(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241011BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 Q
(21)【出願番号】P 2021213201
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一郎
(72)【発明者】
【氏名】小池 陽介
(72)【発明者】
【氏名】小森 賢二
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-102690(JP,A)
【文献】特開2018-031878(JP,A)
【文献】特開2015-130069(JP,A)
【文献】特開2021-187362(JP,A)
【文献】国際公開第2016/024318(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識する回避対象認識部と、
前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスであって、前記複数の段階ごとに異なるアドバイスを出力装置に出力させる出力制御部と、
前記すれ違いの際における、前記自車両と前記回避対象との間の距離を示すマージンを検出するマージン検出部と、
を備え
、
前記出力制御部は、前記すれ違いの前段階において、過去の前記すれ違いの際に前記マージン検出部によって検出された前記マージンに基づき、前記運転手の運転傾向を示す前記アドバイスを前記出力装置に出力させる、
運転支援装置。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記すれ違いの前段階において、過去の前記すれ違いの際に前記マージン検出部によって検出された前記マージンに基づき、前記運転手の運転傾向
が前記自車両の進行方向に対して左右のどちらに寄りがちであるのかを示す前記アドバイスを前記出力装置に出力させる、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記マージン検出部によって検出された前記マージンに基づき、前記すれ違いの際における前記運転手の運転を評価する評価部を更に備え、
前記出力制御部は、前記すれ違いの後段階において、前記評価部の評価結果に基づく前記アドバイスを前記出力装置に出力させる、
請求項
1または2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記マージン検出部は、前記すれ違いの際における、前記自車両と前記回避対象との間の最短距離を、前記マージンとして検出する、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記出力装置は、表示部およびスピーカを含み、
前記出力制御部は、前記すれ違いが行われている段階において
、前記アドバイスの内容を示すメッセージを前記表示部に表示させる一方、前記アドバイスの内容を読み上げる音声を前記スピーカに出力させない、
請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記自車両が走行可能な前記道路の幅を示す走行可能幅を検出する走行可能幅検出部を更に備え、
前記出力制御部は、前記走行可能幅検出部によって検出された前記走行可能幅が所定幅より大きい場合、前記アドバイスを前記出力装置に出力させない、
請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記自車両の走行方向における、前記自車両と前記回避対象との間の距離を測定する距離測定部を更に備え、
前記出力制御部は、前記距離測定部によって測定された前記距離に基づき、前記すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記自車両の走行方向における、前記自車両と、前記走行可能幅検出部によって検出された前記走行可能幅が前記所定幅以下となる位置との間の距離を測定する距離測定部を更に備え、
前記出力制御部は、前記距離測定部によって測定された前記距離に基づき、前記すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定する、
請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項9】
コンピュータが、
自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識し、
前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスであって、前記複数の段階ごとに異なるアドバイスを出力装置に出力させ
、
前記すれ違いの際における、前記自車両と前記回避対象との間の距離を示すマージンを検出し、
前記すれ違いの前段階において、過去の前記すれ違いの際に検出された前記マージンに基づき、前記運転手の運転傾向を示す前記アドバイスを前記出力装置に出力させる、
運転支援方法。
【請求項10】
コンピュータに、
自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識させ、
前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスであって、前記複数の段階ごとに異なるアドバイスを出力装置に出力させ
、
前記すれ違いの際における、前記自車両と前記回避対象との間の距離を示すマージンを検出させ、
