(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-10
(45)【発行日】2024-10-21
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 40/00 20200101AFI20241011BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20241011BHJP
B62J 11/00 20200101ALI20241011BHJP
【FI】
B62J40/00
B62J45/00
B62J11/00
(21)【出願番号】P 2022167051
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 佑子
(72)【発明者】
【氏名】竹中 伸享
(72)【発明者】
【氏名】佐野 貴裕
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-046067(JP,A)
【文献】特開2011-088573(JP,A)
【文献】特開2011-214504(JP,A)
【文献】特開2006-123656(JP,A)
【文献】特開平04-095594(JP,A)
【文献】特開2015-112947(JP,A)
【文献】国際公開第2019/172380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 40/00
B62J 45/00
B62J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(18)から後下がりに延びるメインフレーム(19a)と、レギュレータ(90)と、エアクリーナボックス(50)と、を備える鞍乗り型車両において、
前記エアクリーナボックス(50)の前部又は側部には、前記レギュレータ(90)が保持されるレギュレータ保持部材(100)が設けられ
、
前記レギュレータ(90)は、車体側面視で、前記メインフレーム(19a)と少なくとも一部が重なり、
前記レギュレータ(90)は、車体側面視で、前記レギュレータ(90)の下部(90b)が車体前後方向前側となり、前記レギュレータ(90)の上部(90a)が前記レギュレータ(90)の下部(90b)よりも車体前後方向後側となるように傾斜して配置され、
前記レギュレータ(90)の下部(90b)には、電気配線が接続されるコネクタ部(92)が設けられている、
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記メインフレーム(19a)を車幅方向外側から覆うサイドカバー(33
)を備え、
前記レギュレータ(90)は、車体側面視で、前記メインフレーム(19a)または前記サイドカバー(33)の少なくともいずれか一方と、少なくとも一部が重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
左右一対の前記メインフレーム(19a)と、前記左右一対のメインフレーム(19a)に跨って設けられたクロスメンバ(19e)であってエンジン(12)がマウントされるクロスメンバ(19e)と、を備え、
前記レギュレータ(90)は、前記クロスメンバ(19e)よりも上方に保持される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記レギュレータ保持部材(100)の車体幅方向外側には、締結して前記エアクリーナボックス(50)に支持される締結部(103a)が形成され、前記レギュレータ保持部材(100)の車体幅方向内側には、差し込んで前記エアクリーナボックス(50)に支持される差込部(102a)が形成される、
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記エアクリーナボックス(50)の
側部前部には、バッテリ(80)を保持するバッテリ保持部(70)が形成される、
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記レギュレータ保持部材(100)は、前記バッテリ保持部(70)よりも前方に設けられる、
ことを特徴とする請求項
