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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】高分子量種のインビボでの可逆性
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20241011BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241011BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20241011BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20241011BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20241011BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
G01N33/53 D
G01N33/536 D
G01N30/88 J
C07K1/22
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021551927
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020020956
(87)【国際公開番号】W WO2020180967
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】62/944,758
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/813,529
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュベール,マリーサ
(72)【発明者】
【氏名】マンロー,トレント・シー
(72)【発明者】
【氏名】デ・グズマン,ロナンドゥロ
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515511(JP,A)
【文献】特表2015-502145(JP,A)
【文献】特表2019-503674(JP,A)
【文献】特表2014-531596(JP,A)
【文献】特表2017-503791(JP,A)
【文献】特表2008-521828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33/48
A61K39/00~39/44
A61K49/00~51/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベルをアッセイするインビトロ方法であって、
a.(i)前記治療用タンパク質を含むサンプルと、(ii)血清又は枯渇血清の画分とを含む混合物をインキュベートすることであって、前記サンプル中に存在するHMW種のレベルは、前記混合物をインキュベートする前に、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定されるか、又は前記混合物をインキュベートする前に前記サンプル中に存在するHMW種のレベルは、既知であること
b.工程(a)後の1つ又は複数の時点で、前記混合物中に存在する前記治療用タンパク質のHMW種のレベルをSECによって決定すること、
c.前記混合物中に存在するHMW種のレベルを、(a)のインキュベート前のサンプル中に存在するHMW種のレベルと比較すること、及び
d.前記治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出すること
を含み、
(i)前記治療用タンパク質は、抗体若しくはその抗原結合断片、二重特異性T細胞エンゲージャー分子、又はキメラ抗原受容体(CAR)を含み、及び(ii)前記HMW種は、約0.1ミクロン未満のサイズである、
インビトロ方法。
【請求項2】
記HMW種は、約10nm~約99nmのサイズである、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項3】
前記HMW種は、前記治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、及び八量体の内の1つ又は複数を含む、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項4】
方程式1:
【数1】
に従って、前記治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合算出される、請求項1~のいずれか一項に記載のインビトロ方法。
【請求項5】
工程(a)は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、又は少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、少なくとも約48時間、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、又は少なくとも約1週間にわたり前記混合物をインキュベートすることを含む、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項6】
前記治療用タンパク質は、約10μg/mL~約300μg/mLの最終濃度で前記混合物中に存在する、請求項に記載のインビトロ方法。
【請求項7】
前記混合物は、約87%(v/v)を超える血清又は枯渇血清の画分を含む、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項8】
前記混合物は、枯渇血清の画分を含み、及び前記血清の枯渇画分は、IgG枯渇血清画分である、請求項に記載のインビトロ方法。
【請求項9】
前記血清の枯渇画分は、約30kDa~約300kDa、予め選択された分子量範囲を有する分子が枯渇した画分である、請求項に記載のインビトロ方法。
【請求項10】
前記枯渇画分は、2回枯渇画分である、請求項に記載のインビトロ方法。
【請求項11】
前記混合物は、全血清を含む、請求項に記載のインビトロ方法。
【請求項12】
前記全血清は、ヒト血清である、請求項11に記載のインビトロ方法。
【請求項13】
前記治療用タンパク質は、蛍光標識を含むか、又は前記方法は、工程(a)前に、前記治療用タンパク質を蛍光標識で標識することをさらに含む、請求項12に記載のインビトロ方法。
【請求項14】
工程(a)後に且つ工程(b)前に、希釈工程をさらに含む、請求項13に記載のインビトロ方法。
【請求項15】
工程(a)後に且つ工程(b)前に、前記混合物の成分を分離することをさらに含む請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項16】
前記成分を、親和性クロマトグラフィーにより分離する、請求項15に記載のインビトロ方法。
【請求項17】
前記親和性クロマトグラフィーは、酸性溶出緩衝液により前記治療用タンパク質を溶出させることを含む、請求項16に記載のインビトロ方法。
【請求項18】
前記溶出させることにより、前記治療用タンパク質を含む溶出液が得られ、及び前記方法は、前記溶出液中に存在する前記治療用タンパク質のHMW種のレベルをSECによって決定することを含む、請求項17に記載のインビトロ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2019年3月4日に出願された米国仮出願第62/813,529号及び2019年12月6日に出願された米国仮出願第62/944,758号の35 U.S.C.§119(e)の下での利益が本明細書により主張されており、これらの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本明細書と同時に提出されたコンピュータ可読のヌクレオチド/アミノ酸の配列表は、その全体が参照により組み込まれ、下記のように識別される:「53990_Seqlisting.txt」という名称の270,234バイトASCII(テキスト)ファイル、2020年3月4日作成。
【背景技術】
【0003】
タンパク質の天然構造は、このタンパク質の環境内での変化に適応するように設計されている。タンパク質の生物学的機能には構造の柔軟性が必要とされているが、医薬用途の治療用タンパク質の開発では、多くの課題も存在する。生物学的活性の喪失及びタンパク質の免疫原性と関連しているアミノ酸残基の化学的改変、構造変化、凝集、及び沈殿により、治療薬としてのある特定のタンパク質の開発の困難さが増している。治療用タンパク質を投与するまでの多くの工程(例えば、産生、回収、精製、製剤化、保存、及び送達)のそれぞれの最中に、このタンパク質は改変及び構造変化を受けやすく、その結果、様々な種が形成される。治療用タンパク質の高分子量(HMW)種の形成は、このタンパク質の投与前工程の最中に起こり得る改変の1種である。HMW種は、安全性及び有効性の観点からバイオ医薬品業界にとって依然として懸念事項となっており、なぜならば、HMW種は、治療効果の低下を示す可能性があり、且つ患者に投与されると望ましくない免疫反応を引き起こす可能性があるからである。同様に、HMW種の個々の成分(治療用タンパク質)は、非共有結合を介して互いに連結されており、且つインビボでの環境は、インビトロでの状況(例えば、この治療用タンパク質のパッケージされた製剤)とは実質的に異なることを考慮すると、HMW種の量及び種類は、患者に投与されると変化する可能性がある。従って、治療用タンパク質のHMW種の量及び種類を、患者への投与前だけでなく投与後のインビボでの状況においても決定することが望ましい。多くの研究者が、インビトロでの状況での(例えば、治療用タンパク質が、他のタンパク質から単離された緩衝液中に存在するチューブ中での)HMW種形成の現象を研究しているが、そのような研究は、患者への投与後のHMW種の運命を予測するものではない。インビトロアッセイでの、よりインビボでの状況(例えば、血液タンパク質及び/又は血液細胞の存在下)における治療用タンパク質のHMW種の会合及び解離を分析することを目的としている研究者は、そのような状況下でHMW種を測定するために使用される技術には限界があることから、ほとんどいない。例えば、インビボでの状況で見出されるタンパク質は、治療用タンパク質及びそのHMW種のシグナルを隠す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、患者の体内に入った治療用タンパク質のHMW種の量及び種類を予測し得ることが非常に望ましく、そのため、関連するインビボでの状況下での治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイするインビトロ方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
初めて本明細書で説明されているのは、治療用タンパク質(及びそのHMW種)が、投与後のインビボでの状況を模倣する環境中に存在する間に、この治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイするインビトロ方法である。本明細書で示されているデータは、治療用タンパク質及びそのHMW種のシグナルを通常はマスクする血清タンパク質が存在するにもかかわらず、本開示の方法が、人工的なインビボでの状況下で経時的にHMW種の量及び種類を成功裏にモニタリングし得ることを裏付ける。本開示の方法は、インビボでの状況下での治療用タンパク質のHMW種形成の可逆性を有利に決定し得、この特性又はパラメータは、本明細書では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性として参照される。
【0006】
従って、本開示は、治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベルをアッセイするインビトロ方法を提供する。例示的な実施形態での第1の態様では、この方法は、(A)(i)この治療用タンパク質を含むサンプルと、(ii)血清又はその枯渇画分とを含む混合物をインキュベートすること、及び(B)工程(a)後の1つ又は複数の時点で、この混合物中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすることを含む。或いは、又は加えて、この混合物中の治療用タンパク質のHMW種のレベルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりアッセイする。
【0007】
同様に提供されるのは、第2の態様では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法である。例示的な実施形態では、この方法は、(A)第1の態様に係る治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベルをアッセイすることであって、(i)この方法は、インキュベートする工程(工程(A))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルをアッセイすることをさらに含むか、又は(ii)インキュベートする工程(工程(A))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルは既知である、アッセイすること、及び(B)混合物中に存在するHMW種のレベルと、インキュベートする工程(工程(A))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較することを含む。
