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特許7570306車両走行制御装置、車両走行制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】車両走行制御装置、車両走行制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241011BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20241011BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20241011BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/36
B60W30/12
B60W50/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021157592
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2023048332
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦行
(72)【発明者】
【氏名】今井 直子
(72)【発明者】
【氏名】小室 洋人
(72)【発明者】
【氏名】小倉 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】青山 博和
(72)【発明者】
【氏名】西村 頌哉
(72)【発明者】
【氏名】古谷田 光貴
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-142965(JP,A)
【文献】特開2015-141051(JP,A)
【文献】特開2020-194570(JP,A)
【文献】特開2020-160840(JP,A)
【文献】特開2012-011903(JP,A)
【文献】特開2005-038225(JP,A)
【文献】特開2016-126605(JP,A)
【文献】特開2018-045273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0001883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
B62D 6/00 - 6/10
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G09B 23/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、
車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、
前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と、
を備える、車両走行制御装置。
【請求項2】
車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、
車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、
前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と
入力を受け付ける入力部と、
表示部と、を備え
前記車線認識部は、前記道路の撮影画像から前記車線を認識する構成であり、
前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像を前記表示部に表示させ、前記入力部により受け付けた入力に基づいて設定を行う、
車両走行制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像に、前記車線認識部の認識結果を示す画像を重ねて前記表示部に表示させる、請求項に記載の車両走行制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像と、前記位置情報に対応する地図とを前記表示部に表示させる、請求項または請求項に記載の車両走行制御装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記車両が走行していないと推定される状態である場合に、前記道路の撮影画像を前記表示部に表示させる、請求項から請求項のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記車線維持制御が停止した複数の位置の位置情報が前記記憶部に記憶されている場合に、前記車線維持制御が停止した複数の位置を候補として前記表示部により表示させ、前記入力部により受け付けた入力に基づいて前記候補を選択する、請求項から請求項のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
【請求項7】
車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、
車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、
前記車線維持制御が停止した後、所定時間以内に、前記車両が右折、左折、及び転回のいずれかに該当する動作を行わなかった場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と、
を備える、車両走行制御装置。
【請求項8】
車両が走行する道路上の車線を認識し、
認識した車線に合わせて前記車両を走行させる車線維持制御を実行し、
前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、車両走行制御方法。
【請求項9】
車両走行制御装置を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータにより、
認識した車線に合わせて前記車両を走行させる車線維持制御を実行し、
前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御装置、車両走行制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転支援機能として、車線維持支援機能や車線逸脱警報機能が知られている。この種の機能は車線認識を高精度で行う必要があるため、車線認識の精度を高める技術が提案されている。例えば、特許文献1は、道路上の車線を認識する装置において、車線を誤認識した場合に、自車両、先行車両及び後続車両の位置に基づいて、認識した車線の情報を修正する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-97714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車線認識技術は、道路上の車線が途切れている場所では車線を認識することができないため、車線の認識処理や車線の認識結果に基づく制御を解除することがあった。このため、運転者が運転支援機能を利用できる機会を増やす観点から、改善が望まれていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、道路に標示された車線の認識に関する制御が停止する事態を回避または抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための一態様は、車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と、を備える、車両走行制御装置である。
【0007】
