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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20241011BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20241011BHJP
   H04W 16/24 20090101ALI20241011BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20241011BHJP
   H04W 36/00 20090101ALI20241011BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20241011BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W88/12
H04W16/24
H04W88/08
H04W36/00
H04B17/309
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020154085
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047992
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】マドーキラン メディス
(72)【発明者】
【氏名】ペトリット ナヒ
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ ハリ モハン
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/114372(WO,A1)
【文献】特開2008-048107(JP,A)
【文献】特表2003-509661(JP,A)
【文献】特開2019-169753(JP,A)
【文献】国際公開第2006/043588(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04B 17/309
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置に接続される複数の端末装置に関する第1情報を受けつける第1入力部と、
前記基地局装置と他の基地局装置との間においてなされるハンドオーバに関する第2情報を受けつける第2入力部と、
前記基地局装置が使用する帯域における干渉の影響に関する第3情報を受けつける第3入力部と、
前記第1入力部において受けつけた前記第1情報をもとに、第1割合以上の前記端末装置が含まれる前記基地局装置からの第1距離を推定するとともに、前記第2入力部において受けつけた前記第2情報をもとに、第2割合以上の前記端末装置がハンドオーバを実行する前記基地局装置からの第2距離を推定してから、前記第2距離に対する前記第1距離の大きさを導出する第1処理部と、
前記第1入力部において受けつけた前記第1情報をもとに、前記複数の端末装置における伝送速度の統計値を導出する第2処理部と、
前記第3入力部において受けつけた前記第3情報をもとに、前記基地局装置が使用する帯域のうち、干渉の影響が所定値よりも大きい部分の割合を導出する第3処理部と、
前記第1処理部において導出した前記大きさが第1しきい値よりも大きく、かつ前記第2処理部において導出した前記統計値が第2しきい値よりも小さく、かつ前記第3処理部において導出した前記割合が第3しきい値よりも大きい場合に、前記基地局装置に対してアンテナのチルト角を大きくさせる指示を出力する出力部と、
前記複数の端末装置における受信信号強度に関する第4情報であって、かつ前記基地局装置からの信号に対する第1受信信号強度と、前記他の基地局装置からの信号に対する第2受信信号強度とが含まれる第4情報を受けつける第4入力部と、
前記第4入力部において受けつけた前記第4情報をもとに、前記第1受信信号強度の統計値と、前記第1受信信号強度と最大の前記第2受信信号強度との差異の統計値とを導出する第4処理部と、
前記第1入力部において受けつけた前記第1情報をもとに、前記基地局装置からの距離が所定値よりも長い端末装置が含まれる割合を導出する第5処理部と、
前記第3入力部において受けつけた前記第3情報をもとに、前記基地局装置が使用する帯域に干渉成分が含まれる割合を導出する第6処理部とを備え、
前記出力部は、前記第4処理部において導出した前記第1受信信号強度の統計値が第4しきい値よりも小さく、かつ前記第4処理部において導出した前記差異の統計値が第5しきい値よりも大きく、かつ前記第5処理部において導出した前記割合が第6しきい値よりも大きく、かつ前記第6処理部において導出した前記割合が第7しきい値よりも小さい場合に、前記基地局装置に対してアンテナのチルト角を小さくさせる指示を出力する制御装置。
【請求項2】
前記第1入力部において受けつけた前記第1情報には、前記複数の端末装置のそれぞれに対するTA(Timing Advance)が含まれ、
前記第2入力部において受けつけた前記第2情報には、前記他の基地局装置毎のハンドオーバの試行回数が含まれ、