【0008】
例示的な実施形態では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法は、この治療用タンパク質を含むサンプルと、枯渇血清とを含む混合物をインキュベートすることであって、血清の枯渇画分は、予め選択された分子量範囲を有する分子が枯渇した画分であり、任意選択的に、この予め選択された分子量範囲は、約30kDa~約300kDaであるか、又はより高く、任意選択的に、この枯渇画分は、サイズに基づくろ過により得られる、インキュベートすること、SECにより、工程(a)後の1つ又は複数の時点で、この混合物中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(b)でアッセイされる際に混合物中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、及びこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む。
【0009】
例示的な実施形態では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法は、この治療用タンパク質を含むサンプルと、枯渇血清とを含む混合物をインキュベートすることであって、この枯渇血清は、IgG枯渇血清画分であり、任意選択的に、プロテインA親和性クロマトグラフィーにより血清からIgGを除去することにより得られるIgG枯渇血清画分である、インキュベートすること、捕捉分子による親和性クロマトグラフィーにより、この混合物の成分を分離して、治療用タンパク質及びそのHMW種を含む画分を得ること、SECにより、この画分中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(c)でアッセイされる際に画分中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、並びにこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む。
【0010】
例示的な実施形態では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法は、この治療用タンパク質を含むサンプルと、全血清とを含む混合物をインキュベートすることであって、この治療用タンパク質は、蛍光標識を含む、インキュベートすること、この混合物を希釈すること、SECにより、工程(a)後の1つ又は複数の時点で、この混合物中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(c)でアッセイされる際に混合物中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、及びこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む。
【0011】
例示的な実施形態では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法は、この治療用タンパク質を含むサンプルと、全血清とを含む混合物をインキュベートすること、捕捉分子による親和性クロマトグラフィーにより、この混合物の成分を分離して、治療用タンパク質及びそのHMW種を含む画分を得ること、SECにより、この画分中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(c)でアッセイされる際に画分中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、並びにこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する4種の例示的な方法の概要である。
図2】インキュベーション期間中の様々な時点で採取されたアリコートのSECクロマトグラムの重ね合わせである。この混合物は、枯渇ヒト血清中のTP2(10% HMW)の希釈サンプルを含んだ。HMW種(HMW)と単量体の治療用タンパク質(単量体)とのピークを示す。
図3】インキュベーション期間中の様々な時点で採取された混合物のアリコートのSECクロマトグラムの重ね合わせである。この混合物は、枯渇ヒト血清中のTP2(5% HMW)の希釈サンプルを含んだ。HMW種(HMW)と単量体の治療用タンパク質(単量体)とのピークを示す。
図4】治療用タンパク質単量体、HMW種、及び共溶出血清成分(「ピーク後」)の代表的なピークを示す一連のSEC-HPLCスペクトルである。
図5】様々な溶出緩衝液を使用して得られた一連のSEC-HPLCスペクトルである。
図6】潜在的な溶出緩衝液及び洗浄緩衝液での初期TP1安定性評価中に得られた一連のSEC-HPLCスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベルをアッセイするインビトロ方法を提供する。例示的な実施形態では、この方法は、(A)(i)この治療用タンパク質を含むサンプルと、(ii)血清又はその枯渇画分とを含む混合物をインキュベートすること、及び(B)工程(a)後の1つ又は複数の時点で、この混合物中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすることを含む。例示的な態様では、この混合物中の治療用タンパク質のHMW種のレベルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりアッセイする。
【0014】
「アッセイする」は、「試験する」、又は「分析する」、又は「決定する」を意味する。一部の態様では、「アッセイする」は、「測定する」を意味する。本開示の方法によりアッセイされるか又は決定されるレベルは、相対的な測定であり得、例えば、このレベルは、参照レベルより高いか、又は低いか、又は参照レベルと同一であるという決定であり得る。例示的な態様では、この参照レベルは、血清又はその枯渇画分と混合される前のHMW種のレベルであるか、又は対象に投与される製剤中のHMW種のレベルである。そのような態様では、本開示の方法は、HMW種のレベルをアッセイし、HMW種のレベルが、血清と混合される前のHMW種のレベルよりも高いか、若しくは低いか、若しくはこのレベルと同一であることを決定し得るか、又は対象に投与される製剤中のHMW種のレベルよりも高いか、若しくは低いか、若しくはこのレベルと同一であることを決定し得る。「アッセイする」は、一部の態様では、正規化された測定値を得ることができる。例えば、正規化された測定値は、参照タンパク質(例えば血清アルブミン)に対して正規化され得る。「アッセイする」は、ある特定の場合では、絶対測定値(例えば、正規化されていなければ参照レベルに対して相対的でもない)を得る。
【0015】
本開示のインビトロ方法によりアッセイされる「治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベル」は、例示的な場合では、この治療用タンパク質(及びそのHMW種)をインビボ様の状況に置くことに基づく、この治療用タンパク質のHMW種の予測レベルである。例示的な態様では、「治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベル」は、対象への投与後に治療用タンパク質のHMW種にインビボで何が起こるかを予測するのに有用なレベルである。治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベルをアッセイする本開示の方法の例示的な態様では、この方法は、インキュベートする工程(工程(a))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルをアッセイすることをさらに含む。様々な場合では、インキュベートする工程(工程(a))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルは、既知である。インキュベートする工程(工程(a))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルをアッセイする方法を、任意の既知の適切な技術に従って実施し得る。一部の態様では、HMWのレベルは、本明細書で説明されているようにアッセイされ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)-高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、治療用タンパク質に関連する「HMW種」は、非共有結合により連結された2個以上の分子(治療用タンパク質)の形成された凝集体を意味する。HMW種として下記が挙げられるが、これらに限定されない:治療用組成物の二量体(2個の治療用タンパク質を含む)、三量体(3個の治療用タンパク質を含む)、四量体(4個の治療用タンパク質を含む)、五量体(5個の治療用タンパク質を含む)、六量体(6個の治療用タンパク質を含む)、七量体(7個の治療用タンパク質を含む)、及び八量体(8個の治療用タンパク質を含む)。例示的な態様では、HMW種は、より高次であり得、例えば、8個超の治療用タンパク質を含み得る。例えば、HMW種は下記であり得る:九量体(enneamer)(9個の治療用タンパク質を含む)、十量体(10個の治療用タンパク質を含む)、十一量体(11個の治療用タンパク質を含む)、十二量体(12個の治療用タンパク質を含む)、十三量体(triadecamer)(13個の治療用タンパク質を含む)、十四量体(quatrodecamer)(14個の治療用タンパク質を含む)、十五量体(quindecamer)(15個の治療用タンパク質を含む)、十六量体(sexdecamer)(16個の治療用タンパク質を含む)、十七量体(septendecamer)(17個の治療用タンパク質を含む)、十八量体(octodecamer)(18個の治療用タンパク質を含む)、又は十九量体(novendecamer)(19個の治療用タンパク質を含む)。様々な実施形態では、本開示の方法によりアッセイされるHMW種は、治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、及び八量体の内の1つ又は複数を含み得る。
【0017】
例示的な態様では、本開示の方法によりアッセイされるHMW種のサイズは、約0.1ミクロン(100nm)未満である。任意選択的に、このHMW種のサイズは、約99nm以下である。例示的な態様では、このHMW種のサイズは、約10nm超であり且つ約99nm未満である。例示的な態様では、このHMW種のサイズは、約15nm超であり且つ約99nm未満である。例示的な態様では、このHMW種のサイズは、約15nm~約99nm、約20nm~約99nm、約30nm~約99nm、約40nm~約99nm、約50nm~約99nm、約60nm~約99nm、約70nm~約99nm、約80nm~約99nm、約90nm~約99nmである。例示的な場合では、このHMW種のサイズは、約15nm~約90nm、約15nm~約80nm、約15nm~約70nm、約15nm~約60nm、約15nm~約50nm、約15nm~約40nm、約15nm~約30nm、又は約15nm~約20nmである。
【0018】
様々な態様では、このHMW種のサイズは、約15nm未満である。任意選択的に、このHMW種のサイズは、約10nm未満又は約5nm未満である。
【0019】
例示的な態様では、本方法は、工程(a)前の治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、及び八量体の内の1つ又は複数のレベルをアッセイすることをさらに含む。様々な場合では、工程(a)前のサンプル中に存在する治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、及び八量体の内の1つ又は複数のレベルは、既知である。例示的な態様では、アッセイする工程(工程(b))は、治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、又は八量体のそれぞれのレベルをアッセイすることを含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、「治療用ポリペプチド」と同義である用語「治療用タンパク質」は、疾患又は病状の処置のために対象に投与された場合に治療効果を有するか又は有することが意図されている少なくとも1本のポリペプチド鎖を含む、天然起源であり得るか又は非天然起源であり得る(例えば、操作され得るか若しくは合成であり得る)あらゆるタンパク質又はポリペプチド分子を指す。2個の治療用タンパク質が同一のアミノ酸配列を有する場合、これら2個の治療用タンパク質は、同一の治療用タンパク質と見なされる。
【0021】
例示的な態様では、治療用タンパク質は、組換えタンパク質である。「組換えタンパク質」は、生細胞内での組換えDNAの発現により生じるあらゆるタンパク質又はポリペプチドを意味する。用語「組換えDNA」は、任意の天然起源のゲノム中に見出されないDNA分子を作製するために複数の供給源からの遺伝物質の遺伝子組換え(例えば分子クローニング)により形成された、あらゆるDNA分子を意味する。この複数の供給源は、異なる分子由来であってもよいし、同一分子の異なる部分由来であってもよい。組換えDNAは、一部の態様では、天然起源のタンパク質をコードする。他の態様では、組換えDNAは、天然には存在しない(例えば非天然起源の)タンパク質をコードする。
