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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】車両用シート及び車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/12 20060101AFI20241011BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
B62J1/12 A
B62J1/12 Z
B62J50/21
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022050732
(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公開番号】P2023143394
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】二股 健士
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-083156(JP,A)
【文献】実開平02-017490(JP,U)
【文献】特開2003-127934(JP,A)
【文献】特開2015-159905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0279113(US,A1)
【文献】実開昭59-055053(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/12
B62J 50/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(F)側に設けられるシート底板(11)と、
前記シート底板(11)の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション(12)と、
前記シートクッション(12)を覆い前記シート底板(11)に固定され、前記シートクッション(12)の劣化状態を視認可能とする透過層(17)を含む開口部(14)が設けられたシートカバー(13)と、を備え、
前記開口部14は、前記シートカバー(13)における車幅方向の側面または後面に設けられる車両用シート(10)。
【請求項2】
前記開口部(14)は、前記シートクッション(12)を視認可能に形成されると共に、所定の情報を示す形状に形成されている、
請求項1に記載の車両用シート(10)。
【請求項3】
前記開口部(14)は、前記シートカバー(13)の周囲において上下方向に2つ以上に仕切られて形成されている、
請求項1または2に記載の車両用シート(10)。
【請求項4】
前記開口部(14)は、前記シートカバー(13)の車幅方向における側面において前後方向に2つ以上に仕切られて形成されている、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の車両用シート(10)。
【請求項5】
前記シートクッション(12)は、複数の弾性素材を再利用したチップ素材の集合材により形成されており、
前記開口部(14)は、前記チップ素材が有する複数の成型色を視認可能とする、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の車両用シート(10)。
【請求項6】
前記シートクッション(12)は、前後方向において2つ以上に分割され、上下方向において異なる素材により2つ以上に分割されて形成されている、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の車両用シート(10)。
【請求項7】
前記シートクッション(12)は、前記シート底板(11)側に設けられた第1弾性部材(12F)と、前記第1弾性部材(12F)の上部に設けられ前記第1弾性部材(12F)に比して低い弾性に形成された第2弾性部材(12G)により形成されている、
請求項6に記載された車両用シート(10)。
【請求項8】
前記開口部(14)は、前記シートクッション(12)の状態を判定可能な指標を示すゲージ(14C)が設けられている、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の車両用シート(10)。
【請求項9】
車体フレーム(F)側に設けられるシート底板(11)と、
前記シート底板(11)の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション(12)と、
前記シートクッション(12)を覆い前記シート底板(11)に固定され、前記シートクッション(12)を視認可能とする開口部(14)が設けられたシートカバー(13)と、を備え、
前記開口部(14)は、前記シートクッション(12)の状態を判定可能な指標を示すゲージ(14C)が設けられている車両用シート(10)。
