(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】水道メータ
(51)【国際特許分類】
G01F 15/14 20060101AFI20241011BHJP
G01F 1/06 20060101ALI20241011BHJP
G01F 1/075 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G01F15/14
G01F1/06 A
G01F1/075
(21)【出願番号】P 2020210891
(22)【出願日】2020-12-19
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 司
(72)【発明者】
【氏名】光藤 駿
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-099172(JP,U)
【文献】実開昭53-133555(JP,U)
【文献】特開2002-081971(JP,A)
【文献】特開2002-081972(JP,A)
【文献】特開2002-090203(JP,A)
【文献】特開2002-090204(JP,A)
【文献】特開平09-166459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F 15/00-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管に接続されて水道水が内部を通過するベース部の筒形上端部と、透光キャップの下端部とが重ねられてそれらに外側から係合リングが嵌合され、前記透光キャップと共にその内側の計測部を前記ベース部に対して回転操作して、前記計測部の上面の流量表示部の向きを変更可能な水道メータであって、
前記計測部内の磁気部品による水道水の流量に応じた磁気の変化を検出して、その検出結果を外部に出力する外付検出機が外面に取り付けられる水道メータにおいて、
前記係合リングから上方に突出して、前記外付検出機を前記透光キャップに重ねた状態に支持する検出機支持部を備える水道メータ。
【請求項2】
前記透光キャップと前記検出機支持部とにそれぞれ設けられ、前記係合リングに対して前記透光キャップが相対回転されると互いに当接して前記外付検出機を前記計測部に対する特定位置に位置決めする1対の位置決当接部を有する請求項1に記載の水道メータ。
【請求項3】
前記透光キャップの前記位置決当接部である第1位置決突部は、前記透光キャップの外周面に形成され、
前記検出機支持部の前記位置決当接部である第2位置決突部は、前記透光キャップの外周面に向かって突出し、
前記検出機支持部には、
前記第2位置決突部との間で前記第1位置決突部を挟んで対向し、前記第1位置決突部が前記第2位置決突部から離れることを規制する補助位置決突部と、
前記補助位置決突部を支持すると共に前記透光キャップの外周面から離れる側に弾性変形して、前記第1位置決突部が前記第2位置決突部に近づく側に前記補助位置決突部を乗り越えることを許容する弾性支持部と、が備えられている、請求項2に記載の水道メータ。
【請求項4】
前記第2位置決突部は、前記弾性支持部から離れて配置されている、請求項3に記載の水道メータ。
【請求項5】
前記第2位置決突部は、前記補助位置決突部と共に前記弾性支持部に支持されている、請求項3に記載の水道メータ。
【請求項6】
前記係合リングは、前記ベース部に対して回転可能になっている、請求項1から5の何れか1の請求項に記載の水道メータ。
【請求項7】
前記外付検出機と、
前記外付検出機のうち前記透光キャップとの対向面に固定されて、前記透光キャップに密着する弾性体と、を有する、請求項1から6の何れか1の請求項に記載の水道メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内部の磁気部品による磁気を検出する外付検出機が取り付けられる水道メータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の水道メータは、検針作業の簡易化等のために開発が進んでおり、例えば、流量表示部を覆うガラス板の外側に装着される固定リングがベース部に螺合装着されているタイプの水道メータで、外付検出機を固定するための構造を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したタイプの水道メータの前記ガラス板の代わりに透光キャップを備え、その透光キャップをベース部に対して回転操作して、透光キャップ内の流量表示部の向きを変更することが可能なタイプの水道メータに関しては、外付検出機を固定するための構造が提供されておらず、その開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の水道メータは、水道管に接続されて水道水が内部を通過するベース部の筒形上端部と、透光キャップの下端部とが重ねられてそれらに外側から係合リングが嵌合され、前記透光キャップと共にその内側の計測部を前記ベース部に対して回転操作して、前記計測部の上面の流量表示部の向きを変更可能な水道メータであって、前記計測部内の磁気部品による水道水の流量に応じた磁気の変化を検出して、その検出結果を外部に出力する外付検出機が外面に取り付けられる水道メータにおいて、前記係合リングから上方に突出して、前記外付検出機を前記透光キャップに重ねた状態に支持する検出機支持部を備える水道メータである。