【0022】
様々な態様では、治療用タンパク質は、抗体、抗体の抗原結合断片、又は抗体タンパク質製品である。例示的な態様では、治療用タンパク質は、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、リンホカイン、融合タンパク質、細胞表面受容体、又はこれらの任意のリガンドである。例示的な治療用タンパク質は、当技術分野で既知であり、且つ本明細書でも説明されている。
【0023】
HMW種のインビボでのレベルをアッセイする本開示の方法に関して、この方法は、混合物をインキュベートすることであって、この混合物は、治療用タンパク質を含むサンプルと、血清又はその枯渇画分とを含む、インキュベートすることを含む。例示的な態様では、この治療用タンパク質は、約10μg/mL~約300μg/mLの最終濃度で、この混合物中に存在する。ある特定の場合には、この治療用タンパク質は、下記の最終濃度で、この混合物中に存在する:約10μg/mL~約250μg/mL、約10μg/mL~約200μg/mL、約10μg/mL~約150μg/mL、約10μg/mL~約100μg/mL、約10μg/mL~約75μg/mL、約10μg/mL~約50μg/mL、約10μg/mL~約25μg/mL、約25μg/mL~約300μg/mL、約50μg/mL~約300μg/mL、約75μg/mL~約300μg/mL、約100μg/mL~約300μg/mL、約150μg/mL~約300μg/mL、約200μg/mL~約300μg/mL、又は約250μg/mL~約300μg/mL(例えば、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、75μg/mL、80μg/mL、90μg/mL、100μg/mL、110μg/mL、120μg/mL、130μg/mL、140μg/mL、150μg/mL、160μg/mL、170μg/mL、180μg/mL、190μg/mL、200μg/mL、210μg/mL、220μg/mL、230μg/mL、240μg/mL、250μg/mL、260μg/mL、270μg/mL、280μg/mL、290μg/mL、及び300μg/mL)。任意選択的に、この治療用タンパク質は、約100μg/mL超の最終濃度又は約200μg/mL超の最終濃度で、この混合物中に存在する。一部の態様では、この治療用タンパク質は、約300μg/mL超の最終濃度又は約500μg/mLをさらに超える最終濃度で、この混合物中に存在する。
【0024】
用語「血清」は、本明細書で使用される場合、凝固タンパク質及び血液細胞が除去された後に残る血液の画分を指す。「血清の枯渇画分」又は「枯渇画分」は、本明細書で使用される場合、1種又は複数種の成分が除去されている血清の画分を意味する。用語「非枯渇血清」又は「全血清」は、成分が除去されていない血清である。例示的な態様では、混合物は、全血清を含む。例示的な態様では、この全血清は、ヒト血清、ウシ血清(例えばウシ胎児血清)、ウサギ血清、マウス血清、ラット血清、カニクイザル血清、ウマ血清、又はブタ血清である。好ましい実施形態では、この全血清は、ヒト血清である。例示的な態様では、血清の枯渇画分は、IgG枯渇血清画分又は分子量範囲枯渇血清(「枯渇画分血清」又は「血清の枯渇画分」)である。例示的な態様では、IgG枯渇血清画分は、(例えば、プロテインA親和性クロマトグラフィーで)プロテインAを使用して血清からIgGを除去することにより得られたものである。例示的な態様では、血清の枯渇画分は、予め選択された分量範囲を有する分子が枯渇した画分である。例示的な場合では、この予め選択された分子量範囲は、約30kDa~約300kDaであるか、又はより高い。様々な態様では、枯渇画分を、サイズに基づくろ過、又は遠心分離、又は限外ろ過法により得る(例えば、Kornilov et al..,J Extracell Vesicles 7(1):1422674(2018)を参照されたい)。様々な態様では、枯渇血清を、商業的供給業者(例えば、Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA)、CalBiochem(登録商標)(Millipore Sigma,Burlington,MA)、Quidel(San Diego,CA)、及びComplement Technologies(Tyler,TX))を介して得る。例示的な態様では、枯渇画分は、2回枯渇画分であり、任意選択的に、IgGが2回枯渇した画分、又は予め選択された分子量を有する分子が2回枯渇した画分である。「2回枯渇した」は、枯渇技術又は除去技術を2回受けている血清の画分を指す。
【0025】
例示的な場合では、混合物は、インキュベートする工程(工程(a))の開始時に、80%(v/v)超の血清又は枯渇血清を含み、任意選択的に約85%(v/v)超の血清又は枯渇血清を含む。例示的な態様では、混合物は、インキュベートする工程(工程(a))の開始時に、約90%(v/v)超の血清又は枯渇血清を含み、任意選択的に、約92%(v/v)~約98%(v/v)(例えば、約92%(v/v)、約93%(v/v)、約94%(v/v)、約95%(v/v)、約96%(v/v)、約97%(v/v)、約98%(v/v)、さらには約99%(v/v)、又はより多く)の血清又は枯渇血清を含む。様々な態様では、混合物は、工程(a)の開始時に、約87%(v/v)超の血清又は枯渇血清を含み、任意選択的に、約90%(v/v)超の血清又は枯渇血清(例えば、約92%~約98%(v)の血清又は枯渇血清)を含む。
【0026】
例示的な態様では、サンプルは、蛍光標識を含む治療用タンパク質を含む。例示的な場合では、本方法は、インキュベートする工程(工程(a))前に、治療用タンパク質を蛍光標識で標識することをさらに含む。この蛍光標識は、原理上、通常はコンジュゲーションによりタンパク質に付着し得るあらゆる蛍光標識であり得、例示的な態様では、下記からなる群から選択される:フルオレセイン、ローダミン、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン、メトキシクマリン、Cascade Blue、Pacific Blue、Pacific Orange、Lucifer Yellow、NBD、フィコエリトリン(PE)、PE-Cy5、PE-Cy7、Red 613 PerCP、TruRed、FluorX、BODIPY-FL、G-Dye100、G-Dye200、G-Dye300、G-Dye400、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、TRITC、Lissamine Rhodamine B、Texas Red、アロフィコシアニン(APC)、APC-Cy7、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、及び同類のもの。一部の態様では、この蛍光標識は、Alexa fluor色素の内のいずれか1つであり、例えば下記である:Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、又はAlexa Fluor 790。
【0027】
「インキュベートする」は、成長又は反応に有利な条件下で維持することを意味する。例示的な態様では、インキュベートする工程(工程(a))は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、又は少なくとも約4時間にわたり、混合物をインキュベートすることを含み、任意選択的に、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、又は少なくとも約24時間にわたり、混合物をインキュベートすることを含む。例示的な態様では、工程(a)は、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、及び/又は少なくとも約48時間にわたり、混合物をインキュベートすることを含み、任意選択的に、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、又は少なくとも約1週間にわたり、混合物をインキュベートすることを含む。例示的な態様では、インキュベートする工程(工程(a))は、約25℃~約40℃、約30℃~約40℃、又は約35℃~約40℃で起こる。任意選択的に、インキュベートすることは、約37℃±2℃で起こる。インキュベートする工程(工程(a))のさらなる条件は、実施例で例示されているように本明細書で説明されている。
【0028】
例示的な態様では、本方法は、インキュベートする工程(工程(a))後に且つアッセイする工程(工程(b))前に、希釈工程をさらに含む。任意選択的に、混合物を、アッセイする工程(工程(b))前に水又は緩衝液で希釈し、一部の態様では、水又は緩衝液で希釈する。この緩衝液は、当技術分野で既知のいずれか1つ(例えば、限定されないが、表Aで列挙されているもの)であり得る。
【0029】
【表1】
【0030】
例示的な態様では、アッセイする工程(工程(b))は、SECにより、血清又はその枯渇画分を含む混合物中のHMW種のレベルをアッセイすることを含む。例示的な態様では、このSECは、SEC-高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、又はSEC蛍光(SEC-Fluor)、又はSEC-UVである。加えて、又は或いは、アッセイする工程(工程(b))は、混合物中のHMW種のレベルをアッセイするための他の技術、又は最終的には混合物中のHMW種のレベルの決定を達成するために治療用タンパク質の低分子量(LMW;この治療用タンパク質よりも小さい種)種若しくは単量体のレベルをアッセイするための他の技術を含む。アッセイする工程(工程(b))は、下記の内の1つ又は複数を含み得る:質量分析(MS)、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)に接続され得るSEC。
【0031】
例示的な態様では、親和性精製は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、親和性クロマトグラフィー、結合標的標識ビーズ(binding target-labeled bead)を使用する沈殿(例えば、FcRn標識ビーズによる沈殿)、標的が表面上で発現される細胞による沈殿(例えば、FcRn受容体が表面で発現される細胞による沈殿)、フリーフロー分画(free flow fractionation)(FFF)、イオン交換クロマトグラフィー(IEX)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、又は超遠心分離(UC)である。
【0032】
例示的な態様では、本方法は、インキュベーション工程(工程(a))後に且つアッセイする工程(工程(b))前に、分離工程であって、混合物の成分を分離する分離工程をさらに含む。例示的な態様では、混合物の成分をクロマトグラフィーにより分離し、任意選択的に、親和性クロマトグラフィーにより分離する。親和性クロマトグラフィーは、当技術分野で既知である。例えば、Handbook of Affinity Chromatography,eds. Hage and Cazes,Taylor and Francis(2005)を参照されたい。代替態様では、混合物の成分を、別の種類のクロマトグラフィーにより分離し、例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、及び同類のもので分離する。例えば、Coskun,North Clin Istanb 3(2):156-160(2016)を参照されたい。例示的な態様では、親和性クロマトグラフィーは、プロテインA、プロテインL、又は治療用タンパク質に特異的な抗体、又は他の適切な捕捉タンパク質による親和性クロマトグラフィーである。親和性クロマトグラフィー工程で使用される捕捉タンパク質の選択は、一部の態様では、治療用タンパク質に依存する。一般的態様では、捕捉タンパク質は、治療用タンパク質に結合する。例示的な態様では、治療用タンパク質が、抗体、抗体の抗原結合断片、又は抗体タンパク質製品である場合には、捕捉タンパク質は、この治療用タンパク質が結合する抗原である。例示的な態様では、プロテインA、又は治療用タンパク質に特異的な抗体、又は他の適切な捕捉タンパク質を、親和性クロマトグラフィーカラムで使用される樹脂にカップリングさせる。インキュベーション工程(工程(a))後に、混合物を、親和性クロマトグラフィーカラムにロードするか、又は捕捉タンパク質、プロテインA、プロテインL、若しくは治療用タンパク質に特異的な抗体が結合した樹脂と混合し、樹脂に、治療用タンパク質及びそのHMW種を含む画分が結合する。様々な場合では、プロテインA、プロテインL、又は治療用タンパク質に特異的な抗体が結合した樹脂を、混合物と共に、1時間未満にわたりインキュベートし、任意選択的に、約30分未満、約20分未満、約15分未満、又はより短い時間にわたりインキュベートする。様々な場合では、プロテインA、プロテインL、又は治療用タンパク質に特異的な抗体が結合した樹脂を、混合物と共に、約5分~約10分にわたりインキュベートする。結合した画分を、既知であり得るか又は経験的に決定され得る条件を使用して、樹脂から溶出させる。例示的な実施形態では、親和性クロマトグラフィーは、酸性溶出緩衝液により溶出させることを含む溶出工程を含む。任意選択的に、この酸性溶出緩衝液は、グリシン、又は酢酸、又はクエン酸塩を含む。様々な態様では、この酸性溶出緩衝液は、pHが約2.5~約4.5であり、任意選択的に約2.75~約4.0である。例示的な場合では、溶出工程により、治療用タンパク質を含む溶出液が得られ、本方法は、この溶出液中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすることを含む。
