(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】ヘッジトリマ
(51)【国際特許分類】
A01G 3/04 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
A01G3/04 501D
(21)【出願番号】P 2020202038
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅浩
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特許第4976122(JP,B2)
【文献】欧州特許出願公開第01911344(EP,A2)
【文献】特開2013-085529(JP,A)
【文献】特開2000-116235(JP,A)
【文献】特開2016-131524(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1910989(CN,A)
【文献】特開2010-110242(JP,A)
【文献】米国特許第08307554(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/00 - 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに取付けられており、前記本体ハウジングの前部から前方に延びる固定板と、
前後方向に移動可能に前記固定板に取付けられており、前記本体ハウジングの前部から前方に延びるブレードと、
前記固定板に着脱可能に取付けられているチップレシーバと、を備え、
前記固定板の左側面と右側面の一方の第1側面には、第1被係合部が設けられており、
前記固定板の前記左側面と前記右側面の他方の第2側面には、第2被係合部が設けられており、
前記チップレシーバは、
前記固定板上に載置される基部と、
前記基部に接続されており、刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部と、
前記チップレシーバを前記固定板に取付ける取付部と、を備え、
前記取付部は、
前記基部又は前記受け止め部に固定され、前記第1被係合部に係合する第1係合部と、
前記第2被係合部に係合する係合位置と、前記第2被係合部に係合しない係合解除位置の間で移動可能に前記基部又は前記受け止め部に支持された第2係合部と、
ユーザの操作に応じて、前記第2係合部を、前記係合位置から、前記係合解除位置に移動させる操作部と、を備え、
前記基部の上面は平坦である、ヘッジトリマ。
【請求項2】
前記受け止め部に、前記操作部が設けられている、請求項1に記載のヘッジトリマ。
【請求項3】
前記受け止め部は、前記基部に対して、前記第2側面側に設けられており、
前記チップレシーバの前記受け止め部に、前記第2係合部が設けられている、請求項2に記載のヘッジトリマ。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記基部と一体的に形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘッジトリマ。
【請求項5】
前記操作部は、前後方向に垂直な第1方向に沿って操作可能であり、
前記操作部が前記第1方向に沿って操作されることによって、前記第2係合部は、前記第1方向に沿って移動する、請求項1から4のいずれか一項に記載のヘッジトリマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッジトリマに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、本体ハウジングと、本体ハウジングに取付けられており、本体ハウジングの前部から前方に延びる固定板と、前後方向に移動可能に固定板に取付けられており、本体ハウジングの前部から前方に延びるブレードと、固定板に着脱可能に取付けられているチップレシーバと、を備えるヘッジトリマが開示されている。固定板の左側面には、第1被係合部が設けられており、固定板の右側面には、第2被係合部が設けられている。チップレシーバは、固定板上に載置される基部と、基部に接続されており、刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部と、チップレシーバを固定板に取付ける取付部と、を備える。取付部は、基部に固定され、第1被係合部に係合する第1係合部と、第2被係合部に係合する係合位置と、第2被係合部に係合しない係合解除位置の間で移動可能に受け止め部に支持された第2係合部と、ユーザの操作に応じて、第2係合部を、係合位置から、係合解除位置に移動させる操作部と、を備える。