5に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両においては、発電機で生じた交流を直流に変換するレギュレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。このレギュレータは高温となるために、一般には、放熱し易い部位に配置される。特許文献1では、左右一対の下側シートフレーム部の間を連結するクロスフレームの下面に、レギュレータを固定しており、金属のクロスフレームを利用して放熱させ易くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、車体フレームを利用して放熱する構成では、車体フレームの形状は車種ごとに変わるために、他の車種とレギュレータの取付位置を共通化し難いという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、他の車種とレギュレータの取付位置を共通化し易い鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、ヘッドパイプから後下がりに延びるメインフレームと、レギュレータと、エアクリーナボックスと、を備える鞍乗り型車両において、前記エアクリーナボックスの前部又は側部には、前記レギュレータが保持されるレギュレータ保持部材が設けられ、前記レギュレータは、車体側面視で、前記メインフレームと少なくとも一部が重なり、前記レギュレータは、車体側面視で、前記レギュレータの下部が車体前後方向前側となり、前記レギュレータの上部が前記レギュレータの下部よりも車体前後方向後側となるように傾斜して配置され、前記レギュレータの下部には、電気配線が接続されるコネクタ部が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
他の車種とレギュレータの取付位置を共通化し易い鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図2】車体カバーを外した鞍乗り型車両の要部を示す斜視図である。
【
図6】車体フレームに支持されたエアクリーナボックスの周辺部を示す右側面図である。
【
図7】左右一対のメインフレームの間における要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
鞍乗り型車両10は、車体の各部を覆う車体カバー30を備える。車体カバー30は、車体前部を覆うフロントカウル31と、燃料タンク29の一部を左右外側から覆うシュラウド(タンクシュラウドと称される場合もある)32と、燃料タンク29の後下方かつシート17の下方を左右外側から覆う左右一対のサイドカバー33と、車体後部を左右から覆うリヤカウル34とを備える。車体カバー30を構成する各カバー31~34は、鞍乗り型車両10の幅中心を基準にして左右対称形状に形成されている。但し、各カバー31~34は左右対称形状に限定されず、適宜に変更してもよい。
【0016】
フロントカウル31には、前方を照射するヘッドライト41等が設けられる。サイドカバー33は、パワーユニット12の後方かつシート17前部の下方に配置される車体構成部品(例えば吸気装置42)を左右外側から覆う。リヤカウル34には、テールランプ43等の灯火器などが取り付けられる。
【0017】
パワーユニット12は、クランクケース23と、クランクケース23の前部の上部から上方に延びるシリンダー部24とを備える。シリンダー部24は、下方から上方に向けて、シリンダーブロック24a、シリンダーヘッド24b及びシリンダーヘッドカバー24cを備えている。シリンダー部24のシリンダー軸線L1は、車体側面視で前上方に延びている。
【0018】
シリンダーヘッド24bの背面には、パワーユニット12の吸気系を構成する吸気装置42が接続される。シリンダーヘッド24bの前面には、排気装置25の一部を構成する排気管25aが接続される。
【0019】
図2は、車体カバー30を外した鞍乗り型車両10の要部を示す斜視図である。
フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18の上部から後ろ下がりに延びる左右一対のメインフレーム19aと、ヘッドパイプ18の下部から後ろ下がりに延びるダウンフレーム19bと、メインフレーム19aの下端に形成された左右一対のピボットフレーム19cと、を有する。
メインフレーム19aおよびダウンフレーム19bの前端にはガセット19dが設けられている。ガセット19dは、ヘッドパイプ18と、メインフレーム19aおよびダウンフレーム19bとの接続部を補強する。
【0020】
メインフレーム19aの前後方向後側中途部には、クロスパイプ(クロスメンバ)19eが接続される。クロスパイプ19eは、左右のメインフレーム19aに跨った状態で接続される。クロスパイプ19eには、左右一対のエンジンハンガ19e1が設けられる。エンジンハンガ19e1は、クロスパイプ19eから前下がりに突出する片状に形成される。エンジンハンガ19e1とダウンフレーム19bの下端には、パワーユニット(エンジン)12が支持される。
【0021】
