(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】定着パッド
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241011BHJP
【FI】
G03G15/20 515
(21)【出願番号】P 2021106759
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 幸宗
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018161(JP,A)
【文献】特開2000-194210(JP,A)
【文献】特開2011-191691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー定着装置において、加圧ローラに対向して配置される定着パッドであって、
均熱部材と、前記均熱部材の少なくとも前記加圧ローラ側に設けられた摺動部材と、前記均熱部材を支持する支持部材と、前記均熱部材と前記支持部材との間に配置された発泡樹脂層
(ただし、間欠配備を除く)とを備える定着パッド。
【請求項2】
前記発泡樹脂層が、シリコーンゴムスポンジ又はウレタンゴムスポンジである請求項1記載の定着パッド。
【請求項3】
前記シリコーンゴムスポンジの比重が、0.7以上1.1以下である請求項
2記載の定着パッド。
【請求項4】
前記摺動部材が、フッ素繊維である請求項1から3いずれか1項記載の定着パッド。
【請求項5】
前記均熱部材が、銅、ステンレス鋼、又は真鍮からなる請求項1から4いずれか1項記載の定着パッド。
【請求項6】
前記均熱部材の長手方向に垂直な断面が、U字状である請求項1から5いずれか1項記載の定着パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、記録媒体上に転写されたトナーを、加圧と同時に加熱することにより、記録媒体にトナーを定着させる定着装置が装備されている。従来、定着装置は、定着ローラに巻き掛けられた無端ベルトを加熱し、その定着ローラと対抗する加圧ローラとの間で、トナーが転写された記録媒体を圧接し、トナーを熱溶融させることによって、トナーを定着させていた。
近年、定着ローラの代わりに、定着パッドを用いて、定着パッドと加圧ローラとの間に掛けられた定着ベルトを介して定着を行う定着装置が注目されている。例えば、特許文献1には、基板の表面に摺動部材としてフッ素繊維を巻いた定着パッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定着装置においては、定着パッドが加熱手段によって温められることにより、定着パッドに巻き掛けられた定着ベルトに熱が伝えられる。しかしながら、定着パッドの部品は熱伝導率の良い材料からなるため、定着パッドから支持部材側への熱損失が生じやすく、ウォームアップ時間が長くなるという問題がある。ウォームアップ時間が長くなると、消費電力が大きくなるうえ、近年の画像形成装置に高速化への対応が難しくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱損失が抑えられた定着パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、トナー定着装置において、加圧ローラに対向して配置される定着パッドであって、均熱部材と、均熱部材の少なくとも加圧ローラ側に設けられた摺動部材と、均熱部材を支持する支持部材と、均熱部材と支持部材との間に配置された発泡樹脂層とを備える定着パッドである。
【0006】
発泡樹脂層は、シリコーンゴムスポンジ又はウレタンゴムスポンジであることが好ましい。
【0007】
シリコーンゴムスポンジの比重は、0.7以上1.1以下であることが好ましい。
【0008】
摺動部材は、フッ素繊維であることが好ましい。
【0009】
均熱部材は、銅、ステンレス鋼、又は真鍮からなることが好ましい。
【0010】
均熱部材の長手方向に垂直な断面は、U字状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の定着パッドによれば、熱損失が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の定着パッドの一実施形態を示す概略断面図である。
【
図2】本発明の定着パッドを備えたトナー定着装置の概略断面図である。
【
図3】本発明の定着パッドを備えた画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【
図4】実施例及び比較例の温度上昇比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に何ら限定されるものではない。
【0014】
[定着パッド]
本発明は、トナー定着装置20(
図2参照)における、加圧ロール23と対向して配置される定着パッド10である。
定着パッドの一実施形態について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、定着パッド10は、均熱部材11と、均熱部材11の少なくとも加圧ローラ23側に設けられた摺動部材13と、均熱部材11を支持する支持部材15と、均熱部材11と支持部材15との間に配置された発泡樹脂層14とを備える。
以下、各構成の詳細を説明する。
【0015】
(均熱部材)
