(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】液位検出システム
(51)【国際特許分類】
G01F 23/14 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
G01F23/14
(21)【出願番号】P 2024003114
(22)【出願日】2024-01-12
【審査請求日】2024-01-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】川島 一徳
(72)【発明者】
【氏名】川越 大輔
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-511554(JP,A)
【文献】特開昭61-56915(JP,A)
【文献】特開2007-78413(JP,A)
【文献】実開平1-180721(JP,U)
【文献】特開昭63-173923(JP,A)
【文献】特開2004-116602(JP,A)
【文献】特開2004-212268(JP,A)
【文献】実開昭63-163422(JP,U)
【文献】特開平6-273426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00、23/14-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムを用いた液位検出方法であって、
前記液位検出システムは、複数個の通気管と、気体供給手段と、複数個の圧力測定手段と、複数個の電磁弁とを備え、
前記複数個の通気管は、それぞれ一方の端部が容器内の液体中に配置可能であり、
前記気体供給手段は、前記複数個の通気管のそれぞれの他方の端部から気体を供給可能であり、
前記複数個の圧力測定手段は、それぞれ前記複数個の通気管のそれぞれの一方の端部と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管内の圧力を測定可能であり、及び
前記複数個の電磁弁は、それぞれ前記複数個の通気管のそれぞれの前記圧力測定手段を配置している部分と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能である、前記液位検出システムを用いて、
前記複数個の電磁弁を同時に開状態にして、前記気体供給手段から前記複数個の通気管内に気体を供給して液抜きをすること、ただし、前記複数個の容器内の液体の液位が相違している場合、より低い液位の容器に配置した通気管に配置した電磁弁の開状態を小さくして絞ること、及び
前記複数個の電磁弁を同時に閉状態にして、前記複数個の通気管内の圧力を圧力測定手段により測定し、測定した圧力を液位へ換算すること、
を含む前記液位検出方法。
【請求項2】
複数個の容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムを用いた液位検出方法であって、
前記液位検出システムは、通気管と、気体供給手段と、圧力測定手段と、複数個の電磁弁と、弁とを備え、
前記通気管は、一方の端部側が分岐する分岐部を有し、かつ分岐したそれぞれの一方の端部が容器内の液体中に配置可能であり、
前記気体供給手段は、前記通気管の他方の端部から気体を供給可能であり、
前記圧力測定手段は、前記通気管の分岐部と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管内の圧力を測定可能であり、
前記複数個の電磁弁は、それぞれ前記通気管の分岐部と分岐したそれぞれの一方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能であり、及び
前記弁は、前記通気管の前記圧力測定手段を配置している部分と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能である、前記液位検出システムを用いて、
前記複数個の電磁弁及び前記弁を同時に開状態にして、前記気体供給手段から前記通気管内に気体を供給して液抜きをすること、ただし、前記複数個の容器内の液体の液位が相違している場合、より低い液位の容器に配置した通気管に配置した電磁弁の開状態を小さくして絞ること、
前記弁を閉状態にすること、及び
前記複数個の電磁弁をいずれか1個の電磁弁を除いて閉状態にして、前記通気管内の圧力を圧力測定手段により測定し、測定した圧力を液位へ換算すること、
を含む前記液位検出方法。
【請求項3】
前記弁は、電磁弁である、請求項2に記載の液位検出