基部の上面には、平坦部と、上方に突出する突出部と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヘッジトリマでは、チップレシーバの基部の上面に突出部が設けられている。この場合、ブレードによって刈り取られた枝葉が受け止め部に入り込む前に突出部に衝突する。このため、ブレードによって刈り取られた枝葉のうち、突出部に衝突した枝葉が地面に散乱してしまう。本明細書では、ブレードによって刈り取られた枝葉のうち、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるヘッジトリマは、本体ハウジングと、前記本体ハウジングに取付けられており、前記本体ハウジングの前部から前方に延びる固定板と、前後方向に移動可能に前記固定板に取付けられており、前記本体ハウジングの前部から前方に延びるブレードと、前記固定板に着脱可能に取付けられているチップレシーバと、を備え、前記固定板の左側面と右側面の一方の第1側面には、第1被係合部が設けられており、前記固定板の前記左側面と前記右側面の他方の第2側面には、第2被係合部が設けられており、前記チップレシーバは、前記固定板上に載置される基部と、前記基部に接続されており、刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部と、前記チップレシーバを前記固定板に取付ける取付部と、を備え、前記取付部は、前記基部又は前記受け止め部に固定され、前記第1被係合部に係合する第1係合部と、前記第2被係合部に係合する係合位置と、前記第2被係合部に係合しない係合解除位置の間で移動可能に前記基部又は前記受け止め部に支持された第2係合部と、ユーザの操作に応じて、前記第2係合部を、前記係合位置から、前記係合解除位置に移動させる操作部と、を備え、前記基部の上面は平坦であってもよい。なお、ここでいう「平坦」とは、ブレードによって刈り取られた枝葉が受け止め部に入り込むことを阻害するリブ、突出部等が、基部の上面に設けられていないことを意味する。即ち、「平坦」とは、ブレードによって刈り取られた枝葉が受け止め部に入り込むことを阻害しないサイズのリブ、突出部等が、基部の上面に設けられていることを含む。
【0006】
上記の構成によれば、基部の上面が平坦であるために、ブレードによって刈り取られた枝葉が受け止め部に入り込むことが阻害されない。従って、ブレードによって刈り取られた枝葉の多くを受け止め部で受け止めることができる。この結果、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例のヘッジトリマ2の前方左方上方から見た斜視図である。
【
図2】本実施例のヘッジトリマ2を前方左方下方から見た斜視図である。
【
図3】本実施例のブレードユニット12及びチップレシーバ14の分解図である。
【
図4】本実施例のチップレシーバ14を上方から見た上面図である。
【
図5】本実施例のチップレシーバ14を前方から見た断面図である。
【
図6】本実施例の取付部90を前方左方上方から見た斜視図である。
【
図7】本実施例の可動部102を前方左方下方から見た斜視図である。
【
図8】本実施例のチップレシーバ14を前方から見た断面図である。
【
図9】本実施例のヘッジトリマ2の電気的構成を示す図である。
【
図10】本実施例のヘッジトリマ2に取付け可能なガード180を上方から見た上面図である。
【
図11】変形例のガイドバー248を後方左方上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善されたヘッジトリマを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1又はそれ以上の実施形態において、ヘッジトリマは、本体ハウジングと、前記本体ハウジングに取付けられており、前記本体ハウジングの前部から前方に延びる固定板と、前後方向に移動可能に前記固定板に取付けられており、前記本体ハウジングの前部から前方に延びるブレードと、前記固定板に着脱可能に取付けられているチップレシーバと、を備え、前記固定板の左側面と右側面の一方の第1側面には、第1被係合部が設けられており、前記固定板の前記左側面と前記右側面の他方の第2側面には、第2被係合部が設けられており、前記チップレシーバは、前記固定板上に載置される基部と、前記基部に接続されており、刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部と、前記チップレシーバを前記固定板に取付ける取付部と、を備え、前記取付部は、前記基部又は前記受け止め部に固定され、前記第1被係合部に係合する第1係合部と、前記第2被係合部に係合する係合位置と、前記第2被係合部に係合しない係合解除位置の間で移動可能に前記基部又は前記受け止め部に支持された第2係合部と、ユーザの操作に応じて、前記第2係合部を、前記係合位置から、前記係合解除位置に移動させる操作部と、を備え、前記基部の上面は平坦であってもよい。
