(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】離散時間スーパーヘテロダインミキサ
(51)【国際特許分類】
H04B 1/26 20060101AFI20241011BHJP
H04B 1/30 20060101ALI20241011BHJP
H03D 7/00 20060101ALI20241011BHJP
H03D 7/16 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H04B1/26 A
H04B1/30
H03D7/00 D
H03D7/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020144351
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-23
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510145967
【氏名又は名称】ユー-ブロックス、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】u-blox AG
【住所又は居所原語表記】Zuercherstrasse 68, CH-8800 Thalwil, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン、ビーミッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ミチ、マクラガー
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-266452(JP,A)
【文献】特開平09-130148(JP,A)
【文献】特開2007-158545(JP,A)
【文献】国際公開第2013/111565(WO,A1)
【文献】特開平02-288641(JP,A)
【文献】米国特許第04888557(US,A)
【文献】特開昭62-213317(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199600(WO,A1)
【文献】特開2018-182411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/26
H04B 1/30
H03D 7/00
H03D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部発振器によって提供される局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングし、離散時間サンプリングされた
アナログ信号を得るように構成された1つまたは複数のミキサと、
前記1つまたは複数のミキサに結合され、前記1つまたは複数のミキサから受信されたサンプルの系列を再配列するように構成されたサンプル再配列回路と、
を備える受信器。
【請求項2】
前記1つまたは複数のミキサが、前記受信器がスーパーヘテロダインモードで動作するよう、前記サンプリングされた信号を、前記入力アナログ信号の周波数と前記局部発振信号の周波数との差によって決定される中間周波数に偏移させることを遂行するように構成されている、請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
前記受信器がゼロ中間周波数(ゼロIF)モードで動作するよう、前記局部発振信号の周波数が前記入力アナログ信号の周波数と同じである、請求項1に記載の受信器。
【請求項4】
クロック信号を前記サンプル再配列回路に提供するように構成されたクロック発生器をさらに備え、
前記クロック信号の周波数がf
LO/Nであり、ここで、f
LOは前記局部発振信号の周波数であり、Nは整数である、請求項1に記載の受信器。
【請求項5】
前記1つまたは複数のミキサが、
第1、第2、第3、および第4の同相スイッチを含む複数の同相スイッチを含む第1のミキサと、
第1、第2、第3、および第4の直交位相スイッチを含む複数の直交位相スイッチを含む第2のミキサと、を含む、請求項1に記載の受信器。
【請求項6】
前記サンプル再配列回路が、スイッチの第1のセット、スイッチの第2のセット、スイッチの第3のセット、およびスイッチの第4のセットを含み、スイッチの前記第1、第2、第3、および第4のセットの各々が、並列に接続された第1、第2、第3、および第4のスイッチをそれぞれ含み、
前記第1のミキサの前記第1、第2、第3、および第4の同相スイッチの各々の出力が、前記サンプル再配列回路の、それぞれ、スイッチの前記第1のセット、第2のセット、第3のセット、および第4のセットに結合されており、
前記第2のミキサの前記第1、第2、第3、および第4の直交位相スイッチの各々の出力が、前記サンプル再配列回路の、それぞれ、スイッチの前記第1のセット、第2のセット、第3のセット、および第4のセットに結合されている、請求項5に記載の受信器。
【請求項7】
前記サンプル再配列回路に結合され、前記サンプル再配列回路からの出力信号をフィルタリングするように構成されたフィルタをさらに備え、
前記フィルタが第1のキャパシタおよび第2のキャパシタを含み、
前記サンプル再配列回路のスイッチの前記第1のセットの出力が前記フィルタの前記第1のキャパシタの第1の端子に結合されており、前記サンプル再配列回路のスイッチの前記第2のセットの出力が前記フィルタの前記第1のキャパシタの第2の端子に結合されており、
前記サンプル再配列回路のスイッチの前記第3のセットの出力が前記フィルタの前記第2のキャパシタの第1の端子に結合されており、前記サンプル再配列回路のスイッチの前記第4のセットの出力が前記フィルタの前記第2のキャパシタの第2の端子に結合されている、請求項6に記載の受信器。
【請求項8】
前記サンプル再配列回路のスイッチの前記第1のセット、スイッチの前記第2のセット、スイッチの前記第3のセット、およびスイッチの前記第4のセットの1つまたは複数のスイッチがトランジスタである、請求項6に記載の受信器。
【請求項9】
前記サンプル再配列回路が、単一のクロック信号を受信するように構成されている、請求項6に記載の受信器。
【請求項10】
前記サンプル再配列回路が、2つの異なるクロック信号を受信するように構成されている、請求項6に記載の受信器。
【請求項11】
前記2つの異なるクロック信号が、f
LO/Nの周波数偏移に対応するサンプル再配列系列を制御する第1のクロック信号、および-f
LO/Nの周波数偏移に対応するサンプル再配列系列を制御する第2のクロック信号を含み、ここで、f
LOは前記局部発振信号の周波数であり、Nは整数である、請求項10に記載の受信器。
【請求項12】
前記サンプル再配列回路が、並列に接続された第1のサンプル再配列回路および第2のサンプル再配列回路を含み、
前記第1および第2のサンプル再配列回路の各々が、スイッチの第1のセット、スイッチの第2のセット、スイッチの第3のセット、およびスイッチの第4のセットを含み、スイッチの前記第1、第2、第3、および第4のセットの各々が、並列に接続された第1、第2、第3、および第4のスイッチをそれぞれ含み、
前記第1のミキサの前記第1、第2、第3、および第4の同相スイッチの各々の出力が、前記第1および第2のサンプル再配列回路の、それぞれ、スイッチの前記第1のセット、第2のセット、第3のセット、および第4のセットに結合されており、
前記第2のミキサの前記第1、第2、第3、および第4の直交位相スイッチの各々の出力が、前記第1および第2のサンプル再配列回路の、それぞれ、スイッチの前記第1のセット、第2のセット、第3のセット、および第4のセットに結合されており、
前記第1のサンプル再配列回路内のスイッチの前記第1、第2、第3、および第4のセットの各々における前記第2のスイッチおよび前記第4のスイッチが、前記第2のサンプル再配列回路内のスイッチの前記第1、第2、第3、および第4のセットの各々における前記第4のスイッチおよび前記第2のスイッチにそれぞれ対応する、請求項5に記載の受信器。
【請求項13】
前記受信器が、
前記第1および第2のサンプル再配列回路に結合され、前記第1および第2のサンプル再配列回路からの出力信号をフィルタリングするように構成されたフィルタをさらに備え、
前記フィルタが第1のキャパシタおよび第2のキャパシタを含み、
前記第1および第2のサンプル再配列回路のスイッチの前記第1のセットの出力が前記フィルタの前記第1のキャパシタの第1の端子に結合されており、前記第1および第2のサンプル再配列回路のスイッチの前記第2のセットの出力が前記フィルタの前記第1のキャパシタの第2の端子に結合されており、
前記第1および第2のサンプル再配列回路のスイッチの前記第3のセットの出力が前記フィルタの前記第2のキャパシタの第1の端子に結合されており、前記第1および第2のサンプル再配列回路のスイッチの前記第4のセットの出力が前記フィルタの前記第2のキャパシタの第2の端子に結合されている、請求項12に記載の受信器。
【請求項14】
前記1つまたは複数のミキサに結合され、前記入力アナログ信号を前記1つまたは複数のミキサに提供するように構成された低雑音増幅器をさらに備え、
前記入力アナログ信号が差動信号であり、前記低雑音増幅器が、
前記第1のミキサの前記第1の同相スイッチ、前記第1のミキサの前記第2の同相スイッチ、前記第2のミキサの前記第1の直交位相スイッチ、および前記第2のミキサの前記第2の直交位相スイッチに結合された第1の差動出力と、
