(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241011BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20241011BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20241011BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241011BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/13
G06Q50/163
G16Y10/40
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2021057689
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼丸 寛之
(72)【発明者】
【氏名】大石 康夫
(72)【発明者】
【氏名】飯星 明
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 篤樹
(72)【発明者】
【氏名】徳永 武雄
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126359(JP,A)
【文献】特開2020-095095(JP,A)
【文献】国際公開第2020/255628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G09B 23/00 - 29/14
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、
前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、
前記抽出部は、
複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出する
よう構成され、
前記特定部によって前記処理対象物として住宅が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から変化点を抽出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、夜間に撮影された前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から抽出した前記変化点と、昼間に撮影された前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から抽出した前記変化点と、を比較することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記撮影画像から抽出した前記変化点をもとに、前記住宅の側面の画像から、前記住宅の内部または付近にいる人の有無、前記住宅の照明の点灯状態、前記住宅で干されている洗濯物の状態、前記住宅の窓の開閉状態、前記住宅の一部または全体における温度変化、及び、前記住宅に配達された郵便物の状態の少なくともいずれかを検出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、請求項
1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、
前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、
前記抽出部は、
複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するよう構成され、
前記特定部によって前記処理対象物として信号機が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記信号機の画像から変化点を抽出することによって、前記信号機の動
作が正常であるか否
かを判定する、
情報処理装置。
【請求項5】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、
前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、
前記抽出部は、
複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するよう構成され、
前記特定部によって前記処理対象物として道路が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記道路の画像から変化点を抽出することによって、前記道路の
路面の冠水の有無を検出する、
情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部は、前記処理対象物における前記変化点、及び、前記変化点について検出する変化の態様が異なる複数の前記抽出処理を実行可能であり、
複数の前記抽出処理のうち前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を特定して実行することにより、前記処理対象物における前記変化点の変化の態様を検出する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記抽出部は、前記抽出処理において、第1の前記撮影画像から抽出した前記変化点と、前記第1の前記撮影画像とは異なる時期に撮影された第2の前記撮影画像から抽出した前記変化点と、を比較することにより、前記変化点における変化を検出する、請求項
1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記カメラが撮影した動画像と、前記動画像の撮影中における前記車両の位置情報とを取得し、前記動画像から静止画像を切り出すことによって前記撮影画像を取得し、前記車両の位置情報をもとに前記静止画像に対応する位置情報を生成して、生成した位置情報を前記撮影画像に対応付ける処理を行い、
前記抽出部は、前記撮影画像から前記変化点を抽出した処理の結果とともに、前記撮影画像に対応付けられた位置情報を出力する、請求項1から
7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得
するステップと、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定
するステップと、
前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出
するステップと、
を有し、
前記抽出するステップでは、前記特定するステップにおいて前記処理対象物として住宅が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から変化点を抽出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、
情報処理方法。
【請求項10】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定するステップと、
前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するステップと、
を有し、