【0012】
1又はそれ以上の実施形態において、受け止め部に操作部が設けられていてもよい。
【0013】
基部に操作部を設ける構成の場合、ブレードによって刈り取られた枝葉が操作部に衝突して、操作部に衝突した枝葉が地面に散乱する可能性がある。上記の構成によれば、ブレードによって刈り取られた枝葉が、受け止め部に入り込む前に操作部に衝突することを抑制することができる。従って、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。
【0014】
また、基部に操作部を設ける構成の場合、作業中に、枝が操作部に接触し、第2係合部が係合位置から係合解除位置に移動する可能性がある。この場合、作業中に、チップレシーバが、固定板から外れてしまう。上記の構成によれば、作業中に、枝が操作部に接触することを防止することができる。従って、作業中に、チップレシーバが固定板から外れることを防止することができる。
【0015】
1又はそれ以上の実施形態において、受け止め部は、基部に対して、第2側面側に設けられており、チップレシーバの受け止め部に、第2係合部が設けられていてもよい。
【0016】
基部の厚みが厚いほど、ブレードによって刈り取られた枝葉が基部に衝突し易くなり、地面に散乱する枝葉の量が多くなる。このため、基部の厚みは薄いことが望ましい。仮に、操作部が受け止め部に設けられており、第2係合部が基部に設けられている場合、基部に、操作部と第2係合部を連結する連結部を設ける必要があり、連結部の分だけ基部の厚みが厚くなる。上記の構成によれば、基部に、操作部と第2係合部を連結する連結部を設ける必要がない。このため、基部の厚みを薄くすることができる。従って、基部に接触する枝葉の量を低減させ、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。
【0017】
1又はそれ以上の実施形態において、第1係合部は、基部と一体的に形成されていてもよい。
【0018】
基部の厚みが厚いほど、ブレードによって刈り取られた枝葉が基部に衝突し易くなり、地面に散乱する枝葉の量が多くなる。このため、基部の厚みは薄いことが望ましい。仮に、第1係合部が締結具を介して基部に固定されている場合、締結孔を基部に設ける必要があり、基部の厚みが厚くなってしまう。上記の構成によれば、基部に締結孔を設ける必要がない。このため、基部の厚みを薄くすることができる。従って、基部に接触する枝葉の量を低減させ、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。また、締結具を利用しなくてもよいため、ヘッジトリマの部品点数を低減させることができる。
【0019】
1又はそれ以上の実施形態において、操作部は、前後方向に垂直な第1方向に沿って操作可能であってもよい。操作部が第1方向に沿って操作されることによって、第2係合部は、第1方向に沿って移動してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、操作部を操作する方向と、第2係合部の移動する方向が一致する。このため、ユーザは、第2係合部の移動方向を容易に理解することができる。従って、ヘッジトリマの操作性を向上させることができる。
【0021】
(実施例)
図面を参照して、ヘッジトリマ2について説明する。ヘッジトリマ2は、園芸用の電動工具であり、生垣の選定等に用いられる。
図1に示すように、ヘッジトリマ2は、本体ハウジング10と、本体ハウジング10に取付けられたブレードユニット12と、チップレシーバ14と、を備えている。チップレシーバ14は、受け皿状の部材であり、ブレードユニット12によって刈り取られた枝葉を受け止める。以下の説明では、ブレードユニット12の長手方向を、前後方向といい、ブレードユニット12の刃先50、56が延びている方向を左右方向といい、前後方向及び左右方向に直交する方向を上下方向という。
【0022】
(本体ハウジング10の構成)
