(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】容器部材供給装置
(51)【国際特許分類】
B21D 51/30 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
B21D51/30 L
(21)【出願番号】P 2020044199
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391035430
【氏名又は名称】東洋製罐グループエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】辺田 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和樹
(72)【発明者】
【氏名】小幡 一元
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03755987(US,A)
【文献】米国特許第02659522(US,A)
【文献】米国特許第01610862(US,A)
【文献】特開2016-036848(JP,A)
【文献】米国特許第02906072(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器部材搬送ターレットのポケットに周縁にフランジを有する容器部材を1個ずつ供給する容器部材分離ユニットを備えた容器部材供給装置であって、
前記容器部材分離ユニットは、複数の切り出し部を有し、前記複数の切り出し部の1つが、前記容器部材搬送ターレットの上方外周に一体的に設けられた容器部材のフランジに係合する
切り出し溝から構成され、前記切り出し溝は、前記容器部材のフランジの軌跡に沿って螺旋状に伸び
るものであることを特徴とする容器部材供給装置。
【請求項2】
前記切り出し部が2つであり、その1つが、切り出しロールの外周に設けられた容器部材のフランジに係合する切り出し溝から構成されることを特徴とする請求項1に記載の容器部材供給装置。
【請求項3】
前記容器部材は複数個が上下方向に積み重ねられた状態で下方に送られ、下方に送られた容器部材は略水平な姿勢を維持しながら前記容器部材搬送ターレットのポケットに載置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器部材供給装置。
【請求項4】
前記容器部材が缶に巻締める蓋であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の容器部材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器部材搬送ターレットのポケットに周縁にフランジを有する容器部材を1個ずつ供給する容器部材分離ユニットを備えた容器部材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器部材搬送ターレットのポケットに周縁にフランジを有する容器部材を1個ずつ供給する容器部材供給装置の一例として、缶に蓋を巻締める巻締め装置に備えられる蓋供給装置が挙げられる。
従来、飲料などが充填された缶を載置する缶載置ユニットと、缶載置ユニットに対向して設けられたチャックユニットと、蓋を缶に巻締めるシーミングロールを備えた巻締め装置は公知である。
公知の巻締め装置は、例えば、特許文献1に示すように、缶と蓋の巻締め工程を行うシーミングターレット(1)と、シーミングターレットに巻締め前の缶を供給する搬入コンベア(供給コンベヤ7)と、蓋を供給する蓋供給ユニットの蓋搬送ターレット(供給ターレット3)と、巻締め後の缶をシーミングターレットから搬出するディスチャージターレット(排出ターレット5)と、缶をさらにディスチャージターレットから外部に搬出する搬出コンベア(排出コンベヤ8)を備えている。
シーミングターレット、ディスチャージターレット及び蓋搬送ターレットには、それぞれ外周部に缶及び蓋を個別収容して搬送するポケット(嵌合凹部2、4、6)が設けられている。
シーミングターレットの各ポケットには、缶を載置する缶載置ユニット(リフター17)と、缶載置ユニットに対向して設けられたチャックユニット(シーミングチャック装置10)と、蓋を缶に巻締めるシーミングロール(18、19)が設けられている。
このように構成された巻締め装置では、各ターレット、各コンベアの速度及びタイミングをギヤ等で合わせ、各ポケットに配置された缶載置ユニット、チャックユニット及びシーミングユニットの動作を、ギヤ、カム機構等でシーミングターレットの回転と連動させることで、高速に搬送される缶及び蓋を受渡しながら連続的に巻締めることができる。
【0003】
巻締め装置の蓋供給装置としては、従来、
図5及び