前記第1処理部は、前記TAをもとに、各端末装置に対する前記基地局装置からの距離を導出してから、導出した前記距離をもとに、前記第1割合以上の前記端末装置が含まれる前記第1距離を導出し、
前記第1処理部は、本基地局装置と前記他の基地局装置との間の距離に対する前記試行回数の累計をもとに、前記第2割合以上の前記端末装置がハンドオーバを実行する前記第2距離を導出し、
前記第1処理部は、前記第2距離と係数の乗算結果を前記第1距離から減算することによって前記大きさを導出する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1割合は90%であり、前記第2割合は95%であり、前記係数は0.75である請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1入力部において受けつけた前記第1情報には、前記複数の端末装置のそれぞれに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)が含まれ、
前記第2処理部は、前記複数の端末装置における伝送速度の統計値として、前記複数の端末装置におけるMCSの平均値を導出する請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記第3入力部において受けつけた前記第3情報には、前記基地局装置が使用する帯域を複数の副帯域に分割した場合に、干渉の影響が所定値以下である副帯域の数が含まれ、
前記第3処理部は、前記帯域に含まれる副帯域の数から前記干渉の影響が所定値以下である副帯域の数を減算し、減算結果を、前記帯域に含まれる副帯域の数で除算することによって、前記割合を導出する請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記第4処理部は、前記第1受信信号強度の平均値と、前記第1受信信号強度と最大の前記第2受信信号強度との差異の平均値とを導出する請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1入力部において受けつけた前記第1情報には、前記複数の端末装置のそれぞれに対するTA(Timing Advance)が含まれ、
前記第5処理部は、前記TAをもとに、前記TAが所定の範囲を有する端末装置が含まれる割合を導出する請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
基地局装置に接続される複数の端末装置に関する第1情報を受けつけるステップと、
前記基地局装置と他の基地局装置との間においてなされるハンドオーバに関する第2情報を受けつけるステップと、
前記基地局装置が使用する帯域における干渉の影響に関する第3情報を受けつけるステップと、
前記第1情報をもとに、第1割合以上の前記端末装置が含まれる前記基地局装置からの第1距離を推定するとともに、前記第2情報をもとに、第2割合以上の前記端末装置がハンドオーバを実行する前記基地局装置からの第2距離を推定してから、前記第2距離に対する前記第1距離の大きさを導出するステップと、
前記第1情報をもとに、前記複数の端末装置における伝送速度の統計値を導出するステップと、
前記第3情報をもとに、前記基地局装置が使用する帯域のうち、干渉の影響が所定値よりも大きい部分の割合を導出するステップと、
導出した前記大きさが第1しきい値よりも大きく、かつ導出した前記統計値が第2しきい値よりも小さく、かつ導出した前記割合が第3しきい値よりも大きい場合に、前記基地局装置に対してアンテナのチルト角を大きくさせる指示を出力するステップと、
前記複数の端末装置における受信信号強度に関する第4情報であって、かつ前記基地局装置からの信号に対する第1受信信号強度と、前記他の基地局装置からの信号に対する第2受信信号強度とが含まれる第4情報を受けつけるステップと、
前記第4情報をもとに、前記第1受信信号強度の統計値と、前記第1受信信号強度と最大の前記第2受信信号強度との差異の統計値とを導出するステップと、
前記第1情報をもとに、前記基地局装置からの距離が所定値よりも長い端末装置が含まれる割合を導出するステップと、
前記第3情報をもとに、前記基地局装置が使用する帯域に干渉成分が含まれる割合を導出するステップと、
導出した前記第1受信信号強度の統計値が第4しきい値よりも小さく、かつ導出した前記差異の統計値が第5しきい値よりも大きく、かつ導出した前記割合が第6しきい値よりも大きく、かつ導出した前記割合が第7しきい値よりも小さい場合に、前記基地局装置に対してアンテナのチルト角を小さくさせる指示を出力するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御技術に関し、特に基地局装置のアンテナのチルト角を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)のような通信システムでは、複数の基地局装置が設置され、いずれかの基地局装置に端末装置が接続することによって、通信が実行される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP、「3GPP TS 36.101 V12.24.0」、FRANCE、2019-12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端末装置は、一般的に最も受信信号強度の大きい基地局装置に接続される。