(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】速度判定装置、方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20241011BHJP
A63B 60/46 20150101ALI20241011BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20241011BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
A63B60/46
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2021136318
(22)【出願日】2021-08-24
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周作
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-187749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 60/00-60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録部と、
ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出部と、
前記2乗和導出部の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定部と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である、
速度判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の
速度判定装置であって、
前記ヘッドスピード判定部は、前記2乗和導出部の導出結果が大きい程、前記ヘッドスピードが大きいと判定する、
速度判定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の
速度判定装置であって、
前記歪みが、所定のサンプリング周期で記録され、
前記ある時点と前記別の時点との差が、前記サンプリング周期である、
速度判定装置。
【請求項4】
スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、
ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出工程と、
前記2乗和導出工程の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定工程と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である、
速度判定装置が実行する速度判定方法。
【請求項5】
速度判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記速度判定処理が、
スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、
ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出工程と、
前記2乗和導出工程の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定工程と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である、
プログラム。
【請求項6】
速度判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記速度判定処理が、
スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、
ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出工程と、
前記2乗和導出工程の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定工程と、
を備え、
前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、
前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である、
記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイング中のゴルフクラブのヘッドスピードの判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフクラブのスイング動作を分析する装置が知られている(例えば、特許文献1の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、スイング中のゴルフクラブのヘッドスピード(例えば、ヘッドスピードの大小)を正確に判定できれば、ゴルフの練習およびゴルフクラブの開発に有益である。
【0005】
そこで、本発明は、スイング中のゴルフクラブのヘッドスピードの判定を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる速度判定装置は、スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録部と、ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出部と、前記2乗和導出部の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定部とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であるように構成される。
【0007】
上記のように構成された速度判定装置によれば、歪み記録部が、スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する。2乗和導出部が、ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する。ヘッドスピード判定部が、前記2乗和導出部の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定する。前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向である。前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である。
【0008】
なお、本発明にかかる速度判定装置は、前記ヘッドスピード判定部は、前記2乗和導出部の導出結果が大きい程、前記ヘッドスピードが大きいと判定するようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる速度判定装置は、前記歪みが、所定のサンプリング周期で記録され、前記ある時点と前記別の時点との差が、前記サンプリング周期であるようにしてもよい。
【0010】
本発明は、スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出工程と、前記2乗和導出工程の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定工程とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である速度判定方法である。
【0011】
本発明は、速度判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記速度判定処理が、スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出工程と、前記2乗和導出工程の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定工程とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向であるプログラムである。
【0012】
