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特許7570091リサイクル処理システム及びリサイクル処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】リサイクル処理システム及びリサイクル処理方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/06 20060101AFI20241011BHJP
   B02C 17/16 20060101ALI20241011BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
C08J11/06
B02C17/16 Z
B02C17/18 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020150176
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044509
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】520067998
【氏名又は名称】アイレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141427
【弁理士】
【氏名又は名称】飯村 重樹
(72)【発明者】
【氏名】陳 国
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-236832(JP,A)
【文献】特開2004-025734(JP,A)
【文献】特開平9-207133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 11/06
B02C 17/16
B02C 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃材をリサイクルして再生物を製造するリサイクル処理システムにおいて、
破砕あるいは粉砕された前記廃材を洗浄して脱水して前記廃材から異物を除去する洗浄部と、
該洗浄部で洗浄した前記廃材を撹拌する第1攪拌部と、
該第1攪拌部で攪拌した前記廃材を更に撹拌して前記廃材を微粉砕する第2攪拌部と、
該第2攪拌部と連結されて該第2攪拌部で撹拌して微粉砕した前記廃材を混錬するスクリューを有する混錬部と、
該混錬部で混錬した後に、冷却されて所望の寸法に切断された前記廃材を前記再生物として攪拌する第3攪拌部と、を備え、
前記スクリューは、
軸状のシャフトと該シャフトの軸線に沿って螺旋状に形成されたフィンとによって形成される溝の深さが前記廃材の送り方向に漸次浅くなる圧縮部及び該圧縮部と連続して形成されて前記廃材の送り方向に対する反力を前記廃材に付与する反力発生部を有する、
ことを特徴とするリサイクル処理システム。
【請求項2】
前記洗浄部は、
前記廃材を摩擦して洗浄する摩擦洗浄部と、
該摩擦洗浄部で摩擦して洗浄した前記廃材を遠心脱水する遠心脱水部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル処理システム。
【請求項3】
前記第2攪拌部は、
前記廃材が投入される投入口を有して前記廃材を収容する収容部及び該収容部の前記投入口の下方に配設されて前記廃材を攪拌する複数のブレードを有する攪拌子を備え、
該攪拌子の前記ブレードの高さ位置と前記混錬部の前記スクリューの前記軸線の高さ位置とが一致することを特徴とする請求項1または2に記載のリサイクル処理システム。
【請求項4】
前記第2攪拌部は、
前記収容部の内面における前記投入口と前記攪拌子との間で前記収容部の内側に突出する突出部が形成されることを特徴とする請求項3に記載のリサイクル処理システム。
【請求項5】
前記第2攪拌部は、
攪拌する前記廃材の量及び前記廃材を攪拌する際の温度が制御されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のリサイクル処理システム。
【請求項6】
前記混錬部と前記第3攪拌部との間において前記混錬部で混錬した前記廃材を更に混錬する副スクリューを有する副混錬部を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のリサイクル処理システム。
