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特許7570102自転車用チャイルドシートカバーの装着構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシートカバーの装着構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/20 20060101AFI20241011BHJP
   B62J 17/083 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
B62J1/20
B62J17/083
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021025906
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127752
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196269(JP,A)
【文献】特開2020-032815(JP,A)
【文献】国際公開第2015/092683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00 ー 1/28
B62J 17/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する装着構造であって、当該装着構造は前記チャイルドシートカバーとは別体の装着補助具を用いて前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着するものであり、前記装着補助具の適宜位置に設けた装着手段によって当該装着補助具を前記チャイルドシートの背面に装着し、当該装着補助具の背面部に設けた係着部材を前記チャイルドシートカバーの背面部内側に設けた係着部材に係着することによって前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着することができる装着構造において、
前記装着補助具に設けた装着手段が、前記装着補助具の本体部前面の上方部分に設けた一対のフック部材と、前記本体部の下方部分に設けた少なくとも1つの下方ベルト部材とから成り、
前記一対のフック部材は、その引っ掛け部の開口部が下向きで、その開口部をチャイルドシートの上縁部若しくは中間の縁部又は孔部に引っ掛けることができ、
前記下方ベルト部材は、自転車の荷台を含むフレームに掛け渡して装着し、前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着することができることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造。
【請求項2】
前記下方ベルト部材は、ベルト部材の両端部側に相互に連結できる連結具を設けたものから成り、
当該下方ベルト部材を自転車の荷台部を含むフレームに掛け渡して前記連結具同士を連結し、その後、当該ベルト部材の端部を引き絞って張設することができることを特徴とする請求項1に記載の自転車用チャイルドシートカバーの装着構造。
【請求項3】
前記下方ベルト部材を2本設け、それぞれの下方ベルト部材は、その先端に連結固定部を設けたものから成り、
当該下方ベルト部材のそれぞれの先端の連結固定部を自転車のフレーム又はチャイルドシート本体の側面下方前部又は取手部に固定したことを特徴とする請求項1に記載の自転車用チャイルドシートカバーの装着構造。
【請求項4】
前記下方ベルト部材が伸縮自在の帯状ベルトから成ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用チャイルドシートカバーの装着構造。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の装着補助具の背面部側をチャイルドシートカバーの背面部の内側に接合し、固着したことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部に固定された前部チャイルドシート又は自転車の後部荷台部に固定された後部チャイルドシートのほぼ全体を被覆することができるチャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着する際の装着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明においては、上記した通り、前部チャイルドシート又は後部チャイルドシート(以下単に「シート」という。)の略全体を被覆できるチャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)を、前記シートに装着する際の装着構造に関するものである。
【0003】
