(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】保護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20241011BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241011BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241011BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241011BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01H37/76 F
(21)【出願番号】P 2021118067
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】植田 友成
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 明
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-172399(JP,A)
【文献】特開2021-077589(JP,A)
【文献】特開2011-036014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 7/10-7/20
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00-87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、
1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリとその外部端子との間の電流回路に
実装されるものであり、前記電流回路に電気的に接続され
るヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを
内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記電流回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記電流回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではない保護回路。
【請求項2】
前記信号制御部は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを切り替えて前記保護素子の動作を制御する請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記信号制御部は、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させ、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させる請求項1または請求項2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記発熱抵抗体の内部抵抗値をR1、前記保護素子の定格電圧値をV1、前記セルまたは前記バッテリの
通常時の電圧
範囲をV2とするとき、前記第2のスイッチング素子に付加
されている前記抵抗素子の電気抵抗値R2
が、R2={R1×(V2ーV1)}/V1
を満たすように設定されている請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の保護回路。
【請求項5】
二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、
1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリの充放電回路に実装されるものであり、前記充放電回路に電気的に接続されるヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではない充放電装置。
【請求項6】
前記信号制御部は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを切り替えて前記保護素子の動作を制御する請求項5に記載の充放電装置。
【請求項7】
前記信号制御部は、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させ、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させる請求項5または請求項6に記載の充放電装置。
【請求項8】
前記発熱抵抗体の内部抵抗値をR1、前記保護素子の定格電圧値をV1、前記セルまたは前記バッテリの
通常時の電圧
範囲をV2とするとき、前記第2のスイッチング素子に付加
されている前記抵抗素子の電気抵抗値R2は、R2={R1×(V2ーV1)}/V1
を満たすように設定されている請求項5ないし請求項7の何れか1つに記載の充放電装置。
【請求項9】
二次電池のバッテリパックであって、
1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリの充放電回路に実装されるものであり、前記充放電回路に電気的に接続されるヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではないバッテリパック。
【請求項10】
前記信号制御部は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを切り替えて前記保護素子の動作を制御する請求項9に記載のバッテリパック。
【請求項11】
前記信号制御部は、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させ、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させる請求項9または請求項10に記載のバッテリパック。
【請求項12】
前記発熱抵抗体の内部抵抗値をR1、前記保護素子の定格電圧値をV1、前記セルまたは前記バッテリの
通常時の電圧
範囲をV2とするとき、前記第2のスイッチング素子に付加
されている前記抵抗素子の電気抵抗値R2は、R2={R1×(V2ーV1)}/V1
を満たすように設定されている請求項9ないし請求項11の何れか1つに記載のバッテリパック。
【請求項13】
二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、
1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
前記バッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、
前記バッテリパックと着脱自在に接続されて、前記バッテリパックを充電または前記バッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、
前記バッテリパックは、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリの充放電回路に実装されるものであり、前記充放電回路に電気的に接続されるヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではない電気機器。
【請求項14】
前記信号制御部は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを切り替えて前記保護素子の動作を制御する請求項13に記載の電気機器。
【請求項15】
前記信号制御部は、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させ、前記セルまたは前記バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して前記発熱抵抗体を通電発熱させて前記保護素子の前記ヒューズエレメントを溶断させる請求項13または請求項14に記載の電気機器。
【請求項16】
前記発熱抵抗体の内部抵抗値をR1、前記保護素子の定格電圧値をV1、前記セルまたは前記バッテリの
通常時の電圧
