(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】風力推進補助ロータの通風放熱装置
(51)【国際特許分類】
B63H 9/02 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
B63H9/02
(21)【出願番号】P 2023530774
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2021080440
(87)【国際公開番号】W WO2022105077
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】202011310324.7
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523187284
【氏名又は名称】中船重工(上海)節能技術発展有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSIC SHANGHAI MARINE ENERGY SAVING TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 312, 313, No.189, Gaoxiong Road, Huangpu District Shanghai 200011 China
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】郭峰山
(72)【発明者】
【氏名】呉幼華
(72)【発明者】
【氏名】朱玉柱
(72)【発明者】
【氏名】黄振宇
(72)【発明者】
【氏名】呉賛
(72)【発明者】
【氏名】夏コウ超
(72)【発明者】
【氏名】陳少峰
(72)【発明者】
【氏名】趙ロ
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534942(JP,A)
【文献】特開平05-184097(JP,A)
【文献】特開2004-301094(JP,A)
【文献】実開昭58-063869(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111846175(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 9/02
F02D 1/06
F02D 3/00
F02D 9/00
H02K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体(2)と、
前記筒体(2)の頂部に設けられて前記頂部を覆い、前記筒体(2)の内腔に連通され
るホール(1)が開設された頂蓋(3)と、
前
記ホール(1)の上方に覆設され、外部大気に連通される放熱隙間を形成するように前記頂蓋(3)との間に間隔をあけて設けられる雨押さえ板(4)と、
前記雨押さえ板(4)の下表面に接続され、放熱隙間を形成するように前記雨押さえ板(4)との間に間隔をあけて設けられる補強アセンブリ(6)と、を備え
る風力推進補助ロータの通風放熱装置であって、
前記補強アセンブリ(6)は、
前記雨押さえ板(4)と前記頂蓋(3)との間に設けられるライニングプレート(61)と、
第1の端が前記雨押さえ板(4)の下表面に固定接続され、第2の端が前記ライニングプレート(61)の上表面に固定接続される補強リブ(62)と、を備え、
前記ライニングプレート(61)は、第2のプリセット挟角を呈して接続された第1のライニングプレート(611)及び第2のライニングプレート(612)を備え、
前記第1のライニングプレート(611)は、環形平板であり、且つ前記第2のライニングプレート(612)の内側に設けられ、
前記第2のライニングプレート(612)は、環形斜め板であり、前記第1のライニングプレート(611)から離れた一端が前記頂蓋(3)の方向に向かって下向きに傾斜する、
風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【請求項2】
前記雨押さえ板(4)と前記頂蓋(3)との間に取外可能に接続され、前記頂蓋(3)の円周方向に沿って間隔的に設けられる複数の支持柱(5)をさらに備える、
請求項1に記載の風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【請求項3】
前記複数の支持柱(5)は、前記雨押さえ板(4)と前記頂蓋(3)との間に均一に分布して設けられる、
請求項2に記載の風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【請求項4】
前記複数の支持柱(5)は、ボルトにより前記雨押さえ板(4)と前記頂蓋(3)との間に締付け接続される、