均熱部材11は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)、銅、鉄、ステンレス鋼、真鍮、硫黄快削鋼(SUM)、及びこれらの金属の表面にニッケル、亜鉛めっきを施したものを用いることができる。熱伝導性の観点から、アルミニウム、銅が好ましい。
均熱部材11は、1つの材質で構成されていてもよく、2以上の材質から構成されていてもよい。また、均熱部材11は、積層構造を有していてもよい。
【0016】
本実施形態の均熱部材11においては、
図2に示すように、加圧ローラ23との間でニップを形成する領域は平坦であって、長手方向Yに垂直な断面(X方向の断面)がU字状である。均熱部材11がU字状であることにより、定着ベルトが、定着パッド10の角に引っ掛かることなく良好に摺動することができる。均熱部材11は厳密なU字状に限らず、弧状であってもよい。
【0017】
均熱部材11の長手方向(加圧ローラの軸方向Yに平行な方向)の長さは、特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してよい。例えば、一態様において、均熱部材11の長手方向の長さは200mm以上400mm以下が好ましく、250mm以上370mm以下がより好ましい。
【0018】
均熱部材11の短手方向Xの長さは、特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してよい。例えば、均熱部材11の短手方向Xの長さは、8mm以上30mm以下であることが好ましく、15mm以上25mm以下であることがより好ましい。
【0019】
均熱部材11の厚さは、強度と熱伝導性の観点から、0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.3mm以上0.6mm以下であることがより好ましい。
【0020】
(摺動部材)
摺動部材13は、フッ素繊維を含む、少なくとも1枚の織物又は編物からなるものが好ましい。平滑性を長期に亘って維持する観点から、織物がより好ましい。フッ素繊維の織物の織り方としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられる。
フッ素繊維としては、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリフルオルエチレン繊維が好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンの材料としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマー、又は全体の90モル%以上、好ましくは95モル%以上がテトラフルオロエチレンであるコポリマーが挙げられる。上記テトラフルオロエチレンに共重合可能な単量体としては、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのフッ化ビニル化合物やさらにプロピレン、エチレン、イソブチレン、スチレン、アクリロニトリルなどのビニル化合物が挙げられる。摺動面の低摩擦化の観点からテトラフルオロエチレン単位の含有量は多い方が好ましく、ホモポリマーであることがより好ましい。
【0021】
フッ素繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸のいずれもであってもよい。モノフィラメントまたはマルチフィラメントからなる繊維の総繊度としては、50~2000dtexが好ましく、さらに好ましくは100~1000dtexの範囲内であることが好ましい。繊維の総繊度が50dtex以上であると繊維の強力が強くなり、糸切れに対する抵抗性が増す。2000dtex以下であれば繊維を並列配置させたときの表面の凹凸が少ないので、摺動性への影響がなく、かつ、柔軟性が高いので摺動部材の形状に沿いやすくなる。
【0022】
摺動部材13の摺動面13aの表面粗さRaは、表面粗さRaは、0.5μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
表面粗さRaの測定方法は、以下のとおりである。
測定機器:表面粗さ形状測定機(型番:SURFCOM 1400D-3DF)
パラメータ算出規格:JIS-’01規格
カットオフ種別:ガウシアン
測定長さ:20.0mm
測定速度:0.3mm/sec
【0023】
摺動面13aの表面粗さRaが、上記範囲であると、織物又は編物でありながら、摺動面13aを平滑なものとすることができ、定着ベルトへの熱伝導が良好に行われるため、高品質な画像を得ることができる。
【0024】
摺動部材13は、上記の織物又は編物をからなる摺動部材13を熱プレス加工、冷間プレス加工したものであることが好ましい。熱プレス加工は、公知の熱プレス加工機で行うことができる。加熱温度は、摺動部材13の材質にもよるが、100℃以上200℃以下であることが好ましい。圧力は、摺動部材13の材質及び所望の厚さによるが、2MPa以上10MPa以下であることが好ましい。
摺動部材13に熱プレス加工等がされていることにより、より平滑な摺動面13aを得ることができ、高品質な画像を得ることができる。
【0025】
摺動部材13の厚さは、300μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0026】
(接着剤)
摺動部材13と均熱部材11とは、接着剤12により、又は摺動部材を巻くことにより固定されていることが好ましい。