上記シートとしては、現在良く知られているように、前部チャイルドシートにあっては、その座部と背面部が一体的に形成され、座部の両側前方には足乗せ部が設けられ、座部の前方には取手部が設けられたものからなり、当該シートが自転車のハンドルとハンドルポストに固定されるタイプのものが代表的なものである。
このタイプのものでは、背面部の上方部分にヘッドレストの形状を有するものとそうでないものとが存在し、ヘッドレストのあるものでは、その背面部の上方部がヘッドレストの形状に形成され、そのヘッドレストの下縁部の左右両側には凹所が存在する。
【0004】
また、前部チャイルドシートとしては、ハンドルに予め装備されたタイプのものもある。
このシートは、ハンドル部の中央部が略U字形状に湾曲し、この湾曲したハンドル部に予め装備されたタイプのものであり、このタイプのシートでは、その足乗せ部は座部の前方に位置し、座部の前方には片側が取り外せる取手部も設けられている。
【0005】
他方、後部チャイルドシートにあっては、その座部は自転車の後部荷台部に固定され、足乗せ部は自転車の後輪の両側に配設され、座部の背面部である背凭れ部には上下に摺動可能なヘッドレストが設けられたものが存在する。
勿論、このシートには、上記ヘッドレストが上下に摺動せず、背凭れ部と一体化したタイプのものも存在する。この背凭れ部が一体化されたものでは、上記前部チャイルドシートと同様に、その下縁部の左右両側には凹所が存在する。
【0006】
これら前後のシートには、その座部の底面部を除く略全体を被覆することができる各種形状のチャイルドシートカバーが市販されている。
本発明は、このチャイルドシートカバーを上記の前部又は後部チャイルドシートに装着する際の装着構造に関し、この装着構造においては、カバーをシートに装着する際に装着補助具を使用しており、この装着補助具としては本願出願人が先に提案した下記特許文献1に記載の装着補助プレートを挙げることができる。
【0007】
下記特許文献1に記載の発明は、チャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に、カバーの高さ位置を適宜高さ位置に保持できる装着補助プレートを提供することを課題とする。
【0008】
その構成は、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する際に使用する装着補助具(装着補助プレート)であって、この装着補助具の前面部は前記チャイルドシートの背面に接合でき、その背面部には係着部材が設けられ、当該装着補助具の適宜位置にはこの装着補助具をチャイルドシートに装着するための装着手段を設け、これにより、前記装着補助具をチャイルドシートに装着し、この装着補助具の背面部の係着部材をチャイルドシートカバーの背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着してチャイルドシートカバーを適宜高さ位置に装着できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-196269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の装着構造における装着補助プレートにおいては、どのようなタイプのチャイルドシートにも装着できることを意図して創案したのであるが、チャイルドシートには各種のタイプが存在するため、例えばヘッドレストが設けられていないもの、或いは、ヘッドレストと背凭れ部が一体的に形成されているものに対しては、上記従来の装着補助プレートでは適切に装着することができないタイプのチャイルドシートが存在していることが判明した。
【0011】
そこで、本願発明においては、上記のようなヘッドレストが設けられておらず、シートの背面部が一体的に形成されたタイプ(ヘッドレストの形状を有さないタイプ)のチャイルドシートに対しても適切に装着できる装着補助具を創案し、これを用いた装着構造を提案することがその第1の課題となる。
勿論、この装着構造は、背面部の上部にヘッドレストが設けられたもの、或いは、ヘッドレストが一体化されたシートであっても、ヘッドレスト自体の形状を有する背面部に対しても適用可能なものである。
【0012】
また、本願発明においても、チャイルドシートに幼児を腰掛けさせた際に、その幼児の頭頂部ができる限りカバーの天部に接触しないようにすること、仮に接触しても幼児の頭頂部にカバーの重みがあまり掛らないようにチャイルドシートカバーを適宜高さ位置で装着できるようにし、且つカバーの形状を安定化させることができるような装着構造を提案することもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する装着構造であって、当該装着構造は前記チャイルドシートカバーとは別体の装着補助具を用いて前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着するものであり、前記装着補助具の適宜位置に設けた装着手段によって当該装着補助具を前記チャイルドシートの背面に装着し、当該装着補助