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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】車両用アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20241011BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q1/22 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020107524
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003724
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】石田 淳
(72)【発明者】
【氏名】土橋 正紀
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/046972(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/156138(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/074215(WO,A1)
【文献】特開2018-074371(JP,A)
【文献】特開2018-186360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/52
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナと、
挿通孔を形成されるベース部材と、
前記ベース部材との間に収容空間を形成するカバーと、
前記収容空間に配置される機能ユニットと、
信号線として機能する内部導体と基準電位に設定される外部導体とを含み、第1端が前記機能ユニットに接続され、第2端が前記挿通孔を介して車室内に引き込まれる導電ケーブルと、
前記収容空間内に形成され、前記基準電位に設定される中間導電部と、を備え、
前記導電ケーブルには前記第1端および前記第2端の間において前記外部導体を露出させる露出点が形成され、かつ、前記露出点は前記挿通孔と前記第1端の中間地点よりも前記挿通孔に近い側に設けられ、前記第1端の外部導体および前記第2端の外部導体はそれぞれ前記基準電位に設定され、
前記中間導電部は、前記ベース部材に立設される中実の支持体または前記ベース部材の一部として形成され、前記導電ケーブルの前記露出点において前記外部導体と電気的かつ直接的に接続されることを特徴とする車両用アンテナ装置。
【請求項2】
前記機能ユニットは、カメラであり、
前記導電ケーブルの前記内部導体は、前記カメラによる撮像画像データを伝送することを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項3】
前記機能ユニットは、基準端子を含み、
前記導電ケーブルの前記第1端において、前記導電ケーブルの前記外部導体は前記機能ユニットの前記基準端子と接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項4】
前記第1アンテナと前記導電ケーブルの間に設置される第1遮蔽板、を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用アンテナ装置。
【請求項5】
前記第1遮蔽板は、前記導電ケーブルの前記外部導体と直接接触することなく、前記ベース部材に接続されることを特徴とする請求項4に記載の車両用アンテナ装置。
【請求項6】
前記収容空間に配置される第2アンテナと、
前記第2アンテナと前記導電ケーブルの前記露出点の間に設置される第2遮蔽板と、を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用アンテナ装置。
【請求項7】
前記中間導電部の上部から前記導電ケーブルを被う導電性のカバー部材、を更に備え、
前記導電ケーブルの前記露出点において露出する前記外部導体は、下部において前記中間導電部と接触し、上部において前記カバー部材に接触することにより、前記中間導電部および前記カバー部材により上下から挟み込まれて固定されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加的な機能ユニットが搭載される車両用アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるシャークフィンアンテナなど、流線形状の外観を有する車両用アンテナ装置が知られている。このようなアンテナ装置は、ルーフパネルに設置したときのデザイン性にも優れるため、多くの車両に採用されている。
【0003】
また、近年のアンテナ装置には、AM/FM放送を受信するためのアンテナエレメントのほか、カメラなどのさまざまな機能ユニットを搭載することもある。カメラケーブルの一端はカメラに接続され、他端はルーフから車室内に導入されモニタなどの他の装置に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/074215号
【文献】国際公開第2017/046972号