【0006】
請求項2の水道メータは、前記透光キャップと前記検出機支持部とにそれぞれ設けられ、前記係合リングに対して前記透光キャップが相対回転されると互いに当接して前記外付検出機を前記計測部に対する特定位置に位置決めする1対の位置決当接部を有する請求項1に記載の水道メータである。
【0007】
請求項3の発明は、前記透光キャップの前記位置決当接部である第1位置決突部は、前記透光キャップの外周面に形成され、前記検出機支持部の前記位置決当接部である第2位置決突部は、前記透光キャップの外周面に向かって突出し、前記検出機支持部には、前記第2位置決突部との間で前記第1位置決突部を挟んで対向し、前記第1位置決突部が前記第2位置決突部から離れることを規制する補助位置決突部と、前記補助位置決突部を支持すると共に前記透光キャップの外周面から離れる側に弾性変形して、前記第1位置決突部が前記第2位置決突部に近づく側に前記補助位置決突部を乗り越えることを許容する弾性支持部と、が備えられている、請求項2に記載の水道メータである。
【0008】
請求項4の発明は、前記第2位置決突部は、前記弾性支持部から離れて配置されている、請求項3に記載の水道メータである。
【0009】
請求項5の発明は、前記第2位置決突部は、前記補助位置決突部と共に前記弾性支持部に支持されている、請求項3に記載の水道メータである。
【0010】
請求項6の発明は、前記係合リングは、前記ベース部に対して回転可能になっている、請求項1から5の何れか1の請求項に記載の水道メータである。
【0011】
請求項7の発明は、前記外付検出機と、前記外付検出機のうち前記透光キャップとの対向面に固定されて、前記透光キャップに密着する弾性体と、を有する、請求項1から6の何れか1の請求項に記載の水道メータである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、透光キャップをベース部に対して回転操作して透光キャップの内側の流量表示部の向きを変更することが可能なタイプの水道メータに対して外付検出機を取り付けることができる。しかも、係合リングに対して透光キャップが相対回転可能であるから、外付検出機を水道メータに取り付けた後で、係合リングと透光キャップとの相対回転により、外付検出機を水道メータからの磁気を検出し易い位置に移動して位置合わせをすることができる。これにより、外付検出機の位置合わせを含めた水道メータの組み付け作業を容易にすることが可能となる。
【0013】
請求項2の構成によれば、透光キャップを係合リングに対して相対回転させれば、透光キャップと検出機支持部の位置決当接部同士の当接によって、外付検出機が計測部に対して特定位置に位置決めされるので、組み付けによる計測部に対する外付検出機の位置のばらつきが抑えられ、外付検出機による検出が安定する。
【0014】
請求項3の構成では、補助位置決突部が、第1位置決突部を第2位置決突部との間に挟んで、第1位置決突部が第2位置決突部から離れることを規制する。これにより、外付検出機を、計測部に対する特定位置に位置決めした状態に維持することが可能となる。
【0015】
第2位置決突部は、弾性支持部から離れて配置されていてもよいし(請求項4の構成)、補助位置決突部と共に弾性支持部に支持されていてもよい(請求項5の構成)。
【0016】
請求項6の構成では、係合リングがベース部に対して回転可能となっているので、流量表示部の向きが変わっても、係合リングを相対回転させることで、外付検出機を水道メータからの磁気を検出し易い位置に移動して位置合わせをすることができる。例えば、流量表示部を見やすい向きに配置したまま、外付検出機を水道メータからの磁気を検出し易い位置に位置合わせをすることができる。また、係合リングをベース部に対して回転させることで、例えば、外付検出機のケーブルの向き又はアンテナの位置等を変更することができ、外付検出機の配置の自由度を高めることが可能となる。
【0017】
請求項7の構成では、外付検出機のうち透光キャップとの対向面に、弾性体が固定され、この弾性体が透光キャップに密着するので、外付検出機と磁気部品との間に金属片等が混入することを抑制可能となり、外付検出機による検出を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態に係る水道メータの正面図
