(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】旋回ポンプ用の安全装置
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20241011BHJP
F04C 28/28 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
F04C18/02 311E
F04C28/28 B
(21)【出願番号】P 2021547858
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 GB2020050379
(87)【国際公開番号】W WO2020169958
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】マクブライエン ピーター アンソニー
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-177934(JP,A)
【文献】特開2009-030607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/02
F04C 28/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回ポンプ用の安全装置であって、前記旋回ポンプは、互いに対して旋回経路をたどるように動作可能な第1の交互配置部分及び第2の交互配置部分を有し、前記安全装置は、
前記第1の交互配置部分に対して固定可能な第1の部材と、
前記第2の交互配置部分に対して固定可能な第2の部材と、
を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材を内部に収納可能な開口を定め、前記開口は、前記第1の交互配置部分が前記第2の交互配置部分に対して前記旋回経路を越えて運動するのを防止するように寸法決めされ、
前記開口は、前記第1の部材が前記旋回経路をたどる場合に、接触することなく運動を受容するように寸法決めされて
おり、
前記第1の部材と前記第2の部材との間の接触は、前記旋回ポンプの動作を防止するための信号を伝達する、安全装置。
【請求項2】
前記第1の部材は、細長く、前記第1の部材の少なくとも軸方向の一部分は、前記開口の中に収納可能である、請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記第1の部材は、前記旋回ポンプのケーシングの一部を形成する前記第1の交互配置部分に固定可能である、請求項1又は2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記第1の部材は、円形断面のロッドを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項5】
前記第2の部材は、平坦である、請求項1から4のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項6】
前記第2の交互配置部分に対する前記第1の交互配置部分の運動は、前記旋回経路をたどり、前記開口は、前記旋回経路に一致するように寸法決めされている、請求項1から5のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項7】
前記開口は、前記第1の部材が公差量を加えた前記旋回経路をたどる場合に、接触することなく運動を受容するように寸法決めされている、請求項1から6のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項8】
前記開口は、前記第1の部材が前記旋回経路を越える場合に、該第1の部材と接触するように寸法決めされている、請求項1から7のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項9】
前記開口は、前記第1の部材が公差量を加えた前記旋回経路を越える場合に、該第1の部材と接触するように寸法決めされている、請求項1から8のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項10】
前記開口及び前記第1の部材は、前記第1の交互配置部分の前記第2の交互配置部分に対する前記旋回経路を越えたさらなる運動を防止するように、寸法決めされている、請求項1から9のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項11】
前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一部が導電性である、請求項1から10のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項12】