【請求項7】
前記廃材は、
溶融温度の異なる複数の材料によって構成され、
前記混錬部で前記廃材を混錬する際の温度が、溶融温度が上限の材料の溶融温度と溶融温度が下限の材料の溶融温度との間の温度に合わせて設定されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のリサイクル処理システム。
【請求項8】
廃材をリサイクルして再生物を製造するリサイクル処理方法において、
破砕あるいは粉砕された前記廃材を洗浄して脱水して前記廃材から異物を除去する洗浄工程と、
該洗浄工程で洗浄した前記廃材を撹拌する第1攪拌工程と、
該第1攪拌工程で攪拌した前記廃材を更に撹拌して前記廃材を微粉砕する第2攪拌工程と、
該第2攪拌工程で撹拌して微粉砕した前記廃材を混錬する混錬工程と、
該混錬工程で混錬した後に、冷却されて所望の寸法に切断された前記廃材を前記再生物として攪拌する第3攪拌工程と、を備え、
前記混錬工程は、
軸状のシャフトと該シャフトの軸線に沿って螺旋状に形成されたフィンとによって形成される溝の深さが前記廃材の送り方向に漸次浅くなる圧縮部及び該圧縮部と連続して形成されて前記廃材の送り方向に対する反力を前記廃材に付与する反力発生部を有するスクリューで前記廃材を混錬する、
ことを特徴とするリサイクル処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル処理システム及びリサイクル処理方法、特に、廃材をリサイクルして再生物を製造するリサイクル処理システム及びリサイクル処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、廃材をリサイクルして再生物にする場合には、廃材から残存付着物等の異物を除去し、異物を除去した廃材を混錬し、混錬した廃材を成形することによって、再生物が得られる。
【0003】
特許文献1には、再生物であるペレットから成形される成形物の強度を向上させることを目的として、炭素繊維強化樹脂成形物の廃材から回収された炭素繊維を補強材として含有させるペレットを製造するリサイクル処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-199230公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のリサイクル処理システムでリサイクルされる廃材は、複数の異なる材料で構成される場合がある。例えば、主に粒状物を保管して運搬する目的で利用されるフレキシブルコンテナバッグであれば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート、炭素カルシウム等によって構成される。
【0006】
このような複数の異なる材料で構成される廃材をリサイクル処理システムでリサイクルして再生物を製造する場合は、材料ごとに厚みの程度が異なったり、異物の付着の程度が異なったり、あるいは硬軟の程度が異なったりする等、材料の材質にバラツキがあることに起因して、製造される再生物の物性(例えば密度、粘性、比熱等。)が経年によって変性する場合もあることが懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、物性的に安定した再生物を製造することができるリサイクル処理システム及びリサイクル処理方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためのリサイクル処理システムは、廃材をリサイクルして再生物を製造するリサイクル処理システムにおいて、破砕あるいは粉砕された廃材を洗浄して脱水して廃材から異物を除去する洗浄部と、洗浄部で洗浄した廃材を撹拌する第1攪拌部と、第1攪拌部で攪拌した廃材を更に撹拌して廃材を微粉砕する第2攪拌部と、第2攪拌部と連結されて第2攪拌部で撹拌して微粉砕した廃材を混錬するスクリューを有する混錬部と、混錬部で混錬した後に、冷却されて所望の寸法に切断された廃材を再生物として攪拌する第3攪拌部と、を備え、スクリューは、軸状のシャフトとシャフトの軸線に沿って螺旋状に形成されたフィンとによって形成される溝の深さが廃材の送り方向に漸次浅くなる圧縮部及び圧縮部と連続して形成されて廃材の送り方向に対する反力を廃材に付与する反力発生部を有することを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、廃材を洗浄して異物を精密に除去するとともに、廃材を複数回に亘って攪拌することによって分散及び微粉砕して廃材を均質化したうえで混錬し、再生物を製造する。