接着剤12は、摺動部材13と均熱部材11とを良好に接着させる観点から、シリコーンゴム接着剤であることが好ましい。シリコーンゴム接着剤としては一液硬化型ゴムが好ましく、一液型液状シリコーンゴム、一液型シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
市販のものとしては、KE-1880(信越化学工業株式会社製)、KE-1833(信越化学工業株式会社製)、TSE322(モメンティブジャパン製)が挙げられる。
【0027】
(発泡樹脂層)
均熱部材11と支持部材15との間には、発泡樹脂層14が配置されている。
発泡樹脂層14は、シリコーンゴムスポンジ又はウレタンゴムスポンジであることが好ましい。
【0028】
発泡樹脂層14の熱伝導率は、0.17W/mK以上0.25W/mK以下であることが好ましく、0.18W/mK以上0.2W/mK以下であることがより好ましい。熱伝導率が上記範囲であることにより、均熱部材11から支持部材15への熱拡散を良好に防止することができる。
熱伝導率は、以下の方法により測定した値とする。
厚さ6.0mmの発泡樹脂層14を、160mm×60mmの大きさにカットして試料を作製する。この試料を、熱計測機器(商品名「QTM-500、京都電子工業製)を用いて、測定電流値2.0A、測定時間60秒で、熱伝導率を測定する。
【0029】
発泡樹脂層14の比重は、0.7以上1.1以下であることが好ましく、0.8以上1.0以下であることがより好ましい。発泡樹脂層14の比重が、0.7以上であることにより、均熱部材11から支持部材15への熱拡散を防止することができる。また、発泡樹脂層14の比重が、1.1以下であることにより、支持部材内の温度の急上昇を防ぐことが出来る。
【0030】
発泡樹脂層14の厚さは、1.0mm以上3.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以上2.5mm以下であることがより好ましい。発泡樹脂層14の厚さが1.0mm以上であることにより、均熱部材11から支持部材15側への熱拡散を防止することができる。また、厚さが、3.0mm以下であることにより、加圧を安定して行うことができる。
【0031】
定着パッドが、発泡樹脂層を有することにより、均熱部材11から支持部材15側への熱拡散を防止することができる。このため、定着パッド10のウォームアップ時間を短くすることができ、消費エネルギーの節約を実現することができる。
【0032】
(定着パッドの作製方法)
摺動部材13としてフッ素繊維を用いた定着パッドは、例えば、以下のように作製することができる。
まず、均熱部材11の摺動部材13を接着する面11aをアルコール等で清掃する。
次に、均熱部材11の大きさより大きく裁断した摺動部材13を作業台に載置し、その上に、バーコーター、スキージー等により、接着剤12を塗布する。
そして、接着剤12が塗布された摺動部材13と、その上に配置された均熱部材11とを、均熱部材11と同型の金型に設置して、加熱及び加圧しながら接着剤12を硬化させる。その後、余分な摺動部材13を切除する。
【0033】
接着剤12を硬化させるための加熱温度は、摺動部材13の材質及び厚さによるが、100℃以上200℃以下であることが好ましい。圧力は、摺動材料の材質及び所望の厚さによるが、2MPa以上10MPa以下であることが好ましい。
【0034】
均熱部材11の摺動部材13を接着する面11aに、接着剤12を塗布する前に、プライマーを塗布してプライマー層を設けてもよい。これにより、均熱部材11と接着剤12の接着がより強固となる。プライマーとしては、NO.33(信越化学工業株式会社製)又はNO.31(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0035】
次に、均熱部材11に発泡樹脂層14を配置して、上から支持部材15を固定する。発泡樹脂層14、均熱部材11、及び支持部材15は、互いに接着剤で固定してもよい。このとき、発泡樹脂層14は、均熱部材11より軸方向に若干大きめにカットして、均熱部材11に押し付けるようにして接着剤で固定することが好ましい。また、接着剤で固定しない場合は、均熱部材11と支持部材15とを嵌合することにより、間に発泡樹脂層14を挟持してもよい。
【0036】
[トナー定着装置]
本発明の定着パッド10は、
図2に示すように、画像形成装置のトナー定着装置20に用いられる。
定着パッド10は、加圧ローラ23と対向して配置され、所定のニップ幅で互いに圧接されている。加圧ローラ23は、軸体24の外周に弾性体25及び被覆層26を備え、駆動手段(不図示)によって回転駆動する。定着パッド10には定着ベルト21が巻き掛けられており、加圧ローラ23が回転することで、定着ベルト21は従動回転する。
定着パッド10は加熱装置(不図示)に接続されており、加熱装置によって定着パッド10の摺動面13aが加熱されることで、定着ベルト21が加熱される。加圧ローラも、また加熱手段によって加熱されている。定着ベルト21及び加圧ローラ23が加熱された状態で、定着ベルト21と加圧ローラ23との間に現像剤42が転写された記録媒体36が搬送されて圧接されると、現像剤42が加熱及び加圧されることにより、記録媒体36に定着される。
【0037】
[画像形成装置]
次に、本発明の像担持体用クリーニングローラを備えた画像形成装置の一実施形態について
図3を参照して説明する。
【0038】
図3に示すように、画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、像担持体31の周囲に配置された、帯電ローラ32、露光手段33、現像手段40、転写ローラ34、像担持体用クリーニングローラ35、記録媒体36の搬送方向下流側にトナー定着装置20を備えている。トナー定着装置20は、上記したように、加圧ローラ、加圧ローラと対向して配置された定着パッド10、加熱装置、定着ベルト(無端ベルト)21を備えている。加圧ローラ23にも加熱装置(不図示)が接続されている。