本体ハウジング10には、チップガード20と、フロントハンドル22と、リアハンドル24と、が設けられている。チップガード20は、本体ハウジング10の前部に設けられており、刈り取られた枝葉が後方に飛散するのをガードする。フロントハンドル22は、チップガード20よりも後方に設けられている。リアハンドル24は、本体ハウジング10の後部に設けられている。フロントハンドル22とリアハンドル24は、ユーザによって把持されるように構成されている。ヘッジトリマ2は、手持ち式の電動工具であり、通常、ユーザは、左手でフロントハンドル22を把持し、右手でリアハンドル24を把持することによって、ヘッジトリマ2を操作する。リアハンドル24には、駆動レバー26が設けられている。本体ハウジング10の後部には、バッテリパックBが着脱可能に取付けられている。本体ハウジング10には、モータ28(
図9参照)と、モータ28の駆動を制御する制御基板30(
図9参照)と、が収容されている。制御基板30は、バッテリパックBからモータ28に供給される電力を制御することで、モータ28の動作を制御する。リアハンドル24を把持した手の指によって駆動レバー26が押し上げられると、バッテリパックBからモータ28に電力が供給され、モータ28がブレードユニット12を駆動する。
図2に示すように、本体ハウジング10の下部には、前方に延びる前方延伸部10aが取付けられている。
【0023】
(ブレードユニット12の構成)
ブレードユニット12は、本体ハウジング10から前方に向かって直線的に延びている。
図3に示すように、ブレードユニット12は、上側ブレード42及び下側ブレード44を有する一対のブレード40と、ガイドプレート46と、ガイドバー48と、を備えている。
【0024】
上側ブレード42には、前後方向に沿って複数の刃先50が設けられている。複数の刃先50は、上側ブレード42の左右両側に設けられている。即ち、上側ブレード42は、両刃ブレードである。上側ブレード42には、複数の長孔52が設けられている。複数の長孔52は、前後に沿って配列されており、各々の長孔52の長手方向は、前後方向に沿って延びている。上側ブレード42の後部には、上側コネクティングロッド54が連結されている。上側コネクティングロッド54は、本体ハウジング10内のクランクカム(図示省略)を介してモータ28(
図9参照)に接続されている。
【0025】
下側ブレード44には、前後方向に沿って複数の刃先56が設けられている。複数の刃先56は、下側ブレード44の左右両側に設けられている。即ち、下側ブレード44も、両刃ブレードである。下側ブレード44にも、複数の長孔58が設けられている。複数の長孔58についても、前後に沿って配列されており、各々の長孔58の長手方向は、前後方向に沿って延びている。上側ブレード42の長孔52、及び、下側ブレード44の長孔58には、上側ブレード42及び下側ブレード44の往復運動をガイドするために、ガイド部材62が挿入される。ガイド部材62の左右方向の長さは、長孔52、58の左右方向の長さよりもわずかに小さい。下側ブレード44の後部には、下側コネクティングロッド60が連結されている。下側コネクティングロッド60も、本体ハウジング10内のクランクカム(図示省略)を介してモータ28(
図9参照)に接続されている。
【0026】
ガイドプレート46には、ボルト69(
図2参照)が通過する複数の孔64が設けられている。ガイドバー48には、ボルト69(
図2参照)が通過する複数の孔66が設けられている。ガイドバー48の左側面には、前後方向に延びる左側係合溝48aが設けられている。ガイドバー48の右側面にも、前後方向に延びる右側係合溝48b(
図5参照)が設けられている。ガイドプレート46は、ナット68及びボルト69(
図2参照)によって、ガイドバー48に固定される。また、一対のブレード40は、ナット68及びボルト69(
図2参照)によって、ガイドプレート46に取付けられる。また、最も後方側のナット68及びボルト69(
図2参照)によって、ガイドプレート46及びガイドバー48が本体ハウジング10(詳細には、前方延伸部10a)に固定される。
【0027】
(チップレシーバ14の構成)
チップレシーバ14は、基部70と、受け止め部72と、を備える。以下では、
図1、
図2のように、チップレシーバ14の受け止め部72がブレードユニット12の右側に位置している状態を例に説明する。ここで、基部70とは、チップレシーバ14のうち、ガイドバー48の上面に設けられている部分のことを言う。具体的に言うと、
図4、