【請求項10】
車体フレーム(F)側に設けられるシート底板(11)と、前記シート底板(11)の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション(12)と、前記シートクッション(12)を覆い前記シート底板(11)に固定され、前記シートクッション(12)の劣化状態を視認可能とする透過層(17)を含む開口部(14)が設けられたシートカバー(13)と、を備え、
前記開口部14は、前記シートカバー(13)における車幅方向の側面または後面に設けられる車両用シート(10)が設けられた車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部状態を視認可能な車両用シート、車両用部品、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両に取り付けられる車両用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された車両用シートは、シートフレームと、シートフレーム上に設けられたシートクッションと、シートクッションを覆うシートカバーとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2004/078568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートクッションは、経時的に劣化が進行し、交換が必要となる場合がある。しかしながら、特許文献1に記載された車両用シートにおいては、シートカバーを剥がさない限り内部のクッション素材の状態を確認できなかった。
【0005】
本発明は、シートの内部状態を視認可能とし、クッション素材の状態を確認できる車両用シート、車両用部品、及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体フレーム(F)側に設けられるシート底板(11)と、前記シート底板(11)の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション(12)と、前記シートクッション(12)を覆い前記シート底板(11)に固定され、前記シートクッション(12)の劣化状態を視認可能とする透過層(17)を含む開口部(14)が設けられたシートカバー(13)と、を備え、前記開口部14は、前記シートカバー(13)における車幅方向の側面または後面に設けられる、車両用シート(10)である。
【0007】
この構成によれば、開口部を介してシートカバー内部のシートクッションの状態を視認可能となり、シートクッションの交換の必要性を判定することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明の前記開口部(14)は、前記シートクッション(12)を視認可能に形成される共に、所定の情報を示す形状に形成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、開口部にメーカー名、車両名、使用方法等の所定の情報を示す機能を与えることができる。
【0010】
請求項3に記載した発明の前記開口部(14)は、前記シートカバー(13)の周囲において上下方向に2つ以上に仕切られて形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、シートクッションの上下方向における劣化度合を個別に視認することができる。
請求項4に記載した発明の前記開口部(14)は、前記シートカバー(13)の車幅方向における側面において前後方向に2つ以上に仕切られて形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、シートクッションの前後方向における劣化度合を個別に視認することができる。
【0013】
請求項5に記載した発明の前記シートクッション(12)は、複数の弾性素材を再利用したチップ素材の集合材により形成されており、前記開口部(14)は、前記チップ素材が有する複数の成型色を視認可能としてもよい。
【0014】
この構成によれば、開口部を介して複数の成型色を有するシートクッションが視認され、意匠性を向上させることができる。
【0015】
請求項6に記載した発明の前記シートクッション(12)は、前後方向において2つ以上に分割され、上下方向において異なる素材により2つ以上に分割されて形成されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、シートクッションが位置に応じて劣化度合が異なる場合、位置に応じて交換することができ、廃棄物を低減することができる。
【0017】
