(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】端末装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20241011BHJP
【FI】
H04W48/16 131
(21)【出願番号】P 2021575168
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004425
(87)【国際公開番号】W WO2021156984
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-01-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】秋元 陽介
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0227964(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上りリンクのデータ通信量が多い、及び/又は、上りリンクのデータ通信頻度が高い端末装置であって、
それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた複数のプライオリティリストを受信する受信部と、
分類されたグループを示す所定情報に基づいて、前記複数のプライオリティリストから前記端末装置に対応するプライオリティリストのうちの1つを選択する選択部と、
前記選択されたプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行う制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記所定情報をさらに受信する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記所定情報は、前記端末装置の通信契約に基づいて分類された前記グループを識別するための契約プランの情報を含む、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記所定情報を保持する保持部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記所定情報は、前記端末装置の種類に基づいて分類された前記グループを識別するための端末タイプの情報を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記端末装置は、3GPP(登録商標)に準拠した通信を行う端末装置である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
上りリンクのデータ通信量が多い、及び/又は、上りリンクのデータ通信頻度が高い端末装置に使用される無線通信方法であって、
それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた複数のプライオリティリストを受信するステップと、
分類されたグループを示す所定情報に基づいて、前記複数のプライオリティリストから前記端末装置に対応するプライオリティリストのうちの1つを選択するステップと、
前記選択されたプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うステップと、を含む、
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)において、第5世代(5G:Fifth Generation)のセルラー通信システムに向けた新しい無線アクセス技術であるNR(New Radio)の検討が行われている。NRは、第4世代のセルラー通信システムであるLTE(Long Term Evolution)-Advancedよりも、多種多様なサービスを実現可能とするための技術として検討されている。例えば、NRでは高速・大容量通信を実現するeMBB(enhanced Mobile Broad Band)、超高信頼・低遅延通信を実現するURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)、及びIoT(Internet of Things)デバイスの多数同時接続を実現するmMTC(massive Machine Type Communication)といった、用途の異なる利用シナリオが実現要件として定められている。
【0003】
従来、LTE及びNRでは、基地局装置は、それぞれ異なる周波数帯を有する複数のセルについて、セル間の優先度(プライオリティ)の情報を端末装置に通知している。アイドル状態(RRC Idle)の端末装置は、例えば移動時に新たなセルを発見するために、このセル間の優先度の情報に基づいて、セル再選択(cell reselection)を行っている(非特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】3GPP規格書「TS 36.304 V15.5.0 (2019-12)」
【文献】3GPP規格書「TS 36.331 V15.8.0 (2019-12)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、下りリンクのデータ通信量は、上りリンクのデータ通信量より多いことが知られている。そのため、セル間の優先度は、下りリンクのデータ通信を基準として設定されていた。
【0006】
しかしながら、上りリンクのデータ通信が多い情報端末において、このような優先度に基づいてセルを選択すると、当該セルの限られた帯域幅の上りリンク用の周波数帯が、上りリンクのデータ通信によって逼迫するおそれがあり、適切ではなかった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上りリンクのデータ通信に適したセルを選択することのできる端末装置及び無線通信方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る端末装置は、それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた複数のプライオリティリストを受信する受信部と、分類されたグループを示す所定情報に基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択する選択部と、選択されたプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行う制御部と、を備える。
【0009】
本発明の一側面に係る端末装置は、それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストを受信する受信部と、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りプライオリティリストを用いてセルの選択を含む所定処理を行う制御部と、を備える。
【0010】
本発明の一側面に係る無線通信方法は、端末装置に使用される無線通信方法であって、それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた複数のプライオリティリストを受信するステップと、分類されたグループを示す所定情報に基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択するステップと、選択されたプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うステップと、を含む。
【0011】