図5に示すように、チップレシーバ14のうち、平面PよりもA1側(本実施例では左側)の部分のことを基部70という。平面Pは、上下方向及び前後方向を含み、ガイドバー48の右端を通過する平面である。そして、チップレシーバ14のうち、平面PよりもA2側(本実施例では右側)の部分のことを、受け止め部72という。基部70には、複数の長孔78が設けられている。複数の長孔78は、前後に沿って配列されており、各々の長孔78の長手方向は、前後方向に沿って延びている。長孔78の左右方向の長さは、ナット68の左右方向の長さよりもわずかに大きい。基部70の上面は、前後方向及び左右方向を含む平面と平行な平坦部70aを有する。基部70には、平坦部70aよりも上方に突出する突出部が設けられていない。また、基部70には、下方に凹んでいる2個の凹部79aが設けられている。凹部79aには、凹部79aを上下方向に貫通する貫通孔79bが設けられている。なお、変形例では、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉が受け止め部72に入り込むことを阻害しないサイズのリブ、突出部等が、基部70の上面に設けられていてもよい。例えば、左右方向に延びるリブを基部70の上面に設ける場合、リブの上下方向の大きさは、基部70の厚みの2倍以下であり、リブの前後方向の大きさは、基部70の厚みの半分以下であるとよい。このようなサイズのリブであれば、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉が受け止め部72に入り込むことを阻害しない。
【0028】
受け止め部72は、基部70から右方に延伸する右方延伸部74と、右方延伸部74の右端部から上方に延伸する上方延伸部76と、を備える。受け止め部72には、上方に突出する2個の突出部80が設けられている。2個の突出部80は、前後に沿って配列されている。2個の突出部80は、基部70の凹部79aの右側に設けられている。
図5に示すように、突出部80は、左右方向に延びており、右方延伸部74から上方に膨らむ突出形状を有する。突出部80には、下方に向けて開口するボス82が設けられている。突出部80の左端部には、下方に延伸する第1下方延伸部84が設けられている。突出部80の右端部近傍には、下方に延伸する第2下方延伸部86が設けられている。受け止め部72において、突出部80の右側には開口88が設けられている。
【0029】
図3に示すように、チップレシーバ14は、さらに、2個の取付部90を備えている。2個の取付部90は、前後に沿って配列されている。2個の取付部90は、受け止め部72の2個の突出部80に対応する位置に配置されている。
図5、
図6に示すように、取付部90は、第1係合部92と、支持部100と、可動部102と、バネ104と、を備える。第1係合部92は、基部70と一体的に形成されている。支持部100は、第1平坦部106と、段差部108と、第2平坦部110と、を備える。右側から順に、第1平坦部106、段差部108、第2平坦部110が設けられている。段差部108は、第1平坦部106の左端部と第2平坦部110の右端部とを接続する。第2平坦部110は、第1平坦部106よりも上方に位置している。第1平坦部106の右端部近傍には、湾曲部112が設けられている。湾曲部112は、左方から右方に向かうにつれて下方から上方に向かうように湾曲している。湾曲部112の下部には、開口114が設けられている。開口114は、可動部102の右側に枝葉が溜まることを防止するための開口である。第2平坦部110には、ボルト孔116が設けられている。支持部100が突出部80に固定されている状態において、第2平坦部110の右端と、突出部80の第2下方延伸部86の右端と、の位置は略一致する。支持部100上に可動部102及びバネ104が載置されている状態において、ボルト134をボルト孔116及びボス82に螺合させることで、支持部100が突出部80に固定される。
【0030】
図6に示すように、可動部102は、操作部120と、第1段差部122と、第1段差部122の前後両端から左方に延びる左方延伸部124と、第2段差部126と、第2係合部128と、を備える。右側から順に、操作部120、第1段差部122、左方延伸部124と、第2段差部126、第2係合部128が設けられている。第1段差部122は、操作部120と左方延伸部124の右端部とを接続する。左方延伸部124は、操作部120よりも上方に位置する。第2段差部126は、左方延伸部124の左端部と第2係合部128とを接続する。左方延伸部124は、第2係合部128よりも上方に位置する。操作部120は、ユーザが操作可能な部材であり、左方から右方に向かうにつれて下方から上方に向かうように湾曲している。第1段差部122と第2段差部126との間には、前後の左方延伸部124を接続する接続部130が設けられている。
図7に示すように、接続部130の下部には、凹部132が設けられている。凹部132の前後方向の大きさは、バネ104の前後方向の大きさよりもわずかに大きい。
