(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】LEDモジュール、照明装置、及び照明構造
(51)【国際特許分類】
F21V 29/15 20150101AFI20241011BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241011BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20241011BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20241011BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241011BHJP
【FI】
F21V29/15
F21S2/00 230
F21V7/00 320
F21Y113:13
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021059994
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】森 久稔
(72)【発明者】
【氏名】泉 貴之
(72)【発明者】
【氏名】松永 淳
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和夫
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-135459(JP,A)
【文献】特開2021-005510(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173183(JP,U)
【文献】特開2016-119171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/15
F21S 2/00
F21V 7/00
F21Y 113/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフルカラーLEDと複数の白色LEDとを含む複数のLEDが基板上に一列に配置されて成るLEDモジュールであって、
一つのフルカラーLEDの隣に複数の白色LEDが配置されたLED群が複数群一列に配置されており、
同一LED群内における互いに隣接したフルカラーLEDと白色LEDとの中心間距離が、同一LED群内における複数のうちの両端の白色LED同士の中心間距離よりも長い
ことを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDモジュールと、該LEDモジュールを収容した筐体と、を備えた
ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記LEDモジュールの光が透過する光拡散シートを備えている
ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の照明装置と、該照明装置からの光を反射させる反射面と、を備え、
前記照明装置が間接照明として用いられる
ことを特徴とする照明構造。
【請求項5】
前記反射面が光拡散面である
ことを特徴とする請求項4に記載の照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDモジュール、該LEDモジュールを備えた照明装置、及び照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のLEDが基板上に一列に配置されて成るLEDモジュールが公知である。例えば特許文献1には、一対の白色LED間に赤色LED、緑色LED、青色LEDがこの順で配置されたLED群が複数群一列に配置された構成のLEDモジュールが開示されている。このLEDモジュールは、照明光の色むらを少なくするために、同一LED群内における一方の白色LEDとそれに隣接した赤色LEDとの中心間距離(2N)、及び他方の白色LEDとそれに隣接した青色LEDとの中心間距離(2N)が、隣接したLED群における隣接した白色LED同士の中心間距離(2L)よりも短く形成されている。即ち、LED群内で有色LED(赤色LED、青色LED)と白色LEDとを近付けることで色むらを少なくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、複数のフルカラーLEDと複数の白色LEDとを含む複数のLEDが基板上に一列に配置されて成るLEDモジュールを開発した。そして、この開発を進める中で、以下の問題に直面した。即ち、フルカラーLEDはワンチップにRGB3色の素子が内蔵されているため、白色LEDに比べ発熱する。そのため、白色LEDとフルカラーLEDは、互いに熱の影響を受け難い配置にする必要がある。一方、これらLEDの配置は、照明光に色むらが極力生じない配置にする必要があり、両者を両立させることは困難な問題であった。