前記すれ違いの前段階において、過去の前記すれ違いの際に検出された前記マージンに基づき、前記運転手の運転傾向を示す前記アドバイスを前記出力装置に出力させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両が他車両とすれ違う際に、運転手の運転を支援する運転支援装置が開示されている。例えば、特許文献1には、自車両に設けられたカメラを用いて自車両が他車両とすれ違っているか否かを判定し、自車両が他車両とすれ違っている場合に自車両の周辺の状況を運転手に報知し、すれ違いが完了したことに応じて報知を終了する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、自車両と他車両とがすれ違っている場合にのみ報知し、すれ違いが完了したことに応じて報知を終了するため、すれ違い前やすれ違い後を含む複数の段階で、適切な運転支援通知を行うことができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、すれ違い前やすれ違い後を含む複数の段階で、適切な運転支援通知を行うことができる運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る運転支援装置は、車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識する回避対象認識部と、前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスであって、前記複数の段階ごとに異なるアドバイスを出力装置に出力させる出力制御部と、を備えるものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記すれ違いの際における、前記自車両と前記回避対象との間の距離を示すマージンを検出するマージン検出部を更に備え、前記出力制御部は、前記すれ違いの前段階において、過去の前記すれ違いの際に前記マージン検出部によって検出された前記マージンに基づき、前記運転手の運転傾向に応じた前記アドバイスを前記出力装置に出力させるものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記マージン検出部によって検出された前記マージンに基づき、前記すれ違いの際における前記運転手の運転を評価する評価部を更に備え、前記出力制御部は、前記すれ違いの後段階において、前記評価部の評価結果に基づく前記アドバイスを前記出力装置に出力させるものである。
【0009】
(4):上記(2)または(3)の態様において、前記マージン検出部は、前記すれ違いの際における、前記自車両と前記回避対象との間の最短距離を、前記マージンとして検出するものである。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記出力制御部は、前記すれ違いが行われている段階においては前記アドバイスを前記出力装置に出力させないものである。
【0011】
(6):上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記自車両が走行可能な前記道路の幅を示す走行可能幅を検出する走行可能幅検出部を更に備え、前記出力制御部は、前記走行可能幅検出部によって検出された前記走行可能幅が所定幅より大きい場合、前記アドバイスを前記出力装置に出力させないものである。
【0012】
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記自車両の走行方向における、前記自車両と前記回避対象との間の距離を測定する距離測定部を更に備え、前記出力制御部は、前記距離測定部によって測定された前記距離に基づき、前記すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定するものである。
【0013】
(8):上記(6)の態様において、前記自車両の走行方向における、前記自車両と、前記走行可能幅検出部によって検出された前記走行可能幅が前記所定幅以下となる位置との間の距離を測定する距離測定部を更に備え、前記出力制御部は、前記距離測定部によって測定された前記距離に基づき、前記すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定するものである。
【0014】
(9):この発明の一態様に係る運転支援方法は、コンピュータが、自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識し、前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスであって、前記複数の段階ごとに異なるアドバイスを出力装置に出力させるものである。
【0015】
(10):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識させ、前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスであって、前記複数の段階ごとに異なるアドバイスを出力装置に出力させるものである。
【発明の効果】
【0016】
(1)~(10)の態様によれば、すれ違い前やすれ違い後を含む複数の段階で、適切な運転支援通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る運転支援装置を利用した車両システム1の構成図である。
【
図2】自車両と対向車両とのすれ違いの前段階の状況を示す図である。
【
