(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】通信端末装置、基地局装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20241011BHJP
H04W 72/21 20230101ALI20241011BHJP
【FI】
H04W64/00 173
H04W64/00 140
H04W72/21
(21)【出願番号】P 2021509435
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012912
(87)【国際公開番号】W WO2020196483
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2019060047
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】下田 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】望月 満
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 文大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦之
(72)【発明者】
【氏名】内野 大地
(72)【発明者】
【氏名】中村 浄重
(72)【発明者】
【氏名】福井 範行
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0190005(US,A1)
【文献】国際公開第2018/127076(WO,A1)
【文献】特表2014-531841(JP,A)
【文献】特開2011-199739(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0024775(US,A1)
【文献】特表2018-517357(JP,A)
【文献】Qualcomm Incorporated,On Demand Transmission of PRS for NR,3GPP TSG RAN WG2 #104 R2-1817902,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_104/Docs/R2-1817902.zip>,2018年11月02日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末装置と、前記通信端末装置と通信する送信受信ポイント(Transmission Reception Point、TRP)を含む基地局装置と、
位置管理機能(Location Management Function、LMF)装置と、を備える通信システムにおける通信端末装置であって、
前記通信端末装置は、前記通信端末装置の位置を推定するための測位用信号を前記TRPに対して送信
し、
前記通信端末装置は、
前記LMFからの指示に基づいて前記TRPから送信された情報であって、前記測位用信号の送信を停止するための情報を受信し、
前記情報に従って前記測位用信号の送信を停止する、
通信端末装置。
【請求項2】
前記測位用信号は、測位用のサウンディング参照信号(Sounding Reference Signal、SRS)である、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記通信端末装置は、前記測位用信号に関する情報を前記基地局装置から受信する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記測位用信号に関する前記情報は、前記測位用信号の時間リソース及び周波数リソースに関する情報を含む、
請求項3に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記測位用信号に関する前記情報は、前記測位用信号の符号系列に関する情報を更に含む、
請求項4に記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記通信端末装置は、前記TRPの位置に関する情報を前記基地局装置から受信する、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記TRPの位置に関する前記情報は、システム情報ブロック(System Information Block、SIB)に含まれる、
請求項6に記載の通信端末装置。
【請求項8】
前記測位用信号の送信を停止するための前記情報は、前記測位用信号の送信を停止するリソースに関する情報を含む、
請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項9】
前記測位用信号の送信を停止する前記リソースは、前記LMF装置からの指示に基づいて設定される、
請求項8に記載の通信端末装置。
【請求項10】
通信端末装置と、前記通信端末装置と通信する送信受信ポイント(Transmission Reception Point、TRP)を含む基地局装置と、位置管理機能(Location Management Function、LMF)装置と、を備える通信システムにおける基地局装置であって、
前記TRPは、前記通信端末装置から、前記通信端末装置の位置を推定するための測位用信号を受信し、
前記基地局装置は、前記LMF装置からの指示に基づいて、前記TRPを介して、前記測位用信号の送信を停止するための情報を前記通信端末装置に対して送信する、
基地局装置。
【請求項11】
前記基地局装置は、前記測位用信号に関する情報を別の基地局装置へ送信する、
請求項10に記載の基地局装置。
【請求項12】
前記基地局装置は、前記LMF装置から、前記測位用信号の符号系列に関する情報を受信する、
請求項10に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記基地局装置は、前記LMF装置から、ビームに関する情報を受信する、
請求項10に記載の基地局装置。
【請求項14】
前記基地局装置は、前記LMF装置から、前記TRPに関する情報を受信する、
請求項10に記載の基地局装置。
【請求項15】
前記基地局装置は、前記LMF装置からの要求に応じて、前記TRPの位置に関する情報を、前記LMF装置に対して送信する、
請求項10に記載の基地局装置。
【請求項16】
通信端末装置と、前記通信端末装置と通信する送信受信ポイント(Transmission Reception Point、TRP)を含む基地局装置と、
位置管理機能(Location Management Function、LMF)装置と、を備える通信システムであって、
前記通信端末装置は、前記通信端末装置の位置を推定するための測位用信号を前記TRPに対して送信
し、
前記通信端末装置は、
前記LMFからの指示に基づいて前記TRPから送信された情報であって、前記測位用信号の送信を停止するための情報を受信し、
前記情報に従って前記測位用信号の送信を停止する、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される通信方式が検討されている(例えば、非特許文献1~5)。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
【0003】
LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
【0004】
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、
図1を用いて説明する。
図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。
図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P-SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S-SS)とがある。
【0005】
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon-CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。
【0006】
物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH)は、基地局装置(以下、単に「基地局」という場合がある)から移動端末装置(以下、単に「移動端末」という場合がある)などの通信端末装置(以下、単に「通信端末」という場合がある)への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
【0007】
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数を、基地局から通信端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
【0008】
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL-SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
【0009】
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
【0010】
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
【0011】
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CSI(Channel State Information)を運ぶ。CSIは、RI(Rank Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、CQI(Channel Quality Indicator)レポートで構成される。RIとは、MIMOにおけるチャネル行列のランク情報である。PMIとは、MIMOにて用いるプリコーディングウェイト行列の情報である。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
【0012】
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)がマッピングされている。
【0013】
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
【0014】
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN Reference Signal)、UE固有参照信号(UE-specific Reference Signal)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM-RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signal:PRS)、チャネル状態情報参照信号(Channel State Information Reference Signal:CSI-RS)。通信端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
【0015】
上り参照信号についても同様に、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の2種類の上りリファレンスシグナルが定義されている。データ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM-RS)、サウンディング用参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)である。
【0016】
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
【0017】
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL-SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL-SCHは、通信端末の低消費電力化のために通信端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL-SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
【0018】
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、通信端末の低消費電力を可能とするために通信端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
【0019】
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)サービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
【0020】
上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL-SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
【0021】
ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
【0022】
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せによって、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送によって誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
【0023】
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
【0024】
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
【0025】
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、通信端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
【0026】
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、通信端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、通信端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされる。
【0027】
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから通信端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0028】
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、通信端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、通信端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)にマッピングされる。
【0029】
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別通信端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
【0030】
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから通信端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0031】
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E-UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE-A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。
【0032】
通信端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても通信端末の位置を追跡し、通信端末を呼び出す、換言すれば通信端末が着呼することを可能にするために行われる。この通信端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
【0033】
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE-A)の規格策定が進められている(非特許文献3、非特許文献4参照)。LTE-Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。
【0034】
LTE-Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。CAについては、非特許文献1に記載されている。
【0035】
CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
【0036】
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとともに、サービングセルの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
【0037】
一つのPCellと一つ以上のSCellとからなるサービングセルの組が、一つのUEに対して構成される。
【0038】
また、LTE-Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE-Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献1に記載されている。
【0039】
また、3GPPにおいて、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNB(以下「小規模基地局装置」という場合がある)を用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。具体的には、UEが2つのeNBと接続して通信を行うデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;DCと略称される)などがある。DCについては、非特許文献1に記載されている。
【0040】
デュアルコネクティビティ(DC)を行うeNBのうち、一方を「マスタeNB(MeNBと略称される)」といい、他方を「セカンダリeNB(SeNBと略称される)」という場合がある。
【0041】
モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE-Aが本格的に運用を開始されると、更に通信速度が高速化されることが見込まれる。
【0042】
さらに、高度化する移動体通信に対して、2020年以降にサービスを開始することを目標とした第5世代(以下「5G」という場合がある)無線アクセスシステムが検討されている。例えば、欧州では、METISという団体で5Gの要求事項がまとめられている(非特許文献5参照)。
【0043】
5G無線アクセスシステムでは、LTEシステムに対して、システム容量は1000倍、データの伝送速度は100倍、データの処理遅延は10分の1(1/10)、通信端末の同時接続数は100倍として、更なる低消費電力化、および装置の低コスト化を実現することが要件として挙げられている。
【0044】
このような要求を満たすために、3GPPでは、リリース15として、5Gの規格検討が進められている(非特許文献6~18参照)。5Gの無線区間の技術は「New Radio Access Technology」と称される(「New Radio」は「NR」と略称される)。
【0045】
NRシステムは、LTEシステム、LTE-Aシステムを基にして検討が進められているが、以下の点でLTEシステム、LTE-Aシステムからの変更および追加が行われている。
【0046】
NRのアクセス方式としては、下り方向はOFDM、上り方向はOFDM、DFT-s-OFDM(DFT-spread-OFDM)が用いられる。
【0047】
NRでは、伝送速度向上、処理遅延低減のために、LTEに比べて高い周波数の使用が可能となっている。
【0048】
NRにおいては、狭いビーム状の送受信範囲を形成する(ビームフォーミング)とともにビームの向きを変化させる(ビームスイーピング)ことで、セルカバレッジの確保が図られる。
【0049】
NRのフレーム構成においては、様々なサブキャリア間隔、すなわち、様々なヌメロロジ(Numerology)がサポートされている。NRにおいては、ヌメロロジによらず、1サブフレームは1ミリ秒であり、また、1スロットは14シンボルで構成される。また、1サブフレームに含まれるスロット数は、サブキャリア間隔15kHzのヌメロロジにおいては1つであり、他のヌメロロジにおいては、サブキャリア間隔に比例して多くなる(非特許文献13(TS38.211 V15.2.0)参照)。
【0050】
NRにおける下り同期信号は、同期信号バースト(Synchronization Signal Burst;以下、SSバーストと称する場合がある)として、所定の周期で、所定の継続時間をもって基地局から送信される。SSバーストは、基地局のビーム毎の同期信号ブロック(Synchronization Signal Block;以下、SSブロックと称する場合がある)により構成される。基地局はSSバーストの継続時間内において各ビームのSSブロックを、ビームを変えて送信する。SSブロックは、P-SS、S-SS、およびPBCHによって構成される。
【0051】
NRにおいては、NRの下り参照信号として、位相追尾参照信号(Phase Tracking Reference Signal:PTRS)の追加により、位相雑音の影響の低減が図られている。上り参照信号においても、下りと同様にPTRSが追加されている。
【0052】
NRにおいては、スロット内におけるDL/ULの切替えを柔軟に行うために、PDCCHに含まれる情報にスロット構成通知(Slot Format Indication:SFI)が追加された。
【0053】
また、NRにおいては、キャリア周波数帯のうちの一部(以下、Bandwidth Part(BWP)と称する場合がある)を基地局がUEに対して予め設定し、UEが該BWPにおいて基地局との送受信を行うことで、UEにおける消費電力の低減が図られる。
【0054】
3GPPでは、DCの形態として、EPCに接続するLTE基地局とNR基地局によるDC、5Gコアシステムに接続するNR基地局によるDC、また、5Gコアシステムに接続するLTE基地局とNR基地局によるDCが検討されている(非特許文献12、16、19参照)。
【0055】
また、3GPPでは、いくつかの新たな技術が検討されている。例えば、5Gシステムを用いた測位(非特許文献20(3GPP R2-1817898)、非特許文献21(3GPP RP-182862)参照)、タイムセンシティブネットワーク(Time Sensitive Network;TSN)(非特許文献22(3GPP RP-182090)、非特許文献23(3GPP R2-1816690)参照)、などが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0056】
【文献】3GPP TS 36.300 V15.4.0
【文献】3GPP S1-083461
【文献】3GPP TR 36.814 V9.2.0
【文献】3GPP TR 36.912 V15.0.0
【文献】“Scenarios, requirements and KPIs for 5G mobile and wireless system”、ICT-317669-METIS/D1.1
【文献】3GPP TR 23.799 V14.0.0
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0
【文献】3GPP TR 38.912 V14.1.0
【文献】3GPP RP-172115
【文献】3GPP TS 37.340 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.300 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.321 V15.2.0
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0
【文献】3GPP RP-161266
【文献】3GPP R2-1817898
【文献】3GPP RP-182862
【文献】3GPP RP-182090
【文献】3GPP R2-1816690
【文献】3GPP R1-1901483
【文献】3GPP TR22.804 V16.1.0
【文献】3GPP R3-185808
【文献】3GPP TS36.331 V15.3.0
【文献】3GPP R2-1817173
【文献】3GPP RP-182111
【文献】3GPP TS38.305 V15.2.0
【文献】3GPP TS23.032 V15.1.0
【文献】3GPP R2-1818221
【文献】3GPP TR 38.885 V1.0.0
【文献】3GPP TS38.413 V15.2.0
【文献】3GPP R2-1817107
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0057】
3GPPにおいて、5G通信システム(以下、5Gシステムと称する場合がある)を用いた測位が検討されており、例えば、工場等の屋内における測位が検討されている(非特許文献21(3GPP RP-182862)参照)。5Gシステムにおいては、ビームを用いた測位が検討されている(非特許文献24(3GPP R1-1901483)参照)。ところが、屋内環境においては、棚等の障害物が多く配置されるので、基地局とUEとの間の通信が反射波によって行われる可能性がある。その結果、基地局から見たUEの方向に誤りが生じ、測位誤差が大きくなるといった問題が生じる。
【0058】
また、3GPPにおいて、低遅延と高信頼性の通信(Ultra-Reliable and Low Latency Communication;URLLC)の要件を満たすために、タイムセンシティブネットワーク(Time Sensitive Network;TSN)のサポートが検討されている(非特許文献22(3GPP RP-182090)参照)。タイムセンシティブネットワークにおいて、複数のUE間における時刻同期が求められている(非特許文献25(3GPP TR22.804 V16.1.0)参照)。複数のUE間の時刻同期の方法として、基地局と各UEとの間の時刻同期が検討されている(非特許文献26(3GPP R3-185808)、非特許文献27(3GPP TS36.331 V15.3.0)、非特許文献28(3GPP R2-1817173)参照)。また、NRのサイドリンク(Sidelink;SL)通信において、ブロードキャストに加え、ユニキャスト(unicast)とグループキャスト(groupcast)のサポートが検討されている(非特許文献29(3GPP RP-182111)参照)。ところが、NRのSLにおいては、SLを行うUE間の時刻同期方法が開示されていないので、該UE間において時刻同期を行うことができないという問題が生じる。
【0059】
上記の各種問題は例えば、高信頼性を妨げる原因になりうる。
【0060】
本開示は、上記課題に鑑み、信頼性の高い無線通信技術を提供することを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0061】
本開示によれば、通信端末装置と、通信端末装置と通信する送信受信ポイント(Transmission Reception Point、TRP)を含む基地局装置と、を備える通信システムにおける通信端末装置であって、通信端末装置は、通信端末装置の位置を推定するための測位用信号をTRPに対して送信する、通信端末装置が提供される。
【0062】
また、本開示によれば、通信端末装置と、通信端末装置と通信する送信受信ポイント(Transmission Reception Point、TRP)を含む基地局装置と、を備える通信システムにおける基地局装置であって、TRPは、通信端末装置から、通信端末装置の位置を推定するための測位用信号を受信する、基地局装置が提供される。
【0063】
また、本開示によれば、通信端末装置と、通信端末装置と通信する送信受信ポイント(Transmission Reception Point、TRP)を含む基地局装置と、を備える通信システムであって、通信端末装置は、通信端末装置の位置を推定するための測位用信号をTRPに対して送信する、通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0064】
本開示によれば、信頼性の高い無線通信技術を提供することができる。
【0065】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。
【
図2】3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。
【
図3】3GPPにおいて議論されているNR方式の通信システム210の全体的な構成を示すブロック図である。
【
図4】EPCに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成図である。
【
図5】NGコアに接続するgNBによるDCの構成図である。
【
図6】NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成図である。
【
図7】NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成図である。
【
図8】
図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。
【
図12】LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。
【
図13】NRシステムにおけるセルの構成の一例を示す図である。
【
図14】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の概要を示すシーケンス図である。
【
図15】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の概要を示すシーケンス図である。
【
図16】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の概要を示すシーケンス図である。
【
図17】実施の形態1について、LMFが基地局の位置に関する情報を取得する動作を示すシーケンス図である。
【
図18】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図19】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図20】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図21】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図22】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図23】実施の形態1について、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図24】実施の形態1の変形例1について、パスロスと伝搬遅延とを組合せることによって、基地局とUEとが直接波を用いて通信していると推定された例を示す図である。
【
図25】実施の形態1の変形例1について、パスロスと伝搬遅延とを組合せることによって、基地局とUEとが反射波を用いて通信していると推定された例を示す図である。
【
図26】実施の形態2について、CSI-RSをPRSと組合せて送信する動作の概要を示した図である。
【
図27】実施の形態2の変形例1について、測位を行う基地局が、サービング基地局がUEとの通信に用いるビームの範囲において、ビームスイーピングを行う動作を示す図である。
【
図28】実施の形態2の変形例1について、サービング基地局が、サービングビームに関する情報として、予め定められた複数の領域のうちでサービングビームの範囲と重なる領域を、通知する例を示す図である。
【
図29】SL通信を行うUE間に電波伝搬距離の差が生じる場合を説明する概念図である。
【
図30】本実施の形態4について、時刻同期補正処理を行う場合のシーケンスの第1例を示す図である。
【
図31】本実施の形態4について、時刻同期補正処理を行う場合のシーケンスの第2例を示す図である。
【
図32】本実施の形態4について、時刻同期補正処理を行う場合のシーケンスの第3例を示す図である。
【
図33】従来の方法を適用した場合について、SL通信を行うUEの送信タイミングを示す概念図である。
【
図34】実施の形態5について、SL通信を行うUEの送信タイミングを示す図である。
【
図35】実施の形態5について、SL通信を行うUEの送信タイミングを示す図である。
【
図36】実施の形態5について、SL通信に用いるスロットを示す図である。
【
図37】実施の形態5について、実施の形態4で開示した方法を適用した場合のフィードバックタイミング補正方法のシーケンスの一例を示す図である。
【
図38】SL通信を行っているUEが2つのセル間を移動する状況を示す概念図である。
【
図39】SL通信中のHOのシーケンス例を示す図である(従来のSL通信中のHO処理方法を用いた場合)。
【
図40】SL通信中のHOのシーケンス例を示す図である(従来のSL通信中のHO処理方法を用いた場合)。
【
図41】SL通信中のHOのシーケンス例を示す図である(従来のSL通信中のHO処理方法を用いた場合)。
【
図42】実施の形態6について、SL通信中のHOのシーケンスの第1例を示す図である。
【
図43】実施の形態6について、SL通信中のHOのシーケンスの第1例を示す図である。
【
図44】実施の形態6について、SL通信中のHOのシーケンスの第2例を示す図である。
【
図45】実施の形態6について、SL通信中のHOのシーケンスの第2例を示す図である。
【
図46】実施の形態7について、ASレイヤがRATを選択する場合のプロトコル構成を示す図である。
【
図47】実施の形態7について、V2XレイヤがRATを選択する場合のプロトコル構成を示す図である。
【
図48】実施の形態7について、ASレイヤにRAT選択および/あるいはRAT変更のプロトコルスタック(RAT選択/RAT変更)を設けた場合のプロトコル構成を示す図である。
【
図49】実施の形態7について、RAT変更シーケンスの一例を示す図である。
【
図50】実施の形態7の変形例1について、RAT共通機能を有する共通PDCPを設けた場合のプロトコル構成を示す図である。
【
図51】実施の形態7の変形例1について、RAT変更シーケンスの一例を示す図である。
【
図52】実施の形態7の変形例1について、共通RLCを設けた場合のプロトコル構成を示す図である。
【
図53】実施の形態7の変形例2について、LTEとNR運用時にLTEのPDCPでPDCP複製を実施するプロトコル構成を示す図である。
【
図54】実施の形態7の変形例2について、LTEとNR運用時にNRのPDCPでPDCP複製を実施するプロトコル構成を示す図である。
【
図55】実施の形態7の変形例2について、LTEとNR運用時に共通PDCPでPDCP複製を実施するプロトコル構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。
図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
【0068】
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
【0069】
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン(以下、U-Planeと称する場合もある)、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E-UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
【0070】
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
【0071】
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbor cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
【0072】
基地局203は、1つあるいは複数のeNB207により構成される。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
【0073】
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS-GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS-GWを含むMME/S-GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
【0074】
MME部204は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203は、E-UTRAN201を構成する。
【0075】
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
【0076】
図3は、3GPPにおいて議論されている5G方式の通信システム210の全体的な構成を示すブロック図である。
図3について説明する。無線アクセスネットワークは、NG-RAN(Next Generation Radio Access Network)211と称される。UE202は、NR基地局装置(以下「NR基地局(NG-RAN NodeB:gNB)」という)213と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。また、コアネットワークは、5Gコア(5G Core:5GC)と称される。
【0077】
UE202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン(以下、U-Planeと称する場合もある)、例えばSDAP(Service Data Adaptation Protocol)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とがNR基地局213で終端するならば、NG-RANは1つあるいは複数のNR基地局213によって構成される。
【0078】
UE202とNR基地局213との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)の機能はLTEと同様である。RRCにおけるNR基地局213とUE202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDと、RRC_INACTIVEとがある。
【0079】
RRC_IDLE、RRC_CONNECTEDは、LTE方式と同様である。RRC_INACTIVEは5GコアとNR基地局213との間の接続が維持されつつ、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。
【0080】
gNB217は、アクセス・移動管理機能(Access and Mobility Management Function:AMF)、セッション管理機能(Session Management Function:SMF)、あるいはUPF(User Plane Function)、あるいはAMF、SMFおよびUPFを含むAMF/SMF/UPF部(以下「5GC部」という場合がある)214とNGインタフェースにより接続される。gNB217と5GC部214との間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。NGインタフェースは、gNB217とAMFとの間のN2インタフェース、gNB217とUPFとの間のN3インタフェース、AMFとSMFとの間のN11インタフェース、および、UPFとSMFとの間のN4インタフェースの総称である。一つのgNB217に対して、複数の5GC部214が接続されてもよい。gNB217間は、Xnインタフェースにより接続され、gNB217間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。
【0081】
NR基地局213も、基地局203同様、1つあるいは複数のセルを構成してもよい。1つのNR基地局213が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、UE202と通信可能に構成される。
【0082】
gNB217は、中央ユニット(Central Unit;以下、CUと称する場合がある)218と分散ユニット(Distributed Unit;以下、DUと称する場合がある)219に分割されていてもよい。CU218は、gNB217の中に1つ構成される。DU219は、gNB217の中に1つあるいは複数構成される。CU218は、DU219とF1インタフェースにより接続され、CU218とDU219との間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。
【0083】
図4は、EPCに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成を示した図である。
図4において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。
図4において、eNB223-1がマスタ基地局となり、gNB224-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、EN-DCと称する場合がある)。
図4において、MME部204とgNB224-2との間のU-Plane接続がeNB223-1経由で行われる例について示しているが、MME部204とgNB224-2との間で直接行われてもよい。
【0084】
図5は、NGコアに接続するgNBによるDCの構成を示した図である。
図5において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。
図5において、gNB224-1がマスタ基地局となり、gNB224-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NR-DCと称する場合がある)。
図5において、5GC部214とgNB224-2との間のU-Plane接続がgNB224-1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とgNB224-2との間で直接行われてもよい。
【0085】
図6は、NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成を示した図である。
図6において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。
図6において、eNB226-1がマスタ基地局となり、gNB224-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NG-EN-DCと称する場合がある)。
図6において、5GC部214とgNB224-2との間のU-Plane接続がeNB226-1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とgNB224-2との間で直接行われてもよい。
【0086】
図7は、NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの、他の構成を示した図である。
図7において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。
図7において、gNB224-1がマスタ基地局となり、eNB226-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NE-DCと称する場合がある)。
図7において、5GC部214とeNB226-2との間のU-Plane接続がgNB224-1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とeNB226-2との間で直接行われてもよい。
【0087】
図8は、
図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。
図8に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調部305にて、MIMOにおけるプリコーディングが行われてもよい。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307-1~307-4から基地局203に送信信号が送信される。
図8において、アンテナの数が4つである場合について例示したが、アンテナ数は4つに限定されない。
【0088】
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307-1~307-4により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調部308にて、ウェイト計算および乗算処理が行われてもよい。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、
図8では省略しているが、各部301~309と接続している。
図8において、移動端末202が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0089】
図9は、
図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。
図9に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)との間のデータの送受信を行う。5GC通信部412は、基地局203と5GC(5GC部214など)との間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401、5GC通信部412、および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401、5GC通信部412、および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
【0090】
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調部406にて、MIMOにおけるプリコーディングが行われてもよい。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408-1~408-4より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。
図9において、アンテナの数が4つである場合について例示したが、アンテナ数は4つに限定されない。
【0091】