範囲をV2とするとき、前記第2のスイッチング素子に付加
されている前記抵抗素子の電気抵抗値R2は、R2={R1×(V2ーV1)}/V1
を満たすように設定されている請求項13ないし請求項15の何れか1つに記載の電気機器。
【請求項17】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリとその外部端子との間の電流回路に
実装されるものであり、前記電流回路に電気的に接続され
るヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを
内蔵する保護素子と、
前記電流回路に前記保護素子を介して接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記電流回路に前記保護素子を介して接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではなく、
前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させる保護回路。
【請求項18】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリの充放電回路に実装されるものであり、前記充放電回路に電気的に接続されるヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではなく、
前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させる充放電装置。
【請求項19】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリの充放電回路に実装されるものであり、前記充放電回路に電気的に接続されるヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではなく、
前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させるバッテリパック。
【請求項20】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、
前記バッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、
前記バッテリパックと着脱自在に接続されて、前記バッテリパックを充電または前記バッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、
前記バッテリパックは、
前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、
前記セルまたは前記バッテリの充放電回路に実装されるものであり、前記充放電回路に電気的に接続されるヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを内蔵する保護素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、
前記保護素子を介して前記充放電回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有
し、前記抵抗素子が前記保護素子に内蔵されたものではなく、
前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させる電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱抵抗体とヒューズエレメントを有する保護素子を備えたバッテリパックの保護装置、保護回路およびバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は携帯電話のように単電池使用でも必ず安全確保のための保護回路(Safety Unit)とセットでケース内に組み込んだバッテリパックの形態で製品化されている。リチウムイオン電池は単電池だけでは実用上の安全性確保が難しいからである。リチウムイオン電池の安全性の特徴は過充電と過熱に弱いことがあげられる。このため、バッテリパックは、電池と安全性確保のための保護回路、保護素子、ヒューズ等をセットにしてプラスチックケース等の外装缶に収納したものとなっており、電圧、電流、温度等を検知しながら充放電制御システム(バッテリマネージメントシステム,BMS)によって電池の充放電は制御されている。
【0003】
ノートパソコンなどに搭載されるリチウムイオン電池は、複数の単電池セルを接続して構成されたバッテリパックからなっている。近年、ノートバソコン搭載のリチウムイオン電池の発火事故もあり、過充電に対する二重の保護の必要性からリチウムイオン電池のバッテリパックにはセカンドプロテクションの搭載が一般的(必須)となっている。このセカンドプロテクションの保護方法は、SCP(セルフコントロールプロテクタ)と呼ばれる保護素子(ヒューズ)によって充放電経路を不可逆的に遮断する方法が用いられる。つまり、電池と直列に接続された保護素子をセカンドプロテクションICの制御によって動作させることで、電池が異常な状態で充放電されるときに電流を遮断するようになっている。保護素子には発熱抵抗体が内蔵されており、電池が基準値を超えて過充電されたときは、セカンドプロテクションICにより発熱抵抗体に通電して低融点金属のヒューズエレメントを短時間で加熱溶断させる。また、保護素子は電池の異常電流によっても動作でき、そのときは過電流のジュール熱によってヒューズエレメントが溶断する。(特許文献1参照)上記保護素子はバッテリパックの保護回路に接続されており、各セルの電圧をモニタするセカンドプロテクションICとFETなどの制御素子によってヒューズエレメントの動作は制御されている。例えば、特許文献2に記載のバッテリパックの充放電制御回路に利用された保護素子は、バッテリパックの過電流および周囲温度の上昇に感応するか、または所定条件で発熱抵抗体に通電することによって強制的にヒューズを作動させ電気回路を遮断する。すなわち、該保護素子は、機器の安全を図るために、保護回路が機器に生ずる異常を検知すると信号電流により抵抗素子を発熱させ、その発熱で可溶合金からなるヒューズエレメント(ヒューズ素子とも言う)を溶断させて回路を遮断するか、あるいは過電流によってヒューズエレメントを溶断させて回路を遮断できる。
【0004】
従来のバッテリパックの保護機構は、例えば充電電圧が8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが過充電と判断し、FETを経由して保護素子の発熱抵抗体を加熱しヒューズ素子を動作させていた。したがって、従来の方式では比較的狭い電圧レンジからなる単一電圧範囲によって過充電または過放電の保護を行っていた。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-228379号公報
【文献】特開2012-231649号公報
【文献】特開2018-060659号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明によると、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリ(組電池)と、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続されたヒューズエレメントと同ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを有する保護素子と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体と信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体と信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、第2のスイッチング素子は、さらに前記発熱抵抗体に接続した抵抗素子を有する保護回路が提案される。
【0007】
本発明に係る保護回路はバッテリパックの充放電装置に適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する充放電装置が提供される。
【0008】