請求項7に記載した発明の前記シートクッション(12)は、前記シート底板(11)側に設けられた第1弾性部材(12F)と、前記第1弾性部材(12F)の上部に設けられ前記第1弾性部材(12F)に比して低い弾性に形成された第2弾性部材(12G)により形成されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、シートクッションの上下方向において弾性が異なる第1弾性部材と第2弾性部材を用いることにより、乗員の着座時の快適性を向上させることができる。
【0019】
請求項8に記載した発明の前記開口部(14)は、前記シートクッション(12)の状態を判定可能な指標を示すゲージ(14C)が設けられていてもよい。
【0020】
この構成によれば、ゲージの表示内容に基づいてシートクッションの劣化度合いを判定することができ、シートクッションの過剰な交換を防止し廃棄物を低減することができる。
【0021】
請求項9に記載した発明は、車体フレーム(F)側に設けられるシート底板(11)と、前記シート底板(11)の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション(12)と、前記シートクッション(12)を覆い前記シート底板(11)に固定され、前記シートクッション(12)を視認可能とする開口部(14)が設けられたシートカバー(13)と、を備え、前記開口部(14)は、前記シートクッション(12)の状態を判定可能な指標を示すゲージ(14C)が設けられている車両用シート(10)である。
【0022】
この構成によれば、既存の車両にシートカバー内部のシートクッションの状態を視認可能となる車両用シート提供することができる。
【0023】
請求項10に記載した発明は、車体フレーム(F)側に設けられるシート底板(11)と、前記シート底板(11)の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション(12)と、前記シートクッション(12)を覆い前記シート底板(11)に固定され、前記シートクッション(12)の劣化状態を視認可能とする透過層(17)を含む開口部(14)が設けられたシートカバー(13)と、を備え、前記開口部14は、前記シートカバー(13)における車幅方向の側面または後面に設けられる車両用シート(10)が設けられた車両(1)である。
【0024】
この構成によれば、車両にシートカバー内部のシートクッションの状態を視認可能となる車両用シートを備える車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シートの内部状態を視認可能とし、クッション素材の状態を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る車両用シートを備える車両の構成を概略的に示す側面図である。
図2】車両用シートの構成を示す側面図である。
図3】シートクッションの外観を示す図である。
図4】車両用シートの開口部の構成を示す断面図である。
図5】車両用シートの開口部の構成を示す図である。
図6】変形例に係る車両用シートの構成を示す側面図である。
図7】変形例に係る車両用シートの構成を示す側面図である。
図8】変形例に係るゲージの構成を示す図である。
図9】変形例に係るゲージの構成を示す図である。
図10】変形例に係るゲージの構成を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示されるように車両1は、例えば、自動二輪車或いは自動三輪車である。車両1は、鞍乗り型の自動二輪車である。車両1は、前輪或いは後輪に2個の車輪を有する自動三輪車であってもよい。以下の説明において、車両1の進行方向に沿って運転者から見て前方を前側、後方を後側とする前後方向、左右方向、上下方向が適宜設定される。車両1は、適宜車体ともいう。車両1は、例えば、前輪WF及び後輪WRに支持された車体フレームFと、車体フレームFに支持されたパワーユニットPと、車体フレームFに設けられた車両用シート10とを備える。
【0028】
車体フレームFは、例えば、鋼管や鋼板を組み合わせて高い剛性を有するように形成されている。前輪WFは、例えば、ディスクホイール、ワイヤーホイール、一体成型のスポークホイールである。前輪WFは、左右一対のフロントフォークRの下端部により回転自在に支持されている。フォークKは、前輪WFをステア方向(左右方向)に回転自在とするステアリングステムSに取り付けられている。ステアリングステムSは、車体フレームFに左右方向に回転自在に支持されている。ステアリングステムSの上部には、左右方向に延在するハンドルバーHが固定されている。ハンドルバーHには、更に左右一対の前側バックミラーMが固定されている。
【0029】