【
図4】連結カバーを取り外したときの下ユニットと上ユニットの正面図
【
図10】係合リングに対して上ユニットが回転可能な状態の水道メータの平断面図
【
図11】係合リングに対して右回転した上ユニットの平断面図
【
図13】係合リングと共に右回転した上ユニットの平断面図
【
図14】(A)連結カバーのカバー位置決突部及び補助位置決突部の下方斜視図、(B)連結カバーのカバー位置決突部及び補助位置決突部の一部破断上方斜視図
【
図15】(A)透光キャップが右回転することで補助位置決突部に近づいたキャップ位置決突部の平断面図、(B)透光キャップの右回転により補助位置決突部に当接したキャップ位置決突部の平断面図
【
図16】(A)透光キャップが右回転して弾性支持部を弾性変形させているキャップ位置決突部の平断面図、(B)補助位置決突部を乗り越えて補助位置決突部とカバー位置決突部の間に配置されたキャップ位置決突部の平断面図
【
図17】他の実施形態に係る水道メータのカバー位置決突部と補助位置決突部の平断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1及び
図2には、本開示の一実施形態に係る水道メータ10が示されている。水道メータ10は、水道管99に接続される水道管接続部21を1対備え、
図3に示すように、水道管99からの水道水が通過する流路Rを内部に有している。そして、流路Rを通過した水道水の流量が、水道メータ10の内部の計測部41により計測され、計測部41の上面に設けられた流量表示部42(
図10参照)に、水道水の積算流量が表示される。本実施形態の例では、水道メータ10は、流路R内に水流により回転する羽根車22を備え、その羽根車22と連動して回転する数字車43によって流量表示部42に流量が表示される直読式の水道メータとなっている。なお、1対の水道管接続部21は、互いに交差する方向に延びているが(
図5参照)、
図3では、説明を簡単にするために一直線上に配置されているように示されている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、水道メータ10は、下ユニット20と上ユニット40と、それらを連結する連結カバー50とを備えている。なお、連結カバー50は、区別を容易にするために、適宜、灰色で図示されている。
【0021】
下ユニット20は、上記1対の水道管接続部21を備えると共に、内部に上記流路Rが配置されている。
図3及び
図4に示すように、下ユニット20には、筒状をなして上方に突出し、下ユニット20の上端部を構成する筒形上端部23が形成されている。本実施形態の例では、筒形上端部23は、円筒状をなすと共に、筒形上端部23の開口は、その内側に嵌合される蓋体24によりシールされ、流路Rが上方から閉塞されている(
図3参照)。なお、羽根車22の回転軸22Jの上端部には、流路側マグネット25が固定されていて、流路側マグネット25は、羽根車22と一体に回転可能となっている。
【0022】
上ユニット40は、
図4及び
図6に示すように、マウンティングカップ44と、その上に固定された透光キャップ30と、を有する。
図3に示すように、マウンティングカップ44には、上述の計測部41が固定され、透光キャップ30は、計測部41に被せられている。
【0023】
なお、上ユニット40の内部の計測部41は、従動回転軸46と、上述の数字車43と、それらを連動させる連動機構と、を有している。従動回転軸46は、羽根車22の回転軸22Jに対して同軸で上方に配置され、その下端部に計測部側マグネット47を固定して備えている。計測部側マグネット47は、下ユニット20の羽根車22と一体回転する流路側マグネット25に対応する位置に配置され、羽根車22の回転と連動して回転する。これにより、従動回転軸46が回転し、この回転に複数の歯車等を含む上記連動機構によって数字車43が連動することで、流量表示部42に積算流量を表示することができる。
【0024】
透光キャップ30は、外部から流量表示部42を視認可能に構成されている。透光キャップ30は、例えば、透明なガラスや透明な樹脂で構成される。
図3及び
図5に示すように、本実施形態の例では、透光キャップ30は、円筒状の外周壁31の上端を天井部32で閉塞した構成になっている。外周壁31は、下方に向かってわずかに広がっていて、外周壁31の下端部(即ち、透光キャップ30の開口縁部)からは、円環状のフランジ部30Fが外側に張り出している。なお、天井部32は、上方にわずかに膨出した板状をなしている。
【0025】
