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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】配管接続装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20241011BHJP
   B29C 65/78 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
F16L1/00 V
B29C65/78
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020153651
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047723
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】矢野 今朝男
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-28081(JP,A)
【文献】中国実用新案第204585880(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107031057(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102012207098(DE,A1)
【文献】実開昭54-176777(JP,U)
【文献】実開昭58-39829(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00
B29C 65/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動軸線に沿って互いに対して移動可能な第1の基台及び第2の基台と、前記第1の基台の上面に設けられ且つ樹脂製の管部材の中心軸線が前記移動軸線と平行に延びるように予め定められた高さに前記管部材を保持する管部材保持機構と、前記第2の基台の上面に設けられ且つ前記管部材が接続される樹脂製の配管部材を保持する配管部材保持機構とを備え、前記第1の基台を前記第2の基台に接近させることにより前記管部材を前記配管部材に接続する配管接続装置であって、
前記配管部材保持機構が、前記管部材保持機構によって保持された前記管部材の中心軸線と直交する中心軸線に沿って延びるように前記第2の基台の上面に立設された支持柱と、該支持柱に支持され且つ前記配管部材を保持する保持アダプタとを含み、該保持アダプタに前記配管部材を保持したときに、前記管部材保持機構に保持される前記管部材を挿入するべき前記配管部材の開口端部の中心軸線が前記管部材の中心軸線と同じ高さ位置の平面内に配置されると共に、前記配管部材を前記支持柱周りに旋回できるようになっていることを特徴とする配管接続装置。
【請求項2】
前記保持アダプタが、着脱可能に前記支持柱に支持される、請求項1に記載の配管接続装置。
【請求項3】
前記第2の基台の上面に前記移動軸線と垂直な方向に開閉可能なクランプ装置が設けられ、前記支持柱が下端部にベース部材を有しており、前記クランプ装置に前記ベース部材を挟持することによって、前記第2の基台の上面に前記支持柱が固定されている、請求項1又は請求項2に記載の配管接続装置。
【請求項4】
前記ベース部材にねじ穴が設けられていると共に、前記支持柱の下端部の外周面に雄ねじ部が設けられており、前記ベース部材のねじ穴に前記支持柱の下端部を螺合することによって、前記支持柱の下端部に前記ベース部材が取り付けられる、請求項3に記載の配管接続装置。
【請求項5】
前記ベース部材と前記支持柱とが一体的に形成されている、請求項3に記載の配管接続装置。
【請求項6】
前記保持アダプタは、前記配管部材の開口端部内の接続受け口と相補的な外形状を有する中子核である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の配管接続装置。
【請求項7】
前記保持アダプタは、法線が水平方向に延びる平面を有した平面板部と、該平面板部に接続された取り付け部とを含み、前記取り付け部に前記支持柱を貫通させて前記支持柱に支持されるようになっており、前記平面板部に複数のフランジ固定孔が設けられ、前記配管部材の開口端部に設けられたフランジに形成されたボルト穴と前記フランジ固定孔とを整列させて前記フランジ固定孔と前記ボルト穴とに固定具を貫通させることによって前記保持アダプタに前記配管部材を保持できるようになっている、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の配管接続装置。
【請求項8】
前記保持アダプタは、補助柱と、前記配管部材の開口端部内の接続受け口と相補的な外形状を有する中子核とをさらに備え、前記補助柱の一端部が前記平面板部に固定され、前記中子核が前記補助柱の他端部に取り付けられる、請求項7に記載の配管接続装置。
【請求項9】
前記保持アダプタは前記支持柱に対して旋回可能に支持されている、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の配管接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の配管部材同士を接続するための配管接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管部材と管継手などの配管部材同士を互いに接続するための配管接続装置が知られている。このような配管接続装置では、接続作業の際に、最初に、移動軸線に沿って互いに対して移動可能な二つの基台のうちの一方に管部材などを保持すると共に他方に例えば管継手などを保持して、一方の配管部材の開口端部の中心軸線と他方の配管部材の開口端部の中心軸線とが移動軸線と平行に直線状に整列するようにそれぞれの開口端部を移動軸線方向に対向して配置させる。その後、二つの基台を互いに対して接近させることにより、一方の配管部材の開口端部(接続受け口)内に他方の配管部材の開口端部を挿入して二つの配管部材の開口端部同士を接続する。なお、二つの配管部材の開口端部同士の接合は、一方の配管部材の開口端部(詳細にはその内部に形成された接続受け口)の内周面を溶融させたり、他方の配管部材の開口端部の外周面に接着剤を塗布したりするなど、適宜の方法で行われる。
【0003】
また、上述のような配管接続装置を用いて管継手の開口端部の接続受け口に管部材の開口端部を挿入するとき、基台上への管継手の保持は、例えば特許文献1に記載されているように、基台上に設けられ且つ基台の移動軸線とは垂直に水平方向に開閉可能なクランプによって継手の外周を直径方向に左右から挟み込んで締め付けることによって行われることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-038606