前記第1のミキサの前記第3の同相スイッチ、前記第1のミキサの前記第4の同相スイッチ、前記第2のミキサの前記第3の直交位相スイッチ、および前記第2のミキサの前記第4の直交位相スイッチに結合された第2の差動出力と、を含む、請求項5に記載の受信器。
【請求項15】
前記局部発振器が、前記第1のミキサおよび前記第2のミキサをそれぞれ駆動するための0°および90°の位相偏移を含む複数の位相偏移を有する前記局部発振信号を提供するように構成されている、請求項5に記載の受信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に従う装置および方法は、概して、受信器に関し、より詳細には、離散時間スーパーヘテロダインミキサを含む装置、および装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信デバイス(例えば、セルラー電話)内の受信器はアンテナを通じて入力信号(例えば、無線周波数信号)を受信し、入力信号をベースバンド周波数信号に変換する。この変換は、直接変換(すなわち、ゼロ中間周波数)受信器によって、または入力信号を初期段階で中間周波数に変換するスーパーヘテロダイン受信器によって行われ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ゼロ中間周波数受信器は、通例、基本搬送波の奇数調波周波数に位置するブロッカによって生じる干渉に対して脆弱である。他方で、従来のスーパーヘテロダイン受信器は、通例、オフチップアーキテクチャを有し、イメージ除去のための、電力を大量消費するフィルタを必要とする。当技術における改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態によれば、受信器が提供される。受信器は、局部発振器によって提供される局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングし、離散時間サンプリングされた信号を得るように構成された1つまたは複数のミキサと、1つまたは複数のミキサに結合され、1つまたは複数のミキサから受信されたサンプルの系列を再配列するように構成されたサンプル再配列回路と、を含む。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、受信器が提供される。受信器は、複数の局部発振信号を複合することによって複素局部発振信号を発生するように構成された局部発振器と、局部発振器に結合され、複素局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングし、離散時間サンプリングされた信号を得るように構成された1つまたは複数のミキサと、を含む。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態によれば、また、入力アナログ信号を処理するための方法が提供される。本方法は、局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を得ることと、サンプリングされた信号内のサンプルの系列を再配列することと、を含む。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、また、入力アナログ信号を処理するための別の方法が提供される。本方法は、複数の局部発振信号の複合に基づいて複素局部発振信号を発生することと、発生された複素局部発振信号に基づいて複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングすることと、を含む。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態によれば、また、デバイスが提供される。デバイスは、入力アナログ信号を受信し、複数の動作モードで動作するように構成された受信器であって、受信器が、複数の局部発振信号を発生するように構成された局部発振器、および複数の局部発振信号の局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を得るように構成された1つまたは複数のミキサ、を含む、受信器と、受信器の性能に基づいて受信器の動作モードを複数の動作モードのうちの別の動作モードに切り替えるべきかどうかを決定するように構成されたコントローラと、を含む。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、また、受信器を動作させるための方法であって、受信器が、複数の動作モードで動作するように構成され得る、方法が提供される。本方法は、受信器を複数の動作モードのうちの第1の動作モードで動作させることと、受信器の性能がしきい値レベルよりも低いかどうかを決定することと、受信器の性能がしきい値レベルよりも低いとの決定に応じて、帯域内ブロッカ信号が検出されたかどうかを決定することと、帯域内ブロッカ信号が検出されていないとの決定に応じて、受信器の第1の動作モードを複数の動作モードのうちの第2の動作モードに切り替えることと、を含む。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態によれば、また、デバイスが提供される。デバイスは、複数の動作モードで動作するように各々構成された複数の受信器であって、複数の受信器の各々が、複数の局部発振信号を提供するように構成された局部発振器を含む、複数の受信器と、複数の受信器の性能を比較し、複数の受信器のうちの少なくとも1つの受信器の動作モードを複数の動作モードのうちの別の動作モードに切り替えるべきかどうかを決定するように構成されたコントローラと、を含む。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、また、複数の受信器を含むデバイスを動作させるための方法であって、複数の受信器の各々が、複数の動作モードで動作するように構成されている、方法が提供される。本方法は、第1の局部発振信号に基づいて複数の受信器のうちの第1の受信器を第1の動作モードで動作させることと、第2の局部発振信号に基づいて複数の受信器のうちの第2の受信器を第2の動作モードで動作させることと、第1の受信器と第2の受信器との性能の差がしきい値よりも大きいかどうかを決定することと、性能の差がしきい値よりも大きいとの決定に応じて、第1の受信器の動作モードまたは第2の受信器の動作モードを複数の動作モードのうちの別の動作モードに切り替えることと、を含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コントローラのプロセッサによって実行されたときに、入力アナログ信号を処理するための方法を遂行する命令を内部に記憶した非一時的コンピュータ可読媒体がさらに提供される。本方法は、局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を得ることと、サンプル再配列回路によって、サンプリングされた信号内のサンプルの系列を再配列することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な設計を示す概略図である。
【
図2A】サンプル再配列回路を実装しないゼロ中間周波数(intermediate frequency、IF)受信器の混合波形の例示的な時間領域プロットを示す概略図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態に一致する、サンプル再配列回路を実装したゼロIF受信器の混合波形の例示的な時間領域プロットを示す概略図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態に一致する、サンプル再配列回路を実装したゼロIF受信器の混合波形の例示的な周波数領域プロットを示す概略図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態に一致する、サンプル再配列回路を実装したゼロIF受信器の別の混合波形の例示的な周波数領域プロットを示す概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な構成を示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の別の例示的な構成を示す概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の別の例示的な構成を示す概略図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な設計を示す概略図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に一致する、信号を処理するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態に一致する、信号を処理するための別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態に一致する、デバイスのブロック図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器を動作させるための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な設計を示す概略図である。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器を動作させるための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付の図面に例が示された、例示的な諸実施形態を詳細に参照する。以下の説明は添付の図面を参照し、図面において、異なる図面における同じ符号は、別途示されない限り、同じまたは同様の要素を表す。例示的な諸実施形態の以下の説明において示される諸実装形態は、本開示に従う全ての実装形態を表すものではない。むしろ、それらは、添付の請求項において列挙されるとおりの本開示に関連する諸態様に従うシステム、装置、および方法の単なる例にすぎない。