そのような基地局装置は、端末装置に最も近くなかったり、最も高い伝送速度を実現できなかったりする。その結果、端末装置は、最適な基地局装置に接続されず、干渉の環境下で通信する。このような状況の発生を抑制するために、基地局装置のアンテナのチルト角のようなパラメータの最適化が必要とされる。これまで、LTEに対してアンテナのチルト角の最適化は、SINR(Signal-to-Interference Noise Ratio)、スループットによりなされている。しかしながら、オーバーシュートあるいはアンダーシュートのような状況は考慮されていない。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナのチルト角の制御の精度を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の制御装置は、基地局装置に接続される複数の端末装置に関する第1情報を受けつける第1入力部と、基地局装置と他の基地局装置との間においてなされるハンドオーバに関する第2情報を受けつける第2入力部と、基地局装置が使用する帯域における干渉の影響に関する第3情報を受けつける第3入力部と、第1入力部において受けつけた第1情報をもとに、第1割合以上の端末装置が含まれる基地局装置からの第1距離を推定するとともに、第2入力部において受けつけた第2情報をもとに、第2割合以上の端末装置がハンドオーバを実行する基地局装置からの第2距離を推定してから、第2距離に対する第1距離の大きさを導出する第1処理部と、第1入力部において受けつけた第1情報をもとに、複数の端末装置における伝送速度の統計値を導出する第2処理部と、第3入力部において受けつけた第3情報をもとに、基地局装置が使用する帯域のうち、干渉の影響が所定値よりも大きい部分の割合を導出する第3処理部と、第1処理部において導出した大きさが第1しきい値よりも大きく、かつ第2処理部において導出した統計値が第2しきい値よりも小さく、かつ第3処理部において導出した割合が第3しきい値よりも大きい場合に、基地局装置に対してアンテナのチルト角を大きくさせる指示を出力する出力部と、複数の端末装置における受信信号強度に関する第4情報であって、かつ基地局装置からの信号に対する第1受信信号強度と、他の基地局装置からの信号に対する第2受信信号強度とが含まれる第4情報を受けつける第4入力部と、第4入力部において受けつけた第4情報をもとに、第1受信信号強度の統計値と、第1受信信号強度と最大の第2受信信号強度との差異の統計値とを導出する第4処理部と、第1入力部において受けつけた第1情報をもとに、基地局装置からの距離が所定値よりも長い端末装置が含まれる割合を導出する第5処理部と、第3入力部において受けつけた第3情報をもとに、基地局装置が使用する帯域に干渉成分が含まれる割合を導出する第6処理部とを備える。出力部は、第4処理部において導出した第1受信信号強度の統計値が第4しきい値よりも小さく、かつ第4処理部において導出した差異の統計値が第5しきい値よりも大きく、かつ第5処理部において導出した割合が第6しきい値よりも大きく、かつ第6処理部において導出した割合が第7しきい値よりも小さい場合に、基地局装置に対してアンテナのチルト角を小さくさせる指示を出力する
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、アンテナのチルト角の制御の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図1の通信システムの構成を示す図である。
図3図2の制御装置の構成を示す図である。
図4図3の第1処理部における処理の概要を示す図である。
図5図3の第1処理部における別の処理の概要を示す図である。
図6図3の記憶部に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図7図3の制御装置によるオーバーシュートに対する処理の手順を示すフローチャートである。
図8図3の制御装置によるアンダーシュートに対する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例は、複数の基地局装置のいずれかと端末装置が通信する通信システムに関する。通信システムの一例はLTEであるが、それに限定されない。各基地局装置はアンテナを備え、アンテナのチルト角を制御可能である。チルト角は、俯角または伏角とも呼ばれ、水平を基準とした下向きの角度である。そのため、チルト角を小さくすれば、基地局装置は、水平に近い角度で信号を送信するので、基地局装置と通信可能な領域が広くなる。一方、チルト角を大きくすれば、基地局装置は、水平から地面に傾いた下方に信号を送信するので、基地局装置と通信可能な領域が狭くなる。
【0012】
基地局装置が信号を送信する際にオーバーシュートとアンダーシュートとが発生する場合がある。オーバーシュートは、本来想定している広さの通信可能な領域よりも広い領域において、基地局装置と通信可能になる状況であり、アンダーシュートは、本来想定している広さの通信可能な領域よりも狭い領域においてのみ、基地局装置と通信可能になる状況である。オーバーシュートが発生すると、隣接する基地局装置と通信可能な領域に対して干渉を与えうる。アンダーシュートが発生すると、隣接する基地局装置と通信可能な領域との間に、いずれの基地局装置とも通信不可能な領域が生じうる。そのため、オーバーシュートあるいはアンダーシュートを考慮したアンテナのチルト角の制御が望まれる。