図3に示すように、マウンティングカップ44の外縁部には、円環状の係合周壁44Gが上側に向かって立設されている。係合周壁44Gの上端部は、係合周壁44Gの内側に折り曲げられている。係合周壁44Gには、透光キャップ30のフランジ部30Fと、Oリング45とが、内側からはめ込まれて嵌合される。なお、Oリング45は、透光キャップ30のフランジ部30Fと、マウンティングカップ44の底部の外縁部とに挟み付けられて、透光キャップ30とマウンティングカップ44の間をシールする。これにより、上ユニット40の内部が密閉される。
【0026】
上ユニット40は、下ユニット20の筒形上端部23に上から重ねられる(
図4参照)。このとき、
図3に示すように、上ユニット40のマウンティングカップ44が、下ユニット20の蓋体24上に載置され、透光キャップ30と下ユニット20の筒形上端部23との開口端部同士が重ね合わされる。詳細には、筒形上端部23の開口端部からは、円環状のフランジ部23Fが外側に張り出していて、その23Fと透光キャップ30のフランジ部30Fとが重ね合わされる。
【0027】
上述のように、本実施形態の水道メータ10では、下ユニット20と上ユニット40とが上下に重ねられた状態で、連結カバー50によって連結される。連結カバー50は、係合リング51を備えている。本実施形態では、係合リング51は、円環状をなし(
図5及び
図7参照)、下ユニット20の筒形上端部23と上ユニット40の透光キャップ30(詳細にはマウンティングカップ44の係合周壁44G)とに嵌合される。詳細には、係合リング51の内側に、筒形上端部23のフランジ部23Fと透光キャップ30のフランジ部30F(係合周壁44G)が、圧入される。
【0028】
図7に示すように、係合リング51の内周面には、周方向に延びる係合溝部52が形成されている。具体的には、係合溝部52は、係合リング51の内周面のうち、上端部から張り出した上端円弧状張出部53と下端部の複数箇所から張り出した下端張出爪部54との間に形成される。そして、
図3に示すように、筒形上端部23と透光キャップ30の各フランジ部23F,30Fが、係合リング51内に圧入されると、それらフランジ部23F,30Fが(詳細には係合周壁44G及びOリング45も)、係合リング51の係合溝部52に嵌まり込む。これにより、下ユニット20と上ユニット40とが連結される。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の水道メータ10には、外面に外付検出機80が取り付けられる。そして、この外付検出機80により、水道水の流量に応じた信号が外部に出力され、遠隔検針することが可能となっている。具体的には、
図3に示すように、本実施形態では、上ユニット40内の計測部41の数字車43に、磁気部品(検出用マグネット48)が一体回転可能に固定されていて、外付検出機80は、検出用マグネット48による水道水の流量に応じた磁気の変化をセンサにより検出して、その検出結果を外部に出力する。例えば、外付検出機80は、この検出結果を、パルス信号として有線又は無線により出力する。本実施形態では、外付検出機80は、信号をケーブル89により出力する。
【0030】
図1及び
図2に示すように、外付検出機80は、係合リング51から上方に突出した検出機支持部60によって透光キャップ30に重ねた状態に支持される。本実施形態では、検出機支持部60は、透光キャップ30より上方となる位置まで延びていて、外付検出機80を、透光キャップ30の上面に重ねる。本実施形態の例では、検出機支持部60は、係合リング51の周方向の一部のみから突出し、外付検出機80を、透光キャップ30の上面のうち検出機支持部60寄りの位置の上方に配置する(
図5参照)。なお、計測部41の上面の流量表示部42は、上方から見て、計測部41の片側半分に寄って配置されている(
図10参照)。
【0031】
検出機支持部60には、
図7に示すように、係合リング51から上方に延長された円弧状の円弧壁62と、その円弧壁62の上端部から上方に延びかつ係合リング51の内側にずれるように張り出した湾曲した形状の上部壁63が設けられている。上部壁63は、検出機支持部60の上端部を構成すると共に、上部壁63のうち係合リング51の周方向における一端部には、ボス64が上方に突出形成されていると共に、上部壁63の他端部の上下方向の途中位置からは、係合リング51の内側に張出足場部65が張り出している。また、上部壁63の他端部のうち張出足場部65の付け根部分の内側面には、上下方向に延びる受容溝部66が形成されている(
図14(A)参照)。具体的には、受容溝部66は、上部壁63の下端から張出足場部65の上面よりも上側の位置にまで延びている(
図9及び
図14(A)参照)。
【0032】
なお、外付検出機80は、
図8に示すように、扁平な形状をなしている。そして、外付検出機80の厚み方向が、透光キャップの径方向を向くように配置されていると共に、外付検出機80は、透光キャップ30の上面のうち外縁寄り部分に重なっている(