リアフレーム20は、メインフレーム19aの前後方向中途部から後方に延びるシートフレーム20aと、メインフレーム19aの下端部から後ろ上がりに延びてシートフレーム20aに接続されるサブリアフレーム20bと、を有する。
シートフレーム20aは、ほぼ水平に後方に延びる。シートフレーム20aは車体の後端部まで延びる。左右一対のシートフレーム20aの前後方向中途部には、左右のシートフレーム20a間を跨るように支持されるセンタクロスメンバ20cが配置される。センタクロスメンバ20cは板状に形成される。センタクロスメンバ20cは、エアクリーナボックス50と平面視で重複する(不図示)。センタクロスメンバ20cには上下方向に貫通する係合孔20c1が形成されている。
【0022】
シートフレーム20aには、センタクロスメンバ20cの前側に対応して、燃料タンク29が支持される。また、シートフレーム20aには、センタクロスメンバ20cの後方に対応して、シート17が支持される。シート17には図示しない係合部が径形成されており、センタクロスメンバ20cの係合孔20c1と係合可能である。これにより、シート17はセンタクロスメンバ20cに対して着脱可能に支持される。
【0023】
図3は、エアクリーナボックス50の斜視図である。
図4は、エアクリーナボックス50の正面図である。
図5は、エアクリーナボックス50の右側面図である。
車体フレーム11には、エアクリーナボックス50が支持される。エアクリーナボックス50は、容器状のボックス本体51を有する。ボックス本体51は、前後方向に延びる底面部52と、底面部52の前端から上方に延びる前面部53と、底面部52の後端から上方に延びる後面部54と、底面部52の左端から上方に延びる左面部55(
図4参照)と、底面部52の右端から上方に延びる右面部56(
図5参照)と、を有する。ボックス本体51は、前面部53と、後面部54と、左面部55と、右面部56と、の囲み形状により形成された上方に開口する開口部(不図示)を備える。このボックス本体51の開口部は、板状のボックスリッド57で閉塞される。これにより、エアクリーナボックス50内には、フィルター(不図示)を挟んで仕切られたダーティサイド(不図示)とクリーンサイド(不図示)とが形成される。
【0024】
ボックスリッド57には、ダーティサイドに通ずる開口が形成される。この開口は、カバー状のダクト支持部材58で閉塞される。ダクト支持部材58は、ボックスリッド57に対してやや上方に膨出した形状である。ダクト支持部材58には孔が形成されている。この孔には吸気ダクト59が接続され吸気ダクト59がダクト支持部材58に支持される。吸気ダクト59はダーティサイドに連通する。吸気ダクト59は後方に向かって延びる。吸気ダクト59は後方に開口する。
【0025】
ボックス本体51の前面部53には、クリーンサイドから延びるコネクティングチューブ60が支持される。コネクティングチューブ60は、前方に向かって延びる。コネクティングチューブ60は前方に開口する。
【0026】
エアクリーナボックス50には、エアクリーナボックス50の前部に対応して、バッテリ保持部70が形成されている。バッテリ保持部70は、ボックス本体51の右面部56に形成される。すなわち、右面部56の前部56aは、右面部56の後部56bに対して車幅方向内側に凹んでいる。この車幅方向内側に凹んだ凹み形状により、バッテリ80が保持されるバッテリ保持部70が形成される。
【0027】
詳細には、バッテリ保持部70は、右面部56の前部56aの下端から右方に延びるバッテリ保持底面部71と、バッテリ保持底面部71の前端から上方に延びるバッテリ保持前面部72と、バッテリ保持底面部71の後端から上方に延びるバッテリ保持後面部73と、有する。バッテリ保持前面部72は、ボックス本体51の前面部53の右側に形成される。バッテリ保持後面部73は、右面部56の前部56aと後部56bの車幅方向の段差の位置に設けられる。バッテリ保持底面部71と、バッテリ保持前面部72と、バッテリ保持後面部73とにより、車体側面視で上方に開放された略U字状の収容形状70aが形成される。このバッテリ保持部70の収容形状にバッテリ80が収容されて保持される。
【0028】
バッテリ80は、略直方体状である。バッテリ80は前後に端子81、82を備える。
【0029】
バッテリ保持部70の前方に対応して、エアクリーナボックス50には、レギュレータ保持部75が形成される。
レギュレータ保持部75は、前面部53などに形成される。詳細には、レギュレータ保持部75は、前方に突出する円筒状のボス部(被差込部)76を有する。ボス部76は、コネクティングチューブ60の右側近傍の前面部53に形成される。ボス部76には、後方に軸孔状に凹んだ位置決め孔(不図示)が形成される。
【0030】