本発明に係る保護回路または充放電装置はバッテリパックに適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントが充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を設けた充放電回路を有するバッテリパックが提供される。
【0009】
本発明に係るバッテリパックはモバイル機器などコードレス電気機器に使用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、このバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、バッテリパックを充電またはバッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、バッテリパックは、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する電気機器が提供される。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、比較的簡素な構成で、所定の電圧範囲を有する複数の電圧チャンネルを有し、リチウムイオン電池の過充電ないし過放電からバッテリパックを保護するセカンドプロテクション回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と放電から保護する保護回路であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリ(組電池)と、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続されたヒューズエレメントと同ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを有する保護素子と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体と信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体と信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、第2のスイッチング素子は、さらに前記発熱抵抗体に接続した抵抗素子を有する保護回路が提案される。
【0012】
前記保護回路の信号制御部は、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させる。例えば、第一の電圧範囲を8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、放電電圧が8.4Vを下回ったときに、セカンドプロテクションICが第1のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させ、第二の電圧範囲を19.2~43.3Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが第2のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させることができる。
【0013】
本発明において保護素子の発熱抵抗体の内部抵抗値をR1、保護素子の定格電圧値をV1、セルまたはバッテリ(組電池)の電圧をV2とするとき、第2のスイッチング素子に付加する抵抗素子の電気抵抗値R2は、R2={R1×(V2ーV1)}/V1とするのが好ましい。例えば、保護素子の内部抵抗値R1を31Ω、保護素子の電圧範囲V1を33.0~46.9V、バッテリ(組電池)の電圧範囲V2を33.6~51.0Vとするとき、第2のスイッチング素子に付加する抵抗素子の電気抵抗値R2を10Ωとすることで、セカンドプロテクションICは、保護素子の動作を電池電圧が第一の電圧範囲33.6~46.9Vのときは、第1のスイッチング素子を用いて制御し、電池電圧が第二の電圧範囲47~51.0Vのときは、第2のスイッチング素子に切り替えて制御することが可能となる。
【0014】
本発明に係るスイッチング素子は、電界効果トランジスタ(FET)、MOSFETなどのスイッチングトランジスタまたは該スイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成される。
【0015】
本発明に係る保護回路はバッテリパックの充放電装置に適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する充放電装置が提供される。
【0016】
前記充放電装置の信号制御部は、セルまたはバッテリの所定電圧範囲に応じて第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させる。例えば、第一の電圧範囲を8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、放電電圧が8.4Vを下回ったときに、セカンドプロテクションICが第1のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させ、第二の電圧範囲を19.2~43.3Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが第2のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させることができる。
【0017】
本発明に係る保護回路または充放電装置はバッテリパックに適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントが充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を設けた充放電回路を有するバッテリパックが提供される。
【0018】
前記バッテリパックの信号制御部は、セルまたはバッテリの所定電圧範囲に応じて第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントが溶断し、バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントが溶断する。
【0019】
本発明に係るバッテリパックはモバイル機器などコードレス電気機器に使用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、このバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、バッテリパックを充電またはバッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、バッテリパックは、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する電気機器が提供される。
【0020】
前記電気機器の信号制御部は、セルまたはバッテリの所定電圧範囲に応じて第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、バッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させる。
【0021】
上述した各発明によると、セルまたはバッテリの電圧値が第一の所定電圧を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、セルまたはバッテリの電圧値が第二の所定電圧を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させることができる。所定のスイッチング素子に所望の抵抗素子を配置することで、所望の電圧値に応じた複数の電圧チャンネルを切り替えて保護素子の溶断制御ができる。これにより保護素子に搭載する抵抗体の耐性を超えることなく、より高い電圧値での使用が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、バッテリパックの保護装置における保護素子の溶断制御の多重制御手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る保護回路10を示した図である。
【