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような配管接続装置は、大型の配管部材同士を接続するときに特に有用である。しかしながら、二つの配管部材の開口端部の中心軸線が移動軸線と平行に且つ互いと一直線上に整列するように、二つの基台上に二つの配管をそれぞれ配置する必要がある。このため、特にエルボ型やチーズ型などの管継手への管部材の接続の際には、基台上への管継手の保持の都度、クランプの開閉作業、クランプ内における管継手の芯出し作業(位置合わせ作業)、水準器などを用いた開口端部同士の中心軸線の整列作業及び中心軸線方向のレベル調整作業などが必要となる。したがって、これらの作業について、高い技能、労力や時間などが要求される。
【0006】
また、クランプによって管継手などの配管部材を保持する場合、クランプの締付力の過不足により、配管部材の変形、クランプ内における配管部材の滑り移動、さらには滑り移動による擦り傷の発生などが生じる恐れがある。さらに、特に管継手の場合、製造会社や材質の違いにより、外径や外周形状が異なるため、クランプによる管継手の締め付けには、一定の経験が必要で感覚に頼らざるを得ないという問題もある。
【0007】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解消して、配管接続作業において、作業者の能力によらずに一定の品質を確保すると共に、装置上で配管部材を設置する作業を簡素化及び省力化し、作業効率と生産性を向上させることを可能とさせる配管接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的に鑑み、本発明は、移動軸線に沿って互いに対して移動可能な第1の基台及び第2の基台と、前記第1の基台の上面に設けられ且つ樹脂製の管部材の中心軸線が前記移動軸線と平行に延びるように予め定められた高さ位置に前記管部材を保持する管部材保持機構と、前記第2の基台の上面に設けられ且つ前記管部材が接続される樹脂製の配管部材を保持する配管部材保持機構とを備え、前記第1の基台を前記第2の基台に接近させることにより前記管部材を前記配管部材に接続する配管接続装置であって、前記配管部材保持機構が、前記管部材保持機構によって保持された前記管部材の中心軸線と直交する中心軸線に沿って延びるように前記第2の基台の上面に立設された支持柱と、該支持柱に支持され且つ前記配管部材を保持する保持アダプタとを含み、該保持アダプタに前記配管部材を保持したときに、前記管部材保持機構に保持される前記管部材を挿入するべき前記配管部材の開口端部の中心軸線が前記管部材の中心軸線と同じ高さ位置の平面内に配置されると共に、前記配管部材を前記支持柱周りに旋回できるようになっている配管接続装置を提供する。
【0009】
上記配管接続装置では、移動軸線に沿って互いに対して移動可能な第1の基台及び第2の基台とが設けられており、管部材を保持する管部材保持機構が設けられている第1の基台と、配管部材を保持する配管部材保持機構が設けられた第2の基台とを互いに対して移動軸線方向に接近させることによって、管部材と配管部材とを接近させることができる。したがって、管部材保持機構によって保持される管部材の中心軸線と配管部材保持機構によって保持される配管部材の開口端部の中心軸線とが一直線上に整列されていれば、第1の基台に対する第2の基台の移動軸線に沿った接近により管部材の開口端部を配管部材の開口端部内に挿入して管部材と配管部材とを接続させることができる。また、第2の基台上に立設された配管部材保持機構の支持柱には保持アダプタが支持されており、保持アダプタに配管部材を保持したときに、管部材保持機構に保持される管部材を挿入するべき配管部材の開口端部の中心軸線が管部材の中心軸線と同じ高さ位置の平面内に配置される。したがって、配管部材の高さ位置の調整作業が不要となる。さらに、支持柱は管部材保持機構によって保持された管部材の中心軸線と直交する中心軸線に沿って延びており、支持柱に支持される保持アダプタに保持された配管部材が支持柱周りに旋回できるようになっているので、配管部材を支持柱周りに旋回させることにより、管部材の中心軸線と管部材の開口端部を挿入するべき配管部材の開口端部の中心軸線とを容易に一直線上に整列させることができる。加えて、配管部材をクランプを用いることなく保持できるので、接続作業後の次の配管部材への交換にあたってクランプの開閉作業が不要となり、クランプの締付による変形やクランプ内での滑りによる擦り傷等の発生も防止することができる。
【0010】
上記配管接続装置では、前記保持アダプタが、着脱可能に前記支持柱に支持されることが好ましい。保持アダプタが着脱可能に支持柱に支持されていれば、クランプの開閉作業などを伴うことなく、保持アダプタを交換するだけで、様々な種類及び寸法の配管部材に容易に対応することが可能となる。
【0011】
一つの実施形態として、前記第2の基台の上面に前記移動軸線と垂直な方向に開閉可能なクランプ装置が設けられ、前記支持柱が下端部にベース部材を有しており、前記クランプ装置に前記ベース部材を挟持することによって、前記第2の基台の上面に前記支持柱が固定されるようにすることができる。
【0012】
この場合、前記ベース部材にねじ穴が設けられていると共に、前記支持柱の下端部の外周面に雄ねじ部が設けられており、前記ベース部材のねじ穴に前記支持柱の下端部を螺合することによって、前記支持柱の下端部に前記ベース部材が取り付けられるようにしてもよく、前記ベース部材と前記支持柱とが一体的に形成されているようにしてもよい。
【0013】
一つの実施形態として、前記保持アダプタは、前記配管部材の開口端部内の接続受け口と相補的な外形状を有する中子核とすることができる。
【0014】
他の実施形態として、前記保持アダプタは、法線が水平方向に延びる平面を有した平面板部と、該平面板部に接続された取り付け部とを含み、前記取り付け部に前記支持柱を貫通させて前記支持柱に支持されるようになっており、前記平面板部に複数のフランジ固定孔が設けられ、前記配管部材の端部に設けられたフランジに形成されたボルト穴と前記フランジ固定孔とを整列させて前記フランジ固定孔と前記ボルト穴とに固定具を貫通させることによって前記保持アダプタに前記配管部材を保持できるようになっているようにしてもよい。
【0015】
前記保持アダプタは、補助柱と、前記配管部材の開口端部内の接続受け口と相補的な外形状を有する中子核とをさらに備え、前記補助柱の一端部が前記平面部に固定され、前記中子核が前記補助柱の他端部に取り付けられるようにしてもよい。
【0016】
