(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】データ管理用中継装置およびデータ管理装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20241011BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241011BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20241011BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H04W16/26
A61B5/00 102C
H04W4/38
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2020119852
(22)【出願日】2020-07-13
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 宏靖
(72)【発明者】
【氏名】高橋 修一
(72)【発明者】
【氏名】平林 康彦
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061150(JP,A)
【文献】特開2016-214873(JP,A)
【文献】特開2005-217646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
A61B 5/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ管理用中継装置と、データ管理装置と、を備える見守りシステムであって、
各前記データ管理用中継装置
は、
無線モジュールと、通信モジュールと、前記無線モジュールおよび前記通信モジュールを用いて通信を行う中継コントローラと、を備え、
前記中継コントローラは、
前記無線モジュールを介してペアリングをした無線測定器から送信されたパケットであって、前記無線測定器による測定データを含むパケットを前記無線モジュールを介して受信し、受信したパケットに前記データ管理用中継装置の識別情報を含ませて、そのパケットを前記通信モジュールを介して中継送信
し、
前記データ管理装置は、
通信装置と、前記通信装置を用いて通信を行う管理コントローラと、を備え、
前記管理コントローラは、
前記無線測定器との間でペアリングをしたことを示すペアリング完了パケットであって、ペアリングをした前記無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、複数の前記データ管理中継装置のうちのいずれかから前記通信装置を介して受信し、
前記ペアリング完了パケットに含まれていた識別情報を含むペアリング禁止パケットを、複数の前記データ管理中継装置のうちの他の中継装置に前記通信装置を介して送信し、
前記ペアリング禁止パケットは、
前記ペアリング禁止パケットに含まれる識別情報によって特定される前記無線測定器との間の無線通信を、前記他の中継装置に禁止させるためのパケットであることを特徴とする
見守りシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の見守りシステムであって、
前記管理コントローラは、
前記無線測定器との間でペアリングをした前記データ管理用中継装置から送信され、前記測定データと、前記測定データについてのデータ種別情報と、前記データ管理用中継装置の識別情報とを含むパケットを前記通信装置を介して受信し、前記測定データと、前記データ種別情報と、前記データ管理用中継装置の識別情報とを対応付けることを特徴とする見守りシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の見守りシステムであって、
前記管理コントローラは、
前記データ管理中継装置との間でペアリングをした前記無線測定器から送信され、前記データ管理中継装置がペアリングをした前記無線測定器による前記測定データを含み、前記データ管理中継装置が中継送信をしたパケットを、前記通信装置を介して受信することを特徴とする見守りシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の見守りシステムであって、
前記中継コントローラは、
前記無線測定器から前記無線モジュールを介してペアリング要求パケットを受信することに応じて、前記無線測定器との間でペアリングをし、
ペアリングをした前記無線測定器の識別情報を記述したペアリングリストを記憶し、
前記通信モジュールを介して
前記ペアリング禁止パケットを受信したときは、前記ペアリング禁止パケットに含まれている識別情報と同一の識別情報を、前記ペアリングリストから削除することを特徴とする
