(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】汚物処理兼廃棄用手袋
(51)【国際特許分類】
A41D 19/015 20060101AFI20241011BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
A41D19/015 110Z
A41D13/08 101
(21)【出願番号】P 2021057144
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】立原 敏行
(72)【発明者】
【氏名】立原 裕子
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-064108(JP,A)
【文献】実開昭62-191817(JP,U)
【文献】特開2009-102155(JP,A)
【文献】特開平11-29201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12、19/00-19/04
A01K23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物の処理作業を行った後に前記汚物を収容して廃棄する汚物処理兼廃棄用手袋であって、
開口部から筒状に延在して手から前腕の長さの中間部まで挿入される本体部と、
前記開口部と反対に位置する前記本体部の端部に設けられ指が挿入される指挿入部とを備え、
前記汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で、前記本体部は、前記本体部の延在方向と直交する幅方向の両端に、親指が位置する側の第1側部と、小指が位置する側の第2側部とを有し、
前記汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で、前記本体部は、さらに、手首寄りの手のひらの側方または手首の側方で、前記第1側部から前記本体部の前記幅方向外側に張り出した親指側張り出し部と、前記第2側部から前記本体部の前記幅方向外側に張り出した小指側張り出し部とを有し、
前記本体部には、
前記親指側張り出し部よりも前記開口部寄りの前記第1側部に前記本体部の内側に窪む第1親指側窪み部と、
前記小指側張り出し部よりも前記開口部寄りの前記第2側部に前記本体部の内側に窪む第1小指側窪み部と、
前記親指側張り出し部よりも前記指挿入部寄りの前記第1側部に親指の第1関節あたりで前記本体部の内側に窪む第2親指側窪み部と、
前記小指側張り出し部よりも前記指挿入部寄りの前記第2側部に小指の第1関節あたりで前記本体部の内側に窪む第2小指側窪み部と、
が設けられていることを特徴とする汚物処理兼廃棄用手袋。
【請求項2】
前記親指側張り出し部は、前記小指側張り出し部よりも前記開口部側に変位した前記本体部の箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項
1記載の汚物処理兼廃棄用手袋。
【請求項3】
前記指挿入部は、親指、人差し指、中指、薬指、小指が個別に挿入される親指挿入部、人差し指挿入部、中指挿入部、薬指挿入部、小指挿入部を備える、
ことを特徴とする請求項
1または2記載の汚物処理兼廃棄用手袋。
【請求項4】
前記親指挿入部と前記小指挿入部は、それらの指の第1関節付近まで挿入され、前記人差し指挿入部、前記中指挿入部、前記薬指挿入部は、それらの指の第2関節付近まで挿入されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項
3記載の汚物処理兼廃棄用手袋。
【請求項5】
前記汚物処理兼廃棄用手袋の外側または内側にエンボス加工が施されている、
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項記載の汚物処理兼廃棄用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物処理兼廃棄用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
自力で排泄処理が困難な乳幼児や高齢者はおむつを着用し、排せつ後は保護者や介護者が使用済みのおむつを処理している。このようはおむつ処理は保護者や介護者の大きな負担となっている。このような問題は、一般家庭に限られずおむつを使用する乳幼児や高齢者が集まって過ごす保育施設や介護施設、排泄を自力で行なうことができない患者が入院している病院では、保育士や介護士、看護師などの職員が施設や病院内で過ごす人のおむつ交換を行なうため、一日に行なうおむつ交換の回数は多くなるためより負担が大きい。