前記抽出するステップでは、前記特定するステップにおいて前記処理対象物として信号機が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記信号機の画像から変化点を抽出することによって、前記信号機の動作が正常であるか否かを判定する、
情報処理方法。
【請求項11】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定するステップと、
前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するステップと、
を有し、
前記抽出するステップでは、前記特定するステップにおいて前記処理対象物として道路が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記道路の画像から変化点を抽出することによって、前記道路の路面の冠水の有無を検出する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物等の構造物に関する情報を得るため、広範囲を撮影した撮影画像を利用する方法が知られている。例えば、特許文献1は、航空写真画像、衛星画像などの撮影画像と、地図データとを利用して、建造物が空き家であるか否かを判定する手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建造物が空き家であるか否かの判定に限らず、撮影画像を利用して被写体に関する情報を得る手法は様々な目的に利用できる可能性がある。しかしながら、有用な情報を得るためには撮影画像を解析する処理を被写体に特化させなければならない。このため、特許文献1に記載されたように、特定の目的に適した装置を利用しなければならなかった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、撮影画像を利用して複数の種類の建造物等についての情報を得る方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、前記抽出部は、複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するよう構成され、前記特定部によって前記処理対象物として住宅が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から変化点を抽出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、情報処理装置である。
【0006】
本発明の他の態様は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、前記抽出部は、複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するよう構成され、前記特定部によって前記処理対象物として信号機が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記信号機の画像から変化点を抽出することによって、前記信号機の動作が正常であるか否かを判定する、情報処理装置である。
【0007】
本発明の他の態様は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、前記抽出部は、複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するよう構成され、前記特定部によって前記処理対象物として道路が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記道路の画像から変化点を抽出することによって、前記道路の路面の冠水の有無を検出する、情報処理装置である。
【0008】
本発明の他の態様は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得するステップと、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定するステップと、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するステップと、を有し、前記抽出するステップでは、前記特定するステップにおいて前記処理対象物として住宅が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から変化点を抽出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、情報処理方法である。
【0009】
本発明の他の態様は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得するステップと、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定するステップと、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するステップと、を有し、前記抽出するステップでは、前記特定するステップにおいて前記処理対象物として信号機が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記信号機の画像から変化点を抽出することによって、前記信号機の動作が正常であるか否かを判定する、情報処理方法である。
【0010】
本発明の他の態様は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づき処理対象物を特定するステップと、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出するステップと、を有し、前記抽出するステップでは、前記特定するステップにおいて前記処理対象物として道路が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記道路の画像から変化点を抽出することによって、前記道路の路面の冠水の有無を検出する、情報処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影画像において特定した処理対象物に対応する抽出処理を行うことによって、車両が搭載するカメラの撮影画像をもとに、複数の種類の処理対象物に関する情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】情報処理システムの概要を示す説明図である。
【
図3】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.情報処理システムの概要]
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概要を示す説明図である。
情報処理システム1は、車両Vに搭載されたカメラ205の撮影画像をもとに、車両Vが走行する道路、及び、道路の周辺に位置する建造物等の状態に関して情報を得るシステムである。情報処理システム1は、情報処理サーバ100と、車両Vに搭載された車載装置200とを含む。情報処理サーバ100は、情報処理装置の一例に対応する。
【0018】
車載装置200は、カメラ205を備える。カメラ205は、車両Vの走行中に道路を含む画角を撮影するデジタルカメラであり、動画像を撮影するビデオカメラであってもよいし、スチルカメラであってもよい。また、車載装置200は、赤外線カメラ206を搭載してもよい。赤外線カメラ206は、赤外線サーモグラフィーカメラであり、赤外線カメラ206の撮影画像は撮影された被写体表面の温度を示す。
