(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】電動遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/264 20060101AFI20241011BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20241011BHJP
E06B 9/322 20060101ALI20241011BHJP
E06B 9/40 20060101ALI20241011BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
E06B9/264 C
E06B9/262
E06B9/322
E06B9/40
E06B9/68 A
(21)【出願番号】P 2020104918
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020028668
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】土田 健治
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190117(JP,A)
【文献】特開2004-112506(JP,A)
【文献】特開2011-111763(JP,A)
【文献】特開2013-204243(JP,A)
【文献】特開2014-173340(JP,A)
【文献】特開2017-29372(JP,A)
【文献】特開2020-190175(JP,A)
【文献】特開2018-131821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-17/00
E06B 9/00- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とする電動遮蔽装置であって、
前記複数の遮蔽材が前側遮蔽材及び後側遮蔽材を有し、
操作装置から受信可能な昇降及び停止の操作信号のうち昇降に係る操作信号の連続した受信であるか否かによって、前記前側遮蔽材と前記後側遮蔽材の個別の昇降制御と、前記前側遮蔽材と前記後側遮蔽材の同時の昇降制御とを選択的に昇降制御する手段を有する制御装置を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項2】
前後に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とする電動遮蔽装置であって、
開閉ボタン及び停止ボタンを1組のみ有する操作装置により、前記複数の遮蔽材を構成する前側遮蔽材と後側遮蔽材とを同時に昇降可能とする制御を行う制御装置を備え、
前記制御装置は、
1回目の一方向の開閉ボタンの操作による操作信号の受信に応じて前側遮蔽材と後側遮蔽材のうち予め定めた一方の遮蔽材を昇降制御する手段と、
前記一方の遮蔽材の当該一方向の昇降制御中に受け付けた2回目の同方向の開閉ボタンの操作による操作信号の受信に応じて他方の遮蔽材を前記一方の遮蔽材の動作方向と同方向に昇降制御する手段と、
停止ボタンの操作による操作信号の受信に応じて昇降動作中の全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行う手段と、
を有することを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記複数の遮蔽材のうち一方又は双方の遮蔽材の当該一方向の昇降制御中に受け付けた逆方向の開閉ボタンの操作の操作による操作信号の受信に応じて、他方又は双方の遮蔽材を前記一方向の動作方向とは逆方向に昇降制御する手段を更に有することを特徴とする、請求項2に記載の電動遮蔽装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の遮蔽材の昇降動作中、上下限位置に到達した遮蔽材については自動停止する制御を行う手段を更に有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【請求項5】
前後又は上下に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で開閉可能とする電動遮蔽装置であって、
遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号を受信して、前記複数の遮蔽材の各々の開閉を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記複数の遮蔽材の各々の開閉が停止状態にあるときに前記開コマンドを示す操作信号を1回受信したときは前記複数の遮蔽材のうち予め定めた遮蔽材を開動作させるとともに、複数回連続して受信したときは、その連続した受信回数に応じて前記複数の遮蔽材を予め定めた順序で1つずつ開動作させ、
前記複数の遮蔽材の各々の開閉が停止状態にあるときに前記閉コマンドを示す操作信号を1回受信したときは前記複数の遮蔽材のうち予め定めた遮蔽材を閉動作させるとともに、複数回連続して受信したときは、その連続した受信回数に応じて前記複数の遮蔽材を予め定めた順序で1つずつ閉動作させ、
前記複数の遮蔽材のうち1以上の遮蔽材が動作中に前記停止コマンドを示す操作信号を受信したときは、全ての遮蔽材の動作を停止するよう制御することを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記開動作を行うための当該予め定めた順序を、前記閉動作を行うための当該予め定めた順序とは逆順となるように制御することを特徴とする、請求項5に記載の電動遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターの駆動力で遮蔽材を昇降制御する電動遮蔽装置、操作信号送信装置、操作端末及び音声操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動遮蔽装置は、モーターの駆動力で駆動軸を回転させ、昇降コード(紐状コード或いはテープ状の昇降テープを含む)を巻取ドラムで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、遮蔽材を昇降可能となっている。
【0003】
このような電動遮蔽装置では、ヘッドボックス内にモーターが配設され、そのモーターの出力軸の回転が駆動軸に伝達され、その駆動軸の回転に基づいて遮蔽材が昇降される。
【0004】
また、電動遮蔽装置のヘッドボックス内には駆動軸の回転速度及び回転量を検出するエンコーダーが配設され、そのエンコーダーから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、ヘッドボックス内に配設される制御装置によりモーターの回転速度及び回転量が制御される。このような動作により、遮蔽材の昇降の速度が適宜に調整されるとともに、昇降させた遮蔽材の停止位置が制御される。
【0005】
ところで、電動遮蔽装置の一種として、ヘッドボックスから上下方向に例えばジグザク状に折り畳み可能なスクリーンを遮蔽材として吊下し、このスクリーンを電動で昇降可能とする電動プリーツスクリーンを構成できることが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
特に、特許文献1に開示される電動プリーツスクリーンでは、遮蔽材を上下方向に連ねた複数段(複数種類)で構成し電動で昇降可能としている。即ち、この電動プリーツスクリーンでは、スクリーンを上下段で異なる生地の上部遮蔽材(上部スクリーン)と下部遮蔽材(下部スクリーン)とで構成し、上部スクリーンの上端縁をヘッドボックスに取着し吊下してその下端縁を中間レールに取着し、下部スクリーンの上端縁を当該中間レールに取着し吊下してその下端縁をボトムレールに取着している。そして、ヘッドボックスから中間レールとボトムレールをそれぞれ独立した昇降コードで吊下支持し、その上部スクリーンと、下部スクリーンとを個別に電動で昇降可能となっている。
【0007】
ところで、特許文献1に開示される電動プリーツスクリーンでは、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材の各々を個別に電動で昇降可能となっているが、換言すれば、複数段の遮蔽材の各々を昇降操作するとき、一方の遮蔽材の昇降動作中は、他方の遮蔽材の昇降動作が不能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-111763号公報
【文献】特開2014-224346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されるような従来の電動プリーツスクリーン等の電動遮蔽装置では、遮蔽材を上下方向に連ねた複数段(複数種類)で構成し電動で昇降可能としているが、換言すれば、複数段の遮蔽材の各々を昇降操作するとき、一方の遮蔽材の昇降動作中は、他方の遮蔽材の昇降動作が不能になっている。
【0010】
例えば上部スクリーン及び下部スクリーンを上下方向に連ねて吊下した電動プリーツスクリーンでは、操作者は有線スイッチやリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する)を用いて昇降操作を行う。しかし、操作者は、有線スイッチやリモコンで、上昇操作のための上昇ボタン、下降操作のための下降ボタン、及び昇降動作を停止させるための停止ボタンを操作し、その双方のスクリーンについて上昇操作を行いたいとき、まずは上部スクリーンの上昇操作を行って停止させ、次に下部スクリーンの上昇操作を行って停止させる必要がある。その双方のスクリーンについて下降操作を行いたいときも、まずは下部スクリーンの下降操作を行って停止させ、次に上部スクリーンの下降操作を行って停止させる必要がある。このように、上部スクリーンと下部スクリーンの昇降操作を行うには、上部スクリーンと下部スクリーンのいずれか一方の動作が停止していなければ他方の動作が開始しないものとなっている。このため、複数段の遮蔽材の全てを上昇させたいとき、或いは下降させたいときに、その昇降に係る時間が長くなり、操作者によってはその操作が煩わしいとする要望があり、使い勝手に改善の余地がある。
【0011】
更に、上記の特許文献1,2には、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材の各々を個別に電動で昇降可能とする電動プリーツスクリーンが開示されているが、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を個別に電動で昇降可能とする電動遮蔽装置(例えば、プリーツスクリーン、ロールスクリーン、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を前後に配設するように組み合わせたハイブリッド構成)については開示されていない。そして、その前後に配設される複数の遮蔽材の各々を昇降操作するときに、上記と同様に、一方の遮蔽材の昇降動作中、他方の遮蔽材の昇降動作を不能とすることは、使い勝手の観点から改善の余地がある。
【0012】
また、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材の各々を個別に電動で昇降可能とする従来の電動遮蔽装置において、リモコン等による複数段の遮蔽材の各々の開閉を動作させるには、それぞれ別のコマンドを示す操作信号が必要となるため、電動遮蔽装置の制御が複雑化し、更には操作に関する利便性の観点から改善の余地がある。
【0013】
また、上下方向に連ねた複数段の遮蔽材の各々を個別に電動で昇降可能とする従来の電動遮蔽装置において、音声に基づいて各遮蔽材を操作するように構成されておらず、利便性の観点から改善の余地がある。
【0014】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、前後又は上下に配設される複数の遮蔽材の各々を、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能とする電動遮蔽装置、その操作信号を発信する機能を有する操作信号送信装置、その送信信号送信装置に開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドのいずれか1つを含む通信信号を送信する操作端末、及び音声を基に当該通信信号を送信する音声操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による電動遮蔽装置は、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とする電動遮蔽装置であって、前記複数の遮蔽材が前側遮蔽材及び後側遮蔽材を有し、操作装置から受信可能な昇降及び停止の操作信号のうち昇降に係る操作信号の連続した受信であるか否かによって、前記前側遮蔽材と前記後側遮蔽材の個別の昇降制御と、前記前側遮蔽材と前記後側遮蔽材の同時の昇降制御とを選択的に昇降制御する手段を有する制御装置を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による電動遮蔽装置は、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とする電動遮蔽装置であって、開閉ボタン及び停止ボタンを1組のみ有する操作装置により、前記複数の遮蔽材を構成する前側遮蔽材と後側遮蔽材とを同時に昇降可能とする制御を行う制御装置を備え、前記制御装置は、1回目の一方向の開閉ボタンの操作による操作信号の受信に応じて前側遮蔽材と後側遮蔽材のうち予め定めた一方の遮蔽材を昇降制御する手段と、前記一方の遮蔽材の当該一方向の昇降制御中に受け付けた2回目の同方向の開閉ボタンの操作による操作信号の受信に応じて他方の遮蔽材を前記一方の遮蔽材の動作方向と同方向に昇降制御する手段と、停止ボタンの操作による操作信号の受信に応じて昇降動作中の全ての遮蔽材の動作を停止する制御を行う手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明による電動遮蔽装置において、前記制御装置は、前記複数の遮蔽材のうち一方又は双方の遮蔽材の当該一方向の昇降制御中に受け付けた逆方向の開閉ボタンの操作の操作による操作信号の受信に応じて、他方又は双方の遮蔽材を前記一方向の動作方向とは逆方向に昇降制御する手段を更に有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による電動遮蔽装置において、前記制御装置は、前記複数の遮蔽材の昇降動作中、上下限位置に到達した遮蔽材については自動停止する制御を行う手段を更に有することを特徴とする。