通常、おむつ交換を行なった後、使用済みのおむつ(汚物)を廃棄する場合、便や尿などの排泄物をくるんで丸めた状態にする。おむつに付属の粘着テープが設けられていれば、丸めたおむつを粘着テープで止めてから、悪臭の拡散を抑制したり排泄物をこぼさないようにポリ袋などのゴミ袋に入れ密閉してからゴミ箱に捨てる。
このとき、排泄物が手に付着しないよう使い捨ての手袋などをはめて行なうが、手袋をはめた状態で使用済みのおむつをゴミ袋に入れ、さらに付着した排泄物が周りに付かないよう手袋を裏返して脱いで捨てる作業は煩雑である。
また、手袋を使用せずにおむつ交換を行った場合でも、交換後すぐに石鹸で手を洗浄したり消毒を行なってから、衣服を着せたり布団を整えなくてはならないため作業は煩雑である。また、衣服を着せる前にその場を一旦離れてしまうと、乳幼児の場合にはその場で待っていることができずさらに連れ戻す手間がかかることもある。
【0003】
一方、指の先が入るようにかたち作った指挿入部(指部分)を設けた糞取り指先ポリ袋が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
この糞取り指先ポリ袋は、指先を指挿入部に挿入させて手にはめて犬の糞(汚物)を掴み、犬の糞を掴んだ状態で裏返しにすることで汚物をポリ袋に収容できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の糞取り指先ポリ袋では、使用済みのおむつのように手のひらに収まらない大きさの汚物を掴むことはできるが、掴んだ状態でポリ袋を裏返すことは困難であるため、使用済みのおむつを処理することができない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、手にはめて汚物の処理作業を行った後、手のひらに収まらない大きさの汚物を掴んだ状態で容易に裏返すことができ、汚物の処理作業用の手袋と汚物を収容して廃棄するゴミ袋とを兼ね備えて利便性を向上させた汚物処理兼廃棄用手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため本発明の一実施形態は、汚物の処理作業を行った後に前記汚物を収容して廃棄する汚物処理兼廃棄用手袋であって、開口部から筒状に延在して手から前腕の長さの中間部まで挿入される本体部と、前記開口部と反対に位置する前記本体部の端部に設けられ指が挿入される指挿入部とを備え、前記本体部に、前記本体部の延在方向と交差する方向で前記本体部の外側に張り出した張り出し部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で、前記本体部は、前記本体部の延在方向と直交する方向の両端に、親指が位置する側の第1側部と、小指が位置する側の第2側部とを有し、前記張り出し部は、前記第1側部から外側に張り出した親指側張り出し部と、前記第2側部から外側に張り出した小指側張り出し部のうちの一方であることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で、前記本体部は、前記本体部の延在方向と直交する方向の両端に、親指が位置する側の第1側部と、小指が位置する側の第2側部とを有し、前記張り出し部は、前記第1側部から外側に張り出した親指側張り出し部と、前記第2側部から外側に張り出した小指側張り出し部とを含んでいることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記親指側張り出し部と前記小指側張り出し部は、前記汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で、手首寄りの手のひらの箇所の側方に位置していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記親指側張り出し部と前記小指側張り出し部は、前記汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で、手首の側方に位置していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記親指側張り出し部は、前記小指側張り出し部よりも前記開口部側に変位した前記本体部の箇所に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記開口部寄りの前記本体部の箇所に、前記本体部の延在方向と直交する前記本体部の幅を狭くした第1窪み部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記指挿入部は、親指、人差し指、中指、薬指、小指が個別に挿入される親指挿入部、人差し指挿入部、中指挿入部、薬指挿入部、小指挿入部を備えることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