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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】回路遮断器の端子カバー
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
H01H73/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021083780
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177493
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】滝谷 友行
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-273535(JP,A)
【文献】特開2002-298726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00-69/01
H01H 71/00-83/22
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測機能を有し回路遮断器の端子部を覆う回路遮断器の端子カバーであって、
前記端子部に圧接される弾性導体部と、
前記弾性導体部と電気的に接続される計測基板と、
前記回路遮断器と係合する係合部と、
前記回路遮断器と前記係合部との係合を解除する方向に前記係合部を移動させて前記弾性導体部の反力で前記回路遮断器に対して前記端子カバーを移動させる係合解除ボタンと、
前記弾性導体部の延伸方向と直交する方向へ前記係合部を付勢するバネと、を備える
ことを特徴とする回路遮断器の端子カバー。
【請求項2】
記回路遮断器は、
前記端子部を複数備え、
前記弾性導体部は、
前記端子部毎に設けられ、
前記係合部は、
前記回路遮断器に係合する係合子を前記端子部毎に有し、
前記係合解除ボタンは、
前記回路遮断器と前記端子部毎の前記係合子との係合を解除する方向に前記係合部を移動させて前記端子部毎の前記弾性導体部の反力で前記回路遮断器に対して前記端子カバーを移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器の端子カバー。
【請求項3】
前記係合子は、
前記延伸方向における位置が異なる複数の係合爪を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の回路遮断器の端子カバー。
【請求項4】
前記複数の係合爪は、
前記延伸方向における位置が前記端子部に近い係合爪ほど高さが低い
ことを特徴とする請求項3に記載の回路遮断器の端子カバー。
【請求項5】
前記弾性導体部は、
前記端子部に圧接される導電性バネを有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の回路遮断器の端子カバー。
【請求項6】
前記弾性導体部は、
導電性バネと、
前記導電性バネの先端に取り付けられ、前記端子部に圧接される導電性ピンと、を備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の回路遮断器の端子カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測機能を有し回路遮断器の端子部を覆う回路遮断器の端子カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
配線用遮断器などの回路遮断器には、外部に露出する端子部に対する絶縁強化および接触防止対策として、端子部を覆う端子カバーが取り付けられる。かかる端子カバーでは、利便性を高めるためにネジを用いずに着脱可能にした嵌め込み支持方式の取付構造が一般に採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、計測機能を有し回路遮断器の端子部を覆う端子カバーの回路遮断器への取付構造として、回路遮断器のカバー取付孔に回路遮断器の端子部の上方から端子カバーの被取付部を嵌入して端子カバーを回路遮断器に取り付ける取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-298726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、電圧を取り込む弾性導体部の反発力によって端子部の上方に向けて押し上げられる力が回路遮断器に加わることから、回路遮断器から計測装置が外れないようにカバー取付孔への被取付部の嵌入強度を高める必要がある。カバー取付孔への被取付部の嵌入強度を高めると、回路遮断器から端子カバーを取り外すために強い力が必要となるが、上記特許文献1に記載の技術では、回路遮断器から端子カバーを取り外すための機構が設けられておらず、回路遮断器からの端子カバーの取り外しが容易ではない。