【文献】国際公開第2019/156138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラのような周波数変換機能を備える機能ユニットは、ノイズ発生源となりやすい。カメラから発生した微弱な電磁ノイズは、カメラケーブルから放射され(以下、「ノイズ放射」とよぶ)、これをアンテナエレメントが拾ってしまうことがある。アンテナエレメントによる電磁ノイズの受信は、アンテナ性能の低下を招く可能性がある。今後、カメラ以外にもさまざまな機能ユニットがアンテナ装置に搭載されることも考えられ、アンテナ装置内部におけるケーブルからのノイズ放射を抑制することは重要な課題になると考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、車両用アンテナ装置に内蔵されるケーブルからのノイズ放射を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様における車両用アンテナ装置は、第1アンテナと、挿通孔を形成されるベース部材と、ベース部材との間に収容空間を形成するカバーと、収容空間に配置される機能ユニットと、信号線として機能する内部導体と基準電位に設定される外部導体とを含み、一端が機能ユニットに接続され、他端が挿通孔を介して車室内に引き込まれる導電ケーブルと、収容空間内に形成され、基準電位に設定される中間導電部と、を備える。
中間導電部は、ベース部材に立設される中実の支持体またはベース部材の一部として形成され、導電ケーブルの一部において露出する前記外部導体と電気的に接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両用アンテナ装置の内部においてケーブルから発生する電磁ノイズを抑制しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るアンテナ装置の外観斜視図である。
図2】アンテナ装置の上面図である。
図3図2のA-A線に沿ったアンテナ装置の断面図である。
図4】アンテナ装置の分解斜視図である。
図5図4に示す各部品を組み立てたあとの斜視図である。
図6】ケーブルの外観図である。
図7】ケーブルの接地方法を説明するための模式図である。
図8】ケーブルとカメラの接続部分の拡大断面図である。
図9】アンテナ装置の内蔵部品の一部を組み付けたときのアンテナ装置の分解斜視図である。
図10】ケーブルの中間点P1周辺の拡大側面図である。
図11図11(a)は、比較例における露出部材の断面図である。図11(b)は、本実施形態における露出部材の断面図である。
図12】実施例1において、FM周波数帯におけるアンテナ装置の受信電波強度を示すグラフである。
図13】実施例1において、GLONASS周波数帯におけるアンテナ装置の受信電波強度を示すグラフである。
図14】実施例1において、GPS周波数帯におけるアンテナ装置の受信電波強度を示すグラフである。
図15】実施例2において、FM周波数帯におけるアンテナ装置の受信電波強度を示すグラフである。
図16】実施例2において、GLONASS周波数帯におけるアンテナ装置の受信電波強度を示すグラフである。
図17図17(a)は第1の変形例における中間導電部の断面図である。図17(b)は第2の変形例における中間導電部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0011】
本実施形態のアンテナ装置は、複数のアンテナエレメントと機能ユニットを搭載するために一重カバー構造を採用して省スペースを実現する。アンテナ装置は、機能ユニットの一例としてカメラ(撮像装置)を内蔵し、カメラには画像信号を伝送するためのケーブル(導電ケーブル)が接続される。ケーブルは、アンテナ装置の底面に形成される挿通孔から車室内に引き込まれ、車室内のモニタ(電子ミラー)に接続される。
【0012】
本実施形態におけるケーブルは、画像信号を伝送する内部導体(信号線)と、接地電位(基準電位)に維持されるべき外部導体(接地線)の2種類の導体を含む同軸ケーブルである。外部導体の役割は、画像信号(信号電流)の伝送線路としての内部導体を一定のインピーダンスに保つことである。カメラからモニタに送られる画像信号には、カメラ内部から発生した微弱なノイズ電流が重畳される。車体に配線されるケーブルが長い(約5m程度)ことから外部導体の電位はノイズ電流に同期して基準電位からずれるため、ノイズ放射してしまう。このノイズ放射は、基板等の接続点を起点としていることから、アンテナの給電点に相当する。これにより外部導体がアンテナとしてふるまってしまう。
本実施形態においては、外部導体を接地電位に安定させるための構造を採用することにより、ケーブルからのノイズ放射を抑制する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置の外観斜視図である。図2は、アンテナ装置の上面図である。
なお、以下の説明では便宜上、アンテナ装置における位置関係について、車両搭載状態を基準に前後、上下、幅方向を表現することがある。
アンテナ装置1は、いわゆるシャークフィンアンテナと呼ばれる低背型アンテナ装置であり、車両のルーフパネルに取り付けられる。アンテナ装置1は、その底部を構成するベース部材10と、ベース部材10と水密に組み付けられたカバー12を備える。カバー12は、電波透過性の樹脂(例えばABS、PET、PC等)からなる。ベース部材10とカバー12との間に収容空間が形成され、後述のアンテナエレメントやその回路基板が収容される。