本発明の一側面に係る無線通信方法は、端末装置に使用される無線通信方法であって、それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストを受信するステップと、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りプライオリティリストを用いてセルの選択を含む所定処理を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上りリンクのデータ通信に適したセルを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態における無線通信システムの概略構成の一例を示す構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における端末装置及び基地局装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における端末装置の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の第1具体例における無線通信システムを示す構成図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の第2具体例における無線通信システムを示す構成図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における無線通信システムが行う処理手順の一例を説明するためのタイムチャートである。
【
図7】
図7は、第1実施形態における端末装置が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態における端末装置の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態における無線通信システムが行う処理手順の一例を説明するためのタイムチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態における端末装置が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0015】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照しつつ、第1実施形態に従う無線通信システムの概略構成について説明する。
図1は、第1実施形態における無線通信システム100の概略構成の一例を示す構成図である。
【0016】
図1に示すように、無線通信システム100は、端末装置10-1から端末装置10-mと、基地局装置50-1から基地局装置50-nと、コアネットワーク装置90と、を含んで構成される。
【0017】
無線通信システム100は、例えばNRを対象とする無線通信システムである。なお、本発明は、少なくとも端末装置と基地局装置とを備える無線通信システムであれば適用可能であり、NRを対象とするものに限定されない。例えば、本発明はLTEやLTE-Advancedに対しても適用可能である。また、無線通信システムの一部にNRを用いる無線通信システムにおいても適用可能である。以降において、LTEとLTE-AdvancedのことをE-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)ともいうが、その意味は同じである。基地局装置が形成するエリア(カバーエリア)をセルといい、E-UTRA及びNRは、複数セルにより構築されるセルラー通信システムである。本実施形態に係る無線通信システムは、TDD(Time Division Duplex)とFDD(Frequency Division Duplex)のどちらの方式を適用しても良く、セルごとに異なる方式が適用されてもよい。
【0018】
端末装置10-1から端末装置10-mは、それぞれ、基地局装置50-1から基地局装置50-nのいずれか1つと無線接続する。また、端末装置10-1から端末装置10-mのそれぞれは、基地局装置50-1から基地局装置50-nのうちの2つ以上と同時に無線接続してもよい。基地局装置50-1から基地局装置50-nは、それぞれ、E-UTRA、あるいはNRを用いることができる。例えば、基地局装置50-1がNRを使用し、基地局装置50-nがE-UTRAを使用してもよいし、その逆でもよい。E-UTRAにおける基地局装置をeNB(evolved NodeB)、NRにおける基地局装置をgNB(g-NodeB)という。以降において、基地局装置と記載した場合はeNBとgNBとの両方を含む意味である。また、E-UTRA及びNRにおける端末装置をUE(User Equipment)という。NRにおける基地局装置gNBは、その使用する周波数帯の帯域幅の一部(BWP: Carrier bandwidth part)を用いて端末装置と接続してもよい。以降において、セルと記載した場合はBWPを含むものとする。
【0019】
なお、
図1には、m台(mは2以上の整数)の端末装置として、端末装置10-1から端末装置10-mを図示している。以下の説明において、これらm台の端末装置を区別することなく説明する場合には、符号の一部を省略して、単に「端末装置10」という。また、
図1には、n台(nは2以上の整数)の基地局装置として、基地局装置50-1から基地局装置50-nを図示している。以下の説明において、これらn台の基地局装置を区別することなく説明する場合には、符号の一部を省略して、単に「基地局装置50」という。
【0020】
端末装置10は、例えば、基地局装置50とセル単位で接続され、複数のセルを用いた接続、例えばキャリアアグリゲーションされてもよい。端末装置10が複数の基地局装置を介して接続される場合、つまり、デュアルコネクティビティの場合、初期接続される基地局装置をマスターノード(MN: Master Node)、追加で接続される基地局装置をセカンダリノード(SN: Secondary Node)という。基地局装置間は、基地局インターフェースにより接続されている。また、基地局装置50とコアネットワーク装置90とは、コアインターフェースにより接続されている。基地局インターフェースは、ハンドオーバーや基地局装置間の連携動作に必要な制御信号をやり取りするためなどに使用される。
【0021】
コアネットワーク装置90は、例えば、基地局装置50を配下に持ち、基地局装置間の負荷制御や、端末装置10の呼び出し(ページング)、位置登録などの移動制御を主に取り扱う。NRでは、コアネットワーク装置90において、制御プレーン(C-plane)の機能群として、モビリティを管理するAMF(Access and Mobility Management Function)、セッションを管理するSMF(Session Management Function)とを規定している。E-UTRAでは、AMFに対応するMME(Mobility Management Entity)を規定している。
【0022】
なお、
図1では、コアネットワーク装置90が1つの装置で構成される例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、コアネットワーク装置は、サーバー、ゲートウェイ等を含み、複数の装置で構成されていてもよい。
【0023】
端末装置10と基地局装置50とは、無線リソース制御(RRC: Radio Resource Control)層において、RRCメッセージを送受信し、セッション処理(接続シーケンスともいう)を進める。セッション処理を進めると、端末装置10は、アイドル状態(RRC Idle)から、基地局装置50への接続状態(RRC Connected)に変わる。アイドル状態は、端末装置10の待ち受け状態に相当する。
【0024】