請求項2に記載の風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【請求項5】
前記雨押さえ板(4)は、
前
記ホール(1)の真上に位置する第1の雨押さえ板(41)と、
環形斜め板であり、第1の端と前記第1の雨押さえ板(41)とが第1のプリセット挟角を呈して接続され、第2の端が前記頂蓋(3)の方向に向かって下向きに傾斜する第2の雨押さえ板(42)と、備える、
請求項1に記載の風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【請求項6】
前記補強リブ(62)は、複数設けられており、前記複数の補強リブ(62)は、前記第1のライニングプレート(611)の円周方向に沿って均一に布置される、
請求項1に記載の風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【請求項7】
前記頂蓋(3)の
、ホール(1)に対応する内周には、環形を呈し、外部の雨水の前記筒体(2)の内部への流入を防止するように構成される雨除けボス(7)が設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の風力推進補助ロータの通風放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2020年11月20日で、出願番号が202011310324.7である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、風力推進補助ロータの放熱の技術分野に関し、例えば風力推進補助ロータの通風放熱装置に関する。
【背景技術】
【0003】
風力推進補助ロータは、船舶の航行に持続的な推進力を提供するために、通常、サイズが大きく且つ高い回転速度を保持して作動し続ける必要がある。外筒と内塔との間は一般的に、軸受により接続され、摩擦し続けると、大量の熱が発生してしまう。同時に、風力推進補助ロータは、通常、塔体の内部に位置するモータを採用して駆動され、安定を保持するために、モータは、一般的に高い位置に置かれ、全体の空間が閉鎖的であって限られているため、塔体の内部には常に多くの熱量が集まってしまう。一方で、高温は、モータの作動の安定性に深刻な影響を与え、さらにロータの持続的な作動に影響を与える。関連技術におけるロータの放熱装置は、通常、通風孔が開けられなかったり、通風放熱作業を有効に行うことができなかったり、放熱方案が複雑すぎて製作コストが高くなったりしている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、構造が簡単で、製作コストが低く、よい通風放熱効果を有し且つ雨や雪の進入を防止可能である風力推進補助ロータの通風放熱装置を提供する。
【0005】
本願は、
筒体と、
前記筒体の頂部に設けられて前記頂部を覆い、前記筒体の内腔に連通されるマンホールが開設された頂蓋と、
前記マンホールの上方に覆設され、外部大気に連通される放熱隙間を形成するように前記頂蓋との間に間隔をあけて設けられる雨押さえ板と、を備える風力推進補助ロータの通風放熱装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本願の実施例1に係る風力推進補助ロータの通風放熱装置の総組立図である。
【
図2】本願の実施例1に係る風力推進補助ロータの通風放熱装置の部分構造の構造模式図である。
【
図3】
図2における風力推進補助ロータの通風放熱装置の部分拡大図である。
【
図4】本願の実施例1に係る筒体の内部の熱気体の流通の模式図である。
【
図5】本願の実施例2に係る風力推進補助ロータの通風放熱装置の部分構造の構造模式図である。
【
図6】
図5における風力推進補助ロータの通風放熱装置の部分拡大図である。
【
図7】本願の実施例2に係る補強アセンブリの構造模式図である。
【符号の説明】
【0007】
1・・・マンホール、2・・・筒体、3・・・頂蓋、
4・・・雨押さえ板、41・・・第1の雨押さえ板、42・・・第2の雨押さえ板、
5・・・支持柱、
6・・・補強アセンブリ、61・・・ライニングプレート、611・・・第1のライニングプレート、612・・・第2のライニングプレート、62・・・補強リブ、