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自立循環型の浄水装置では、貯水タンクから水が溢れ出すのを防ぐために水位センサが設置される。自立循環型の浄水装置に設置される水位センサとして、例えば、特許文献1には、2種の電極と制御部とを備える水位センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の水位センサによれば、自立循環型の浄水装置において貯水タンク内の液位を検出できる。しかし、特許文献1に記載の水位センサでは、2種の電極が貯水タンク内の上壁面から吊り下げられるように取り付けられることから、検出できる液位が2種の電極の高さに制限されるという問題がある。また、特許文献1に記載の水位センサは、貯水タンクごとに用意しなければならず、1個の水位センサを複数個の貯水タンクに用いることができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、特許文献1に記載の水位センサと比べて、貯水タンクといった容器内の液体の液位をより広範囲で検出することが可能であり、かつ複数個の容器に適用可能である、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムを提供することを、本発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、本発明の課題を解決するものとして、通気管、気体供給手段、圧力測定手段及び電磁弁を基本要素とする液位検出システムを創作することに成功した。本発明はこのような本発明者らによって初めて為された成功例に基づいて完成するに至った発明である。
【0007】
すなわち、本発明の一側面によれば、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムであって、
前記液位検出システムは、通気管と、気体供給手段と、圧力測定手段と、電磁弁とを備え、
前記通気管は、一方の端部が容器内の液体中に配置可能であり、
前記気体供給手段は、前記通気管の他方の端部から気体を供給可能であり、
前記圧力測定手段は、前記通気管の一方の端部と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管内の圧力を測定可能であり、及び
前記電磁弁は、前記通気管の前記圧力測定手段を配置している部分と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能である、前記液位検出システムが提供される。
【0008】
本発明の別の一側面によれば、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムであって、
前記液位検出システムは、複数個の通気管と、気体供給手段と、複数個の圧力測定手段と、複数個の電磁弁とを備え、
前記複数個の通気管は、それぞれ一方の端部が容器内の液体中に配置可能であり、
前記気体供給手段は、前記複数個の通気管のそれぞれの他方の端部から気体を供給可能であり、
前記複数個の圧力測定手段は、それぞれ前記複数個の通気管のそれぞれの一方の端部と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管内の圧力を測定可能であり、及び
前記複数個の電磁弁は、それぞれ前記複数個の通気管のそれぞれの前記圧力測定手段を配置している部分と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能である、前記液位検出システムが提供される。
【0009】
本発明の別の一側面によれば、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムであって、
前記液位検出システムは、通気管と、気体供給手段と、圧力測定手段と、複数個の電磁弁と、弁とを備え、
前記通気管は、一方の端部側が分岐する分岐部を有し、かつ分岐したそれぞれの一方の端部が容器内の液体中に配置可能であり、
前記気体供給手段は、前記通気管の他方の端部から気体を供給可能であり、
前記圧力測定手段は、前記通気管の分岐部と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管内の圧力を測定可能であり、
前記複数個の電磁弁は、それぞれ前記通気管の分岐部と分岐したそれぞれの一方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能であり、及び
前記弁は、前記通気管の前記圧力測定手段を配置している部分と他方の端部との間に配置し、かつ前記通気管を開閉可能である、前記液位検出システムが提供される。
【0010】