車体フレームFの下部には、駆動力を発生するパワーユニットPが回転自在に固定されている。パワーユニットPは、エンジンハンガー(不図示)により前ヒンジ(不図示)を介して車体フレームFに対して回転する。パワーユニットPは、エンジンと変速機とが一体に構成されている。変速機の内部には、例えば、変速操作を不要とする自動変速機が設けられている。パワーユニットPには、後輪を駆動する機構を収容すると共に、懸架装置を兼ねるスイングアームユニット(不図示)が一体に設けられている。スイングアームユニットは、例えば、車両1の左側において後輪WRを回転自在に片持ちにより支持している。スイングアームユニットは、ダンパー装置Dにより車体フレームFに支持されている。
【0030】
パワーユニットPの後方には、排気管に接続されたマフラーAPが設けられている。マフラーAPは、パワーユニットPに固定されており、パワーユニットPと共に車体フレームFに対して回転する。パワーユニットPは、エンジンの回転動力を利用する強制空冷方式、或いは水冷方式の冷却装置PCを有する。
【0031】
スイングアームユニットの後端には、後輪WRが回転自在に軸支されている。後輪WRは、例えば、ディスクホイール、ワイヤーホイール、一体成型のスポークホイールである。後輪WRには、前輪WFと同サイズ或いは異なるサイズのタイヤが取り付けられている。後輪WRは、スイングアームユニット内部に設けられたドライブベルトにより駆動される。ドライブベルトは、スイングアームユニット内部に設けられた自動遠心クラッチ(不図示)を介してパワーユニットPにおいて発生する回転駆動力を後輪WRに伝達する。
【0032】
車体フレームFの中央部には、運転者が着座する車両用シート10が設けられている。車両用シート10は、車体フレームFの着座位置に配置されている。車両用シート10の下方とステアリングステムSとの間において、車体フレームFを覆う車体カバー2が設けられている。
【0033】
次に、本発明に係る車両用シート10について説明する。
【0034】
図2及び図3に示されるように、車両用シート10は、車体フレームF側に設けられるシート底板11と、シート底板の上方に設けられたシートクッション12と、シートクッションを覆うシートカバー13とを備えている。シート底板11は、例えば、車体フレームF側に設けられた収容空間(不図示)を覆う板状に形成されている。シート底板11は、車体フレームFに対して開閉自在に設けられている。シート底板11は、例えば、樹脂材料により形成されている。シート底板11の前方には、車体フレームFに対して開閉可能とするヒンジ部11Aが設けられている。
【0035】
シート底板11は、前後方向における後方にフック部材11Bが設けられている。フック部材11Bは、車体フレームF側に設けられたロック機構(不図示)に係止される。ロック機構は、乗員のキー操作に基づいて解除及び締結される。シート底板11は、ロック機構の解除に基づいて、ヒンジ部11Aを回転中心として開閉自在となり、閉状態においてロック機構の締結に基づいて、車体フレームFに対して固定される。シート底板11の上面側には、シートクッション12が載置される。シートクッション12は、例えば、ウレタンスポンジなどの弾性体材料により形成されている。シートクッション12は、弾性体材料の塊から切削されてシート形状に形成されている。
【0036】
シートクッション12は、ウレタンスポンジの再生材料により形成されている。再生材料は、例えば、複数の異なる種類のウレタンスポンジの端材等の弾性体素材を再利用したリサイクル材である。再生材料は、例えば、複数の異なる種類のウレタンスポンジを細かく裁断し、裁断されたチップ素材を混合して一体に形成した集合材である。再生材料は、裁断されたチップ素材の種類の混合比を変更することにより、弾性を調整することができる。シートクッション12は、再生材料を用いることにより。複数のチップ素材が有する異なる成型色に基づく模様を備えている(図3参照)。シートクッション12の表面は、シートカバー13により覆われている。
【0037】
シートカバー13は、例えば、合成樹脂材料のシート材により形成されている。合成樹脂材料のシート材は、シート形状となるように立体裁断され、複数のピースが形成されている。シートカバー13は、複数のピースをミシンにより縫合して形成されている。シートカバー13は、シートクッション12を覆った後、端部がシート底板11の底面側に固定される。シートカバー13の端部は、シート底板11の底面側に鋲や門型の針状のステープルにより固定される。
【0038】
図4及び図5に示されるように、シートカバー13には、シートクッション12を視認可能とする開口部14が設けられている。開口部14は、例えば、シートクッションを視認可能に貫通するメッシュ構造15に形成されている。メッシュ構造15は、例えば、貫通孔16と、シートカバー13に裏面から貫通孔16を覆う透過層17と、シートカバー13の裏面と透過層17との間を接着する接着層18とを備えている。貫通孔16は、例えば、メーカー名のロゴ、車両名のロゴ、車両に関する使用方法等の所定の情報を示す任意の形状に形成されている。貫通孔16は、意匠性を有するエンブレム等の模様等に形成されていてもよい。
【0039】
