(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】2つのズーム状態を有する少なくとも1つのカメラを備えるマルチアパーチャカメラ
(51)【国際特許分類】
G03B 19/07 20210101AFI20241011BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20241011BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20241011BHJP
G02B 15/16 20060101ALI20241011BHJP
G02B 15/20 20060101ALI20241011BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20241011BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241011BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241011BHJP
【FI】
G03B19/07
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G02B15/16
G02B15/20
H04N23/50
H04N23/55
H04N23/57
(21)【出願番号】P 2021538717
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2020051405
(87)【国際公開番号】W WO2020174325
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-06-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515347201
【氏名又は名称】コアフォトニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シャブタイ,ガル
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンバーグ,エプライム
(72)【発明者】
【氏名】ブロンスタイン,エミル
(72)【発明者】
【氏名】イェディッド,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】ラドニック,ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ドロアー,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】バチャール,ギル
(72)【発明者】
【氏名】コワル,イフタハ
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】齋藤 卓司
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-101213(JP,A)
【文献】特開2004-334185(JP,A)
【文献】特開平11-223771(JP,A)
【文献】特開2008-102427(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167581(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/130898(WO,A1)
【文献】特開平11-95105(JP,A)
【文献】特開2013-3574(JP,A)
【文献】特開2007-164065(JP,A)
【文献】特開平7-325246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G02B 9/00-17/08
IPC G02B 21/02-21/04
IPC G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)レンズ光軸に沿ってあるレンズ素子群G1と、レンズ素子群G2と、レンズ素子群G3とを備えるレンズと、
b)イメージセンサと、
c)光路屈曲素子(OPFE)と、
d)前記レンズ光軸に平行な方向に、前記イメージセンサに対してG1およびG3を一緒に移動させ、前記レンズを2つのズーム状態にするためのアクチュエータと、
を備える屈曲式カメラであって、
G1およびG3は、互いに固定されて取り付けられており、G2は、G2の変位を制限するための2つのレンズストップの間で浮動するものであり、G1およびG3を一緒に移動させることで、あるズーム状態では、G2がG1に接着することができるようにし、別のズーム状態では、G2がG3に接着することができるようにし、前記2つのレンズストップ間の前記G2の移動のストロークは、前記G1およびG3のストロークの半分よりも小さい、屈曲式カメラ。
【請求項2】
G1とG3との間の固定された取り付けは、G1とG3とを接続する複数の棒によって可能にされており、G2は、前記複数の棒によって案内され、前記複数の棒に対して、前記レンズ光軸に平行な方向に沿って移動することができる、請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記G1およびG3の一緒の移動は、2mmよりも大きく20mmよりも小さいストロークにわたるものである、請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
前記レンズは、有効焦点距離EFLを有し、EFLは、前記あるズーム状態に
おいて最小値EFL
min
をとり、前記別のズーム状態に
おいて最大値EFL
max
をとるものであり、比率EFL
max/EFL
minは1.5よりも大きい、請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
前記アクチュエータは、複数のSMAスプリングおよび複数の機械的スプリングを有する形状記憶合金(SMA)アクチュエータを含む、請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
前記複数のSMAスプリングは、4つのスプリングを含み、前記複数の機械的スプリングは、2つのスプリングを含む、請求項5に記載のカメラ。
【請求項7】
前記レンズの焦点を合わせるためのボイスコイルモーター(VCM)機構をさらに備える、請求項5に記載のカメラ。
【請求項8】
前記レンズの前記焦点合わせは、G1、G2およびG3を一緒に移動させることによって実行される、請求項7に記載のカメラ。
【請求項9】
a)レンズ光軸に沿ってあるレンズ素子群G1と、レンズ素子群G2と、レンズ素子群G3とを備えるレンズと、
b)イメージセンサと、
c)光路屈曲素子(OPFE)と、
d)前記レンズ光軸に平行な方向に、前記イメージセンサに対してG1およびG3を一緒に移動させ、前記レンズを2つのズーム状態にするためのアクチュエータと、
を備える屈曲式カメラであって、
G1およびG3は、互いに固定されて取り付けられており、G2は、G2の変位を制限するための2つのレンズストップの間で浮動するものであり、G1およびG3を一緒に移動させることで、あるズーム状態では、G2がG1に接着することができるようにし、別のズーム状態では、G2がG3に接着することができるようにし、
前記アクチュエータは、複数のSMAスプリングおよび複数の機械的スプリングを有する形状記憶合金(SMA)アクチュエータを含み、
前記レンズの焦点を合わせるためのボイスコイルモーター(VCM)機構をさらに備え、
前記レンズの前記焦点合わせは、G1、G2およびG3を一緒に移動させることによって実行され、
前記レンズは、前記2つのレンズストップを有するG2レンズストップ機構
を備えるレンズおよびセンサのモジュールに含まれており、
前記2つのレンズストップのうちの一方は、G1、G2およびG3がマクロ撮影のために2mm以上の大きさのストロークにわたって移動できるようにするために、除去可能となっている、屈曲式カメラ。
【請求項10】
前記アクチュエータは、複数の磁石のそれぞれに、および/または複数の磁石の偏極に結合された少なくとも3つのコイルを備える、請求項1に記載のカメラ。
【請求項11】
前記複数の磁石に対する前記少なくとも3つのコイルの位置は、位置感知のための少なくとも1つのホールバーセンサによって測定される、請求項10に記載のカメラ。
【請求項12】
前記少なくとも3つのコイルは、前記複数の磁石に対する移動を提供するそれぞれの駆動電流によって駆動され、前記複数の駆動電流は、前記複数の磁石に対する前記複数のコイルの位置に依存する、請求項11に記載のカメラ。
【請求項13】
a)レンズ光軸に沿ってあるレンズ素子群G1と、レンズ素子群G2と、レンズ素子群G3とを備えるレンズと、
b)イメージセンサと、
c)光路屈曲素子(OPFE)と、
d)前記レンズ光軸に平行な方向に、G1、G2およびG3を一緒に移動させることによって、前記レンズの焦点を合わせるための、ならびに、前記レンズ光軸に平行な方向に、ズームのために前記イメージセンサに対してG1およびG3を一緒に移動させ、前記レンズを2つのズーム状態にするためのボイスコイルモーター(VCM)機構と、
を備える屈曲式カメラであって、
G1およびG3は、互いに固定されて取り付けられており、G2は、G2の変位を制限するための2つのレンズストップの間で浮動するものであり、G1およびG3を一緒に移動させることで、あるズーム状態では、G2がG1に接着することができるようにし、別のズーム状態では、G2がG3に接着することができるようにし、前記2つのレンズストップ間の前記G2の移動のストロークは、前記G1およびG3のストロークの半分よりも小さい、屈曲式カメラ。
【請求項14】
a)レンズ光軸に沿ってあるレンズ素子群G1と、レンズ素子群G2と、レンズ素子群G3とを備えるレンズと、
b)イメージセンサと、
c)光路屈曲素子(OPFE)と、
d)前記レンズ光軸に平行な方向に、G1、G2およびG3を一緒に移動させることによって、前記レンズの焦点を合わせるための、ならびに、前記レンズ光軸に平行な方向に、ズームのために前記イメージセンサに対してG1およびG3を一緒に移動させ、前記レンズを2つのズーム状態にするためのボイスコイルモーター(VCM)機構と、
を備える屈曲式カメラであって、
G1およびG3は、互いに固定されて取り付けられており、G2は、G2の変位を制限するための2つのレンズストップの間で浮動するものであり、G1およびG3を一緒に移動させることで、あるズーム状態では、G2がG1に接着することができるようにし、別のズーム状態では、G2がG3に接着することができるようにし、
前記2つのレンズストップのうちの一方は、G1、G2およびG3がマクロ撮影のために2mm以上の大きさのストロークにわたって移動できるようにするために、除去可能となっている、屈曲式カメラ。
【請求項15】
前記VCM機構は、複数の磁石のそれぞれに、および/または複数の磁石の偏極に結合された、少なくとも3つのコイルを備える、請求項13に記載のカメラ。
【請求項16】
前記複数の磁石に対する前記少なくとも3つのコイルの位置は、位置感知のための少なくとも2つのホールバーセンサによって測定される、請求項15に記載のカメラ。
【請求項17】
前記少なくとも3つのコイルは、前記複数のコイルに対する前記複数の磁石の移動を提供するそれぞれの駆動電流によって駆動され、前記複数の駆動電流は、前記複数の磁石に対する前記複数のコイルの位置に依存する、請求項16に記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は2019年2月25日に出願された米国仮特許出願第62/809,871号からの優先権を主張し、その米国仮特許出願は、その全体が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、概して、デジタルカメラに関し、より詳細には、屈曲式ズームレンズを備えたデュアルアパーチャズームデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0003】
コンパクトなマルチアパーチャ、特にデュアルアパーチャ(「デュアルレンズ」または「デュアルカメラ」とも呼ばれる)デジタルカメラが知られている。小型化技術により、タブレットおよび携帯電話(以下、総称して「スマートフォン」と呼ぶ)などのコンパクトな携帯型電子デバイスに、ズームなどの高度な撮像機能(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、共同所有のPCT特許出願第PCT/IB2015/056004号を参照)を提供するこのようなカメラを組み込むことが可能である。そのようなカメラおよび/または本明細書に開示されるカメラは、厳しい高さ制限を有するカメラであり、通常1cm未満であり、より薄いほど良好である。
【0004】
一方のカメラが広い視野FOV(field of view)を有し(「ワイドカメラ」)、他方のカメラが狭いFOVを有する(「テレカメラ」)デュアルアパーチャズームカメラが知られている。テレカメラは、カメラが設置される装置の厚さに適合するように(好ましくは、装置の筐体から突出することなく)できるだけ小さな寸法を有することが要求される一方、一般的に使用されるイメージセンサとともに動作するのに適している。この問題は、比較的高いズーム効果を得るために長い(「テレ」)有効焦点距離(effective focal length: EFL)を有するテレレンズを使用する場合にさらに重大である。知られているように、レンズに適用される「EFL」という用語は、後方主平面から近軸焦点面までの距離を指す。後方主平面は、無限遠から軸上の基底近傍光線を追跡することによって計算され、基底近傍の像空間の周辺光線の角度を使用して決定される。
【0005】
直立ワイドカメラと屈曲式テレカメラとを備えるデュアルアパーチャズームカメラが、例えば、共同所有の米国特許第9,392,188号に開示されている。ワイドカメラは、ワイドイメージセンサと、ワイドレンズ対称軸を有するワイド固定焦点レンズアセンブリ(または単に「レンズ」)を含むワイドレンズモジュールとを備える「直立」カメラである。屈曲式テレカメラは、テレイメージセンサと、テレレンズ対称軸を有するテレ固定焦点レンズを含むテレレンズモジュールとを備える。デュアルアパーチャズームカメラは、物体または景色から到来する光を、第1の光路に沿って、テレイメージセンサに向かって、第2の光路に屈曲させる反射素子(光路屈曲素子またはOPFE(optical path folding element)とも呼ばれる)をさらに備える。第1の光路と第2の光路は互いに垂直である。ワイドレンズ対称軸は、第1の光路に沿っており(平行であり)、テレレンズ対称軸は、第2の光路に沿っている。反射素子は、ワイドレンズ対称軸およびテレレンズ対称軸の両方に対して実質的に45度で傾斜した反射素子対称軸を有し、物体とテレイメージセンサとの間に屈曲された光路を提供するように作動する。
【0006】
ワイドレンズは広い視野(FOVW)を持ち、テレレンズはFOVWより狭いテレ視野(FOVT)を持つ。例において、テレカメラは、ワイドカメラと比較して、X5ズームエフェクトを提供する。
【0007】
2つ以上の群に分割された複数のレンズ素子を含み、レンズ素子のうち1つまたは複数の(「群」)レンズ素子が別のレンズ素子またはレンズ素子の群に対して移動可能であるレンズアセンブリを有する小型屈曲式カメラも知られている。相対運動に使用されるアクチュエータ(モータ)としては、スクリュー付きステップモータまたは圧電アクチュエータが挙げられる。しかしながら、このようなカメラの一般的な問題は、それらの構造が、3以上のかなり大きなF値(F#)を指示し、F#がズーム係数とともに増加することである。それらのアクチュエータは、低速で雑音が多く(圧電)、またはかさばり(ステッパモータ)、信頼性の問題があり、高価である。また、公知の光学設計では、このようなカメラで得られる2つの極限ズーム状態に対して、所与のF#に対して大きなレンズアセンブリ高さを必要とする。
【0008】
「マクロ撮影(Macro-photography)」モードは、スマートフォンのカメラを差別化するものとしてポピュラーになりつつある。「マクロ撮影」とは、イメージセンサに記録される画像が、撮影された実際の物体とほぼ同じ大きさになるようにして、カメラに対して非常に近くにある物体を撮影することを指す。例えば、「マクロ撮影」は、例えば昆虫のような微小な被写体および生物を撮影することを指してもよく、その撮影での被写体の大きさは、実物大よりも大きくなる。「マクロ撮影」は、「マクロ像(Macro image)」を生じる。
【0009】
マクロFOVを有する専用マクロカメラを搭載することで、マクロ撮影機能を提供する初のスマートフォン機種が、消費者市場に参入した。しかしながら、追加の専用ハードウェアを必要とせずに、多くのスマートフォンに既に存在するタイプのカメラを使用してマクロ撮影機能を提供することは有益であろう。
【発明の概要】
【0010】