前記弁は、好ましくは、電磁弁である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通気管内の圧力を測定することにより、容器内の液体の液位をより広範囲に検出できる。さらに、本発明によれば、通気管内の圧力を測定するに際し、気体供給手段により通気管内に保持された液体を他方の端部から抜いた(液抜き)後に、通気管内の圧力を測定することにより、容器内の液体の液位をより正確に検出できる。また、複数個の通気管又は一方の端部が分岐した通気管を用い、複数の電磁弁により適宜切り替えることにより、複数の圧力測定手段を用いることなく、複数個のそれぞれの容器内の液体の液位を広範囲に、かつ正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1態様の液位検出システムの一実施形態に係る液位検出システム1を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、液位検出システム1を容器内に液体中に配置した態様を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、第1態様の液位検出システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2態様の液位検出システムの一実施形態に係る液位検出システム2を示す概略構成図である。
【
図5】
図5は、第3態様の液位検出システムの一実施形態に係る液位検出システム3を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各態様の詳細について説明するが、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0014】
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、水処理分野などの当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。また、本明細書においてなされている推測及び理論は、本発明者らのこれまでの知見及び経験によってなされたものであることから、本発明はこのような推測及び理論のみによって拘泥されるものではない。
【0015】
「含む」(comprise、contain、include)は、含まれるものとして明示されている要素以外の要素を付加できることを意味する(「少なくとも含む」と同義である)が、「からなる」(consist of)及び「から本質的になる」(essentially consist of)を包含する。すなわち、「含む」は、明示されている要素及び任意の1種若しくは2種以上の要素を含み、明示されている要素からなり、又は明示されている要素から本質的になることを意味し得る。「備える」(have)は「含む」と同義である。要素としては、部分、手段、成分、工程、条件、パラメーターなどの制限事項などが挙げられる。
「及び/又は」は、列記した複数の関連項目のいずれか1つ、又は2つ以上の任意の組み合わせ若しくは全ての組み合わせを意味する。
数値範囲の「~」は、その前後の数値を含む範囲であり、それらの含まれる限界値の一方を除いた範囲もまた含まれる。例えば、「0%~100%」は、0%以上、100%以下、及び0%以上100%以下のいずれであってもよい。
「複数個」は、2個以上であればよく、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個、又は15個若しくは20個である。
【0016】
本発明の各態様を図面に基づいて説明する。各図面において、本発明と関連性の低いものは図示を省略している。なお、各図面において適宜示される矢印UP(→UP)で示す方向を鉛直方向の上方側とする。
【0017】
[液位検出システムの概要]
液位検出システムは、通気管と、気体供給手段と、圧力測定手段と、電磁弁とを基本要素として備える。
【0018】
液圧を利用して液位を測定する場合において、正確な液位を測定するには、通気管内に入り込んだ液体を抜くことが求められる。そこで、通気管内の上流から気体供給手段により供給される気体に係る気体圧により、通気管内の液抜きをする。液抜き後は、電磁弁による切替により、気体供給手段から供給される気体の供給路を遮断して、通気管内の液圧を圧力測定手段により測定する。かかる液位検出システムでは、電磁弁を利用することにより、一連の操作及び構成が簡潔になり、設計的自由度が増す。
【0019】
例えば、電磁弁の代わりに逆止弁を利用することが考えられる。しかし、容器が複数個ある場合において、各容器の液位を測定するとき、逆止弁では、気体供給手段から供給される気体は液圧が低い低液位の容器に繋がる通気管へ逃げやすくなり、全ての容器の液抜きが十分にできないという問題が生じ得る。電磁弁では絞りを制御することが可能であることから、逆止弁に係るこのような問題を解消できる。