上記目的を達成するための別の一態様は、車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と、入力を受け付ける入力部と、表示部と、を備え、前記車線認識部は、前記道路の撮影画像から前記車線を認識する構成であり、前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像を前記表示部に表示させ、前記入力部により受け付けた入力に基づいて設定を行う、車両走行制御装置である
【0008】
上記車両走行制御装置において、前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像に、前記車線認識部の認識結果を示す画像を重ねて前記表示部に表示させる構成であってもよい。
【0009】
上記車両走行制御装置において、前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像と、前記位置情報に対応する地図とを前記表示部に表示させる構成であってもよい。
【0010】
上記車両走行制御装置において、前記設定部は、前記車両が走行していないと推定される状態である場合に、前記道路の撮影画像を前記表示部に表示させる構成であってもよい。
【0011】
上記車両走行制御装置において、前記設定部は、前記車線維持制御が停止した複数の位置の位置情報が前記記憶部に記憶されている場合に、前記車線維持制御が停止した複数の位置を候補として前記表示部により表示させ、前記入力部により受け付けた入力に基づいて前記候補を選択する構成であってもよい。
【0012】
上記目的を達成するための別の一態様は、車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、前記車線維持制御が停止した後、所定時間以内に、前記車両が右折、左折、及び転回のいずれかに該当する動作を行わなかった場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と、を備える、車両走行制御装置である
【0013】
上記目的を達成するための別の一態様は、車両が走行する道路上の車線を認識し、認識した車線に合わせて前記車両を走行させる車線維持制御を実行し、前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、車両走行制御方法である。
【0014】
上記目的を達成するための別の一態様は、車両走行制御装置を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、前記コンピュータにより、認識した車線に合わせて前記車両を走行させる車線維持制御を実行し、前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、ためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車線の認識を伴う車線維持制御が停止した位置について、設定を行い、車線維持制御を停止しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、車両の制御系の構成を示すブロック図である。
図2図2は、車両における車両走行制御装置の設置例を示す図である。
図3図3は、車両走行制御装置の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、車両走行制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、車両走行制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、ディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
図7図7は、ディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
図8図8は、ディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.車両の制御系の構成]
図1は、車両1の制御系の構成を示すブロック図である。
車両1は、運転者の車両操縦操作を支援する運転支援機能を有する。この運転支援機能は、車両1が道路上の車線の中央付近を走行する状態を維持できるよう、運転を支援する機能を含む。この種の機能は、車線維持支援制御(LKAS)、車線逸脱防止制御(LDP)等と呼ばれ、以下の説明では車線維持制御と呼ぶ。図1は、車両1が有する車線維持制御に関係する構成を図示しており、車両1は図1に示されていない構成を具備する。
【0018】
車両1は、車線維持制御を実行して車両1の各部を制御する車両走行制御装置10を備える。車両走行制御装置10は、車両1に設置されたバス39を介して、車両制御部31、前方カメラ36、GNSS37、通信部38、電動ステアリング装置40、及び、表示装置50に接続される。バス39は、車両走行制御装置10と、車両走行制御装置10以外の各部とをデータ通信可能に接続する通信路であり、例えば、CAN(Controller Area Network)-BUSである。
【0019】
車両制御部31は、車両1の動作状態を制御するECU(Electronic Control Unit)である。車両制御部31には、車両1のイグニッションスイッチ32、車速センサ33、パーキングブレーキ34、及び、シフトスイッチ35等が接続される。
【0020】
イグニッションスイッチ32は、車両1のシステム全体の状態を切り替えるスイッチである。車両制御部31は、イグニッションスイッチ32の状態に基づいて、車両1が起動中であるか否か、及び、車両1のエンジンやモータが動作中であるか否かを検出する。車速センサ33は、車両1の車速を検出する。パーキングブレーキ34は、例えば、電動のアクチュエータを備える電動パーキングブレーキ装置である。車両制御部31は、パーキングブレーキ34の動作状態を検出する。ここで、パーキングブレーキ34は、機械式のパーキングであってもよい。この場合、車両制御部31は、パーキングブレーキ34に取り付けられる不図示のスイッチにより、パーキングブレーキ34の動作状態を検出する。シフトスイッチ35は、車両1のシフトを切り替えるスイッチである。
【0021】
車両制御部31は、イグニッションスイッチ32の状態、車速センサ33によって検出した車両1の速度、パーキングブレーキ34の状態、シフトスイッチ35により選択されているシフト位置等を示すデータを、車両走行制御装置10に送信する。
【0022】
前方カメラ36は、車両1の進行方向における前方を撮影するデジタルカメラである。前方カメラ36は、予め設定された周期で撮影を実行し、車両走行制御装置10の要求に応じて、撮影画像を車両走行制御装置10に送信する。
【0023】
GNSS(Global Navigation Satellite System)37は、車両1の位置を検出する。GNSS37は、車両走行制御装置10の要求に応じて、車両走行制御装置10に位置情報を送信する。
【0024】
通信部38は、通信ネットワークNに接続される通信装置である。通信部38の具体的な構成は制限されず、例えば、セルラー通信により通信ネットワークNに接続する無線通信装置である。また、通信部38は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信技術により通信ネットワークNに接続する構成であってもよい。通信部38は、車両走行制御装置10の制御に従って、通信ネットワークNを通じてサーバ200とデータ通信を実行する。
【0025】
通信ネットワークNは、専用回線、公衆回線網、インターネット等を含んで構成される通信回線である。通信ネットワークNは、Wi-Fiルータ、スイッチ、ルータ、ゲートウェイ、各種のサーバ装置等の不図示のネットワーク装置を含んでもよい。また、通信ネットワークNは、通信事業者が設置する無線基地局を含んでもよい。