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、回路遮断器から容易に取り外すことができる回路遮断器の端子カバーを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の回路遮断器の端子カバーは、計測機能を有し回路遮断器の端子部を覆う回路遮断器の端子カバーであって、弾性導体部と、計測基板と、係合部と、係合解除ボタンと、バネと、を備える。弾性導体部は、端子部に圧接される。計測基板は、弾性導体部と電気的に接続される。係合部は、回路遮断器と係合する。係合解除ボタンは、回路遮断器と係合部との係合を解除する方向に係合部を移動させて弾性導体部の反力で回路遮断器に対して端子カバーを移動させる。バネは、弾性導体部の延伸方向と直交する方向へ係合部を付勢する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、回路遮断器から容易に取り外すことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す斜視図
図2】実施の形態1にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す平面図
図3】実施の形態1にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す側面図
図4】実施の形態1にかかる回路遮断器の一例を示す斜視図
図5】実施の形態1にかかる端子カバーの一例を示す斜視図
図6】実施の形態1にかかる端子カバーの一例を示す平面図
図7図6に示すVII-VII線に沿った断面図
図8図6に示すVIII-VIII線に沿った断面図
図9】実施の形態1にかかる係合部の一例を示す斜視図
図10】実施の形態1にかかる係合解除ボタンの一例を示す斜視図
図11図2に示すXI-XI線に沿った断面図
図12図11に示すX領域の拡大図
図13】実施の形態1にかかる回路遮断器に取り付けられた端子カバーの係合解除ボタンが押し込まれた状態を示す外観斜視図
図14図13に示すXIV-XIV線に沿った断面図
図15】実施の形態1にかかる係合解除ボタンが押し込まれた場合の動作を説明するための図
図16】実施の形態2にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す斜視図
図17】実施の形態2にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す平面図
図18】実施の形態2にかかる端子カバーの一例を示す斜視図
図19図17に示すXIX-XIX線に沿った断面図
図20】実施の形態2にかかる回路遮断器に取り付けられた端子カバーの係合解除ボタンが押し込まれた状態を示す断面図
図21図20に示すY領域の拡大図
図22】実施の形態2にかかる端子カバーを実施の形態1にかかる回路遮断器に取り付けた後に回路遮断器から取り外す様子を示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる回路遮断器の端子カバーを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す平面図である。図3は、実施の形態1にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す側面図である。図4は、実施の形態1にかかる回路遮断器の一例を示す斜視図である。
【0012】
図1図3に示すように、実施の形態1にかかる端子カバー1は、回路遮断器2に取り付けられる。端子カバー1は、回路遮断器2に取り付けられた状態で、図4に示す回路遮断器2の端子部20を覆う。
【0013】
回路遮断器2は、不図示の電源装置と不図示の負荷装置との間に設けられ、電源装置と負荷装置との間の電路に流れる電流が予め設定された条件を満たす場合に、電源装置と負荷装置との間の電路を遮断する。回路遮断器2は、例えば、配線用遮断器または漏電遮断器である。
【0014】
例えば、回路遮断器2は、配線用遮断器である場合、電路に過電流または短絡電流が流れたときに電路を閉状態から開状態にする。また、回路遮断器2は、漏電遮断器である場合、電路に過電流、短絡電流、または漏洩電流が流れたときに電路を閉状態から開状態にする。
【0015】
図4に示すように、回路遮断器2の端子部20は、電路毎に設けられる。図4に示す例では、回路遮断器2には、U相、V相、およびW相の電路のうち対応する電路を構成する電線に電気的に接続される3つの端子部20が設けられている。
【0016】
回路遮断器2は、図4に示す例では、3相3線式の電路に接続される回路遮断器であるが、単相2線式の電路、単相3線式の電路、または3相4線式の電路に接続される回路遮断器であってもよい。回路遮断器2には、接続される電路の数だけ端子部20が設けられる。