7・・・雨除けボス、8・・・排風ファン。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願の説明において、別途明確な規定及び限定がない限り、用語「繋がる」、「接続」、「固定」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよし、取外可能な接続であってもよいし、もしくは一体になってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接繋がってもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、上記用語の本願における具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解できる。
【0009】
本願において、別途明確な規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触することを含んでもよいし、第1の特徴と第2の特徴が直接接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示す。
【0010】
本実施例の説明において、用語「上」、「下」、「左」、「右」などの方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、説明を容易にし、説明を簡略化するためのものにすぎず、かかる装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成されて操作されなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本願を制限するものとしては理解できない。また、用語「第1の」「第2の」は、説明で区分するために使用されるものにすぎず、特別な意味を含まない。
【0011】
実施例1
図1に示すように、本実施例は、風力推進補助ロータの通風放熱装置を提供し、該風力推進補助ロータの通風放熱装置は、筒体2、頂蓋3及び雨押さえ板4を備える。
図2及び
図3に示すように、頂蓋3は、筒体2の頂部に覆設され、頂蓋3にはマンホール1が開設されており、マンホール1は、筒体2の内腔に連通される。雨押さえ板4は、マンホール1の上方に覆設され、外部大気に連通される放熱隙間を形成するように頂蓋3との間に間隔をあけて設けられる。
図4に示すように、本実施例の風力推進補助ロータの通風放熱装置により、筒体2の内部の熱量は、排風ファン8の作用で雨押さえ板4と頂蓋3との間の放熱隙間を経由して外部大気に発散され、雨や雪の天候時に、雨押さえ板4は、筒体2内のモータ又は他の部材が雨や雪の影響を受けて損壊することを避けるために雨や雪の筒体2の内部への進入を遮ることができる。
【0012】
一実施例において、複数の支持柱5を採用して雨押さえ板4をマンホール1の上方に支持し、支持柱5は、雨押さえ板4と頂蓋3との間に取外可能に接続される。例示的に、複数の支持柱5は、頂蓋3の円周方向に沿って間隔的に設けられる。該構造において、複数の支持柱5は、放熱隙間を複数のサブ隙間に区画し、筒体2の内部の熱量は、隣り合って設けられた2つの支持柱5の間のサブ隙間を経由して外部大気に発散される。好ましくは、複数の支持柱5は雨押さえ板4と頂蓋3との間に均一に分布して設けられ、このように設けられると、一方で、雨押さえ板4と頂蓋3との接続の強固性を高めることができ、雨押さえ板4が強固で水平にマンホール1の上方に設けられることを可能にし、他方で、複数の支持柱5が均一に分布して設けられると、複数のサブ隙間は、大きさが同じであるため、放熱効果がより均一になる。本実施例において、支持柱5がボルトにより雨押さえ板4と頂蓋3との間に締付け接続されると、一方で、筒体2の内部の部材が損壊した時に、整備員が素早く雨押さえ板4を取り外し、マンホール1を経て筒体2の内部に進入して整備を行うことができやすくなり、他方で、雨押さえ板4が侵食又は損壊されれば、整備員が適時雨押さえ板4を交換しやすくなる。好ましくは、支持柱5が雨押さえ板4を安定して支持可能であることを保証し、雨押さえ板4と頂蓋3との間の接続の安定性を高めるために、本実施例において、支持柱5の数は16個であり、他の実施例において、支持柱5の数は実際の状況に応じて設計されてもよい。
【0013】
一実施例において、雨押さえ板4は、第1の雨押さえ板41及び第2の雨押さえ板42を備える。第1の雨押さえ板41は円形板であり、且つマンホール1の真上に位置する。雨を遮る面積を増大させるために、第2の雨押さえ板42は、環形斜め板として設けられ、第2の雨押さえ板42の第1の端と第1の雨押さえ板41とが第1のプリセット挟角を呈して接続され、第2の雨押さえ板42の第2の端が頂蓋3の方向に向かって下向きに傾斜する。該構造において、筒体2内の熱量が適時外部大気に発散できないことを避けるために、第2の雨押さえ板42と頂蓋3との間には一定の放熱隙間が依然として残っている。雨押さえ板4の耐風強度を増加するために、好ましくは、本実施例において、第1の雨押さえ板41と第2の雨押さえ板42とは一体成形される。
【0014】