図2】本発明に係る保護回路20を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によると、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリ(組電池)と、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続されたヒューズエレメントと同ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを有する保護素子と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体と信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、セルまたはバッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体と信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、第2のスイッチング素子は、さらに前記発熱抵抗体に接続した抵抗素子を有する保護回路が提供される。
【0025】
前記保護回路の信号制御部は、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、セルまたはバッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させる。例えば、第一の電圧範囲を8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、放電電圧が8.4Vを下回ったときに、セカンドプロテクションICが第1のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させ、第二の電圧範囲を19.2~43.3Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが第2のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させることができる。
【0026】
本発明に係るスイッチング素子は、電界効果トランジスタ(FET)、MOSFETなどのスイッチングトランジスタまたは該スイッチング素子を含む保護回路モジュールから構成される。
【0027】
本発明に係る保護回路はバッテリパックの充放電装置に適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する充放電装置が提供される。
【0028】
前記充放電装置の信号制御部は、セルまたはバッテリの所定電圧範囲に応じて第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、セルまたはバッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させる。例えば、第一の電圧範囲を8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、放電電圧が8.4Vを下回ったときに、セカンドプロテクションICが第1のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させ、第二の電圧範囲を19.2~43.3Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが第2のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させることができる。
【0029】
本発明に係る保護回路または充放電装置はバッテリパックに適用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントが充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を設けた充放電回路を有するバッテリパックが提供される。
【0030】
前記バッテリパックの信号制御部は、セルまたはバッテリの所定電圧範囲に応じて第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントが溶断し、セルまたはバッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントが溶断する。
【0031】
本発明に係るバッテリパックはモバイル機器などコードレス電気機器に使用される。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、このバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、バッテリパックを充電またはバッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、バッテリパックは、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する電気機器が提供される。
【0032】
前記電気機器の信号制御部は、セルまたはバッテリの所定電圧範囲に応じて第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とを切り替えて保護素子の動作を制御する。前記信号制御部は、セルまたはバッテリの電圧値が第一の電圧範囲を外れたときには、第1のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、セルまたはバッテリの電圧値が第二の電圧範囲を外れたときには、第2のスイッチング素子を経由して発熱抵抗体を通電発熱させて保護素子のヒューズエレメントを溶断させる。
【0033】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、前記セルまたは前記バッテリとその外部端子との間の電流回路に接続されたヒューズエレメントと前記ヒューズエレメントに接続した発熱抵抗体とを有する保護素子と、前記セルまたは前記バッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第1のスイッチング素子と、前記セルまたは前記バッテリとその外部端子との間の電流回路に接続され、かつ前記発熱抵抗体と前記信号制御部とに接続した第2のスイッチング素子とを備え、前記第2のスイッチング素子は、さらに前記発熱抵抗体に接続した抵抗素子を有する保護回路であって、前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させる保護回路が提供される。
【0034】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、前記ヒューズエレメントが前記セルまたは前記バッテリの充放電回路と接続され、かつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する充放電装置であって、前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させる充放電装置が提供される。
【0035】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し前記ヒューズエレメントが充放電回路と接続されかつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、前記第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を設けた充放電回路を有するバッテリパックであって、前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させるバッテリパックが提供される。
【0036】