【0020】
容器及び容器に入れられた液体が複数個ある場合においても、対応する複数個の電磁弁を利用することで、気体供給手段及び圧力測定手段を用いて複数個の容器内のそれぞれ液体の液位を測定することが可能となる。その結果、気体供給手段及び圧力測定手段に係る装置数を削減でき、経済的に有利に液位検出システムを構成できる。
【0021】
容器は、液体を入れる容器であればよく、特に限定されないが、例えば、容器内の液体の液位を検出する際に、容器内の圧力が安定的に測定できる程度に通気管を固定できる構造を有するものが好ましい。
【0022】
液体は、例えば、生活排水、工場排水、汚水、雨水、上水などの水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
液位は、容器の内底面から容器内の液体の液面までの高さをいう。
【0024】
液体が水である場合は、容器及び液位をそれぞれ水槽及び水位とよんでもよい。
【0025】
液位検出システムは、容器内の液体の液位を検出するために使用される。液位検出システムは液位センサともよびうる。液位検出システムを利用することにより、容器内の液体の液位を定量的に数値、一定の範囲などで知ることができ、又は定性的に相対的な尺度(高い、低いなど)で知ることができる。液位検出システムは、検出した液位により、所定の液位の範囲内にないことを報せるように警告を発する警告手段を備えてもよい。
【0026】
[第1態様の液位検出システム]
第1態様の液位検出システムは、通気管と、気体供給手段と、圧力測定手段と、電磁弁とをそれぞれ1個ずつ含む。第1態様の液位検出システムは、容器内の液体中に通気管の一方の端部を含む部分を入れて、次いで通気管の他方の端部から気体供給手段により供給される気体を入れて通気管内の液体を抜き(液抜き)、次いで通気管の他方の端部側を電磁弁により閉め、次いで通気管の一方の端部と電磁弁との間の通気管内の圧力を圧力測定手段により測定し、圧力を液位に換算することにより、容器内の液体の液位を検出する。
【0027】
第1態様の液位検出システムについて、
図1を例証して説明する。
液位検出システム1は、通気管10と、気体供給手段11と、圧力測定手段12と、電磁弁13とを構成要素として備える。液位検出システム1は、電磁弁13の開閉を制御する制御手段14をさらに備えてもよい。電磁弁13と制御手段14とは、有線で繋がっていてもよいし、無線で繋がっていてもよい。
【0028】
通気管10は、気体、液体などの流体が移動できるように中空構造を呈している。通気管10は、容器に配置して、液位に応じて管内の圧力が変動するものであればよく、その他の特性は特に限定されない。通気管10のその他の特性について、以下に非限定的な特性例を説明する。
【0029】
通気管10の素材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン、シリコーン、ゴムなどの可塑性素材、ステンレス、チタン、アルミニウムなどの金属素材、セラミックなどの無機素材などが挙げられる。
【0030】
通気管10の径は、例えば、流体の流れ及び圧力損失の観点から、1mm~50mmであることが好ましい。
【0031】
通気管10は、一方の端部101を含む部分を容器内の液体に入れるように配置し、かつ他方の端部102を気体供給手段11から通気管10内へ気体が供給可能であるように配置する。通気管10の一方の端部101は、通気管10の本体と同様に中空構造を呈していればよく、機械的な水位センサなどを備えない。すなわち、通気管10がシリコンチューブである場合は、一方の端部101はシリコンチューブの先端部である。
【0032】
気体供給手段11は、通気管10内の液体を一方の端部101から吐出するように機能するものであればよい。気体供給手段11から供給される気体は、通気管10内の液体を押し出す程度に、水などの液体への溶解度が小さいものであればよく、特に限定されないが、例えば、容器内の液体への影響が小さいことから、空気、窒素、二酸炭素などが好ましく、空気がより好ましい。気体供給手段11は、例えば、ブロワ、ガスボンベなどであり得る。
【0033】
通気管10の一方の端部101と他方の端部102との間に、通気管10内の圧力を測定可能であるように圧力測定手段12を配置する。圧力測定手段は圧力センサとよぶこともできる。通気管10において、圧力測定手段12が配置される部分を圧力測定部103とよぶ。圧力測定手段12は、圧力測定部103において、通気管10の圧力を検出して、圧力値として出力する。容器内の液体の液位は、圧力測定手段12によって出力された圧力値を換算して求める。圧力測定手段12は、測定した圧力を液位に換算する機能を備えていてもよく、さらに換算した液位を出力するものであってもよい。なお、容器の容量と寸法から、水圧に基づく水位を計算できる。