例示的な実施形態において、レンズ光軸に沿ってあるレンズ素子群G1と、レンズ素子群G2と、レンズ素子群G3とを備えるレンズと、イメージセンサと、OPFEと、前記レンズ光軸に平行な方向に、前記イメージセンサに対してG1およびG3を一緒に移動させ、前記レンズを2つのズーム状態にするためのアクチュエータと、を備える屈曲式カメラであって、G1およびG3は、互いに固定されて取り付けられており、G2は、2つのストップの間で浮動するものであり、G1およびG3を一緒に移動させることで、あるズーム状態では、G2がG1に接着することができるようにし、別のズーム状態では、G2がG3に接着することができるようにする、屈曲式カメラが提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、G1とG3との間の固定された取り付けは、G1とG3とを接続する複数の棒によって可能とされる。ここで、G2は、前記複数の棒によって案内され、前記複数の棒に対して、前記レンズ軸に平行な方向に沿って移動することができる。前記G1またはG3へのG2の接着は、磁力によるものであってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記G1およびG3の一緒の移動は、2mmよりも大きく20mmよりも小さいストロークにわたるものであり、前記2つのストップ間の前記G2の移動のストロークは、前記G1およびG3のストロークの半分よりも小さい。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記レンズは、有効焦点距離EFLを有し、EFLは、該第1のズーム状態における最小値EFL,minから該第2のズーム状態における最大値EFLmaxに変更され、比率EFLmax/EFL,minは1.5よりも大きい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記アクチュエータは、複数のSMAスプリングおよび複数の機械的スプリングを有する、形状記憶合金(shape memory alloy:SMA)アクチュエータを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記複数のSMAスプリングは、4つのスプリングを含み、前記複数の機械的スプリングは、2つのスプリングを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記カメラは、前記レンズの焦点を合わせるためのボイスコイルモーター(voice coil motor:VCM)機構をさらに備える。いくつかの実施形態では、前記レンズの前記焦点合わせは、G1、G2およびG3を一緒に移動させることによって実行される。いくつかの実施形態では、前記レンズは、第1のG2ストップおよび第2のG2ストップを有するG2ストップ機構をもまた備えるレンズおよびセンサのモジュールに含まれており、前記第1のまたは前記第2のG2ストップのうちの一方は、G1、G2およびG3がマクロ撮影のために2mm以上の大きさのストロークにわたって移動できるようにするために、除去可能となっている。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記アクチュエータは、複数の磁石のそれぞれに、または複数の磁石の偏極に結合された少なくとも3つのコイルを備える。いくつかの実施形態では、前記複数の磁石に対する前記少なくとも3つのコイルの位置は、位置感知のための少なくとも1つのホールバーセンサによって測定される。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも3つのコイルは、前記複数の磁石に対する移動を提供するそれぞれの駆動電流によって駆動され、前記複数の駆動電流は、前記複数の磁石に対する前記複数のコイルの位置に依存する。
【0019】
例示的な実施形態において、レンズ光軸に沿ってあるレンズ素子群G1と、レンズ素子群G2と、レンズ素子群G3とを備えるレンズと、イメージセンサと、OPFEと、前記レンズ光軸に平行な方向にG1、G2およびG3を一緒に移動させることによって、前記レンズの焦点を合わせるための、ならびに、前記レンズ光軸に平行な方向に、ズームのために前記イメージセンサに対してG1およびG3を一緒に移動させ、前記レンズを2つのズーム状態にするためのVCM機構と、を備える屈曲式カメラであって、G1およびG3は、互いに固定されて取り付けられており、G2は、2つのストップの間で浮動し、G1およびG3を一緒に移動させることで、あるズーム状態では、G2がG1に接着することができるようにし、別のズーム状態では、G2がG3に接着することができるようにする、屈曲式カメラが提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、屈曲式カメラはさらに、第1のG2ストップおよび第2のG2ストップを含み、前記第1のまたは前記第2のG2ストップのうちの一方は、G1、G2およびG3がマクロ撮影のために2mm以上の大きさのストロークにわたって移動できるようにするために、除去可能となっている。
【0021】
例示的な実施形態において、広範囲の有効焦点距離EFLWを有するワイドレンズと、ワイドイメージセンサとを備えるワイドカメラと、第1の光軸を有するテレレンズと、テレイメージセンサと、OPFEとを備える屈曲式テレカメラとを備え、前記テレレンズは、物体側から像側までに、第1のレンズ素子群G1と、第2のレンズ素子群G2と、第3のレンズ素子群G3とを含み、前記テレレンズを2つのズーム状態にするために、前記レンズ素子群のうちの少なくとも2つは、前記イメージセンサに対して第1の光軸に沿って移動可能であり、前記テレレンズの有効焦点距離を、一方のズーム状態におけるEFLTminから他方のズーム状態におけるEFLTmaxへ変更させ、EFLTmin>1.5×EFLWであり、EFLTmax>1.5×EFLTminである、デュアルカメラを提供する。前記ワイドレンズは第2の光軸を有し、該第2の光軸は前記第1の光軸に対して垂直になっている。
【0022】
いくつかの実施形態(図示せず)では、上述した前記屈曲式テレカメラは、同じ構造および特性を有する非屈曲式(直立)テレカメラによって、置き換えられてもよい。すなわち、当該非屈曲式テレカメラは、物体側から像側までに、第1のレンズ素子群G1と、第2のレンズ素子群G2と、第3のレンズ素子群G3と、を備えるテレレンズを備えており、前記複数のレンズ素子群のうちの少なくとも2つは、前記テレレンズを2つのズーム状態にするために、前記イメージセンサに対して前記第1の光軸に沿って移動可能であり、前記テレレンズの有効焦点距離は、一方のズーム状態におけるEFLTminから他方のズーム状態におけるEFLTmaxへと変更され、EFLTmin>1.5×EFLWであり、かつ、EFLTmax>1.5×EFLTminである。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態において、前記テレカメラが、前記第1のズーム状態と前記第2のズーム状態の両方において、レンズ素子群G1、G2、およびG3が互いにシフトさせられることによって焦点合わせをするように構成される。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態において、レンズ素子群G1、G2、およびG3が物体側から像側に配列され、G1が正の屈折力を有し、G2が正の屈折力を有し、G3が負の屈折力を有する。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態において、前記少なくとも2つの移動可能なレンズ素子群が、前記レンズ素子群G1およびG3を含み、前記レンズ素子群G1およびG3が前記イメージセンサおよび前記レンズ素子群G2に対して移動可能であり、前記レンズ素子群G2が前記イメージセンサに対して静止している。いくつかの実施形態において、前記レンズ素子群G3が、前記イメージセンサ、前記レンズ素子群G1、および前記レンズ素子群G2に対して、焦点合わせのためにさらに移動可能であってもよい。いくつかの実施形態において、前記レンズ素子群G1が、前記イメージセンサ、前記レンズ素子群G2、および前記レンズ素子群G3に対して、焦点合わせのためにさらに移動可能であってもよい。
【0026】
例示的な実施形態において、物体側に向かう第1のレンズ素子L1は、テレレンズにおける他の全てのレンズ素子のクリアアパーチャよりも大きいクリアアパーチャ(clear aperture: CA)値(または単に「クリアアパーチャ」)を有する。
【0027】
例示的な実施形態において、前記テレレンズが総トラック長(total track length: TTLT)を有し、最大TTLT(TTLTmax)がTTLTmax<EFLTmaxの条件を満たす。
【0028】
例示的な実施形態において、前記テレレンズが総トラック長(TTLT)を有し、最大TTLT(TTLTmax)がTTLTmax<0.9×EFLTmaxの条件を満たす。
【0029】
例示的な実施形態において、前記テレレンズがテレレンズFナンバー(F#T)を有し、F#Tの最小値(F#Tmin)がF#Tmin<1.5×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxの条件を満たす。
【0030】
例示的な実施形態において、前記テレレンズがテレレンズFナンバー(F#T)を有し、F#Tの最小値(F#Tmin)およびF#Tの最大値(F#Tmax)がF#Tmin<1.8×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxの条件を満たす。
【0031】
例示的な実施形態において、前記テレレンズがテレレンズFナンバー(F#T)を有し、F#Tの最小値(F#Tmin)およびF#Tの最大値(F#Tmax)がF#Tmin<1.2×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxの条件を満たす。
【0032】
例示的な実施形態において、いずれのレンズ素子群についても、前記第1のズーム状態から前記第2のズーム状態への移動が、0.75×(EFLTmax-EFLTmin)よりも小さいストロークを有する。
【0033】
例示的な実施形態において、いずれのレンズ素子群についても、前記第1のズーム状態から前記第2のズーム状態への移動が、0.6×(EFLTmax-EFLTmin)よりも小さいストロークを有する。
【0034】
例示的な実施形態において、前記第1のレンズ素子L1がカットレンズ素子である。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態において、前記少なくとも2つの移動可能なレンズ素子群が前記レンズ素子群G1、G2、およびG3を含み、前記レンズ素子群G1およびG3が、前記イメージセンサおよび前記レンズ素子群G2に対して、所与の範囲R1,3で1つのユニットとして移動可能であり、前記レンズ素子群G2が、前記イメージセンサに対して、R1,3よりも小さい範囲R2で移動可能である。例示的な実施形態において、前記レンズ素子群G1、G2、およびG3が像側に向かって移動可能である。いくつかの例示的な実施形態において、前記レンズ素子群G1、G2、およびG3が、前記イメージセンサに対して、1つのユニットとして焦点合わせのために移動可能である。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態において、EFLTmin=15mmであり、EFLTmax=30mmである。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態において、EFLTmin=13mmであり、EFLTmax=26mmである。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態において、前記2つのズーム状態において、RAFは無限遠と1メートルとの間の焦点合わせに必要な前記レンズ素子群G2の最大移動範囲であり、RAF<0.4×R2である。いくつかの例示的な実施形態において、前記2つのズーム状態において、RAFは無限遠と2メートルとの間の焦点合わせに必要な前記レンズ素子群G1およびG3の最大移動範囲であり、RAF<0.4×R1,3である。
【0039】
いくつかの例示的な実施形態において、前記レンズ素子群G2の移動のための作動が閉ループ制御で行われる。
【0040】
いくつかの例示的な実施形態において、前記レンズ素子群G1およびG3の移動のための作動が開ループ制御で行われる。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態において、前記レンズ素子群G1、G2、およびG3の移動が、ボイスコイルモーター(VCM)機構を用いて引き起こされる。
【0042】
いくつかの例示的な実施形態において、前記レンズ素子群G1、G2、およびG3の移動が、リニアレールを作るボールガイド機構によって、前記第1の光軸に沿ってガイドされる。いくつかの例示的な実施形態において、前記ボールガイド機構が、G2のレンズ担体上の少なくとも1つの溝と、G1とG3のレンズ担体上の少なくとも1つの溝と、前記G2のレンズ担体上の溝と、前記G1とG3のレンズ担体上の溝との間の複数のボールとを含む。
【0043】
例示的な実施形態において、広範囲の有効焦点距離EFLWを有するワイドレンズと、ワイドイメージセンサとを備えるワイドカメラと、第1の光軸を有するテレレンズと、テレイメージセンサと、OPFEとを備える屈曲式テレカメラとを備え、前記テレレンズは、物体側から像側までに、第1のレンズ素子群G1と、第2のレンズ素子群G2と、第3のレンズ素子群G3とを含み、前記レンズ素子群G1およびG3は、所与の範囲R1,3で、前記イメージセンサおよび前記レンズ素子群G2に対して、1つのユニットとして前記第1の光軸に沿って移動可能であり、前記レンズ素子群G2は、範囲R1,3よりも小さい範囲R2で、前記イメージセンサに対して第1の光軸に沿って移動可能であり、前記レンズ素子群G1、G2、およびG3の組み合わされた移動により、前記テレレンズを2つの状態にし、前記テレレンズのEFLを、一方のズーム状態におけるEFLTminから他方のズーム状態におけるEFLTmaxへ変更させ、EFLTmin>EFLWであり、EFLTmax>1.5×EFLTminである、デュアルカメラを提供する。
【0044】
例示的な実施形態において、第1の光軸を有するレンズと、イメージセンサと、OPFEとを備える屈曲式カメラであって、前記レンズは、物体側から像側までに、第1のレンズ素子群G1と、第2のレンズ素子群G2と、第3のレンズ素子群G3とを含み、前記レンズ素子群G1およびG3は、所与の範囲1,3で、前記イメージセンサおよび前記レンズ素子群G2に対して、1つのユニットとして前記第1の光軸に沿って移動可能であり、前記レンズ素子群G2は、範囲R1,3よりも小さい範囲R2で、前記イメージセンサに対して第1の光軸に沿って移動可能であり、前記レンズ素子群G1、G2、およびG3の組み合わされた移動により、前記テレレンズを2つのズーム状態にし、前記テレレンズのEFLを、一方のズーム状態におけるEFLminから他方のズーム状態におけるEFLTmaxへ変更させ、EFLmax>1.5×EFLminである、屈曲式カメラを提供する。
【0045】
例示的な実施形態において、広範囲の有効焦点距離EFLWを有するワイドレンズと、ワイドイメージセンサとを備えるワイドカメラと、超広範囲の有効焦点距離EFLUWを有する超ワイドレンズと、超ワイドイメージセンサとを備える超ワイドカメラと、第1の光軸を有するテレレンズと、テレイメージセンサと、OPFEとを備える屈曲式テレカメラを備え、前記テレレンズは、物体側から像側までに、第1のレンズ素子群G1と、第2のレンズ素子群G2と、第3のレンズ素子群G3とを含み、前記テレレンズを第1のズーム状態と第2のズーム状態との2つの状態にするために、前記レンズ素子群のうちの少なくとも2つは、前記イメージセンサに対して第1の光軸に沿って移動可能であり、前記テレレンズのEFLを、前記第1のズーム状態におけるEFLTminから前記第2のズーム状態におけるEFLTmaxへ変更させ、EFLTmin>1.5×EFLWであり、EFLTmax>1.5×EFLTminである、デュアルカメラを提供する。
【0046】
例示的な実施形態において、ワイドカメラモジュール(または単に「ワイドカメラ」)と、レンズモジュールと、当該レンズモジュールを第1のズーム状態と第2のズーム状態との間で移動させるためのレンズアクチュエータと、第1の較正データおよび第2の較正データを格納するためのメモリとを備えるテレカメラモジュール(または単に「テレカメラ」)とを備え、前記第1の較正データは、第1のズーム状態における、前記ワイドカメラモジュールと前記テレカメラモジュールとの間の較正データを含んでもよく、前記第2の較正データは、第2のズーム状態における、前記ワイドカメラモジュールと前記テレカメラモジュールとの間の較正データを含んでもよい、デュアルカメラを提供する。
【0047】