【0010】
しかも、混錬部のスクリューの圧縮部において廃材を圧縮するとともに、反力発生部で廃材に反力を付与して対流を発生させることから、廃材が均質に混錬される。
【0011】
したがって、廃材が複数の異なる材料から構成される場合であっても、密度や粘性といった物性が経年によって変性することなく、長期的に安定した物性の再生物を製造することができる。
【0012】
リサイクル処理システムの洗浄部は、廃材を摩擦して洗浄する摩擦洗浄部と、摩擦洗浄部で摩擦して洗浄した廃材を遠心脱水する遠心脱水部とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
リサイクル処理システムの第2攪拌部は、廃材が投入される投入口を有して廃材を収容する収容部及び収容部の投入口の下方に配設されて廃材を攪拌する複数のブレードを有する攪拌子を備え、攪拌子のブレードの高さ位置と混錬部のスクリューの軸線の高さ位置とが一致することを特徴とするものである。
【0014】
さらに、リサイクル処理システムの第2攪拌部は、収容部の内面における投入口と攪拌子との間で収容部の内側に突出する突出部が形成されることを特徴とし、攪拌する廃材の量及び廃材を攪拌する際の温度が制御されることを特徴とするものである。
【0015】
リサイクル処理システムは、混錬部と第3攪拌部との間ににおいて混錬部で混錬した廃材を更に混錬する副スクリューを有する副混錬部を備えることを特徴とするものである。
【0016】
しかも、リサイクル処理システムで処理される廃材は、溶融温度の異なる複数の材料によって構成され、混錬部で廃材を混錬する際の温度が、溶融温度が上限の材料の溶融温度と溶融温度が下限の材料の溶融温度との間の温度に合わせて設定されることを特徴とするものである。
【0017】
上記目的を達成するためのリサイクル処理方法は、廃材をリサイクルして再生物を製造するリサイクル処理方法において、破砕あるいは粉砕された廃材を洗浄して脱水して廃材から異物を除去する洗浄工程と、洗浄工程で洗浄した廃材を撹拌する第1攪拌工程と、第1攪拌工程で攪拌した廃材を更に撹拌して廃材を微粉砕する第2攪拌工程と、第2攪拌工程で撹拌して微粉砕した廃材を混錬する混錬工程と、混錬工程で混錬した後に、冷却されて所望の寸法に切断された廃材を再生物として攪拌する第3攪拌工程と、を備え、混錬工程は、軸状のシャフトとシャフトの軸線に沿って螺旋状に形成されたフィンとによって形成される溝の深さが廃材の送り方向に漸次浅くなる圧縮部及び圧縮部と連続して形成されて廃材の送り方向に対する反力を廃材に付与する反力発生部を有するスクリューで廃材を混錬することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、経年によって密度や粘性といった物性が変性することなく、長期的に安定した物性の再生物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係るリサイクル処理システムの構成の概略を説明する平面図である。
図2】同じく、本実施の形態に係るリサイクル処理システムの第2攪拌部及び主混錬部の構成の概略を説明する模式的な断面図である。
図3】同じく、本実施の形態に係るリサイクル処理システムの混錬部のスクリューの構成の概略を説明する図である。
図4】同じく、本実施の形態に係るリサイクル処理システムの副スクリューの構成の概略を説明する図である。
図5】同じく、本実施の形態に係るリサイクル処理システムのリサイクル処理工程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図1図5に基づいて、本発明の実施の形態に係るリサイクル処理システムについて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るリサイクル処理システムの構成の概略を説明する平面図である。図示のように、リサイクル処理システム1は、廃材Sをリサイクルして再生物Pを製造するシステムである。
【0022】