図6に示すように、3スクリュー式(3蓋切り出しロール式)のものが用いられている。3スクリュー式の蓋供給装置は、複数の蓋F,F,・・・が鉛直に伸びる通路内に積み重ねた状態で下方に送られ、その下端で分離するために鉛直な回転軸に回動すべく設けられた、周方向に等間隔に設けられた3つの蓋切り出しロール520,520,520の外周に形成された切り出し溝521,521,521に最下端の蓋Faの端縁を係合させるとともにストッパー522,522,522によりそれ以外の蓋F,F,・・・が切り出されることを停止して1枚毎に分離し、3つの蓋切り出しロール520,520,520を鉛直な回転軸で歯車525,525,525およびこれらを連結する内歯歯車526を介して同時に回動させて最下端のFaが各蓋切り出しロール520,520,520の切り出し溝521,521,521に沿って水平な姿勢のまま蓋搬送ターレット550のポケットに送り出す構成を有している(特許文献2参照。)。
しかしながら、このような3スクリュー式の蓋供給装置は、蓋切り出しロールを3つ備えるなど構造が複雑であるために高コストであり、また、分解洗浄する際には全体の重量が重いために作業性が良好ではない、という問題がある。
【0004】
また、別の蓋供給装置としては、1スクリュー式(1蓋切り出し式)のものも提案されている。1スクリュー式の蓋供給装置は、
図7及び
図8に示すように、蓋F,F,・・・が斜めに伸びる通路内に積み重ねた状態で下方に送られ、その下端で分離するために鉛直な回転軸に回動すべく設けられた1つの蓋切り出しロール620の切り出し溝621に最下端の蓋Faの端縁を係合させるとともにストッパー622によりそれ以外の蓋F,F,・・・が切り出されることを停止して1枚毎に分離してから切り出し溝621によって傾斜した状態から水平状態に変位させ、水平な蓋搬送ターレット650のポケットに送り出す構成を有している。
しかしながら、このような1スクリュー式の蓋供給装置においては、最下端の蓋Faのカール部が重なった状態で蓋搬送ターレット650による搬送が開始されるので、大量に積み重ねて送られる蓋F,F,・・・の重さによる大きな押付力をカール部で受けることとなり、蓋Faが傷ついたり摩耗粉が発生して製品に混入したりするので、製品の品質や衛生上好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭62-244537号公報
【文献】特開平8-324795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するものであって、その目的は、分解洗浄する際の作業性が良好で、かつ、容器部材の摩耗粉の発生が抑制された容器部材供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器部材供給装置は、容器部材搬送ターレットのポケットに周縁にフランジを有する容器部材を1個ずつ供給する容器部材分離ユニットを備えた容器部材供給装置であって、
前記容器部材分離ユニットは、複数の切り出し部を有し、前記複数の切り出し部の1つが、前記容器部材搬送ターレットの上方外周に一体的に設けられた容器部材のフランジに係合する切り出し溝から構成され、前記切り出し溝は、前記容器部材のフランジの軌跡に沿って螺旋状に伸びるものであることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の容器部材供給装置によれば、複数の切り出し部の少なくとも1つが容器部材搬送ターレットの上方外周に一体的に設けられた容器部材に係合する切り出し溝から構成されることにより、多数の切り出しロールを容器部材分離ユニットの周囲に配置する必要がないので従来よりも構造を簡略化することができて分解洗浄する際に良好な作業性が得られる。また、容器部材搬送ターレット側に切り出し溝を有するので、1スクリュー式の容器部材供給装置と比して、容器部材の切り出し時に容器部材のフランジが傷付くことや、容器部材の摩耗粉が発生することを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る切り出し部の1つが切り出しロールに設けられた蓋に係合する切り出し溝である構成によれば、容器部材搬送ターレットの他に切り出しロール1つのみを配置すればよいので、構造を単純化することが可能になる。
【0010】
本発明に係る下方に送られた容器部材が略平行な姿勢を維持しながら容器部材搬送ターレットのポケットに載置される構成によれば、最下端の容器部材を確実に切り離して容器部材の周縁に形成されたフランジが重ならない状態で容器部材搬送ターレットのポケットに乗り移らせることができるので、容器部材のフランジが傷付くことや、容器部材の摩耗粉が発生することをより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容器部材供給装置(蓋供給装置)が供えられた巻締め装置の構成の一例を示す模式図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る容器部材供給装置(蓋供給装置)が供えられた巻締め装置の構成の一例を示す断面図。
【
図3】