図3】自車両と対向車両とのすれ違いの状況を示す図である。
【
図4】自車両と対向車両とのすれ違いの後段階の状況を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る運転支援装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る自車両と対向車両とのすれ違いの前段階の状況を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る自車両と対向車両とのすれ違いの後段階の状況を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る運転支援装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の運転支援装置、運転支援方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0019】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係る運転支援装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0020】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection And Ranging)14と、ソナー15と、物体認識装置16と、HMI(Human Machine Interface)30と、運転支援装置100とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0021】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し車両の周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0022】
レーダ装置12は、車両の周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、車両の任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0023】
LIDAR14は、車両の周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、車両の任意の箇所に取り付けられる。なお、LIDAR14は、車両の進行方向に対して横方向及び縦方向にスキャンすることにより、車両から対象までの距離を検出する。
【0024】
ソナー15は、車両の周辺に超音波を放射し、車両から所定距離以内に存在する物体による反射又は散乱を検出することによって、当該物体までの距離又は位置などを検知する。ソナー15は、例えば、車両の前端部および後端部に設けられバンパー等に設置される。
【0025】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、LIDAR14、およびソナー15のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を運転支援装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、LIDAR14、およびソナー15の検出結果をそのまま運転支援装置100に出力してよい。なお、物体認識装置16の機能を運転支援装置100に組み込み、車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。物体認識装置16によって認識される物体には、車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象と、道路と道路以外の部分との境界である道路境界とが含まれる。
【0026】
HMI30は、車両の乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、表示部32およびスピーカ34を含む。表示部32は、例えば、メータ内に設けられた表示部、またはヘッドアップディスプレイ(HUD)であってよい。スピーカ34は、例えば、車両の車室内に設けられた音声出力装置であってよい。HMI30は、表示部32およびスピーカ34に加えて、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含んでもよい。
【0027】
運転支援装置100は、運転手による車両の運転を支援する装置である。運転支援装置100は、例えば、走行可能幅検出部110と、回避対象認識部120と、距離測定部130と、マージン検出部140と、評価部150と、出力制御部160と、記憶部170とを備える。走行可能幅検出部110、回避対象認識部120、距離測定部130、マージン検出部140、評価部150、および出力制御部160は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0028】
記憶部170は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically ErasableProgrammable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部170には、例えば、実施形態における各種制御を実行するために必要な情報、プログラム、その他の各種情報等が格納される。各種情報として、例えば、自車両の過去の運転に関する運転データが記憶部170に格納されてもよい。