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいは5GC通信部412あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータは5GC通信部412、EPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、
図9では省略しているが、各部401~410と接続している。
図9において、基地局203が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0092】
図9は、基地局203の構成について示したブロック図であるが、基地局213についても同様の構成としてもよい。また、
図8および
図9について、移動端末202のアンテナ数と、基地局203のアンテナ数は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0093】
図10は、MMEの構成を示すブロック図である。
図10では、前述の
図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
【0094】
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
【0095】
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505-1、SAEベアラコントロール部505-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505-3などが含まれ、制御プレイン(以下、C-Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505-2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE-IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
【0096】
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるeNB207のCSGの管理、CSG IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505-3で行われてもよい。
【0097】
図11は、5GCの構成を示すブロック図である。
図11では、前述の
図3に示す5GC部214の構成を示す。
図11は、
図5にて示す5GC部214に、AMFの構成、SMFの構成およびUPFの構成が含まれた場合について示している。Data Network通信部521は、5GC部214とData Networkとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部522は、5GC部214と基地局203との間のS1インタフェース、および/あるいは、5GC部214と基地局213との間のNGインタフェースによるデータの送受信を行う。Data Networkから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、Data Network通信部521から、ユーザプレイン通信部523経由で基地局通信部522に渡され、1つあるいは複数の、基地局203および/あるいは基地局213へ送信される。基地局203および/あるいは基地局213から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部522から、ユーザプレイン通信部523経由でData Network通信部521に渡され、Data Networkへ送信される。
【0098】
Data Networkから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、Data Network通信部521からユーザプレイン制御部523経由でセッション管理部527へ渡される。セッション管理部527は、制御データを制御プレイン制御部525へ渡す。基地局203および/あるいは基地局213から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部522から制御プレイン制御部525に渡す。制御プレイン制御部525は、制御データをセッション管理部527へ渡す。
【0099】
制御プレイン制御部525は、NASセキュリティ部525-1、PDUセッションコントロール部525-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部525-3などを含み、制御プレイン(以下、C-Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。NASセキュリティ部525-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。PDUセッションコントロール部525-2は、移動端末202と5GC部214との間のPDUセッションの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部525-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);RRC_IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
【0100】
5GC部214は、1つまたは複数の基地局203および/あるいは基地局213に対して、ページング信号の分配を行う。また、5GC部214は、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility Control)を行う。5GC部214は、移動端末が待ち受け状態のとき、インアクティブ状態(Inactive State)および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。5GC部214は、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。
【0101】
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。
図12は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P-SS)、および第二同期信号(S-SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
【0102】
P-SSとS-SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
【0103】
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
【0104】
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
【0105】
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがって、PBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
【0106】
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL-SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
【0107】
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
【0108】
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
【0109】
図12に示す例においては、LTE方式におけるセルサーチから待ち受けまでの動作の例について示したが、NR方式においては、ステップST603において、ベストセルに加えてベストビームを選択してもよい。また、NR方式においては、ステップST604において、ビームの情報、例えば、ビームの識別子を取得してもよい。また、NR方式においては、ステップST604において、リメイニングミニマムSI(Remaining Minimum SI:RMSI)のスケジューリング情報を取得してもよい。NR方式においては、ステップST605において、RMSIを受信するとしてもよい。
【0110】
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE-IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
【0111】
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
【0112】
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
【0113】
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
【0114】
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
【0115】
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
【0116】
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
【0117】
図13は、NRにおけるセルの構成の一例を示す。NRのセルでは、狭いビームを形成し、方向を変えて送信する。
図13に示す例において、基地局750は、ある時間において、ビーム751-1を用いて移動端末との送受信を行う。他の時間において、基地局750は、ビーム751-2を用いて移動端末との送受信を行う。以下同様にして、基地局750はビーム751-3~751-8のうち1つあるいは複数を用いて移動端末との送受信を行う。このようにすることで、基地局750は広範囲のセルを構成する。
【0118】
図13において、基地局750が用いるビームの数を8とする例について示したが、ビームの数は8とは異なっていてもよい。また、
図13に示す例において、基地局750が同時に用いるビームの数を1つとしたが、複数であってもよい。
【0119】
5Gシステムを用いた測位において、LMF(Location Management Function)が設けられてもよい。LMFが、5Gシステムにおける測位を制御してもよい。LMFは基地局に対して、UEの測位を行うよう指示してもよい。該基地局は該UEに対して、測位を行うよう指示してもよい。他の例として、UEがLMFに対して、自UEの測位を行うよう要求してもよい。基地局がLMFに対し、該要求を通知してもよい。
【0120】
LMF(Location Management Function)とUEとの間のシグナリングにおいて、非特許文献30(3GPP TS38.305 V15.2.0)に開示された測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。LMFと基地局との間のシグナリングにおいても、同様のプロトコルが用いられてもよい。
【0121】
NRにおいて、ビームを用いた測位が行われてもよい。基地局は、UEの測位に用いるビームが指す方向、及び、基地局とUEとの間の距離に関する情報を用いて、該UEの位置を求めてもよい。また、NRにおいて、複数の基地局を用いた測位が行われてもよい。例えば、複数の基地局のビームを用いた測位が行われてもよい。各基地局が用いるビームの通信可能領域が重複する領域を、UEの位置として求めてもよい。
【0122】
前述における基地局はDU(Distributed Unit)であってもよいし、TRPであってもよい。例えば、基地局は、複数のDUを用いて測位を行ってもよいし、複数のTRPを用いて測位を行ってもよい。
【0123】
ビームを用いた測位を高精度に行うためには、基地局とUEとの間の通信が直接波を用いて行われる必要がある。一方、屋内環境においては、棚等の障害物が多く配置され、基地局とUEとの間の通信が反射波によって行われる可能性がある。その結果、基地局から見たUEの方向に誤りが生じ、測位誤差が大きくなるといった問題が生じる。
【0124】
本実施の形態1では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0125】
UEから見通せる位置に存在する基地局を用いて測位を行う。なお、UEから見通せる位置を、UEからの見通し位置と表現する場合もある。また、この表現はUE以外の装置等を起点にした場合にも適用可能である。前述の基地局は、DUであってもよいし、TRPであってもよい(以下、同様としてもよい)。該基地局は、例えば、該UEの近傍に存在する基地局であってもよい。
【0126】
UEの測位が複数段階で行われてもよい。例えば、UEの測位は、2段階で行われてもよいし、3段階以上にわたって行われてもよい。複数段階の測位において、測位の種別が設けられてもよい。該種別は、例えば、予備的な(プレリミナリ(preliminary))な測位であってもよいし、詳細な(プレサイス(Precise))な測位であってもよい。
【0127】
測位に関する情報が、各段階において設けられてもよい。各段階において設けられる情報の例として、以下の(1)~(7)を開示する。
【0128】
(1)測位精度。
【0129】
(2)測位用基地局の決定主体。
【0130】
(3)測位に用いる通信システム等の情報。
【0131】
(4)測位方法。
【0132】
(5)測位の所要時間。
【0133】
(6)測位を行う基地局の数に関する情報。
【0134】
(7)前述の(1)~(6)の組み合わせ。
【0135】
前述の(1)の測位精度は、例えば、所定の単位(例:メートル単位)で与えられてもよい。このことにより、例えば、測位精度の通知に関する設計の複雑性を回避可能となる。他の例として、要求精度を表すパラメータが設けられてもよい。該パラメータの各値と、要求精度が対応付けられていてもよい。このことにより、例えば、測位精度の通知に要するビットサイズを削減可能となる。
【0136】
前述の(2)の測位用基地局の決定主体は、例えば、サービングgNBであってもよい。このことにより、例えば、測位において5Gコアと基地局との間のシグナリング量を削減可能となる。他の例として、該決定主体がLMFであってもよい。このことにより、例えば、基地局における処理量を削減可能となる。
【0137】
前述の(3)の測位に用いる通信システム等の情報は、例えば、5Gシステムであってもよいし、LTEシステムであってもよいし、無線LANであってもよいし、Bluetooth(登録商標)であってもよい。他の例として、前述の(3)の情報は、各種センサ、例えば、重力加速度センサ、速度センサ、NB-IoTの装置に搭載されたセンサ等(例、気圧センサ)を用いた測位であることを示す情報であってもよいし、GNSSを用いた測位であることを示す情報であってもよい。UEは、前述のセンサにおいて取得した情報を、サービング基地局に通知してもよいし、AMFに通知してもよいし、LMFに通知してもよい。前述のセンサにおける測定結果が、RRCシグナリングに含まれてもよいし、NASシグナリングに含まれてもよいし、LPPおよび/あるいはNRPPaのシグナリングに含まれてもよい。前述の(3)の情報を含めることにより、例えば、UEの測位における柔軟性を向上可能となる。
【0138】
前述の(4)の測位方法の情報は、例えば、ビームを用いる測位かどうかを示す情報を含んでもよい。このことにより、例えば、ビームを用いない測位であることを示す情報を用いて測位を行うことによって、測位を迅速に実行可能となる。他の例として、ビームを用いる測位であることを示す情報を用いて測位を行うことによって、測位の精度を向上可能となる。
【0139】
前述の(4)の情報は、他の例として、非特許文献30(3GPP TS38.305 V15.2.0)に開示されたOTDOA(Observed Time Difference Of Arrival)、および/あるいはECID(Enhanced Cell ID)を用いる測位であることを示す情報を含んでもよいし、測位に用いる信号が上り、下りのどちらであるかを示す情報を含んでもよい。このことにより、例えば、測位における柔軟性を向上可能となる。
【0140】
前述の(5)の測位の所要時間は、例えば、所定の単位(例:ミリ秒単位)で与えられてもよい。このことにより、例えば、測位の所要時間の通知に関する設計の複雑性を回避可能となる。他の例として、該所要時間を表すパラメータが設けられてもよい。該パラメータの各値と、該所要時間が対応付けられていてもよい。このことにより、例えば、測位の所要時間の通知に要するビットサイズを削減可能となる。
【0141】
通信システムにおいて、前述の(6)に示す情報を用いて、測位に用いる基地局の数を決定してもよい。例えば、該基地局の数を少なくすることにより、測位を迅速に実行可能となる。他の例として、該基地局の数を多くすることにより、測位の精度を向上可能となる。
【0142】
前述の(1)~(7)に関する情報が、あらかじめ規格で定められてもよい。このことにより、例えば、LMFと基地局との間におけるシグナリング量を削減可能となる。他の例として、LMFが該情報を決定してもよい。LMFは該情報を基地局に通知してもよい。このことにより、例えば、該測位を柔軟に実行可能となる。他の例として、AMFが該情報を決定してもよい。このことにより、例えば、AMFが基地局の負荷状況を用いて、測位に用いる基地局の数等を決定可能となるため、通信システムにおける効率を向上可能となる。他の例として、基地局が該情報を決定してもよい。前述の基地局は例えば、サービング基地局であってもよい。このことにより、例えば、測位における柔軟性が向上可能となるとともに、LMFと基地局との間のシグナリング量を削減可能となる。他の例として、サービング基地局とは異なる基地局、例えば、測位用に設けられた基地局が該情報を決定してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける効率を向上可能となる。
【0143】
前述の(1)~(7)に関する情報が、UE毎に設定されてもよい。例えば、UE毎に、前述の(1)の測位精度を異ならせてもよいし、UE毎に、前述の(5)の測位所要時間を異ならせてもよい。このことにより、例えば、測位を効率的に実行可能となるとともに、通信システムにおけるリソースを節約可能となる。
【0144】
通信システムにおいて、最初に予備的な測位が行われるとしてもよい。該予備的な測位は、例えば、測位対象UE(以下、対象UEと称する場合がある)の大まかな位置を推定する測位であってもよい。予備的な測位において、例えば、対象UEが接続している基地局(以下、サービング基地局と称する場合がある)が、測位を行う基地局を決めてもよい。測位を行う該基地局は、例えば、サービング基地局の周辺に存在する基地局であってもよいし、サービング基地局と同じRNA(RAN Notification Area)に存在する基地局であってもよい。このことにより、例えば、基地局と5Gコアシステムとの間のシグナリングを削減可能となる。
【0145】
他の例として、LMFが、測位を行う基地局を選択してもよい。該選択において、例えば、基地局の位置に関する情報が用いられてもよい。基地局の位置に関する情報を用いる例として、LMFは、サービング基地局が存在する区画と同じ区画に存在する基地局を、測位を行う基地局として選択してもよい。前述の区画は、例えば、屋内における部屋であってもよいし、該部屋内に設けられた仕切りによって分けられた領域であってもよい。あるいは、前述の区画は、例えば、建物の各階単位で定められてもよい。このことにより、例えば、LMFが、該部屋の端および/あるいは角に存在する基地局を選択することにより、予備的な測位を実行可能な範囲を拡大することが可能となる。
【0146】
他の例として、AMFが、測位を行う基地局を選択してもよい、該選択において、例えば、配下の基地局の負荷に関する情報が用いられてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける負荷を分散可能となる。その結果、通信システムにおける安定性を向上可能となる。
【0147】
予備的な測位に、サービング基地局が用いられてもよい。このことにより、例えば、予備的な測位におけるシグナリングを効率的に実行可能となる。他の例として、予備的な測位に、サービング基地局が用いられなくてもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は他のUEとの間でデータを送受信可能となる。その結果、通信システムにおける効率を向上可能となる。
【0148】
通信システムにおいて、詳細な測位が行われてもよい。詳細な測位は、例えば、前述の予備的な測位の後に行われてもよい。詳細な測位において、LMFは、測位を行う基地局を決めてもよい。LMFは、例えば、対象UEとの間で見通しによる通信が可能な基地局(換言すれば、対象UEとの間で直接波で通信が可能な基地局)を、測位を行う基地局として決めてもよい。LMFは、障害物の位置に関する情報を用いて、該基地局を決めてもよい。このことにより、例えば、基地局と対象UEとの間で直接波を用いた測位が可能となる。その結果、測位精度を向上可能となる。
【0149】
詳細な測位においても、予備的な測位と同様、サービング基地局が用いられてもよいし、用いられなくてもよい。このことにより、例えば、予備的な測位と同様の効果が得られる。
【0150】
LMFは、対象UEのサービング基地局に対して、対象UEの測位を指示してもよい。該指示は、予備的な測位であることを示す情報を含んでもよいし、測位用基地局に関する情報を含んでもよいし、対象UEを識別するための情報を含んでもよい。LMFは該指示を、AMF経由でサービング基地局に通知してもよい。
【0151】
該指示に含まれる、測位用基地局に関する情報は、サービング基地局が測位用基地局を決定する主体であることを示す情報であってもよい。サービング基地局は、該情報を用いて、測位用基地局を決定してもよい。測位用基地局は、例えば、サービング基地局の近隣に存在する基地局であってもよいし、サービング基地局と同じRNA(RAN Notification Area)に存在する基地局であってもよいし、eNBであってもよいし、gNBであってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は測位用基地局を柔軟に選択可能となる。
【0152】
測位用基地局に関する情報は、他の例として、測位用基地局を識別する情報であってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局において測位用基地局を決定する処理が不要となる。その結果、サービング基地局における処理量を削減可能となる。
【0153】
サービング基地局は、測位を行う基地局に対し、LMFより受信した該指示を通知してもよい。該通知には、例えば、基地局間インタフェース(例:Xnインタフェース)が用いられてもよい。該通知は、対象UEを識別するための情報を含んでもよいし、該UEの測位に用いられる測位用信号の周波数および/あるいは時間リソースに関する情報を含んでもよいし、該測位信号の符号系列に関する情報を含んでもよい。測位用信号は、例えば、下りPRSであってもよいし、SSブロックであってもよいし、上りDM-RSであってもよいし、CSI-RSであってもよい。他の例として、測位用信号は、上りPRSであってもよいし、SRSであってもよいし、PRACHであってもよいし、上りDM-RSであってもよい。
【0154】
測位用信号の周波数および/あるいは時間リソースに関する情報、および/あるいは該測位信号の符号系列を、サービング基地局が決定してもよい。このことにより、例えば、該測位用信号の設定に関する柔軟性を向上可能となる。他の例として、該情報を、LMFが決定してサービング基地局に通知してもよい。このことにより、例えば、測位用信号の設定に関する複雑性を回避可能となる。
【0155】
測位を行う基地局は、該情報を用いて、測位のための設定を行ってもよい。該基地局は、サービング基地局に対して、該設定の完了を通知してもよい。サービング基地局はUEに対して、測位用信号の受信を指示してもよい。該指示は、例えば、RRC個別シグナリング(例:RRC再設定(RRCReconfiguration))を用いて行われてもよい。他の例として、該指示には、RRC共通シグナリング、例えば、システム情報が用いられてもよい。前述のRRC共通シグナリングは、例えば、複数のUEに対して一斉に測位を指示する場合に行われてもよい。このことにより、例えば、該指示を複数UEに対して迅速に実行可能となる。
【0156】
サービング基地局からUEへの該指示の送信は、該基地局からサービング基地局に対する該設定の完了の通知の後に行ってもよい。該指示は、測位に用いる基地局に関する情報を含んでもよいし、測位用信号に関する情報、例えば、該信号の周波数および/あるいは時間リソースに関する情報、および/あるいは該測位信号の符号系列に関する情報を含んでもよい。測位用信号に関する情報は、測位に用いる基地局毎に与えられてもよい。例えば、測位に用いる基地局において測位用信号に関する設定が不可能であった場合において、サービング基地局は、設定が不可能であった該基地局に関する情報および/あるいは該測位用信号において該基地局が用いる設定に関する情報を除外して、UEに該指示を通知してもよい。このことにより、例えば、UE、サービング基地局、および測位を行う基地局の間で、測位用信号に関する設定の齟齬を防止可能となる。その結果、通信システムにおける安定性を向上可能となる。
【0157】
サービング基地局からUEに対して送信される該指示は、測位用信号の周波数および/あるいは時間リソースに関する情報を含んでもよいし、該測位信号の符号系列に関する情報を含んでもよいし、測位を行う基地局に関する情報を含んでもよい。前述の複数の情報を組み合わせた情報が含まれてもよい。測位を行う基地局に関する情報は、該基地局の識別子を含んでもよいし、該基地局の送信タイミングに関する情報を含んでもよい。該基地局の送信タイミングに関する情報は、例えば、該基地局の、サービング基地局に対するフレームオフセットに関する情報であってもよい。該指示に、該フレームオフセットに関する情報が含まれることにより、例えば、UEは、該基地局から送信される同期信号(例:SSブロック)を受信することなく、下り同期を確立可能となる。その結果、迅速な測位が可能となる。
【0158】
UEは、該指示を受信して、測位用の設定を行ってもよい。UEは、サービング基地局に対し、測位用の設定の完了を通知してもよい。該通知には、例えば、RRC個別シグナリング(例:RRC再設定完了(RRCReconfigurationComplete))が用いられてもよい。サービング基地局は、測位を行う基地局に対し、UEにおける該設定の完了を通知してもよい。サービング基地局から、測位を行う基地局への通知には、基地局間インターフェス(例:Xnインタフェース)におけるシグナリングが用いられてもよい。測位を行う基地局は、該通知の受信後において、UEとの間で測位用信号の送信および/あるいは受信を行ってもよい。このことにより、例えば、UEが測位用信号の設定を完了した後に、測位を行う基地局は測位用信号を送信可能となる。その結果、測位に用いる周波数、時間、および/あるいは符号リソースの使用効率を向上可能となる。
【0159】
UEは、サービング基地局から送信される該指示に含まれる設定を用いて、測位用信号を受信してもよいし、送信してもよい。
【0160】
UEはサービング基地局に対し、測位用信号の受信結果を報告してもよい。サービング基地局は、該結果を用いて、UEの位置を推定してもよい。サービング基地局は、推定した該位置に関する情報を、LMFに送信してもよい。該情報は、AMF経由で送信されてもよい。
【0161】
LMFは、詳細な測位に用いる基地局を決定してもよい。該決定は、例えば、前述の予備的な測位の結果を用いて行われてもよい。LMFは、例えば、UEと見通しの位置にある基地局を、詳細な測位に用いる基地局として決定してもよい。LMFは、あらかじめ、伝搬環境に関する情報、例えば、障害物等に関する情報を取得してもよい。このことにより、例えば、UEの測位における精度を向上可能となる。
【0162】
LMFは、測位を行う基地局に対し、対象UEの測位を指示してもよい。該指示は、詳細な測位であることを示す情報を含んでもよいし、対象UEを識別するための情報を含んでもよいし、測位用信号の設定に関する情報を含んでもよい。LMFから該基地局への指示は、AMFを経由して行われてもよい。
【0163】
LMFは、該基地局が測位に用いるビームを決定してもよい。該決定は、例えば、前述の予備的な測位の結果を用いて行われてもよい。LMFは、該ビームに関する情報を、測位用信号の設定に関する情報に含めてサービング基地局に通知してもよい。このことにより、例えば、測位の制御に関して、サービング基地局における処理量を削減可能となる。
【0164】
他の例として、LMFはサービング基地局に対し、UEの測位を指示してもよい。該指示は、詳細な測位であることを示す情報を含んでもよいし、前述の、予備的な測位の指示と同様の情報を含んでもよい。
【0165】
その他、詳細な測位におけるシグナリングは、予備的な測位と同様としてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける設計の複雑性を回避可能となる。
【0166】
図14~
図16は、UEの測位が複数段階で行われる動作の概要を示す図である。
図14~
図16は、境界線BL1415、BL1516の位置で、つながっている。
図14~
図16は、2段階でUEの測位が行われる例、より具体的には第1段階において予備的な測位が行われ、第2段階において詳細な測位が行われる例について示している。
図14~
図16に示す例において、サービングgNB(serving gNB)およびgNB#1がUEの第1段階の測位を行い、サービングgNBおよびgNB#2がUEの第2段階の測位を行う。
図14~
図16に示す例において、サービングgNBが、第1段階の測位を行う基地局を決定し、LMFが、第2段階の測位を行う基地局を決定する。
【0167】
図14に示すプロシージャST1401において、LMFは、サービングgNB、gNB#1、およびgNB#2の位置に関する情報を取得する。
【0168】
図14~
図16に示すステップST1402~ST1441において、第1段階の測位が行われる。
【0169】
図14に示すステップST1402、ST1403において、LMFはAMF経由でサービングgNBに対し、UEの測位を指示する。ステップST1402は、該指示の、LMFからAMFへの通知を示し、ステップST1403は、該指示の、AMFからサービングgNBへの通知を示す。ステップST1402、ST1403による該指示には、測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。
【0170】
図14に示すステップST1402、ST1403による指示は、予備的な測位であることを示す情報を含んでもよい。他の例として、該指示は、第一段階の測位であることを示す情報を含んでもよい。他の例として、該指示は、プロシージャST1401においてLMFが取得した各基地局の情報を含んでもよい。このことにより、例えば、サービングgNBはUEの位置を推定可能となる。
【0171】
図14に示すステップST1404において、サービングgNBは、ステップST1403で通知された指示を用いて、測位に用いる基地局を決定する。サービングgNBは、ステップST1403で通知された指示に含まれる測位種別が予備的な測位であることを用いて、測位に用いる基地局を決定してもよい。あるいは、サービングgNBは、該指示が、第一段階の測位の指示であることを用いて、測位に用いる基地局を決定してもよい。該基地局は、例えば、自gNBに隣接するgNBであってもよいし、自gNBと同じRNAに属するgNBであってもよい。他の例として、該基地局は、LTE基地局(eNB)であってもよい。
図14~
図16に示す例においては、サービングgNBは、gNB#1および自gNBを測位に用いることを決定する。
【0172】
図15に示すプロシージャST1410において、UEの測位が行われる。
【0173】
図15に示すステップST1415において、サービングgNBはgNB#1に対し、UEの測位を指示する。該指示には、例えば、基地局間インタフェース(例:Xnインタフェース)が用いられてもよい。該指示は、対象UEに関する情報を含んでもよい。該情報は、例えば、対象UEの識別子であってもよいし、対象UEに送信する測位用信号(例:PRS(Positioning Reference Signal))の時間リソースおよび/あるいは周波数リソースの設定に関する情報であってもよい。gNB#1は、ステップST1415で取得した該情報を用いて、対象UEに測位用信号を送信するための設定を行う。ステップST1416において、gNB#1はサービングgNBに対し、該設定が完了した旨を通知する。
【0174】
図15に示すステップST1418において、サービングgNBはUEに対して、測位用信号の受信を指示する。該指示は、測位に用いる基地局に関する情報(例:基地局の識別子)を含んでもよいし、UEに送信する測位用信号(例:PRS(Positioning Reference Signal))の時間リソースおよび/あるいは周波数リソースの設定に関する情報を含んでもよい。該設定に関する情報は、測位に用いる各基地局が送信する測位用信号の設定に関する情報であってもよい。
図14~
図16に示す例においては、サービングgNBおよびgNB#1がそれぞれ送信する測位用信号の設定に関する情報が含まれてもよい。UEは、ステップST1418で取得した情報を用いて、サービングgNBおよびgNB#1からの測位用信号の受信に関する設定を行う。ステップST1419において、UEは、ステップST1418で指示された設定が完了した旨を、サービングgNBに通知する。ステップST1420において、サービングgNBはgNB#1に対して、UEにおいて該設定が完了した旨を通知する。
【0175】
図15に示すステップST1425において、サービングgNBはUEに対して、測位用信号を送信する。ステップST1426において、gNB#1はUEに対して、測位用信号を送信する。ステップST1427において、UEは、ステップST1425、ST1426において送信される測位用信号を受信する。
【0176】
図15に示すステップST1430において、UEはサービングgNBに対して、ステップST1427における測位用信号の受信結果を報告する。該報告には、例えば、RRCシグナリングが用いられてもよいし、測位用プロトコル上のシグナリングが用いられてもよい。ステップST1435において、サービングgNBは、該受信結果を用いて、UEの位置を推定する。
【0177】
図16に示すステップST1440、ST1441において、サービングgNBはAMF経由でLMFに対し、UE位置の推定結果を報告する。ステップST1440は、該報告の、サービングgNBからAMFへの通知を示し、ステップST1441は、該報告の、AMFからLMFへの通知を示す。ステップST1440、ST1441による該報告は、予備的な測位結果である旨を示す情報を含んでもよい。ステップST1440、ST1441の該報告には、測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。ステップST1440、ST1441による該報告に含まれるUE位置の推定結果は、UE位置の情報を含んでもよいし、該位置の精度に関する情報を含んでもよい。UE位置の推定結果の情報は、例えば、非特許文献31(TS23.032 V15.1.0)において開示されたGAD(Universal Geographical Area Description) shapeの情報であってもよい。ステップST1440、ST1441による該報告には、ステップST1403、ST1402と同様のプロトコルが、それぞれ用いられてもよい。LMFは、ステップST1441によって、UEの位置に関する情報を取得する。
【0178】
図16に示すステップST1450~ST1471において、第2段階の測位が行われる。
【0179】
図16に示すステップST1450において、LMFは、第2段階の測位に用いる基地局を決定する。該決定には、ステップST1441にて取得したUEの位置に関する情報が用いられてもよいし、プロシージャST1401にて取得したサービングgNB、gNB#1、およびgNB#2の位置に関する情報が用いられてもよい。
図16に示す例において、LMFは、サービングgNBおよびgNB#2を第2段階の測位に用いると決定する。
【0180】
図16に示すステップST1452、ST1453において、LMFはAMF経由でサービングgNBに対し、UEの測位を指示する。ステップST1452は、該指示の、LMFからAMFへの通知を示し、ステップST1453は、該指示の、AMFからサービングgNBへの通知を示す。ステップST1452、ST1453による該指示には、測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。
【0181】
図16に示すステップST1452、ST1453で通知する指示は、詳細な測位であることを示す情報を含んでもよい。他の例として、該指示は、プロシージャST1401においてLMFが取得した各基地局の情報を含んでもよい。このことにより、例えば、サービングgNBはUEの位置を推定可能となる。
【0182】
図16に示すステップST1452、ST1453で通知する指示は、対象UEに関する情報を含んでもよいし、測位を行う基地局に関する情報を含んでもよい。
図16に示す例においては、測位を行う基地局に関する情報は、サービングgNBおよびgNB#2に関する情報を含んでもよい。サービングgNBは、ステップST1453によって、詳細な測位を行う基地局がgNB#2および自gNBであることを把握してもよい。このことにより、例えば、サービングgNBは詳細な測位を迅速に実行可能となる。
【0183】
図16に示すプロシージャST1460において、UEの測位が行われる。プロシージャST1460は、前述のプロシージャST1410において、gNB#1をgNB#2に読み替えたプロシージャであってもよい。サービングgNBは、プロシージャST1460において、UE位置を推定する。
【0184】
図16に示すステップST1470、ST1471において、サービングgNBはAMF経由でLMFに対し、UE位置の推定結果を報告する。ステップST1470は、該報告の、サービングgNBからAMFへの通知を示し、ステップST1471は、該報告の、AMFからLMFへの通知を示す。ステップST1470、ST1471による該報告は、詳細な測位結果である旨を示す情報を含んでもよい。ステップST1470、ST1471による該報告には、測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。ステップST1470、ST1471による該報告に含まれるUE位置の推定結果は、UE位置の情報を含んでもよいし、該位置の精度に関する情報を含んでもよい。UE位置の推定結果の情報は、例えば、非特許文献31(TS23.032 V15.1.0)において開示されたGAD(Universal Geographical Area Description) shapeの情報であってもよい。ステップST1440、ST1441による該報告には、ステップST1403、ST1402と同様のプロトコルが、それぞれ用いられてもよい。LMFは、ステップST1471によって、UEの位置に関する情報を取得する。
【0185】
図15に示すステップST1415において、サービングgNBがgNB#1に対し、UEの測位を指示する例を開示したが、該指示はAMF経由で行われてもよい。AMFを経由した該指示は、例えば、サービングgNBとgNB#1のRANが異なる場合に行われてもよいし、サービングgNBとgNB#1のTA(Tracking Area)が異なる場合に行われてもよい。このことにより、例えば、サービングgNBは、異なるRNAおよび/あるいは異なるTAに属する基地局に対しても、UEの測位指示を通知可能となる。
【0186】
図15において、UEが下りの測位用信号を受信する例を示したが、UEが上りの測位用信号を送信してもよい。上りの測位用信号は、例えば、上りPRSであってもよいし、SRSであってもよいし、PRACHであってもよいし、DM-RSであってもよい。測位に上り信号が用いられる場合において、ステップST1415、ST1416に示す測位用信号送信指示、測位用信号送信指示応答は、それぞれ、測位用信号設定、測位用信号設定完了通知であってもよいし、ステップST1418、ST1419に示す測位用信号設定、測位用信号設定完了通知は、それぞれ、測位用信号送信指示、測位用信号送信指示応答であってもよい。また、ステップST1420に示す、測位用信号設定完了通知は行われないとしてもよい。また、ステップST1425、ST1426に示す測位用信号は、いずれも、UEからサービングgNB、gNB#1に送信される信号であってもよい。ステップST1427に示す測位用信号受信は、UEの代わりにサービングgNB、gNB#1において、それぞれ行われてもよい。ステップST1430に示す測位用信号受信結果報告は、gNB#1からサービングgNBに対して行われるとしてもよい。
図16におけるプロシージャST1460においても、同様としてもよい。UEが上りの測位用信号を送信することにより、例えば、基地局における処理量を削減可能となる。
【0187】
LMFは、あらかじめ基地局の位置に関する情報を取得してもよい。LMFは基地局に対し、該基地局の位置に関する情報を要求してもよい。基地局は、該要求を用いて、LMFに対して自基地局の位置を通知してもよい。
【0188】
基地局は、自基地局を測位してもよい。自基地局の測位は、該要求を用いて行われてもよい。該測位には、例えば、GNSS等の測位システムが用いられてもよいし、他の基地局を用いた方法が用いられてもよい。前述の他の基地局は、例えば、位置が既知である基地局であってもよい。
【0189】
基地局は、自基地局の位置に関する情報を報知してもよい。該報知には、例えば、SIBが用いられてもよい。UEおよび/あるいは他の基地局は、該情報を用いて、該基地局の位置が既知であると判断してもよいし、該基地局の位置を取得してもよい。例えば、LUEおよび/あるいは他の基地局は、該情報を含むSIBの有無を用いて、該基地局の位置が既知であるか未知であるかを判断してもよい。このことにより、例えば、UEおよび/あるいは他の基地局は、該基地局の位置が既知であるかどうかを迅速に把握可能となり、その結果、測位を迅速に実行可能となる。
【0190】
基地局はLMFに対して、自基地局の位置に関する情報を、LMFから自基地局に対する、位置に関する情報を要求がなくても、通知してもよい。基地局は、自基地局の位置に関する情報を、LMFとの接続時にLMFに通知してもよいし、所定の周期でLMFに通知してもよい。該周期は、例えば、規格で定められてもよいし、LMFが決定して基地局に通知してもよいし、AMFが決定して基地局に通知してもよいし、基地局が自ら決定してもよい。例えば、基地局が所定の周期で自基地局の位置に関する情報をLMFに通知することにより、LMFは、動く基地局に対しても位置を取得可能となる。
【0191】
LMFは該要求を複数の基地局に対して行ってもよい。例えば、該要求が、同じRNA内の基地局に対して一斉に行われてもよいし、同じTA内の基地局に対して一斉に行われてもよい。前述の要求は、AMF経由で行われてもよい。前述において、該要求は、LMFからAMFへ、1つのシグナリングを用いて送信されてもよい。AMFは、複数の基地局に対して、LMFからの該指示を通知してもよい。このことにより、例えば、LMFとAMFとの間のシグナリング量を削減可能となる。
【0192】
図17は、前述の
図14~
図16の例のプロシージャST1401において、LMFが基地局の位置に関する情報を取得する動作を示すシーケンスである。
図17に示す例において、LMFはサービングgNB、gNB#1、およびgNB#2の位置に関する情報を取得する。
【0193】
図17に示すステップST1501において、LMFは各gNBへの測位指示をAMFに対して通知する。ステップST1501で通知する指示は、サービングgNB、gNB#1、およびgNB#2に関する情報を含んでもよい。ステップST1501で通知する指示は、各gNBの測位精度に関する情報を含んでもよい。AMFは、ステップST1501によって、測位対象の基地局に関する情報を取得する。
【0194】
図17に示すステップST1505において、AMFは、サービングgNBに対して、ステップST1501で受信した該測位指示を通知する。ステップST1505による通知は、サービングgNBの測位精度に関する情報を含んでもよい。ステップST1506において、サービングgNBは、自gNBの測位を行う。ステップST1507において、サービングgNBはAMFに対し、自gNBの測位結果を報告する。
【0195】
図17に示すステップST1510、ST1511、およびST1512は、AMFとサービングgNBとの間で行われたステップST1505、ST1506、およびST1507に対応する。
図17に示すステップST1510、ST1511、およびST1512では、ステップST1505、ST1506、およびST1507の各処理が、AMFとgNB#1との間で行われる。
【0196】
図17に示すステップST1515、ST1516、およびST1517は、AMFとサービングgNBとの間で行われたステップST1505、ST1506、およびST1507に対応する。
図17に示すステップST1515、ST1516、およびST1517では、ステップST1505、ST1506、およびST1507の各処理が、AMFとgNB#2との間で行われる。
【0197】
図17に示すステップST1520において、AMFは、ステップST1507、ST1512、およびST1517においてサービングgNB、gNB#1、およびgNB#2からそれぞれ通知された各基地局の測位結果を、LMFに報告する。
【0198】
図17に示す例において、AMFは、測位用のプロトコルのシグナリングを処理可能であってもよい。すなわち、AMFは、測位用のプロトコルのシグナリングを終端可能であってもよい。このことにより、例えば、LMFからAMF経由で各基地局に通知する測位指示、および/あるいは測位対象基地局からAMF経由でLMFに報告する測位結果を、該基地局の数だけ行うことが不要となる。その結果、LMFとAMFとの間のシグナリング量を削減可能となる。
【0199】
図17において、AMFが測位用のプロトコルのシグナリングを処理可能とする例を示したが、AMFは、測位用のプロトコルのシグナリングを処理しないとしてもよい。例えば、LMFからAMF経由で各基地局に通知する測位指示を、該基地局の数だけ行うとしてもよい。測位対象基地局からAMF経由でLMFに報告する測位結果を、該基地局の数だけ通知してもよい。このことにより、例えば、AMFの設計における複雑性を回避可能となる。
【0200】
図17において、LMFがサービングgNB、gNB#1、gNB#2に対して測位指示を行う例について示したが、LMFは複数の基地局に対して一斉に測位指示を行ってもよい。複数の該基地局は、例えば、同じRNA内の基地局であってもよいし、同じTA内の基地局であってもよい。このことにより、例えば、複数の基地局に対する測位指示を少ないシグナリング量で実行可能となる。
【0201】
図17において、LMFから各基地局への測位指示を用いて各基地局が自基地局の測位を行う例を示したが、基地局は該指示がなくても自基地局の測位を行ってもよい。DUおよび/あるいはTRPにおいても、同様としてもよい。例えば、基地局/DU/TRPが新たに設置された場合において、該基地局/DU/TRPが自身の測位を行ってもよい。該基地局/DU/TRPはLMFに対し、該測位の結果を通知してもよい。このことにより、例えば、LMFは基地局/DU/TRPの位置を迅速に取得可能となり、その結果、通信システムにおいて測位を迅速に実行可能となる。基地局/DU/TRPは該測位結果をAMFに対して通知してもよい。例えば、非特許文献34(3GPP TS38.413 V15.2.0)に開示のNG SETUP REQUESTのシグナリングに、該測位結果が含まれてもよい。