【0019】
更に、本発明による電動遮蔽装置は、前後又は上下に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で開閉可能とする電動遮蔽装置であって、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号を受信して、前記複数の遮蔽材の各々の開閉を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記複数の遮蔽材の各々の開閉が停止状態にあるときに前記開コマンドを示す操作信号を1回受信したときは前記複数の遮蔽材のうち予め定めた遮蔽材を開動作させるとともに、複数回連続して受信したときは、その連続した受信回数に応じて前記複数の遮蔽材を予め定めた順序で1つずつ開動作させ、前記複数の遮蔽材の各々の開閉が停止状態にあるときに前記閉コマンドを示す操作信号を1回受信したときは前記複数の遮蔽材のうち予め定めた遮蔽材を閉動作させるとともに、複数回連続して受信したときは、その連続した受信回数に応じて前記複数の遮蔽材を予め定めた順序で1つずつ閉動作させ、前記複数の遮蔽材のうち1以上の遮蔽材が動作中に前記停止コマンドを示す操作信号を受信したときは、全ての遮蔽材の動作を停止するよう制御することを特徴とする。
【0020】
また、本発明による電動遮蔽装置において、前記制御装置は、前記開動作を行うための当該予め定めた順序を、前記閉動作を行うための当該予め定めた順序とは逆順となるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、前後に配設される複数段の遮蔽材の各々を、電動で同時に昇降操作可能となり、使い勝手が向上する。
また、本発明によれば、電動遮蔽装置を、前後又は上下に配設される複数の遮蔽材の各々を、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能となり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図、正面図及び側面図である。
【
図2】(a)は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置に設けられるクラッチ式の障害物検知停止装置の概略構成を示す断面図であり、(b)乃至(e)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置に設けられるクラッチ式の障害物検知停止装置の動作を示す斜視図である。
【
図3】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における一実施例の操作装置として典型的な赤外線リモコンの概略構成を示す図である。
【
図5】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による複数の遮蔽材の各々の同方向下降制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】(a)乃至(c)は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による複数の遮蔽材の各々の同方向下降制御時の電動遮蔽装置の動作を説明するための概略図である。
【
図7】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による複数の遮蔽材の各々の同方向上昇制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】(a)乃至(c)は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による複数の遮蔽材の各々の同方向上昇制御時の電動遮蔽装置の動作を説明するための概略図である。
【
図9】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による複数の遮蔽材の各々の異方向昇降制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】(a)乃至(c)は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置による複数の遮蔽材の各々の異方向昇降制御時の電動遮蔽装置の動作を説明するための概略図である。
【
図11】(a),(b)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。
【
図12】本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を備える遠隔操作システムの一例を概略的に示す図である。
【
図13】(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における同方向下降制御の動作例と、同方向上昇制御の動作例を概略的に示す側面図である。
【
図14】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による別の一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図、正面図及び側面図である。
【
図15】(a),(b)は、それぞれ本発明による別の一実施形態の電動遮蔽装置における同方向下降制御の動作例と、同方向上昇制御の動作例を概略的に示す側面図である。
【
図16】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を説明する。尚、本願明細書中、
図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動遮蔽装置の左側、及び、図示右方向を電動遮蔽装置の右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1(b)に示す電動遮蔽装置の正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0028】
(全体構成)
図1(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図(見下げ図)、正面図及び側面図である。
図1に示す電動遮蔽装置の代表例として遮蔽材を前後に配設しそれぞれ昇降可能とする電動プリーツスクリーンを示している。ただし、駆動軸の回転によって前後に配設される複数の遮蔽材の各々を、電動で昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば、プリーツスクリーン、ロールスクリーン、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を前後に配設するように組み合わせたハイブリッド構成の電動遮蔽装置としてもよい。
【0029】
また、
図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンでは、複数種の昇降コード3F,3Rによって個別に昇降可能な前側遮蔽材としての前側スクリーン6F及び後側遮蔽材としての後側スクリーン6Rの2種類の遮蔽材を前後方向に配設する例を示しているが、3種類以上の遮蔽材を前後方向に配設する電動プリーツスクリーンとしてもよい。
【0030】
図1(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1の下面前方からジグザグ状に折り曲げ可能とした前側スクリーン6Fが吊下支持され、その前側スクリーン6Fの下端は、錘部材として機能するボトムレール7Fの上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
【0031】
本例の前側スクリーン6Fは、
図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下される昇降コード3Fが挿通される。このため、昇降コード3Fは前側スクリーン6Fの背面側に垂下して、
図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、前側スクリーン6Fの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3Fを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図1(c)に示すように、昇降コード3Fの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Fが垂下され、その下端がボトムレール7Fに取着されている。このピッチ保持コード4Fには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3Fが挿通されている。そして、ボトムレール7Fを下降させて前側スクリーン6Fを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Fの各支持コード40に支持されて、前側スクリーン6Fの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0032】
また、ヘッドボックス1の下面後方からジグザグ状に折り曲げ可能とした後側スクリーン6Rが吊下支持され、そのスクリーン6Rの下端は、錘部材として機能するボトムレール7Rの上面に取着される。
【0033】
本例の後側スクリーン6Rについても、前側スクリーン6Fと同様に、
図1(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下される昇降コード3Rが挿通される。このため、昇降コード3Rは後側スクリーン6Rの背面側に垂下して、
図1(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、後側スクリーン6Rの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3Rを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図1(c)に示すように、昇降コード3Rの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Rが垂下され、その下端がボトムレール7Rに取着されている。このピッチ保持コード4Rには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3Rが挿通されている。そして、ボトムレール7Rを下降させて後側スクリーン6Rを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Rの各支持コード40に支持されて、後側スクリーン6Rの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0034】
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各支持部材5に対し巻取ドラム51F,51Rが前後に並設されて回転可能に支持される。そして、それぞれの巻取ドラム51F,51Rの軸方向一端部には、それぞれカムクラッチ52F,52Rが設けられる。それぞれの巻取ドラム51F及びカムクラッチ52F、並びに、それぞれの巻取ドラム51R及びカムクラッチ52Rは、それぞれ同形状に構成される。
【0035】
それぞれの巻取ドラム51Fには、昇降コード3F(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Fの下端は、前側スクリーン6Fの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、ボトムレール7Fに取着される。巻取ドラム51Fは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Fが巻取ドラム51Fに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0036】
また、それぞれの巻取ドラム51Rには、昇降コード3R(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Rの下端は、後側スクリーン6Rの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、ボトムレール7Rに取着される。巻取ドラム51Rは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Rが巻取ドラム51Rに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0037】
それぞれの巻取ドラム51F及びカムクラッチ52F並びに回転ドラム53の中心軸には駆動軸2Fが挿通され、回転ドラム53は駆動軸2Fの回転を巻取ドラム51Fに伝達し、且つ巻取ドラム51Fの駆動力を駆動軸2Fに伝達するようになっている。
【0038】
同様に、それぞれの巻取ドラム51R及びカムクラッチ52R並びに回転ドラム53の中心軸には駆動軸2Rが挿通され、回転ドラム53は駆動軸2Rの回転を巻取ドラム51Rに伝達し、且つ巻取ドラム51Rの駆動力を駆動軸2Rに伝達するようになっている。
【0039】
