IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-燃料集合体 図1
  • 特許-燃料集合体 図2
  • 特許-燃料集合体 図3
  • 特許-燃料集合体 図4
  • 特許-燃料集合体 図5
  • 特許-燃料集合体 図6
  • 特許-燃料集合体 図7
  • 特許-燃料集合体 図8
  • 特許-燃料集合体 図9
  • 特許-燃料集合体 図10
  • 特許-燃料集合体 図11
  • 特許-燃料集合体 図12
  • 特許-燃料集合体 図13
  • 特許-燃料集合体 図14
  • 特許-燃料集合体 図15
  • 特許-燃料集合体 図16
  • 特許-燃料集合体 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】燃料集合体
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/30 20060101AFI20241011BHJP
   G21C 3/328 20060101ALI20241011BHJP
   G21C 3/33 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G21C3/30 100
G21C3/328 200
G21C3/33 800
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021118864
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014731
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 喬
(72)【発明者】
【氏名】中里 道
(72)【発明者】
【氏名】加内 雅之
(72)【発明者】
【氏名】浅野 耕司
(72)【発明者】
【氏名】左藤 大介
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-046292(JP,A)
【文献】特開昭63-061990(JP,A)
【文献】特開平02-006784(JP,A)
【文献】特開平08-201555(JP,A)
【文献】特表2007-512505(JP,A)
【文献】特許第2632726(JP,B2)
【文献】国際公開第2020/229288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/30
G21C 3/328
G21C 3/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ウランを含むウラン燃料が封入される複数のウラン燃料棒と、
ウラン-プルトニウム混合酸化物を含むPu燃料が封入される複数のPu燃料棒と、
内部に燃料が封入されない複数の案内管と、
前記ウラン燃料棒、前記Pu燃料棒及び案内管が、正方格子のそれぞれのセルに配列される支持体と、を備え、
前記ウラン燃料棒は、前記セルの角が接するセルの少なくとも1つに前記案内管が配置されるセルに配置される燃料集合体。
【請求項2】
前記支持体の中央を中心として、対称に、前記ウラン燃料棒および前記Pu燃料棒が配置される請求項1に記載の燃料集合体。
【請求項3】
前記案内管は、内部に制御棒が挿入される制御棒案内管を含む請求項1または請求項2に記載の燃料集合体。
【請求項4】
前記案内管は、制御棒が挿入される制御棒案内管と、前記支持体の中央に配置され、炉内計装器が挿入される炉内計装案内管と、を有し、
前記炉内計装案内管は、前記セルの角が接するセルの少なくとも1つに前記ウラン燃料棒が配置される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項5】
記支持体の中央に配置され、炉内計装器が挿入される炉内計装案内管を有し、
前記炉内計装案内管は、前記セルの面または角が接するセルのいずれにも前記ウラン燃料棒が配置されない請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項6】
前記ウラン燃料棒は、新燃料時にウラン-プルトニウム混合酸化物を含まない請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項7】
前記Pu燃料棒は、前記Pu燃料棒と前記ウラン燃料棒の合計の本数に対する割合が、60%以上である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントの一つとして、加圧水型原子炉を有するプラントがある。この加圧水型原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させるものであり、この蒸気をタービン発電機へ送って発電することができる。
【0003】
このような、原子炉では、安全に運転を行いつつ、より多くの出力を得るために、原子炉内の各部の好適な配置が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の種類の制御棒を用い、制御棒の配置を調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-84558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、燃料として、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を含む燃料棒(Pu燃料棒)を用いることが検討されている。炉心に用いる燃料棒を全てPu燃料棒に用いずに、Pu燃料棒とウラン燃料棒とを混合して配置することも検討されている。種類の異なる燃料棒を配置した燃料集合体を用いる場合も、安全に運転し、原子炉を停止することができると共に、効率よくエネルギーを取り出すことが求められる。