図2の蓋供給装置の構成の一例を示す斜視図。
【
図4】
図3の蓋供給装置における切り出し溝及び蓋切り出しロールの一例を示す斜視図。
【
図5】従来の3スクリュー式の蓋供給装置の平面図。
【
図7】従来の1スクリュー式の蓋供給装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る容器部材供給装置(蓋供給装置)を有する装置の一例として、缶に蓋を巻締める巻締め装置を挙げる。
巻締め装置100は、
図1に示すように、缶Cと蓋Fの巻締め工程を行うシーミングターレット101と、シーミングターレット101に巻締め前の缶Cを未回転の状態で搬送供給する搬入コンベア102と、蓋Fを供給する蓋分離ユニット(容器部材分離ユニット)210及び蓋搬送ターレット(容器部材搬送ターレット)250からなる蓋供給装置(容器部材供給装置)104と、巻締め後の缶CMをシーミングターレット101から搬出するディスチャージターレット107と、缶CMをさらにディスチャージターレット107から外部に搬出する搬出コンベア108を備えている。
シーミングターレット101、ディスチャージターレット107及び蓋搬送ターレット250には、それぞれ外周部に缶C、缶CM及び蓋Fを個別収容して搬送するポケットPが設けられており、搬入コンベア102には、缶Cと個別に係合して搬送するアタッチメント103が設けられている。
シーミングターレット101、ディスチャージターレット107及び蓋搬送ターレット250の回転速度、搬入コンベア102のアタッチメント103の移動速度、及び、各ポケットP、アタッチメント103の連動タイミングは、各ターレット、コンベア間で缶C、缶CM及び蓋Fが円滑に受け渡されるように調整可能に設計されている。
【0013】
缶Cと蓋Fの巻締め工程を行うシーミングターレット101は、
図2に示すように、各ポケットPにそれぞれ、缶Cを載置して回転させる缶載置ユニット350と、缶載置ユニット350に対向して設けられた、缶Cの上部に載置された蓋Fを位置決めするチャック321及び缶Cの上部に載置された蓋Fを押圧すべくチャック321内に上下動可能に嵌合しているノックアウトパッド322を有するチャックユニット320と、蓋Fを缶Cに巻締めるシーミングロール451,452を有するシーミングユニット410とを備えている。
【0014】
シーミングターレット101は、センターシャフト109の周囲に中心軸Xが上下方向に伸びる状態で回転可能に配置され、シーミングターレット101の駆動機構151により回転駆動される。
蓋分離ユニット210、蓋搬送ターレット250、搬入コンベア102は、シーミングターレット101の駆動機構151から機械的に伝動機構を介して駆動される。
【0015】
チャックユニット320は、センターシャフト109の周囲に中心軸Xが上下方向に伸びる状態で回転可能に等角度間隔に缶載置ユニットに対向して配置され、チャック321を下端に支持する回転軸の外面ギヤ323がセンターシャフト109に支持したサンギヤ324に噛合する。チャックユニット320は、センターシャフト109とセンターコラムの回転によって公転し、また、チャック321は、サンギヤ324と外面ギヤ323との噛合により自転する。
チャック321は上下方向に固定的かつ回転可能に設けられており、
図2の中心軸Xの右側に示すように、缶載置ユニット350を上昇させて蓋Fを載置させた缶Cを、ノックアウトパッド322と缶載置ユニット350とによって挟持しながら、チャック321の下端外周面を嵌合させることにより、蓋Fのセンターリングを行なう。
【0016】
シーミングユニット410は、公転するロール揺動軸132の下端に中央部を固定したシーミングレバー450の両端に夫々回転するよう枢着されたシーミングロール451,452によって二重巻締を行なう。
二重巻締工程においては、シーミングロール451により蓋Fのカール部分を缶Cのフランジ部分に巻き込む一次巻締を行なった後、シーミングロール452による締め付けによって圧着・接合し、密封を維持する二次巻締を行なう。
【0017】
蓋供給装置104は、
図3に示すように、略鉛直に伸びる通路215(
図2参照)によって複数枚が上下方向に積み重ねられた状態の蓋F,F,・・・を、1枚ずつ切り出す蓋分離ユニット(容器部材分離ユニット)210と、切り出された蓋Fを缶C上に搬送するポケットPを有する蓋搬送ターレット250とを有する。
蓋搬送ターレット250は、上方から見て時計回り方向(
図3において矢印Bで示す方向)に回転される。
蓋分離ユニット210は、
図4に示すように、2つの切り出し部を有する。なお、
図4は、
図3に矢印A方向から見た斜視図であり、蓋供給装置104の構成を理解しやすくするため、通路215等を省略し、蓋F,F,・・・については最下端の蓋Faのみを示している。