様々な例示的な実施形態において、アプリケーションプロセッサ(application processor: AP)と、第1の画像データを提供するためのワイドカメラモジュールと、第2の画像データを提供するためのテレカメラモジュールであって、レンズモジュールと、第1のズーム状態と第2のズーム状態との間でレンズモジュールを移動させるためのレンズアクチュエータとを備えるテレカメラモジュールと、第1の較正データと第2の較正データとを格納するためのメモリとを備え、前記第1の較正データは、第1のズーム状態における、前記ワイドカメラモジュールと前記テレカメラモジュールとの間の較正データを含んでもよく、前記第2の較正データは、第2のズーム状態における、前記ワイドカメラモジュールと前記テレカメラモジュールとの間の較正データを含んでもよく、前記APは、前記テレカメラモジュールが前記第1のズーム状態のときは前記第1の較正データを用いて第1の画像データおよび第2の画像データを処理し、前記テレカメラモジュールが前記第2のズーム状態のときは前記第2の較正データを用いて第1の画像データおよび第2の画像データを処理することで、第3の画像データを生成するように構成される、システムを提供する。
【0048】
前記システムの実施形態において、前記第1の較正データが前記第1のカメラモジュールに格納され、前記第2の較正データが前記第2のカメラモジュールに格納される。
【0049】
前記システムの実施形態において、前記第1の較正データおよび前記第2の較正データが前記テレカメラモジュールにのみ格納される。
【0050】
前記システムの実施形態において、前記第1の較正データおよび前記第2の較正データが前記ワイドカメラモジュールにのみ格納される。
【0051】
前記システムの実施形態において、前記第1の較正データおよび前記第2の較正データが、前記ワイドカメラモジュールにも前記テレカメラモジュールにも配置されていないメモリに格納される。
【0052】
前記システムの実施形態において、前記第1の較正データの第1の部分および前記第2の較正データの第1の部分が、前記ワイドカメラモジュールまたは前記テレカメラモジュールに配置されているメモリに格納され、前記第1の較正データの第2の部分および前記第2の較正データの第2の部分が、前記ワイドカメラモジュールまたは前記テレカメラモジュールに配置されていないメモリに格納される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本明細書に開示される実施形態の非限定的な例は、この段落の後に示される、本明細書に添付される図面を参照して、以下に記載される。複数の図に見られる同一の構造、要素、または部品は、それらが見られるすべての図において、概して同一の番号が付される。同一の要素が示されているが、1つの図のみに番号が付されている場合、それらはそれらが見られるすべての図において同じ番号を有するものとみなされる。図面および説明は、本明細書に開示された実施形態を解明し、明確にすることを意図しており、決して限定するものと考えるべきではない。
【
図1A】直立カメラおよびズーム屈曲式カメラを備えるデュアルカメラを概略的に示す概観斜視図である。
【
図2A】第1のズーム状態の第1のレンズ光学設計および光線追跡を有する、
図1Aおよび
図1Bに示すようなズーム屈曲式カメラを示す図である。
【
図2B】第2のズーム状態の第1のレンズ光学設計および光線追跡を有する、
図1Aおよび
図1Bに示すようなズーム屈曲式カメラを示す図である。
【
図2C】第1のズーム状態における第1の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図2D】第2のズーム状態における第1の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図3A】第1のズーム状態における第2の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図3B】第2のズーム状態における第2の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4A】第1のズーム状態における第3の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4B】第2のズーム状態における第3の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4C】第1のズーム状態における第4の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4D】第2のズーム状態における第4の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4E】第1のズーム状態における第5の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4F】第2のズーム状態における第5の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4G】第1のズーム状態における第6の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図4H】第2のズーム状態における第6の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す図である。
【
図5A】上部のある角度から見たEFL
Tminの状態における、テレレンズおよびセンサのモジュールの第1の実施形態を概略的に示す図である。
【
図5B】上部の別の角度から見た
図5Aのテレレンズおよびセンサのモジュールを概略的に示す図である。
【
図5C】上部のある角度から見たEFL
Tmaxの状態における、テレレンズおよびセンサのモジュールを概略的に示す図である。
【
図5D】上部の別の角度から見た
図5Cのテレレンズおよびセンサのモジュールを概略的に示す図である。
【
図6A】ある角度から見た、
図5Aおよび
図5Bに示すようなEFL
Tminの状態の上記テレレンズおよびセンサのモジュールの上部作動アセンブリおよび下部作動アセンブリの底面図である。
【
図6B】別の角度から見た、
図5Cおよび
図5Dに示すようなEFL
Tmaxの状態の上記テレレンズおよびセンサのモジュールの上部作動アセンブリおよび下部作動アセンブリの底面図である。
【
図6C】底面から見た上部作動アセンブリを示す図である。
【
図7】
図5A~5Eのテレレンズおよびセンサのモジュールにおける静止レールの詳細を示す図である。
【
図8】
図5A~5Eのテレレンズおよびセンサのモジュールにおける電子アセンブリを示す図である。
【
図9A】軸対称性を有するレンズ素子を示す図である。
【
図9B】2つの切れ目を有するカットレンズ素子を示す図である。
【
図10】本明細書に開示されるズーム屈曲式カメラを操作するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図11A】本開示の主題のいくつかの例による、レンズ素子の凸面に衝突する光線のインパクトポイントの模式図、および平面P上のインパクトポイントの直交投影の模式図である。
【
図11B】本開示の主題のいくつかの例による、レンズ素子の凹面に衝突する光線のインパクトポイントの模式図、および平面P上のインパクトポイントの直交投影の模式図である。
【
図12】本開示の主題のいくつかの例による、平面P上のインパクトポイントの直交投影、およびクリアな高さ(clear height)値(CH)の概略図である。
【
図13】本開示の主題のいくつかの例による、平面P上のインパクトポイントの直交投影、およびクリアアパーチャの概略図である。
【
図14】本明細書で開示されるシステムの実施形態を概略的に示すブロック図である。
【
図15】屈曲式レンズ設計および非屈曲式レンズ設計を備えたデュアルアパーチャカメラおよびトリプルアパーチャカメラの概略的なデザインを示す図である。
【
図16A】上面斜視からの、EFL
Tminの状態における、第6の実施例の光学設計を有するレンズを有するテレレンズおよびセンサのモジュールの第2の実施形態を概略的に示す図である。
【
図16B】上面斜視からの、EFL
Tmaxの状態における、
図16Aのモジュールを概略的に示す図である。
【
図16E】側面視において、
図16Aのモジュールの部分の部分を概略的に示す図である。
【
図16F】側面視において、
図16Bのモジュールの部分の部分を概略的に示す図である。
【
図16G】第1の上面斜視における、EFL
Tminの状態における、
図16Aのモジュールの部分の詳細を概略的に示す図である。
【
図16H】第2の上面斜視における、EFL
Tminの状態における、
図16Aのモジュールの部分の詳細を概略的に示す図である。
【
図17A】上面斜視からの、EFL
Tminの状態における、第6の実施例の光学設計を有するレンズを有するテレレンズおよびセンサのモジュールの第3の実施形態を概略的に示す図である。
【
図17B】EFL
Tmaxの状態における、
図17Aのモジュールを概略的に示す図である。
【
図17F】EFL
Tminの状態とEFL
Tmaxの状態との間における、
図17AのモジュールにおけるVCMによる作動の一方法を概略的に示す図である。
【
図17G】第1の側面視において、EFL
Tminの状態における
図17FのVCMのズーム状態の切り換えを実行するための作動方法を示す図である。
【
図17H】第2の側面視において、EFL
Tmaxの状態における
図17FのVCMのズーム状態の切り換えを実行するための作動方法を示す図である。
【
図17I】
図7Gおよび
図17Hのものとは反対の側面視において、EFL
Tminの状態における焦点合わせのための作動方法を示す図である。
【
図17J】
図7Hおよび
図17Hのものとは反対の側面視において、EFL
Tmaxの状態における焦点合わせのための作動方法を示す図である。
【
図18A】レンズ群G2をレンズ群G1に接着させるための接着サブシステムの実施形態を、斜視図で示す。
【
図18C】レンズ群G2をレンズ群G3にEFL
Tmaxのズーム状態で接着させるための接着サブシステムの他の実施形態を、斜視図で示す。
【
図19A】EFL
Tmaxの状態における、G2ストップが活性化された状態でのG2ストップ除去機構を、斜視図で示す。
【
図19B】マクロ撮影モードにおける、G2ストップが不活性化された状態での
図19AのG2ストップ除去機構を示す。
【
図19C】G2ストップが活性化された状態における、EFL
Tminの状態またはEFL
Tmaxの状態でのG2ストップ除去機構の部分を示す。
【
図19D】G2ストップが不活性化された状態における、EFL
Tminの状態またはEFL
Tmaxの状態での
図19CのG2ストップ除去機構の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1Aは、直立ワイドカメラ102と、OPFE104(例えばプリズム)と、ズーム屈曲式テレカメラレンズおよびセンサのモジュール(または単に「モジュール」)106とを備える屈曲式テレカメラ103とを備える、番号100が付されたデュアルカメラの一実施形態を概略的に示す概観斜視図である。ワイドカメラは、固定有効焦点距離EFL
Wを有するワイドレンズ110を含む。例えば、EFL
Wは2~5mmであってもよい。テレカメラ103において、OPFE104はプリズムホルダ108に保持されている。モジュール106は、シールド107を含む。シールド107は、モジュール106またはカメラ103の一部または全ての要素を覆うことができる。
図1Bは、シールド107が除去され、より詳しく説明されたデュアルカメラ100を示す。モジュール106は、テレレンズ光軸116を有するテレレンズ114と、テレイメージセンサ118と、必要に応じて、ガラス窓130(例えば、
図2A参照)とをさらに含む。ガラス窓130は、赤外線(IR)波長の光をフィルタリングするため、センサ118の機械的保護のため、および/またはセンサ118を塵埃から保護するために使用されてもよい。簡単にするために、カメラ、レンズ、またはイメージセンサを参照して使用される「テレ」という語は、以後、落とされてもよい。いくつかの実施形態において、レンズおよびイメージセンサのモジュールは、テレイメージセンサがそれ自身のイメージセンサモジュールを有し、後述する他の機能および部分(特に、
図5A~Eのテレレンズおよびセンサのモジュール500の作動、
図16A~Hのアクチュエータ1610および
図17A~Jのアクチュエータ1710)がテレカメラレンズモジュールのみに留まるように、分離される。以下の説明全体は、そのような実施形態にも言及する。他の実施形態において、本明細書で説明されるシステムは、例えば3倍カメラシステムを形成する1以上の追加のカメラを備えることができる。ワイドカメラおよびテレカメラに加えて、3倍カメラは、超ワイドカメラのEFLがEFL
UW<0.7×EFL
Wである超ワイドカメラも含むことができる。
【0055】
デュアルカメラ100は、以下に説明するレンズ群およびレンズ素子の移動を含む様々なカメラ機能を制御する制御装置(図示せず)をさらに備えるか、または該制御装置に結合される。
【0056】
レンズ114は、第1の群(G1)のレンズハウジング(または「ホルダ」)120、第2の群(G2)のレンズハウジング122、および第3の群(G3)のレンズハウジング124にそれぞれ収容された3つのレンズ素子群G1、G2、およびG3を含む。レンズ素子群G1、G2、およびG3のための3つの異なるレンズ設計の詳細について、
図2~
図4を参照して以下に示す。次に詳細に説明する様々な実施形態において、少なくとも1つのレンズ素子群がレンズ光軸116に沿って別のレンズ素子群に対して移動して、少なくとも2つのテレレンズ有効焦点距離EFL
T、すなわち、最小EFL
Tminおよび最大EFL
Tmaxを提供する。例えば、EFL
Tminは10~20mmであってもよく、EFL
Tmaxは20~40mmであってもよい。これにより、小さなテレレンズのF値(F#
T)を維持しながら、2つの大きなEFL間のズーム能力を提供する。加えて、EFL
Tminは、光学ズームがEFL
WとEFL
Tmaxの間でデュアルカメラ100によって提供されるように、例えば、2倍以上EFL
Wよりも大きい。さらに、EFLについては、それぞれのズーム状態について、テレレンズ総トラック長(TTL
T)は、レンズが無限遠に焦点合わせされるときに、第1のレンズ素子の第1の表面から物体側(S
1、下記参照)に向かってイメージセンサ表面までの光軸に沿った距離として定義され、すべてのレンズ素子およびガラス窓を含む。第1のズーム状態に対してTTL
Tminが定義され、第2のズーム状態に対してTTL
Tmaxが定義される。TTL
TminおよびTTL
Tmaxは、例えば、
図2C、2D、3A、および3Bには表記されているが、これらの定義は、本出願におけるすべての実施形態に適用される。
【0057】
図2Aは、OPFE104(例えば、プリズム)を有するカメラ103のようなズーム屈曲式テレカメラ103’、レンズ114のようなレンズ114’、およびテレレンズ114’の第1の例示的な光学設計および光線追跡を有するイメージセンサ118を示し、ここで、テレレンズは第1のズーム状態、すなわち、EFL=EFL
Tminを有する。加えて、ガラス窓130が、全てのレンズ素子とイメージセンサ118との間に配置されていてもよい。
図2Bは、第2のズーム状態、すなわちEFL=EFL
Tmaxを有する屈曲式テレカメラ103’を示す。
図2Cは、第1のズーム状態の第1の光学設計を有するレンズ114’の詳細を示し、
図2Dは、第2のズーム状態のレンズ114’の詳細を示す。
【0058】
レンズ114’は、表1~4によって表される第1の例示的な光学設計を有し、L1~L8と表記された8つのレンズ素子を含み、当該レンズ素子は、プリズム(「物体側」)に対向する物体側のL1から始まり、イメージセンサに向かう像側のL8で終わる。表1は、光学レンズ設計における表面のそれぞれについての光学データを示す。OPFE(プリズムまたはミラー)の光学データは、当技術分野で公知の多くのOPFE設計が物体とS1との間で使用できるので、表1では省略されている。そのようなOPFEの非限定的な例には、ガラスまたはプラスチックで作製されたプリズムであって、該プリズムの屈折率が変化(例えば、1~3の範囲で変化)し得るようなプリズム、迷光を制限するOPFE(例えば、共同所有の国際特許出願PCT/IB2018/054928に開示)、薄型プリズム(例えば、共同所有の米国仮特許出願第62/657,003号を参照)、スキャニングOPFE(例えば、共同所有の国際特許出願PCT/IB2018/050885およびPCT/IB2017/を参照)、OIS機構を有するOPFE(例えば、共同所有の米国特許第9927600号を参照)、およびミラーが含まれる。
【0059】
表2は、表1における表面間の距離についての付加的なデータであるズームデータと、様々なズーム位置ごとに変化するパラメータとを示す。表3は、球面ではない表1の表面についての付加的な光学データである非球面データを示す。表4は、レンズ素子およびレンズ素子群の焦点距離(単位mm)を示す。第2の例示的な光学設計(表5~表8)、第3の例示的な光学設計(表9~表12)、第4の例示的な光学設計(表13~表16)、および第5の例示的な光学設計(表17~表20)の同様の表が以下に存在する。