図5に示すように、突出部80の第2下方延伸部86、支持部100の第2平坦部110、及び、可動部102の凹部132によって、バネ104の収容部が画定される。バネ104の右端部は、突出部80の第2下方延伸部86に接触し、バネ104の左端部は、可動部102の凹部132の左端部に接触する。第2係合部128は、ガイドバー48の右側係合溝48bに係合する。ユーザは、操作部120を左右方向に操作することで、突出部80及び支持部100に対して、可動部102を左右方向に移動させることができる。可動部102を左右方向に移動させることで、第2係合部128が右側係合溝48bに係合する係合位置(
図5の位置)と、第2係合部128が右側係合溝48bに係合しない係合解除位置(
図8の位置)と、を切り替えることができる。第2係合部128は、通常時、バネ104によって、係合位置(
図5参照)に付勢されている。具体的には、バネ104によって、可動部102が突出部80及び支持部100に対して左方向に付勢されるために、第2係合部128が係合位置に付勢される。なお、ユーザは、基部70の貫通孔79bを介して、第2係合部128の動作を視認することができる。
【0031】
続いて、
図5、
図8を参照して、チップレシーバ14をガイドバー48に装着する手順について説明する。ユーザは、2個の取付部90に対して同時的に以下の手順を実行することによって、チップレシーバ14をガイドバー48に装着させることができる。以下では、後側の取付部90に対する手順を例に説明する。
【0032】
まず、ユーザは、取付部90の操作部120を右方に移動させる。次いで、ユーザは、ガイドバー48上に基部70を配置させ、ガイドバー48の左側係合溝48aに基部70の第1係合部92を係合させる。これにより、
図8に示すように、第2係合部128の左端部が、突出部80の第1下方延伸部84の下方に位置するようになる。次いで、ユーザは、操作部120から指を離す。この場合、
図5に示すように、バネ104の付勢力によって、突出部80及び支持部100に対して可動部102が左方に移動する。そして、ガイドバー48の右側係合溝48bに第2係合部128が係合する。これにより、第1係合部92が左側係合溝48aに係合しており、かつ、第2係合部128が右側係合溝48bに係合している状態になる。このような手順を2個の取付部90に対して同時的に実行することで、チップレシーバ14をガイドバー48に装着することができる。なお、左側係合溝48aに第1係合部92を係合させ、右側係合溝48bに第2係合部128を係合させる場合を例に、チップレシーバ14をガイドバー48に装着する手順を説明したが、本実施例のヘッジトリマ2では、右側係合溝48bに第1係合部92を係合させ、左側係合溝48aに第2係合部128を係合させることによって、チップレシーバ14をガイドバー48に装着させることもできる。この場合、ガイドバー48の左側にチップレシーバ14の受け止め部72が配置される。ユーザは、上側ブレード42及び下側ブレード44の右側の刃先50、56を利用して、枝葉を刈り取ることできる。
【0033】
続いて、
図5、
図8を参照して、ガイドバー48からチップレシーバ14を取外す手順について説明する。ユーザは、2個の取付部90に対して同時的に以下の手順を実行することによって、ガイドバー48からチップレシーバ14を取外すことができる。以下では、後側の取付部90に対する手順を例に説明する。
【0034】
まず、ユーザは、操作部120を右方に移動させる。これにより、
図8に示すように、第2係合部128が、係合位置から係合解除位置に移動する。即ち、第2係合部128と右側係合溝48bとの係合が解除される。次いで、ユーザは、ガイドバー48に対して、チップレシーバ14を斜めに傾けて、第1係合部92と左側係合溝48aとの係合を解除する。次いで、ユーザは、チップレシーバ14を上方に移動させる。このような手順を2個の取付部90に対して同時的に実行することで、ガイドバー48からチップレシーバ14を取外すことができる。なお、本実施例のヘッジトリマ2では、2個の取付部90に対して同時的にガイドバー48から取外す操作を実行する必要がある。例えば、ユーザは、右手で前側の取付部90を操作して、左手で後側の取付部90を操作する必要がある。このような構成によると、ヘッジトリマ2の駆動レバー26が操作されている状態、即ち一対のブレード40が駆動されている状態で、ガイドバー48からチップレシーバ14を取外すための操作が行われることを防止することができる。従って、ヘッジトリマ2を利用するユーザの安全性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施例のヘッジトリマ2には、例えば、ガイドバー48とチップレシーバ14の基部70との間にガード180を取付けることができる。