【0013】
図1は、通信システム1000の構成を示す。通信システム1000は、基地局装置10と総称される第1基地局装置10aから第7基地局装置10g、複数の端末装置14を含む。通信システム1000に含まれる基地局装置10の数は「7」に形成されない。第1基地局装置10aの周囲には第1通信可能領域12aが形成される。第1通信可能領域12aは、第1基地局装置10aからの信号を受信可能な範囲、つまり第1基地局装置10aと通信可能な範囲である。第1基地局装置10aの送信電力が大きくなれば第1通信可能領域12aが広くなり、第1基地局装置10aの送信電力が小さくなれば第1通信可能領域12aは狭くなる。第1基地局装置10aが複数のセクタアンテナを備える場合、セクタアンテナ毎に通信可能領域12が形成されるが、ここでは説明を明瞭にするために、第1基地局装置10aが1つの第1通信可能領域12aを形成すると想定する。
【0014】
また、第2基地局装置10bから第7基地局装置10gの周囲にも第2通信可能領域12bから第7通信可能領域12gがそれぞれ形成される。第1通信可能領域12aから第7通信可能領域12gは通信可能領域12と総称される。第1基地局装置10aから第7基地局装置10gの送信電力は異なっていてもよいので、第1通信可能領域12aから第7基地局装置10gの大きさも異なっていてもよい。第1通信可能領域12aの縁部分には、第2通信可能領域12bから第7通信可能領域12gのそれぞれが重複される。このような通信可能領域12の重複により、第1基地局装置10aに接続されていた端末装置14が第2基地局装置10bの方に移動することによって、第1基地局装置10aから第2基地局装置10bへのハンドオーバが実現される。
【0015】
第1基地局装置10aに対してオーバーシュートが発生すると、第1通信可能領域12aが広がる。これにより、第1基地局装置10aに接続されていた端末装置14が第2基地局装置10bの近くまで移動しても第1基地局装置10aと通信する場合がある。その結果、当該端末装置14と第1基地局装置10aとの通信が第2通信可能領域12bにおいて干渉となる。第1基地局装置10aに対してアンダーシュートが発生すると、第1通信可能領域12aが狭くなる。これにより、例えば、第1通信可能領域12aと第2通信可能領域12bとが重複しなくなる。このような状況において、第1基地局装置10aに接続されていた端末装置14が第2基地局装置10bの方に移動すると、第1通信可能領域12aと第2通信可能領域12bとの間において、端末装置14は、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bの両方とも通信できなくなる。
【0016】
ここで、通信システム1000がLTEである場合、基地局装置10から端末装置14への下り回線にOFDMA(Orthogonal Frequency-Division Multiple Access)が使用されているので、周波数内の干渉は無視される。また、各基地局装置10が使用する帯域は13の副帯域に分割される。各副帯域は、各基地局装置10において再利用が可能である。例えば、第1通信可能領域12aと第2通信可能領域12bのような隣接の通信可能領域12において同一の副帯域が使用される場合、データに対してスクランブルが実行される。
【0017】
本実施例に係る通信システム1000は、オーバーシュートあるいはアンダーシュートによるこのような状況の発生を抑制するために、オーバーシュートあるいはアンダーシュートが発生している基地局装置10を特定する。また、通信システム1000は、オーバーシュートあるいはアンダーシュートが発生している基地局装置10に対してアンテナのチルト角を変えるように制御する。
【0018】
図2は、通信システム1000の構成を示す。通信システム1000は、第1基地局装置10aから第7基地局装置10g、ネットワーク100、管理システム200、制御装置300を含み、管理システム200は、OSS(Operation Support System)210、EMS(Element Management System)212、eSON(Self Organizing Network))214、セル・トレース・ログ216を含む。管理システム200は、1つの装置によって構成されてもよく、複数の装置によって構成されてもよい。
【0019】
ネットワーク100は、複数の基地局装置10を接続するコア網である。ネットワーク100には、管理システム200、制御装置300も接続される。OSS210は、通信システム1000の運用を支援するシステムである。OSS210は、各種項目を測定し、それらの測定結果をKPI(Key Performance Indicator)として出力する。EMS212は、通信システム1000を保守・管理するオペレータに対する通信システム1000のヒューマンインターフェースとしての役割を果たすネットワーク管理システムに含まれ、ネットワーク機器、例えば、基地局装置10を直接管理するシステムである。