前記保持アダプタは前記支持柱に対して旋回可能に支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、配管接続装置は、管部材を保持する管部材保持機構が設けられている第1の基台と、配管部材を保持する配管部材保持機構が設けられた第2の基台とを互いに対して移動軸線方向に接近させることによって、管部材の開口端部と配管部材の開口端部の一方を他方に挿入して管部材と配管部材とを接続させることができる。また、保持アダプタに配管部材を保持したときに、管部材保持機構に保持される管部材の開口端部を挿入するべき配管部材の開口端部の中心軸線が管部材の開口端部の中心軸線と同じ高さ位置の平面内に配置されるので、配管部材の高さ位置の調整作業が不要となる。さらに、支持柱に支持される保持アダプタに装着された配管部材が支持柱周りに旋回できるようになっているので、配管部材を支持柱周りに旋回させることにより、管部材の開口端部の中心軸線と管部材の開口端部を挿入するべき配管部材の開口端部の中心軸線とを容易に一直線上に整列させることができる。加えて、配管部材をクランプを用いることなく保持できるので、クランプの開閉作業が不要で、クランプの締付による変形やクランプ内での滑りによる擦り傷等の発生も防止することができる。したがって、基台上で適切な位置及び姿勢で配管部材を配置する作業を簡素化及び省力化することができ、作業効率と生産性を向上させることができる。また、保持アダプタへの配管部材の保持と支持柱周りの配管部材の旋回で配管部材の開口端部の中心軸線と管部材の中心軸線とを一直線上に配置できるので、個人の能力に依存せずにこれらの作業を適切に行うことができ、個人の能力によらずに一定の品質を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】管部材と配管部材とを離れた位置に保持した状態の本発明の一実施形態による配管接続装置を部分的に断面にして示す部分断面側面図である。
図2】配管部材と管部材とを接近させ、配管部材の開口端部の接続受け口に管部材の開口端部を挿入して互いに接続した状態の図1に示されている配管接続装置を部分的に断面にして示す部分断面側面図である。
図3図1に示されている配管接続装置の配管部材保持機構の第1の実施形態を断面で示す組立分解図である。
図4図3に示されている第1の実施形態の配管部材保持機構を組み立ててクランプ装置に保持した状態を示す断面図である。
図5図3に示されている配管部材保持機構のベース部材及びベース固定治具を上方から見た平面図である。
図6図3に示されている配管接続装置の第1の実施形態の配管部材保持機構の変形形態を断面で示す組立分解図である。
図7図3に示されている第1の実施形態の配管部材保持機構の支持柱に異なる寸法の中子核を支持した状態を示す説明図である。
図8図1に示されている配管接続装置の配管部材保持機構の第2の実施形態の断面図である。
図9図8に示されている第2の実施形態の配管部材保持機構のアダプタ体の平面板部の平面図である。
図10図8に示されている第2の実施形態の配管部材保持機構に配管部材を保持した状態を示す説明図である。
図11図9に示されているアダプタ体の平面板部に配管部材を保持した状態を正面から見た説明図である。
図12図8に示されている第2の実施形態の配管部材保持機構の変形形態を示す断面図である。
図13】一端部に配管部材を接続済みの管部材が管部材保持機機構に保持されるときの図1に示されている配管接続装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明による配管接続装置11の実施の形態を説明するが、本発明が本実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0020】
最初に、図1及び図2を参照して、配管接続装置11の全体構成を説明する。図1は、管部材P1と配管部材P2とを互いから離してそれぞれ個別に支持した状態の配管接続装置11を示しており、図2は、配管部材と管部材とを接近させ、配管部材P2の開口端部の接続受け口内に管部材P1を挿入して互いに接続した状態の配管接続装置11を示している。なお、本明細書において、管部材P1とは、樹脂材料から形成され、直線状のパイプなど内部に直線状の流路が形成されており且つ接続する側の端部にフランジを有していない部材を意味し、配管部材P2とは、樹脂材料から形成され、エルボやベンドのように内部に湾曲した流路が形成されている部材、チーズのように内部に分岐流路が形成されている部材、内部に流路が形成されており且つ端部にフランジを有した部材、継手、ソケットなど、管部材同士又は管部材と他の流体要素を接続するために使用される部材を意味する。また、接続受け口とは、管部材を挿入できるように、配管部材において、内周面の直径が残余の内部流路部分の直径よりも広がっている段差部分を指す。なお、接続受け口の各部の寸法は、例えばJIS-K-6743のような国家規格や各社独自の規格などに従って、国ごとに、製造販売会社、使用用途、材質などによって異なっていることが一般的である。以下の説明では、「配管部材の開口端部の接続受け口」を単に「配管部材の開口端部」と記載することがある。
【0021】
配管接続装置11は、床面に設置される架台13と、架台13上に設けられたガイドレールなどの案内装置15と、案内装置15によって移動軸線Mに沿って互いに対して接近、離反するように移動することができる第1の基台17及び第2の基台19とを備える。図示されている実施形態では、第1の基台17に設けられた操作ハンドル21を手動で回転させることによって、第1の基台17が案内装置15に従って移動軸線Mに沿って移動できるようになっている一方、第2の基台19は架台13上に固定され動かないようになっている。しかしながら、第1の基台が架台13上に固定されて動かないようなっていると共に第2の基台19が案内装置15に従って移動軸線Mに沿って移動できるようになっていてもよく、第1の基台17及び第2の基台19の両方が案内装置15によって移動軸線Mに沿って移動できるようになっていてもよい。また、第1の基台17や第2の基台19の移動は、上述のような手動ではなく、図示されていない駆動装置によって駆動させることによって行われるようにしてもよい。
【0022】
第1の基台17及び第2の基台19の上面にはそれぞれ同じ高さで水平方向に延びる平坦なテーブル面17a,19aが形成されている。第1の基台17のテーブル面17a上には、管部材P1を保持するための管部材保持機構23が設けられており、第2の基台19のテーブル19a上には、配管部材P2を保持するための配管部材保持機構25が設けられている。管部材保持機構23は、管部材P1の中心軸線O1がテーブル面17aから予め定められた高さに位置する水平面(テーブル面17と平行な面)内で移動軸線Mと平行に延びるように、管部材P1を保持するようになっている。一方、配管部材保持機構25は、第2の基台19に近い側の管部材P1の開口端部を挿入するべき配管部材P2の開口端部(詳細には、その接続受け口44(図7参照))の中心軸線O2が管部材保持機構23に保持される管部材P1の開口端部(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と同じ高さ位置の水平面内に延びるように、配管部材P2を保持するようになっている。
【0023】