ボス部76の右方には、所定のスペースを空けて、締結片(固定部)77が形成される。締結片77は、前面部53よりも右端側のバッテリ保持前面部72に形成される。締結片77は、バッテリ保持前面部72の右端部に対応して形成される。締結片77は左右方向に厚みを有する略片状である。締結片77は、バッテリ保持前面部72の外表面に対して前方に突出する。締結片77には、左右方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成される。
ボス部76と、締結片77とにより、本実施形態のレギュレータ保持部75が形成される。
【0031】
レギュレータ保持部75には、レギュレータ90が保持される。本実施形態のレギュレータ90は、正面視で略六角形状の板状をしている。レギュレータ90の前面には、左右方向中央部に対応して放熱フィン91が形成される。放熱フィン91は左右方向に延びる。放熱フィン91は上下方向に間隔を空けて複数形成される。レギュレータ90の下端部には、コネクタ部92が形成される。コネクタ部92には、バッテリ80や、図示しない発電機から延びるコード(電気配線)のコネクタ(
図7参照)111が接続される。レギュレータ90の左右方向両側には、不図示の固定孔が形成されている。この固定孔には、固定具の一例としてのボルト93が挿通される。左右一対のボルト93は、レギュレータステー(レギュレータ保持部材)100に締結される。これにより、レギュレータ90とレギュレータステー100とは一体にされる。
【0032】
レギュレータステー100は、折り曲げ状の金属板である。レギュレータステー100は、レギュレータ90が載置される載置面101を有する。載置面101は後方に進むに連れて上方に傾斜する。
載置面101の左方上部には、載置面101から左方に延出する差込延出部102が形成される。差込延出部102は折り曲げ板状である。差込延出部102は、左方に延びた後、前方に屈曲し、さらにその後に、左方に屈曲する。差込延出部102の先端部(差込部)102aには、差込ピン(不図示)が設けられている。差込ピンは、後面から後方に突出する。この差込ピンが、レギュレータ保持部75のボス部76の位置決め孔(不図示)に差し込まれる。これにより、レギュレータステー100がレギュレータ保持部75に位置決めされる。
【0033】
レギュレータステー100の載置面101の右部には、載置面101から右方に延出する締結延出部103が形成される。締結延出部103は折り曲げ板状である。締結延出部103は、右方に延出した後、後方に屈曲する。締結延出部103の先端部(締結部)103aには、厚み方向、換言すれば左右方向に貫通する締結孔(不図示)が形成される。この締結孔には、雌ねじが形成されており、締結部材の一例としてのボルト105が締結される。また、締結延出部103の先端部103aには、載置面101に対して傾斜し且つ、エアクリーナボックス50のバッテリ保持前面部72の前面に沿うように切り欠かれた後縁103a1が形成される。すなわち、載置面101が後方に進むにつれて上方に傾斜する面であるのに対して、後縁103a1は上下方向に延びている。後縁103a1を、バッテリ保持前面部72の前面に沿わせることにより、レギュレータステー100の載置面101の傾斜角度が維持され易くなっている。載置面101に載置されたレギュレータ90は、車体側面視で、上部90aが下部90bよりも後方に位置する後ろ上がり形状で支持される。
【0034】
載置面101の左下部には、載置面101から左方に延出する板状の放熱延出部104が形成される。放熱延出部104により、レギュレータステー100に伝達されたレギュレータ90からの熱が放熱され易くなっている。
【0035】
本実施形態では、レギュレータ保持部75の上方には、リレー支持部79が形成される。リレー支持部79は左右方向に厚みを有する略板状である。リレー支持部79は、前面部53の外表面に対して前方に延出する。リレー支持部79は、車体側面視で、コネクティングチューブ60と重複する。リレー支持部79の前端下部には、コードを引っ掛け可能な爪部79aが形成されている。
【0036】
図6は、車体フレーム11に支持されたエアクリーナボックス50の周辺部を示す右側面図である。
図7は、左右一対のメインフレーム19aの間における要部縦断面図である。
エアクリーナボックス50は車体フレーム11に支持される。エアクリーナボックス50は、底面部52の前固定部52aや、後面部54の後固定部54aなどで車体フレーム11に支持される。底面部52の前固定部52aは右側のメインフレーム19aに固定される。また、後面部54の後固定部54aはサブリアフレーム20bに固定される。
【0037】
このとき、バッテリ80は、前方となる右側のメインフレーム19aと、後側となる右側のサブリアフレーム20bと、上方となる右側のシートフレーム20a(