【0026】
サーバ200は、通信ネットワークNを介して車両1とデータ通信可能に接続される。サーバ200は、車両1が送信する設定データ25を受信して、不図示のデータベースに記憶する。また、サーバ200は、車両1の要求に応じて、データベースに格納した設定データ25を、車両1に送信する。サーバ200は、1台のサーバコンピュータによって構成されてもよいし、複数のサーバコンピュータがサーバ200として機能する構成であってもよい。
【0027】
車両1、及び、サーバ200は、情報共有システム100を構成する。情報共有システム100が含む車両1の数に制限はない。車両1は、サーバ200に常時接続していなくてもよく、一時的に車両1がサーバ200に接続し、設定データ25の送受信を行う構成であってもよい。
【0028】
電動ステアリング装置40は、車両1の操舵装置である。電動ステアリング装置40は、不図示のステアリング機構によって、後述するステアリングホイール4の回転に応じて、車両1の車輪の舵角を変更する。
【0029】
電動ステアリング装置40は、舵角センサ41、及び、ステアリング駆動モータ42を備える。舵角センサ41は、ステアリングホイール4の回転角を検出する。舵角センサ41は、運転者がステアリングホイール4に与える操舵力を検出する構成であってもよい。ステアリング駆動モータ42は、電動ステアリング装置40のステアリング機構に連結されたモータである。ステアリング駆動モータ42は、運転者がステアリングホイール4を回転させる操作に応じて、操舵力を発生させ、運転者の操舵をアシストする。
【0030】
電動ステアリング装置40は、車両走行制御装置10が車線維持制御を実行する場合に、車両走行制御装置10の制御に従って、ステアリング駆動モータ42を動作させて車両1の操舵を行う。この場合、ステアリング駆動モータ42は、ステアリングホイール4の回転量を超えて車両1の操舵を行う。さらに、ステアリング駆動モータ42は、運転者がステアリングホイール4を回転させていない場合に車両1の操舵を行うことが可能である。ステアリング駆動モータ42は、運転者がステアリングホイール4を回転させた方向とは逆方向に車両1の操舵を行ってもよい。
【0031】
表示装置50は、ディスプレイ51、及び、タッチセンサ52を備える。ディスプレイ51は、液晶ディスプレイパネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネル等の表示パネルを有する。表示装置50は、車両走行制御装置10の制御に従って、ディスプレイ51に各種画面を表示する。ディスプレイ51は、表示部の一例に対応する。
【0032】
タッチセンサ52は、ディスプレイ51に対するタッチ操作を検出する入力装置である。タッチセンサ52は、ディスプレイ51に重ねて配置される。タッチセンサ52の検出方式は制限されず、感圧式、静電容量式などの各種の方式を採用できる。タッチセンサ52は入力部の一例に対応する。
【0033】
[2.車両走行制御装置の構成]
図2は、車両1における車両走行制御装置10の設置例を示す図である。
図2において、符号2はフロントガラス、符号3はダッシュボード、符号4はステアリングホイールである。前方カメラ36は、図2に示すように、フロントガラス2の上部に取り付けられ、フロントガラス2越しに車両1の前方を撮影する。
【0034】
車両走行制御装置10は、例えばダッシュボード3に埋設される。車両走行制御装置10の設置位置に制限はなく、車両1のシートの下やトランク等に設置してもよい。
表示装置50は、例えば、ダッシュボード3に埋め込み設置される。表示装置50は、運転者が容易に操作可能な位置に配置されることが好ましい。表示装置50は、車両1のカーナビゲーション装置のディスプレイ及びタッチセンサであってもよい。また、車両1が備える入力装置は、タッチセンサ52に限定されない。車両1は、入力装置として、表示装置50に設けられるスイッチや、ステアリングホイール4に設けられるスイッチを備えてもよい。
【0035】
図1に戻り、車両走行制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)やMPC(Micro-processing unit)で構成されるプロセッサを備え、プロセッサがプログラムを実行することにより、車線維持制御を実行するコンピュータである。車両走行制御装置10のプロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等、プログラムされたハードウェアで構成されてもよい。車両走行制御装置10のプロセッサは、例えば、車線維持制御ECUとして構成されてもよい。車両走行制御装置10は、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistance System)の一部として、車両1に組み込まれたシステムであってもよい。
【0036】
車両走行制御装置10は、車線認識部11、走行制御部12、及び、設定部13を含む。これらの各部は車両走行制御装置10のプロセッサの機能によって実現される。
【0037】
車両走行制御装置10は、記憶部20を備える。記憶部20は、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶装置を有する。車両走行制御装置10は、車両走行制御装置10のプロセッサが実行するプログラムや、車両走行制御装置10が処理するデータを記憶する。車両走行制御装置10は、揮発性の記憶領域を備え、車両走行制御装置10のプロセッサのワークエリアを構成してもよい。
【0038】
記憶部20は、履歴データ21、及び、設定データ25を記憶する。履歴データ21は、位置情報22、撮影画像23及び地図データ24を含む。これらのデータの詳細は後述する。
【0039】
車線認識部11は、前方カメラ36が撮影した撮影画像に基づいて、車両1が走行中の道路の路面に形成された道路標示を検出し、道路の車線を認識する。車線認識部11は、道路の車線を認識した認識結果に基づいて、車両1が走行する車線を特定する。
【0040】
車線認識部11が認識する車線は、例えば、車両1が走行中の車線と対向車線との境界を示す中央線、同一方向の複数の車線を有する道路において隣接する車線の境界を示す車線境界線、及び、車線の外側の縁を示す車道外側線を含む。車線の種類は、例えば、白の実線、黄色の実線、白の破線、及び、黄色の破線を含む。
【0041】
詳細には、車線認識部11は、撮影画像を解析することによって、撮影画像において車線に相当する画像を抽出する。この処理は、公知の車線認識技術を適用することが可能であり、車線認識部11は、例えば、撮影画像におけるエッジ検出、パターンマッチング等を実行する。また、車線認識部11は、舵角センサ41が検出した操舵角に基づき、車両1が走行する道路の曲率に応じて車線を認識する処理を行ってもよい。
【0042】
車線認識部11は、車両1の進行方向に伸びる車線を認識した場合、認識した車線の中央を、車両1が走行すべきラインとして特定する。
【0043】
走行制御部12は、車線認識部11の認識結果に基づき、車両1の車線維持制御を実行する。詳細には、走行制御部12は、車線認識部11によって認識された車線の中央を車両1が走行するように、電動ステアリング装置40を制御して操舵を実行させる。具体的には、走行制御部12は、車線認識部11が特定したラインに沿って車両1が走行するように、ステアリング駆動モータ42を動作させて操舵を行う。
【0044】
道路表示のうち白色または黄色の破線を認識する場合、車線認識部11は、撮影画像において破線を認識した場合、複数の破線を、1つづきの車線として認識する。この処理において、車線認識部11は、撮影画像において認識した複数の破線の方向、破線の間隔、及び車両1の進行方向に基づき、複数の破線を1つづきの車線として認識する。