【0202】
サービング基地局は、測位が予備的か詳細かの情報を用いて、測位用信号の時間、周波数、および/あるいは符号リソースを決定してもよい。例えば、サービング基地局は、予備的な測位と詳細な測位との間で、PRSに割り当てられるREの密度を変えてもよい。他の例として、サービング基地局は、予備的な測位と詳細な測位との間で、PRSが割り当てられるスロットの数および/あるいは周期を異ならせてもよいし、該スロットの頻度を異ならせてもよい。このことにより、例えば、測位用信号に用いるリソースを効率的に利用可能となる。該リソースを、LMFが決定してもよい。このことにより、例えば、測位の制御に関する設計の複雑性を回避可能となる。
【0203】
AMFは、測位用のプロトコルのシグナリングを処理可能であってもよい。すなわち、AMFは、測位用のプロトコルのシグナリングを終端可能であってもよい。このことにより、例えば、LMFからAMF経由で各基地局に通知する測位指示、および/あるいは測位対象基地局からAMF経由でLMFに報告する測位結果を、該基地局の数だけ行うことが不要となる。その結果、LMFとAMFとの間のシグナリング量を削減可能となる。
【0204】
前述において、UE位置をサービングgNBが推定する例を示したが、対象UEが自身の位置を推定してもよい。UE自身が測位を行う場合における処理は、サービング基地局が測位を行う場合におけるシグナリングと同様であってもよい。例えば、UEがLMFの機能を有するとしてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおけるシグナリング量を削減可能となる。
【0205】
サービング基地局はUEに対し、測位指示を通知してもよい。サービング基地局からUEに対する測位指示の通知は、測位用信号の受信指示の通知に代えて行われてもよい。サービング基地局からUEに対する測位指示は、測位に用いられる基地局の位置に関する情報を含んでもよい。UEは、該情報を用いて、自UEの測位を行ってもよい。
【0206】
測位を行う基地局はサービング基地局に対し、自基地局の位置に関する情報を通知してもよい。該情報の通知は、例えば、測位のための設定の完了を示す通知に含めて行われてもよい。サービング基地局は測位を行う基地局に対し、該基地局の位置に関する情報を要求してもよい。
【0207】
サービング基地局は、LMFより受信した該指示の通知において、測位を行う主体に関する情報を該指示に含めてもよいし、測位が予備的なものか詳細なものかに関する情報を該指示に含めてもよい。測位を行う基地局は、測位を行う主体に関する情報、および/あるいは測位が予備的なものか詳細なものかに関する情報を用いて、サービング基地局に対して自基地局の位置に関する情報の通知の要否を判断してもよい。このことにより、例えば、サービング基地局において、測位対象基地局の位置に関する情報の要否を判断不要となり、その結果、サービング基地局の設計の複雑性を回避可能となる。
【0208】
他の例として、LMFはサービング基地局に対し、測位に用いる基地局の位置に関する情報を通知してもよい。このことにより、例えば、サービング基地局において、測位対象基地局の位置に関する情報の要否を判断不要となり、その結果、サービング基地局の設計の複雑性を回避可能となる。
【0209】
UEは、測位を行う基地局の位置に関する該情報を用いて、自UEの測位を行ってもよい。UEはサービング基地局に対し、自UEの位置の推定結果に関する情報を通知してもよい。このことにより、例えば、UEはサービング基地局に対し、複数の基地局の受信結果の報告が不要となり、その結果、UEから基地局に送信するシグナリング量を削減可能となる。
【0210】
図18~
図20は、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
図18~
図20は、境界線BL1819、BL1920の位置で、つながっている。
図18~
図20は、対象UEの位置の推定を、対象UE自身が行う例について示している。
図18~
図20に示す例では、
図14~
図16と同様、予備的な測位と詳細な測位の2段階の測位が行われ、サービングgNB(serving gNB)およびgNB#1がUEの第1段階の測位を行い、サービングgNBおよびgNB#2がUEの第2段階の測位を行う。
図18~
図20に示す例において、
図14~
図16と同様、サービングgNBが、第1段階の測位を行う基地局を決定し、LMFが、第2段階の測位を行う基地局を決定する。
図18~
図20において、
図14~
図16と同様の処理には同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
【0211】
図18に示すプロシージャ1401、ステップST1402~ST1404は、
図14と同様である。ステップST1402、ST1403において、LMFは、gNB#1、gNB#2の位置に関する情報を、UE測位指示に含めて、通知してもよいし、含めずに通知してもよい。
【0212】
図19に示すプロシージャST1610において、UEの測位が行われる。
【0213】
図19に示すステップST1415、ST1416は、
図15と同様である。ステップST1415において、サービングgNBは、gNB#1の位置に関する情報の要求を、測位用信号送信指示に含めてもよい。ステップST1416において、gNB#1は、自gNBの位置に関する情報を、測位用信号送信指示応答に含めて、サービングgNBに送信してもよい。
【0214】
図19に示すステップST1618において、サービングgNBはUEに対して、UE自身の測位を指示する。該指示は、
図15に示すステップST1418と同様の情報を含んでもよいし、測位に用いられる基地局の情報を含んでもよい。該基地局の情報は、該基地局を識別する情報を含んでもよいし、該基地局の位置に関する情報を含んでもよい。UEは、ステップST1618によって、サービングgNBおよびgNB#1からの測位用信号の受信に関する設定を行ってもよいし、サービングgNBおよびgNB#1の位置に関する情報を取得してもよい。
【0215】
図19に示すステップST1419~ST1427は、
図15と同様である。
【0216】
図19に示すステップST1628において、UEは、ステップST1427において受信した測位用信号の受信結果、並びに、サービングgNB及びgNB#1の位置に関する情報を用いて、自UEの位置を推定する。ステップST1630において、UEは、自UE位置の推定結果をサービングgNBに報告する。
【0217】
図20に示すステップST1440~ST1441は、
図16と同様である。
【0218】
図20に示すステップST1450~ST1453は、
図16と同様である。
【0219】
図20に示すプロシージャST1660において、UEの測位が行われる。ステップST1660は、前述のプロシージャST1610において、gNB#1をgNB#2に読み替えたプロシージャであってもよい。UEは、プロシージャST1660において、UE位置を推定する。
【0220】
図20に示すステップST1470~ST1471は、
図16と同様である。
【0221】
他の例として、LMFが対象UEの位置を推定してもよい。UE自身が測位を行う場合における処理は、サービング基地局が測位を行う場合におけるシグナリングと同様であってもよい。
【0222】
サービング基地局はLMFに対し、UEから送信された、測位用信号の受信結果報告を転送してもよい。該転送は、AMF経由で行われてもよい。該転送は、サービング基地局からAMF経由でLMFに対して行われる、推定したUE位置に関する情報の通知に代えて行われてもよい。このことにより、例えば、gNB及びUEにおける処理量を削減可能となる。
【0223】
図21~
図23は、UEの測位を複数段階で行う動作の他の例を示すシーケンス図である。
図21~
図23は、境界線BL2122、BL2223の位置で、つながっている。
図21~
図23は、対象UEの位置の推定を、LMFが行う例について示している。
図21~
図23の例では、
図14~
図16と同様、予備的な測位と詳細な測位の2段階の測位が行われ、サービングgNB(serving gNB)およびgNB#1がUEの第1段階の測位を行い、サービングgNBおよびgNB#2がUEの第2段階の測位を行う。
図21~
図23に示す例において、
図14~
図16と同様、サービングgNBが、第1段階の測位を行う基地局を決定し、LMFが、第2段階の測位を行う基地局を決定する。
図21~
図23において、
図14~
図16と同様の処理には同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
【0224】
図21に示すプロシージャ1401、ステップST1402~ST1404は、
図14と同様である。
【0225】
図22に示すプロシージャST1710において、UEの測位が行われる。
【0226】
図22に示すステップST1415~ST1430は、
図15と同様である。
【0227】
図23に示すステップST1740、ST1741において、サービングgNBはAMF経由でLMFに対し、UEにおける測位用信号の受信結果を報告する。ステップST1740は、該報告の、サービングgNBからAMFへの通知を示し、ステップST1741は、該報告の、AMFからLMFへの通知を示す。
図16と同様、ステップST1740、ST1741による報告は、予備的な測位結果である旨を示す情報を含んでもよい。ステップST1740、ST1741による報告に、測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。
【0228】
図23に示すステップST1745において、LMFは、ステップST1741で取得した情報を用いて、UEの位置を推定する。
【0229】
図23に示すステップST1450~ST1453は、
図16と同様である。
【0230】
図23に示すプロシージャST1760において、UEの測位が行われる。ステップST1760は、前述のプロシージャST1710において、gNB#1をgNB#2に読み替えたプロシージャであってもよい。UEは、プロシージャST1760において、UE位置を推定する。
【0231】
図23に示すステップST1770、ST1771において、サービングgNBはAMF経由でLMFに対し、UEにおける測位用信号の受信結果を報告する。ステップST1770は、該報告の、サービングgNBからAMFへの通知を示し、ステップST1771は、該報告の、AMFからLMFへの通知を示す。
図16に示すステップST1470、ST1471と同様、
図23に示すステップST1770、ST1771による該報告は、詳細な測位結果である旨を示す情報を含んでもよい。ステップST1770、ST1771による該報告に、測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))が用いられてもよい。
【0232】
図23に示すステップST1775において、LMFは、ステップST1771で取得した情報を用いて、UEの位置を推定する。
【0233】
UEの測位が準静的に行われてもよい。UEの測位が準静的に行われる例として、UEの測位は、周期的に行われてもよいし、所定のイベントを契機として行われてもよい。所定のイベントは、例えば、ハンドオーバであってもよいし、DUの切替えであってもよいし、TRPの切替えであってもよい。該周期は、規格で定められてもよいし、LMFが決定してサービング基地局および/あるいはUEに通知してもよいし、サービング基地局が決定してUEおよび/あるいはLMFに通知してもよい。このことにより、例えば、LMFはUEの移動に追従して該UEの位置を把握可能となる。
【0234】
他の例として、UEの測位が動的に行われてもよい。UEの測位が動的に行われる例として、UEの測位が、1回のみ行われるとしてもよいし、複数回行われるとしてもよい。LMFはサービング基地局に対し、UEの測位を行う回数に関する情報を通知してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて測位を柔軟に実行可能となる。
【0235】
測位結果は、LMFに対して通知されてもよい。LMFは、該通知を用いて、UEの位置を取得してもよい。該通知は、例えば、UEの測位をサービングgNBが行う場合について行われてもよいし、UE自身が行う場合について行われてもよい。このことにより、例えば、LMFにおいて配下のUEの位置情報を集約可能となり、その結果、UEの位置情報を用いたサービスにおける複雑性を回避可能となる。
【0236】
測位結果は、UEに対して通知されてもよい。UEは、該通知を用いて、自UEの位置を取得してもよい。該通知は、例えば、UEの測位をサービングgNBが行う場合について行われてもよいし、LMFが行う場合について行われてもよい。このことにより、例えば、UEが自UEの位置情報を用いたシステムを実行するにあたり、自UEの位置の精度を向上可能となる。
【0237】
サービングgNBは、UEの位置に関する情報を該UEに通知してもよい。該通知には、例えば、RRCシグナリングが用いられてもよい。他の例として、LMFは、UEの位置に関する情報を該UEに通知してもよい。該通知には、例えば、LPPおよび/あるいはNRPPaにおけるシグナリングが用いられてもよい。
【0238】
測位結果は、基地局に対して通知されてもよい。該基地局は、例えば、サービング基地局であってもよい。基地局は、該通知を用いて、配下のUEの位置を取得してもよい。該通知は、例えば、UEの測位を自UEが行う場合について行われてもよいし、LMFが行う場合について行われてもよい。基地局は、例えば、該位置情報を用いて、スケジューリングを行ってもよい。このことにより、例えば、基地局はUEの位置に適したビームフォーミングを迅速に実行可能となる。
【0239】
LMF、サービング基地局、および/あるいはUEへの、UEの位置情報の通知は、測位用信号の受信結果に関する情報を含んでもよいし、測位が行われた時刻に関する情報を含んでもよい。該時刻に関する情報は、例えば、測位信号の受信が行われた時刻に関する情報であってもよいし、UE位置の推定が行われた時刻であってもよい。このことにより、例えば、時間変動するUE位置情報の精度を向上可能となる。
【0240】
UEの測位の開始を、該UEが起動してもよい。UEは、自UEの測位の開始を、LMFに対して要求してもよい。該要求には、例えば、LPPおよび/あるいはNRPPaにおけるシグナリングが用いられてもよい。
【0241】
他の例として、UEの測位の開始を、サービング基地局が起動してもよい。サービング基地局は、該UEの測位の開始を、LMFに対して要求してもよい。該要求には、例えば、該UEを識別するための情報が含まれてもよい。該要求には、例えば、LPPおよび/あるいはNRPPaにおけるシグナリングが用いられてもよい。
【0242】
UEの位置に関する情報を必要とする主体が、該UEの測位を実行してもよい。例えば、UE自身が自UEの位置に関する情報を必要とする場合において、UE自身が自UEの測位を実行してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて、位置に関する情報のシグナリングが不要となり、その結果、通信システムにおけるシグナリング量を削減可能となる。
【0243】
UEの測位が、上り信号を用いて行われてもよい。測位を行う基地局はサービング基地局に対し、上りの測位用信号の受信結果を報告してもよい。測位に上り信号を用いることにより、例えば、通信システムにおける測位の柔軟性を向上可能となる。
【0244】
対象UEの測位が、他のUEを用いて行われてもよい。他の該UEは、自UEの位置が既知である基地局であってもよい。該測位は、例えば、他の該UEが、対象UEからの測位用信号を受信することにより行われてもよいし、対象UEが他の該UEからの測位用信号を受信することにより行われてもよい。このことにより、例えば、対象UEから見て他の該UEが基地局よりも近接して存在することにより、測位精度を向上可能となる。他の該UEを決定する主体は、LMFであってもよいし、基地局であってもよい。また、他の該UEを決定する主体は、測位段階毎に異なってもよい。
【0245】
LMFは他の該UEに対し、測位用信号の時間、周波数、および/あるいは符号リソースに関する情報を通知してもよい。LMFは対象UEに対し、測位用信号の時間、周波数、および/あるいは符号リソースに関する情報を通知してもよい。基地局、例えばサービング基地局が、該リソースを決定して、対象UEおよび/あるいは他の該UEに対して通知してもよい。
【0246】
他のUEを用いた測位において、Uuインタフェースが用いられてもよいし、PC5インタフェースが用いられてもよい。PC5が用いられる場合において、測位用の信号として、サイドリンク用の同期信号(SLSS;SideLink Synchronization Signal)が用いられてもよいし、CSI-RSが用いられてもよいし、DM-RSが用いられてもよいし、SRSが用いられてもよいし、サイドリンクにおける測位用の信号が新たに設けられてもよい。UEに対する測位用信号のリソースの設定は、例えば、サイドリンクにおける通信先のUEによって設定されてもよい。このことにより、例えば、基地局のカバレッジ外においても測位が可能となる。
【0247】
UEの測位が、DCを構成する基地局を用いて行われてもよい。例えば、マスタ基地局は、セカンダリ基地局を、測位に用いる基地局として決定してもよい。他の例として、LMFは、UEが接続しているマスタ基地局および/あるいはセカンダリ基地局を、測位に用いる基地局として決定してもよい。他の例として、第一段階目の測位は、マスタ基地局および/あるいはセカンダリ基地局を用いて行われるとしてもよい。このことにより、例えば、測位を行う基地局とUEとのシグナリングを迅速に実行可能となり、その結果、通信システムにおいて測位を迅速に実行可能となる。
【0248】
測位に用いる基地局の数が、可変であってもよい。例えば、UEと基地局との距離が短い場合において、少ない数の基地局を用いて測位が行われるとしてもよい。このことにより、例えば、測位精度を確保しつつ、通信リソースを効率的に利用可能となる。
【0249】
サイドローブを用いた測位が行われてもよい。サイドローブを用いた測位において、例えば、下り信号のUEにおける受信時刻が用いられてもよい。例えば、UEは、サービング基地局から他のUEに送信するデータに付随して送信されるDM-RSの受信時刻を測定してもよい。UEはサービング基地局に対し、該受信時刻に関する情報を通知してもよい。サービング基地局は、該時刻を用いて、UEとの間の距離を推定してもよい。サイドローブを用いた該測位が、基地局から見たUEの方向に関する情報と組み合わせて用いられてもよい。また、複数の基地局からのサイドローブを用いて測位が行われてもよい。このことにより、例えば、基地局は、他のUEとの間でデータ送受信を可能としつつ、対象UEの測位を可能とする。その結果、通信リソースを効率的に利用可能となる。
【0250】
本実施の形態1において、測位の種別が設けられないとしてもよい。例えば、予備的な測位は、第一段階の測位であってもよいし、詳細な測位は、第二段階の測位であってもよい。本実施の形態1において、予備的な測位を第一段階の測位に読み替え、詳細な測位を第二段階の測位に読み替えてもよい。このことにより、例えば、測位における柔軟性を向上可能となる。
【0251】
本実施の形態1により、LMFは、UEの測位に用いる基地局として、該UEと直接波を用いて通信可能な基地局を選択可能となる。その結果、該UEにおける測位精度を向上可能となる。
【0252】
実施の形態1の変形例1.
実施の形態1では、UEの測位を、直接波を用いた通信が可能な基地局を用いて行う方法を開示した。本変形例1では、UEと基地局との間の通信が、直接波を用いた通信であるかどうかを推定するための方法を開示する。
【0253】
通信システムは、基地局とUEとの間の通信における伝搬損失(パスロス)と伝搬遅延とを組合せた情報を用いて、直接波を用いた通信かどうかを推定する。
【0254】
該情報を用いた推定方法は、例えば、サービングビームおよび隣接ビームのパスロスから推定した位置と、伝搬遅延から求めた距離との間に、不整合が発生するかどうかを確認する方法であってもよい。例えば、該不整合が発生しない場合には、直接波が用いられると推定してもよい。例えば、該不整合が発生する場合には、反射波が用いられると推定してもよい。
【0255】
サービングビームおよび隣接ビームのパスロスから位置を推定する方法は、例えば、サービングビームのパスロスの等値線(あるいは等値面)が、隣接ビームのパスロスの等値線(あるいは等値面)と重なり合う位置を、UEの位置として推定する方法であってもよい。
【0256】
該情報を用いた推定方法の他の例として、サービングビームのパスロス、隣接ビームのパスロス、および伝搬遅延のそれぞれの値の組み合わせが、直接波か否かの推定結果と、あらかじめ対応付けられていてもよい。該対応付けは、例えば、表の形式で与えられていてもよい。該表は、基地局とUEとの間の通信に用いられる帯域毎に設けられてもよい。該対応付けは、あらかじめ規格で定められていてもよいし、基地局が決定してもよい。基地局は、自基地局が決定した該対応付けの情報を、UEに通知してもよい。UEは、該情報を用いて、自UEと基地局との間の通信が、直接波を用いた通信であるかどうかを推定してもよい。
【0257】
図24は、パスロスと伝搬遅延とを組合せることによって、基地局とUEとが直接波を用いて通信していると推定された例を示す図である。
【0258】
図24において、基地局2001とUEとの間の通信に用いられるサービングビームは、パスロスの等値線2010、2011、2012、2013、及び2014によって構成される。
図24においてサービングビームの等値線は、パスロスが大きい順に、等値線2010、2011、2012、2013、2014で表される。該サービングビームに対する隣接ビームは、パスロスの等値線2015、2016、2017、2018、及び2019によって構成される。
図24において該隣接ビームの等値線は、パスロスが大きい順に、等値線2015、2016、2017、2018、2019で表される。
【0259】
図24に示す例において、サービングビームのパスロスは、等値線2012、2013で示される値の範囲内であったとする。また、隣接ビームのパスロスは、等値線2015、2016で示される値の範囲内であったとする。
図24に示す例において、サービングビームおよび隣接ビームのパスロスから推定されるUEの位置は、領域2025に囲まれた範囲となる。
【0260】
また、
図24に示す例において、伝搬遅延から推定された、基地局とUEとの間の距離は、領域2030に示す範囲であったとする。
【0261】
図24に示す例において、領域2025と領域2030とが重なり合う領域が存在するので、パスロスから推定されるUEの位置と、伝搬遅延から推定されるUEとの距離との間に、不整合は発生していない、と判断される。
図24に示す例において、基地局2001とUEとは直接波を用いて通信している、と推定される。
【0262】
図25は、パスロスと伝搬遅延とを組合せることによって、基地局とUEとが反射波を用いて通信していると推定された例を示す図である。
図25において、
図24と同様の要素には同じ番号を付し、共通する説明を省略する。
【0263】
図25に示す例において、サービングビームのパスロスは、等値線2011、2012で示される値の範囲内であったとする。また、隣接ビームのパスロスは、等値線2015と2016とで示される値の範囲内であったとする。
図25に示す例において、サービングビームおよび隣接ビームのパスロスから推定されるUEの位置は、領域2125に囲まれた範囲となる。
【0264】
また、
図25に示す例において、伝搬遅延から推定された、基地局とUEとの間の距離は、領域2130に示す範囲であったとする。
【0265】
図25に示す例において、領域2125と領域2130とが重なり合う領域が存在しないので、パスロスから推定されるUEの位置と、伝搬遅延から推定されるUEとの距離との間に、不整合が発生している、と判断される。
図25に示す例において、基地局2001とUEとは反射波を用いて通信している、と推定される。
【0266】
直接波か否かの推定に、下り信号が用いられてもよい。UEが、下り信号を受信して該推定を行ってもよい。該下り信号は、例えば、PRSであってもよいし、SSブロックであってもよいし、DM-RSであってもよいし、CSI-RSであってもよい。
【0267】
UEは、該下り信号の受信時刻により、基地局との間の伝搬遅延を求めてもよい。他の例として、基地局が、UEにおける該受信時刻を用いて、自基地局とUEとの間の伝搬遅延を求めてもよい。UEは基地局に対し、該受信時刻を通知してもよい。他の例として、基地局が、UEからの上り信号を用いて、該伝搬遅延を求めてもよい。基地局はUEに対し、該伝搬遅延を通知してもよい。UEは、導出した、あるいは、基地局から通知された伝搬遅延を用いて、基地局からの距離を推定してもよい。
【0268】
UEは、該下り信号の受信により、下りパスロスを導出してもよい。UEが導出するパスロスは、基地局の下り送信用のサービングビームにおけるパスロスと、該サービングビームに隣接する下り送信用のビームにおけるパスロスを含んでもよい。
【0269】
UEにおける下りパスロスの測定にあたり、該UEは、複数の下り受信用ビームを用いてもよい。例えば、UEは、下り受信用の各ビームにおける受信強度を用いて、下り受信用の各ビームにおける、基地局からの電波の到来方向の、ビーム中心からの角度を推定してもよい。このことにより、例えば、パスロスの精度を向上可能となり、その結果、パスロスによる測位精度を向上可能となる。
【0270】
直接波か否かを、基地局が推定してもよい。UEは、基地局に対し、下りパスロスの測定結果を通知してもよいし、下り伝搬遅延を通知してもよい。該測定結果は、基地局のサービングビームにおけるパスロスと、該サービングビームに隣接するビームにおけるパスロスを含んでもよい。基地局は、該パスロスの測定結果を用いて、UEの位置を推定してもよい。基地局は、該下り伝搬遅延を用いて、自基地局とUEとの間の距離を推定してもよい。基地局は、パスロスより推定したUEの位置と、伝搬遅延より推定した該距離とを用いて、UEとの間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。他の例として、基地局は、前述の対応付けの情報を用いて、UEとの間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。
【0271】
他の例として、直接波か否かを、UEが推定してもよい。UEは、基地局に対し、サービングビームおよび隣接ビームのパスロスの等値線に関する情報を要求してもよい。基地局はUEに対し、該等値線に関する情報を通知してもよい。UEは、該等値線に関する情報を用いて、自UEの位置を推定してもよい。UEは、基地局からの伝搬遅延に関する情報を用いて、基地局からの距離を推定してもよい。UEは、推定した該位置と、推定した該距離を用いて、基地局との間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。他の例として、UEは、前述の対応付けの情報を用いて、UEとの間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。
【0272】
直接波か否かの推定に、上り信号が用いられてもよい。基地局が、上り信号を受信して該推定を行ってもよい。該上り信号は、例えば、SRSであってもよいし、PRACHであってもよいし、DM-RSであってもよい。
【0273】
基地局は、該上り信号の受信時刻により、UEとの間の伝搬遅延を求めてもよい。他の例として、UEが、基地局における該受信時刻を用いて、自UEと基地局との間の伝搬遅延を求めてもよい。基地局はUEに対し、該受信時刻を通知してもよい。他の例として、UEが、基地局からの下り信号を用いて、該伝搬遅延を求めてもよい。UEは基地局に対し、該伝搬遅延を通知してもよい。基地局は、導出した、あるいは、UEから通知された伝搬遅延を用いて、UEからの距離を推定してもよい。
【0274】
基地局は、該上り信号の受信により、上りパスロスを導出してもよい。基地局が導出するパスロスは、自基地局の上り受信用のサービングビームにおけるパスロスと、該サービングビームに隣接する上り受信用のビームにおけるパスロスを含んでもよい。
【0275】
基地局における上りパスロスの測定にあたり、UEは、複数の上り送信用ビームを用いてもよい。例えば、基地局は、UEの上り送信用の各ビームにおける受信強度を用いて、上り送信用の各ビームにおける、基地局への電波の送信方向の、ビーム中心からの角度を推定してもよい。他の例として、基地局は、UEの上り送信用の各ビームにおける受信強度を測定し、UEに報告してもよい。UEは、該報告を用いて、上りパスロスを導出してもよい。UEは、導出した上りパスロスを、基地局に報告してもよい。該上りパスロスの導出は、基地局の上り受信用のサービングビームにおける受信結果と、該サービングビームに隣接する上り受信用のビームにおける受信結果の両方について行われてもよい。このことにより、例えば、上りパスロスの精度を向上可能となり、その結果、パスロスによる測位精度を向上可能となる。
【0276】
直接波か否かを、基地局が推定してもよい。基地局は、該パスロスの測定結果を用いて、UEの位置を推定してもよい。基地局は、該上り伝搬遅延を用いて、自基地局とUEとの間の距離を推定してもよい。基地局は、パスロスより推定したUEの位置と、伝搬遅延より推定した該距離とを用いて、UEとの間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。他の例として、基地局は、前述の対応付けの情報を用いて、UEとの間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。
【0277】
他の例として、直接波か否かを、UEが推定してもよい。基地局は、UEに対し、上りパスロスの測定結果を通知してもよいし、上り伝搬遅延を通知してもよい。該測定結果は、基地局の上り受信用サービングビームにおけるパスロスと、該サービングビームに隣接する上り受信用ビームにおけるパスロスを含んでもよい。UEは、基地局に対し、サービングビームおよび隣接ビームのパスロスの等値線に関する情報を要求してもよい。基地局はUEに対し、該等値線に関する情報を通知してもよい。UEは、該等値線に関する情報を用いて、自UEの位置を推定してもよい。UEは、基地局からの伝搬遅延に関する情報を用いて、基地局からの距離を推定してもよい。UEは、推定した該位置と、推定した該距離を用いて、基地局との間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。他の例として、UEは、前述の対応付けの情報を用いて、UEとの間で直接波が用いられているか否かを推定してもよい。
【0278】
基地局はUEに対し、該下り信号に関する設定を通知してもよい。該設定は、下り信号の時間、周波数、および/あるいは符号のリソースに関する情報を含んでもよい。該設定は、サービングビームを用いた送信に関する情報を含んでもよいし、隣接ビームを用いた送信に関する情報を含んでもよいし、隣接ビームを識別する情報を含んでもよい。UEは、該設定を用いて、基地局のサービングビーム、および/あるいは隣接ビームからの下り信号を受信してもよい。例えば、該設定に隣接ビームを用いた送信に関する情報、および/あるいは隣接ビームを識別する情報が含まれることにより、UEにおいて、サービングビームと隣接ビームを判別可能となる。
【0279】
基地局はUEに対し、該上り信号に関する設定を通知してもよい。該設定は、上り信号の時間、周波数、および/あるいは符号のリソースに関する情報を含んでもよい。該設定は、サービングビームを用いた受信に関する情報を含んでもよいし、隣接ビームを用いた受信に関する情報を含んでもよいし、隣接ビームを識別する情報を含んでもよい。UEは、該設定を用いて、基地局のサービングビーム、および/あるいは隣接ビームへ上り信号を送信してもよい。例えば、該設定に隣接ビームを用いた受信に関する情報、および/あるいは隣接ビームを識別する情報が含まれることにより、UEにおいて、サービングビームへの送信と隣接ビームへの送信を判別可能となる。
【0280】
基地局は、直接波か反射波かの推定結果を、LMFに通知してもよい。該推定結果は、基地局からLMFに通知する、UE位置推定結果のシグナリングに含まれてもよいし、基地局からLMFに通知する、測位用信号受信結果報告のシグナリングに含まれてもよい。あるいは、直接波か反射波かの推定結果を含む新たなシグナリングが設けられてもよい。LMFは、該結果を用いて、実施の形態1において開示した詳細な測位に用いる基地局を決定してもよい。このことにより、例えば、基地局とUEとが互いに見通しの位置にあるかどうかの情報の信頼性を向上可能となるとともに、LMFは該情報を迅速に取得可能となる。
【0281】
他の例として、基地局は、直接波か反射波かの推定結果を、UEの位置推定に用いてもよい。例えば、実施の形態1において開示した予備的な測位、および/あるいは第一段階の測位において、反射波を用いた通信を行っていると推定した基地局からの測定結果を除外してもよい。基地局は、他の基地局に対し、自基地局とUEとの間における直接波か反射波かの推定結果を通知してもよい。このことにより、例えば、実施の形態1において開示した予備的な測位、および/あるいは第一段階の測位における精度を向上可能となる。
【0282】
基地局は、UEとの通信を直接波と反射波のどちらを用いて行っているかを、継続的に推定してもよい。例えば、基地局は該推定を周期的に行ってもよい。基地局は、該推定結果をLMFに通知してもよい。基地局からLMFに対する該推定結果は、例えば、該推定結果が変わる場合(例、直接波から反射波への変化、反射波から直接波への変化)において通知されるとしてもよい。このことにより、例えば、LMFは、UEと基地局との間の通信状況を迅速に把握可能となり、その結果、高精度な測位を迅速に実行可能となる。
【0283】
基地局における継続的な該推定において、伝搬遅延のみが用いられてもよい。基地局は、UEとの間の伝搬遅延に関する情報を継続的に取得してもよい。例えば、直接波を用いて通信中のUEとの間の伝搬遅延が急変した場合において、基地局は、該UEとの間で反射波を用いた通信に切り替わったと推定してもよい。該急変の判定に関する情報は、あらかじめ規格で定められてもよいし、基地局自身が決定してもよいし、AMFが決定して基地局に通知してもよいし、LMFが決定して基地局に通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は、該推定を少ない処理量で実行可能となる。
【0284】
基地局における該推定において、UEは、自UEの位置の変化に関する情報を基地局に通知してもよい。UEにおける自UEの位置の変化に関する情報の取得において、例えば、該UEの加速度センサが用いられてもよいし、他のセンサ(例、GPSセンサ)が用いられてもよい。基地局は、該推定において、UEから通知される該情報を用いてもよい。このことにより、例えば、基地局における該推定の精度を向上可能となる。
【0285】
UEの位置の推定に、3つ以上のビームが用いられてもよい。例えば、複数の隣接ビームが用いられてもよい。このことにより、例えば、該推定において、隣接ビームが反射波である場合においても他の隣接ビームを用いて該推定が可能となる。その結果、該推定の精度を向上可能となる。
【0286】
本変形例1により、基地局とUEとの間の通信に直接波が用いられているか反射波が用いられているかを推定可能となる。このため、UEの測位における精度を向上可能となる。
【0287】
実施の形態1の変形例2.
屋内における測位では、電波環境が悪化することが想定される。その場合、UEおよび/あるいは基地局が受信する、測位に用いられる信号に対して干渉が生じ、測位精度が低下するといった問題が生じる。
【0288】
本変形例2においては、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0289】
対象UEの測位実行時に、他のUEからの送信を停止する。該送信停止に、例えば、メジャメントギャップと同様の方法が用いられてもよい。他の方法として、設定済みグラントと同様の方法が、該送信停止に用いられてもよい。基地局は該他のUEに対し、送信の停止に関する情報を通知してもよい。該情報は、例えば、測位実行による送信停止であることを示す情報を含んでもよい。UEは、測位実行による送信停止であることを示す情報を用いて、送信を停止してもよい。このことにより、例えば、対象UEの測位において、他のUEからの干渉を低減可能となる。
【0290】
該情報は、上り送信を止める時間および/あるいは周波数リソースに関する情報を含んでもよいし、測位実行による送信停止であることを示す情報を含んでもよい。
【0291】
上り送信の停止を、LMFが設定してもよいし、AMFが設定してもよいし、基地局が設定してもよい。基地局はLMFに対し、UEとの通信に用いる上りリソースに関する情報を通知してもよい。このことにより、例えば、LMFは、UEの上り送信を停止する周波数および/あるいは時間リソースを適切に選択可能となる。
【0292】
該情報の通知には、例えば、報知情報が用いられてもよい。該報知情報は、例えば、測位用のSIBであってもよい。このことにより、例えば、基地局は複数UEに対して一斉に上り送信停止を通知可能となり、その結果、UEと基地局との間のシグナリング量を削減可能となる。他の例として、NASシグナリングが用いられてもよいし、RRC個別シグナリングが用いられてもよいし、MACシグナリングが用いられてもよいし、L1/L2シグナリングが用いられてもよい。L1/L2シグナリングは、例えば、UE個別のL1/L2シグナリングであってもよいし、UEグループ内で共通のL1/L2シグナリング(例:グループ共通PDCCH(Group-common PDCCH ))であってもよい。他の例として、非特許文献30(3GPP TS38.305 V15.2.0)に開示された測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))上のシグナリングが用いられてもよい。
【0293】
他の解決策を開示する。対象UEの測位実行時に、測位を行う基地局以外の基地局(以下、測位非実行基地局と称する場合がある。)が送信を停止してもよい。AMFは、測位非実行基地局に対し、送信の停止を指示してもよい。他の例として、LMFが測位非実行基地局に対し、送信の停止を指示してもよい。他の例として、測位対象UEにおけるサービング基地局が、測位非実行基地局に対し、送信の停止を指示してもよい。
【0294】
測位を行うDU以外のDUが送信を停止してもよいし、測位を停止するTRP以外のTRPが送信を停止するとしてもよい。以下、測位非実行基地局は、測位非実行DUであってもよいし、測位非実行TRPであってもよい。
【0295】
測位非実行基地局に対する送信の停止の該指示は、測位非実行基地局が下り送信を停止する周波数および/あるいは時間リソースに関する情報を含んでもよいし、該停止が繰り返される周期に関する情報を含んでもよい。測位非実行基地局は、該指示を用いて、下り送信を停止してもよい。このことにより、例えば、UEの測位において基地局からの干渉を低減可能となる。
【0296】
該指示は、測位非実行基地局が下り送信を停止する周波数および/あるいは時間リソースに関する情報を含んでもよいし、該停止が繰り返される周期に関する情報を含んでもよい。測位非実行基地局は、該指示を用いて、下り送信を停止してもよい。このことにより、例えば、UEの測位において基地局からの干渉を低減可能となる。
【0297】
該指示には、例えば、基地局間インタフェース(例:Xnインタフェース)上のシグナリングが用いられてもよいし、非特許文献30(3GPP TS38.305 V15.2.0)に開示された測位用のプロトコル(例:LPP(LTE Positioning Protocol)、NRPPa(NR Positioning Protocol A))上のシグナリングが用いられてもよいし、CU-DU間シグナリングが用いられてもよい。
【0298】
前述の送信停止のタイミングにおいても、所定のビームを用いた送信を可能としてもよい。所定のビームは、例えば、測定対象UEを向かないビームであってもよい。このことにより、例えば、測位対象UEへの干渉を低減しつつ、通信システムにおける効率を向上可能となる。該UEは、例えば、実施の形態1における予備的な測位、および/あるいは第一段階の測位が完了したUEであってもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて、所定のビームを適切に選択可能となる。
【0299】
該所定のビームは、例えば、基地局のビームであってもよい。LMFが、該所定のビームを決定してもよい。LMFは測位非実行基地局に対し、該所定のビームに関する情報を通知してもよいし、測位対象UEを向くビームの情報を通知してもよいし、対象UEの位置に関する情報を通知してもよい。測位非実行基地局は、該通知を用いて、該所定のビームに関する情報を取得してもよい。他の例として、該所定のビームの決定をAMFが行ってもよいし、サービング基地局が行ってもよい。
【0300】
該所定のビームに関する情報に代えて、対象UEの位置に関する情報が用いられてもよい。対象UEの位置に関する情報は、例えば、予備的な測位、および/あるいは第一段階の測位により得られたUEの位置であってもよい。LMFは測位非実行基地局に対し、対象UEの位置に関する情報を通知してもよい。測位非実行基地局は、対象UEの位置に関する情報を用いて、該所定のビームを導出してもよい。対象UEの位置の通知を、AMFが行ってもよいし、サービング基地局が行ってもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける複雑性を回避可能となる。
【0301】
所定のビームに関する他の例として、測位対象UE以外のUEのビームであってもよい。該所定のビームの決定および/あるいは通知は、前述の、基地局のビームにおける決定および/あるいは通知と同様としてもよい。例えば、LMF、AMF、および/あるいはサービング基地局が、該ビームに関する情報を決定し、UEに通知してもよい。対象UEの位置に関する情報の通知についても、前述と同様としてもよい。例えば、LMF、AMF、および/あるいはサービング基地局が、測位対象UEの位置に関する情報を、測位対象UE以外のUEに通知してもよい。
【0302】
前述の送信停止のタイミングにおいても、所定の周波数を用いた送信を可能としてもよい。所定の周波数ビームとは、例えば、測位用信号に割り当てられない周波数であってもよい。このことにより、例えば、測位対象UEへの干渉を低減しつつ、通信システムにおける効率を向上可能となる。所定の周波数は、例えば、測位用信号に割り当てられる周波数よりも低い周波数であってもよい。このことにより、例えば、測位における精度を確保しつつ、通信システムにおいてデータ送受信可能な範囲を拡大可能となる。所定の周波数は、例えば、測位用信号に割り当てられる周波数とは異なる帯域であってもよいし、異なるBWP(Bandwidth Part)であってもよい。
【0303】
LMFは、測位非実行基地局に対し、該所定の周波数に関する情報を通知してもよいし、測位用信号に割り当てられる周波数に関する情報を通知してもよい。測位非実行基地局は、該情報を用いて、所定の周波数に関する情報を取得してもよい。測位非実行基地局に対する該通知の主体に関する他の例として、該通知をAMFが行ってもよいし、サービング基地局が行ってもよい。
【0304】
LMFは、測位対象UE以外のUEに対し、該所定の周波数に関する情報を通知してもよいし、測位用信号に割り当てられる周波数に関する情報を通知してもよい。測位対象UE以外のUEは、該情報を用いて、所定の周波数に関する情報を取得してもよい。測位対象UE以外のUEに対する該通知の主体に関する他の例として、該通知をAMFが行ってもよいし、サービング基地局が行ってもよい。
【0305】
前述の送信停止のタイミングを、サービング基地局と非同期の基地局、DU、および/あるいはTRPに対して通知してもよい。前述の場合において、例えば、送信停止タイミングを、サービング基地局と同期の基地局、DU、および/あるいはTRPに対する通知よりも長いタイミングとしてもよい。このことにより、例えば、測位実行時における、サービング基地局と非同期の基地局、DU、および/あるいはTRPからの干渉を低下可能となる。
【0306】
UEおよび/あるいは基地局による測位用信号が、他UE向けにスケジューリングされている周波数および/あるいは時間リソースを用いて、送信されてもよい。UEは、該リソースにおいて、測位用信号を受信および/あるいは送信してもよい。他UE向けにスケジューリングされている周波数および/あるいは時間リソースは、設定済みグラント(configured grant)によりスケジューリングされたリソースであってもよいし、動的グラント(dynamic grant)によりスケジューリングされたリソースであってもよい。他UEは、スケジューリングされた該リソースにおける上り送信を停止してもよい。このことにより、例えば、測位用信号に対する干渉を低減可能となり、その結果、測位精度を向上可能となる。基地局は他UEに対して、該リソースにおける上り送信の停止を指示してもよい。該指示は、例えば、L1/L2シグナリングに含まれてもよい。例えば、プリエンプション通知(Preemption indication)に含まれてもよい。
【0307】
他の例として、測位用信号が、他UE向けにスケジューリングされている周波数および/あるいは時間リソースにおいて送信されないとしてもよい。基地局はLMFに対して、該リソースが他UEに対しスケジューリング済であることを示す情報を通知してもよい。該通知は、例えば、LPPおよび/あるいはNRPPaにおけるシグナリングを用いて行われてもよい。該通知は、例えば、LMFが該リソースを決定する場合に行われてもよい。LMFは該通知を用いて、測位用信号の周波数および/あるいは時間リソースを再設定してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける効率を向上可能となる。
【0308】
測位用信号に用いる周波数および/あるいは時間リソースの設定に関する他の例として、基地局はUEに対し、測位用信号に用いる周波数および時間リソースを再設定してもよい。該再設定は、基地局が該リソースを決定する場合に行われてもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
【0309】
前述の、他UE向けにスケジューリングされている周波数および/あるいは時間リソースを用いた、UEおよび/あるいは基地局による測位用信号の送信は、自UE向けにスケジューリングされている周波数および/あるいは時間リソースを用いる場合に適用されてもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
【0310】
測位用信号について、プリエンプションが適用されてもよい。例えば、他のデータが、測位用信号に優先して、送信されてもよい。基地局は、測位対象UEに対して、プリエンプションが発生したことを示す情報を通知してもよい。該情報は、例えば、プリエンプション通知(Preemption indication)であってもよい。UEは、該通知を用いて、測位用信号を再度受信してもよい。基地局はUEに対して、測位用信号を再度受信するための周波数、時間、および/あるいは符号リソースについての情報を通知してもよい。他の例として、基地局はLMFに対して、プリエンプションの発生を通知してもよい。該通知は、例えば、LPPおよび/あるいはNRPPaにおけるシグナリングに含まれてもよい。LMFは、該通知を用いて、測位用信号の周波数、時間、および/あるいは符号リソースを再設定してもよい。このことにより、例えば、測位精度を向上可能となる。
【0311】
測位用信号におけるプリエンプションの適用に関する他の例として、測位用信号が他のデータに優先して送信されてもよい。基地局は、他のデータを送受信するUEに対して、プリエンプションが発生したことを示す情報を通知してもよい。このことにより、例えば、迅速な測位が可能となる。
【0312】
本変形例2により、測位実行時における干渉を低減可能となる。その結果、測位精度を向上可能となる。
【0313】
実施の形態2.