【0017】
各端子部20は、ネジ端子21と、端子ネジ22とを備える。ネジ端子21にはネジ穴が形成されており、端子ネジ22をネジ端子21に形成されているネジ穴に嵌め合わせることで、電路を形成する電線の先端に設けられた不図示の圧着端子が、ネジ端子21と端子ネジ22の間に圧接される。
【0018】
回路遮断器2の筐体23の内部には、固定接点、可動接点、可動接点と固定接点との接触および開離を行う開閉機構、および過電流または短絡電流などが電路に流れた場合に開閉機構に作用して回路遮断器2をトリップ状態にする引き外し機構などが収納されている。
【0019】
回路遮断器2の筐体23は、複数の端子部20の配列方向に間隔を空けて配置される隔壁24を有しており、複数の端子部20の配列方向である左右方向において各端子部20は隣接する2つの隔壁24で囲まれる。隔壁24には、隔壁24の延伸方向である上下方向に沿って係合溝25が形成されている。また、隔壁24の上部は、左右方向の厚みの違いによって係合段差26が形成されている。
【0020】
次に、端子カバー1について説明する。図5は、実施の形態1にかかる端子カバーの一例を示す斜視図である。図6は、実施の形態1にかかる端子カバーの一例を示す平面図である。図7は、図6に示すVII-VII線に沿った断面図である。図8は、図6に示すVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0021】
図5に示すように、端子カバー1は、筐体3と、弾性導体部4と、係合部5と、係合解除ボタン6とを備える。筐体3は、複数の隔壁31と、複数の導体取付部33と、基板収納部34とを備える。各隔壁31は、上下方向に延伸し回路遮断器2の係合溝25に挿入される係合リブ32を備える。
【0022】
係合リブ32を係合溝25の上部から係合溝25へ挿入して、係合リブ32を係合溝25に沿って下方にスライドさせることで係合リブ32が係合溝25に嵌め合わされる。これにより、図1に示すように、端子カバー1が回路遮断器2に取り付けられた状態になる。
【0023】
各導体取付部33には、図7に示すように、導体取付部33が挿入されて取り付けられる取付穴33aが形成されており、弾性導体部4は、一部が取付穴33aから突出した状態で導体取付部33に取り付けられる。各弾性導体部4は、導電性バネであり、端子カバー1が回路遮断器2に取り付けられている状態において、回路遮断器2における複数の端子部20のうち対応する端子部20に圧接することができる長さを有する。
【0024】
基板収納部34には、図7および図8に示すように、計測基板7が収納されており、計測基板7は、各弾性導体部4の一端に電気的に接続されている。計測基板7は、複数の端子部20の電圧を複数の各弾性導体部4を介して取り込んだり、筐体23に配置された不図示の電流センサの検出結果を取り込んだりする。
【0025】
計測基板7は、電流センサから取得した電流センサの検出結果と、複数の弾性導体部4を介して取得した複数の端子部20の電圧とに基づいて、電路に流れる電流、電路の電圧、および電路を介して負荷装置へ供給される電力量などを計測する計測機能を有する。
【0026】
係合部5は、回路遮断器2に端子カバー1が取り付けられた状態において、回路遮断器2の筐体23に形成されている複数の係合段差26と係合し、これにより、回路遮断器2から端子カバー1の取り外しが規制される。
【0027】
係合解除ボタン6は、回路遮断器2に端子カバー1が取り付けられた状態において、筐体3の内部に向けて押し込まれた場合、回路遮断器2と係合部5との係合を解除する方向に係合部5を移動させる。
【0028】
回路遮断器2に端子カバー1が取り付けられた状態では、弾性導体部4が端子部20に圧接されているため、回路遮断器2と係合部5との係合が解除されると、弾性導体部4の反力によって回路遮断器2から端子カバー1が取り外される方向に移動する。そのため、回路遮断器2から端子カバー1を容易に取り外すことができる。
【0029】
ここで、係合部5および係合解除ボタン6についてさらに具体的に説明する。図9は、実施の形態1にかかる係合部の一例を示す斜視図である。図10は、実施の形態1にかかる係合解除ボタンの一例を示す斜視図である。
【0030】
図9に示すように、係合部5は、スライドバー51と、複数の係合子52と、受圧部54とを有し、左右方向にスライド可能に筐体3に配置される。スライドバー51と複数の係合子52と受圧部54とは、樹脂部材などによって一体的に形成される。
【0031】
スライドバー51には、図8に示すように、筐体3に一端が取り付けられたバネ8の他端がスライド方向の一端に取り付けられており、図8における右方向に付勢されている。スライド方向は、スライドバー51の延伸方向である。スライドバー51の延伸方向は、弾性導体部4の延伸方向に直交する方向である。
【0032】