【0015】
ゼロIF受信器は、通例、受動サンプリングミキサを用い、基本搬送波の奇数調波周波数に位置するブロッカによって生じる干渉に対して脆弱である。ブロッカによって生じる干渉は、受信器入力においてローパスフィルタを追加することによって抑制され得る。しかし、このようなローパスフィルタは、受信器のサイズの増大、および受信器設計のコストの増大をもたらし得る。さらに、このようなローパスフィルタは受信器信号経路内における挿入損失を生じさせ得、これにより、受信器の性能を劣化させる。
【0016】
高調波ブロッカの問題は、スーパーヘテロダイン受信器を採用することによって緩和され得る。しかし、スーパーヘテロダイン受信器は、通例、オフチップアーキテクチャを有し、イメージ除去のための、高価で電力を大量消費するフィルタを必要とする。したがって、ローパスフィルタを必要とせず、高調波ブロッカに対する脆弱性を有しない、オンチップの統合された受信器を有することが望ましい。
【0017】
さらに、ロングタームエボリューション(LTE)キャリアアグリゲーション(CA)受信器のために、受信器は、2つ以上の周波数の信号を同時に受信することを必要とされる。これは、通例、2つの別個の搬送波周波数の発生を必要とする。この周波数発生プロセスは不要な周波数スパーの発生をもたらし得、このとき、スパーは、その結果として、伝送された信号と複合し、干渉を生み出し得る。不要なスパーの可能性は、CAコンポーネントの数が増大するのに従って増大する。5G LTEでは、最大16個のCAコンポーネントが存在する。したがって、干渉を回避するために十分な周波数アジリティを有する受信器を有することが望ましい。
【0018】
本開示の諸実施形態は、ミキサによって発生された入力信号の時間離散サンプルの系列を変更し、これにより、入力信号の混合波形を変更するためのサンプル再配列回路を実装する受信器を提供する。本開示の諸実施形態はまた、複素局部発振信号を発生し、複素局部発振信号に基づいて入力信号をサンプリングし、これにより、サンプル再配列回路を用いることなく、入力信号の所望の混合波形を得る受信器を提供する。本開示の諸実施形態は、受信器の性能に基づいて受信器の動作モードを別の動作モードに切り替えることによって、単一の受信器または複数の受信器を動作させる方法をさらに提供する。
【0019】
本開示において開示される諸実施形態は1つ以上の技術的効果を有する。実施形態によっては、受信器は、離散時間の混合されたサンプルを再配列することによって、または複素局部発振信号に基づいて入力信号を混合することによって、アナログ入力信号の混合波形を変更する能力を有する。これは、選択されたチャネルの中心周波数とは異なる周波数における局部発振周波数の使用を可能にし、これにより、ゼロIF受信器において高調波ブロッカによって生じる干渉を抑制し、信号品質の向上をもたらす。実施形態によっては、受信器は、同相ミキサおよび直交位相ミキサを含む2つ以上のミキサを実装し得る。これは負の周波数のイメージ除去を可能にし、信号品質の向上をもたらす。実施形態によっては、諸方法は、受信器の性能を監視し、時間離散の混合されたサンプルを再配列することによって、または複素局部発振信号に基づいて信号を混合することによって、受信器の動作モードを別の動作モードに切り替えることを提供する。これは受信器の性能の劣化を防止し得、受信器のアジリティの向上をもたらす。
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な設計を示す概略図である。
図1を参照すると、例示的な受信器100は、アンテナ102と、フィルタ104と、低雑音増幅器(LNA)106と、ミキサ108と、サンプル再配列回路110と、モードセレクタ118を含むベースバンドコントローラ116と、局部発振信号(LO)発生器120とを含む。ミキサ108は第1のミキサ112および第2のミキサ114を含む。LO発生器120は、位相同期ループ(PLL)回路122および局部発振信号(LO)コンストラクタ124を含む。アンテナ102は、1つまたは複数の信号源から信号を受信するように構成され得る。実施形態によっては、アンテナ102によって受信された信号は通信システムにおける無線周波数(RF)信号であり得る。しかし、信号はそのように限定されず、このため、アンテナ102によって受信された信号は、任意の信号源から伝送される任意の電磁波であることができる。
【0021】
アンテナ102によって受信された信号は、まず、関心範囲の外部の周波数を抑制するために、フィルタ104(例えば、バンドパスフィルタ)を通過させられる。フィルタリングされた信号は、次に、LNA106に伝えられ、LNA106によって増幅される。一実施形態では、LNA106は、増幅された信号のパラメータを制御するコントローラを含み得る。パラメータは、ゲイン、雑音、直線性、帯域幅、出力ダイナミックレンジ、スルーレート、立ち上がり速度、行き過ぎ量、または安定係数のうちの少なくとも1つを含み得る。一実施形態では、フィルタ104は受信器100内に実装されず、LNA106はアンテナ102に直接結合されている。
【0022】
実施形態によっては、LNA106は、例えば、
図1に示されるように、単一入力-差動出力型の増幅器であり得る。実施形態によっては、LNA106は、代わりに、差動入力-差動出力型の増幅器であり得る。
図1では、LNA106は、正の成分(例えば、RFpと表される正の成分を有するRF電圧信号)を有する信号を出力する正の差動出力126、および負の成分(例えば、RFnと表される負の成分を有するRF電圧信号)を有する信号を出力する負の差動出力128を含む。一実施形態では、差動出力126および128の各々は同相信号および直交位相信号を出力し得る。一実施形態では、LNA106は任意選択的なものであり得、省略されてもよい。
【0023】
一実施形態では、ミキサ112は同相ミキサであってもよく、ミキサ114は直交位相ミキサであってもよい。本実施形態では、同相ミキサ112は、LNA106の差動出力126および128に結合され、正の差動出力126からの正の同相信号および負の差動出力128からの負の同相信号を受信するように構成され得る。同様に、直交位相ミキサ114は、LNA106の差動出力126および128に結合され、正の差動出力126からの正の直交位相信号および負の差動出力128からの負の直交位相信号を受信するように構成され得る。ミキサ112および114の各々は、LO発生器120によって提供される局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において、受信された増幅された信号をサンプリングし、離散時間サンプリングされた信号を得るように構成され得る。
【0024】
ミキサ112および114によって得られた、離散時間サンプリングされた信号は、次に、ミキサ112および114に結合されているサンプル再配列回路110へ伝送される。サンプル再配列回路110は、ミキサ112および114から受信されたサンプルに対して別のサンプリングを遂行することによって、ミキサ112および114から受信されたサンプルの系列を変更するように構成されている。一実施形態では、サンプル再配列回路110におけるサンプリングは、LO発生器120によって発生されるクロック信号によって制御される。クロック信号は、ミキサ108のために発生される局部発振信号を分割することによって発生され得る。
【0025】
例えば、LO発生器120は、基準信号を発生する、水晶発振器、または電圧制御発振器、あるいは同様のもの(図示せず)などの基準発振器を含み得る。PLL122は基準信号を受信し、発振器信号を発生する。LOコンストラクタ124はPLL122からの発振器信号を受信し、受信器100のための局部発振信号を発生する。LOコンストラクタ124によって発生される局部発振信号が、ミキサ108に提供される局部発振信号である。ミキサ108のための局部発振信号の周波数はfLOと表され得る。一実施形態では、LOコンストラクタ124は、周波数fLOを分割し、サンプル再配列回路110のためのクロック信号として用いられるさらなる局部発振信号を発生する周波数分割器を含む。サンプル再配列回路110のためのクロック信号の周波数はfLO/Nと表され得、ここで、Nは整数である。例えば、N=4である場合には、サンプル再配列回路110のためのクロック信号の周波数はfLO/4であり、このクロック信号がサンプル再配列回路110におけるサンプリングを制御し、これにより、サンプルを再配列された信号の波形を制御する。代替的な一実施形態では、サンプル再配列回路110は、LO発生器120から独立したその独自のクロック信号発生器を有し得る。別の実施形態では、LO発生器120は、サンプル再配列回路110のための複数の異なるクロック信号を発生するように構成され得る。