切り出し部の一方は、蓋搬送ターレット250の上方外周に一体的に形成され、最下端の蓋Faの端縁の軌跡に沿って螺旋状に伸び、最下端の蓋Faの端縁に係合する切り出し溝251から構成される。切り出し溝251の下端は蓋搬送ターレット250のポケットPの位置に対応している。切り出し溝251の上端には、最下端の蓋Faとその直上に積み重ねられた蓋Fとの間を切り分けて最下端の蓋Faのみを切り出し溝251内に案内するためのセパレータナイフ252が設けられている。セパレータナイフ252は、切り出し溝251の上端壁の突出部によって構成されていてもよく、また、
図3及び
図4に示されるように、切り出し溝251が形成された蓋搬送ターレット250の本体250a上にネジ止め等により設けられたプレート250bの周縁によって構成されていてもよい。
切り出し溝251及びセパレータナイフ252は、蓋搬送ターレット250のポケットPの数に対応して同数(
図1においては12個)がそれぞれ設けられている。
切り出し部の他方は、通路215内に積み重ねられた蓋F,F,・・・の下端において略鉛直に伸びる回転軸で自転する蓋切り出しロール220に設けられている。
蓋切り出しロール220は、上方から見て時計回り方向(
図3において矢印Cで示す方向)に回転される。回転速度としては、蓋切り出しロール220の外周速度が搬送ターレット250の外周速度に近いまたは一致するよう設定されることが好ましい。
蓋切り出しロール220の外周には、弧を描いて送られる最下端の蓋Faの端縁の軌跡に沿って螺旋状に伸び、最下端の蓋Faの端縁に係合する切り出し溝221が備えられ、この切り出し溝221によって切り出し部の他方が構成されている。切り出し溝221の上端には、最下端の蓋Faとその直上に積み重ねられた蓋Fとの間を切り分けて最下端の蓋Faのみを切り出し溝221内に案内するためのセパレータナイフ222が設けられている。セパレータナイフ222は、切り出し溝221の上端壁の突出部によって構成されていてもよく、また、
図3及び
図4に示されるように、切り出し溝221が形成された蓋切り出しロール220のロール本体220a上にネジ止め等により設けられたプレート220bの周縁によって構成されていてもよい。このセパレータナイフ222は、蓋搬送ターレット250のセパレータナイフ252と同じ高さ(水平面上)に配置されている。
各切り出し部を構成する切り出し溝221,251の螺旋の傾斜角度や長さは互いに同等とされており、切り出し溝221,251の長さは、蓋Fが搬送される間隔すなわちポケットP間の間隔に基づいた長さとされている。
なお、切り出し部は2つであることに限定されず、3つ以上であってもよい。例えば切り出し部が3つである場合には、2つの蓋切り出しロール220の各切り出し溝221と1つの蓋搬送ターレット250の切り出し溝251とによって蓋Fが切り出される構成とすることができる。
また、
図3及び
図4に示す蓋切り出しロール220においては、切り出し溝221は、1つの蓋切り出しロール220につき2本有するが、1本であってもよく、3本以上有する構成を有していてもよい。
【0018】
以上のように構成された巻締め装置100の基本的な動作について説明する。
蓋Fを巻締める前の缶Cは、搬入コンベア102の各アタッチメント103に係合して搬送され、シーミングターレット101の駆動機構151によって回転されるシーミングターレット101に向かう。
一方、蓋Fは、蓋分離ユニット210から1枚ずつ切り出されて蓋搬送ターレット250の各ポケットPに受け渡され、蓋搬送ターレット250の回転により、シーミングターレット101に向かう(
図1参照)。
搬入コンベア102、蓋搬送ターレット250の速度、タイミングは、缶Cと蓋Fの中心が合流点Gで一致するように、シーミングターレット101の速度、タイミングに合わせて調整されており、図示しない駆動源から動力が付与された駆動機構151から適宜のギヤ、カム機構等を介して回転が制御された缶載置ユニット350を合流点Gで上昇させることで、プレート360上に載置された缶Cに蓋Fを載置する。
その後、さらに缶載置ユニット350が上昇し、チャック321内のノックアウトパッド322が蓋Fを押さえ、駆動機構151から適宜のギヤ、カム機構等を介して回転が制御されたチャック321が蓋Fに嵌合して蓋Fのセンターリングが行われ、蓋Fが載置された缶Cは、巻締めに必要な一定の軸荷重でプレート360とチャック321及びノックアウトパッド322に挟持される。
そして、シーミングターレット101がさらに回転し、挟持された蓋Fと缶Cが
図1に示す巻締め区間Eに達する前に、プレート360とチャック321が巻締めに必要な回転数まで加速する。
巻締め区間Eを通過中に、シーミングユニット410のロール揺動軸132の下端に固定したシーミングレバー450を揺動させて、両端に夫々回転するよう枢着された1次巻締め用、2次巻締め用の2つのシーミングロール451、452を缶Cとその上部に載置された蓋Fのフランジに対して側方からチャック321に向けて順次押し付けて二重巻締めが行われる。
巻締めが完了した缶CMは、シーミングターレット101からディスチャージターレット107に受け渡され、さらに、ディスチャージターレット107から搬出コンベア108に受け渡されて、検査、梱包等の次工程に搬出される。