駆動軸2Fの一端は、駆動軸連結器20Fを介してモーター9Fの出力軸に連結され、モーター9Fの出力軸の回転が駆動軸2Fに伝達される。従って、モーター9Fの駆動力で駆動軸2Fを回転させ、駆動軸2Fの回転に基づいて昇降コード3Fを当該巻取ドラム51Fで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7Fを昇降可能とし、これにより前側スクリーン6Fを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Fは、前側スクリーン6Fの下降時に昇降コード3Fに係る張力(前側スクリーン6F及びボトムレール7Fの自重)を利用しているため、その駆動力が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Fから駆動軸2Fに伝達し、この駆動軸2Fに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0040】
また、駆動軸2Rの一端は、駆動軸連結器20Rを介してモーター9Rの出力軸に連結され、モーター9Rの出力軸の回転が駆動軸2Rに伝達される。従って、モーター9Rの駆動力で駆動軸2Rを回転させ、駆動軸2Rの回転に基づいて昇降コード3Rを当該巻取ドラム51Rで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7Rを昇降可能とし、これにより後側スクリーン6Rを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Rは、後側スクリーン6Rの下降時に昇降コード3Rに係る張力(後側スクリーン6R及びボトムレール7Rの自重)を利用しているため、その駆動力が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Rから駆動軸2Rに伝達し、この駆動軸2Rに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0041】
モーター9F,9Rの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9F,9R、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、無線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えばモーター9F,9RをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9F,9Rに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9F,9Rの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2F,2Rのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8F,8Rが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8F,8Rから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9F,9Rの回転速度及び回転量を制御する。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、前側スクリーン6F、又は後側スクリーン6Rの昇降速度を適宜に調整するとともに、前側スクリーン6F、又は後側スクリーン6Rの昇降停止位置を制御する。
【0042】
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、例えば、ボトムレール7Fをヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1とボトムレール7Fとの間に前側スクリーン6Fを折り畳んだ状態で、ボトムレール7Rを下降させれば、ヘッドボックス1から後側スクリーン6Rが所望位置まで遮蔽された状態となる。
【0043】
また、ボトムレール7Fを下降させれば、ヘッドボックス1から前側スクリーン6Fが所望位置まで遮蔽された状態となる。従って、例えば後側スクリーン6Rを採光性生地とし、前側スクリーン6Fを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。そして、ボトムレール7Rを上限まで引き上げて開放する場合には、ヘッドボックス1とボトムレール7Rとの間に後側スクリーン6Rを折り畳んだ状態とすることができる。
【0044】
(クラッチ式の障害物検知停止装置)
ところで、ボトムレール7F又はボトムレール7Rが障害物に接触し、その下降が妨げられると、クラッチ式の障害物検知停止装置が作動して、駆動軸2F又は2Rがロックするようになっている。つまり、ボトムレール7F又はボトムレール7Rが障害物に接触したとき、支持部材5に支持される巻取ドラム51F及びカムクラッチ52F、並びに巻取ドラム51R及びカムクラッチ52Rは、それぞれ各ボトムレール7F,7Rに対する「障害物検知」及び各駆動軸の「停止」を機械的に行うクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する。即ち、支持部材5に支持される巻取ドラム51F及びカムクラッチ52F、並びに巻取ドラム51R及びカムクラッチ52Rは、
図2に示すようなクラッチ式の障害物検知停止装置として構成される。
以下、簡潔にクラッチ式の障害物検知停止装置について説明する。
【0045】
尚、巻取ドラム51R及びカムクラッチ52Rは、それぞれ巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fと同様の構造を有しているため、
図2(a)には、代表して、支持部材5に支持されるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fの構成について、その断面図を示している。
【0046】
図2(a)に示すように、クラッチ式の障害物検知停止装置は、支持部材5におけるサポート部位50にて巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fが支持され、カムクラッチ52Fは、回転ドラム53を介して巻取ドラム51Fに連結されている。
【0047】
尚、支持部材5は、その底面に突出形成されるスナップフィット501がヘッドボックス1に嵌合されることで固定されている。そして、カムクラッチ52F、回転ドラム53及び巻取ドラム51Fは、サポート部位50の左右両端に形成される貫通孔502,503間で回転可能に支持されている。より具体的には、貫通孔502に対しカムクラッチ52Fの筒部521が回転可能に軸支され、貫通孔503に対し巻取ドラム51Fの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54が回転可能に軸支されている。
【0048】
カムクラッチ52Fの径方向内側に回転ドラム53が収容され、回転ドラム53は略円筒状を有し巻取ドラム51Fに対し所定の回転遊びを有して相対回転不能、且つ軸線方向に相対移動しないように装着される。また、筒部521内には駆動軸2Fが相対回転可能に貫通しているが、回転ドラム53は駆動軸2Fに対し一体となって回転する。
【0049】
スナップフィット501には、昇降コード3Fを所定の位置から巻き取り、或いは巻き戻しするために導出する導出口が形成されている。また、サポート部位50の図示左辺の底面には制動凸部504が形成されている。
【0050】
巻取ドラム51Fは略円筒形状に形成されており、係合部511と巻取部512とを備えている。
【0051】
巻取ドラム51Fの巻取部512は、カムクラッチ52F側から図示右端側に向かうにつれて徐々にその径が小さくなるように設定されている。そして、巻取ドラム51Fの図示右端に嵌着されるプーリキャップ54の中心には駆動軸2Fが相対回転可能に貫通されている。
【0052】
巻取ドラム51Fの係合部511の径方向内側にはカムクラッチ52Fが収容されている。カムクラッチ52Fは略円筒形状に形成された筒部521と該筒部521より大径に形成された制動部522とを備えている。
【0053】
制動部522は外周面の径が巻取ドラム51Fの係合部511の内周面と摺動可能な大きさに設定されている。制動部522における筒部521側の端部には1つ又は複数の制動爪523が鋸歯状に突出して形成されており、サポート部位50の制動凸部504と係合可能とされている。
【0054】
制動爪523は制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止されると、カムクラッチ52Fがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。
【0055】
カムクラッチ52Fは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Fとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有している。
【0056】
即ち、カムクラッチ52Fにおける制動部522の側壁にはカム構造としての摺動孔524が形成されており、この摺動孔524は制動部522の軸線に対して略45°傾斜するように形成されている。また、摺動孔524は、制動部522の周方向において略45°の角度範囲に亘って配設されるようにその長さが設定されている。
【0057】
そして、回転ドラム53には、その径方向外側に向かって突出する摺動凸部531が形成されている。この摺動凸部531がカムクラッチ52Fの摺動孔524の内部に位置するよう回転ドラム53がカムクラッチ52Fに組み付けられ、回転ドラム53は摺動凸部531がカムクラッチ52Fの摺動孔524の内部を相対移動する範囲内においてのみ相対移動可能となる。
【0058】
具体的には、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置するときにはカムクラッチ52Fは最も巻取ドラム51Fに対して軸方向に収容される側(
図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除される。一方、摺動凸部531が摺動孔524の他端部に位置するときには、カムクラッチ52Fは、軸方向にスライド移動して最も巻取ドラム51Fに対して軸方向に突出される側(
図2(a)において左側)に位置することとなるため、制動爪523と制動凸部504とは係合状態となる。
【0059】
制動爪523と制動凸部504とが係合状態となると、カムクラッチ52Fの回転が阻止され、カムクラッチ52Fの移動範囲は回転ドラム53と巻取ドラム51Fの係合範囲によって規制されるため、摺動孔524の当該他端部まで摺動凸部531が移動された状態で回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Fの回転も停止する。
【0060】
従って、カムクラッチ52Fが巻取ドラム51Fの軸線方向に相対移動して、制動爪523が制動凸部504に係合されると、カムクラッチ52Fはサポート部位50に対し相対回転不能に係止される。また、制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されるとカムクラッチ52Fはサポート部位50に対して相対回転可能となる。
【0061】
このように、駆動軸2Fが遮蔽材(前側スクリーン6F)の引き上げ方向に回転されると、該回転は回転ドラム53に伝達される。このとき、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間、巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fに対して相対回転される。
【0062】
この場合、カムクラッチ52Fの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除され、カムクラッチ52Fはサポート部位50に対して相対回転可能である。そして、回転ドラム53は当該所定の回転遊び以上の回転でカムクラッチ52F及び巻取ドラム51Fと相対回転不能となる。
【0063】
従って、駆動軸2Fを更に引き上げ方向に回転させると、回転ドラム53はカムクラッチ52F及び巻取ドラム51Fと一体となって引き上げ方向に回転され、当該遮蔽材(前側スクリーン6F)の引き上げ駆動が行われる。
【0064】
一方、駆動軸2Fが遮蔽材(前側スクリーン6F)の引き下げ時では、その前側スクリーン6F及びボトムレール7Fの自重を使って行われるため、引き下げ時の駆動力は巻取ドラム51Fから駆動軸2Fに向かって伝達される。
【0065】
巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fが引き下げ方向に回転されると、カムクラッチ52Fの制動爪523とサポート部位50の制動凸部504との係合状態が解除された状態であるため、回転ドラム53及び駆動軸2Fは即座に引き下げ方向への回転が伝達される。
【0066】
ここで、
図2(b)乃至(e)には、遮蔽材(前側スクリーン6F)の引き下げ操作が行われている最中に、ボトムレール7Fが障害物に衝突したときの、
図2(a)におけるクラッチ式の障害物検知停止装置として機能する巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fの動作について、概略図示している。尚、
図2(d)及び
図2(e)において、1つの制動爪523として簡略図示しているが、複数の制動爪523とすることができる。
【0067】
まず、
図2(b)に示すように遮蔽材(前側スクリーン6F)の引き下げ操作が行われているとき、ボトムレール7Fが障害物に衝突する前では、巻取ドラム51Fから昇降コード3Fが巻き戻され、前側スクリーン6Fが下降する。巻取ドラム51Fに巻き取られている昇降コード3Fにはボトムレール7F等の自重により引き出し方向の張力が加わっており、カムクラッチ52Fの回転とともに巻取ドラム51Fは自重回転し、駆動軸2Fの回転制御により、その自重回転を制御している。このとき、摺動凸部531が摺動孔524の一端部に位置してカムクラッチ52Fは最も巻取ドラム51Fに対して軸方向に収容される側(