【0029】
走行可能幅検出部110は、物体認識装置16から出力される認識結果に基づき、自車両が走行可能な道路の幅を示す走行可能幅を検出する。走行可能幅検出部110による走行可能幅の検出については、後ほど詳細に説明する。
【0030】
回避対象認識部120は、物体認識装置16から出力される認識結果に基づき、自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識する。回避対象は、例えば、対向車両や歩行者などの交通参加者、電柱や駐車車両、放置物体などの静的障害物、道路境界などである。
【0031】
距離測定部130は、回避対象認識部120によって認識された回避対象(対向車両など)の位置に基づき、自車両と回避対象との間の距離を測定する。例えば、距離測定部130は、自車両の重心位置および回避対象の重心位置に基づき、自車両と回避対象との間の距離を測定してもよい。距離測定部130による測定方法はこれに限られず、自車両の任意の1点と回避対象の任意の1点との間の距離を、自車両と回避対象との間の距離として測定してよい。
【0032】
マージン検出部140は、自車両と回避対象(対向車両など)とのすれ違いの際における、自車両と回避対象との間の距離を示すマージンを検出する。例えば、マージン検出部140は、自車両と回避対象との間の距離を、ソナー15の検知結果に基づいて検出してもよい。マージン検出部140の検出方法はこれに限るものではなく、他のセンサを用いてマージンを検出してもよい。また、マージン検出部140は、すれ違いの際における、自車両と回避対象との間の最短距離を、マージンとして検出してもよい。
【0033】
評価部150は、マージン検出部140によって検出されたマージンに基づき、すれ違いの際における運転手の運転を評価する。例えば、評価部150は、すれ違いの際に自車両の左右のマージンが十分に確保されているか、自車両が右に寄り過ぎているか、左に寄り過ぎているか等といった評価を行う。
【0034】
出力制御部160は、自車両と回避対象とのすれ違いの前段階およびすれ違いの後段階を含む複数の段階において、自車両を運転する運転手に対するアドバイスをHMI30などの出力装置に出力させる。例えば、出力制御部160は、アドバイスの内容を示すメッセージを表示部32に表示させてもよいし、アドバイスの内容を読み上げる音声をスピーカ34に出力させてもよい。以下、すれ違いの前段階、すれ違いの段階、およびすれ違いの後段階のそれぞれにおける、本実施形態のアドバイスの出力処理について詳細に説明する。
【0035】
[すれ違いの前段階]
図2は、自車両と対向車両とのすれ違いの前段階の状況を示す図である。
図2において、上方向をX方向とし、右方向をY方向とする。自車両310は+X方向に走行しており、対向車両320は-X方向に走行している。
【0036】
図2には、自車両310が道路を走行中に接触を回避すべき対象(回避対象)の一例として、対向車両320、電柱330、道路境界340Lおよび340Rが示されている。道路境界340Lおよび340Rは、例えば、白線、ガードレール、壁、または段差などである。
【0037】
自車両310の運転手が運転に慣れていない場合、車線の中央を走行するのではなく、車線の左右の何れかに寄って走行する可能性がある。自車両310が車線の左右の何れかに寄って走行すると、自車両310が回避対象(対向車両320など)に近づきすぎてしまったり、自車両が回避対象に接触してしまったりする可能性がある。
【0038】
このため、出力制御部160は、自車両310を運転する運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させる。具体的に、出力制御部160は、すれ違いの前段階において、過去のすれ違いの際にマージン検出部140によって検出されたマージンに基づき、運転手の運転傾向に応じたアドバイスをHMI30に出力させる。例えば、出力制御部160は、過去のすれ違いの際にマージン検出部140によって検出されたマージンを、記憶部170に記憶された過去の運転データから取得してもよい。
【0039】
すれ違いの前段階におけるアドバイスは、例えば、「右に寄りがちだよ」または「左に寄りがちだよ」といった内容である。なお、アドバイスの内容は、運転手の運転に対するアドバイスであれば、これらの内容に限られない。
【0040】
例えば、自車両310と回避対象とのすれ違いの際に、運転手が自車両310を右に寄せて走行する傾向がある場合、出力制御部160は、
図2に示されるように「右に寄りがちだよ」というアドバイスをHMI30に出力させる。この場合、出力制御部160は、「右に寄りがちだよ」というアドバイスを表示部32に表示させてもよいし、アドバイスの内容を読み上げる音声をスピーカ34に出力させてもよい。これによって、自車両310の運転手は、すれ違いの前段階において運転手の運転傾向に応じたアドバイスを把握することができる。
【0041】
ただし、自車両310が回避対象に近づきすぎてしまったり、自車両310が回避対象に接触してしまったりする可能性が低い場合には、出力制御部160は、運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させなくてもよい。例えば、自車両310が走行可能な道路の幅を示す走行可能幅Wが所定幅より大きい場合には、出力制御部160は、運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させなくてもよい。この点について、以下説明する。
【0042】