【0033】
例示的な態様では、本方法は、アッセイする抗体(工程(b))でアッセイされる際に混合物中に存在するHMW種のレベルと、インキュベートする工程(工程(a))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較することをさらに含む。任意選択的に、アッセイする工程(工程(b))でアッセイされる際に混合物中に存在する治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、及び八量体の内の1つ又は複数のレベルを、インキュベートする工程(工程(a))前のサンプル中の治療用タンパク質の二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、又は八量体のレベルと比較する。例示的な態様では、本方法は、方程式1:
【数1】
に従って、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することをさらに含む。
【0034】
従って、本開示は、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法を提供する。本開示は、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法であって、(A)既に説明されている方法の内のいずれかに従って治療用タンパク質の高分子量(HMW)種のインビボでのレベルをアッセイすることであり、(i)この方法は、インキュベートする工程(工程(A))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルをアッセイすることをさらに含むか、又は(ii)インキュベートする工程(工程(a))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルは既知である、アッセイすること、及び(B)混合物中に存在するHMW種のレベルと、インキュベートする工程(工程(a))前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較することを含む方法を提供する。本開示はまた、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法であって、この治療用タンパク質を含むサンプルと、枯渇血清とを含む混合物をインキュベートすることであり、血清の枯渇画分は、予め選択された分子量範囲を有する分子が枯渇した画分であり、任意選択的に、この予め選択された分子量範囲は、約30kDa~約300kDaであるか、又はより高く、任意選択的に、この枯渇画分は、サイズに基づくろ過により得られる、インキュベートすること、SECにより、工程(a)後の1つ又は複数の時点で、この混合物中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(b)でアッセイされる際に混合物中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、及びこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む方法も提供される。例示的な態様では、治療用タンパク質は、分子量が約15kDaであるか、又はより高い。同様に、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法であって、この治療用タンパク質を含むサンプルと、枯渇血清とを含む混合物をインキュベートすることであり、この枯渇血清は、IgG枯渇血清画分であり、任意選択的に、プロテインA親和性クロマトグラフィーにより血清からIgGを除去することにより得られるIgG枯渇血清画分である、インキュベートすること、捕捉分子による親和性クロマトグラフィーにより、この混合物の成分を分離して、治療用タンパク質及びそのHMW種を含む画分を得ること、SECにより、この画分中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(c)でアッセイされる際に画分中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、並びにこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む方法が提供される。例示的な態様では、捕捉分子は、プロテインAであり、治療用タンパク質は、プロテインAに結合し、任意選択的に、この治療用タンパク質は、プロテインA結合部位を含む抗体、Fc融合タンパク質、又は抗体タンパク質製品である。例示的な態様では、工程(b)は、(i)混合物を親和性クロマトグラフィーカラムにロードして、治療用タンパク質を含む結合画分を得ること、及び(ii)この結合画分をカラムから溶出させることを含む。本開示は、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法であって、この治療用タンパク質を含むサンプルと、全血清とを含む混合物をインキュベートすることであり、この治療用タンパク質は、蛍光標識を含む、インキュベートすること、この混合物を希釈すること、SECにより、工程(a)後の1つ又は複数の時点で、この混合物中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(c)でアッセイされる際に混合物中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、及びこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む方法をさらに提供する。本開示は、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性を決定する方法であって、この治療用タンパク質を含むサンプルと、全血清とを含む混合物をインキュベートすること、捕捉分子による親和性クロマトグラフィーにより、この混合物の成分を分離して、治療用タンパク質及びそのHMW種を含む画分を得ること、SECにより、この画分中に存在する治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイすること、工程(c)でアッセイされる際に画分中に存在するHMW種のレベルと、工程(a)前にサンプル中に存在するHMW種のレベルとを比較すること、並びにこの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を算出することを含む方法をさらに提供する。例示的な態様では、この捕捉分子は、治療用タンパク質に結合する抗体又は抗体以外の分子である。例示的な態様では、アッセイする工程(工程(b))は、(i)混合物を親和性クロマトグラフィーカラムにロードして、治療用タンパク質を含む結合画分を得ること、及び(ii)この結合画分をカラムから溶出させることを含む。例示的な態様では、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を、方程式1に従って算出する。
【0035】
例示的な治療用タンパク質
例示的な態様では、治療用タンパク質は、抗体である。本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、重鎖及び軽鎖を含み、且つ可変領域及び定常領域を含む、従来の免疫グロブリン構成を有するタンパク質を指す。例えば、抗体は、2個の同一ペアのポリペプチド鎖の「Y字形」構造であるIgGであり得、各ペアは、1本の「軽」(典型的には、分子量が約25kDa)及び1本の「重」鎖(典型的には、分子量が約50~70kDa)を有する。抗体は、可変領域及び定常領域を有する。IgG型では、可変領域は、一般に、約100~110個又はより多くのアミノ酸であり、3個の相補性決定領域(CDR)を含み、主に抗原認識に関与し、異なる抗原に結合する抗体間で実質的に異なる。定常領域は、抗体が免疫系の細胞及び分子を動員することを可能にする。可変領域は、各軽鎖及び重鎖のN末端領域からできているが、定常領域は、重鎖及び軽鎖のそれぞれのC末端部分からできている。(Janeway et al.,“Structure of the Antibody Molecule and the Immunoglobulin Genes”,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4thed.Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,(1999))。
【0036】
抗体のCDRの一般的な構造及び性質は、当技術分野で説明されている。簡潔に説明すると、抗体の骨格において、CDRは、重鎖及び軽鎖の可変領域中のフレームワーク内に埋め込まれており、そこで抗原結合及び抗原認識に大きい役割を果たす領域を構成する。可変領域は、典型的には、少なくとも3個の重鎖CDR又は軽鎖CDRを含み(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.;Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照されたい)、これらは、フレームワーク領域(Kabat et al.,1991によりフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR3及びFR4と呼ばれている;Chothia and Lesk,1987、前掲も参照されたい)中にある。
【0037】
抗体は、当技術分野で既知のあらゆる定常領域を含み得る。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖及びラムダ軽鎖に分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、又はイプシロンに分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと定義する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が挙げられるがこれらに限定されないいくつかのサブクラスを有する。IgMは、IgM1及びIgM2が挙げられるがこれらに限定されないサブクラスを有する。本開示の実施形態は、抗体のそのようなクラス又はアイソタイプの全てを含む。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域であり得、例えば、ヒトカッパ型又はヒトラムダ型の軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域であり得、例えば、ヒトアルファ型、ヒトデルタ型、ヒトイプシロン型、ヒトガンマ型、又はヒトミュー型の重鎖定常領域であり得る。従って、例示的な実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4の内のいずれか1つを含む、アイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG、又はIgMの抗体である。
【0038】
抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であり得る。一部の実施形態では、抗体は、哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒト、及び同類のもの)により産生された天然起源の抗体に実質的に類似する配列を含む。この点において、抗体は、哺乳動物抗体(例えば、マウス抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体、ヒト抗体、及び同類のもの)と見なされ得る。ある特定の態様では、抗体は、ヒト抗体である。ある特定の態様では、抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体である。用語「キメラ抗体」は、2種以上の異なる抗体由来のドメインを含む抗体を指す。キメラ抗体は、例えば、ある種由来の定常ドメインと、別の種由来の可変ドメインとを含み得るか、又はより一般的には、少なくとも2つの種由来のアミノ酸配列のストレッチを含み得る。キメラ抗体はまた、同一種内の2種以上の異なる抗体のドメインも含み得る。用語「ヒト化」は、抗体に関して使用される場合、本来の源の抗体よりも真のヒト抗体に類似する構造及び免疫機能を有するように操作されている、非ヒト源由来の少なくともCDR領域を有する抗体を指す。例えば、ヒト化は、マウス抗体等の非ヒト抗体からヒト抗体へのCDRの移植を含み得る。ヒト化はまた、非ヒト配列をヒト配列にさらに類似させるために選択アミノ酸置換も含み得る。
【0039】