【0045】
車線認識部11が撮影画像から1つづきの車線を認識できない場合がある。例えば、交差点において車線が途切れている場所や、道路表示の損傷や劣化により不明瞭な場所では、車線認識部11が、前方カメラ36の撮影画像から車線を認識できないことがある。このような場合、車線認識部11は、車両1が走行すべきラインを特定する処理を一時的にキャンセルする。この場合、走行制御部12は車線維持制御を一時的に停止する。
【0046】
走行制御部12が車線維持制御を停止した後も、車両1の走行中、車線認識部11は、前方カメラ36の撮影画像に基づく車線の認識を継続して実行する。車線認識部11は、撮影画像から1つづきの車線を認識する処理に成功した場合、車両1が走行すべきラインを特定する。この場合、走行制御部12は、車線認識部11により特定されたラインに従って車線維持制御を再開する。
【0047】
このように、車両1の走行中において、車線認識部11及び走行制御部12は、車線認識部11が車線の認識に成功しなかった場合に車線維持制御を一時停止し、その後、車線認識部11が車線の認識に成功すると、車線維持制御を再開する。
【0048】
車両走行制御装置10は、走行制御部12が車線維持制御を停止した場合に、履歴データ21を生成して、記憶部20に記憶させる。履歴データ21は、位置情報22と撮影画像23とを対応付けて含む。位置情報22は、走行制御部12が車線維持制御を停止したときにGNSS37が検出した位置情報である。撮影画像23は、走行制御部12が車線維持制御を停止したときに車線認識部11が車線の認識を行った画像である。換言すれば、車線認識部11が1つづきの車線を認識できなかった画像である。履歴データ21は、車線認識部11及び走行制御部12のいずれか、或いは両方の処理によって生成される。本実施形態では、車線認識部11が履歴データ21を生成する場合を説明する。
【0049】
履歴データ21は、地図データ24を含んでもよい。地図データ24は、走行制御部12が車線維持制御を停止した位置を含む所定範囲の地図のデータである。地図データ24は、リンクとノードで構成される、カーナビゲーション装置用のデータであってもよいし、地図の画像であってもよい。車線認識部11は、車両1が搭載する不図示のカーナビゲーション装置、或いは、サーバ200から、地図データ24を取得して履歴データ21を生成する。
【0050】
設定部13は、ユーザの操作に基づいて、走行制御部12が車線維持制御を停止した位置に関する設定を行い、設定データ25を生成する。ユーザは、車両1の運転者が挙げられるが、その他の人物であってもよい。
【0051】
設定部13は、車両1の走行中に走行制御部12の車線維持制御が停止した場所について、履歴データ21に基づき、設定用の画面をディスプレイ51に表示させる。設定用の画面がディスプレイ51に表示された状態で、ユーザがタッチセンサ52を操作すると、設定部13は、操作に基づき設定データ25を生成し、記憶部20に記憶させる。
【0052】
設定データ25は、走行制御部12の車線維持制御が停止した場所において、車線認識部11が車線を認識するためのデータである。例えば、設定データ25は、走行制御部12の車線維持制御が停止した場所の撮影画像において、車線認識部11が認識すべき車線の位置を指示するデータである。車線認識部11は、設定データ25を利用することにより、前方カメラ36の撮影画像から検出した車線の画像に加え、設定データ25により指定される位置を車線として検出し、これらをもとに1つづきの車線を認識する。このため、車線認識部11は、過去に撮影画像のみから1つづきの車線を認識できなかった場所において、設定データ25を組み合わせることによって1つづきの車線を認識できる。従って、過去に走行制御部12の車線維持制御が停止した場所に対応する設定データ25が生成された後は、その場所で走行制御部12の車線維持制御を継続できる。
【0053】
設定データ25は、少なくとも、設定データ25の設定対象である場所の位置情報を含む。設定データ25は、車線認識部11が車線として認識すべき位置を指定するデータを含む。このデータは、現実の道路上に車線が表示されていない場所であって、仮想的に車線として認識すべき位置や方向を指定するデータである。このデータは、例えば、前方カメラ36の撮影画像に、車線として認識すべき領域を重ねた画像データであってもよい。また、このデータは、例えば、仮想的な車線の位置を示す位置情報であってもよい。この位置情報は、車線上の複数の点の位置情報の集合であってもよいし、車線の起点の位置情報と車線が伸びる方向とを示すベクトルデータであってもよい。
【0054】
[3.車両走行制御装置の動作]
図3図4及び図5は、車両走行制御装置10の動作を示すフローチャートである。図6図7及び図8は、車両走行制御装置10の制御によってディスプレイ51が表示する画面の例を示す図である。以下、これらの図を参照して車両走行制御装置10の動作を説明する。
【0055】
図3に示す動作は、車両1の走行中に車両走行制御装置10が実行する。車両走行制御装置10は、車両制御部31から取得した情報に基づいて、車両1が走行を開始したことを検出した場合に、図3の動作を開始する。例えば、車両走行制御装置10は、パーキングブレーキ34がOFFに切り替えられたこと、或いは、シフトスイッチ35が、パーキングのポジション(P)から走行用のポジション(D、S、B等)に切り替えられたことを検出して、図3の動作を開始する。
【0056】
走行制御部12は、設定データ25を取得する(ステップS11)。ステップS11で、車両走行制御装置10は、記憶部20に記憶した設定データ25を読み出す。また、ステップS11で、車両走行制御装置10は、通信部38によってサーバ200と通信を実行し、サーバ200から設定データ25を取得してもよい。車両走行制御装置10は、ステップS11の動作を、車両1が走行していない任意のタイミングで実行してもよい。
【0057】
車線認識部11は、車両1の走行中、前方カメラ36の撮影画像を取得し(ステップS12)、取得した撮影画像に基づき車両1の前方の車線を認識する(ステップS13)。
【0058】
ここで、車線認識部11は、ステップS13で車線を認識する処理に成功したか否かを判定する(ステップS14)。車線認識部11が車線を認識する処理に成功した場合(ステップS14;YES)、走行制御部12は、車線維持制御を実行する(ステップS15)。その後、車両走行制御装置10は、車両1が停車したか否かを判定する(ステップS16)。
【0059】
ステップS16で、車両走行制御装置10は、車両1が走行を終了したか否かを判定する。例えば、車両1のパーキングブレーキ34がONになったこと、或いは、シフトスイッチ35がパーキングのポジションに切り替えられたことを検出した場合、車両1が停車したと判定する(ステップS16;YES)。この場合、車両走行制御装置10は本処理を終了する。また、車両走行制御装置10は、車両1が停車していないと判定した場合(ステップS16;NO)、ステップS12に戻る。
【0060】
車線認識部11が車線を認識する処理に成功しなかった場合(ステップS14;NO)、車線認識部11は、車両1の位置に対応する設定データ25があるか否かを判定する(ステップS17)。すなわち、車両1の位置に対応する設定データ25をステップS11で取得済みか否かを判定する。
【0061】
車両1の位置に対応する設定データ25がある場合(ステップS17;YES)、車線認識部11は、設定データ25を反映させて車線を認識する処理を再実行する(ステップS18)。そして、車線認識部11は、車線を認識する処理に成功したか否かを判定する(ステップS19)。車線を認識する処理に成功した場合(ステップS19;YES)、車両走行制御装置10はステップS15に移行して、走行制御部12により車線維持制御を実行する。