NRを用いた測位において、PRSが用いられてもよいし、SSBが用いられてもよいし、CSI-RSが用いられてもよい。
【0314】
CSI-RSは、細いビームを用いて送信される。ところが、NRを用いた測位において、CSI-RSを用いた測位については詳細に議論がされていない。このため、通信システムにおいて、CSI-RSを用いた測位を実行不可能である。その結果、高精度な測位を実現できないという問題が生じる。
【0315】
本実施の形態2では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0316】
基地局は、CSI-RSを、PRSと組合せて送信する。基地局は、CSI-RSを、SSブロックと組み合わせてもよい。基地局は、例えば、PRSとCSI-RSの送信タイミングを合わせてもよい。前述の、タイミングを合わせた送信は、例えば、同じサブフレームにおける送信であってもよいし、同じスロットにおける送信であってもよい。複数のサブフレームをひとかたまりとして、同じかたまりにおいてPRSとCSI-RSが送信されてもよい。前述の複数のサブフレームの代わりに、複数のスロットまたは複数のシンボルをひとかたまりにしてもよい。
【0317】
前述において、PRSとCSI-RSは、異なるシンボルで送信されてもよい。UEは、該PRSと該CSI-RSの両方を受信してもよい。このことにより、例えば、両信号間の干渉を低減可能となる。その結果、測位精度を向上可能となる。
【0318】
前述において、PRSとCSI-RSは、異なるシンボルで送信されてもよい。このことにより、例えば、両信号間の干渉を低減可能となり、その結果、測位精度を向上可能となる。
【0319】
UEは、該CSI-RSおよび/あるいは該PRSの受信結果を、サービングgNBに報告してもよい。サービングgNBは、該受信結果、例えば、CSI-RSの受信結果を用いて、UEの方向を導出してもよい。例えば、サービングgNBは、UEが受信したCSI-RSのビームの方向を、UEの方向として導出してもよい。サービングgNBは、導出したUEの方向を、LMFに通知してもよい。このことにより、例えば、UEの測位において、基地局から見たUEの角度の精度を向上可能となり、その結果、測位精度を向上可能となる。
【0320】
PRSが、CSI-RSの1つのモードとして設けられてもよい。このことにより、例えば、PRSを細いビームで送信可能となり、その結果、UE測位の精度を向上可能となる。CSI-RSを用いてもよい。
【0321】
他の例として、PRSを送信するビーム幅が制御可能であってもよい。例えば、PRSを細いビームで送信可能としてもよい。PRSが、デジタルプリコーディング可能なビームで送信されるとしてもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果を得ることができる。
【0322】
図26は、CSI-RSをPRSと組合せて送信する動作の概要を示した図である。
図26に示す例において、基地局2501がUE2520に対するサービング基地局であり、UE2520の測位に用いる基地局は、サービング基地局2501および基地局2511である。
図26において、サービング基地局2501が送信するPRS、CSI-RSの受信可能範囲をそれぞれ領域2502、2503とする。
図26において、基地局2511が送信するPRS、CSI-RSの受信可能範囲をそれぞれ領域2512、2513とする。
【0323】
図26に示す例において、サービング基地局2501はUE2520に対し、PRSおよびCSI-RSを送信する。サービング基地局2501はPRSおよびCSI-RSを、同じタイミング、例えば、同じサブフレームまたは同じスロットで送信してもよい。あるいは、複数のサブフレーム、複数のスロット、または複数のシンボルをひとかたまりとして、同じかたまりにおいてサービング基地局2501はPRSおよびCSI-RSを送信してもよい。UE2520は、該タイミングにおいて、サービング基地局2501からPRSおよび/あるいはCSI-RSを受信する。
【0324】
図26に示す例において、基地局2511はUE2520に対し、PRSおよびCSI-RSを送信する。基地局2511からのPRSおよびCSI-RS送信は、サービング基地局2501からのPRSおよびCSI-RS送信と同様に行われるとしてもよい。
【0325】
サービング基地局2501からの該送信と、基地局2511からの該送信とは、異なるタイミングで行われてもよいし、同じタイミングで行われてもよい。例えば、同じタイミングで行われることにより、UEの測位を迅速に実行可能となる。
【0326】
サービング基地局は対象UEに対し、測位用のCSI-RSの設定に関する情報を通知してもよい。該情報は、例えば、CSI-RSの時間リソースおよび/あるいは周波数リソースに関する情報であってもよいし、CSI-RSの符号に関する情報であってもよい。該情報は、サービング基地局以外の基地局が送信するCSI-RSに関する情報を含んでもよい。
【0327】
サービング基地局から対象UEに通知される該情報に、CSI-RSが測位用であることを示す情報が含まれてもよい。UEは、該情報を用いて、測位用のCSI-RSを受信してもよい。UEは基地局に対し、CSI-RSの受信結果を報告してもよい。該報告には、例えば、受信したCSI-RSが測位用であることを示す情報が含まれてもよい。サービング基地局は、該情報を用いて、対象UEの位置の推定を行ってもよい。このことにより、例えば、基地局は、該報告が測位用CSI-RSの受信結果であることを迅速に把握可能となる。その結果、通信システムにおいて測位を迅速に実行可能となる。
【0328】
基地局は対象UEに対し、他のUE向けに送信しているCSI-RSに関する情報を通知してもよい。対象UEは、該情報を用いて、他のUE向けに送信しているCSI-RSを受信してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおけるリソースを削減可能となる。
【0329】
UEは、前述の情報を用い、CSI-RSを受信してもよい。UEはサービング基地局に対し、CSI-RS受信結果を報告してもよい。該報告は、CSI-RSの受信強度に関する情報を含んでもよいし、CSI-RSのパスロスに関する情報を含んでもよいし、CSI-RSの伝搬遅延に関する情報を含んでもよいし、CSI-RSが送信されたビームに関する情報を含んでもよい。CSI-RS受信結果報告に関する他の例として、UEは、該報告を、CSI-RSを送信した基地局に対して行ってもよい。
【0330】
CSI-RSの設定の全部あるいは一部が、基地局、DU、および/あるはTRP間で共通であってもよい。例えば、CSI-RSの符号系列が共通であってもよいし、CSI-RSの周波数および/あるいは時間リソースが共通であってもよい。CSI-RSの符号系列を共通とする場合において、CSI-RSの周波数および/あるいは時間リソースを異ならせてもよい。CSI-RSの周波数および/あるいは時間リソースを共通とする場合において、CSI-RSの符号系列を異ならせてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいてCSI-RSの送信リソースを節約可能となる。
【0331】
CSI-RSの設定の全部あるいは一部が、UE間で共通であってもよい。例えば、CSI-RSの符号系列が共通であってもよいし、CSI-RSの周波数および/あるいは時間リソースが共通であってもよい。CSI-RSの符号系列を共通とする場合において、CSI-RSの周波数および/あるいは時間リソースを異ならせてもよい。CSI-RSの周波数および/あるいは時間リソースを共通とする場合において、CSI-RSの符号系列を異ならせてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいてCSI-RSの送信リソースを節約可能となる。
【0332】
CSI-RS、SSブロック、および/あるいはPRSを組合せた測位に関する他の例として、前述の各信号において掃引方向を異ならせてもよい。例えば、PRSを送信するビームを仰角・伏角方向に掃引してもよいし、CSI-RSを送信するビームを水平方向に掃引してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいてビームスイーピングの時間を短縮可能となり、その結果、測位を迅速に実行可能となる。
【0333】
本実施の形態2に開示した方法が、実施の形態1と組み合わせて用いられてもよい。例えば、UEとの間で直接波を用いて通信可能な基地局は、CSI-RSを用いてUE可能な基地局であってもよい。このことにより、例えば、測位において、UEから遠くにある基地局も使用可能となり、その結果、直接波を使用可能な基地局の数を確保可能となり、もって測位の精度を向上可能となる。
【0334】
他の例として、予備的な測位においてPRSが用いられ、詳細な測位においてCSI-RSが用いられるとしてもよい。他の例として、第一段階の測位においてPRSが用いられ、第二段階の測位においてCSI-RSが用いられるとしてもよい。このことにより、例えば、測位における柔軟性を向上可能となる。
【0335】
本実施の形態2に開示した方法が、実施の形態1の変形例1と組み合わせて用いられてもよい。例えば、実施の形態1の変形例1において開示した、直接波か反射波かの推定方法を、CSI-RSに対して適用してもよい。測位を行う基地局は対象UEに対し、CSI-RSの複数のビームにおける設定を通知してもよい。このことにより、例えば、CSI-RSを送信するビームにおいても直接波か反射波かを推定可能となり、その結果、測位の精度を向上可能となる。
【0336】
本実施の形態2に開示した方法が、ECIDに適用されてもよいし、OTDOAに適用されてもよい。例えば、OTDOAにおいて、PRSとCSI-RSを組み合わせた測位が行われてもよい。UEはサービング基地局に対し、PRSおよび/あるいはCSI-RSの伝搬遅延に関する情報を通知してもよい。サービング基地局は、該情報を用いてUE位置の推定を行ってもよい。他の例として、サービング基地局は、該情報をLMFに通知してもよい。LMFは、該情報を用いて、UEの位置を推定してもよい。このことにより、例えば、測位精度を向上可能となる。
【0337】
本実施の形態2により、基地局は、CSI-RSを送信する細いビームを用いてUEの測位を実行可能となる。その結果、UEの測位精度を向上可能となる。
【0338】
実施の形態2の変形例1.
通信システムにおいて、CSI-RSを送信する細いビームをUEの測位に用いるにあたり、以下に示す問題が生じる。すなわち、対象UEの測位を行う基地局は、対象UEを捕捉するためにビームスイーピングを行う必要がある。CSI-RSを送信するビームが細いので、前述のビームスイーピングに時間を要する。その結果、迅速な測位が不可能になるという問題が生じる。
【0339】
本変形例1においては、前述の問題点を解決する方法を開示する。
【0340】
測位を行う基地局は、サービング基地局がUEとの通信に用いるビームの範囲において、ビームスイーピングを行う。
【0341】
サービング基地局は、ユーザデータの送受信に用いるビームの情報を用いて、測位に用いるビームのビームスイーピングを行ってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は測位を迅速に実行可能となる。
【0342】
該ビームは、例えば、基地局が用いるビーム(例:サービングビーム)であってもよい。該ビームは、下り送信用のビームであってもよいし、上り受信用のビームであってもよい。例えば、上り受信用のビームを用いることにより、下り送信用のビームと上り受信用のビームとが一致していない(ビームコレスポンデンス(beam correspondence)が取れていない)場合においても、高精度な測位が可能となる。
【0343】
図27は、測位を行う基地局が、サービング基地局がUEとの通信に用いるビームの範囲において、ビームスイーピングを行う動作を示す図である。
図27は、サービング基地局2601及び基地局2611がUE2605の測位を行う例について示している。
【0344】
図27に示す例において、サービング基地局2601は、ビーム2602、2603、及びビーム2604を使用可能であり、ビーム2603を用いてUE2605と通信するものとする。
【0345】
図27に示す例において、基地局2611はビーム2612、2613、2614、及び2615を使用可能である。これらのうちでビーム2613、2614は、サービング基地局2601がビーム2603を用いてUE2605と通信可能な範囲に重なる。このため、基地局2611は、サービング基地局2601からのビーム2603による通信可能な範囲を含む、ビーム2613、2614を用いて、UE2605の測位を行う。すなわち、基地局2611によるUE2605の測位において、ビーム2612、2615は用いられない。
【0346】
サービング基地局は、測位を行う基地局に対し、対象UEとの通信に用いるサービングビームに関する情報を通知してもよい。
【0347】
サービングビームに関する情報として、以下の(1)~(6)を開示する。
【0348】
(1)サービング基地局の位置に関する情報。
【0349】
(2)サービングビームの中心の方向に関する情報。
【0350】
(3)ビームの到達距離に関する情報。
【0351】
(4)ビームの幅に関する情報。
【0352】
(5)サービングビームの照射範囲に関する情報。
【0353】
(6)前述の(1)~(5)の組合せ。
【0354】
前述の(1)の情報は、例えば、サービング基地局の緯度、経度、高度、または前述の組合せであってもよい。このことにより、例えば、測位を行う基地局は、サービング基地局の位置を高精度に把握可能となる。
【0355】
前述の(1)の情報に関する他の例として、サービング基地局が、あらかじめ定義された領域分けにおいて、どの領域に位置するかを示す情報であってもよい。前述の、あらかじめ定義された領域分けは、例えば、規格で定められたものであってもよいし、LMFが決定した領域分けであってもよい。該領域分けは、例えば、緯度および経度を用いて行われてもよいし、高度を用いて行われてもよい。該領域分けによって区切られた領域は、例えば、三角形であってもよいし、四角形であってもよいし、六角形であってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は、自基地局の位置に関する情報を少ないサイズで通知可能となる。
【0356】
前述の(1)の情報に関する他の例として、サービング基地局と、測位を行う基地局との間の位置の差分に関する情報であってもよい。差分に関する該情報は、例えば、東西方向の差分、南北方向の差分、高度方向の差分を組み合わせた情報であってもよいし、両基地局間の距離並びに方位角、および高度の差分を組み合わせた情報であってもよいし、両基地局間の距離、方位角、仰角・伏角を組み合わせた情報であってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は、自基地局の位置に関する情報を少ないサイズで通知可能となるとともに、測位を行う基地局は、サービング基地局の位置を高精度に把握可能となる。
【0357】
前述の(2)の情報は、例えば、サービングビームの中心が向く方位角(例:北から右回りで何度、といった情報)、仰角・伏角を組み合わせた情報であってもよいし、水平方向の成分(例:南北方向と東西方向の組合せ)で記述されるベクトルの情報であってもよい。該ベクトルは、上下方向の成分を含んでもよい。このことにより、例えば、測位を行う該基地局はサービングビームの方向を把握可能となる。
【0358】
前述の(3)の情報は、例えば、サービングビームが到達する距離であってもよい。該距離は、例えば、所定の単位(例:メートル単位)で表されてもよいし、所定のパラメータと距離とを対応付けた情報として与えられてもよい。このことにより、例えば、測位を行う該基地局は、サービング基地局のサービングビームの届く範囲を推定可能となる。その結果、測位を行う該基地局がビームスイーピングを行う範囲を絞り込むことが可能となり、もって該ビームスイーピングを迅速に実行可能となる。
【0359】
前述の(4)の情報は、例えば、サービングビームの半値幅であってもよい。このことにより、例えば、測位を行う該基地局は、サービング基地局のサービングビームの届く範囲を高精度に推定可能となる。
【0360】
前述の(5)の情報は、例えば、サービングビームにおける通信可能な範囲が、あらかじめ定義された領域分けにおいて、どの領域に属するかを示す情報であってもよい。前述の、あらかじめ定義された領域分けは、例えば、前述の(1)において開示された領域分けと同様であってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は、サービングビームにおいて通信可能な範囲に関する情報を少ないサイズで通知可能となる。
【0361】
図28は、サービング基地局が、サービングビームに関する情報として、予め定められた複数の領域のうちでサービングビームの範囲と重なる領域を、通知する例を示す図である。
図28の例では、通信エリアが所定形状(ここでは六角形が例示される)の領域2710に区画されており、該複数の領域2710のうちでサービングビーム2704の範囲と重なる領域の番号が、サービングビーム2704に関する情報として用いられる。
【0362】
図28に示す例において、サービング基地局2701がUE2705と、サービングビーム2704を用いて通信している。領域2710のうち、サービングビーム2704の範囲と重なる領域の番号は、4、7、8、12、15、16、及び19となる。サービング基地局2701は、測位を行う基地局に対し、領域2710の番号として4、7、8、12、15、16、及び19を通知する。なお、
図28に示す例では、番号が4、7、8、12、15、16、及び19の各領域2710は、サービングビームの範囲の一部と重なっている(換言すれば、該一部を含んでいる)。例えば、サービングビーム2704および領域2710の大きさ、領域2710の形状によっては、サービングビーム2704の範囲の全体が1つの領域2710に含まれる場合もありえる。
【0363】
サービングビームに関する情報の通知は、基地局間インタフェース(例:Xnインタフェース)を用いて行われてもよいし、AMF経由で行われてもよいし、LMF経由で行われてもよい。ユーザデータの送受信に用いるビームの情報を用いて、測位に用いるビームのビームスイーピングを行ってもよい。このことにより、例えば、サービング基地局は測位を迅速に実行可能となる。
【0364】
測位を行う基地局は、該情報を用いて、測位用のCSI-RSを送信するビームのビームスイーピング範囲を導出してもよい。例えば、該基地局が、測位用のCSI-RSを送信する1つあるいは複数のビームを決定してもよい。
【0365】
測位を行う基地局は、測位を行うUEに対し、測位用に送信するCSI-RSに関する情報を通知してもよい。該通知は、例えば、サービング基地局経由で行われてもよいし、LMF経由で行われてもよいし、AMF経由で行われてもよい。このことにより、例えば、対象UEは、測位用に用いられるCSI-RSの受信に必要な情報を取得可能となる。その結果、通信システムにおいて高精度の測位が可能となる。
【0366】
CSI-RSに関する該情報は、例えば、CSI-RSの符号系列に関する情報であってもよいし、CSI-RSの時間および/あるいは周波数リソースに関する情報であってもよい。前述の該情報が、CSI-RSが送信されるビーム毎に設けられてもよい。
【0367】
他の解決策を開示する。測位に用いられる基地局はCSI-RSを、該基地局における空きビームを用いて送信してもよい。該空きビームとは、例えば、該基地局において配下のUEとの通信に用いられていないビームであってもよい。測位用基地局はサービング基地局に対して、自基地局の空きビームに関する情報を通知してもよい。サービング基地局は、測位用基地局の空きビームに関する情報を、UEに通知してもよい。UEは、該情報を用いて、測位用基地局からのCSI-RSを受信してもよい。このことにより、例えば、測位用基地局におけるビームスイーピング時間を短縮しつつ、測位用基地局から配下のUEに対する干渉を低減可能となる。
【0368】
前述の空きビームの代わりに、干渉が少ないビームが用いられてもよい。該干渉は、該ビーム配下のUEに対する干渉であってもよいし、基地局が該ビームを用いて受信する干渉であってもよい。配下の該UEは、該ビームにおける干渉電力を測定してもよい。該UEは基地局に対し、該干渉電力の測定結果を報告してもよい。基地局は、該報告を用いて、測位に用いるビームを決定してもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
【0369】
前述の2つの解決策が組み合わせて用いられてもよい。測位を行う基地局は、サービング基地局がUEとの通信に用いるビームの範囲において、かつ、空きビームにおいて、ビームスイーピングを行うとしてもよい。このことにより、例えば、測位用基地局におけるビームスイーピング時間をさらに短縮しつつ、測位用基地局から配下のUEに対する干渉を低減可能となる。
【0370】
本変形例1において開示する方法が、ハンドオーバ、DU間切替え、および/あるいはTRP間切替えにおいて用いられてもよい。例えば、移動元基地局は移動先基地局に対し、UEとの接続に用いるサービングビームに関する情報を通知してもよい。該情報は、本変形例1において開示した情報と同様のものであってもよい。移動元基地局は、該情報を用いて、該UEの測位に用いるビームを決定してもよい。DU間切替え、および/あるいはTRP間切替えにおいても、同様としてもよい。このことにより、例えば、ハンドオーバ後の測位を迅速に実行可能となる。
【0371】
本変形例1により、測位を行う基地局は、ビームスイーピングの回数を削減可能となる。その結果、通信システムにおいて、UEの測位を迅速に実行可能となる。
【0372】
実施の形態3.
3GPPにおいて、D2D(Device to Device)通信、V2V(Vehicle to Vehicle)通信のため、サイドリンク(SL:Side Link)がサポートされている(非特許文献1参照)。SLはPC5インタフェースによって規定される。
【0373】
SLに用いられる物理チャネル(非特許文献1参照)について説明する。物理サイドリンク報知チャネル(PSBCH:Physical sidelink broadcast channel)は、システムと同期に関連する情報を運び、UEから送信される。
【0374】
物理サイドリンクディスカバリチャネル(PSDCH:Physical sidelink discovery channel)は、UEからサイドリンクディスカバリメッセージを運ぶ。
【0375】
物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical sidelink control channel)は、サイドリンク通信とV2Xサイドリンク通信のためのUEからの制御情報を運ぶ。
【0376】
物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical sidelink shared channel)は、サイドリンク通信とV2Xサイドリンク通信のためのUEからのデータを運ぶ。
【0377】
SLに用いられるトランスポートチャネル(非特許文献1参照)について説明する。サイドリンク報知チャネル(SL-BCH:Sidelink broadcast channel)は、予め決められたトランスポートフォーマットを有し、物理チャネルであるPSBCHにマッピングされる。
【0378】
サイドリンクディスカバリチャネル(SL-DCH:Sidelink discovery channel)は、固定サイズの予め決められたフォーマットの周期的報知送信を有する。また、UE自動リソース選択(UE autonomous resource selection)とeNBによってスケジュールされたリソースアロケーションの両方をサポートする。UE自動リソースセレクションでは衝突リスクが有り、UEがeNBによって個別リソースをアロケーションされた時は、衝突は無い。また、HARQコンバイニングをサポートする。ただし、HARQフィードバックはサポートしない。SL-DCHは物理チャネルであるPSDCHにマッピングされる。
【0379】
サイドリンク共有チャネル(SL-SCH:Sidelink shared channel)は、報知送信をサポートする。UE自動リソース選択(UE autonomous resource selection)とeNBによってスケジュールされたリソースアロケーションの両方をサポートする。UE自動リソースセレクションでは衝突リスクが有り、UEがeNBによって個別リソースをアロケーションされた時は、衝突は無い。また、HARQコンバイニングをサポートする。ただし、HARQフィードバックはサポートしない。また、送信電力、変調、コーディングを変えることによって、動的リンクアダプテーションをサポートする。SL-SCHは物理チャネルであるPSSCHにマッピングされる。
【0380】
SLに用いられる論理チャネル(非特許文献1参照)について説明する。サイドリンク報知制御チャネル(SBCCH;Sidelink Broadcast Control Channel)は、一つのUEから他のUEにサイドリンクシステム情報を報知するためのサイドリンク用チャネルである。SBCCHはトランスポートチャネルであるSL-BCHにマッピングされる。
【0381】
サイドリンクトラフィックチャネル(STCH;Sidelink Traffic Channel)は一つのUEから他のUEにユーザ情報を送信するための1対多のサイドリンク用トラフィックチャネルである。STCHはサイドリンク通信能力を有するUEとV2Xサイドリンク通信能力を有するUEによってのみ用いられる。2つのサイドリンク通信能力を有するUE間の1対1通信もまたSTCHで実現される。STCHはトランスポートチャネルであるSL-SCHにマッピングされる。
【0382】
3GPPでは、NRにおいてもV2X通信をサポートすることが検討されている。NRにおけるV2X通信の検討が、LTEシステム、LTE-Aシステムを基にして進められているが、以下の点でLTEシステム、LTE-Aシステムからの変更および追加が行われている。
【0383】
LTEではSLの通信はブロードキャスト(broadcast)のみであった。NRでは、SLの通信として、ブロードキャストに加え、ユニキャスト(unicast)とグループキャスト(groupcast)のサポートが検討されている(非特許文献29(3GPP RP-182111)参照)。
【0384】
ユニキャスト通信やグループキャスト通信では、HARQのフィードバック(Ack/Nack)、CSI報告等のサポートが検討されている。
【0385】
3GPPにおいて、低遅延と高信頼性の通信(Ultra-Reliable and Low Latency Communication;URLLC)の要件を満たすために、タイムセンシティブネットワーク(Time Sensitive Network;TSN)のサポートが検討されている(非特許文献22(3GPP RP-182090)参照)。タイムセンシティブネットワークにおいて、複数のUE間における時刻同期が求められている(非特許文献25(3GPP TR22.804 V16.1.0)参照)。複数のUE間の時刻同期の方法として、基地局と各UEとの間の時刻同期が検討されている(非特許文献26(3GPP R3-185808)、非特許文献27(3GPP TS36.331 V15.3.0)、非特許文献28(3GPP R2-1817173)参照)。
【0386】
TSNにおける基地局とUEとの間の時刻同期において、基地局はUEに対して、時刻同期に関する情報を報知してもよいし、個別に通知してもよい。該情報は、システム情報に含まれてもよいし、RRCシグナリング、例えば、下り情報通知(DLInformationTransfer)のシグナリングに含まれてもよい。該情報は、例えば、時刻参照情報(以下、タイミングリファレンス(timing reference))、不確定性(uncertainty)を含んでもよい。タイミングリファレンスは、所定のシステムフレームに関する情報と、時刻(reference time)とを組み合わせた情報、例えば、所定のシステムフレームの末尾における時刻を示す情報であってもよい。UEは、該情報を用いて、自UE時刻を設定してもよい。
【0387】
タイミングリファレンスに含まれる情報において、所定のシステムフレームの代わりに所定のサブフレームに関する情報と、時刻とを組み合わせた情報、例えば、該サブフレーム末尾における時刻を示す情報が用いられてもよい。あるいは、タイミングリファレンスに含まれる情報において、所定のスロットに関する情報と、時刻とを組み合わせた情報、例えば、該スロット末尾における時刻を示す情報が用いられてもよい。前述における末尾の時刻の代わりに、先頭の時刻が用いられてもよい。このことにより、例えば、UEは該時刻までの待ち時間を短縮可能となり、その結果、UEは自UEの時刻設定を迅速に実行可能となる。
【0388】
基地局からUEに対して送信されるタイミングリファレンスは、例えば、基地局がGNSS(Global Navigation Satellite System)あるいはRNSS(Regional Navigation Satellite System)より取得した時刻情報を用いて生成したものであってもよいし、位置情報サーバから基地局に対してシグナリングした時刻情報を用いて生成したものであってもよいし、上位NW装置(例えば、AMFおよび/あるいはSMF)が基地局に対してシグナリングした時刻情報を用いて生成したものであってもよいし、時刻サーバから取得した時刻情報を用いて生成したものであってもよい。例えば、上位NW装置が基地局に対してシグナリングした時刻情報を用いたタイミングリファレンスを基地局がUEに送信することにより、通信システム全体における時刻同期が可能となる。
【0389】
UEは、該タイミングリファレンスを用いて導出した自UE時刻について、補正を行ってもよい。該補正は、例えば、基地局とUEとの間の伝搬遅延を補正するものであってもよい。該補正において、例えば、タイミングアドバンス(TA)が用いられてもよい。通信システムにおいて、例えば、TAを、基地局とUEとの間の往復の伝搬遅延時間とみなしてもよい。UEは、自UE時刻に、該TAの半分の値を加算した値を、補正後の自UE時刻として用いてもよい。
【0390】
前述したように、3GPPでTSNのサポートが検討されている。SL通信を行うUE間でも時刻を合わせたい場合が生じる。たとえば、SLでユニキャスト通信を行う車載のUE間や、隊列走行を行っている車載のUEグループ間で、時刻を同期させて自動走行用の制御を実施するような場合である。このような場合、UE間やUEグループ間で時刻同期を行うことが必要となる。
【0391】
しかし、SL通信を行うUE間での時刻同期方法はなんら開示されておらず不明である。このため、UE間で時刻同期が要求されるようなSL通信ができないという問題が生じる。TSNでSLを用いることができないという問題が生じる。本実施の形態3ではこのような課題を解決する方法を開示する。
【0392】
gNBが、SL通信のためのUEに対して、時刻同期に関する情報を通知する。TSNにおいて、gNBは時刻同期に関する情報を、TSNに用いられるSIBに含めて、報知する。たとえばLTEにおいてはSIB16が用いられる。NRにおいても同様に、時刻同期に関する情報を、SIBに含めて、報知してもよい。SL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を含むSIBを受信して、gNBからの時刻同期情報を取得するとよい。
【0393】
SL通信を行うUE全てが、TSNに用いられるSIBを受信しなくてもよい。SL通信を用いたTSNのサービスを行う場合に、該サービスを行うUEが、TSNに用いられるSIBを受信するとよい。SL通信を用いたTSNのサービスを行うUEは、上位レイヤの要求により、TSNに用いられるSIBを受信し、時刻同期に関する情報を取得する。
【0394】
このようにすることで、TSNをサポートするgNBのカバレッジ内に存在するSL通信を行うUEは、時刻同期情報を取得可能となる。このため、該UE間で時刻を同期させた制御が可能となる。
【0395】
gNBからSL通信のためのUEに対して時刻同期に関する情報を通知する他の方法を開示する。TSNにおいて、gNBは時刻同期に関する情報を、SL通信に用いられるSIBに含めて、報知する。たとえばLTEにおいてはSIB18やSIB21が用いられる。NRにおいても同様に、時刻同期に関する情報を、SIBに含めて、報知してもよい。SL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を含むSIBを受信して、gNBからの時刻同期情報を取得するとよい。
【0396】
SL通信を用いたTSNのサービスを行うUEは、上位レイヤの要求により、SL通信に用いられるSIBに含まれる時刻同期に関する情報を取得する。このようにすることで、TSNをサポートするgNBのカバレッジ内に存在するSL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を取得可能となる。このため、該UE間で時刻を同期させた制御が可能となる。
【0397】
TSNをサポートするgNBのカバレッジ外に存在するUEは、該gNBの有する時刻同期に関する情報を受信できない。このような課題を解決する方法を開示する。時刻同期に関する情報を有するSL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を送信してもよい。時刻同期に関する情報を有するUEは、例えば、TSNをサポートするgNBから時刻同期に関する情報を受信したUE、他のUEから時刻同期に関する情報を受信したUEである。
【0398】
gNBから時刻同期に関する情報を受信したUEは、取得した時刻同期に関する情報を、他のSL通信を行うUEに対して、PC5シグナリングで通知してもよい。gNBから時刻同期情報を受信したUEは、取得した時刻同期に関する情報を、SL用報知情報に含めて、送信してもよい。時刻同期に関する情報を含むSL用報知情報送信用に、新たな物理チャネルが設けられてもよい。あるいは、時刻同期に関する情報を含むSL用報知情報送信用として、PSBCHが用いられてもよい。PSBCHが用いられる場合、既存のチャネルを利用でき、制御の複雑化を回避することができる。また、SLでデータ通信が行われないときにおいてもUE間の時刻同期が可能となる。
【0399】
時刻同期に関する情報として、前述に開示した情報を適用するとよい。時刻誤差情報として、例えば、UEが有するクロック精度等のUEにおける時刻誤差を用いて補正した情報を用いるとしてもよい。このようにすることで、gNBではなく、UEが、TSNにおける時刻同期情報を送信可能となる。
【0400】
SL通信を行うUEは、gNBのカバレッジ内に存在する場合、gNBとタイミング同期をとりSLSSを送信する。タイミング同期をとるgNBが、時刻同期情報を受信するgNBと異なる場合、SL通信を行うUEは、時刻同期情報に関する情報の中の所定のスロットあるいはサブフレームあるいはシステムフレームに関する情報を、タイミング同期により得たスロットあるいはサブフレームあるいはシステムフレームに関する情報に、補正するとよい。たとえば、タイミングリファレンスは、SLSS先端における時刻の情報、あるいはSLSS後端における時刻の情報であってもよい。このようにすることで、SL通信を行うUEは、自UEがタイミング同期により得たタイミングを用いた時刻同期情報を、設定および送信可能となる。
【0401】
タイミング同期をとるgNBを、TSNをサポートするgNBとしてもよい。たとえば、UEが、TSNをサポートするgNBとTSNをサポートしていないgNBの両方のカバレッジ内に存在するような場合、タイミング同期をとるgNBを、TSNをサポートするgNBとしてもよい。たとえ、タイミング同期をとるgNBからの受信電力が、TSNをサポートするgNBからの受信電力よりも高いとしても、TSNをサポートするgNBを選択する。
【0402】
このようにすることで、TSNをサポートするgNBを、タイミング同期をとるgNBとすることが可能となる、このため、UEでのスロットタイミング、サブフレームタイミング、システムフレームタイミングを、TSNをサポートするgNBと同期できる。それにより、時刻同期情報に関する情報の中の所定のスロットあるいはサブフレームあるいはシステムフレームに関する情報を用いることが可能となる。UEでの時刻同期情報送信処理を容易にすることが可能となる。
【0403】
時刻同期に関する情報を受信することが可能か否かを判断するため、TSNをサポートするgNBからの受信電力あるいは受信品質に所定の閾値を設けてもよい。たとえば、該所定の閾値よりも大きい場合、UEは、時刻同期に関する情報を受信することが可能と判断するとよい。いいかえると、UEは、TSNをサポートするgNBのカバレッジ内に存在することになる。TSNをサポートするgNBからの受信電力あるいは受信品質が所定の閾値以下の場合、UEは、TSNをサポートするgNBのカバレッジ外に存在すると判断する。
【0404】
UEが、複数のTSNをサポートするgNBから、時刻同期に関する情報を受信可能な場合、受信電力あるいは受信品質の高い方のgNBからの時刻同期に関する情報を取得して用いてもよい。このようにすることで、時刻同期に関する情報をより確実に取得可能となる。
【0405】
あるいは、UEが、複数のTSNをサポートするgNBから、時刻同期に関する情報を受信可能な場合、時刻同期情報の中の時刻誤差の少ない方のgNBからの時刻同期に関する情報を取得して用いてもよい。このようにすることで、自UEが時刻同期に関する情報を送信する場合も、より少ない時刻誤差の情報を設定可能となる。より少ない時刻誤差でTSNをサポート可能となる。
【0406】
このようにすることで、UEが、TSNをサポートするgNBのカバレッジ内に存在する場合、UEはgNBからの時刻同期情報を受信して、UEは該時刻同期情報に適宜補正を加えて時刻同期情報を送信可能となる。
【0407】
TSNをサポートするgNBのカバレッジ外に存在するSL通信を行うUEは、他のUEから送信される時刻同期に関する情報を含むチャネルを受信して、時刻同期に関する情報を取得する。
【0408】
時刻同期に関する情報を受信することが可能か否かを判断するため、他のUEからの受信電力あるいは受信品質に所定の閾値を設けてもよい。たとえば、該所定の閾値よりも大きい場合、UEは、時刻同期に関する情報を受信することが可能と判断するとよい。そうでない場合は、UEは、時刻同期に関する情報を受信することは不可能と判断する。不可能な場合は、さらに他のUEから送信される時刻同期に関する情報を含むチャネルの受信を試みてもよい。
【0409】
UEが、複数の時刻同期に関する情報を送信するUEから、時刻同期に関する情報を受信可能な場合、受信電力あるいは受信品質の高い方のUEからの時刻同期に関する情報を取得して用いてもよい。このようにすることで、時刻同期に関する情報をより確実に取得可能となる。
【0410】
あるいは、UEが、複数の時刻同期に関する情報を送信するUEから、時刻同期に関する情報を受信可能な場合、時刻同期情報の中の時刻誤差の少ない方のUEからの時刻同期に関する情報を取得して用いてもよい。このようにすることで、自UEが時刻同期に関する情報を送信する場合も、より少ない時刻誤差の情報を設定可能となる。より少ない時刻誤差でTSNをサポート可能となる。
【0411】
他のUEから時刻同期に関する情報を取得したUEは、取得した時刻同期に関する情報を、SL用報知情報に含めて、送信してもよい。この方法は、前述のgNBから時刻同期情報を受信した場合の処理を適宜適用するとよい。同様の効果を得ることができる。このようにすることで、SL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を受信し、また送信することが可能となる。
【0412】
このようにすることで、SL通信を行うUEは、たとえTSNをサポートするgNBのカバレッジ内に存在しなくても、他のUEから時刻同期に関する情報を取得することが可能となる。
【0413】
SL通信を行うUEが、時刻同期に関する情報を送信する他の方法を開示する。SL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を、SCI(Sidelink Control Information)に含めて、PSCCHで送信してもよい。SL通信を行うUEは、送信UEからのPSCCHを受信して、時刻同期に関する情報を取得する。このようにPSCCHを用いることで、受信UEは、SL通信用データ受信時に、データ受信に必要なPSCCHから、時刻同期に関する情報を取得可能となる。時刻同期に関する情報を早期に送受信可能となる。また、時刻同期に関する情報取得のためにPSBCHや他のチャネルの受信を行わなくて済むので、UEでの時刻同期処理を簡易にできる。
【0414】
SCIを2つに分けてもよい。たとえば、SCI1、SCI2とする。各々のSCIを送信するための2つの異なるチャネルを設けてもよい。たとえば、該2つの異なるチャネルを、PSCCH1、PSCCH2とする。一方のPSCCH、たとえばPSCCH1は、従来のPSCCHと同様にリソースプールが設定された全UEが受信可能とする。他方のPSCCH、例えばPSCCH2は、従来のPSCCHとは異なり、一つのUEあるいはUEグループのみが受信可能とする。
【0415】
時刻同期に関する情報を、前述に開示したSCI1に含めてもよい。時刻同期に関する情報を、SCI1に含めて、PSCCH1で通知してもよい。SL通信においてリソースプールが設定された全UEが、時刻同期に関する情報を受信可能となる。あるいは、時刻同期に関する情報を、SCI2に含めてもよい。時刻同期に関する情報を、SCI2に含めて、PSCCH2で通知してもよい。ユニキャスト通信において対向するUE、あるいは、グループキャスト通信において対向するUEグループ内のUEのみが、該情報を受信可能となる。時刻同期を受信して、時刻を同期させた制御を行うUEが前述のように限定されるような場合に有効である。
【0416】
SL通信を行うUEが、時刻同期に関する情報を送信する他の方法を開示する。SL通信を行うUEは、時刻同期に関する情報を、SL通信におけるRRCシグナリングを用いて送信してもよい。たとえば、ユニキャスト通信やグループキャスト通信においてUE間でRRC接続が実施される場合、対向UEとの間で行われるRRCシグナリングを用いて、時刻同期に関する情報を送信してもよい。SL通信の送信UEは、時刻同期に関する情報を、RRCシグナリングに含めて、受信UEに送信する。受信UEは、送信UEからのRRCシグナリングに含まれる時刻同期に関する情報を取得する。
【0417】
このようにすることで、RRC接続が実施される場合に、ユニキャスト通信やグループキャスト通信を行うUE間で時刻を同期させた制御を可能となる。RRCシグナリングを用いるので、時刻同期に関する情報量を増やすことが可能となる。
【0418】
SL通信を行うUEが、時刻同期に関する情報を送信する他の方法を開示する。UEは、時刻同期に関する情報を、SL通信におけるMACシグナリングを用いて、送信してもよい。たとえば、ユニキャスト通信やグループキャスト通信において、対向UEとの間でMACシグナリングを用いて、時刻同期に関する情報を送信してもよい。SL通信の送信UEは、時刻同期に関する情報を、MACシグナリングに含めて、受信UEに送信する。受信UEは、送信UEからのMACシグナリングに含まれる時刻同期情報を取得する。MACシグナリングはHARQフィードバックがサポートされてもよい。このようにすることで、時刻同期に関する情報の受信誤り率を低減させることが可能となる。
【0419】
このようにすることで、TSNをサポートするgNBのカバレッジ外に存在するUEも、TSNをサポートするgNBから時刻同期に関する情報を受信したUEや、他の時刻同期に関する情報を有するUEから、時刻同期に関する情報を受信可能となる。TSNをサポートするgNBのカバレッジ内外に存在するUE間で時刻を同期させた制御を可能にする。
【0420】
複数のTSNがRANを用いて構成されてもよい。RANとしてLTEやNRなどのRANがある。たとえば、NRの場合、一つのgNBが複数のTSNをサポートしてもよい。LTEの場合、一つのeNBが複数のTSNをサポートしてもよい。複数のTSNをサポートするような場合、TSN毎に前述の方法を適用するとよい。たとえば、TSN毎に時刻同期を行ってもよい。
【0421】
gNBが複数のTSNをサポートするような場合、UEはどのTSNの時刻同期に関する情報を受信したかが不明になる。このような問題を解決する方法を開示する。TSNを特定するための識別子を設ける。時刻同期に関する情報に、TSNを特定するための識別子を含めてもよい。gNBは、時刻同期に関する情報を、TSNを特定するための識別子と関連付けて送信してもよい。
【0422】
また、TSN毎に通信されるデータに、TSNを特定するための識別子を含めてもよい。gNBは、TSNを特定するための識別子を、TSN毎に通信されるデータに関連付けて、送信してもよい。
【0423】
複数のTSNでSLを用いてもよい。UE間のSL通信において前述の方法を適用するとよい。時刻同期に関する情報を送信するUEは、TSNを特定するための識別子を、TSN毎の時刻同期に関する情報やTSN毎に通信されるデータに関連付けて、送信してもよい。時刻同期に関する情報を受信するUEは、TSNを特定するための識別子を受信することで、時刻同期に関する情報やデータが、どのTSNの情報やデータであるかを認識することができる。
【0424】
複数のTSNでSLを用いる場合、TSN毎にRRC接続を確立してもよい。RRC接続とTSNとを関連付けるとよい。たとえば、RRC接続に用いられるシグナリングに、TSNを特定するための識別子を含めてもよい。
【0425】
このようにすることで、たとえ複数のTSNが構成されたとして、TSN毎に時刻同期を行うことが可能となる。サービス毎にTSNが構成された複数のサービスを提供可能となる。
【0426】
実施の形態4.