見守りシステム。
【請求項5】
請求項
4に記載の
見守りシステムであって、
前記中継コントローラは、
前記無線測定器から前記無線モジュールを介して前記ペアリング要求パケットを受信すると共に、前記無線測定器との間でペアリングをするための操作がユーザによってなされたときに、前記無線測定器との間でペアリングをすることを特徴とする
見守りシステム。
【請求項6】
請求項
4または請求項
5に記載の
見守りシステムであって、
前記中継コントローラは、
前記無線測定器との間でペアリングをしたときは、前記無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、前記通信モジュールを介して送信することを特徴とする
見守りシステム。
【請求項7】
無線モジュールと、通信モジュールと、前記無線モジュールおよび前記通信モジュールを用いて通信を行う中継コントローラと、を備え、
前記中継コントローラは、
無線測定器から前記無線モジュールを介してペアリング要求パケットを受信することに応じて、前記無線測定器との間でペアリングをし、
ペアリングをした前記無線測定器の識別情報を記述したペアリングリストを記憶し、
前記通信モジュールを介してペアリング禁止パケットを受信したときは、前記ペアリング禁止パケットに含まれている識別情報と同一の識別情報を、前記ペアリングリストから削除することを特徴とするデータ管理用中継装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ管理用中継装置において、
前記中継コントローラは、
前記無線測定器から前記無線モジュールを介して前記ペアリング要求パケットを受信すると共に、前記無線測定器との間でペアリングをするための操作がユーザによってなされたときに、前記無線測定器との間でペアリングをすることを特徴とするデータ管理用中継装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のデータ管理用中継装置において、
前記中継コントローラは、
前記無線測定器との間でペアリングをしたときは、前記無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、前記通信モジュールを介して送信することを特徴とするデータ管理用中継装置。
【請求項10】
通信装置と、前記通信装置を用いて通信を行う管理コントローラと、を備え、
前記管理コントローラは、
無線測定器との間でペアリングをしたことを示すペアリング完了パケットであって、ペアリングをした当該無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、複数の中継装置のうちのいずれかから前記通信装置を介して受信し、
前記ペアリング完了パケットに含まれていた識別情報を含むペアリング禁止パケットを、複数の前記中継装置のうちの他の中継装置に前記通信装置を介して送信し、
前記ペアリング禁止パケットは、
前記ペアリング禁止パケットに含まれる識別情報によって特定される無線測定器との間の無線通信を、複数の前記中継装置のうちの他の中継装置に禁止させるためのパケットであることを特徴とするデータ管理装置。
【請求項11】
請求項10に記載のデータ管理装置において、
前記管理コントローラは、
前記中継装置との間でペアリングをした無線測定器から送信され、前記中継装置がペアリングをした当該無線測定器による測定データを含み、前記中継装置が中継送信をしたパケットを、前記通信装置を介して受信することを特徴とするデータ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理用中継装置およびデータ管理装置に関し、特に、無線測定器と中継装置との間のペアリング、およびパケットの中継送信に関する。
【背景技術】
【0002】
病室から離れた管理室で、患者の容態を観察する見守りシステムにつき研究開発が行われている。患者の容態は、例えば、体温、血圧、動脈血酸素飽和度(SpO2)、心拍数、心電図等を示す各バイタルデータによって表される。患者には、バイタルデータを取得するための無線測定器が装着される。無線測定器は、病室に設置された中継装置にバイタルデータを送信する。中継装置はバイタルデータを受信し、管理室に設置されたデータ管理装置に無線通信または有線通信によってバイタルデータを送信する。
【0003】
以下の特許文献1には、本願発明に関連するシステムとして中継装置を備える通信システムが記載されている。この通信システムでは、予め登録された無線端末から送信されたパケットに対してのみ中継装置(認証スイッチ)が中継を行い、登録されていない無線端末から送信されたパケットの中継を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