【0060】
以下の様々な例示的な実施形態に開示されるレンズは、レンズ素子のいくつかのレンズ群(G1、G2、G3等)を備え、各群は、Liと表記される複数のレンズ素子を含む。各レンズ素子Liは、それぞれの前面S
2i-1と後面S
2iとを有する(ここで、「i」は1~Nの整数)。本明細書で使用されるように、各レンズ素子の「前面」という用語は、カメラの入口(カメラ物体側)により近くに位置するレンズ素子の表面を指し、「後面」という用語は、イメージセンサ(カメラ像側)により近くに位置するレンズ素子の表面を指す。前面および後面は、場合によっては非球面であり得る。前面および後面は、場合によっては球面であり得る。しかし、これらのオプションに限定されない。レンズ素子L1~LNは、様々な材料、例えば、プラスチックまたはガラスから作製されてもよい。いくつかのレンズ素子は他のレンズ素子とは異なる材料から作製されてもよい。表記「Gi」、「Li」、「S
i」は、一例としていくつかの図に示される(「Gi」の表記については
図2Cおよび
図2D、「Li」の表記については
図2B、「S
i」の表記については
図4Aを参照)。しかし、これらの表記は、本出願におけるすべての実施形態に適用される。
【0061】
本明細書において、部品、素子、または部品群または素子群の「高さ」は、部品/素子/これらの群の最下点と、部品/素子/これらの群の最上点との間の、第1の光軸方向(例示的な座標系におけるY方向)の距離として定義される。用語「上方」または「上部」は、同じ部品/素子またはこれらの群の他のセクションに対して、Y軸に沿って、撮像された(撮影された)物体に近く、かつ当該物体に面している、任意の部品/素子/これらの群のセクションを指す。用語「下方」または「下部」は、同じ部品/素子またはこれらの群の他のセクションに対して、Y軸に沿って、撮像された物体から最も遠く、かつ当該物体から離れて面している、任意の部品/素子/これらの群のセクションを指す。
【0062】
表1(ならびに表5および表9)において、Rは表面の曲率半径であり、Tは表面から次の表面までの光軸に沿った距離である。いくつかのレンズ素子間の距離は、ズームおよび焦点合わせによって変化するため、様々なズーム位置および焦点位置について、付加的な厚さデータを表2、表6、および表10に示す。なお、TTLTは、物体を無限遠に設定して表2、表6、表10の付加的なデータを使用する場合、S1からイメージセンサまでのすべてのT値の合計となる。Dは、表面の光学直径である。D/2は、「半直径(semi-diameter)」または直径の半分を表す。R、T、およびDの単位は、ミリメートル(mm)である。NdおよびVdは、それぞれ、表面と次の表面との間に存在するレンズ素子材料の屈折率およびアッベ数である。
【0063】
表面タイプを表1、表5、および表9に定義し、表面の係数を表3、表7、および表11に示す。
-「平面」-無限大の曲率半径を有する;
-「偶数次非球(Even-Aspherical)(EVAS)面」は、式1と表3、表7、および表11に示すそれらの詳細を用いて定義される。
【数1】
ここで、rは関連する光軸(第1または第2)から、(およびそれに垂直な)光学表面内の点までの距離であり、kは円錐係数であり、c=1/Rであり、αは、表3、表7、および表11に与えられる係数である。なお、任意の非球面に対して、rの最大値(「最大r」)は、それぞれの表面の半直径(D/2)である。
【0064】
-QT1表面は、以下の式2および副方程式を用いて定義される。
【数2】
ここで、{z、r}は標準円筒極座標であり、cは表面の近軸曲率であり、kは円錐パラメータであり、NRはノルム半径であり、A
nはレンズデータ表に示される多項式係数である。
【0065】
-「絞り面(stop surface)」(表2、表6、表10、表14、表18および表22)とは、本明細書に開示される実施形態において、レンズ開口の絞り面の位置が第1のズーム状態から第2のズーム状態にシフトするときに変化し得る。この場合、絞りは、レンズモジュール全体のF#を決定する。例えば、いくつかの実施形態において、第1のズーム状態において中心場のための画像を形成するために画像平面に到達する光の量は、物体側の第1のレンズL1近傍の開口絞りによって決定され、一方、第2のズーム状態において中心場のための画像を形成するために画像平面に到達する光の量は、別のレンズ素子(例えば、近傍のレンズ素子L4)近傍の開口絞りによって決定される。他の実施形態において、レンズ開口の絞り面の位置が、第1のズーム状態から第2のズーム状態にシフトするときに、変化しない場合がある。
【0066】
以下の表に示すイメージセンサの直径Dは、イメージセンサの最大限の対角サイズを指す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
第1の実施例(「実施例1」)において、レンズ素子L1~L8は、レンズ素子L1およびL2を含む第1の群G1と、レンズ素子L3およびL4を含む第2の群G2と、レンズ素子L5~L8を含む第3の群の3つの群にグループ化される。なお、表4に記載のレンズまたはレンズ群の焦点距離は正または負の値を有し、これは関連するレンズ素子またはレンズ群のそれぞれの正または負の屈折力を示す。したがって、表4において、L1、L3、L5およびL8は正の屈折力を有し、L2、L4、L6およびL7は負の屈折力を有し、同様に、G1およびG2は正の屈折力を有し、G3は負の屈折力を有する。これは表8および表12についても同様である。
【0067】
実施例1において、イメージセンサ118に対して群G2を静止させたまま、イメージセンサ118に対して群G1および群G3を移動させることによって、カメラを2つのズーム状態にさせる。そして、G3は、ズーム状態の各々で焦点を合わせるためにさらに移動可能である。表2は、正確な距離および相対的な位置決めを指定する。実施例1において、G1およびG3をG2(およびイメージセンサ)に対して相対的に移動させて、カメラを、EFL
T=EFL
Tmin=15mm、F#=F#
Tmin=2.8、およびTTL
T=TTL
Tmin=16.309mmである、
図2Aおよび
図2Cに示す第1のズーム状態にし、EFL
T=EFL
Tmax=30mm、F#=F#
Tmax=4、およびTTL
T=TTL
Tmin=27.581mmである、
図2Bおよび
図2Dに示す第2のズーム状態にする。移動範囲は、例えば5~10mmとすることができる。第1の状態では、G1はG2から距離d4(15mmのEFLの場合は、表2のS
4とS
5との距離、つまり0.131mm)だけ離れており、G2はG3から距離d8(15mmのEFLの場合は、表2のS
8とS
9との距離、つまりフォーカス距離に応じて5.080~5.364mm)だけ離れており、G3は窓130から距離d16(15mmのEFLの場合は、表2のS
16とS
17との距離、つまりフォーカス距離に応じて1.094~0.810mm)だけ離れている。第2の状態では、G1はG2から距離d4’(30mmのEFLの場合は、表2のS
4とS
5との距離、つまり11.403mm)だけ離れており、G2はG3から距離d8’(30mmのEFLの場合は、表2のS
8とS
9との距離、つまりフォーカス距離に応じて0.060~0.434mm)だけ離れており、G3は窓130から距離d16’(30mmのEFLの場合は、表2のS
16とS
17との距離、つまりフォーカス距離に応じて6.114mm~5.740mm)だけ離れている。
【0068】
図3Aは、第1のズーム状態の、カメラ103等の屈曲式テレカメラにおける、第2の実施形態の例示的な光学設計を有するレンズ素子の詳細を示し、
図3Bは、第2のズーム状態の第2の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す。図は、レンズ114’’、イメージセンサ118、およびオプションの窓130を示す。第2の光学設計は表5~表8によって表され、L1~L8と表記された8つのレンズ素子を含み、当該レンズ素子は、プリズムに対向する物体側のL1から始まり、イメージセンサに向かう像側のL8で終わる。表5は光学データを示し、表6はズームデータを示し、表7は非球面データを示し、表8はレンズまたはレンズ群の焦点距離をmmで示す。
【0069】
第2の実施例(「実施例2」)において、レンズ114’’では、レンズ素子L1~L8は、レンズ素子L1およびL2を含む第1の群G1と、レンズ素子L3~L5を含む第2の群G2と、レンズ素子L6~L8を含む第3の群の3つの群にグループ化される。
【0070】
実施例2において、イメージセンサに対して所与の範囲R
1,3で群G1および群G3を一緒に移動させつつ、イメージセンサに対して群G2をR
1,3よりも小さい範囲R
2で移動させることによって、カメラを2つのズーム状態にさせる。実施例2において、R
1,3=7.509mmで、R
2=1.574mmである。G2はさらに、カメラ106の焦点距離を無限遠から1メートルまで変化させるための範囲R
AFで、イメージセンサに対して任意のズーム状態で移動可能である。ズーム状態によっては、R
AFは最大550マイクロメートル(μm)になることがある。
図3Aは、EFL
T=EFL
Tmin=15mm、F#=F#
Tmin=2、およびTTL
T=TTL
Tmin=17.373mmである、第1のズーム状態の実施例2を示し、
図3Bは、EFL
T=EFL
Tmax=30mm、F#=F#
Tmax=4、およびTTL
T=TTL
Tmax=24.881mmである、第2のズーム状態の実施例2を示す。
【0071】
実施例2では、以下の条件を満たす。
【0072】
R1,3とR2は、0.6×(EFLTmax-EFLTmin)よりも小さく、もちろん0.75×(EFLTmax-EFLTmin)よりも小さい。F#Tminは、1.0×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxよりも小さく、1.2×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxよりも小さく、1.5×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxよりも小さく、1.8×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxよりも小さい。
【0073】
第1の状態では、G1はG2から距離d4(15mmのEFLの場合は、表6のS
4とS
5との距離、つまりフォーカス距離に応じて1.246~1.012mm)だけ離れており、G2はG3から距離d10(15mmのEFLの場合は、表6のS
10とS
11との距離、つまりフォーカス距離に応じて6.136~6.370mm)だけ離れており、G3は窓130から距離d16(15mmのEFLの場合は、表6のS
16とS
17との距離、つまり0.229mm)だけ離れている。第2の状態では、G1はG2から距離d4’(30mmのEFLの場合は、表6のS
4とS
5との距離、つまりフォーカス距離に応じて7.181~6.658mm)だけ離れており、G2はG3から距離d10’(30mmのEFLの場合は、表6のS
10とS
11との距離、つまりフォーカス距離に応じて0.2~0.725mm)だけ離れており、G3は窓130から距離d16’(30mmのEFLの場合は、表6のS
16とS
17との距離、つまり7.738mm)だけ離れている。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
図4Aは、第1のズーム状態の、カメラ103等の屈曲式テレカメラにおける、第3の実施形態の例示的な光学設計を有するレンズ素子の詳細を示し、
図4Bは、第2のズーム状態の第3の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す。図は、レンズ114’’’、イメージセンサ118、およびオプションの窓130を示す。第2の光学設計は表9~表12によって表され、L1~L8と表記された8つのレンズ素子を含み、当該レンズ素子は、プリズムに対向する物体側のL1から始まり、イメージセンサに向かう像側のL8で終わる。表9は光学データを示し、表10はズームデータを示し、表11は非球面データを示し、表12はレンズまたはレンズ群の焦点距離をmmで示す。
【0074】
レンズ114’’’において、レンズ素子L1~L8は、レンズ素子L1およびL2を含む第1の群G1と、レンズ素子L3およびL4を含む第2の群G2と、レンズ素子L5~L8を含む第3の群の3つの群にグループ化される。
【0075】
第3の例示的な使用(実施例3)において、G2を静止させたまま、イメージセンサに対して所与の範囲でG1およびG3を移動させることによって、カメラを2つのズーム状態にさせる。移動範囲は、例えば5~10mmとすることができる。G1は、焦点合わせのためにさらに移動可能である。実施例3において、G1およびG3をG2(およびイメージセンサ)に対して相対的に移動させて、カメラを、EFL
T=EFL
Tmin=15mm、F#
Tmin=2.74、およびTTL
T=TTL
Tmin=16.78mmである、
図4Aに示す第1のズーム状態にし、EFL
T=EFL
Tmax=30mm、F#=F#
Tmax=4、TTL
T=TTL
Tmax=26.958mmである、
図4Bに示す第2のズーム状態にする。第1の状態では、G1はG2から距離d4(15mmのEFLの場合は、表10のS
4とS
5との距離、つまりフォーカス距離に応じて0.199~0.870mm)だけ離れており、G2はG3から距離d8(15mmのEFLの場合は、表10のS
8とS
9との距離、つまり6.050mm)だけ離れており、G3は窓130から距離d16(15mmのEFLの場合は、表10のS
16とS
17との距離、つまり0.650mm)だけ離れている。第2の状態では、G1はG2から距離d4(30mmのEFLの場合は、表10のS
4とS
5との距離、つまりフォーカス距離に応じて10.377~11.031mm)だけ離れており、G2はG3から距離d8(30mmのEFLの場合は、表10のS
8とS
9との距離、つまり0.06mm)だけ離れており、G3は窓130から距離d16(30mmのEFLの場合は、表10のS
16とS
17との距離、つまり6.64mm)だけ離れている。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
図4Cは、第1のズーム状態の、カメラ103等の屈曲式テレカメラにおける、第4の例示的な光学設計を有するレンズ素子の詳細を示し、
図4Dは、第2のズーム状態の第4の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す。図は、レンズ114’’’’、イメージセンサ118、およびオプションの窓130を示す。第2の光学設計は表13~表16によって表され、L1~L8と表記された8つのレンズ素子を含み、当該レンズ素子は、プリズムに対向する物体側のL1から始まり、イメージセンサに向かう像側のL8で終わる。表13は光学データを示し、表14はズームデータを示し、表15は非球面データを示し、表16はレンズまたはレンズ群の焦点距離をmmで示す。
【0076】
第4の実施例(「実施例4」)において、レンズ114’’’’では、レンズ素子L1~L8は、レンズ素子L1およびL2を含む第1の群G1と、レンズ素子L3~L5を含む第2の群G2と、レンズ素子L6~L8を含む第3の群の3つの群にグループ化される。
【0077】
実施例4において、ズーム処理においてイメージセンサに対してG2を静止させながら、イメージセンサに対して所与の範囲R
1,3でG1およびG3を一緒に(1つのユニットとして)移動させることによって、カメラを2つのズーム状態にさせる。実施例5において、R
1,3=7.065mmである。ズーム状態を変更する際に群G2は移動しないが、G2は、カメラ106の焦点距離を無限遠から1メートルまで変化させるための範囲R
AFで、イメージセンサおよびG1およびG3に対して任意のズーム状態で移動可能である。ズーム状態によっては、R
AFは最大730μmになることがある。
図4Cは、EFL
T=EFL
Tmin=15mm、F#=F#
Tmin=2、およびTTL
T=TTL
Tmin=17.865mmである、第1のズーム状態の実施例4を示し、
図4Dは、EFL
T=EFL
Tmax=30mm、F#=F#
Tmax=4、およびTTL
T=TTL
Tmax=24.93mmである、第2のズーム状態の実施例4を示す。
【0078】
第1の状態では、G1はG2から距離d4(15mmのEFLの場合は、表14のS
4とS
5との距離)だけ離れており、G2はG3から距離d10(15mmのEFLの場合は、表14のS
10とS
11との距離)だけ離れており、G3は窓130から距離d16(15mmのEFLの場合は、表14のS
16とS