【0019】
カメラ205、及び、赤外線カメラ206の画角、すなわち撮影範囲には、例えば、道路530、道路530の横に建っている住宅501、道路530に設置された信号機510、歩道520、歩道520に駐輪された自転車540等が含まれる。これらの建造物、物体、人などがカメラ205及び赤外線カメラ206の被写体となり得る。
【0020】
車載装置200は、セルラー通信等の無線通信機能を備え、カメラ205及び/または赤外線カメラ206の撮影画像を含む撮影データDを、情報処理サーバ100に送信する。情報処理システム1及び情報処理サーバ100は、例えば、通信ネットワークNWを通じて相互にデータ通信可能に接続される。
【0021】
情報処理システム1に含まれる車両V及び車載装置200の数に制限はない。
図1には1台の車両Vを示しているが、これは一例であり、情報処理サーバ100は、複数の車載装置200から撮影画像を取得する構成とすることが可能である。また、以下では車両Vが四輪自動車である例を説明するが、車両Vの種類は特に制限されず、大型自動車、商用車、二輪車、三輪車等であってもよい。
【0022】
通信ネットワークNWは、データ通信ネットワークであればよく、公衆回線網を含む広域通信ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0023】
情報処理サーバ100は、車載装置200が送信する撮影データDを受信し、撮影データDに含まれる撮影画像を解析することによって、住宅501、信号機510、歩道520、道路530等に関する情報を取得する。本実施形態で、情報処理サーバ100は、撮影画像を解析することにより得られた情報をもとに、住宅501が空き家であるか否か、信号機510の動作状態や外観の異常の有無、歩道520に放置された自転車540の有無、道路530の異常の有無等を判定する。
【0024】
本実施形態の情報処理サーバ100は、通信ネットワークNWを介して配信サーバ300とデータ通信可能に接続される。情報処理サーバ100は、撮影画像に基づき判定した結果を、配信サーバ300に送信する。
【0025】
配信サーバ300は、ユーザ端末250と通信を実行することにより、ユーザ端末250に情報を配信する。ユーザ端末250は、モバイルデバイス、或いはハンドヘルドコンピュータと呼ばれる携帯型のコンピュータであり、例えばスマートフォンである。
【0026】
配信サーバ300は、ユーザ端末250にインストールされたアプリケーションプログラム(以下、アプリという)の機能を利用して、ユーザ端末250との間で通信ネットワークNWを通じて情報を提供する。ユーザ端末250にインストールされるアプリは、例えば、市町村またはより狭い地域を対象とし、地域のコミュニティにおける情報交換や行政機関との情報交換に利用される地域アプリが挙げられる。地域アプリは、地域の住民が個人的に使用するユーザ端末250や、行政機関が使用する不図示のコンピュータにインストールされる。配信サーバ300は、情報処理サーバ100から送信される情報を取得し、地域アプリがインストールされたユーザ端末250やコンピュータに、情報を配信する。
【0027】
情報処理サーバ100は、1つのサーバコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよく、クラウド型のサーバであってもよい。配信サーバ300も同様である。また、情報処理サーバ100は、車載装置200から撮影画像を取得可能であればよく、サーバに限定されない。デスクトップ型のコンピュータ、ノート型コンピュータ等のコンピュータであってもよい。
【0028】
[2.情報処理システムの構成]
図2は、情報処理システム1の構成図であり、情報処理システム1を構成する情報処理サーバ100及び車載装置200の構成を示す。
【0029】
まず、車載装置200の構成を説明する。
車載装置200は、プロセッサ201、記憶部202、通信部203、タッチパネル204、カメラ205、及び、GNSS207を有する。
【0030】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロコントローラ等の情報処理デバイスである。記憶部202は、フラッシュメモリ等の半導体メモリデバイスを用いて構成される不揮発性の記憶装置が挙げられる。記憶部202は、揮発性の記憶領域を有し、プロセッサ201のワークエリアを形成する構成であってもよい。記憶部202は、プロセッサ201によって実行されるプログラムや、プロセッサ201が処理するデータを記憶する。
プロセッサ201は、記憶部202に記憶されたプログラムを実行し、車載装置200を制御する。
【0031】
通信部203は、アンテナ、RF回路等を備え、モバイル通信回線を通じてセルラー通信を実行する通信装置である。通信部203は、通信ネットワークNWに接続し、プロセッサ201の制御に従って、情報処理サーバ100との間でデータ通信を実行する。
【0032】
タッチパネル204は、プロセッサ201の制御に従って各種の画像を表示する。タッチパネル204は、タッチパネル204に対するタッチ操作を検出し、検出した操作を示す操作データをプロセッサ201に出力する。タッチパネル204は、例えば、車両Vが搭載するカーナビゲーションシステムのタッチパネルであってもよい。
【0033】
カメラ205は、例えば車両Vのフロントガラス又はその近傍に設置され、車両Vの進行方向における前方を撮影する。また、カメラ205は、車両Vの後方を撮影するカメラであってもよい。また、カメラ205は、車両Vの前方を撮影するカメラと、車両Vの後方を撮影するカメラとを含んでもよい。カメラ205は、プロセッサ201の制御に従って撮影を行い、撮影画像をプロセッサ201に出力する。
【0034】
赤外線カメラ206は、プロセッサ201の制御に従って撮影を実行し、サーモグラフィー画像をプロセッサ201に出力する。上述のように、車載装置200は、赤外線カメラ206を備えない構成であってもよい。
【0035】
GNSS(Global Navigation Satellite System)207は、プロセッサ201の制御に従って車載装置200の位置を検出する。
【0036】
プロセッサ201は、カメラ205及び赤外線カメラ206によって撮影を実行する。プロセッサ201は、カメラ205の撮影画像及び赤外線カメラ206の撮影画像に、撮影時の位置情報と、撮影日時を示す情報とを付加して、撮影データDを生成する。
【0037】
図2に示すように、撮影データDは、撮影画像D1、サーモ画像D2、位置情報D3、及び、撮影日時D4を含む。撮影画像D1はカメラ205によって撮影された静止画像または動画像(映像)のデータである。サーモ画像D2は赤外線カメラ206によって撮影されたサーモグラフィー画像のデータである。車載装置200が赤外線カメラ206を備えない構成では、撮影データDはサーモ画像D2を含まない。位置情報D3は、車載装置200が撮影画像D1を撮影したときの車両Vの位置情報であり、GNSS207により測位された位置情報である。撮影画像D1が動画像のデータである場合、位置情報D3は、動画像の撮影開始時及び/または撮影終了時の位置情報、或いは、動画像の撮影中に所定周期で測位された複数の位置情報を含む。撮影日時D4は、カメラ205の撮影日時である。撮影画像D1が動画像のデータである場合、撮影日時D4は、動画像の撮影開始時及び/または撮影終了時の日時、或いは、動画像の撮影中に所定周期で特定された複数の時刻情報を含む。