記親指挿入部と前記小指挿入部は、それらの指の第1関節付近まで挿入され、前記人差し指挿入部、前記中指挿入部、前記薬指挿入部は、それらの指の第2関節付近まで挿入されるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記汚物処理兼廃棄用手袋の外側または内側にエンボス加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、本体部に、本体部の外側に張り出した張り出し部が設けられているため、手にはめて汚物の処理作業を行った後、手のひらに収まらない大きさの汚物を掴んだ状態で容易に裏返し、汚物処理兼廃棄用手袋に収容し開口部を閉じて廃棄できる。
例えば、汚物が手のひらに収まらない大きさの使用済みのおむつである場合、おむつの交換からその廃棄までの作業を簡単に確実に短時間で行なうことができる。
したがって、一般家庭において、おむつ交換に伴う保護者、介護者の負担を軽減することは無論のこと、おむつを使用する乳幼児や高齢者が集まって過ごす保育施設や介護施設、病院等において、1日数十回程度おむつ交換を行なう保育士や介護士、看護師などの職員の労力を軽減する上で極めて有利となる。
また、張り出し部を、親指側張り出し部と小指側張り出し部のうちの一方で構成すれば、手のひらの幅方向にはみ出したおむつを掴んだ状態で裏返しやすくなり、おむつの交換からその廃棄までの作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、張り出し部を、親指側張り出し部と小指側張り出し部との双方で構成すれば、手のひらの幅方向の両側にはみ出したおむつを掴んだ状態で裏返しやすくなり、おむつの交換からその廃棄までの作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
この場合、親指側張り出し部と小指側張り出し部とを、手首寄りの手のひらの箇所の側方の本体部の箇所に設けると、手のひらの幅方向の両側にはみ出したおむつを掴んだ状態で裏返しやすくなり、おむつの交換からその廃棄までの作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、この場合、親指側張り出し部と小指側張り出し部とを手首の側方の本体部の箇所に設けると、おむつの交換からその廃棄までの作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、親指側張り出し部を小指側張り出し部よりも開口部側に変位した本体部の箇所に設けると、おむつを掴んだ際におむつの一方の端部を小指側張り出し部あたりに位置させ、おむつの他方の端部を裏返った親指側張り出し部あたりに位置させることができ、汚物処理兼廃棄用手袋を裏返し易くなり、おむつの交換からその廃棄までの作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、開口部寄りの本体部の箇所に第1窪み部を設けると、おむつを汚物処理兼廃棄用手袋で包んだ状態で開口部あたりを簡単に結べ、おむつを内部に収めて開口部を閉じる作業を簡単に行なう上で有利となり、おむつの廃棄を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、指挿入部として、親指挿入部、人差し指挿入部、中指挿入部、薬指挿入部、小指挿入部を備える構成とすると、汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめた状態で指を動かしやすく、おむつ交換を簡単に行なう上で有利となる。
また、汚物処理兼廃棄用手袋の外側または内側にエンボス加工が施された構成とすると、汚物処理兼廃棄用手袋の表面に凹凸ができるため、おむつ交換を行ったおむつを、おむつに付属の粘着テープなどで止めて丸めている場合、汚物処理兼廃棄用手袋を裏返す際に粘着テープが付きにくくなり、汚物処理兼廃棄用手袋を裏返す作業や開口部を閉じる作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態にかかる汚物処理兼廃棄用手袋の外観図である。
【
図2】(A)は、実施の形態にかかる第1の例の汚物処理兼廃棄用手袋に手を挿入した模式図であり、(B)は、第2の例の汚物処理兼廃棄用手袋に手を挿入した模式図である。
【
図3】(A)は、汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめておむつを掴んだ状態を示す図であり、(B)は、おむつを掴んだ状態で汚物処理兼廃棄用手袋の開口部を裏返し始めた状態を示す図であり、
【
図4】(C)は、おむつを掴んだ状態で汚物処理兼廃棄用手袋を裏返した状態を示す図であり、(D)は、汚物処理兼廃棄用手袋におむつが収容された状態を示す図である。