また、端末装置10と基地局装置50は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層において、MAC制御要素(MAC CE: MAC Control Element)を送受信する。RRCメッセージは、RRC PDU(Protocol Data Unit)として送信され、マッピングされる論理チャネルとして、共通制御チャネル(CCCH: Common Control Channel)、個別制御チャネル(DCCH: Dedicated Control Channel)、ページング制御チャネル(PCCH: Paging Control Channel)、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH: Broadcast Control Channel)、又は、マルチキャスト制御チャネル(MCCH: Multicast Control Channel)が用いられる。MAC CEは、MAC PDU(又は、MAC subPDU)として送信される。MAC subPDUは、MAC層におけるサービスデータユニット(SDU: Service Data Unit)に、例えば8ビットのヘッダーを加えたものに等しく、MAC PDUは、一つ以上のMAC subPDUを含む。
【0025】
本実施形態に関わる物理チャネルおよび物理シグナルについて説明する。本発明の実施形態に関わる物理チャネルのうち、物理報知チャネル(PBCH: Physical Broadcast Channel)、プライマリ同期信号(PSS: Primary Synchronization Signal)、セカンダリ同期信号(SSS: Secondary Synchronization Signal)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH: Physical Random Access Channel)、及び物理下りリンク制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control Channel)について以下に説明する。なお、実施形態に係る無線通信システムにおいて、他に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control Channel)、物理下りリンク共有チャネル(PDSCH: Physical Downlink Shared Channel)、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared Channel)、サウンディング参照信号(SRS: Sounding Reference Signal)、復調参照信号(DMRS: Demodulation Reference Signal)が少なくとも存在するが、詳細な説明を省略する。
【0026】
<物理報知チャネル(PBCH)>
物理報知チャネル(PBCH)は、基地局装置から端末装置に対して送信され、基地局装置の配下のセルにおける共通パラメータ(システムインフォメーション)を通知するために使用される。システムインフォメーションは、更にマスターインフォメーションブロック(MIB: Master Information Block)とシステムインフォメーションブロック(SIB: System Information Block)に分類される。なお、システムインフォメーションブロックは、更にSIB1、SIB2、・・・のように細分化されて送信される。システムインフォメーションはセルに接続するために必要な情報が含まれており、例えばMIBにはシステムフレーム番号やセルへのキャンプオン可否を示す情報等が含まれている。また、SIB1には、セルの品質を計算するためのパラメータ(セル選択パラメータ)、セル共通のチャネル情報(ランダムアクセス制御情報、PUCCH制御情報、PUSCH制御情報)、その他のシステムインフォメーションのスケジューリング情報などが含まれている。また、物理報知チャネル(PBCH)は、同期信号ブロック(SSB: Synchronization Signal Block(あるいはSS/PBSH))として、プライマリ同期信号(PSS)及びセカンダリ同期信号(SSS)から構成される同期信号とセットとなって周期的に送信される。端末装置10は、同期信号ブロック(SSB)を受信することによって、セル識別子(セルID)情報や受信タイミングの取得に加え、当該セルの信号の品質を測定することができる。
【0027】
物理報知チャネル(PBCH)等によって通知されるシステムインフォメーションは、「システム報知情報」又は「報知情報」とも呼ばれる。また、セルにキャンプオンするとは、端末装置がセル選択(cell selection)及び/又はセル再選択(cell reselection)を完了し、当該端末装置がシステム報知情報とページング情報をモニタするセルを選択した状態になることをいう。端末装置は、キャンプオンしたセルを形成する基地局装置との間で、前述したRRC接続を確立する。
【0028】
<プライマリ同期信号(PSS)>
プライマリ同期信号(PSS)は、端末装置が基地局装置の下り信号の受信シンボルタイミング及び周波数に同期するために使用される。プライマリ同期信号(PSS)は、端末装置が基地局装置のセルを検出する手順(以下、「セルサーチ手順」ともいう)において、最初に検出を試みる信号である。プライマリ同期信号(PSS)は、物理セルIDに基づいて、「0」~「2」の3通りの信号が繰り返し利用される。なお、物理セルIDは、物理的なセルの識別子であり、E-UTRAでは504通りのIDが使用され、NRでは1008通りのIDが使用される。
【0029】
<セカンダリ同期信号(SSS)>
セカンダリ同期信号(SSS)は、端末装置が基地局装置の物理IDを検出するために使用される。具体的には、セカンダリ同期信号(SSS)は、端末装置がセルサーチ手順において、物理セルIDを検出するための信号である。セカンダリ同期信号(SSS)は、物理セルIDに基づいて、E-UTRAでは「0」~「167」の168通り、NRでは「0」から「335」までの336通りの信号が繰り返し利用される。
【0030】
<物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)>
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は、端末装置10が、ランダムアクセスプリアンブルを基地局装置50に送信するために用いられる。物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)は、一般的に端末装置10と基地局装置50との間で上りリンク同期が確立していない状態において使用され、送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス)や上りリンクの無線リソース要求に用いられる。ランダムアクセスプリアンブルを送信可能な無線リソースを示す情報は、報知情報やRRCメッセージを用いて端末に送信される。
【0031】
<物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)>