具の背面部に設けた係着部材を前記チャイルドシートカバーの背面部内側に設けた係着部材に係着することによって前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着することができる装着構造において、前記装着補助具に設けた装着手段が、前記装着補助具の本体部前面の上方部分に設けた一対のフック部材と、前記本体部の下方部分に設けた少なくとも1つの下方ベルト部材とから成り、前記一対のフック部材は、その引っ掛け部の開口部が下向きで、その開口部をチャイルドシートの上縁部若しくは中間の縁部又は孔部に引っ掛けることができ、前記下方ベルト部材は、自転車の荷台を含むフレームに掛け渡して装着し、前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着することができることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造である。
ここで、上記装着補助具の「前面部」の「前面」が意味する方向は、当該装着補助具を自転車のチャイルドシートに装着した状態で、自転車の進行方向を意味する。他方、「背面」はその反対側の面を意味する。
【0014】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記下方ベルト部材は、ベルト部材の両端部側に相互に連結できる連結具を設けたものから成り、当該下方ベルト部材を自転車の荷台部を含むフレームに掛け渡して前記連結具同士を連結し、その後、当該ベルト部材の端部を引き絞って張設することができることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造である。
【0015】
本発明の第3のものは、上記第1の発明において、前記下方ベルト部材を2本設け、それぞれの下方ベルト部材は、その先端に連結固定部を設けたものから成り、当該下方ベルト部材のそれぞれの先端の連結固定部を自転車のフレーム又はチャイルドシート本体の側面下方前部又は取手部に固定したことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造である。
【0016】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の発明において、前記下方ベルト部材が伸縮自在の帯状ベルトから成ることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造である。
【0017】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第4の発明に記載の装着補助具の背面部側をチャイルドシートカバーの背面部の内側に接合し、固着したことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの装着構造である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1のものにおいては、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたチャイルドシートにチャイルドシートカバーを装着する装着構造であって、当該装着構造は前記チャイルドシートカバーとは別体の装着補助具を用いて前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着するものであり、前記装着補助具の適宜位置に設けた装着手段によって当該装着補助具を前記チャイルドシートの背面に装着し、当該装着補助具の背面部に設けた係着部材を前記チャイルドシートカバーの背面部内側に設けた係着部材に係着することによって前記チャイルドシートカバーを前記チャイルドシートに装着することができる。
【0019】
つまり、この装着補助具は、各種タイプのシートの背面側に装着することができ、その背面部に設けた係着部材はカバー背面部内側に設けられた係着部材と相互に係着することができるため、カバーの高さ位置を適宜高低自在に維持して装着することができることとなる。
【0020】
これにより、シートに腰掛ける幼児の座高に合わせて、カバー背面部を装着補助具の本体部に係着することにより、カバーの天部の高さ位置を適宜設定・変更することができ、カバーの内部空間で、幼児の頭頂部がカバー天部に接触しないか、接触してもカバーの重みがもろに幼児の頭部に掛ることが少なくなり、居住環境が向上することとなる。
【0021】
また、本発明に係る装着構造では、ヘッドレストが設けられていないタイプのものに装着することを念頭に置いており、その装着手段が、装着補助具の本体部前面の上方部分に設けた一対のフック部材と、前記本体部の下方部分に設けた少なくとも1つの下方ベルト部材とから成り、前記一対のフック部材は、その引っ掛け部の開口部が下向きで、その開口部をチャイルドシートの上縁部若しくは中間の縁部又はシートの背面に設けられている孔部に引っ掛けて装着できるのである。