【0062】
設定データ25を反映させて車線を認識する処理に成功しなかった場合(ステップS19;NO)、および、車両1の位置に対応する設定データ25がない場合(ステップS17;NO)、車線認識部11は履歴データ21を生成する(ステップS20)。ステップS20で、車線認識部11は、履歴データ21を生成して記憶部20に一時的に記憶させ、ステップS16に移行する。ステップS20で、車線認識部11は、記憶部20の揮発性の記憶領域に履歴データ21を記憶させてもよい。
【0063】
車両走行制御装置10は、記憶部20に一時的に記憶された設定データ25に対して、図4に示す動作を実行する。車両走行制御装置10は、図4の動作を、例えば車両1の走行中に図3の動作と並列的に実行してもよい。
【0064】
車線認識部11は、記憶部20に一時的に記憶させた履歴データ21を取得する(ステップS31)。車線認識部11は、履歴データ21に含まれる位置情報22の位置で、車両1が右折、左折、及び転回のいずれかに該当する動作を行ったか否かを判定する(ステップS32)。詳細には、ステップS32で、車線認識部11は、車線認識部11は、履歴データ21の位置情報22が示す位置を含む所定範囲内の位置、または、履歴データ21が生成されてから所定時間以内における車両1の動作を判定する。ステップS32で、車線認識部11は、舵角センサ41により検出したステアリングホイール4の操舵角やGNSS37が検出した車両1の位置の軌跡に基づき、車両1が走行した経路を求めることにより、判定を行ってもよい。また、車両1が、不図示のジャイロセンサを備える場合に、ジャイロセンサの検出データを利用してステップS32の判定を行ってもよい。また、車線認識部11は、ステップS32の判定において、カーナビゲーション装置の地図やサーバ200から取得した地図情報を利用してもよい。
【0065】
車両1が右折、左折、及び転回のいずれかに該当する動作を行っていないと判定した場合(ステップS32;NO)、車線認識部11は、履歴データ21が生成された後に走行制御部12が車線維持制御を再開したか否かを判定する(ステップS33)。詳細には、ステップS33で、車線認識部11は、履歴データ21の位置情報22が示す位置を含む所定範囲内の位置、または、履歴データ21が生成されてから所定時間以内に、走行制御部12が車線維持制御を再開したか否かを判定する。
【0066】
車線認識部11は、走行制御部12が車線維持制御を再開したと判定した場合(ステップS33;YES)、履歴データ21を、記憶部20の不揮発性の記憶領域に記憶させ(ステップS34)、本処理を終了する。ステップS34の処理によって、履歴データ21は、車両1の停車後も参照可能な状態で記憶部20に記憶される。
【0067】
一方、車両1が右折、左折、及び転回のいずれかに該当する動作を行ったと判定した場合(ステップS32;YES)、及び、履歴データ21が生成された後に走行制御部12が車線維持制御を再開しなかったと判定した場合(ステップS33;NO)、車線認識部11はステップS35に移行する。ステップS35で、車線認識部11は、一時記憶した履歴データ21を削除し、本処理を終了する。
【0068】
図5の動作において、設定部13は、車両1が停止した状態であるか否かを判定する(ステップS41)。車両1が停止した状態とは、例えば、車速センサ33により検出された速度が0であること、パーキングブレーキ34がONになっていること、シフトスイッチ35がパーキングのポジションであることの少なくともいずれかに該当する状態をいう。
【0069】
車両1が停止した状態でない場合(ステップS41;NO)、設定部13は、車両1が停車した状態となるまで、図5の動作を開始せずに待機する。
車両1が停止した状態である場合(ステップS41;YES)、設定部13は、記憶部20に履歴データ21が記憶されているか否かを判定する(ステップS42)。履歴データ21が記憶されていない場合(ステップS42;NO)、設定部13は、後述するステップS54に移行する。
【0070】
記憶部20に履歴データ21が記憶されている場合(ステップS42;YES)、設定部13は、設定対象の候補をディスプレイ51により表示させる(ステップS43)。
【0071】
図6は、ディスプレイ51に表示される選択画面301を示す。選択画面301は、ステップS43でディスプレイ51に表示される画面の一例である。
選択画面301には、案内表示部311、及び、地図表示部312が配置される。案内表示部311には、ユーザに対して設定の対象とする地点を選ぶ操作を行うよう案内する文字列が表示される。地図表示部312には、車線認識部11が履歴データ21を生成した地点を含む範囲の地図が表示される。地図表示部312には、地図に重ねて、走行経路画像313が表示される。走行経路画像313は、車両1が走行した経路の軌跡を示す画像である。地図表示部312には、履歴データ21が生成された地点、すなわち走行制御部12が車線維持制御を停止した地点を示すインジケータ314、315が表示される。インジケータ314、315は地点を示す画像であればよく、図6に示す円形のインジケータ314、315は一例であり、その他の形状の画像であってもよい。インジケータ314、315が示す地点には、地点を識別するため、符号A、Bが付されている。
【0072】
選択画面301は、地図表示部312に表示された地点A、Bに対応するサムネイル画像316、317が表示される。地点A、Bは、設定部13による設定の対象の候補である。サムネイル画像316、317は、候補である地点A、Bに対応する画像である。例えば、サムネイル画像316は、地点Aで前方カメラ36が撮影した撮影画像のサムネイルであり、サムネイル画像317は、地点Bで前方カメラ36が撮影した撮影画像のサムネイルである。選択画面301には、地点Aで前方カメラ36が画像を撮影した時刻と、地点Bで前方カメラ36が画像を撮影した時刻とを含んでもよい。これらの時刻を、設定部13は、サムネイル画像316、317に対応する位置に表示させてもよいし、地図表示部312においてインジケータ314、315に並べて表示させてもよい。
【0073】
ユーザは、サムネイル画像316またはサムネイル画像317の表示位置に対してタッチ操作を行うことによって、設定対象の候補である地点A、Bのいずれかを選択することができる。
【0074】
設定部13は、タッチセンサ52によってユーザの操作を受け付ける(ステップS44)。ステップS44で受け付ける操作は、ステップS43で表示した候補のいずれかを選択する操作である。
【0075】
なお、ステップS42において、記憶部20に、1つの地点における履歴データ21しか記憶されていない場合、設定部13はステップS43-S44を省略してもよい。
【0076】
設定部13は、ユーザにより選択された地点の履歴データ21に基づいて、設定対象の地点における撮影画像23と地図とをディスプレイ51によって表示させる(ステップS45)。
【0077】
図7は、ディスプレイ51に表示される設定画面302を示す。設定画面302は、ステップS45でディスプレイ51に表示される画面の一例である。
設定画面302には、撮影画像23に基づく画像が全面に表示される。設定画面302には、地図表示部350が配置される。地図表示部350は、設定対象の地点を含む範囲の地図を表示する。地図表示部350に表示される地図には、設定対象の地点を示すインジケータ351が配置される。
【0078】
設定画面302に表示される画像は、車線認識部11が車線を認識する処理に用いた画像であり、車両1が走行している道路の道路画像320を含む。図7に例示する地点は交差点であるため、道路画像320と交差する道路の交差道路画像340が含まれる。設定画面302に表示される画像には、中央線画像321、外側線画像322、及び、境界線画像323が含まれる。これらは車両1が走行している道路の道路標示である。