見守りシステムでは、医師、看護師等のユーザが、無線測定器を患者に装着あるいは患者の近傍に配置し、無線測定器を測定可能な状態とする(セッティングする)必要がある。近年、新型コロナウィルス等の院内感染が懸念されており、無線測定器のセッティングを簡単にし、ユーザと患者との接触頻度を低減することが望まれている。また、引用文献1に記載されているような従来の通信システムを見守りシステムに応用した場合、複数の患者のそれぞれに対してセッティングされた無線測定器からデータ管理装置に送信された各バイタルデータを、患者ごとに個別に収集する処理が複雑になることがある。
【0006】
本発明の目的は、通信システムにおける無線測定器のセッティングを簡単にすると共に、無線測定器から送信されるデータの管理を簡単にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のデータ管理用中継装置と、データ管理装置と、を備える見守りシステムであって、各前記データ管理用中継装置は、無線モジュールと、通信モジュールと、前記無線モジュールおよび前記通信モジュールを用いて通信を行う中継コントローラと、を備え、前記中継コントローラは、前記無線モジュールを介してペアリングをした無線測定器から送信されたパケットであって、前記無線測定器による測定データを含むパケットを前記無線モジュールを介して受信し、受信したパケットに前記データ管理用中継装置の識別情報を含ませて、そのパケットを前記通信モジュールを介して中継送信し、前記データ管理装置は、通信装置と、前記通信装置を用いて通信を行う管理コントローラと、を備え、前記管理コントローラは、前記無線測定器との間でペアリングをしたことを示すペアリング完了パケットであって、ペアリングをした前記無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、複数の前記データ管理中継装置のうちのいずれかから前記通信装置を介して受信し、前記ペアリング完了パケットに含まれていた識別情報を含むペアリング禁止パケットを、複数の前記データ管理中継装置のうちの他の中継装置に前記通信装置を介して送信し、前記ペアリング禁止パケットは、前記ペアリング禁止パケットに含まれる識別情報によって特定される前記無線測定器との間の無線通信を、前記他の中継装置に禁止させるためのパケットである、ことを特徴とする。望ましくは、前記管理コントローラは、前記無線測定器との間でペアリングをした前記データ管理用中継装置から送信され、前記測定データと、前記測定データについてのデータ種別情報と、前記データ管理用中継装置の識別情報とを含むパケットを前記通信装置を介して受信し、前記測定データと、前記データ種別情報と、前記データ管理用中継装置の識別情報とを対応付ける。望ましくは、前記管理コントローラは、前記データ管理中継装置との間でペアリングをした前記無線測定器から送信され、前記データ管理中継装置がペアリングをした前記無線測定器による前記測定データを含み、前記データ管理中継装置が中継送信をしたパケットを、前記通信装置を介して受信する。望ましくは、前記中継コントローラは、前記無線測定器から前記無線モジュールを介してペアリング要求パケットを受信することに応じて、前記無線測定器との間でペアリングをし、ペアリングをした前記無線測定器の識別情報を記述したペアリングリストを記憶し、前記通信モジュールを介して前記ペアリング禁止パケットを受信したときは、前記ペアリング禁止パケットに含まれている識別情報と同一の識別情報を、前記ペアリングリストから削除する。望ましくは、前記中継コントローラは、前記無線測定器から前記無線モジュールを介して前記ペアリング要求パケットを受信すると共に、前記無線測定器との間でペアリングをするための操作がユーザによってなされたときに、前記無線測定器との間でペアリングをする。望ましくは、前記中継コントローラは、前記無線測定器との間でペアリングをしたときは、前記無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、前記通信モジュールを介して送信する。
【0008】
また、本発明は、無線モジュールと、通信モジュールと、前記無線モジュールおよび前記通信モジュールを用いて通信を行う中継コントローラと、を備え、前記中継コントローラは、無線測定器から前記無線モジュールを介してペアリング要求パケットを受信することに応じて、前記無線測定器との間でペアリングをし、ペアリングをした前記無線測定器の識別情報を記述したペアリングリストを記憶し、前記通信モジュールを介してペアリング禁止パケットを受信したときは、前記ペアリング禁止パケットに含まれている識別情報と同一の識別情報を、前記ペアリングリストから削除することを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記中継コントローラは、前記無線測定器から前記無線モジュールを介して前記ペアリング要求パケットを受信すると共に、前記無線測定器との間でペアリングをするための操作がユーザによってなされたときに、前記無線測定器との間でペアリングをする。