【0022】
上記シートの孔部というのは、シート背面部に設けられているシートベルトのための孔部を意味し、これらの孔部はシート背面の適宜高さ位置に一対設けられているものである。
他方、前記下方ベルト部材は、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレーム等の自転車のフレームに掛け渡して装着でき、前記一対のフック部材と前記下方ベルト部材によって本発明に係る装着補助具がシートの背面に装着されることになるのである。
即ち、本発明においては、前記一対のフック部材と下方ベルト部材の3点で装着補助具をシートの背面部の背面側に装着することが出来ることとなるのである。
【0023】
以上のように、一対のフック部材と少なくとも1つの下方ベルト部材により、本発明に係る装着補助具がシートの背面部の背面側に少なくとも3箇所でしっかりと装着固定されることとなる。
その後、この装着補助具の本体部の背面部に設けられている係着部材とカバーの背面部内側に設けられている係着部材とを相互に係着してカバーを適宜高さ位置に取り付けることができることとなるのである。
【0024】
本発明の第2のものにおいては、前記下方ベルト部材をより特定したものである。
即ち、前記下方ベルト部材は、ベルト部材の両端部側に相互に連結できる連結具を設けたものから成り、当該下方ベルト部材を自転車の荷台部を含むフレームに掛け渡して前記連結具同士を連結し、その後、当該ベルト部材の端部を引き絞って張設することができることとなる。
【0025】
本発明の第3のものにおいては、上記下方ベルト部材を更に特定したものであり、前記下方ベルト部材を2本設け、それぞれの下方ベルト部材は、その先端に連結固定部を設けたものから成り、当該下方ベルト部材のそれぞれの先端の連結固定部を自転車のフレーム又はチャイルドシート本体の側面下方前部又は取手部に固定することができるようにしたものである。
【0026】
本発明の第4のものにおいては、前記下方ベルト部材が伸縮自在の帯状ベルトから成ることを特定したものである。
このように下方ベルト部材を伸縮自在なものとすることにより当該下方ベルト部材を容易に緊張状態に張設できることとなるのである。
【0027】
本発明の第5の装着構造においては、上記第1乃至第4の発明で特定した装着補助具をチャイルドシートカバーに一体化したものであり、即ち、上記第1乃至第4の発明の何れか1項に記載の装着補助具の背面部側をチャイルドシートカバーの背面部の内側に接合し、固着した装着構造である。
これにより、かかるチャイルドシートカバーの背面部内側に固定された装着補助具を利用して容易にカバーをシートに装着することが出来ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の装着構造の構成部材である装着補助具に係る一実施形態の前面部側説明図である。
図2】上記実施形態に係る装着補助具の背面部側説明図である。
図3】上記実施形態に係る装着補助具が取り付けられたチャイルドシートの前面側説明図である。
図4】上記実施形態に係る装着補助具をチャイルドシートの背面部に装着した状態の背面側説明図である。
図5】上記実施形態に係る装着補助具をシートに装着した側面側説明図である。
図6】上記実施形態に係る装着補助具を用いてチャイルドシートカバーをシートに取り付けた状態の背面側説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の装着構造の構成部材である装着補助具に係る一実施形態の前面部側説明図である。
図2は、上記実施形態に係る装着補助具の背面部側説明図である。
【0030】
本発明の装着構造に係る装着補助具10の本体部11は、図1及び図2に示したように、正面視野球のホームベース形状に似た略5角形形状を有している。
この本体部11は、板状のものから形成されており、可撓性を有するものが好ましい。
【0031】
勿論、この本体部11の内部に合成樹脂製の芯材を内装させることも自由である。
芯材としては、ベルポーレンを例示することができるが、布製の厚地のシート状のものであってもよい。
【0032】
更に、この本体部11は、帯状部材を縦横に組み合わせて、1枚のシート状のものに編成したものであってもよいし、その編成に際しては、隙間が設けられていても全く問題はない。
【0033】
要するにチャイルドシートの背面部(幼児の背部と頭部を支える部分)の背面側に適宜重ね合わせるように配設することができるようなシート状のもの、プレート状のもの、又は網状のものであればよい。
【0034】
この本体部11の前面側の上方部分には、左右一対(2個)のフック部材12、12が設けられている(図1参照)。
これらのフック部材12、12は、上記本体部11の前面側の上縁部11jの直ぐ下方に横方向に並んで2個設けられている。
勿論、これらのフック部材12、12を上記上縁部11jの部位に設けることもできる。
即ち、本体部11の上縁に沿って横方向に並べて2個設けてもよい。
【0035】