頂蓋3に落ち込んだ雨水がマンホール1を経て筒体2の内部に流入することを防止するために、頂蓋3の、マンホール1に対応する内周には雨除けボス7が設けられており、好ましくは、雨除けボス7は環形である。
【0015】
本実施例における風力推進補助ロータの通風放熱装置の使用寿命を延長するために、頂蓋3及び雨押さえ板4の表面にはいずれも日射除け、防水層が塗布されている。
【0016】
一実施例において、雨押さえ板4と頂蓋3との間には、虫阻隔ネットが設けられており、昆虫などの異物が筒体2の内部に落ち込むことが防止される。
【0017】
本実施例に係る風力推進補助ロータの通風放熱装置は、頂蓋3のマンホール1に雨押さえ板4が覆設され、且つ雨押さえ板4が、外部大気に連通される放熱隙間を形成するように頂蓋3との間に間隔をあけて設けられ、これにより、筒体2内の熱量が放熱隙間を経由して外部大気に発散可能であり、同時に雨や雪などの筒体2の内部への進入が防止される。該風力推進補助ロータの通風放熱装置は構造が簡単であり、放熱通風効果がよく且つ製作コストが低く、実際における応用に適する。
【0018】
実施例2
本実施例は、風力推進補助ロータの通風放熱装置を提出し、
図5及び
図6に示すように、該風力推進補助ロータの通風放熱装置と、実施例1における風力推進補助ロータの通風放熱装置との区別は、本実施例における風力推進補助ロータの通風放熱装置が補強アセンブリ6を有することだけにある。
【0019】
雨押さえ板4の構造強度をさらに高めて、悪天候に対処するために、本実施例における風力推進補助ロータの通風放熱装置は、補強アセンブリ6をさらに備えてもよい。
図5及び
図6に示すように、補強アセンブリ6は、雨押さえ板4の下表面に設けられ、且つ雨押さえ板4と頂蓋3との間に位置する。
図7に示すように、補強アセンブリ6は、ライニングプレート61及び補強リブ62を備え、ライニングプレート61は、雨押さえ板4と頂蓋3との間に設けられて、雨押さえ板4自体の構造強度を増強すると同時に、雨や雪の筒体2の内部への進入を遮るように雨押さえ板4を補助する。補強リブ62は、第1の端が雨押さえ板4の下表面に固定接続され、第2の端がライニングプレート61の上表面に固定接続され、これにより、雨押さえ板4とライニングプレート61との間の接続強度が補強される。
【0020】
好ましくは、補強リブ62は、溶接の方式により雨押さえ板4及びライニングプレート61に接続される。好ましくは、雨押さえ板4の構造強度を高め、且つ筒体2内の熱量がスムーズに外部大気に発散可能であることを保証するために、補強リブ62の数と支持柱5の数とは一致し、且つ補強リブ62と支持柱5とは交互に設けられる。
【0021】
一実施例において、
図7に示すように、ライニングプレート61は、第2のプリセット挟角を呈して接続された第1のライニングプレート611及び第2のライニングプレート612を備える。好ましくは、第1のライニングプレート611は、環形平板であり、且つ第2のライニングプレート612の内側に設けられる。第2のライニングプレート612は、環形斜め板であり、第2のライニングプレート612の、第1のライニングプレート611から離れた一端が頂蓋3の方向に向かって下向きに傾斜する。本実施例において、第1のプリセット挟角と第2のプリセット挟角との大きさは等しく、これにより、ライニングプレート61の、雨押さえ板4を補助して雨を除ける効果がよくなると同時に、筒体2の内部の熱量がよりスムーズに外部大気に流通し、放熱効率が高められる。
【0022】
補強リブ62の接続箇所の応力が集中して雨押さえ板4又はライニングプレート61を損壊することを防止するために、補強リブ62は、複数設けられており、且つ複数の補強リブ62は、第1のライニングプレート611の円周方向に沿って均一に布置され、接続力の均一性が高められ、同時に筒体2の内部の熱量が支持柱5と補強リブ62との間の放熱隙間を経由して適時に外部大気に発散されることにも有利である。
【0023】
本実施例における風力推進補助ロータの通風放熱装置の耐風強度を増加するために、好ましくは、本実施例における第1のライニングプレート611と第2のライニングプレート612とは一体成形される。
【0024】
本実施例に係る風力推進補助ロータの通風放熱装置は、頂蓋3のマンホール1に雨押さえ板4が覆設され、且つ雨押さえ板4が、外部大気に連通される放熱隙間を形成するように頂蓋3との間に間隔をあけて設けられ、これにより、筒体2内の熱量が放熱隙間を経由して外部大気に発散可能であり、同時に雨や雪などの筒体2の内部への進入が防止される。補強アセンブリ6の増設により、該通風放熱装置自体の構造強度を増強すると同時に、さらに雨や雪をよける効果を増強可能である。該風力推進補助ロータの通風放熱装置は構造が簡単であり、放熱通風効果がよく且つ製作コストが低く、実際における応用に適する。