本発明は、速度判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記速度判定処理が、スイング中のゴルフクラブのシャフトにおける第一方向および第二方向の歪みを、該歪みを測定した時点ごとに記録する歪み記録工程と、ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、前記ある時点および前記別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したものを導出する2乗和導出工程と、前記2乗和導出工程の導出結果に基づき、前記ゴルフクラブのヘッドスピードを判定するヘッドスピード判定工程とを備え、前記第一方向が、前記ゴルフクラブのスイングによってゴルフボールを飛ばす方向であり、前記第二方向が、前記シャフトと前記第一方向とに直交する方向である記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態にかかる速度判定装置1の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる速度判定装置1の構成を示す機能ブロック図である。本発明の実施形態にかかる速度判定装置1は、歪み測定結果受信部12、歪み記録部14、2乗和導出部16、ヘッドスピード判定部18を備える。
【0016】
歪み測定結果受信部12は、歪み測定結果送信器8から送信された、歪みの測定結果を受信する。歪み測定結果送信器8は、ゴルフクラブ2のシャフト2bに取り付けられている。
【0017】
図2は、ゴルフクラブ2の正面図である。ゴルフクラブ2は、ヘッド2a、シャフト2b、グリップ2cを有する。ただし、
図2においては、グリップ2cを握る者(プレーヤー)の手は図示省略する。ヘッド2aの前方にはゴルフボール4が置かれている。ヘッド2aは、シャフト2bを介して、グリップ2cに接続されている。プレーヤーは、グリップ2cを握り、ゴルフクラブ2をスイングさせ、ヘッド2aをゴルフボール4に当てて、ゴルフボール4を飛ばす。
【0018】
第一方向Hは、ゴルフクラブ2のスイングによってゴルフボール4を飛ばす方向である。第二方向Vは、ゴルフクラブ2のスイングによってゴルフボールを飛ばす方向(すなわち、第一方向H)とシャフト2bとに直交する方向である。
【0019】
図3は、シャフト2bの断面図である。シャフト2bには、歪みゲージ9H、9Vが取り付けられている。シャフト2bの断面は円形であり、その円の中心(図示省略)を通って第一方向Hに延伸する直線(H軸)とシャフト2bの外周との交点(シャフト2bの外周における最も右の点)近傍に、歪みゲージ9Hが配置されている。シャフト2bの断面は円形であり、その円の中心(図示省略)を通って第一方向Hと直交する方向(図示省略)に延伸する直線とシャフト2bの外周との交点(シャフト2bの外周における最も下の点)近傍に、歪みゲージ9Vが配置されている。
【0020】
歪みゲージ9Hは、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの第一方向Hの歪みを、歪みを測定した時点t1、t2、t3、…ごとに測定する。
【0021】
歪みゲージ9Vは、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの第二方向Vの歪みを、歪みを測定した時点t1、t2、t3、…ごとに測定する。
【0022】
歪み測定結果送信器8は、歪みゲージ9Hおよび歪みゲージ9Vの測定結果を送信する。
【0023】
歪み記録部14は、歪み測定結果受信部12の受信結果を受けて記録する。すなわち、歪み記録部14は、スイング中のゴルフクラブ2におけるシャフト2bの第一方向Hおよび第二方向Vの歪みを、歪みを測定した時点t1、t2、t3、…ごとに記録する。
【0024】
図4は、歪み記録部14の記録内容を示す図である。歪み記録部14は、時点t1に対応づけて(H1、V1)を、時点t2に対応づけて(H2、V2)を、時点t3に対応づけて(H3、V3)を記録する。ただし、H1、H2、H3は、第一方向(H軸方向)の歪みであり、V1、V2、V3は、第二方向(V軸方向)の歪みである。
【0025】
なお、歪みH1、H2、H3および歪みV1、V2、V3が、所定のサンプリング周期Δt(=t2-t1=t3-t2)で、歪み記録部14に記録されている。
【0026】
2乗和導出部16は、歪み記録部14の記録内容に基づき、ある時点t1および別の時点t2における第一方向の歪みの差分H2-H1と、ある時点t1および別の時点t2における第二方向の歪みの差分V2-V1とを、それぞれ2乗して合計したもの((H2-H1)^2+(V2-V1)^2)を導出する。
【0027】
また、2乗和導出部16は、歪み記録部14の記録内容に基づき、ある時点t2および別の時点t3における第一方向の歪みの差分H3-H2と、ある時点t2および別の時点t3における第二方向の歪みの差分V3-V2とを、それぞれ2乗して合計したもの((H3-H2)^2+(V3-V2)^2)を導出する。
【0028】
なお、ある時点と別の時点との差が、サンプリング周期Δtであるようにしてもよい。
【0029】
ヘッドスピード判定部18は、2乗和導出部16の導出結果に基づき、ゴルフクラブ2のヘッド2aのスピード(速度)を判定する。例えば、ヘッドスピード判定部18は、2乗和導出部16の導出結果が大きい程、ヘッド2aのスピード(速度)が大きいと判定する。
【0030】
例えば、ヘッドスピード判定部18は、(H3-H2)^2+(V3-V2)^2が、(H2-H1)^2+(V2-V1)^2よりも大きいので、時点t3におけるヘッド2aのスピードの方が、時点t2におけるヘッド2aのスピードよりも大きいと判定する。
【0031】
なお、ヘッドスピード判定部18は、2乗和導出部16の導出結果の平方根に基づき、ヘッド2aのスピードを判定するようにしてもよい。
【0032】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0033】
まず、プレーヤーは、グリップ2cを握り、ゴルフクラブ2をスイングさせ、ヘッド2aをゴルフボール4に当てて、ゴルフボール4を飛ばす(
図2参照)。この際のシャフト2bの歪みを歪みゲージ9H、9V(
図3参照)が測定し、測定結果が、歪み測定結果送信器8により送信される。
【0034】
歪み測定結果送信器8により送信された歪みの測定結果は、歪み測定結果受信部12により受信され、歪み記録部14に記録される(
図4参照)。例えば、(H1、V1)、(H2、V2)、(H3、V3)が、それぞれ、歪みを測定した時点t1、t2、t3に対応付けられて、歪み記録部14に記録される。
【0035】
歪み記録部14の記録内容は、2乗和導出部16により読み出され、ある時点および別の時点における第一方向の歪みの差分と、ある時点および別の時点における第二方向の歪みの差分とを、それぞれ2乗して合計したもの((H3-H2)^2+(V3-V2)^2および(H2-H1)^2+(V2-V1)^2)が導出される。
【0036】
2乗和導出部16の導出結果は、ヘッドスピード判定部18に与えられ、ヘッド2aのスピードが判定される。例えば、(H3-H2)^2+(V3-V2)^2が、(H2-H1)^2+(V2-V1)^2よりも大きいので、時点t3におけるヘッド2aのスピードの方が、時点t2におけるヘッド2aのスピードよりも大きいと判定される。
【0037】
本発明の実施形態によれば、スイング中のゴルフクラブのヘッドスピードを判定できる。
【0038】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(USBメモリ、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えば、歪み測定結果受信部12、歪み記録部14、2乗和導出部16およびヘッドスピード判定部18を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0039】
1 力判定装置
12 歪み測定結果受信部
14 歪み記録部
16 2乗和導出部
18 ヘッドスピード判定部
2 ゴルフクラブ
2a ヘッド
2b シャフト
2c グリップ
4 ゴルフボール
8 歪み測定結果送信器
9H、9V 歪みゲージ
t1、t2、t3 時点
歪み H1、H2、H3、V1、V2、V3
H 第一方向
V 第二方向
Δt サンプリング周期