自車両310と対向車両320とのすれ違いの前段階において、走行可能幅検出部110は、自車両310が走行可能なY方向の道路の幅を示す走行可能幅Wを検出する。
図2に示される例において、走行可能幅Wは、対向車両320と道路境界340Lとの間の距離である。例えば、走行可能幅検出部110は、LIDAR14の検知結果に基づいて走行可能幅Wを検出してもよい。走行可能幅検出部110の検出方法はこれに限るものではなく、他のセンサを用いて走行可能幅Wを検出してもよい。
【0043】
次に、出力制御部160は、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1より大きいか否かを判定する。所定幅W1は予め設定された値であり、例えば275[cm]程度の値である。
【0044】
走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1より大きい場合、自車両310が回避対象(対向車両320、電柱330、壁、またはガードレール等)に近づきすぎてしまったり、自車両が回避対象に接触してしまったりする可能性は低い。このため、出力制御部160は、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1より大きい場合には、運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させないこととする。これによって、運転支援装置100の処理負荷を低減させることができる。
【0045】
[すれ違いの段階]
図3は、自車両と対向車両とのすれ違いの状況を示す図である。
図3に示されるように、自車両310と対向車両320とがすれ違う際には、マージン検出部140が自車両310の左右のマージンを検出する。マージンは、自車両310と回避対象(対向車両320など)とのすれ違いの際における、自車両310と回避対象との間の距離を示す値である。
【0046】
マージンM1は、自車両310の右側のマージンである。
図3の例において、マージンM1は、自車両310と対向車両320とのすれ違い時における、自車両310と対向車両320との間のY方向の距離を示す。マージンM2は、自車両310の左側のマージンである。
図3の例において、マージンM2は、自車両310と道路境界340Lとの間のY方向の距離を示す。なお、自車両310が電柱330とすれ違う場合には、マージンM2は、自車両310と電柱330との間の距離を示すこととなる。マージンM1およびM2は、例えば、ソナー15の検知結果に基づいて検出してもよい。
【0047】
マージン検出部140は、すれ違いの際における、自車両310と回避対象(対向車両320など)との間の最短距離を、マージンとして検出してもよい。マージン検出部140は、検出したマージンM1およびM2を、記憶部170に記憶する。
【0048】
なお、
図3に示されるように、自車両310と対向車両320とのすれ違いが行われている段階において、出力制御部160は、運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させない。これによって、自車両310と対向車両320とのすれ違いの際に、運転手は自車両310の運転に集中することができる。
【0049】
また、自車両310と対向車両320とのすれ違いが行われている段階において、出力制御部160は、アドバイスの内容を示すメッセージを表示部32に表示させる一方、アドバイスの内容を読み上げる音声をスピーカ34に出力させないようにしてもよい。このようにしても、自車両310と対向車両320とのすれ違いの際に、運転手は自車両310の運転に集中することができる。
【0050】
[すれ違いの後段階]
図4は、自車両と対向車両とのすれ違いの後段階の状況を示す図である。すれ違いの後段階において、評価部150は、マージン検出部140によって検出されたマージンM1およびM2に基づき、すれ違いの際における運転手の運転を評価する。出力制御部160は、すれ違いの後段階において、評価部150の評価結果に基づくアドバイスをHMI30に出力させる。
【0051】
すれ違いの後段階におけるアドバイスは、例えば、「今の運転は良かったよ」、「あと〇〇cm左に寄れたよ」、「あと〇〇cm右に寄れたよ」、「今の運転は危険運転だよ」といった内容である。なお、アドバイスの内容は、運転手の運転に対するアドバイスであれば、これらの内容に限られない。
【0052】
例えば、評価部150は、マージンM1からマージンM2を除算することによって得られる差分(M1-M2)を算出する。評価部150は、算出した差分の絶対値が所定値未満である場合、良い運転であったという評価結果を生成する。この場合、出力制御部160は、評価部150の評価結果に基づき、「今の運転は良かったよ」というアドバイスをHMI30に出力させる。
【0053】
一方、算出した差分の絶対値が所定値以上、かつ、M1<M2である場合、右に寄り過ぎであったという評価結果を生成する。この場合、出力制御部160は、評価部150の評価結果に基づき、「あと〇〇cm左に寄れたよ」というアドバイスをHMI30に出力させる。評価部150は、算出した差分の絶対値を2で除算することにより、「〇〇cm」の値を算出してもよい。
【0054】
また、算出した差分の絶対値が所定値以上、かつ、M1>M2である場合、左に寄り過ぎであったという評価結果を生成する。この場合、出力制御部160は、評価部150の評価結果に基づき、「あと〇〇cm右に寄れたよ」というアドバイスをHMI30に出力させる。この場合も同様に、評価部150は、算出した差分の絶対値を2で除算することにより、「〇〇cm」の値を算出してもよい。