【0034】
通気管10の圧力測定部103と他方の端部102との間に、電磁弁13が配置される。電磁弁13は、電気的に通気管10を開閉し得る構造を有する。通気管10において、電磁弁13が配置される部分を開閉部104とよぶ。電磁弁13が開状態のときは、通気管10の開閉部104において流体は移動する。電磁弁13が閉状態のときは、通気管10の開閉部104において流体の移動は妨げられる。電磁弁13の開閉の制御は特に限定されないが、例えば、制御手段14により制御してもよい。制御手段14を用いることにより、開閉の程度(例えば、80%開口など)を制御することができる。電磁弁13は、通気管10内の圧力変動を抑えるために、圧力測定部103の近くに配置することが好ましい。なお、気体供給手段11自体に、気体の流出入を遮断し、又は切り替える機能がある場合には、通気管10の圧力測定部103と他方の端部102との間に配置される電磁弁13は、省略できる。
【0035】
液位検出システム1を用いた容器内の液体の液位を検出する態様を
図2に例証する。
図2では、通気管10の一方の端部101を、液体16を入れた容器15の底面近くに配置している。液位検出システム1を用いて、液体16の液位D1を検出する。
【0036】
第1態様の液位検出システムを用いた容器内の液体の液位を検出する方法を、フローチャートとして
図3に例証する。以下に、液位検出システム1を用いた容器内の液体の液位を検出する方法を、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0037】
電磁弁13が開状態ではない場合は、制御手段14を操作するなどして、開状態にする(S101)。
【0038】
次いで、気体供給手段11から通気管10の他方の端部102を通じて通気管10内に気体を供給して、通気管10内の液体を通気管10の一方の端部101から吐出して、液抜きをする(S102)。
【0039】
次いで、制御手段14を操作することなどにより電磁弁13を閉状態にする(S103)。
【0040】
次いで、圧力測定手段12により通気管10内の圧力を測定する(S104)。
【0041】
次いで、測定した圧力を液位D1に換算する(S105)。圧力測定手段12が液位換算機能を有する場合は、圧力測定手段12が測定した圧力を液位D1に換算する。一方、圧力測定手段12が液位換算機能を有しない場合は、圧力測定手段12により出力された圧力を、換算式を用いて液位に換算する。このようにして、容器15内の液体16の液位D1を検出する(S106)。
【0042】
[第2態様の液位検出システム]
第2態様の液位検出システムは、複数個の通気管と、1個の気体供給手段と、複数個の圧力測定手段と、複数個の電磁弁とを含む。第2態様の液位検出システムは、複数個の容器内の液体の液位を検出する。通気管の数は、液位を検出しようとする液体を入れる容器の数に対応すればよく、特に限定されない。圧力測定手段の数及び電磁弁の数は、通気管の数に対応する。
【0043】
第2態様の液位検出システムについて、液位を検出しようとする液体を入れる容器の数が2個であり、それに応じて通気管、圧力測定手段及び電磁弁の数がそれぞれ2個である場合の液位検出システム2に係る
図4を例証して説明する。なお、
図4では、便宜的に2個の容器である容器25a及び容器25b、並びにそれらに対応する液体26a及び液体26bが記載してある。
【0044】
液位検出システム2は、2個の通気管20a及び20bと、気体供給手段21と、2個の圧力測定手段22a及び22bと、2個の電磁弁23a及び23bとを構成要素として備える。液位検出システム2は、電磁弁23a及び23bの開閉を制御する制御手段24をさらに備えてもよい。電磁弁23a及び23bと制御手段24とは、それぞれ独立して、有線で繋がっていてもよいし、無線で繋がっていてもよい。また、制御手段は電磁弁の数に応じて複数個あってもよい。
【0045】
通気管20a及び20bは、それぞれの一方の端部201a及び201bを含む部分を容器25a及び25b内のそれぞれの液体26a及び26bに入れるように配置し、かつそれぞれの他方の端部202a及び202bを気体供給手段21から通気管内へ気体が供給可能であるように配置する。なお、他方の端部202a及び202bは、一つに合流した上で、気体供給手段21に配置してもよい。
【0046】