図10に示すように、ガード180には、前後方向に沿って複数のガード部材182が設けられている。複数のガード部材182は、ガード180の左右両側に設けられている。ガード180は、比較的に大きな物体が、上側ブレード42の複数の刃先50及び下側ブレード44の複数の刃先56に接触することを防止する。チップレシーバ14の取付部90は、チップレシーバ14及びガード180がガイドバー48に取付けられている状態において、前後に並ぶ2個のガード部材182の間に配置されるように構成されている。
【0036】
1またはそれ以上の実施形態において、ヘッジトリマ2は、
図1~
図9に示すように、本体ハウジング10と、本体ハウジング10に取付けられており、本体ハウジング10の前部から前方に延びるガイドバー48(「固定板」の一例)と、前後方向に移動可能にガイドバー48に取付けられており、本体ハウジング10の前部から前方に延びる一対のブレード40と、ガイドバー48に着脱可能に取付けられているチップレシーバ14と、を備える。ガイドバー48の左側面(「第1側面」の一例)には、左側係合溝48a(「第1被係合部」の一例)が設けられており、ガイドバー48の右側面(「第2側面」の一例)には、右側係合溝48b(「第2被係合部」の一例)が設けられている。チップレシーバ14は、ガイドバー48上に載置される基部70と、基部70に接続されており、刈り取られた枝葉を受け止める受け止め部72と、チップレシーバ14をガイドバー48に取付ける取付部90と、を備える。取付部90は、基部70に固定され、左側係合溝48aに係合する第1係合部92と、右側係合溝48bに係合する係合位置(
図5参照)と、右側係合溝48bに係合しない係合解除位置(
図8参照)の間で移動可能に受け止め部72に支持された第2係合部128と、ユーザの操作に応じて、第2係合部128を、係合位置から係合解除位置に移動させる操作部120と、を備える。基部70の上面は平坦である。特に、本実施例では、基部70の上面よりも上方に突出する突出部が基部70の上面に設けられていない。上記の構成によれば、基部70の上面が平坦であるために、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉が受け止め部72に入り込むことが阻害されない。従って、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉の多くを受け止め部72で受け止めることができる。この結果、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。
【0037】
また、1またはそれ以上の実施形態において、チップレシーバ14の受け止め部72に、操作部120が設けられている。仮に、基部70に操作部120を設ける構成の場合、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉が操作部120に衝突して、操作部120に衝突した枝葉が地面に散乱する可能性がある。上記の構成によれば、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉が受け止め部72に入り込む前に、枝葉が操作部120に衝突することを防止することができる。従って、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。また、仮に、基部70に操作部120を設ける構成の場合、作業中に、枝が操作部120に接触し、第2係合部128が係合位置から係合解除位置に移動する可能性がある。この場合、作業中に、チップレシーバ14が、ガイドバー48から外れてしまう。上記の構成によれば、作業中に、枝が操作部120に接触することを防止することができる。従って、作業中に、チップレシーバ14がガイドバー48から外れることを防止することができる。
【0038】
また、1またはそれ以上の実施形態において、受け止め部72は、基部70に対して、右側面側に設けられており、チップレシーバ14の受け止め部72に、第2係合部128が設けられている。基部70の厚みが厚いほど、一対のブレード40によって刈り取られた枝葉が基部70に衝突し易くなり、地面に散乱する枝葉の量が多くなる。このため、基部70の厚みは薄いことが望ましい。仮に、操作部120が受け止め部72に設けられており、第2係合部128が基部70に設けられている場合、基部70に、操作部120と第2係合部128を連結する連結部を設ける必要があり、連結部の分だけ基部70の厚みが厚くなる。上記の構成によれば、基部70に、操作部120と第2係合部128を連結する連結部を設ける必要がない。このため、基部70の厚みを薄くすることができる。従って、基部70に接触する枝葉の量を低減させ、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。