【0014】
ベース部材10は、後方から前方に向けて徐々に小幅となる平面視長円形状または三角形状を有する。カバー12は、正面視三角形状であって後方から前方に向けて徐々に高さが低くなり、徐々に小幅となる流線形状(シャークフィン形状)を有する。カバー12の下端開口部はベース部材10の周縁部に沿って組み付けられる。カバー12の背面に開口部が設けられ、カメラ(機能ユニット)の先端部を露出させている。
【0015】
図3は、図2のA-A線に沿ったアンテナ装置1の断面図である。
ベース部材10は、シールパッド32(可撓性樹脂・絶縁性)の上にアンテナベース30(アルミダイカスト・導電性)が組み付けられた複合部品である。カバー12の下端開口部には、その周縁近傍に沿って環状突起60が設けられている。カバー12は、環状突起60の先端がシールパッド32の上面に食い込むように組み付けられることでベース部材10(アンテナベース30とシールパッド32)との間の水密を確保する。カバー12とアンテナベース30とが、複数のねじ62(図中一つのみ表示)により固定されている。
【0016】
カバー12とベース部材10との間に収容空間Sが形成される。収容空間SにAM/FM受信用のアンテナエレメント26(第1アンテナ)、回路基板22、カメラ20等の各部品が配置されている。回路基板22には、GPS/GLONASS用のパッチアンテナ24(第2アンテナ)が載置される。本実施形態では、アンテナ装置1として一重カバータイプを採用するため、図示のように、回路基板22等の防水を必要とする内部部品が収容空間Sに露出している。
【0017】
カメラ保持部材50は、アンテナベース30の後側領域に固定されている。カメラ20はカメラ保持部材50に支持される。カメラ20の先端部(レンズ部)が、開口部16に露出する。ルーフパネル28はボディーアースとして機能する。ルーフパネル28の電位は実質的に接地電位(0(V))となる。
【0018】
カメラ20の背面にケーブル58のコネクタ70が接続されている。ケーブル58に含まれる外部導体は、コネクタ70を介してカメラ20の接地端子と接続される(図8に関連して後述)。
【0019】
アンテナベース30の中央には中間導電部材202が突設されている。ケーブル58は、中間導電部材202および台座部材108(後述)にガイドされつつ挿通孔34の下方に引き出される。
【0020】
ベース部材10の下面中央には、アンテナ装置1をルーフパネル28に固定するためのルーフ固定部14が突設されている。ルーフ固定部14は、ルーフパネル28に設けられた取付孔に挿通される。ルーフ固定部14にグランドワッシャを介してナットを締結することにより、ベース部材10(アンテナベース30およびシールパッド32)がルーフパネル28に固定される。ルーフパネル28は金属などの導電性部材により形成される。
【0021】
ケーブル58の他端は挿通孔34から車室内に引き込まれ、モニタ(図示せず)の端子と接続される。モニタの端子の電位も、接地電位または接地電位付近の固定電位に設定される。
【0022】
本実施形態においては、更に、ケーブル58の一部において外部導体を露出させ(以下、露出位置を「中間点」とよび、露出した外部導体116を特に「露出導体」とよぶ)、露出導体は中間導電部材202を介して接地される(以下、「中間接地」とよぶ)。中間接地の詳細については図6以降に関連して詳述する。
【0023】
図4は、アンテナ装置1の分解斜視図である。図5は、図4に示す各部品を組み立てたあとの斜視図である。
図4図5においては、説明の便宜上、カバー12のみを図2のA-A線に沿って切断している。また、アンテナ装置1を構成する全部材のうち主要部材を図示の対象としている。以下においては、典型的な組み立て順にしたがってアンテナ装置1の構造を説明する。
【0024】
(1)まず、カメラ20をカメラ保持部材50に固定したあと、アンテナベース30にカメラ保持部材50をねじで固定する。本実施形態におけるアンテナベース30は、アルミダイカストからなる導電ベースであるが、ステンレスその他の導電性金属からなるものとしてもよい。アンテナベース30は、ルーフ固定部14と一体に形成される。
【0025】
アンテナベース30の中央には挿通孔34が形成され、挿通孔34のとなりに中間導電部材202が形成される。中間導電部材202は中実の柱状体であり、ケーブル58を支持するとともにケーブル58の露出導体を接地する。中間導電部材202はアンテナベース30の一部として形成されるため、中間導電部材202は接地電位に保たれる。
【0026】
(2)台座部材108をアンテナベース30に取り付ける。台座部材108もケーブル58を支持する部材である。台座部材108は樹脂(絶縁体)により形成される。
【0027】
(3)ケーブル58の先端部にあるコネクタ70をカメラ20と接続する。カメラ20に接続されるケーブル58のほか、回路基板22等のさまざまな電気回路に接続されるケーブル58の束をアンテナベース30の挿通孔34およびシールパッド32の挿通孔36に挿通させる。ケーブル58は台座部材108および中間導電部材202の上に載せられる。また、露出導体(ケーブル58から露出した外部導体116)は中間導電部材202と直接接触する。
【0028】