【0010】
望ましくは、前記無線測定器との間でペアリングをしたときは、前記無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、前記通信モジュールを介して送信する。
【0012】
また、発明は、通信装置と、前記通信装置を用いて通信を行う管理コントローラと、を備え、前記管理コントローラは、無線測定器との間でペアリングをしたことを示すペアリング完了パケットであって、ペアリングをした当該無線測定器の識別情報を含むペアリング完了パケットを、複数の中継装置のうちのいずれかから前記通信装置を介して受信し、 前記ペアリング完了パケットに含まれていた識別情報を含むペアリング禁止パケットを、複数の前記中継装置のうちの他の中継装置に前記通信装置を介して送信し、前記ペアリング禁止パケットは、前記ペアリング禁止パケットに含まれる識別情報によって特定される無線測定器との間のペアリングを、複数の前記中継装置のうちの他の中継装置に禁止させるためのパケットであることを特徴とする。
【0013】
望ましくは、前記管理コントローラは、前記中継装置との間でペアリングをした無線測定器から送信され、前記中継装置がペアリングをした当該無線測定器による測定データを含み、前記中継装置が中継送信をしたパケットを、前記通信装置を介して受信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信システムにおける無線測定器のセッティングを簡単にすると共に、無線測定器から送信されるデータの管理を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】無線測定器のハードウエアの例を示す図である。
【
図4】中継装置のハードウエアの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
各図を参照して本発明の実施形態に係る見守りシステムについて説明する。複数の図面に示されている同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を簡略化する。
図1には、本発明の実施形態に係る見守りシステム100の構成が示されている。見守りシステム100は、データ管理装置22、中継装置14-1~14-M、および無線測定器16-1~16-Mを備えており、バイタルデータを管理するシステムを構成する。ここで、Mは任意の正の整数である。
【0017】
病室20-1~20-Mのそれぞれには、複数の無線測定器が配置されている。すなわち、複数の無線測定器16-jが病室20-jに配置されている。ここで、jは、1~Mのうちいずれかの整数である。無線測定器16-jは、中継装置14-jとの間で無線通信を行う無線モジュール、およびバイタルデータ測定器を備えている。無線モジュールは、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)等の規格に従う無線機器であってよい。
【0018】
本実施形態においては、バイタルデータ測定器は、体温計、血圧計、パルスオキシメータ、テレメトリ送信機および温湿度計のうちのいずれかである。1つのバイタルデータ測定器は、複数種の測定器を含んでもよい。体温計は患者の体温を測定し体温データをバイタルデータ(測定データ)として生成する。血圧計は、患者の血圧を測定し血圧データをバイタルデータ(測定データ)として生成する。パルスオキシメータは患者のSpO2および心拍数を測定し、SpO2データおよび心拍数データをバイタルデータ(測定データ)として生成する。テレメトリ送信機は患者の心拍数データ、および心拍数が正常範囲内であるか否かを示す心拍アラームデータをバイタルデータ(測定データ)として生成する。温湿度計は病室の温度および湿度を測定し、温度データおよび湿度データをバイタルデータ(測定データ)として生成する。
【0019】
中継装置14-1~14-Mは、それぞれ、病室20-1~20-Mに配置されている。中継装置14-jは、無線測定器16-jと通信装置12との間でパケットの中継送信をし、患者のバイタルデータを管理するためのデータ管理用中継装置として動作する。
【0020】