【0079】
中央線画像321は、道路画像320における対向車線の境界を示す中央線の画像である。中央線画像321は交差点で途切れており、交差点より車両1に近い中央線画像321Aと、交差点よりも車両1から遠い位置にある中央線画像321Bとに分かれている。外側線画像322は、道路画像320の車道と路側帯との境界を示す外側線の画像である。外側線画像322は、交差点で途切れており、交差点より車両1に近い外側線画像322Aと、交差点よりも車両1から遠い位置にある外側線画像322Bとに分かれている。境界線画像323は、車両1が走行している道路の複数の車線の境界を示す境界線の画像である。境界線画像323は交差点で途切れており、交差点より車両1に近い境界線画像323Aと、交差点よりも車両1から遠い位置にある境界線画像323Bとに分かれている。
【0080】
設定画面302には、車線認識部11が認識した車線の位置を示す認識結果画像361が表示されてもよい。認識結果画像361は、車線認識部11が車線を認識した結果を示す画像である。図7の例では、中央線画像321A、外側線画像322A、及び、境界線画像323Aの位置に、認識結果画像361が表示される。この例では、認識結果画像361が、車両走行制御装置10が中央線画像321A、外側線画像322A、及び、境界線画像323Aを車線として認識したことをユーザに示している。
【0081】
一方、図7の例は、交差点において道路標示が存在しないことから、車線認識部11が中央線画像321Bと中央線画像321Aとが1つづきの車線であることを認識できなかったことを示している。
【0082】
ユーザが、設定画面302が表示された状態で、中央線画像321Aが中央線画像321Bに繋がることを指示する操作を行うと、車線認識部11は、中央線画像321Aと中央線画像321Bとを1つづきの車線として認識できるようになる。
外側線画像322B、及び境界線画像323Bについても同様である。
【0083】
設定画面302には、キャンセル指示ボタン371が配置されている。キャンセル指示ボタン371は、ユーザが設定画面302を利用した設定をキャンセルすることを指示するための操作用の画像である。
【0084】
図5に戻り、設定部13は、設定対象の地点の撮影画像と地図をディスプレイ51に表示させた後、ユーザがキャンセル操作を行ったか否かを判定する(ステップS46)。キャンセル操作は、例えば、キャンセル指示ボタン371の位置をタッチする操作である。
【0085】
キャンセル操作が行われた場合(ステップS46;YES)、設定部13はステップS54に移行する。
キャンセル操作が行われなかった場合(ステップS46;NO)、設定部13は、ユーザによって車線結合操作が行われたか否かを判定する(ステップS47)。
【0086】
図8は、ユーザが操作を行った場合の設定画面302の例を示す。
設定画面302が表示された状態で、ユーザはディスプレイ51に対するタッチ操作によって、車線を結合させる操作を行う。この操作は、ステップS47の車線結合操作の一例に対応する。
【0087】
図8は、ユーザの車線結合操作に応じて、設定部13が操作画像370を表示させた状態を示している。車線結合操作は、設定画面302の撮影画像に含まれる車線が伸びる方向を指定する操作である。例えば、中央線画像321Aと中央線画像321Bとの間、外側線画像322Aと外側線画像322Bとの間、或いは、境界線画像323Aと境界線画像323Bとの間を、ユーザが指でなぞる操作である。
【0088】
車線結合操作は、設定画面302に表示される複数の車線を結合させる操作に限定されない。例えば、設定画面302に表示される撮影画像において、何も写っていない領域に線を引くような操作であってもよい。つまり、車線結合操作は、車線認識部11が認識できなかった車線の延長方向を指定する操作であればよい。
【0089】
図8の操作画像370は、車線結合操作の結果を示しており、ユーザが指でディスプレイ51をなぞった軌跡を示す画像である。この例では、中央線画像321、外側線画像322、及び境界線画像323の全てに対して車線結合操作が行われたことに対応して、操作画像370が表示されている。
【0090】
操作画像370によって中央線画像321A及び境界線画像323Aから車線が延びる方向が指定されることにより、車線認識部11は、車両1が走行する経路が伸びる方向を特定することが可能となる。外側線画像322についても同様である。
【0091】
図5に戻り、設定部13は、車線結合操作が行われていないと判定した場合(ステップS47;NO)、ステップS46に戻り、操作を待機する。
車線結合操作が行われたと判定した場合(ステップS47;YES)、設定部13は、車線結合操作の内容を登録することを促す案内を、ディスプレイ51によって表示する(ステップS48)。例えば、設定部13は、登録するか否かを入力するための画面をディスプレイ51により表示させる。
【0092】
設定部13は、ステップS48で表示した案内に対するユーザの操作に基づいて、車線結合操作の内容を登録するか否かを判定する(ステップS49)。車線結合操作の内容を登録しない場合(ステップS49;NO)、設定部13は、ステップS46に戻る。
【0093】
車線結合操作の内容を登録する場合(ステップS49;YES)、設定部13は、車線結合操作の内容と、設定対象の地点の位置情報とを含む設定データ25を生成し、生成した設定データ25を記憶部20に記憶させる(ステップS50)。さらに、設定部13は、設定データ25を生成した地点に対応する履歴データ21を消去する(ステップS51)。
【0094】
設定部13は、ステップS50で記憶部20に記憶させた設定データ25を、サーバ200に送信する。
設定部13は、記憶部20に履歴データ21が記憶されているか否かを判定する(ステップS53)。すなわち、設定部13は、未処理の履歴データ21の有無を判定する。記憶部20に履歴データ21が記憶されている場合(ステップS53;YES)、設定部13はステップS43に戻る。履歴データ21が記憶部20に記憶されていない場合(ステップS53;NO)、設定部13は、ステップS54に移行する。
【0095】
ステップS54で、設定部13は、車両1の動作を、通常動作に復帰させて(ステップS54)、本処理を終了する。通常動作とは、車両1が停車したときの動作である。
【0096】
このように、本実施形態の車両走行制御装置10は、前方カメラ36の撮影画像をもとに車両1が走行している道路の道路標示を認識し、車両1に、車線の中央を維持して走行させる車線維持制御を実行する。車両走行制御装置10は、前方カメラ36の撮影画像から車線を認識する処理が成功しないことによって、車線維持制御が停止した場合に、履歴データ21を生成して記憶部20に記憶する。車両走行制御装置10は、履歴データ21に基づき、車線維持制御が停止した位置に関して設定部13による設定を行い、設定データ25を生成する。設定データ25は、車線維持制御が停止した位置において車両走行制御装置10が車線を認識することを補助するデータである。
この構成によって、ユーザが、車両走行制御装置10の車線維持制御が停止した位置について設定を行うことができる。設定後は、設定が行われた位置を車両1が通行する場合に、設定を反映させることにより、車線維持制御を継続できる可能性が高まる。従って、車両1の車線維持制御をユーザが利用できる機会が増え、ユーザの利便性が向上することが期待できる。
【0097】
履歴データ21は、車両走行制御装置10が車線維持制御を停止した位置の位置情報22、及び、撮影画像23を含む。このため、車線維持制御が停止した位置を特定し、車線の認識に利用された撮影画像23を確認しながら、ユーザが設定を行うことができる。従って、履歴データ21に基づいて、車線の認識が失敗しないように、効果的な設定を行うことができる。