【0026】
実施形態によっては、サンプル再配列回路110は、ミキサ112および114によって最初にサンプリングされた正の同相信号(Ip)、負の同相信号(In)、正の直交位相信号(Qp)、および負の直交位相信号(Qn)に対して第2のサンプリングを遂行し、サンプリングされた信号をベースバンドコントローラ116へ出力する。ベースバンドコントローラ116は、サンプリングされた信号の品質をチェックし、所望の波形を決定する。所望の波形に基づいて、ベースバンドコントローラ116のモードセレクタ118はモードを選択し、フィードバック信号をサンプル再配列回路110に提供する。例えば、現在の動作モードがゼロIFモードであり、ベースバンドコントローラ116が、サンプリングされた信号の品質が満足のいくものでないと決定した場合には、モードセレクタ118はゼロIFモード以外のモードを選択し、フィードバック信号をサンプル再配列回路110に提供し得る。サンプル再配列回路110は、フィードバック信号に基づいてサンプルの所望の再配列系列を決定する。代替的な一実施形態では、サンプル再配列回路110は、LO発生器120が所望のクロック信号をサンプル再配列回路110に提供することができるよう、フィードバック信号(図示せず)をLO発生器120に提供し得る。
【0027】
一実施形態では、モードセレクタ118によって選択されるモードはスーパーヘテロダインモードであり得、これにより、受信器100はスーパーヘテロダインモードで動作する。本実施形態では、再配列動作によって、サンプル再配列回路110は、サンプリングされた信号を、入力信号の周波数と局部発振信号の周波数との差によって決定される中間周波数に偏移させる。偏移の量は、モードセレクタ118によって提供されるフィードバック信号によって決定される。
【0028】
ミキサ、例えば、ミキサ108に結合されたサンプル再配列回路、例えば、サンプル再配列回路110を利用することによって、ミキサから出力された離散時間サンプルが再配列され、これにより、オフチップアーキテクチャ、および電力を大量消費するフィルタを実装することなく、スーパーヘテロダイン受信器の効果が達成される。その結果、局部発振周波数は、所望のチャネルの中心周波数とは異なる周波数となることができ、これにより、ゼロIFモードにおける高調波ブロッカによって生じる干渉を抑制する。さらに、離散時間直交位相ミキサ、例えば、直交位相ミキサ114を用いることによって、負の周波数のイメージ除去が達成され、信号品質をさらに向上させる。
【0029】
図2Aは、サンプル再配列回路を実装しないゼロIF受信器の混合波形の例示的な時間領域プロットを示す概略図である。例えば、混合波形200は、サンプル再配列回路を実装しない、
図1のミキサ108などの、ミキサによって得られ得る。
図2Aを参照すると、同相混合波形(
図2Aの上)については、1つの局部発振信号周期Tにわたって、ミキサ108が、同相差動RF入力(RFpおよびRFn)を、図のy軸上の(1,0,-1,0)に対応する、(RFp,0,RFn,0)の系列でベースバンド出力に切り替え、同じ出力を後続の周期において繰り返す。直交位相混合波形(
図2Aの下)については、1つの局部発振信号周期Tにわたって、ミキサ110が、直交位相差動RF入力(RFpおよびRFn)を、図のy軸上の(0,1,0,-1)に対応する、(0,RFp,0,RFn)の系列でベースバンド出力に切り替え、同じ出力を後続の周期において繰り返す。したがって、有効ゼロIF混合波形は局部発振周波数においてピークを有し、局部発振周波数は、選択されたチャネルの中心にある。これは、受信器が、奇数調波周波数に位置するブロッカによって生じる干渉に対して脆弱であることを指示する。RFローパスフィルタおよび/またはバンドパスフィルタが、サンプル再配列を行わないゼロIF受信器を感受性低下から保護するべくLO高調波におけるRFエネルギーを減衰させるために必要とされ得る。
【0030】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に一致する、サンプル再配列回路を実装したゼロIF受信器の混合波形の例示的な時間領域プロットを示す概略図である。例えば、混合波形210は、ミキサ108から出力された時間離散サンプルに対して第2のサンプリングを遂行する、
図1のサンプル再配列回路110などの、サンプル再配列回路を実装することによって得られ得る。混合波形200と比較されると、混合波形210は異なる有効混合信号を有する。
図2Bを参照すると、同相混合波形(
図2Bの上)については、4つの局部発振信号周期4Tにわたって、ミキサ108が、同相差動RF入力(RFpおよびRFn)を、図のy軸上の(1,0,-1,0)、(0,1,0,-1)、(-1,0,1,0)および(0,-1,0,1)に対応する、(RFp,0,RFn,0)、(0,RFp,0,RFn)、(RFn,0,RFp,0)および(0,RFn,0,RFp)の系列でベースバンド出力に切り替える。直交位相混合波形(
図2Bの下)については、4つの局部発振信号周期4Tにわたって、ミキサ110が、直交位相差動RF入力(RFpおよびRFn)を、図のy軸上の(0,1,0,-1)、(-1,0,1,0)、(0,-1,0,1)および(1,0,-1,0)に対応する、(0,RFp,0,RFn)、(RFn,0,RFp,0)、(0,RFn,0,RFp)および(RFp,0,RFn,0)の系列でベースバンド出力に切り替える。したがって、局部発振周波数は、所望のチャネルの中心とは異なる周波数にある。これは、奇数調波周波数に位置する高調波ブロッカによって生じる干渉を抑制し得る。
【0031】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態に一致する、サンプル再配列回路を実装したゼロIF受信器の混合波形300の例示的な周波数領域プロットを示す概略図である。
図3Aに示されるように、一例では、局部発振信号周波数は0.8GHzであり、その一方で、所望のチャネルの中心周波数は1GHzである。すなわち、発生される局部発振信号は、選択された周波数チャネルの中心周波数よりも低い周波数にあり、これはハイサイド混合と呼ばれる。
図3Aに示されるように、奇数調波における信号の振幅は低減される。
【0032】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に一致する、サンプル再配列回路を実装したゼロIF受信器の別の混合波形310の例示的な周波数領域プロットを示す概略図である。
図3Bに示されるように、一例では、局部発振信号周波数は1.33GHzであり、その一方で、所望のチャネルの中心周波数は1GHzである。すなわち、発生される局部発振信号は、選択された周波数チャネルの中心周波数よりも高い周波数にあり、これはローサイド混合と呼ばれる。
図3Aに示されるように、奇数調波における信号の振幅は低減される。
【0033】
このように、サンプル再配列回路を実装した受信器は、高調波ブロッカによって生じる干渉を抑制し得、これにより、ブロッカのための高価なフィルタを利用することなく、信号品質を向上させる。
【0034】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な構成を示す概略図である。
図4を参照すると、例示的な受信器400は、低雑音増幅器(LNA)406と、ミキサ408と、サンプル再配列回路410とを含む。明確にするために、
図4は、アンテナ、アナログ-デジタル変換器等などの受信器400の他の構成要素を省略する。LNA406へ伝送される信号は差動信号を含み得、LNA406は差動入力-差動出力型の増幅器であり得る。LNA406は、正の成分(例えば、正の成分RFpを有するRF電圧信号)を有する信号を出力する正の差動出力484、および負の成分(例えば、負の成分RFnを有するRF電圧信号)を有する信号を出力する負の差動出力486を含む。差動出力484および486の各々は同相信号および直交位相信号をミキサ408へ出力し得る。
【0035】
ミキサ408は同相ミキサ412および直交位相ミキサ414を含む。同相ミキサ412は、図に示されるように配置されたトランジスタ436、438、440、および442を含み、直交位相ミキサ414は、図に示されるように配置されたトランジスタ444、446、448、および450を含む。ミキサ412および414内のトランジスタの各々は、ミキサ制御信号セット420内に含まれる、対応する制御信号によって制御される。ミキサ制御信号セット420は、同相の正の信号、直交位相の正の信号、同相の負の信号、および直交位相の負の信号のサンプリングをそれぞれ制御するように構成された、同相の正の制御信号Ip、直交位相の正の制御信号Qp、同相の負の制御信号In、および直交位相の負の制御信号Qnを含む。制御信号Ip、Qp、In、およびQnの各々はパルス状信号である。4つの制御信号Ip、Qp、In、およびQnは同じパルス幅を有する。4つの制御信号Ip、Qp、In、およびQnのパルスは、パルスのパルス幅だけ互いに時間偏移させられる。例えば、パルスが終了していくようIpが高い信号レベルから低い信号レベルへ立ち下がる際に、Qpが低い信号レベルから高い信号レベルへ立ち上がる。
【0036】