このフック部材12は、左右同じ構成であって、下向き開口の略U字形状のクリップ形態のものからなる。
このクリップ形態の本体部11側の構成片12sの背面に挿通部を設け、この挿通部に帯状部材12bを横方向に挿通し、その両側を縫着してこのフック部材12を本体部11に固定している。
【0036】
このフック部材12は、プラスチック製で可撓性及び弾力性を有し、このフック部材12の前方側の構成片12rと上記構成片12sとによって両者の間にシートの上縁部若しくは中間の縁部又は孔部の縁部を挟持し、上記本体部11をシートの背面側に引っ掛けるように装着することができる。
【0037】
上記本体部11の下方部分には、下方ベルト部材14が設けられている。
この下方ベルト部材14は、上記本体部11の下方部分に設けた孔部17に挿通させて設けており、一本のベルト部材を環状に配設したものである。
【0038】
この1本のベルト部材からなる下方ベルト部材14の一方端部には長さ調節枠体18が設けられている。
この長さ調節枠体18は、略長方形枠体の中央に1本の横棒が設けられた構成からなり、所謂「アジャスター・バックル」と呼ばれるものである。
この下方ベルト部材14の一方端部を上記長さ調節部材18の中央の横棒に固定し、輪状に取り回して、再度上記長さ調節部材18の上下の枠体に他方端部14tを挿通させる。
【0039】
これによって上記下方ベルト部材14の一方端部側は輪状に形成され、その中間部に一方の連結具15aを設ける。
上記下方ベルト部材14の他方端部(先端部)14tは、上記の通り、上記長さ調節枠体18を挿通し、上記本体部11の下方部分に設けた挿通孔17に挿通させて、その他方端部14t側に設けた他方の連結具15bに挿通させる。
【0040】
以上の構成により、下方ベルト部材14は、上記の2つの連結具15a、15b同士を相互に連結して閉鎖された輪状に形成される。
この下方ベルト部材14は、後に説明するが、自転車のハンドルポスト又は荷台部のフレームに掛け渡すように配設され、その後に上記下方ベルト部材14の他方端部(先端部)14tを引き絞るように、即ち、連結具15bの挿通部を通して引き絞るようにして下方ベルト部材14を張り詰めた状態に張設することができる。
【0041】
更に、上記本体部11の背面部側には、その左右の両側に一対の係着部材20、20を設けている。(図2参照)
この係着部材20は、帯状部材を上記本体部11の背面部の両側に縫着したものであり、その背面部には面ファスナーが設けられたものである。
この面ファスナー20、20は、チャイルドシートカバーの背面部の内側に設けられている面ファスナー(係着部材)と相互に係着することができる。
以上の通り、本発明に係る装着構造は、上記装着補助具11と図示はしていないカバーの背面部内側に設けられた係着部材(面ファスナー)とから構成されている。
【0042】
図3は、上記実施形態に係る装着補助具が取り付けられたチャイルドシートの前面側説明図である。
このチャイルドシートSは自転車の後部荷台部に固定された例を示している。
勿論、チャイルドシートは自転車のハンドル及びハンドルポストに固定したものであっても、そのチャイルドシートに上記実施形態に係る装着補助具を装着することができる。
【0043】
この図3に示した通り、チャイルドシートSは、プラスチック製のものから成り、幼児が腰掛ける座部Zと、この座部Zの後部から上方に立ち上がる背面部Hと、両側の両側面部W、Wと、足乗せ部F、Fとから成り、座部Zの上面にはクッション部材Cが設けられている。
【0044】
更に、背面部Hの上縁部から下方に略同一距離に孔部T、Tが左右に一対(2個)設けられている。
この孔部T、TはシートベルトB、Bを取り付けるために設けられているものである。
このチャイルドシートSでは、このシートベルトBは5点固定のものである。
【0045】
即ち、背面部Hの上方の2個の孔部T、Tから2本のベルトが下方に延長して連結部Raを挿通して両側面部W、WにそれぞれのベルトB、Bが固定される。連結部Rbは、座部Zの側にベルトを介して固定され、上記連結部Raと連結部Rbとを連結することによって幼児の身体を5箇所で保持固定することができる。
【0046】
図中符号M、Mは、ベルトの長さを調整するための長さ調整具である。
また、上記連結部Ra及び連結部Rbの構成は、本発明に係る上記装着補助具10における下方ベルト部材14に設けている連結具15a及び連結具15bとその構造は同様のものであり、ワンタッチ式に連結できる雌雄バックルから成るものである。
【0047】
この図に示した通り、本発明に係る装着補助具10は、ヘッドレストが特別に設けられていないタイプのシートSであっても、そのシートSの背面部Hの上縁部にフック部材12、12を引っ掛けて取り付け、その後、図には現れていないが、下方ベルト部材を荷台部のフレームに掛け渡して張設し、一対のフック部材12、12と、下方ベルト部材の3点によって支持され装着されることになる。
【0048】
図4は、上記実施形態に係る装着補助具をチャイルドシートの背面部に装着した状態の背面側の説明図である。