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)は、端末装置10に対し、下りリンク制御情報(DCI: Downlink Control Information)を通知するために基地局装置50から送信される。下りリンク制御情報は、端末装置10が使用可能な上りリンクの無線リソース情報(上りリンクグラント(UL grant))、又は、下りリンクの無線リソース情報(下りリンクグラント(DL grant))を含む。下りリンクグラントは、物理下りリンク共有データチャネル(PDSCH)のスケジューリングを示す情報である。上りリンクグラントは、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)のスケジューリングを示す情報である。物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)がランダムアクセスプリアンブルの応答として送信される場合、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)によって示される物理下りリンク共有データチャネル(PDSCH)はランダムアクセスレスポンスであり、ランダムアクセスプリアンブルのインデックス情報、送信タイミング調整情報、上りリンクグラントなどが含まれる。
【0032】
<ハードウェア構成>
次に、
図2を参照しつつ、第1実施形態に従う端末装置及び基地局装置のハードウェア構成について説明する。
図2は、第1実施形態における端末装置10及び基地局装置50のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0033】
図2に示すように、端末装置10及び基地局装置50は、それぞれ、例えば、プロセッサ21、メモリ22、記憶装置23、通信装置24、入力装置25、出力装置26、及びアンテナ27を備える。
【0034】
プロセッサ21は、端末装置10又は基地局装置50の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等の集積回路を含んで構成される。
【0035】
メモリ22及び記憶装置23は、それぞれ、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。メモリ22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。記憶装置23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0036】
通信装置24は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行うように構成されている。通信装置24は、例えば、ネットワークカード、通信モジュール等を含んで構成される。また、通信装置24には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んで構成されていてもよい。
【0037】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A(Digital to Analog)変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナ27から送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナ27から受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D(Analog to Digital)変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0038】
入力装置25は、ユーザの操作により情報を入力できるように構成されている。入力装置25は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、及び/又はマイク等を含んで構成される。
【0039】
出力装置26は、情報を出力するように構成されている。出力装置26は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示装置、及び/又はスピーカ等を含んで構成される。
【0040】
また、端末装置10及び基地局装置50は、図示を省略するが、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、方位センサ、重力センサ、温度センサ、加速度センサ等の各種のセンサ、指紋、網膜、虹彩、顔、声紋等の各種の生体認証機能、カメラ、マイク、スピーカ、ライト等の各種のデバイス、接続端子を含む入出力インターフェース等のうち、少なくとも1つをさらに備えていてもよい。
【0041】
<機能ブロック構成>
次に、
図3を参照しつつ、第1実施形態に従う端末装置の機能ブロック構成について説明する。
図3は、第1実施形態における端末装置10の機能ブロック構成の一例を示す構成図である。なお、
図3は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すためのものであり、端末装置10が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0042】
図3に示すように、端末装置10は、機能ブロックとして、受信部11と、保持部12と、選択部13と、制御部14と、を備える。
【0043】
受信部11は、周辺の基地局装置50から、複数のプライオリティリストを受信するように構成されている。
【0044】
プライオリティリストは、例えば周波数プライオリティ(FreqPriorityEUTRA又はFreqPriorityNR)である。各プライオリティリストは、端末装置10の周辺に形成される複数のセルの周波数に対して優先順位を定めたものである。なお、受信部11が受信する複数のプライオリティリストは、少なくとも2つあればよく、3つ以上であってもよい。
【0045】
複数のプライオリティリストは、例えば、基地局装置50から周期的に受信する報知情報、具体的には、マスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB)に含まれる。このように、複数のプライオリティリストが報知情報のマスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB)に含まれことにより、基地局装置50との接続前のアイドル状態において、それぞれが複数のセルの周波数に対して優先順位を定めた複数のプライオリティリストを、受信することができる。
【0046】
また、受信部11は、所定情報をさらに受信するように構成されている。所定情報は、分類されたグループを示すものである。より詳細には、所定情報は、所定基準に基づいて分類された複数のグループを識別するための情報である。
【0047】
受信部11によって受信される複数のプライオリティリストのそれぞれは、分類された複数のグループのうちの1つに対応付けられている。すなわち、各プライオリティリストは、所定情報によって識別することが可能である。
【0048】
複数のグループに分類する所定基準は、種類、系統、性質、特性、形態等の様々な基準を採用し得る。
【0049】
所定情報は、例えば、端末装置10の通信契約に基づいて分類された複数グループを識別するための契約プランの情報を含む。契約プランの情報は、例えば契約プランコードである。端末装置10の契約プランコードは、例えば、コアネットワーク装置90においてユーザ情報を管理するDBに記憶されており、コアネットワーク装置90から基地局装置50を介して送信され、端末装置10の受信部11によって受信される。
【0050】
所定情報が契約プランコードを含む場合、例えば、例えば、複数のプライオリティリストのうち、1番目のプライオリティリストは、端末装置10の複数の通信契約のうちの第1の契約プラン、例えば、上りリンク及び下りリンクの両方ともにデータ通信が多いプランのグループに対応付けられ、契約プランコードが“A”であることによって識別される。また、複数のプライオリティリストのうち、2番目のプライオリティリストは、端末装置10のうちの複数の通信契約のうちの第2の契約プラン、例えば、上りリンクのデータ通信が多い、別の言い方をすれば、上りリンクのデータ通信が支配的である契約プランのグループに対応付けられ、契約プランコードが“B”であることによって識別される。