実施の形態3で開示した方法では、SL通信を行うUE間に電波伝搬距離の差が生じる場合がある。
図29は、SL通信を行うUE間に電波伝搬距離の差が生じる場合を説明する概念図である。UE1とUE2との間、UE1とUE3との間、UE1とUE4との間で各々SL通信が行われている。UE1とUE2、UE3、UE4との電波伝搬距離は各々異なっている。SL通信で、送信を行うUEをUE_txとし、通信ターゲットとなるUEをUE_rxとする。
【0427】
UE1からUE2、UE3、UE4へ時刻同期に関する情報が送信される場合、各UEへの電波伝搬遅延時間に差が生じ、時刻同期の精度が劣化してしまう。gNBとUEとの間で時刻同期を行う場合にUE間の電波伝搬距離に応じて時刻を補正する方法として、例えば、タイミングアドバンス(TA)を用いる方法が提案されている。しかし、従来のSL通信にはTAが無い。このため、SL通信を用いてUE間で時刻を同期させる場合には、UE間の電波伝搬距離に応じた時刻補正に、TAを利用できないという問題が生じる。本実施の形態4では、このような課題を解決する方法を開示する。
【0428】
タイミング補正用信号を設ける。タイミング補正用のチャネルを設けてもよい。タイミング補正用信号は、所定のシーケンスを用いて構成され、所定の周波数帯域と所定の時間長を有する周波数-時間リソースにマッピングされる。リソースを示す周波数単位は、サブキャリア単位、RB単位、SLで用いられるサブチャネルの周波数単位、BWP単位等であってもよい。リソースを示す時間単位は、Ts(=fs、fs;サンプリング周波数)単位、サブシンボル単位、シンボル単位、スロット単位、サブフレーム単位、TTI単位等であってもよい。タイミング補正用信号がマッピングされる周波数-時間リソースは、一つまたは複数のリソースの繰返しで構成されてもよいし、あるいは、周期的に構成されてもよい。
【0429】
タイミング補正用信号はUE個別に設定されてもよい。たとえば、タイミング補正用信号のシーケンス、および/あるいは、タイミング補正用信号の周波数-時間リソースを、タイミング補正用信号を送信するUE毎に設定してもよい。SLでUEから送信されるタイミング補正用信号を受信したUEが、該シーケンスおよび/あるいはリソースから、送信したUEを特定可能となる。また、タイミング補正用信号は、一つまたは複数のUEからなるグループ個別に設定されてもよい。タイミング補正用信号を送信したUEが所属するグループを特定可能となる。
【0430】
あるいは、タイミング補正用信号は、SL通信における送信UE内で共通に設定されてもよい。UEが、送信相手であるUE内で共通に設定されたタイミング補正用信号を用いることで、送信相手であるUEは、自UEに送信されたタイミング補正用信号であることを特定可能となる。
【0431】
タイミング補正用信号の他の例として、タイミング補正用信号が、該信号を送信するUEの識別子を用いて構成されてもよい。UEの識別子は、UEを特定可能な識別子とするとよい。タイミング補正用信号を受信したUEが、どのUEから送信されたかを特定可能となる。同様に、タイミング補正用信号が、該信号を送信するグループ識別子を用いて構成されてもよい。
【0432】
SL通信においてUE間でSRS送信を行ってもよい。SL通信のフィードバック送信に用いるリソースアロケーションを行うためにSRSを用いることで、フィードバック送信の通信品質を向上させることができる。SRSに用いられるシーケンスと、SRSがマッピングされる周波数-時間リソースは、UE個別に設定されてもよいし、グループ個別に設定されてもよい。
【0433】
タイミング補正用信号としてSRSを用いてもよい。このようにすることで、タイミング補正用信号のために別途、リソースを設定しなくて済む。リソースの使用効率を向上させることができる。
【0434】
SL通信においてAck/NackやCQIを送信するためのチャネルとして、PSFCH(Physical Sidelink Feedback CHannel)の導入が提案されている。PSFCHがマッピングされる周波数-時間リソースは、UE個別に設定されてもよいし、グループ個別に設定されてもよい。タイミング補正用信号としてPSFCHを用いてもよい。このようにすることで、タイミング補正用信号のために別途、リソースを設定しなくて済む。リソースの使用効率を向上させることができる。
【0435】
タイミング補正用信号として、gNBとUEとの間で規定されるUuインタフェースにおけるPRACHを用いてもよい。Uu用のPRACH設定とは別に、PC5用のPRACH設定を設けてタイミング補正用信号として用いてもよい。gNBは、SL通信を行うUEに対して、SL通信に用いるPRACH設定を通知してもよい。このようにすることで、新たにタイミング補正用信号を設けないで済む。UEにおいてSL通信のための構成を簡略化可能となる。
【0436】
時刻同期に関する情報を送信するUE_txは、時刻同期に関する情報を受信するUE_rxに対して、タイミング補正用信号送信要求を通知する。タイミング補正用信号送信要求に含まれる情報の例として、以下に(1)~(6)を開示する。
【0437】
(1)タイミング補正用信号送信指示情報。
【0438】
(2)タイミング補正用信号を送信するタイミング情報。
【0439】
(3)タイミング補正用信号の構成。
【0440】
(4)UE_txの識別子。
【0441】
(5)UE_rxの識別子。
【0442】
(6)(1)から(5)の組合せ。
【0443】
前述の(2)として、送信タイミングを特定するための情報を用いるとよい。たとえば、フレーム番号、スロット番号、シンボル番号等を、前記(2)として用いてもよい。また、これらにオフセット値を含めてもよい。また、タイミング補正用信号送信要求を受信したタイミングから、タイミング補正用信号を送信するタイミングまでの時間差を、前記(2)として用いてもよい。オフセット値や時間差の単位として、前述に開示したタイミング補正用信号がマッピングされる時間リソースを示す単位を用いてもよい。UE_rxは、タイミング補正用信号を送信するタイミングを特定可能となる。
【0444】
前述の(3)のタイミング補正用信号の構成として、前述したシーケンスや、タイミング補正用信号がマッピングされる周波数-時間リソース等を用いるとよい。UE_rxは、受信したタイミング補正用信号の構成を用いて、タイミング補正用信号を送信可能となる。
【0445】
(4)のUE_txの識別子として、UE_txを特定できるための識別子を用いてもよい。UE_rxは、どのUEに対してタイミング補正用信号を送信するかを特定可能となる。
【0446】
(5)のUE_rxの識別子として、UE_rxを特定できるための識別子を用いてもよい。タイミング補正用信号送信要求を受信したUEは、自UEがタイミング補正用信号を送信するか否かを判断可能となる。
【0447】
タイミング補正用信号送信要求には複数の情報が含まれもよい。たとえば、(2)の情報を複数、通知してもよいし、(3)の情報を複数、通知してもよい。UE_rxは複数のタイミング補正用信号を送信してもよい。あるいは、UE_rxは、UE_txから通知された複数の情報の中から1つ以上の情報を選択して、選択した1つ以上の情報に対応した1つ以上のタイミング補正用信号を送信してもよい。
【0448】
タイミング補正用信号の構成は一つあるいは複数の構成であってもよい。タイミング補正用信号の構成を、予め規格等で静的に決めておいてもよい。gNB、UE_tx、UE_rxなどの、V2X通信を行うノードが、タイミング補正用信号の構成を認識可能となる。
【0449】
タイミング補正用信号の構成をUE_txが設定してもよい。UE_txがタイミング補正用信号を所定の構成から選択して設定してもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、SL用のタイミング補正用信号の構成であってもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、一つあるいは複数の構成であってもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、予め規格等で静的に決められていてもよい。
【0450】
UE_txは、タイミング補正用信号の設定した構成(タイミング補正用信号の設定)を、UE_rxに通知する。UE_rxは、UE_txから通知されたタイミング補正用信号の設定を用いて、タイミング補正用信号を送信する。UE_rxは、UE_txから通知されたタイミング補正用信号の設定の中から一つを選択して、選択した設定でタイミング補正用信号を送信してもよい。
【0451】
タイミング補正用信号の構成をUE_txが設定することで、たとえば、セルのカバレッジ外でUE間のSL通信を行うような場合も、UE_rxに対してタイミング補正用の信号を設定可能となる。それにより、UE_rxがタイミング補正用信号を送信可能となる。
【0452】
タイミング補正用信号の構成をgNBが設定してもよい。gNBがタイミング補正用信号を所定の構成から選択して設定してもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、SL用のタイミング補正用信号の構成であってもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、一つあるいは複数の構成であってもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、予め規格等で静的に決められていてもよい。gNBは、タイミング補正用信号の設定した構成(タイミング補正用信号の設定)をUE_txに通知する。
【0453】
UE_txは、gNBから通知されたタイミング補正用信号の構成を、UE_rxに通知する。UE_txは、gNBから通知されたタイミング補正用信号の構成の一部または全部を、UE_rxに通知してもよい。UE_rxは、UE_txから通知されたタイミング補正用信号の設定を用いて、タイミング補正用信号を送信する。UE_rxは、UE_txから通知されたタイミング補正用信号の設定の中から一つを選択して、選択した設定でタイミング補正用信号を送信してもよい。
【0454】
タイミング補正用信号の構成をgNBが設定することで、異なるUE_txに対して異なるタイミング補正用信号を設定可能となる。UE_rxが送信するタイミング補正用信号の構成を異ならせることが可能となり、タイミング補正用信号の衝突を削減することができる。UE_txにおいて、UE_rxからのタイミング補正用信号の受信成功確率を向上させることが可能となる。
【0455】
タイミング補正用信号の構成をUE_rxが設定してもよい。UE_rxがタイミング補正用信号を所定の構成から選択して設定してもよい。タイミング補正用信号の所定の構成は、予め規格等で静的に決められていてもよい。
【0456】
タイミング補正用信号の構成をUE_rxが設定することで、タイミング補正用信号の設定をUE_txからUE_rxに通知するためのシグナリング、あるいは、タイミング補正用信号の設定をgNBからUE_txを介してUE_rxに通知するためのシグナリングを削減できる。シグナリング量、および、タイミング補正用信号送信までの遅延時間を削減可能となる。
【0457】
タイミング補正用信号送信要求の通知方法について開示する。UE_txがUE_rxにタイミング補正用信号送信要求を通知する場合、SL通信におけるPC5制御シグナリングを用いてもよい。あるいは、SL通信におけるRRCシグナリングを用いてもよい。UE_txはタイミング補正用信号送信要求をSL通信用RRCメッセージとして、SL通信用のRRCシグナリングで通知してもよい。UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、SLの論理チャネルであるSCCHに含めて送信してもよい。このようにすることで、UE_txからUE_rxに対してタイミング補正用信号送信要求を通知することが可能となる。
【0458】
タイミング補正用信号送信要求の通知方法について他の方法を開示する。UE_txはUE_rxに、タイミング補正用信号送信要求を、SL通信におけるMACシグナリングを用いて通知してもよい。UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、MAC制御情報に含めて通知してもよい。UE_rxにおいてRRCでのタイミング補正用信号送信要求の受信処理が不要となるので、早期に受信処理を実行可能となる。
【0459】
タイミング補正用信号送信要求の通知方法について他の方法を開示する。UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、SL通信におけるSCIに含めて、SL通信におけるPSCCHでUE_rxに送信してもよい。UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、前述のSCI1に含めてもよい。UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、SCI1に含めてPSCCH1で通知してもよい。あるいは、UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、SCI2に含めてもよい。UE_txはタイミング補正用信号送信要求を、SCI2に含めてPSCCH2で通知してもよい。タイミング補正用信号送信要求をPSCCHで通知することで、UE_rxは早期に受信処理を実行可能となる。このため、UE_rxからのタイミング補正用信号送信を、早期に設定することが可能となる。
【0460】
タイミング補正用信号送信要求の通知方法について他の方法を開示する。UE_txはUE_rxに、タイミング補正用信号送信要求を、SL通信における、PSCCHとPSSCHを用いて送信してもよい。たとえば、UE_txは、タイミング補正用信号送信要求に含まれる情報の内、タイミング補正用信号送信要求を示す情報とUE_rxの識別子とをSCIに含めてPSCCHで送信し、他の情報を、該PSCCHに対応付けられるPSCCHで送信してもよい。タイミング補正用信号送信要求が多くの情報を含む場合に、該多くの情報を、多くのリソースを確保できるPSSCHを用いて、送信することが可能となる。
【0461】
前述した、タイミング補正用信号送信要求の通知方法を組合せて用いてもよい。たとえば、UE_txは、タイミング補正用信号送信要求に含める情報の一部をRRCシグナリングで送信し、他の情報をPSCCHに含めて送信してもよい。たとえば、UE_txは、タイミング補正用信号の構成をRRCシグナリングで送信し、他の情報をPSCCHで送信してもよい。このようにすることで、たとえば、複数のタイミング補正用信号の構成を設定するような場合に、RRCシグナリングで多くの情報を送信可能になる。
【0462】
UE_txは、複数のタイミング補正用信号の構成を、それらの構成の中からUE_rxが実際に送信する一つのタイミング補正用信号の構成とは別に、通知してもよい。また、このような場合に、前述の組合せを用いてもよい。たとえば、UE_txは、複数のタイミング補正用信号の構成をRRCシグナリングで通知し、それらの構成の中からUE_rxが実際に送信する一つのタイミング補正用信号の構成を、タイミング補正用信号送信要求情報とともに、PSCCHで通知してもよい。RRCシグナリングを用いることで多くの情報を送信可能となる。PSCCHを用いることで、タイミング補正用信号送信要求の通知から、タイミング補正用信号の送信までを、低遅延で実施可能となる。
【0463】
タイミング補正用信号の構成は、SL通信における報知情報として、UE_txから報知してもよい。たとえば、UE_txは、タイミング補正用信号の構成を、SLのMIBに含めて、PSBCHで送信してもよい。このようにすることで、UE_txがタイミング補正用信号の構成を複数のUE_rx個別に通知する必要が無くなる。それにより、シグナリング用リソースの使用効率を向上させることができる。たとえば、タイミング補正用信号の構成がUE_tx毎に設定されるような場合に有効となる。
【0464】
UE_rxは、所定のタイミングで、タイミング補正用信号を送信する。UE_rxは、所定のタイミングとして、UE_txから受信したタイミング補正用信号を送信するタイミング情報を用いてもよい。あるいは、UE_rxは、タイミング補正用信号送信指示情報を受信した後の直近のタイミング補正用信号の構成で示された周波数-時間リソースを用いることによって、所定のタイミングでタイミング補正用信号を送信してもよい。あるいは、所定のタイミングは、規格等で予め静的に決められたタイミングであってもよい。あるいは、所定のタイミングは、UE_txが設定したタイミングであってもよい。UE_rxは、タイミング補正用信号の設定された構成を用いて、タイミング補正用信号を送信する。
【0465】
このようにすることで、UE_txは、UE_rxがタイミング補正用信号を送信したタイミングを認識可能となる。
【0466】
UE_txは、UE_rxが送信したタイミング補正用信号を受信する。UE_txは、自UEの送信タイミングと、UE_rxがタイミング補正用信号を送信したタイミングと、UE_rxからタイミング補正用信号を受信したタイミングとを用いて、UE_txとUE_rxとの間でのSL通信におけるRTT(Round Trip Time)を導出する。UE_txはUE_rx個別のRTTを導出する。
【0467】
UE_rxからタイミング補正用信号がマルチパス送信される場合、UE_txにおいて最も早く受信した信号を、RTT導出に用いるとしてもよい。あるいは、UE_txにおける受信電力が最も強い信号を、RTT導出に用いるとしてもよい。
【0468】
UE_txは、UE_rx個別のRTTから、UE_rx個別の時刻同期補正値を導出する。時刻同期補正値はRTTの1/2とするとよい。UE_txはUE_rxに対して、該UE_rx個別の時刻同期補正値を通知する。UE_txはUE_rxに対して、該UE_rx個別の時刻同期補正情報を通知してもよい。時刻同期補正情報は、時刻同期補正値だけでなく、該時刻同期補正値を適用するUE_rx識別子を含んでもよい。このようにすることで、UE_rxはUE_txから、自UEにおける時刻同期補正値を受信可能となる。
【0469】
UE_rxは、UE_txから通知された時刻同期に関する情報を、時刻同期補正値を用いて補正する。たとえば、UE_rxは時刻情報に時刻同期補正値を加えるとよい。これにより、UE_txとUE_rxとの間の電波伝搬遅延時間が補正される。
【0470】
UE_txはUE_rxに対して、RTTを通知してもよい。UE_rxはRTTから時刻同期補正値を導出する。時刻同期補正値はRTTの1/2とするとよい。このようにすることで、UE_txでの時刻同期補正値導出処理を削減することが可能となる。UE_txが多数のUE_rxとSL通信を行っているような場合に、UE_txでの処理を軽減することが可能となる。
【0471】
UE_txは、時刻同期情報を時刻同期補正値により補正して、補正された時刻同期情報をUE_rxに通知してもよい。時刻同期補正値で補正された時刻同期情報を、UE_txは、該時刻同期補正値を適用するUE_rxの個別に通知するとよい。UE_txは、時刻同期補正値の導出処理を、時刻同期情報をUE_rxに通知する前に実施するとよい。このようにすることで、UE_rxは、時刻同期補正がなされた時刻同期情報を受信可能となるので、UE_rxでの時刻同期処理を軽減することが可能となる。
【0472】
時刻同期補正値、時刻同期補正情報、時刻同期補正値により補正された時刻同期情報をUE_txからUE_rxに通知する方法は、前述に開示したタイミング補正用信号送信要求の通知方法を適宜適用するとよい。同様の効果を得ることができる。
【0473】
UE_txは、時刻同期補正がなされた時刻同期情報を、SL通信におけるブロードキャスト通信を用いて、UE_rx個別に通知してもよい。UE_txは、時刻同期補正がなされた時刻同期情報を、上位レイヤに送信する。UE_txは、時刻同期補正がなされた時刻同期情報を上位レイヤメッセージに含めて、UE_rx個別に通知してもよい。他の方法として、UE_txは、時刻同期補正情報を上位レイヤに送信する。上位レイヤは、時刻同期補正情報と時刻同期情報とを用いて、時刻同期補正を行う。UE_txは、上位レイヤで時刻同期補正がなされた時刻同期情報を、上位レイヤメッセージに含めて、UE_rx個別に通知してもよい。たとえば、時刻同期情報が上位レイヤで設定され、上位レイヤメッセージでUE_rxに通知されるような場合に有効となる。
【0474】
SL通信において、ユニキャスト通信やグループキャスト通信を行う場合、UE間でのRRC接続後に、UE_txはUE_rxに対して時刻同期情報を通知してもよい。UE_txはUE_rx個別に、時刻同期情報を通知してもよい。時刻同期情報をUE_txからUE_rxに通知する方法は、前述に開示したタイミング補正用信号送信要求の通知方法を適宜適用するとよい。同様の効果を得ることができる。
【0475】
UE_txにおけるスロットタイミングにおいて、タイミング補正用信号がマッピングされる周波数-時間リソースの、時間的に前および/あるいは後に、送信不可区間を設ける。送信不可区間は、静的に予め決められてもよいし、あるいは、gNBが設定してUE_txに通知してもよい。あるいは、UE_txが送信不可区間を設定してもよい。このようにすることで、UE_rxが送信したタイミング補正用信号が電波伝搬遅延によりUE_txにおけるスロットタイミングとずれたとしても、UE_txはタイミング補正用信号を受信可能となる。
【0476】
図30は、前述の時刻同期補正処理を行う場合のシーケンスの第1例を示す図である。
図30は、SL通信により、UE1(UE_tx)からUE2(UE_rx)に対して時刻同期に関する情報が送信される例を示している。
図30はUE1が一つのUE2に対して、時刻同期に関する情報を送信する例について示しているが、UE1は複数のUE2に対して、時刻同期に関する情報を送信することも可能である。
【0477】
ステップST4201で、UE1はUE2に対して、時刻同期に関する情報を送信する。時刻同期に関する情報の送信方法は、実施の形態3で開示した方法を適用するとよい。時刻同期に関する情報は、たとえば、システムフレームに関する情報、時刻情報(reference time)、不確定性(uncertainty)を含んでもよい。UE2は、時刻同期に関する情報を受信することができる。これにより、UE1から時刻同期情報が通知されたUE間で、時刻同期が可能となる。しかし、前述したように、UE1からの電波伝搬距離がUE毎に異なるような場合、同期精度が劣化する問題が生じる。このため、ここでは、時刻同期処理を実施する。
【0478】
ステップST4202で、UE1とUE2との間でRRC接続を行う。UE1とUE2との間のSL通信として、ユニキャスト通信を用いてもよい。ステップST4203で、UE1は、タイミング補正用信号の送信を要求することを決定する。決定指標として、たとえば、UE2からの通信品質を用いてもよい。UE1は、UE2からの通信品質が所定の閾値よりも劣化した場合に、タイミング補正用信号の送信を要求することを決定するとしてもよい。UE1とUE2とのタイミングずれにより通信品質が劣化するような場合に有効である。
【0479】
あるいは、たとえば、UE2の位置に関する情報を用いてもよい。位置に関する情報は、たとえば、位置情報、エリアあるいはゾーン情報、速度情報などであってもよい。UE2はUE1に対して、位置に関する情報を通知する。UE1は、UE2から受信した位置に関する情報を用いて、所定のエリア外になった場合にタイミング補正用信号の送信を要求することを決定するとしてもよい。
【0480】
ステップST4204で、UE1はUE2に対して、タイミング補正用信号送信要求を送信する。たとえば、UE1は、前述したタイミング補正用信号の構成、送信タイミング情報、送信指示情報を、タイミング補正用信号送信要求に含めて、通知してもよい。
図30の例では、UE1は、タイミング補正用信号送信要求を、PSCCHを用いて通知している。
【0481】
ステップST4205で、UE2は、ステップST4204で通知されたタイミング補正用信号の構成を用いて、タイミング補正用信号のシーケンス、周波数-時間リソースなどを設定する。ステップST4206で、UE2はUE1に対して、タイミング補正用信号を送信する。UE2からタイミング補正用信号を受信したUE1は、ステップST4207で、前述した方法を用いてUE2のRTTを導出する。また、UE1はRTTからUE2の時刻同期補正値を導出する。
【0482】
ステップST4208で、UE1はUE2に対して、UE2の時刻同期補正情報を送信する。UE1はUE2に対して、時刻同期補正要求を送信してもよい。UE1は、UE2の時刻同期補正情報を、時刻同期補正要求に含めて、通知してもよい。たとえば、UE1は、時刻同期補正情報を、PSCCHで送信する。ステップST4209で、UE2は、UE1からステップST4201で受信した時刻同期情報と、ステップST4208で受信した自UEの時刻同期補正情報とを用いて、時刻同期情報を補正する。たとえば、UE2は時刻情報に時刻同期補正値を加えるとよい。これにより、UE1とUE2との間の電波伝搬遅延時間が補正される。
【0483】
SLでの時刻同期に関する情報をブロードキャスト通信で通知してもよいことを開示した。また、時刻同期補正処理をユニキャスト通信で実施してもよいことを開示した。時刻同期に関する情報をLTEを用いて通知し、時刻同期補正処理をNRを用いて実施してもよい。LTEとNRと両方のRATをサポートしているUEに対して有効となる。
【0484】
図30の例ではUE2が一つの場合について開示したが、UE2は複数でもかまわない。同様の時刻同期補正処理が、複数のUEに対して個別に、実施されるとよい。UE1から時刻同期に関する情報が送信された複数のUEに対して個別に、時刻同期補正処理が実施されてもよい。このようにすることで、SL通信を用いてUE間での時刻同期を高精度で実施可能となる。
【0485】
図31は、前述の時刻同期補正処理を行う場合のシーケンスの第2例を示す図である。
図31において、
図30と共通するステップについては同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
図31は、
図30の例と異なり、タイミング補正用信号構成の通知をタイミング補正用信号送信要求の通知と分けて行う例について示している。また、
図31は、複数のタイミング補正用信号構成を選択して候補として設定する例について示している。
【0486】
ステップST4301で、UE1は一つまたは複数のタイミング補正用信号構成を選択する。該一つまたは複数のタイミング補正用信号構成をタイミング補正用信号構成候補としてもよい。ステップST4302で、UE1はUE2に対して、タイミング補正用信号構成候補を通知する。タイミング補正用信号構成候補の設定情報は、一つまたは複数のタイミング補正用信号構成情報(構成候補情報)、該構成の各々に関連した送信タイミング情報、送信指示情報を含んでもよい。ここでは、UE1が、RRCシグナリング、あるいは、MACシグナリングを用いて、ステップST4302の通知を行う例を示す。UE2は、UE1からタイミング補正用信号構成候補を受信する。
【0487】
ステップST4203で、UE1はUE2に対して、
図30と同様に、タイミング補正用信号の送信を要求することを決定する。ステップST4303で、UE1はUE2に対して、タイミング補正用信号送信要求を通知する。ここでは、UE1は該要求に、送信タイミング情報と送信指示情報を含ませる。ここでは、UE1がPSCCHを用いて、ステップST4303の通知を行う例を示す。UE1からタイミング補正用信号送信要求を受信したUE2は、ステップST4304において、前述のステップST4302でUE1から受信したタイミング補正用信号構成候補から、タイミング補正用信号構成を選択する。ステップST4206で、UE2は、選択したタイミング補正用信号構成を用いて、UE1に対してタイミング補正用信号を送信する。
【0488】
このように、UE1はUE2に対してタイミング補正用信号構成候補を通知し、UE2が該構成候補から、実際の送信に用いるタイミング補正用信号構成を選択する。これにより、たとえば、UE2は、タイミング補正用信号送信要求を受信してから最も早いタイミングで送信可能なタイミング補正用信号構成を用いて、タイミング補正用信号を送信することが可能となる。タイミング補正を低遅延で実施することが可能となる。
【0489】
UE1は、候補として選択したタイミング補正用信号構成全てで、UE2からの送信を受信するとよい。UE2がどの構成を用いてタイミング補正用信号を送信してもUE1で受信可能となる。UE2は、タイミング補正用信号構成候補から、実際の送信に用いるタイミング補正用信号構成を複数選択してもよい。UE2は、該選択したタイミング補正用信号構成を用いて、タイミング補正用信号を送信してもよい。複数のタイミング補正用信号構成で送信することで、UE1でのタイミング補正用信号受信成功確率を向上させることができる。たとえば、UE1において、一つのタイミング補正用信号が受信できなくても、他の一つのタイミング補正用信号が受信できればよい。
【0490】
タイミング補正用信号構成候補は、UE1から時刻同期に関する情報が送信される複数のUEのそれぞれに対して、UE個別に選択されてもよい。UE間でタイミング補正用信号構成の重複を避けることが可能となる。他の方法として、たとえば、UE1から時刻同期に関する情報が送信される複数のUEの間で、タイミング補正用信号構成候補の一部または全部が共通になるように、タイミング補正用信号構成候補が選択されてもよい。UE間でタイミング補正用信号構成の重複が生じる可能性があるが、リソースでの使用効率を向上させることが可能となる。
【0491】
図32は、前述の時刻同期補正処理を行う場合のシーケンスの第3例を示す図である。
図32において、
図30および
図31と共通するステップについては同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
図33は、
図31の例と異なり、UE1が、時刻同期補正を行い、該時刻同期補正後の時刻同期に関する情報をUE2に対して通知する例について示している。
【0492】
図32の例では、
図30および
図31の例におけるステップST4201は行われない。すなわち、UE1がUE2に対して、時刻同期補正前の時刻同期に関する情報を送信するステップは行われない。ステップST4401においてUE1は、ステップST4207で導出したUE2のRTTを用いて、時刻同期補正値を導出する。UE1は、時刻同期に関する情報と、UE2の時刻同期補正値とを用いて、時刻同期情報を補正する。たとえば、UE1は時刻情報にUE2の時刻同期補正値を加えるとよい。これにより、UE1とUE2との間の電波伝搬遅延時間が補正された、UE2の時刻同期に関する情報(時刻同期補正後)が得られる。
【0493】
ステップST4402で、UE1はUE2に対して、時刻同期に関する情報(時刻同期補正後)を送信する。UE1は、時刻同期補正後の時刻情報と、対応するシステムフレームに関する情報と、不確定性と、を組み合わせた情報を通知する。時刻同期に関する情報(時刻同期補正後)は、UE個別に送信されてもよい。たとえば、SL通信においてUE_txとUE_rxとの間の電波伝搬距離がUE毎に異なり、時刻同期に関する情報(時刻同期補正後)がUE毎に異なるような場合に、UE個別の通知によって、時刻同期に関する情報(時刻同期補正後)をUE個別に適用することが可能となる。
【0494】
ステップST4403で、UE2は、受信した時刻同期に関する情報(時刻同期補正後)を用いて、時刻同期を行う。このようにすることで、時刻同期に関する情報を受信するUE間で、時刻同期補正後の時刻同期が可能となる。それにより、時刻同期の精度を向上させることができる。また、時刻同期に関する情報の通知と、時刻同期補正に関する情報とを別個に通知する必要が無くなる。それにより、1回の通知で時刻同期補正後の時刻同期に関する情報を通知可能となる。このため、シグナリング量を削減可能となる。
【0495】
UE1から時刻同期に関する情報が送信される複数のUE2の間で、タイミング補正用信号構成候補の一部または全部が共通になるように、UE1がタイミング補正用信号構成候補を選択し、該複数のUE2のそれぞれが、該構成候補から、実際に送信するタイミング補正用信号を選択する場合、該複数のUE2間で、タイミング補正用信号が衝突する場合が生じる。衝突が発生する場合、UE1は、少なくとも一つのUE2からのタイミング補正用信号を受信できなくなるという問題が発生する。このような問題を解決する方法を開示する。
【0496】
UE2がタイミング補正用信号を再送する。UE2が、再送を行うか否かを判断する。再送を行うと判断したUE2は、タイミング補正用信号構成候補の中から他のタイミング補正用信号構成を選択し、選択した構成のタイミング補正用信号をUE1に対して送信する。UE1がUE2に対して、予め再送タイミングの情報を通知してもよい。UE1は、タイミング補正用信号構成毎に再送タイミングを設定してもよい。UE1は、再送タイミングの情報を、タイミング補正用信号構成の通知に含めて、通知してもよい。このようにすることで、たとえば、UE1は、次のタイミング補正用信号構成まで待たずに、UE2に対して、タイミング補正用信号を再送させることが可能となる。
【0497】
UE2が、再送を行うか否かを判断する方法を開示する。UE2が所定の時間内に時刻補正情報を受信できない場合に、UE2はタイミング補正用信号の再送を決定する。あるいは、UE2が所定の時間内に時刻同期に関する情報を受信できない場合に、UE2はタイミング補正用信号の再送を決定するとしてもよい。
【0498】
タイマを設けて、所定の時間を管理してもよい。所定の時間は、あらかじめ静的に規格等で決めておいてもよいし、UE1が設定してUE2に通知してもよい。あるいは、所定の時間は、gNBが設定し、gNBからUE1に通知し、UE1からUE2に通知してもよい。このようにすることで、UE1がタイミング補正用信号を受信できなかった場合に、UE2がタイミング補正用信号の再送を決定することが可能となる。UE2がタイミング補正用信号を再送することで、UE1での受信成功確率を向上させることが可能となる。それにり、UE2に対して時刻同期補正を実施可能となる。
【0499】
他の方法として、UE1が再度、UE2に対して、タイミング補正用信号要求を通知してもよい。UE1は、自UEが設定した所定のタイミングでUE2からタイミング補正用信号を受信できなかった場合に、再度、UE2に対してタイミング補正用信号要求を通知する。UE1は、所定の時間内に、自UEが設定した所定のタイミングでUE2からタイミング補正用信号を受信できなかった場合に、再度、UE2に対してタイミング補正用信号要求を通知するとしてもよい。タイマを設けて、所定の時間を管理してもよい。タイミング補正用信号が周期的に送信される場合に有効となる。
【0500】
前述に開示した方法は、TSNリンクを確立するUEに対してのみ適用するとしてもよい。前述に開示した方法は、TSNリンクを確立しないUEに対しては適用しなくてもよい。TSNリンクを確立しないUEの処理を増大させずに済む。
【0501】
また、前述に開示した時刻同期補正処理の方法は、時刻同期に関する情報を通知したUE全てに対して、実施しなくてもよい。前述に開示した時刻同期補正処理の方法は、時刻同期に関する情報を通知したUEの一部に対して、実施してもよい。前述に開示した時刻同期補正処理の方法は、時刻同期の補正が必要なUEに対して、実施してもよい。たとえば、前述に開示した時刻同期補正処理の方法は、UE_txとUE_rxとの間の距離が大きい場合に、実施するとしてもよい。
【0502】
前述に開示した方法は繰返し実施してもよい。時刻同期補正処理を周期的に実施してもよい。UE_txはUE_rxに対して、タイミング補正用信号の周期的な送信を要求してもよい。UE_txは、周期情報をタイミング補正用信号送信要求に含めて、UE_rxに通知してもよい。たとえば、UEが移動するような場合、時刻同期補正処理を繰返し実施する。このようにすることで、UEが移動することによりUE間の距離の変動が生じた場合も、時刻同期補正を実施可能となる。
【0503】
本実施の形態4で開示した方法により、同期精度の高い、UE間のTSNリンクを確立可能となる。
【0504】
タイミング補正用信号をUE_rxからUE_txに送信することを開示したが、タイミング補正用信号に、スケジューリング要求情報を含ませてもよい。また、タイミング補正用信号に、BSR情報を含ませてもよい。このようにすることで、UE_rxにおいてUE_txに対して送信する情報が発生するような場合に、タイミング補正用信号を用いて送信することで、UE_txに対して、スケジューリングを要求することが可能となる。
【0505】
実施の形態4の変形例1.