抗体を、例えばパパイン及びペプシン等の酵素により切断して断片にし得る。パパインは、抗体を切断して、2個のFab断片及び単一のFc断片を生じる。ペプシンは、抗体を切断して、F(ab’)2断片及びpFc’断片を生じる。本開示の例示的態様では、治療用タンパク質は、抗原結合断片又は抗体である。本明細書で使用される場合、用語「抗原結合性抗体断片」は、抗体の抗原に結合し得る部分を指し、「抗原結合断片」又は「抗原結合部分」としても知られている。例示的な場合では、抗原結合性抗体断片は、Fab断片又はF(ab’)2断片である。
【0040】
様々な態様では、治療用タンパク質は、抗体タンパク質製品である。本明細書で使用される場合、用語「抗体タンパク質製品」は、様々な場合で抗体の構造をベースとするが天然には見出されないいくつかの抗体代替品の内のいずれか1つを指す。一部の態様では、抗体タンパク質製品は、分子量が少なくとも約12~150kDaの範囲内である。ある特定の態様では、抗体タンパク質製品は、結合価(n)の範囲が、より高次の結合価ではないかもしれないが、単量体(n=1)から二量体(n=2)、三量体(n=3)、四量体(n=4)までである。抗体タンパク質製品は、一部の態様では、完全な抗体構造に基づくもの、及び/又は完全な抗原結合能を保持する抗体断片を模倣するもの(例えばscFv、Fab、及びVHH/VH(下記で考察する)ものである。完全な抗原結合性部位を保持する最小の抗原結合性抗体断片は、専ら可変(V)領域からなるFv断片である。可溶性で柔軟なアミノ酸ペプチドリンカーを使用して、V領域をscFv(一本鎖断片可変)断片に連結させて分子を安定化させるか、又は定常(C)ドメインをV領域に加えて、Fab断片[断片、抗原結合性]を生成する。scFv断片及びFab断片の両方を、宿主細胞(例えば原核生物宿主細胞)中で容易に産生させ得る。他の抗体タンパク質製品として、ジスルフィド結合安定化scFv(ds-scFv)、一本鎖Fab(scFab)、並びにオリゴマー化ドメインに連結されたscFvからなる異なる形式を含む、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ、又はミニボディ(ミニAb)のような二量体抗体形式及び多量体抗体形式が挙げられる。最小の断片は、ラクダ類重鎖Ab及び単一ドメインAb(sdAb)のVHH/VHである。新規の抗体形式を作製するために最も頻繁に使用される構築ブロックは、約15個のアミノ酸残基のペプチドリンカーにより連結された重鎖及び軽鎖(VHドメイン及びVLドメイン)由来のVドメインを含む一本鎖可変(V)-ドメイン抗体断片(scFv)である。ペプチボディ又はペプチド-Fc融合体は、さらに別の抗体タンパク質製品である。ペプチボディの構造は、Fcドメインに移植された生物学的に活性なペプチドからなる。ペプチボディは、当技術分野で十分に説明されている。例えば、Shimamoto et al.,mAbs 4(5):586-591(2012)を参照されたい。
【0041】
他の抗体タンパク質製品として、一本鎖抗体(SCA);ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ;二重特異性抗体又は三重特異性抗体;及び同類のものが挙げられる。二重特異性抗体は、下記の5つの主要なクラスに分類され得る:BsIgG、付加IgG(appended IgG)、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質、及びBsAbコンジュゲート。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology 67(2)Part A:97-106(2015)を参照されたい。
【0042】
例示的な態様では、治療用タンパク質は、人工の二重特異性モノクローナル抗体である二重特異性T細胞エンゲージャー(bispecific T cell engager)(BiTE(登録商標))分子である。標準的なBiTE(登録商標)分子は、異なる抗体の2個のscFvを含む融合タンパク質である。一方はCD3に結合し、他方は標的抗原に結合する。BiTE(登録商標)分子は、当技術分野で既知である。例えば、Huehls et al..,Immuno Cell Biol 93(3):290-296(2015);Rossi et al..,MAbs 6(2):381-91(2014);Ross et al..,PLoS One 12(8):e0183390を参照されたい。
【0043】
例示的な態様では、治療用タンパク質は、キメラ抗原受容体(CAR)である。キメラ抗原受容体は、典型的には免疫細胞により発現される他の天然起源の分子の複数のドメインから構成される遺伝子操作された融合タンパク質である。いくつかの態様では、CARは、細胞外抗原結合ドメイン又は抗原認識ドメイン、シグナル伝達ドメイン、及び共刺激ドメインを含む。CARは、当技術分野で説明されている。例えば、Maus et al..,Clin Cancer Res 22(8):1875-1884(2016);Dotti et al..,Immuno Rev(2014)257(1):10.1111/imr.12131;Lee et al..,Clin Cancer Res(2012):18(10):2780-2790;及びJune and Sadelain,NEJM 379:64-73(2018)を参照されたい。
【0044】
例示的な治療用タンパク質として下記が挙げられるが、これらに限定されない:CDタンパク質、増殖因子、増殖因子受容体タンパク質(例えば、HER受容体ファミリタンパク質)、細胞接着分子(例えば、LFA-I、MoI、pl50、95、VLA-4、ICAM-I、VCAM、及びアルファv/ベータ3 インテグリン)、ホルモン(例えばインスリン)、凝固因子、凝固関連タンパク質、コロニー刺激因子及びその受容体、並びに他の受容体、及びこれらの受容体の受容体関連タンパク質又はリガンド、ウイルス抗原。
【0045】
例示的な治療用タンパク質として、例えば、CDタンパク質の内のいずれか1つが挙げられ、例えば下記が挙げられる:CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD9、CD10、CD11A、CD11B、CD11C、CDw12、CD13、CD14、CD15、CD15s、CD16、CDw17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31,CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD45、CD45RO、CD45RA、CD45RB、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CDw60、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD75、CD76、CD79α、CD79β、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CDw92、CD93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CDw108、CD109、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120a、CD120b、CD121a、CDw121b、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CDw128、CD129、CD130、CDw131、CD132、CD134、CD135、CDw136、CDw137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD145、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156、CD157、CD158a、CD158b、CD161、CD162、CD163、CD164、CD165、CD166、及びCD182。
【0046】
例示的な増殖因子として、例えば下記が挙げられる:血管内皮増殖因子(「VEGF」)、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、ミュラー管阻害物質(MIS)、ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-I-アルファ)、エリスロポエチン(EPO)、神経増殖因子(NGF)、例えばNGF-ベータ、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、例えばaFGF及びbFGF、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えば、特にTGF-α及びTGF-β、例えばTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、又はTGF-β5、インスリン様増殖因子I及びインスリン様成増殖子II(IGF-I及びIGF-II)、des(l-3)-IGF-I(脳IGF-I)、並びに骨誘導因子。一部の態様での治療用タンパク質は、インスリン又はインスリン関連タンパク質であり、例えば、インスリン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プロインスリン、及びインスリン様増殖因子結合タンパク質である。例示的な増殖因子受容体として、上記の増殖因子の内のいずれかの任意の受容体が挙げられる。様々な態様では、増殖因子受容体は、HER受容体ファミリタンパク質(例えば、HER2、HER3、HER4、及びEGF受容体)、VEGF受容体、TSH受容体、FSH受容体、LH受容体、GHRF受容体、PTH受容体、MIS受容体、MIP-1-アルファ受容体、EPO受容体、NGF受容体、PDGF受容体、FGF受容体、EGF受容体、(EGFR)、TGF受容体、又はインスリン受容体である。
【0047】
例示的な凝固及び凝固関連タンパク質として、例えば、下記が挙げられる:第VIII因子、組織因子、フォン・ヴィレブランド因子、プロテインC、アルファ-1-アンチトリプシン、プラスミノーゲン活性化因子、例えば、ウロキナーゼ及び組織プラスミノーゲン活性化因子(「t-PA」)、ボンバジン(bombazine)、トロンビン、及びトロンボポエチン;(vii)他の血液タンパク質及び血清タンパク質、例えば、限定されないが、アルブミン、IgE、及び血液型抗原。数ある中でも下記が挙げられるコロニー刺激因子及びその受容体:M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF、並びにこれらの受容体、例えばCSF-1受容体(c-fms)。例えば、flk2/flt3受容体、肥満(OB)受容体、LDL受容体、成長ホルモン受容体、トロンボポエチン受容体(「TPO-R」、「c-mpl」)、グルカゴン受容体、インターロイキン受容体、インターフェロン受容体、T細胞受容体、c-Kit等の幹細胞因子受容体、及び他の受容体が挙げられる受容体及び受容体関連タンパク質。例えば、OX40受容体のリガンドであるOX40Lが挙げられる受容体リガンド。骨由来神経栄養因子(BDNF)、及びニューロトロフィン-3、-4、-5、又は-6(NT-3、NT-4、NT-5、又はNT-6)が挙げられる神経栄養因子。リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、及びプロリラキシン;インターフェロン及びインターフェロン受容体、例えば、インターフェロン-α、-β、及び-γ、並びにこれらの受容体。数ある中でもIL-1~IL-33及びIL-1~IL-33受容体(例えばIL-8受容体)が挙げられるインターロイキン及びインターロイキン受容体。AIDSエンベロープウイルス抗原が挙げられるウイルス抗原。リポタンパク質、カルシトニン、グルカゴン、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性物質、腫瘍壊死因子アルファ及びベータ、エンケファリナーゼ、RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted)、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、DNAse、インヒビン、及びアクチビン。インテグリン、プロテインA又はD、リウマチ因子、免疫毒素、骨形成タンパク質(BMP)、スーパーオキシド・ジスムターゼ、表面膜タンパク質、崩壊促進因子(DAF)、AIDSエンベロープ、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、イムノアドヘシン、抗体。さらなる例示的な治療用タンパク質として、例えば下記が挙げられる:ミオスタチン、TALLタンパク質、例えばTALL-I、アミロイドタンパク質、例えば、限定されないがアミロイドベータタンパク質、胸腺間質性リンパ球新生因子(「TSLP」)、RANKリガンド(「OPGL」)、c-kit、TNF受容体、例えばTNF受容体1型、TRAIL-R2、アンジオポエチン、及び前述の内の何れかの生物活性断片又は類似体又は変異体。
【0048】