図5参照)。このように配置されることで、外付検出機80が邪魔になって流量表示部42が見え難くなることを抑制できる。なお、本実施形態の例では、外付検出機80の内部には、外付検出機80に給電するバッテリーが収容されている。このバッテリーは、縦長形状(例えば、円柱状、角柱状、板状等)をなし、長手方向が上下方向になるように配置されている。従って、数字車43の検出用マグネット48の近くに配置される磁気センサのスペースを確保しつつ、外付検出機80を上方から見たときにコンパクトな形状にすることが可能となり、外付検出機80により流量表示部42が見え難くなることを抑制できる。
【0033】
図8に示すように、外付検出機80のうち厚み方向と直交する横方向の一端からは、ケーブル89が延びている。また、外付検出機80の横方向の一端寄り部分には、螺子孔80Hが形成されている。外付検出機80横方向の他端部(ケーブル89と反対側の端部)には、張出係止部82が張出形成されている。張出係止部82は、外付検出機80の下端寄り部分に配置されると共に、外付検出機80のうち係合リング51の内側を向く面に形成されている(
図5参照)。また、外付検出機80の他端部のうち張出係止部82に対して係合リング51の外側にずれた位置からは、突起83が突出している(
図5参照)。突起83の上面は、張出係止部82の上面よりも低い位置に配置されている(
図9参照)。
【0034】
外付検出機80は、以下のようにして検出機支持部60に取り付けられる。外付検出機80の張出係止部82が、検出機支持部60の張出足場部65に、上から載置される(
図2参照)。このとき、
図9に示すように、外付検出機80の突起83が、検出機支持部60の受容溝部66に受容され、受容溝部66の内面に対して下側から、当接するか又は近接配置される。これにより、外付検出機80のうちケーブル89と反対側の端部が検出機支持部60に固定される。また、検出機支持部60のボス64の螺子孔の上に、外付検出機80の螺子孔80Hが重ねられ(
図1参照)、外付検出機80のうちケーブル89側の端部がボス64に螺子止めされる。以上により、外付検出機80が検出機支持部60に固定される。なお、外付検出機80の連結カバー50(検出機支持部60)への取り付けは、連結カバー50を下ユニット20及び上ユニット40に取り付ける前に行ってもよいし(
図4参照)、後に行ってもよい。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の例では、外付検出機80が組付けられて透光キャップ30の上面に重ねられると、外付検出機80と透光キャップ30とは、間隔をあけて配置される。そして、外付検出機80のうち透光キャップ30との対向面(下面)には、弾性体88が固定されていて、この弾性体88は、透光キャップ30に密着する。なお、弾性体88は、例えば、スポンジ等の発泡体又はゴムで構成される。
【0036】
ここで、上ユニット40は、下ユニット20に対して回転操作可能となっている。具体的には、透光キャップ30と計測部41は、マウンティングカップ44に固定されているので、透光キャップ30の中心軸回りに下ユニット20に対して一体回転可能になっている。従って、下ユニット20に対して、透光キャップ30を回転操作することで、計測部41の上面の流量表示部42の向きを変更することができる(
図10及び
図11参照)。これにより、流量表示部42を視認し易い向きに配置することができ、検針作業が容易になっている。
【0037】
ここで、このように計測部41の配置が変わることで、計測部41の検出用マグネット48の位置が変わる。本実施形態では、上ユニット40が(即ち、透光キャップ30が)、連結カバー50(即ち、係合リング51)に対して相対回転可能となっているので、外付検出機80の位置が変わらない場合には、
図10から
図11への変化に示すように、外付検出機80と計測部41との相対位置が変わる。その結果、外付検出機80が、検出用マグネット48の磁気の変化を検出し難くなる可能性があり、検出精度が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態の水道メータ10には、計測部41に対して外付検出機80の回転位置を位置決めする位置決機構70が備えられている(
図16(B)参照)。本実施形態の例では、この位置決機構70には、透光キャップ30が係合リング51に対して相対回転して特定回転位置に配置されたときに、互いに当接する位置決当接部が備えられていて、これらは、透光キャップ30と検出機支持部60とにそれぞれ一体に設けられている。
【0038】
具体的には、
図6に示すように、透光キャップ30側の上記位置決当接部として、透光キャップ30の外周面には、キャップ位置決突部35が突出形成されている。本実施形態の例では、キャップ位置決突部35は、透光キャップ30の周方向の1箇所に配置されていて、外周壁31の下端部から、外周壁31と天井部32の境界部分まで延びた突条になっている。キャップ位置決突部35の両方の側面は、透光キャップ30の軸方向から見ると、透光キャップ30の径方向に延在している。なお、キャップ位置決突部35の突出量は、フランジ部30Fの突出量よりは小さくなっている。