互いに対して旋回経路をたどるように動作可能な第1の交互配置部分及び第2の交互配置部分と、
請求項1から11のいずれか1項に記載の安全装置と、
を備える旋回ポンプ。
【請求項13】
互いに対する旋回経路をたどるように動作可能な第1の交互配置部分及び第2の交互配置部分を有する旋回ポンプの前記第1の交互配置部分に対して第1の部材を固定するステップと、
前記第2の交互配置部分に対して第2の部材を固定するステップであって、前記第2の部材が、前記第1の部材を内部に収納可能な開口を定める、ステップと、
前記第1の交互配置部分が前記第2の交互配置部分に対して前記旋回経路を越えて運動するのを防止するように前記開口を寸法決めするステップと、
を
含み、
前記第1の部材と前記第2の部材との間の接触は、前記旋回ポンプの動作を防止するための信号を伝達する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、旋回ポンプ又は圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
旋回ポンプ又は圧縮機は、2つの交互配置されたスクロールで形成されたポンプ又は圧縮機であり、一方のスクロールが他方に対して旋回運動を行い、それによってスクロールの間の流体ポケットに流体を閉じ込めて圧送又は圧縮する。場合によっては、一方のスクロールは固定されるが、他方のスクロールは、回転することなく偏心して旋回するように、偏心中心をもつ駆動軸上に取り付けられる。相対的な旋回運動を生成するための別の方法は、各スクロールを同期運動であるが回転軸線がオフセットした状態で共回転させることによって行う。従って、この場合、2つのスクロールは平行な軸に取り付けられ、相対運動は、一方が旋回すると共に他方が静止する場合と同じである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
固定スクロール及び旋回スクロールの場合、両スクロールの間の相対回転に抗するために、両スクロールに結合した回転防止装置を使用し、それによってスクロールが圧送する際に半径方向のクリアランスを正確に維持することができる。回転防止装置は、回転運動に抗するだけでなく、圧送作用に必要な相対的な旋回運動を可能にすることも必要である。このような回転防止装置は存在するが、各装置は固有の欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、互いに対して旋回経路をたどるように動作可能な第1の交互配置部分(first interleaved part)及び第2の交互配置部分(second interleaved part)を有する、旋回ポンプ用の安全装置が提供され、安全装置は、第1の交互配置部分に対して固定可能な第1の部材と、第2の交互配置部分に対して固定可能な第2の部材とを備え、第2の部材は、第1の部材を内部に収納可能な開口を定め、開口は、第1の交互配置部分が第2の交互配置部分に対して旋回経路を越えて運動するのを防止するように寸法決めされている。
【0005】
第1の態様は、回転防止装置などの旋回ポンプの構成要素が故障する可能性があり、これはポンプの運動部分の間で発生する接触につながりそれが損傷を引き起こす可能性があるという既存の旋回ポンプの問題を認識する。従って、安全装置を提供することができる。安全装置は、交互配置部分を有する旋回ポンプに適合することができる。交互配置部分は、互いに対して軌跡又は旋回経路に沿って運動することができる。安全装置は、第1の交互配置部分と一緒に運動するように固定することができる第1の部材又は構成要素を備えることができる。安全装置は、第2の交互配置部分と一緒に運動するように固定することができる第2の部材又は構成要素を備えることができる。第2の部材は、開口又は隙間を備えることができる。第1の部材は、開口の中に収納されること又は位置することができる。開口は、交互配置部分の間の旋回経路よりも大きな運動を防止又は制限するような形状及び大きさとすることができる。このように、安全装置の部材は、ポンプの運動構成要素が接触するのを防止し、それによって損傷を防止するのを助ける。
【0006】
1つの実施形態において、第1の部材は細長く、少なくとも軸方向の一部分は開口の中に収納可能である。従って、第1の部材の長さの一部は、開口の中に位置することができる。
【0007】
1つの実施形態において、第1の部材は、旋回ポンプのケーシングの一部を形成する第1の交互配置部分に固定可能である。
【0008】
1つの実施形態において、第1の部材は、円形断面のロッドを含む。断面は任意の形状とすることができるが、円形断面が特に適することを理解されたい。
【0009】
1つの実施形態において、第2の部材は平坦である。
【0010】