【0051】
また、所定情報は、例えば、端末装置10の種類に基づいて分類された複数グループを識別するための端末タイプの情報を含む。端末タイプの情報は、例えば端末タイプID(識別子)である。
【0052】
所定情報が端末タイプIDを含む場合、例えば、複数のプライオリティリストのうち、3番目のプライオリティリストは、端末装置10の複数種類のうちの第1の端末タイプ、例えばスマートフォン、タブレット端末等のグループに対応付けられ、端末タイプIDが“X”であることによって識別される。また、複数のプライオリティリストのうち、4番目のプライオリティリストは、端末装置10の複数種類のうちの第2の端末タイプ、例えば監視カメラ、産業用ワイヤレスセンサ、ウェアラブル端末等のグループに対応付けられ、端末タイプIDが“Y”であることによって識別される。
【0053】
保持部12は、所定情報を保持するように構成されている。より詳細には、所定情報が端末タイプIDを含む場合、端末装置10の端末タイプIDは、プロセッサ21内のプログラム又は記憶装置23に記憶されたプログラムにハードコードされており、保持部12に保持されている。また、保持部12は、受信部11によって受信された所定情報、例えば契約プランコードを、記憶装置23に記憶させて保持している。なお、端末装置10の端末タイプIDは、コアネットワーク装置90において管理されるDBに記憶されていてもよい。この場合、端末タイプIDは、コアネットワーク装置90から基地局装置50を介して送信され、端末装置10の受信部11によって受信される。
【0054】
選択部13は、所定情報に基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択するように構成されている。
【0055】
例えば、所定情報が契約プランコードを含む場合、選択部13は、契約プランコードが“A”のときに複数のプライオリティリストのうちの1番目のプライオリティリストを選択し、契約プランコードが“B”のときに複数のプライオリティリストのうちの2番目のプライオリティリストを選択する。このように、所定情報が端末装置10の通信契約に基づいて分類されたグループを識別するための契約プランコードを含むことにより、例えば端末装置10の通信契約が変更されたときに、当該変更に応じてプライオリティリストを柔軟に選択することができる。
【0056】
また、例えば、所定情報が端末タイプIDを含む場合、選択部13は、端末タイプIDが“X”のときに複数のプライオリティリストのうちの3番目のプライオリティリストを選択し、端末タイプIDが“Y”のときに複数のプライオリティリストのうちの4番目のプライオリティリストを選択する。このように、所定情報が端末装置10の種類に基づいて分類されたグループを識別するための端末タイプIDを含むことにより、端末装置10の種類に応じたプライオリティリストを選択することができる。
【0057】
なお、所定情報が契約プランコード及び端末タイプIDの両方を含む場合、選択部13は、契約プランID及び端末タイプIDのいずれか一方の情報を優先的に使用し、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択する。
【0058】
制御部14は、選択されたプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うように構成されている。具体的には、制御部14は、選択されたプライオリティリストが定める優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルに対して所定処理を行い、端末装置10の周辺に形成される複数のセルの中から優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルを選択する。優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルが何らかの理由によって選択できない場合、制御部14は、選択されたプライオリティリストが定める優先順位が2番目に高い周波数を利用するセルに対して所定処理を行い、端末装置10の周辺に形成される複数のセルの中から優先順位が2番目に高い周波数を利用するセルを選択する。このように、制御部14は、セルを選択できるまで、優先順位の高い順に、選択されたプライオリティリストに記載された周波数を利用するセルに対して所定処理を試みる。
【0059】
前述したように、所定処理は、セルを選択する処理を含んでいる。本明細書において、セルの選択は、セル選択(cell selection)及びセル再選択(cell reselection)の一方又は両方を意味する。セルの選択が完了し、当該端末装置10がシステム報知情報とページング情報をモニタするセルを選択した状態になると、当該セルにキャンプオンしたことになる。よって、端末装置10は、キャンプオンしたセルを形成する基地局装置50との間で、RRC接続を確立することが可能となる。
【0060】
所定処理は、セルの選択以外の処理、例えば、RRC接続の確立を含むランダムアクセス処理等を含んでいてもよい。RRC接続が完了すると、当該セルを形成する基地局装置50への接続状態になり、端末装置10は、データの送信及び受信、つまり、データの上り通信及び下り通信が可能となる。
【0061】
なお、受信部11は、例えばアンテナ27及び通信装置24により実現されてもよいし、通信装置24に加えてプロセッサ21が記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。保持部12は、例えばプロセッサ21内のプログラム又は記憶装置23に記憶されたプログラムにより実現されてもよい。選択部13及び制御部14は、プロセッサ21が、記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0062】
<無線通信システムの具体例>
次に、
図4及び
図5を参照しつつ、第1実施形態に従う無線通信システムの具体例について説明する。
図4は、第1実施形態の第1具体例における無線通信システム100Aを示す構成図である。
図5は、第1実施形態の第2具体例における無線通信システム100Bを示す構成図である。なお、
図4及び
図5では、無線通信システム100A,100Bが備えるコアネットワーク装置90の描画を省略している。
【0063】
(無線通信システムの第1具体例)
図4に示すように、無線通信システム100Aは、2つの基地局装置50-1,50-2を含んで構成される。基地局装置50-1及び基地局装置50-2は、それぞれ、例えば半径数百メートルから十数キロメートルのカバレッジエリアを有するセルを形成する。
図4に示す例では、基地局装置50-1が形成するセル(以下、「セルA」という)は、第1周波数帯であり、基地局装置50-2が形成するセル(以下、「セルB」という)は、第1周波数帯と異なる第2周波数帯である。セルAのカバレッジエリアとセルBのカバレッジエリアとは重複しており、端末装置10は、セルA及びセルBの両方のカバレッジエリア内に設置されている。
【0064】
(無線通信システムの第2具体例)
図5に示すように、無線通信システム100Bは、1つの基地局装置50-3を含んで構成される点で、無線通信システム100Aと相違する。基地局装置50-3は、
図4に示す基地局装置50-1及び基地局装置50-2と同様に、半径数百メートルから十数キロメートルのカバレッジエリアを有するセルを形成する。