【0039】
図7に示すように、検出機支持部60側の上記位置決当接部として、透光キャップ30の外周面に向かって突出したカバー位置決突部71が形成されている。また、カバー位置決突部71と横並びになる位置には、透光キャップの外周面に向かって突出した補助位置決突部72も形成されている。
図14(B)及び
図15(A)に示すように、カバー位置決突部71と補助位置決突部72は、係合リング51の周方向(即ち透光キャップ30の周方向)で対向するように並んでいる。カバー位置決突部71と、補助位置決突部72は、平面視で先細りする三角形状をなし、それらの対向面は、透光キャップ30の径方向に延びる係止面71T,72Tとなっている。また、カバー位置決突部71と補助位置決突部72において、それらの対向方向で互いに反対側を向く面は、それら突部71,72を先細りさせる傾斜面71K,72Kとなっている。傾斜面71K,72Kは、係止面71T,72Tよりも、それぞれ透光キャップ30の径方向に対して傾いていることが好ましい。なお、カバー位置決突部71と補助位置決突部72は、検出機支持部60の円弧壁62の上端寄りの高さに配置されている。
【0040】
カバー位置決突部71は、検出機支持部60の円弧壁62と、固定支持部73によって連絡されている。固定支持部73は、円弧壁62と透光キャップ30の対向方向に沿って延び、本実施形態の例では、補助位置決突部72を支持する次述の弾性支持部74よりも短くかつ太くなっている。また、固定支持部73は、検出機支持部60側に向かうにつれて太くなっている。
【0041】
補助位置決突部72は、検出機支持部60の円弧壁62と、弾性支持部74によって連絡されている。弾性支持部74は、円弧壁62の内周面に沿って(即ち、透光キャップ30の外周面に沿って)延びた弾性片になっている。なお、弾性支持部74の延在方向に対して、補助位置決突部72の傾斜面72Kは、係止面72Tよりも傾いていることが好ましい。
【0042】
図15(A)には、
図11のように上ユニット40が連結カバー50に対して相対回転可能な状態での位置決機構70が示されている。この状態では、キャップ位置決突部35は、カバー位置決突部71と補助位置決突部72との間には、配置されていない。ここで、位置決機構70では、上ユニット40(即ち、透光キャップ30)を、カバー部材50(即ち、係合リング51)に対して、上方から見て右回りに相対回転(以下、適宜、「右相対回転」という。)させることで、キャップ位置決突部35を、カバー位置決突部71と補助位置決突部72との間に配置して(
図16(B)参照)、カバー位置決突部71に当接させることができる。これにより、透光キャップ30を係合リング51に対して特定回転位置に位置決めし、外側検出機80を計測部41に対して特定位置に位置決めすることができる(
図12及び
図13参照)。そして、このように位置決めされる特定位置を、外付検出機80が検出用マグネット48の磁気の変化を検出するのに好適な位置に設定することで、外付検出機80による検出を安定させることができる。
【0043】
具体的には、
図15(A)に示すように、透光キャップ30がカバー位置決突部71と補助位置決突部72の間にない場合には、透光キャップ30を係合リング51に対して右相対回転させると、
図15(B)に示すように、キャップ位置決突部35が、補助位置決突部72の傾斜面72Kに当接する。
【0044】
ここで、さらに透光キャップ30を右相対回転させると、キャップ位置決突部35の移動方向に対して傾斜面72Kが傾斜していることにより、弾性支持部74が透光キャップの外周面から離れるように弾性変形する(
図16(A)参照)。これにより、キャップ位置決突部35が、カバー位置決突部71に近づく側に補助位置決突部72を乗り越えることが許容されて、カバー位置決突部71と補助位置決突部72の間に配置され(
図16(B)参照)、カバー位置決突部71の係止面71Tに当接する。このようにして、透光キャップ30が係合リング51に対して特定回転位置に位置決めされ、外付検出機80が計測部41に対して特定位置に位置決めされる(
図12及び
図13参照)。
【0045】
また、この位置では、透光キャップ30を係合リング51に対して上方から見て左回りに相対回転(以下、適宜、「左相対回転」という。)させようとしても、キャップ位置決突部35が、補助位置決突部72の係止面72Tに当接するため、カバー位置決突部71から離れることが規制される。具体的には、透光キャップ30を、特定回転位置から係合リング51に対して左相対回転させた場合には、弾性支持部74が弾性変形し難くなるため、キャップ位置決突部35が、補助位置決突部72を乗り越え難くなる。詳細には、このとき、補助位置決突部72の係止面72Tがキャップ位置決突部35の側面と正対するように配置され、弾性支持部74が突っ張り状態となって弾性支持部74が弾性変形し難くなる。本実施形態では、このようにして、外付検出機80を、計測部41に対する上記特定位置(