(4)導電カバー部材102を中間導電部材202およびケーブル58(露出導体)にかぶせた上で、これをアンテナベース30に固定する。導電カバー部材102は金属などの導電性部材により形成される。このように、ケーブル58から外部導体を部分的に露出させ、この露出した外部導体(露出導体)を中間導電部材202(下)および導電カバー部材102(上)により上下から挟持する。
【0029】
(5)回路基板22をアンテナベース30に固定する。回路基板22には、アンテナエレメント26にて受信された信号を増幅するアンプなどの回路のほか、パッチアンテナ24およびその回路等が設けられている。パッチアンテナ24は、GPS/GLONASS用のアンテナエレメントを含む。回路基板22は、アンテナベース30の前側領域に固定される。
【0030】
(6)露出導体と導電カバー部材102および中間導電部材202を固定することで、露出導体の中間接地を確実にする。
【0031】
(7)前方遮蔽部材110(第2遮蔽板)を支持部材104に取り付ける。前方遮蔽部材110は、金属などの導電性部材により形成される。前方遮蔽部材110は、ケーブル58から発生した微弱な電磁ノイズをパッチアンテナ24が受信するのを防ぐ。
【0032】
(8)上方遮蔽部材100(第1遮蔽板)をケーブル58に被せ、アンテナベース30にねじで取り付ける。上方遮蔽部材100は、金属などの導電性部材により形成される。上方遮蔽部材100はケーブル58の上方、特に、ケーブル58の露出点付近を覆うことでケーブル58から発生した微弱な電磁ノイズをアンテナエレメント26が受信するのを防ぐ。
【0033】
(9)アンテナベース30にシールパッド32を被せる。シールパッド32は、アンテナベース30とルーフパネル28との間をシールする。シールパッド32は、アンテナベース30よりもやや大きい。シールパッド32の周縁部が内側に折り返される態様で凹状嵌合部33が形成されている。アンテナベース30の周縁部を凹状嵌合部33に嵌合させつつシールパッド32をアンテナベース30に被せることで、ベース部材10が構成される。カバー12は、アンテナベース30との間にシールパッド32を挟むことで、ベース部材10と水密に組み付けられる。ケーブル58は、シールパッド32の中央に形成される挿通孔36から引き出される。
【0034】
(10)支持部材104をアンテナベース30にねじにより固定する。支持部材104はケーブル58をガイドするとともにアンテナエレメント26を支持する。支持部材104は、絶縁部材である樹脂により形成される。
【0035】
(11)アンテナエレメント26を支持部材104へ取り付ける。アンテナエレメント26は、導電性の金属板を曲げ成形して得られ、二股形状を有する。本実施形態ではアンテナエレメント26を断面V字状に構成したが、断面U字状その他の形状を採用してもよい。アンテナエレメント26は、AM/FM放送の電波を受信するものであり、図示略のアンテナコイルを介して回路基板22に接続されている。
【0036】
アンテナエレメント26は、支持部材104により高位置に保持され、また平面視にて回路基板22と重ならないように配置することで受信性能を向上させている。
【0037】
(12)最後に、カバー12をベース部材10に取り付けることにより、ベース部材10およびカバー12内に各種部材が水密にて収納される。
【0038】
次に、ケーブル58の中間接地の詳細について説明する。
【0039】
図6は、ケーブル58の外観図である。
ケーブル58は、内部導体112を芯線とする一般的な同軸ケーブルである。内部導体112は画像信号を伝送する信号線である。内部導体112はポリエチレン製の絶縁体114によって被覆される。絶縁体114は外部導体116により被覆される。外部導体116は、細い銅線やアルミ等を編んだ導体である。外部導体116は接地電位に設定される。外部導体116は、更に、ビニル製(絶縁性)の保護膜118により被覆される。
【0040】
内部導体112から発生する電磁ノイズは、外部導体116により遮蔽される。このため、ケーブル58(同軸ケーブル)からは電磁ノイズが放射されにくく、また、内部導体112は外部から到来する電磁ノイズの影響を受けにくい。
【0041】
外部導体116のシールド効果は、外部導体116の電位が接地電位などの安定電位となされることを前提とする。本実施形態における外部導体116は、ケーブル58の両端部において接地端子と接続されることによりその電位が接地電位に設定される。しかし、ケーブル58の端部から遠い部分(中間部分)においては、実際の電位と接地電位の差分が大きくなってしまうことがある。
【0042】
本実施形態においては、外部導体116の中間点P1において保護膜118を剥離することで外部導体116を部分的に露出させ、露出した外部導体116(露出導体)を中間接地することで、外部導体116の電位をより確実に接地電位に安定させる。このような対策により、外部導体116のシールド効果を高める。
【0043】
図7は、ケーブル58の接地方法を説明するための模式図である。
ケーブル58の内部端点P2において、外部導体116はカメラ20の接地端子に接続される。カメラ20の接続端子は、カメラレンズ周囲の導電部材(不図示)と接続される。また、ケーブル58の外部端点P3においても、外部導体116はモニタ等の端子に接続される。ケーブル58の外部導体116は両端部において、接地電位または接地電位に準ずる固定的な基準電位に設定される。ケーブル58は中間点P1においても中間導電部材202を介してルーフパネル28と導通する。したがって、ケーブル58の外部導体116は内部端点P2、外部端点P3および中間点P1の3箇所で接地される。