1つの実施形態において、第2の部材はプレートである。
【0011】
1つの実施形態において、第2の交互配置部分に対する第1の交互配置部分の運動は、旋回経路をたどり、開口は、旋回経路に一致するように寸法決めされている。従って、開口の形状は、旋回経路と同じにすることができる。
【0012】
1つの実施形態において、開口は、第1の部材が旋回経路をたどる場合に、接触することなく運動を受容するように寸法決めされている。従って、交互配置部分が旋回経路を正確にたどる場合に、第1の部材は、開口の中を自由に運動することができ、第2の部材と接触しない。
【0013】
1つの実施形態において、開口は、第1の部材が公差量を加えた旋回経路をたどる場合に、接触することなく運動を受容するように寸法決めされている。従って、開口は、旋回ポンプの中の公差を考慮した量だけ拡大することができ、これは、各交互配置部分がそれらの公差の中で旋回する場合に、第1の部材が第2の部材と接触しないことを保証する。
【0014】
1つの実施形態において、開口は、第1の部材が旋回経路をたどらない場合にこれと接触するように寸法決めされている。従って、交互配置部分が旋回経路を正確にたどらない場合、第1の部材と第2の部材との間と接触が生じ、さらなる運動が防止される。
【0015】
1つの実施形態において、開口は、第1の部材が旋回経路を越える場合に開口と接触するように寸法決めされている。
【0016】
1つの実施形態において、開口は、第1の部材が公差量を加えた旋回経路と越える場合に開口と接触するように寸法決めされている。
【0017】
1つの実施形態において、開口及び第1の部材は、第1の交互配置部分の第2の交互配置部分に対する旋回経路を越えたさらなる運動を防止するように、寸法決めされている。
【0018】
1つの実施形態において、第1の部材及び第2の部材の少なくとも一部は導電性である。従って、第1の部材及び第2の部材の一部は導電性とすることができる。
【0019】
1つの実施形態において、第1の部材と第2の部材との間の接触は、旋回ポンプの動作を防止ための信号の伝達を助長する。従って、2つの部材が接触する場合に回路が完成し、それによりモーターが停止してさらなる損傷を防止することができる。
【0020】
第2の態様によれば、旋回ポンプが提供され、旋回ポンプは、互いに対して旋回経路をたどるように動作可能な第1の交互配置部分及び第2の交互配置部分と、第1の態様の安全装置及びその実施形態とを備える。
【0021】
第3の態様によれば、方法が提供され、本方法は、互いに対する旋回経路をたどるように動作可能な第1の交互配置部分及び第2の交互配置部分を有する旋回ポンプの第1の交互配置部分に対して第1の部材を固定するステップと;第2の交互配置部分に対して第2の部材を固定するステップであって、第2の部材が、第1の部材を内部に収納可能な開口を定めるステップと;第1の交互配置部分が第2の交互配置部分に対して旋回経路を越えて運動するのを防止するように開口を寸法決めするステップと;を含む。
【0022】
1つの実施形態において、第1の部材は細長く、本方法は、第1の部材の少なくとも軸方向の一部分を開口の中に収納するステップを含む。
【0023】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材を、旋回ポンプのケーシングの一部を形成する第1の交互配置部分に固定するステップを含む。
【0024】
1つの実施形態において、第1の部材は、円形断面のロッドを含む。
【0025】
1つの実施形態において、第2の部材は平坦である。
【0026】
1つの実施形態において、第2の部材はプレートである。
【0027】
1つの実施形態において、第2の交互配置部分に対する第1の交互配置部分の運動は旋回経路をたどり、本方法は、旋回経路に一致するように開口の寸法を決めるステップを含む。
【0028】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材が旋回経路をたどる場合に、接触することなく運動を受容するように、開口の寸法を決めるステップを含む。
【0029】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材が公差量を加えた旋回経路をたどる場合に、接触することなく運動を受容するように、開口の寸法を決めるステップを含む。
【0030】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材が旋回経路をたどらない場合に開口と接触するように、開口の寸法を決めるステップを含む。
【0031】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材が旋回経路を越える場合に開口と接触するように、開口の寸法を決めるステップを含む。