【0055】
また、マージンM1またはM2が所定値以下である場合、危険運転であったという評価結果を生成する。この場合、出力制御部160は、評価部150の評価結果に基づき、「今の運転は危険運転だよ」というアドバイスをHMI30に出力させる。なお、危険運転の判定に用いられる所定値は予め設定された値であり、例えば10[cm]程度の値である。
【0056】
なお、前述したように、距離測定部130は、自車両310の走行方向における、自車両310と回避対象との間の距離を測定する。出力制御部160は、距離測定部130によって測定された距離に基づき、すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定する。例えば、距離測定部130によって測定された自車両310と回避対象との間の距離が第1閾値TH1以下になった場合、出力制御部160は、すれ違いの前段階になったと判定してよい。第1閾値TH1は予め設定された値であり、例えば200[cm]程度の値である。また、すれ違いが完了した後、距離測定部130によって測定された自車両310と回避対象との間の距離が第2閾値TH2以上になった場合、すれ違いの後段階になったと判定してよい。第2閾値TH2は予め設定された値であり、例えば200[cm]程度の値である。
【0057】
[運転支援装置のフローチャート]
図5は、第1実施形態に係る運転支援装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、運転手が自車両310の運転を開始したことに応じて実行される。本フローチャートにおいては、回避対象が対向車両320である例について説明する。
【0058】
まず、走行可能幅検出部110は、自車両310が走行可能な道路の幅を示す走行可能幅Wを検出する。出力制御部160は、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下であるか否かを判定する(ステップS101)。前述の通り、所定幅W1は予め設定された値であり、例えば275[cm]程度の値である。
【0059】
走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下である場合、出力制御部160は、距離測定部130の測定結果に基づき、自車両310から対向車両320までの距離が第1閾値TH1以下であるか否かを判定する(ステップS102)。自車両310から対向車両320までの距離が第1閾値TH1以下ではない場合、前述のステップS101の処理に戻る。
【0060】
一方、自車両310から対向車両320までの距離が第1閾値TH1以下である場合、出力制御部160は、すれ違いの前段階のアドバイスをHMI30に出力させる(ステップS103)。具体的に、出力制御部160は、過去のすれ違いの際にマージン検出部140によって検出されたマージンに基づき、運転手の運転傾向に応じたアドバイスをHMI30に出力させる。例えば、出力制御部160は、「右に寄りがちだよ」または「左に寄りがちだよ」といった内容のアドバイスをHMI30に出力させる。
【0061】
次に、出力制御部160は、距離測定部130の測定結果に基づき、自車両310から対向車両320までの距離が第2閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS104)。自車両310から対向車両320までの距離が第2閾値TH2以上ではない場合、出力制御部160は、運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させず(ステップS105)、ステップS104処理に戻る。これによって、自車両310と対向車両320とのすれ違いの際に、運転手は自車両310の運転に集中することができる。
【0062】
一方、自車両310から対向車両320までの距離が第2閾値TH2以上である場合、出力制御部160は、すれ違いの後段階のアドバイスをHMI30に出力させる(ステップS106)。具体的に、評価部150が、マージン検出部140によって検出されたマージンM1およびM2に基づき、すれ違いの際における運転手の運転を評価し、出力制御部160が、すれ違いの後段階において、評価部150の評価結果に基づくアドバイスをHMI30に出力させる。例えば、出力制御部160は、「今の運転は良かったよ」、「あと〇〇cm左に寄れたよ」、「あと〇〇cm右に寄れたよ」、「今の運転は危険運転だよ」といった内容のアドバイスをHMI30に出力させる。
【0063】
次に、出力制御部160は、運転を終了するか否かを判定する(ステップS107)。例えば、出力制御部160は、運転手が自車両310のエンジンを停止した場合に、運転を終了すると判定する。運転を終了すると判定した場合、本フローチャートによる処理を終了する。一方、運転を終了すると判定しなかった場合、前述のステップS101の処理に戻る。
【0064】
なお、前述のステップS101において、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下ではないと判定された場合、出力制御部160は、ステップS102~S106の処理を行うことなく、ステップS107の処理に進む。これによって、運転支援装置100の処理負荷を低減させることができる。
【0065】
以上の通り説明した第1実施形態によれば、出力制御部160は、自車両310と回避対象(対向車両320など)とのすれ違いの前段階およびすれ違いの後段階を含む複数の段階において、自車両310を運転する運転手に対するアドバイスであって、複数の段階ごとに異なるアドバイスをHMI30に出力させる。これにより、すれ違い前やすれ違い後を含む複数の段階で、適切な運転支援通知を行うことができる。