図5に示す例では、基地局装置50-3は、それぞれ、カバレッジエリアの異なる3つのセル(以下、カバレッジエリアの小さい順に「セルC」、「セルD」、「セルE」という)を形成する。カバレッジエリアが相対的に狭いセルCは、例えば、TDD方式を採用しており、高い周波数帯で広い帯域幅を有している。一方、カバレッジエリアが相対的に広いセルCは、例えば、FDD方式を採用しており、低い周波数帯で限られた(狭い)帯域幅を有している。一例では、セルCは第3周波数帯であり、セルDは第3周波数帯と異なる第4周波数帯であり、セルEは第3周波数帯及び第4周波数帯と異なる第5周波数帯である。セルEはセルC及びセルDのカバレッジエリアを包含し、セルDはセルCのカバレッジエリアと重複しており、端末装置10は、セルC、セルD、及びセルEの全てのカバレッジエリア内に設置されている。
【0065】
図4及び
図5に例示するセルAからセルEは、それぞれ、全体の帯域幅において上りリンク用の周波数帯の帯域幅と下りリンク用の周波数帯の帯域幅との比率(割合)があらかじめ決められている。一般的に、下りリンクのデータ通信量は、上りリンクのデータ通信量より多いことが知られており、各セルは、下りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高く設定されていることが多い。また、端末装置10と基地局装置50との間で制御信号を通信する場合、各セルは、上りリンク用の周波数帯を使用している。
【0066】
ここで、端末装置10が、例えば監視カメラ、産業用ワイヤレスセンサ、ウェアラブル端末等の上りリンクのデータ通信量が多い、及び/又は、上りリンクのデータ通信頻度が高い装置である場合、選択したセルにおいて、前述したように、下りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高く設定されていると、上りリンクのデータ通信によって、限られた帯域幅の上りリンク用の周波数帯が逼迫してしまう。
【0067】
そして、当該端末装置10は、上りリンク用の周波数帯の帯域幅に余裕があるセルを求めて、別のセルを選択するための処理を行うことがあり、セルの選択に伴う制御信号の通信が発生し、上りリンク用の周波数帯の帯域幅を消費することになる。また、監視カメラ、産業用ワイヤレスセンサ、ウェアラブル端末等の端末装置10では、十分な電力供給ができないことがある。そのため、当該端末装置10には、セルの再選択等の処理や通信を減少させて消費電力を削減又は抑制するとともに、データ通信を開始するまでの遅延時間を短縮したいという要求がある。
【0068】
<処理手順>
次に、
図6を参照しつつ、第1実施形態に従う無線通信システムが行う処理手順について説明する。
図6は、第1実施形態における無線通信システム100Aが行う処理手順の一例を説明するためのタイムチャートである。なお、
図6では、説明の簡略化のため、
図4に示す無線通信システム100Aの処理手順について説明し、
図5に示す無線通信システム100Bの処理手順については、その説明を省略する。また、
図6では、端末装置10を「UE」と、基地局装置50-1を「gNB1」と、基地局装置50-2を「gNB2」と、コアネットワーク装置90を「AMF」とも表記する。
【0069】
図6に示すように、まず、コアネットワーク装置90は、端末装置10に所定情報を通知する(S101)。この所定情報は契約プランコードを含み、例えば契約プランコードに“B”が設定されている。端末装置10の受信部11は、コアネットワーク装置90から通知された所定情報を受信し、保持部12がこの所定情報を保持する。なお、ステップS101は、端末装置10がセル選択を実施する前に、毎回必ず実施される必要はなく、何らかの手段により予め所定情報が保持されていればよい。
【0070】
次に、端末装置10はキャンプオンするセルを選択する手順に入る。ここで、端末装置10は基地局装置50-1が送信する同期信号ブロック(SSB)を受信しているものとし、基地局装置50-1から送信されるシステム情報の受信処理を行う。端末装置10において、受信部11は、基地局装置50-1から報知情報(マスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB))を受信する(S102)。この報知情報には、複数のプライオリティリストが含まれている。
【0071】
次に、選択部13は、保持部12が保持する所定情報の契約プランコードに基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択する(S103)。
図6に示す例では、契約プランコードに“B”が選択されているので、選択部13は、複数のプライオリティリストのうちの2番目のプライオリティリストを選択する。2番目のプライオリティリストは、前述したように、上りリンクのデータ通信が多い契約プランのグループに対応付けられている。また、2番目のプライオリティリストは、複数のセルにおいて、上りリンク用ではなく、下りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高い順に、高い優先順位が定められている。
図4に示す無線通信システム100Aの例では、2番目のプライオリティリストは、基地局装置50-2のセルBに対して相対的に高い優先順位を定めており、基地局装置50-2のセルBに対して相対的に低い優先順位を定めている。
【0072】
次に、制御部14は、選択された2番目のプライオリティリストを用い、セル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を行う(S104)。制御部14は、2番目のプライオリティリストにおいて高い優先順位が定められた周波数を利用するセルBについて、セル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を行う。その結果、端末装置10は、基地局装置50-2のセルBにキャンプオンする。
【0073】
その後、端末装置10において上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生すると(S105)、制御部14は、基地局装置50-2との間でランダムアクセス処理を行う(S106)。これにより、端末装置10と基地局装置50-2との間にRRC接続が確立される。
【0074】
そして、端末装置10は、基地局装置50-2に上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)を送信する(S107)。
【0075】
このように、所定情報に基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択することにより、上りリンクのデータ通信の多い端末装置10は上りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高いセルが優先されるように記載されたプライオリティリストを選択することが可能となる。従って、選択されたプライオリティリストを用いてセルの選択を含む所定処理を行うことで、上りリンクのデータ通信に適した周波数を利用するセルを効率よく選択することができる。その結果、端末装置10の消費電力を削減又は抑制することができ、データ通信を開始するまでの遅延時間を短縮することができる。
【0076】
また、所定情報を受信することより、例えば、所定情報に含まれる契約プランコードは、“B”から“A”又は他のコードに変更することが可能であるため、複数のプライオリティリストの中から、所定情報の変更に応じてプライオリティリストを柔軟に選択することができる。
【0077】
また、所定情報を保持することにより、所定情報を保持しない場合に発生する処理や通信を減少させることができ、ネットワークの利用効率を向上させることができる。
【0078】
(端末装置の処理手順)
次に、
図7を参照しつつ、第1実施形態に従う端末装置が行う処理手順について説明する。