図示されている管部材保持機構23は、第1の基台17のテーブル面17a上に設けられた一対のクランプ取付台27と、一対のクランプ取付台27上に取り付けられた複数対(図1及び図2に示されている実施形態では二対)のクランプ部材29とによって構成されている。一対のクランプ取付台27は、第1の基台17に設けられた操作ハンドル31の手動操作によって、図示されていないガイドレールによって案内されてテーブル面17a上で移動軸線Mと垂直な方向(以下、幅方向と記載する。)に開閉可能になっている。しかしながら、一対のクランプ取付台27の開閉方法は特に限定されるものではなく、例えば駆動装置などで駆動することによって一対のクランプ取付台27を開閉してもよい。各対のクランプ部材29は、一対のクランプ取付台27のそれぞれに互いと対向するように且つ各対のクランプ取付部材29の間に移動軸線M方向に間隔をあけて取り付けられており、一対のクランプ取付台27の開閉に伴って、管部材P1の開口端部の中心軸線O1が移動軸線Mと平行に延びるように各対のクランプ部材29の間に一本の管部材P1を挟持できるようになっている。クランプ部材29は、公知のものであり、ここでは詳しく説明しないが、例えば、中央部の同じ高さの位置に同一形状の三角形状の切込み部が設けられ、その頂点を挟んだ2辺を管部材P1の外周面に当接させることができる同一形状の板状部材とすることができる。
【0024】
図示されている実施形態では、第2の基台19上にも、配管部材保持機構25に加えて、第1の基台17上の管部材保持機構23と同様の構成のクランプ機構33が設けられている。すなわち、クランプ機構33は、第2の基台19のテーブル面19a上に設けられ且つ図示されていないガイドレールに案内されてテーブル面19a上で移動軸線Mと垂直な方向に開閉可能になっている一対のクランプ取付台35と、各対が一対のクランプ取付台35のそれぞれに互いと対向して且つ移動軸線Mの方向に間隔をあけて取り付けられた複数対(図1及び図2に示されている実施形態では二対)のクランプ部材37とによって構成されており、一対のクランプ取付台35の開閉に伴って各対のクランプ部材37の間に様々な部材を挟持できるようになっている。図示されている実施形態では、一対のクランプ取付台35は、操作ハンドル39の手動操作によって開閉できるようになっているが、一対のクランプ取付台35の開閉方法は特に限定されるものではなく、例えば、一対のクランプ取付台27と同様に駆動装置などによって駆動されて開閉できるようになっていてもよい。しかしながら、配管接続装置11では、第2の基台19上にクランプ機構33を設けることは必須ではなく、第2の基台19上に配管部材保持機構25のみを設けるようにしてもよい。
【0025】
管部材保持機構23の上述の構成は例示であり、管部材保持機構23及び管部材保持機構33は、管部材P1の開口端部(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1が予め定められた高さ及び幅方向の位置に移動軸線Mと平行に延びるように管部材P1を保持できれば、特に限定されるものではなく、他の構成をとることも可能である。
【0026】
次に、図3から図5を参照して、第1の実施形態の配管部材保持機構25の構成を説明する。
【0027】
第1の実施形態の配管部材保持機構25は、テーブル面19a上に立設される支持柱41と、配管部材P2を装着して保持するための保持アダプタとして支持柱41に支持される中子核43とを備える。支持柱41は、管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1と垂直に交わる中心軸線O3に沿って延びるようにテーブル面19上に固定されている。すなわち、支持柱41は、その中心軸線O3が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1と移動軸線Mの方向に整列するように固定されている。
【0028】
支持柱41は円柱形状を有しており、金属材料から形成されている。支持柱41の上端部の端面には、ボルト穴41aが形成されており、ボルト45で支持柱41の上端部に中子核43を取り付けることができるようになっている。詳細には、中子核43の底部中央に支持柱41の上端部と相補的形状の挿入孔43aが設けられており、中子核43の挿入穴43aに支持柱41の上端部を挿入した後、中子核43の頂部から挿入穴43aまで貫通して延びる貫通孔43bに挿通したボルト45を支持柱41のボルト穴41aに螺合させることによって、支持柱41の上端部に中子核43を着脱可能に取り付けることができるようになっている。中子核43は、支持柱41の中心軸O3線周りに回転可能に支持柱41の上端部に取り付けられていることが好ましい。
【0029】
中子核43は、保持すべき配管部材P2の開口端部(詳細には、管部材P1の開口端部を挿入するべき開口端部と逆側の開口端部)内に形成された接続受け口44と相補的な外形状の中心軸線O3周りの回転体形状を有しており、配管部材P2の開口端部の接続受け口44内に中子核43を挿入することによって、配管部材保持機構25に配管部材P2を保持できるようになっている。さらに、中子核43は配管部材P2の開口端部の接続受け口44内に所定の深さまでしか挿入できないような形状となっている。また、中子核43は、支持柱41と同軸に配置されるように支持柱41に支持されるようになっている。
【0030】
配管部材P2の接続受け口44の各部の寸法は、例えばJIS-K-6743のような国家規格や独自の製品規格などに従って、国ごとに、製造販売会社、使用用途、材質などによって異なっていることが一般的である。しかしながら、中子核43は支持柱41に着脱可能に取り付けられているので、各種の配管部材P2の接続受け口44の寸法などに応じて中子核43を交換することによって、複数の種類及び寸法の配管部材P2に配管部材保持機構25を対応させることができる。
【0031】
このように構成された配管部材保持機構25は、図1及び図2に示されている実施形態では、支持柱41の下端部に取り付けられたベース部材47を一対のクランプ取付台35によって挟持することによって第2の基台19のテーブル面19aに固定されている。ベース部材47は、平面板状のベース本体部47aと、ベース本体部47aの底面から下方に突出して互いと離間して平行に延びる二本の脚部47bと、二本の脚部47bよりも側方外側へベース本体部47aから突出して延びるタブ部47cとを含んでいる。また、ベース本体部47aの中央部には、貫通して延びる雌ねじ穴47dが形成されている。支持柱41の下端部の外周面には、雄ねじ部41bが形成されており、支持柱41の雄ねじ部41bをベース部材47のベース本体部47aの雌ねじ穴47dに螺合させることによって、支持柱41にベース部材47を取り付けられるようになっている。螺合によってベース部材47が支持柱41に取り付けられているので、ベース部材47に対して支持柱41を回転させることによって、ベース部材47のベース本体部47aから上方に突出する支持柱41の長さを調整し、支持柱41に支持される中子核43の高さ位置を調整する機能を提供することが可能となる。この場合、配管部材保持機構25は、図3及び図4に示されているように、支持柱41の下端部の外周面に外挿されるナット49をさらに備えていることが好ましい。支持柱41の予め定められた高さ位置にベース部材47を配置した後に、ベース部材47と隣接する位置にナット49を移動して配置させることによって、支持柱41に対するベース部材47の取付位置のずれを防止することができる。中子核43の高さ位置の調整が不要である場合には、支持柱41とベース部材47とを溶接などによって一体的に形成するようにしてもよい。