【0006】
本開示は、このような問題に鑑みてなされたものであり、燃料棒をより適切に配置した燃料集合体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための燃料集合体は、二酸化ウランを含むウラン燃料が封入される複数のウラン燃料棒と、ウラン-プルトニウム混合酸化物を含むPu燃料が封入される複数のPu燃料棒と、内部に燃料が封入されない複数の案内管と、前記ウラン燃料棒、前記Pu燃料棒及び案内管が、正方格子のそれぞれのセルに配列される支持体と、を備え、前記ウラン燃料棒は、前記セルの面または角が接するセルの少なくとも1つに前記案内管が配置されるセルに配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、Pu燃料棒とウラン燃料棒とを適切に配置することができ、原子炉を安全に停止するための能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、加圧水型原子炉を表す縦断面図である。
図2図2は、炉心を模式的に示す説明図である。
図3図3は、本実施形態に係る燃料集合体を模式的に表した構成図である。
図4図4は、燃料集合体を軸方向に直交する面で切ったときの断面図である。
図5図5は、本実施形態の燃料集合体の燃料棒の配置の一例を模式図である。
図6図6は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図7図7は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図8図8は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図9図9は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図10図10は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図11図11は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図12図12は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図13図13は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図14図14は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図15図15は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図16図16は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。
図17図17は、Pu燃料棒の割合と制御棒価値との関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る燃料集合体の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0011】
原子力発電プラントは、図示しないが、原子炉格納容器内に配置される原子炉及び蒸気発生器と、蒸気タービン発電設備とを有している。本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0012】
図1は、加圧水型原子炉を表す縦断面図である。図1に示すように、加圧水型原子炉10において、原子炉容器11は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体12とその上部に装着される原子炉容器蓋13により構成されており、この原子炉容器本体12に対して原子炉容器蓋13が複数のスタッドボルト14及びナット15により開閉可能に固定されている。
【0013】
原子炉容器本体12は、上部が開口し、下部が半球形状をなして閉塞された円筒形状をなしており、上部に一次冷却水(冷却材)としての軽水を供給する入口ノズル16と、軽水を排出する出口ノズル17が形成されている。原子炉容器本体12は、内部に炉心槽18が配置され、上部が原子炉容器本体12の内壁面に支持されている。上部炉心支持板19は、原子炉容器本体12の内部に配置され、上部が炉心槽18の上部に支持されている。上部炉心板20は、複数の炉心支持ロッド21により上部炉心支持板19に吊下げ支持されている。
【0014】
炉心槽18は、下方に下部炉心支持板22が支持され、下部炉心支持板22は、外周部が位置決め部材23により原子炉容器本体12の内壁面に位置決め支持されている。炉心槽18は、下部に下部炉心板24が支持されている。炉心25は、多数の燃料集合体26が配置されて構成されており、内部に多数の制御棒27が配置され、この制御棒27は、燃料集合体26に挿入可能となっている。上部炉心支持板19は、多数の制御棒クラスタ案内管28が固定され、内部に制御棒27が挿通可能となっている。原子炉容器蓋13は、半球形状をなし、制御棒駆動装置29が配置され、複数の制御棒クラスタ駆動軸30が制御棒クラスタ案内管28内に挿通され、下端部に制御棒27が連結されている。制御棒駆動装置29は、各制御棒27を炉心25に対して抜き差しすることで、原子炉出力を制御する。
【0015】
(炉心)