図6では不図示)で囲まれた三角形状の枠形状の内側に位置する。よって、右側のサイドカバー33を取り外すことにより、バッテリ80に容易にアクセス可能になっている。なお、サイドカバー33は、メインフレーム19aと、サブリアフレーム20bと、シートフレーム20aで囲まれた三角形状の枠形状を車幅方向外側から覆うように支持される(
図1参照)。
【0038】
また、レギュレータ90は、メインフレーム19aに車体側面視で重複する。具体的には、レギュレータ90は、クロスパイプ19eの上方でメインフレーム19aに重複する。よって、レギュレータ90は、メインフレーム19aで車体側面視で隠れる位置に配置されるため、鞍乗り型車両10の外観性を向上させ易い。特に、本実施形態では、レギュレータ90は、サイドカバー33でも少なくとも一部が更に覆われる。よって、レギュレータ90が車体側面視で露出し難く、外観性が向上され易くなっている。
【0039】
レギュレータ90の上部は、メインフレーム19aよりも上方に位置する。また、レギュレータ90のコネクタ部92はメインフレーム19aよりも下方に位置する。このとき、メインフレーム19aは前方から後方に進むにつれて下方に傾斜するのに対して、レギュレータ90は前方から後方に進むにつれて上方に傾斜する。よって、レギュレータ90のコネクタ部92がメインフレームに対して前方に突出した状態となり易く、コネクタ部92に作業者がアクセスし易くなっている。よって、コネクタ部92に対するコネクタ111の着脱作業が向上している。
【0040】
コネクティングチューブ60は前方に進むにつれて車幅方向内側に傾斜して延び、スロットルボディ45を介して、前後方向に延びる吸気管46に接続される。吸気管46はシリンダーヘッド24bの背面の吸気ポートに接続される。スロットルボディ45は、車体側面視でメインフレーム19aに重複している。
エアクリーナボックス50、コネクティングチューブ60、スロットルボディ45、吸気管46により、本実施形態の吸気装置42が構成される。
吸気装置42では、エアクリーナボックス50の前部に、バッテリ80や、レギュレータ90が配置され、シリンダー部24側に配置される。このため、コネクティングチューブ60、スロットルボディ45、吸気管46により形成される吸気経路が迂回形状となり易く長くなっている。
なお、レギュレータ90は、エアクリーナボックス50の側部に配置されてもよい。
【0041】
バッテリ80の前側の端子81には、第1のコード121が接続される。第1のコード121はリレー122に接続される。リレー122は、ボックス本体51の前面部53におけるリレー支持部79に支持される。リレー支持部79は、レギュレータ90よりも前方まで延びる。リレー122は、車体側面視において、スロットルボディ45とバッテリ80との間に位置する。リレー122には第2のコード123が接続される。第2のコード123はリレー支持部79の爪部79aに保持され、クランクケース23の上部に配置されたセルモータ124に接続される。
【0042】
ここで、本実施形態では、スロットルボディ45や、レギュレータ90などがメインフレーム19aに沿って配置されている。よって、パワーユニット12のシリンダー部24の後方において、シリンダー部24とメインフレーム19aとの間には、吸気管46の上下に、左右方向に貫通する空間S1、S2(
図1、
図6参照)が形成されている。よって、鞍乗り型車両10のパワーユニット12の形状を活かした外観性を与え易くなっている。また空間S1,S2では走行風が抜け易く、空間S2に面するレギュレータ90を冷却し易くなっている。
【0043】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、レギュレータ90と、エアクリーナボックス50と、を備える鞍乗り型車両10において、エアクリーナボックス50の前部又は側部には、レギュレータ90が保持されるレギュレータステー100が設けられる。
この構成によれば、レギュレータステー100を介してエアクリーナボックス50の前部又は側部にレギュレータ90を保持することにより、他の車種とレギュレータ90の取付位置を共通化することができる。また、他の車種とレギュレータ90の取付位置を共通化することができるため、コスト削減に寄与する。
【0044】
本実施の形態では、ヘッドパイプ18から後下がりに延びるメインフレーム19aと、メインフレーム19aを車幅方向外側から覆うサイドカバー33と、を備え、レギュレータ90は、車体側面視で、メインフレーム19aおよびサイドカバー33の両方と、少なくとも一部が重なる。