【0038】
プロセッサ201は、通信部203によって撮影データDを情報処理サーバ100に送信する。プロセッサ201は、例えば、車載装置200が起動している間または車両Vの走行中に、カメラ205及び赤外線カメラ206による撮影を実行する。詳細には、カメラ205及び赤外線カメラ206によって、常時、動画像を撮影してもよいし、予め設定された周期で静止画像を撮影してもよい。この場合、プロセッサ201は、カメラ205及び赤外線カメラ206の撮影画像のデータと、GNSS207が測位した位置情報と、撮影日時とを記憶部202に一時的に記憶する。プロセッサ201は、予め設定された周期で、或いは、車載装置200が動作を停止するときに、撮影データDを生成して通信部203により送信する。
【0039】
情報処理サーバ100は、プロセッサ10、記憶部20、及び、通信部30を備える。プロセッサ10は、CPUやマイクロコントローラ等の情報処理デバイスである。記憶部20は、プロセッサ10によって実行されるプログラムや、プロセッサ10が処理するデータを記憶する。記憶部20は、フラッシュメモリ等の半導体メモリデバイス、磁気的記憶デバイス、光学的記憶デバイス等を用いて構成される不揮発性の記憶装置が挙げられる。また、記憶部20は、半導体メモリデバイスで構成される揮発性の記憶領域を備え、この揮発性の記憶領域によってプロセッサ10のワークエリアを形成してもよい。また、プロセッサ10が揮発性メモリを統合した統合型のデバイスで構成される場合、記憶部20は不揮発性の記憶装置で構成される。
【0040】
記憶部20は、制御用プログラム21、動画像データ22、撮影画像データ23、サーモ画像データ24、設定データ25、及び、処理結果データ26を記憶する。制御用プログラム21は、プロセッサ10が情報処理サーバ100を制御するために実行するプログラムである。
【0041】
プロセッサ10は、制御用プログラム21を実行することによって、情報処理サーバ100の機能を実現する。プロセッサ10が構成する機能部として、取得部11、特定部12、抽出部13、及び、出力部14を示す。これらの各機能部は、プロセッサ10が制御用プログラム21を実行することによってソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。
【0042】
取得部11は、車載装置200から撮影データDを取得する。取得部11は、撮影データDに含まれる撮影画像D1が静止画像のデータである場合、撮影画像D1、位置情報D3及び撮影日時D4を対応付けて、撮影画像データ23として記憶部20に記憶させる。撮影画像D1が動画像のデータである場合、取得部11は、撮影画像D1、位置情報D3及び撮影日時D4を対応付けて、動画像データ22として記憶部20に記憶させる。すなわち、動画像データ22、及び、撮影画像データ23は、それぞれ、カメラ205の撮影画像のデータと、位置情報と、撮影日時とを対応付けて含む。また、取得部11は、サーモ画像D2を、位置情報D3及び撮影日時D4と対応付けてサーモ画像データ24として記憶部20に記憶させる。
【0043】
また、取得部11は、動画像データ22から静止画像のデータを切り出して、撮影画像データ23として記憶させる機能を有する。
記憶部20は、複数の車載装置200から取得された撮影画像データ23を記憶することができる。すなわち、複数の車両Vによって撮影された撮影画像を記憶部20に記憶させることが可能である。取得部11は、複数の車載装置200から撮影データDを取得し、撮影画像データ23を記憶部20に記憶させることができる。
【0044】
ここで、取得部11は、撮影データDを取得した場合に、撮影データDを送信した車載装置200を識別する識別情報を取得してもよい。この識別情報は、予め車載装置200に付与され、撮影データDに含まれていてもよいし、取得部11が付与してもよい。この場合、取得部11は、動画像データ22、撮影画像データ23或いはサーモ画像データ24に車載装置200の識別情報を対応付けて記憶部20に記憶させる。これにより、撮影画像データ23またはサーモ画像データ24を処理する場合に、これらを撮影した車載装置200を特定できる。
【0045】
特定部12は、撮影画像データ23を解析して、撮影画像データ23に被写体として写っている処理対象物を検出する。本実施形態では、特定部12は、住宅501、信号機510、歩道520、及び、道路530を処理対象物として撮影画像データ23から検出する。特定部12は、検出した処理対象物が住宅501、信号機510、歩道520、及び、道路530のいずれであるかを特定する。
【0046】
抽出部13は、特定部12によって特定された処理対象物の画像から、処理対象物の変化点を抽出する。変化点は、処理対象物における変化を検出する対象となる点、部分、または領域であり、処理対象物の全体であってもよい。換言すれば、変化点は、処理対象物の変化を検出する処理で着目される着目点である。ここで、処理対象物の変化とは、例えば、経時的な変化である。経時的な変化とは、単なる経時劣化に限定されず、自然事象に起因する変化、人為的な変化、その他の突発的な変化等を含む。例えば、住宅501の住人の行動に起因する変化、信号機510への異物の付着、信号機510の故障、歩道520に物体が放置されること、道路530の路面に損傷が発生すること、道路530の路面が冠水すること等が処理対象物の変化の一例である。抽出部13は、処理対象物の変化点における変化の態様を検出する。例えば、抽出部13は、処理対象物が住宅501である場合に、住宅501の窓502を変化点として、窓502の変化を検出する。抽出部13は、窓502の変化を検出することによって、住宅501の照明が点灯したか否かを判定する。住宅501の照明が点灯したことから、住宅501が空き家でないと判定することができる。
【0047】
処理対象物の変化点、及び、変化点について検出する変化の態様は、処理対象物ごとに異なる。換言すれば、抽出部13は、処理対象物の種類に応じて設定された処理対象物の変化点について、処理対象物の種類に対応する変化の態様を検出する。
例えば、処理対象物が住宅501である場合、変化点は住宅501の側面を含む外観、住宅501の郵便受け、及び、住宅501の窓502である。抽出部13が検出する変化の態様は、住宅501の周辺の人Pの有無、郵便物の有無、窓502に現れる照明の点灯状態、窓502に現れる洗濯物の有無、及び、窓502の開閉状態である。
【0048】
抽出部13は、処理対象物ごとの変化点を抽出し、変化の態様を検出するため、第1処理部131、第2処理部132、第3処理部133、及び、第4処理部134を使用する。第1処理部131、第2処理部132、第3処理部133及び第4処理部134は、それぞれ異なる処理対象物に対応する処理部である。これら各処理部には、処理対象物に対応する変化点及び検出する変化の態様が規定されている。これらの処理部は、プロセッサ10が制御用プログラム21の機能により実行する検出ロジックを表している。抽出部13は、第1処理部131、第2処理部132、第3処理部133及び第4処理部134に相当する抽出処理を選択して実行可能である。
【0049】