中継装置14-jは、無線測定器16-jとペアリングをすることで、無線測定器16-jとの間でパケットの送受信が可能な状態となる。中継装置14-jは、ペアリングをした無線測定器16-jの識別情報が記述されたペアリングリストを記憶する。ペアリングリストは、例えば、患者が入院した際に更新される。ペアリング後の通信において中継装置14-jはパケットを受信したときは、そのパケットから送信元の識別情報を抽出する。中継装置14-jは、自らが記憶するペアリングリストに送信元の識別情報が記述されている場合には、受信したパケットを中継送信する。一方、送信元の識別情報がペアリングリストに記述されていないときは、受信したパケットに対する処理を終了する。中継装置14-jは、ペアリングリストから無線測定器16-jの識別情報が削除されたときは、無線測定器16-1とのペアリングを解消する。ペアリングで実行される詳細な処理については後述する。
【0021】
無線測定器16-jから中継装置14-jおよび通信装置12を介して、管理コントローラ10にバイタルデータが送信される処理について説明する。無線測定器16-jが備えるバイタルデータ測定器はバイタルデータを生成し、無線測定器16-jはバイタルデータを含むバイタルデータパケットを生成する。バイタルデータパケットは、バイタルデータが、体温データ、血圧データ、SpO2データ、心拍数データ、心拍アラームデータ、温度データおよび湿度データのうちいずれであるかを示すバイタル種別情報(データ種別情報)を含む。無線測定器16-jはバイタルデータパケットに自らの識別情報を送信元識別情報として含ませた上で、無線信号によってバイタルデータパケットを送信する。バイタルデータパケットには、少なくとも送信元識別情報、バイタル識別情報およびバイタルデータが含まれるが、無線測定器16-jがペアリングをした中継装置14-jの識別情報が、中継機情報として含まれてもよい。
【0022】
中継装置14-jはバイタルデータパケットを受信し、受信したバイタルデータパケットに含まれる送信元識別情報が、ペアリング済みの無線測定器16-jの識別情報であるか否かを判定する。中継装置14-jは、送信元識別情報が、ペアリング済みの無線測定器の識別情報であるときは、バイタルデータパケットに自らの識別情報を中継装置識別情報として含ませ、さらにデータ管理装置22の識別情報を宛先情報として含ませた上で、そのバイタルデータパケットを無線信号によって中継送信する。中継装置14-jは、送信元識別情報が、ペアリング済みの無線測定器の識別情報でないときは、受信したバイタルデータパケットに対する処理を終了する。
【0023】
なお、送信元識別情報が、ペアリング済みの無線測定器16-jの識別情報であるか否かの判定は、中継装置14-jが記憶するペアリングリストに送信元識別情報と同一の識別情報が記述されているか否かに基づいて行われる。また、中継装置14-jがバイタルデータパケットを中継送信する際には、中継装置14-jが受信したバイタルデータパケットに含まれていた中継機情報が、中継装置14-jの識別情報と一致するか否かの判定が行われてもよい。この場合、中継装置14-jはバイタルデータパケットに含まれていた中継機情報が、中継装置14-jの識別情報と一致するときにバイタルデータパケットの中継送信を実行する。また、中継装置14-jはバイタルデータパケットに含まれていた中継機情報が、中継装置14-jの識別情報と一致しないときにバイタルデータパケットに対する処理を終了する。
【0024】
データ管理装置22は、管理コントローラ10および通信装置12を備え、患者のバイタルデータを管理する。管理コントローラ10は、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ等の汎用のコンピュータであってよい。また、管理コントローラ10は、患者のバイタルデータを管理するために特別に設計された装置であってもよい。管理コントローラ10はプログラムを実行することで自らの機能を実現する演算装置によって構成されてよい。
【0025】
また、管理コントローラ10は、インターネット等の通信回線上に設けられた1つまたは複数のコンピュータと、ディスプレイ、キーボード等のユーザインターフェイスを含む端末装置とによって構成されてよい。この場合、端末装置が管理室に配置される一方で、通信回線上のコンピュータは、通信回線上のあらゆる場所に配置されてよい。管理コントローラ10が、複数のコンピュータによって構成される場合、管理コントローラ10が実行する処理を、複数のコンピュータが分散的に実行してもよい。
【0026】
管理コントローラ10は、患者を識別する患者ID(IDentification)と、病室20-jの部屋番号Jとが対応付けられた患者IDテーブル24をユーザの操作に応じて生成し、記憶する。このテーブル作成操作は、例えば、患者が入院するときに行われる。患者IDテーブル24では、さらに、部屋番号Jに対して、中継装置識別情報が予め対応付けられている。中継装置識別情報は、病室20-jに固定配置された中継装置14-jを識別する情報である。