透過層17は、例えば、シートクッション12を視認可能な網目構造を有するメッシュ素材により形成されている。透過層17に代えて透明なシート状の素材が用いられてもよい。透過層17は、接着層18を介してシートカバー13の裏面に接着される。透過層17は、シートカバー13の裏面に溶着されていてもよい。透過層17は、シートカバー13に縫合されていてもよい。透過層17は、貫通孔16に比して大きい面積に形成されている。透過層17の端部17A内の領域に、貫通孔16が配置されている。透過層17は、シートカバー13自体に複数のパンチング孔を穿孔することにより形成されていてもよい。透過層17は、複数のパンチング孔が形成されたシートカバー13の下層に設けられる透明シートにより形成されていてもよい。また、透過層17は、透明素材により形成されたシートカバー13の一部をマスキングし、シートカバー13を塗装後にマスキングを剥離することで形成されてもよい。
【0040】
上述したように、車両用シート10によれば、開口部14が設けられることにより、シートクッション12の状態を外部から視認することができる。車両用シート10によれば、開口部14を介してシートクッション12の劣化状態を監視することができる。車両用シート10によれば、開口部14を介してシートクッション12の交換時期を把握することができる。また、車両用シート10によれば、開口部14が設けられることにより、再生材料により形成されたシートクッション12の複数のチップ素材が有する異なる成型色に基づく模様を外部から視認可能となり、意匠性が向上する。車両用シート10は、シートクッション12に再生材料を用いることにより、意匠性を向上しつつ環境負荷を低減することができる。
【0041】
[変形例]
以下、上記各実施形態に係る車両用シート10の変形例について説明する。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成については、同一の名称及び符号を用い重複する説明については、適宜省略する。
【0042】
図6に示されるように、シートクッション12は、前後方向において2つ以上に分割されていてもよい。シートクッション12は、例えば、上下方向に沿った分割面12Dに基づいて前後に分割されている。上記構成により、シートクッション12は、運転者が着座する前方の第1シート領域12Aと、後方の第2シート領域12Bとで劣化度合いに応じて個別に交換することができる。第2シート領域12Bは、タンデムシートであり、第1シート領域12Aに比して着座頻度が低く、劣化の進行が遅い。分割面12Dが形成されていることにより、シートクッション12の領域毎の劣化度合に応じて領域毎に素材を交換することができる。車両用シート10は、分割面12Dが形成されていることにより、シートクッション12の交換時の廃棄物を低減し環境負荷を低減することができる。
【0043】
シートクッション12は、上下方向において2つ以上に分割されて形成されていいてもよい。シートクッション12は、例えば、前後方向に沿った分割面12Eに基づいて上下に分割されている。シートクッション12は、分割面12Eに基づいて上下方向において異なる素材により2つに分割されて形成されていてもよい。シートクッション12は、例えば、シート底板11側に設けられた第1弾性部材12Fと、第1弾性部材12Fの上部に設けられ第1弾性部材12Fに比して低い弾性に形成された第2弾性部材12Gにより形成されている。シートクッション12は、乗員が着座する上部において第1弾性部材12Fに比して低い弾性の第2弾性部材12Gを用いることにより、乗員の着座時の快適性を向上させることができる。
【0044】
シートクッション12において、第2弾性部材12Gは、第1弾性部材12Fに比して乗員の着座に基づいて劣化の進行が早まる。シートクッション12は、上下方向において第1弾性部材12Fと第2弾性部材12Gとに分割されていることにより、上下方向における領域毎の劣化度合に応じて領域毎に素材を交換することができる。車両用シート10は、分割面12Eが形成されていることにより、シートクッション12の交換時の廃棄物を低減し環境負荷を低減することができる。シートクッション12は、上下方向において異なる素材により2つ以上に分割されて形成されていてもよい。
【0045】
図7に示されるように、開口部14は、シートカバー13の車幅方向における側面において上下方向に2つに仕切られて形成されていてもよい。開口部14は、例えば、第1弾性部材12Fの領域に対応する第1開口部14Aと、第2弾性部材12Gの領域に対応する第2開口部14Bが設けられていてもよい。車両用シート10によれば、第1開口部14A及び第2開口部14Bが設けられていることにより、第1弾性部材12Fの状態と、第2弾性部材12Gの状態とを個別に視認となり、第1弾性部材12F及び第2弾性部材12Gの交換時期を個別に判定することができる。開口部14は、シートカバー13の車幅方向における側面において上下方向に2つ以上に仕切られて形成されていてもよい。
【0046】