【0039】
また、1またはそれ以上の実施形態において、第1係合部92は、基部70と一体的に形成されている。仮に、第1係合部92がボルト等を介して基部70に固定されている場合、ボルト孔を基部70に設ける必要があり、基部70の厚みが厚くなってしまう。上記の構成によれば、基部70にボルト孔を設ける必要がない。このため、基部70の厚みを薄くすることができる。従って、基部70に接触する枝葉の量を低減させ、地面に散乱する枝葉の量を低減させることができる。また、ボルトを利用しなくてもよいため、ヘッジトリマ2の部品点数を低減させることができる。
【0040】
また、1またはそれ以上の実施形態において、操作部120は、左右方向に沿って操作可能であり、操作部120が左右方向に沿って操作されることによって、第2係合部128は、左右方向に沿って移動する。上記の構成によれば、操作部120を操作する方向と、第2係合部128の移動する方向が一致する。このため、ユーザは、第2係合部128の移動方向を容易に理解することができる。従って、ヘッジトリマ2を利用するユーザの操作性を向上させることができる。
【0041】
(第1変形例)実施例のガイドバー48に代えて、
図11のガイドバー248を採用可能である。ガイドバー248は、底壁部250と、左壁部252と、右壁部254と、を備える。左壁部252は、底壁部250の左端部から上方に延びている。右壁部254は、底壁部250の右端部から上方に延びている。底壁部250には、複数の孔256が設けられている。複数の孔256は、前後に沿って配列されている。左壁部252には、2個の上方突出部258が設けられている。上方突出部258には、左側係合孔260が設けられている。右壁部254には、2個の上方突出部262が設けられている。上方突出部262には、右側係合孔264が設けられている。例えば、取付部90の第1係合部92を左側係合孔260に係合させ、取付部90の第2係合部128を右側係合孔264に係合させることによって、チップレシーバ14をガイドバー248に装着させることができる。本変形例では、左側係合孔260、右側係合孔264が、それぞれ、「第1被係合部」、「第2被係合部」の一例である。
【0042】
(第2変形例)基部70に操作部120が設けられていてもよい。
【0043】
(第3変形例)基部70に、操作部120及び第2係合部128が設けられており、受け止め部72に第1係合部92が設けられていてもよい。
【0044】
(第4変形例)基部70と第1係合部92とが別体で構成されていてもよい。この場合、第1係合部92はボルトによって、基部70に固定されているとよい。
【0045】
(第5変形例)第1係合部92が、受け止め部72に固定されていてもよい。
【0046】
(第6変形例)一対のブレード40は、左側又は右側の一方にのみ刃先を有する片刃ブレードであってもよい。
【0047】
(第7変形例)チップレシーバ14は、1個の取付部90のみを有していてもよいし、3個以上の取付部90を有していてもよい。
【0048】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0049】
2:ヘッジトリマ、10:本体ハウジング、10a:前方延伸部、12:ブレードユニット、14:チップレシーバ、20:チップガード、22:フロントハンドル、24:リアハンドル、26:駆動レバー、28:モータ、30:制御基板、40:ブレード、42:上側ブレード、44:下側ブレード、46:ガイドプレート、48:ガイドバー、48a:左側係合溝、48b:右側係合溝、50:刃先、52:長孔、54:上側コネクティングロッド、56:刃先、58:長孔、60:下側コネクティングロッド、62:ガイド部材、64:孔、66:孔、68:ナット、69:ボルト、70:基部、70a:平坦部、72:受け止め部、74:右方延伸部、76:上方延伸部、78:長孔、79a:凹部、79b:貫通孔、80:突出部、82:ボス、84:第1下方延伸部、86:第2下方延伸部、88:開口、90:取付部、92:第1係合部、100:支持部、102:可動部、104:バネ、106:第1平坦部、108:段差部、110:第2平坦部、112:湾曲部、114:開口、116:ボルト孔、120:操作部、122:第1段差部、124:左方延伸部、126:第2段差部、128:第2係合部、130:接続部、132:凹部、134:ボルト、180:ガード、182:ガード部材、248:ガイドバー、250:底壁部、252:左壁部、254:右壁部、256:孔、258:上方突出部、260:左側係合孔、262:上方突出部、264:右側係合孔、B:バッテリパック