通気管20aの一方の端部201aと他方の端部202aとの間に、通気管20a内の圧力を測定可能であるように圧力測定手段22aを配置する。同様に、通気管20bの一方の端部201bと他方の端部202bとの間に、通気管20b内の圧力を測定可能であるように圧力測定手段22bを配置する。通気管20a及び20bにおいて、圧力測定手段22a及び22bが配置される部分をそれぞれ圧力測定部203a及び203bとよぶ。
【0047】
通気管20aの圧力測定部203aと他方の端部202aとの間に、電磁弁23aが配置される。同様に、通気管20bの圧力測定部203bと他方の端部202bとの間に、電磁弁23bが配置される。通気管20a及び20bにおいて、電磁弁23a及び23bが配置される部分をそれぞれ開閉部204a及び204bとよぶ。電磁弁23a及び23bの開閉の制御を制御手段24により制御してもよい。なお、気体供給手段21自体に、気体の流出入を遮断し、又は切り替える機能がある場合には、通気管20aの圧力測定部203aと他方の端部202aとの間に配置される電磁弁23aと、及び/又は通気管20bの圧力測定部203bと他方の端部202bとの間に配置される電磁弁23bとは、省略できる。
【0048】
液位検出システム2は、液位検出システム1と同様にして、容器25a及び容器25b内の液体26a及び液体26bの液位D2a及びD2bを検出する。
【0049】
第2態様の液位検出システムは、2個の通気管に2個の圧力測定手段が設けられていることにより、液位D2a及びD2bを同時的に検出できることを特徴とする。ただし、第2態様の液位検出システムは、液位D2a及びD2bを相互に異なるタイミングで検出してもよい。
【0050】
液位D2a及びD2bを同時的に検出する場合は、電磁弁23a及び23bを同時に開状態にして、気体供給手段21から通気管20a及び20b内に気体を供給して液抜きをし、次いで電磁弁23a及び23bを同時に閉状態にして、通気管20a及び20b内の圧力を圧力測定手段22a及び22bにより測定する。
【0051】
電磁弁23a及び23bを同時に開状態にする際に、気体供給手段21から供給される気体は液圧が低い低液位の容器に繋がる通気管20a又は20bに逃げやすくなり、いずれかの通気管の液抜きが不十分になる可能性がある。そこで、液位D2a及びD2bのおおよその差異がわかる場合は、より低い液位の電磁弁の開状態を小さくして絞り、通気管20a及び20bの両方の液抜きが十分にできるようにすることが好ましい。
【0052】
液位D2a及びD2bを異時的に検出する場合は、例えば、電磁弁23bを閉状態に維持して、電磁弁23aを開状態にし、液抜き、圧力測定及び液位換算して、液位D2aを検出する。次いで、電磁弁23aを閉状態に維持して、電磁弁23bを開状態にし、液抜き、圧力測定及び液位換算して、液位D2bを検出する。なお、液抜き後に電磁弁23aを閉状態にすれば、液位D2aを検出する前に、電磁弁23bを開状態にして、通気管20bの液抜きをしてもよい。
【0053】
[第3態様の液位検出システム]
第3態様の液位検出システムは、一方の端部側が分岐する分岐部を有する1個の通気管と、1個の気体供給手段と、1個の圧力測定手段と、複数個の電磁弁と、1個の弁とを含む。第3態様の液位検出システムは、複数個の容器内の液体の液位を検出する。通気管の分岐の数は、液位を検出しようとする液体を入れる容器の数に対応すればよく、特に限定されない。電磁弁の数は、通気管の分岐の数に対応する。
【0054】
第3態様の液位検出システムは、通気管が一方の端部側で分岐すること、及び通気管の分岐の数に応じて設けられる複数個の電磁弁の他に通気管の他方の端部側に弁を設けることに特徴がある。
【0055】
通気管は、径、長さなどが異なるように分岐していても、等しくなるように分岐していてもいずれでもよいが、径及び/又は長さが等しくなるように分岐していることが好ましく、径及び長さが等しくなるように分岐していることがより好ましい。
【0056】
弁は、通気管の他方の端部側に設けられ、通気管内の流体の流れを制御できるように通気管を開閉状態にできるものであれば、電磁弁、逆止弁及びその他の構造の弁であることができ、特に限定されない。弁は、別の電磁弁とともに制御できることから、電磁弁であることが好ましい。
【0057】
第3態様の液位検出システムについて、液位を検出しようとする液体を入れる容器の数が2個であり、それに応じて通気管の分岐の数が2個であり、かつ電磁弁の数が2個である場合の液位検出システム3に係る
図5を例証して説明する。なお、
図5では、便宜的に2個の容器である容器35a及び容器35b、並びにそれらに対応する液体36a及び液体36bが記載してある。
【0058】