【0020】
eSON214は、運用中の基地局装置10、端末装置14からネットワーク品質の測定データを収集・分析し、通信システム1000が自律的に基地局装置10の動作を最適化する制御を行う。セル・トレース・ログ216は、基地局装置10に関する測定結果の履歴を保存する。OSS210、EMS212、eSON214、セル・トレース・ログ216には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0021】
制御装置300は、ネットワーク100を介して管理システム200に接続され、管理システム200からのデータを受信する。制御装置300は、データをもとに、オーバーシュートが発生している基地局装置10あるいはアンダーシュートが発生している基地局装置10を特定する。また、制御装置300は、オーバーシュートが発生している基地局装置10あるいはアンダーシュートが発生している基地局装置10に対してネットワーク100経由でアンテナのチルト角を制御する。
【0022】
図3は、制御装置300の構成を示す。制御装置300は、入力部310と総称される第1入力部310aから第4入力部310d、処理部320と総称される第1処理部320aから第6処理部320f、判定部330と総称される第1判定部330a、第2判定部330b、記憶部340、出力部350を含む。ここでは、(1)オーバーシュートに対する処理、(2)アンダーシュートに対する処理の順に説明する。
【0023】
(1)オーバーシュートに対する処理
第1入力部310aは、KPIをOSS210から受けつける。KPIには、基地局装置10に接続される複数の端末装置14に関する第1情報が含まれる。第1情報は、例えば、複数の端末装置14のそれぞれに対するTA(Timing Advance)と、複数の端末装置14のそれぞれに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)を含む。第1入力部310aは、TAとMCSを取得する。
【0024】
TA制御は、1つの基地局装置10における各端末装置14からの信号の受信タイミングを合わせるために、各端末装置14の送信タイミングを調節する機能である。TAは、端末装置14の送信タイミングを指定するためのパラメータであり、例えば、0から13のいずれかの値を示す。TAが「0」に近いほど端末装置14の送信タイミングが遅く、TAが「13」に近いほど端末装置14の送信タイミングが早くなる。これは、TAが「0」に近いほど、端末装置14が基地局装置10の近傍に存在し、TAが「13」に近いほど、端末装置14が基地局装置10から離れて存在することに相当する。
【0025】
MCSは、基地局装置10と端末装置14の間の通信における変調方式と誤り率の符号化率を示す値であり、基地局装置10と端末装置14の間の通信における伝送速度に相当する。MCSは、例えば、0から28のいずれかの値を示す。MCSが「0」に近いほど伝送速度が低く、MCSが「28」に近いほど伝送速度が高い。
【0026】
第2入力部310bは、基地局装置10と他の基地局装置10との間においてなされるハンドオーバに関する第2情報をEMS212から受けつける。第2情報には、基地局装置10と他の基地局装置10との間におけるハンドオーバの試行回数が他の基地局装置10毎に示される。これは、第1基地局装置10aに着目する場合、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bとの間におけるハンドオーバの試行回数、第1基地局装置10aと第3基地局装置10cとの間におけるハンドオーバの試行回数等を示す。
【0027】
第3入力部310cは、基地局装置10が使用する帯域における干渉の影響に関する第3情報をeSON214から受けつける。第3情報には、MCIM(Multi-Cell Interference Mitigation)カウンタが含まれる。MCIMカウンタには、評価した副帯域カウントと、全グリーン副帯域カウントとが含まれる。評価した副帯域カウントは、13の副帯域のうち、干渉の影響を評価した副帯域の数を示す。全グリーン副帯域カウントは、干渉の影響を評価した副帯域のうち、干渉の影響が所定値以下である副帯域の数を示す。一方、干渉の影響が所定値より大きい副帯域では、周波数副帯域マスクが適用されている。評価した副帯域カウントと全グリーン副帯域カウントは、所定の期間、例えば、15分間の積算値として示される。eSON214におけるこれらの値の計測には公知の技術が使用されればよい。
【0028】
第1処理部320aは、TAの各値と距離との対応関係を保持しており、当該対応関係を参照することによって、第1入力部310aにおいて取得したTAをもとに、各端末装置14に対する基地局装置10からの距離を導出する。また、第1処理部320aは、各距離を有する端末装置14の総数を導出する。さらに、第1処理部320aは、距離を増加させながら端末装置14の累積値を導出する。
【0029】