図2(a)において右側)に位置することとなるため制動爪523と制動凸部504との係合状態が解除されている。
【0068】
そして、
図2(c)に示すようにボトムレール7Fが障害物に衝突すると昇降コード3Fにおける引き出し方向の張力が失われ、巻取ドラム51F及びカムクラッチ52Fの回転は停止するが、回転ドラム53、及び駆動軸2Fは回転を維持するため回転差が生じる。ただし、回転ドラム53は、当該所定の回転遊びの間のみ巻取ドラム51Fに対して相対回転される。
【0069】
すると、摺動凸部531が摺動孔524に案内されて、
図2(d)に示すように、巻取ドラム51Fの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Fが軸方向に相対移動(スライド)を開始する。
【0070】
そして、
図2(e)に示すように、巻取ドラム51Fの回転停止に伴って回転ドラム53の当該所定の回転遊びの経過中、カムクラッチ52Fにおける制動爪523が制動凸部504に係合することによって周方向への回転が防止され、カムクラッチ52Fがサポート部位50に対し相対回転不能とされる。カムクラッチ52Fの回転が阻止され、このときカムクラッチ52Fの移動範囲は回転ドラム53と巻取ドラム51Fの係合範囲によって規制されるため、摺動孔524の当該他端部まで摺動凸部531が移動された状態で回転ドラム53の回転が停止され、回転ドラム53と相対回転不能に連結する駆動軸2Fの回転も停止する。このようにカムクラッチ52Fがサポート部位50に対し相対回転不能とされ、回転ドラム53の当該所定の回転遊びが経過すると回転ドラム53の回転も停止し、駆動軸2Fの回転がロックされる。
【0071】
図2に示す例では、カムクラッチ52Fは、制動部522の側壁が回転ドラム53を介して巻取ドラム51Fとは所定の回転遊びを有して相対回転不能に組み付けられ、且つ当該所定の回転遊びの範囲内で、カムクラッチ52Fに形成した摺動孔524が回転ドラム53に形成した摺動凸部531を案内することで、軸線方向に沿って相対移動可能(スライド可能)とするカム構造を有する例を説明したが、機械的に駆動軸2Fをロックするカム構造は本例に限定されず、巻取ドラム51Fの物理的な障害物による回転停止時に、駆動軸2Fの回転を機械的に停止させるカムクラッチ構造であれば
よく、様々な形態が考えられる。
【0072】
例えば、回転ドラム53及びカムクラッチ52Fの代わりに、制動凸部504と係合可能な制動爪523と摺動凸部531を形成したカムクラッチを構成し、該カムクラッチを巻取ドラム51Fの内周壁で支持させる構成とすることができる。この場合、該カムクラッチは、駆動軸2Fに対し相対回転不能であるが軸方向には巻取ドラム51Fに対し所定の範囲内で相対移動(スライド移動)を許容する構造とし、該摺動凸部531の回転を
図2に例示した動作と同様に作動させるために、巻取ドラム51Fの内周壁に当該摺動孔524に相当する摺動溝を形成したカムクラッチ構造とすることができる。
【0073】
(制御装置の構成)
図3は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0074】
制御装置10は、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、無線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)24などの外部機器からの操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。例えば制御装置10は、エンコーダー8F,8Rからのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理してモーター9F,9Rの回転速度及び回転量を制御し、各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の昇降速度を適宜に調整するとともに、各遮蔽材の昇降停止位置を制御する。
【0075】
有線スイッチ21は、制御装置10に対し有線接続することで操作信号を制御装置10に送信する機能を有する操作スイッチである。
【0076】
赤外線リモコン22は、制御装置10に対し赤外線による無線接続することで操作信号を制御装置10に送信する機能を有するリモートコントローラである。
【0077】
無線リモコン23は、制御装置10に対し無線LAN(近距離無線通信を含む)による無線接続することで操作信号を制御装置10に送信する機能を有するリモートコントローラである。
【0078】
パーソナルコンピュータ(PC)24は、制御装置10に対し有線接続することで(或いは無線LANにより無線接続することで)、操作信号を制御装置10に送信する機能を有する。
【0079】
ここで、操作信号には、各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の上昇操作を指示する上昇コマンド(種々の遮蔽材に対する開動作の指令であるため包括的に「開コマンド」とも称する。)、各遮蔽材の下降操作を指示する下降コマンド(種々の遮蔽材に対する閉動作鎖の指令であるため包括的に「閉コマンド」とも称する。)、各遮蔽材の昇降動作を停止指示する停止コマンド、及び各遮蔽材の上下限位置の設定コマンドを少なくとも含む。また、これらの各遮蔽材の昇降を指示する各種のコマンドは、各遮蔽材の開度割合を示す「%指示操作」にも対応づけたものとすることができる。
【0080】
また、操作者は、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、又は無線リモコン23で各遮蔽材(各スクリーン及び各ボトムレール)の上昇操作を行うときは、
図1及び後述する
図4に例示するような“開ボタン(OPEN、又は△等)”の押下で上昇コマンドを送信でき、下降操作を行うときは、
図1及び後述する
図4に例示するような“閉ボタン(CLOSE、又は▽等)”の押下で下降コマンドを送信でき、昇降動作の停止操作を行うときは、
図1及び後述する
図4に例示するような“停止ボタン(STOP、又は□等)”の押下で停止コマンドを送信できる。
【0081】
そして、
図3に示すように、制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、無線信号受信部103、赤外信号送受信部104、有線信号送受信部105、外部機器インターフェース(IF)部106、モーター駆動部107F,107R、異常検知部108F,108R、及びパルス検出部109F,109Rを備える。
【0082】
無線信号受信部103は、無線リモコン23からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と無線リモコン23との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
【0083】
赤外線信号送受信部104は、赤外線リモコン22からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
【0084】
有線信号送受信部105は、有線スイッチ21からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部である。
【0085】
外部機器インターフェース(IF)部106は、パーソナルコンピュータ(PC)24等の外部機器からの操作信号を受信してマイクロコンピュータ部101に出力する機能部であり、マイクロコンピュータ部101と外部機器インターフェース(IF)部106との間で相互通信可能とし、操作に関する詳細なコマンドのやり取りを可能とする。
【0086】
モーター駆動部107F,107Rは、それぞれモーター9F,9Rの駆動を行うモータードライバーである。
【0087】
異常検知部108F,108Rは、それぞれモーター駆動部107F,107Rにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
【0088】
パルス検出部109F,109Rは、それぞれエンコーダー8F,8Rからのパルス信号をそれぞれ受信し、マイクロコンピュータ部101に通知する機能部である。
【0089】
マイクロコンピュータ部101は、記憶部102に予め記憶させたプログラムを読み出して実行することにより、無線信号受信部103を介して受信する無線リモコン23からの操作信号、赤外線信号送受信部104を介して受信する赤外線リモコン22からの操作信号、有線信号送受信部105を介して受信する有線スイッチ21からの操作信号、或いは、外部機器IF部106を介して受信するPC24等の外部機器からの操作信号を受け付け、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを処理する。これにより、電動遮蔽装置の各種制御を行う制御装置10をコンピュータとして構成することができる。
【0090】
そして、マイクロコンピュータ部101による当該プログラムの実行によって実現される制御装置10の機能には、操作信号を受け付け当該操作信号内に含まれる各種のコマンドを判別し対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う機能、各エンコーダー8F,8Rからのパルス信号をそれぞれ受信するパルス検出部109F,109Rを介してエンコーダーパルスの有無及びエンコーダーパルス数のカウントを行いながら、適宜、そのカウント値を記憶部102に記憶して管理する機能、エンコーダーパルス数のカウント値に応じて設定可能な各遮蔽材の上限設定位置や下限設定位置等に関する各種設定を記憶部102に記憶して管理する機能、モーター9F,9Rの駆動をそれぞれ行うモーター駆動部107F,107Rを介してモーター9F,9Rの駆動制御を行う機能、及び、モーター駆動部107F,107Rにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上の)をそれぞれ検知してマイクロコンピュータ部101に通知する異常検知部108F,108Rを介して、その異常値を監視する機能が含まれる。
【0091】
(操作装置)
図4は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における一実施例の操作装置として典型的な赤外線リモコン22の概略構成を示す図である。本実施例の赤外線リモコン22は、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223を1組のみ有しており、
図1に示す有線スイッチ21及び無線リモコン23についても同様である。
【0092】
尚、
図4に示す赤外線リモコン22は、複数台の電動遮蔽装置が操作対象として設置されているときに、最大4グループまでデバイスIDによりグループ分けして、同一のデバイスIDを持つ複数台の電動遮蔽装置について、グループ指定し同時操作するためのグループ指定ボタン(図示する“1”~“4”)の丸ボタン)224と、全グループを一括して同時操作するための一括指定ボタン(図示する“ALL”ボタン)225とを有している。操作対象として設置されている複数台の電動遮蔽装置の各々には、ディップスイッチ等でグループ指定ボタン224及び一括指定ボタン225に対応するデバイスIDが設定できるようになっている。従って、通常、
図4に示す赤外線リモコン22を利用するときは、操作対象の電動遮蔽装置における制御装置10は、グループ指定ボタン224又は一括指定ボタン225の押下後に送信される開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223の押下による操作信号を認識して対応する動作を行うように制御する。ただし、各電動遮蔽装置におけるデバイスIDの設定値には、当該グループ指定ボタン224又は一括指定ボタン225の押下を要することなく、直接、開閉ボタン(開ボタン221及び閉ボタン222)及び停止ボタン223の押下による操作信号を認識して対応する動作を行うように制御するモードを設けることができる。
【0093】
そして、
図4に示す赤外線リモコン22は、上述したように、操作対象の電動遮蔽装置における制御装置10に対し赤外線による操作信号を送信する機能を有しており、上昇操作を行うときは開ボタン221の押下で上昇コマンドを送信でき、下降操作を行うときは閉ボタン222の押下で下降コマンドを送信でき、昇降動作の停止操作を行うときは停止ボタン223の押下で停止コマンドを送信できる。
【0094】
また、赤外線リモコン22等の操作装置は、各遮蔽材の上下限位置の設定を行うとき、停止ボタン223の所定時間の長押し又は開ボタン221及び停止ボタン223の所定時間の同時長押し等により、設定モードに移行させるための設定コマンドを設定対象の電動遮蔽装置における制御装置10に送信できる。当該設定対象の電動遮蔽装置における制御装置10は、設定コマンドの受信に基づく設定モードに移行後、当該設定対象の電動遮蔽装置が有する複数の遮蔽材のうち予め定めた一方の遮蔽材を自動上昇させ、停止ボタン223の所定時間の長押しで上限位置の設定を決定して記憶部102に記憶し、その後、他方の遮蔽材を自動上昇させ、停止ボタン223の所定時間の長押しで上限位置の設定を決定して記憶部102に記憶し、その後、各遮蔽材を自動下降させ、停止ボタン223の所定時間の長押しで各遮蔽材の下限位置の設定を決定して記憶部102に記憶する、複数の遮蔽材の上下限位置の設定制御を行う。
【0095】