この構成によれば、車体側面視で、レギュレータ90を隠れる場所に配置することができるため、鞍乗り型車両10の意匠性を損ない難くすることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、レギュレータ90は、車体側面視で、メインフレーム19aと少なくとも一部が重なり、レギュレータ90は、車体側面視で、レギュレータ90の下部90bが車体前後方向前側となり、レギュレータ90の上部90aがレギュレータ90の下部90bよりも車体前後方向後側となるように傾斜して配置され、レギュレータ90の下部90bには、電気配線が接続されるコネクタ部92が設けられている。
この構成によれば、メインフレーム19aの傾斜に対し、レギュレータ90が逆に傾斜しているので、コネクタ111の着脱がし易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、左右一対のメインフレーム19aと、左右一対のメインフレーム19aに跨って設けられたクロスパイプ19eであってパワーユニット12がマウントされるクロスパイプ19eと、を備え、レギュレータ90は、クロスパイプ19eよりも上方に保持される。
この構成によれば、レギュレータ90は、パワーユニット12のクランクケース23よりも上方に配置される。このため、レギュレータ90を、走行風が当たり易く冷却し易い場所に配置することができるため、レギュレータ90の性能を損ない難くすることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、レギュレータステー100の車体幅方向外側には、締結してエアクリーナボックス50に支持される先端部103aが形成され、レギュレータステー100の車体幅方向内側には、差し込んでエアクリーナボックス50に支持される先端部102aが形成される。
この構成によれば、レギュレータステー100の着脱及び位置決めが容易にできるため、レギュレータ90の着脱および位置決めが容易になり、レギュレータ90のメンテナンス性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、エアクリーナボックス50の前部には、バッテリ80を保持するバッテリ保持部70が形成される。
この構成によれば、レギュレータ90がバッテリ80の近傍に配置されることになり、レギュレータ90とバッテリ80との間を接続するコードの長さを短くできる。また、レギュレータ90とバッテリ80とを接続するコードの長さを短くできるため、コスト削減に寄与する。さらに、エアクリーナボックス50の前部又は側部にレギュレータ90とバッテリ80が配置されるため、エアクリーナボックス50からパワーユニット12に延びる吸気経路がレギュレータ90とバッテリ80とを迂回するように設けられることになり、吸気経路が長くなり易い。よって、吸気経路中の空気量を多くでき、吸気慣性効果が得られ易くなり、特に低回転時の燃費性能を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、レギュレータステー100は、バッテリ保持部70よりも前方に設けられる。
この構成によれば、レギュレータ90の前方にバッテリ80が配置されないため、レギュレータ90に走行風を当て易くでき、レギュレータ90を効果的に冷却できて、レギュレータ90の性能を損ない難くすることができる。また、バッテリ80とレギュレータ90とを接続するコード(電気配線)の長さを短くできるため、コスト削減に寄与する。
【0050】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0051】
上記実施の形態では、レギュレータ90は、車体側面視で、メインフレーム19aおよびサイドカバー33のいずれにも重複する構成を説明したが、レギュレータ90は、メインフレーム19aまたはサイドカバー33Cのいずれかにのみ重複する構成でもよい。
【0052】
上記実施の形態では、レギュレータ保持部75が、エアクリーナボックス50の前面部53などに形成される構成を説明したが、レギュレータ保持部75は、エアクリーナボックス50の左面部55や右面部56に設けられてもよい。すなわち、レギュレータステー100やレギュレータ90がエアクリーナボックス50の左面部55や右面部56に設けられてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0054】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0055】
(構成1)レギュレータと、エアクリーナボックスと、を備える鞍乗り型車両において、前記エアクリーナボックスの前部又は側部には、前記レギュレータが保持されるレギュレータ保持部材が設けられる、ことを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、レギュレータ保持部材を介してエアクリーナボックスの前部又は側部にレギュレータを保持することにより、他の車種とレギュレータの取付位置を共通化することができる。また、他の車種とレギュレータの取付位置を共通化することができるため、コスト削減に寄与する。