3GPPではNRのSL通信においてグループキャストのサポートが検討されている。グループキャスト通信では、UEのグループが構成されて、グループ内UE間でSL通信が行われる。このようなUEグループが構成された場合のTSNリンクの確立方法については開示されていないという問題がある。また、3GPPではLTEとNRの両方のRAT(Radio Access Technology)を用いた運用が検討されている。両RATを用いた運用におけるTSNリンクの確立方法については開示されていないという問題がある。本実施の形態4の変形例1では、このような課題を解決するための方法を開示する。
【0506】
グループキャスト通信を行うUEグループにおいて一つのUEが他のUEのSL通信用リソースアロケーションを行う方法が提案されている。該SL通信用リソースアロケーションを行うUEはヘッドUE(head-UE)と称され、他のUEはメンバUE(member-UE)と称されることがある。UEグループが構成された場合のTSNリンクの確立方法として、実施の形態3、実施の形態4で開示した方法におけるUE_txを、ヘッドUEに適用すればよい。また、UE_rxをメンバUEに適用すればよい。UEグループ内で同期精度の高いTSNリンクを確立可能となる。
【0507】
UEグループ内でUE間での時刻補正処理は不要としてもよい。たとえば、UEグループ内のUEが近傍に位置するような場合に有効である。UEグループ内のメンバUEに対して同じ時刻同期補正値を設定してもよい。たとえば、ヘッドUEは、UEグループ内のいずれか一つのメンバUEとの間で時刻同期補正処理を行い、導出した時刻同期補正値を用いて、該UEグループ内の全メンバUEに該時刻同期補正値を通知する。該UEグループ内の全メンバUEに同じ時刻同期補正値を通知する方法として、該UE個別に通知する方法を適用してもよいし、あるいは、ブロードキャスト通信を用いて通知する方法を適用してもよい。ブロードキャスト通信を用いた場合、UE個別シグナリングを削減可能となる。
【0508】
メンバUEは、ヘッドUEから受信した時刻同期補正値を用いて、時刻同期補正を行う。UEグループ内のメンバUEが近傍に位置するような場合に有効である。
【0509】
UEの位置情報に基づいてグループ化を行ってもよい。たとえば、特定のエリア(ゾーン)毎に、該ゾーンに位置するUEのグループを設ける。ゾーン毎のリソースプールを設定して、各ゾーンで対応するリソースプールを用いてもよい。一つのゾーンに対して一つまたは複数のUEグループを設けてもよい。このようなUEグループが構成された場合のTSNリンクの確立方法として、前述と同様に、実施の形態3、実施の形態4で開示した方法を適用すればよい。
【0510】
また、ゾーン内に構成されるUEグループ内では、UE間での時刻補正処理は不要としてもよい。たとえば、ゾーンの範囲が狭くUEが近傍に位置するような場合に有効である。
【0511】
メンバUEの位置情報に基づいてグループ化を行ってもよい。また、一つのUEグループ内で、メンバUEの位置情報に基づいてサブグループを設けてもよい。たとえば、一つのUEグループ内のUEを、UEが位置するゾーン毎にサブグループ化する。このようなサブグループが構成された場合の時刻同期の方法、時刻同期補正処理の方法には、前述の方法を適用するとよい。
【0512】
UEの位置情報をUEがgNBに対して通知してもよいし、gNBがUEの位置情報を導出してもよい。gNBはUEに対して、どのUEグループに属するかを通知する。UEグループ識別子を設けてもよい。gNBはUEに対して、該UEが属するUEグループ識別子を通知してもよい。このようにすることで、UEの位置情報に基づくUEグループを構成可能となる。
【0513】
他の方法として、メンバUEの位置情報をヘッドUEに通知してもよい。ヘッドUEがメンバUEの位置情報を導出してもよい。ヘッドUEはメンバUEに対して、どのサブグループに属するかを通知する。サブグループ識別子を設けてもよい。ヘッドUEはメンバUEに対して、該UEが属するサブグループ識別子を通知してもよい。このようにすることで、一つのUEグループ内でUEの位置情報に基づくサブグループを構成可能となる。
【0514】
SL通信を用いてTSNリンクを構成する場合、TSNリンクを構成するUEを、UEグループが同じUEに限定してもよい。言い換えると、UEグループ内のみでTSNリンクを確立可能とするとよい。異なるUEグループ間のTSNリンクは確立不可とするとよい。TSNリンクはUEグループ内のみで構成する。TSNリンクを構成するUEを同じUEグループ内のUEとする。UEグループ内のUE間でTSNリンクを構成する方法は、実施の形態3、実施の形態4で開示した方法を適用するとよい。
【0515】
一つのUEが複数のUEグループに属している場合、該一つのUEは複数のTSNリンクを確立可能としてもよい。複数のUEグループ毎にTSNリンクが確立され、該一つのUEは確立された複数のTSNリンクで時刻同期を行う。このようにすることで、一つのUEの複数のサービス毎にUEグループが構成されるような場合に、UEグループ毎にTSNリンクの確立が可能となり、サービス毎のTSNリンクの確立が可能となる。UEグループ内のUE間でTSNリンクを構成する方法には、実施の形態3、実施の形態4で開示した方法を適用するとよい。
【0516】
RATに関しても同様に、SL通信を用いてTSNリンクを構成する場合、TSNリンクを構成するUEを、RATが同じUEに限定してもよい。言い換えると、同一RAT内のみでTSNリンクを確立可能とするとよい。異なるRAT間のTSNリンクは確立不可とするとよい。TSNリンクは同一RAT内のみで構成する。TSNリンクを構成するUEを同じRAT内のUEとする。同一RAT内のUE間でTSNリンクを構成する方法は、実施の形態3、実施の形態4で開示した方法を適用するとよい。
【0517】
TSNリンクを構成可能なUEをUEグループ内またはRAT内のUEに限定することで、SL通信を用いたTSNリンクを、システムとして容易に確立可能とする。
【0518】
異なるUEグループ間でSL通信を用いたTSNリンクを確立する方法を開示する。各UEグループのヘッドUE間で時刻同期を行う。あらかじめ、ヘッドUEが時刻同期に関する情報を互いに通知する。ヘッドUEは時刻同期補正に関する情報を互いに通知してもよい。これらの方法として、実施の形態3、実施の形態4で開示した方法を適用するとよい。
【0519】
gNBがUEに対して、時刻同期の有効期限を通知してもよい。ヘッドUE間で時刻同期を行う場合、gNBから受信した時刻同期の有効期限が、最も新しいUEからの時刻に同期するようにしてもよい。UEは、gNBから受信した時刻同期の有効期限を、時刻同期に関する情報に含めて、送信してもよい。ヘッドUE間で、他のUEの時刻同期情報を受信したUEは、該有効期限を用いて、どのUEと時刻同期を行うかを判断してもよい。このようにすることで、ヘッドUE間での時刻同期をより長期に実施可能となる。
【0520】
UEグループ内におけるTSNリンクの確立は、前述の方法を適用するとよい。このようにすることで、異なるUEグループ間でもSL通信を用いたTSNリンクを確立できる。異なるUEグループ間でもTSNリンクを確立できるので、多くのUE間、多種のUE間、広範囲に存在するUE間等でTSNリンクを確立可能となる。
【0521】
実施の形態5.
3GPPではNRのSL通信においてユニキャスト、グループキャストのサポートが検討されている。ユニキャスト通信やグループキャスト通信では、HARQのフィードバック(Ack/Nack)、CSI報告等のサポートが検討されている。このようにユニキャスト通信やグループキャスト通信では、双方向通信が行われる。
【0522】
通常、gNBとUEとの間のUuインタフェースにおける通信では、UEからgNBへのUL送信タイミングは、電波伝搬遅延を考慮して調整される。UEはgNBからのDL信号と同期を行い、UEはgNBへのUL信号送信タイミングを調整してUL信号を送信する。一方、SL通信では、従来はブロードキャストのみである。ブロードキャストではフィードバック送信が無いので、フィードバック送信の送信タイミングを考慮する必要が無かった。
【0523】
しかし、NRのSL通信ではユニキャスト、グループキャストにおいて、双方向通信が行われ、フィードバック送信が行われる。SL通信ではULリソースを用いて双方向通信が行われる。SL通信に対して、単にgNBとUEとの間のUL信号送信タイミングを適用すると、SL通信を行う各UEからgNBへUL信号を送信するタイミングが異なることになる。gNBからの電波伝搬距離が、SL通信を行うUEごとに異なるからである。
【0524】
図33は、従来の方法を適用した場合について、SL通信を行うUEの送信タイミングを示す概念図である。基地局フレームは、DL、ギャップ(GAP)、ULで構成される。横方向は時間軸を示している。UE1は、gNBからの信号を受信して、gNBのDLのフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。前述したように、UE1は、基地局のULフレームタイミングを電波伝搬遅延を考慮して調整することによって、自身のUL信号送信タイミングを調整する。UE2も同様である。
【0525】
UE1とUE2とでgNBからの電波伝搬距離が異なるような場合、UE1とUE2とでUL信号送信タイミングが異なることになる。このため、UE1とUE2がSL通信を行うような場合、SL通信を行うUE間で送受信のタイミングがずれる。それにより、UE間の通信品質が劣化する、あるいは、通信ができなくなってしまうような場合が生じる。
【0526】
本実施の形態5では、このような課題を解決するため、フィードバック送信の送信タイミングを決定する方法を開示する。
【0527】
SLの通信では、送信を行うUE(UE_tx)は、PSSCHのリソースアロケーション情報などのスケジューリング情報や、通信ターゲットとなるUE(UE_rx)などを、SL制御情報(SCI)に含めて、PSCCHで送信する。また、UE_txはスケジューリング情報に従ってPSSCHを送信する。UE_rxは、PSCCHを受信することで、自UE向けであることを認識し、スケジューリング情報に従って、PSSCHを受信し、データを取得する。
【0528】
UE_txは、gNBから受信したDLのフレームタイミングを基準にして、SL信号を送信する。UE_txでのSL送信タイミングは、gNBから受信したDLのフレームタイミングを基準にする。
図34は、実施の形態5について、SL通信を行うUEの送信タイミングを示す図である。基地局のフレームは、DL、無送信区間(ギャップ(GAP))、ULで構成される。横方向は時間軸を示している。DL、ギャップ、ULの各々の時間は、たとえば、一つまたは複数のサブフレームであってもよいし、一つまたは複数のスロットであってもよいし、一つまたは複数のシンボルであってもよいし、一つまたは複数のTs期間であってもよいし、それらの組合せであってもよい。時間単位は、Ts(=fs、fs;サンプリング周波数)単位、サブシンボル単位、シンボル単位、スロット単位、サブフレーム単位、TTI単位等であってもよい。
【0529】
UE1は、UuインタフェースでgNBと接続される。UE1は、gNBからの信号を受信して、gNBのDLのフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。前述したように、UE1は、基地局のULフレームタイミングを電波伝搬遅延を考慮して調整することによって、自身のUL信号送信タイミングを調整する。UE2も同様である。UE1とUE2とでgNBからの電波伝搬距離が異なるような場合、UE1とUE2とでUL信号送信タイミングが異なることになる。
【0530】
UE1とUE2がSL通信を行い、UE1がUE_txとなり、UE2がUE_rxとなる場合について例示する。UE1は、gNBから受信したDLのフレームタイミングを基準にして、SL信号を送信する。UE1は、gNBから受信したDLのフレームタイミングを基準にして、所定のDL、GAP、ULのスロットフォーマットから導出したULのフレームタイミングで、SL送信を行う。
【0531】
SL通信において対向するUE2は、UE1からのSL送信信号を受信して、UE1のフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。UE1とUE2との間のSL通信は、このタイミングで実施される。
【0532】
このようにすることで、UE1とUE2とでgNBからの電波伝搬距離が異なるような場合でも、SL通信を行うUE間での送受信のタイミングずれを無くすことが可能となる。それにより、UE間の通信品質の劣化や通信断を低減させることが可能となる。
【0533】
他の方法を開示する。UE_txは、gNBからの信号を受信して、gNBのDLのフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。前述したように、UE_txは、基地局のULフレームタイミングを電波伝搬遅延を考慮して調整することによって、自身のUL信号送信タイミングを調整する。UE_txは、該gNBへのUL信号送信タイミングを基準にして、SL信号の送信を行う。UE_txでのSL送信タイミングは、gNBへのULのフレームタイミングを基準にする。
【0534】
図35は、実施の形態5について、SL通信を行うUEの送信タイミングを示す図である。UE1は、UuインタフェースでgNBと接続される。UE1は、gNBからの信号を受信して、gNBのDLのフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。前述したように、UE1は、基地局のULフレームタイミングを電波伝搬遅延を考慮して調整することによって、自身のUL信号送信タイミングを調整する。UE2も同様である。UE1とUE2とでgNBからの電波伝搬距離が異なるような場合、UE1とUE2とでUL信号送信タイミングが異なることになる。
【0535】
UE1とUE2がSL通信を行い、UE1がUE_txとなり、UE2がUE_rxとなる場合について例示する。UE1は、gNBからの信号を受信して、gNBのDLのフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。前述したように、UE1は、基地局のULフレームタイミングを電波伝搬遅延を考慮して調整することによって、自身のUL信号送信タイミングを調整する。UE1は、該gNBへのUL信号送信タイミングを基準にして、SL信号の送信を行う。UE1でのSL送信タイミングは、gNBへのULのフレームタイミングを基準にする。
【0536】
SL通信において対向するUE2は、UE1からのSL送信信号を受信して、UE1のフレームタイミングに自UEのタイミングを合わせる。UE1とUE2との間のSL通信はこのタイミングで実施される。
【0537】
SL送信タイミングは、UE_txがgNBから受信したDLのフレームタイミングを基準にする方法と、gNBへのULのフレームタイミングを基準にする方法とを組合せて設定してもよい。たとえば、SL通信のフレームタイミングとして、フレーム先端のタイミングはgNBへのULのフレームタイミングを基準にし、フレーム後端のタイミングはgNBから受信したDLのフレームタイミングを基準とする。このようにすることで、SLの1フレーム内に構成するUE間の通信期間を長くすることができる。
【0538】
このようにすることで、UE1とUE2とでgNBからの電波伝搬距離が異なるような場合でも、SL通信を行うUE間での送受信のタイミングずれを無くすことが可能となる。それにより、UE間の通信品質の劣化や通信断を低減させることが可能となる。
【0539】
UEが、gNBが構成するセルのカバレッジ外に存在する場合、UEは、gNBからの信号を受信できず、gNBのDLのフレームタイミングに合わせることができない。このような場合、UEは、近傍の他のUEからSLSS、PSBCHを受信することで、該他のUEと同期を行う。このような場合には、該UEは、gNBのDLフレームタイミングでは無く、UEが同期を行った他のUEからの受信タイミングを、SL通信のタイミングの基準として利用するとよい。
【0540】
UEが同期を行った他のUEからの受信タイミングを基準としてSL通信を行う方法として、前述に開示した方法を適用するとよい。前述に開示した第2の方法を適用する場合、UEが同期を行った他のUEからの受信タイミングを基準とし、該UEが、他のUEからの電波伝搬遅延を考慮した送信タイミングを導出し、該送信タイミングを基準にしてSL信号の送信を行うとよい。SL通信におけるUE間の電波伝搬遅延を考慮して送信タイミングを導出する方法は、後述の方法を適用するとよい。
【0541】
このようにすることで、UEが、gNBが構成するカバレッジ外に存在する場合でも、SL通信を行うUE間での送受信のタイミングずれを無くすことが可能となる。それにより、UE間の通信品質の劣化や通信断を低減させることが可能となる。
【0542】
SL通信において、UE間で双方向通信が行われる場合、UE間の電波伝搬距離による電波伝搬遅延が生じる。このため、たとえ前述の方法でSL通信のフレームタイミングが決まったとしても、UE_txは、UE_rxから送信されたフィードバック信号の受信タイミングを特定できず、該フィードバック信号を受信できなくなってしまう問題が生じる。このような問題を解決するための方法を開示する。
【0543】
SL通信に用いるスロット内にギャップを設ける。たとえば、UE_txからUE_rxへの送信に用いるリソースと、UE_rxからUE_txへの送信に用いるリソースとの間に、ギャップを設ける。UE_txはUE_rxに対して、スケジューリングにより、ギャップを設定してもよい。たとえば、UE_txはギャップの設定を、UE間のSL通信におけるRRCシグナリングで通知してもよいし、あるいは、UE間のSL通信におけるMACシグナリングで通知してもよい。あるいは、UE_txはギャップの設定を、SCIに含めてPSCCHで送信してもよい。あるいは、UE_txはギャップの設定を、UE_txからUE_rxに対して送信するPSSCHで送信してもよい。このようにすることで、SL通信を行うUE間でギャップを構成することができる。
【0544】
図36は、実施の形態5について、SL通信に用いるスロットを示す図である。SL通信に用いるスロット内にギャップを設けている。SL通信におけるスロットに、UE_txからUE_rxへのリソース、および/あるいは、ギャップ、および/あるいは、UE_rxからUE_txへのリソースが、設けられる。UE_txは、UE_txからUE_rxへのリソースを用いて、UE_rxへの送信を行う。UE_txはGAPの区間は送信を行わない。UE_txは、UE_rxからUE_txへのリソースで、UE_rxからの受信を行う。
【0545】
UE_rxは、UE_txからUE_rxへのリソースを用いて、UE_txからの受信を行う。この際、電波伝搬遅延が生じる。UE_rxがUE_txへの送信を行う場合、UE_rxは、フィードバックタイミングを補正した、UE_rxからUE_txへのリソースを用いて、UE_txに対して送信を行う。フィードバックタイミングの補正は、UE_txが、UE_rxからUE_txへのリソースで、UE_rxからの受信が可能になるように、行われる。フィードバックタイミングの補正方法は後述の方法を適用するとよい。
【0546】
UE_txからUE_rxへのリソース、および/あるいは、UE_rxからUE_txへのリソースも、UE_txがUE_rxに対してスケジューリングにより設定してもよい。リソースの設定はギャップの設定と組み合わせてもよい。これらの設定をSLでのスロットフォーマットとして設定してもよい。スロットフォーマットの数は一つに限らず複数であってもよい。複数のスロットフォーマットを組合せてもよい。スロットフォーマットの設定をUE間で通知する方法は前述の方法を適用するとよい。
【0547】
これらの設定は、UE個別に行われてもよい。たとえばユニキャスト通信の場合に有効である。あるいは、これらの設定はUEグループ毎に行われてもよい。たとえばグループキャスト通信の場合に有効である。
【0548】
ギャップ、UE_txからUE_rxへのリソース、UE_rxからUE_txへのリソースの各々の時間は、たとえば、一つまたは複数のサブフレームであってもよいし、一つまたは複数のスロットであってもよいし、一つまたは複数のシンボルであってもよいし、一つまたは複数のTs期間であってもよいし、それらの組合せであってもよい。時間単位は、Ts(=fs、fs;サンプリング周波数)単位、サブシンボル単位、シンボル単位、スロット単位、サブフレーム単位、TTI単位等であってもよい。
【0549】
このようにすることで、たとえば、UE_txからUE_rxへの通信容量、UE_rxからUE_txへフィードバックする通信容量、UE_txとUE_rxの距離、UE_txとSL通信を行うUE_rxの数など、SL通信の状況に応じて、ギャップ、UE_txからUE_rxへのリソース、UE_rxからUE_txへのリソースを柔軟に設定可能となる。
【0550】
SLでのスロットフォーマットに、ギャップ、UE_txからUE_rxへのリソース、UE_rxからUE_txへのリソースとして適宜設定可能なリソースを、設けてもよい。該リソースを設定可能リソースと称する場合がある。
【0551】
スロットフォーマットの設定は複数回行われてもよい。たとえば、UE_txは、UE_rxに対するスロットフォーマットの設定を、2回に分けて実施する。1回目のスロットフォーマットの設定の通知で、UE_txはUE_rxに対して、ギャップ、UE_txからUE_rxへのリソース、UE_rxからUE_txへのリソース、設定可能リソースを用いたスロットフォーマット設定を通知する。2回目のスロットフォーマットの設定の通知で、UE_txはUE_rxに対して、設定可能リソースの一部または全部を変更してもよい。たとえば、設定可能リソースをギャップ、UE_txからUE_rxへのリソース、あるいは、UE_rxからUE_txへのリソースに変更してもよい。
【0552】
スロットフォーマットの設定を複数回行う場合、該設定の通知に用いる方法を異ならせてもよい。たとえば、1回目の通知をSL通信におけるRRCシグナリングで行い、2回目以降の通知をPSCCHで行う。
【0553】
このようにすることで、SL通信状況に応じて、ギャップ、UE_txからUE_rxへのリソース、あるいは、UE_rxからUE_txへのリソースの量を増減可能となる。SL通信状況に最適な通信を可能とする。
【0554】
前述のように、SL通信においてUE間で双方向通信が行われるような場合、フィードバックタイミングの補正を行うとよい。フィードバックタイミングの補正方法として、実施の形態4で開示した方法を適宜適用するとよい。
図37は、実施の形態4で開示した方法を適用した場合のフィードバックタイミング補正方法のシーケンスの一例を示す図である。
図37はUE1とUE2がSL通信を行う場合について示している。
【0555】
ステップST4901で、UE1(UE_tx)は、タイミング補正用信号の一つまたは複数の構成を選択し、選択した構成をタイミング補正用信号構成候補とする。ステップST4902で、UE1はUE2(UE_rx)に対して、タイミング補正用信号構成候補設定を送信する。タイミング補正用信号構成候補設定の情報は、タイミング補正用信号構成候補の情報とするとよい。該情報の通知に、SL通信におけるPC5シグナリングを用いてもよい。あるいは、MACシグナリングを用いてもよい。あるいは、UE1は該情報を、SL通信用のMIBに含めて、PSBCHで送信してもよい。あるいは、UE1は該情報を、SCIに含めて、PSCCHで送信してもよい。あるいは、UE1は該情報をPSSCHで送信してもよい。UE1は、該PSSCHのリソースアロケーション情報を、PSCCHで通知してもよい。
【0556】
該通知は、ブロードキャスト通信を用いて行うとよい。このようにすることで、UE1とUE2との間でユニキャスト通信が未設定の段階で、タイミング補正用信号構成を、対向するUEに対して送信できる。これにより、UE2は、UE1から送信されたタイミング補正用信号構成を、受信可能となる。
【0557】
ステップST4903で、UE1においてユニキャスト通信のデータが発生する。ステップST4904で、UE1はUE2に対して、タイミング補正用信号送信要求を通知する。該要求に含める情報は、たとえば、送信タイミング情報、送信指示情報、UE2の識別子(ユニキャスト通信を行う対向UEの識別子(DST ID))であるとよい。UE1は該通知を、たとえば、PSCCHで送信してもよいし、あるいは、PSSCHで送信してもよい。これにより、UE2はタイミング補正用信号送信要求を受信する。
【0558】
タイミング補正用信号送信要求の通知に、RRC接続要求を用いてもよい。タイミング補正用信号送信要求を、RRC接続要求に含めて通知してもよい。UE1はタイミング補正用信号送信要求を、ユニキャスト通信を開始する際に通知する最初の信号あるいはメッセージに含めて、UE2に対して通知してもよい。このようにすることで、ユニキャスト通信の開始前に、フィードバックタイミング補正を実施可能となる。
【0559】
UE1からタイミング補正用信号送信要求を受信したUE2は、ステップST4905で、ステップST4902でUE1から受信したタイミング補正用信号構成候補から、タイミング補正用信号構成を選択する。ステップST4906で、UE2は、選択したタイミング補正用信号構成を用いて、UE1に対してタイミング補正用信号を送信する。UE2からタイミング補正用信号を受信したUE1は、ステップST4907で、UE2のRTTを導出する。また、UE1はRTTからUE2のフィードバックタイミング補正値を導出する。
【0560】
フィードバックタイミング補正値は、UE1からUE2への電波伝搬遅延およびUE2からUE1への電波伝搬遅延を含めた値とすればよい。従って、フィードバックタイミング補正値をRTTとするとよい。ステップST4908で、UE1はUE2に対して、UE2のフィードバックタイミング補正情報を送信する。UE1はUE2に対して、フィードバックタイミング補正要求を送信してもよい。UE1は、フィードバックタイミング補正要求にUE2のフィードバック補正要求情報を含めて通知してもよい。たとえば、UE1はフィードバックタイミング補正情報をPSCCHで送信してもよい。
【0561】
ステップST4909で、UE2は、フィードバックタイミング補正情報を用いて、フィードバックタイミングを補正する。たとえば、
図36に示すように、UE2は、UE1からの受信信号のタイミングを基準として導出した送信タイミングから、フィードバックタイミング補正値を減じたタイミングを、実際の送信タイミングとして利用する。これにより、UE1とUE2との間の電波伝搬遅延時間が補正される。ステップST4910で、UE2は、補正した送信タイミングで、フィードバック送信を行う。フィードバック送信は、例えば、PSFCHで行ってもよい。
【0562】
このようにすることで、SL通信において双方向通信がサポートされた場合も、SL通信を行うUE間で、送受信タイミングのずれなく、フィードバック送信を可能とする。SL通信を行うUEにおける送信タイミングと受信タイミングの衝突を削減することが可能となる。SL通信において、gNBからの電波伝搬距離がUE毎で異なるような場合でも、SL通信を行うUE間で送受信のタイミングずれを低減させることが可能である。それにより、UE間の通信品質の劣化や通信断の発生を低減させることが可能となる。
【0563】
実施の形態6.