17との距離)だけ離れている。第2の状態では、G1はG2から距離d4’(30mmのEFLの場合は、表14のS
4とS
5との距離)だけ離れており、G2はG3から距離d10’(30mmのEFLの場合は、表14のS
10とS
11との距離)だけ離れており、G3は窓130から距離d16’(30mmのEFLの場合は、表14のS
16とS
17との距離)だけ離れている。
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
図4Eは、第1のズーム状態の、カメラ103等の屈曲式テレカメラにおける、第5の例示的な光学設計を有するレンズ素子の詳細を示し、
図4Fは、第2のズーム状態の第5の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す。図は、レンズ114’’’’’、イメージセンサ118、およびオプションの窓130を示す。第2の光学設計は表17~表20によって表され、L1~L8と表記された8つのレンズ素子を含み、当該レンズ素子は、プリズムに対向する物体側のL1から始まり、イメージセンサに向かう像側のL8で終わる。表17は光学データを示し、表18はズームデータを示し、表19は非球面データを示し、表20はレンズまたはレンズ群の焦点距離をmmで示す。
【0079】
第5の実施例(「実施例5」)において、レンズ114’’’’’では、レンズ素子L1~L8は、レンズ素子L1およびL2を含む第1の群G1と、レンズ素子L3~L5を含む第2の群G2と、レンズ素子L6~L8を含む第3の群の3つの群にグループ化される。
【0080】
実施例5において、イメージセンサに対してG2を静止させながら、イメージセンサに対して所与の範囲R
1,3でレンズ群G1およびレンズ群G3を一緒に(「G1G3アセンブリ」とも呼ばれる1つのユニットとして)移動させることによって、カメラを2つのズーム状態にさせる。実施例5において、R
1,3=7.697mmである。G1G3アセンブリはさらに、カメラ106の焦点距離を無限遠から2メートルまで変化させるための範囲R
AFで、イメージセンサおよびG2に対して任意のズーム状態で一緒に移動可能である。ズーム状態によっては、R
AFは最大1.8mmになることがある。
図4Eは、EFL
T=EFL
Tmin=15mm、F#=F#
Tmin=2、およびTTL
T=TTL
Tmin=18.1mmである、第1のズーム状態の実施例5を示し、
図4Fは、EFL
T=EFL
Tmax=30mm、F#=F#
Tmax=4、およびTTL
T=TTL
Tmax=25.8mmである、第2のズーム状態の実施例5を示す。
【0081】
第1の状態では、G1はG2から距離d4(15mmのEFLの場合は、表18のS
4とS
5との距離)だけ離れており、G2はG3から距離d10(15mmのEFLの場合は、表18のS
10とS
11との距離)だけ離れており、G3は窓130から距離d16(15mmのEFLの場合は、表18のS
16とS
17との距離)だけ離れている。第2の状態では、G1はG2から距離d4’(30mmのEFLの場合は、表18のS
4とS
5との距離)だけ離れており、G2はG3から距離d10’(30mmのEFLの場合は、表18のS
10とS
11との距離)だけ離れており、G3は窓130から距離d16’(30mmのEFLの場合は、表17のS
16とS
17との距離)だけ離れている。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
図4Gは、第1のズーム状態の、カメラ103等の屈曲式テレカメラにおける、第6の実施形態の例示的な光学設計を有するレンズ素子の詳細を示し、
図4Hは、第2のズーム状態の第6の光学設計を有するレンズ素子の詳細を示す。図は、レンズ114’’’’’’、イメージセンサ118、およびオプションの窓130を示す。第6の光学設計は表21~表24によって表され、L1~L8と表記された8つのレンズ素子を含み、当該レンズ素子は、プリズムに対向する物体側のL1から始まり、イメージセンサに向かう像側のL8で終わる。表21は光学データを示し、表22はズームデータを示し、表23は非球面データを示し、表24はレンズまたはレンズ群の焦点距離をmmで示す。
【0082】
レンズ114’’’’’’において、レンズ素子L1~L8は、レンズ素子L1、L2、およびL3を含む第1の群G1と、レンズ素子L4、L5、およびL6を含む第2の群G2と、レンズ素子L7およびL8を含む第3の群の3つの群にグループ化される。
【0083】
実施例6において、イメージセンサに対して範囲R2でG2を移動させながら、イメージセンサに対して所与の範囲R1,3でG1およびG3を一緒に(1つのユニットとして)移動させることによって、カメラを2つのズーム状態にさせる。なお、R2<R1,3ある。実施例6において、R1,3=5.641mmであり、R2=0.718である。G1、G2、およびG3はさらに、カメラ106の焦点距離を無限遠から1メートルまたは2メートルまで変化させるための範囲RAFで、イメージセンサに対して任意のズーム状態で一緒に移動可能である。ズーム状態によっては、RAFは最大0.4mmになることがある。
【0084】
図4Gは、EFL
T=EFL
Tmin=13mm、F#=F#
Tmin=1.8、およびTTL
T=TTL
Tmin=19.84mmである、第1のズーム状態の実施例6を示し、
図4Hは、EFL
T=EFL
Tmax=26mm、F#=F#
Tmax=2.88、およびTTL
T=TTL
Tmax=25.85mmである、第2のズーム状態の実施例6を示す。
【0085】
第1の状態では、G1はG2から距離d7(13mmのEFLの場合は、表22のS
7とS
8との距離)だけ離れており、G2はG3から距離d13(13mmのEFLの場合は、表22のS
13とS
14との距離)だけ離れており、G3は窓130から距離d17(13mmのEFLの場合は、表22のS
17とS
18との距離)だけ離れている。第2の状態では、G1はG2から距離d7’(26mmのEFLの場合は、表22のS
7とS
8との距離)だけ離れており、G2はG3から距離d13’(26mmのEFLの場合は、表22のS
13とS
14との距離)だけ離れており、G3は窓130から距離d17’(26mmのEFLの場合は、表21のS
17とS
18との距離)だけ離れている。
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
図5A~5Eは、番号500が付されたテレレンズおよびセンサのモジュール(または単に「モジュール」)の第1の実施形態を概略的に示す。
図5A~
図5Eといくつかの他の図面に示す座標系XYZを参照して図面の説明を続ける。一例では、モジュール500が第2の実施例の光学設計を有する。モジュール500は、レンズ114’、114’’、114’’’、114’’’’、114’’’’’および114’’’’’’のズーム状態とフォーカス状態との間で切り換えるためのVCMに基づく作動機構を備える。
図5Aは、上部のある角度から見たEFL
Tminの状態におけるモジュール500を概略的に示し、
図5Bは、上部の別の角度から見たEFL
Tminの状態におけるモジュール500を概略的に示している。
図5Cは、上部のある角度から見たEFL
Tmaxの状態におけるモジュール500を概略的に示し、
図5Dは、上部の別の角度から見たEFL
Tmaxの状態におけるモジュール500を概略的に示している。
図5Eは、モジュール500の分解図を示す。モジュール500は、レンズアセンブリ502(「G1G3アセンブリ」)と、G2レンズアセンブリ504(「G2アセンブリ」)と、センサアセンブリ506と、電磁(electro-magnetic: EM)アセンブリ508と、ベースアセンブリ510と、第1の磁石512と、第1のコイル514と、第2の磁石516と、第1の組の(例示的に4つの)ボール520と、第2の組の(例示的に4つの)ボール522とを含む。レンズアセンブリ502および504は、レンズ光軸116を共有する。
【0086】
第1のコイル514は、第1の磁石512の隣に配置され、ベースアセンブリ510に堅固に結合される(相対的に移動しない)。第1のコイル514はPCB822(
図8)等のPCBにはんだ付けされてもよく、または第1のコイル514に入力電流および出力電流を送ることを可能にする外部回路(図示せず)に経路指定されてもよく、当該電流は動作に必要な電力信号および電子信号の両方を搬送する。コイル514は、例示的には矩形形状を有し、典型的には数十のコイル巻線(すなわち、非限定的な範囲は50~250)を含み、典型的な抵抗は10~30オームである。第1の磁石512は分割磁石であって、真ん中の分割線512aで2つの側に分離されており、分割線512aの一方の側において、磁石512は正のX方向に対向する北磁極を有し、かつ、分割線512aの他方の側において、磁石512は、正のX方向に対向する南磁極を有する。第1のコイル514に電流を駆動すると、第1のローレンツ力が第1の磁石512上に生成される。一例では、時計回り方向に第1のコイル514を流れる電流が第1の磁石512上に正のZ方向に第1のローレンツ力を誘発し、反時計回り方向に第1のコイル512を流れる電流は第1の磁石512上に負のZ方向にローレンツ力を誘発する。一例では、第1のローレンツ力を使用して、開ループ制御において、第1のズーム状態から第2のズーム状態へ、およびその逆に、下部作動アセンブリ560を移動させる。すなわち、ストップ720a、720bとストップ722a、722bとの間で下部作動アセンブリ560を作動させる(下記参照)。
【0087】
図6Aおよび6Bは、EFL
Tminの状態の上部作動アセンブリ550および下部作動アセンブリ560を示す、モジュール500の作動部分の2つの底面斜視図である。
図6Cは、底面のある角度から見た上部作動アセンブリ550を示す。上部作動アセンブリ550は、G2アセンブリ504と、第2の磁石516と、複数のステッピング磁石626とを備える。下部作動アセンブリ560は、G1G3アセンブリ502、第1の磁石512、ステッピング磁石628、および4つのヨーク602a、602b(
図6B)および604a、604b(
図6A)を含む。
図7は、ベースアセンブリ510の詳細を示しており、ベースアセンブリ510は、ガイドレール710aおよび710bと、プルストップ磁石702a、702bおよびプルストップ磁石704a、704bとを備えている。なお、
図7において、説明のために、プルストップ磁石702a、702bおよびプルストップ磁石704a、704bは、ストップ720a、720bおよびストップ722a、722bから分離されている。矢印は、ストップ720a、720bおよびストップ722a、722bにおけるプルストップ磁石702a、702bおよびプルストップ磁石704a、704bの接着位置を示す。ヨーク602a、602bはプルストップ磁石702a、702bに対して引っ張られ、ヨーク604a、604bはプルストップ磁石704a、704bに対して引っ張られる。ガイドレール710a、710bの各々は、それぞれの溝712a、712bを備える。ベースアセンブリ510は、例示的にガイドレール710bに接続された2つの機械的ストップ706および708をさらに備える。機械的ストップ706および708は、上部作動アセンブリ550のストロークを制限する。
図8は、PCB822上のEMアセンブリ508の詳細を示す。
【0088】
一例では、モジュール500は、レンズ光軸116に沿った方向へのレンズアセンブリ502および504の相対運動を可能にする。モジュール500は、3~40mmの範囲の例示的な長さ/幅/高さ寸法を有する。すなわち、モジュール500は、寸法が3x3x3mm3~40x40x40mm3の箱に収納することができる。一例では、モジュール500は、レンズ素子L1~LNの最大クリアアパーチャに、それぞれのレンズアセンブリ502および504のプラスチック厚さ(プラスチック厚さは、例えば0.5~1.5mmの範囲内にある)を加えたものに、シールド107の厚さ(シールド厚さは例えば0.1~0.3mmの範囲内にある)を加えたものに、それぞれのレンズアセンブリ502および504とシールド107との間の2つの空隙の厚さ(それぞれの空隙厚さは例えば0.05~0.15mmの範囲内にある)を加えたものによって制限される(Y軸に沿った)高さを有する。レンズ素子L1~LNのクリアアパーチャは、以下に説明するように、円形のクリアアパーチャまたはカットレンズクリアアパーチャであってもよい。
【0089】
モジュール500において、3つのレンズ群(G1、G2、およびG3)は、G1G3アセンブリ(502)と、G2レンズアセンブリ(504)の2つのレンズサブアセンブリに保持される。レンズアセンブリ502および504は、典型的にはプラスチックで作製される。いくつかの実施形態において、レンズアセンブリ502と、G1およびG3とは、単一部品として製造されてもよい(同様に、レンズアセンブリ504と、レンズ群G2とは、単一部品として製造されてもよい)。いくつかの実施形態において、それらは別個の部品であってもよい。レンズアセンブリ502および504は、例えば、プラスチック成形によって、または代替的に他の方法によって作製され得る。第1の磁石512および第2の磁石516は、レンズ光軸116を横切って(X方向に)両側から、レンズアセンブリ502および504にそれぞれ固定させて取り付けられる(例えば接着される)。
【0090】
レンズアセンブリ502は、いくつかの溝を含み、機械的なボールガイド機構を画定し、ズームの必要性のためにリニアレールで作動させることを可能にする。この例では、6つの溝が記載されるが、別の数の溝が使用されてもよい。すなわち、Z方向に沿った、レンズアセンブリ502の上面にある2つの溝542a、542b(
図5E)と、同様にZ方向に沿った、レンズアセンブリ502の底面にある4つの溝624a~624d(
図6A)である。レンズアセンブリ504はいくつかの溝を含み、レンズアセンブリ502の溝の一部と嵌合する。図示の実施形態では、レンズアセンブリ504が4つの溝642a~642dを含み、そのうちの3つのみが
図6Cにおいて見られる。溝642a~642dは互いに平行であり、Z軸(光軸)に沿っており、Z方向に沿って上部作動アセンブリ550をガイドするために使用される。
【0091】
上部作動アセンブリ550は、溝642a、642b(642c、642d)が溝542a(542b)の直上および平行になるように、下部作動アセンブリ560の上部に配置される。
【0092】
図示の実施形態では、4個のボール520が溝542a、542bの上部(各溝の上部に2個のボール)および溝642a~642d(
図6C)の下部に配置され、該ボール520がレンズアセンブリ502およびレンズアセンブリ504を分離し、2つの部品が互いに接触しないようにしている。他の実施形態では、モジュール500は、レンズアセンブリ502とレンズアセンブリ504との間に4個より多いボール、例えば、1辺当たり最大7個のボール、または合計で最大14個のボールを有することができる。ボール520は、酸化アルミニウムまたは他のセラミック材料、金属、あるいはプラスチック材料から作製され得る。典型的なボール直径は、0.3~1mmの非限定的な範囲であってもよい。他のボールサイズおよび位置決めの考慮事項については、「Rotational Ball Guided Voice Coil Motor」という名称の、共同所有の国際PCT特許出願第PCT/IB2017/052383号と同様であってもよい。
【0093】
レンズアセンブリ502および504は例示的にプラスチック成形されているので、部品寸法にはある程度の許容誤差があり、典型的には各寸法に対して数十ミクロン以下である。この許容誤差は、隣接する(対向する)溝542a、542bと溝642a~642dとの間の位置ずれにつながる可能性がある。溝をより良好に位置合わせするために、いくつかの溝(例えば、542a、542bおよび642c、642d)はV字型であってもよく、すなわち、ボールの位置決めを確実にするためにV断面形状を有し、溝642a、642bは、より広い、台形断面を有してもよい。溝542bおよび溝642c、642dは、組み立て中に位置合わせされるが、溝542aおよび溝642a、642bの位置合わせは、後者の溝が台形断面を有するため、小さな隙間を有する。台形の溝の断面は単なる例示であり、他の溝の断面形状(例えば、長方形、フラット等)を使用してもよく、その結果、1対の溝は溝の形状によって良好に位置合わせされ、他の1対の溝は位置合わせしても隙間が生じる。
【0094】
本明細書に提示される設計、3つのレンズ素子群の正確な位置合わせが可能となる。レンズ素子群G1およびG3は、同じ部品に機械的に固定されており、製品のライフサイクル中に位置合わせを維持することができるので、互いに良好に位置合わせされる。いくつかの実施態様において、レンズアセンブリ504は、1つの部品として成形され、レンズ素子群G1~G3の位置合わせはプラスチック成形公差に基づく。いくつかの実施形態において、レンズアセンブリ504は、能動的または受動的な位置合わせ手順を使用して、工場で接着されるいくつかの部品として成形される。レンズ素子群G2は、単一の溝対(542bおよび642cおよび/または642d)を使用してレンズ素子群G1およびG3に位置合わせされ、すなわち、レンズアセンブリ502および504は、中間部品なしで互いに位置合わせされる。