【0032】
支持柱41に取り付けられたベース部材47を第2の基台19のテーブル面19a上に設けられた一対のクランプ取付台35の間に挟持することによって、第2の基台19のテーブル面19a上に支持柱41を固定することができる。詳細には、図4(a)に示されているように、一対のクランプ取付台35の間にベース部材47の二本の脚部47bを挟持すると共に、ベース部材47のタブ部47cを各クランプ取付台35の上面に当接させ、ベース固定治具51を各ベース取付台35の上面に固定してベース固定治具51とクランプ取付台27の上面との間にタブ部47cを挟持することによって、第2の基台19のテーブル面19aに支持柱41が固定される。各クランプ取付台35の上面に予めベース固定治具51を取り付けておき、一対のクランプ取付台35を近づけながら、クランプ取付台35の上面とベース固定治具51との間に形成された隙間にベース部材47のタブ部47cを挿入して、一対のクランプ取付台35の間にベース部材47を挟持し、テーブル面19aに支持柱41を固定するようにしてもよい。一対のクランプ取付台35の間にベース部材47が挟持されたとき、支持柱41はその中心軸線O3が管部材保持機構23に保持される管部材P1の中心軸線O1と垂直に交わるように配置される(図1及び図2参照)。
【0033】
図示されている実施形態では、図5(b)に示されているように、ベース部材47のベース本体部47aの両側部の中央にタブ部47bがベース本体部47aから側方へ突出して設けられている。一方、図5(a)に示されているように、各クランプ取付台35の上面に取り付けられるベース固定治具51では、側部中央にタブ部47bと相補的形状の切り欠き部51aが設けられ、切り欠き部51aを挟んだ両側の上部にベース部材47のベース本体部47aの上を覆うように突出するカバー部51bが設けられている。クランプ取付台35によるベース部材47の挟持の際には、クランプ取付台35の上面に固定されたベース固定治具51の切り欠き部51aにベース部材47のタブ部47cを係合させる。これにより、ベース部材47は移動軸線M方向の予め定められた位置に配置されると共に移動軸線Mの方向への位置ずれが防止される。また、一対のベース取付台27の間にベース部材47の二本の脚部47b,47bを挟持させる。これにより、ベース部材47は幅方向のあらかじめ定められた位置に配置される。このようにして、適正な位置にベース部材47が配置され、予め定められた位置に支持柱41が立設される。また、一対のベース取付台35の間にベース部材47の二本の脚部47b,47bが挟持された状態のとき、ベース固定治具51のカバー部51bはベース部材47のベース本体部47aの上方を覆う位置に配置され、カバー部51bとベース取付台35の上面との間にベース部材47のベース本体部47aを挟持する。これによって、一対のクランプ取付台35の間からのベース部材47の脱落を防止することができる。
【0034】
第1の実施形態の配管部材保持機構25は、支持柱41に固定されるベース部材47を一対のクランプ取付台35の間に挟持することによって第2の基台19上に固定されている。しかしながら、第2の基台19への配管部材保持機構25の固定方法は上述の方法に限定されるものではない。例えば、図6に示されているように、第2の基台19のテーブル面19aに支持柱41を溶接したり、第2の基台19のテーブル面19aに設けられたねじ穴に支持柱41を螺合させたり、ボルト締結で固定するなどの方法によって支持柱41を第2の基台19に立設して、配管部材保持機構25を第2の基台19上に固定してもよい。
【0035】
ベース部材47のベース本体部47aから上方に突出する支持柱41の長さは、支持柱41に取り付けられたベース部材47aを一対のクランプ取付台35によって挟持して第2の基台19のテーブル面19a上に支持柱41を固定し、固定された支持柱41の上端部に取り付けられた中子核43を配管部材P2の一方の開口端部の接続受け口44内に挿入して中子核43に配管部材P2を保持したときに、配管部材P2の他方の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1が延びる水平面内に配置されるように定められる。なお、支持柱41にナット49が外挿されている場合に、ナット49を中子核43の底面に当接させるように配置すれば、支持柱41におけるナット49の位置を変更することによって、支持柱41に支持される中子核43の高さ位置の微調整を行うことも可能となる。
【0036】
次に、図1及び図2に示されている第1の実施形態による配管部材保持機構25を備えた配管接続装置11を用いて、配管部材P2としての90°のエルボに管部材P1としての直線状のパイプを接続する場合の手順を説明する。
【0037】
配管接続装置11の第1の基台17のテーブル面17aには、管部材接続機構23が設けられており、配管接続装置11の第2の基台19のテーブル面19aには、上述した方法により、第1の実施形態の配管部材保持機構25が固定されている。
【0038】
最初に、操作ハンドル21などを用いて、図1に示されているように、移動軸線Mの方向に第2の基台19から第1の基台17を離反させ、ホーム位置に移動させる。この状態で、操作ハンドル31を用いてテーブル面17a上で移動軸線Mと垂直な幅方向に一対のクランプ取付台27を離反させて各対のクランプ部材29,29の間に管部材P1を配置した後、一対のクランプ取付台27を幅方向に接近させ、複数対のクランプ部材29,29(詳細には各クランプ部材29の三角形状の切込み部の頂点を挟んだ2辺)を管部材P1の外周面に幅方向に当接させて複数対のクランプ部材29,29の間に管部材P1を挟持する。各対のクランプ部材29の切り込み部が同じ高さに設けられているので、複数対のクランプ部材29,29の間に管部材P1が保持されると、図1及び図2に示されているように、管部材P1の内部流路の中心軸線O1が予め定められた高さで移動軸線Mと平行に延びるように、管部材P1が配置される。また、管部材P1は幅方向に開閉するクランプ取付部材27に取り付けられた各対のクランプ部材29,29の間に挟持されるので、管部材P1の中心軸線O1が幅方向の予め定められた位置に延びるように、管部材P1が配置される。
【0039】