図5は、同じく上記実施形態に係る装着補助具をシートに装着した側面側の説明図である。
【0049】
以下、これら2図を用いて本発明の上記実施形態に係る装着補助具10をチャイルドシートSに装着する手順について説明する。
まず、本発明に係る装着補助具10の本体部11の前面部側をチャイルドシートSの背面部Hの背面側に配置する。
【0050】
次に、上記本体部11の上方部分に設けられている左右一対のフック部材12、12の下端開口部をチャイルドシートSの上縁部に引っ掛けて取り付ける。
【0051】
次に、本体部11の下方部分に設けられた下方ベルト部材14の連結具15aと連結具15bとを分離させておき、下方ベルト部材14の先端部14tの側の連結部15bを自転車の荷台部NのフレームNfに巻回し、その後連結部15bを前記連結部15aに連結させる。
【0052】
次に、下方ベルト部材14の先端部14tを下方に引き絞ることによって、連結具15bに挿通されている下方ベルト部材14が引き絞られて、この下方ベルト部材14が緊張した張り詰めた状態に張設され、本体部11が堅固にチャイルドシートSの背面部H側に装着されるのである。
【0053】
図6は、上記実施形態に係る装着補助具を用いてチャイルドシートカバーをシートに取り付けた状態の背面側説明図であるが、自転車の図示は省略している。
この図に示したチャイルドシートカバー30は、チャイルドシートSの底面部を除く略全体を被覆できる略ボックス形状を有するものから成る。
【0054】
即ち、図には現れていない前面部と、この前面部の上縁部から連続する天部と天部の後縁部から下方に連続する背面部33と、これらの両側縁部で連続する両側面部34、34とから成る。
【0055】
前面部には透明の窓部が形成されて開閉自在である。
勿論、天部も透明素材から形成しても良い。
更に、両側面部34の下方にはそれぞれ足乗せ部被覆部35が備わる。
勿論、両側面部34の上方部分を透明素材から形成することもできる。
【0056】
そして、前面部と一方又は両方の側面部34との境界部にはスライドファスナーを設けて、開閉自在とし、開放することにより内部に幼児を着席させ及び内部から幼児を降ろす際に利用できる。
このチャイルドシートカバー30の底面部は開口されているが、この底面部の周縁部の全体又は一部には伸縮自在の収束紐36が挿通され、この底面部の開口部が収束できるように構成している。
【0057】
上記チャイルドシートカバー30の背面部33の内側には係着部材40、40が設けられている。
この実施形態では、これらの係着部材40は帯状部材の一方の面に面ファスナーが設けられたものを縫着して設けている。
【0058】
この係着部材40は、図にも示した通り、カバー30の背面部33の両側の縦方向に帯状に設け、上記装着補助具10の本体部11の背面部に設けた係着部材と相互に係着できるように形成している。
【0059】
即ち、上記装着補助具10の本体部11の背面部に設けた係着部材にカバー30の係着部材40をカバーの天部の高さを適宜確保して、その高さ位置に相互に係着し、カバー30の天部の高さを所望高さ位置に保持させることができることとなるのである。
【0060】
これにより、シートに着席した幼児の座高高さに応じて、両者の係着位置を上下に変更して調節することができ、幼児の頭頂部にカバーの天部が接触しないようにすることができるのであり、カバーの室内空間の天部高さ位置を自在に変更することができることとなるのである。
【0061】
更に、本発明においては、上記装着補助具を予めチャイルドシートカバーの背面部の内側に接合し、固定しておいてもよい。
これにより、当該装着補助部がカバーの背面部内側に一体化され、チャイルドシートカバーの背面部に備わる一対のフック部材をシートの背面部の上縁部に引っ掛け、下方ベルト部材を自転車の荷台部のフレームに、或いは、前部チャイルドシートにあっては自転車のハンドルポストに掛け渡し、張設して、上記カバーをシートに容易に装着することができることになる。
【0062】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明にあっては以下の通り種々設計変更することが可能である。
【0063】
上記実施形態においては、装着されるチャイルドシートとして、図3乃至図5に示した通り、その背面部の上部にヘッドレスト形状を有していないものであったため、フック部材の下向き開口部をシートの背面部の上縁部に引っ掛けて取り付けることができた。
【0064】
他方、シートとしては、その背面部の上部にヘッドレストが設けられたものもあり、このタイプのシートには、そのヘッドレストの下方の背凭れ部の上縁部、つまり、シートの背面部の略中間部の上縁部に上記フック部材の下向き開口部を引っ掛けることができる。
或いは、シートの背面部に設けられたシートベルト等の一対の孔部に本発明に係る装着補助具のフック部材を引っ掛けることも可能となる。
【0065】