本実施形態の電動遮蔽装置では、モーター9F,9Rの各々と制御装置10はモーターハーネスで接続されているが、従来の電動プリーツスクリーンのようなスクリーンを昇降させる際の物理上限位置及び物理下限位置を検知するための物理的な検出スイッチを設けていない。この場合でも、制御装置10は、エンコーダー8F,8Rから得られるエンコーダーパルスのカウント値による絶対的な上下限位置を定めておくか、或いは異常検知部108F,108Rによるモーター駆動部107F,107Rにおける異常値(過電流/異常波形電流/異常波形電圧のうち1以上)をそれぞれ検知するか、又は動作制御中に所定時間の当該エンコーダーパルスの入力が無くなることを検知するなど、これら1以上の方法で、前側スクリーン6F及び後側スクリーン6Rのそれぞれについて、その物理的な昇降操作可能範囲を規定する物理上限位置及び物理下限位置を検出することができる。この物理上限位置及び物理下限位置を可動範囲としてもよいし、上述した操作装置による設定で上限位置及び下限位置を操作者の所望位置に設定し、その設定上限位置及び設定下限位置を可動範囲としてもよい。
【0096】
ところで、
図1及び
図3に示す本実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10は、
図4に示す赤外線リモコン22等の操作装置における1組の開閉ボタン及び停止ボタンの押下に基づく当該操作装置から受信可能な昇降及び停止の操作信号のうち昇降に係る操作信号の連続した受信であるか否かによって、前側遮蔽材と後側遮蔽材の個別の昇降制御と、前側遮蔽材と後側遮蔽材の同時の昇降制御とを選択的に昇降制御するものとなっている。即ち、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)用と、後側遮蔽材(後側スクリーン6R)用に、それぞれ操作装置に昇降操作ボタンを設ける必要なく、複数の遮蔽材の各々を、電動で同時に昇降操作可能に制御するようにして、使い勝手を向上させたものとなっている。
【0097】
以下、赤外線リモコン22による操作を例に、操作対象とされる電動遮蔽装置の制御装置10による前後に配設される複数の遮蔽材の各々の昇降制御として、「同方向下降制御」、「同方向上昇制御」、及び「異方向昇降制御」について順に説明する。
【0098】
(同方向下降制御)
図5は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による複数の遮蔽材の各々の同方向下降制御の一例を示すフローチャートであり、
図6(a)乃至(c)は、その制御装置10による複数の遮蔽材の各々の同方向下降制御時の電動遮蔽装置の動作を説明するための概略図である。
【0099】
まず、制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の動作停止中、
図6(a)に示すように閉ボタン222の1回目の押下で下降コマンドを受信すると(ステップS11)、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)のうち予め定めた一方の遮蔽材(本例では、後側遮蔽材である、ボトムレール7Rを下端に持つ後側スクリーン6R)のみ下降動作を開始する(ステップS12)。
【0100】
この後側遮蔽材の下降動作下で、制御装置10は、更なる下降コマンドを受信したか否かを監視する(ステップS13)。
【0101】
制御装置10は、後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の下降動作中に、停止コマンドの受信より先に、
図6(b)に示すように閉ボタン222の2回目の押下で更なる下降コマンドを受信したときは(ステップS13:Y)、予め定めた他方の遮蔽材(本例では、前側遮蔽材である、ボトムレール7Fを下端に持つ前側スクリーン6F)についても同時に下降動作を開始する(ステップS14)。一方、制御装置10は、後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の下降動作中に、下降コマンドの受信がないときは(ステップS13:N)、停止コマンドの受信を監視し(ステップS17:N)、下降コマンドの受信より先に停止コマンドを受信したときは(ステップS17:Y)、後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の下降動作を停止して(ステップS18)、本制御を終了する。
【0102】
尚、制御装置10は、停止コマンドの受信より先に、下降動作中の後側遮蔽材(後側スクリーン6R)が下限位置へ到達したときは、その後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の下降動作を自動停止し、同様に、下降動作中の前側遮蔽材(前側スクリーン6F)が下限位置へ到達したときは、その前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の下降動作を自動停止する。
【0103】
制御装置10は、後側遮蔽材(後側スクリーン6R)のみの下降動作中、或いは後側遮蔽材(後側スクリーン6R)及び前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の双方の下降動作中、停止コマンドの受信を監視する(ステップS15:N)。
【0104】
そして、制御装置10は、後側遮蔽材(後側スクリーン6R)のみの下降動作中、或いは後側遮蔽材(後側スクリーン6R)及び前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の双方の下降動作中、
図6(c)に示すように停止ボタン223の押下で停止コマンドを受信したときは(ステップS15:Y)、全ての遮蔽材の下降動作を停止し、本制御を終了する(ステップS16)。
【0105】
このように、制御装置10は、赤外線リモコン22等の操作装置における1組の閉ボタン及び停止ボタンの押下に基づく当該操作装置から受信可能な昇降及び停止の操作信号のうち昇降に係る操作信号の連続した受信であるか否かによって、前側遮蔽材と後側遮蔽材の個別の昇降制御と、前側遮蔽材と後側遮蔽材の同時の昇降制御とを選択的に昇降制御するものとなっている。このため、1組の閉ボタン及び停止ボタンの単純な操作で、前後に配設される複数の遮蔽材の各々の下降動作を、それぞれの所望の停止位置にすることを許容しつつ、個別に行う場合だけでなく、同時に行うことも可能となり、使い勝手が向上するようになる。
【0106】
(同方向上昇制御)
図7は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による複数の遮蔽材の各々の同方向上昇制御の一例を示すフローチャートであり、
図8(a)乃至(c)は、その制御装置10による複数の遮蔽材の各々の同方向上昇制御時の電動遮蔽装置の動作を説明するための概略図である。
【0107】
まず、制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の動作停止中、
図8(a)に示すように開ボタン221の1回目の押下で上昇コマンドを受信すると(ステップS21)、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)のうち予め定めた一方の遮蔽材(本例では、前側遮蔽材である、ボトムレール7Fを下端に持つ前側スクリーン6F)のみ上昇動作を開始する(ステップS22)。
【0108】
この前側遮蔽材の上昇動作下で、制御装置10は、更なる上昇コマンドを受信したか否かを監視する(ステップS23)。
【0109】
制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作中に、停止コマンドの受信より先に、
図8(b)に示すように開ボタン221の2回目の押下で更なる上昇コマンドを受信したときは(ステップS23:Y)、予め定めた他方の遮蔽材(本例では、後側遮蔽材である、ボトムレール7Rを下端に持つ後側スクリーン6R)についても同時に上昇動作を開始する(ステップS24)。一方、制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作中に、上昇コマンドの受信がないときは(ステップS23:N)、停止コマンドの受信を監視し(ステップS27:N)、上昇コマンドの受信より先に停止コマンドを受信したときは(ステップS27:Y)、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作を停止して(ステップS28)、本制御を終了する。
【0110】
尚、制御装置10は、停止コマンドの受信より先に、上昇動作中の前側遮蔽材(前側スクリーン6F)が上限位置へ到達したときは、その前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作を自動停止し、同様に、上昇動作中の後側遮蔽材(後側スクリーン6R)が上限位置へ到達したときは、その後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の上昇動作を自動停止する。
【0111】
制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)のみの上昇動作中、或いは前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の双方の上昇動作中、停止コマンドの受信を監視する(ステップS25:N)。
【0112】
そして、制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)のみの上昇動作中、或いは前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の双方の上昇動作中、
図8(c)に示すように停止ボタン223の押下で停止コマンドを受信したときは(ステップS25:Y)、全ての遮蔽材の上昇動作を停止し、本制御を終了する(ステップS26)。
【0113】
このように、制御装置10は、赤外線リモコン22等の操作装置における1組の開ボタン及び停止ボタンの押下に基づく当該操作装置から受信可能な昇降及び停止の操作信号のうち昇降に係る操作信号の連続した受信であるか否かによって、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を、電動で同時に上昇操作可能に制御する。このため、1組の開ボタン及び停止ボタンの単純な操作で、前後に配設される複数の遮蔽材の各々の上昇動作を、それぞれの所望の停止位置にすることを許容しつつ、同時に行うことが可能となり、使い勝手が向上するようになる。
【0114】
上述した
図5乃至
図8に示す同方向昇降制御(同方向下降制御及び同方向上昇制御)において、制御装置10は、「1回目の下降コマンド」の受信後は「2回目の下降コマンド」と「停止コマンド」のみを許容して「上昇コマンド」の受信は非許容とする制御とすることができ、同様に「1回目の上昇コマンド」の受信後は「2回目の上昇コマンド」と「停止コマンド」のみを許容して「下降コマンド」の受信は非許容とする制御とすることができる。しかし、制御装置10は、「1回目の下降コマンド」の受信後も「上昇コマンド」の受信を許容し、或いは「1回目の上昇コマンド」の受信後も「下降コマンド」の受信を許容する「異方向昇降制御」を設けた場合にも使い勝手が向上することがある。例えば、「1回目の上昇コマンド」の受信で前側遮蔽材を上昇させると同時に、その後の「下降コマンド」の受信で後側遮蔽材を下降させることで、例えば前側遮蔽材については上限位置まで後側遮蔽材については下限位置まで、開ボタンと閉ボタンの2回の押下操作で済むようになる。また、動作中の遮蔽材の全てについて、1回の停止ボタンの押下で直ちに停止させることができるようになる。
以下、この「異方向昇降制御」について
図9及び
図10を参照して設明する。
【0115】
(異方向昇降制御)
図9は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における制御装置10による複数の遮蔽材の各々の異方向昇降制御の一例を示すフローチャートであり、
図10(a)乃至(c)は、その制御装置10による複数の遮蔽材の各々の異方向昇降制御時の電動遮蔽装置の動作を説明するための概略図である。ここでは、「1回目の上昇コマンド」の受信後も「下降コマンド」の受信を許容する「異方向昇降制御」の例を代表して説明する。
【0116】
まず、制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)の動作停止中、
図10(a)に示すように開ボタン221の押下で上昇コマンドを受信すると(ステップS31)、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(後側スクリーン6R)のうち予め定めた一方の遮蔽材(本例では、前側遮蔽材である、ボトムレール7Fを下端に持つ前側スクリーン6F)のみ上昇動作を開始する(ステップS32)。
【0117】
この前側遮蔽材の上昇動作下で、制御装置10は、下降コマンドを受信したか否かを監視する(ステップS33)。尚、この前側遮蔽材の上昇動作下で、制御装置10が、2回目の上昇コマンドを受信したときの動作は、上述した
図7及び
図8に示す同方向上昇制御となり、その動作説明は省略する。
【0118】
制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作中に、停止コマンドの受信より先に、
図10(b)に示すように閉ボタン222の押下で下降コマンドを受信したときは(ステップS33:Y)、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作を停止して(ステップS34)、
図5に示すステップS12へ移行する。また、制御装置10は、前側遮蔽材(前側スクリーン6F)の上昇動作中に、下降コマンドの受信がないときは(ステップS33:N)、
図7に示すステップS23へ移行する。
【0119】
図9及び
図10では、制御装置10が「1回目の上昇コマンド」の受信後も「下降コマンド」の受信を許容する「異方向昇降制御」の例を代表して説明したが、「1回目の下降コマンド」の受信後も「上昇コマンド」の受信を許容する「異方向昇降制御」についても同様であり、その説明は省略する。これらの昇降制御の応用として、制御装置10は、複数の遮蔽材のうち一方又は双方の遮蔽材の一方向(例えば上昇)の昇降制御中に受け付けた逆方向の開閉ボタンの操作の操作による操作信号の受信に応じて、他方又は双方の遮蔽材を当該一方向の動作方向とは逆方向(例えば下降)に昇降制御する構成とすることができる。