一方、第2の基台19のテーブル面19a上には、管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と直交する中心軸線O3方向に延びるように、配管部材保持機構25の支持柱41が立設されている。すなわち、管部材保持機構23によって管部材P1が保持されているとき、管部材P1の内部流路の中心軸線O1は支持柱41の中心軸線O3のと移動軸線M方向に整列するように配置される。また、支持柱41の上端部に支持柱41と同軸となるように支持される保持アダプタとしての中子核43を配管部材P2である90°エルボの一方の開口端部の接続受け口44に予め定められた深さまで挿入して中子核43に配管部材P2を保持すると、配管部材P2の他方の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と同じ高さ位置の水平面内に延びるように、配管部材P2が配置される。したがって、配管接続装置11を用いれば、管部材P1と接続すべき配管部材P2の開口端部の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1と同じ高さに配置されるようにするための管部材P1と配管部材P2の高さ位置の調整作業が不要となる。
【0040】
さらに、支持柱41の中心軸線O3は管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と直交するようになっており、中子核43は支持柱41と同軸となるように支持されている。したがって、中子核43を配管部材P2の一方の開口端部の接続受け口44内に挿入した状態で、中子核43の中心軸線周りに配管部材P2を回転させるだけで、配管部材P2の他方の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1と一直線上に整列するように配管部材2を配置させることができる。中子核43の中心軸線周りの配管部材P2の回転は、中子核43に対する配管部材P2の摺動により行ってもよく、配管部材P2を保持した中子核43を中心軸線O3周りに支持柱41に対して回転させることによって行ってもよい。
【0041】
また、図13に示されているように、一方の開口端部に例えばエルボのような管継手P5がすでに接続されている管部材P1の他方の開口端部に配管部材P2としての別の管継手を接続するような場合、管部材P1の一方の開口端部に接続された管継手P4の管部材P1とは反対側の開口端部(以下、外側開口端部と記載する。)の中心軸線O4に対して、管部材P1の他方の開口端部に接続される配管部材P2における管部材P1と反対側の開口端部(以下、外側開口端部と記載する。)の中心軸線の向きが指定されることがある(図13では、それぞれの管継手の外側開口端部が上下方向に正反対側を向き且つ開口端部の中心軸線が上下方向に延びるように指定されている。)。このような場合、クランプを用いて配管部材P2を保持する配管接続装置では、管部材P1に接続する配管部材P2の開口端部の中心軸線O2と管部材P1の中心軸線O1とを一直線上に整列させるだけでなく、配管部材P2としての管継手の外側開口端部の向きと管部材P1にすでに接続されている管継手P5の外側開口端部の向きとを調整してクランプに配管部材P2を保持する必要があった。しかしながら、配管接続装置11では、中子核43に配管部材P2を保持すれば、管部材P1に接続する側の配管部材P2の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と同じ高さ位置の水平面内に延びるだけでなく、配管部材P2の外側開口端部の中心軸線が支持柱41の中心軸線O3と一直線上に整列するように、配管部材P2が配置され、配管部材P2の外側開口端部の中心軸線の向きが固定される。したがって、管部材P1に接続済みの管継手P5の外側開口端部の中心軸線O4が支持柱41の中心軸線O3に対する管部材P1に接続される管継手の外側開口端部の向きを調整すればよく、調整作業を大幅に簡略化し、作業時間を短縮することができる。なお、図13に示されているような場合、管部材P1に接続済みの管継手P5の外側開口端部の開口部に水平器を当てて、開口面が水平に延びるように管継手P5の向きを調整し、管部材P1を管部材保持機構23によって保持すればよい。
【0042】
次に、配管部材P2の開口端部の接続受け口44の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と概略一直線上に整列するように配管部材P2を配置した後、操作ハンドル21等の操作によって、第1の基台17を第2の基台19へ向かって接近させる。配管部材保持機構25によって保持される配管部材P2の他方の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と概略一直線上に整列するように配置されているので、第1の基台17を第2の基台19へ向かって接近させると、配管部材P2の開口端部の接続受け口44内に管部材P1の開口端部が挿入され、管部材P1の開口端部と配管部材P2の開口端部とが接続される。管部材P1と配管部材P2との接合は、例えば、配管部材P2の開口端部の接続受け口44内に挿入する管部材P1の開口端部の外周面又は配管部材P2の開口端部の接続受け口44の内周面に接着剤を塗布しておいたり、これらを加熱して溶融させておいたりすることによって行う。配管部材P2は中子核43の中心軸線周り(すなわち支持柱41の中心軸線O3周り)に回転させることができるので、管部材P1を挿入すべき配管部材P2の開口端部を任意の向きにして接着剤の塗布作業や溶融作業などを行うことができる。したがって、塗布作業や溶融作業を円滑に行うことができ、作業時間を短縮することが可能となる。
【0043】
また、第1の基台17と第2の基台19とを接近させるときに、管部材P1の開口端部を挿入すべき配管部材P2の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と正確に整列されていなくても、管部材P1と配管部材P2とを接近させながら、中子核43の中心軸線周りに配管部材P2を回転させて配管部材P2の開口端部の向きを微調整すれば、管部材P1の開口端部(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と配管部材P2の開口端部(詳細には、その接続受け口44)の中心軸線O2とを容易に一直線上に整列させることができる。したがって、配管部材P2を予め定められた向き及び姿勢に調整する作業も作業者の経験などに頼ることなく容易に行うことができる。
【0044】
さらに、配管部材P2は、その開口端部の接続受け口44内に中子核43を挿入するだけで、配管部材保持機構25に保持することができ、クランプ部材を配管部材P2の外周面に当接させてクランプ部材の間に配管部材P2を挟持する必要がないので、クランプ部材による締め付けに伴う配管部材P2の変形、擦り傷などの発生を防止することができる。また、クランプ部材への挟持によって配管部材P2を保持する場合、接続作業が終わった後に次の配管部材P2に交換するためには、クランプ取付台35の開閉作業と、クランプ部材に挟持される配管部材P2の位置合わせ作業を行う必要がある。これに対して、配管接続装置11では、次の配管部材P2に交換するときも、次の配管部材P2の開口端部の接続受け口44内に中子核43を挿入するだけで配管部材保持機構25に次の配管部材P2を保持でき、高さ位置合わせも完了するので、接続作業を簡素化し、大幅に作業効率及生産性を向上させることができる。
【0045】