図2は、炉心を模式的に示す説明図である。図3は、本実施形態に係る燃料集合体を模式的に表した構成図である。図4は、燃料集合体を軸方向に直交する面で切ったときの断面図である。図2に示すように、原子炉には、炉心槽18が格納されている。炉心槽18は、複数の燃料集合体26を含む。なお、燃料の交換は、燃料集合体26単位で行われる。
【0016】
燃料集合体26は、図3及び図4に示すように、断面方形状に形成され、例えば、17×17のセル(マス目)70を有する正方格子で支持体を備える。そして、17×17のセル70のうち、24個のセル74には、それぞれ制御棒27が挿入され、集合体中心のセル75には、炉内核計装が挿入される。このとき、制御棒27が挿入されるセル40を制御棒案内管74、炉内核計装が挿入されるセル70を計装案内管75という。また、その他のセル70には、燃料棒55がそれぞれ挿入される。燃料集合体26が加圧水型軽水炉(PWR)に用いられる場合、燃料集合体26は、その外側が開放されている。燃料集合体6は、外側に集合体間ギャップ72が存在する。
【0017】
燃料集合体26の内部は、減速材(冷却材)73で満たされると共に、複数の制御棒および炉内核計装が挿入可能となるように構成されている。燃料棒55は、円柱形状となる複数の燃料ペレットを軸方向に並べて配設し、その外側が被覆管によって覆われている。
【0018】
燃料集合体26は、264本の燃料棒55と、制御棒が挿入される24本の制御棒案内管74と、炉内計装用検出器が挿入される1本の計装案内管75と、これらを束ねるグリッド58とを有している。また、燃料集合体26は、燃料棒55の軸方向上側に設けられた上部ノズル59と、軸方向下側に設けられた下部ノズル60とを有し、上部ノズル59および下部ノズル60は、燃料棒55、制御棒案内管74および計装案内管75の軸方向の上端部および下端部をそれぞれ固定している。
【0019】
図5は、本実施形態の燃料集合体の燃料棒の配置の一例を模式図である。本実施形態の燃料集合体100は、燃料棒55として、Pu燃料棒80と、ウラン燃料棒82と、を含む。Pu燃料棒80は、二酸化プルトニウムと二酸化ウランとの混合物を所定の含有率で含むPu燃料を、円柱形状のペレットに成形して燃料被覆管に封入したものである。Pu燃料棒80は、例えば、新燃料時に、ウラン燃料棒82の反応度と等価となるよう調合される。ウラン燃料は、例えば濃縮度4.95重量%の二酸化ウランを含む。また、Pu燃料は、二酸化プルトニウムと二酸化ウランとの混合物を、ウラン燃料と等価の反応度となる含有率で含む。ウラン燃料棒82は、二酸化ウラン(UO)を所定の含有率で含むウラン燃料を、円柱形状のペレットに成形して燃料被覆管に封入したものである。ウラン燃料は、ガドリニウムなどを含んでもよい。
【0020】
本実施形態の燃料集合体100は、上述したように、正方格子でセルが配置された支持体の各セルにPU燃料棒80と、ウラン燃料棒82と、制御棒案内管74と、計装案内管75が配置される。
【0021】
計装案内管75は、上述したように支持体の中央のセルに配置される。制御棒案内管74は、支持体のセルに分散して配置される。制御棒案内管74は、最も近い制御棒案内管74と1つ以上のセルを介して配置される。また、制御棒案内管74は、支持体のセルに点対称かつ線対称で配置される。
【0022】
燃料集合体100は、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が82%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、支持体の周方向の4カ所にそれぞれ配置される。ウラン燃料棒82は、配置されるセルの角または辺で接するセル、つまり、縦横斜めのいずれかに隣接する8つのセルの少なくとも1つに制御棒案内管74が配置される。つまり、ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74が配置されたセルと接するセルに配置される。また、燃料集合体100は、ウラン燃料棒82が配置されている領域に4つの制御棒案内管74がそれぞれ配置される。燃料集合体100は、4カ所のウラン燃料棒82が配置される領域を囲むセルにPu燃料棒82配置がされる。
【0023】
次に、図6から図16を用いて、燃料の配置の他の例を説明する。ここで、図6から図16は、制御棒案内管74と計装案内管75の位置は、燃料集合体100と同じであり、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の配置位置が異なる例である。
【0024】
図6は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図6に示す燃料集合体100aは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が79%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、計装案内管75に最も近い4本の制御棒案内管74、図中、計装案内管75の前後左右に配置され最も近い4本制御棒案内管74の周囲の8つのセルに配置される。また、ウラン燃料棒82は、計装案内管75から最も遠い4本の制御棒案内管74の周囲の8のセルのうち、2つの計装案内管75と接する6つのセルに配置される。ウラン燃料棒82は、配置されるセルの角または辺で接するセルの少なくとも1つに制御棒案内管74が配置される。つまり、ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74が配置されたセルと接するセルに配置される。燃料集合体100aは、ウラン燃料棒82が配置される領域を囲むセルにPu燃料棒82が配置される。