【
図5】実施の形態の変形例にかかる汚物処理兼廃棄用手袋に手を挿入した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の汚物処理兼廃棄用手袋は、手にはめて汚物の処理作業を行った後、汚物を掴んだ状態で裏返して汚物を収容して廃棄するものであり、汚物の処理作業用の手袋と汚物を収容して廃棄するゴミ袋とを兼ね備えている。
本実施の形態では、汚物処理兼廃棄用手袋を手にはめておむつの交換作業を行った後に、裏返すことで汚物処理兼廃棄用手袋に使用済みのおむつを収容して廃棄する場合について説明する。
図1、
図2に示すように、汚物処理兼廃棄用手袋10は、本体部20と、指挿入部30とを備えて構成されている。
汚物処理兼廃棄用手袋10は、例えば無色透明または半透明のポリエチレン製であって、汚物処理兼廃棄用手袋10の外側または内側はエンボス加工が施されている。
本実施の形態では、ポリエチレンシートを二つ折りまたは2枚重ねとし、成型機による熱溶着により裁断されて製造されているが、汚物処理兼廃棄用手袋10の製造方法はこの製造方法に限定されず、超音波融着など従来公知の様々な製造法が採用可能である。
また、汚物処理兼廃棄用手袋10を構成する材料は、ポリエチレンに限定されず、非通気性かつ非透水性を有している可撓性材料であれば、ポリプロピレンやポリエステル、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、サーモプラスチックエラストマー、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、ニトリルゴムなど透明か否かを問わず従来公知の様々な材料が使用可能である。
【0010】
本体部20は、開口部22から筒状に延在しており、
図2に示すように、汚物処理兼廃棄用手袋10に手40を挿入した場合に、手40から前腕46の長さの中間部までが挿入される部分である。
なお、以下の説明では、本体部20の延在方向(手40の挿入方向)を
図1に示すY方向または長さ方向と称し、本体部20の延在方向(Y方向)に直交する方向をX方向または幅方向と称して説明する。
本体部20は、汚物処理兼廃棄用手袋10を手40にはめた状態で、本体部20の延在方向(Y方向)と直交する幅方向(X方向)の両端に、親指48Aが位置する側の第1側部23Aと、小指48Eが位置する側の第2側部23Bとを備えている。
本体部20には、本体部20の延在方向(Y方向)と直交(交差)する幅方向(X方向)で本体部20の外側に張り出した張り出し部24が設けられている。
また、本体部20には、張り出し部24よりも開口部22側の箇所の幅方向(X方向)で本体部20の内側に窪んだ第1窪み部26と、張り出し部24よりも開口部22から離れた箇所の幅方向(X方向)で本体部20の内側に窪んだ第2窪み部28とが設けられている。
【0011】
張り出し部24は、第1側部23Aから本体部20の幅方向外側に張り出した親指側張り出し部24Aと、第2側部23Bから本体部20の幅方向外側に張り出した小指側張り出し部24Bとを含んで構成されている。
図2(A)の汚物処理兼廃棄用手袋10Aでは、親指側張り出し部24Aおよび小指側張り出し部24Bは、汚物処理兼廃棄用手袋10を手40にはめた状態で、手首44よりの手のひら42の箇所の側方に位置している。
図2(B)の汚物処理兼廃棄用手袋10Bでは、親指側張り出し部24Aおよび小指側張り出し部24Bは、汚物処理兼廃棄用手袋10を手40にはめた状態で、手首44の側方に位置している。
また、
図2(A)(B)いずれの汚物処理兼廃棄用手袋10A、10Bでも、親指側張り出し部24Aは、小指側張り出し部24Bよりも開口部22側に変位した本体部20の箇所に設けられている。
【0012】
本体部20には、開口部22寄りの本体部20の箇所の幅を狭くした第1窪み部26が設けられている。
第1窪み部26は、第1親指側窪み部26Aと、第1小指側窪み部26Bとを含んで構成されている。
第1親指側窪み部26Aは、開口部22寄りの第1側部23Aの箇所に本体部20の内側に窪むように設けられ、第1小指側窪み部26Bは、開口部22寄りの第2側部23Bの箇所に本体部20の内側に窪むように設けられている。
図2(A)の汚物処理兼廃棄用手袋10Aでは、第1親指側窪み部26Aおよび第1小指側窪み部26Bは、汚物処理兼廃棄用手袋10を手40にはめた状態で、開口部22よりも手のひら42側に近い箇所に設けられている。
図2(B)の汚物処理兼廃棄用手袋10Bでは、第1親指側窪み部26Aおよび第1小指側窪み部26Bは、汚物処理兼廃棄用手袋10を手40にはめた状態で、手のひら42よりも開口部22に近い箇所に設けられている。
【0013】