異なる種類や寸法の配管部材P2に管部材P1を接続する場合、例えば、図7(a)に示されているように開口径が大きいエルボから、図7(b)に示されている開口径が小さいエルボに、管部材P1を挿入する対象の配管部材P2の寸法を変更する場合でも、図7(a)及び図7(b)から分かるように、支持柱41に支持する中子核43のみを交換するだけで、対応させることができる。詳細には、中子核43の貫通孔43bを貫通するボルト45を支持柱41の上端から外し、支持柱41に支持される中子核43を他の中子核43に交換した後、交換した中子核43の貫通孔43bに貫通させたボルト45を支持柱41の上端部の雌ねじ穴41aに螺合させるだけで、中子核43の交換作業が完了し、異なる種類や寸法の配管部材P2に対応させることができる。また、配管部材P2の種類や寸法が変わったことによる配管部材P2の配置の位置の変更などを作業者が考える必要もなく、中子核43を配管部材P2の開口端部の接続受け口44内に挿入するだけで、異なる配管部材P2を予め定められた位置及び姿勢に保持することができ、対応が容易となる。したがって、高品質で配管部材P2と管部材P1との接続を行うことが可能となる。
【0046】
次に、図8から図11を参照して、第2の実施形態による配管部材保持機構55について説明する。第2の実施形態による配管部材保持機構55は、支持柱41に支持される保持アダプタとして、中子核43に代えて概略板状のアダプタ体57を採用している点において、第1の実施形態による配管部材保持機構25と主に異なっている。第2の基台19のテーブル面19aに支持柱41が立設されている点については、第1の実施形態による配管部材保持機構25と同様であるので、ここでは、支持柱41をテーブル面19aに立設するための構成については、説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態による配管部材保持機構55は、管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と垂直に交わる中心軸線O3に沿って延びるようにテーブル面19a上に固定される支持柱41と、配管部材P2を装着して保持するための保持アダプタとして支持柱41に支持されるアダプタ体57とを備える。アダプタ体57は支持柱41に回転可能に支持されていることが好ましい。
【0048】
支持柱41は、第1の実施形態の配管部材保持機構25と同様に、円柱形状を有しており、金属材料から形成されている。図示されている支持柱41は、第1の実施形態による配管部材保持機構25と同様に、支持柱41の下端部に取り付けられたベース部材47を一対のクランプ取付台35によって挟持することによって第2の基台19のテーブル面19aに固定される。しかしながら、第1の実施形態の配管部材保持機構25の場合と同様に、第2の基台19のテーブル面19aへの支持柱41の固定は、特に限定されるものではなく、第2の基台19のテーブル面19a上に支持柱41を溶接によって固定するようにしてもよい。
【0049】
アダプタ体57は、互いと平行に延びる表面及び裏面を有した平面板部57aと、平面板部57aを支持柱41に支持するために平面板部57aの裏面に接続されている取り付け部57bとを備える。取り付け部57bには、支持柱41を貫通させるための貫通孔57cが形成されている。支持柱41を取り付け部57bの貫通孔57cに挿通させ、アダプタ体57が予め定められた高さ位置に配置されたときに、支持柱41に形成された位置決め孔41cに挿入したピンなどの位置決め部材61を取り付け部57bの底面に当接させることによって、支持柱41の予め定められた位置にアダプタ体57を回転可能に支持することができる。アダプタ体57が支持柱41に支持されたとき、アダプタ体57aの平面板部57aの表面は支持柱41の中心軸線O3と平行に延びるように配置される、すなわち平面板部57aの表面の法線が水平方向に延びるように配置される。
【0050】
図示されている実施形態では、取り付け部57bは、上下に互いに離間して平行に平面板部57aの裏面から延びる二つの平板状の脚部によって構成され、二つの脚部にそれぞれ支持柱41を貫通させるための貫通孔57cが形成されている。支持柱41の位置決め孔41cに挿入された位置決め部材61が下側の脚部の底面に当接するように設置されることによって、支持柱41の予め定められた高さ位置にアダプタ体57が回転可能に支持される。しかしながら、支持柱41の予め定められた高さ位置にアダプタ体57を支持できるようになっていれば、取り付け部57bの構成や位置決め部材61の構成は、限定されるものではない。例えば平面板部57aの裏面から突出するように接続され且つ支持柱41を貫通させるための貫通孔57cが形成されている直方体形状部を取り付け部57bとすることも可能である。さらに、支持柱41にその中心軸線O3に沿って複数の位置決め孔41cを設け、支持柱41に支持されるアダプタ体57の高さ位置を複数段階で変更できるようにしてもよい。支持柱41の外周面に雄ねじ部41bを設けて、支持柱41の雄ねじ部41bにナット49を螺合させて取り付け部57bの底面に当接させることによって、支持柱41の予め定められた高さ位置にアダプタ体57を支持するようにしてもよい。この場合、支持柱41に支持されるアダプタ体57の高さ位置を連続的に変化させることが可能となる。また、取り付け部57bから上方へ離間して平面板部57aの裏面から貫通孔57cを越えて突出して延びる当接板を設け、取り付け部57bの貫通孔57cを貫通させた支持柱41の上端部を当接板に当接させることによって、支持柱41の予め定められた高さ位置にアダプタ体57を支持するようにすることもできる。
【0051】
アダプタ体57は、図10に示されているように、管継手のようなフランジ63付きの配管部材P3を保持する際に使用される。アダプタ体57の平面板部57aには、図9に示されているように、ねじ穴である複数のフランジ固定孔65が設けられている。配管部材P2のフランジ63を平面板部57aの表面に当接させて、図11に示されているように、フランジ63の複数のボルト穴67とアダプタ体57の平面板部57aの複数のフランジ固定孔65とを整列させた状態で、ボルト穴67に挿通させたピンやボルトなどの固定具69をフランジ固定孔65に螺合させることによって、平面板部57aに配管部材P2を保持する。
【0052】