現像手段40は、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44と、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43と、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。現像剤42は、一成分系の現像剤であれば、乾式現像剤であっても湿式現像剤であってもよく、また、非磁性現像剤であっても磁性現像剤であってもよい。
【0039】
トナー定着装置20は、記録体36を通過させる開口28を有する筐体27内に、定着パッド10と、無端ベルト21と、定着パッド10と対向して配置された加圧ローラ23とを備え、無端ベルト21を介して定着パッド10と加圧ローラ23とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。
【0040】
画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、帯電ローラ32により像担持体31が一様に帯電され、露光手段33により像担持体31の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段40から現像剤42が像担持体31に供給され、静電潜像が現像される。次いで、現像剤像は像担持体31と転写ローラ34との間に搬送される記録媒体36上に転写される。この記録媒体36はトナー定着装置20に搬送され、現像剤像が永久画像として記録媒体36に定着される。このようにして、記録媒体36に画像を形成することができる。現像剤像が転写された後の像担持体31は、帯電ローラ32の上流側に配設された像担持体用クリーニングローラ35によって、外周面に付着又は残存する現像剤が除去される。
【0041】
本実施形態の画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、像担持体に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上像形成装置、各色の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【0042】
また、画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。
【0043】
この発明に係る画像形成装置30は、上記実施形態に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、画像形成装置として、各種の画像形成装置が挙げられ、高速で画像を形成できる画像形成装置が好適に挙げられる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
下記の材料と手順により、
図1に示す定着パッドを作製した。
支持部材: SUS304
均熱部材:銅板(厚さ400μm)
発泡樹脂層:シリコーンゴムスポンジ(厚さ1.6mm、熱伝導率0.195W/mK、比重0.988、JIS A硬度15Hs)
フッ素繊維:厚さ500μm
接着剤:絶縁接着剤(商品名「TSE322」、モメンティブジャパン社製)
まず、均熱部材の加圧ローラ側にフッ素繊維を接着剤で接着した、次に、均熱部材の凹部、すなわちフッ素繊維を設けた側とは反対側にシリコーンゴムスポンジを接着剤で固定した。さらに、シリコーンゴムスポンジの上に指示部材を接着剤で固定し、定着パッドを作製した。
【0046】
[比較例1]
シリコーンゴムスポンジを設けなかったこと以外は、実施例1と同様に定着パッドを作製した。
【0047】
上記実施例1と比較例1について、定着パッドの温度上昇を以下の方法で評価した。
[評価]
定着パッドの摺動面を下にして200℃のホットプレート上に設置した。
そして、実施例1については、支持部材と発泡樹脂層の間の、定着パッドの長さ方向の両端及び中央の3か所に熱電対を配置し、KEYENCE製 NR-600にて、5秒置きに3か所の温度を測定し、その平均値を定着パッドの温度とした。
比較例1については、熱電対を支持部部材と均熱部材の間に配置した以外は、実施例と同様に温度測定を実施した。
評価結果を
図4に示す。
【0048】
図4に示すように、支持部材と銅板の間にシリコーンゴムスポンジを設けた実施例は、温度上昇が緩やかである。すなわち、摺動面の熱が支持部材側へ放出されにくいことを示しており、熱損失が抑えられていることがわかる。
一方、比較例は、シリコーンゴムスポンジを設けていないため、支持部材側の熱が急激に上昇しており、摺動面から熱が支持部材側を放出されて熱損失が大きいことがわかる。
【符号の説明】
【0049】
10 定着パッド
11 均熱部材
11a (均熱部材の)摺動部材を接着する面
12 接着剤
13 摺動部材
13a 摺動面
14 発泡樹脂層
15 支持部材
20 トナー定着装置
21 定着ベルト
23 加圧ローラ
24 軸体
25 弾性体
26 被覆層
27 筐体
28 開口
30 画像形成装置
31 像担持体
32 帯電ローラ
33 露光手段
34 転写ローラ
35 像担持体用クリーニングローラ
36 記録媒体
40 現像手段
42 現像剤
43 現像剤供給手段
44 現像剤担持体
45 現像剤規制部材