抽出部13は、第1処理部131、第2処理部132、第3処理部133及び第4処理部134のうち、取得部11が特定した処理対象物に対応する処理部を選択して処理を実行する。これは、変化点及び検出する変化の態様が設定された検出ロジックを、取得部11が特定した処理対象物に合わせて切り替えて実行することに相当する。
【0050】
抽出部13の処理部は、変化点の変化の態様を検出する処理において、設定データ25を利用する。設定データ25は、例えば、変化点の通常の状態を示す画像データや、判定用の閾値である。
抽出部13は、処理部によって処理を行った結果を、処理結果データ26として記憶部20に記憶させる。
【0051】
出力部14は、抽出部13による処理の結果を出力する。出力部14は、例えば、処理結果データ26を通信部30によって配信サーバ300に送信する。
【0052】
[3.情報処理システムの動作]
図3は、情報処理サーバ100の動作を示すフローチャートである。
図3の動作は取得部11により実行される。
取得部11は、撮影データDを車載装置200から取得する(ステップS11)。取得部11は、撮影画像D1が動画像のデータであるか否かを判定する(ステップS12)。
【0053】
取得部11は、撮影画像D1が動画像のデータでない、すなわち静止画像のデータであると判定した場合(ステップS12;NO)、撮影画像D1と、位置情報D3と、撮影日時D4とを対応付けて撮影画像データ23として記憶する(ステップS13)。
【0054】
取得部11は、撮影画像D1が動画像のデータであると判定した場合(ステップS12;YES)、撮影画像D1から静止画像のデータを切り出す(ステップS14)。ステップS1で、取得部11は、例えば、動画像データを構成するフレームの一部または全部を抽出し、静止画像のデータとする。
【0055】
取得部11は、撮影画像D1に付加された位置情報D3及び撮影日時D4をもとに、ステップS14で切り出した静止画像に対応する位置情報と撮影日時とを生成する(ステップS15)。取得部11は、ステップS14で切り出した静止画像のデータと、位置情報と、撮影日時とを対応付けて、撮影画像データ23として記憶部20に記憶させる(ステップS16)。
【0056】
また、取得部11は、サーモ画像D2についても
図3の動作を実行する。これにより、サーモ画像D2がサーモ画像データ24として記憶部20に記憶される。
【0057】
図3の動作によって、車載装置200が送信する撮影データDが動画像のデータを含む場合であっても、特定部12及び抽出部13が静止画像データを利用して処理を行うことが可能となる。ここで、
図3の動作を、車載装置200が実行する構成としてもよい。すなわち、プロセッサ201が、カメラ205及び赤外線カメラ206によって撮影された動画像から静止画像のデータを生成し、静止画像のデータを含む撮影データDを生成して情報処理サーバ100に送信してもよい。この場合、車載装置200が送信する撮影データDは、静止画像である撮影画像D1及びサーモ画像D2を含むデータとなる。
【0058】
図4、
図5、
図6、
図7、
図8及び
図9は、情報処理サーバ100の動作を示すフローチャートである。
図4のステップS21-S23は特定部12により実行され、ステップS24、S25は抽出部13により実行され、ステップS26、S27は出力部14により実行される。
【0059】
図4に示すように、情報処理サーバ100は、記憶部20が記憶する撮影画像データ23を取得する(ステップS21)。情報処理サーバ100は、取得した撮影画像データ23から被写体の画像を抽出する(ステップS22)。ステップS22では、抽出部13により処理される処理対象物であるか否かを問わず、撮影画像データ23において建造物、物体或いは人として認識され得る被写体が抽出される。
【0060】
情報処理サーバ100は、ステップS22で抽出した被写体の中から、処理対象物を特定する(ステップS23)。情報処理サーバ100は、第1処理部131、第2処理部132、第3処理部133、及び第4処理部134のうち、ステップS23で特定された処理対象物に対応する処理部を選択する(ステップS24)。ステップS24の処理は、ステップS23で特定された処理対象物に対応する抽出処理のロジックを選択することに相当する。
【0061】
情報処理サーバ100は、ステップS23で選択した処理部によって抽出処理を実行する(ステップS25)。情報処理サーバ100は、抽出処理の結果が、出力すべき結果であるか否かを判定する(ステップS26)。情報処理サーバ100は、出力すべき結果であると判定した場合(ステップS26;YES)、処理結果データ26を配信サーバ300に出力し(ステップS27)、配信サーバ300からユーザ端末250等に配信させる。情報処理サーバ100は、処理結果データ26が、出力すべき結果でないと判定した場合(ステップS26;NO)、ステップS27を行わずに本処理を終了する。
【0062】
図5-
図9は、
図4のステップS23を詳細に示すフローチャートである。
図5は、ステップS24で第1処理部131が選択された場合の動作を示す。すなわち、
図5の動作は第1処理部131が実行する。
【0063】
第1処理部131は、特定部12によって特定された処理対象物が信号機510である場合に選択される。
第1処理部131は、信号機510の画像における変化点を、信号機510の点灯部に設定する(ステップS31)。信号機510の点灯部とは、信号機510が内蔵するLED(Light Emitting Diode)や電球の光によって赤、青、黄に発光する部分である。
【0064】
第1処理部131は撮影画像データ23から変化点の画像を抽出する(ステップS32)。第1処理部131は、変化点の画像を解析することにより、点灯部の点灯状態(動作状態)を判定する(ステップS33)。具体的には、第1処理部131は、ステップS33において、点灯部が正常に点灯しているか否かを判定する。第1処理部131は、例えば、正常に点灯しているときの信号機510の画像が設定データ25として記憶部20に予め記憶されている場合、この画像と、ステップS32で抽出した画像とを比較することによって、ステップS33の判定を行う。ステップS33で、第1処理部131は、判定結果を処理結果データ26に含めて記憶部20に記憶させる。
【0065】
信号機510は通常、複数の点灯部を有する。第1処理部131は、ステップS31で複数の点灯部を変化点として設定し、複数の点灯部についてステップS33で判定を行ってもよい。また、第1処理部131は、ステップS31で複数の点灯部のいずれか1つを変化点とし、この変化点についてステップS33で判定を行ってもよい。この場合、第1処理部131は、点灯部の数だけステップS31-S33の動作を繰り返して実行してもよい。
【0066】
第1処理部131は、信号機510の画像における変化点を、信号機510の下端部に設定する(ステップS34)。ここで、信号機510の下端部とは、信号機510を指示するポールを含まない部分において最も下に位置する部分であり、例えば信号機510の点灯部の下部である。
【0067】
第1処理部131は撮影画像データ23から変化点の画像を抽出する(ステップS35)。第1処理部131は、変化点の画像を解析することにより、信号機510における異物の付着の有無を判定する(ステップS36)。第1処理部131は、例えば、異物がないときの信号機510の画像が設定データ25として記憶部20に予め記憶されている場合、この画像と、ステップS35で抽出した画像とを比較することによって、ステップS36の判定を行う。例えば、第1処理部131は、ステップS33において信号機510に氷柱が付着しているか否かを判定する。ステップS36で、第1処理部131は、判定結果を処理結果データ26に含めて記憶部20に記憶させる。