【0095】
4個のボール522は、溝712a、712bの上部(各溝の上部に2個のボール)および溝624a~624dの下部に配置され、該ボール522がレンズアセンブリ502をベースアセンブリ510から分離し、2つの部品が互いに接触しないようにしている。他の実施形態では、モジュール500は、4個より多いボール、例えば、1辺当たり最大7個のボール、または合計で最大14個のボールを有することができる。ボール522に関するサイズ、材料、および他の考慮事項は、ボール520のものと同様である。溝712a、712bおよび624a~624dに関する他の考慮事項は、上述したように、溝542a、542bおよび642a~642dの考慮事項と同様である。
【0096】
モジュール500はさらに、ベースアセンブリ510に固定的に取り付けられた(例えば、接着された)いくつかの強磁性ヨーク716(
図7)を含み、各ヨークがステッピング磁石626および628のうちの3つの下方(Y方向に沿って)に配置されている。他の実施形態では、強磁性ヨーク716がシールド107の固定部分であってもよい。さらに他の実施形態では、上記ヨークが上記シールドの一部であるように、シールド107自体を強磁性材料から作製することができ、またはシールド107の底部を強磁性材料から作製することができる。各強磁性ヨーク716は、ステッピング磁石626または628のいくつかを負のY方向の磁力によって引っ張り、したがって、すべてのヨークは上部作動アセンブリ550および下部作動アセンブリ560の両方が互いに離脱するのを防止するとともに、ベース510およびシールド107から離脱するのを防止する。ボール520は、上部作動アセンブリ550が下部作動アセンブリ560に接触するのを防止し、ボール522は、下部作動アセンブリ560がベースアセンブリ510に接触するのを防止する。したがって、上部作動アセンブリ550および下部作動アセンブリ560の両方は、Y軸に沿って閉じ込められ、Y方向には移動しない。溝およびボール構造はレンズ光軸116(Z軸)に沿ってのみ移動するように、上部作動アセンブリ550および下部作動アセンブリ560をさらに閉じ込める。
【0097】
図7は、モジュール500内のベースアセンブリ510および固定レールの詳細を示す。Z方向に沿って、上部作動アセンブリ550は、機械的ストップ706と機械的ストップ708との間を、それらの間のレンズ素子群G2の所要ストローク(約1~3mm)に等しい距離で移動するように制限される。また、Z方向に沿って、下部作動アセンブリ560は、機械的ストップ720a、720bと機械的ストップ722a、722bとの間および/またはプルストップ磁石702a、702bと704a、704bとの間を移動するように制限される。
【0098】
図8は、モジュール500内のEMアセンブリ508の詳細を示す。EMアセンブリ508は、第2のコイル818と、2つのホールバー素子(「ホールセンサ」)834aおよび834bと、PCB822とを含む。第2のコイル818およびホールバー素子834a、834bは、PCB822に(それぞれ個別に)はんだ付けされてもよい。第2のコイル818は、例示的には矩形形状を有し、典型的には数十のコイル巻線(例えば、非限定的な範囲は50~250)を含み、典型的な抵抗は10~40オームである。PCB822は、入力電流および出力電流を第2のコイル818およびホールバー素子834a、834bに送ることを可能にし、当該電流は動作に必要な電力信号および電子信号の両方を搬送する。PCB822は、ワイヤ(図示せず)によって外部カメラに電子的に接続されてもよい。一例(
図5E)では、EMアセンブリ508が第2の磁石516の隣に配置される。第2の磁石516は分割磁石であって、真ん中の分割線516aで2つの側に分離されており、分割線516aの一方の側において、磁石516は正のX方向に対向する北磁極を有し、かつ、分割線516aの他方の側において、磁石516は、正のX方向に対向する南磁極を有する。第2のコイル818に電流を駆動すると、ローレンツ力が第2の磁石516上に生成される。一例では、時計回り方向に第2のコイル818を流れる電流が第2の磁石516上に正のZ方向にローレンツ力を誘発し、反時計回り方向に第2のコイル818を流れる電流は第2の磁石516上に負のZ方向にローレンツ力を誘発する。
【0099】
ホールバー素子834a、834bは、各ホールバー素子の中心におけるX方向(強度および符号)の磁界を測定するように設計される。ホールバー素子834a、834bは、第2の磁石516の磁界の強度および方向を検出することができる。一例では、PCB822上のホールバー素子834aの位置決めは以下のようになる。
1.X方向において、ホールバー素子834aおよび834bの両方は距離(例えば、0.1~0.5mm)だけ磁石516から離され、その距離は一定であるが、磁石516はズームまたはフォーカスの必要性のために移動している。
2.上記システムが第1のズーム状態(EFLT=15mm)であるとき、ホールバー素子834aは、Z方向に沿って分割線516aに近い。例えば、第1のズーム状態(マクロ連続的に無限遠から1メートル)における全ての焦点位置に対して、ホール要素834bは、分割線516aからZ方向に沿ってRAFまで離れている。
3.上記システムが第2のズーム状態(EFLT=30mm)であるとき、ホールバー素子834bは、Z方向に沿って分割線516aに近い。例えば、第1の状態ズーム(マクロ連続的に無限遠から1メートル)における全ての焦点位置に対して、ホール要素834bは、分割線516aからZ方向に沿ってRAFまで離れている。
【0100】
このような位置決め方式では、システムが第1のズーム状態にあるとき、ホールバー素子834aがZ方向に沿った第2の磁石516のそれぞれの位置を測定することができるが、これは第1のズーム状態において、X方向の磁場が、無限遠の焦点位置と1メートルの焦点位置との間のR
AFに沿ったホールバー834aの軌道上に測定可能な勾配を有するためであり、X方向の磁場は位置に相関させることができる。加えて、システムが第2のズーム状態にあるとき、ホールバー素子834bがZ方向に沿った第2の磁石516のそれぞれの位置を測定することができるが、これは第2のズーム状態において、X方向の磁場が、無限遠の焦点位置と1メートルの焦点位置との間のR
AFに沿ったホールバー834bの軌道上に測定可能な勾配を有するためであり、X方向の磁場は位置に相関させることができる。制御回路(図示せず)を集積回路(IC)内に実装して、いずれかのズーム状態で動作している間、EMアセンブリ508(およびEMアセンブリ508が堅固に結合されているベースアセンブリ510)に対する第2の磁石516の位置を閉ループで制御することができ、ズーム状態(
図10および以下の説明を参照)間を移動している間、開ループで制御することができる。場合によっては、ICをホール素子834a、834bの一方または両方と組み合わせることができる。他の場合には、ICがモジュール500(図示せず)の外側または内側に配置することができる別個のチップとすることができる。例示的な実施形態では、モジュール500によって必要とされるすべての電気接続がEMアセンブリ508に接続され、このEMアセンブリ508は、ベースアセンブリ510および外界に対して静止している。そのため、いかなる可動部にも電流を伝達する必要がない。
【0101】
モジュール500の磁気電気設計により、屈曲式テレカメラ103を動作させるための以下の動作方法が可能となる。
図10は、このような例示的な方法を示すフローチャートである。ステップ1002において、テレカメラ103は、レンズ114と共に、1つの(例えば、第1の)ズーム状態において位置決めされる。ステップ1004において、テレレンズ114の焦点を合わせ直す(ユーザまたはアルゴリズムによる)判断が行われ、ホールバー素子834aからの入力を用いて(図示しない制御装置による)閉ループ制御によりG2アセンブリ504が移動され、テレカメラ103が第1のズーム状態における別の焦点位置に移動される。ステップ1008において、カメラ103のレンズ114のズーム状態を別の(例えば、第2の)ズーム状態に変更する(ユーザまたはアルゴリズムによる)判断が行われ、ステップ1010において、開ループ制御によりG1G3アセンブリ502が機械的ストップ720へ移動され、続いて、ステップ1012において、開ループ制御によりG2アセンブリ504が機械的ストップ706へ移動される。その後、ステップ1014において、ホールバー素子834bからの入力を用いて、閉ループ制御により、G2アセンブリ504が移動され、ステップ1016において、テレ屈曲式カメラ103を第2のズーム状態にしてさらに別の焦点位置に移動させる。ステップ1018において、レンズ114の焦点を合わせ直す判断が行われる。ホールバー素子834bからの入力を用いて閉ループ制御によりG2アセンブリを移動させることによって、第2のズーム状態におけるレンズ114の焦点の合わせ直しが行われる。ステップ1020において、カメラ103のレンズ114の第2のズーム状態を第1のズーム状態に変更する(ユーザまたはアルゴリズムによる)判断が行われ、ステップ1022において、開ループ制御によりG1G3アセンブリ502が機械的ストップ722へ移動され、続いて、ステップ1024において、開ループ制御によりG2アセンブリ504が機械的ストップ708へ移動される。
【0102】
いくつかの実施形態において、任意のレンズ素子L
iの2つの面S
2i-1、S
2iが、2つの切れ目(ファセット)を含む2つの開口を有する。このような場合では、レンズ素子L
iは「カットレンズ素子」と呼ばれる。上記切れ目により、レンズアセンブリを低く、および/または短くしたりすることができる。一例では、
図9Aは、軸対称性および高さH
902を有するレンズ素子902を示し、
図9Bは2つの切れ目906および908を有し、高さH
904を有するカットレンズ素子904を示す。レンズ素子902および904は、同じ直径Dを有する。明らかにH
904<H
902である。
図5に示す例では、最初の2つのレンズ要子(L
1およびL
2)がカットレンズ素子である。
【0103】
以下に説明するように、表面Sk(1≦k≦2N)ごとにクリアな高さ値CH(Sk)を定義でき、表面Sk(1≦k≦2N)ごとにクリアなアパーチャ値CA(Sk)を定義できる。CA(Sk)およびCH(Sk)は、各レンズ素子の各表面Skの光学特性を定義する。
【0104】
図11A、
図11B、
図12に示すように、表面S
k(1≦k≦2N)を通過する光線はそれぞれインパクトポイントIPに当たる。光線が表面S
1からレンズモジュール(例えば、114’、114’’、114’’’)に入り、表面S
2から表面S
2Nに連続的に通過する。一部の光線は任意の面S
kに当たるが、イメージセンサ118に到達することはできない/到達しない。所与の面S
kについて、イメージセンサ118上に画像を形成することができる光線のみが、複数のインパクトポイントIPを形成すると考えられる。CH(S
k)は、平面P上のすべてのインパクトポイントIPの直交射影IP
orthが2つの平行な線の間に位置するように、2つのできるだけ近い平行な線の間の間隔として規定される(
図12の線1200および1201を参照)(
図11Aおよび
図11Bでは、平面Pは平面X-Yに平行であり、光軸116に直交する)。CH(S
k)は、表面S
k(前面および後面、1≦k≦2N)ごとに規定することができる。
【0105】
CH(Sk)の定義は、イメージセンサ上に画像を「形成することができる」光線を指すので、現在撮像されている物体に依存しない。したがって、現在撮像されている物体が光を生成しない黒い背景に位置する場合であっても、画像を形成するためにイメージセンサに「到達することができる」任意の光線(例えば、黒い背景とは対照的に、光を放
出する背景によって放出される光線)を指すので、上記定義は、この黒い背景を指さない。
【0106】
例えば、
図11Aは、光軸116に直交する平面P上の2つのインパクトポイントIP
1およびIP
2の直交投影IP
orth,1、IP
orth,2を示す。例えば、
図11Aでは、面S
kは凸状である。
【0107】
図11Bは、平面P上の2つのインパクトポイントIP
3およびIP
4の直交投影IP
orth,3、IP
orth,4を示す。例えば、
図3Bでは、面S
kは凹状である。
【0108】
図12において、平面P上の面S
kの全てのインパクトポイントIPの直交射影IP
orthは、平行な線1200と1202との間に位置する。したがって、CH(S
k)は、線1200と線1202との間の距離である。
【0109】
図13に注目する。本開示の主題によれば、クリアアパーチャCA(S
k)は円の径として、所与の面S
k(1≦k≦2N)ごとに定義され、ここで、円は光軸116に直交し、平面P上のすべてのインパクトポイントのすべての直交投影IP
orthを取り囲む平面P内に位置する最小の円であり、CH(S
k)に関して上述したように、CA(S
k)の定義は、現在撮像されている物体にも依存しないことに留意されたい。
【0110】
図13に示すように、平面P上の全てのインパクトポイントIPの外接直交射影IP
orthは、円1300である。この円1300の径がCA(S
k)を規定する。
【0111】
結論として、本明細書に開示されるズームカメラは、以下のように特定の光学的課題を克服するように設計される。
【0112】
-EFLTmax>1.8×EFLTminまたはEFLTmax>1.5×EFLTminのレンズ設計は、該複数のズーム状態の間で切り換えることで、ユーザが光学ズームにおける著しい違いを確実に経験できるようにする。
【0113】
-いくつかの実施形態(例えば、実施例1)において、TTLTmax<EFLTmaxである。いくつかの実施形態(例えば、実施例2および3)において、TTLTmax<0.9×EFLTmaxである。このようなレンズ設計により、(Z軸に沿った)カメラの長さを減少させ得る。
【0114】
-いくつかの実施態様(実施例1~3)において、第1のレンズ素子は、他の全てのレンズ素子のクリアアパーチャよりも大きいクリアアパーチャ(S1の直径)を有する。いくつかの実施形態(モジュール500)において、第1のレンズが、カットレンズ素子である第1のレンズを有する(
図9を参照)。有利には、このようなレンズ設計が小さなカメラ高さを実現するのに役立つ。
【0115】
-ズーム状態の変化は、レンズ群の2つ以下の実際の移動量によって引き起こされる。すなわち、ズーム状態を変更するために、一部のレンズ素子群が第1の移動範囲内で一緒に移動し、残りのレンズ素子群の一部が第2の移動範囲内で一緒に移動する一方で、他のすべてのレンズ素子群は移動しない。これにより、2つの機械要素のみを移動および制御する必要があるため、アクチュエータの制御および設計が簡単になる。
【0116】
-いくつかの例において、F#Tmin<1.5×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxのである。いくつかの例において、F#Tmin<1.2×F#Tmax×EFLTmin/EFLTmaxである。このようなレンズ設計により、最初の状態において低いF#を実現し得る。
【0117】
-いくつかの例において、いずれのレンズ素子群についても、前記第1のズーム状態から前記第2のズーム状態への移動が、0.75×(EFLTmax-EFLTmin)よりも小さいストロークを有する。いくつかの例において、いずれのレンズ素子群についても、前記第1のズーム状態から前記第2のズーム状態への移動が、0.6×(EFLTmax-EFLTmin)よりも小さいストロークを有する。このようなレンズ設計により、レンズ素子の移動を制限し、および/または作動を単純化し得る。
【0118】
-焦点合わせは、ズーム状態変化のために一緒に移動するレンズ素子群の1つのさらなる移動により行うことができ、これにより、アクチュエータのデザインの簡素化および制御の改善を行うことができる。
【0119】
本明細書に開示されるレンズの特性に関して、
-3つのレンズ群を有するレンズ設計により、レンズの複雑さが最小限に抑えられる。
-(物体側から)正の力、正の力、負の力を有するレンズ群を有するレンズ設計が、ズーム状態の変更のためのレンズ群の移動が小さくなり得る。
-ズーム状態を変更する処理の一例(実施例1)において、第1のレンズ素子群G1は第1の量だけ移動し、第3のレンズ素子群G3は第2の量だけ移動するが、第2のレンズ素子群G2は移動しない。G3のより遠い移動は、焦点合わせのために使用され得る。
-ズーム状態を変更する処理の別の例(実施例2)において、G1はG3と一緒に第1の量だけ移動し、G2は第2の量だけ移動する。G2のより遠い移動は、焦点合わせのために使用され得る。
-ズーム状態を変更する処理のさらに別の例(実施例3)において、G1は第1の量だけ移動し、G3は第2の量だけ移動し、G2は移動しない。第1のG1のさらなる移動は、焦点合わせのために使用され得る。