従来のLTEでのSL通信中のHO処理方法を示す。eNBはUEに対してHOコマンド(HO command)で、ターゲットセル(T-cell)での受信用リソースプール(RX RP)、および、例外リソースプール(exceptional RP)を通知する。SL通信において送信を行うUE(送信UE)は、HO中は例外RPを用いて送信を行う。HOが完了した場合、送信UEは、ターゲットセルにおいて送信用リソースプール(TX RP)を取得し、該送信用RPを用いて送信を行う。SL通信において受信を行うUE(受信UE)は、HO中は、HOコマンドで通知された受信RPを検索し、送信UEからのデータを受信する。HOが完了した場合、受信UEは、ターゲットセルにおいて受信用リソースプール(RX RP)を取得し、該受信用RPを検索し、送信UEからのデータを受信する。
【0564】
図38は、SL通信を行っているUEが2つのセル間を移動する状況を示す概念図である。UE1とUE2との間でSL通信が行われている。図中左側の状態では、UE1、UE2はS-Cellに存在する。図中中央に示すようにUEが移動したとする。この場合、UE2がS-CellからT-CellにHOを行い、UE1はS-Cellに存在する。その後、図中右側に示すようにUEが移動したとする。この場合、UE1がS-CellからT-CellにHOを行い、UE2はT-Cellに存在する。
【0565】
図39~
図41は、SL通信中のHOのシーケンス例を示す図である。
図39~
図41は、境界線BL3940、BL4041の位置で、つながっている。
図39~
図41は、従来のSL通信中のHO処理方法を用いて、S-CellとT-Cellとの間でHOを行うシーケンスを示している。UE1とUE2との間でSL通信が行われており、
図39~
図41のシーケンスは、
図38で示したセル間の移動に対応している。ステップST5101で、UE1とUE2との間でSLのユニキャスト通信が行われている。まずUE2がT-CellへのHOを行う。ステップST5102で、UE2はS-CellからHO Commandを受信する。HO Commandで、UE2は、ターゲットセル(T-cell)での受信RP情報、例外RP情報を受信する。
【0566】
UE2は、ステップST5103で、HO commandに従ってS-Cellからデタッチを行い、ステップST5104で、T-Cellと同期処理を行う。UE2は、ステップST5105で、SLユニキャスト通信を終了する。UE2は、ステップST5106で、HO Commandで受信した受信RPを用いて、UE1から送信されるSL送信をサーチする。UE1から送信されるSL送信を受信したUE2は、ステップST5107で、UE1と再度、SLユニキャスト通信を行う。
【0567】
UE2は、ステップST5108で、T-CellとHO処理を完了する。T-CellへのHOを完了したUE2は、ステップST5109で、T-Cellから受信RPを受信する。T-Cellから受信RPを受信したUE2は、ステップST5110で、SLユニキャスト通信を終了する。UE2は、ステップST5111で、T-Cellから受信した受信RPを用いて、UE1から送信されるSL送信をサーチする。UE1から送信されるSL送信を受信したUE2は、ステップST5112で、UE1と再度、SLユニキャスト通信を行う。
【0568】
次に、UE1がT-CellへのHOを行う。ステップST5113で、UE1はS-CellからHO Commandを受信する。HO Commandで、UE1は、ターゲットセル(T-cell)での受信RP情報、例外RP情報を受信する。
【0569】
UE1は、ステップST5114で、HO commandに従ってS-Cellからデタッチを行い、ステップST5115で、T-Cellと同期処理を行う。UE1は、ステップST5116で、SLユニキャスト通信を終了する。UE1は、ステップST5117で、HO Commandで受信した例外RPからSL送信用のリソースを選択し、SL送信を行う。
【0570】
ステップST5116でUE1がSLユニキャスト通信を終了することで、UE2においてもSLユニキャスト通信が終了する。このため、UE2は、ステップST5118で、再度、受信RPを用いてUE1のSL送信をサーチする。UE1から送信されるSL送信を受信したUE2は、ステップST5119で、UE1と再度、SLユニキャスト通信を行う。
【0571】
UE1は、ステップST5120で、T-CellとHO処理を完了する。T-CellへのHOを完了したUE1は、ステップST5121で、T-Cellから送信RPを受信する。T-Cellから送信RPを受信したUE1は、ステップST5122で、送信RPを用いて、SL送信用のリソースサーチおよび選択処理を行う。UE1は、ステップST5123で、SL送信用リソースのリザベーションを行う。SL送信用リソースが変更されるので、ステップST5124で、UE1は、それまで行っていたSLユニキャスト通信を終了する。UE1は、ステップST5123でリザーブしたSL送信用リソースで、SL送信を開始する。
【0572】
ステップST5124でUE1がSLユニキャスト通信を終了することで、UE2においてもSLユニキャスト通信が終了する。このため、UE2は、ステップST5126で、再度、受信RPを用いてUE1のSL送信をサーチする。UE1から送信されるSL送信を受信したUE2は、ステップST5127で、UE1と再度、SLユニキャスト通信を行う。
【0573】
従来のSL通信中のHO処理方法を用いて、SL通信中のUEがHOを行う場合、前述のように、リソースプールの変更が生じる。このため、SL通信が途切れてしまい、SL通信を用いたサービスの中断が多発するという問題が発生する。本実施の形態6ではこのような問題を解決する方法を開示する。
【0574】
SL通信を行っているUEのHO時のSL通信用リソースアロケーションを、UE間で通知する。SL通信用リソースは、UE_txからUE_rxへのSL送信用リソースであってもよいし、UE_rxからUE_txへのSL送信用リソースであってもよい。SL通信のUE_txがUE_rxに対して、HO時のSL通信用リソースアロケーションを通知する。また、HO時のSL通信用のRP情報も通知してもよい。
【0575】
該通知に、ユニキャスト通信におけるRRC接続を用いてもよい。該通知に、ユニキャスト通信におけるPSCCHを用いてもよい。あるいは、該通知は、MACシグナリングで行われてもよいし、あるいは、RRCシグナリングで行われてもよい。
【0576】
SL通信のUE_rxは、UE_txから受信したHO時のSL通信用リソースアロケーション情報を用いて、UE_txからの送信を受信する。このようにすることで、HO時のRP変更に伴うSL通信の中断を低減させることが可能となる。
【0577】
UE_rxからUE_txに対して、リソースアロケーションの変更を要求してもよい。UE_rxからUE_txに対して、リソースアロケーション変更要求を通知してもよい。リソースアロケーション変更要求を行う原因情報を設けて、リソースアロケーション変更要求に含めてもよい。原因情報は、たとえば、HO処理のためのリソースアロケーション変更要求であることを示す情報や、通信品質劣化によるリソースアロケーション変更要求であることを示す情報、等である。このようにすることで、UE_txは、UE_rxの状況に応じて、リソースアロケーションの変更を実施可能となる。
【0578】
UE_rxはUE_txに対して、自UEがHOを開始したことを通知してもよい。該通知は、どのセルにHOを開始したかを示す情報を含んでもよい。該通知は、セルの識別子を含んでもよい。UE_rxからUE_txに対して、リソースアロケーション変更に使用するRP情報を通知してもよい。たとえば、UE_rxは、HOを開始したことの通知は、HO commandで受信したT-cellの例外RP情報を含んでもよい。UE_txは、UE_rxから通知されたRPからSL通信用のリソースを選択し、UE_rxに対してリソースアロケーションを行ってもよい。UE_txは該リソースアロケーションをUE_rxに対して通知する。
【0579】
このようにすることで、UE_txは、UE_rxがHO処理を開始したことを認識することができ、UE_txにおいてどのRPを用いてHO時のSL通信用リソースをリザーブするかを判断可能となる。
【0580】
UE_rxはUE_txに対して、自UEがHOを完了したことを通知してもよい。該通知は、どのセルへのHOを完了したかを示す情報を含んでもよい。該通知は、セルの識別子を含んでもよい。UE_rxからUE_txに対して、リソースアロケーション変更に使用するRP情報を通知してもよい。たとえば、UE_rxは、HOを完了したことの通知は、T-Cellでの送信RP情報を含んでもよい。UE_txは、UE_rxから通知されたRPからSL通信用のリソースを選択し、UE_rxに対してリソースアロケーションを行ってもよい。UE_txは該リソースアロケーションをUE_rxに対して通知する。
【0581】
このようにすることで、UE_txは、UE_rxがHO処理を完了したことを認識することができ、UE_txにおいてどのRPを用いてHO時のSL通信用リソースをリザーブするかを判断可能となる。
【0582】
前述では、UE_rxがUE_txに対して、自UEでのHO開始および/あるいはHO完了を通知することを開示した。これに対し、UE_txがUE_rxに対して、自UEでのHO開始および/あるいはHO完了を通知してもよい。UE_txからUE_rxに通知するリソースプールの情報は、受信RP情報であってもよい。UE_txが先にHOを行うような場合に有効である。
【0583】
図42~
図43は、実施の形態6について、SL通信中のHOのシーケンスの第1例を示す図である。
図42~
図43は、境界線BL4243の位置で、つながっている。
図42~
図43において、
図39~
図41と共通するステップについては同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。まずUE2がT-CellへのHOを行う。ステップST5102で、UE2はS-CellからHO Commandを受信する。HO Commandで、UE2は、ターゲットセル(T-cell)での受信RP情報、例外RP情報を受信する。
【0584】
UE2は、ステップST5201で、UE1に対してリソースアロケーション変更要求を通知してもよい。UE2は、HO commandで受信したT-Cellの例外RP情報を、該要求に含めて、通知してもよい。HO commandを受信したUE2は、T-CellへのHOを実行する。ステップST5202で、UE1は、T-Cellの例外RPを用いて、SL通信のリソースを選択し、UE2に対するリソースアロケーションを実施する。
【0585】
ステップST5203で、UE1はUE2に対して、リソースアロケーション変更を通知する。リソースアロケーション変更に含める情報は、たとえば、リソースアロケーション情報、リソースアロケーション変更指示情報である。該変更を受信したUE2は、ステップST5204で、UE1に対して、リソースアロケーション変更応答を通知してもよい。これにより、UE1は、UE2がリソースアロケーションの変更を行うことを認識可能となる。
【0586】
UE1は、リソースアロケーションを変更して、SLユニキャスト通信用のデータを、UE2に対して送信する。ステップST5205で、UE2は、リソースアロケーションを、UE1から通知されたリソースアロケーションに変更して、UE1からの送信を受信する。このようにして、UE1とUE2との間のSLユニキャスト通信は、UE2のHO中もHO完了後も継続される。
【0587】
次に、UE1がT-CellへのHOを行う。ステップST5113で、UE1はS-CellからHO Commandを受信する。HO Commandで、UE1は、ターゲットセル(T-cell)での受信RP情報、例外RP情報を受信する。HO commandを受信したUE1は、T-CellへのHOを実行する。UE1は、HO中も、T-Cellの例外RPを用いてリソースアロケーションを行い、UE2とのSLユニキャスト通信を継続する。
【0588】
UE1は、ステップST5120で、T-CellへのHO処理を完了する。T-CellへのHOを完了したUE1は、ステップST5121で、T-Cellから送信RPを受信する。T-Cellから送信RPを受信したUE1は、ステップST5122で、送信RPを用いて、SL送信用のリソースサーチおよび選択処理を行う。UE1は、ステップST5123で、SL送信用リソースのリザベーションを行う。
【0589】
ステップST5207で、UE1は、リザベーションしたSL送信用リソースを用いて、UE2とのSLユニキャスト通信用のリソースアロケーションを行う。ステップST5208で、UE1はUE2に対して、リソースアロケーション変更を通知する。リソースアロケーション変更に含める情報は、たとえば、リソースアロケーション情報、リソースアロケーション変更指示情報である。該変更を受信したUE2は、ステップST5209で、UE1に対して、リソースアロケーション変更応答を通知してもよい。これにより、UE1は、UE2がリソースアロケーションの変更を行うことを認識可能となる。
【0590】
UE1は、リソースアロケーションを変更して、SLユニキャスト通信用のデータを、UE2に対して送信する。ステップST5210で、UE2は、リソースアロケーションを、UE1から通知されたリソースアロケーションに変更して、UE1からの送信を受信する。このようにして、UE1とUE2との間のSLユニキャスト通信は、UE1のHO中もHO完了後も継続される。
【0591】
このようにすることで、SL通信中のUEがHOを行う場合も、SL通信が途切れることがなくなり、SL通信を用いたサービスの中断を低減させることが可能となる。
【0592】
図44~
図45、は実施の形態6について、SL通信中のHOのシーケンスの第2例を示す図である。
図44~
図45は、境界線BL4445の位置で、つながっている。
図44~
図45は、UE1が先にHOする例について示している。
図44~
図45において、
図39~
図41および
図42~
図43と共通するステップについては同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。まずUE1がT-CellへのHOを行う。ステップST5301で、UE1はS-CellからHO Commandを受信する。HO Commandで、UE1は、ターゲットセル(T-cell)での受信RP情報、例外RP情報を受信する。
【0593】
UE1は、ステップST5302で、HO commandに従ってS-Cellからデタッチを行い、ステップST5303で、T-Cellと同期処理を行う。ステップST5202で、UE1は、T-Cellの例外RPを用いて、SL通信のリソースを選択し、UE2に対するリソースアロケーションを実施する。
【0594】
ステップST5203で、UE1はUE2に対して、リソースアロケーション変更を通知する。リソースアロケーション変更に含める情報は、たとえば、リソースアロケーション情報、リソースアロケーション変更指示情報である。該変更を受信したUE2は、ステップST5204で、UE1に対して、リソースアロケーション変更応答を通知してもよい。これにより、UE1は、UE2がリソースアロケーションの変更を行うことを認識可能となる。
【0595】
UE1は、リソースアロケーションを変更して、SLユニキャスト通信用のデータを、UE2に対して送信する。ステップST5205で、UE2は、リソースアロケーションを、UE1から通知されたリソースアロケーションに変更して、UE1からの送信を受信する。このようにして、UE1とUE2との間のSLユニキャスト通信は、UE1のHO中もHO完了後も継続される。
【0596】
UE1は、ステップST5304で、T-CellへのHO処理を完了する。T-CellへのHOを完了したUE1は、ステップST5305で、T-Cellから送信RPを受信する。T-Cellから送信RPを受信したUE1は、送信RPを用いてSL送信用のリソースサーチおよび選択処理を行って、UE2に対するリソースリザベーションを行ってもよい。
【0597】
UE1が、UE2はまだT-CellへのHOを開始していないこと、または、T-Cellに存在しないことを認識している場合、UE1は、T-Cellから受信した送信RPを用いた、UE2へのSL送信用のリソースサーチ、選択処理、リソースリザベーションを行わなくてもよい。たとえば、UE2がUE1に対して、HO開始および/あるいはHO完了を通知してもよく、このような通知により、UE1はUE2がHOを開始したことあるいは完了したことを認識可能となる。
【0598】
UE1がT-Cellに存在し、UE2がまだT-Cellに存在しないような場合、T-Cellから通知された例外RPを用いることで、他セルへの干渉を低減させることができる。
【0599】
次に、UE2がT-CellへのHOを行う。ステップST5306で、UE2はS-CellからHO Commandを受信する。HO Commandで、ターゲットセル(T-cell)での受信RP情報、例外RP情報を受信する。HO commandを受信したUE2はT-CellへのHOを実行する。また、ステップST5307で、UE2はUE1に対して、HO開始を通知する。UE2は、HO開始通知に、HO先のセルであるT-Cellの識別子、HO commandで受信した例外RPを含めて、該HO開始通知を送信してもよい。UE1は、UE2がHOを開始したセルや、例外RPを認識可能となる。これにより、UE1は、UE2に対して用いるRPを選択可能となる。
【0600】
UE1は、UE2がHO処理に入ることを認識したので、UE2のHO中も例外RPを用いてリソースアロケーションを行うことを決定し、UE2とのSLユニキャスト通信を継続する。
【0601】
UE2は、ステップST5308で、HO commandに従ってS-Cellからデタッチを行い、ステップST5309でT-Cellと同期処理を行い、ステップST5310でT-CellへのHO処理を完了する。HO処理を完了したUE2は、ステップST5311で、UEに対して、HO完了通知を送信する。UE2は、HO完了通知に、HO先のセルであるT-Cellの識別子を含めて、該HO完了通知を送信してもよい。UE1は、UE2がどのセルにHOを完了したことを認識可能となる。
【0602】
ステップST5312で、UE2は、T-Cellでの受信RPを受信する。ここで、UE2は受信RPをサーチしなくてもよい。ステップST5311でUE2からHO完了通知を受信したUE1は、UE2がT-CellへのHOを完了したことを認識する。ステップST5122で、UE1はT-Cellの送信RPを用いて、SL送信用のリソースサーチおよび選択処理を行う。UE1は、ステップST5123で、SL送信用リソースのリザベーションを行う。
【0603】
ステップST5207で、UE1は、リザベーションしたSL送信用リソースを用いて、UE2とのSLユニキャスト通信用のリソースアロケーションを行う。ステップST5208で、UE1はUE2に対して、リソースアロケーション変更を通知する。リソースアロケーション変更に含める情報は、たとえば、リソースアロケーション情報、リソースアロケーション変更指示情報である。該変更を受信したUE2は、ステップST5209で、UE1に対して、リソースアロケーション変更応答を通知してもよい。これにより、UE1は、UE2がリソースアロケーションの変更を行うことを認識可能となる。
【0604】
UE1は、リソースアロケーションを変更して、SLユニキャスト通信用のデータを、UE2に対して送信する。ステップST5210で、UE2は、リソースアロケーションを、UE1から通知されたリソースアロケーションに変更して、UE1からの送信を受信する。このようにして、UE1とUE2との間のSLユニキャスト通信は、UE2のHO中もHO完了後も継続される。
【0605】
本実施の形態6で開示したような方法とすることで、SL通信中のUEがHOを行う場合も、SL通信が途切れることがなくなり、SL通信を用いたサービスの中断を低減させることが可能となる。
【0606】
gNBが、UE間のSL通信に用いるリソースをスケジューリングしてもよい。このような場合、T-CellがS-Cellに対して、SL通信に用いるリソースアロケーションを通知してもよい。S-Cellは、HOさせるUEに対して、T-Cellでのリソースアロケーション情報を通知する。該通知にHO commandを用いてもよい。たとえば、UE2がHOを行う場合、S-CellからHO commandでT-Cellのリソースアロケーション情報を受信したUE2は、UE1に対して、リソースアロケーション変更要求を通知する。該通知に、リソースアロケーション情報を含めるとよい。
【0607】
リソースアロケーション情報を受信したUE1は、該リソースアロケーション情報を用いて、UE2とのSL通信を実施する。UE1はUE2に対して、該リソースアロケーション情報を含めたリソースアロケーション変更通知を送信してもよい。このようにすることで、UE2に対してgNBがスケジューリングしたリソースアロケーションを、早期にSL通信で用いることが可能となる。
【0608】
たとえば、UE1がHOを行う場合、S-CellからHO commandでT-Cellのリソースアロケーション情報を受信したUE1は、UE2に対して、リソースアロケーション変更通知を送信する。該通知に、リソースアロケーション情報を含めるとよい。このようにすることで、UE1は、gNBがスケジューリングしたリソースアロケーションを、早期にSL通信で用いることが可能となる。
【0609】
SLでグループキャスト通信を行う場合におけるHO処理について開示する。グループキャスト通信を行うヘッドUEとメンバUEとの間で、本実施の形態6で開示したHO処理を適用するとよい。ヘッドUEをUE1に対応させ、メンバUEをUE2に対応させればよい。複数のメンバUEが存在する場合も同様である。ヘッドUEと各メンバUEとの間でHO処理を実施し、本実施の形態6で開示したHO処理を適用するとよい。このようにすることで、SLでグループキャスト通信中のHOにおいて、SL通信を用いたサービスの中断を低減させることが可能となる。
【0610】
SL通信におけるHO処理において適用するリソースプールは、複数のセルあるいは複数の基地局で使用可能なリソースプールであってもよい。該リソースプールは、たとえば、RNA(RAN Notification Area)で使用可能なリソースプールであってもよい。RNA内での移動ではリソースプールの変更を不要とする。リソースプールの変更に伴うリソースアロケーションの変更を削減可能となる。
【0611】
該リソースプールは、規格等で静的に決められてもよいし、gNBからSLを行うUEに対して通知してもよい。該リソースプールは、報知情報に含めて報知してもよいし、RRCシグナリングやMACシグナリングを用いて通知してもよい。あるいは、該リソースプールは、L1/L2制御情報に含めて通知してもよい。また、該リソースプールを、HO処理時に、S-CellがUEに対して通知してもよい。あるいは、該リソースプールを、T-CellがS-Cellを介してUEに対して通知してもよい。このようにすることで、UEは、該リソースプールからリソースアロケーションを実施可能となる。
【0612】
実施の形態7.
3GPPでは、2つのRAT(LTEとNR)を用いたSL通信が検討されている。また、これら2つのRAT(LTE RATおよび/あるいはNR RAT)を用いたV2Xサービスのサポートも提案されている。2つのRATの選択方法として、上位レイヤがRATを選択する方法、ASレイヤがRATを選択する方法が開示されている(非特許文献32(R2-1818221))。
【0613】
SL通信におけるUEの各RATのプロトコルスタックは、PDCP,RLC、MAC、PHYを含む(非特許文献1(TS36.300V15.4.0)、非特許文献33(TR38.885V1.0.0))ことが開示されている。しかし、2つのRATを運用する場合のプロトコルスタックの構成は開示されていない。ここでは、2つのRATを運用する場合のプロトコルスタックの構成について開示する。
【0614】
図46は、ASレイヤがRATを選択する場合のプロトコル構成を示す図である。アプリケーションレイヤ、V2Xレイヤが構成される。V2Xレイヤの下位に、LTEのPDCP、RLC、MAC、PHY、および、NRのPDCP、RLC、MAC、PHYが構成される。送信側では、V2Xレイヤから出力されるデータは、V2Xレイヤで2つにコピーされ、コピーされた2つのデータはLTEのPDCPとNRのPDCPとにそれぞれ入力される。受信側では、LTEのPDCPから出力されるデータと、NRのPDCPから出力されるデータとが、V2Xレイヤを介してアプリケーションレイヤに入力される。
【0615】
データには、どのRATで送信するかを示す情報(RAT情報)が付加される。RAT情報は、アプリケーションレイヤで付加されてもよいし、V2Xレイヤで付加されてもよい。アプリケーションレイヤあるいはV2Xレイヤは、V2XサービスによってどのRATで送信するかを選択して、RAT情報を付加するとよい。LTEのPDCPは、入力されたデータのRAT情報により、自RAT(すなわちLTE)で送信するか否かを判断する。RAT情報が自RATと同じ場合、LTEのPDCPは、自RATで送信すると判断し、LTEのRLC、MAC、PHYを介してSL通信を行う。同様に、NRのPDCPは、入力されたデータのRAT情報により、自RAT(すなわちNR)で送信するか否かを判断する。RAT情報が自RATと同じ場合、NRのPDCPは、自RATで送信すると判断し、NRのRLC、MAC、PHYを介してSL通信を行う。
【0616】
このようにすることで、各RATのPDCPがデータを送信するか否かを判断可能となる。
【0617】
図47は、V2XレイヤがRATを選択する場合のプロトコル構成を示す図である。送信側では、V2Xレイヤが、RAT情報によりRATを選択し、選択したRATのPDCPに、送信するデータを入力する。受信側では、LTEのPDCPから出力されるデータと、NRのPDCPから出力されるデータとが、V2Xレイヤを介してアプリケーションレイヤに入力される。LTEのPDCPは、入力されたデータのSL通信(送信)を、LTEのRLC、MAC、PHYを介して行う。同様に、NRのPDCPは、入力されたデータのSL通信(送信)を、NRのRLC、MAC、PHYを介して行う。
【0618】
このようにすることで、V2XレイヤがどのRATでデータを送信するか否かを判断可能となる。
【0619】
図46に開示した方法では、両方のRATのPDCPが、V2Xレイヤから全データを一旦受信してから、送信を判断することになる。このような方法では、両方のRATのPDCPの負荷が増大し、消費電力が増大する。一方、
図47に開示した方法では、上位レイヤがRATを選択する。このため、たとえば、無線における通信品質や、各RATでの負荷状況などの、ASレイヤでの状況に応じて、柔軟にRATを選択および変更することが不可能になる。ここでは、このような課題を解決する方法を開示する。
【0620】
ASレイヤにRAT選択のプロトコルスタックを設ける。ASレイヤにRAT変更のプロトコルスタックを設ける。これらのプロトコルスタックは、たとえばPDCPの上位に設けてもよいし、PDCPとV2Xレイヤとの間に設けてもよい。
【0621】
両方のRATをサポートする場合は、各RATのPDCPがSN、HFNを付加する。LTEのPDCPがSN、HFNを付加し、また、NRのPDCPがSN、HFNを付加する。LTEにおいては、PDCPでのパケット複製(PDCP duplication)を実施する場合に、PDCPがSN、HFNを付加することが開示されている。両方のRATをサポートする場合は、PDCPでのパケット複製の有無にかかわらず、PDCPがSN、HFNを付加するとよい。
【0622】
図48は、ASレイヤにRAT選択および/あるいはRAT変更のプロトコルスタック(RAT選択/RAT変更と記載する場合がある)を設けた場合のプロトコル構成を示す図である。
図48は、RAT選択/RAT変更プロトコルを、PDCPとV2Xレイヤとの間に設けた例を示している。RAT選択/RAT変更プロトコルは、V2Xレイヤから入力されたデータに付加されているRAT情報により、データがどのRATで送信されるかを判断する。
【0623】
データに付加されるRAT情報として、一つのRATを示す情報だけでなく、複数のRATを示す情報を設けてもよい。複数のRATを示す情報は、データを送信してもよいRATを示す情報とするとよい。データを送信してもよいRATが一つではなく、複数ある場合に有効である。たとえば、所定のV2Xサービスのデータは、LTEでもNRでも送信してよい場合は、LTEとNRとを示すRAT情報を用いるとよい。
【0624】
RAT選択/RAT変更プロトコルで、RATを選択および/あるいは変更をしてもよい。たとえば、複数のRATを含むRAT情報がデータに付加されているような場合、RAT選択/RAT変更プロトコルで、RATを選択および/あるいは変更をしてもよい。UEは、ASレイヤでの状況を、RAT選択/RAT変更プロトコルに通知してもよい。これにより、UEは、ASレイヤでの状況に応じたRATの選択、変更を、RAT選択/RAT変更プロトコルに実行させることが可能となる。
【0625】
RATの選択、変更をASレイヤで行うことで、ASレイヤでの状況を早期に、SL通信に反映させることが可能となる。このため、SL通信の通信品質を低遅延で改善可能となり、SL通信に要求されるQoSを満たすことが可能となる。
【0626】
送信側では、どのRATでデータを送信するかを決定したRAT選択/RAT変更プロトコルは、決定したRATのPDCPにデータを入力する。LTEのPDCPは、入力されたデータのSL通信(送信)を、LTEのRLC、MAC、PHYを介して行う。同様に、NRのPDCPは、入力されたデータのSL通信(送信)を、NRのRLC、MAC、PHYを介して行う。
【0627】
受信側では、LTEのPDCPから出力されるデータと、NRのPDCPから出力されるデータとが、RAT選択/RAT変更プロトコルに入力される。RAT選択/RAT変更プロトコルは、各RATのPDCPから入力されたデータを順次、V2Xレイヤに入力する。これにより、データは、V2Xレイヤを介してアプリケーションレイヤに入力される。
【0628】
このようにすることで、ASレイヤがどのRATでデータを送信するかを判断可能となる。また、データを送信するRATのPDCPのみにデータが入力される。その結果、両方のRATのPDCPの負荷の増大や消費電力の増大を、低減させることが可能となる。
【0629】
RATを変更する場合、RATを変更するUE(UE_tx)は、SL通信を行う対向UE(UE_rx)に対して、RATの変更を通知するとよい。UE_rxが、どのRATで受信すれば良いかを判断可能となる。LTEを使用している場合、UE_txはRAT変更を、LTEのSLのシグナリングで送信するとよい。NRを使用している場合、UE_txはRAT変更を、NRのSLのシグナリングで送信するとよい。SLシグナリングとして、PC5のシグナリングを用いてもよいし、あるいは、RRCシグナリングを用いてもよいし、あるいは、MACシグナリングを用いてもよい。あるいは、UE_txはRAT変更を、PSCCHを用いて送信してもよいし、あるいは、PSCCHとPSSCHを用いて送信してもよい。
【0630】
UE_txはUE_rxに対して、RAT変更通知を送信する。RAT変更通知に、たとえば、RAT変更指示情報、変更後RAT情報、変更後RATでのリソース情報を含めてもよい。リソース情報は、リソースプール情報、リソースアロケーション情報等であってもよい。このようにすることで、UE_rxはUE_txでRATの変更が行われたことを認識可能となる。
【0631】
UE_rxがUE_txに対して、RAT変更要求を送信してもよい。RAT変更要求に、たとえば、RAT変更要求情報を含めてもよい。UE_rxはUE_txに対して、変更前RATでのSLにおける通信品質情報、変更前RATでのQoSパラメータ測定値情報、変更前RATでのパケット送達情報、UE_rxでの各RATでの負荷状況情報、等の通信状況に関する情報を送信してもよい。変更前RATに限らず、UEがサポートする各RATでの情報を、UE_rxはUE_txに送信してもよい。UE_rxは、通信状況に関する情報を、RAT変更要求に含めて、送信してもよい。
【0632】
このようにすることで、UE_txは、UE_rxから受信した情報を用いて、RATの変更を判断可能となる。UE_txは、RATの変更を決定した場合、UE_txとUE_rxとの間で、変更前RATでのSL接続リリース処理を実施してもよい。また、UE_txは、UE_txとUE_rxとの間で、変更後RATでのSL接続処理を実施してもよい。
【0633】
UE_rxにおいて、変更前RATのPDCPと変更後RATのPDCPの両方から、上位レイヤにデータが送られる。各RATにおいては、各々のPDCPで付加されたSN、HFNでリオーダリングが行われ、データの順番が復元される。しかし、たとえば、RAT変更時に未達データが発生するような場合がある。変更前RATで未達データを送信できないと、データロスが生じることになる。ここでは、このような課題を解決する方法を開示する。
【0634】
UE_txは、変更前RATのPDCPに対して、未達データ転送指示を通知する。未達データは、最も古い未達データから最新の未達データまでの範囲の全てのデータであってもよく、該範囲に到達データが含まれていてもよい。変更前RATのPDCPは、SN、HFNを付加する。変更前RATのPDCPは、最後の未達データに、該データで終了であることを示すエンドマーカを付与してもよい。あるいは、変更前RATのPDCPは、エンドマーカを、最後の未達データの後ろに、挿入してもよい。
【0635】
変更前RATのPDCPは、変更後RATのPDCPに対して、変更前RATの未達データを転送する。UE_txはUE_rxに対して、変更前RATの未達データを、変更後RATを用いて送信する。変更前RATのPDCPデータであることを示すための情報を設けて、UE_txは該情報を転送データに付加してもよい。UE_rxは、変更前RATのPDCPデータであることを示すための情報により、変更前RATの未達データか否かを判断する。UE_rxは、変更後RATで受信したデータが、変更前RATの未達データであると判断した場合、UE_rxは、変更前RATの未達データを、変更前RATのPDCPに転送する。このようにすることで、変更前RATでの未達データを、変更後RATで送受信可能となる。
【0636】
図49は、前述のRAT変更シーケンスの一例を示す図である。
図49は、SL通信を行うUE1(UE_tx)とUE2(UE_rx)が、RATをLTEからNRに変更する例を示している。
図49において、破線は制御シグナリングを示し、実線はデータを示す。
図49は、各UEについて、RRC、RAT選択/RAT変更プロトコル、LTEでのプロトコル、NRでのプロトコルの各処理を示している。なお、
図49では、RAT選択/RAT変更を、RAT選択/変更と略記している。
【0637】
LTEでSL送信を行うUE1は、ステップST5701で、RAT選択/RAT変更プロトコルから、LTEのPDCPに、LTEのSLデータを送る。UE1のLTEのPDCPは、入力されたデータに対して、SNの付加、HFNの付加、秘匿処理、ヘッダ圧縮処理を実行する。ステップST5702で、UE1は、LTEのデータを、LTEのプロトコルを通して、UE2に対して、SLで送信する。
【0638】
ステップST5703で、UE2は、UE1から受信したデータを、LTEのプロトコルに通す。UE2は、LTEのPDCPでSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行う。UE2は、LTEのPDCPで処理したSLデータを、UE2のRAT選択/RAT変更プロトコルに送る。UE2は、RAT選択/RAT変更プロトコルに入力されたSLデータを、V2Xレイヤに送る。
【0639】
UE1は、RAT選択/RAT変更プロトコルでRATの変更を行う。ステップST5704で、UE1のRRCは、UE2に対してRAT変更通知を送信する。ここではLTEからNRへの変更の場合について示す。RAT変更通知は、UE1のLTEのプロトコルを通して送信されてもよい。RAT変更通知は、RAT変更指示情報、変更後RAT情報、変更後RATでのリソース情報を含んでもよい。UE2のRRCは、UE1からのRAT変更情報を受信する。RAT変更情報は、UE2のLTEのプロトコルを通して受信されてもよい。これにより、UE2はRAT変更を認識可能となる。
【0640】
UE2からUE1に対して、RAT変更通知に対する応答を送信してもよい。該応答として、了承あるいは拒否を送信してもよい。拒否の場合、拒否の理由情報を応答に含めて通知してもよい。拒否の理由情報は、たとえば、オーバロード、通信品質未達等であってもよい。UE1は、UE2からの該応答を受信することで、UE2に対してRAT変更が実施可能か否かを判断可能となる。
【0641】
UE1は、ステップST5707でLTEでのSL送信処理を停止し、ステップST5708でNRでのSL送信処理を開始する。UE1のRRCは、LTEの各プロトコルに、これらの処理を通知してもよい。UE1のLTEの各プロトコルは、SL送信処理を停止する。UE2は、ステップST5705でLTEでのSL受信処理を停止し、ステップST5706でNRでのSL受信処理を開始する。UE1のRRCは、LTEの各プロトコルに、これらの処理を通知してもよい。UE2のLTEの各プロトコルは、SL受信処理を停止する。
【0642】
UE1のRRCは、ステップST5709で、LTEで未達であったSLデータの転送を、UE1のLTEのプロトコルに指示する。UE1のRRCは、LTEのPDCPに対して、SLデータの転送を指示するとよい。UE1のRRCは、LTEのPDCPに対して、未達のSLデータをNRのPDCPに転送することを指示する。LTEのPDCPでは、SLデータ送信途中であったデータも含めて未達データを判断する。UE2から受信応答の通知を受信していないSNを有するデータを、未達データとするとよい。最も古い(小さい)SNを有する未達データから、それよりも新しい(大きい)SNを有するデータを、送達データも含めて、転送してもよい。
【0643】
LTEからNRへRAT変更を行ったUE1は、ステップST5710で、RAT選択/RAT変更プロトコルから、NRのPDCPに、SLデータを送る。UE1のNRのPDCPに入力されたデータに対して、該PDCPは、SNの付加、HFNの付加、秘匿処理、ヘッダ圧縮処理を実行する。ステップST5711で、UE1は、SLデータを、NRのプロトコルを通して、UE2に対して、SLで送信する。
【0644】
ステップST5712で、UE2は、UE1から受信したデータを、NRのプロトコルに通す。UE2は、NRのPDCPでSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行う。UE2は、NRのPDCPで処理したSLデータを、UE2のRAT選択/RAT変更プロトコルに送る。UE2は、RAT選択/RAT変更プロトコルに入力されたSLデータを、V2Xレイヤに送る。
【0645】
未達のSLデータをNRのPDCPに転送することを指示されたUE1のLTEのPDCPは、ステップST5713で、未達のSLデータをUE1のNRのPDCPに転送する。UE1のNRのPDCPに入力されたデータに対して、該PDCPは、SNの付加、HFNの付加、秘匿処理、ヘッダ圧縮処理を実行する。また、NRのPDCPは、LTEのPDCPから転送されたデータであることを示す情報を付加してもよい。ステップST5714で、UE1は、転送された未達データを、NRのプロトコルを通して、UE2に対して、SLで送信する。LTEでの未達データをNRのPDCPに転送したUE1は、LTEで通信途中であったSLデータを破棄してもよい。無駄な送信処理を継続しなくて済むため、消費電力を削減可能となる。
【0646】
UE2は、UE1から受信したSLデータを、NRのプロトコルに通す。UE2は、NRのPDCPでSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行う。また、UE2は、NRのPDCPで、LTEのPDCPから転送されたデータあることを示す情報により、転送されたデータか否か、どのRATからの転送であるかを判断可能となる。LTEのPDCPから転送されたデータであることを判断したNRのPDCPは、ステップST5715で、LTEのPDCPに対して未達データを転送する。
【0647】
UE2のLTEのPDCPは、UE1のLTEのPDCPで付加されたSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行う。UE2は、LTEのPDCPで処理した未達データを、ステップST5716で、RAT選択/RAT変更プロトコルに送る。
【0648】
RAT変更時に未達データが発生するような場合や、RAT変更前後でSLデータの送信タイミングあるいは受信タイミングがずれるような場合、両方のRATのPDCPからSLデータが送られることになる。その結果、各々のSLデータに付加されたSNだけでは順番を復元できないという問題が生じうる。ここでは、このような課題を解決する方法を開示する。RAT変更後のNRのPDCPで処理したデータよりも、RAT変更前のLTEのPDCPで処理した未達データを優先して処理するとよい。
【0649】
RAT変更を通知されたUE2は、LTEの未達データをLTEのPDCPで処理してRAT選択/RAT変更プロトコルに送り終わるまで、NRのPDCPで処理したデータを記憶装置に保持しておいてもよい。UE2は、LTEの未達データをLTEのPDCPで処理してRAT選択/RAT変更プロトコルに送り終わった後に、NRのPDCPで処理したデータをRAT選択/RAT変更プロトコルに送るとよい。UE2は、RAT選択/RAT変更プロトコルに入力されたSLデータを、V2Xレイヤに送る。このようにすることで、LTEで未達となったデータをNRで送信することが可能となる。
【0650】
このようにすることで、RATの変更を可能とする。また、未達データの転送処理を設けることで、RATの変更が行われた場合でも、SLデータの損失を無くすことが可能となる。前述の図の例ではLTEからNRへのRAT変更について開示したが、NRからLTEへのRAT変更についても同様にするとよい。同様の効果を得ることが可能となる。
【0651】
UE1のLTEのPDCPは、SLデータの送達が確認できない(未達)SLデータのSN以降のPDCP SDUを、記憶装置に保存しておいてもよい。未達データをPDCP SDUの状態で転送してもよい。UE1のNRのPDCPは、転送された未達データの処理が終了するまで、NRで発生したデータを記憶装置に保持してもよい。UE1のNRのPDCPは、転送された未達データの処理終了後、NRで発生したデータを処理するとよい。
【0652】
未達データがPDCP SDUの状態で転送される場合、UE1のNRを通して送信された未達のSLデータを受信したUE2のNRのPDCPは、未達のSLデータをLTEのPDCPに転送することなく、未達のSLデータに対してNRのPDCPでSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行ってもよい。未達データがPDCP SDUの状態で転送される場合、LTE PDCPでのSN、HFNの付加、秘匿処理、ヘッダ圧縮処理が行われずにNRのPDCPに入力され、NRのPDCPで、SN、HFNの付加、秘匿処理、ヘッダ圧縮処理が行われるためである。UE2での未達データの受信処理を簡略化可能となる。
【0653】
UE2は、NRのPDCPで処理を行った未達のSLデータを、RAT選択/RAT変更プロトコルに入力し、RAT選択/RAT変更プロトコルからV2Xレイヤに送る。
【0654】
前述のように、変更前RATでの未達データの最後にエンドマーカを付加してもよい。UE1のLTE PDCPは、未達データの最後にエンドマーカを付加して、NR PDCPに転送する。UE1は、NRのPDCPがエンドマーカを受信するまで、LTEのPDCPから転送されたデータの処理を優先して行い、エンドマーカを受信した後に、NRで発生したデータの処理を行うとしてもよい。
【0655】
あるいは、UE2は、NRのPDCPがエンドマーカを受信するまで、LTEのPDCPから転送されたデータ処理を優先して行い、エンドマーカを受信した後に、NRで発生したデータの処理を行うとしてもよい。これらの処理は前述の方法を適用するとよい。エンドマーカを設けることで、転送処理が必要なデータの終端を明確にすることが可能となる。UE1あるいはUE2での処理タイミングずれなどによる誤動作を低減することができる。
【0656】
他の方法を開示する。上位レイヤがSLデータにシーケンス番号(SN)を付加してもよい。たとえば、アプリケーションレイヤがSLデータにSNを付加してもよい。あるいは、V2XレイヤがSLデータにSNを付加してもよい。UE_txは、上位レイヤにおいてSLデータにSNを付加し、SNが付加されたSLデータを送信する。UE_rxは、受信したSLデータを、上位レイヤにおいて該SNでリオーダリングを行う。このようにすることで、たとえ、複数のRATでSLデータが送受信されるような場合も、上位レイヤで付加されたSNによって、上位レイヤにおいてSLデータの順番を復元することが可能となる。
【0657】
上位レイヤは、未達データに関する情報を、未達データ転送指示に含めて、変更前RATのPDCPに通知してもよい。未達データに関する情報は、最も古い未達データの情報であってもよいし、未達データを示すビッドマップであってもよい。変更前RATのPDCPは、上位レイヤから通知された未達データに関する情報を用いて、未達データを、変更後RATのPDCPに転送するとよい。
【0658】
SLデータにSNを付加する機能を、上位レイヤではなく、ASレイヤでPDCPより上位に設けてもよい。たとえば、RAT選択/RAT変更プロトコルに、SLデータにSNを付加する機能を設けてもよい。このようにすることで、たとえ、複数のRATでSLデータが送受信されるような場合も、ASレイヤで付加されたSNによって、ASレイヤにおいてSLデータの順番を復元することが可能となる。
【0659】
このようにすることで、RAT変更時に未達データが発生するような場合も、UE_rxにおいてSLデータの順番を復元することが可能となる。また、たとえば、変更前RATや変更後RATでの通信品質により各RATでの再送時間に差が出るような場合にも、前述のような方法を適用することで、UE_rxにおいてSLデータの順番を復元することが可能となる。
【0660】
本実施の形態7で開示したような方法とすることで、一つのV2Xサービスに対して、複数のRATを用いたSL通信を可能とする。また、複数のRATを用いたSL通信において、RATの変更が可能となる。たとえば、一つのRATの通信品質が劣化したような場合、SL通信に用いるRATを、通信品質が良好な他のRATに変更することが可能となる。このため、SL通信の通信品質を改善可能となる。また、SL通信に要求されるQoSを満たすことができる。
【0661】
実施の形態7の変形例1.