同相ミキサ412においては、トランジスタ436が(信号セット420内の)同相の正の制御信号Ipによって制御され、トランジスタ438および440が(信号セット420内の)同相の負の制御信号Inによって制御され、トランジスタ442が(信号セット420内の)同相の正の制御信号Ipによって制御される。同様に、直交位相ミキサ414においては、トランジスタ444が(信号セット420内の)直交位相の正の制御信号Qpによって制御され、トランジスタ446および448が(信号セット420内の)直交位相の負の制御信号Qnによって制御され、トランジスタ450が(信号セット420内の)直交位相の正の制御信号Qpによって制御される。ミキサ制御信号セット420は、
図1におけるLO発生器120などの、局部発振信号発生器によって発生される局部発振信号であり得る。直交位相制御信号は、同相制御信号から、90°の位相偏移によって発生され得る。
【0037】
同相ミキサ412内のトランジスタの各々は、LNA406の差動出力484および486に結合されており、正の差動出力484からの正の同相信号および負の差動出力486からの負の同相信号を受信するように構成されている。同様に、直交位相ミキサ414内のトランジスタの各々は、LNA406の差動出力484および486に結合されており、正の差動出力484からの正の直交位相信号および負の差動出力486からの負の直交位相信号を受信するように構成されている。ミキサ412および414内のトランジスタの各々は、制御信号の制御下で、複数の離散時点において、受信された増幅された信号をサンプリングし、離散時間サンプリングされた信号を得るように構成されている。
【0038】
ミキサ412および414によって得られた、離散時間サンプリングされた信号は、ミキサ408に結合されているサンプル再配列回路410へ伝送される。サンプル再配列回路410は、並列に接続されたトランジスタ452、454、456、および458を含むトランジスタの第1のセット428、並列に接続されたトランジスタ460、462、464、および466を含むトランジスタの第2のセット430、並列に接続されたトランジスタ468、470、472、および474を含むトランジスタの第3のセット432、ならびに並列に接続されたトランジスタ476、478、480、および482を含むトランジスタの第4のセット434を含む。トランジスタ428、430、432、および434の各セットは、サンプリングされた正の同相信号をミキサ412から受信するように構成された1つのトランジスタ、サンプリングされた負の同相信号をミキサ412から受信するように構成された1つのトランジスタ、サンプリングされた正の直交位相信号をミキサ414から受信するように構成された1つのトランジスタ、およびサンプリングされた負の直交位相信号をミキサ414から受信するように構成された1つのトランジスタを有する。
【0039】
サンプル再配列回路410のトランジスタのオン/オフ状態はサンプル再配列回路制御信号セット422によって制御される。サンプル再配列回路制御信号セット422は制御信号fs1、fs2、fs3、およびfs4を含む。制御信号fs1、fs2、fs3、およびfs4の各々は、パルス幅Tloを有するパルス状信号である。4つの制御信号のパルスはTloだけ互いに時間偏移させられる。例えば、パルスが終了する際にfs1が高い信号レベルから低い信号レベルへ立ち下がる際に、fs2が低い信号レベルから高い信号レベルへ立ち上がる。一実施形態では、サンプル再配列制御信号セット422は、ミキサ408のために発生された局部発振信号の周波数を4で分割することによって発生される。この場合には、サンプル再配列回路制御信号セット422のパルスの各々のパルス幅はミキサ制御信号セット420のパルスのパルス幅の4倍である。例えば、信号fs1の1つのパルス幅の最中に、全ての4つのパルスIp、Qp、In、およびQnの立ち上がりおよび終了が生じる。
【0040】
サンプル再配列回路410のトランジスタの各セット428、430、432、および434は、fs1を受信するように構成された1つのトランジスタ、fs2を受信するように構成された1つのトランジスタ、fs3を受信するように構成された1つのトランジスタ、およびfs4を受信するように構成された1つのトランジスタを有する。オン/オフ状態、およびトランジスタのオン/オフ状態の継続時間を制御することによって、サンプル再配列回路410は、ミキサ408から出力された4つの信号(正の同相、負の同相、正の直交位相、および負の直交位相)のうちの1つを選択的に伝送し、これにより、ミキサ408から出力された時間離散サンプルの系列を再配列する。
【0041】
実施形態によっては、フィルタがサンプル再配列回路410の出力に結合され得る。例えば、フィルタはキャパシタ424および426を含み得る。トランジスタの第1のセット428の出力はキャパシタ424の第1の端子に結合されており、トランジスタの第2のセット430の出力はキャパシタ424の第2の端子に結合されている。同様に、トランジスタの第3のセット432の出力はキャパシタ426の第1の端子に結合されており、トランジスタの第4のセット434の出力はキャパシタ426の第2の端子に結合されている。キャパシタ424は相互コンダクタンス増幅器(TCA)416に結合されており、フィルタリングされた同相差動信号をTCA416へ出力する。同様に、キャパシタ426はTCA418に結合されており、フィルタリングされた直交位相差動信号をTCA418へ出力する。
【0042】
以上において説明されたように、
図4に示される例示的な実施形態では、サンプル再配列回路410はトランジスタのセットを含む。しかし、サンプル再配列回路はそのように限定されず、ミキサ408によって出力されたサンプルを選択する能力を有する任意のスイッチまたはデバイスがサンプル再配列回路内に実装され得る。同様に、ミキサ408のトランジスタは、時間離散サンプリング機能を遂行する能力を有する任意の種類のトランジスタ、スイッチ、またはデバイスであることができる。
【0043】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の別の例示的な構成を示す概略図である。
図5を参照すると、受信器500は、受信器500が、サンプル再配列回路を制御するための制御信号の2つの異なるセットを用いることを除いて、
図4における受信器400のものと同様の構成を有する。簡潔にするために、同じ構成要素は同じ符号によって示されており、同じ構成要素の説明はここでは省略されている。
図4における受信器400と比較されると、
図5における受信器500はさらなるサンプル再配列回路制御信号セット590を含む。サンプル再配列回路制御信号セット590は制御信号fs1、fs2、fs3、およびfs4を含む。制御信号fs1、fs2、fs3、およびfs4の各々は、パルス幅Tloを有するパルス状信号である。サンプル再配列回路制御信号セット422とは異なり、fs2のパルスはfs1のパルスに対して3Tloだけ偏移させられ、fs2、fs3、およびfs4のパルスは互いに対してTloだけ偏移させられる。例えば、パルスが終了する際にfs1が高い信号レベルから低い信号レベルへ立ち下がる際に、fs2ではなく、fs4が低い信号レベルから高い信号レベルへ立ち上がる。fs4が、パルスが終了する際に高い信号レベルから低い信号レベルへ立ち下がる際に、fs3が低い信号レベルから高い信号レベルへ立ち上がり、fs3が、パルスが終了する際に高い信号レベルから低い信号レベルへ立ち下がる際に、fs2が低い信号レベルから高い信号レベルへ立ち上がる。サンプル再配列回路制御信号の2つの異なるセットを適用することによって、より多様な混合波形が得られ得、信号品質の向上をもたらす。
【0044】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の別の例示的な構成を示す概略図である。
図6を参照すると、受信器600は、受信器600が2つのサンプル再配列回路を含むことを除いて、
図4における受信器400のものと同様の構成を有する。簡潔にするために、同じ構成要素は同じ符号によって示されており、同じ構成要素の説明はここでは省略されている。
図4における受信器400と比較されると、
図6における受信器600はさらなるサンプル再配列回路690を含む。サンプル再配列回路690もまた、制御信号fs1、fs2、fs3、およびfs4を含むサンプル再配列回路制御信号セット422によって制御される。しかし、サンプル再配列回路410と比較されると、制御信号とサンプル再配列回路690のトランジスタとの間の接続が交換されている。例えば、サンプル再配列回路410と比較されると、制御信号fs2およびfs4の接続がサンプル再配列回路690内で交換されている。別の例として、サンプル再配列回路410と比較されると、制御信号fs1およびfs3の接続がサンプル再配列回路690内で交換されている。一実施形態では、サンプル再配列回路410および690は並列に接続され得る。異なる制御信号接続を有する2つのサンプル再配列回路を実装することによって、より多様な混合波形が得られ得、信号品質の向上をもたらす。
【0045】
図7は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な設計を示す概略図である。