【0066】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態において、出力制御部160は、自車両310の位置(例えば、重心位置)と、回避対象の位置(例えば、重心位置)との間の距離に基づいて、すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定することとした。一方、第2実施形態においては、自車両310の位置と、走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置との間の距離に基づいて、すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定することとする。これによって、回避対象の位置を正確に把握するのが難しい場合であっても、すれ違いの前段階または後段階を正確に判定することができる。以下、第2実施形態の詳細について説明する。
【0067】
[すれ違いの前段階]
図6は、第2実施形態に係る自車両と対向車両とのすれ違いの前段階の状況を示す図である。
図6において、上方向をX方向とし、右方向をY方向とする。自車両310は+X方向に走行しており、対向車両320は-X方向に走行している。
【0068】
自車両310と対向車両320とのすれ違いの前段階において、走行可能幅検出部110は、自車両310が走行可能なY方向の道路の幅を示す走行可能幅Wを検出する。
図6に示される例において、走行可能幅Wは、対向車両320と道路境界340Lとの間の距離である。例えば、走行可能幅検出部110は、LIDAR14の検知結果に基づいて走行可能幅Wを検出してもよい。走行可能幅検出部110の検出方法はこれに限るものではなく、他のセンサを用いて走行可能幅Wを検出してもよい。
【0069】
次に、距離測定部130は、自車両310の走行方向における、自車両310と走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置との間の距離Dを測定する。例えば、距離測定部130は、自車両310の前端の中央から、走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置との間の距離Dを測定する。距離測定部130による距離Dの測定方法は、これに限られない。例えば、自車両310の任意の1点と、走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置の任意の一点との間の距離を、距離Dとして測定してよい。
【0070】
出力制御部160は、距離測定部130によって測定された距離Dに基づき、すれ違いの前段階に到達したか否かを判定する。例えば、距離測定部130によって測定された距離Dが第1閾値TH1以下になった場合、出力制御部160は、すれ違いの前段階になったと判定してよい。
【0071】
[すれ違いの後段階]
図7は、第2実施形態に係る自車両と対向車両とのすれ違いの後段階の状況を示す図である。
図7において、上方向をX方向とし、右方向をY方向とする。自車両310は+X方向に走行しており、対向車両320は-X方向に走行している。
【0072】
自車両310と対向車両320とのすれ違いの後段階において、走行可能幅検出部110は、自車両310の後方の走行可能幅Wを検出する。
図6に示される例において、走行可能幅Wは、対向車両320と道路境界340Lとの間の距離である。例えば、走行可能幅検出部110は、自車両310の後部に設けられたLIDAR14の検知結果に基づいて走行可能幅Wを検出してもよい。走行可能幅検出部110の検出方法はこれに限るものではなく、他のセンサを用いて走行可能幅Wを検出してもよい。
【0073】
次に、距離測定部130は、自車両310が対向車両320とすれ違った後、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置との間の距離Dを測定する。例えば、距離測定部130は、自車両310の後端の中央から、走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置との間の距離Dを測定する。距離測定部130による距離Dの測定方法は、これに限られない。例えば、自車両310の任意の1点と、走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置の任意の一点との間の距離を、距離Dとして測定してよい。
【0074】
出力制御部160は、距離測定部130によって測定された距離Dに基づき、すれ違いの後段階に到達したか否かを判定する。例えば、距離測定部130によって測定された距離Dが第2閾値TH2以上になった場合、出力制御部160は、すれ違いの後段階になったと判定してよい。
【0075】
例えば、対向車両320が大型トラックの場合、車体がX方向に長いため、車体の位置(例えば、重心位置)を正確に把握することが難しい。このような場合には、第1実施形態の距離測定方法よりも、第2実施形態の距離測定方法を用いた方が、すれ違いの前段階または後段階を正確に判定することができる。
【0076】
[運転支援装置のフローチャート]
図8は、第2実施形態に係る運転支援装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、運転手が自車両310の運転を開始したことに応じて実行される。本フローチャートにおいては、回避対象が対向車両320である例について説明する。