【0027】
通信装置12は、中継装置14-jから送信されたバイタルデータパケットを受信する。通信装置12は、バイタルデータパケットに含まれていた宛先情報が、データ管理装置22の識別情報と一致するときは、受信したバイタルデータパケットを管理コントローラ10に出力する。通信装置12は、バイタルデータパケットに含まれていた宛先情報が、データ管理装置22の識別情報と一致しないときは、バイタルデータパケットに対する処理を終了する。
【0028】
管理コントローラ10は、バイタルデータパケットから中継装置識別情報、バイタル種別情報およびバイタルデータを抽出する。管理コントローラ10は、さらに、自らが記憶する患者IDテーブル24を参照し、バイタルデータパケットから抽出した中継装置識別情報に対応する患者IDを求める。管理コントローラ10は、バイタル種別情報に基づいて、バイタルデータパケットから抽出したバイタルデータが、体温データ、血圧データ、SpO2データ、心拍数データ、心拍アラームデータ、温度データおよび湿度データのうちいずれの種別であるかを特定する。管理コントローラ10は、患者IDと、バイタルデータの種別と、バイタルデータ(体温データ、血圧データ、SpO2データ、心拍数データ、心拍アラームデータ、温度データおよび湿度データのうち、バイタルデータパケットに含まれていたデータ)とを対応付けて表す患者バイタルデータセットを生成する。
【0029】
管理コントローラ10は、ユーザの操作に応じて患者バイタルデータセットをディスプレイに表示してよい。また、管理コントローラ10は、患者バイタルデータセットを自らが備えるメモリや、インターネット上に構築されたクラウド等のストレージに記憶してもよい。管理コントローラ10は、患者バイタルデータセットに基づいて、患者の容態が異常であるか否かを判定してもよい。この場合、管理コントローラ10は、患者の容態が異常であるときは警告処理を実行する。警告処理には、例えば、ディスプレイにユーザの注意を促す情報を表示する、警告音を発する等の処理がある。患者の容態が異常であるか否かの判定は、例えば、体温、血圧、SpO2、心拍数等が予め定められた正常範囲内であるか否かに基づいて行われてよい。
【0030】
図2には、本実施形態に係る見守りシステム100が実行するペアリング処理が示されている。ただし、
図2では、管理コントローラ10と中継装置14-jおよび14-xとの間の通信経路に介在する通信装置12が省略されている。ペアリング処理は、例えば、患者が入院し患者が病室20-jに入室した際に実行される。
【0031】
ペアリングは、無線測定器16-jがペアリング要求パケットを送信することで開始される。無線測定器16-jは、自らの識別情報を要求元識別情報として含ませたペアリング要求パケットを送信する(S1)。この処理は、例えば、無線測定器16-jが備えるペアリング要求用スイッチの操作に応じて、無線測定器16-jが実行してもよい。中継装置14-jはペアリング要求パケットを受信し、ペアリング要求パケットから要求元識別情報を抽出する。中継装置14-jは、自らが記憶するペアリングリストに要求元識別情報と同一の識別情報が記述されている場合には、自らの識別情報を許可側識別情報として含ませたペアリング許可パケットを、無線測定器16-jに送信する(S2)。無線測定器16-jは、ペアリング許可パケットを受信し、ペアリング許可パケットから許可側識別情報を抽出する。
【0032】
また、中継装置14-jは、自らが記憶するペアリングリストに要求元識別情報と同一の識別情報が記述されていない場合には、ユーザの操作に応じてペアリング許可パケットを送信する。例えば、中継装置14-jは、操作キーおよびディスプレイを備えたものとされる。中継装置14-jは、自らが記憶するペアリングリストに要求元識別情報と同一の識別情報が記述されていない場合には、ペアリングをすべき無線測定器の指定入力待ちであることを示す入力待ち情報をディスプレイに表示する。ディスプレイには、要求元識別情報によって特定される無線測定器を指定するリストが表示されてもよい。入力待ち情報が表示されているときに操作キーによって、ペアリングすべき無線測定器が指定されると、中継装置14-jは、操作キーによって指定された無線測定器の識別情報をペアリングリストに記述する。中継装置14-jは、自らの識別情報を許可側識別情報として含ませたペアリング許可パケットを、要求元識別情報が特定する無線測定器に宛てて送信する。このような処理によれば、ユーザの操作によって指定された無線測定器と中継装置14-jとの間でペアリングが完了する。
【0033】