【0120】
このように、制御装置10は、赤外線リモコン22等の操作装置における1組の開閉ボタン及び停止ボタンの押下に基づく当該操作装置から受信可能な昇降及び停止の操作信号のうち昇降に係る操作信号の連続した受信であるか否かによって、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を、電動で同時に昇降操作可能に制御する。このため、1組の開閉ボタン及び停止ボタンの単純な操作で、前後に配設される複数の遮蔽材の各々の昇降動作を、それぞれの所望の停止位置にすることを許容しつつ、同時に行うことが可能となり、使い勝手が向上するようになる。
【0121】
上述では、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は
図1に示す実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0122】
例えば、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、ロールスクリーン、たくし上げカーテン等、或いはこれら異種遮蔽材を前後に配設するように組み合わせたハイブリッド構成(例えば、前側遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、後側遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等)など、他の種類の電動遮蔽装置にも適用できる。
【0123】
前後に遮蔽材を持つ他の電動遮蔽装置の典型例を
図11(a),(b)にそれぞれ示している。
図11(a),(b)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置10を適用した例を示す概略的な側面図である。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0124】
まず、
図11(a)に示す電動遮蔽装置は、前側遮蔽材(下端に錘部材として機能するウェイトバー7F’が設けられた前側スクリーン6F)及び後側遮蔽材(下端に錘部材として機能するウェイトバー7R’が設けられた後側スクリーン6R)をそれぞれ同時に昇降可能とする電動ロールスクリーンである。
図11(a)に示す巻取パイプ51F’,51R’は、それぞれ前側スクリーン6F及び後側スクリーン6Rを巻き取り、或いは巻き戻すことにより昇降させる機能部であり、それぞれ内部にエンコーダー8F,8R及びモーター9F,9Rを配設している(図示略)。巻取パイプ51F’,51R’は、取付フレーム1’の左右両側で支持される支持部材1a間に回転可能に軸支される。そして、取付フレーム1’内に、DC電源11(図示略)と、
図3に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、
図11(a)に示す電動ロールスクリーンについても、制御装置10は、「同方向下降制御」、「同方向上昇制御」、及び「異方向昇降制御」により、前後に配設される複数段の遮蔽材の各々を、電動で同時に昇降操作可能に制御する構成とすることができ、使い勝手が向上するようになる。
【0125】
また、
図11(b)に示す電動遮蔽装置は、前側遮蔽材(前側カーテン生地6F’)及び後側遮蔽材(後側カーテン生地6R’)をそれぞれ同時に昇降可能とする電動たくし上げカーテンである。
図11(b)に示すヘッドボックス1の前面から前側遮蔽材(前側カーテン生地6F’)が吊下支持され、ヘッドボックス1の前後方向中央の底面から突出する板片1bから後側遮蔽材(後側カーテン生地6R’)が吊下支持される。前側遮蔽材(前側カーテン生地6F’)及び後側遮蔽材(後側カーテン生地6R’)の各背面の幅方向両側近傍の上下方向中央部にはリング80が取着され、そのリング80にはそれぞれ昇降コード3F,3Rが挿通されている。各昇降コード3F,3Rの下端には本例ではフック式のコードキャッチ30が取着され、各コードキャッチ30を掛装するフック受部31が、前側遮蔽材(前側カーテン生地6F’)及び後側遮蔽材(後側カーテン生地6R’)の各下端部に取着されている。
図11(b)に示す巻取ドラム51F,51Rは、
図1に示す実施形態と同様に、それぞれ昇降コード3F,3Rの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ヘッドボックス1から吊下支持される前側遮蔽材(前側カーテン生地6F’)及び後側遮蔽材(後側カーテン生地6R’)を昇降させる。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8F,8R及びモーター9F,9Rを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、
図3に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、
図11(b)に示す電動たくし上げカーテンについても、制御装置10は、「同方向下降制御」、「同方向上昇制御」、及び「異方向昇降制御」により、前後に配設される複数段の遮蔽材の各々を、電動で同時に昇降操作可能に制御する構成とすることができ、使い勝手が向上するようになる。
【0126】
上述した
図1及び
図11に例示した電動遮蔽装置の制御装置10は、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能に制御するようになっているが、それぞれの遮蔽材を識別するような個別のコマンドを要することなく、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして上昇コマンド(種々の遮蔽材に対する開動作の指令であるため包括的に「開コマンド」とも称する。)、下降コマンド(種々の遮蔽材に対する閉動作鎖の指令であるため包括的に「閉コマンド」とも称する。)、及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能となっている。
【0127】
そして、スマートスピーカーや、スマートフォン等の移動端末により、インターネットベースのネットワーク経由で
図1及び
図11に例示した電動遮蔽装置を遠隔操作する遠隔操作システムを構築することができる。
【0128】
〔遠隔操作システム〕
以下、
図12を参照して、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を備える遠隔操作システムの一例を説明する。
図12は、本発明による一実施形態の電動遮蔽装置を備える遠隔操作システムの一例を概略的に示す図である。
【0129】
図12に示す遠隔操作システムは、上述した
図1及び
図11に例示した電動遮蔽装置と、インターネットベースのネットワーク接続が構築されたスマートスピーカー100、スマートフォン等の移動端末200、ルーター300、クラウドサーバー400、及び操作信号送信装置500と、を備える。
【0130】
スマートスピーカー100は、登録したユーザーUの音声を認識し、その音声に応じた処理をAI(Artificial Intelligence)機能で行う機器であり、本例では、このAI機能を利用する電動遮蔽装置の操作用のアプリケーションソフトウェアがインストールされている。このアプリケーションソフトウェアは、遮蔽材の開閉操作に係る特定の言語を示す音声を認識し、その開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドに変換し、更に、この変換した操作に関する各種コマンドをIP(Internet Protocol)形式の通信信号に変換する音声・通信信号変換部600としてスマートスピーカー100に機能させるようになっている。また、当該変換した操作に関する各種コマンドは、当該通信信号におけるIPヘッダに自機器を送信元とし宛先を操作信号送信装置500として、そのIP形式の通信信号におけるペイロードに格納される。これにより、スマートスピーカー100は、開閉操作に係る特定の言語を示す登録したユーザーUの音声を認識すると、ルーター300経由で(或いは、移動端末200経由でもよい)、当該変換した操作に関する各種コマンドを含む通信信号を操作信号送信装置500に送信する機能を有している。
【0131】
移動端末200は、例えばスマートフォン等の移動通信可能とする通信機器であり、当該電動遮蔽装置の操作用の操作画面200aを提示するアプリケーションソフトウェアがインストールされている。また、このアプリケーションソフトウェアの機能として、遮蔽材の開閉操作に係る特定の言語を示す音声を認識し、その開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドに変換し、更に、この変換した操作に関する各種コマンドをIP形式の通信信号に変換する音声・通信信号変換部600として移動端末200に機能させることもでき、更には、スマートスピーカー100に音声・通信信号変換部600の機能を持たせる代わりに、スマートスピーカー100と通信接続した状態で、移動端末200側のアプリケーションソフトウェアで、音声・通信信号変換部600を機能させる構成とすることもできる。
【0132】
移動端末200に提示される操作画面200aには、図示するように、開ボタン“(OPEN、又は△等)”221、閉ボタン“(CLOSE、又は▽等)”222、及び停止ボタン“(STOP、又は□等)”223が提示され、本例では、操作対象の電動遮蔽装置が回動操作可能なスラットを有する場合に向けて(スラットを有する電動遮蔽装置の実施形態は後述する。)、そのスラットのチルト動作を操作するための操作ボタンとして、全閉チルトボタン“(↑/↓)”226、及び逆全閉チルトボタン“(↓/↑)”227が設けられている。
【0133】
そして、開ボタン221の1回の押下で1回の上昇コマンドを送信でき、閉ボタン222の1回の押下で1回の下降コマンドを送信でき、停止ボタン223の1回の押下で1回の停止コマンドを送信できる。また、全閉チルトボタン“(↑/↓)”226、及び逆全閉チルトボタン“(↓/↑)”227については、押下している間、連続してスラットのチルト動作を操作させるためのコマンドが連続的に発信され、その押下を解除した時点で、連続的なコマンドの発信が停止するようになっている。
【0134】
従って、スマートスピーカー100及び移動端末200は、操作対象の電動遮蔽装置に向けて当該操作信号を発信させるよう、送信信号送信装置500に対し、開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドのいずれか1つを含む通信信号を送信する操作端末として構成される。
【0135】
特に、スマートスピーカー100、或いは移動端末200は、遮蔽材の開閉操作に係る特定の言語を示す音声を認識し、当該開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドに変換し、この変換したコマンドを含むIP形式の通信信号に変換する音声・通信信号変換部600を備えることで、操作対象の電動遮蔽装置に向けて当該操作信号を発信させるよう、送信信号送信装置500に対し、音声を基に、開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドのいずれか1つを含む通信信号を送信する音声操作装置として構成される。
【0136】
ルーター300は、各通信機器間(本例では、スマートスピーカー100、移動端末200、クラウドサーバー400、及び操作信号送信装置500間)の通信信号を中継する機器である。
【0137】
クラウドサーバー400は、移動端末200と操作信号送信装置500との間の通信を中継するインターネット上で動作するサーバーである(更には、スマートスピーカー100と操作信号送信装置500との間の通信を中継するシステム構成としてもよい。)。尚、クラウドサーバー400と同機能を有し、操作対象とする1以上の電動遮蔽装置の遮蔽材の開閉状態を監視して管理するホームサーバー(図示略)をクラウドサーバー400の代わりに設けてもよいし、或いは、当該ホームサーバー(図示略)を更に備えるシステム構成としてもよい。
【0138】
操作信号送信装置500は、スマートスピーカー100、又は移動端末200から受信した通信信号を受信すると、当該通信信号に格納される操作に関する各種コマンドを抽出し、操作対象とする1以上の当該電動遮蔽装置に近距離無線通信で(或いは、有線通信でもよい。)送信する装置であり、本例での遠隔操作システムに専用のデバイスである。尚、上述したボタン操作で各コマンドを指定し前記操作信号を発信する機能を有する有線スイッチ21、赤外線リモコン22、無線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)24等の通信端末などの外部機器を、操作信号送信装置500として構成することもできる。
【0139】
このように構成される
図12に示す遠隔操作システムにおいて、上述したように、電動遮蔽装置の制御装置10は、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能に制御するようになっているが、それぞれの遮蔽材を識別するような個別のコマンドを要することなく、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能となっている。
【0140】
そして、以下に説明するように、
図12に示す音声又は操作画面による操作で、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作することができ、
図13(a),(b)には、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における同方向下降制御の動作例と、同方向上昇制御の動作例を示している。