【0044】
ケーブル58から放射されるわずかな電磁ノイズをアンテナエレメント26あるいはパッチアンテナ24が拾ってしまうとアンテナ性能の低下につながりかねない。このため、ケーブル58のうち、特にアンテナ装置1に収納される部分(以下、「内蔵部分」とよぶ)において、外部導体116の電位を確実に接地電位のような安定電位に保つ必要がある。本実施形態においては、内部端点P2から離れた挿通孔34に近い中間点P1において外部導体116をルーフパネル28(ボディーアース)に接続する。
【0045】
ケーブル58の中間接地により、外部導体116の電位が基準電位付近に安定されるためケーブル58の内蔵部分からのノイズ放射をより強力に抑制できる。また、中間点P1(露出導体)は比較的ノイズ電流が集中しやすいが、ここを前方遮蔽部材110等で覆うことでノイズ放射を抑制している。中間点P1をベース10に接続することにより、外部導体116のノイズレベルが下がる。
【0046】
特に、中間点P1は露出導体(露出点)からルーフパネル28までの距離が短いため、露出導体の電位を接地電位に安定させやすい。中間点P1において露出導体に導体ケーブル(以下、「分岐ケーブル」とよぶ)を接続し、分岐ケーブルをアンテナベース30(接地電位)に接続するという方法も考えられる。しかし、このような構成を採用する場合には、露出導体からアンテナベース30の接地点までの距離が長くなるため、露出導体の電位を接地電位に安定させづらくなる。また、分岐ケーブルにノイズ電流が流れ込むことにより、分岐ケーブルが新たなノイズ放射源になってしまう可能性がある。更に、中間点P1において露出導体と分岐ケーブルを溶接し、かつ、分岐ケーブルをアンテナベース30に接地する作業は難易度が高く、作業性の低下を招きかねない。これに対して、本実施形態においては、アンテナベース30にあらかじめ形成され、ケーブル58の支持体として機能する中間導電部材202に露出導体(ケーブル58の露出部分)を載せてこれを溶接するため、作業性が高い。また、上述したように露出導体はアンテナベース30(接地電位)の一部である中間導電部材202と直結されるため、いいかえれば、露出導体からアンテナベース30までの距離が短いため、露出導体の電位を接地電位に安定させやすい。
【0047】
図8は、ケーブル58とカメラ20の接続部分の拡大断面図である。
ケーブル58の内部端点P2はコネクタ70に内蔵される。コネクタ70をカメラ20に差し込むとき、ケーブル58の内部導体112とカメラ20の信号線122が接続され、ケーブル58の外部導体116はカメラ20の接地端子120と接続される。上述したように、接地端子120はカメラレンズ周辺の金属部分と導通するため、外部導体116の電位は接地電位付近に安定化する。外部端点P3においても、ケーブル58は同様にしてモニタと接続される。
【0048】
図9は、アンテナ装置1の内蔵部品の一部を組み付けたときのアンテナ装置1の分解斜視図である。
図9においては、支持部材104等の一部の部材を除外して描いている。ケーブル58は、台座部材108(絶縁性)にガイドされる。ケーブル58と中間導電部材202の接触部分が中間点P1に該当する。露出導体は中間導電部材202およびアンテナベース30を介してルーフパネル28(ボディアース)と導通する。
【0049】
中間点P1において外部導体116を中間接地することで、外部導体116の電位を接地電位に安定させる。それでも、中間点P1は、ルーフパネル28(ボディーアース)までのノイズ電流の経路となるためノイズ電流が集中しやすく、ここからわずかながらもノイズ放射が生じる可能性が残る。そこで、本実施形態においては、更なる対策として、中間点P1の上方を上方遮蔽部材100、中間点P1の前方を前方遮蔽部材110により遮蔽する。以下、上方遮蔽部材100と前方遮蔽部材110をまとめていうときには遮蔽部材130とよぶ。
【0050】
遮蔽部材130により、中間点P1付近から生じる可能性のあるわずかな電磁ノイズも遮蔽される(以下、「金属シールド」とよぶ)。上方遮蔽部材100はケーブル58から上方に放射された電磁ノイズがアンテナエレメント26に受信されるのを防ぐ。前方遮蔽部材110はケーブル58から前方に放射された電磁ノイズがパッチアンテナ24に受信されるのを防ぐ。
【0051】
図10は、ケーブル58の中間点P1周辺の拡大側面図である。
露出導体を上部から支える導電カバー部材102はアンテナベース30にねじで固定される。前方遮蔽部材110はねじ穴P4においてアンテナベース30とねじで固定される。前方遮蔽部材110は、導電カバー部材102、中間導電部材202および外部導体116のいずれとも直接接触しない。上方遮蔽部材100はねじ穴P5においてアンテナベース30とねじで固定される。上方遮蔽部材100も、導電カバー部材102、中間導電部材202および外部導体116のいずれとも直接接触することはない。
【0052】
外部導体116にわずかなノイズ電流が流れ、ノイズ電流がそのまま露出導体から遮蔽部材130(上方遮蔽部材100と前方遮蔽部材110)に流れてしまうと、遮蔽部材130がノイズ放射してしまう可能性がある。本実施形態においては、遮蔽部材130は導電カバー部材102、中間導電部材202および外部導体116のいずれとも直接接触しないので外部導体116から遮蔽部材130にノイズ電流が流れ込むことはない。遮蔽部材130はアンテナベース30(接地導体)のみと接続する。このような構成により、遮蔽部材130が新たなノイズ発生源とならないように工夫している。