-ズーム状態を変更する処理のさらに別の例(実施例4)において、G1はG3と一緒に移動し、G2は移動しない。第1のG2のさらなる移動は、焦点合わせのために使用され得る。
-ズーム状態を変更する処理のさらに別の例(実施例5)において、G1はG3と一緒に移動し、G2は移動しない。G3と一緒のG1のさらなる移動は、焦点合わせのために使用され得る。
-ズーム状態を変更する処理のさらに別の例(実施例6)において、G1はG3と一緒に第1の量だけ移動し、G2は第2の量だけ移動する。3つのレンズ群全ての一緒のさらなる移動(したがって、G1、G2、およびG3の一緒の移動)は、焦点合わせに使用され得る。
【0120】
表25は、例示的な移動(「ストローク」)範囲を有する、各実施例における移動を要約したものである。
【表25】
複数のレンズ群が焦点合わせのために移動するものとして示される表25に示す例は、表25中で定義されたレンズ群が焦点合わせのために1つのユニットとして一緒に移動する設計を指すことがある。いくつかの実施形態(例えば、実施例5および6)において、いくつかのレンズ群を一緒に移動させることは、それぞれのレンズ群をしっかりと結合することによって容易にされ得る。
【0121】
G1の範囲、G2の範囲、G3の範囲で示される値は、イメージセンサに対するレンズ群の全体的な移動の最大範囲を指す。
【0122】
「AF最大範囲」の行に示す値は、表2、表6、表10、表14、表18、表22(上記参照)のそれぞれ関連する表に従って、無限遠と1メートルまたは2メートルとの間で焦点を合わせるために必要な「焦点合わせのために移動させる群」の行に定義されたイメージセンサに対するレンズ群の最大移動範囲を指す。ほとんどの実施形態において、AF最大範囲は、より高いズーム状態、すなわち、EFLTmaxを有する状態に対するレンズ群の移動によって与えられる。
【0123】
いくつかの実施形態において、G1およびG3が静止状態にあってもよく、すなわち、G1およびG3は移動せず、一方、G2はズーム状態を変更するために移動させてもよい。
【0124】
図14は、番号1400が付され、本明細書に開示される少なくとも1つのマルチズーム状態のカメラを有するマルチアパーチャカメラを含む電子デバイスの実施形態を概略的に示す。電子デバイス1400は、OPFE1412を含む第1のカメラモジュール1410と、第1のイメージセンサ1416によって記録された第1の画像を形成する第1のレンズモジュール1414とを備える。第1のレンズアクチュエータ1418は、焦点合わせおよび/または光学像安定化(OIS)のために、および/または2つの異なるズーム状態の間で変化させるために、レンズモジュール1414を移動させることができる。いくつかの実施形態において、電子デバイス1400がアプリケーションプロセッサ(AP)1440をさらに備え得る。いくつかの実施形態において、第1の較正データは、カメラモジュールの第1のメモリ1422、例えばEEPROM(登録商標、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ)に格納され得る。他の実施形態において、第1の較正データは、電子デバイス1400のNVM(不揮発性メモリ)などの第3のメモリ1450に格納され得る。第1の較正データは、較正データの1つまたは複数のサブセット、例えば、第1のズーム状態のワイドカメラおよびテレカメラのセンサ間の較正データを含む第1のサブセット、および/または第2のズーム状態のワイドカメラおよびテレカメラのセンサ間の較正データを含む第2のサブセット、および/または第1のズーム状態のテレカメラのセンサと第2のズーム状態の同じセンサとの間の較正データを含む第3のサブセット、を含み得る。電子デバイス1400は、第2のイメージセンサ1434によって記録された画像を形成する第2のレンズモジュール1432を含む第2のカメラモジュール1430をさらに備える。第2のレンズアクチュエータ1436は、焦点合わせおよび/またはOISのために、および/または2つの異なるズーム状態の間で変化させるために、レンズモジュール1432を移動させ得る。いくつかの実施形態において、第2の較正データは、カメラモジュールの第2のメモリ1438に格納され得る。他の実施形態において、第2の較正データは、電子デバイス1400の第3のメモリ1450に格納され得る。第2の較正データは、例えば上述のように、較正データの1つまたは複数のサブセットを含み得る。
【0125】
使用時には、AP1440などの処理ユニットは、カメラモジュール1410およびカメラモジュール1430から第1画像データおよび第2の画像データをそれぞれ受け取り、カメラ制御信号をカメラモジュール1410および1430に供給し得る。いくつかの実施形態において、AP1440は、第3のメモリ1450から較正データを受信し得る。他の実施形態において、AP1440は、カメラモジュール1410上に配置された第1のメモリと、カメラモジュール1430上に配置された第2のメモリとにそれぞれ格納された較正データを受信し得る。さらに別の実施形態において、AP1440は、カメラモジュール1410上に配置された第1のメモリ、およびカメラモジュール1430上に配置された第2のメモリにそれぞれ格納された較正データを、電子デバイス1400の第3のメモリ1450からも受信し得る。いくつかの実施形態において、デバイス1400のような電子デバイスが、屈曲式レンズ設計およびOPFEで実現される複数のカメラモジュールを含み得る。他の実施形態において、2つ以上のカメラモジュールが、OPFEなしで、屈曲式レンズ設計構造ではなく、別のレンズ設計構造で実現され得る。AP1440は、第3のメモリ1450に格納されたデータにアクセスすることができる。このデータは、第3の較正データを含み得る。画像生成器1444は、較正データおよび画像データに基づいて画像を出力するように構成されたプロセッサであり得る。画像生成部1444は、出力画像を出力するために、較正データおよび画像データを処理し得る。
【0126】
カメラ較正データは、以下のものを含み得る。
-カメラモジュール1410と1430との間のステレオ較正データ、具体的には、例えば、テレカメラの2つの異なるズーム状態の異なるレンズと異なるレンズズーム状態との全ての可能な組み合わせのための、ステレオ較正データ。ステレオ較正データは、6自由度、例えば、ピッチ、ヨー角およびロール角、およびx軸、y軸およびz軸における偏心を含み得る。
-カメラモジュール1410とカメラモジュール1430との間のステレオ較正データ、具体的には、例えば、テレカメラの2つの異なるズーム状態の、異なるズーム状態の考えられるすべての組み合わせのための、ステレオ較正データ。これらのデータは、6自由度を含み得る。
-カメラモジュールごと、および異なるズーム状態(テレカメラの2つの異なるズーム状態)ごとの焦点距離や歪プロファイルなどの固有のカメラパラメータ。
-異なるズーム状態(例えば、無限遠、1m、および最も近い焦点)のそれぞれにおける異なる焦点位置に対応し得るホールセンサ位置値。
-異なるズーム状態のそれぞれに対するレンズモジュールのレンズシェーディングプロファイル。
【0127】
図15Aは、オートフォーカスを備え、番号1500を付したデュアルアパーチャズームカメラの一実施形態を、全体等角図および断面等角図において、概略的に示す。カメラ1500は、1502および1504と表記された2つのカメラモジュールを備え、各カメラモジュールはそれ自体の光学系を有する。したがって、カメラモジュール1502は、センサ1512だけでなく、開口1508および光学レンズモジュール1510を有する光学系ブロック1506を含む。同様に、カメラモジュール1504は、センサ1520だけでなく、アパーチャ1516および光学レンズモジュール1518を有する光学系ブロック1514を含む。各光学レンズモジュールは、赤外線(IR)フィルタ1522aおよび1522bだけでなく、いくつかのレンズ素子を含み得る。必要に応じて、異なるアパーチャに属するレンズ素子の一部または全部を、同じ基板上に形成してもよい。2つのカメラモジュールは、2つのアパーチャ1508および1516の中心間にベースライン1524を置いて、互いに隣接して配置される。各カメラモジュールは、コントローラ(図示せず)によって制御される、それぞれ1526および1528のAF(auto-focus)機構および/または光学的手ぶれ補正(optical image stabilization: OIS)のための機構をさらに含むことができる。
【0128】
図15Bは、XYZ座標系に関連する断面等角図において、屈曲式テレレンズを有するズームおよびオートフォーカスデュアルアパーチャカメラ1530の実施形態を概略的に示す。カメラ1530は、2つのカメラモジュール、すなわち、ワイドカメラモジュール1532およびテレカメラモジュール1534を備える。ワイドカメラモジュール1532は、それぞれのアパーチャ1538を有する広い光学系ブロックと、Y方向に対称(および光学)軸1542を有するレンズモジュール1540と、ワイドイメージセンサ1544とを含む。テレカメラモジュール1534は、それぞれの開口1548を有するテレ光学系ブロックと、テレレンズ対称(および光学)軸1552aを有する光学レンズモジュール1550と、テレイメージセンサ1554とを含む。カメラ1530は、OPFE1556をさらに備える。テレ光路は、物体(図示せず)からテレレンズを通ってテレセンサまで延長され、矢印1552bおよび1552aで表記される。種々のカメラ素子はここに示されるように、基板1562上、例えばプリント回路基板(printed circuit board: PCB)、または異なる基板(図示せず)上に実装されてもよい。
【0129】
図15Cは、1つの屈曲式テレカメラモジュール1534を有するズームおよびオートフォーカストリプルアパーチャカメラ1570の全体等角図における実施形態を概略的に示す。カメラ1570は、例えば、カメラ1530の素子および機能を含む。すなわち、カメラ1570は、ワイドカメラモジュール1532、OPFE1556を備えたテレカメラモジュール1534を含む。カメラ1570は、超ワイドレンズ1574およびイメージセンサ1578を有する超ワイドカメラであり得る第3のカメラモジュール1572をさらに含む。他の実施形態において、第3のカメラモジュール1572は、ワイドカメラモジュールおよびテレカメラモジュールのものの中間にあるEFL
MおよびFOV
Mを有し得る。第3のカメラモジュールの対称(および光学)軸1576は、カメラモジュール1532の軸1542と実質的に平行である。第1のカメラモジュールと第3のカメラモジュールが特定の配置(テレカメラモジュール1534により近い第3のカメラモジュール1572を備えている)で示されているが、ワイドカメラモジュールと超ワイドカメラモジュールが場所を交換できるように、この順序は変更されてもよいことに留意されたい。
【0130】
図16A~Hは、本明細書に開示され番号1600を付された、テレレンズおよびセンサのモジュールの第2の実施形態を概略的に示す。モジュール1600は、表25の実施例6の光学設計を有する。モジュール1600は、レンズ114’、114’’、114’’’、114’’’’、114’’’’’、114’’’’’’のズーム状態の間で変更する(「EFL切り換え(EFL switching)」とも呼ばれる)ためのアクチュエータ1610を含む。
図16Aは、上面斜視からの、最小のEFL(EFL
Tmin)の状態におけるモジュール1600を概略的に示し、
図16Bは、上面斜視からの、最大のEFL(EFL
Tmax)の状態におけるモジュール1600を概略的に示している。
図16Cは、上面斜視からの、EFL
Tminの状態におけるモジュール1600の部分を概略的に示し、
図16Dは、上面斜視からの、EFL
Tmaxの状態におけるモジュール1600の部分を概略的に示す。
図16Eは、EFL
Tminの状態におけるモジュール1600の部分を側面図で概略的に示し、
図16Fは、EFL
Tmaxの状態におけるモジュール1600の部分を側面図で概略的に示す。
図16Gおよび
図16Hは、上面斜視からの、EFL
Tminの状態におけるモジュール1600の部分を概略的に示す。
【0131】
モジュール1600は、G1G3アセンブリ502と、G2アセンブリ504と、センサアセンブリ506と、モジュールハウジング1612と、レンズフレーム1618と、2つのペア1602aおよび1602bに配置された4つの形状記憶合金(SMA)スプリングと、2つの機械的(通常の)スプリング1604a、bと、G2ストップ1614a、1614bおよび1616a、1616bと、AF作動機構1620と、を備える。G2レンズストップ1614a、bおよび1616a、bは、モジュール1600の物体(イメージセンサ506)側に向かうレンズ群G2の変位を制限してもよい。アクチュエータ1610は、SMAスプリング1602と、機械的(通常の)スプリング1604と、を備える。SMAスプリング1602の寸法の例示的な値は、0.5mmのスプリング直径と、0.05mmのワイヤ直径と、数十のコイル巻き数と、を含む。このようなスプリングが作り出すことができる力は、数グラムのオーダーである。上部から見たモジュール1600(例えば、
図16Cおよび
図16Dにおけるモジュール1600)を考慮すると、一対のSMAスプリング(1602a)および1つの機械的スプリング1604aは、該レンズアセンブリの右手側に位置し、一対のSMAスプリング(1602b)および1つの機械的スプリング1604bは、該レンズの左手側に位置する。スプリング1602a(1604a)および1602b(1604b)は、光軸116に関して対称的に、該モジュールの両側に配置される。スプリング1602a(1604a)および1602b(1604b)は、同一の諸特性を有してもよい。G1G3アセンブリ502およびG3 504は、レンズ光軸116を共有している。モジュール1600は、上部カバーを備えてもよいが、該上部カバーは、視認性の理由からここには図示されていない。
【0132】
G1G3アセンブリの2つのレンズ群は、それらの間の光軸116に沿った距離が一定となるように、2つのピンまたは棒1606(
図16B)を介して互いに固定されて接続されている。G1、G3および棒1606を備える該アセンブリは、本明細書では、「G13アセンブリ」と称される。棒1608は、光軸116に平行であり、レンズフレーム1618全体にわたって存在している。棒1608は、レンズ群G1+G3およびG2の移動を案内し、それらのレンズ群は、棒1608上をスライドすることで移動する。G2は、モジュール1600の一方の側ではG2ストップ1614aと1616aとの間を、モジュール1600の他方の側ではG2ストップ1614bと1616bとの間を、棒1608上で「浮動(float)」することができる。G13アセンブリは、モジュールハウジング1612およびイメージセンサ506に対して移動可能であり、2つの有効焦点距離EFL
TminおよびEFL
Tmaxを提供する。イメージセンサ506に向かう方向への、およびイメージセンサ506から離れる方向への光軸116に沿ったG13アセンブリの変位は、SMAスプリングおよび機械的スプリングを介して行われる。各スプリングペア1602内の2つのSMAスプリングは、互いに、および光軸116に対して、平行であってもよく、それらの一端がG3に固定され、他端がレンズフレーム1618に固定されるようにして、接続されてもよい。(光軸116に対して平行でもある)機械的スプリング1604の一端は、G1に固定されてもよく、他端は、レンズフレーム1618に固定されてもよい。
【0133】
既知のSMAの特性および効果に基づいて、イメージセンサ506に向かう方向への、および、イメージセンサ506から離れる方向へのG13アセンブリの変位は、以下のように誘導され得る:加熱されると、SMAスプリング1602が収縮し、その内部の応力が著しく増加し、結果として、大きな圧縮力が生じる。逆に、冷却されると、その内部の応力は著しく減少し、その結果、小さな圧縮力が生じる。したがって、例えばそれらを通る電流を駆動することによって、SMAスプリング1602を加熱すると、機械的スプリング1604の逆の圧縮力に打ち勝つべく、その圧縮力を制御することができる。その結果、イメージセンサ506から離れる方向へのG13アセンブリの変位が生じる。対照的に、通常は電流の供給をオフにすることでなされるのだが、SMAスプリングを環境温度(例えば60℃)まで緩めると、機械的スプリング1604の圧縮力は、SMAスプリング1602の力に打ち勝ち、その結果、イメージセンサ506に向かってG13アセンブリが変位する。
【0134】
図16Gおよび
図16Hは、AF作動機構1620の詳細を示す。機構1620は、カメラ103のようなカメラの焦点を合わせるために使用される。機構1620は、2つのコイル1622aおよび1622bと、フレーム1618に固定されて結合される磁石アセンブリ1624と、PCB(
図16Gおよび