【0098】
設定部13は、履歴データ21を一時的に記憶部20に記憶させた後、車線維持制御が所定時間内または所定範囲内の地点で再開しなかった場合に、履歴データ21を消去する。また、設定部13は、車両1が右折、左折、転回のいずれかに該当する動作を行った位置についての履歴データ21を消去する。つまり、車線維持制御が再開しなかった場合は設定の対象としない。これにより、設定部13によって設定を行うことが有効な場合を対象として設定を行うことができる。
【0099】
設定部13は、車両1が停車したと推定される状態になると、記憶部20に記憶された履歴データ21に基づき自動的に図5の動作を開始してもよい。この場合、自動的に設定が開始されるので、ユーザの記憶が薄れないうちに設定を行える一方、不要な設定を行うことは回避されることが好ましい。設定部13が、設定の対象として適切でない履歴データ21を消去することによって、不要な設定を省略することができ、ユーザの利便性を損なうことがない。
【0100】
設定部13は、ディスプレイ51に、履歴データ21に含まれる撮影画像23に基づく画像と、地図表示部350とを含む設定画面302を表示させて、設定を行う。このため、ユーザは、地図表示部350によって車線維持制御が停止した位置を確認し、車線認識部11が車線の認識に利用した画像を見ながら、設定を行える。このため、ユーザが、車線の認識を効果的に助けるために、どのような操作を行えばよいかが、容易に理解される。従って、ユーザがより容易に効果的な設定を行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0101】
設定部13は、記憶部20に複数の履歴データ21が記憶されている場合に、選択画面301を表示する。選択画面301では、設定対象の地点を含む地図が地図表示部312に表示され、撮影画像のサムネイル画像が表示される。このため、ユーザは、設定対象の地点を容易に選択できる。従って、ユーザが設定対象の位置を容易に認識することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0102】
車両走行制御装置10が生成した設定データ25は、サーバ200に送信される。車両走行制御装置10は、例えば、車両1が走行を開始する前、或いは任意のタイミングで、設定データ25をサーバ200から受信する。このように、情報共有システム100では、サーバ200から他の車両1に配信することによって、複数の車両1が設定データ25を共有できる。このため、複数のユーザが、車線維持制御を継続して利用できる機会を増やすことができ、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0103】
[4.他の実施形態]
上述した実施形態は一例であり、種々の変更が可能である。
例えば、設定部13は、選択画面301における優先度を、例えば、次の規則で決定することができる。すなわち、(1)車両1が直進した地点に高い優先度を与える。(2)車両1の車線維持制御が停止してから再開されるまでの時間が長い地点に高い優先度を与える。(3)車両1の車線維持制御が停止してから再開されるまでの時間が所定の閾値以上の地点に高い優先度を与える。(4)車線維持制御が停止しなかった履歴のある地点であって履歴データ21が生成された地点に高い優先度を与える。設定部13は、(1)~(4)の規則のいずれかを選択して適用してもよいし、(1)~(4)の規則のうち複数を併用してもよい。また、設定部13は、(1)~(4)の規則に基づき履歴データ21にポイントを付与し、ポイントが高い履歴データ21を優先して選択画面301に表示してもよい。
【0104】
設定部13が(1)の規則を適用する場合、車両1が直進した位置について、設定が優先される可能性が高まる。このため、車線維持制御が継続することの利便性が高い直進時に、車線維持制御が停止する事態を減少させるという効果が期待できる。
設定部13が(2)または(3)の規則を適用する場合、車線維持制御が停止した時間が長い位置について、設定が優先される可能性が高まる。(2)または(3)の規則の対象となる地点は、設定によって車線維持制御を停止させない効果が顕著に表れやすい。このため、効果的な設定を行うことができる。
設定部13が(4)の規則を適用する場合、道路標示の劣化等によって車線の認識が困難になった地点について、設定が優先される可能性が高まる。このため、車線維持制御が継続することをユーザが期待する地点について、設定を行い、車線維持制御が停止する事態を減少させるという効果が期待できる。
【0105】
また、例えば、車両1は四輪車に限定されず、自動二輪車であってもよいし、その他の車両であってもよい。また、上記実施形態では、車両1がフロントガラス2の内側に設置される前方カメラ36を備え、車両走行制御装置10が前方カメラ36の撮影画像をもとに車線を認識する構成を例に挙げて説明した。車両1が備えるカメラの構成は任意であり、車両1が、車両1の進行方向を撮影する複数のカメラを備えていてもよいし、カメラに加えてミリ波レーダーやLiDAR(Light Detection And Ranging)を備える構成であってもよい。また、例えば、前方カメラ36は単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。車両走行制御装置10は、前方カメラ36の撮影画像に加え、車両1の側方を撮影するカメラや、車両1の進行方向に対して斜め方向を撮影するカメラの撮影画像を組み合わせて、車線を認識する処理を行ってもよい。また、車両走行制御装置10は、道路の形状等に関する道路データを利用してもよい。この場合、車両走行制御装置10は、道路データが示す道路の形状と、前方カメラ36の撮影画像とに基づいて、車両1の車線維持制御を実行してもよい。
【0106】
車両1が備える入力部の構成は任意であり、例えば、車両走行制御装置10がマイクによる音声入力を受付可能な構成であってもよい。車両1が備える表示部の構成は、表示装置50に制限されず、例えば、ヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0107】
設定部13は、記憶部20に複数の履歴データ21が記憶されている場合に、選択画面301をディスプレイ51に表示させ、設定対象の地点をユーザに選択させる構成を説明した。設定部13は、選択画面301において、複数の地点の優先度を設けて表示してもよい。例えば、設定部13は、優先度の高い地点を上部に表示したり、優先度の高い地点を、他の地点より大きく表示したり、優先度の高い地点にハイライト表示やアイコンを付して視認性を高めて表示したりしてもよい。
【0108】
図1は車両1の制御系の構成を主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両1の構成を限定するものではない。例えば、車両走行制御装置10が備える構成要素の処理を、1つのハードウェアユニットにより実行してもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行してもよい。また、図3図4及び図5に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0109】
車両走行制御装置10のプロセッサが実行する制御プログラムは、可搬型の情報記録媒体に制御プログラムを記録させた状態で実現することも可能である。情報記録媒体は、ハードディスク等の磁気的記録媒体、CD等の光学的記録媒体、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶デバイスが挙げられるが、その他の記録媒体を用いることも可能である。車両走行制御装置10は、情報記録媒体から制御プログラムを読み出して実行してもよい。