例示的態様では、治療用タンパク質は、下記として既知の治療薬の内のいずれか1つである:Activase(登録商標)(アルテプラーゼ);アリロクマブ、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチン-アルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ若しくはエリスロポエチン);Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ);Betaseron(登録商標)(インターフェロンβ);ボコシズマブ(L1L3と指定された抗PCSK9モノクローナル抗体、米国特許第8080243号明細書を参照されたい);Campath(登録商標)(アレムツズマブ);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7 mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ);エボロクマブ;Genotropin(登録商標)(ソマトロピン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ);Humatrope(登録商標)(ソマトロピン[rDNA由来]注射液);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド);Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ);Benlysta(商標)(ベリムマブ);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル);Soliris(商標)(エクリズマブ);ペキセリズマブ(抗C5補体);MEDI-524(Numax(登録商標));Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);エドレコロマブ(Panorex(登録商標));Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-I);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DMl);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン);Neulasta(登録商標)(PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF);Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)(インターフェロンアルファ-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Stelara(商標)(ウステキヌマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7153507号明細書を参照されたい)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌(B.anthracis)防御抗原mAb);ABthrax(商標);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ);Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-I Trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-I受容体成分(1型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF Trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(エゼチマイブ)、アタシセプト(TACI-Ig)、抗α4β7 mAb(ベドリズマブ);ガリキシマブ(抗CD80モノクローナル抗体)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬);Simponi(商標)(ゴリムマブ);マパツズマブ(ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);オクレリズマブ(抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗C.ディフィシル(C.difficile)毒素A及び毒素B C mAbs MDX-066(CDA-I)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗TSLP抗体;抗TSLP受容体抗体(米国特許第8101182号明細書);A5と指定された抗TSLP抗体(米国特許第7982016号明細書);(抗CD3 mAb(NI-0401));アデカツムマブ(MT201、抗EpCAM-CD326 mAb);MDX-060、SGN-30、SGN-35(抗CD30 mAb);MDX-1333(抗IFNAR);HuMax CD38(抗CD38 mAb);抗CD40L mAb;抗Cripto mAb;抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗スクレロスチン抗体(米国特許第8715663号明細書又は同第7592429号明細書を参照されたい)、Ab-5と指定された抗スクレロスチン抗体(米国特許第8715663号明細書又は同第7592429号明細書);抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);MEDI-545、MDX-1103(抗IFNα mAb);抗IGF1R mAb;抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam);抗IL12/IL23p40 mAb(ブリアキヌマブ);抗IL-23p19 mAb(LY2525623);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL-17 mAb(AIN457);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-Ol8、CNTO95);抗IPIO潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);抗LLY抗体;BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001);抗PDlmAb(MDX-1 106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK mAb;抗VEGFR/Flt-1 mAb;抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3);NVS抗体#1;NVS抗体#2、又はアミロイドベータモノクローナル抗体。
【0049】
治療用タンパク質のさらなる例として、表Bで示されている抗体、及び下記の内のいずれかが挙げられる:インフリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ラニビズマブ、パリビズマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブ、アラシズマブペゴル、ald518、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アルチヌマブ(altinumab)、アトリズマブ、アトロリムマブ、トシリズマブ、バピヌズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビバツズマブ、ビバツズマブメルタンシン、ブリナツモマブ、ブロソズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、カプラシズマブ、カプロマブペンデチド、カルルマブ、カツマキソマブ、cc49、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、シタツズマブボガトクス、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン、コナツムマブ、クレネズマブ、cr6261、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デミシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトクス、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュピルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エナバツズマブ、エンリモマブペゴル、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブシツキセタン、エピラツズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エボロクマブ、エキシビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、fbta05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレソリムマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、gs6624、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブラブタンシン、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、イラツムマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロルボツズマブメルタンシン、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツズマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モロリムマブ、モタビズマブ、モキセツモマブパスドトクス、ムロモナブ-cd3、ナコロマブタフェナトクス、ナミルマブ、ナプツモマブエスタフェナトクス、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブモナトクス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パジバキシマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、パキセリズマブ、ピジリズマブ、ピンツモマブ、プラクルマブ、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、PRO140、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サツモマブペンデチデ、セクキヌマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スビズマブ、タバルマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タネズマブ、タプリツモマブパプトクス、テフィバズマブ、テリモマブアリトクス、テナツモマブ、テフィバズマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テゼペルマブ、TGN1412、トレメリムマブ、チシリムマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、TNX-650、トシリズマブ、トラリズマブ、トシツモマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、TRBS07、トレガリズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バパリキシマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビジリズマブ、ボロシキシマブ、ボルセツズマブマフォドチン、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブアリトクス。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
一部の実施形態では、治療用ポリペプチドは、BiTE(登録商標)分子である。ブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標))は、CD19に特異的なBiTE(登録商標)分子の一例である。改変されているBiTE(登録商標)分子(例えば、半減期を延長するように改変されているもの)も、本開示の方法で使用し得る。
【0054】
下記の実施例は、本発明を単に例示するために示されており、いかなる形であっても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0055】
下記の実施例は、治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性をアッセイする例示的な方法を説明する。各実施例では、治療用タンパク質のサンプルを、血清又は血清の枯渇画分のいずれかを含むサンプルに添加して、混合物を形成し、この混合物を、最大3日にわたり、緩やかに軌道運動(200rpm)させつつ37℃でインキュベートした。インキュベーション期間中において0時間目、1時間目、4時間目又は6時間目、1日目、2日目、及び3日目に、この混合物のアリコートを採取した。次いで、このアリコートを使用して、SEC-HPLCによりHMW種のレベルをアッセイした。標的分子のHMWレベル及びプロファイルの変化を分析した。治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を、本明細書で説明されている方程式1に従って算出した。