【0141】
〔音声による操作時〕
例えば音声による前後に配設される複数の遮蔽材の各々の下降操作を行うには、スマートスピーカー100における音声・通信信号変換部600の機能により(又は移動端末200における音声・通信信号変換部600の機能により)、1回目の「スクリーンを閉めて」の音声で、予め定めた一方の遮蔽材(例: 後側スクリーン6R)を下降させることができ(
図13(a-1)参照)、連続した2回目の「スクリーンを閉めて」の音声で、他方の遮蔽材(例: 前側スクリーン6F)を下降させることができる(
図13(a-2))参照)。
また、例えば音声による前後に配設される複数の遮蔽材の各々の上昇操作を行うには、スマートスピーカー100における音声・通信信号変換部600の機能により(又は移動端末200における音声・通信信号変換部600の機能により)、1回目の「スクリーンを開けて」の音声で、当該他方の遮蔽材(例: 前側スクリーン6F)を上昇させることができ(
図13(b-1)参照)、連続した2回目の「スクリーンを開けて」の音声で、当該一方の遮蔽材(例: 後側スクリーン6R)を上昇させることができる(
図13(b-2)参照)。
【0142】
〔操作画面による操作時〕
一方、移動端末200における操作画面200aによる操作では、前後に配設される複数の遮蔽材の各々の下降操作を行うには、閉ボタン222の1回の押下で1回目の下降コマンドを送信すると、予め定めた一方の遮蔽材(例: 後側スクリーン6R)を下降させることができ(
図13(a-1)参照)、連続した閉ボタン222の2回目の押下で2回目の下降コマンドを送信すると、他方の遮蔽材(例: 前側スクリーン6F)を下降させることができる(
図13(a-2))参照)。
また、移動端末200における操作画面200aによる操作では、前後に配設される複数の遮蔽材の各々の上昇操作を行うには、開ボタン221の1回の押下で1回目の上昇コマンドを送信すると、当該他方の遮蔽材(例: 前側スクリーン6F)を上昇させることができ(
図13(b-1)参照)、連続した開ボタン221の2回目の押下で2回目の上昇コマンドを送信すると、当該一方の遮蔽材(例: 後側スクリーン6R)を上昇させることができる(
図13(b-2)参照)。
【0143】
従って、本実施形態の電動遮蔽装置によれば、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能となり、利便性が向上するようになる。
【0144】
尚、上述した
図1及び
図11に例示した電動遮蔽装置では、前後に配設される複数の遮蔽材を有する例を説明したが、上下に配設される複数の遮蔽材を有する電動遮蔽装置についても同様に、
図12に示す音声又は操作画面による操作で、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作することができる。
【0145】
(別の実施形態)
図14(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による別の一実施形態の電動遮蔽装置の概略構成を示す平面図(見下げ図)、正面図及び側面図である。
図14に示す電動遮蔽装置の代表例として複数の遮蔽材を上下に連なって配設しそれぞれ昇降可能とする電動プリーツスクリーンを示している。尚、
図14では、
図1に示すものと同様な構成要素には同一の参照番号を付している。また、
図14において、駆動軸の回転によって、上下に連なって配設される複数の遮蔽材の各々を電動で昇降操作可能とするものであればこれに限定する必要はなく、例えば、プリーツスクリーン、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン、ロールスクリーン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下に連なって配設するように組み合わせたハイブリッド構成の電動遮蔽装置としてもよい。
【0146】
また、
図14(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンでは、複数種の昇降コード3U,3Lによって個別に昇降可能な上部遮蔽材としての上部スクリーン6U及び下部遮蔽材としての下部スクリーン6Lの2種類の遮蔽材を上下に連なって配設する例を示しているが、3種類以上の遮蔽材を前後方向に配設する電動プリーツスクリーンとしてもよい。
【0147】
図14(a)乃至(c)に示す一実施形態の電動プリーツスクリーンは、ヘッドボックス1の下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした上部スクリーン6Uが吊下支持され、その上部スクリーン6Uの下端は、錘部材として機能する中間レール7Uの上面に取着される。ヘッドボックス1は天井面等の取付面に対しブラケット15を介して固定される。
【0148】
本例の上部スクリーン6Uは、
図14(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下される昇降コード3U,3Lが挿通される。このため、昇降コード3U,3Lは上部スクリーン6Uの背面側に垂下して、
図14(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、上部スクリーン6Uの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3U,3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図14(c)に示すように、昇降コード3U,3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Uが垂下され、その下端が中間レール7Uに取着されている。このピッチ保持コード4Uには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3U,3Lが挿通されている。そして、中間レール7Uを下降させて上部スクリーン6Uを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Uの各支持コード40に支持されて、上部スクリーン6Uの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0149】
また、中間レール7Uの下面からジグザグ状に折り曲げ可能とした下部スクリーン6Lが吊下支持され、そのスクリーン6Lの下端は、錘部材として機能するボトムレール7Lの上面に取着される。
【0150】
本例の下部スクリーン6Lについても、上部スクリーン6Uと同様に、
図14(c)に示すように、ジグザグ状に折り曲げられる生地の室外側の折り目の位置に突出片60が設けられ、その突出片60には、丸孔又は長孔等で形成される挿通孔がそれぞれ設けられ、その挿通孔にはヘッドボックス1から垂下され中間レール7Uを貫通する昇降コード3Lが挿通される。このため、昇降コード3Lは下部スクリーン6Lの背面側に垂下して、
図14(b)に示すように正面視で視認できないようにして美観を高めている。ただし、本発明に関しては、下部スクリーン6Lの前後方向略中央部に挿通孔を設けて、その挿通孔に挿通される昇降コード3Lを正面視で視認できる形態でもよい。また、
図14(c)に示すように、昇降コード3Lの後方において、ヘッドボックス1からピッチ保持コード4Lが垂下され、その下端がボトムレール7Lに取着されている。このピッチ保持コード4Lには、等間隔に環状の支持コード40が多数設けられ、その支持コード40には、昇降コード3Lが挿通されている。そして、ボトムレール7Lを下降させて下部スクリーン6Lを引き伸ばすとき、その突出片60がピッチ保持コード4Lの各支持コード40に支持されて、下部スクリーン6Lの折り目がほぼ等間隔に保持されるようになっている。
【0151】
ヘッドボックス1内にて適所(本例では左右2箇所)に配設された各支持部材5に対し巻取ドラム51U,51Lが前後に並設されて回転可能に支持される。
【0152】
それぞれの巻取ドラム51Uには、昇降コード3U(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Uの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、中間レール7Uに取着される。巻取ドラム51Uは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Uが巻取ドラム51Uに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0153】
また、それぞれの巻取ドラム51Lには、昇降コード3L(本例では紐状コードであるが、テープ状の昇降テープでもよい)の上端が巻き取り、或いは巻き戻し可能に取着され、昇降コード3Lの下端は、上部スクリーン6Uの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、更に、中間レール7Uを貫通して、下部スクリーン6Lの室外側に設けられた各突出片60に形成される挿通孔を貫通し、ボトムレール7Lに取着される。巻取ドラム51Lは軸方向の一方に向かって径が徐々に細くなるように形成され、本例では紐状の昇降コード3Lが巻取ドラム51Lに順次螺旋状に巻かれていくようになっている。
【0154】
それぞれの巻取ドラム51Uの中心軸には駆動軸2Uが挿通され、駆動軸2Uの回転を巻取ドラム51Uに伝達し、且つ巻取ドラム51Uの駆動力を駆動軸2Uに伝達するようになっている。
【0155】
同様に、それぞれの巻取ドラム51Lの中心軸には駆動軸2Lが挿通され、駆動軸2Lの回転を巻取ドラム51Lに伝達し、且つ巻取ドラム51Lの駆動力を駆動軸2Lに伝達するようになっている。
【0156】
ところで、巻取ドラム51Uには、中間レール7Uの下降が障害物との接触により妨げられると駆動軸2Uの回転をロックするクラッチ機構52Uが障害物検知停止装置として設けられている。また、巻取ドラム51Lには、ボトムレール7Lの下降が障害物との接触により妨げられると駆動軸2Lの回転をロックするクラッチ機構52Lが障害物検知停止装置として設けられている。
【0157】
駆動軸2Uの一端は、駆動軸連結器20Uを介してモーター9Uの出力軸に連結され、モーター9Uの出力軸の回転が駆動軸2Uに伝達される。従って、モーター9Uの駆動力で駆動軸2Uを回転させ、駆動軸2Uの回転に基づいて昇降コード3Uを当該巻取ドラム51Uで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、中間レール7Uを昇降可能とし、これにより上部スクリーン6Uを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Uは、上部スクリーン6Uの下降時に昇降コード3Uに係る張力(上部スクリーン6U及び中間レール7Uの自重)を利用しているため、その駆動力が巻取ドラム51Uから駆動軸2Uに伝達し、この駆動軸2Uに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0158】
また、駆動軸2Lの一端は、駆動軸連結器20Lを介してモーター9Lの出力軸に連結され、モーター9Lの出力軸の回転が駆動軸2Lに伝達される。従って、モーター9Lの駆動力で駆動軸2Lを回転させ、駆動軸2Lの回転に基づいて昇降コード3Lを当該巻取ドラム51Lで巻き取り、或いは巻き戻すことにより、ボトムレール7Lを昇降可能とし、これにより下部スクリーン6Lを昇降させることができる。尚、巻取ドラム51Lは、下部スクリーン6Lの下降時に昇降コード3Lに係る張力(下部スクリーン6L及びボトムレール7Lの自重)を利用しているため、その駆動力が巻取ドラム51Lから駆動軸2Lに伝達し、この駆動軸2Lに係る駆動力を調節して下降制御される。
【0159】
モーター9U,9Lの各々の駆動制御は、ヘッドボックス1内に配設される制御装置10によって行われる。そして、ヘッドボックス1内には、モーター9U,9L、及び制御装置10へと電力供給するDC電源11が配設されている。制御装置10は、
図3に示すものと同様の構成要素からなり、有線スイッチ21、赤外線リモコン22、無線リモコン23、或いはパーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器(図示せず)から操作信号を受信すると、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応する電動遮蔽装置の各種制御を行う。
【0160】
尚、
図3に示す制御装置10は、マイクロコンピュータ部101、記憶部102、無線信号受信部103、赤外信号送受信部104、有線信号送受信部105、外部機器インターフェース(IF)部106、モーター駆動部107F,107R、異常検知部108F,108R、及びパルス検出部109F,109Rを備え、上部スクリーン6F及び下部スクリーン6Lに関する昇降制御を行うものとして説明したものであるが、本実施形態に係る制御装置10は、
図3に示す制御装置10におけるそれぞれの構成要素を上部スクリーン6F及び下部スクリーン6Lに関する昇降制御を行うものとして転用し、実質的に同様の制御を行う構成とすることができるため、更なる図示説明を省略する。
【0161】
例えばモーター9U,9LをそれぞれDCモーターで構成することで、制御装置10からモーター9U,9Lに供給するパルス信号のデューティ比を制御することにより、制御装置10は、モーター9U,9Lの回転速度を制御することができる。また、ヘッドボックス1内には駆動軸2U,2Lのそれぞれの回転速度及び回転量を検出するエンコーダー8U,8Lが配設され、制御装置10は、各エンコーダー8U,8Lから出力されるパルス信号に基づいて、そのエンコーダーパルスの速度及びパルス数のカウント値を管理して、モーター9U,9Lの回転速度及び回転量を制御する。このような動作により、当該操作信号内に含まれる各種のコマンドに対応して、制御装置10は、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降速度を適宜に調整するとともに、上部スクリーン6U、又は下部スクリーン6Lの昇降停止位置を制御する。