図7は、第1実施形態における端末装置10が行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0079】
以下の説明では、所定情報は端末装置10の端末タイプを示す端末タイプIDを含み、当該端末タイプIDは、プロセッサ21内のプログラム又は記憶装置23に記憶されたプログラムにハードコードされ、保持部12に保持されているものとする。
【0080】
図7に示すように、最初に、受信部11は、複数のプライオリティリストを含む報知情報(マスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB))を基地局装置50から受信する(S201)。
【0081】
次に、選択部13は、分類されたグループを示す所定情報に基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つを選択する(S202)。前述したように、所定情報は、端末装置10の端末タイプに基づいて分類されたグループを示す端末タイプIDである。
【0082】
次に、制御部14は、ステップS202において選択されたプライオリティリストを用い、セル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を含む所定処理を行う(S203)。
【0083】
なお、本実施形態で説明したシーケンス及びフローチャートは、処理に矛盾が生じない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0084】
[第2実施形態]
次に、
図8から
図10を参照しつつ、本発明の第2実施形態に従う端末装置について説明する。なお、第1実施形態と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同一又は類似する点については説明を省略する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
【0085】
<機能ブロック構成>
まず、
図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態に従う端末装置の機能ブロック構成について説明する。
図8は、第2実施形態における端末装置10Aの機能ブロック構成の一例を示す構成図である。なお、
図8は、本実施形態において必要な機能ブロックを示すためのものであり、端末装置10Aが図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。また、端末装置10Aを含む無線通信システムは、
図1に示す無線通信システム100と略同一であるため、図示及びその説明を省略する。
【0086】
図8に示すように、端末装置10Aは、機能ブロックとして、受信部11と、制御部14と、を備える。すなわち、端末装置10Aは、
図3に示す保持部12及び選択部13を備えていない点で、第1実施形態の端末装置10と相違する。
【0087】
受信部11は、周辺の基地局装置50から、上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストを受信するように構成されている。
【0088】
上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストは、第1実施形態のプライオリティリストと同様に、例えば周波数プライオリティ(FreqPriorityEUTRA又はFreqPriorityNR)である。上りプライオリティリストは、端末装置10Aの周辺に形成される複数のセルに対し、例えば、全体の帯域幅における上りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高い順に、高い優先順位を定めたものである。同様に、下りプライオリティリストは、端末装置10Aの周辺に形成される複数のセルに対し、例えば、全体の帯域幅における下りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高い順に、高い優先順位を定めたものである。
【0089】
上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストは、例えば、基地局装置50から周期的に受信する報知情報、具体的には、マスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB)に含まれる。このように、上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストが報知情報のマスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB)に含まれことにより、基地局装置50との接続前のアイドル状態において、それぞれが複数のセルについてそれらのセルの優先順位を示す複数のプライオリティリストを、受信することができる。
【0090】
制御部14は、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うように構成されている。具体的には、制御部14は、上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生すると、上りプライオリティリストが定める優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルに対して所定処理を行い、端末装置10Aの周辺に形成される複数のセルの中から優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルを選択する。優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルが何らかの理由によって選択できない場合、制御部14は、上りプライオリティリストが定める優先順位が2番目に高い周波数を利用するセルに対して所定処理を行い、端末装置10Aの周辺に形成される複数のセルの中から優先順位が2番目に高い周波数を利用するセルを選択する。このように、制御部14は、セルを選択できるまで、優先順位の高い順に、上りプライオリティリストに記載されたセルに対して所定処理を試みる。なお、所定処理は、前述した第1実施形態と同様に、セルの選択に加え、ランダムアクセス処理等を含んでいてもよい。
【0091】
このように、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うことにより、上りリンクのデータ通信時及び下りリンクのデータ通信時の両方において、同じプライオリティリストを選択する場合と比較して、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高いセルを優先的に選択することが可能となる。従って、上りプライオリティリストを用いてセルの選択を含む所定処理を行うことで、上りリンクのデータ通信に適した周波数を利用するセルを効率よく選択することができる。その結果、端末装置10Aの消費電力を削減又は抑制することができ、データ通信を開始するまでの遅延時間を短縮することができる。
【0092】