なお、中継装置14-jが備える操作キーおよびディスプレイの代わりに、あるいは、中継装置14-jが備える操作キーおよびディスプレイと共に、スマートフォン、タブレット等の情報端末装置が備える操作キーおよびディスプレイが用いられてもよい。情報端末装置は、医師、看護師等のユーザまたは患者によって操作されてよい。この場合、中継装置14-jは無線通信または有線通信によって情報端末装置を制御する。そして、情報端末装置は、無線通信または有線通信によって中継装置14-jを制御する。
【0034】
ペアリング要求パケットを受信した中継装置14-jは、自らが記憶するペアリングリストに要求元識別情報と同一の識別情報が記述されていない場合には、ペアリングをすべき無線測定器の指定入力待ちであることを示す入力待ち情報を情報端末装置のディスプレイに表示する。入力待ち情報が表示されているときに情報端末装置の操作キーによって、ペアリングすべき無線測定器が指定されると、中継装置14-jは、情報端末装置の操作キーによって指定された無線測定器の識別情報をペアリングリストに記述する。中継装置14-jは、自らの識別情報を許可側識別情報として含ませたペアリング許可パケットを、要求元識別情報が特定する無線測定器に宛てて送信する。
【0035】
ステップS1およびS2によって、中継装置14-jは、ペアリングの相手の識別情報として要求元識別情報を認識し、無線測定器16-jは、ペアリングの相手の識別情報として許可側識別情報を認識する。これによって、中継装置14-jおよび無線測定器16-jはペアリングを完了する。ペアリングを完了した後は、無線測定器16-jおよび中継装置14-jは、相互に認識した相手の識別情報を用いてパケットの送受信を行うことが可能となる。
【0036】
中継装置14-jおよび無線測定器16-jがペアリングを完了すると、中継装置14-jは、要求元識別情報を含むペアリング完了パケットを管理コントローラ10に送信する(S3)。管理コントローラ10は、ペアリング完了パケットを受信し、ペアリング完了パケットから要求元識別情報を抽出する。管理コントローラ10は、要求元識別情報をペアリング禁止識別情報として含むペアリング禁止パケットを、中継装置14-jとは異なる他の中継装置14-xに送信する(S4)。中継装置14-xは、中継装置14-jを除く他の総ての中継装置であってよい。
【0037】
中継装置14-xは、ペアリング禁止パケットを受信し、ペアリング禁止パケットからペアリング禁止識別情報を抽出する。中継装置14-xは、自らが記憶するペアリングリストにペアリング禁止識別情報と同一の識別情報が記述されているときは、ペアリング禁止識別情報と同一の識別情報をペアリングリストから削除する。
【0038】
このようなペアリング処理によれば、中継装置14-jが無線測定器16-jとの間でペアリングを完了したときは、他の中継装置14-xが無線測定器16-jとの間で通信することが禁止される。これによって、病室20-jに配置された無線測定器16-jは、病室20-jに配置された中継装置14-jとの間で確実にペアリングし、その中継装置14-jとの間で通信をする。そのため、管理コントローラ10において、患者IDと、無線測定器16-jから送信されたバイタルデータとが確実に対応付けられる。
【0039】
上記のペアリング処理において、中継装置14-jが記憶するペアリングリストに無線測定器16-jの識別情報を記述する処理は、管理コントローラ10から通信装置12を介して、中継装置14-jに無線測定器16-jの識別情報を送信することで行われてよい。管理コントローラ10から中継装置14-jに無線測定器16-jの識別情報を送信する処理は、患者が入院した際に実行されてよい。
【0040】
また、本発明の実施形態に係る見守りシステム100によれは、患者IDと、病室20-jの部屋番号Jと、中継装置識別情報によって特定される中継装置を介して取得された各バイタルデータとが、患者IDテーブル24によって対応付けられる。患者の入院に際しては、患者IDと部屋番号Jとを対応付けた情報を患者IDテーブル24に反映させればよく、各バイタルデータを取得するための複数の無線測定器と患者IDとを対応付けなくてもよい。これによって、無線測定器のセッティングが簡単になる。
【0041】
さらに、本発明の実施形態に係る見守りシステム100では、病室とは異なる管理室に配置された管理コントローラ10で、各患者のバイタルデータが取得される。また、管理コントローラ10が、病室とは異なる管理室に配置された端末装置と、通信回線上にある1つまたは複数のコンピュータとによって構成される場合には、端末装置で、各患者のバイタルデータが取得される。これによって、医師、看護師等のユーザが患者に接触する頻度が低減される。
【0042】
上記では、バイタルデータ測定器が、体温計、血圧計、パルスオキシメータおよびテレメトリ送信機および温湿度計のうちいずれかであり、バイタルデータが、体温データ、血圧データ、SpO2データ、心拍数データ、心拍アラームデータ、温度データおよび湿度データのうちいずれかである実施形態が示された。バイタルデータ測定器はその他の測定器であってもよい。例えば、バイタルデータ測定器は、照度計、気圧計、紫外線計、騒音計等であってもよい。