図12及び
図13参照)に留めることができる。この状態では、透光キャップ30を下ユニット20に対して回転操作すると、透光キャップ30と連結カバー50(即ち、外付検出機80)が一体に回転可能になる(
図12及び
図13参照)。
【0046】
なお、補助位置決突部72の係止面72Tは、透光キャップ30の径方向に対して傾斜していてもよく、例えば、透光キャップ30の径方向に対して10度以下の角度をなして傾いていてもよい。この場合、係止面72Tが透光キャップ30の径方向内側を向くように傾斜していると、係止面72Tにキャップ位置決突部35が当接して、弾性支持部74が透光キャップ30から離れるように弾性変形した場合でも、係止面72Tとキャップ位置決突部35の側面とを正対させることが可能となり、透光キャップ30を左相対回転させた場合に、キャップ位置決突部35が補助位置決突部72を乗り越え難くすることが可能となる。
【0047】
本実施形態の水道メータ10の構成に関する説明は、以上である。なお、本実施形態の例では、下ユニット20が、特許請求の範囲に記載の「ベース部」に相当する。また、キャップ位置決突部35、カバー位置決突部71が、それぞれ特許請求の範囲に記載の「第1位置決突部」、「第2位置決突部」に相当する。
【0048】
次に、本実施形態の水道メータ10の作用効果について説明する。本実施形態の構成によれば、透光キャップ30を下ユニット20に対して回転操作して透光キャップ30の内側の流量表示部42の向きを変更することが可能なタイプの水道メータに対して外付検出機80を取り付けることができる。しかも、係合リング51に対して透光キャップ30が相対回転可能であるから、外付検出機80を水道メータ10に取り付けた後で、係合リング51と透光キャップ30との相対回転により、外付検出機80を水道メータ20からの磁気を検出し易い位置に移動して位置合わせをすることができる。これにより、外付検出機80の位置合わせを含めた水道メータ20の組み付け作業を容易にすることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の水道メータ10によれば、透光キャップ30を係合リング51に対して一方向に相対回転(右相対回転)させれば、透光キャップ30と検出機支持部60の位置決当接部(キャップ位置決突部35、カバー位置決突部71)同士の当接によって、外付検出機80が計測部41に対して特定位置に位置決めされるので、組み付けによる計測部41に対する外付検出機80の位置のばらつきが抑えられ、外付検出機80による検出が安定する。また、このように、透光キャップ30を係合リング51に対して相対回転させることで、上記位置決めができるので、係合リング51を透光キャップ30と筒形上端部23とに嵌合するときに、透光キャップ30を係合リング51に対して特定回転位置に合わせていなくてもよくなり、係合リング51の嵌合作業が容易となる。また、この嵌合の際、透光キャップ30を係合リング51に対して特定回転位置から離れた回転位置にずらしておくことで、上記嵌合時に(特に圧入する場合に)、キャップ位置決突部35と、カバー位置決突部71又は補助位置決突部72とが、干渉して損傷することを防ぐことが可能となる。
【0050】
また、このように位置決当接部が設けられることで、流量表示部42を確認する際に、透光キャップ30を回転操作して流量表示部42の向きを見やすい向きに変更した場合でも、その後、透光キャップ30を特定回転位置に戻すことが容易になる。ここで、この特定回転位置として、外付検出機80による検出がし易くなる位置を設定すれば、透光キャップ30を特定回転位置に戻し易くなることで、外付検出機80による検出を安定させることが容易となる。
【0051】
また、本実施形態では、補助位置決突部72が、キャップ位置決突部35をカバー位置決突部71との間に挟んで、キャップ位置決突部35がカバー位置決突部71から離れることを規制する。これにより、外付検出機80を、計測部41に対する特定位置に位置決めした状態に維持することが可能となる。
【0052】