また、本体部20には、指挿入部30寄りの本体部20の箇所の幅を狭くした第2窪み部28が設けられている。
第2窪み部28は、第1側部23Aに設けられた第2親指側窪み部28Aと、第2側部23Bに設けられた第2小指側窪み部28Bとを含んで構成されている。
図2(A)(B)両者の汚物処理兼廃棄用手袋10A、10Bでは、第2親指側窪み部28Aは、指挿入部30に指48が挿入された状態で、親指48Aの第1関節あたりで本体部20の内側に窪むように設けられている。
第2小指側窪み部28Bは、指挿入部30に指48が挿入された状態で、小指48Eの第1関節あたりで本体部20の内側に窪むように設けられている。
【0014】
つまり、本体部20の第1側部23Aには、開口部22の一方の端部2202から、内側に窪んだ第1親指側窪み部26A、外側に張り出した親指側張り出し部24A、内側に窪んだ第2親指側窪み部28Aがそれらの順に並んで形成され、後述の親指挿入部30Aに接続されている。
また、本体部20の第2側部23Bには、開口部22の他方の端部2204から、内側に窪んだ第1小指側窪み部26B、外側に張り出した小指側張り出し部24B、内側に窪んだ第2小指側窪み部28Bがそれらの順に並んで形成され、後述の小指挿入部30Eに接続されている。
また、
図1、2に示すように、第1側部23Aにおいて、第1親指側窪み部26Aと開口部22の間と、および第2側部23Bにおいて、第1小指側窪み部26Bと開口部22との間は、本体部20の幅が次第に大きくなるようにテーパ状に形成されている。
【0015】
指挿入部30は、開口部22と反対に位置する本体部20の端部に設けられ、指48が挿入される部分である。
指挿入部30は、親指48A、人差し指48B、中指48C、薬指48D、小指48Eが個別に挿入される親指挿入部30A、人差し指挿入部30B、中指挿入部30C、薬指挿入部30D、および小指挿入部30Eを備えている。
図2に示すように、親指挿入部30Aおよび小指挿入部30Eは、親指48A、小指48Eがそれぞれ第1関節付近まで挿入されるように形成され、人差し指挿入部30B、中指挿入部30C、薬指挿入部30Dは、人差し指48B、中指48C、薬指48Dがそれぞれ第2関節付近まで挿入されるように形成されている。
【0016】
次に、
図1を参照して、本実施の形態の汚物処理兼廃棄用手袋10の寸法例を説明する。下記で説明する寸法は、実際におむつを掴んだ状態で汚物処理兼廃棄用手袋10を裏返した際に、裏返し易かった寸法を計測したものであって、
図2では(B)に相当する。
なお、親指側張り出し部24Aの最も多く張り出した箇所を親指側張り出し点2402、小指側張り出し部24Bの最も多く張り出した箇所を小指側張り出し点2404とする。
また、第1親指側窪み部26Aの最も多く窪んだ箇所を第1親指側窪み点2602、第1小指側窪み部26Bの最も多く窪んだ箇所を第1小指側窪み点2604とする。
また、第2親指側窪み部28Aの最も多く窪んだ箇所を第2親指側窪み点2802、第2小指側窪み部28Bの最も多く窪んだ箇所を第2小指側窪み点2804とする。
そして、手40の挿入方向(汚物処理兼廃棄用手袋10の長さ方向)における、中指挿入部30Cの最も突出している箇所を中指先端点3002とする。
【0017】
(1)開口部22から中指先端点3002までの長さ、すなわち汚物処理兼廃棄用手袋10の長さ方向の寸法A=38cm
(2)汚物処理兼廃棄用手袋10の開口部22の幅方向の寸法B=20.7cm
(3)長さ方向(Y方向)における開口部22から第1親指側窪み点2602までの長さC=7cm
(4)長さ方向における第1親指側窪み点2602から親指側張り出し点2402までの長さD=8cm
(5)長さ方向における親指側張り出し点2402から第2親指側窪み点2802までの長さE=8cm
(6)長さ方向における第2親指側窪み点2802から中指先端点3002までの長さF=15cm
(7)第1親指側窪み点2602を通過する幅方向(X方向)の長さG=19cm
(8)親指側張り出し点2402を通過する幅方向(X方向)の長さH=23cm
(9)第2親指側窪み点2802を通過する幅方向(X方向)の長さI=20.5cm
(10)第1親指側窪み点2602から第1小指側窪み点2604までの長さJ=18.8cm
(11)親指側張り出し点2402から小指側張り出し点2404までの長さK=23.3cm
(12)第2親指側窪み点2802から第2小指側窪み点2804までの長さL=20cm
(13)長さ方向における第1親指側窪み点2602から第1小指側窪み点2604までの長さM=3.4cm
(14)長さ方向における親指側張り出し点2402から小指側張り出し点2404までの長さN=1.8cm
(15)長さ方向における第2親指側窪み点2802から第2小指側窪み点2804までの長さO=4cm
【0018】
