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  • 特許-操作装置、車載装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】操作装置、車載装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/06 20060101AFI20241011BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241011BHJP
   B60K 37/10 20240101ALI20241011BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20241011BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H01H13/06 B
B60R16/02 630A
B60R16/02 630Z
B60K37/10
H01H9/04 C
H01H13/14 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021052947
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150369
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中村 信也
(72)【発明者】
【氏名】上田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】荒木 之宏
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-192243(JP,A)
【文献】特開平09-204842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/06
B60R 16/02
B60K 35/50
H01H 9/04
H01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と、前記天面の外側から下側に延びる壁部とを有し、前記天面に対する押下げ操作によって上下方向に移動可能な操作部と、
前記操作部を下側から支持するとともに、底面に回路基板を有するホルダとを備え、
前記ホルダは、
前記回路基板の外側から上側に延びるとともに、前記操作部の前記壁部の外側に配置される外側壁部をさらに有し、
前記操作部は、
前記壁部から外側に延びるとともに、前記ホルダの前記外側壁部を上側から覆う庇をさらに有し、
前記外側壁部の上側端部は、内側から外側に向かって下がる勾配を有する操作装置。
【請求項2】
天面と、前記天面の外側から下側に延びる壁部とを有し、前記天面に対する押下げ操作によって上下方向に移動可能な操作部と、
前記操作部を下側から支持するとともに、底面に回路基板を有するホルダとを備え、
前記ホルダは、
前記回路基板の外側から上側に延びるとともに、前記操作部の前記壁部の外側に配置される外側壁部をさらに有し、
前記操作部は、
前記壁部から外側に延びるとともに、前記ホルダの前記外側壁部を上側から覆う庇をさらに有し、
前記ホルダは、前記操作部の前記壁部の内側に配置される内側壁部と、前記内側壁部と前記外側壁部とを前記回路基板の上側でつなぐ溝底部とをさらに有し、
前記溝底部は第1ドレン穴を有し、
前記回路基板は第2ドレン穴を有する操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の操作装置を備える車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、押下げ操作可能な操作装置、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノブ周辺からメータ内に水分などが浸入しても、回路基板に悪影響を及ぼすおそれの少ない操作装置が望まれる。例えば、操作軸には、保護カバーとケースとの間にフランジ部が設けられ、フランジ部によってケースの開口部への浸入が防がれる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-192243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フランジ部を設けても筐体のノブ用開口部からの浸入が発生すれば、回路基板に悪影響が及ぼされる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、筐体のノブ用開口部からの浸入が生じても回路基板への悪影響を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の操作装置は、天面と、天面の外側から下側に延びる壁部とを有し、天面に対する押下げ操作によって上下方向に移動可能な操作部と、操作部を下側から支持するとともに、底面に回路基板を有するホルダとを備える。ホルダは、回路基板の外側から上側に延びるとともに、操作部の壁部の外側に配置される外側壁部をさらに有する。操作部は、壁部から外側に延びるとともに、ホルダの外側壁部を上側から覆う庇をさらに有し、外側壁部の上側端部は、内側から外側に向かって下がる勾配を有する。
本開示の別の態様もまた操作装置である。この装置は、天面と、天面の外側から下側に延びる壁部とを有し、天面に対する押下げ操作によって上下方向に移動可能な操作部と、操作部を下側から支持するとともに、底面に回路基板を有するホルダとを備える。ホルダは、回路基板の外側から上側に延びるとともに、操作部の壁部の外側に配置される外側壁部をさらに有し、操作部は、壁部から外側に延びるとともに、ホルダの外側壁部を上側から覆う庇をさらに有し、ホルダは、操作部の壁部の内側に配置される内側壁部と、内側壁部と外側壁部とを回路基板の上側でつなぐ溝底部とをさらに有し、溝底部は第1ドレン穴を有し、回路基板は第2ドレン穴を有する