【0025】
図7は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図7に示す燃料集合体100bは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が80%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、支持体の周方向の4カ所にそれぞれ配置される。ウラン燃料棒82は、燃料集合体100で配置された位置に加え、ウラン燃料棒82と接する制御棒案内管74のうち、計装案内管75から遠い側に配置された制御棒案内管74に接するセルに配置される。燃料集合体100bは、4カ所のウラン燃料棒82が配置される領域を囲むセルにPu燃料棒82が配置される。
【0026】
図8は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図8に示す燃料集合体100cは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が80%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、計装案内管75を中心としたリング形状、つまり、計装案内管75から所定距離離間した位置のセルで、かつ、制御棒案内管74と接するセルに配置される。ウラン燃料棒82は、接している制御棒案内管74を含めて、リング形状となる。燃料集合体100cは、リング状に配置されたウラン燃料棒82の内側と外側のセルにPu燃料棒82が配置される。
【0027】
図9は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図9に示す燃料集合体100dは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPU燃料棒80の割合が80%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、計装案内管75を中心としたリング形状、つまり、計装案内管75から所定距離離間した位置のセルで、かつ、制御棒案内管74と接するセルに配置される。ウラン燃料棒82は、接している制御棒案内管74を含めて、リング形状となる。燃料集合体100dのウラン燃料棒82は、燃料集合体100cよりも内側のセルに配置され、配置されているセルの支持体外側の部分が直線となる。燃料集合体100dは、リング状に配置されたウラン燃料棒82の内側と外側のセルにPu燃料棒82が配置される。
【0028】
図10は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図10に示す燃料集合体100eは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が80%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、計装案内管75及び、計装案内管75に近い制御棒案内管74の周囲に配置される。ウラン燃料棒82は、中心側、つまり計装案内管75側の面は、他のウラン燃料棒82、計装案内管75または制御棒案内管74と接する。ウラン燃料棒82は、中心側に密集して配置される。燃料集合体100cは、ウラン燃料棒82の外側のセルにPu燃料棒82が配置される。
【0029】
図11は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図11に示す燃料集合体100fは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPU燃料棒80の割合が80%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74の周囲に平均的に配置される。本実施形態の制御棒案内管74は、接するセルの少なくとも1つにウラン燃料棒82が配置される。Pu燃料棒82は、ウラン燃料82が配置されていないセルに配置される。
【0030】
図12は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図12に示す燃料集合体100gは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPU燃料棒80の割合が61%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74と計装案内管75との周囲に平均的に配置される。本実施形態の制御棒案内管74及び計装案内管75とは、接するセルの少なくとも4つのセルにウラン燃料棒82が配置される。Pu燃料棒82は、ウラン燃料82が配置されていないセルに配置される。
【0031】
図13は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図13に示す燃料集合体100hは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が32%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74と計装案内管75との周囲の全てのセルに配置される。本実施形態の制御棒案内管74及び計装案内管75とは、接するセルの全てにウラン燃料棒82が配置される。Pu燃料棒82は、ウラン燃料82が配置されていないセルに配置される。
【0032】