【0056】
この研究では、下記の2種の治療用タンパク質を試験した:マウス/ヒトキメラ抗体である治療用タンパク質1(TP1)、及びIgG2抗体である治療用タンパク質2(TP2)。
【0057】
これらの治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性をアッセイする前に、最初の工程を行なって、(血清又は枯渇血清への添加前での)治療用タンパク質サンプル中のHMW種の%を高め、このことを、SEC-セミ分取HPLCにより行なった。この技術により、TP1のHMW種の%は4.6%となり、TP2のHMW種の%は53%となった。TP2のHMW種の%が非常に高かったことから、治療用画分を、HMW種が0.5%未満であるTP2単量体を含む溶液で、5%のHMW種を含む溶液又は10%のHMW種を含む溶液まで希釈した。TP2の希釈サンプル(5%のHMW種、10%のHMW種)を、HMW種のインビボでの可逆性をアッセイする方法で使用した。TP1は、わずか4.6%のHMW種しか有しなかったことから、TP1サンプルを、いかなる希釈工程を行なうことなく使用し得た。
【0058】
実施例1A
この実施例は、大きなタンパク質が枯渇したヒト血清(Large Protein Depleted Human Serum)(LPDS)法と呼ばれる本開示の第1の例示的な方法を示す。
【0059】
この実施例では、治療用タンパク質を含むサンプルを、血清の枯渇画分を含むサンプルに添加して、混合物を形成した。この血清の枯渇画分を、正常なヒト血清サンプルをプールし、このプールした血清を、サイズに基づく遠心分離ろ過にかけて、30kDaを超える大きいタンパク質を除去することにより、得た。簡潔に説明すると、血清を、30kDa分子量カットオフを有する新規の0.5mL容量のAmicon(登録商標)濃縮器ユニットに移した。このフィルタユニットを15分にわたり約14,000rcfで遠心分離して、大きいタンパク質が枯渇した(LPD)ろ液を生成した。このLPDろ液を、同一条件を使用する2回目のろ過に供した。この2回枯渇ろ液をプールし、分注し、4℃で保存し、4週間以内に使用した。この2回枯渇ろ液を、SOLO VPEシステム(Fuji Film Diosynthe Biotechnologies,Morrisville,NC)を使用するUV VIS分光法により分析して、この血清の2回枯渇画分の成分を決定した。この分析に基づいて、この血清の2回枯渇画分は、無機成分及び有機成分の両方を含み、且つ(非枯渇画分と比較して)ヒト血清由来の4~5%の小さいタンパク質を含むことが分かった。
【0060】
この血清の2回枯渇画分のサンプルに、TP1のサンプル(HMW種の最初の%は4.6%であった)を添加して、混合物を形成した。この混合物は、97%(v/v)超が2回枯渇画分であり、この混合物中におけるTP1の最終濃度は、250μg/mLであった。この混合物を、上記で説明したようにインキュベートし、この混合物のアリコートを、このインキュベーション期間中の様々な時点で採取した。次いで、これらのアリコートを使用して、SEC-HPLCによりHMW種のレベルをアッセイした。治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を、本明細書で説明されている方程式1に従って算出し、結果を表1に示す。
【0061】
【表5】
【0062】
表1に示すように、TP1のHMW種は、72時間の時点で、最大42%の可逆性を示した。この時間の後、可逆性の%は定常に達した。
【0063】
TP2に関しても、TP2のサンプルを希釈した後に枯渇血清に添加した以外は上記で説明したのと同一のプロトコルに従った。この研究では、下記のTP2の2つの希釈画分を使用した。HMW種の%が5%まで希釈された第1のもの、及びHMW種の%が10%まで希釈された第2のもの。各希釈画分を2回枯渇画分に添加して、99%(v/v)超が2回枯渇画分である混合物を得、この混合物中におけるTP2の最終濃度は、250μg/mLであった。5%のHMW種を含む混合物の結果を、表2に示す。SECクロマトグラムを、図3に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
表2に示すように、TP2のHMW種は、72時間の時点で、最大43%の可逆性を示した。この時間の後、可逆性の%は定常に達した。
【0066】
TP2の両方の希釈サンプルのさらなる結果を、表3に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
上記の実施例は、2つの異なる治療用タンパク質のHMW種の可逆性の%を決定する方法を示した。
【0069】
実施例1B
この実施例は、BiTE(登録商標)分子タンパク質のHMW種の可逆性の%を決定する例示的な方法を示す。
【0070】
抗CD3及び腫瘍標的結合ドメインを有する標準的なBiTE(登録商標)分子におけるHMW種の可逆性を、血清様環境下で評価した。この実施例では、大きいタンパク質が枯渇した血清(LPDS)を、本質的には実施例1Aで説明したように使用した。簡潔に説明すると、抗CD3及び腫瘍標的結合ドメインを含む標準的なBiTE(登録商標)分子構造を有する治療用タンパク質(TP3)のサンプル(HMW種の最初の%は5.76%であった)を、血清の2回枯渇画分のサンプルに添加して、混合物を形成した。この混合物は、87%(v/v)超が2回枯渇画分であり、この混合物中におけるTP3の最終濃度は、100マイクログラム/mLであった。この混合物を、実施例1Aで説明したようにインキュベートし、この混合物のアリコートを、このインキュベーション期間中の様々な時点で採取した。次いで、これらのアリコートを使用して、SEC-HPLCによりHMW種のレベルをアッセイした。結果を表4に示す。
【0071】
【表8】
【0072】
表4に示すように、TP3のHMW種は、24時間の時点で、最大86%の可逆性を示した。この時間の後、可逆性の%は定常に達した。
【0073】
この実施例は、LPDS法を使用して標準的なBiTE(登録商標)分子の可逆性を決定し得ることを示した。
【0074】
実施例2
この実施例は、IgGが枯渇したヒト血清(IgG Depleted Human Serum)(IgGDS)法と呼ばれる本開示の第2の例示的な方法を示す。
【0075】
実施例1のように、治療用タンパク質を含むサンプルを、血清の枯渇画分を含むサンプルに添加して、混合物を形成した。しかしながら、この枯渇画分は、プールされた正常なヒト血清をプロテインA親和性クロマトグラフィーにかけることにより得られた血清の内在性免疫グロブリン枯渇画分であった。簡潔に説明すると、プロテインA樹脂(MabSuRE Select LX,GE Healthcare)を、空のスピンカラムに移し、結合緩衝液、20mM Tris、150mM NaCl、pH7で条件付けた。このカラムに、プールしたヒト血清を入れ、このカラムを、10分にわたるラボローター(lab rotator)による緩やかな且穏やかな混合に供して、プロテインAと血清免疫グロブリンとの相互作用を促進させた。その後、このカラムを遠心分離して、IgG枯渇血清ろ液を回収した。この樹脂を、0.1% 酢酸により再生し、再度条件付け、IgG枯渇血清ろ液を、同一の工程に従って2回目のIgG枯渇に供した。この2回枯渇血清ろ液をSEC-HPLCにより分析して、IgG枯渇を確認した。確認後、この血清の2回枯渇画分を分注し、-20℃で凍結保存した。
【0076】
この血清の2回Ig枯渇画分のサンプルに、TP1のサンプル(HMW種の最初の%は4.6%であった)を添加して、混合物を形成した。この混合物は、97%(v/v)超が2回Ig枯渇画分であり、この混合物中におけるTP1の最終濃度は、250μg/mLであった。この混合物を、上記で説明したようにインキュベートし、この混合物のアリコートを、このインキュベーション期間中に採取した。タンパク質濃度分析により示されるように、このIgG枯渇画分は、ほとんどが天然IgG以外の血清成分からなった。そのため、SEC分析前に精製工程で必要であると判断した。
【0077】
従って、SECにより治療用タンパク質のHMW種のレベルをアッセイする前に、この混合物を、プロテインAクロマトグラフィーに供して、HMW種を含む所望の画分を単離した。簡潔に説明すると、プロテインA樹脂を空のスピンカラムに移し、結合緩衝液で条件付けた。このカラムに、混合物(枯渇血清及び治療用タンパク質を含む)を含むサンプルを入れ、このカラムを、10分にわたるラボローターによる緩やかな且穏やかな混合に供して、プロテインAと治療用タンパク質との相互作用を促進させた。その後、このカラムを遠心分離し、次いで結合緩衝液で完全に洗浄して、残留する非結合血清成分を洗い流した。次いで、樹脂に結合した種を、いくつかの少量の画分中の0.1%酢酸を使用する酸性溶出により溶出させた。画分の濃度を測定して、治療用タンパク質及びHMW種の含有量を決定し、HMW種含有画分をプールした。次いで、プールしたHMW種含有画分を使用して、SEC-HPLCによりHMW種のレベルをアッセイした。治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を、本明細書で説明されている方程式1に従って算出した。図2は、インキュベーション期間中の、10%まで希釈されたTP2のSECクロマトグラムの重ね合わせを示す。図2に示すように、TP2のHMW種の%は、経時的に減少した。各治療用タンパク質(TP1及びTP2)の結果を、表5に示す。
【0078】
【表9】
【0079】
表3に示すように、TP1のHMW種のインビボでの可逆性の算出された割合は、(4時間の時点での)約12%であった。TP2のHMW種のインビボでの可逆性の算出された割合は、5%のHMW種まで希釈されたTP2サンプルの場合は(1時間の時点での)11%の可逆性であり、10%のHMW種まで希釈されたTP2サンプルの場合は(6時間の時点での)26%の可逆性であった。
【0080】
上記の実施例は、2つの異なる治療用タンパク質のHMW種の可逆性の%を決定する方法を示した。ここで、この方法を、任意のFc含有治療用タンパク質に使用し得る。
【0081】
実施例3
この実施例は、蛍光標識を伴う全血清(whole serum with fluorescence labeling)(WSFL)法と呼ばれる本開示の第3の例示的な方法を示す。
【0082】
この方法では、治療用タンパク質を含むサンプルを、蛍光標識で標識した。簡潔に説明すると、この治療用タンパク質の富化されたHMW種を、製造業者の指示に従ってAlexa Fluor(商標)488標識キットで最初に標識した。この標識画分を、30kDa分子量カットオフを有する0.5mL容量のAmicon(登録商標)濃縮器ユニットを使用して洗浄した。次いで、製造業者の指示に従って分光光度計によりタンパク質濃度を測定した。
【0083】
標識HMW種を含むサンプルを、全血清(いかなる枯渇工程も経ていない血清)を含むサンプルに添加して、混合物を得た。この混合物中における治療用タンパク質の濃度は、250μg/mLであり、この混合物中における全血清は、90%(v/v)超であった。この混合物を、本質的には上記で説明したようにインキュベートし、この期間全体にわたりアリコートを採取し、SEC-HPLC-FLDにより分析した。HMW種の%を使用して、治療用タンパク質のHMW種の可逆性の%を算出した。
【0084】
この方法の後、TP1のサンプルは、最大6時間で10%未満の可逆性の%を示した。
【0085】
上記の実施例は、2つの異なる治療用タンパク質のHMW種の可逆性の%を決定する方法を示した。この方法を、あらゆるタイプの治療用タンパク質に使用し得る。
【0086】
実施例4
この実施例は、抗体捕捉を伴う全血清(Whole Serum with Antibody Capture)(WSAC)法と呼ばれる本開示の第4の例示的な方法を示す。
【0087】
この方法は、全血清が使用されるWSFL法に類似している。この方法はまた、SECの前に分離工程を実施するという点で、IgGDS法にも類似している。
【0088】
この方法では、HMW種を含むサンプルを、全血清(いかなる枯渇工程も経ていない血清)を含むサンプルに添加して、混合物を得た。この混合物中における治療用タンパク質の濃度は、250μg/mLであり、この混合物は、97%(v/v)超が全血清であった。次いで、この混合物を、上記で説明したようにインキュベートし、このインキュベーション期間中の様々な時点で、この混合物のアリコートを採取した。この混合物のアリコートの成分の分離を、セファロース樹脂に共有結合的にカップリングしている治療用タンパク質特異的抗体を使用する親和性クロマトグラフィーにより実行した。この分離工程により、HMW種を含む所望の画分の単離が可能となった。抗体がカップリングした樹脂を、下記で説明するように生成した。親和性クロマトグラフィーカラムを配置して、このカラムに、混合物(血清及び治療用タンパク質を含む)のアリコートを入れ、このカラムを、10分にわたるラボローターによる緩やかな且穏やかな混合に供して、抗体がカップリングした樹脂と治療用タンパク質との相互作用を促進させた。その後、このカラムを遠心分離し、次いで結合緩衝液で完全に洗浄して、残留する非結合血清成分を洗い流した。次いで、樹脂に結合した種を、いくつかの少量の画分中の100mMグリシン(pH3.0)を使用する酸性溶出により溶出させた。画分の濃度を測定して、治療用タンパク質及びHMW種の含有量を決定し、HMW種含有画分をプールした。次いで、プールしたHMW種含有画分を使用して、SEC-HPLCによりHMW種のレベルをアッセイした。治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を、本明細書で説明されている方程式1に従って算出した。