【0005】
本発明は、LED同士が熱の影響を受け難く、かつ、照明光に色むらが極力生じないLEDモジュール、該LEDモジュールを備えた照明装置、及び照明構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のLEDモジュールは、複数のフルカラーLEDと複数の白色LEDとを含む複数のLEDが基板上に一列に配置されて成るLEDモジュールであって、一つのフルカラーLEDの隣に複数の白色LEDが配置されたLED群が複数群一列に配置されており、同一LED群内における互いに隣接したフルカラーLEDと白色LEDとの中心間距離が、同一LED群内における複数のうちの両端の白色LED同士の中心間距離よりも長いことを特徴とする。
【0007】
本発明の照明装置は、上記LEDモジュールと、該LEDモジュールを収容した筐体と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の照明構造は、上記照明装置と、該照明装置からの光を反射させる反射面と、を備え、前記照明装置が間接照明として用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、LED同士が熱の影響を受け難く、かつ、照明光に色むらが極力生じないLEDモジュール、該LEDモジュールを備えた照明装置、及び照明構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるLEDモジュールを備えた照明装置を模式的に表した図である。
【
図3】
図1の照明装置の他の設置例を示す図である。
【
図7】
図1の照明装置と比較例の照明装置の輝度値を表すグラフであり、各照明装置を電球色に発光させた際のグラフである。
【
図8】
図1の照明装置と比較例の照明装置の輝度値を表すグラフであり、各照明装置を赤色に発光させた際のグラフである。
【
図9】
図1の照明装置と比較例の照明装置の輝度値を表すグラフであり、各照明装置を緑色に発光させた際のグラフである。
【
図10】
図1の照明装置と比較例の照明装置の輝度値を表すグラフであり、各照明装置を青色に発光させた際のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる「LEDモジュール」、「照明装置」、及び「照明構造」を
図1~10を参照して説明する。
【0012】
図1に示す照明装置10は、LEDモジュール1と、LEDモジュール1を収容した筐体9と、筐体9の開口部9aに取り付けられた透明カバーと、を備えている。
【0013】
LEDモジュール1は、模式的に表されているが、複数のフルカラーLEDと複数の白色LEDとを含む複数のLEDが細長い基板上に該基板の長手方向に一列に配置されて成るものである。本例の照明装置10は、長さ30センチ程度のLEDモジュール1が4枚使用されており、各LEDモジュール1が長手方向に並べられている。
【0014】
上記透明カバーは、LEDモジュール1の光を透過させるものであり、光拡散シートが貼り付けられている。このように、透明カバーには、光拡散シート等の拡散層を設けて配光角を大きくすることが好ましい。このようにすることで照明光の色むらをより低減することができる。
【0015】
本例の照明装置10は、鉄道車両の室内灯として使用されることを予定している。また、照明装置10は、
図2に示すように、その長手方向(LEDの並び方向)が車両11の進行方向となるように、かつ、光が天井12にあたるように斜め上向きに設置されて間接照明として使用されることを予定している。
【0016】
即ち、
図2に示す照明構造は、間接照明として用いられる照明装置10と、照明装置10からの光を反射させる反射面としての天井12と、で構成されている。また、天井12は、照明光の色むらをより低減できるように光拡散面(鏡面ではなく、凹凸を有し、入射光を拡散反射させる面)とされている。このように照明装置10を間接照明として使用することで、照射面で光が混ざり、より均一な色になる。また、本例では、照明装置10が光拡散シートを備え、かつ、天井12が光拡散面とされているが、本発明の照明構造においては、色むらを低減するために、前記光拡散シートと前記光拡散面の少なくとも一方の構成を備えていることが好ましい。
【0017】
なお、
図3に示すように、光が座席14や床13に直接あたるように照明装置10を下向きに設置してもよい。即ち、照明装置10は直接照明として使用することも可能である。
【0018】
続いて、LEDモジュール1の素子配置について説明する。
図4に示すように、LEDモジュール1は、複数のフルカラーLED2と複数の白色LED3とを含む複数のLEDが基板4上に一列に配置されて構成されている。複数のフルカラーLED2は、
図5に示すように、ワンチップにRGB3色の素子2r,2g,2bが内蔵されたものである。本例では、RGB3色の素子2r,2g,2bがこの順で複数のLED2,3の並び方向に並んでいる。