【0053】
以上をまとめると、中間点P1にて露出する外部導体116は、導電カバー部材102および中間導電部材202を介してアンテナベース30およびルーフパネル28と導通される。露出導体を中間接地することにより、外部導体116のシールド効果を高める。この場合であっても、中間点P1付近からわずかにノイズ放射がなされる可能性は残る。このときの電磁ノイズを遮蔽部材130により遮蔽することにより、アンテナエレメント26等が電磁ノイズを受信するのを抑制する。更に、遮蔽部材130を外部導体116、導電カバー部材102および中間導電部材202のいずれとも直接接触させないことにより、露出導体にノイズ電流が流れたとしても、遮蔽部材130が新たなノイズ発生源とならないように対策している。
【0054】
図11(a)は、比較例における露出導体の断面図である。図11(b)は、本実施形態における露出導体の断面図である。
比較例においては(図11(a))、中間導電部材202を設けることなく、露出導体(外部導体116)と導電カバー部材102をはんだ150により溶接している。このため、露出導体の下部には中空空間が形成されている。この場合、外部導体116から漏れたわずかなノイズ電流が導電カバー部材102に流れ込むと、導電カバー部材102の側面が電磁ノイズの放射板として機能してしまう。したがって、比較例においては、導電カバー部材102が新たなノイズ発生源となってしまう可能性が残る。
【0055】
本実施形態においては(図11(b))、中実の中間導電部材202の上に、内部導体112を内蔵し外部導体116を露出させたケーブル58が載せられる。更に、このケーブル58の上から導電カバー部材102を被せる。外部導体116は、中間導電部材202と導電カバー部材102により上下から挟まれ、はんだ150により固定される。外部導体116および導電カバー部材102の隙間がはんだ150により埋められるだけでなく、外部導体116の下部にも空洞が形成されることなく導電体(中間導電部材202)によって埋められている。導電カバー部材102の下部空間のほとんどがはんだ150、ケーブル58および中間導電部材202により埋められているため、導電カバー部材102が「放射板」となり得る部分をもたない。このため、外部導体116からノイズ電流が導電カバー部材102に流れたとしても、導電カバー部材102がノイズ発生源となりにくい。
【0056】
このような多様かつ丁寧な対策により、外部導体116のシールド効果を高めるだけでなく、外部導体116から漏れるノイズ電流に起因して新たなノイズ発生源が形成されないように工夫している。
【0057】
[実施例1:中間接地と金属シールドについて]
図12は、FM周波数帯におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示すグラフである。
FM周波数帯のうち88(MHz)から108(MHz)におけるアンテナエレメント26の受信電波強度を示す。各グラフの設定は以下の通りである。図13(GLONASS周波数帯)、図14(GPS周波数帯)も同様である。
グラフA:カメラ20の駆動電源をオフする。中間接地なし。
グラフB:カメラ20の駆動電源をオンする。中間接地なし。金属シールドあり。
グラフC:カメラ20の駆動電源をオンする。中間接地あり。金属シールドあり。
グラフD:カメラ20の駆動電源をオンする。中間接地なし。金属シールドなし。
【0058】
グラフAは、ノイズ発生源であるカメラ20の駆動電源がオフされているため、ノイズはほとんど存在しない。カメラ20という機能ユニット(ノイズ発生源)が存在しないときのアンテナエレメント26本来の受信性能を表している。
グラフBからグラフDは、いずれもカメラ20の駆動電源がオンとなっている。
グラフDは、ノイズ対策(中間接地と金属シールド)をまったく行っていない。アンテナエレメント26がケーブル58から放射される電磁ノイズを拾うため、受信性能が非常に低下している。
グラフBは、金属シールドのみでノイズ対策をしている。アンテナエレメント26の受信性能はノイズ対策をしないグラフDに比べると大きく改善される。
グラフCは、金属シールドに加えて中間接地もしている。アンテナエレメント26の受信性能はグラフBと同程度であるが、ノイズのピークをグラフBに比べると抑制できている。
したがって、FM周波数帯に関しては、金属シールドでもノイズ対策効果はあるが、更に、中間接地をすることでノイズのピークを抑制できることがわかった。
【0059】
図13は、GLONASS周波数帯におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示すグラフである。
GLONASS周波数帯のうち1.597(GHz)から1.607(GHz)におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示す。
【0060】
グラフAは、ノイズ発生源であるカメラ20の駆動電源がオフされているため、ノイズはほとんど存在しない。パッチアンテナ24本来の受信性能を表している。
グラフBからグラフDは、いずれもカメラ20の駆動電源がオンとなっている。
グラフDは、ノイズ対策(中間接地と金属シールド)をまったく行っていない。パッチアンテナ24がケーブル58の電磁ノイズを拾うため、受信性能が非常に低下している。