リサイクル処理システム1で処理する廃材Sは、本実施の形態では、主に粒状物を保管して運搬する目的で利用される、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート、炭素カルシウム等の異なる複数の材料で構成されたフレキシブルコンテナバッグである。
【0023】
このリサイクル処理システム1は、前処理システム10及び後処理システム20を備える。
【0024】
前処理システム10は、本実施の形態では、投入部11、破砕部12、粉砕部13、比重分離部14、摩擦洗浄部15a、遠心脱水部15b、乾燥部16及び第1攪拌部17を主要構成として備える。
【0025】
投入部11は、図示しないホッパを介して投入される廃材Sを受け入れる装置であり、破砕部12は、投入部11に投入された廃材Sを粗に破砕する装置であり、粉砕部13は、破砕部12で破砕した廃材Sを更に粉砕する装置である。
【0026】
比重分離部14は、液体(例えば水)が貯留された複数の貯水槽14aを備え、この貯水槽14aにおいて、粉砕部13で粉砕した廃材Sに付着した汚れ等の異物を沈殿させて、廃材Sから異物を分離する装置である。
【0027】
摩擦洗浄部15aは、本実施の形態では、洗浄液中で回転して廃材Sを叩いて摩擦して洗浄する図示しないプロペラを備え、摩擦して洗浄することによって廃材Sに強固に付着した汚れ等の異物を除去する装置である。
【0028】
遠心脱水部15bは、本実施の形態では、高速で回転して遠心力を発生させて廃材Sに付着した微粒子状の異物を除去するとともに、遠心力によって廃材Sから洗浄液を脱水する装置である。
【0029】
本実施の形態では、これら摩擦洗浄部15a及び遠心脱水部15bによって、洗浄部15が構成される。
【0030】
乾燥部16は、遠心脱水部15bで処理された廃材Sに熱風を付与して、廃材Sを乾燥させる装置である。
【0031】
第1攪拌部17は、本実施の形態では、廃材Sを収容する第1収容タンク17A及び第1収容タンク17Aの内側において第1収容タンク17Aの底部に配設される図示しない第1攪拌子を備える。
【0032】
この第1攪拌子は、本実施の形態では、複数のブレードを有するプロペラ状であって、第1攪拌子の回転によって、第1収容タンク17Aに投入されて収容された廃材Sを攪拌して、廃材Sを構成する複数の材料を微細分散化する。
【0033】
後処理システム20は、本実施の形態では、第2攪拌部21、混錬部である主混錬部22、副混錬部23、冷却部24、切断部25及び第3攪拌部26を主要構成として備える。
【0034】
図2は、第2攪拌部21及び主混錬部22の構成の概略を説明する模式的な断面図である。
【0035】
図示のように、第2攪拌部21は、廃材Sが投入される投入口21aを上部に有して廃材Sを収容する円筒状の第2収容タンク21A、第2収容タンク21Aの投入口21aの下方であって第2収容タンク21Aの底部に配設される第2攪拌子21B、第2収容タンク21Aの内面に形成された突出部21C及び制御部21Dを備える。
【0036】
第2攪拌子21Bは、本実施の形態では、複数のブレード21bを有するプロペラ状であって、第2攪拌子21Bの回転によって第2収容タンク21Aに投入されて収容された廃材Sを攪拌して、廃材Sを微粉砕する。
【0037】
突出部21Cは、本実施の形態では、第2収容タンク21Aの内面における第2収容タンク21Aの投入口21aと第2攪拌子21Bとの間で第2収容タンク21Aの内側に突出する平面視で環状に形成される。
【0038】
この突出部21Cに、第2攪拌子21Bの攪拌によって第2収容タンク21A内で散乱する廃材Sが接触することによって、廃材Sの散乱が第2収容タンク21A内で収束される。
【0039】
制御部21Dは、本実施の形態では、投入口21aの開閉によって第2収容タンク21Aに投入される廃材Sの量を調整して、第2攪拌部21における1回あたりの攪拌サイクルで廃材Sを攪拌する量を制御する。
【0040】
さらに、制御部21Dは、第2攪拌部21で廃材Sを攪拌する際の第2収容タンク21A内の温度を制御する。本実施の形態では、第2収容タンク21A内の温度は、100℃~120℃に設定される。
【0041】
この制御部21Dは、本実施の形態では、PLC(Programmable Logic Controller)によって実装される。
【0042】