次に、
図3を参照して使用済みのおむつを本実施の形態の汚物処理兼廃棄用手袋10を用いて処理する方法について説明する。
図2に示すように、開口部22から手40(右手)を挿入し、親指挿入部30A、人差し指挿入部30B、中指挿入部30C、薬指挿入部30D、および小指挿入部30Eそれぞれに親指48A、人差し指48B、中指48C、薬指48D、小指48Eを挿入して汚物処理兼廃棄用手袋10を手40(右手)にはめ、おむつ交換を行なう。
おむつ交換を行った後、使用済みのおむつ50で便や尿などの排泄物をくるみ、丸めた状態にする。このとき、おむつに付属の粘着テープが設けられていれば、丸めたおむつを粘着テープで止める。
この場合、第2親指側窪み部28Aおよび第2小指側窪み部28Bが設けられているため、親指48A、小指48Eが親指挿入部30Aと小指挿入部30Eにフィットし、作業中に挿入した指48が抜けにくくなっており、おむつの交換作業を円滑に行なう上で有利となっている。
また、親指48A、小指48Eがそれぞれ第1関節付近まで挿入され、人差し指挿入部30B、中指挿入部30C、薬指挿入部30Dは、それぞれ第2関節付近まで挿入されるので、おむつ交換の一連の作業を行なうに際して5本の指を思い通りに使え、おむつ50の交換作業を円滑に行なう上で有利となっている。
【0019】
次に、
図3(A)に示すように汚物処理兼廃棄用手袋10をはめたまま、丸めた状態の使用済みのおむつ50を右手40の5本指で掴み、左手(不図示)で開口部22付近を把持し、
図3(B)の矢印で示すように裏返していく。
このとき小指48Eの下方のおむつ50の一方の端部5002が小指側張り出し部24Bあたりに位置するようになっているため、おむつ50の一方の端部5002を小指側張り出し部24Bで受け止めることができ、汚物処理兼廃棄用手袋10が裏返りやすくなっており、おむつ50の汚物処理兼廃棄用手袋10への収容作業を円滑に行なう上で有利となっている。
さらに、
図4(C)の矢印で示すように左手で把持した開口部22付近を右手40の指48の方へ持っていき、おむつ50が汚物処理兼廃棄用手袋10に全て覆われるように裏返す。
そして、
図4(D)に示すように汚物処理兼廃棄用手袋10におむつ50が収容されたら、右手40の指48を抜いていく。
このときおむつ50の他方の端部5004が裏返った親指側張り出し部24Aあたりに位置するため、汚物処理兼廃棄用手袋10が裏返りやすくなっているとともに、丸めた状態のおむつが汚物処理兼廃棄用手袋10に収容されやすくなっており、おむつ50の汚物処理兼廃棄用手袋10への収容作業を円滑に行なう上で有利となっている。
また、親指48A、小指48Eがそれぞれ第1関節付近まで挿入され、人差し指挿入部30B、中指挿入部30C、薬指挿入部30Dは、それぞれ第2関節付近まで挿入されているので、汚物処理兼廃棄用手袋10からの手の取り外しも簡単に行え、おむつ10の汚物処理兼廃棄用手袋10への収容を簡単に行なう上で有利となっている。
最後に、おむつ50からでる悪臭の拡散を抑制したり排泄物をこぼさないように、汚物処理兼廃棄用手袋10の開口部22を結んで密閉してからゴミ箱に捨てる。
このとき第1窪み部26が設けられているため、おむつ10を汚物処理兼廃棄用手袋10で包んだ状態で開口部22あたりを結べるようになっており、おむつ10を収容した汚物処理兼廃棄用手袋10の開口部22を閉じる作業を円滑に行なう上で有利となっている。
【0020】
本実施の形態によれば、物処理兼廃棄用手袋10を手40にはめておむつ交換を行い、おむつ交換を行った後、手のひら42に収まらない大きさの丸めた使用済みのおむつ50を掴んだ状態で容易に裏返すことができ、おむつ交換作業用の手袋と使用済みのおむつ50を収容して廃棄するゴミ袋とを兼ね備えているので、おむつの交換とその廃棄を簡単に確実に短時間で行なうことができる。
したがって、一般家庭において、おむつ交換に伴う保護者、介護者の負担を軽減することは無論のこと、おむつを使用する乳幼児や高齢者が集まって過ごす保育施設や介護施設、病院等において、1日数十回程度おむつ交換を行なう保育士や介護士、看護師などの職員の労力を軽減する上で極めて有利となる。
また、張り出し部24を、親指側張り出し部24Aと小指側張り出し部24Bの一方で構成してもよいが、本実施の形態のように、親指側張り出し部24Aと小指側張り出し部24Bとの双方で構成すると、手のひら42の幅方向の両側にはみ出したおむつ50を掴んだ状態で裏返しやすくなり、おむつの交換とその廃棄を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
【0021】
また、