図7を参照すると、受信器700は、アンテナ702と、フィルタ704と、低雑音増幅器(LNA)706と、ミキサ708と、ベースバンドコントローラ716と、直接サンプリングミキサ(DSM)局部発振(LO)信号発生器720とを含む。ミキサ708は同相ミキサ712および直交位相ミキサ714を含む。DSM-LO発生器720は位相同期ループ(PLL)回路722および局部発振信号(LO)コンストラクタ724を含む。アンテナ702は、1つまたは複数の信号源から信号を受信するように構成され得る。実施形態によっては、アンテナ102によって受信された信号は通信システムにおける無線周波数(RF)信号である。しかし、信号はそのように限定されず、アンテナ702によって受信された信号は、任意の信号源から伝送される任意の電磁波であることができる。
【0046】
アンテナ702によって受信された信号は、まず、関心範囲の外部の周波数を抑制するために、フィルタ704(例えば、バンドパスフィルタ)を通過させられる。フィルタリングされた信号は、次に、LNA706に伝えられ、LNA706によって増幅される。一実施形態では、LNA706は、増幅された信号のパラメータを制御するコントローラを含み得る。パラメータは、ゲイン、雑音、直線性、帯域幅、出力ダイナミックレンジ、スルーレート、立ち上がり速度、行き過ぎ量、または安定係数のうちの少なくとも1つを含み得る。代替的な一実施形態では、フィルタ704は受信器700内に実装されず、LNA706は、代わりに、アンテナ702に直接結合されている。
【0047】
受信器700では、
図7に示されるように、LNA706は単一入力-差動出力型の増幅器である。代替的な一実施形態では、LNA706は、代わりに、差動入力-差動出力型の増幅器であり得る。
図7では、LNA706は、正の成分(例えば、正の成分RFpを有するRF電圧信号)を有する信号を出力する正の差動出力726、および負の成分(例えば、負の成分RFnを有するRF電圧信号)を有する信号を出力する負の差動出力728を含む。差動出力726および728の各々は同相信号および直交位相信号を出力し得る。代替的な一実施形態では、LNA706は任意選択的なものであり得る。
【0048】
同相ミキサ712は、LNA706の差動出力726および728に結合されており、正の差動出力726からの正の同相信号および負の差動出力728からの負の同相信号を受信するように構成されている。同様に、直交位相ミキサ714は、LNA706の差動出力726および728に結合されており、正の差動出力726からの正の直交位相信号および負の差動出力728からの負の直交位相信号を受信するように構成されている。ミキサ712および714の各々は、DSM-LO発生器720によって提供される局部発振信号に基づいて、複数の離散時点において、受信された増幅された信号をサンプリングし、離散時間サンプリングされた信号を得るように構成されている。
【0049】
実施形態によっては、DSM-LO発生器720は、基準信号を発生する、水晶発振器、または電圧制御発振器、あるいは同様のもの(図示せず)などの基準発振器を含み得る。PLL722は基準信号を受信し、発振器信号を発生する。LOコンストラクタ724は、ミキサ708におけるサンプリングを制御するための局部発振信号を構築する。一実施形態では、LOコンストラクタ724は、発振器信号を逓倍し、逓倍された発振器信号を元の発振器信号と複合し、複素局部発振信号を構築する信号逓倍器を含み得る。代替的な一実施形態では、LOコンストラクタ724は、代わりに、局部発振器信号を分割し、分割された発振器信号を元の発振器信号と複合し、複素局部発振信号を構築する信号分割器を含み得る。発生された複素局部発振信号は同相ミキサ712および直交位相ミキサ714に提供され、これにより、ミキサ712および714の各々におけるサンプリングは複素局部発振信号によって制御される。一実施形態では、DSM-LO発生器720は、異なる周波数を有する複数の局部発振信号を複合することによって複素局部発振信号を発生し得る。
【0050】
ミキサ712および714は、離散時間サンプリングされた信号をベースバンドコントローラ716へ出力する。ベースバンドコントローラ716は、信号の品質をチェックし、所望の波形を決定するように構成されている。例えば、現在の波形がゼロIFモードに対応し、ベースバンドコントローラ716が、サンプリングされた信号の品質が満足のいくものでないと決定した場合には、ベースバンドコントローラ716は、スーパーヘテロダインに対応する波形を所望の波形として選択し得る。所望の波形に基づいて、ベースバンドコントローラ716はフィードバック信号(図示せず)をDSM-LO発生器720へ送信し得、フィードバック信号に応じて、DSM-LO発生器720は所望の複素局部発振信号をミキサ712および714に提供することができる。
【0051】
ミキサにおける離散時間サンプリングを制御するための複素局部発振信号を構築することによって、サンプル再配列回路を実装することなく所望の有効混合波形が得られる。これは、選択されたチャネルの中心周波数とは異なる周波数における局部発振周波数を可能にし、これにより、高調波ブロッカによって生じる干渉を抑制する。さらに、離散時間直交位相ミキサを用いることによって、負の周波数イメージ除去が達成され、信号品質をさらに向上させる。
【0052】
図8は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、信号を処理するための例示的な方法を示すフローチャートである。本方法は、
図1の受信器100などの、受信器によって遂行され得る。
図8を参照すると、方法800は、局部発振信号に基づいて複数の離散時点において入力信号をサンプリングするステップS810を含む。例えば、受信器100のミキサ108(
図1)が入力アナログ信号を受信し、複数の離散時点において信号をサンプリングする。このサンプリングは、受信器100のLO発生器120などの、局部発振信号発生器によって発生される局部発振信号によって制御される。入力アナログ信号は差動信号を含む。
【0053】
方法800はまた、
図1のサンプル再配列回路110などの、再配列回路によってサンプルの系列を再配列するステップS820を含む。例えば、サンプル再配列回路110は離散時間サンプルをミキサ108から受信し、受信されたサンプルに対して第2のサンプリングを遂行する。この第2のサンプリングは、LO発生器120によって、例えば、ミキサ108に提供されたLO信号の周波数を整数によって分割することによって発生されるクロック信号によって制御される。ミキサから出力された離散時間サンプルを再配列することによって、所望の有効混合波形が得られる。これは、選択されたチャネルの中心周波数とは異なる周波数における局部発振周波数を可能にし、これにより、高価なフィルタを利用することなく、高調波ブロッカによって生じる干渉を抑制する。
【0054】
図9は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、信号を処理するための別の例示的な方法を示すフローチャートである。本方法は、
図7の受信器700などの、受信器によって遂行され得る。
図9を参照すると、方法900は、複数の局部発振信号を複合することによって複素局部発振信号を発生するステップS910を含む。例えば、受信器700のDSM-LO発生器720(
図7)は、PLL722によって発生された発振器信号を逓倍または分割し、(逓倍または分割前の)元の発振器信号を、逓倍または分割された信号と複合することによって、複素局部発振信号を発生する。
【0055】
方法900はまた、複素局部発振信号に基づいて複数の離散時点において入力アナログ信号をサンプリングするステップS920を含む。例えば、受信器700のミキサ708が入力アナログ信号を受信し、複数の離散時点において信号をサンプリングする。このサンプリングは、受信器700のDSM-LO発生器720によって発生される複素局部発振信号によって制御される。ミキサにおける離散時間サンプリングを制御するための複素局部発振信号を構築することによって、サンプル再配列回路を実装することなく所望の有効混合波形が得られ、信号品質の改善および受信器のサイズの低減がもたらされる。
【0056】
図10は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、例示的なデバイスのブロック図である。
図10を参照すると、デバイス1000は、限定するものではないが、ラップトップコンピュータ、全地球測位システム(GPS)、モバイル電話、無線ハンドヘルドデバイス、または無線パーソナルデバイスを含む無線端末、あるいは任意の他の形態を含む、任意の形態を取り得る。デバイス1000は、受信器1002、受信器1002に結合されたアンテナ1012、処理ユニット1004、メモリ1006、ローカルクロック1008、および出力デバイス1010を含む。
【0057】
アンテナ1012に結合された受信器1002は、1つまたは複数の信号源からの信号を受信するように構成されている。実施形態によっては、受信器1002は、データを外部デバイスへ伝送するように構成された送信器を含むトランシーバ・モデムの部分であり得る。ローカルクロック1008は、デバイス1000が配置されている局所的な場所の時間を提供する。
【0058】
一実施形態では、
図1の受信器100と同様に、受信器1002は、ミキサ(図示せず)から出力された離散時間サンプルの系列を再配列するための、
図1のサンプル再配列回路110などの、サンプル再配列回路(図示せず)を実装し得る。
【0059】
別の実施形態では、サンプル再配列回路の代わりに、受信器1002は、ミキサにおけるサンプリングを制御するための複素局部発振信号を発生するための、
図7のDSM-LO発生器720などの、DSM-LO発生器を実装し得る。
【0060】