RATが変更される場合、各々のRATで付加されたSNだけではSLデータの順番を復元できない問題が生じることを前述した。このような課題を解決する方法として、実施の形態7では、たとえば、RAT変更後のNRのPDCPで処理したデータよりも、RAT変更前のLTEのPDCPで処理した未達データを優先して処理する方法や、上位レイヤあるいはRAT選択/RAT変更プロトコルにおいて、SLデータにSNを付加し、該SNによりリオーダリングする方法を開示した。しかしこのような方法では、優先処理による遅延時間の増大、上位レイヤやRAT選択/RAT変更プロトコルの機能の増大、UEの構成の複雑化や消費電力増大等の問題が生じる。本変形例1ではこのような課題を解決する方法を開示する。
【0662】
各RATのPDCPは、2つのRAT共通の一連のSNを付与する。2つのRATはLTEとNRであってもよい。2つのRAT共通のPDCP(共通PDCP)を設けてもよい。共通PDCPが2つのRAT共通の一連のSNを付与する。各RATのPDCPは、2つのRAT共通の一連のHFNを付与する。2つのRATはLTEとNRであってもよい。共通PDCPが2つのRAT共通の一連のHFNを付与してもよい。
【0663】
各RATのPDCPは、2つのRAT共通の秘匿処理を実行してもよい。共通PDCPが2つのRAT共通の秘匿処理を実行してもよい。秘匿処理として、たとえば、暗号キーの設定などがある。各RATのPDCPは、2つのRAT共通のROHCを設定してもよい。共通PDCPが2つのRAT共通のROHCを設定してもよい。
【0664】
RAT選択および/あるいはRAT変更を共通PDCPの機能としてもよい。2つのPDCPを設け、PDCP機能を各PDCPに分割してもよい。たとえば、PDCPをPDCP-1とPDCP-2に分割し、PDCP-1にRAT共通機能を設け、PDCP-2にRAT個別機能を設けてもよい。RAT共通機能は、例えば、SN付与、SN管理、HFN付与、HFN管理、秘匿処理、ROHC処理であってもよい。
【0665】
図50は、RAT共通機能を有する共通PDCPを設けた場合のプロトコル構成を示す図である。LTEとNRとに共通のPDCP機能として、共通PDCPを設けている。また、RAT選択および/あるいはRAT変更機能を、共通PDCPに含めている。
【0666】
送信側の処理を開示する。上位レイヤでRAT情報が付加されたSLデータが、共通PDCPに送られる。共通PDCPは、LTEとNRとで共通の一連のSN、HFNを付与し、共通の秘匿処理を行い、共通のROHC処理を行う。SLデータは、共通PDCPのRAT選択/RAT変更機能で、RAT情報を用いて、SL通信を行うRATのRLCに送られる。たとえば、SLデータのRAT情報がLTEの場合、SLデータはLTEのRLCに送られ、LTEのMAC、PHYを介してSL通信が行われる。SLデータのRAT情報がNRの場合、SLデータはNRのRLCに送られ、NRのMAC、PHYを介してSL通信が行われる。
【0667】
受信側の処理を開示する。LTEで受信したSLデータは、LTEのPHY、MAC、RLCを介して、共通PDCPに入力される。また、NRで受信したSLデータは、NRのPHY、MAC、RLCを介して、共通PDCPに入力される。共通PDCPは、LTE、NRで共通に一連に付与されたSN、HFNを用いて、秘匿処理、リオーダリングを行う。SN、HFNがLTEとNRとで一連に付与されているので、SLデータが送信されるRATに関係なく、共通PDCPに入力されたSLデータの順でリオーダリングを実行可能となる。
【0668】
共通PDCPでリオーダリングされたSLデータは、V2Xレイヤに入力され、V2Xレイヤを介してアプリケーションレイヤに入力される。
【0669】
このようにPDCPの一部または全部の機能を2つのRATで共通機能とすることで、たとえば、RATを変更する場合などにおいて、UEの構成の複雑化や消費電力増大等を低減させることが可能となる。
【0670】
図51は、実施の形態7の変形例1についてRAT変更シーケンスの一例を示す図である。
図51において、
図49と共通するステップについては同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
図51は、SL通信を行うUE1(UE_tx)とUE2(UE_rx)が、RATをLTEからNRに変更する例を示している。
図51において、破線は制御シグナリングを示し、実線はデータを示す。
図51は、各UEのRRC、共通PDCP、LTEでのプロトコル、NRでのプロトコルの処理を示している。共通PDCPは、RAT選択/RAT変更機能を有している。なお、
図49では、RAT選択/RAT変更を、RAT選択/変更と略記している。
【0671】
LTEでSL送信を行うUE1において、上位レイヤから共通PDCPにSLデータが送られる。UE1の共通PDCPは、SLデータに対し、LTEとNRとで共通の一連のSN、HFNを付与し、共通の秘匿処理を行い、共通のROHC処理を行う。共通PDCPのRAT選択/RAT変更機能で、SLデータに付加されたRAT情報を用いて、SL通信を行うRATが特定される。ステップST5901で、共通PDCPは、特定したRATのRLCに、SLデータを送る。ここでは、特定したRATをLTEとする。
【0672】
LTEのRLCに送られたSLデータは、ステップST5902で、LTEのRLC、MAC、PHYを通して、UE2に送信される(SL送信)。UE2は、UE1から受信したデータを、LTEのプロトコルを通して、ステップST5903で共通PDCPに送る。共通PDCPは、LTEとNRとで共通に、一連に付与されたSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行う。UE2は、共通PDCPで処理したSLデータを、V2Xレイヤに送る。
【0673】
UE1は、RAT選択/RAT変更プロトコルで、RATを変更する。ステップST5704で、UE1のRRCは、UE2に対してRAT変更通知を送信する。UE1は、ステップST5707でLTEでのSL送信処理を停止し、ステップST5708でNRでのSL送信処理を開始する。共通PDCPはLTEとNRで共通なので、LTEでのSL送信処理の停止からNRでのSL送信処理の開始までの間も処理を継続してもよい。処理を停止しなくてよい。UE2は、ステップST5705でLTEでのSL受信処理を停止し、ステップST5706でNRでのSL受信処理を開始する。共通PDCPはLTEとNRで共通なので、LTEでのSL受信処理の停止からNRでのSL受信処理の開始までの間も処理を継続してもよい。処理を停止しなくてよい。
【0674】
LTEからNRへのRAT変更を行ったUE1は、上位レイヤから共通PDCPに送られたSLデータに、共通PDCPで、LTEとNRとで共通の一連のSN、HFNを付与し、共通の秘匿処理を行い、共通のROHC処理を行う。すなわち、LTEからNRへのRAT変更が行われたとしても、処理を変更せずに継続する。
【0675】
共通PDCPのRAT選択/RAT変更機能で、SLデータに付加されたRAT情報を用いて、SL通信を行うRATが特定される。ステップST5904で、共通PDCPは、特定したRATのRLCに、SLデータを送る。ここでは、特定したRATをNRとする。
【0676】
NRのRLCに送られたSLデータは、ステップST5905で、NRのRLC、MAC、PHYを通して、UE2に送信される(SL送信)。UE2は、UE1から受信したデータを、NRのプロトコルを通して、ステップST5906で共通PDCPに送る。共通PDCPは、LTEとNRとで共通に、一連に付与されたSN、HFNにより、秘匿解除、リオーダリング処理を行う。すなわち、LTEからNRへのRAT変更が行われたとしても、処理を変更せずに継続する。UE2は、共通PDCPで処理したSLデータを、V2Xレイヤに送る。
【0677】
本変形例1で開示したような方法とすることで、2つのRATに対するデータに対して一連のSN、HFNを付与することが可能となる。RAT変更によりSNやHFNの体系が変更されない。このため、共通PDCPでSLデータのパケット並べ替え処理が可能となる。UE_txが、RAT選択/RAT変更機能や上位レイヤで別途SNを付与し、UE_rxが該SNを用いてリオーダリングを行う等の処理を削減できる。たとえば、RATを変更する場合などにおいて、遅延時間の削減や、UEの構成の複雑化や消費電力増大等を低減させることが可能となる。また、RAT変更時もSLデータの通信を低遅延で実施可能となる。
【0678】
実施の形態7、実施の形態7の変形例1において、UEにおいて、RAT毎にSL用のRRCを設けてもよい。この場合、変更前RATにおけるRRCシグナリングは、RAT変更前のRRCで実施される。たとえば、変更前RATがLTEの場合、LTEのRRCでRAT変更通知のシグナリングが実施される。変更後のRATにおけるRRCシグナリングは、RAT変更後のRRCで実施される。たとえば、変更後RATがNRの場合、NRのRRCでRRCシグナリングが実施される。
【0679】
UEにおいて、RAT共通のSL用のRRCを設けてもよい。この場合、変更前RATにおけるRRCシグナリングや、変更後RATにおけるRRCシグナリングは、RAT共通のRRCで実施される。UE_txからUE_rxに対して、RAT共通のRRCシグナリングが実施される。RAT毎に異なる設定、シグナリングが不要となるので、RRCでの処理を簡易にすることが可能となる。また、たとえば、RAT変更通知のシグナリングも、RAT共通のRRCシグナリングで実施するとよい。RAT変更によってRRCシグナリングに用いるRATを変更する必要が無くなる。UE間のSL通信処理を簡易にすることが可能となる。
【0680】
共通PDCPを設けるような場合、RAT毎のRRCデータを共通PDCPに送ってもよい。あるいは、RAT共通のRRCデータを共通PDCPに送ってもよい。RRCデータを共通PDCPで処理するようにしてもよい。共通PDCPを用いることで、RRCシグナリングのデータ処理を簡略化可能となる。
【0681】
RAT間でRLC機能を共通としてもよい。共通のRLC機能を有するRLCを設けてもよい。以降、共通のRLC機能を有するRLCを、共通RLCと称する場合がある。
図52は、共通RLCを設けた場合のプロトコル構成を示す図である。LTEとNRとで共通の共通RLCを設けている。共通RLCと、LTEのMAC、NRのMACとを接続する。RAT選択および/あるいはRAT変更機能を、共通RLCに含めてもよい。
【0682】
RLCの一部または全部の機能を、共通RLCとしてもよい。このようにすることで、たとえば、RATを変更する場合などにおいて、UEの構成の複雑化や消費電力増大等を低減させることが可能となる。
【0683】
実施の形態7の変形例2.
LTEでは、SL通信においてパケット複製(packet duplication)がサポートされている(非特許文献1(TS36.300))。パケット複製はPDCPレイヤで行われる。PDCPでのパケット複製を、PDCP複製(PDCP duplication)と称する場合がある。3GPPでは、NRでのSL通信でもPDCP複製が検討されている。また、LTEとNRとを用いたRAT間のPDCP複製も検討されている(非特許文献35(R2-1817107))。
【0684】
実施の形態7で示したように、SL通信におけるUEのプロトコルスタックは、RAT毎にPDCP、RLC、MAC、PHYが設けられる。このため、例えばRATとしてLTEとNRとを用いる場合、LTEとNRとのうちのどちらのRATのPDCPで、PDCP複製を実施するのかが問題となる。しかし、前述の非特許文献35は、複数のRATのうちのどのRATのPDCPを使用するかについて、全く開示していない。本変形例2ではこのような問題を解決する方法を開示する。
【0685】
LTEのPDCPを用いてRAT間のPDCP複製を実施する。LTEのPDCPは、LTEのRLCとNRのRLCとに接続される。RAT間のPDCP複製機能として、送信側では、データを複製し、LTEで送信するデータとNRで送信するデータを作成する。PDCPで複製されたデータは各々、LTEのRLCとNRのRLCとに送られる。受信側では、LTEのRLCとNRのRLCから送られたデータについて重複を検出し、重複している場合は一方のデータを破棄する。
【0686】
図53は、LTEとNR運用時にLTEのPDCPでPDCP複製を実施するプロトコル構成を示す図である。2つのRAT(LTEとNR)を用いたプロトコル構成として、実施の形態7で開示した、V2XレイヤがRATの選択を行う場合のプロトコル構成を用いている。アプリケーションレイヤ、V2Xレイヤが構成され、V2Xレイヤの下位に、LTEのPDCP、RLC、MAC、PHY、および、NRのPDCP、RLC、MAC、PHYが構成される。LTEのPDCPにパケット複製機能が設けられる。LTEのPDCPは、LTEのRLCとNRのRLCとに接続される。
【0687】
送信側では、V2XレイヤがRAT情報によりRATの選択を行い、データは、選択したRATのPDCPに入力される。LTEのPDCPに入力されたデータは、LTEのPDCPで複製される。PDCP PDUの複製を行うとよい。複製されたデータは同じSN、HFNを有する。LTEのPDCPで複製されたデータは各々、LTEのRLCとNRのRLCとに送られる。
【0688】
LTEのRLCに入力されたデータは、LTEのMAC、PHYを通して送信される(SL送信)。NRのRLCに入力されたデータは、NRのMAC、PHYを通して送信される(SL送信)。
【0689】
受信側では、LTEのPHY、MAC、RLCを通して受信したPDCP複製されたデータは、LTEのPDCPに送られる。また、NRのPHY、MAC、RLCを通して受信したPDCP複製されたデータは、LTEのPDCPに送られる。LTEのPDCPは、LTEのRLCとNRのRLCから送られたPDCP複製されたデータについて重複を検出し、重複している場合は一方のデータを破棄する。PDCPは複製されたデータをV2Xレイヤに入力し、V2Xレイヤは該データをアプリケーションレイヤに入力する。
【0690】
受信側で、NRのRLCは、LTEのPDCPに、PDCP複製されたデータを送らなければならない。何も工夫をしないと、NRのRLCはNRのPDCPにPDCP複製されたデータを送ることになってしまう。このような問題を解決する方法を開示する。
【0691】
RAT間のPDCP複製機能として、送信側では、PDCP複製を行うPDCPが、PDCP複製データか否かを示す情報を、複製されたデータに付加する。RLCは、PDCP複製されたデータか否かを示す情報を用いて、データがPDCP複製されたものか否かを判断する。RLCは、データがPDCP複製されたものであると判断した場合、データに、PDCP複製されたデータか否かを示す情報を付加する。RLCは、データから、PDCPで付加されたPDCP複製されたデータか否かを示す情報を、除去してもよい。
【0692】
受信側では、RLCは、送信側RLCで付加された、PDCP複製されたデータか否かを示す情報を用いて、データがPDCP複製されたものか否かを判断する。RLCは、データはPDCP複製されたものであると判断した場合、PDCP複製を行ったRATのPDCPにデータを送る。RLCは、付加されている、PDCP複製されたデータか否かを示す情報を除去して、データをPDCPに送ってもよい。
【0693】
PDCP、RLCにこのような機能を設けることで、NRのRLCはLTEのPDCPに、PDCP複製されたデータを送ることが可能になる。
【0694】
NRのRLCが、LTEのPDCPに、PDCP複製されたデータを送ることを可能とする他の方法を開示する。Uuインタフェースでサポートされている、RAT間(LTEとNR)のDC(Dual Connectivity)、および、DCを用いたパケット複製の方法を適用するとよい(非特許文献1(TS36.300)、非特許文献16(TS38.300))。SL通信において、RAT間のPDCP複製を実施する場合は、SL通信においてRAT間でDCを構成するとよい。
【0695】
NRのPDCPを用いてRAT間のPDCP複製を実施してもよい。NRのPDCPは、NRのRLCとLTEのRLCとに接続される。RAT間のPDCP複製機能として、送信側では、データを複製し、NRで送信するデータとLTEで送信するデータを作成する。NRのPDCPで複製されたデータは各々、NRのRLCとLTEのRLCとに送られる。受信側では、NRのRLCとLTEのRLCから送られたデータについて重複を検出し、重複している場合は一方のデータを破棄する。
【0696】
図54は、LTEとNR運用時にNRのPDCPでPDCP複製を実施するプロトコル構成を示す図である。2つのRAT(LTEとNR)を用いたプロトコル構成として、実施の形態7で開示した、V2XレイヤがRATの選択を行う場合のプロトコル構成を用いている。アプリケーションレイヤ、V2Xレイヤが構成され、V2Xレイヤの下位に、LTEのPDCP、RLC、MAC、PHY、および、NRのPDCP、RLC、MAC、PHYが構成される。NRのPDCPにパケット複製機能が設けられる。NRのPDCPは、NRのRLCとLTEのRLCとに接続される。
【0697】
送信側では、V2XレイヤがRAT情報によりRATの選択を行い、データは、選択したRATのPDCPに入力される。NRのPDCPに入力されたデータは、NRのPDCPで複製される。PDCP PDUの複製を行うとよい。複製されたデータは同じSN、HFNを有する。NRのPDCPで複製されたデータは各々、NRのRLCとLTEのRLCとに送られる。
【0698】
NRのRLCに入力されたデータは、NRのMAC、PHYを通して送信される(SL送信)。LTEのRLCに入力されたデータは、LTEのMAC、PHYを通して送信される(SL送信)。
【0699】
受信側では、NRのPHY、MAC、RLCを通して受信したPDCP複製されたデータは、NRのPDCPに送られる。また、LTEのPHY、MAC、RLCを通して受信したPDCP複製されたデータは、NRのPDCPに送られる。NRのPDCPは、NRのRLCとLTEのRLCから送られたPDCP複製されたデータについて重複を検出し、重複している場合は一方のデータを破棄する。PDCPは複製されたデータをV2Xレイヤに入力し、V2Xレイヤは該データをアプリケーションレイヤに入力する。
【0700】
受信側で、LTEのRLCがNRのPDCPにPDCP複製されたデータを送るための方法は、前述の、NRのRLCがLTEのPDCPにPDCP複製されたデータを送るための方法を適宜適用するとよい。同様の効果を得ることができる。
【0701】
図53、
図54で示したSL通信のプロトコル構成においては、RAT間のPDCP複製機能を有するPDCPを、各々、LTEのPDCPのみ、NRのPDCPのみ、としたが、この例に限られない。例えば、LTEとNRの両方のPDCPにRAT間のPDCP複製機能を設けてもよい。PDCP複製機能を有するLTEのPDCPが、LTEのRLCとNRのRLCに接続され、PDCP複製機能を有するNRのPDCPが、LTEのRLCとNRのRLCに接続される。このようにすることで、LTEで送信されるSLデータに対しても、NRで送信されるデータに対しても、PDCP複製を実施することが可能となる。
【0702】
図53、
図54で示した例は、RAT選択をV2Xレイヤで実施したが、この例に限られない。RAT選択をASレイヤで実施する場合のプロトコル構成に、前述の方法を適用してもよい。同様の効果を得ることができる。RAT選択をASレイヤで実施する場合のプロトコル構成として、実施の形態7で開示したプロトコル構成がある。
【0703】
RAT間のPDCP複製機能を、実施の形態7の変形例1で開示した共通PDCPの機能としてもよい。共通PDCPでRAT間のPDCP複製を実施してもよい。共通PDCPは、NRのRLCとLTEのRLCとに接続される。RAT間のPDCP複製機能として、送信側では、データを複製し、NRで送信するデータとLTEで送信するデータを作成する。共通PDCPで複製されたデータは各々、NRのRLCとLTEのRLCとに送られる。共通PDCPでRAT間のPDCP複製を実施する場合、RAT選択/RAT変更機能をオフしてもよい。受信側では、NRのRLCとLTEのRLCから送られたデータについて、共通PDCPで重複を検出し、重複している場合は一方のデータを破棄する。
【0704】
図55は、LTEとNR運用時に共通PDCPでPDCP複製を実施するプロトコル構成を示す図である。実施の形態7の変形例1で開示した共通PDCPを設けたプロトコル構成を用いている。V2Xレイヤの下位に共通PDCPが設けられる。共通PDCPはNRのRLCとLTEのRLCとに接続される。共通PDCPにパケット複製機能が設けられる。
【0705】
RAT情報の一つとして、パケット複製に関する情報を設けてもよい。RAT間のパケット複製であることを示すRAT情報を設けてもよい。データに、パケット複製であることを示すRAT情報が付加されている場合、共通PDCPは、PDCP複製を実施するとしてもよい。あるいは、ASレイヤが、RAT間パケット複製を実施するか否かを判断してもよい。たとえば、RRCが、RAT間パケット複製を実施するか否か判断してもよい。パケット複製を実施すると判断された場合、共通PDCPがPDCP複製を実施するとしてもよい。
【0706】
送信側では、SLデータがV2Xレイヤから共通PDCPに入力される。共通PDCPに入力されたデータは複製される。PDCP PDUの複製を行うとよい。共通PDCPで複製されたデータは同じSN、HFNを有する。共通PDCPで複製されたデータは各々、LTEのRLCとNRのRLCとに送られる。
【0707】
LTEのRLCに入力されたデータは、LTEのMAC、PHYを通して送信される(SL送信)。NRのRLCに入力されたデータは、NRのMAC、PHYを通して送信される(SL送信)。
【0708】
受信側では、LTEのPHY、MAC、RLCを通して受信したPDCP複製されたデータは、共通PDCPに送られる。また、NRのPHY、MAC、RLCを通して受信したPDCP複製されたデータは、共通PDCPに送られる。共通PDCPは、NRのRLCとLTEのRLCから送られたPDCP複製されたデータについて重複を検出し、重複している場合は一方のデータを破棄する。共通PDCPは複製されたデータをV2Xレイヤに入力し、V2Xレイヤは該データをアプリケーションレイヤに入力する。
【0709】
このように、RAT間PDCP複製機能を共通PDCPに設けることで、RAT間PDCP複製を実施する際に、受信側で、各RATのRLCは、SLデータがPDCP複製されたデータか否かにかかわらず、データを共通PDCPに送ることができる。SLデーがPDCP複製されたデータか否かを判断するための機能を削減することが可能となる。このため、UEにおけるPDCP複製のための構成を簡略化でき、消費電力の増大を低減させることが可能となる。
【0710】
SL通信におけるDCの設定、DCを用いたPDCP複製の設定のためのシグナリングについて開示する。SLのRRCシグナリングを用いて、DCの設定、DCを用いたPDCP複製の設定を行う。送信側のUEであるUE_txは、受信側のUEであるUE_rxに対して、SLのRRCシグナリングを用いて、DC設定を通知するとよい。UE_txはUE_rxに対して、SLのRRCシグナリングを用いて、DCを用いたPDCP複製の設定を通知するとよい。このようにすることで、LTEのPDCPを用いたRAT間のPDCP複製が実施可能となる。
【0711】
UEにおいて、RAT毎にSL用のRRCを設けてもよい。この場合、SL通信におけるDCの設定、DCを用いたPDCP複製の設定は、RAT毎のRRCによって行われる。たとえば、LTEでDCが設定され、LTEでDCを用いてPDCP複製が設定される場合は、LTEのRRCによって設定が行われる。NRでDCが設定され、NRでDCを用いてPDCP複製が設定される場合は、NRのRRCによって設定が行われる。また、前述の設定は、RAT毎のRRCシグナリングで、UE_txからUE_rxに通知される。
【0712】
UEにおいて、RAT共通のSL用のRRCを設けてもよい。この場合、SL通信におけるDCの設定、DCを用いたPDCP複製の設定は、RAT共通のRRCによって行われる。また、前述の設定は、RAT共通のRRCシグナリングで、UE_txからUE_rxに通知される。RAT毎に異なる設定、シグナリングが不要になるので、RRCでの処理を簡易にすることが可能となる。また、たとえば、共通PDCPでPDCP複製を実施するような場合に適用するとよい。RAT毎に個別に共通PDCPの設定が不要になる。
【0713】
SL用のRRCのデータの一部または全部を、DCを用いて通信してもよい。また、SL用のRRCのデータの一部または全部を、DCを用いたPDCP複製によって複製してもよい。このようにすることで、RRCデータに対しても信頼性を向上させることが可能となる。
【0714】
本変形例2で開示したような方法とすることで、LTEとNRなど、複数のRAT間のPDCP複製を実施可能とすることができる。高信頼性を有するSL通信を可能とし、サービスの要求するQoSに応じたSL通信を可能とする。
【0715】
前述の各実施の形態およびその変形例は、例示に過ぎず、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
【0716】
例えば、前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレームは、第5世代基地局通信システムにおける通信の時間単位の一例である。スケジューリング単位であってもよい。前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレーム単位として記載している処理を、TTI単位、スロット単位、サブスロット単位、ミニスロット単位として行ってもよい。
【0717】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、限定的なものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0718】
200 通信システム、202 通信端末装置、203 基地局装置。