複数の係合子52は、互いに間隔を空けてスライドバー51から突出して形成される。係合子52は、端子部20毎に設けられる。各係合子52は、複数の係合爪53a,53bを有する。係合爪53aと係合爪53bとは、上下方向の位置および高さが異なる。
【0033】
図9に示す例では、上方の係合爪53aの高さに比べて、下方の係合爪53bの高さが低い。以下において、係合爪53a,53bの各々を個別に区別せずに示す場合、係合爪53と記載する場合がある。係合爪53の高さは、スライドバー51の延伸方向の長さであり、図7における左右方向である。
【0034】
係合爪53aは、図9に示すように、係合部5のスライド方向と平行な平坦面を有し且つ回路遮断器2の係合段差26と当接する当接面55aと、弾性導体部4の延伸方向に対して傾斜するテーパ面56aとを有する。同様に、係合爪53bは、図9に示すように、係合部5のスライド方向と平行な平坦面を有し且つ回路遮断器2の係合段差26と当接する当接面55bと、弾性導体部4の延伸方向に対して傾斜するテーパ面56bとを有する。
【0035】
係合爪53a,53bは、回路遮断器2に端子カバー1を取り付ける際に、隔壁24に摺動するが、テーパ面56a,56bによって、端子カバー1を回路遮断器2との係合位置に容易に移動させることができる。なお、係合爪53bは、上述した回路遮断器2に比べて係合段差26の位置が低い他の回路遮断器に端子カバー1を取り付けるために用いられる。
【0036】
受圧部54は、スライドバー51の他端部から係合子52の突出方向とは逆方向に突出して形成される。かかる受圧部54は、係合解除ボタン6からの圧力を受ける受圧面54aを有しており、かかる受圧面54aは、係合部5のスライド方向に対して傾斜するテーパ面である。
【0037】
係合解除ボタン6は、図10に示すように、操作面61と、押圧面62とを有する。操作面61は、係合解除ボタン6の先端に形成され、端子カバー1の筐体3に形成された開口から露出する。かかる操作面61は、回路遮断器2から端子カバー1が取り外される際に、作業者によって押し込まれる。
【0038】
押圧面62は、操作面61が押し込まれた場合に、受圧面54aを押圧する。押圧面62は、係合部5のスライド方向に対して傾斜するテーパ面である。係合解除ボタン6の基端部は、バネ9の一端が取り付けられ、バネ9の他端は筐体3に取り付けられる。
【0039】
次に、端子カバー1が回路遮断器2に取り付けられた状態における端子カバー1の係合部5と回路遮断器2の係合段差26との係合について具体的に説明する。図11は、図2に示すXI-XI線に沿った断面図である。図12は、図11に示すX領域の拡大図である。
【0040】
図11および図12に示すように、端子カバー1が回路遮断器2に取り付けられた状態において、端子カバー1の係合爪53aと回路遮断器2の係合段差26とが係合している。そのため、端子カバー1の回路遮断器2からの取り外しが規制される。係合爪53aと係合段差26との係合は、図12に示すように、係合爪53aの当接面55aと係合段差26の当接面26aとが当接することによって行われる。なお、端子カバー1の回路遮断器2からの取り外し方向は、上方向である。
【0041】
次に、係合解除ボタン6が押し込まれた場合の動作について説明する。図13は、実施の形態1にかかる回路遮断器に取り付けられた端子カバーの係合解除ボタンが押し込まれた状態を示す外観斜視図である。図14は、図13に示すXIV-XIV線に沿った断面図である。図15は、実施の形態1にかかる係合解除ボタンが押し込まれた場合の動作を説明するための図である。
【0042】
係合解除ボタン6が図15に示すバネ9に反力に抗して押し込まれた場合、図14および図15に示すように、係合解除ボタン6の押圧面62が受圧面54aを押圧する。押圧面62および受圧面54aは、係合部5のスライド方向に対して傾斜するテーパ面であるため、図15に示すように、係合部5がバネ8に反力に抗してバネ8を押圧する方向へ移動する。
【0043】
そのため、図14に示すように、端子カバー1における係合部5の係合爪53aと回路遮断器2の係合段差26との係合が解除される。係合爪53aと係合段差26との係合が解除されると、弾性導体部4の反力によって回路遮断器2から端子カバー1が取り外される方向に移動し、係合爪53aが係合段差26との係合位置から外れた位置になる。そのため、回路遮断器2から端子カバー1を容易に取り外すことができる。
【0044】
また、係合解除ボタン6の押し込みが解除された後において、係合爪53aが左右方向において隔壁24に当接した状態になる。係合爪53aの高さは、係合爪53bの高さよりも高いため、係合爪53aを隔壁24に当接した状態で回路遮断器2から端子カバー1を取り外す方向に移動させても、係合爪53bは、係合段差26と係合しない。これにより、回路遮断器2から端子カバー1をさらに容易に取り外すことができる。なお、上述した回路遮断器2とは異なる他の回路遮断器に端子カバー1を取り付けなくてもよい場合、係合爪53bを設けなくてもよい。