【0068】
図5に示したように、抽出部13は、1つの処理対象物について、複数の変化点を設定することができ、変化点ごとに撮影画像を解析して判定を行うことができる。
【0069】
図6及び
図7は、ステップS24で第2処理部132が選択された場合の動作を示す。すなわち、
図6及び
図7の動作は第2処理部132が実行する。
【0070】
第2処理部132は、特定部12によって特定された処理対象物が住宅501である場合に選択される。
第2処理部132は、複数の撮影画像データ23を取得する(ステップS41)。第2処理部132は、ステップS21で取得された撮影画像データ23が1つの撮影画像である場合、この撮影画像とは異なる日時に撮影された撮影画像データ23を取得する。また、ステップS21で取得された撮影画像データ23が複数の撮影画像を含む場合は、これら複数の撮影画像をステップS41で取得すればよい。
【0071】
以下では、ステップS41で取得される撮影画像のいずれか1つを第1画像とし、他の撮影画像のうち1つを第2画像とする。第1画像と第2画像とは異なる日時に撮影された画像であることが好ましい。より好ましくは、撮影日時すなわち撮影時期が数時間以上、異なっていることが好ましく、さらに好ましくは、第1画像は夜間に撮影された画像であり、第2画像は昼間に撮影された画像である。また、第1画像と第2画像とは同じ住宅501を撮影した画像である。第2処理部132は、例えば、撮影画像データ23が含む位置情報に基づいて、同じ住宅501を撮影した複数の撮影画像を取得する。第1画像と第2画像とは、異なる車両Vが搭載するカメラ205によって撮影された画像であってもよい。第1画像は第1の撮影画像の一例に対応し、第2画像は第2の撮影画像の一例に対応する。
【0072】
第2処理部132は、住宅501の画像における変化点を、住宅501の側面を含む外観に設定する(ステップS42)。撮影画像データ23は車両Vに搭載されたカメラ205が撮影した画像であるから、住宅501の側面を含む外観を撮影した画像であり、航空画像や衛星画像等のように上方から撮影した画像とは異なる。
【0073】
第2処理部132は、複数の撮影画像から変化点の画像を抽出する(ステップS43)。第2処理部132は、ステップS43で第1画像から抽出した変化点と第2画像から抽出した変化点とを比較することによって、住宅501の付近にいる人Pの有無を判定する(ステップS44)。
【0074】
第2処理部132は、住宅501の画像における変化点を、住宅501の郵便受けに設定する(ステップS45)。第2処理部132は、複数の撮影画像から変化点の画像を抽出する(ステップS46)。第2処理部132は、ステップS46で第1画像から抽出した変化点と第2画像から抽出した変化点とを比較することによって、住宅501の郵便受けに郵便物が溜まっているか否かを判定する(ステップS47)。例えば、郵便受けの郵便物が時間の経過とともに増加している場合、住宅501に配達された郵便物が溜まっていると判定できる。また、郵便受けの郵便物が時間の経過とともに減少または消失している場合、住宅501に配達された郵便物が住宅501の住人によって回収された、すなわち郵便物が溜まっていないと判定できる。
【0075】
第2処理部132は、住宅501の画像における変化点を、窓502に設定する(ステップS48)。第2処理部132は、複数の撮影画像から変化点の画像を抽出する(ステップS49)。第2処理部132は、ステップS49で第1画像から抽出した変化点と第2画像から抽出した変化点とを比較することによって、住宅501の照明の点灯状態を判定する(ステップS50)。第1画像と第2画像のいずれかが、夜間に撮影された画像である場合、より確実に判定を行える。
【0076】
また、第2処理部132は、ステップS49で第1画像から抽出した変化点と第2画像から抽出した変化点とを比較することによって、住宅501で干されている洗濯物の有無を判定する(ステップS51)。第1画像と第2画像のいずれかが、昼間に撮影された画像である場合、より確実に判定を行える。
【0077】
また、第2処理部132は、ステップS49で第1画像から抽出した変化点と第2画像から抽出した変化点とを比較することによって、窓502の開閉状態を判定する(ステップS52)。窓502の開閉状態とは、例えば窓502が開閉されたか否かを指す。
【0078】
第2処理部132は、ステップS44、S47、S50、S51、S52の判定結果に基づいて、住宅501が空き家であるか否かを判定し、判定結果を処理結果データ26として記憶部20に記憶させる(ステップS53)。
上記処理において、第2処理部132は、変化点を窓502に設定した場合に、窓502に現れる住宅501の内部に人Pがいるか否かを判定してもよい。この場合、住宅501の室内に人Pがいるか否かの判定結果を、ステップS53の判定に利用してもよい。
【0079】
図6に示したように、抽出部13は、1つの処理対象物について設定した1つの変化点に基づき、複数の判定を行うことができる。また、複数の判定の結果をもとにして、住宅501が空き家であるか、居住中であるかを判定することができる。
【0080】
図7は、第2処理部132が、サーモ画像データ24から変化点を抽出する場合の動作を示す。
第2処理部132は、ステップS61と同様の処理によって、複数のサーモ画像データ24を取得する(ステップS61)。以下では、ステップS61で取得される撮影画像のいずれか1つを第1サーモ画像とし、他の撮影画像のうち1つを第2サーモ画像とする。第1サーモ画像と第2サーモ画像とは異なる日時に撮影された画像であることが好ましい。より好ましくは、撮影日時すなわち撮影時期が数時間以上、異なっていることが好ましく、さらに好ましくは、第1サーモ画像は夜間に撮影された画像であり、第2サーモ画像は昼間に撮影された画像である。また、第1サーモ画像と第2サーモ画像とは同じ住宅501を撮影した画像である。第2処理部132は、例えば、撮影画像データ23が含む位置情報に基づいて、同じ住宅501を撮影した複数の撮影画像を取得する。第1サーモ画像と第2サーモ画像とは、異なる車両Vが搭載するカメラ205によって撮影された画像であってもよい。第1サーモ画像は第1の撮影画像の一例に対応し、第2サーモ画像は第2の撮影画像の一例に対応する。
【0081】
第2処理部132は、住宅501の画像における変化点を、窓502に設定する(ステップS62)。第2処理部132は、複数の撮影画像から変化点の画像を抽出する(ステップS63)。第2処理部132は、ステップS63で第1サーモ画像から抽出した変化点と第2サーモ画像から抽出した変化点とを比較することによって、窓502の温度変化を判定する(ステップS64)。第2処理部132は、ステップS64の判定結果に基づいて、住宅501が空き家であるか否かを判定し、判定結果を処理結果データ26として記憶部20に記憶させる(ステップS65)。例えば、窓502の温度変化が、住宅501の地域の温度変化と相違する場合、住宅501が空き家で無いと判定することの根拠になる。詳細には、ステップS64で、第2処理部132によって、昼間より夜間の方が窓502の温度が高いと判定された場合、住宅501が空き家でないと判定できる。
【0082】
ステップS65で、第2処理部132は、