また、キャップ位置決突部35が、カバー位置決突部71と補助位置決突部72とに、透光キャップの周方向に挟まれることで、透光キャップ30を、どちらの回転方向に回転しても、係合リング51と一体回転させることが可能となる。これにより、透光キャップ30が回転操作されて、計測部41の位置が変わった場合でも、それに伴って、外付検出機80も検出用マグネット48による磁気の変化を検出するのに適した位置に移動させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、係合リング51が下ユニット20に対して回転可能となっているので、流量表示部42の向きが変わっても、係合リング51を相対回転させることで、外付検出機80を水道メータ10からの磁気を検出し易い位置に移動して位置合わせをすることができる。例えば、流量表示部42を見やすい向きに配置したまま、外付検出機80を水道メータ10からの磁気を検出し易い位置に位置合わせをすることができる。また、係合リング51を下ユニット20に対して回転させることで、例えば、外付検出機80のケーブル89の向き又はアンテナの位置等を変更することができ、外付検出機80の配置の自由度を高めることが可能となる。
【0054】
ここで、例えば、外付検出機80と透光キャップ30を互いに密着するように設計した場合でも、透光キャップ30の形状のばらつき等により、外付検出機80と透光キャップ30と間に隙間が生じ得る。この場合、外付検出機80と透光キャップ30の間に金属片等が混入すると、磁気部品(検出用マグネット48)による磁気の変化の検出に誤差が生じ易くなる。これに対し、本実施形態では、外付検出機80のうち透光キャップ30との対向面に、弾性体88が固定され、この弾性体88が透光キャップ30に密着するので、外付検出機と磁気部品との間に金属片等が混入することを抑制可能なり、外付検出機80による検出を安定させることができる。
【0055】
なお、本実施形態の水道メータ10を用いれば、例えば、集合住宅や商業施設等に設置された複数の水道メータ10に取り付けられた各外付検出機80からの信号を、受信装置で受信して、各流量をモニタに表示することで、各水道メータ10の設置場所に足を運ばずに、各水道メータ10の流量を一箇所で確認することが可能となる。
【0056】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、係合リング51が、下ユニット20に対して回転可能になっていたが、回転不能に固定されていてもよい。この場合でも、係合リング51に対する透光キャップ30及び計測部41の回転位置を位置決めする位置決機構70を備えることで、計測部41に対する外付検出機80の位置決めをすることができる。例えば、水道メータ10の検針員が、流量表示部42を直接確認するときには、透光キャップ30を回転操作して流量表示部42を見やすい向きに変更し、確認後、透光キャップ30を特定回転位置に戻しておけば、遠隔検針で確認される流量の検出精度を安定させることができる。
【0057】
(2)上記実施形態では、カバー位置決突部71は、弾性支持部74から離れて配置されていたが、
図17に示すように、補助位置決突部72と共に弾性支持部74に支持されていてもよい。同図の例では、透光キャップ30を係合リング51に対して右相対回転させた場合でも、左相対回転させた場合でも、弾性支持部74を透光キャップ30から離れるように弾性させることが可能となり、キャップ位置決突部35をカバー位置決突部71と補助位置決突部72の間に配置することが可能となる。
【0058】
(3)計測部41に対して外付検出機80を位置決めする位置決機構70が、透光キャップ30と検出機支持部60とが特定回転位置で摩擦固定される構成であってもよい。
【0059】
(4)外付検出機80は、透光キャップ30の周面に重ねられるように固定されていてもよい。
【0060】
(5)上記実施形態では、計測部41の流量表示部42が、直読式であったが、円読式であってもよい。
【0061】
(6)上記実施形態において、カバー位置決突部71と補助位置決突部72のうち何れか一方のみが設けられていてもよい。また、キャップ位置決突部35、カバー位置決突部71及び補助位置決突部72の何れも設けられていなくてもよい。
【0062】
(7)上記実施形態において、外付検出機80が水道水の流量に応じた磁気の変化を検出する磁気部品が、例えば、計測部側マグネット47であってもよい。この場合、例えば、検出用マグネット48を設けなくてもよい。
【0063】
(8)上記実施形態では、外付検出機80を計測部41に対して特定位置に位置決めするときに、透光キャップ30を係合リング51に対して右回転させていたが、左回転させてもよい。この場合、例えば、
図15におけるカバー位置決突部71と補助位置決突部72との配置を左右反転させればよい。
【0064】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0065】
10 水道メータ
20 下ユニット
23 筒形上端部
30 透光キャップ
35 キャップ位置決突部
41 計測部
42 流量表示部
51 係合リング
60 検出機支持部
71 カバー位置決突部
72 補助位置決突部
74 弾性支持部
80 外付検出機