図4は、第1処理部320aにおける処理の概要を示す。横軸が距離を示し、左側から右側に向かって距離が長くなる。そのため、最も左側にプロットされる距離がTA「0」に対応した距離であり、最も右側にプロットされる距離がTA「13」に対応した距離である。第1処理部320aは、複数の累積値を近似する線A1を導出する。線A1の導出には、例えば、最小二乗法が使用される。図4における線A1は直線とされているが、直線に限定されず曲線であってもよい。第1処理部320aは、線A1が第1割合を超える距離を「第1距離」として取得する。第1距離は、第1割合以上の端末装置14が含まれる基地局装置10からの距離を示す。第1割合を「90%」とする場合、第1距離は、90%TA距離と呼ばれる。図3に戻る。
【0030】
第1処理部320aは、第2入力部310bから、基地局装置10と他の基地局装置10との間におけるハンドオーバの試行回数であって、かつ他の基地局装置10毎の試行回数を受けつける。また、第1処理部320aは、本基地局装置10と他の基地局装置10との間の距離の情報を他の基地局装置10毎に保持する。さらに、第1処理部320aは、距離の情報を参照して、基地局装置10と他の基地局装置10との間におけるハンドオーバの試行回数を距離毎に導出する。これに続いて、第1処理部320aは、距離を増加させながら試行回数の累積値を導出する。
【0031】
図5は、第1処理部320aにおける別の処理の概要を示す。横軸が距離を示し、左側から右側に向かって距離が長くなる。前述のごとく、第1基地局装置10aに着目し、第1基地局装置10aに対して第2基地局装置10bから第7基地局装置10gに向かって距離が長くなる場合、「L2」は第1基地局装置10aと第2基地局装置10bとの間の距離を示す。また、「L3」から「L7」は、第1基地局装置10aと第3基地局装置10cとの間の距離、・・・、第1基地局装置10aと第7基地局装置10gとの間の距離をそれぞれ示す。第1処理部320aは、複数の累積値を近似する線A2を導出する。線A2の導出には、例えば、最小二乗法が使用される。図5における線A2は直線とされているが、直線に限定されず曲線であってもよい。第1処理部320aは、線A2が第2割合を超える距離を「第2距離」として取得する。第2距離は、第2割合以上の端末装置14がハンドオーバを実行する基地局装置10からの距離であり、「ハンドオーバ半径」とも呼ばれる。第2割合は例えば「95%」とされる。図3に戻る。
【0032】
第1処理部320aは、次のように、第2距離と係数の乗算結果を第1距離から減算することによって、第2距離に対する第1距離の大きさを導出する。
第2距離に対する第1距離の大きさ=第1距離-係数×第2距離 式(1)
係数は、例えば0.75である。90%TA距離がハンドオーバ半径を超えると、基地局装置10からの信号の伝送距離が長くなっているおそれがあり、オーバーシュート発生の可能性が高くなる。また、第2距離に対する第1距離の大きさは、ハンドオーバ半径によって特定されるカバレッジ半径の要求値を示す。
【0033】
第2処理部320bは、第1入力部310aにおいて取得したMCSをもとに、MCSの平均値を次のように導出する。
【数1】
ここで、#MCS0はMCSが0である端末装置14の数を示し、#MCS1はMCSが1である端末装置14の数を示し、#MCS28はMCSが28である端末装置14の数を示す。このようなMCSの平均値は、複数の端末装置14における伝送速度の統計値である。統計値として平均値以外の値が導出されてもよい。
【0034】
第3処理部320cは、第3入力部310cから、評価した副帯域カウントと、全グリーン副帯域カウントとを受けつける。第3処理部320cは、評価した副帯域カウントから全グリーン副帯域カウントを減算し、減算結果を、評価した副帯域カウントで除算することによって、干渉の影響が所定値よりも大きい部分(以下、「非全グリーン副帯域カウント」という)の割合を次のように導出する。
非全グリーン副帯域カウントの割合(%)=(評価した副帯域カウント-全グリーン副帯域カウント)/評価した副帯域カウント 式(3)
非全グリーン副帯域カウントの割合は、基地局装置10が使用する帯域のうち、干渉の影響が所定値よりも大きい部分の割合に相当する。
【0035】
第1判定部330aは、第2距離に対する第1距離の大きさを第1処理部320aから受けつけ、MCSの平均値を第2処理部320bから受けつけ、非全グリーン副帯域カウントの割合を第3処理部320cから受けつける。第1判定部330aは、第2距離に対する第1距離の大きさを第1しきい値と比較し、MCSの平均値を第2しきい値と比較し、非全グリーン副帯域カウントの割合を第3しきい値と比較する。
【0036】
図6は、記憶部340に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、第1しきい値から第3しきい値が記憶されており、例えば、第1しきい値は「0」であり、第2しきい値は「10」であり、第3しきい値は「10(%)」である。図3に戻る。第1判定部330aは、第2距離に対する第1距離の大きさが第1しきい値よりも大きく、かつMCSの平均値が第2しきい値よりも小さく、かつ非全グリーン副帯域カウントの割合が第3しきい値よりも大きい場合に、オーバーシュートの発生を判定する。
【0037】
出力部350は、第1判定部330aがオーバーシュートの発生を判定した場合、着目した基地局装置10、例えば第1基地局装置10aに対してアンテナのチルト角を大きくさせる指示の信号をネットワーク100経由で基地局装置10に出力する。例えば、アンテナのチルト角は複数段階規定されており、現在のアンテナのチルト角の値よりも、アンテナのチルト角が大きくなる値が選択される。基地局装置10は、指示に応じてアンテナのチルト角を大きくする。