【0019】
複数のLED2,3は、フルカラーLED2、白色LED3、白色LED3、白色LED3、フルカラーLED2、白色LED3、白色LED3、白色LED3・・・の順で規則的に配置されている。即ち、一つのフルカラーLED2の隣に三つの白色LED3が配置されたLED群が複数群一列に配置されている。
図4中の一点鎖線は、各LED群の単位を表しており、一点鎖線で囲まれた要素で各LED群が構成されている。本例では、1枚の基板4に10のLED群が配置されている。よって、本例では10個のフルカラーLED2と、30個の白色LED3とでLEDモジュール1が構成されている。
【0020】
これら複数のLED2,3は、互いに間隔をあけて配置されているが、LED同士が熱の影響を受け難く、かつ、照明光に色むらが極力生じないLEDモジュールを実現するために、LEDの間隔が以下のように設定されている。
【0021】
即ち、同一LED群内における互いに隣接したフルカラーLED2と白色LED3との中心間距離Aが、同一LED群内における三つのうちの両端の白色LED3同士の中心間距離Bよりも長く設定されている。同一LED群内における三つの白色LED3は、等間隔に配置されている。また、隣接したLED群における隣接したフルカラーLED2と白色LED3との中心間距離は、前記距離Aと等しい。本例では、A=10.1834mmであり、B=8.9834mmとされている。
【0022】
発明が解決しようとする課題の項で述べたように、フルカラーLED2はワンチップにRGB3色の素子2r,2g,2bが内蔵されているため、白色LED3に比べ発熱する。よって、本発明では、上述したように、フルカラーLED2とその両側の白色LED3との中心間距離Aを三つ並んだうちの両端の白色LED3同士の中心間距離Bよりも長くして、フルカラーLED2と白色LED3を互いに熱の影響を受け難い配置としている。
【0023】
本願発明者らは、上記照明装置10を車両モックに設置し、壁面に光をあてて当該壁面における色むら、輝度分布を評価した。また、比較対象として、
図6に示すLEDモジュール301を備えた照明装置を本発明の照明装置10と同等の明るさに調光の上、照明装置10の横に並べて(2つの照明装置を長手方向に並べて)設置し、両者を比較した。
【0024】
図6に示す比較例のLEDモジュール301は、基板4上に白色LED3とフルカラーLED2が交互に一列に配置されて成るものである(ただし、途中三箇所においては白色LED3が二つ連続して配置されている)。このLEDモジュール301は、26個のフルカラーLED2と、30個の白色LED3とで構成されている。
【0025】
色むら評価に関しては、本発明の照明装置10及び比較例の照明装置を、電球色(白色LED3のみを点灯させる)、赤色、緑色、青色に発光させ、各色にて上記壁面における色むらの有無を目視にて確認した。この結果、本発明の照明装置10は、各色において比較例の照明装置と比べて遜色なく、色むらがないことが確認できた。
【0026】
輝度分布評価に関しては、本発明の照明装置10及び比較例の照明装置を、電球色(白色LED3のみを点灯させる)、赤色、緑色、青色に発光させ、各色にて上記壁面の輝度画像を取得し、ピクセル位置毎の輝度値をグラフ化した。
図7は電球色に発光させた際のグラフであり、
図8は赤色に発光させた際のグラフであり、
図9は緑色に発光させた際のグラフであり、
図10は青色に発光させた際のグラフである。各グラフ横軸の「ピクセル位置」は、上記壁面の水平方向の位置であり、本発明の照明装置10と比較例の照明装置の並び方向の位置である。これらグラフから明らかなように、本発明の照明装置10は、各色において比較例の照明装置とほぼ同等の輝度分布が確認でき、輝度むらに問題がないことが確認できた。
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、LED2,3同士が熱の影響を受け難く、かつ、照明光に色むらが極力生じないLEDモジュール1、該LEDモジュール1を備えた照明装置10、及び照明構造を提供することができる。
【0028】
上述した実施形態では、LEDモジュールの各LED群が、一つのフルカラーLED2の隣に三つの白色LED3が配置された構成であったが、本発明ではこれに限らず、各LED群が、一つのフルカラーLED2の隣に二つの白色LED3が配置された構成であってもよいし、一つのフルカラーLED2の隣に三つ以上の白色LED3が配置された構成であってもよい。何れの場合でも、同一LED群内における互いに隣接したフルカラーLEDと白色LEDとの中心間距離が、同一LED群内における複数のうちの両端の白色LED同士の中心間距離よりも長く設定されていればよい。
【0029】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 LEDモジュール
2 フルカラーLED
3 白色LED
4 基板
10 照明装置