【0077】
まず、走行可能幅検出部110は、自車両310が走行可能な道路の幅を示す走行可能幅Wを検出する。出力制御部160は、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下であるか否かを判定する(ステップS201)。前述の通り、所定幅W1は予め設定された値であり、例えば275[cm]程度の値である。
【0078】
走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下である場合、出力制御部160は、距離測定部130の測定結果に基づき、自車両310から走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置までの距離Dが第1閾値TH1以下であるか否かを判定する(ステップS202)。自車両310から走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置までの距離が第1閾値TH1以下ではない場合、前述のステップS201の処理に戻る。
【0079】
一方、自車両310から走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置までの距離が第1閾値TH1以下である場合、出力制御部160は、すれ違いの前段階のアドバイスをHMI30に出力させる(ステップS203)。具体的に、出力制御部160は、過去のすれ違いの際にマージン検出部140によって検出されたマージンに基づき、運転手の運転傾向に応じたアドバイスをHMI30に出力させる。例えば、出力制御部160は、「右に寄りがちだよ」または「左に寄りがちだよ」といった内容のアドバイスをHMI30に出力させる。
【0080】
次に、出力制御部160は、距離測定部130の測定結果に基づき、自車両310から走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置までの距離Dが第2閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS204)。自車両310から走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置までの距離Dが第2閾値TH2以上ではない場合、出力制御部160は、運転手に対するアドバイスをHMI30に出力させず(ステップS205)、ステップS204処理に戻る。これによって、自車両310と対向車両320とのすれ違いの際に、運転手は自車両310の運転に集中することができる。
【0081】
一方、自車両310から走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置までの距離が第2閾値TH2以上である場合、出力制御部160は、すれ違いの後段階のアドバイスをHMI30に出力させる(ステップS206)。具体的に、評価部150が、マージン検出部140によって検出されたマージンM1およびM2に基づき、すれ違いの際における運転手の運転を評価し、出力制御部160が、すれ違いの後段階において、評価部150の評価結果に基づくアドバイスをHMI30に出力させる。例えば、出力制御部160は、「今の運転は良かったよ」、「あと〇〇cm左に寄れたよ」、「あと〇〇cm右に寄れたよ」、「今の運転は危険運転だよ」といった内容のアドバイスをHMI30に出力させる。
【0082】
次に、出力制御部160は、運転を終了するか否かを判定する(ステップS207)。例えば、出力制御部160は、運転手が自車両310のエンジンを停止した場合に、運転を終了すると判定する。運転を終了すると判定した場合、本フローチャートによる処理を終了する。一方、運転を終了すると判定しなかった場合、前述のステップS201の処理に戻る。
【0083】
なお、前述のステップS201において、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下ではないと判定された場合、出力制御部160は、ステップS202~S206の処理を行うことなく、ステップS207の処理に進む。これによって、運転支援装置100の処理負荷を低減させることができる。
【0084】
以上の通り説明した第2実施形態によれば、距離測定部130は、自車両310の走行方向における、自車両310と、走行可能幅検出部110によって検出された走行可能幅Wが所定幅W1以下となる位置との間の距離Dを測定し、出力制御部160は、距離測定部130によって測定された距離Dに基づき、すれ違いの前段階または後段階に到達したか否かを判定する。これにより、回避対象の位置を把握し難い場合であっても、すれ違いの前段階または後段階を正確に判定することができる。
【0085】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
自車両が道路を走行中に接触を回避すべき対象である回避対象を認識し、
前記自車両と前記回避対象とのすれ違いの前段階および前記すれ違いの後段階を含む複数の段階において、前記自車両を運転する運転手に対するアドバイスを出力装置に出力させる、
運転支援装置。
【0086】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 車両システム
30 HMI(出力装置)
100 運転支援装置
110 走行可能幅検出部
120 回避対象認識部
130 距離測定部
140 マージン検出部
150 評価部
160 出力制御部
170 記憶部
310 自車両
320 対向車両