【0038】
(2)アンダーシュートに対する処理
アンダーシュートが発生している場合、通信可能領域12が小さくなったり、ハンドオーバの成功率が低くなったり、TAが大きくなる端末装置14の数が増えたり、隣接した他の基地局装置10からの干渉が小さくなったりする。
【0039】
第4入力部310dは、KPIをOSS210から受けつける。KPIには、複数の端末装置14における受信信号強度に関する第4情報が含まれる。第4情報は、端末装置14が接続している基地局装置10からの信号に対する第1受信信号強度と、端末装置14が接続していない他の基地局装置10からの信号に対する第2受信信号強度を含む。第1受信信号強度と第2受信信号強度は、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)である。RSRPは1リソースエレメント(帯域15kHz)あたりのRSの受信電力である。RSは周波数領域においても時間領域においても偏らずに送信されている既知の信号である。
【0040】
第4処理部320dは、第4入力部310dにおいて受けつけた第4情報をもとに、第1受信信号強度の統計値として平均値を導出する。また、第4処理部320dは、複数の第2受信信号強度から最大値を選択し、第1受信信号強度と最大の第2受信信号強度との差異の統計値として平均値を導出する。
【0041】
第5処理部320eは、第1入力部310aにおいて取得したTAをもとに、TAが所定の範囲を有する端末装置14が含まれる割合を次のように導出する。
【数2】
ここで、#TAkは、TAがkである端末装置14の数を示す。そのため、割合は、TAが0-13の範囲を有する端末装置14の数に対するTAが3-13の範囲を有する端末装置14の数の割合を示し、基地局装置10からの距離が所定値よりも長い端末装置が含まれる割合に相当する。
【0042】
第6処理部320fは、第3入力部310cから受けつけたMCIMカウンタから、「評価した副帯域マスクカウンタ」、「グリーン副帯域最大値」、「グリーン副帯域合計値」を取得する。「評価した副帯域マスクカウンタ」、「グリーン副帯域最大値」、「グリーン副帯域合計値」には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。第6処理部320fは、次のように、「合計副帯域」と「レッド副帯域」を導出する。
合計副帯域=評価した副帯域マスクカウンタ×グリーン副帯域最大値 式(5)
レッド副帯域=合計副帯域-グリーン副帯域合計値 式(6)
【0043】
また、第6処理部320fは、基地局装置10が使用する帯域に干渉成分が含まれる割合を次のように導出する。
干渉成分が含まれる割合=レッド副帯域/合計副帯域×100 式(7)
つまり、合計副帯域は、基地局装置10が使用する帯域に相当し、レッド副帯域は、干渉成分に相当する。干渉成分が含まれる割合として、前述の非全グリーン副帯域カウントの割合が使用されてもよい。
【0044】
第2判定部330bは、第1受信信号強度の平均値と、第1受信信号強度と最大の第2受信信号強度との差異の平均値とを第4処理部320dから受けつけ、割合を第5処理部320eから受けつけ、干渉成分が含まれる割合を第6処理部320fから受けつける。第2判定部330bは、第1受信信号強度の平均値を第4しきい値と比較し、第1受信信号強度と最大の第2受信信号強度との差異の平均値を第5しきい値と比較し、割合を第6しきい値と比較し、干渉成分が含まれる割合を第7しきい値と比較する。
【0045】
図6のごとく、第4しきい値から第7しきい値が記憶されており、例えば、第4しきい値は「-105(dBm)」であり、第5しきい値は「-3」であり、第6しきい値は「70(%)」であり、第7しきい値は「0.5(%)」である。図3に戻る。第2判定部330bは、第1受信信号強度の平均値が第4しきい値よりも小さく、かつ第1受信信号強度と最大の第2受信信号強度との差異の平均値が第5しきい値よりも大きく、かつ割合が第6しきい値よりも大きく、かつ干渉成分が含まれる割合が第7しきい値よりも小さい場合に、アンダーシュートの発生を判定する。第2判定部330bは、アンダーシュートの発生を判定するために、さらに別の条件を追加してもよい。例えば、「Intra Frequency HOSR<90%」、「MRO counters too early/too late >0」である。
【0046】
出力部350は、第2判定部330bがアンダーシュートの発生を判定した場合、着目した基地局装置10、例えば第1基地局装置10aに対してアンテナのチルト角を小さくさせる指示の信号をネットワーク100経由で基地局装置10に出力する。例えば、現在のアンテナのチルト角の値よりも、アンテナのチルト角が小さくなる値が選択される。基地局装置10は、指示に応じてアンテナのチルト角を小さくする。
【0047】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0048】