【0043】
また、上記では、通信装置12が、各中継装置14-1~14-Mとの間で無線通信を行う実施形態について説明した。通信装置12は、各中継装置14-1~14-Mとの間で有線通信を行ってもよい。この場合、通信装置12と、各中継装置14-1~14-Mとの間がLAN(Local Area Network)等の有線通信回線によって接続されてもよい。
【0044】
図3には、無線測定器16-jのハードウエアの例が示されている。無線測定器16-jは、測定器コントローラ30、無線モジュール32、バイタルデータ測定器34およびメモリ36を備えている。無線モジュール32は、測定器コントローラ30から出力されたパケットを無線送信する。また、無線モジュール32は、無線信号によってパケットを受信し、受信したパケットを測定器コントローラ30に出力する。無線モジュール32は、Bluetooth、BLE等の規格に従う無線機器であってよい。
【0045】
バイタルデータ測定器34は、体温計、血圧計、パルスオキシメータ、テレメトリ送信機、温湿度計等のうちいずれかである。バイタルデータ測定器34は、体温計、血圧計、パルスオキシメータ、テレメトリ送信機、温湿度計等のうち複数のいずれかを含んでもよい。バイタルデータ測定器34は、測定データとしてバイタルデータを生成し、測定器コントローラ30に出力する。
【0046】
メモリ36には、測定器コントローラ30が実行するプログラムが記憶されている。測定器コントローラ30は、メモリ36に記憶されたプログラムを実行し、無線測定器16-jの機能を実現するために必要な処理を実行する。また、測定器コントローラ30は、プログラムの実行の過程で生成された情報を一時的にメモリ36に記憶してもよい。
【0047】
測定器コントローラ30は、無線モジュール32を介して、
図2に示されているペアリング処理を実行する。また、測定器コントローラ30はバイタルデータパケットを生成し、バイタルデータパケットを無線モジュール32に出力する。
【0048】
図4には、中継装置14-jのハードウエアの例が示されている。中継装置14-jは、中継コントローラ40、無線モジュール42、通信モジュール44およびメモリ46を備えている。無線モジュール42は、中継コントローラ40から出力されたパケットを無線送信する。また、無線モジュール42は、無線信号によってパケットを受信し、受信したパケットを中継コントローラ40に出力する。無線モジュール42は、Bluetooth、BLE等の規格に従う無線機器であってよい。
【0049】
通信モジュール44は、データ管理装置22との間で通信を行う。通信モジュール44が無線通信を行う場合、通信モジュール44は、中継コントローラ40から出力されたパケットをデータ管理装置22に向けて無線送信する。また、通信モジュール44は、データ管理装置22から無線送信されたパケットを受信し、受信したパケットを中継コントローラ40に出力する。通信モジュール44が有線通信を行う場合、通信モジュール44はLAN等の有線通信回線によってデータ管理装置22に接続される。通信モジュール44は、中継コントローラ40から出力されたパケットを、有線通信回線を介してデータ管理装置22に送信する。また、通信モジュール44は、データ管理装置22から送信されたパケットを有線通信回線を介して受信し、受信したパケットを中継コントローラ40に出力する。なお、通信モジュール44とデータ管理装置22との間は、有線通信回線および無線通信回線が組み合わされた通信回線で接続されてもよい。
【0050】
メモリ46には、中継コントローラ40が実行するプログラムが記憶されている。中継コントローラ40は、メモリ46に記憶されたプログラムを実行し、中継装置14-jの機能を実現するために必要な処理を実行する。また、中継コントローラ40は、プログラムの実行の過程で生成された情報を一時的にメモリ46に記憶してもよい。
【0051】
また、メモリ46には、ペアリングリスト、パケットの中継送信に用いられる情報等が記憶されている。中継コントローラ40は、メモリ46に記憶されている情報を参照することで、無線モジュール42を介して、
図2に示されているペアリング処理を実行する。
【符号の説明】
【0052】
10 管理コントローラ、12 通信装置、14-1~14-M 中継装置、16-1~16-M 無線測定器、20-1~20-M 病室、22 データ管理装置、24 患者IDテーブル、30 測定器コントローラ、32,42 無線モジュール、34 バイタルデータ測定器、36,46 メモリ、40 中継コントローラ、44 通信モジュール、100 見守りシステム。