図6のステップS44、S47、S50、S51、S52の判定結果と、ステップS65の判定結果とを合わせて、住宅501が空き家であるか否かを判定してもよい。例えば、ステップS61において、第2処理部132が、サーモ画像データ24に含まれる位置情報に基づいて、ステップS41で取得した撮影画像データ23と同じ住宅501を撮影したサーモ画像データ24を取得すればよい。この場合、撮影画像データ23とサーモ画像データ24とを組み合わせることにより、住宅501が空き家であるか否かを、より正確に判定できる。
また、第2処理部132は、
図7の処理で、変化点を住宅501の側面を含む外観全体として、温度変化を判定してもよい。この場合も、住宅501の温度変化に基づき、住宅501が空き家であるか否かを判定できる。
【0083】
図8は、ステップS24で第3処理部133が選択された場合の動作を示す。すなわち、
図8の動作は第3処理部133が実行する。
第3処理部133は、特定部12によって特定された処理対象物が、道路530である場合に選択される。
【0084】
第3処理部133は、道路の撮影画像における変化点を、道路530の路面に設定する(ステップS71)。第3処理部133は撮影画像データ23から変化点の画像を抽出する(ステップS72)。第3処理部133は、変化点の画像を解析することにより、路面の陥没の有無を判定する(ステップS73)。例えば、第3処理部133は、陥没がある状態の路面の画像が設定データ25として記憶部20に予め記憶されている場合、この画像と、ステップS72で抽出した画像とを比較することによって、ステップS73の判定を行う。ステップS73で、第3処理部133は、判定結果を処理結果データ26に含めて記憶部20に記憶させる。
【0085】
第3処理部133は、変化点の画像を解析することにより、道路530における冠水の有無を判定する(ステップS74)。例えば、第3処理部133は、冠水している状態の路面の画像が設定データ25として記憶部20に予め記憶されている場合、この画像と、ステップS72で抽出した画像とを比較することによって、ステップS74の判定を行う。ステップS74で、第3処理部133は、判定結果を処理結果データ26に含めて記憶部20に記憶させる。
このように、第3処理部133は、撮影画像データ23を利用して道路530の路面状態を判定できる。
【0086】
図9は、ステップS24で第4処理部134が選択された場合の動作を示す。すなわち、
図9の動作は第4処理部134が実行する。
第4処理部134は、特定部12によって特定された処理対象物が歩道520である場合に選択される。
【0087】
第4処理部134は、複数の撮影画像データ23を取得する(ステップS81)。第4処理部134は、ステップS21で取得された撮影画像データ23が1つの撮影画像である場合、この撮影画像とは異なる日時に撮影された撮影画像データ23を取得する。また、ステップS21で取得された撮影画像データ23が複数の撮影画像を含む場合は、これら複数の撮影画像をステップS81で取得すればよい。
【0088】
ここで、ステップS81で取得される撮影画像のいずれか1つを第1画像とし、他の撮影画像のうち1つを第2画像とする。第1画像と第2画像とは異なる日時に撮影された画像であることが好ましい。より好ましくは、第1画像と第2画像とは異なる日に撮影された画像である。さらに好ましくは、第1画像は夜間に撮影された画像であり、第2画像は昼間に撮影された画像である。また、第1画像と第2画像とは歩道520における同じ場所を撮影した画像である。第4処理部134は、例えば、撮影画像データ23が含む位置情報に基づいて、同じ場所の歩道520を撮影した複数の撮影画像を取得する。第1画像と第2画像とは、異なる車両Vが搭載するカメラ205によって撮影された画像であってもよい。
【0089】
第4処理部134は、歩道520の画像における変化点を、歩道520そのものに設定する(ステップS82)。第4処理部134は撮影画像データ23から変化点の画像を抽出する(ステップS83)。
【0090】
第4処理部134は、変化点の画像を解析することにより、歩道520における自転車540の有無を判定する(ステップS84)。第4処理部134は、第1画像と第2画像の両方で自転車540が写っている場合、自転車540ありと判定する(ステップS84;YES)。この場合、第4処理部134は、変化点を自転車540に設定し(ステップS85)、第1画像および第2画像のそれぞれから変化点の画像を抽出する(ステップS86)。
【0091】
第4処理部134は、ステップS86で第1画像から抽出した変化点と第2画像から抽出した変化点とを比較することによって、自転車540が放置されているか否か、すなわち、自転車540が放置自転車か否かを判定する(ステップS87)。ステップS87で、第4処理部134は、判定結果を処理結果データ26に含めて記憶部20に記憶させる。
【0092】
また、ステップS84で、第4処理部134は、第1画像と第2画像のいずれか一方で自転車540が写っていない場合、自転車540がないと判定する(ステップS84;NO)。この場合、第4処理部134は、放置自転車がないと判定して(ステップS88)、判定結果を処理結果データ26に含めて記憶部20に記憶させる。
【0093】
[4.他の実施形態]
上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、発明が適用される形態を限定するものではない。
【0094】
例えば、上記実施形態では、住宅501が居住中か空き家であるかを判定するため、ステップS44、S47、S50、S51、S52の判定結果を利用する例を説明したが、これら全ての判定結果が必須ではない。抽出部13は、ステップS44、S47、S50、S51、S52の判定結果の少なくともいずれかを利用して、ステップS53で判定を行えばよい。
【0095】
例えば、上記実施形態では、車載装置200から情報処理サーバ100に対してセルラー通信等により撮影データDを送信する例を説明したが、車載装置200は、セルラー通信機能を持たなくてもよい。例えば、車載装置200が、車載装置200に接続可能な可搬型の情報記憶媒体に撮影データDを記憶させ、この情報記憶媒体から撮影データDを情報処理サーバ100が読み取る構成であってもよい。
【0096】
図2は、本願発明の理解を容易にするために、情報処理サーバ100及び車載装置200の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、情報処理サーバ100及び車載装置200の構成を限定するものではない。例えば、プロセッサ10が備える構成要素の処理を、1つのハードウェアユニットにより実行してもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行してもよい。また、
図3-
図9に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0097】
制御用プログラム21は、可搬型の情報記録媒体に制御用プログラム21を記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。プロセッサ10は、情報記録媒体から制御用プログラム21を読み出して実行してもよい。
【0098】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0099】