【0045】
以上のように、実施の形態1にかかる回路遮断器2の端子カバー1は、計測機能を有し回路遮断器2の端子部20を覆う回路遮断器2の端子カバーであって、弾性導体部4と、計測基板7と、係合部5と、係合解除ボタン6とを備える。弾性導体部4は、端子部20に圧接される。計測基板7は、弾性導体部4と電気的に接続される。係合部5は、回路遮断器2と係合する。係合解除ボタン6は、回路遮断器2と係合部5との係合を解除する方向に係合部5を移動させて弾性導体部4の反力で回路遮断器2に対して端子カバー1を移動させる。これにより、端子カバー1は、弾性導体部4が端子部20に圧接される構成であっても、端子カバー1と回路遮断器2との係合強度を適切に保ちつつ、回路遮断器2から容易に取り外すことができる。また、端子カバー1は、弾性導体部4の反力で回路遮断器2に対して端子カバー1を移動させるため、端子カバー1が回路遮断器2に密着して取り付けられている場合または電源方向または負荷方向にダクトなどの障壁がある場合であっても、回路遮断器2から容易に取り外すことができる。
【0046】
また、端子カバー1は、弾性導体部4の延伸方向と直交する方向へ係合部5を付勢するバネ8を備える。回路遮断器2は、端子部20を複数備える。弾性導体部4は、端子部20毎に設けられる。係合部5は、回路遮断器2に係合する係合子52を端子部20毎に有する。係合解除ボタン6は、回路遮断器2と端子部20毎の係合子52との係合を解除する方向に係合部5を移動させて端子部20毎の弾性導体部4の反力で回路遮断器2に対して端子カバー1を移動させる。これにより、端子カバー1は、弾性導体部4が端子部20に圧接される構成であっても、端子カバー1と回路遮断器2との係合強度をより適切に保ちつつ、回路遮断器2から容易に取り外すことができる。
【0047】
また、係合子52は、延伸方向における位置および高さが異なる複数の係合爪53a,53bを有する。これにより、端子カバー1は、係合箇所が異なる複数種類の回路遮断器2に取り付けることができる。また、係合子52は、スナップフィット構造を用いないため、耐クリープ性に優れている。
【0048】
また、弾性導体部4は、端子部20に圧接される導電性バネを有する。これにより、弾性導体部4は、係合解除ボタン6が押された際に、回路遮断器2に対して端子カバー1を反力によって精度よく移動させることができる。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる回路遮断器の端子カバーは、弾性導体部が導電性バネと導電性ピンとを含む点で実施の形態1にかかる端子カバー1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の端子カバー1はと異なる点を中心に説明する。
【0050】
図16は、実施の形態2にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す斜視図である。図17は、実施の形態2にかかる端子カバーの回路遮断器への取り付け状態の一例を示す平面図である。図18は、実施の形態2にかかる端子カバーの一例を示す斜視図である。図19は、図17に示すXIX-XIX線に沿った断面図である。
【0051】
図16に示すように、実施の形態2にかかる端子カバー1Aが取り付けられる回路遮断器2Aは、実施の形態1にかかる端子カバー1が取り付けられる回路遮断器2に比べて、高さが低い。回路遮断器2Aの高さとは、端子カバー1Aの回路遮断器2Aへの取付方向の長さであり、上下方向の長さである。
【0052】
図18および図19に示すように、端子カバー1Aは、筐体3および弾性導体部4に代えて、筐体3Aおよび弾性導体部4Aを備える点で、端子カバー1と異なる。筐体3は、導体取付部33に代えて、導体取付部33Aを備える点で、筐体3と異なる。
【0053】
導体取付部33Aは、弾性導体部4が取り付けられる形状に代えて、弾性導体部4Aが取り付けられる形状を有する点で、導体取付部33と異なる。導体取付部33Aは、導電性バネ41と導電性ピン42とを備える点で、導電性ピン42を有しない導体取付部33と異なる。
【0054】
導体取付部33Aは、内部に導電性バネ41を収納しており、導体取付部33Aの内部において導電性バネ41の先端に導電性ピン42の基端が取り付けられている。そして、導電性ピン42は、導体取付部33Aの内部から外部に向けて突出している。
【0055】
導電性バネ41は、基端が計測基板7に電気的に接続される。導電性バネ41は、端子カバー1Aが回路遮断器2Aに取り付けられていない状態で、導電性ピン42を下方向に付勢している。これにより、導電性ピン42は、図19に示すように端子カバー1Aが回路遮断器2Aに取り付けられた状態で、回路遮断器2Aの端子部20に圧接される。
【0056】
端子カバー1Aは、端子カバー1と同様に、2つの係合爪53a,53bを有する係合子52を端子部20毎に有する係合部5を有しており、図19に示すように、2つの係合爪53a,53bのうち下方の係合爪53bが回路遮断器2Aの係合段差26と係合する。