主混錬部22は、本実施の形態では、廃材導入部22Bを介して第2攪拌部21と連結されて第2収容タンク21Aと連通するシリンダ22A及びシリンダ22A内に収容されるスクリューである主スクリュー30を主要構成として備え、第2攪拌部21で攪拌して微粉砕した廃材Sを混錬する。
【0043】
この主スクリュー30は、本実施の形態では、その軸線Cの高さ位置と第2攪拌部21の第2攪拌子21Bの複数のブレード21bの高さ位置とが一致するように、シリンダ22A内に収容される。
【0044】
図3は、主スクリュー30の構成の概略を説明する側面図である。図示のように、主スクリュー30は、軸状のシャフト30a及びシャフト30aの軸線Cに沿って螺旋状に形成されたフィン30bを備え、矢線Aで示す廃材Sの送り方向に従って、供給部30A、送り部30B、圧縮部30C、反力発生部30D及び排出部30Eが順次形成される。
【0045】
供給部30Aは、本実施の形態では、廃材導入部22Bと対応する位置に形成され、シャフト30aとフィン30bとによる溝が比較的深くなるように形成されて、廃材導入部22Bから導入される廃材Sをシリンダ22A内に供給する。
【0046】
送り部30Bは、供給部30Aと連続して形成され、供給部30Aにおいてシリンダ22A内に供給した廃材Sを送り方向Aに送り出す。
【0047】
圧縮部30Cは、送り部30Bと連続するとともに、シャフト30aとフィン30bとによって形成される溝の深さが送り方向Aに漸次浅くなるように形成され、主スクリュー30とシリンダ22Aの内側との間が近接して、送り方向Aに送り出される廃材Sを圧縮する。
【0048】
反力発生部30Dは、圧縮部30Cと連続するとともに、廃材Sの送り方向Aに対する反力を発生させて、発生させた反力を廃材に付与するように形成される。
【0049】
この反力発生部30Dは、例えばフィン30bと逆方向に螺旋するフィンとする、フィン30bの螺旋のピッチを急変させる、あるいはシャフト30aの軸線Cに対するフィン30bの傾斜角度を急変させる等の種々の構成を採用することができる。
【0050】
排出部30Eは、本実施の形態では、次述する副混錬部23の廃材導入部と対応する位置に形成され、圧縮部30Cに対してシャフト30aとフィン30bとによる溝が比較的深くなるように形成されて、廃材Sを減圧する。
【0051】
この主スクリュー30で廃材Sを混錬する際の主混錬部22の混錬温度は、廃材Sであるフレキシブルコンテナバッグを構成する材料であるポリプロピレン、ナイロン及びポリエチレンテレフタラートのうち、溶融温度が上限の材料の溶融温度と溶融温度が下限の材料の溶融温度との間の温度に合わせて設定される。
【0052】
本実施の形態では、混錬温度は、ポリプロピレンの溶融温度が220℃、ナイロンの溶融温度が270℃、ポリエチレンテレフタラートの溶融温度が280℃であるから、220℃と280℃との間の250℃に設定される。
【0053】
図1で示す副混錬部23は、本実施の形態では、廃材導入部を介して主混錬部22と連結されるシリンダ23A及びシリンダ23A内に収容される副スクリューを主要構成として備え、主混錬部22で混錬した廃材Sを更に混錬する。
【0054】
図4は、副スクリューの構成の概略を説明する側面図である。図示のように、副スクリュー40は、軸状のシャフト40a及びシャフト40aの軸線Cに沿って螺旋状に形成されたフィン40bを備え、矢線Bで示す廃材Sの送り方向に従って、供給部40A、圧縮部40B、反力発生部40C、減圧部40D及び排出部40Eが順次形成される。
【0055】
供給部40Aは、本実施の形態では、廃材導入部と対応する位置に形成され、シャフト40aとフィン40bとによる溝が比較的深くなるように形成されて、廃材導入部から導入される廃材Sをシリンダ23A内に供給する。
【0056】
圧縮部40Bは、供給部40Aと連続するとともに、シャフト40aとフィン40bとによって形成される溝の深さが送り方向Bに漸次浅くなるように形成され、副スクリュー40とシリンダ23Aの内側との間が近接して、送り方向Bに送り出される廃材Sを圧縮する。
【0057】
反力発生部40Cは、圧縮部40Bと連続するとともに、廃材Sの送り方向Bに対する反力を発生させて、発生させた反力を廃材に付与するように形成される。
【0058】