第1弾性部材12Fの領域に対応する第1開口部14Aと、第2弾性部材12Gの領域に対応する第2開口部14Bは、前方の第1シート領域12Aと、後方の第2シート領域12Bにそれぞれ設けられていてもよい。即ち、開口部14は、シートカバー13の車幅方向における側面において前後方向に2つに仕切られて形成されていてもよい。車両用シート10によれば、第1開口部14Aが前方の第1シート領域12A及び後方の第2シート領域12Bに設けられていることにより、前後方向における第1弾性部材12Fの交換時期を個別に判定することができる。車両用シート10によれば、第2開口部14Bが前方の第1シート領域12A及び後方の第2シート領域12Bに設けられていることにより、前後方向における第2弾性部材12Gの交換時期を個別に判定することができる。車両用シート10によれば、シートクッション12の上下方向及び前後方向に区切られた位置に応じて、シートクッション12の交換時期を個別に判定することができる。開口部14は、シートカバー13の車幅方向における側面において前後方向に2つ以上に仕切られて形成されていてもよい。また、開口部14は、シートカバー13の前後方向における後面において上下方向に2つ以上に仕切られて形成されていてもよい。即ち開口部14は、シートカバー13の周囲において、上下方向に2つ以上に仕切られて形成されていてもよい。
【0047】
図8に示されるように、開口部14には、シートクッション12の状態を判定可能な指標を示すゲージ14Cが設けられていてもよい。ゲージ14Cは、例えば、シートクッション12の劣化度合に応じて変化する色彩が段階的に表示されている。各色彩には、良好、使用可、要交換等のシートクッション12の状態の上方が対応して示されている。ゲージ14Cは、自体が経時的に変色したり、減耗したりして使用期間を視認させるものであってもよい。車両用シート10によれば、ゲージ14Cが設けられていることにより、シートクッション12の交換時期を視認することができる。車両用シート10によれば、ゲージ14Cが設けられていることにより、シートクッション12の過剰な交換を防止し廃棄物を低減することができる。
【0048】
図9及び図10に示されるように、ゲージ14Cは、色彩を示すものだけでなく、シートカバー13の側面において、上下方向に沿った開口により形成されていてもよい。また、開口には、目盛り14Dが設けられていてもよい。目盛り14Dは、例えば、シートクッション12のヘタリ具合に基づいて、良好、使用可、要交換等が判定可能に上下方向に形成されていてもよい。目盛り14Dと共に良好、使用可、要交換等の情報が記載されていてもよい。ゲージ14Cには、開口部14と同様に透過層17が設けられていてもよい。目盛り14D及び良好、使用可、要交換等の情報は、シートカバー13側に設けられていてもよいし、透過層17に設けられていてもよい。ゲージ14Cが設けられていることにより、シートクッション12の上下方向に沿ったヘタリに基づく劣化度合を視認することができ、シートクッションの位置に応じた交換時期を個別に判定することができる。ゲージ14Cは、開口部14と一体に形成されていてもよいし、別体に形成されていてもよい。
【0049】
上述したシートクッション12及びシートカバー13は、車両用部品として提供されてもよい。車両用部品は、例えば、車体フレームF側に設けられるシート底板11の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション12と、シートクッション12を覆いシート底板11に固定され、シートクッション12を視認可能とする開口部14が設けられたシートカバー13とを備えている。シートクッション12及びシートカバー13を車両用部品として提供することにより、既存の車両にシートカバー内部のシートクッションの状態を視認可能とすることができる。
【0050】
また、車両用シート10は、車両1に搭載されて提供されてもよい。車両1は、例えば、車体フレームF側に設けられるシート底板11と、シート底板11の上方に設けられ弾性体により形成されたシートクッション12と、シートクッション12を覆いシート底板11に固定され、シートクッション12を視認可能とする開口部14が設けられたたシートカバー13とを備えている。この構成によれば、シートカバー内部のシートクッションの状態を視認可能となる車両用シート10を備える車両1を提供することができる。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、車両用シート10は、自動二輪車、自動三輪車だけでなく、4輪バギー等の他の自走車両、非自走車両等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…車両、10…車両用シート、11…シート底板、12…シートクッション、12F…第1弾性部材、12G…第2弾性部材、13…シートカバー、14…開口部、14C…ゲージ
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