【0019】
蓋供給装置104においては、シーミングターレット101の駆動機構151から必要に応じて適宜のギヤ、ベルト、チェーン、カム等の公知の動力伝達機構等を介して蓋搬送ターレット250及び蓋切り出しロール220の回転動力が伝達され、回転が制御されてもよいし、駆動機構151に動力を付与する駆動源とは別の駆動源により回転動力が伝達され回転が制御されてもよい。
蓋供給装置104の基本的動作は、以下の通りである。
略鉛直に伸びる通路215によって略水平な姿勢で複数枚が上下方向に積み重ねられた状態の蓋F,F,・・・は、
図4に示すように、蓋搬送ターレット250の矢印B方向の回転と、蓋切り出しロール220の矢印C方向の回転に伴い、最下端の蓋Faの一端縁が蓋搬送ターレット250の切り出し溝251のセパレータナイフ252と係合するとともに前記一端縁と反対側の他端縁が蓋切り出しロール220の切り出し溝221のセパレータナイフ222と係合し、これらの蓋搬送ターレット250及び蓋切り出しロール220が同期して回転駆動されることにより、最下端の蓋Fa以外の蓋F,F,・・・が切り出されることがセパレータナイフ222,252によって停止されながら、蓋搬送ターレット250の切り出し溝251及び蓋搬送ターレット220の切り出し溝221に蓋Faが案内される。切り出し溝251及び切り出し溝221に案内された蓋Faは、切り出し溝251及び切り出し溝221のそれぞれに沿って略水平の姿勢を維持しながら蓋搬送ターレット250のポケットPまで下がって送り出される。このように、積み重ねられた状態の蓋Fが、最下端の蓋Faから順に蓋搬送ターレット250のポケットPに1枚ずつ供給される。
【0020】
以上のような蓋供給装置104は、多数の蓋切り出しロールを蓋分離ユニット210の周囲に配置する必要がないので従来よりも構造を簡略化することができ、従って、洗浄する際に容易に分解することができることや、分解せずに洗浄することが可能となる等の良好な作業性を得ることができる。また、蓋搬送ターレット250の他に1つの蓋切り出しロール220のみを配置した場合は、構造を単純化することができ、製造コストを低減することができる。また、蓋搬送ターレット250側に切り出し溝251を有し、下方に送られた蓋Faが積み重ねられた蓋F,F,・・・と略平行の姿勢を維持しながら蓋搬送ターレット250のポケットPまで下りて載置されるため、1または少数の蓋切り出しロール220を備える場合でも、1スクリュー式の蓋供給装置と比して、蓋Fの切り出し時に蓋Fのフランジが傷付くことや、蓋Fの摩耗粉が発生することを抑制することができる。
【0021】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、容器部材は、缶Cに巻締める蓋Fであることに限定されず、周縁にフランジを有する容器部材であればよい。周縁にフランジを有する容器部材としては、例えば周縁にカール部を有するカップ状容器などが挙げられる。この場合、カップ状容器は、周縁のカール部が略水平な姿勢を維持しながら容器部材搬送ターレットのポケットまで案内される。
また、容器部材の材質は、金属であることに限定されず、プラスチックや紙、木材等であってもよい。
【符号の説明】
【0022】
100 ・・・ 巻締め装置
101 ・・・ シーミングターレット
102 ・・・ 搬入コンベア
103 ・・・ アタッチメント
104 ・・・ 蓋供給装置
107 ・・・ ディスチャージターレット
108 ・・・ 搬出コンベア
109 ・・・ センターシャフト
132 ・・・ ロール揺動軸
151 ・・・ 駆動機構
210 ・・・ 蓋分離ユニット
215 ・・・ 通路
220 ・・・ 蓋切り出しロール
220a・・・ ロール本体
220b・・・ プレート
221 ・・・ 切り出し溝
222 ・・・ セパレータナイフ
250 ・・・ 蓋搬送ターレット
250a・・・ 本体
250b・・・ プレート
251 ・・・ 切り出し溝
251 ・・・ セパレータナイフ
320 ・・・ チャックユニット
321 ・・・ チャック
322 ・・・ ノックアウトパッド
323 ・・・ 外面ギヤ
324 ・・・ サンギヤ
350 ・・・ 缶載置ユニット
360 ・・・ プレート
410 ・・・ シーミングユニット
450 ・・・ シーミングレバー
451 ・・・ シーミングロール(一次巻締)
452 ・・・ シーミングロール(二次巻締)
520 ・・・ 蓋切り出しロール
521 ・・・ 切り出し溝
522 ・・・ ストッパー
525 ・・・ 歯車
526 ・・・ 内歯歯車
550 ・・・ 蓋搬送ターレット
620 ・・・ 蓋切り出しロール
621 ・・・ 切り出し溝
622 ・・・ ストッパー
650 ・・・ 蓋搬送ターレット
C ・・・ 缶(蓋巻締前)
F,Fa ・・・ 蓋
CM ・・・ 缶(蓋巻締後)
P ・・・ ポケット
E ・・・ 巻締区間
X ・・・ 中心軸