受信器1002は、得られた混合された信号をさらに処理するための、アナログ-デジタル信号変換器などの、他の構成要素を含み得る。簡潔にするために、これらの構成要素の説明はここでは省略されている。
【0061】
処理ユニット1004は、1つまたは複数の専用処理装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または様々な他の種類のプロセッサもしくは処理装置を含み得る。処理ユニット1004は、受信器1002によって処理された信号に対する計算を遂行するように構成され得る。処理ユニット1004は、受信器1002における信号処理を制御するようにさらに構成され得る。
【0062】
メモリ1006は、揮発性もしくは不揮発性メモリデバイス、またはこれらの組み合わせを含む任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体であり得る。メモリ1006は、デバイス1000の識別、および受信器1002によって受信された信号に関連する情報を記憶するように構成され得る。メモリ1006はまた、受信器1002における信号処理において用いられるコンピュータ可読プログラム命令および数学モデルも記憶し得る。メモリ1006は、デバイス1000を特定のモード(例えば、スーパーヘテロダインモードまたはゼロIFモード)で動作させるための処理ユニット1004による実行のためのコンピュータ可読プログラム命令をさらに記憶し得る。
【0063】
出力デバイス1010は、信号処理の結果をユーザまたは別のデバイスへ報告するために用いられ得る。出力デバイス1010は、ディスプレイ、およびユーザ・コマンドを処理ユニット1004へ伝送するための入力デバイスを含むユーザ・インターフェースを含み得る。ディスプレイは、デバイス1000における信号受信のステータス、メモリ1006において記憶されたデータ、信号処理のステータス等を表示するように構成され得る。ディスプレイは、限定するものではないが、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、ガス・プラズマ、タッチ・スクリーン、または情報をユーザに表示するための他の画像投影デバイスを含み得る。入力デバイスは、データおよび制御信号をユーザから受け取るために用いられる任意の種類のコンピュータハードウェア機器であり得る。入力デバイスは、限定するものではないが、キーボード、マウス、スキャナ、デジタル・カメラ、ジョイスティック、トラックボール、カーソル方向キー、タッチスクリーンモニタ、またはオーディオ/ビデオ・コマンダ等を含み得る。出力デバイス1010は、電気バス接続または無線通信リンクなどの、機械インターフェースをさらに含み得る。
【0064】
図11は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器を動作させるための例示的な方法を示すフローチャートである。本方法は、
図1~
図7に示される受信器のうちの1つなどの、受信器を含むデバイスによって遂行され得る。
図11を参照すると、方法1100は、受信器の動作をゼロIFモードで開始するステップS1110を含む。
【0065】
方法1100は、受信器の性能が劣化しているかどうかを決定するステップS1120を含む。一実施形態では、受信器の性能は、イメージ信号強度、ブロッカ信号強度、信号対雑音比、または信号パイプラインにおける電力レベルのうちの少なくとも1つを含む受信器信号のパラメータを考慮することによって決定され得る。例えば、パラメータの測定値は、受信器の性能を決定するためのしきい値と比較され得る。
【0066】
受信器の性能が劣化していない場合には(ステップS1120における、No)、受信器は引き続いてゼロIFモードで動作させられ得る。他方で、受信器の性能が劣化している場合には(ステップS1120における、Yes)、方法1100は、帯域内ブロッカが存在するかどうかを検出するステップS1130を遂行する。
【0067】
帯域内ブロッカが検出されない場合には(ステップS1130における、No)、方法1100は、受信器の動作モードを、例えば、スーパーヘテロダインモードに切り替えるステップS1150を遂行する。一実施形態では、スーパーヘテロダインモードへの切り替えは、
図1、
図4~
図6に示されるサンプリング再配列回路などの、サンプル再配列回路を用いることによって、ミキサから出力された時間離散サンプルを再配列することによって実現され得る。別の実施形態では、スーパーヘテロダインモードへの切り替えは、
図7に示されるように、入力アナログ信号を複素局部発振信号と混合することによって実現され得る。
【0068】
他方で、帯域内ブロッカが検出された場合には(ステップS1130における、Yes)、方法1100は、ゼロIFモードにおける帯域内ブロッカ応答ルーチンのステップS1140を遂行する。受信器性能を動的に監視し、受信器性能に基づいて、異なるモード間を切り替えることによって、受信器における信号品質の劣化が回避され、受信器のアジリティの向上をもたらす。
【0069】
図12は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、受信器の例示的な設計を示す概略図である。
図12を参照すると、例示的な受信器1200は、アンテナ1202と、フィルタ1204と、第1の受信ユニット1210と、第2の受信ユニット1230と、モードセレクタ1208を含むベースバンドコントローラ1206とを含む。第1の受信ユニット1210は、低雑音増幅器(LNA)1212、同相ミキサ1214、直交位相ミキサ1216、サンプル再配列回路1218、ならびに位相同期ループ(PLL)回路および局部発振信号(LO)コンストラクタを含む局部発振信号(LO)発生器1220を含む。同様に、第2の受信ユニット1230は、低雑音増幅器(LNA)1232、同相ミキサ1234、直交位相ミキサ1236、サンプル再配列回路1238、ならびにPLL回路およびLOコンストラクタを含む局部発振信号(LO)発生器1240を含む。
【0070】
アンテナ1202は、アナログ信号を1つまたは複数の信号源から受信し、信号をフィルタリングのためにフィルタ1204へ伝送するように構成され得る。フィルタリングされた信号は受信ユニット1210および受信ユニット1230の各々へ伝えられ、これにより、2つの受信ユニットは同じチャネル信号を受信する。第1の受信ユニット1210では、信号はLNA1212によって増幅され、同相ミキサ1214および直交位相ミキサ1216によってサンプリングされ、サンプル再配列回路1218によって再配列される。同様に、第2の受信ユニット1230では、信号はLNA1232によって増幅され、同相ミキサ1234および直交位相ミキサ1236によってサンプリングされ、サンプル再配列回路1238によって再配列される。詳細な動作は、
図1および
図4~
図6に関して説明された動作と同様である。
【0071】
一実施形態では、第1の受信ユニット1210はゼロIFモードで動作し得、第2の受信ユニット1230はスーパーヘテロダインモードで動作し得る。ベースバンドコントローラ1206は、モードのうちの一方を他方に切り替えるべきかどうかを決定するために、第1の受信ユニット1210および第2の受信ユニット1230の性能を監視するように構成され得る。例えば、ベースバンドコントローラ1206が、ゼロIFモードで動作する第1の受信ユニット1210の性能が、第2の受信ユニット1230のものよりもはるかに優れていると決定した場合には、ベースバンドコントローラ1206のモードセレクタ1208は、第2の受信ユニット1230に、ゼロIFモードに切り替えるよう要求するための命令を第2の受信ユニット1230へ送信し得る。同様に、ベースバンドコントローラ1206が、スーパーヘテロダインモードで動作する第2の受信ユニット1230の性能が、第1の受信ユニット1210のものよりもはるかに優れていると決定した場合には、ベースバンドコントローラ1206のモードセレクタ1208は、第1の受信ユニット1210に、スーパーヘテロダインモードに切り替えるよう命令するための命令を第1の受信ユニット1210へ送信し得る。一実施形態では、ベースバンドコントローラ1206のモードセレクタ1208は命令をサンプル再配列回路1218またはサンプル再配列回路1238へ送信し得、これにより、サンプル再配列回路はサンプル再配列を遂行し、所望な波形を得ることができる。
【0072】
代替的な一実施形態では、第1の受信ユニット1210および第2の受信ユニット1230のうちの少なくとも一方はサンプル再配列回路を含まず、
図7に関して説明されたように、複素局部発振信号に基づいて信号を混合することによってモード切り替えを遂行する。
【0073】
一実施形態では、モードセレクタ1208は第1の受信ユニット1210および第2の受信ユニット1230の両方に、ゼロIFおよびスーパーヘテロダインモードとは異なる、第3の動作モードで動作するよう命令し得る。一実施形態では、第1の受信ユニット1210および第2の受信ユニット1230は、単一のデバイス内に実装された2つの異なる受信器であり得る。
【0074】
代替的な一実施形態では、受信器1200は、複数の動作モードで動作する複数の受信ユニットを含み得る。このような実施形態では、モードセレクタ1208は複数のモードのうちの1つを最善のモードとして選択し、その選択されたモードでの動作に切り替えるよう命令し得る。
【0075】