【0110】
図3図4、及び図5に示す動作のステップ単位は、車両走行制御装置10の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は適宜に入れ替えてもよい。
【0111】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0112】
(構成1)車両が走行する道路上の車線を認識する車線認識部と、車線維持制御を行うことによって、前記車線認識部が認識した車線に合わせて前記車両を走行させる走行制御部と、前記車線維持制御が停止した位置を示す位置情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う設定部と、を備える、車両走行制御装置。
構成1の車両走行制御装置によれば、車線の認識を伴う車線維持制御が停止した位置について設定を行うことができる。このため、同じ位置を車両が通行する場合に、設定を反映させることにより、車線維持制御を停止しにくくすることが可能となる。従って、道路に標示された車線の認識に関する制御が停止する事態を回避または抑制することができる。
【0113】
(構成2)前記記憶部は、前記車線維持制御が停止した後、所定時間内に前記車線維持制御が再開した場合に、前記位置情報を記憶する、構成1に記載の車両走行制御装置。
構成2の車両走行制御装置によれば、車線維持制御が停止し、その後に再開した位置について、車線維持制御が継続して行われるように設定を行うことができる。車線維持制御が一時的に停止した位置では、車線の認識の困難性が低いといえるため、設定によって車線維持制御を継続できる可能性が高い。このため、設定によって、車線の認識に関する制御が停止する事態を、より効果的に回避または抑制できる。
【0114】
(構成3)入力を受け付ける入力部と、表示部とを備え、前記車線認識部は、前記道路の撮影画像から前記車線を認識する構成であり、前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像を前記表示部に表示させ、前記入力部により受け付けた入力に基づいて設定を行う、構成1または構成2に記載の車両走行制御装置。
構成3の車両走行制御装置によれば、撮影画像をもとに車線を認識する制御に関する設定を行う場合に、撮影画像を表示するので、車線の認識に関してより効果的な設定を行うことができる。
【0115】
(構成4)前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像に、前記車線認識部の認識結果を示す画像を重ねて前記表示部に表示させる、構成3に記載の車両走行制御装置。
構成4の車両走行制御装置によれば、設定を行うユーザが、道路の撮影画像において車線の認識結果を視認できる。これにより、車線の認識に関する制御を停止させないために必要な設定をユーザが容易に理解できる。
【0116】
(構成5)前記設定部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報に対応する前記道路の撮影画像と、前記位置情報に対応する地図とを前記表示部に表示させる、構成3または構成4に記載の車両走行制御装置。
構成5の車両走行制御装置によれば、設定を行うユーザが、設定を行う対象の位置を容易に理解できる。これにより、設定を行うユーザの操作性を高めることができる。
【0117】
(構成6)前記設定部は、前記車両が走行していないと推定される状態である場合に、前記道路の撮影画像を前記表示部に表示させる、構成3から構成5のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
構成6の車両走行制御装置によれば、ユーザが撮影画像を見て設定を行う操作を行う間、より確実に、ユーザの安全を確保できる。
【0118】
(構成7)前記設定部は、前記車線維持制御が停止した複数の位置の位置情報が前記記憶部に記憶されている場合に、前記車線維持制御が停止した複数の位置を候補として前記表示部により表示させ、前記入力部により受け付けた入力に基づいて前記候補を選択する、構成3から構成6のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
構成7の車両走行制御装置によれば、車両が走行する間に複数の位置で車線維持制御が停止した場合に、ユーザが、これらの位置を選択して設定を行うことができる。これにより、設定を行うユーザの操作性の向上が期待できる。
【0119】
(構成8)前記設定部は、前記車線維持制御が停止してから再開するまでの間に、前記車両の右折、左折、及び転回のいずれかが行われた位置を除き、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、構成1から構成7のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
構成8の車両走行制御装置によれば、設定によって車線を認識する制御を継続させることが容易でない場所を、設定の対象としないので、より効率よく設定を行うことができる。
【0120】
(構成9)車両が走行する道路上の車線を認識し、認識した車線に合わせて前記車両を走行させる車線維持制御を実行し、前記車線維持制御が停止した場合に、停止した位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、車両走行制御方法。
構成8の車両走行制御方法によれば、車線の認識を伴う車線維持制御が停止した位置について設定を行うことができる。このため、同じ位置を車両が通行する場合に、設定を反映させることにより、車線維持制御を停止しにくくすることが可能となる。従って、道路に標示された車線の認識に関する制御が停止する事態を回避または抑制することができる。
【0121】
(構成10)車両走行制御装置を制御するコンピュータが実行可能なプログラムであって、前記コンピュータにより、認識した車線に合わせて前記車両を走行させる車線維持制御を実行し、前記車線維持制御が停止した場合に、停止した位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づいて、前記車線維持制御を継続させる設定を行う、ためのプログラム。
構成10のプログラムを、車両走行制御を行うコンピュータが実行することによって、車線の認識を伴う車線維持制御が停止した位置について設定を行うことができる。このため、同じ位置を車両が通行する場合に、設定を反映させることにより、車線維持制御を停止しにくくすることが可能となる。従って、道路に標示された車線の認識に関する制御が停止する事態を回避または抑制することができる。
【符号の説明】
【0122】
1…車両、10…車両走行制御装置、11…車線認識部、12…走行制御部、13…設定部、20…記憶部、21…履歴データ、22…位置情報、23…撮影画像、24…地図データ、25…設定データ、31…車両制御部、32…イグニッションスイッチ、33…車速センサ、34…パーキングブレーキ、35…シフトスイッチ、36…前方カメラ、37…GNSS、38…通信部、39…バス、40…電動ステアリング装置、41…舵角センサ、42…ステアリング駆動モータ、50…表示装置、51…ディスプレイ(表示部)、52…タッチセンサ(入力部)、100…情報共有システム、200…サーバ、301…選択画面、302…設定画面、311…案内表示部、320…道路画像、340…交差道路画像、350…地図表示部、361…認識結果画像、370…操作画像、371…キャンセル指示ボタン、N…通信ネットワーク。
図1
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