【0056】
(構成2)ヘッドパイプから後下がりに延びるメインフレームと、前記メインフレームを車幅方向外側から覆うサイドカバーと、を備え、前記レギュレータは、車体側面視で、前記メインフレームまたは前記サイドカバーの少なくともいずれか一方と、少なくとも一部が重なる、ことを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、車体側面視で、レギュレータを隠れる場所に配置することができるため、鞍乗り型車両の意匠性を損ない難くすることができる。
【0057】
(構成3)前記レギュレータは、車体側面視で、前記メインフレームと少なくとも一部が重なり、前記レギュレータは、車体側面視で、前記レギュレータの下部が車体前後方向前側となり、前記レギュレータの上部が前記レギュレータの下部よりも車体前後方向後側となるように傾斜して配置され、前記レギュレータの下部には、電気配線が接続されるコネクタ部が設けられている、ことを特徴とする構成2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレームの傾斜に対し、レギュレータが逆に傾斜しているので、コネクタの着脱がし易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0058】
(構成4)左右一対の前記メインフレームと、前記左右一対のメインフレームに跨って設けられたクロスメンバであってエンジンがマウントされるクロスメンバと、を備え、前記レギュレータは、前記クロスメンバよりも上方に保持される、ことを特徴とする構成2または3に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、レギュレータは、エンジンのクランクケースよりも上方に配置される。このため、レギュレータを、走行風が当たり易く冷却し易い場所に配置することができるため、レギュレータの性能を損ない難くすることができる。
【0059】
(構成5)前記レギュレータ保持部材の車体幅方向外側には、締結して前記エアクリーナボックスに支持される締結部が形成され、前記レギュレータ保持部材の車体幅方向内側には、差し込んで前記エアクリーナボックスに支持される差込部が形成される、ことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、レギュレータ保持部材の着脱及び位置決めが容易にできるため、レギュレータの着脱および位置決めが容易になり、レギュレータのメンテナンス性を向上させることができる。
【0060】
(構成6)前記エアクリーナボックスの前部には、バッテリを保持するバッテリ保持部が形成される、ことを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、レギュレータがバッテリの近傍に配置されることになり、レギュレータとバッテリとを接続する電気配線の長さを短くできる。また、レギュレータとバッテリとを接続する電気配線の長さを短くできるため、コスト削減に寄与する。さらに、エアクリーナボックスの前部又は側部にレギュレータとバッテリが配置されるため、エアクリーナボックスからエンジンに延びる吸気経路がレギュレータとバッテリとを迂回するように設けられることになり、吸気経路が長くなり易い。よって、吸気経路中の空気量を多くでき、吸気慣性効果が得られ易くなり、特に低回転時の燃費性能を向上させることができる。
【0061】
(構成7)前記レギュレータ保持部材は、前記バッテリ保持部よりも前方に設けられる、ことを特徴とする構成6に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、レギュレータの前方にバッテリが配置されないため、レギュレータに走行風を当て易くでき、レギュレータを効果的に冷却できて、レギュレータの性能を損ない難くすることができる。また、バッテリとレギュレータとを接続する電気配線の長さを短くできるため、コスト削減に寄与する。
【符号の説明】
【0062】
10 鞍乗り型車両
12 パワーユニット(エンジン)
18 ヘッドパイプ
19a メインフレーム
19e クロスパイプ(クロスメンバ)
33 サイドカバー
50 エアクリーナボックス
70 バッテリ保持部
80 バッテリ
90 レギュレータ
90a レギュレータの上部
90b レギュレータの下部
92 コネクタ部
100 レギュレータステー(レギュレータ保持部材)
102a 先端部(差込部)
103a 先端部(締結部)