この反力発生部40Cは、例えばフィン40bと逆方向に螺旋するフィンとする、フィン40bの螺旋のピッチを急変させる、あるいはシャフト40aの軸線Cに対するフィン40bの傾斜角度を急変させる等の種々の構成を採用することができる。
【0059】
減圧部40Dは、圧縮部40Bに対してシャフト40aとフィン40bとによる溝が比較的深くなるように形成されて、廃材Sを減圧する。
【0060】
排出部40Eは、本実施の形態では、減圧部40Dと連続するとともに次述する冷却部24の廃材導入部と対応する位置に形成され、減圧部40Dに対してシャフト40aとフィン40bとによる溝の深さが送り方向Bに漸次浅くなるように形成されて、廃材Sを冷却部24に送り出す。
【0061】
図1で示す冷却部24は、副混錬部23から送り出された廃材Sを冷却して硬化させる装置であり、切断部25は、冷却部24で冷却されて硬化せしめられた廃材Sを所望の寸法、本実施の形態では例えば15mm程度のペレット状に切断する装置である。
【0062】
この切断部25で廃材Sがペレット状に切断されることによって、再生物Pが製造される。
【0063】
第3攪拌部26は、本実施の形態では、製造された再生物Pを収容する第3収容タンク26A及び第3収容タンク26Aの内部に配設される図示しない第3攪拌子を備え、再生物Pを攪拌して再生物Pに付着する塵芥等の異物を除去する。
【0064】
次に、リサイクル処理システム1のリサイクル処理工程を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
図示のように、まず、ステップS1において、投入部11に廃材Sを投入する(投入工程)。このとき、廃材Sは、廃材Sを構成する材料ごとに分類されて、分類された材料ごとに例えば汚れの付着の程度、材料の硬軟の程度あるいは材料の厚みの程度に応じて峻別されている。
【0066】
このように、材料ごとに分類され、かつ材料の程度に応じて峻別された状態の廃材Sを投入することによって、爾後の処理工程においてムラのない均質なリサイクル処理が実行されることが期待される。
【0067】
続いて、ステップS2において、破砕部12で廃材Sを粗に破砕し(破砕工程)、ステップS3において、粉砕部13で、破砕部12で破砕した廃材Sを更に粉砕し(粉砕工程)、さらに、ステップS4において、比重分離部14で、廃材Sに付着した異物を分離する(比重分離工程)。
【0068】
その後、ステップS5において、摩擦洗浄部15aで、廃材Sを摩擦して洗浄して廃材Sに付着した強固な異物を除去し(摩擦洗浄工程)、ステップS6において、遠心脱水部15bで、廃材Sに付着した微粒子状の異物を除去して廃材Sから洗浄液を脱水する(遠心脱水工程)。
【0069】
この摩擦洗浄工程及び遠心脱水工程をともに実施することによって、廃材Sに付着した異物を高度に除去することができる。
【0070】
続いて、ステップS7において、乾燥部16で廃材Sを乾燥させ(乾燥工程)、ステップS8において、第1攪拌部17で、廃材Sを構成する複数の材料を攪拌して微細分散化する(第1攪拌工程)。廃材Sを混錬する前にこの第1攪拌工程を実施して微細分散化することによって、複数の材料からなる廃材Sが均質化される。
【0071】
その後、ステップS9において、第2攪拌部21で廃材Sを攪拌して微粉砕する(第2攪拌工程)。これにより、廃材Sが更に均質化される。
【0072】
本実施の形態では、第2攪拌部21における1回あたりの攪拌サイクルで廃材Sが攪拌される量が制御されるとともに、廃材Sが攪拌される際の温度が制御されることから、第2攪拌部21における廃材Sの攪拌の質が向上する。
【0073】
第2攪拌部21で微粉砕した廃材Sは、廃材導入部22Bを介して主混錬部22のシリンダ22Aに導入される。
【0074】
このとき、本実施の形態では、第2攪拌部21の第2攪拌子21Bのブレード21bの高さ位置と主混錬部22のシリンダ22Aに収容される主スクリュー30の軸線Cの高さ位置とが一致することから、導入された廃材Sは送り方向Aに適切に送り出され、シリンダ22Aに導入された廃材Sが第2攪拌部21に逆流することが抑制される。
【0075】
ステップS10において、主混錬部22で廃材Sを混錬する(主混錬工程)。この主混錬工程では、主スクリュー30の回転によって廃材Sを溶融しながら混錬する。
【0076】