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、筐体のノブ用開口部からの浸入が生じても回路基板への悪影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る車両の車室内の構造を示す図である。
図2図1の表示装置の構造を示す斜視図である。
図3図1の表示装置の構造を示す正面図である。
図4図4(a)-(c)は、図3の操作装置の構造を示す図である。
図5図5(a)-(b)は、図3の操作装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。本実施例は、車両に搭載可能な電子機器における操作装置に関する。電子機器の一例は表示装置であり、表示装置は、車両のダッシュボード内に取り付けられ、走行速度を示すためのスピードメータの画像、1分あたりのエンジンの回転数を示すためのタコメータの画像(以下、「メータ画像」と総称されることもある)などを表示する。操作装置は、押釦式のスイッチである。このような押釦式のスイッチは、これまでステアリングに搭載されており、大きなサイズの押釦のノブを有する。押釦のノブのサイズが大きい場合、押釦のガタを抑制するためのガイドリブ、タクトスイッチをオン/オフさせるための押し子などの構造は、押釦のノブの裏側内部に全て含まれる。そのため、押釦のノブを固定するためのホルダの開口部がノブの裏側内部に収納され、外部からの防滴、防塵対策がなされている。ここで、ホルダの開口部は、回路基板につながる穴である。
【0010】
しかしながら、押釦のノブが小さい場合、ノブの裏側内部にガイドおよび押し子を全て含めることができないので、ホルダの開口部がノブの外に露出してしまう。その結果、外部からの水などがホルダの開口部から浸入して回路基板に悪影響が及ぼされる。このように、車載機器(メータ)に搭載される操作装置に対し、外部から回路基板への水浸入を抑制する構造が必要とされる。
【0011】
本実施例では、押釦のノブを備えるスイッチ構造において、ノブとホルダの互いの形状を工夫することによって、外部からの浸水を製品内部の回路基板に流さない構造を実現することを目的とする。本実施例に係る操作装置では、押釦のノブの外面に排水用の庇が備えられる。また、ホルダの外側に配置される壁部(以下、「外側壁部」という)の先端を外側の方が低い傾斜としているので、庇の先端から落下した水滴は外側へ排水される。さらに、庇を回り込んで内部へ浸入してきた水は、外側壁部と、ホルダ上側に設けられたノブの内側に配置される壁部(以下、「内側壁部」という)の間を流れ、ホルダと回路基板のドレンから排水される。以下の説明において、「平行」、「直交」は、完全な平行、直交だけではなく、誤差の範囲で平行、直交からずれている場合も含むものとする。また、「略」は、おおよその範囲で同一であるという意味である。
【0012】
図1は、車両1000の車室内の構造を示す。ここでは、運転席から前方を見た場合を示す。ダッシュボード500内には表示装置100が固定される。表示装置100には、メータ画像110と総称される第1メータ画像110a、第2メータ画像110bが表示される。第1メータ画像110aは例えばスピードメータの画像であり、第2メータ画像110bは例えばタコメータの画像である。ダッシュボード500の上側にはフロントガラス510が配置され、ダッシュボード500の手前側にはステアリングホイール520が配置される。そのため、運転者(図示せず)は、フロントガラス510を介して前方を見ながら、ステアリングホイール520を操作する際に、表示装置100に表示されたメータ画像110を視認可能である。
【0013】
図2は、表示装置100の構造を示す斜視図であり、図3は、表示装置100の構造を示す正面図である。前側筐体20は、例えば樹脂により形成され、前後方向に貫通した開口を有する。前側筐体20の開口部分には、表示器30が後側から配置される。また、前側筐体20と表示器30の後側には後側筐体50が配置される。前側筐体20と後側筐体50とが前後方向に接続されることによって、内部に表示器30が配置される。前側筐体20の右下部分には、操作装置300が配置される。操作装置300は、操作部310と総称される第1操作部310aと第2操作部310bを含む。第1操作部310aと第2操作部310bは並べられ、第1操作部310aが左側に配置され、第2操作部310bが右側に配置される。第1操作部310aと第2操作部310bは、前述の押釦のノブであり、押下げ可能である。
【0014】
図4(a)-(c)は、操作装置300の構造を示す。図4(a)は、図3の表示装置100から取り外した操作装置300の構造を示す。第1操作部310aと第2操作部310bは、ホルダ400の前側に配置され、ホルダ400に向かって押下げ可能である。操作装置300の構造をさらに詳細に説明するために、ここでは、図4(b)-(c)、図5(a)-(b)も使用する。図5(a)-(b)は、操作装置300の構造を示す断面図である。
【0015】
図4(b)-(c)、図5(a)-(b)に示されるようなz軸が規定される。z軸は、図3図4(a)の前後方向に沿って設定される。以下では、z軸の正方向を「上方」、「上側」、z軸の負方向を「下方」、「下側」ということもある。図4(a)は、第1操作部310aを取り外した操作装置300を上側から見た図であり、図4(b)は、操作装置300を下側から見た図である。図5(a)は、操作装置300のA-A’断面図であり、図5(b)は、操作装置300のB-B’断面図である。以下では、AおよびBの方向を「内側」、A’およびB’の方向を「外側」ということもある。
【0016】
第1操作部310aの上側には、天面320が配置される。天面320の外側端から下側には第1壁部322が延び、天面320の内側端から下側には第2壁部324が延びる。第1操作部310aの庇326は、第1壁部322から外側に延びる。天面320、第1壁部322、第2壁部324、庇326は、例えば樹脂により一体的に形成される。