【0032】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材が公差量を加えた旋回経路を越える場合に開口と接触するように、開口の寸法を決めるステップを含む。
【0033】
1つの実施形態において、本方法は、第1の交互配置部分の第2の交互配置部分に対する旋回経路を越えたさらなる運動を防止するように、開口及び第1の部材の寸法を決めるステップを含む。
【0034】
1つの実施形態において、第1の部材及び第2の部材の少なくとも一部は導電性である。
【0035】
1つの実施形態において、本方法は、第1の部材と第2の部材との間の接触に応答して、旋回ポンプの動作を防止する信号を伝達するステップを含む。
【0036】
別の特定の好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、必要に応じて独立請求項の特徴と組み合わせること、及び請求項に明示的に記載されているもの以外と組み合わせることができる。
【0037】
装置の特徴が機能を提供するように動作可能であると説明される場合、これのことは、その機能を提供する又はその機能を提供するように適応又は構成された装置機能を含むことを理解されたい。
【0038】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】1つの実施形態による、スクロールポンプ又は圧縮機などの旋回ポンプ又は圧縮機を示す。
【
図2】
図1のポンプに適応された安全装置をより詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施形態をさらに詳細に検討する前に、最初に概要を説明する。実施形態は、機構を提供し、この機構は、旋回ポンプ又は圧縮機の運動構成要素が、さもなければ構成要素が接触してポンプ又は圧縮機の損傷を引き起こすであろう、期待される経路を越えて運動するのを機械的に防止する。この機構は2つの部分を有し、その一方は構成要素の一方に取り付き、他方は構成要素の他方に取り付く。一方の部分は、他方の部分の開口の中に延びる。過大な運動が生じると、各部分は互いに接触し、構成要素の更なる運動を機械的に防止する。さらに、各部分の間の接触により、ポンプモーターへの電力を遮断してそれを停止させる回路が完成し、それによってさらなる損傷を防止することができる。
【0041】
実施形態は、スクロールポンプ又は圧縮機構成などの、一般的な旋回ポンプ又は圧縮機の両方に、すなわち一方のスクロールが静止し他方のスクロールが旋回するタイプ1及び両方のスクロール構成要素が回転するタイプ2の両方に適用することができる。
【0042】
ポンプ
図1は、1つの実施形態による、スクロールポンプ又は圧縮機100などの旋回ポンプ又は圧縮機を示す。スクロールは、例えば、内部で半導体製品が処理される、プロセスチャンバを排気するための真空ポンプとして使用することができる。ポンプ100は、ポンプハウジング102と、偏心軸部分106を有する駆動軸104とを備える。軸104はモーター108によって駆動され、偏心軸部分は旋回スクロール110に結合され、使用時、軸104の回転は、固定スクロール112に対する旋回スクロール110の旋回運動を与え、ポンプ100のポンプ入口114とポンプ出口116との間の流体流路に沿って流体を圧送するようになっている。
【0043】
固定スクロール112は、ポンプハウジング102の一部を形成し、略円形の底板120に対して垂直に延びるスクロール壁118を備える。旋回スクロール110は、略円形の底板126に対して垂直に延びるスクロール壁124を備える。旋回スクロール壁124は、旋回スクロールの旋回運動時に固定スクロール壁118と協働する又はかみ合う。各スクロールの相対的な旋回運動により、所定量のガスがスクロールの間に閉じ込められ、入口114から出口116に圧送される。
【0044】
上述したように、半径方向のクリアランスは正確に維持する必要があり、さもなければ2つのスクロール110、112が接触して損傷を引き起こす可能性がある。2つのスクロール110、112の相対的な運動を制限するために、ハウジング102の中には安全装置200が装着される。安全装置200は、旋回スクロール110の底板126に装着されたプレート210と、ハウジング102を貫通して装着されたロッド220とを有する。
【0045】
安全装置
図2は、安全装置200をより詳細に示す。ロッド220は、典型的にはハウジング102を貫通して延び、固定具(図示せず)に取り付く端部230を有する。固定具は、ロッド220をハウジング102にしっかり固定し、固定スクロール112に対するロッド220の位置を空間的に固定する。このロッドは、ハウジング102から旋回スクロール110に向かって延びる。プレート210は、固定開口240を有し、固定具(図示せず)は、固定開口240を貫通してプレート210を旋回スクロール110の底板126に固定する。これは、プレート210が旋回スクロール110の旋回経路をたどるように、プレート210を旋回スクロール110にしっかり固定する。