(構成1)車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得する取得部と、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定する特定部と、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する抽出部と、を備え、前記抽出部は、複数の抽出処理を実行可能に構成され、前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出する、情報処理装置。
構成1の情報処理装置によれば、撮影画像において特定した処理対象物に対応する抽出処理を行うことによって、車両が搭載するカメラの撮影画像をもとに、複数の種類の処理対象物に関する情報を得ることができる。
【0100】
(構成2)前記抽出部は、前記処理対象物における前記変化点、及び、前記変化点について検出する変化の態様が異なる複数の前記抽出処理を実行可能であり、複数の前記抽出処理のうち前記特定部により特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を特定して実行することにより、前記処理対象物における前記変化点の変化の態様を検出する、構成1記載の情報処理装置。
構成2の情報処理装置によれば、処理対象物に対応する抽出処理によって、処理対象物に特有の変化点において変化の態様を検出できる。これにより、車両が搭載するカメラの撮影画像を利用して、処理対象物の種類等に特有の情報を得ることができる。
【0101】
(構成3)前記抽出部は、前記抽出処理において、第1の前記撮影画像から抽出した前記変化点と、前記第1の前記撮影画像とは異なる時期に撮影された第2の前記撮影画像から抽出した前記変化点と、を比較することにより、前記変化点における変化を検出する、構成1または構成2記載の情報処理装置。
構成3の情報処理装置によれば、複数の画像を比較することによって、処理対象物に関して詳細な情報を得ることができる。
【0102】
(構成4)前記抽出部は、前記特定部によって前記処理対象物として住宅が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から変化点を抽出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、構成1から構成3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
構成4の情報処理装置によれば、住宅の側面の画像を利用することによって、例えば上方から撮影された画像を利用する場合に比べ、より正確に、住宅が居住中であるか空き家かを判定できる。
【0103】
(構成5)前記抽出部は、夜間に撮影された前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から抽出した前記変化点と、昼間に撮影された前記撮影画像に含まれる前記住宅の側面の画像から抽出した前記変化点と、を比較することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、構成4記載の情報処理装置。
構成5の情報処理装置によれば、夜間に撮影された撮影画像と昼間に撮影された撮影画像とを比較するので、より正確に、住宅が居住中であるか空き家かを判定できる。
【0104】
(構成6)前記抽出部は、前記撮影画像から抽出した前記変化点をもとに、前記住宅の側面の画像から、前記住宅の内部または付近にいる人の有無、前記住宅の照明の点灯状態、前記住宅で干されている洗濯物の状態、前記住宅の窓の開閉状態、前記住宅の一部または全体における温度変化、及び、前記住宅に配達された郵便物の状態の少なくともいずれかを検出することによって、前記住宅が居住中であるか空き家かを判定する、構成4または構成5記載の情報処理装置。
構成6の情報処理装置によれば、住宅の居住状態の指標となる事象について判定を行うことにより、より正確に、住宅が居住中であるか空き家かを判定できる。
【0105】
(構成7)前記抽出部は、前記特定部によって前記処理対象物として信号機が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記信号機の画像から変化点を抽出することによって、前記信号機の動作状態が正常であるか否か、及び、前記信号機に異物が付着しているか否かの少なくともいずれかを判定する、構成1から構成3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
構成7の情報処理装置によれば、車両が搭載するカメラの撮影画像をもとに、信号機の状態に関する情報を得ることができる。
【0106】
(構成8)前記抽出部は、前記特定部によって前記処理対象物として道路が特定された場合、前記撮影画像に含まれる前記道路の画像から変化点を抽出することによって、前記道路の路面状態の異常を検出する、構成1から構成3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
構成8の情報処理装置によれば、車両が搭載するカメラの撮影画像をもとに、道路の路面の状態に関する情報を得ることができる。
【0107】
(構成9)前記取得部は、前記カメラが撮影した動画像と、前記動画像の撮影中における前記車両の位置情報とを取得し、前記動画像から静止画像を切り出すことによって前記撮影画像を取得し、前記車両の位置情報をもとに前記静止画像に対応する位置情報を生成して、生成した位置情報を前記撮影画像に対応付ける処理を行い、前記抽出部は、前記撮影画像から前記変化点を抽出した処理の結果とともに、前記撮影画像に対応付けられた位置情報を出力する、構成1から構成8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
構成9の情報処理装置によれば、車両が搭載するカメラが撮影した動画像を利用して、複数の種類の処理対象物に関する情報を得ることができる。
【0108】
(構成10)車両に搭載されたカメラの撮影画像を取得し、前記撮影画像に基づき処理対象物を特定し、前記撮影画像から、前記処理対象物の変化を検出する対象となる変化点を抽出する処理であって実行可能に設定された複数の抽出処理のうち、特定された前記処理対象物に対応する前記抽出処理を行うことによって、前記処理対象物の変化点を抽出する、情報処理方法。
構成10の情報処理方法によれば、撮影画像において特定した処理対象物に対応する抽出処理を行うことによって、車両が搭載するカメラの撮影画像をもとに、複数の種類の処理対象物に関する情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1…情報処理システム、10…プロセッサ、11…取得部、12…特定部、13…抽出部、14…出力部、20…記憶部、21…制御用プログラム、22…動画像データ、23…撮影画像データ、24…サーモ画像データ、25…設定データ、26…処理結果データ、30…通信部、100…情報処理サーバ(情報処理装置)、131…第1処理部、132…第2処理部、133…第3処理部、134…第4処理部、200…車載装置、201…プロセッサ、202…記憶部、203…通信部、204…タッチパネル、205…カメラ、206…赤外線カメラ、207…GNSS、250…ユーザ端末、300…配信サーバ、D…撮影データ、D1…撮影画像、D2…サーモ画像、D3…位置情報、D4…撮影日時、NW…通信ネットワーク、V…車両。