以上の構成による制御装置300の動作を説明する。図7は、制御装置300によるオーバーシュート処理の手順を示すフローチャートである。第2距離に対する第1距離の大きさが0より大きく(S10のY)、MCSの平均値が10より小さく(S12のY)、非全グリーン副帯域カウントが10%より大きい場合(S14のY)、第1判定部330aと出力部350は、基地局装置10のチルト角を増加させる(S16)。第2距離に対する第1距離の大きさが0より大きくない場合(S10のN)、あるいはMCSの平均値が10より小さくない場合(S12のN)、非全グリーン副帯域カウントが10%より大きくない場合(S14のN)、処理が終了される。
【0049】
図8は、制御装置300によるアンダーシュート処理の手順を示すフローチャートである。第1受信信号強度の平均値が-105dBmより小さく(S50のY)、差異の平均値が-3より大きく(S52のY)、割合が70%よりも大きく(S54のY)、干渉成分が含まれる割合が0.5%よりも小さい場合(S56のY)、第2判定部330bと出力部350は、基地局装置10のチルト角を減少させる(S58)。第1受信信号強度の平均値が-105dBmより小さくない場合(S50のN)、あるいは差異の平均値が-3より大きくない場合(S52のN)、あるいは割合が70%よりも大きくない場合(S54のN)、干渉成分が含まれる割合が0.5%よりも小さくない場合(S56のN)、処理が終了される。
【0050】
本実施例によれば、第1割合以上の端末装置が含まれる基地局装置からの第1距離と、第2割合以上の端末装置がハンドオーバを実行する基地局装置からの第2距離との組合せと、複数の端末装置におけるMCSの平均値と、基地局装置が使用する帯域のうち、干渉の影響が所定値よりも大きい部分の割合とをもとにオーバーシュートの発生を判定するので、判定精度を向上できる。また、オーバーシュートの発生を判定した場合に、アンテナのチルト角の変更を指示するので、オーバーシュートの影響を低減できる。また、オーバーシュートの発生を判定した場合に、アンテナのチルト角の変更を指示するので、アンテナのチルト角の制御の精度を向上できる。
【0051】
また、TAをもとに、各端末装置に対する基地局装置からの距離を導出してから、第1割合以上の端末装置が含まれる第1距離を導出するので、基地局装置に接続される端末装置の距離の推定精度を向上できる。また、本基地局装置と他の基地局装置との間の距離に対する試行回数の累計をもとに、第2割合以上の前記端末装置がハンドオーバを実行する第2距離を導出するので、ハンドオーバ半径の導出精度を向上できる。また、第2距離と係数の乗算結果を第1距離から減算した結果をもとに判定するので、基地局装置からの信号の伝送距離が長くなっているおそれを検出できる。また、基地局装置からの信号の伝送距離が長くなっているおそれが検出されるので、オーバーシュート発生を判定できる。また、第1割合は90%であり、第2割合は95%であり、係数は0.75であるので、オーバーシュートの発生の判定精度を向上できる。
【0052】
また、複数の端末装置におけるMCSの平均値を導出するので、通信品質を推定できる。また、帯域に含まれる副帯域の数から干渉の影響が所定値以下である副帯域の数を減算し、減算結果を、帯域に含まれる副帯域の数で除算するので、干渉の影響が所定値よりも大きい部分の割合を容易に導出できる。また、オーバーシュートの発生を判定した場合に、基地局装置に対してアンテナのチルト角を大きくさせる指示を出力するので、オーバーシュートの影響を低減できる。
【0053】
また、基地局装置からの信号に対する第1受信信号強度と、他の基地局装置からの信号に対する第2受信信号強度と、基地局装置からの距離が所定値よりも長い端末装置が含まれる割合と、基地局装置が使用する帯域に干渉成分が含まれる割合とをもとにアンダーシュートの発生を判定するので、判定精度を向上できる。また、アンダーシュートの発生を判定した場合に、アンテナのチルト角を小さくさせる指示を出力するので、アンダーシュートの影響を低減できる。また、アンダーシュートの発生を判定した場合に、アンテナのチルト角を小さくさせる指示を出力するので、アンテナのチルト角の制御の精度を向上できる。
【0054】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。実施例は例示であり、それらの各構成要素または各処理プロセスの組合せに、いろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0055】
本実施例における制御装置300は、オーバーシュートに対する処理と、アンダーシュートに対する処理とを実行する。しかしながらこれに限らず例えば、制御装置300は、オーバーシュートに対する処理と、アンダーシュートに対する処理とのいずれか一方だけを実行してもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0056】
10 基地局装置、 12 通信可能領域、 100 ネットワーク、 200 管理システム、 210 OSS、 212 EMS、 214 eSON、 216 セル・トレース・ログ、 300 制御装置、 310 入力部、 320 処理部、 330 判定部、 340 記憶部、 350 出力部、 1000 通信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8