【0017】
ホルダ400は、第1操作部310aと第2操作部310bを下側から支持する。ホルダ400の底面に回路基板410を有する。外側壁部420は、回路基板410の外側から上側に延びるとともに、操作部310の第1壁部322の外側に配置される。外側壁部420の上側は、庇326により覆われる。また、外側壁部420の上側端部は、内側から外側に向かって下がる勾配を有する。
【0018】
内側壁部422は、外側壁部420と、操作部310の第1壁部322の内側に配置され、上下方向に延びる。内側壁部422の下側端と外側壁部420の内側面とは溝底部424でつながれる。外側壁部420と内側壁部422と溝底部424とにより溝が形成される。溝底部424は、外側壁部420と内側壁部422とを回路基板410の上側でつなげるともいえる。また、溝底部424の一部には、溝底部424を上下方向で貫通する第1ドレン穴が設けられ、回路基板410の一部には、回路基板410を上下方向で貫通する第2ドレン穴が設けられる。
【0019】
壁部426は、回路基板410の内側から上側に延びるとともに、操作部310の第2壁部324の外側に配置される。そのため、壁部426と第2壁部324とが対向して配置され、内側壁部422と第1壁部322とが対向して配置される。
【0020】
ホルダ400には、ガイドリブ溝部430と総称される第1ガイドリブ溝部430a、第2ガイドリブ溝部430b、第3ガイドリブ溝部430cが設けられる。ガイドリブ溝部430に沿って、第1操作部310aに設けられたガイドリブ(図示せず)が移動する。このような構造により、天面320に対する押下げ操作によって第1操作部310aは、ガタを抑制しながら上下方向に移動可能である。さらに、第1壁部322の外側には押し子(図示せず)が配置され、押し子は、ホルダ400に設けられた押し子貫通孔432内に配置される。天面320に対する押下げ操作により、押し子は、回路基板410に設けられたタクトスイッチ(図示せず)をオンさせる。
【0021】
以下では、このような構造の操作装置300において、水が浸入したときの水の流れを説明する。第1壁部322の上側から下側に向かって流れる水は、庇326によって外側に向かいながら落下する。このような水は、外側壁部420の外側を落下するので、庇326と外側壁部420との間の開口から外側壁部420の内側に入りにくい。仮に当該開口から外側壁部420の内側に水が入ろうとしても、外側壁部420の上側端部が内側から外側に向かって下がる勾配を有するので、水は入りにくい。
【0022】
当該開口から外側壁部420の内側に水が入った場合であっても、水は、外側壁部420と内側壁部422と溝底部424とにより形成される溝を流れる。溝を流れる水は第1ドレン穴440から回路基板410に落下する。水が落下する位置には回路を配置しない。水は第2ドレン穴442から落下することによって排出される。第2操作部310bも第1操作部310aと同様の構造を有する。
【0023】
本実施例によれば、庇が第1壁部から外側に延びてホルダの外側壁部を上側から覆うので、開口からの浸入を抑制できる。また、開口からの浸入が抑制されるので、回路基板への悪影響を抑制できる。外側壁部の上側端部が内側から外側に向かって下がる勾配を有するので、開口からの浸入を抑制できる。
【0024】
また、内側壁部と外側壁部と溝底部とにより溝が形成されるので、開口からの浸入が生じても溝に水を流すことができる。また、開口からの浸入が生じても溝に水が流されるので、回路基板への悪影響を抑制できる。また、溝底部は第1ドレン穴を有し、回路基板は第2ドレン穴を有するので、開口からの浸入が生じても第1ドレン穴と第2ドレン穴から水を排出できる。また、開口からの浸入が生じても第1ドレン穴と第2ドレン穴から水が排出されるので、回路基板への悪影響を抑制できる。
【0025】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の操作装置は、天面と、天面の外側から下側に延びる壁部とを有し、天面に対する押下げ操作によって上下方向に移動可能な操作部と、操作部を下側から支持するとともに、底面に回路基板を有するホルダとを備える。ホルダは、回路基板の外側から上側に延びるとともに、操作部の壁部の外側に配置される外側壁部をさらに有する。操作部は、壁部から外側に延びるとともに、ホルダの外側壁部を上側から覆う庇をさらに有する。
【0026】
この態様によると、庇が壁部から外側に延びてホルダの外側壁部を上側から覆うので、開口からの浸入を抑制できる。
【0027】
外側壁部の上側端部は、内側から外側に向かって下がる勾配を有してもよい。この場合、外側壁部の上側端部が勾配を有するので、開口からの浸入を抑制できる。
【0028】
ホルダは、操作部の壁部の内側に配置される内側壁部と、内側壁部と外側壁部とを回路基板の上側でつなぐ溝底部とをさらに有してもよい。この場合、内側壁部と外側壁部と溝底部とにより溝が形成されるので、開口からの浸入が生じても回路基板への悪影響を抑制できる。
【0029】
溝底部は第1ドレン穴を有してもよい。回路基板は第2ドレン穴を有してもよい。この場合、溝底部は第1ドレン穴を有し、回路基板は第2ドレン穴を有するので、開口からの浸入が生じても回路基板への悪影響を抑制できる。
【0030】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0031】
20 前側筐体、 30 表示器、 50 後側筐体、 100 表示装置、 110 メータ画像、 300 操作装置、 310 操作部、 320 天面、 322 第1壁部、 324 第2壁部、 326 庇、 400 ホルダ、 410 回路基板、 420 外側壁部、 422 内側壁部、 424 溝底部、 426 壁部、 430 ガイドリブ溝部、 432 押し子貫通孔、 440 第1ドレン穴、 442 第2ドレン穴、 500 ダッシュボード、 510 フロントガラス、 520 ステアリングホイール、 1000 車両。
図1
図2
図3
図4
図5