【0057】
図20は、実施の形態2にかかる回路遮断器に取り付けられた端子カバーの係合解除ボタンが押し込まれた状態を示す断面図であり、図13に示すXIV-XIV線に沿った断面図に相当する図である。図21は、図20に示すY領域の拡大図である。
【0058】
図21に示すように、係合爪53aと係合爪53bとは、弾性導体部4Aの延伸方向である上下方向における位置が異なる。また、係合爪53aの高さH1は、係合爪53bの高さH2よりも高い。高さH1,H2は、弾性導体部4Aの延伸方向と直交する方向の長さである。
【0059】
回路遮断器2Aに取り付けられた端子カバー1Aの係合解除ボタン6が押し込まれた場合、図20に示すように、端子カバー1Aの係合爪53bと回路遮断器2Aの係合段差26との係合が解除される。係合爪53bと係合段差26との係合が解除されると、弾性導体部4Aの反力によって回路遮断器2Aから端子カバー1Aが取り外される方向に移動し、係合爪53bが係合段差26との係合位置から外れた位置になる。
【0060】
そのため、係合解除ボタン6の押し込みが解除された後においても、端子カバー1Aと回路遮断器2Aとの係合が解除された状態が維持される。これにより、回路遮断器2Aから端子カバー1Aを容易に取り外すことができる。
【0061】
また、上述したように、上方の係合爪53aの高さH1は、下方の係合爪53bの高さH2よりも高いことから、実施の形態1にかかる回路遮断器2に端子カバー1Aを取り付けた場合に、下方の係合爪53bが、回路遮断器2からの端子カバー1Aの取り外しを阻害しない。図22は、実施の形態2にかかる端子カバーを実施の形態1にかかる回路遮断器に取り付けた後に回路遮断器から取り外す様子を示す一部拡大断面図である。
【0062】
図22に示すように、上方の係合爪53aの高さH1は、下方の係合爪53bの高さH2よりも高いことから、回路遮断器2から端子カバー1Aを取り外す過程で、係合爪53aが隔壁24に摺動するが、係合爪53bは、隔壁24から離れた位置にある。そのため、回路遮断器2から端子カバー1Aを取り外す過程で、係合爪53bは、係合段差26と係合しない。
【0063】
一方、上方の係合爪53aの高さH1よりも下方の係合爪53bの高さH2が高い場合、回路遮断器2から端子カバー1Aを取り外す過程で、係合爪53bが係合段差26と係合してしまい、回路遮断器2からの端子カバー1Aを取り外すことが難しくなる。
【0064】
このように、端子カバー1Aは、上方の係合爪53aの高さH1よりも下方の係合爪53bの高さH2が高いことから、係合段差26の位置が異なる回路遮断器2,2Aに取り外し容易に取り付けることができる。このことは、端子カバー1についても同様である。
【0065】
なお、端子カバー1,1Aは、2つの係合爪53a,53bを有する構成であるが、係合爪53の数は3つ以上であってもよい。この場合、3つ以上の係合爪53は、下方の係合爪53ほど高さが低い。また、端子カバー1,1Aは、複数の係合爪53の高さが同一であってもよい。
【0066】
以上のように、実施の形態2にかかる端子カバー1Aの弾性導体部4Aは、導電性バネ41と、導電性バネ41の先端に取り付けられ、端子部20に圧接される導電性ピン42とを備える。これにより、端子カバー1Aの弾性導体部4Aは、導電性バネ41を直接端子部20に圧接させることなく、端子部20に接触することができる。
【0067】
また、実施の形態1,2にかかる端子カバー1,1Aの係合子52は、弾性導体部4,4Aの延伸方向における位置が異なる複数の係合爪53a,53bを有する。これにより、端子カバー1,1Aは、係合箇所の高さ位置が異なる回路遮断器2,2Aに取り付けることができる。
【0068】
複数の係合爪53a,53bは、弾性導体部4,4Aの延伸方向における位置が端子部20に近い係合爪53bほど高さが低い。端子カバー1,1Aは、係合箇所の高さ位置が異なる回路遮断器2,2Aからより適切に取り外すことができる。
【0069】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1,1A 端子カバー、2,2A 回路遮断器、3,3A,23 筐体、4,4A 弾性導体部、5 係合部、6 係合解除ボタン、7 計測基板、8,9 バネ、20 端子部、21 ネジ端子、22 端子ネジ、24,31 隔壁、25 係合溝、26 係合段差、32 係合リブ、33,33A 導体取付部、33a 取付穴、34 基板収納部、41 導電性バネ、42 導電性ピン、51 スライドバー、52 係合子、53,53a,53b 係合爪、54 受圧部、54a 受圧面、26a,55a,55b 当接面、56a,56b テーパ面、61 操作面、62 押圧面。
図1
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