図16Hには示されない)にはんだ付けされ得るホールセンサ1626と、を備える。コイルは、実質的にY-Z平面内に位置する、平坦な底面および上面を有し、該コイルは、(レンズ光軸、ならびに、G1、G2およびG3の移動方向に平行な)Z方向に沿って互いに配置されている。該結合は、コイル1622aおよび1622bに入力電流および出力電流を送ることを可能にし、該電流は、動作に必要な電力信号および電子信号の両方を運ぶ。ホールセンサ1626は、モジュールハウジング1612(後者は、
図16Gおよび
図16Hには示されない)に固定されて結合されてもよく、また、モジュールハウジング1612およびイメージセンサ506に対するレンズフレーム1618の位置を決定するために使用される。磁石アセンブリ1624は、それぞれ2つの偏極(polarization)を有する2つの分割磁石1624aおよび1624bを備え、その2つの偏極は、互いに直交し、磁石表面に対して法線(反法線)方向である。磁石アセンブリ1624中のものと同様の分割磁石(およびVCMにおけるその機能)についての詳細は、
図5A~Eにおける磁石512に対して上述される。該偏極は、それぞれ1624aおよび1624bの関連領域のハッチングによって示されている。焦点合わせは、コイル1622aおよび1622bを通る電流を駆動することによって達成される。
【0135】
図17A~Dは、本明細書に開示され番号1700を付された、テレレンズおよびセンサのモジュールの第3の実施形態を概略的に示す。モジュール1600と同様に、モジュール1700は、表25の実施例6の光学設計を有する。
図17Aは、上面斜視からのEFL
Tminの状態におけるモジュール1700を概略的に示し、
図17Bは、上面斜視からの、EFL
Tmaxの状態におけるモジュール1700を概略的に示す。
図17Cは、上面斜視からの、EFL
Tmaxの状態におけるモジュール1700の部分を概略的に示し、
図17Dは、モジュール1700の部分を概略的に示す。
【0136】
モジュール1700は、レンズ114’、114’’、114’’’、114’’’’、114’’’’’、114’’’’’’のズーム状態および焦点状態の間で変更するためのVCM機構1710を備える。モジュール1700は、G1G3アセンブリ502と、G2アセンブリ504と、センサアセンブリ506と、モジュールハウジング1612と、レンズフレーム1706と、をさらに備える。VCM機構1710は、該モジュールの各側における2つのVCM1710aおよび1710bと、2つのG2レンズストップ1702および1704と、を備える。レンズストップ1702および1704は、モジュール1700の物体(イメージセンサ506)側に向かうG2の変位を制限してもよい。上から見たモジュール1700(例えば、2つの向かい合う側からの
図17Cおよび
図17Dに示されている)を考慮すると、VCM1710aおよび1710bは、同一の構造および特性を有してもよい。レンズアセンブリ502および504は、レンズ光軸116を共有する。モジュール1700は、視認性の理由からここでは示されていない上部カバーを備えてもよい。
【0137】
VCM機構1710は、2つのコイルアセンブリ1730aおよび1730b、ならびに、2つの磁石アセンブリ1720aおよび1720bを備えており、それらはそれぞれ、VCM1710a、1710bの構成要素である。コイルアセンブリならびに磁石アセンブリ1720aおよび1720bは、光軸116に関して対称的に、該モジュールの両側に位置している。しかし、VCM1710aおよび1710bは、後述するように、ホールセンサの数および位置に関して、互いに異なっている。例示的に、
図17A~17Dに示される実施形態では、コイルアセンブリ1730aおよび1730bは、それぞれ4つのコイル1730c、1730d、1730eおよび1730f(
図17Cも参照せよ)を含み、磁石アセンブリ1720aおよび1720bは、それぞれ2つの磁石1720c、dを含んでおり、各磁石は2つの偏極を有している(
図17Dも参照せよ)。磁石アセンブリ1720aは、該モジュールの一方の側(例えば、見る者から離れる方へと向けられた側)に配置され、磁石アセンブリ1720bは、モジュールのもう一方の側(すなわち、見る者の方へと向けられた側)に配置される。
【0138】
図17Aおよび
図17Bでは、仮に図示すればVCM機構1710を覆うことになるハウジング1612の特定の部分(すなわち、外壁)は、明瞭さおよび視認性の理由から図示されていない。
図17Cは、VCM機構1710を強調するために、ハウジング1612のないモジュール1700を示している。
図17Dは、VCM機構1710の磁石アセンブリ1720を強調するために、ハウジング1612がなく、また、コイルアセンブリ1730もないモジュール1700を示している。コイルアセンブリ1730は、コイルアセンブリ1730内のコイルに入力電流および出力電流を送ることを可能にするPCB(
図17Cには図示せず)に固定(例えば、はんだ付け)されてもよい。該電流は、動作に必要な電力信号および電子信号の両方を運ぶ。PCBは、ハウジング1612に固定されて結合(例えば、接着剤による接着)されてもよく、磁石アセンブリ1720は、レンズフレーム1706に固定されて結合される。
【0139】
図17Eは、磁石アセンブリ1720を示す。磁石アセンブリ1720は、異なる方向の矢印によって示される、4つの交互の偏極を有する単一の磁石を備えてもよく、該偏極は、磁石の表面に対して法線(または反法線)方向を向いている。あるいは、例えば製造の複雑さを低減するために、4つの偏極を有する単一の磁石を、矢印で示すように2つの偏極を有する2つの磁石を含む、磁石サブアセンブリ1720’に置き換えてもよい。
【0140】
図17Fは、EFL
Tminの状態とEFL
Tmaxの状態との間のVCM1710aおよび1710bによる作動方法を概略的に示している。
図17Eに示す磁石内のサブ領域の磁気は、ハッチングによって示されている。VCM1710aおよび1710bは、既知のおよび既定のシークエンスで、異なるコイルを通る電流を駆動することによって動作する。例えば、z軸に沿って(zの値がより大きくなる向きに)磁石を伝えるために、以下のシークエンスが実行されてもよい(コイル番号表記1~4については
図17Fを参照せよ):
【表26】
VCM1710aおよび1710bは、大きなストロークのVCMを表している。該ストロークの大きさ(表25参照)は、コイルの数によって決まるが、磁石のサイズは変わらない。さらに、ストロークの大きさには上限がない。つまり、ストロークを増加させるために磁石のサイズを大きくしなければならない一般的なVCMの構成とは異なり、所与の磁石に対しては、VCMに対してより多くのコイルを追加するだけで、より大きなストロークを達成することができる。理論的には、コイルを無限に追加することで、無限のストロークを達成できる。
【0141】
VCMでは、通常、磁石は動的機構の一部である一方、コイルは静的である。典型的には、磁石は、機構の質量の主要部分を構成する。その結果、速い整定時間(settling time)を達成し、磁石の体積を小さく維持することは、大きな関心事である。したがって、
図17A~
図17Jに示されるVCMの構成は、大きなストロークを導入しながらも小さな磁石の質量を維持する解決策を示す。例えば、この構成を使用すると、1つの~11mmの長さの磁石を使用することによって、~7mmのストロークを達成することができる。比較として、1つの磁石と(我々の説明のように4つではなく)1つのコイルとを使用して7mmのストロークを達成するためには、磁石の長さは~17mmでなければならない。
【0142】
図17Gおよび
図17Hは、それぞれEFL
Tminの状態およびEFL
Tmaxの状態におけるVCM1710aおよび1710bのズーム状態の切り換えを実行するための一作動方法を側面視で示す。モジュールハウジング1612に固定されて結合されたホールセンサ1708(アクチュエータ1710を露出させるためにここでは部分的に除去されている)は、EFL
Tminの状態とEFL
Tmaxの状態との間の制御された切り換えのために、モジュールハウジング1612に対するモジュールフレーム1706の位置を決定する。
【0143】
図17Iおよび
図17Jは、それぞれEFL
Tminの状態およびEFL
Tmaxの状態におけるVCM1710aおよび1710bのアクチュエータのモードを、
図17Gおよび
図17Hにおけるものとは反対側での側面視で示す。ホールセンサ1712および1714は、モジュールハウジング1612に固定されて結合され、カメラ103の焦点を合わせるためのモジュールハウジング1612に対するモジュールフレーム1706の位置を決定する。
図17Iに示すようなEFL
Tminの状態では、モジュールハウジング1612に対するモジュールフレーム1706の位置は、ホールセンサ1714によって決定される。
図17Jに示すEFL
Tmaxの状態では、モジュールハウジング1612に対するモジュールフレーム1706の位置は、ホールセンサ1712によって決定される。
【0144】
ズーム状態の切り換えのためにストロークを制御するためには、ハウジングの片側上の1つのホールセンサが使用され得る(
図17Gおよび17Hを参照せよ)。焦点合わせのためにストロークを制御するためには、EFL
Tminの状態にあるときはホールセンサ1714を使用し、EFL
Tmaxの状態にあるときはホールセンサ1712が使用され得る(
図17Iおよび
図17J)。
【0145】
図18Aおよび
図18Bは、EFL
Tminのズーム状態においてG2をG1に接着する(磁気的に結合する)ための接着サブシステム1810の一実施形態を、斜視図で示す。接着サブシステム1810は、4つのヨーク1814a、1814b、1814cおよび1814dと、4つの磁石1816a、1816b、1816cおよび1816dと、を備えてもよい。G2のG1への接着は、接着サブシステム1810のみによって、指定のアクチュエータなしに、例えばVCMなしに達成される。
【0146】
図18Cおよび
図18Dは、EFL
Tmaxのズーム状態においてG2をG3に接着するための接着サブシステム1820の別の実施形態を、斜視図で示す。接着サブシステム1820は、4つのヨーク1824a、1824b、1824cおよび1824dと、4つの磁石1826a、1826b、1826cおよび1826dと、を備えてもよい。G2のG3への接着は、接着サブシステム1820のみによって、指定のアクチュエータなしに、例えばVCMなしに達成される。
【0147】
接着サブシステム1810および1820は、磁石とヨークとの間の引力に基づいているが、専用のVCMおよびG2の位置を決定するためのセンサシステムを作ることは、オートフォーカスの冗長性を実現するために必要であり得る。
【0148】
図19A~
図19Dは、G2ストップ除去機構1900を示している。G2除去機構が、上述のようなマクロ撮影モード(または「マクロモード」)を可能にするために、モジュール1600内に、またはモジュール1700内に含まれていてもよい。G2ストップ除去機構1900は、G2ストップ1906と、機械的スプリング1902bおよびSMAスプリング1904bと、機械的スプリング1902a(ここでは見えない)およびSMAスプリング1904a(ここでは見えない)と、を含む。スプリング1904a(1902a)および1904b(1902b)は、光軸116に関して対称的に、モジュールの両側に配置される。
【0149】
図19Aは、EFL
Tmaxの状態における、G2ストップ1906が活性化された状態でのG2ストップ除去機構1900を、斜視図で示す。「活性化された(activated)」とは、機械的要素または機械的部材1908(後述するように「舌部(tongue)」とも呼ばれる)が(後述するスプリングの構成によって)係合して、G2がG1またはG3と一緒に移動するのを防ぐことを意味する。G2アセンブリ504は、G1G3アセンブリ502に磁気的に結合されるが、G2はG3に磁気的に結合されている。この構成は、テレ撮影(Tele photography)を可能にし得る。
【0150】
図19Bは、マクロモードの状態における、G2ストップ1906が不活性化された状態でのG2ストップ除去機構1900を、斜視図で示す。「不活性化された(de-activated)」とは、機械的要素または機械的部材が係合解除されて、G2の移動を妨げないことを意味する。ここで、G2アセンブリ504は、G1G3アセンブリ502に磁気的に結合されるが、G2はG1に磁気的に結合されている。この状態は、マクロ撮影に使用され得る。G2ストップを不活性にするために、SMAスプリング1904aおよび1904bが加熱され、圧縮するように、SMAスプリング1904aおよび1904bを通る電流が駆動される。該圧縮力は機械的スプリング1902aおよび1902bの収縮力よりも大きいため、G2ストップ1906は、SMAスプリング1904aおよび1904bの側でハウジング1612から離れる移動を行う(除去される)。
【0151】
図19Cは、EFL
TminまたはEFL
Tmaxの状態における、ストップ1906が活性化された状態でのG2ストップ除去機構1900の部分を示す。
図19Dは、G2ストップ1906が不活性化された状態における、G2ストップ除去機構1900の部分を示す。舌部1908は、アセンブリ504の一部であって、G2ストップ1906が活性化された場合にはG2アセンブリ504の移動を止めるものである。EFL
Tminの状態からEFL
Tmaxの状態へとズーム状態の切り換えが行われる場合には、G2はG1から分離されて、ズーム切り換えプロセスの終端に向かってG3に接続されるが、これは例えば、
図18A~Dに記載されているように、磁石に基づく機構を介して行われる。舌部1908は、G2ストップ1906が活性化された場合には、G2の移動を停止せず、G2はG1に接続されたままの状態となる。SMAスプリング1904aおよび1904bを通じてさらなる電流が駆動されない場合には、G2ストップ1906は再び活性化される。
【0152】
別の実施例では、モジュール1600またはモジュール1700またはモジュール1900は、表25の実施例6の光学設計を有してもよく、マクロモードでのマクロ撮影に使用可能であってもよい。マクロモードへ移行するには、レンズ114’、114’’、114’’’、114’’’’、114’’’’’、114’’’’’’がEFL
Tminの状態でなければならない。マクロモードへ移行するとき、レンズはG2ストップ1906が不活性化されたEFL
Tminの状態でなければならない。その後、レンズはG2ストップ1906が不活性化されたEFL
Tmaxへと切り換えられる。
図19Bに示されるように、G2レンズストップの除去のために、G2はG1に接着したままである。
【0153】
表25の実施例6の光学設計で、例えばM=0.44の最大マクロモード倍率Mが達成される。ここで、Mは、イメージセンサ面上の物体の像の大きさと実際の物体の大きさとの比率を指す。これは薄いレンズの近似
【数3】
によるものであり、EFL=13mm、レンズ‐像距離v=19mmのとき、物体‐レンズ距離u=42mmであり、したがって、倍率M=19/43=0.44となる。この最大倍率は、
図19Bに示すようなレンズの構成で達成される。ここで、G1、G2およびG3は、物体に向かって(すなわち、センサから離れる方向へ)できるだけ遠くに、一緒に移動される。
【0154】
(無限遠の物体に対する)ゼロ倍率までのより小さな倍率Mは、連続的に選ばれ得る。倍率をより小さくするためには、レンズ群は、マクロモードの構成(G1がG2に接着されることで定められる)でなければならず、G1、G2およびG3は、イメージセンサに向かって一緒に移動させられなければならない。
【0155】
例えば、倍率M=0.23が望ましい倍率であり得る。Mmaxの状態からM=0.23に切り換えるためには、レンズをマクロモードの構成にし、G1、G2およびG3を一緒にイメージセンサに向かって3mm移動させなければならない。上記の薄いレンズの近似によれば、EFL=13mm、レンズ‐像距離v=16mmのとき、物体‐レンズ距離u=69mm、したがって、倍率M=16/69=0.23となる。
【0156】
Mmaxの状態からゼロ倍率(すなわち、M=0)のMminの状態に切り換えるためには、マクロモードの構成において、G1+G2+G3を一緒にイメージセンサに向かって6mm移動させなければならない。すると、EFL=13mmおよびレンズ‐像距離v=13mmであり、これはM=0に変換される。
【0157】
本開示は、限定数の実施形態を記載しているが、このような実施形態の多くの変形形態、修正形態、および他の出願が行われ得ることが理解されるであろう。一般に、本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されるべきである。
【0158】
本明細書において言及される全ての参考文献は、それぞれの個々の参考文献があたかも、参考として本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されるかのように、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または識別は、そのような参考文献が本出願の先行技術として利用可能であることを容認するものと解釈されるべきではない。