図14は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図10に示す燃料集合体100iは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が83%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、計装案内管75に近い制御棒案内管74の周囲に配置される。また、ウラン燃料棒82は、計装案内管75と接するセルに配置されない。ウラン燃料棒82は、中心側に密集して配置される。燃料集合体100cは、ウラン燃料棒82の外側のセルと、計装案内管75と接するセルにPu燃料棒82が配置される。燃料集合体100iは、ウラン燃料棒82が、リング状に配置される。
【0033】
図15は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図16に示す燃料集合体100jは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPU燃料棒80の割合が64%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74の周囲に平均的に配置される。本実施形態の制御棒案内管74は、接するセルの少なくとも4つのセルにウラン燃料棒82が配置される。また、ウラン燃料棒82は、計装案内管75と接するセルに配置されない。Pu燃料棒82は、ウラン燃料82が配置されていないセルに配置される。
【0034】
図16は、燃料集合体の燃料棒の配置の他の例を示す模式図である。図16に示す燃料集合体100kは、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82の総数に対するPu燃料棒80の割合が35%となる。Pu燃料棒80とウラン燃料棒82は、セルのうち、制御棒案内管74と計装案内管75とが配置されていないセルに配置される。ウラン燃料棒82は、制御棒案内管74の周囲の全てのセルに配置される。本実施形態の制御棒案内管74は、接するセルの全てにウラン燃料棒82が配置される。また、ウラン燃料棒82は、計装案内管75と接するセルに配置されない。Pu燃料棒82は、ウラン燃料82が配置されていないセルに配置される。
【0035】
燃料集合体100(100、100aから100k)は、以上のように、ウラン燃料棒80を制御棒案内管74に接して配置することで、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82を適切に配置することができ、出力を安定させつつ、制御性及び炉停止能力も高くすることができる。つまり、原子炉を安全に停止するための能力を高めることができる。
【0036】
図17は、Pu燃料棒割合と制御棒価値との関係を示す概略図である。図17のグラフは、横軸がPu棒割合であり、縦軸がPu燃料棒割合0%の場合の制御棒価値に対する相対値である。Tで示す線は、Pu燃料棒割合に対する制御棒価値である。図17に示すように、Pu燃料棒割合が増えると、燃料棒価値が低下することが分かる。例えば、図5の燃料配置とした場合、燃料棒価値はTと同等以上となっている。なお、制御棒価値は、燃料集合体について2次元集合体計算により計算されたものである。制御棒価値の計算には、制御棒の材料に炭化ホウ素を用いている。また、既存の炉心の制御棒価値Tの計算では、ウラン燃料を燃料とし、制御棒の材料はAIC(銀-インジウム-カドニウム)を用いている。
【0037】
図17に示すように、ウラン燃料棒82の割合が高くなると、制御棒価値が低下、つまり制御棒による炉心停止能力が低下する。これに対して、燃料集合体100は、Pu燃料棒80とウラン燃料棒82とを混合した燃料とすることで、制御棒価値の低下を抑制することができる。さらに、燃料集合体100は、制御棒の制御に対する堪能がより高いウラン燃料を制御棒案内管74に接して配置することで、制御棒価値を高くすることができる。制御棒価値を高くできることで、炉心停止能力を向上することができる。これにより、設計要求を満足する制御棒価値を備える燃料配置とすることができ、かつ、燃料としてより多くのPu燃料棒を用いることができる。
【0038】
また、燃料集合体は、支持体の中央を中心として、対称に、ウラン燃料棒およびPu燃料棒が配置されることが好ましい。このように、燃料集合体の燃料を対象配置とすることで、出力分布を安定させることができる。制御棒案内管も対称に配置することが好ましい。
【0039】
また、燃料集合体は、制御棒案内管74と計装案内管75の両方を案内管として、案内管に隣接して、ウラン燃料棒を配置してもよいが、制御棒案内管74のみを案内管として、ウラン燃料棒を配置することが好ましい。ウラン燃料棒を制御棒案内管74のみに接する配置とすることで、制御棒価値をより高くすることができ、出力をより安定させることができる。これにより、原子炉を安全に停止するための能力を高めることができる。
【0040】
ここで、燃料集合体は、配列される全燃料棒の本数に対するPu燃料棒の本数の割合は、60%以上とすることが好ましい。これにより燃料集合体は、より多くのPu燃料を使用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 加圧水型原子炉
11 原子炉容器
12 原子炉容器本体
13 原子炉容器蓋
18 炉心槽
19 上部炉心支持板
20 上部炉心板(支持部材)
25 炉心
26 燃料集合体
27 制御棒
55 燃料棒
58 グリッド
59 上部ノズル
60 下部ノズル
70 セル
72 集合体間ギャップ
73 冷却材
74 制御棒案内管
75 計装案内管
80 Pu燃料棒
82 ウラン燃料棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17