アダプタ体57は、管部材P1の開口端部を挿入するべき配管部材P3の開口端部(詳細には、その接続受け口58)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の開口端部(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と同じ高さの水平面内に延び且つ配管部材P3の開口端部の中心軸線O2が支持柱41の中心軸線O3と直交するように、平面板部57aに配管部材P2を保持する。また、支持柱41はその中心軸線O3が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と直交するように配置されており、第1の実施形態の配管部材保持機構25の中子核43の場合と同様に、アダプタ体57も支持柱41の中心軸線O3周りに回転可能に支持されている。したがって、アダプタ体57を支持柱41の中心軸線O3周りに回転させることによって、管部材保持機構23によって保持される管部材P1の開口端部(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と配管部材保持機構55によって保持される配管部材P2の開口端部(詳細には、その接続受け口58)の中心軸線O2とが一直線上に延びるように整列して配管部材P2を配置させることが可能である。管部材保持機構23によって保持される管部材P1の開口端部(詳細には、その内部流路)の中心軸線O1と配管部材保持機構55によって保持される配管部材P3の開口端部(詳細には、その接続受け口58)の中心軸線O2とが一直線上に延びるように整列させた状態で、第1の基台17を第2の基台19に接近させれば、配管部材P3の開口端部に管部材P1の開口端部を挿入して配管部材P3と管部材P1とを接続することができる。
【0053】
アダプタ体57の平面板部57aに、図9に示されているように、複数の補助柱固定孔(ねじ穴)71をさらに設け、図12に示されているように、補助柱73の基端部のベース部73aに設けられた複数のボルト穴75と複数の補助柱固定孔71とを整列させてボルト77を螺合させ、平面板部57aに補助柱73を固定できるようにしてもよい。
【0054】
補助柱73の先端部には、ボルト79などによって補助柱73と同軸に中子核81が取り付けられる。中子核81は、二つの開口端部に他の管部材P1の開口端部を挿入することができるソケットタイプの配管部材P4を保持できるようになっている。すなわち、中子核81はソケットタイプの配管部材P4の一方の開口端部の接続受け口80と相補的な外形状の回転体形状を有している。また、補助柱73及び中子核81は、アダプタ体57の平面板部57aに固定された補助柱73の先端部に取り付けられた中子核81を配管部材P4の一方の開口端部の接続受け口80内に挿入して中子核81に配管部材P4を保持したときに、配管部材P4の他方の開口端部(詳細には、その接続受け口80)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と同じ高さ位置の水平面内に延び且つ配管部材P4の開口端部の中心軸線O2が支持柱41の中心軸線O3と直交するように配置されるように構成されている。支持柱41はその中心軸線O3が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と直交するように配置されており(すなわち、支持柱41と管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線P1とが幅方向に整列されている)、第1の実施形態の配管部材保持機構25の中子核43の場合と同様に、アダプタ体57も支持柱41の中心軸線O3周りに回転可能に支持されている。したがって、アダプタ体57を支持柱41の中心軸線O3周りに回転させることによって、管部材保持機構23によって保持される管部材P1の内部流路の中心軸線O1と配管部材保持機構55によって保持される配管部材P4の開口端部(詳細には、その接続受け口80)の中心軸線O2とが一直線上に延びるように配管部材P4を配置させることができる。管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1と配管部材保持機構55によって保持される配管部材P4の開口端部の中心軸線O2とが一直線上に整列させられた状態で、第1の基台17を第2の基台19に接近させれば、配管部材P4の開口端部の接続受け口80内に管部材P1の開口端部を挿入して配管部材P4と管部材P1とを接続することができる。
【0055】
図示されている実施形態では、アダプタ体57の平面板部57aに補助柱73をボルト77によって固定している。しかしながら、アダプタ体57の平面板部57aへの補助柱73の固定方法は限定されるものではなく、補助柱73を平面板部57aに溶接して一体的に形成し、補助柱73をアダプタ体57の一部として構成してもよい。
【0056】
第2の実施形態の配管部材保持機構55を備える配管接続装置の動作及び効果は、第1の実施形態の配管部材保持機構25を備える配管接続装置11の場合と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0057】
なお、アダプタ体57は、中子核43と同様に、第2の基台19のテーブル面19a上に立設された支持柱41に支持されている。したがって、中子核43とアダプタ体57とを交換して支持柱41に支持することができ、より多くの種類の配管部材P2,P3,P4に対応することが可能となる。また、中子核43とアダプタ体57との交換作業のみで、複数の種類の配管部材P2,P3,P4に対応でき、切り換えにあたって、クランプ取付台57の開閉を行ったり、第2の基台19のテーブル面19aから支持柱41を取り外したりする必要もなく、各配管部材P2,P3,P4をテーブル面19a上に保持するごとに配管部材の位置合わせを行う作業を行う必要もない。したがって、作業効率及び生産性の向上を図ることが可能となる。
【0058】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明の配管接続装置を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている配管接続装置11の第1の実施形態の配管部材保持機構25及び第2の配管部材保持機構55では、中子核43やアダプタ体57が支持柱41に回転可能に支持されている。しかしながら、中子核43やアダプタ体57は、支持柱41に対して回転できないように支持されるようになっていてもよい。この場合、中子核43やアダプタ体57は、これに配管部材P2,P3,P4を装着したときに、管部材P1の開口端部を挿入すべき配管部材P2,P3,P4の開口端部(詳細には、その接続受け口)の中心軸線O2が管部材保持機構23によって保持される管部材P1の中心軸線O1と一直線上に配置されるように、支持柱41に支持されるように構成すればよい。
【符号の説明】
【0059】
11 配管接続装置
17 第1の基台
17a テーブル面
19 第2の基台
19a テーブル面
23 管部材保持機構
25 配管部材保持機構
27 クランプ取付台
29 クランプ部材
35 クランプ取付台
41 支持柱
43 中子核
44 接続受け口
47 ベース部材
47a ベース本体部
47b 脚部
47c タブ部
47d 雄ねじ穴
51 ベース固定治具
55 配管部材保持機構
57 アダプタ体
57a 平面板部
57b 取り付け部
57c 貫通孔
58 接続受け口
61 位置決め部材
63 フランジ
65 フランジ固定孔
71 補助柱固定孔
73 補助柱
80 接続受け口
81 中子核
図1
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