図2(A)に示すように、親指側張り出し部24Aと小指側張り出し部24Bは、汚物処理兼廃棄用手袋10を手にはめた状態で、手首寄りの手のひら42の箇所の側方に位置しているため、手のひら42に収まらない大きさのおむつ50を掴んだ状態でより裏返しやすくなり、おむつ50の交換とその廃棄を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、
図2(B)に示すように、親指側張り出し部24Aと小指側張り出し部24Bは、手首44の側方に位置しているので、手のひら42に収まらない大きさのおむつ50を掴んだ状態でより裏返しやすくなり、おむつ50の交換とその廃棄を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、親指側張り出し部24Aを小指側張り出し部24Bよりも開口部22側に変位した本体部20の箇所に設けたため、手のひら42に収まらない大きさのおむつを掴んだ際に、おむつ50の一方の端部5002を小指側張り出し部24Bあたりに位置させ、かつ、おむつ50の他方の端部5004を裏返った親指側張り出し部24Aあたりに位置させることができる。
したがって、汚物処理兼廃棄用手袋10を裏返し易くなり、おむつ10の廃棄を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
【0022】
また、開口部22寄りの本体部20の箇所に第1窪み部26を設けたので、おむつ50を汚物処理兼廃棄用手袋10で包んだ状態で開口部22あたりを結べ、おむつ50を内部に収めて密閉する開口部22を閉じる作業を簡単に行なう上で有利となり、おむつ10の廃棄を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
また、指挿入部30として、親指48A、人差し指48B、中指48C、薬指48D、小指48Eが個別に挿入される親指挿入部30A、人差し指挿入部30B、中指挿入部30C、薬指挿入部30D、小指挿入部30Eを備えたため、手にはめた状態でも指48が動かしやすくおむつ交換を簡単に行なう上で有利となる。
また、汚物処理兼廃棄用手袋10の外側または内側にエンボス加工が施された構成としたため汚物処理兼廃棄用手袋の表面に凹凸ができるので、おむつ交換を行ったおむつ50を、おむつ50に付属の粘着テープなどで止めて丸めている場合、汚物処理兼廃棄用手袋10を裏返す際に粘着テープが付きにくくなり、汚物処理兼廃棄用手袋10を裏返す作業や開口部22を閉じる作業を簡単に確実に短時間で行なう上で有利となる。
【0023】
上述した汚物処理兼廃棄用手袋10の例では、人差し指48B、中指48C、薬指48D、小指48Eをそれぞれ別の挿入部に挿入させる構成となっていたが、一つの挿入部に人差し指48B、中指48C、薬指48D、小指48Eを挿入する構成としてもよい。
すなわち、
図5に示す変形例の汚物処理兼廃棄用手袋10Cのように、指挿入部30は、親指48Aが挿入される第1指挿入部30Fと、人差し指48B、中指48C、薬指48D、小指48Eが一緒に挿入される第2指挿入部30Gとを備えて構成してもよい。
また、指挿入部を5つまたは2つ設けた構成例を示したが、指挿入部の数は任意に設定できる。したがって、例えば、親指が挿入される挿入部、人差し指が挿入される挿入部、および中指、薬指、小指が挿入される挿入部の3つの挿入部を備えた構成するなど任意である。
【0024】
また、本実施の形態では、汚物処理兼廃棄用手袋10を、おむつの交換作業を行った後に裏返すことで使用済みのおむつを収容して廃棄する場合に用いて例を示したが、おむつ交換以外の汚物などの処理作業を行なって、おむつ以外の汚物を収容して廃棄する際に用いてもよい。したがって、医療行為を行った後に医療用廃棄物を廃棄する場合に用いてもよいし、清掃作業を行った後に清掃により集められたゴミなどを廃棄する場合に用いてもよく、汚物処理兼廃棄用手袋10の用途はおむつの交換、廃棄に限定されない。
【符号の説明】
【0025】
10(10A、10B、10C) 汚物処理兼廃棄用手袋
20 本体部
22 開口部
23A 第1側部
23B 第2側部
24 張り出し部
24A 親指側張り出し部
24B 小指側張り出し部
2402 親指側張り出し点
2404 小指側張り出し点
26 第1窪み部
26A 第1親指側窪み部
26B 第1小指側窪み部
2602 第1親指側窪み点
2604 第2小指側窪み点
28 第2窪み部
28A 第2親指側窪み部
28B 第2小指側窪み部
2802 第2親指側窪み点
2804 第2小指側窪み点
30 指挿入部
30A 親指挿入部
30B 人差し指挿入部
30C 中指挿入部
30D 薬指挿入部
30E 小指挿入部
3002 中指先端点
40 手(右手)
42 手のひら
44 手首
46 前腕
48 指
48A 親指
48B 人差し指
48C 中指
48D 薬指
48E 小指
50 おむつ
5002 一方の端部
5004 他方の端部