 係止輪郭
66 旋回ボルト
67 連結アーム
68 圧縮バネ
69 圧縮バネ
70 開放バネ
71 閉鎖バネ
72 リングステップ
73 リングステップ
74 特性
75 特性
76 特性
77 バネ力
78 開放角
79 第1の部分作業行程
80 第2の部分作業行程
81 作業行程
82 挟み頭部