【0089】
抗体がカップリングした樹脂の生成:簡潔に説明すると、活性化された樹脂を空のスピンカラムに移し、不活性緩衝液で条件付けた。このカラムに、カップリング試薬及び抗治療用タンパク質抗体を、製造業者規定の濃度で又はこれに近い濃度で入れ、このカラムを、ラボローターによる緩やかな且穏やかな混合に供して、カップリング反応を促進させた。遊離抗体(治療用タンパク質に特異的な抗体)の濃度を1+-時間間隔で測定して、カップリングの進行をモニタリングした。この反応を、室温で実施した。この反応を一晩延長させる必要がある場合には、反応装置を、5℃の低温室に移した。カップリングが完了すると(遊離抗治療用タンパク質抗体濃度のプラトーにより示される)、このカラムを遠心分離して反応溶液を除去し、次いで不活性緩衝液で完全に洗浄した。次いで、樹脂を、エタノールアミン及びカップリング試薬による2回目のカップリング反応に供して、樹脂中のあらゆる残余の活性なカップリング部位をブロックした。このカラムを、既に説明したように遠心分離して完全に洗浄し、アジ化ナトリウムを含む不活性緩衝液中で保存した。
【0090】
この方法では、HMW種の可逆性を、全血清中で直接評価した。サンプルを、樹脂にカップリングしている、治療用タンパク質に特異的な抗体を使用する免疫ベースの捕捉により、血清から単離した。抗体がカップリングした樹脂を使用する分離の後、SEC分析を実施して、HMW種の量を測定した。治療用タンパク質のHMW種のインビボでの可逆性の割合を、本明細書で説明されている方程式1に従って算出した。TP1に関する結果を、表6に示す。
【0091】
【表10】
【0092】
TP1のHMW種(血清への添加前の最初は4.6%であった)は、最大6時間で9%の可逆性を示した。
【0093】
上記の実施例は、治療用タンパク質のHMW種の可逆性の%を決定する方法を示した。この方法を、あらゆるタイプの治療用タンパク質に使用し得る。
【0094】
実施例5
この実施例は、実施例2で説明されている方法を実施する代替方法を示す。
【0095】
一本鎖可変ドメインを有するがFcを有しない標準的なBiTE(登録商標)分子構造を有する治療用タンパク質を、枯渇血清を使用する血清可逆性研究で使用した。この方法は、プロテインAの代わりにプロテインLを使用した以外は、実施例2で説明されているものと類似していた。プロテインAとは異なり、プロテインLは、カッパ軽鎖相互作用により抗体に結合する。プロテインLは、全ての抗体クラス(例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、及びIgD)、一本鎖可変断片(scFv)、並びにFab断片に結合する。プロテインLの枯渇後、カッパ軽鎖を有する全ての抗体及び抗体断片は、可逆性研究用の最終血清マトリックス中で除去される。
【0096】
この方法の第1の工程では、血清から、プロテインLに結合する全ての成分を除去することにより、枯渇血清画分を調製した。この枯渇血清画分を、プロテインL樹脂を使用して調製した。この調製された枯渇血清画分に、TP3のサンプル(実施例1Bで説明されている;HMW種の最初の%は5.28%であった)を添加して、混合物を形成した。この混合物は、87%(v/v)超が枯渇血清画分であり、この混合物中におけるTP3の最終濃度は、100マイクログラム/mLであった。次いで、TP3を、様々な時点にわたり、この枯渇血清画分中でインキュベートした。この混合物をプロテインLクロマトグラフィーに供して、TP3のHMW種を含む所望の画分を単離した。この特定の治療用タンパク質に関して、下記の2種の酸性溶出緩衝液を試験した:0.1%の酢酸、及び50mMの酢酸ナトリウム(pH3.3)。後者は、治療用タンパク質のHMWの%を維持し、最初の評価かからの回復が良好である。最後に、TP3のHMW種のレベルを、SECでアッセイした。結果を表7に示す。
【0097】
【表11】
【0098】
この実施例は、本開示の方法を、多くの種類の治療用タンパク質のインビボでの可逆性の試験に使用し得ることを示す。この実施例はまた、このタンパク質L法を使用して、BiTE(登録商標)分子の可逆性を評価し得ること、及びこのタンパク質L法は、IgG枯渇法とほぼ同一の実験デザインを有することも示す。
【0099】
実施例6
この実施例は、実施例4で説明されている免疫分離工程中の混合時間を変更したWSAC法を示す。
【0100】
セファロース樹脂に共有結合的にカップリングされている治療用タンパク質特異的抗体を使用する親和性クロマトグラフィーによる治療用タンパク質の分離中に混合時間を変更した以外は、実施例4で説明されているWSAC法を実行した。この実験では、治療用タンパク質サンプルを全血清と混合し、この混合物(血清及び治療用タンパク質を含む)のアリコートを、この治療用タンパク質に特異的な抗体に付着した樹脂が入ったスピンカラムに入れた。このアリコートが入ったカラムを、約5分、30分、又は約2時間にわたるラボローターによる緩やかな且穏やかな混合に供した。遠心分離して、樹脂からアリコートの非結合成分を分離した後、このスピンカラムを、DPBS又は0.5MのNaClを含む洗浄緩衝液で洗浄した。5分間のスピンカラムから洗浄緩衝液を溶出させる前に、このスピンカラムを、複数回、穏やかに反転させた。
【0101】
図4に示すように、洗浄工程中でのスピンカラムの穏やかな物理的反転を伴う5分間の混合時間は、HMW種を検出するのに十分であり、且つ共溶出する血清成分と考えられる最小限のポストピークで治療用タンパク質を捕捉するのに十分であった。対照的に、洗浄工程中での穏やかな物理的反転を伴わない30分及び2時間の混合時間は、5分間の混合時間と比較して、ポストピークが高くなり、HMW種が検出されず、且つサンプル処理が長くなった。
【0102】
これらの結果は、治療用タンパク質/そのHMW種を樹脂に結合させるには樹脂と混合物との5分間の混合時間で十分であることを裏付ける。
【0103】
実施例7
この実施例は、実施例2及び実施例4の両方で説明されている免疫分離工程中での適切な溶出条件を特定するために実行した一連の実験を示す。
【0104】
HMW種の形成を誘発する可能性がある濃縮工程を行なうことなく、溶出液をSEC-HPLC分析に直接ロードし得ることを目標に、親和性樹脂と溶出体積との比率を調査した。プロテインA樹脂溶液(100μL又は200μL)を、2mLの使い捨てスピンカラムに移した。カラムに試験サンプルを入れ、ラボローターにより10分にわたりカラムを穏やかに混合することにより結合させた。試験したサンプルは、治療用タンパク質(250μg)を含むか若しくは含まないIgG枯渇血清1mLを含むか、又は治療用タンパク質(250μg)を含む水1mLを含んだ。その後、樹脂を不活性緩衝液で洗浄して、非結合成分を除去した。樹脂結合成分を、100μL画分中の溶出緩衝液を使用して放出させた。各画分をUV-VISに供して、各画分に関するタンパク質濃度を決定した。各画分に関するタンパク質濃度を、表8に示す。
【0105】
【表12】
【0106】
この実験の結果は、プロテインA樹脂200μLを使用した場合に治療用タンパク質を完全に放出するためには、より多くの溶出緩衝液が必要であったことを裏付ける。放出は、画分3で明らかでった。プロテインA樹脂100μLを使用した場合には、結合した標的の大部分が最初の3つの画分で溶出しており、これらの画分をプールした場合には、SEC-HPLC分析に十分に高い濃度のタンパク質が得られた。
【0107】
実施例4の方法で使用される溶出緩衝液は、HMWの形成又は分解を誘発することなく治療用タンパク質と捕捉抗体との間の結合を解除し得なければならない。関連する研究では、WSAC法で使用される溶出緩衝液を、TP1及びTP2の両方に関して評価した。TP1の場合には、0.1%の酢酸、グリシン(pH3.0)、グリシン(pH2.3)、又はグリシン(pH2.0)を使用して1mL又は0.5mLの画分で樹脂結合成分を放出させることにより、溶出緩衝液の成分又はそのpHを試験した。簡潔に説明すると、TP1に特異的な捕捉抗体樹脂(200μL)を、2mLの使い捨てスピンカラムに入れ、不活性緩衝液で条件付けた。スピンカラムに、DPBS 1mL中にTP1 250μgをそれぞれ含む試験サンプルを入れた。次いで、このカラムを、ラボローターを使用して穏やかに混合した。樹脂結合成分を溶出緩衝液で放出させ、画分を回収した。これらの画分でSEC-HPLCを実行した。
【0108】
結果を図5に示す。pHが低いこれら2種のグリシン緩衝液は、高次のHMW(HHMW)種の形成を誘発した。pH3.0のグリシン及び酢酸緩衝液は、コントロールと同様のHMWプロファイルを示した。これらのデータは、最初の治療用タンパク質用の溶出緩衝液としてのグリシンpH3.0及び酢酸緩衝液の使用を裏付ける。
【0109】
TP2の場合には、TP2(250μg)のサンプルを、試験する多くの溶出緩衝液の内の1つに添加し、2時間超にわたり室温で維持した。次いで、このサンプルを、プラットフォームSEC-HPLC法を使用するSEC-HPLCにより評価した。試験した溶出緩衝液は、グリシン(pH2.3)、グリシン(pH3.0)、0.1%の酢酸、クエン酸塩(pH3.0)、クエン酸塩(pH3.5)、クエン酸塩(pH4.0)、及び4MのMgCl2であった。様々な添加溶出緩衝液に対して、SEC-HPLC分析を実施した。スペクトルを図6に示す。洗浄緩衝液及び形成緩衝液にもTP2を添加し、溶出緩衝液と同一の方法でSEC-HPLCにより分析した。試験した洗浄緩衝液は、DPBS、0.5MのNaCl、形成緩衝液、及び水を含んだ。様々な洗浄緩衝液を使用するSEC-HPLCスペクトルを、図6に示す。
【0110】
試験した溶出緩衝液の内、酢酸、クエン酸塩(pH3.5)、及びクエン酸塩(pH4.0)は、治療用タンパク質の変性の予防に有効であった。試験した他の溶出緩衝液は、凝集(高分子量種(HMW)の増加、より高次の高分子量種(HHMW)の生成、及び非分解HMWの存在の可能性を示す単量体の前面化(fronting))を誘発しており、このことは、この緩衝液がTP2を変性することを示す。最後に、試験した洗浄緩衝液は全て、TP2を変性しなかった。
【0111】
本明細書で引用されている全ての参考文献(例えば、刊行物、特許出願、及び特許)は、各参考文献が参照により組み込まれると個別に及び明確に示されており、且つその全体が本明細書に記載されていた場合と同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
本開示の説明の文脈での(特に、下記の特許請求の範囲の文脈での)用語「1つの(a)」、及び「1つの(an)」、及び「その」、並びに類似の指示対象の使用は、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」は、特記しない限り、オープンエンドの用語(即ち、「含むが、限定されない」を意味する)と解釈されなければならない。
【0113】
本明細書における値の範囲の列挙は、別途本明細書で指示されない限り、この範囲及び各端点にある別個の値の各々を個々に指す簡略法の役割を果たすことが意図されているに過ぎず、別個の値及び端点の各々は、それが本明細書において個々に列挙されていたかのように本明細書に組み込まれる。
【0114】
本明細書で説明されている方法は全て、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば「等」)の使用は、本開示をより明らかにするすることが意図されているに過ぎず、別途特許請求されない限り、本開示の範囲の限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言葉も、任意の特許請求されていない要素を本開示の実施に必須として示していると解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書では、本開示の好ましい実施形態が説明されており、例えば、本開示を実行するための本発明者らに既知の最良の形態が説明されている。前述の説明を読めば、この好ましい実施形態のバリエーションが当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのようなバリエーションを採用することを期待し、且つ本発明者らは、本明細書で具体的に説明されている形態以外で本開示が実施されることを意図している。従って、本開示は、適用される法により認められる通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての変更形態及び均等物を含む。さらに、上記の要素の任意の組み合わせは、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、その全ての可能なバリエーションで本開示に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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