グラフBは、金属シールドのみでノイズ対策をしている。パッチアンテナ24の受信性能はノイズ対策をしないグラフDに比べると改善されている。
グラフCは、金属シールドに加えて中間接地もしている。パッチアンテナ24の受信性能は金属対策のみのグラフDによりも改善されている。
したがって、GLONASS周波数帯に関しては、金属シールドによるノイズ対策は効果的であるが、中間接地よりシールド効果をいっそう高めることができることがわかった。
【0061】
図14は、GPS周波数帯におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示すグラフである。
GPS周波数帯のうち1.5739(GHz)から1.5789(GHz)におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示す。GPS周波数帯においても、GLONASS周波数帯と同様、金属シールドによってノイズ対策が可能であるが、中間接地をすることによりいっそう効果的にノイズを抑制できることがわかった。
【0062】
[実施例2:中実の中間導電部材202の有無について]
図15は、FM周波数帯におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示すグラフである。
FM周波数帯のうち70(MHz)から110(MHz)におけるアンテナエレメント26の受信電波強度を示す。各グラフの設定は以下の通りである。図16(GLONASS周波数帯)も同様である。
グラフA:カメラ20の駆動電源をオンする。導電カバー部材102のみで中間接地。
グラフB:カメラ20の駆動電源をオンする。導電カバー部材102および中実の中間導電部材202の双方で中間接地。
すなわち、グラフAは図11(a)に示した構成(比較例)に対応し、グラフBは図11(b)に示した構成に対応する。
【0063】
グラフAに比べるとグラフBはノイズレベルが低いだけでなく、ノイズの振幅も小さい。
したがって、FM周波数帯に関しては、中実の中間導電部材202がノイズ対策に効果的であることがわかった。
【0064】
図16は、GLONASS周波数帯におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示すグラフである。
GLONASS周波数帯のうち1.597(GHz)から1.607(GHz)におけるアンテナ装置1の受信電波強度を示す。
【0065】
GLONASS周波数帯においても、グラフAに比べるとグラフBのノイズレベルが低くなっている。
したがって、GLONASS周波数帯においても、中実の中間導電部材202がノイズ対策に効果的であることがわかった。
【0066】
以上、実施形態に基づいてアンテナ装置1を説明した。
本実施形態によれば、カメラ20のようなノイズ発生源を内蔵するアンテナ装置1であっても、ケーブル58を中間接地することにより、アンテナエレメント26およびパッチアンテナ24に対するノイズ放射の影響を抑制できる。ケーブル58に含まれる外部導体116を中間導電部材202からアンテナベース30を介してルーフパネル28に導通させることにより、中間点P1から内部端点P2までの内蔵部分における外部導体116の電位を接地電位に安定させることができる。この結果、内蔵部分(アンテナ装置1の内部)のノイズ放射が抑制される。
【0067】
また、ケーブル58の中間点P1(露出点)を覆う遮蔽部材130(前方遮蔽部材110および上方遮蔽部材100)を中間導電部材202、導電カバー部材102および外部導体116のいずれとも直接接触させないことで、露出導体からノイズ電流が漏れたとしても、これが遮蔽部材130まで流れ込まないようにできる。更に、中間導電部材202を中実とすることで、導電カバー部材102がノイズ発生源とならないようにしている。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0069】
[変形例]
本実施形態においては、ケーブル58の両端部に加えて中間部においてケーブル58を接地するとして説明した。接地電位に限る必要はなく、たとえば、0.5(V)などの所定の固定電位(基準電位)に設定するとしてもよい。
【0070】
本実施形態においては、ケーブル58の単一の中間点P1で中間接地するとして説明したが、複数の中間点P1を設定し、複数箇所で中間接地をしてもよい。
【0071】
本実施形態における中間導電部材202は、アンテナベース30の一部として形成されるものとして説明した。変形例として、中間導電部材202はアンテナベース30とは別の部材として形成されてもよい。たとえば、中間導電部材202は、アンテナベース30に形成される孔に差し込むことでアンテナベース30に固定される導電部材(部品)であってもよい。
【0072】
本実施形態における中間導電部材202は、アンテナベース30から突出する部分(凸部)として形成されるものとして説明した。変形例として、アンテナベース30そのものを中間導電部材202としてもよい。たとえば、図17(a)に示すように、アンテナベース30の一部に溝152(凹部)を形成し、ここに露出導体を嵌め込むとしてもよい。ケーブル58の一部(露出部分)を溝152に嵌め込み、露出する外部導体116とアンテナベース30(溝152の内壁)とを直接接触させる。ケーブル58の外部導体116とアンテナベース30をはんだ150で溶接することにより、ケーブル58とアンテナベース30の接続をより確実にしてもよい。また、カシメ部材を使用してもよい。その場合、カシメ部材をアンテナベース30に導電部材(例えばネジ)で固定し、ケーブル58の外部導体116をカシメ部材の爪でカシメ、カシメた部分にハンダをつけても良い。