上記実施形態では、自転車の後部荷台に固定されたチャイルドシートに取り付ける例について説明したが、本発明に係る装着補助具は、自転車のハンドル部やハンドルポストに取り付け固定された前部チャイルドシートに対しても装着してカバーを取り付けることができる。
前部チャイルドシートに装着する際には、下方ベルト部材は、自転車のハンドルポストに掛け渡して又は巻回して装着することができる。
【0066】
自転車のシートに装着するカバーの形態はどのようなものであってもよく、シートの略全体を被覆できるカバーであって、その背面部の内側に係着部材が設けられたものであれば、各種タイプのカバーを適宜高さ位置に取り付け装着することができる。
当該カバーは、その全体が1つのものであっても、上下2つの部分から成るツーピースタイプのものであってもよいし、当該カバーには各種の骨組が配設されたものであってもよい。
【0067】
本発明に係る装着構造の装着補助具の本体部は、板状又はシート状のものであって、シートの背面側に配置できるものであれば、その外形形状やその構造も全く自由に設計変更することができる。
【0068】
例えば、その外形形状は、上記実施形態のような略5角形形状のものであってもよいし、略長方形形状又は略惰円形形状のものでもよく、或いは多角形形状のものであってもよい。
その構造も、内部にクッション材や可撓性を有する合成樹脂製板材を内装し、外部を他の素材から成る生地やシート材で被覆したものであってもよいし、1枚の弾性又は可撓性を有する板状のものであってもよい。
【0069】
更には、この装着補助具の本体部は、帯状ベルトを編んだものであってもよく、しかも、その編成にあっては、隙間が設けられたもの、つまり、透孔や窓部があっても良いのである。
要するに、シートの背面部に配設できる形態のものであれば、その構造は全く自由である。
【0070】
フック部材及び下方ベルト部材も適宜設計変更することができ、上記実施形態に係る下方ベルト部材では、単なる帯状ベルトばかりでなく、伸縮性を有するゴムバンド等であってもよい。
【0071】
装着補助具の本体部の背面部に設けた係着部材(面ファスナー)は、上記実施形態では、背面部の両側に縦方向に2本設けたが、これらの係着部材は、横方向でもよく、またその横方向に1本、帯状に設けてもよく、複数本、略平行に設けたものであってもよい。
勿論、係着部材を本体部の背面部の全体に設けることもできる。
【0072】
これにより、カバーの背面内側に設けた係着部材(面ファスナー)と相互に係着することにより、当該カバーの高さ位置を適宜決定し、適宜高さ位置に当該カバーをシートに装着することができることとなるのである。
【0073】
最後に本発明に係る装着構造においては、上記下方ベルト部材を2本設けて実施することもできる。
即ち、上記図4における装着補助具の本体部11の下方に設けた孔部17に2本の下方ベルト部材を挿通し、これら2本の下方ベルト部材をそれぞれ左右に振り分けて、つまり、逆V字形状に振り分けて、その先端に設けた連結固定部をシートの前方部分に設けられている取手部の左右の支柱等に連結して固定することもできる。
【0074】
勿論、これら2本の下方ベルト部材の先端の連結固定部を荷台部の左右両側のフレームに連結し固定することもできる。
或いは、シート本体の両側面の下方前方部に設けた突起部や孔部に上記連結固定部を連結し固定することも容易に可能となる。
【0075】
これら下方ベルト部材は、上記のように装着補助具の本体部の下方に設けた孔部に挿通して設けたが、下方ベルト部材の一方端部を直接本体部に縫着して設けることも当然可能である。
【0076】
このように、本発明に係る装着構造においては、その構成部材である装着補助具に設ける下方ベルト部材は、少なくとも1本設けてあればよく、勿論、この下方ベルト部材を2本或いはそれ以上設けることも容易に可能なことである。
【0077】
以上、本発明においては、自転車の前部又は後部チャイルドシートに被覆して使用できるチャイルドシートカバーを前記シートに装着する際の装着構造に係り、この装着構造の構成要素である装着補助具をシートの背面側に装着し、当該装着補助具の背面部に設けた係着部材を前記カバーの背面部内側に設けた係着部材と相互に係着してカバーをシートに装着でき、これにより当該カバーを適宜高さ位置に装着でき、カバー内部に着席する幼児の頭頂部に空間を設けてチャイルドシートカバーをシートに装着できることとなるのである。
【符号の説明】
【0078】
10 装着補助具
11 本体部
11j 上縁部
12 フック部材
12r、12s 構成片
14 下方ベルト部材
14t 先端部(他方端部)
15a、15b 連結具
17 孔部
18 長さ調節枠体
20 係着部材
30 チャイルドシートカバー
33 背面部
34 側面部
35 足乗せ部被覆部
36 収束紐
40 係着部材
B シートベルト
C クッション部材
F 足乗せ部
H 背面部
M 長さ調節具
N 荷台
Nf フレーム
S チャイルドシート
T 孔部
W 側面部
Z 座部
H ヘッドレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6