具体的には、廃材Sがシリンダ22Aに導入されると、主スクリュー30の供給部30Aに供給され、供給された廃材Sが送り方向Aに送り出される。送り方向Aに送り出された廃材Sは、圧縮部30Cにおいて圧縮されて、廃材Sに含まれる水分やガスが排出される。
【0077】
圧縮部30Cで圧縮された廃材Sは、反力発生部30Dにおいて、廃材Sの送り方向Aに対する反力が付与される。これによって対流が発生して、廃材Sの混錬の程度が深められて、廃材Sが均質に混錬される。
【0078】
反力発生部30Dで反力が付与された廃材Sは、排出部30Eにおいて減圧されて、廃材Sに含まれる細かい異物が除去され、副混錬部23へ送り出される。
【0079】
主混錬部22の混錬温度は、本実施の形態では、溶融温度が上限の材料の溶融温度と溶融温度が下限の材料の溶融温度との間の温度である250℃に設定されているところ、主混錬部22で混錬される際の廃材Sは第2攪拌部21で100℃~120℃に加熱されていることから、熱効率の良好な混錬が期待される。
【0080】
続いて、ステップS11において、副混錬部23で廃材Sを更に混錬する(副混錬工程)。この副混錬工程では、副スクリュー40の回転によって廃材Sを溶融しながら混錬する。
【0081】
具体的には、廃材Sがシリンダ23Aに導入されると、副スクリュー40の供給部40Aに供給され、供給された廃材Sが送り方向Bに送り出される。送り方向Bに送り出された廃材Sは、圧縮部40Bにおいて圧縮される。
【0082】
圧縮部40Bで圧縮された廃材Sは、反力発生部40Cにおいて、廃材Sの送り方向Bに対する反力が付与される。反力発生部40Cで反力が付与された廃材Sは、減圧部40Dにおいて減圧されて、排出部40Eから冷却部24へ送り出される。
【0083】
その後、ステップS12において、冷却部24で廃材Sを冷却して硬化させ(冷却工程)、ステップS13において、硬化した廃材Sをペレット状に切断する(切断工程)。これによって、再生物Pが製造される。
【0084】
さらに、ステップS14において、第3攪拌部26で再生物Pを攪拌して再生物Pに付着する塵芥等の異物を除去する。これによって、リサイクル処理工程が終了する。
【0085】
このように、本実施の形態のリサイクル処理システム1によれば、廃材Sを洗浄して異物を精密に除去するとともに、廃材Sを複数回に亘って攪拌することによって分散及び微粉砕して廃材Sを均質化したうえで混錬し、再生物Pを製造する。
【0086】
しかも、本実施の形態では、主混錬部22の主スクリュー30の圧縮部30Cにおいて廃材Sを圧縮するとともに、反力発生部30Dで廃材Sに反力を付与して対流を発生させることから、廃材Sが均質に混錬される。
【0087】
したがって、廃材Sが複数の異なる材料から構成される場合であっても、経年によって密度や粘性といった物性が変性することなく、長期的に安定した物性の再生物Pを製造することができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0089】
上記実施の形態では、廃材Sが、ポリプロピレン、ナイロン及びポリエチレンテレフタラート等からなるフレキシブルコンテナバッグである場合を説明したが、その他の化学繊維からなる廃材、あるいは木材等の天然物質由来の廃材であってもよい。
【0090】
この場合、主混錬部22における混錬温度は、廃材を構成する材料に応じて適宜、設定される。
【0091】
主混錬部22の主スクリュー30のフィン30bを、主スクリュー30の軸線Cに対する傾斜角度が廃材Sの送り方向Aに漸次縮小するように構成したり、フィン30b間のピッチを異なるように構成したりすることによって、廃材Sを送り方向Aに送り出す速度を調整することも可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 リサイクル処理システム
10 前処理システム
15a 摩擦洗浄部(洗浄部)
15b 遠心脱水部(洗浄部)
17 第1攪拌部
20 後処理システム
21 第2攪拌部
21B 第2攪拌子
21b ブレード
21C 突出部
21D 制御部
22 主混錬部(混錬部)
23 副混錬部
26 第3攪拌部
30 主スクリュー(スクリュー)
30C 圧縮部
30D 反力発生部
30a シャフト
30b フィン
40 副スクリュー
A 送り方向
B 送り方向
P 再生物
S 廃材
図1
図2
図3
図4
図5