液位検出システム3は、一方の端部側が分岐した通気管30と、気体供給手段31と、圧力測定手段32と、2個の電磁弁33a及び33bと、弁37とを構成要素として備える。液位検出システム3は、電磁弁33a及び33bの開閉、及び場合によっては弁37の開閉を制御する制御手段34をさらに備えてもよい。電磁弁33a及び33b並びに弁37は、それぞれ独立して、有線で繋がってもよいし、無線で繋がってもよい。また、制御手段は電磁弁及び弁の数に応じて複数個あってもよい。
【0059】
通気管30は、一方の端部側が分岐する分岐部305を有し、かつ分岐したそれぞれの一方の端部301a及び301bを含む部分を容器35a及び35b内のそれぞれの液体36a及び36bに入れるように配置する。通気管30の他方の端部302は、気体供給手段31から通気管内へ気体が供給可能であるように配置する。
【0060】
通気管30の分岐部305と他方の端部302との間に、通気管30内の圧力を測定可能であるように圧力測定手段32を配置する。通気管30において、圧力測定手段32が配置される部分を圧力測定部303とよぶ。
【0061】
通気管30の分岐部305と分岐した一方の端部301aとの間に電磁弁33aが配置される。同様に、通気管30の分岐部305と分岐した一方の端部301bとの間に、電磁弁33bが配置される。通気管30において、電磁弁33a及び33b並びに弁37が配置される部分をそれぞれ開閉部304a及び開閉部304b並びに開閉部307とよぶ。電磁弁33a及び33bの開閉の制御を制御手段34により制御してもよい。
【0062】
通気管30の他方の端部302の側に弁37が配置される。弁37は、通気管30の圧力測定部303と気体供給手段31との間に配置する。弁37は、開閉構造を有し、通気管30を開閉可能である。弁37が電磁弁である場合は、その開閉の制御を制御手段34により制御してもよい。なお、気体供給手段31自体に、気体の流出入を遮断し、又は切り替える機能がある場合には、通気管30の圧力測定部303と気体供給手段31との間に配置する弁37は、省略できる。
【0063】
液位検出システム3は、液位検出システム1及び液位検出システム2と同様にして、容器35a及び容器35b内の液体36a及び液体36bの液位D3a及びD3bを検出する。ただし、液位検出システム3は、液位検出システム2と違って、液位D3a及びD3bを同時的に検出することができない。
【0064】
液位検出システム3では、液抜きをする際には、電磁弁33a及び/又は電磁弁33bを開状態にする以前、以後又は同時に弁37を開状態にする。液抜き後は、弁37を閉状態にした後、電磁弁33a及び/又は電磁弁33bを閉状態にすることが好ましい。
【0065】
例えば、液位D3aを検出する場合は、弁37を開状態にした後、電磁弁33aを開状態にし、かつ電磁弁33bを閉状態にして気体供給手段31から通気管30内に気体を供給して、一方の端部301aから気体が吐出されるように液抜きをし、次いで弁37を閉状態にして、通気管30内の圧力を圧力測定手段32により測定する。液位D3bを検出する場合は、電磁弁33a及び電磁弁33bについてそれぞれ逆の操作をすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の一態様の液位検出システムは、構成が簡易でありながら、1個又は複数個の容器内の液体の液位を広い範囲で検出できることから、例えば、自立循環型の浄水装置における液位の検出に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1,2,3 液位検出システム
10,20a,20b,30 通気管
101,201a,201b,301a,301b 一方の端部
102,202a,202b,302 他方の端部
103,203a,203b,303 圧力測定部
104,204a,204b,304a,304b,307 開閉部
11,21,31 気体供給手段
12,22a,22b,32 圧力測定手段
13,23a,23b,33a,33b 電磁弁
14,24,34 制御手段
15,25a,25b,35a,35b 容器
16,26a,26b,36a,36b 液体
37 弁
D1,D2a,D2b,D3a,D3b 液位
【要約】
【課題】
本発明の目的は、従前技術と比べて、貯水タンクといった容器内の液体の液位をより広範囲に検出することが可能であり、かつ複数個の容器に適用可能である、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムを提供することにある。
【解決手段】
上記目的は、容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムであって、通気管と、気体供給手段と、圧力測定手段と、電磁弁とを備える、前記容器内の液体の液位を検出するための液位検出システムなどにより解決される。
【選択図】
図1