【0046】
ロッド220は、プレート210に形成された旋回開口を貫通して延びる別の端部250を有する。旋回開口は、結果として生じる旋回経路又は固定スクロール112と旋回スクロール110との間の相対運動に一致するような大きさ及び形状である。つまり、運動時にスクロールの一方の上の固定点を他方のスクロールから観察した場合に、その固定点がたどる軌跡は旋回開口に一致する。この実施形態において、旋回開口は、ポンプ100の製造公差を考慮してわずかに拡大されている。この実施形態において、この開口は一般に円形であるが、これは必須ではなく、開口は、旋回経路に一致するように形作られることを理解されたい。
【0047】
ロッド220及びプレート210の両方は導電性であり、電線260、270に接続する(ロッド220及びプレート210の一方がハウジング102に接続する場合、電線の一方は省略することができる)。電線260、270は、モーター108の動作を制御する制御装置(図示せず)に接続する。
【0048】
動作時、モーター108は駆動軸104を駆動し、旋回スクロール110は、固定スクロール112に対して旋回経路をたどる。通常の動作では、ロッド220は、旋回開口250と接触せず、代わりに、旋回開口250の中で所定の間隔で同様の経路を描く。故障が発生し、旋回スクロール110が旋回経路の外側へ公差量を越えて運動し始めると、ロッド220は、旋回開口と接触することになり、旋回開口は旋回経路の外側へのさらなる運動を機械的に防止する。さらに、ロッド220とプレート210との間の接触は、損傷を防止するために制御装置にモーター108を停止するための信号を送る回路が作られるようにする。
【0049】
従って、1つの実施形態は、揺動又は旋回ポンプ機構で使用するための衝突防止センサーを提供する。スクロール真空ポンプは、決められた旋回スクロールの半径方向の位置に依存するため、隣接する固定スクロールと衝突することはできない。スクロールの半径方向位置を決める構成要素に故障があると、部分的又は全体的な機能喪失を伴う内部損傷が発生する可能性が高い。1つの実施形態は、故障の場合に、旋回ポンプ機構自体が損傷するのを保護するために2つの機能を実行する、すなわち、第1の機能は、電気信号が機構を自動的にオフにすることを可能にし、第2の機能は、静止部分に対する揺動/旋回部分の運動を制限し、従って、内部の損傷が回避される。換言すると、1つの実施形態は、半径方向位置の喪失が生じた場合にポンプ機構を自動的に保護する。特に、1つの実施形態は、試験が無人である(すなわち、夜間及び週末に作動する)場合に、内部故障が発生した場合の損傷を防止する新しいスクロールポンプの開発が可能になる。
【0050】
1つの実施形態において、導電性のプローブは、スクロールポンプの前面カバーを貫通して突出し、絶縁マウント(PEEK又は同様の材料で作られている)の中に固定される。金属センサーリングは、内部の旋回スクロールに、この実施例ではボルト固定具を使用して取り付けられる。プローブはリングの内径の中に配置され、固定プローブに対するリングの軌跡により、スクロールの完全な旋回運動に加えて、プローブとリングとの間の追加の半径方向のクリアランスが与えられる。旋回スクロールの半径方向の制御が失われると(回転防止装置が故障すると)、プローブがリングの内径と接触して2つのことが起こることになる、すなわち、第1に、プローブとリングとの間に電気回路が完成し、第2に、さもなければ旋回スクロールと固定スクロールとの間に壊滅的な接触を引き起こすであろう、旋回スクロールの過度の回転が制限される。1つの実施形態では、揺動/旋回部分が静止部分に対して運動するのを制限することができ、従って、半径位置の通常の制御が喪失した場合でも、内部損傷を避けることができる。この機能は、他の機能と組み合わされ、故障状態でポンプを停止させる。
【0051】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書で詳細に開示されているが、本発明は、詳細な実施形態に限定されず、当業者によって特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正を行い得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0052】
100 ポンプ
102 ポンプハウジング
104 駆動軸
108 モーター
110 旋回スクロール
112 固定スクロール
114 ポンプ入口
116 ポンプ出口
118、124 スクロール壁
120、126 底板
200 安全装置
210 プレート
220 ロッド
230、250 端部
240 固定開口