また、制御部14は、下りリンクのデータ通信を行う前に、下りプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うように構成されている。具体的には、制御部14は、下りリンクのデータ(Mobile Terminated Data)の発生に備えて、下りプライオリティリストが定める優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルに対して所定処理を行い、端末装置10Aの周辺に形成される複数のセルの中から優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルを選択する。優先順位が1番目に高い周波数を利用するセルが何らかの理由によって選択できない場合、制御部14は、下りプライオリティリストが定める優先順位が2番目に高い周波数を利用するセルに対して所定処理を行い、端末装置10Aの周辺に形成される複数のセルの中から優先順位が2番目に高い周波数を利用するセルを選択する。このように、制御部14は、セルを選択できるまで、優先順位の高い順に、下りプライオリティリストに記載されたセルに対して所定処理を試みる。なお、端末装置10Aは、基地局装置50からページングを受信することによって、下りリンクのデータ(Mobile Terminated Data)が発生したか否かを判断可能となる。下りリンクのデータ通信を開始するまでの遅延時間を短縮するために、制御部14は、基地局装置50からのページングを受信する前に、下りプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うことが好ましい。
【0093】
このように、下りリンクのデータ通信を行う前に、下りプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理を行うことにより、上りリンクのデータ通信時に選択されるセルと、下りリンクのデータ通信時に選択されるセルとを使い分けることができる。
【0094】
<処理手順>
次に、
図9を参照しつつ、第2実施形態に従う無線通信システムが行う処理手順について説明する。
図9は、第2実施形態における無線通信システムが行う処理手順の一例を説明するためのタイムチャートである。なお、第2実施形態における無線通信システムの具体例は、
図4に示す無線通信システム100A及び
図5に示す無線通信システム100Bと略同一であるため、図示及びその説明を省略する。また、
図9では、端末装置10Aを「UE」と、基地局装置50-1を「gNB1」と、基地局装置50-2を「gNB2」と、コアネットワーク装置90を「AMF」とも表記する。
【0095】
図9に示すように、まず、端末装置10Aにおいて、受信部11は、基地局装置50-1から上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストを受信する(S111)。なお、受信部11は、上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストを、基地局装置50-2から受信してもよい。
【0096】
その後、端末装置10Aにおいて上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生すると(S105)、制御部14は、上りプライオリティリストを用いてセル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を行う(S112)。制御部14は、上りプライオリティリストにおいて高い優先順位が定められたセルBについて、セル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を行う。その結果、端末装置10は、基地局装置50-2のセルBにキャンプオンする。
【0097】
次に、制御部14は、基地局装置50-2との間でランダムアクセス処理を行う(S106)。これにより、端末装置10Aと基地局装置50-2との間にRRC接続が確立される。
【0098】
そして、端末装置10Aは、基地局装置50-2に上りリンクのデータを送信する(S107)。
【0099】
(端末装置の処理手順)
次に、
図10を参照しつつ、第2実施形態に従う端末装置が行う処理手順について説明する。
図10は、第2実施形態における端末装置10Aが行う処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0100】
図10に示すように、最初に、受信部11は、上りプライオリティリスト及び下りプライオリティリストを含む報知情報(マスターインフォメーションブロック(MIB)又はシステムインフォメーションブロック(SIB))を基地局装置50から受信する(S251)。
【0101】
次に、制御部14は、上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生したか否かを判定する(S252)。ステップS252の判定の結果、上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生した場合、制御部14は、上りプライオリティリストを用いてセル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を含む所定処理を行う(S253)。ステップS253の後、端末装置10Aは処理を終了する。
【0102】
一方、ステップS252の判定の結果、上りリンクのデータ(Mobile Originated Data)が発生していない場合、下りリンクのデータ(Mobile Terminated Data)の発生に備えて、制御部14は、下りプライオリティリストを用いてセル選択(cell selection)又はセル再選択(cell reselection)を含む所定処理を行い(S254)、ページングの待受を継続する。ステップS254の後、端末装置10Aは処理を終了する。
【0103】
なお、本実施形態で説明したシーケンス及びフローチャートは、処理に矛盾が生じない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0104】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。第1実施形態における端末装置10及び無線通信方法によれば、所定情報に基づいて、複数のプライオリティリストのうちの1つが選択される。これにより、上りリンクのデータ通信の多い端末装置10は上りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高いセルが優先されるように記載されたプライオリティリストを選択することが可能となる。従って、選択されたプライオリティリストを用いてセルの選択を含む所定処理を行うことで、上りリンクのデータ通信に適した周波数を利用するセルを効率よく選択することができる。その結果、端末装置10の消費電力を削減又は抑制することができ、データ通信を開始するまでの遅延時間を短縮することができる。
【0105】
また、第2実施形態における端末装置10A及び無線通信方法によれば、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りプライオリティリストを用い、セルの選択を含む所定処理が行われる。これにより、上りリンクのデータ通信時及び下りリンクのデータ通信時の両方において、同じプライオリティリストを選択する場合と比較して、上りリンクのデータ通信を行うときに、上りリンク用の周波数帯の帯域幅の比率が高いセルを優先的に選択することが可能となる。従って、上りプライオリティリストを用いてセルの選択を含む所定処理を行うことで、上りリンクのデータ通信に適した周波数を利用するセルを効率よく選択することができる。その結果、端末装置10Aの消費電力を削減又は抑制することができ、データ通信を開始するまでの遅延時間を短縮することができる。
【0106】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0107】
10,10A…端末装置、11…受信部、12…保持部、13…選択部、14…制御部、21…プロセッサ、22…メモリ、23…記憶装置、24…通信装置、25…入力装置、26…出力装置、27…アンテナ、50…基地局装置、90…コアネットワーク装置、100,100A,100B…無線通信システム。