図13は、本開示のいくつかの実施形態に一致する、デバイスを動作させるための例示的な方法を示すフローチャートである。本方法は、2つの受信器を含むデバイス、または2つの受信ユニットを有する受信器(例えば、
図12の受信器1200)を含むデバイスによって遂行され得る。
図13を参照すると、方法1300は、第1の受信器の動作をゼロIFモードで、および第2の受信器の動作をスーパーヘテロダインモードで開始するステップS1310を含む。
【0076】
方法1300は、第1の受信器の性能が第2の受信器のものよりもはるかに優れているかどうかを決定するステップS1320を含む。一実施形態では、受信器の性能は、イメージ信号強度、ブロッカ信号強度、信号対雑音比、または信号パイプラインにおける電力レベルのうちの少なくとも1つを含む信号のパラメータを考慮することによって決定され得る。例えば、第1の受信器におけるパラメータと第2の受信器におけるパラメータとの差が、第1の受信器の性能が第2の受信器の性能よりもはるかに優れていると決定するためのしきい値と比較され得る。
【0077】
第1の受信器の性能が第2の受信器のものよりもはるかに優れている場合には(ステップS1320における、Yes)、第2の受信器の動作モードはゼロIFモードに切り替えられる(ステップS1330)。他方で、第1の受信器の性能が第2の受信器のものよりもはるかに優れていない場合には(ステップS1320における、No)、方法1300は、第2の受信器の性能が第1の受信器のものよりもはるかに優れているかどうかを決定するステップS1340を遂行する。
【0078】
第2の受信器の性能が第1の受信器のものよりもはるかに優れている場合には(ステップS1340における、Yes)、方法1300は、第1の受信器の動作モードをスーパーヘテロダインモードに切り替えるステップS1350を遂行する。一実施形態では、動作モード間の切り替えは、
図1および
図4~
図6に示されるサンプリング再配列回路などの、サンプル再配列回路を実装することによって実現され得る。別の実施形態では、動作モード間の切り替えは、
図7に示されるように、入力アナログ信号を複素局部発振信号と混合することによって実現され得る。受信器の性能を動的に監視し、異なる動作モード間を切り替えることによって、受信器における信号品質の劣化が回避され得、受信器のアジリティの向上をもたらす。
【0079】
本開示のコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を記憶することができる有形のデバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定するものではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上述のものの任意の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、以下のもの:ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、穿孔カード、または命令が記録された溝内の隆起構造などの、機械的に符号化されたデバイス、ならびに上述のものの任意の好適な組み合わせを含む。
【0080】
本開示のコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、あるいはオブジェクト指向プログラミング言語、および従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれた、ソースコードまたはオブジェクトコードであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、完全に、コンピューティングデバイス上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして実行するか、あるいは部分的に、第1のコンピューティングデバイス上で、および部分的に、第1のコンピューティングデバイスから遠隔の第2のコンピューティングデバイス上で実行し得る。後者のシナリオでは、第2の遠隔のコンピューティングデバイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを通じて第1のコンピューティングデバイスに接続され得る。
【0081】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、様々な実施形態に係るシステム、方法、およびデバイスの可能な諸実装形態のアーキテクチャ、機能性、および動作の例を示す。代替的な実装形態によっては、ブロック内に記された機能は、図面に記された順序に従わずに生じてもよいことに留意されたい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは、時として、含まれる機能性に依存して、逆の順序で実行されてもよい。
【0082】
上述の諸実施形態は相互排除的なものではなく、1つの例示的な実施形態に関して説明された要素、構成要素、材料、またはステップは、所望の設計目的を達成するために適した仕方で他の諸実施形態と組み合わせられるか、またはそれらから除かれ得ることが理解される。
【0083】
本明細書における「いくつかの実施形態」または「いくつかの例示的な実施形態」への言及は、実施形態に関して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本開示中の様々な箇所における表現「一実施形態」、「いくつかの実施形態」または「別の実施形態」の出現は全てが必ずしも同じ実施形態に言及するわけではなく、別個の、または代替的な諸実施形態は必ずしも他の諸実施形態を相互排除するわけでもない。
【0084】
本明細書において示される例示的な方法のステップは必ずしも説明された順序で遂行されることを必要とされず、このような方法のステップの順序は単なる例にすぎないと理解されるべきであることを理解されたい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは、時として、含まれる機能性に依存して、逆の順序で実行されてもよい。同様に、追加のステップがこのような方法に含まれてもよく、様々な実施形態に一致する方法において、特定のステップが省略されるか、または組み合わせられてもよい。
【0085】
本開示において使用するとき、単語「例示的」は、本明細書において、例、実例、または例示の役割を果たすことを意味するように使用される。本明細書において「例示的」として説明される任意の態様または設計は、必ずしも、他の態様または設計に対して好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。むしろ、この単語の使用は、コンセプトを具体的な仕方で呈示することを意図される。
【0086】
本開示において使用するとき、別途特に断りのない限り、用語「または」は、実行不可能な場合を除き、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがAまたはBを含み得ると述べられた場合には、このとき、別途特に断りのない限り、または実行不可能でない限り、データベースは、A、あるいB、あるいはAおよびBを含み得る。第2の例として、データベースがA、B、またはCを含み得ると述べられた場合には、このとき、別途特に断りのない限り、または実行不可能でない限り、データベースは、A、あるいはB、あるいはC、あるいはAおよびB、あるいはAおよびC、あるいはBおよびC、あるいはAおよびBおよびCを含み得る。
【0087】
さらに、冠詞「a」および「an」は、本開示および添付の請求項において使用されるとき、概して、単数形に向けられるよう別途指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「one or more(1つまたは複数の)」を意味するように解釈されるべきである。
【0088】
別途明示的に断りのない限り、各数値および範囲は、あたかも、単語「約」または「およそ」が値または範囲の値の前に置かれているかのように、おおよそのものであると解釈されるべきである。
【0089】
添付の方法クレームにおける要素は、存在する場合、特定の順序で記述されているが、クレームの記述がそれらの要素の一部または全てを実装するための特定の順序を別途示唆していない限り、それらの要素は、必ずしも、その特定の順序で実装されるよう限定されることを意図されるわけではない。
【0090】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本開示の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本明細書の様々な特徴はまた、別個に、または任意の好適なサブコンビネーションで提供され、あるいは本明細書の任意の他の上述の実施形態において同様に適し得る。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、そのように断りのない限り、それらの実施形態の本質的な特徴ではない。
【0091】
上述の諸実施形態の本質を説明するために説明され、図示されている部分の細部、材料、および配置の様々な変更、代替、および変形が、当業者によって、範囲から逸脱することなく行われ得ることがさらに理解されるであろう。したがって、添付の請求項は、請求項の条件の範囲内に含まれる全てのこのような代替、変更および変形を包含する。