【0073】
図17(b)に示すように、アンテナベース30に溝152(凹部)を形成するだけでなく、溝152にガイド部材154を形成してもよい。この場合にも、溝152に露出導体を嵌め込み、外部導体116とアンテナベース30をはんだ150により溶接する。ガイド部材154を設けることにより、ケーブル58をアンテナベース30に嵌め込む作業が容易となり、かつ、ケーブル58を溝152により確実に安定させやすくなる。図17(a)、図17(b)においては、アンテナベース30の溝152(露出導体が固定される凹部)が「中間導電部材202」として機能する。アンテナベース30自体は中実であるため、これらの変形例においても、本実施形態と同等以上のノイズ低減効果を期待できる。
【0074】
このほか、アンテナベース30を板金で形成し、ガイド部材154にケーブル58を挟み込んでもよい。ガイド部材154によりケーブル58をカシメ止めしてもよいし、更に、はんだにより露出導体をガイド部材154に固定してもよい。この場合、外部導体116の上部を導電性のカバーにより覆ってもよい。このとき、外部導体116の上部およびカバーをはんだにより固定してもよい。
【0075】
本実施形態におけるケーブル58は同軸ケーブルであるとして説明したが、ケーブル58は信号を伝送する第1導体(内部導体)と基準電位に固定されるべき第2導体(外部導体)の双方を含む導電ケーブルであればよく、同軸ケーブルに限るものではない。
【0076】
本実施形態においては、ノイズ発生源となる機能ユニットの一例としてカメラ20を想定して説明した。機能ユニットはカメラ20に限らず、レーザー発振器などケーブル58に電磁ノイズを重畳させる可能性のある電子部品または電子機器であればよい。
【0077】
本実施形態においては、ケーブル58を載せる中間導電部材202は完全に中実、いいかえれば、空洞を有さない導電部材であるとして説明した。中間導電部材202は完全に中実である必要はなく、少なくとも、図11(a)に示したケーブル58の下部に形成される空間体積の少なくとも半分以上を導電体によって埋める構成であればよい。
【0078】
本実施形態では、カバー12とベース部材10とに囲まれる収容空間Sにアンテナエレメント26を配置する構成を例示した。変形例においては、カバー12の一部をアンテナエレメント26で構成してもよい。モールド成形によりアンテナエレメント26をカバーと一体に形成してもよい。その場合、アンテナエレメント26をカバー12に埋設してもよいし、その一部を外部に露出させてもよい。
【0079】
本実施形態では、アンテナエレメント26を金属からなるものとしたが、導電樹脂その他の導電性材料からなるものとしてもよい。
【0080】
本実施形態では、アンテナ装置の収容空間にAM、FM、GPS、GLONASSに適用可能なアンテナエレメントを収容する構成を例示した。変形例においては、このほかにもXM、DAB、V2X、TEL等その他に適用可能なアンテナエレメントを収容してよい。複数の周波数帯に対応するよう複数のアンテナエレメントを搭載した複合アンテナ装置としてもよい。
【0081】
本実施形態では、シャークフィンアンテナを例示したが、低背型アンテナ装置であれば上記シール構造による省スペースの効果が顕著に発揮される。なお、上記シール構造は低背型アンテナ装置に限らず、カバーとベース部材との間に収容空間を形成するアンテナ装置であれば適用可能であることは言うまでもない。
【0082】
アンテナベース30は、単一の金属部材であるとして説明したが、アンテナベース30は複数の部材により形成されてもよい。たとえば、アンテナベース30は金属部材(導電性)と樹脂部材(非導電性)を組み合わせることにより形成されてもよい。このような構成であっても、中間導電部材202は金属部材に立設されていればよい。あるいは、金属部材に形成される溝として中間導電部材202が形成されてもよい。
【0083】
本実施形態では、アンテナ装置をルーフパネルに設置するものとして説明したが、スポイラーやトランクパネルなど車体のその他の位置に設置してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 アンテナ装置、10 ベース部材、12 カバー、14 ルーフ固定部、16 開口部、20 カメラ、22 回路基板、24 パッチアンテナ、26 アンテナエレメント、28 ルーフパネル、30 アンテナベース、32 シールパッド、33 凹状嵌合部、34 挿通孔、36 挿通孔、50 カメラ保持部材、58 ケーブル、60 環状突起、62 ねじ、70 コネクタ、100 上方遮蔽部材、102 導電カバー部材、104 支持部材、108 台座部材、110 前方遮蔽部材、112 内部導体、114 絶縁体、116 外部導体、118 保護膜、120 接地端子、122 信号線、130 遮蔽部材、140 はんだ、150 はんだ、152 溝、154 ガイド部材、202 中間導電部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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