【0162】
このように構成された本実施形態の電動プリーツスクリーンでは、中間レール7Uをヘッドボックス1の直下まで引き上げて、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間に上部スクリーン6Uを折り畳んだ状態で、ボトムレール7Lを下降させれば、ヘッドボックス1から下部スクリーン6Lが所望位置まで遮蔽された状態となる。
【0163】
また、ボトムレール7Lを下限まで下降させた状態で、中間レール7Uをボトムレール7L上まで下降させると、中間レール7Uとボトムレール7Lとの間で下部スクリーン6Lが折り畳まれ、ヘッドボックス1と中間レール7Uとの間で上部スクリーン6Uが遮蔽された状態となる。従って、例えば上部スクリーン6Uを採光性生地とし、下部スクリーン6Lを遮光性生地とすれば、採光量調節の自由度を高めることができる。
【0164】
そして、ボトムレール7Lを下限まで下降させ、中間レール7Uをヘッドボックス1とボトムレール7との中間に位置させれば、採光性生地とした上部スクリーン6Uを透過した柔らかな光を採光することができる。
【0165】
また、ボトムレール7Lを上限まで引き上げて開放する場合には、中間レール7Uと共にボトムレール7Lを引き上げ、ヘッドボックス1とボトムレール7Lとの間に上部スクリーン6Uと下部スクリーン6Lとを折り畳んだ状態とすることができる。
【0166】
上述では、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は
図14に示す実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0167】
例えば、電動遮蔽装置は、上述した電動プリーツスクリーンに限らず、その一種でもあるハニカムスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン、ロールスクリーン等、或いはこれら異種遮蔽材を上下に連なって配設するように組み合わせたハイブリッド構成(例えば、上部遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、下部遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等)など、他の種類の電動遮蔽装置にも適用できる。
【0168】
そして、本実施形態においても、以下に説明するように、
図12に示す音声又は操作画面による操作で、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作することができ、
図15(a),(b)には、それぞれ本発明による一実施形態の電動遮蔽装置における同方向下降制御の動作例と、同方向上昇制御の動作例を示している。
【0169】
〔音声による操作時〕
例えば音声による上下に配設される複数の遮蔽材の各々の下降操作を行うには、非操作時の状態から(
図15(a-1)参照)、スマートスピーカー100における音声・通信信号変換部600の機能により(又は移動端末200における音声・通信信号変換部600の機能により)、1回目の「スクリーンを閉めて」の音声で、予め定めた一方の遮蔽材(例: 下部スクリーン6L)を下降させることができ(
図15(a-2)参照)、連続した2回目の「スクリーンを閉めて」の音声で、他方の遮蔽材(例: 上部スクリーン6U)を下降させることができる(
図15(a-3)参照)。
また、例えば音声による上下に配設される複数の遮蔽材の各々の上昇操作を行うには、非操作時の状態から(
図15(b-1)参照)、スマートスピーカー100における音声・通信信号変換部600の機能により(又は移動端末200における音声・通信信号変換部600の機能により)、1回目の「スクリーンを開けて」の音声で、当該他方の遮蔽材(例: 上部スクリーン6U)を上昇させることができ(
図15(b-2)参照)、連続した2回目の「スクリーンを開けて」の音声で、当該一方の遮蔽材(例: 下部スクリーン6L)を上昇させることができる(
図15(b-3)参照)。
【0170】
〔操作画面による操作時〕
一方、移動端末200における操作画面200aによる操作では、上下に配設される複数の遮蔽材の各々の下降操作を行うには、非操作時の状態から(
図15(a-1)参照)、閉ボタン222の1回の押下で1回目の下降コマンドを送信すると、予め定めた一方の遮蔽材(例: 下部スクリーン6L)を下降させることができ(
図15(a-2)参照)、連続した閉ボタン222の2回目の押下で2回目の下降コマンドを送信すると、他方の遮蔽材(例: 上部スクリーン6U)を下降させることができる(
図15(a-3)参照)。
また、移動端末200における操作画面200aによる操作では、上下に配設される複数の遮蔽材の各々の上昇操作を行うには、非操作時の状態から(
図15(b-1)参照)、開ボタン221の1回の押下で1回目の上昇コマンドを送信すると、当該他方の遮蔽材(例: 上部スクリーン6U)を上昇させることができ(
図15(b-2)参照)、連続した開ボタン221の2回目の押下で2回目の上昇コマンドを送信すると、当該一方の遮蔽材(例: 下部スクリーン6L)を上昇させることができる(
図15(b-3)参照)。
【0171】
従って、本実施形態の電動遮蔽装置によれば、上下に配設される複数の遮蔽材の各々を、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能となり、利便性が向上するようになる。
【0172】
上下に連なって遮蔽材を持つ他の電動遮蔽装置の典型例を
図16(a)乃至(c)にそれぞれ示している。
図16(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による典型的な他の実施形態の電動遮蔽装置に、本発明に係る制御装置を適用した例を示す概略的な側面図である。尚、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0173】
まず、
図16(a)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下される上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを持つ側面視でハニカム状の上部スクリーン6U)及び中間レール7Uから吊下される下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを持つ側面視でハニカム状の下部スクリーン6L)をそれぞれ昇降可能とする電動ハニカムスクリーンである。
図16(a)に示す巻取ドラム51U,51Lは、
図14に示す実施形態と同様に、昇降コード3U,3Lの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、上部スクリーン6U及び下部スクリーン6Lを昇降させる。尚、それぞれ上部スクリーン6Uにおける各ハニカム状を形成する接合片60’に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3U,3Lが挿通され、昇降コード3Uの下端は中間レール7Uに取着される。また、昇降コード3Lは、中間レール7Uを貫通し、下部スクリーン6Lにおける各ハニカム状を形成する接合片60’に設けられる挿通孔に挿通され、ボトムレール7Lに取着される。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8U,8L及びモーター9U,9Lを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、
図3に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、
図16(a)に示す電動ハニカムスクリーンについても、本発明に係る制御装置10の制御を適用できる。
【0174】
また、
図16(b)に示す電動遮蔽装置は、ヘッドボックス1から吊下されるラダーコード12Uにより支持される上部遮蔽材(下端に中間レール7Uを持つ例えば採光性生地による生地スラット群6U’)及びヘッドボックス1から吊下され中間レール7Uを貫通するラダーコード12Lにより支持される下部遮蔽材(下端にボトムレール7Lを持つ例えば遮光性のアルミスラット群6L’)をそれぞれ昇降可能とする電動横型ブラインドである。
図16(b)に示す巻取ドラム51U,51Lは、
図14に示す実施形態と同様に、昇降コード3U,3Lの上端を巻き取り、或いは巻き戻すことにより、生地スラット群6U’及びアルミスラット群6L’を昇降させる。尚、それぞれ生地スラット群6U’における前後方向略中央部に挿通孔が設けられ、この挿通孔に昇降コード3U,3Lが挿通され、昇降コード3Uの下端は中間レール7Uに取着される。また、昇降コード3Lは、中間レール7Uを貫通し、アルミスラット群6L’における前後方向略中央部に設けられる挿通孔に挿通され、ボトムレール7Lに取着される。そして、ラダーコード12U,12Lの縦糸の相対移動により、それぞれ生地スラット群6U’及びアルミスラット群6L’を回動させることができるが、その機構についての説明は省略する。ヘッドボックス1内には、それぞれエンコーダー8U,8L及びモーター9U,9Lを配設している(図示略)。そして、ヘッドボックス1内に、DC電源11(図示略)と、
図3に示すものと同様の制御装置10が配設される。従って、
図16(b)に示す電動横型ブラインドについても、本発明に係る制御装置10の制御を適用できる。
【0175】
また、
図16(c)に示すように、上部遮蔽材は、下端に中間レール7Uを持つ例えば採光性生地による生地スラット群6U’とし、下部遮蔽材は、下端にボトムレール7Lを持つ側面視でジグザグ状(ハニカム状でもよい)の下部スクリーン6Lとした、ハイブリッド構成の電動遮蔽装置に、
図3に示すものと同様の制御装置10を配設してもよい。他のハイブリッド構成の電動遮蔽装置として、図示を省略するが、例えば、上部遮蔽材には、たくし上げカーテン式の遮蔽材とし、下部遮蔽材には、プリーツスクリーン式の遮蔽材とする等のハイブリッド構成の電動遮蔽装置に、
図3に示すものと同様の制御装置10を配設してもよい。これらハイブリッド構成の電動遮蔽装置についても、本発明による制御装置10の制御を適用できる。
【0176】
従って、
図12に示す遠隔操作システムにおいて、前後又は上下に配設される複数の遮蔽材の各々を電動で開閉可能とする電動遮蔽装置は、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号を受信して、その複数の遮蔽材の各々の開閉を制御する制御装置10を備える。
【0177】
そして、制御装置10は、その複数の遮蔽材の各々の開閉が停止状態にあるときに開コマンドを示す操作信号を1回受信したときは当該複数の遮蔽材のうち予め定めた遮蔽材を開動作させるとともに、複数回連続して受信したときは、その連続した受信回数に応じて当該複数の遮蔽材を予め定めた順序で1つずつ開動作させる。
【0178】
また、制御装置10は、当該複数の遮蔽材の各々の開閉が停止状態にあるときに閉コマンドを示す操作信号を1回受信したときは当該複数の遮蔽材のうち予め定めた遮蔽材を閉動作させるとともに、複数回連続して受信したときは、その連続した受信回数に応じて当該複数の遮蔽材を予め定めた順序で1つずつ閉動作させる。
【0179】
そして、制御装置10は、当該複数の遮蔽材のうち1以上の遮蔽材が動作中に停止コマンドを示す操作信号を受信したときは、全ての遮蔽材の動作を停止するよう制御する。
【0180】
尚、直感的な操作性及び利便性の観点から、
図13又は
図15から理解されるように、制御装置10は、開動作を行うための当該予め定めた順序を、閉動作を行うための当該予め定めた順序とは逆順となるように制御するのが好適である。
【0181】
従って、本実施形態の電動遮蔽装置によれば、前後又は上下に配設される複数の遮蔽材の各々を、遮蔽材の開閉操作に係るコマンドとして開コマンド、閉コマンド及び停止コマンドを1組のみ有する操作信号により電動で昇降操作可能となり、利便性が向上するようになる。
【0182】
従って、本発明に係る電動遮蔽装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明によれば、前後に配設される複数の遮蔽材の各々を、電動で同時に昇降操作可能となり、使い勝手や利便性が向上するので、電動遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0184】
1 ヘッドボックス
1’ 取付フレーム
2F,2R 駆動軸
2U,2L 駆動軸
3F 前側スクリーン用の昇降コード
3R 後側スクリーン用の昇降コード
3U 上部スクリーン用の昇降コード
3L 下部スクリーン用の昇降コード
5 支持部材
6F 前側遮蔽材(前側スクリーン)
6F’ 前側遮蔽材(前側カーテン生地)
6R 後側遮蔽材(後側スクリーン)
6R’ 後側遮蔽材(後側カーテン生地)
6U 上部遮蔽材
6L 下部遮蔽材
7F 前側スクリーン用のボトムレール
7F’ 前側スクリーン用のウェイトバー
7R 後側スクリーン用のボトムレール
7R’ 前側スクリーン用のウェイトバー
7U 中間レール
7L ボトムレール
8F,8R エンコーダー
8U,8L エンコーダー
9F,9R モーター
9U,9L モーター
10 制御装置
11 DC電源
15 ブラケット
20F,20R 駆動軸連結器
20U,20L 駆動軸連結器
21 有線スイッチ
22 赤外線リモコン
23 無線リモコン
24 パーソナルコンピュータ(PC)
101 マイクロコンピュータ部
102 記憶部
103 無線信号受信部
104 赤外線信号送受信部
105 有線信号送受信部
106 外部機器インターフェース(IF)部
100 スマートスピーカー
200 移動端末
300 ルーター
400 クラウドサーバー
500 操作信号送信装置
600 音声・通信信号変換部