複数の二次電池のセルが接続されたバッテリと、前記バッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、前記バッテリパックと着脱自在に接続されて、前記バッテリパックを充電または前記バッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、前記バッテリパックは、前記セルまたは前記バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し前記ヒューズエレメントが前記セルまたは前記バッテリの充放電回路と接続されかつ前記発熱抵抗体が前記信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、前記第2のスイッチング素子は、前記発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する電気機器であって、前記バッテリの任意の1つ以上のセルの制御電圧範囲をV1とし、前記V1を外れたときには、前記第1のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させ、前記バッテリ全体の制御電圧範囲をV2とし、前記V2を外れたときには、前記第2のスイッチング素子を経由して保護素子のヒューズエレメントを溶断させる電気機器が提供される。
【実施例】
【0037】
実施例1の保護回路10は、
図1に示すように、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上の二次電池のセル11が直列接続されたバッテリ12と、バッテリ12の外部端子13および14に接続して電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部15と、バッテリ12と外部端子13との間の電流回路に直列に接続されたヒューズエレメント16とヒューズエレメント16に接続した発熱抵抗体17とを有する保護素子18と、バッテリ12と外部端子14との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体17と信号制御部15とに接続した第1のスイッチング素子19と、第1のスイッチング素子19と並列に接続された第2のスイッチング素子200とを備え、第2のスイッチング素子200は、発熱抵抗体17に直列接続した抵抗素子201を有し、信号制御部15によって、第1のスイッチング素子19と第2のスイッチング素子200とを切り替えて保護素子18の動作を制御する。例えば、第一の電圧範囲を8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、放電電圧が8.4Vを下回ったときに、セカンドプロテクションICが第1のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させ、第二の電圧範囲を19.2~43.3Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが第2のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させることができる。
【0038】
実施例2の保護回路20は、
図2に示すように、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを過充電と過熱から保護する保護回路であって、1以上の二次電池のセル21が直列接続されたバッテリ22と、セル21またはバッテリ22の外部端子23および外部端子24に接続して電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部25と、セル21またはバッテリ22と外部端子23との間の電流回路に直列に接続されたヒューズエレメント26とヒューズエレメント26に接続した発熱抵抗体27とを有する保護素子28と、セル21またはバッテリ22と外部端子24との間の電流回路に接続され、かつ発熱抵抗体27と信号制御部25とに接続した第1のスイッチング素子29と、第1のスイッチング素子29と並列に接続された第2のスイッチング素子300とを備え、第2のスイッチング素子300は、発熱抵抗体27に直列接続した抵抗素子301を有し、信号制御部25によって、第1のスイッチング素子29と第2のスイッチング素子300とを切り替て保護素子28の動作を制御する。例えば、第一の電圧範囲を8.4~19.1Vの範囲となるように電圧制御し、放電電圧が8.4Vを下回ったときに、セカンドプロテクションICが第1のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させ、第二の電圧範囲を19.2~43.3Vの範囲となるように電圧制御し、充電電圧が19.1Vを超えたときに、セカンドプロテクションICが第2のスイッチング素子をONとし、発熱抵抗体を発熱させて保護素子を動作させることができる。
【0039】
実施例3の充放電装置30は、実施例1の保護回路10を用いたバッテリパックの充放電装置である。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントがバッテリの充放電回路と接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する。
【0040】
実施例4の充放電装置40は、実施例2の保護回路20を用いたバッテリパックの充放電装置である。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックの充放電装置であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵し、ヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続され、かつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する。
【0041】
実施例5のバッテリパック50は、実施例3の充放電装置30を用いたバッテリパックである。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、バッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントが充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を設けた充放電回路を有する。
【0042】
実施例6のバッテリパック60は、実施例4の充放電装置40を用いたバッテリパックである。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックであって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントが充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を設けた充放電回路を有する。
【0043】
実施例7の電気機器70は、実施例5のバッテリパック50または実施例6のバッテリパック60を用いた電気機器である。すなわち、リチウムイオン電池など二次電池のバッテリパックを利用する電気機器であって、1以上の二次電池のセルが接続されたバッテリと、セルまたはバッテリの充放電を制御する保護回路または充放電装置を有するバッテリパックと、このバッテリパックと着脱自在に接続されて、バッテリパックを充電またはバッテリパックから電源供給を受けて駆動する機器本体とを有し、バッテリパックは、セルまたはバッテリの電圧に応じて制御信号を出力する信号制御部と、ヒューズエレメントと発熱抵抗体を内蔵しヒューズエレメントがセルまたはバッテリの充放電回路と接続されかつ発熱抵抗体が信号制御部に接続された第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子によって動作制御された保護素子とを備え、第2のスイッチング素子は、発熱抵抗体との通電経路に接続した抵抗素子を有する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、発熱抵抗体とヒューズエレメントを設けた保護素子を使用した電気・電子機器の保護回路に利用でき、特にバッテリパックなど2次電池の保護装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
保護回路10、セル11、バッテリ12、外部端子13および14、信号制御部15、ヒューズエレメント16、発熱抵抗体17、保護素子18、第1のスイッチング素子19、第2のスイッチング素子200、抵抗素子201、保護回路20、セル21、バッテリ22、外部端子23および24、信号制御部25、ヒューズエレメント26、発熱抵抗体27、保護素子28、第1のスイッチング素子29、第2のスイッチング素子300、抵抗素子301、充放電装置30、充放電装置40、バッテリパック50、バッテリパック60、電気機器70。